...

予稿集 - 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

by user

on
Category: Documents
27

views

Report

Comments

Transcript

予稿集 - 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
四国ブロックポリテックビジョン2015
も の づ く り・ひ と づ く り
予稿集
平成27年
開催
日時
2 21 (土))
月
日
10:00∼15:30
会場
綾歌総合文化会館
アイレックス
アイレック
ス
香川県丸亀市綾歌町栗熊西1680番地
主催/四国ブロックポリテックビジョン実施運営委員会
後援/香川労働局、四国経済産業局、香川県、丸亀市、香川県中小企業団体中央会、
香川県職業能力開発協会、丸亀商工会議所、香川県教育委員会
in
四国
ものづくり研究発表会プログラム
応用課程 開発課題 研究発表の部 10:00∼12:55
時 刻
(会場:大ホール)
テ ー マ
発 表 者
10:00∼10:20 (1)NC フライス盤精度計測装置の開発
生産機械システム技術科 木下 研吾
10:25∼10:45 (2)石膏モデルの研削作業支援装置の開発
生産電子システム技術科 福岡 稜也
10:50∼11:10 (3)にんにく仕上げ機の開発
生産情報システム技術科 石原 誠
休憩 11:10∼11:20
11:20∼11:40 (4)自動搬送装置システムの開発
生産電子システム技術科 村崎 大誠
11:45∼12:05 (5)FCV の開発(酸素と水素の電気エネルギーで走る車)
生産情報システム技術科 穂積 誠也
12:10∼12:30 (6)装具用シャフトオートベンダの開発
生産機械システム技術科 清水 吉彦 12:35∼12:55 (7)モバイル連携による CE 業務支援システムの開発
生産情報システム技術科 細川 裕司
専門課程 総合制作実習 研究発表の部 10:00∼12:45
時 刻
(会場:大研修室)
テ ー マ
発 表 者
10:00∼10:15 (1)加工材選別機の製作
生産技術科 内田 憂紀
10:20∼10:35 (2)搭乗型多脚歩行ロボットの製作
生産技術科 平川 湧太
10:40∼10:55 (3)ET ロボコンにおける取り組み
電子情報技術科 西河 僚平
11:00∼11:15 (4)Verilog-HDL による FAN コントローラの制作
電子情報技術科 浜田 泰考
休憩 11:15∼11:30
11:30∼11:45 (5)四輪電動カートの製作
生産技術科 大西 和也
11:50∼12:05 (6)振り子時計の製作
生産技術科 畠山 湧
12:10∼12:25 (7)モノづくりフェスタ受付システムの構築
電子情報技術科 古谷隆之介
12:30∼12:45 (8)変光式目覚まし時計の製作
電子情報技術科 飯塚 祐太
専門課程 総合制作実習/共同研究 研究発表の部 10:00∼12:45
時 刻
テ ー マ
発 表 者
階段軸の高性能化に関する研究
10:00∼10:20 (1)
∼モルタル充填鋼管の耐力変形推定式∼
10:25∼10:40 (2)
10:45∼11:00 (3)
(会場:小研修室)
住居環境科 越智 隆行
災害に備えた避難所スペースの有効活用に関する提案 −Cubic Room−
住居環境科 藤本 雄登
新設コンクリートの強度推定に関する検討
Examination of Compressive Strength of New Concrete Structures
休憩 11:00∼11:10
住居環境科 貝塚 真国
平成 25 年度 建設機械製造業における「職業能力の体系」の整備等に
11:10∼11:30 (4) 関する調査研究
職業能力開発総合大学校基盤整備センター
開発研究部 調査開発室 江面美智雄
「ものづくり体験」イベントへの取り組みについて
11:35∼11:55 (5)
∼学科の特色を活かしたテーマ策定∼(実践報告)
電子情報技術科 高本 浩司
12:00∼12:20 (6) 安全衛生教育を考える
生産技術科 丹 敦
12:25∼12:45 (7) バドミントン練習用ノックマシン開発に係るシャトル射出メカニズムの研究
電子情報技術科 中山 伸一
四国職業能力開発大学校学生・教員
高知職業能力開発短期大学校学生・教員
平成27年2月21日(土)
催し物
10:00
11:00
タイムテーブル
12:00
13:00
記念講演
受付
開発課題研究発表
研究発表
総合制作実習研究発表
研究発表
総合制作実習研究発表
共同研究他発表
開発課題・総合制作実習
展示・実演・ポスターセッション
展示作品審査・表彰
14:00
15:00
ロボットを通じたものづくりからことづくりへ
∼認知発達ロボティクスの挑戦∼
研究発表
研究発表
研究発表
研究発表
展示・実演・ポスターセッション
展示の審査
展示
採点
実演・デモ
表彰
16:00
大ホール
A
大ホール
A
大研修室
B
小研修室
C
小ホール
D
小ホール
A
大ホール(表彰) D
応用課程 開発課題 研究発表の部 10:00~12:55 (会場:大ホール)
(1)NCフライス盤精度計測装置の開発
・・・・・・・・・ 2
生産機械システム技術科 岡部 友治、片山 裕貴、木下 研吾、葛原 圭祐、辻 恵太
生産電子システム技術科 中川 富雄、湯川 修平
生産情報システム技術科 松岡 智彦、山岡 聖卓
(指導教員:八崎 透、成田 義也、千知岩 浩一)
(2)石膏モデルの研削作業支援装置の開発
生産電子システム技術科 福岡 稜也、櫻田 国孝
(指導教員:天野 隆)
(3)にんにく仕上げ機の開発
・・・・・・・・・ 4
・・・・・・・・・ 6
生産機械システム技術科 池地 良介、岡田 吉容、尺長 弘樹、浜田 晃吉、藤原 敏晃
生産電子システム技術科 角南 知巳、長江 大助、和田 亮嗣
生産情報システム技術科 石原 誠、大野 峻平、金久 俊喜、松尾 智仁
(指導教員:池本 和夫、千知岩 浩一、下釜 洋一)
(4)自動搬送装置システムの開発
・・・・・・・・・ 8
生産機械システム技術科 佐藤 聖仁、廣瀬建太郎、松木 基、三宅 悠介
生産電子システム技術科 武田 秀和、村崎 大誠、森本 康寛
生産情報システム技術科 宇髙 尚史、小片 章弘、塩谷 東吾、田中 一成、山川 賢
(指導教員:亀山 寛司、武藤 正昭、稲益 悦夫)
(5)FCVの開発(酸素と水素の電気エネルギーで走る車)
・・・・・・・・・ 10
(6)装具用シャフトオートベンダの開発
・・・・・・・・・ 12
(7)モバイル連携によるCE業務支援システムの開発
・・・・・・・・・ 14
生産機械システム技術科 池内 海、磯野 隆洋、竹崎 龍一、福西 亮介、藤澤 光介、
松岡 航、三宅 浩樹
生産電子システム技術科 大池達也、小出浩貴、久道憲悟
生産情報システム技術科 穂積 誠也、小野寺 萌、白石 洋介、西岡 芳朋
(指導教員:岩永 禎之、成田 義也、谷本 富男)
生産機械システム技術科 清水 吉彦、西森 勇貴、樋本 翔、山本 晃司
生産電子システム技術科 上田 開斗、宮川 淳、村下 薫
生産情報システム技術科 澤田 尚弥、増田 千尋、吉松 幹真
(指導教員:石田 俊郎、天野 隆、下釜 洋一)
生産情報システム技術科 細川 裕司、市川 魁秋、楠目 悠平、舛市 優司 (指導教員:木村 吉伸)
専門課程 総合制作実習 研究発表の部 10:00~12:45 (会場:大研修室 )
(1)加工材選別機の製作
生産技術科 内田 憂紀、三谷 勇統、宮本 健司
(指導教員:穴田 悦生)
(2)搭乗型多脚歩行ロボットの製作
生産技術科 荒井 翔吾、幸内 雅弥、平川 湧太
(指導教員:孫入 弘安)
・・・・・・・・・ 18
・・・・・・・・・ 22
(3)ETロボコンにおける取り組み
電子情報技術科 西河 僚平、吉田 椋、金井 優太
(指導教員:鳥谷部 太)
・・・・・・・・・ 24
(4)Verilog-HDLによるFANコントローラの制作
電子情報技術科 濱田 泰考
(指導教員:土山 博剛)
(5)四輪電動カートの製作
生産技術科 池田 結、大西 和也、刈谷 帆、小松 弘員
(指導教員:宮西 大輔)
(6)振り子時計の製作
生産技術科 畠山 湧、長岡 壮平、植田 光、松岡 昇吾
(指導教員:真鍋 佳樹)
・・・・・・・・・ 26
(7)モノづくりフェスタ受付システムの構築
電子情報技術科 古谷隆之介、和田 拓也、川田 隆誠
(指導教員:小松 一美)
(8)変光式目覚まし時計の製作-光と音で起床を支援するディジタル時計
電子情報技術科 飯塚 祐太、高橋 秀明
(指導教員:吉岡 誉吏)
・・・・・・・・・ 20
・・・・・・・・・ 28
・・・・・・・・・ 30
・・・・・・・・・ 32
専門課程 総合制作実習/共同研究 研究発表の部 10:00~12:45 (会場:小研修室)
(1)階段軸の高性能化に関する研究~モルタル充填鋼管の耐力変形推定式~
四国職業能力開発大学校 住居環境科 越智 隆行
株式会社 三立鉄工 代表取締役 社長 上原 忠
香川大学工学部安全システム建設工学科 教授 松島 学
(2)災害に備えた避難所スペースの有効活用に関する提案-Cubic Room-
住居環境科 澤田 陽史、橋本賢明、藤本雄登、渡邊泰輝
(指導教員:齋藤 慎一郎)
(3)新設コンクリートの強度推定に関する検討
Examination of Compressive Strength of NewConcrete Structures
・・・・・・・・・ 36
・・・・・・・・・ 38
・・・・・・・・・ 40
住居環境科 貝塚 真国 曽根 優人 藤澤 輝城
(指導教員:磯野 重浩)
(4)平成25年度 建設機械製造業における「職業能力の体系」の整備等に関する調査研究 ・・ 42
職業能力開発総合大学校 基盤整備センター開発部
調査研究室 江面 美智雄
(5)「ものづくり体験」イベントへの取り組みについて
~学科の特色を活かしたテーマ策定~(実践報告)
高知職業能力開発短期大学校 電子情報技術科 高本 浩司
(6)安全衛生教育を考える
高知職業能力開発短期大学校 生産技術科 丹 敦
・・・・・・・・・ 44
・・・・・・・・・ 46
(7)バドミントン練習用ノックマシン開発に係るシャトル射出メカニズムの研究 ・・・・・・・・・ 48
四国職業能力開発大学校 生産機械システム技術科 池本 和夫 生産電子情報システム技術科 千知岩 浩一、下釜 洋一
生産技術科 穴田 悦生
電子情報技術科 鳥谷部 太、中山 伸一
株式会社 都村製作所 代表取締役会長 都村 尚志
応用課程 開発課題
研究発表の部
NC フライス盤精度計測装置の開発
四国職業能力開発大学校
生産機械システム技術科 ○木下研吾 岡部友治 片山裕貴 葛原圭祐 辻恵太
生産電子システム技術科
中川富雄 湯川修平
生産情報システム技術科
松岡智彦 山岡聖卓
1. 目的
2-2 設計仕様
現在工作機械の精度を評価する方法は、静的精度
を評価するレーザー測長法と動的精度を評価する円
装置の目標とした仕様を表 1 に、測定プロセスを
図 2 に示す。
運動試験法が主に用いられている。しかし、いずれ
の方法も実際の運動経路の誤差評価の挙動に対して、
十分な計測・評価が可能ではない
1)
。そこで、実際
の 2 次元平面のおける運動経路の誤差の挙動が評価
できる装置の開発を行うことで、加工現場における
工作機械の保守・保全に貢献することを目的とした。
本課題は、安川マニュファクチャリング株式会社技
術員様から提案された課題である。
2. 課題概要
表 1.装置仕様
構成
装置寸法(mm)
材料
装置質量(kg)
最大稼働範囲(mm)
計測精度
計測最大速度
通信方法
通信速度
2-1 システム構成
機械
今回、製作した NC フライス盤計測システムでは、
NC フライス盤等の NC 工作機械の 2 軸(XY 軸)の運動
電子
精度を評価する本装置は NC 工作機械 2 軸の運動経路
をリニアエンコーダで検出し、シリアル通信で PC
情報
計測部 制御部 離別型
310×457×140
SS400
17(計測部)
200×200
1μm
600mm/min
シリアル通信
230.4Kbps
•工作機械の2軸(X-Y軸)の位置をリニア
エンコーダで検出。
•シリアル通信により位置データをPCに送
る。
•シリアルからのデータを取得し、運転経
路を描画する。
(Personal Computer)に 230.4Kbps の速度で送信する
図 2.測定プロセス
2)
。そして、PC 上でリニアエンコーダから送られて
きた運動経路と基準である指令経路を比較し、NC 工
2-3 本年度の達成目標
作機械の精度評価を可能にする。図 1 にシステム構
成を示す。
本年度の目標は計測装置のプロトタイプとして
NC フライス盤の円弧運動及び直線運動の計測が可
能な装置を開発する。
3. 動作説明
①計測部を NC 工作機械に取り付ける。次に、主軸に
丸棒を取り付け、リニアブッシュに丸棒を深さ
20mm 程度で差し込む。その後、NC 工作機械に円形、
矩形のプログラムを送る。プログラムの動作につ
いては、指令経路を確実に計測するために、それ
ぞれの図形を 1 周描くプログラムにする。
②PC 上の計測条件設定画面で、シリアル通信に使用
する通信ポートとそのボー・レートを設定する。
描画対象と送り速度の情報を与え、計測できる環
図 1.システム構成
−2−
境を整える。
③PC に配置したシリアル通信「接続」ボタンを押し
た後、NC プログラムを起動して NC 工作機械が動
き始めると、制御部は自動でパルスデータを取得
KE-55
Makino
Machine Tool
する。
Feed rate
④NC 工作機械が指定した運動を終了したら、PC に配
600mm/min
Gain Points
置したシリアル通信「切断」ボタンを押し、シリ
500,000
図 4. 円運動経路の計測例
アル通信を切断する。自動で計測日時を取得し、
それをファイル名とし計測データを保存する。
⑤CSV ファイルに保存したデータを読み込み、画面
上で表示する。数値(中身のデータ)は相対値か
ら、絶対値に変換し、画面上に実際の運動経路を
KE-55
Makino
Machine Tool
描画する。
Feed rate
4. 計測例
600mm/min
Gain Points
4-1 完成装置
500,000
図 5. 矩形運動経路の計測例
本課題で製作した測定装置を図 3 に示す。
4-2 円運動経路の計測例
円運動経路(R50.)を送り速度 600mm/min で計測
した。図 4 に計測例を示す。
KE-55
Makino
Machine Tool
Feed rate
4-3 矩形運動経路の計測例
600mm/min
Gain Points
矩形運動経路(100.×100.)を送り速度 600mm/min
100,000
図 6. 二軸間の直角度の計測例
で計測した。図 5 に矩形運動経路の計測例を示す。
5. まとめ
4-4 二軸間の直角度の計測例
今回のシステムでは、リニアスケールを XY 方向に
5-1 本年度の成果
今年度に立てた目標として以下のことを達成する
直交させて使用しているため、その XY 座標を解析す
ることで直角度を求めることができる。原点から次
ことができた。
の指令座標(X50. Y50.)に直線補間を行った計測例
①円運動だけでなく、矩形運動等の直線運動も計測
できる機構の装置の製作
を図 6 に示す。
②インターフェースを用いた位置データの取得
Spindle
Liner Guide
③インターフェースと PC 間の通信
④円及び直線運動経路の描画
5-2 今後の課題
Liner Bush
今年度得た成果より今後の課題として、
①真円度及び直角度の精度評価
②バックラッシ及び反転スパイク等の観察
の 2 項目を上げる。
Liner Encoder
Liner Scale
【参考文献】
1)垣野義昭:DBB 法による金型加工用工作機械の精度
チェック、型技術、第 11 巻(2004)、P.22
2)http://armadillo.atmark-techno.com/armadillo-revisionVisual
株式会社アットマークテクノ
図 3. 測定装置
−3−
石膏モデルの研削作業支援装置の開発
四国職業能力開発大学校
生産電子システム技術科
○福岡 稜也,櫻田 国孝
1.はじめに
本課題は、橋本義肢製作株式会社(以下橋本義肢と
表示)との共同開発テーマである。義肢製作の現場で
は、次にあげる3つの点を支援できるシステムの開
発が望まれている。
・工程において、手間と技能を要する作業
・対象者一人ひとり異なる要求事項への迅速な対応
機構部
・作業に携わる職人の高齢化に伴う技能伝承
図2
昨年度の全体構成
中でも、図1に示すような石膏モデルの加工につ
いて着目した。この作業は、石膏モデルのバイスへ
LCD
の取付け、計測のための取り外し、計測後バイスへ
の再取付け作業は、労力を要するとともに、その位
置の再現性に問題を抱えている。本課題では、石膏
モデルハンドリングの簡素化と、定位置再現性シス
テムを装備する「石膏モデルの研削作業支援装置の
開発」に取り組むことを目的とした。
出力ボタン
昨年度では全体構成が図2のようになっており、
機構部と制御盤が分かれているため機器の移動がし
づらく、機構部を固定するために現場の作業台にね
じ穴を開ける必要があった。また、操作性にも問題
ジョグダイヤル
があった。ロールを回転させる場合、コンソールの
ジョグダイヤルを回してから出力ボタンを押す手順
図3
昨年度のコンソール
となる。このため、ジョグダイヤルと石膏モデルの
動きが同時でなく、ロールの角度調整がし辛かった。
表1
なお、コンソールを図3に示す。
今年度では制御盤と機構部を一体化するとともに、
ジョグダイヤルと石膏モデルが周期して回転するよ
うに制御した。なお、機構部の仕様を表1に示す。
バイス
仕様
回転速度
180°/sec
ロール範囲
360°
分解能
0.1°
ピッチ範囲
±45°
電源
AC100V
機構部重量
90kg
2.全体構成
全体構成を図4に示す通り、現場の作業環境を変
ヤスリ
更しないようにするため、機構部と制御部を一体化
した。これにより、スペースがあれば簡単に設置が
可能である。ロールはモータにより制御し、角度変
更を行う。ピッチは、機構下層部のハンドルを手動
石膏モデル
で制御し、角度変更を行う。筺体にはアルミフレー
ムを使用し機構部が乗っても十分に支えられるよう
図1
石膏モデルの加工
計算した。天板は機構部の重さで歪むことがないよ
うに、厚さ10mmのものを使用した。
−4−
F
EL
PS
F
PLC
350
CB
漏電用
遮断器
サーキット ヒューズ パワー
サプライ
ブレーカ
端子台
ハンドル
850
コンソール
図7 機器配置図
図4
全体構成
4.コスト
3.制御システム構成
図5に制御システム構成を示す。ロールはコン
ソールで操作しピッチはハンドルで操作する。ジョ
コストを表2に示す。なお、予算は20万であ
る。機構部は現状のものを使用したため予算には
計上していない。
グダイヤルで回転角を決め、ドライバからの信号を
表2 コスト
コンソール(図6)へ取り込み、現在のロール角を
LCD で確認する。
ピッチはハンドルを回して、変更する。ピッチ角
筺体部
制御・操作部
総計
においても LCD で確認する。研削作業中は、ブレ
ーキによりロール用のモータを機械的に止め、安全
総計
¥101,390
¥92,352
¥193,742
に配慮した。なお、図7に機器配置図を示す。
5.おわりに
図5
ロール角用
LCD
制御システム構成
筺体部と機構部を一体化することにより、機器
の移動がしやすくなった。さらに、ロールやピッ
チの回転、角度の表示により、作業者が石膏モデ
ルの加工をしやすくなると考えている。現在、ロ
ールの角度の機能についてソフトウェアの修正を
行っている。
一方、石膏モデルの加工が行われている作業場
で使用される液状の石膏、研削時の粉塵などの防
泥・防塵対策がとれていない。改善案として機構
部にシーリングを施す、コンソールにカバーを用
いることを考えている。
ピッチ角用
LCD
ジョグダイヤル
図6
コンソール
−5−
にんにく仕上げ機の開発
四国職業能力開発大学校
生産機械システム技術科 池地 良介
岡田 吉容 尺長 弘樹 浜田 晃吉 藤原 敏晃
生産電子システム技術科 角南 知巳
長江 大助 和田 亮嗣
生産情報システム技術科 石原 誠
大野 峻平 金久 俊喜 松尾 智仁
1.はじめに
3.2 皮むき部の改善
ブラシを回した時の振れをなくすため回転軸にベ
本課題は、野菜の工業用洗浄機・選別機などの総
合メーカから開発を依頼された。香川県はにんにく
アリングを設け、にんにく側面の皮をむくためにオ
リジナルブラシを設計した。その構成を図 2 に示す。
の生産量全国 2 位を誇り、年間約 600 トンを生産し
ている。にんにくの仕上げ処理を自動化して、作業
者の負担軽減と処理個数の増加に貢献する。
2.装置の概要と開発方針
仕上げ装置は根切り・茎切り・皮むきを一つの機
械で自動化する装置である。検証装置はサイズ分け
図 2 皮むき部の構成(改善後)
と根切りの検査を行う装置で、仕上げ処理の精度も
検証・評価をする。本年度ではこれらの機能を改善
3.3 検証装置の改善
CCD カメラによる撮像環境を改善してサイズ判
して処理能力の向上を目標としている。
定の成功率や仕上げ処理の評価精度を向上した。仕
3.仕上げ・検証装置の開発と改善
上げ装置と一体化させ自動でサイズ別に分別できる
仕分け装置にした。
3.1 根切りおよび茎切り部の改善
根切り部の AC モータを 42 角のモータから 60 角
3.4 撮像部の設計・製作
に変更することで回転数とトルクを上げて根切りの
にんにくのサイズ、根が除去できているかを判定
精度を向上し、ステッピングモータをトルクの高い
するカメラ 1 台と、にんにくに変色などの異常がな
ものに変更した。その改善点を図 1 に示す。
いか検査するカメラ 2 台を仕上げ装置に直接取り付
けた。新規に設計・製作した撮像部を図 3 に示す。
図 1 根切り部および茎切り部の構成
図 3 カメラ 3 台を取り付けた撮像部
−6−
からにんにくを撮影して OpenCV を使いにんにく側
3.5 その他の改善
仕上げ装置でむき出しになっている制御部を外部
面に変色などの異常がないかを判定している。
撮影したにんにくのサイズを比較した相関図を図
から保護するため、開閉可能なカバーの設計・製作
4 に、撮影したにんにくの判定結果を図 5 に示す。
をした。
回転テーブルの材質をアクリルからアルミに変更
して剛性を向上させた。
にんにくの仕上げ処理後、装置の下にゴミや塵な
どが散乱しないようトレイを設けた。
4.撮影部の照明作成
図 4 サイズの比較
画像処理の際に使用する照明を改善するために、
図 5 上面からの判定結果
7.実験結果
可変抵抗の調整で明度を変えることができる照明を
作成した。
開発したにんにく仕上げ装置の処理能力を評価す
るための実験を行った。現段階での仕上げ処理実験
と画像処理実験の大まかな成功率を表 2 と 3 に示す。
5.パラメータの変更
表 2 仕上げ処理実験結果
ロボシリンダのパラメータの変更を行いロボシリ
表 3 画像処理実験結果
成功率
ンダの降下、上昇速度を上げ根切りのタクトタイム
根切り
65%
を 20 秒から 10 秒程度に短縮をした。
茎切り
100%
皮剥き
100%
成功率
サイズ判定
75%
根の判定
70%
6.画像処理
8.おわりに
6.1 ソフトウェア概要
本開発に使用しているソフトウェアを以下の表 1
に示す。
仕上げ装置と検証装置の一体化は完了した。今後
は一体化した装置の成功率を高め、改良を続けてい
表 1 ソフトウェア概要
使用 OS
きたい。実際に一体化したものを図 6 に示す。
Microsoft Windows7
professional
画像処理ソフト
LINX HALCON11
OpenCV2.3
通信開発環境
MX Component Version4
6.2 進捗状況
現在の進捗状況として、上面からにんにくを撮影
して HALCON を使いにんにく表面の最大直径を求
めることとにんにくの根の除去具合を判定し、側面
−7−
図 6 にんにく仕上げ装置と検証装置の一体化
自動搬送装置システムの開発
四国職業能力開発大学校
生産機械システム技術科
廣瀬 建太郎,佐藤 聖仁,松木 基, 三宅 悠介
生産電子システム技術科 ○村崎 大誠,武田 秀和, 森本 康寛
生産情報システム技術科
1
宇高 尚史,小片 章弘,塩谷 東吾,田中 一成,山川 賢
3
概要
搬送装置の構成
本課題では、全方向移動型の搬送装置を設計製
搬送装置は近距離の障害物の検知や、積載物の
作した。また、自動走行させるための走行制御シ
重量を検知し、表示灯で周囲に警告することがで
ステムや装置全体の動作状況を監視計測し、操作
きる。製品化に向けて、安全性やメンテナンス性
する運行管理システムを開発した。
を重視した設計を行った。
搬送装置は、タブレット端末で操作し、指定し
たルートを自動走行する。非常停止ボタンとバン
3.1
パーセンサや表示灯を設置することで安全対策を
搬送装置機構部の構成
ギアボックスを組み立て式にすることにより、
施している。
歯車のメンテナンスや軸の取り外しを容易にでき
るようにした。
2
システム仕様
天板の側面にアルミフレームを固定し、強度や
搬送装置の車体強度や積載重量の向上を図り、
電子部品の取り付け範囲を増やすよう設計した。
許容積載重量の検知機能を搭載した。また、搬送
さらにバンパーセンサにテープスイッチを用い
ることにより衝突検出の範囲と精度を向上させた。
装置の前方を撮影できるようカメラを取り付けた。
表 1 に搬送装置と操作端末の基本仕様を、図 1 に
3.2
搬送装置と自動搬送装置システムの外観を示す。
管理 PC 上で計測制御用の LabVIEW と画像処理
搬送装置制御部の構成
超音波センサを利用して障害物を検知し、衝突
ツールの HALCON を使用して開発した。
を避ける。新たな機能として重量センサを搭載し、
許容積載重量の検知を行う。3 色表示灯を搭載し
正常運転中などの搬送装置の状態を表示する。
表 1 基本仕様
本体(mm)W×L×H
電源
制御装置
無線通信
質量
計測用センサ
画像センサ
センサの値等の PIC マイコンとタブレット間の通
搬送装置
操作端末
760×760×1420 195×117×13.1
バッテリ
内蔵バッテリ
マイコン
Androidタブレット
Bluetooth
Wi-Fi ・Bluetooth
80kg
765g
超音波・ロータリエンコーダ
Wi-Fiiカメラ
信は、Bluetooth 通信を用いた。
図 2 に搬送装置のハードウェア構成図を示す。
図 1 搬送装置と自動搬送装置システム
図 2 搬送装置のハードウェア構成図
1
−8−
4
自動搬送装置システム
自動搬送装置システムは、搬送装置をタブレッ
ト端末で制御しながら自動走行できる走行制御シ
ステムと搬送装置に搭載した各センサを遠隔監視
し、走行制御システムを支援する管理パソコン上
の運行管理システムから構成される。図 3 にソフ
トウェアシステム構成図を示す。
タブレット
操作端末
管理PC
Wi-Fi
運行管理
システム
経路管理
システム
監視計測
システム
図 4 画像処理による距離計測結果
走行制御
システム
5
走行性能テスト結果
設計製作した搬送装置で走行性能テストを行
った。図 5 に走行性能テストの実験結果を示す。
自動操作 手動操作 メンテナンス
システム システム システム
位置や姿勢に誤差が生じ、目標精度内に収まら
なかったが、1m 四方のコースを周回できた。
原因として、電源電圧の変化やタイヤの摩擦に
カメラ
搬送装置
Bluetooth
よる影響が考えられる。
: 移動方向
: 理想値
: 実験結果
1.2
図 3 ソフトウェアシステム構成図
1.0
4.1
走行制御システム
Y 0.8
座
0.6
標
走行制御システムには、タブレット操作端末上
でルートを指定して地点間を移動する自動操作シ
(
ステムと手軽な操作で搬送装置を動かせる手動操
)
m
0.4
出
発
地
点
0.2
作システムがある。また、メンテナンスシステム
0.0
で、車輪の動作確認やセンサ等のメンテナンスに
必要な情報を取得することができる。
-0.2
-0.4
-0.2
4.2
0.0
運行管理システム構成
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
X座標(m)
運行管理システムは、管理 PC に実装され監視
図 5 走行性能テストの実験結果
計測システムと経路管理システムがあり、Wi-Fi
無線 LAN を用いて必要な情報をタブレット上の
6
走行制御システムに知らせる。
まとめ
目標である搬送装置の設計製作と、ルート走行
監視計測システムでは、搬送装置上のセンサや
が可能な自動搬送装置システムを開発することが
カメラから取得した情報をリアルタイムに表示し
できた。搬送装置は、車体の強化をしたため総重
て処理しながら、搬送装置の状態や位置情報を画
量は増加した。
像処理により計測する。図 4 に画像処理による距離
安全対策では、超音波センサの障害物検知や、
バンパーセンサによる障害物との衝突検出で、走
計測結果を示す。
行を非常停止することができる。
経路管理システムでは、地図や走行スケジュー
ル・ダイアグラム等を作成し、タブレット端末上
操作端末での指定コースによる搬送装置の自動
の走行制御システムに送信して自動走行に利用で
走行や管理 PC 上の監視計測システムによる搬送
きる構成にしている。
装置の走行制御が可能なことを確認した。
2
−9−
FCVの開発
四国職業能力開発大学校
生産機械システム技術科 池内海・磯野隆洋・竹崎龍一・福西亮介・藤澤光介・松岡航・三宅浩樹
生産電子システム技術科 小出浩貴・大池達也・久道憲悟
生産情報システム技術科 ○穂積誠也・白石洋介・西岡芳朋・小野寺萌
1.
はじめに
前輪
本課題では、WEM(ワールド・エコノ・ムーブ) 2015
モータ
燃料電池
に参加する FCV(Fuel Cell Vehicle)の設計・製作を行
う。FCV とは空気中の酸素と水素ボンベから供給さ
キャパシタ
れる水素を化学反応させ、発生する電気エネルギー
を使用しモータを回転させて走る車両のことである。
図2 車体モデル
3.2.
スクリーン
スクリーンの成形にバキュームフォームを使用し
た。これにより車体の形状に合わせたスクリーンを
作ることが出来、空気抵抗を小さくする事ができた。
3.3.
図1 FCV イメージ図
後輪操舵
後輪操舵を採用し、小型化をはかった。昨年度は
2.
WEM とは?
前輪だけで操舵をしたが、油圧を利用し前輪を一定
角度以上傾けると、連動して後輪も操舵するように
WEM は鉛蓄電池部門と燃料電池部門があり、大
設計した。
会側の支給するバッテリ又は水素燃料をエネルギー
源とし、2 時間以内での走行距離を競う競技である。
4.
車体製作
5 月に参加した WEM2014 の結果は 2 位だった。
この結果を踏まえ、今年度は WEM2015「燃料電池
4.1.
マスター型・雛型の製作
ベニヤの板を配置し、隙間に発泡材を詰めベニヤ
部門優勝」を目標とし、製作に取組んだ。
板に沿ってやすりを使用し形を整え完成したマスタ
3.
ー型を図 3(上)に示す。ゲルコートを塗布し、雌
設計方針
型の剛性を高めるためガラスクロスなどを 12 枚積
3.1.
層する。積層後の雛型を図 3(下)に示す。
車体設計
車体製作をプリプレグ成形にすることによって完
全モノコック化ができる。それにより車体を軽量化
することができ、転がり抵抗を低減できた。キャノ
ピーを取り除くことで流線形にした。また、前年度
よりも前面投影面積を約 4%減らし、空気抵抗係数
を 10%減、車体重量半分域にする事で、走行距離が
約 8km 向上するように設計した。図 2 に車体モデル
を示す。
− 10 −
図3 マスター型(上)積層後の雌型(下)
4.2.
6.
製品積層
走行支援
離型処理し、内側にプリプレグを積層した製品積
2 年目である今年度は、WEM2014 での反省点より、
層を図 4 に示す。雛型に積層した製品を電気炉に入
「走行支援」
「水素管理」
「故障発見」
「操作訓練」の
れ焼き固める(キュア処理)。
4 つの観点から「支援システム」を開発した。
6.1.
図4 製品積層
走行支援
昨年度開発した「走行スケジュール支援」の改良
5.
電装部
に取組んだ。
「走行スケジュール支援」とは、走行中
の車両の状態を把握し運転者に適格な走行指示を支
全体構成図を図 5 に示す。燃料電池から安定した
電力の供給を行うために、ファンや水冷システムを
援するシステムである。
6.2.
水素管理
用いて発熱を抑える。燃料電池からの電圧を電源回
水素を完全に消費してしまうとボンベ内の気圧が
路により 24V に変え、電力を供給する。燃料電池の
下がり、空気が入り易くなる。その結果、水素吸着
保護及び水素の消費量を抑えるために、電流制御回
金属が劣化し、最悪の場合は高価な水素ボンベが廃
路により 3A~4A の間で電流を制御し、モータや操
棄となる。それを防ぐために、ボンベ内の水素の残
作部に電力を供給する。
量を把握する為の「水素管理ツール」を開発した。
6.3.
故障発見
過去の不具合経験をデータとして蓄積し、各種部
品などに問題・故障が発生した際、早期発見・解決
を支援するツールを開発した。
6.4.
操作訓練
前年度では、車体が完成するまで満足な走行練習
ができなかった。これを改善するため、いつでも PC
図5 全体構成図
上で走行練習ができ、短期間で操作手順を身につけ
5.1.
電流制御回路
られる「走行シミュレータ」を開発した。シミュレ
電流制御回路とは流れる電流を一定に保ち、水素
ータの画面を図 7 に示す。
消費量を規定内に抑えることができる。回路図を図
6 に示す。この回路を取り入れた事で、電流値を 3
~4A の間で一定に保つことを可能とした。
3A~4A
+
E
C
+24V
-
可変抵抗 定電流 整流
D
D
B
M
図7 シミュレータ画面
7.
図6 電流制限回路図
5.2.
おわりに
2 年目である今年度は、モータの改造など優勝に
モータの製作
トルクを上げることで、モータの性能向上を目指
向けた車両の製作に取組んだ。私たちは参加できな
した。ドライバ回路を含め、検証を進め車体に実装
いが、5 月に開催される大会では目標である「燃料
を行う。
電池部門優勝」の達成を期待する。
− 11 −
装具用シャフトオートベンダの開発
四国職業能力開発大学校
生産機械システム技術科
生産電子システム技術科
生産情報システム技術科
樋本翔、○清水吉彦、西森勇貴、山本晃司
宮川淳、村下薫、上田開斗
澤田尚弥、増田千尋、吉松幹真
1. はじめに
3. センサ部
福祉・機器の一つとして装具がある。装具は治療
センサ部では、装具用シャフトオートベンダの設
を目的としたものから、日常生活動作の補助を行う
計図面から角度・距離を検出することを目的とした
ものまで、さまざまな種類が存在する。本開発では、
アプリケーションの製作を行った。
装具の部品を作るための装具用シャフトオートベン
実験として Design Spark で 2 箇所曲げる図面を作
ダを開発することを目的とした。シャフトオートベ
成した。図面を読み取ることにより曲げる角度と距
ンダで製作する部品は、体を固定する装具の部品同
離を算出するアプリケーションを作成した。アプリ
士をバランスよく固定する金具である。ねじれが起
ケーションで算出する角度と距離の場所を図 2 に示
こらないことが条件である。
し、実験から算出した計算結果を表.2 に示す。
2. シャフトオートベンダの構成
全体仕様を表1、全体構成を図1に示す。
算出した角度を、制御部にて計算しモータ制御を
行う。モータは機構部の曲げ部と接続され、計算さ
れた力にてシャフトを曲げることが可能である。本
図 2. 算出する角度と距離
開発にて使用したジュラルミン製シャフトは 1200N
表 2. 曲げ角度の計算結果
で曲がることを予備実験で確認した。
1箇所(°)
2箇所(°)
図面の角度(°)
計算結果 送信データ 計算結果 送信データ
10
9.9
10
9.7
10
20
20.2
20
19.7
20
30
31.0
31
30.2
30
40
40.9
41
40.3
40
50
50.7
51
50.3
50
60
60.6
61
60.3
60
70
69.8
70
69.8
70
表 1. 全体仕様
寸法
質量
供給電源
550x550x860(mm)
60(kg)
単相 100(V)
ジュラルミン
曲げる部材
(高さ 5mmx幅 16mm)
最大曲げ角度
上下 45(°)
最短曲げ長さ
40(mm)
各角度の算出した値を計算結果の欄に示す。ロー
タリエンコーダが 1 未満の数値に対応してないので
小数点第 1 位を四捨五入した値を PLC に送信する。
理論値と送信データを比較すると誤差は 1 度以下と
なった。今回の検証で 2 箇所の曲げ角度算出までは
できた。
表.3 距離の計算結果
1箇所(mm)
2箇所(mm)
図面の角度
paint.netで確認
計算結果 送信データ 計算結果 送信データ
(°)
した値(mm)
58
10
55.6
56
58.0
58
68.3
20
66.7
67
68.5
69
50.2
30
49.2
49
50.3
50
49.5
40
49.2
49
49.8
50
59.3
50
59.4
59
60.1
60
59.5
60
59.4
59
59.8
60
59.5
70
59.6
60
60.3
60
図 1. 全体構成
11
− 12 −
4. 制御部
6. 予算実績
供給電源は単相 100V を使用する。センサ部から
予算と実績については、下表の通り各科予算内で
PLC まではシリアル通信を使用し、センサ部から求
収まった。情報科では当初購入予定であったソフト
められた値を PLC に送信する。モータに取り付けた
ウェアをオープンソースのソフトウェアに代用する
ロータリエンコーダの値が送られてきた値になるま
ことで、予算を大きく抑えることができた。
表 6. 予算実績
で回転させ加工を行う。
表 4. 制御盤の仕様
5. 実験
7. 開発日程
実際に使用する曲げ角度を 45°以下と仮定した。
開発日程は、ほぼ予定どおり完了した。実績を
スプリングバック量の確認のために板材を 10°、
表 7.に比較し示す。
20°、30°、40°と曲げる角度を変え動作実験を行
表 7. 開発日程
った。結果を図 3.に示す。
作業工程(月)
設計
部品加工
組み立て
プログラム作成
制御部作成
組み立て調整
評価
4月 5月 6月 7月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
8. おわりに
本開発において、センサ部は作成した図面から 2
図 3. スプリングバック量
箇所曲げ部を算出できた。制御部は与えられた値通
表 5. 曲げ角度とスプリングバック量
りにモータを制御することができた。機構部は送り
部と曲げ部の必要な動作が実験により確認できた。
今後の改善点としては以下の 2 点をあげる。
①センサ部において、距離と角度の算出時に誤
差が生まれた部分を補正する。また、円弧を有す
る直線の曲げ部を算出できるようにする。
この結果を元に、必要な曲げ量に対してスプリン
②機構部において固定部の強度アップを行い、自
グバック量を考慮した曲げの指示が出せる計測ソフ
動化を行うこと、およびメンテナンス性を考慮した
トウェアを製作した。連続で上下曲げ加工を行った
設計とする。
結果は図 4.の通りとなった。
本開発を進める内に経験した問題点や改善発想の
手法など、今後のものづくりに活かしていきたい。
図 4.上下曲げ結果
12
− 13 −
モバイル連携による CE 業務支援システムの開発
四国職業能力開発大学校
生産情報システム技術科
○細川 裕司, 楠目 悠平, 市川 魁秋, 舛市 優司
jQueryUI, jqPlot)
1.はじめに
本テーマでは、プリンタやコピー機などのオフィ
ス機器の販売・保守を行う企業の「CE 業務支援シス
テムの開発」を行う。現行、CE 保守業務の受付記録・
保守内容記録・伝票印刷等におけるデータ管理は自
動化されていない。本開発では、顧客先での保守内
容をインターネットに接続したモバイル端末で入力
し、社内の一元管理されたデータベースにリアルタ
イムに反映することで業務の効率化を図る。レスポ
ンシブデザインで各種端末に対応する Web アプリケ
ーションとすることで保守を容易にしている。
昨年度に社内システムおよびモバイル端末用アプ
リケーションの部分的プロトタイプが構築されてお
り、今年度は、顧客先での伝票出力機能の追加、未
図1
実装ページの製作、ユーザインターフェースの改善
に取り組み、実運用を目指した。
保守業務フロー
3.開発成果
2.システム概要
3.1 保守記録の改善
(モバイル端末)
CE が顧客先での保守記録を行う際、再訪問予定・
2.1 業務フロー
図 1 に保守業務フローを示す。
交換予定部品・受注部品の登録機能を追加し、ユー
顧客から保守依頼を受け、受付担当者が①受付登録
ザの要求データを完備した。また、印刷ボタンを追
を行うと CE に②自動的にメールが送信される。CE
加し、3.2 の伝票印刷に対応させている。
はモバイル端末で③受付記録を確認し保守作業へ向
図 2 に保守詳細ページを示す。
かう。保守作業後はモバイル端末で④保守記録を行
い、⑤モバイルプリンタに伝票出力する。社内では、
何時でも保守データの確認および Excel ファイル出
力が可能である。なお、③受付記録確認時には、定
期訪問データの確認も行える。
2.2 開発環境
表 1 に開発環境を示す。
表1
開発環境
Web サーバ
Apache
データベースサーバ
SQL Server2008
Web アプリケーション
PHP ・ HTML5 ・ CSS3
JavaScript( jQuery, Ajax,
図2
− 14 −
保守詳細ページ
3.5 jQuery を利用した集計グラフ
3.2 伝票印刷 (モバイル端末)
(社内運用)
CE が訪問先でモバイル端末からモバイルプリン
社内運用として、保守作業を行った製品のメーカ
タへ Wi-Fi 通信で伝票印刷を行う。3.1 の保守詳細ペ
ー別集計表と、各社員の訪問件数などの月別実績表
ージの印刷ボタンにより、データベースからの保守
のページを作成した。データを見やすくするため、
記録データが HTML で出力され、プレビューを経て
jQuery(jqPlot)を利用したグラフ表示をしており、
印刷される。図 3 に伝票印刷の例を示す。
スクリーンの幅に応じて縦棒グラフや横棒グラフに
切り替わる。図 6 にメーカー別集計表のグラフ表示
例を示す。
図3
伝票印刷の例
3.3 保守記録データ出力 (社内運用)
図6
メーカー別集計グラフの例
保守詳細ページにおいて、データベースから保守
記録データを Excel 出力する機能を作成した。
3.6 マスタ管理の改善
図 4 に Excel 出力例を示す。
(社内運用)
マスタ管理に役職マスタを追加し、ユーザ権限を
管理することで、各ページの閲覧・編集の権限設定
を可能にした。
4.開発日程
開発日程を表 2 に示す。予定に対して矢印が実績
であり、ほぼ予定の日程通りに進めることができた。
表2
図4
開発日程
保守記録データの Excel 出力例
3.4 定期訪問管理 (社内運用)
定期訪問先ユーザ一覧ページの追加ボタンから、
定期訪問登録ページを経てデータベースに登録する。
図 5 に定期訪問先ユーザ一覧ページを示す。
5.おわりに
本テーマの開発目標に沿って、モバイル端末およ
び社内管理の全体システムを通して機能の充実を図
ることができた。今後は、社内テストから実運用に
進める予定である。現在、モバイル端末を利用した
業務システムが数多く見られるようになっており、
本開発経験を今後の業務に活かしていきたい。協力
図5
定期訪問先ユーザ一覧ページ
いただいた企業に深く感謝申し上げます。
− 15 −
MEMO
− 16 −
専門課程 総合制作実習
研究発表の部
加工材選別機の製作
四国職業能力開発大学校
○内田憂紀・三谷勇統・宮本健司
生産技術科
1. はじめに
3. 全体の構成
本機は、ワーク供給部、高さ判別部、排出部、
近年、生産現場では顧客のニーズの多様化に合
移送部、仕分け・収納部から構成されている。
わせて多品種小ロット生産が行われている。その
ため生産ラインは、部品の供給や検査等の各工程
に応じた作業ユニットで構成されており、それら
3.1
ワーク供給部
を変えることにより多品種の生産に対応している。
ワークを 8 個ストックし、2 本のエアシリンダ
そこで今回、材質や高さの異なる機械加工材(ワ
を交互に動作させ次のワークの流出を防いでいる。
ーク)を選別することを目標に作業ユニットであ
ワークの詰まりを防ぐため、接触面を小さくする
る本機を製作した。
ようにすべり板を貼り付けた。
2. 概要と仕様
3.2
高さ判別部
2 本のシリンダを並列に配置し同時に動作させ、
ワーク高さによるロッド押し出し長さの差を利用
本機は、シューターにより供給された 3 種類の
ワークを 1 分間に 4 個、選別・仕分け・収納する
して、高さを判別する。
機能を有している。
ワークの移送には、ベルトコンベアを使用し、
3.3
順次送られて来るワークを各種センサで判別した
排出部
公差外のワークを排出し、次の工程に進まない
後、公差外の物は排出し公差内に収まっている物
ようにする。
は材質ごとに仕分ける。
図 1 に選別機の全体図と表 1 に基本仕様を示す。
3.4
移送部
公差内のワークをベルトコンベアで仕分け部に
仕分部
供給部
移送する。
3.5
仕分け・収納部
光電センサと近接センサを用いて材質と色を認
識させて仕分け、3 か所の収納部へ移送する。
移送部
判別部
4. 試作
図 1 選別機の全体図
表 1 基本仕様
4.1 高さの判別
機械寸法
L500×W450×H300
機械加工材(ワーク)
アルミ・樹脂
選別能力
4 個/min
コンベア速度
2.3m/min
φ30、H18~22
2 本のシリンダスイッチの位置をずらすことで、
ワーク高さの判別ができるかどうか試作をして調
べた。シリンダスイッチから発生する電気信号の
組み合わせで、高さの違いを検知できることが分
− 18 −
かった。図 2 に高さ判別部を示す。
新たに製作した。コンベアのベルトの長さは、3
次元 CAD を用いて求めた。図 4 に移送部を示す。
シリンダスイッチ
図4
図2
高さ判別部
移送部(ベルトコンベア)
5.2 製作
ワーク供給部は、小型プレスで曲げ加工をした。
4.2 ワークの供給
コンベアの部品は、汎用フライス盤で加工し、薄
高さ判別中のワークが、次のワークに押されて
板で複雑な形状の物は、レーザ加工とワイヤカッ
浮きあがり、正確な高さ判別が行えないことが懸
ト加工で製作した。加工数を減らすため、コンベ
念された。試作を行い、ワークストッパ用シリン
アのベースはC型材を用いた。
軸周りは、位置決め精度が要求されるので慎重
ダと供給用シリンダの動作のタイミングを調整す
ることでこの問題が解決できることを確かめた。
に加工した。
図 3 にワーク供給部を示す。
6. 制御
図 5 に本機の動作の流れを示す。
ワーク供給
運転開始
高さの判別
移送
ワーク排出
図3
色の選別
ワーク供給部
仕分け・移送
5. 設計・製作
5.1 設計
収納
本機の製作にあたり、全行程の軸になる移送部
図5
(べルトコンベア)を基準に各ユニットを配置し
動作の流れ
て全体の大きさを決めた。
この配置をもとに各部の詳細設計を行い、
7. おわりに
AutoCAD と 3 次元 CAD を用いて図面化した。ベル
今回、専門課程で学んだことを活かし、材料選
トコンベアは、既存の物やオーダーメードの物の
定、設計、製図、加工を実際に行ったことで、製
活用も検討したが、ワークの大きさに比べて長す
作に必要な一連の工程を学ぶことができた。
ぎて、仕分けに要する時間に無駄が生じるため、
また、作業を分担することで責任感が養われた。
− 19 −
搭乗型多脚歩行ロボットの制作
四国職業能力開発大学校
生産技術科
荒井翔吾・幸内雅弥・○平川湧太
1. はじめに
搭乗型多脚歩行ロボットの制作を通し、設計から
加工、組立まで、ものづくりの一連の技術力を身に
付けることを目的とする。また、加工の際にはレー
ザ加工機やワイヤ放電加工機、マシニングセンタ、
汎用旋盤、汎用フライス盤と多種の加工機を使用す
ることでそれらの加工技術の習得も目的とする。
このテーマは、2 年目の取り組みとなるが、前年
度の問題点を改善させるため、設計から見直しを行
図 2 テオ・ヤンセン機構の動作
った。
2.
3.
概要
設計変更
3.1 前年度からの改善
搭乗者がコントローラで操縦でき、左右の足を
別々に駆動させることで前進だけでなく旋回、後退
が可能なロボットを製作する。
まず、一番重要となる脚部分に着目し、いくつか
の変更を行った。
脚部の関節を、図 3 に示すようにボルトで固定し
今回設計した全体像(3DCAD モデル)を、図 1 に示
す。
ていただけだったので、動作を続けているとボルト
が緩む恐れがあったが、カラーを取り付けることに
よって、脚部がスムーズに動作するようにした。
図 1 全体像(3DCAD モデル)
多脚型歩行ロボットには、テオ・ヤンセン機構と
いうリンク機構を用いる。この機構は、左右の脚部
にそれぞれ固定された軸があり、シャフト部の回転
図 3 前年度の脚部とシャフト
運動が揺動運動に変わるものである。この機構の動
作を、図 2 に示す。
軸上で脚部パーツが前後にずれ、ガタが発生して
これら脚の状態が多数重ねることにより、上下の
揺れを少なくした歩行が可能になる。
いたため、C リングで位置決めをすることにより、
− 20 −
4.
ガタを少なくした。
加工
回転軸にベアリングを使用していなかったため、
摩擦による負荷の軽減対策として、ベアリングを取
4.1 レーザ加工
脚のリンク部は同一形状のものが多いため、レー
り付け、また、脚部と軸には、樹脂を加工したすべ
ザ加工機を用いて加工時間を短縮した。
り軸受を取り付けた。
上記以外にも、おもしろい機構が特徴なので、そ
高速で加工を行うと、切断面が粗くなる箇所があ
の機構をより見やすくするために脚部のパーツを大
ったので、外径部は中速、穴部は低速にそれぞれ変
きくする工夫も行った。
更することで改善した。
また、ピアシングの際に溶けた金属が表面に飛散
3.2 装置の仕様
してしまうことがあり、ピアシング時のレーザ径を
イベントでの使用を予定しており、搭乗者は小学
校低学年の子供に限定し、9 歳児の平均体重 30kg よ
小さくし時間を短くすることで解決したが、切り始
め、切り終わりの部分が少し抉れてしまった。
1)
り少し増やし、積載重量を最大で 35kg とした 。表
1に装置の仕様を示す。
表 1 装置の仕様
装置
動力
全長
660mm
全幅
660mm
全高
380mm
本体重量
65kg
積載重量
50kg
DC モータ
12v 337W
モータ回転数
2655min-1
図 5 中速と低速(下)、高速(上)
4.2 その他の加工
シャフト部とシャフト保持部は、穴の直径と位置
モータの出力は 50%に制限し、最大出力が出せる
に精度が必要となるため、ワイヤ放電加工機を使用
負荷以内であれば、モータの主軸回転速度は一定に
し、シャフト保持部にはベアリングを圧入するため、
保たれる。また、トルクは 14.4Nm であり、装置を
マシニングセンタを使用した。
ワイヤ加工では、ファーストカットとセカンドカッ
動作させるのに十分である。
前回は、外部電源を使用していたため、行動範囲
に制限があったが、今回はバッテリーを使用し内部
に電源を設置することで、移動できる範囲を広くし
た。
トの検証を行い、時間短縮のため、部位に応じた加
工を行った。
5.
おわりに
また、配線の見た目を改善するため、既製品の基
設計に時間をかけすぎたため加工・組み立てを行
盤を購入し、リモコンでの遠隔操作を可能とさせた。
う期間が短くなったにもかかわらず、部品点数と加
工方法が多くなり、実際に動作させたときに発生し
た問題点を解消することができなかった。設計で部
品点数を減らす工夫をするか、または効率の良い加
工方法を考えることが必要である。
参考資料
1)
図 4 今年度の制御装置
− 21 −
健康局「平成 24 年国民健康・栄養調査報告」
ET ロボコンにおける取り組み
四国職業能力開発大学校
電子情報技術科
西河僚平
1.はじめに
吉田椋
金井優太
スタイムを減算することで算出されるリザルトタイ
ムで順位が決まる。モデルの審査は見易さ、正確さ、
ET ソフトフェアデザインロボットコンテスト(通
理解性によって決まる。
称 ET ロボコン)とは、社団法人組込みシステム技
今年度の中四国大会ではリザルトタイムが 1 位と
術協会が主催するレゴ社 MINDSTORMS を用いた組
なり、優勝をすることができた。また、モデルでは
み込みソフトフェア技術を競うコンテストで、UML
入賞できなかったものの審査員からの高い評価をも
等で分析・設計したソフトウェアの技術を競うもの
らうことができ、総合準優勝を獲得することするこ
である。ET ロボコンの大会には 2 部門 3 クラスがあ
とができた。
る。大会は「ロボット走行システムのソフトウェア
図 2 は ET ロボコンの総合で準優勝、競技で優勝
設計モデル評価」と「ロボット走行性能(タイムレー
した時の記念写真である。惜しくも全国大会に出場
ス)」の 2 つの側面の審査があり、両方で得た得点の
することはできなかった。
積で総合評価が決定される 1)。
全国大会のリザルトタイムランキングを見ると
本報告は、今年度の大会結果と後輩に継承するた
IN コースでは 15 位、OUT コースでは 14 位と全国
レベルの成績を残した。全国のリザルトタイムラン
めの取り組みについて報告する。
キングを図 3 に示す。
2.今年度の大会結果について
チーム名:PCSEIT で、中四国大会のデベロッパ
ー部門プライマリークラスに今年度、4 回目の出場
をした。昨年度は走行部門 3 位に入賞した。
今年度のコースと競技で使用した 2 輪型倒立振子
ロボット(以下、走行体:NXTway-GS)を図1に示す。
図 2 大会の参加メンバー
広島県福山市の福山大学で開催される 7 回の技術
教育・独自勉強会や、組んだプログラムを実際のコ
ースで走らせることのできる試走会を 2 回、4 年間
図1
2014 年度大会コースと走行体
参加してデータを集めてきた先輩方の積み重ねのお
走行性能はベーシックコースをゴールした時の走
行タイムと難所をクリアすることで発生するボーナ
かげである。さらに、今年は中国職業能力開発大学
校と合同で試走会を行った。
− 22 −
A 班は、勉強会でも学ぶ順番で、走行法としてラ
イントレースの ON/OFF 制御、各センサの値や走行
体の旋回角度の設定値を重要な要素として指導した。
B 班は、
走行法としてライントレースの PID 制御、
各センサの値、走行体の旋回角度の限界値など PID
の値を重要な要素として指導した。
走行の結果を表 1 に示す。
表 1 走行の結果
A班
グループ
B班
コース種類
IN
OUT
IN
OUT
平均タイム
106.9
113.2
49.7
53.1
コースアウト
7人
10 人
3人
5人
人数
15 人
13 人
表 1 から B 班の平均タイムが速く、コースアウト
図 3 全国リザルトタイムランキング
の数も少なかった。これは、走行法としてライント
レースの PID 制御が重要な要素として考えられる。
3.後輩に継承するための取り組み
PID 制御を理解できたことが分かった。ライントレ
ースの PID 制御を次式(1)に示す。
ET ロボコンは設計したモデルからプログラムを
作成する。しかし、モデルを設計するには
操作量 = K p e + K i ∫ e dt + K d
走行体
de
dt
(1)
制御プログラムを習熟しておかないと困難である。
そのため今回、後輩に継承するため電子情報技術科
4.おわりに
1年 30 名に、3 期の集中実習 8 日間で走行体の組立
からプログラムについて指導した。
私達は 2 年生になってから ET ロボコン学び始め
実習の成果として走行タイムを争う学内の大会を
たが、今回の集中実習で一度、プログラムの作成を
行った。コースは 2013 年度のレプリカコースを使用
しているので、来年はモデルからプログラムを作成
し大会と同様にした。目標を「ベーシックコースを
することができると考えられる。また、今年度の大
40 秒前後で完走すること」とした。A 班と B 班の 2
会に使用したプログラムは、これまでの 4 年間を通
グループに分け走行体は 1 人 1 台とした。1 日目は
して積み上げたプログラムを、各センサなど機能ご
開発環境の構築、走行体の組立、2・3 日目と 4 日目
とにファイルを分割して、修正しやすくするなどの
の前半は大会で配られたサンプルプログラムなどを
工夫をし、継承するひな形を作成した。そして、最
使って制御プログラムの作成、4 日目の後半に学内
大の目標である中四国大会の総合優勝と全国大会で
大会としてタイムを計測した。
の入賞を期待したいと思う。
グループによってプログラムの教える内容を変え
て走行体制御プログラムの要素について検討するこ
1) ET ロボコン 2014 公式サイト
ととした。今回初めて走行体制御プログラムを作成
http://www.etrobo.jp/2014/
する条件の要素として、走行法、シナリオ、センサ
の値、キャリブレーションとした。
− 23 −
Verilog HDL による FAN コントローラの制作
四国職業能力開発大学校
電子情報技術科
1. はじめに
濱田 泰考
までを緑色、20℃以下を青色に点灯させる。モータ
の回転数は 25℃以上で最高回転数、25℃~20℃で最
授業で習うのはほとんどがプログラミング言語に
高回転数の半分で、20℃以下で無回転する課題の内
多くあてておりハードウェア記述言語にはあまり多
容であった。次に今回制作した FPGAFAN のシステ
くの時間をあてられていない。
ムを図 2 に示す。まず PICFAN と同等の機能を実装
させた。さらに LCD 回路、VGA 回路をコントロー
そこで、授業の課題である PIC マイコンによる
FAN コントロールシステム(以下 PICFAN)を FPGA
ルする回路を追加した。また、シリアル通信したデ
による FAN コントロールシステム(以下 FPGAFAN)
ータを PC で受信し、Visual Basic で計測時間と温度
へ作成し直すことでハードウェア記述言語の理解を
をグラフ表示できるアプリケーションを検討した。
深めようと考えた。
2. システム概要
2-1 プログラミング言語とハードウェア記述言語
プログラミング言語とは、CPU に対して動作手順、
動作方法、動作内容などを指示するために用いられ
る言語である。順番に 1 つずつ処理する逐次処理で
ある。
ハードウェア記述言語とは FPGA や CPLD を用い
図1.PICFAN
図 2.FPGAFAN
てディジタル回路を設計や構成するために必要な言
語である。同時に複数を処理する並列処理である。
3. 開発プロセス
プログラミング言語とハードウェア記述言語の書
式は似ているようだが全く異なる言語である。今回
PICFAN を FPGA でハードウェア化するプロセス
はいくつか種類があるハードウェア記述言語の中か
として全て 1 度にハードウェア化するのではなく、
ら Verilog HDL という言語を使用した
入力回路と出力回路を切り分けて開発することを検
討した。入力回路である A/D 変換機能についてはす
でにソフトウェアで実装済みである PICFAN のプロ
2-2 システム概要
図 1 に、授業の課題である PICFAN を示す。課題
グラムを利用して図 3 のように PIC と FPGA のハイ
の概要は、温度センサからアナログデータを受け取
ブリットなシステムを構築し、まずは出力回路の設
り A/D 変換でデジタルデータに変換する。温度情報
計に専念した。出力回路の制作完了後、A/D 変換の
を 7SegLED とシリアル通信で PC に表示させる。ま
コントロール回路を設計し図 4 のように FPGA だけ
た、Full color LED は 25℃以上で赤色、25℃~20℃
のシステムを構築した。特に工夫が必要であったセ
− 24 −
ンサと A/D コントローラ部分を説明する。
ただし、増幅回路を追加したことで測定範囲は
0~50℃となる。A/D 変換より取得したデータを摂氏
温度に変換する式は式(2)のとおりである。
 最大電圧 * 温度データ
 * 100

 A / D変換ICの分解能 
(2)
また今回使用する A/D 変換 IC は MCP3204 であり、
12 ビットの分解能を持つため 4095 段階の電圧値を
表現できる。最大電圧は 5V であり、測定した値を
X とおき式(2)にそれぞれの値を当てはめると式(3)
になる。
 5* X 
 * 100

 4095 
図3 PIC と FPGA のハイブリット構成
(3)
式(3)を計算して少数点を無くすために 100 倍すると
式(4) になる。
X * 12
(4)
式(4)を使用し温度取得した。ただし、ここで得られ
るデータは増幅回路で 10 倍、小数点を無くすのに
図 4 ブロック図
100 倍つまり 1000 倍元の値より大きくなる。この得
温度取得には高精度 IC 温度センサ LM35D を使用
られた値を表示器で表すには各桁を分ける必要があ
した。このセンサは 0~100℃の温度が測定可能で測
る。そのため、桁を分けるためのデコーダを設けて
定係数より 10.0mV/℃という特徴である。つまり測
各表示回路に温度を出力させた。
定可能電圧は 0~1V の範囲ということになる。FPGA
で受け取れる最大電圧は 5V であるため増幅回路を
4. 終わりに
追加した。増幅回路を追加することにより精度が高
い値まで測定することができる。
ソフトウェアで開発する場合とハードウェアで開発
する場合でそれぞれメリット、デメリットがある。
ソフトウェアはプログラムの修正が容易にでき柔軟
性が高いが逐次処理のため機能が大きくなってくる
と処理が遅くなってくる。ハードウェアでは同時に
複数の処理を高速でできるが回路の修正が容易にで
図 5 非反転増幅回路の回路図
きないため柔軟性がない。ただし FPGA を利用する
増幅公式は式(1)のとおりである。
 R2 

1 +
R 1 

ことで柔軟に回路修正ができるためハードウェアの
デメリットである回路修正を補うことができる。
(1)
今回の総合制作を通してより良いシステムはソフ
トウェアとハードウェアの良い点を協調したシステ
R 1 の部分を 10KΩR 2 の部分を 2 つに分けて R 2-1 と
ムだと気がついた。実際開発途中で行った PIC と
R 2-2 とし、R 2-1 を 29KΩ、R 2-2 を 51KΩにすることで
FPGA のハイブリットなシステムが両者の良い点を
10 倍の増幅回路を作成した。
合わせたシステムだといえる。
− 25 −
四輪電動カートの制作
高知職業能力開発短期大学校
生産技術科
池田結、大西和也、刈谷帆、小松弘員
2.1 フレームの改造
1. 目的
形状を変更する必要があったので、フレームの熱
地元企業より、「家庭で使われなくなった四輪電動
間曲げ加工を行い、床面をフラットにした。
また、それに伴い図 3 の位置にアングルを補強と
カートを観光用の乗り物に再利用したい。
」という依
頼をいただいたため観光用四輪電動カートの製作に
して使用した。
取り組んだ。
2. 設計
図 3 フレーム補強
今回提供いただいた四輪電動カートの仕様は以下
の通りである。
最高速度
前進
後進
最小回転半径
使用者最大体重
フレーム追加
バッテリーの位置を変更するため、図 4 のような
表 1 カートの仕様
モーター出力
バッテリー
図4
フレームを追加した。フレームを製作するに当たり、
DC24V 360W×1 個
24V(12V 鉛蓄電池×2 個)
2~6km/h
2km/h
1,450mm
100kg
バッテリーの安定性も考え、アングルを使用した。
2.2 外装製作(フロント、リア)
材質には FRP を選択した。外装を取り付ける箇所
今回は観光用であることから、立って乗る乗り物
の寸法を測定しプラスチックダンボールで型を作り、
としてセグウェイを参考にし、図 2 のような製品を
そこにポリエステル樹脂、ガラスマットを交互に積
目指した。
層し硬化させた後、型から外し不要部分を切断し整
形する。上記手順で、フロント部とリア部を製作し
た。
2.3 組立
図 1 提供車
図 2 イメージ図
型の内側に積層した結果、FRP の厚みの誤差のた
補強等で使用した材料については、表 2 で示す。
表 2 使用材料
品名
配管用炭素鋼鋼管(パイプ)
等辺山形鋼(アングル)
め干渉し、修正する必要があった。そのため不要部
分を整形し組み上げた。
規格
SGP 20A(φ27.2 肉厚 2.8mm)
30×30×3
2.4 試乗会の実施
11 月のものづくりフェスタで試乗会を実施した際、
作業を開始するにあたり、まず提供車を分解し図
体験者の話を総合すると「急ブレーキの際やコーナ
面を作成した。それをもとにレイアウトの検証を行
ーリング時に体が安定しないため危険であり、つい
った結果、床面角度とバッテリーの位置が立って乗
外装に座ってしまいそうになる。」という意見をいた
車するには不適当であることが分かった。
だいた。それらを基に改善を行った。
− 26 −
3.3 外装製作、組み立て
今回の外装製作も前回とほぼ同じ手順で製作した
が、以下の点を改善した。前回と違う点は、型の外
側に積層した。理由として、組み立ての際に寸法が
図 5 仮完成品
目標値に満たなかったため、組み立てられなかった。
このことから、今回は型の外側に積層し組み立て
3. 改善
を行った。型の外側に積層したため寸法が目標値を
試乗会での問題点を解決するため、改善方法を検
討した結果、解決策として急ブレーキや、コーナー
満たしており、組み立ての際にスムーズに組み立て
ることができた。
リング時に体が不安定にならないように足場を広げ
腰掛になるものをつけることにした。それに伴い、
4. 検証
外装を作り直すことにした。
完成したカートに試乗した結果、足場も広がり、
3.1 構造の変更
改善を実行する前に、以前作成したモデルを使用
し、斜めの補強の切断・補強を兼ねた補助フレーム
を取り付けた際の、強度の検証を行った。結果、新
たに補強が必要な場所が見つかったため、図 6 の位
置に追加で補強を入れた。足場確保のため図 7 の補
バランスは取りやすくなったが、コーナーリングに
ついては、追加で対策を加える必要があると考えら
れる。
5. まとめ
強の切断、それによる強度不足を補うため補助フレ
設計から始まり、製品製作・検証までの流れを理
ームの製作を行った。
解することができた。今まで学んだことを生かせる
場面もあったが、それらを応用することの難しさを
感じた。事前の段取りが必要であることを再度、学
ぶことが出来た。
図 6 補強箇所
これらの経験を、就職先でも生かしたいと考えて
図 7 除去箇所
いる。
3.2 フレーム加工
新たに補強が必要になった部分はアングルを接合
した。補助フレームは表 2 にあるパイプを使用し、
ガス火炎による熱間曲げ加工を行った。加工後、歪
みの修正や余分な箇所を切断し、本体フレームに
図 9 完成品
MAG 溶接で接合した。
参考文献
1) スズキ ET4D 主要諸元
http://www.suzuki.co.jp/welfare/et4d/detail/spec.html
2) FRP ボディとその成形法
著者
図 8 補助フレーム取り付け後
出版社
− 27 −
浜 素紀
グランプリ出版
振り子時計の製作
高知職業能力開発短期大学校
生産技術科
○畠山湧、長岡壮平、植田光、松岡昇吾
1. はじめに
3. 設計
1.1 振り子時計とは
3.1 振り子
ガリレオ・ガリレイが発見した振り子の等時性
を応用した時計である。1656 年にクリスティアー
振り子の等時性を活用するため、振り子の長さ
を決める。振り子の長さは式 1 から求める。
ン・ホイヘンスによって発明された。
𝐿𝐿
T = 2π�𝑔𝑔・・・式 1
1.2 目的
振り子時計を製作する上で下記の 2 つの目的を
今回は周期 T を 2 秒に設定した。計算式から振
立てた。
り子の長さを計算すると、L=993.6mm となった。
1.2.1 製作目的
・振り子時計の構造・機械の仕組みを把握し製品
3.2 ガンギ・歯車・ギア比
の設計から製作までの工程を理解する。
3.2.1 ガンギ車
ガンギ車とは、特殊な歯形を持つ歯車で、振り
1.2.2 学習目的
・機械設計手法や 2 次元及び 3 次元 CAD 技術を
子の等時性を歯車に伝える要素である。ガンギ車
習得し、工作機械を使った部品加工の技術・技能
と歯車を組み合わせることで時間を出力する。ガ
を向上する。
ンギ車の歯数を決定することで式 2 から歯車列の
減速比を知ることができる。
1.3 設計仕様
・誤差を 1 日±15 分以内とする。
減速比=
・24 時間動く装置とする。
3600(S)
振り子の周期×ガンギ車の歯数
・部品の製作は基本的に機械加工で行う。
・・・式 2
歯車列の減速比を整数値にしたい。そのため製
・動力源には電気的なエネルギーを使用しない。
作するガンギ車の歯数を 15 枚とした。よって歯車
列の減速比は 120 となった。
2. 振り子時計の構造
振り子時計のムーブメントは振り子、ガンギ車、
3.2.2 歯車列
動力、歯車列、分針で構成される。(図 1)
歯車の減速比は式 3 を用いて計算する。
Z1
Z2
Z3
n2
n4
× Z4 = n1 × n3・・・式 3
式 3 を使って、1 時間で 1 回転にしたいため表 1
図1
全体構成図
のように歯車の歯の枚数を決定した。
− 28 −
表1
歯車列の歯数(枚)と回転数(s -1 )
歯車
1
2
3
4
5
6
7
8
Z
20
80
30
90
20
100
40
80
N
120
30
30
10
10
2
2
1
また、設計仕様である「24 時間動く」を満たす
ために、錘を吊り下げるひもの長さを決める必要
がある。そこで歯車を 2 組追加し、ひもの長さが
振り子の長さ以下になるようにする。さらに追加
した歯車の歯数と回転数を表 2 に記す。
図2
また、追加する歯車は既存部品とし歯数の異な
る歯車を使わないように工夫した。結果 12 時間で
1 周する軸ができ、ひもの長さが 314mm になった。
表2
9
10
11
12
歯数
20
80
30
90
回転数
1
1/4
1/4
1/12
5. 組立・調整
製作した部品とフレームの組み立てを行った。
錘を考慮した歯車列の歯数と回転数(H -1 )
歯車
全体のイメージ
実際に組み立てると、いくつかの問題が出てきた。
5.1 問題点と考察
A.
サイドプレートと軸
サイドプレートと軸が干渉し、それが抵抗に
3.3 動力の設計
一定周期を刻む振り子は、さまざまな影響を受
けいずれ止まってしまう。そこで振り子が止まら
なったために動きが悪くなったと考える。
B.
必要トルクの修正
実物では摩擦や空気摩擦があり、歯車にかか
ないように一定のエネルギーを与える必要がある。
るトルクに誤差が生じたと考える。
今回は電気的エネルギーを使用できないので、製
作が困難ではなくエネルギーの誤差が小さい錘式
5.2 解決策
を採用した。
A.
錘の重量によるトルクについては、Solid Works
の Motion 機能を使って、仮想空間で検証した。仮
サイドプレートの軸穴を大きくすることに
より、ベアリングのみで支えるようにした。
B.
想空間上では重力のみが発生し部品同士にかかる
組み立てた振り子時計に少しずつ錘を追加
する。
摩擦抵抗を無視した状態で検証した。結果、振り
子の周期を一定に保つためにトルクが 1500
6. まとめと今後の課題
(N∙mm)必要であることが分かった。
振り子時計の構造、機械の仕組みを把握し、設
4. 製作
計から製作までの流れを理解することができた。
また、汎用工作機械及び NC 工作機械を使った部
SolidWorks で設計した振り子時計のイメージを
品加工における技能・技術の向上ができた。
図 2 に示す。設計した振り子時計を製作するため、
各部品を図面化した。
今後の課題として、今回の歯車部品は 3D プリ
ンタを使って製作したが、精度を上げるためにワ
製作する部品は加工が容易なものは汎用工作機
イヤカット等を使って歯車の製作をしたい。
械を使い、精度の必要なものは MC を活用して加
工することにした。また、形状が複雑な歯車部品
参考文献
は 3D プリンタを使って製作した。
1) 機械式時計大全
本間誠二著
2) 機械式時計【解体新書】
− 29 −
本間誠二著
モノづくりフェスタ受付システムの構築
高知職業能力開発短期大学校
古谷 隆之介、和田拓也、川田 隆誠
電子情報技術科
1. はじめに
① 前日までに体験コーナーの情報(コーナー名・
昨年度、本校で行われたモノづくりフェスタにお
開始終了時間等)をデータベース(以下 DB と
ける体験コーナーの受付が混雑すると共に、抽選結
する)に登録。これを元に中継画面(HTML フ
果の表示場所が分かりづらいなど、体験するまでの
ァイル)を生成する。
流れがスムーズにできていなかったと思われる。
当日は受付人数を元に抽選を行い、表示用及び
そこで、以下の機能を有するモノづくりフェスタ
受付システムの構築を行うこととした。
張り出し用の抽選結果ファイルを作成する。
② 体験コーナーの受付時間に受付を行い、ラベル
・コンピュータのスクリーンにタッチするだけで予
約・抽選券の発行ができる。
プリンタにより抽選券の配布を行う。
③ フェスタ実施期間中、前日までに作成した
HTML ファイルを表示する。抽選発表の時間が
・抽選結果の発表を開催場所以外(学内ネットを通し
複数個所)でも閲覧可能とする。
来ると、その内容を表示する。
開発に当たり、今年度のモノづくりフェスタでは、
④ 体験コーナー掲示用の抽選結果を印刷する。
(掲
一つの体験コーナーに 200 人を超える予約(受付時
示は人手で行う)
間 20 分)があったことから、この枚数が配布可能な
3. 機能構成・機能概要
システムの構築を目指すこととした。
上記のシステムを構成する各機能は図 2 の通りで
2. システム概要
ある。
今回、抽選結果の発表は、当校のモノづくりフェ
クライアント側
サーバ側
スタでは例年実施している体験コーナーの中継用大
①
②
型ディスプレイの中継途中に抽選結果を割込み表示
イベント情報登録
(C#)
データベース
(DB)
させ、抽選券の発行には小型の高速ラベルプリンタ
④
イベント回数実施
抽選
③
~④のとおりである。
中継画面用
HTML作成
抽選結果表示
用HTML作成
HTMLファイル
HTMLファイル
中継用ディスプレイ
中継画面
中継画面
予約
抽選券発行
予約人数DB登録
抽選券
抽選結果張出用
印刷
③
①
⑤
DB呼出し・
内部テーブル初期化
を導入した。システムの大まかな構成は、図 1 の①
②
クライアント複数台
抽選結果
図2
機能構成図
データベース
中継カメラ
利用者
クライアントPC
④
① イベント情報登録:C#で記述され、サーバ上の
DB に体験コーナーの情報を登録する。
掲示用プリンタ
② DB:各体験コーナーの情報を保持している。
図 1 システム構成
③ 中継画面用 HTML 作成:C 言語で記述され、登
録された体験コーナーの情報を元に、
・体験コーナー中継用の中継カメラの起動/終了
− 30 −
(体験コーナー開始 5 分前起動/体験コーナ
した抽選券の印刷枚数(200 枚以上/20 分)について
ー終了後 5 分で終了)
も、2 分間で約 40 枚の印刷が可能であったことから
・抽選結果の表示用 HTML ファイルの表示/削
ほぼ達成する見込みである。
除(体験コーナー開始 5 分前表示/体験コーナ
ー開始 5 分後削除)
なお、未完成のイベント情報登録機能についても、
卒業までには完成予定である。
の 2 点を行う HTML ファイルを作成する。
④ 抽選:C 言語で記述され、各体験コーナーの定
員及び受付人数から当選者(抽選番号)を決定
し、
・中継用ディスプレイに表示する HTML ファイ
図 3 抽選券
ル
・体験コーナーに掲示する印刷物
を作成する。
⑤ 受付:C#で記述され、DB から体験コーナーの
情報を呼び出し、各 PC に割り当てられた体験コ
ーナーについて、順次受付、抽選券の発行を行
う。受付時間終了後に受付人数を DB に登録す
る。
4. 開発環境・使用機器
図 4 中継画面
表 1 と表 2 に今回制作に使用した開発環境・使用
6. おわりに
機器を示す。
今回のシステム構築において、利用者である学務
表 1 開発環境(クライアント PC)
援助課の担当者と打ち合わせが遅れたため、作成途
OS
Windows 7 Professiona1 SP1
中で仕様変更が発生した(体験コーナーの指定方法
開発環境
Microsoft Visual Studio Express 2013
の変更)。このことから、利用者とのコミュニケーシ
for Windows Desktop
ョンの重要性を認識することができた。
なお、現仕様では、クライアントは PC である必
使用言語
C#
プリンタ
CT-S281(シチズンシステムズ)
中継カメラ
SNC-CX600W(SONY)
要もないことから、クライアント側機能については、
Windows OS を利用したタブレットへの移植を検
討・チャレンジしたい。
表 2 開発環境(サーバ)
OS
CentOS 6.5
Web 環境
Apache
データベース
MySQL Version 5.6
使用言語
C 言語
参考文献・URL
64bit 版
1) できる PRO
CentOS6 サーバ / インプレスジャパン
2) お便利サーバ.com
http://www.obenri.com/
3) C# データレコード更新/削除 MySQL Connector/Net
http://ameblo.jp/tetsuya-staff/entry-10156699201.html
5. 成果
4) C 言語で MySQL へ接続
今回のシステム構築においては、イベント情報登
録機能を除き、ほぼ完成させることができ、目標と
− 31 −
http://d.hatena.ne.jp/graySpace/20141011/
変光式目覚まし時計の製作
-光と音で起床を支援するディジタル時計高知職業能力開発短期大学校
電子情報技術科 飯塚祐太・高橋秀明
1. はじめに
2.2 開発環境
使用した開発環境を表 2 に示します。
私たちは、総合制作実習のテーマを考えるにあた
表 2 開発環境
り、人の役に立つ物を作ろうと考えました。
PC
Fujitsu MODE CLW8GAGIC
時計が正しく機能していないことが原因に挙げられ
開発 OS
Microsoft Windows7 Professional
ています。毎朝規則正しく朝日を浴びることで、毎
使用ソフト
Atmel Studio 6.1, Arduino-IDE 1.0.5-r2
世の中には不眠症で悩む人は多いと言われ、体内
晩自然と同じくらいの時間に眠くなり、不眠症を解
消しやすくするとされています。しかし、遮光性の
使用機器
AVR マイコン・キット STK500,
Arduino Uno R3
高いカーテンを閉めた状態では朝日を浴びにくく、
体内時計が正しく働きません。
3. 各部の概要
そこで、耳の不自由な方でも利用できるように、
目覚まし時計自体から光を発し、徐々にその光を強
3.1 LED ライトを用いた起床支援機能
めて起床を支援するディジタル時計を作ることとし
ました。
LED は白熱電球と比べて消費電力を抑え、熱くな
りにくい利点があります。体の近くで点灯させる変
光式目覚まし時計の性質上、この利点を生かし、白
2. 使用部品および開発環境
色パワーLED を採用しました。
寝ている人を気持ち良く起こすことを目指し、最
2.1 使用部品
初は LED を弱く発光させます。そこから少しずつ光
開発に使用した部品を表 1 に示します。
を強くすることで寝ている方の体や眼が光に慣れ、
耳の不自由な方や日の光を遮って寝ている方の体内
表 1 使用部品
名称
2.8 インチ TFT タッチシ
型番
時計をスタートできるようにしました。
数量
3.2 ブザーを用いた起床支援機能
HSD-9068J-D2
1
RTC-8564NB
1
SEEED-SEN51035P
1
電子ブザー
PB04-SE12SHPR
1
放射基板付クールホワ
XPGWHT-L1-
イト LED
STAR-G53-1B
AVR マイコン
Atmega328P-PU
1
チシールドを使い、時刻・日付・曜日・温度・湿度・
電気二重層コンデンサ
DB-5R5D105T
1
アラーム時刻が表示されるようにします。
ールド v2
リアルタイムクロック
モジュール
ディジタル温度・湿度セ
ンサ Pro
4
本製作物の主役は LED ライトを用いた起床支援
機能ですが、音を使って起こすブザーも搭載してい
ま す 。 ブ ザ ー は発 振 回 路内 蔵 で 、 発 振 周波 数 は
4000Hz です。4000Hz は人の耳が聞きやすい周波数
です。
3.3 ディスプレイに表示する項目
ディスプレイは Arduino Uno に対応した TFT タッ
TFT タッチシールドは対角 2.8 インチで 240×320
− 32 −
ドットの超高精細表示です。
アラームで設定した時間の 3 分前に信号が AVR
②
日付・曜日に関しては Arduino-IDE でプログラム
を作成し、その中で設定をします。時刻に関しては、
マイコンに送られ LED が光り始めます。
③
プログラムの中に初期値を設定して、リアルタイム
クロックモジュールを使い時を刻みます。アラーム
最後の 4 つ目の LED が光ると同時にブザー音が
鳴りだす。
④
LED やブザー音を止めるためにトグルスイッ
チを OFF 状態にする。
セット時刻に関しては、タクトスイッチを使って数
字を増減できるようにして使用者がアラームの設定
をできるようにしました。温度・湿度に関しては、
5. 動作結果およびまとめ
温湿度センサを使ってデータを取得してディスプレ
設定した時刻に光と音を動作させることに成功し
イに出力することができるように設定をしました。
ました。なお、電気二重層コンデンサを予備電源と
して用いることで AC アダプタからの電源供給が途
温度・湿度センサ
リアルタイムクロッ
絶えても 6 日間データを保持できます。今後は、本
クモジュール
製作物が実際の起床支援に効果があるかを確かめる
必要があります。
電気二重層コ
今までに触れたことのないシステムを使いました
ンデンサ
が、自分達で調べ、考えて本制作物を作ることが出
来ました。今後も様々なことにチャレンジしていき
TFT
ます。
タッチ
シールド
参考文献
1)
AVR
図 1 完成品の全体図
Arduino で実験(RTC モジュール)
http://baticadila.dip.jp/arduino_104.html
マイコン
2)
工作と小物のがらくた部屋
http://junkroom2cyberrobotics.blogspot.jp/2012/07/rtc.
パワー
html
LED
日付・曜日
3)
Arduino 温湿度測定ロガー・湿度センサーの比較
http://www.geocities.jp/bokunimowakaru/diy/arduino/
humidity.html
現在時刻
4)
ロボット倶楽部
http://www.ugs.kochi-tech.ac.jp/robot/lobby/parts/man
アラーム設定時刻
ual.htm
5)
温度
http://elec-studio.eco.coocan.jp/tool_soft01.html
湿度
図 2 ディスプレイ部の拡大写真
4. 動作および使用手順
完成した製作物を図 1、図 2 に示します。
①
なかの AVR 電子工房
タクトスイッチを使ってアラームの設定を行
い、トグルスイッチを ON 状態にする。
− 33 −
MEMO
− 34 −
専門課程総合制作実習/共同研究
研究発表の部
階段軸の高性能化に関する研究
-モルタル充填鋼管の耐力変形推定式-
四国職業能力開発大学校 住居環境科 越智隆行
株式会社 三立鉄工 代表取締役 社長 上原 忠
香川大学工学部安全システム建設工学科 教授 松島 学
体を用いて実験を行う。図 1 に試験体寸法、ひ
1. はじめに
ずみゲージ、変位計の取り付け位置を示す。試
らせん階段は、鋼管の階段軸に接合されたさ
験体は長さ 400mm とし、両端より 50mm の位置
さらと踏み板がらせん状に配置されたものであ
を直径 22mm のピンで拘束している。実験はささ
る。その階段軸をモルタル充填鋼管構造とする
らの圧縮部分を想定した厚み 6mm、幅 39.0mm の
ことで、階段軸の性能向上が期待でき、階段軸
加圧面で鋼管の中央部分を押込む。本実験では押
の直径を小さくすることが可能となるため、ら
込み力によって生じる局所変形のみを検討対象と
せん階段の意匠設計上の利点となる。そこで既
する。鋼管の局所変位 δℓ は図 1(b)に示す加圧面の
1)
にて鋼管コンクリートとささら部分を想定
報
鉛直変位 δa から鋼管の曲げ変形による鉛直変位
した押込み実験を行った。実験結果の破壊性状
から既報
δb を減ずることで求める。
2)
にて推定式を構築し、実験値と推定
図 2 に F40 シリーズの実験結果を示す。降伏耐力
値を比較した。本報では、初期剛性に関する推
Pey は初期剛性 Ke と二次勾配の接線の交点から垂線
定式の構築を行い、実験値と推定値の比較から
を下ろした実験値との交点とした。表 2 の実験結果
妥当性を検討する。
から降伏耐力 Pey は鋼管径の大きなものほど大きく
2. 実験概要及び降伏耐力推定結果
なっている。既報 2)にて求めた耐力推定式を用いて、
実験に使用した試験体と充填モルタルの強度
推定値 Pcy を算出し、実験値 Pey と比較したものを図
を表 1 に示す。8 種類の鋼管コンクリート試験
3 に示す。図より耐力比 Pey/Pcy は平均値 1.21、変動
39
6
δb
4
3
2
1
ゲージ方向
C
δb
α
D
寸法
名称
A
B
C
D
S1-F40
S1-F20
S2-F40
S2-F20
ピン
S3-F40
S3-F20
50
(a)円周方向
図1
250
表2
名称
S1-F40
S2-F40
S3-F40
150
Pey
100
50
0
0.0
1.0
図2
50
2.0
3.0
4.0
局所変位 δℓ (mm)
5.0
S4-F40
S1-F20
S2-F20
S3-F20
S4-F20
S4-F40
S4-F20
(b)長さ方向
ひずみゲージと変位計の設置位置
S1-F40
S2-F40
S3-F40
S4-F40
200
荷重 P (kN)
300
実験結果
降伏耐力
P ey (kN)
初期剛性
K e (kN/mm)
123.2
113.9
91.6
90.9
116.6
97.2
88.6
74.6
153.8
181.2
146.7
143.5
242.9
148.2
131.1
105.5
荷重-局所変位関係
管径
 (mm)
管厚
t (mm)
径厚比
 /t
165.2
5.0
33.0
139.8
4.5
31.1
114.3
3.5
32.7
101.6
3.2
31.8
2.0
1.0
S4
40.1
20.5
36.0
23.2
40.1
22.3
40.1
11.9
S2
S1
平均値 1.21
標準偏差 0.17
変動係数 0.14
100
120
図3
− 36 −
S3
0.5
0.0
モルタル
圧縮強度
2
f c (N/mm )
F20試験体
F40試験体
平均値
平均値±σ
1.5
Pey/Pcy

試験体一覧と物性値
加圧面
δa

B
加圧面
δa
ゲージ方向
A
表1
0.15 〃 〃 0.15
140
鋼管径 (mm)
降伏耐力の比較
160
係数 0.14 と精度良く推定できている。また、鋼管径
の時点で荷重-変形関係の二次剛性を 2/3Kc とした。
の影響も受けない。
荷重-局所変位関係の推定値と実験値を比較
したものを図 6 に示す。図 6(a)~(d)より F40 試
3.推定式の提案及び実験値との比較
験体と F20 試験体いずれの場合も降伏耐力は推
初期剛性を推定するため、充填モルタルが押込力
定値より実験値が若干大きく安全側で推定でき
を受ける場合の応力の影響範囲を求める。
ている。F40 試験体と F20 試験体いずれの場合
Boussinesq3) による正方形床板から無次元地盤への
も初期剛性は推定値と実験値がおおむね合って
押込力が働いた場合の等圧力線図を図 4 に示す。応
いる。初期剛性の実験値 Ke と推定値 Kc の比
力の伝達範囲は 10%の圧力線を影響範囲と仮定する
Ke/Kc と鋼管径の関係を図 7 に示す。※印に示
と、深さ方向で 2B、幅方向では 0.25B 程度となる。
すように F20-S1 は、変位計測が十分でなかった
ここで、B は載荷幅である。この結果に基づいた平
ため平均値には含めていない。この値を除いて
面の影響範囲を図 5 に示す。図 5 の γ は 0.25 となり、
3 c は平均値 0.88、変動係数 0.12
計算すると K29.
e/K
影響範囲の面積 A1 は加圧面長さ ℓ0 と厚み t1 を用いて
式(1)となる。
径の影響も受けない。
(1)
参考文献
1)越智隆行,上原祐弥,宮本慎宏,松島学:押込力を受ける鋼管コンクリートの力学的
特性に関する研究 その 1 押込み実験,日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道)
構造Ⅲ,pp.1551-1552,2013.8
2)上原祐弥,越智隆行,宮本慎宏,松島学:押込力を受ける鋼管コンクリートの力学的特性
に関する研究 その 2 推定式の提案,日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道) 構造
Ⅲ,pp.1553-1554,2013.8
3)山口柏樹:土質力学,pp.147-149,1983.4
図 4、図 5 から 2B=2ℓ0 が成り立ち、充填モルタル
78
のヤング率 Ec を用いて一般的に用いられる応力 σ‐
1 17
ひずみ ε の関係より、以下の式(2)が成り立つ。
●:実験降伏値 Pey ○:推定降伏値 Pcy


100
0
(4)
(5)
78
5.0
S4-F40 試験体
実験値
推定値
200
150
100
50
0.0
1.0
(c)
2.0
3.0
4.0
局所変位 δℓ (mm)
7.5
0.0
1.0
2.0
3.0
局所変位 δℓ (mm)
2.0
γℓ0
Ke/Kc
4.0
5.0
S2-F20 試験体
(d) S4-F20 試験体
図 6 実験値と推定値の比較
1.0
※
F20試験体
F40試験体
平均値
平均値±σ
1.5
ℓ0
0
5.0
S4
※F20-S1 は変位
計測が十分で
なかったため
S2
S1
平均値と標準
偏差の計算よ
り除外
S3
0.5
平均値 0.88
標準偏差 0.10
変動係数 0.12
γℓ0
長さ方向
2B
2.0
3.0
4.0
局所変位 δℓ (mm)
4.5
10%等圧力線
0.0
円周方向
図 4 Boussinesq 応力の等圧力線
(b)
実験値
推定値
γt1 t1 γt1
20%等圧力線
1.0
250
加圧面
40%等圧力線
0.0
S2-F40 試験体
50
0
0.25B
5.0
100
コンクリートの短期許容応力度を参考に、2/3Pcy
B
2.0
3.0
4.0
局所変位 δℓ (mm)
150
鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説に示す
0.25B
1.0
250
荷重 P (kN)

100
0
0.0
200
  2  4  1  t1 
Kc  Ec 

2


150
50
50
(a)
  2  4  1  t1 
P  Ec 

2


よって、初期剛性 Kc は式(5)となる。

荷重 P (kN)
(3)
実験値
推定値
200
150
式(3)に式(1)を代入すると荷重 P と変位 δ の関係は、
式(4)となる。
実験値
推定値
200
荷重 P (kN)
式(2)を荷重 P について整理し式(3)とする。
E A
P c 1
2 0
250
250
117
(2)
荷重 P (kN)
P

 Ec
A1
2 0
17.6
12.4
A1   2 0t1  2 0t1  2t1 0   0t1
9.8
39
となり、精度よく推定できている。また、鋼管
図5
影響範囲
− 37 −
100
120
140
鋼管径  (mm)
図7
160
初期剛性の比較
φ165.2
災害に備えた避難所スペースの有効活用に関する提案
-Cubic Room-
四国職業能力開発大学校
住居環境科
澤田陽史・橋本賢明・藤本雄登・渡邊泰輝
1.はじめに
3.設計
東日本大震災では多くの人が長い避難所生活を強
3-1
全体
いられた。避難所での1人分のスペースは約2㎡と
体育館の天井高さを利用し、居住スペースを立体
狭く、またプライバシーの確保が不十分などの問題
的にすることで1人分のスペースを1坪(3.3 ㎡)
が発生した。
(図1)
に拡大する。通常の2階建てでは採光の問題が生じ
四国職業能力開発大学校の体育館は準避難施設と
るため、スキップフロアを取り入れ、部屋を互い違
されており、震災時には多くの人がここで避難所生
いに配置した2階建てにし、光を下階まで取り入れ
活を送ることが予測される。県が定めた収容人数は
られるようにした。
(図2)
200 人となっており、1 人あたりのスペースは避難所
るこの建造物を体育館内に 15 棟配置することで 200
の設置基準 3.5 ㎡を大きく下回っている。
人収容することができる。
(図3) 空いている空間
1棟に 15 人収容でき
そこで、この1人当たりの面積の拡大や、プライ
は医療スペース・更衣室など避難所に求められるス
バシーの確保など、避難所スペースの有効活用につ
ペースとして活用する。部屋を自由につなげられる
いて提案する。
ようにし、さまざまな家族構成に対応できるように
する。上階への移動手段として、省スペース性を考
慮し、互い違い階段を用いる。
(図4) スキップフ
ロアの段差は棚などを踏み台にして昇る。
A
図1
A
A
居室
居室
東日本大震災における避難所の様子
居室
居室
居室 A
居室
居室
居室
居室
居室
居室
居室
居室
居室
居室
2.コンセプト
1F平面図
2F平面図
従来の避難所における問題点を踏まえ、避難所ス
ペースの有効活用に関する提案をしていく。以下に
具体的なコンセプトを示す。
・ 200人収容しつつ1人分のスペースの拡大
・ 足場や電動工具なしで組み立てられる躯体
・ プライバシーの確保
・ 安心感を与える内装
図2
− 38 −
各階平面図・断面図・外観パース図
この建造物は立方体(Cubic)の部屋(Room)によ
って構成されているため Cubic Room と名付けた。
図3
図4
3-2
図7
羽目板
図8
内観写真
全体イメージ
互い違い階段
躯体
組み立てやすさや強度を考慮し 90mm角の部材
を使用した折置組(図5)を軸組として採用し、横
揺れに抵抗させるため、格子の壁を用いた。また、
2階は柱より先に床を組み、その床の上で作業する
ことで足場を使用せずに組み立てることができるよ
うにした。組み立て時の停電を考慮し、ボルトを用
いた引き寄せ金物(図6)を使用することで、電動
図9
透視図
工具は一切使用せずに組み立てられるようにした。
4.おわりに
階段は予め組んでおくものとする。
避難所に関する調査を進める内に、避難所生活で
はさまざまな問題が発生していたことが分かり、こ
れからの避難所には、それらの問題が起こらないよ
図5 渡り顎を用いた折置き組
図6 引き寄せ金物
うにする必要があると考えた。
避難所に関する調査や、ものづくりフェスタに向
3-3
けての展示物の作成など、多くの経験を通して、た
内装
プライバシーの確保を図るため羽目板を用いた壁
くさんの知識や技術を身につけることができた。
総合制作実習を終えるにあたり、この 1 年間で得
(図7)で仕切り、利用する人に安心感を与えられる
よう、畳や木を仕上げ材として用いた。
(図8,9)
た知識や経験を今後に生かしていきたい。
− 39 −
新設コンクリートの強度推定に関する検討
四国職業能力開発大学校
住居環境科
貝塚 真国
曽根 優人
藤澤 輝城
表 1 試験項目
1.はじめに
試験体
試験種類
試験体
A・B
非破壊試験
供試体
標準コア
(φ100)
中径コア 破壊試験
(φ50)
近年、建築・土木構造物の老朽化による事故の
多発など、経年による劣化が社会的な問題になっ
試験方法
鉄筋調査
反発硬度法
超音波法
水分量
圧縮試験
使用機器
鉄筋探査機
リバウンドハンマー
超音波試験機
水分計
コアドリル
コアカッター
端面研磨機
ている。そのため構造物が健全であるかを検査す
表 2 試験体の形状
ることへの要求が一層高まってきている。
試験体A 試験体B
幅
1200㎜ 500㎜
高さ 700㎜ 400㎜
厚さ 250㎜ 250㎜
その中でも、躯体コンクリートの強度を確認す
ることは重要な要素である。そこで本研究は、新
設コンクリートを対象として、試験体と供試体お
写真 1 試験体 A
よびコアを対象とし、材齢ごとに非破壊試験およ
び圧縮強度試験を行うことで、推定強度と圧縮強
度との関係性を考察し、実際の新設コンクリート
の強度確認の際の推定方法を検討することを目的
とする。
写真 2 試験状況
表 3 躯体コンクリートの調合表
2.試験概要
単位量(㎏/m³)
セメント 呼び強度 スランプ 水セメント
種類
(N/mm²)
値
比
セメント 水 細骨材① 細骨材② 粗骨材① 粗骨材② 混和剤
N
24
18
54%
335
181
484
334
576
384
0.838
打設日:2014年10月10日
本研究で実施する試験項目は、表 1 に示すとお
標準養生(H)
りである。試験体の形状は試験項目を考慮し、試
供試体
現場水中養生(W)
20±3℃の養生水槽の 試験体の近くに置いた
中で養生を行う
水槽の中で養生を行う
験体 A を 1 体、また試験体 B を 2 体作成した。写
真 1、表 2 に試験体の形状を示す。試験対象とな
現場封かん養生(F)
供試体を密閉した状態
で、供試体を現場近く
において養生を行う
材齢ごと供試体を3体作成し、非破壊試験・破壊試験を行う。
図 1 供試体の養生条件
る躯体のコンクリートの調合は,表 3 に示すとお
り、一般建築に用いるものと同様の[普通
表 4 本研究で用いた規定・基準
-24-18-20N]とし、打設時に図 1 に示す 3 種の養生
条件で供試体について作成した。試験体と供試体
を材齢ごとに非破壊試験と圧縮強度試験を実施し
た(写真 2)
。
躯体コンクリートの強度確認試験においては、
コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法
JIS A 1107(2012)
コンクリートの圧縮試験方法
JIS A 1108(2006)
コンクリートの反発度の測定方法
JIS A 1155(2012)
コンクリート強度推定のための非破壊試験方法マニュアル
日本建築学会(1983)
テストハンマーによる強度推定調査の6つのポイント
国交通省土木研究所(2001)
表 5 強度確認試験の手順
表 4 に示す基準に基づき、材齢ごとに表 5 の手順
試験体およびコア
1
2
3
4
鉄筋探査 超音波法 反発硬度法 コア採取
5
6
7
コア成形 コア測定 圧縮試験
1~7の順で強度確認試験を行う
で行った。
供試体
1
2
3
供試体成形 供試体測定 圧縮試験
1~3の順で強度確認試験を行う
3.試験結果および考察
3.1
反発硬度法と超音波法による測定結果
試験体を対象に行った材齢 1 週から 13 週までの
反発硬度法による反発度と、試験体から採取した
コアの圧縮強度の推移を図 2 に示す。これにより
反発度と圧縮強度に高い相関性がある結果を得た。
− 40 −
図 2 反発度と標準コアの圧縮強度の強度推移
また同様に、材齢 1 週から 13 週までの超音波法
による伝搬速度と、試験体から採取したコアの圧
縮強度の推移を図 3 に示す。この結果からも伝搬
速度と圧縮強度に高い相関性を確認することがで
きた。
3.2
反発硬度法と超音波法の測定結果をもとに
図 3 伝搬速度と標準コアの圧縮強度の強度推移
した強度推定
前項の結果から、反発度と伝搬速度について材
齢 1 週と 2 週の結果をもとにして圧縮強度の換算
式を求め、4 週以降の強度を推定した。図 4 に反
発度、図 5 に伝搬速度による推定結果を示す。材
齢 13 週のコア強度が 27.5N/ mm2であるのに対し、
図 4 反発度の結果
推定結果は、反発度法は 26.6N/mm2でコア強度と
図 5 伝達速度の結果による
による強度推定
の差は 0.9N/mm2であった。また超音波法での推定
強度推定
強度は 24.2N/mm2 となり、コア強度との差は 3.3
N/mm2 いう結果であった。このことから超音波法
および反発硬度法による方法は、新設コンクリー
トの強度推定に有効であると考える。
3.3
規定の換算式による強度推定
写真 4 超音波試験状況
図 6 は、規定の換算式(表 6)を用いてそれぞ
れの圧縮強度を求め、コア強度との関係を表した
図 6 規定の換算式による推定強度と
ものである。この結果から、今回の試験体におい
標準コアの圧縮強度の関係
ては、日本材料学会式が標準コアの圧縮強度の値
に最も近似しているという結果を得た。
3.4
表 6 本研究で用いた規定の換算式
各供試体と標準コアの強度推移
試験体の打設時に作成した 3 種の供試体と標準
日本建築学会
コアの圧縮強度の関係を図 7 に示す。この結果か
日本材料学会
反発度法
超音波伝搬速度法
複合法
Fc=(7.3R+100)×0.098
Fc=(215Vp-620)×0.098
Fc=(8.2R+269Vp-1094)×0.098
Fc=(-18.0+1.27×R 0 )×α
ら、3 種の養生条件の供試体と標準コアの強度推
移は近似した値となった。このうちコア強度に最
も近似しているのは標準養生であるという結果が
得られた。
4.おわりに
図 7 各供試体と標準コアの強度推移
試験体と供試体を対象とした試験を通して、非
破壊試験における反発硬度法と超音波法の値と圧
本研究では、コンクリート構造物の一連の施工
縮強度には関係があることが見られ、これをもと
に強度の推定も可能であることを確認した。
手順に従って試験体を作成し検査した。これらを
今回の結果をもとに、試験機の使用方法と手順
通し、施工の方法によって躯体の品質にも影響す
および安全上・作業上の注意点をまとめた検査マ
るということも理解できた。今後もこれらの経験
ニュアルを作成することができた。
を活かしていきたいと考える。
− 41 −
平成 25 年度
建設機械製造業における
「職業能力の体系」の整備等に関する調査研究
職業能力開発総合大学校
調査研究室
基盤整備センター開発部
開発研究員
江面
美智雄
1. はじめに
200 名程度とした。また、建設機械は機種が多い
基盤整備センターでは、企業や個人が、人
材 育 成 や 能力開発を推進するためには、 改 め て
が、概ね生産工程は類似しているため、特に車種
にはこだわらず、建設機械全体を対象とした。
「 自 社 の 仕事 や 作 業 の内 容 を 洗 い出 し 、 体 系
的 か つ 段 階的 に 整 理 する こ と か ら始 め る こ と
3. 「業務の流れ」について
」 が 有 用 であ る と の 視点 か ら 、 業種 毎 に 「 職
次に、建設機械製造業界の標準的な製品製造工
業 能 力 の 体系 」 を 整 備し て お り 、現 在 、 93業
程や部署間の連携などを把握する必要があるため、
種 である 。(図表 1参照)
NO
01農業,林業
01
02
03
04
米作・米作以外の穀作農業
野菜作農業(露地野菜)
野菜作農業(施設野菜)
酪農業
02建設業
06
07
08
09
10
11
鉄骨工事業
鉄筋工事業
左官工事業
板金・金物工事業
塗装工事業
床・内装工事業
○
○
○
○
○
○
12
16
20
15
20
24
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
プラスチック製品製造業
ガラス容器製造業
銑鉄鋳物製造業
鍛工品製造業
非鉄金属素形材(鋳物・ダイカスト)製造業
機械鋸・刃物製造業
建設用金属製品製造業
金属プレス製品製造業
金属熱処理業
物流運搬設備製造業
建設機械製造業
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
14
17
21
20
22
11
12
15
17
15
25
25
光学レンズ製造業
○
25
03製造業
07学術研究,専門・技
術サービス業
業種名
整備状況
分 類
職業能力の体系 整備
年度 職業訓練の体系 整備
年度
○
21
○
21
○
22
○
21
01
02
03
04
05
06
社会保険労務士事務所
建築設計業
測量業
その他の土木建築サービス業
非破壊検査業
その他の技術サービス業
○
○
○
○
○
○
20
12
11
12
25
17
05
ビルメンテナンス業
○
25
「業務の流れ」を作成した。(図表 2 参照) 「業
務の流れ」を作成することによって、建設機械製
造業の標準的な組織構成や部署間の関係などのイ
メージを視覚的に共有することができた。
○
25
営 業
営業
マーケティング戦略
営業活動(受注)
生産管理
・設備・機器管理
・作業環境管理
・外部環境管理
・資材調達
・工程管理
・品質管理
図表 1 「職業能力の体系」整備業種(2013.3 現在)
2. 建設機械製造業の「職業能力の体系」
の整備にあたって
技 術
研
技術営業
カスタマ
サポート
製 造
製
究
技
術
管
理
新製品開発
量産製品企画
設
計
缶
機械加工
塗 装・組 立
検
査
出
荷
営業活動(納品)
図表 2 建設機械製造業の「業務の流れ」 (2013)
建設機械製造業は、
「油圧ショベル」を主力製品
とし、多種多様な建設機械を製造する業界である
4. 「職務構成表」について
が、建設事業の展開とも相まって、様々な設計や
製造に関わる技術の進歩も著しく、制御系統では
図表 3 は、金属工作機械製造業の組織や体制等
コンピュータ化が進み機械式から油圧式へ、そし
を表す職務構成表である。
「部門」は、企業組織で
てハイブリット化へと大きく変化してきている。
いう‘部や課‘に相当し、
「職務」は、企業組織で
「職業能力の体系」を整備するにあたっては、
いう“係”を想定している。
建設機械製造業の企業規模が多岐にわたるため
− 42 −
大企業の場合は、「部門」が2つに分かれる場合
生産管理
技術
製造
事務・管理
図表 3 建設機械製造業の
「職務構成表」 (2013)
職務
仕事
作業
仕事
作業
・・・
もあるが、小規模事業所
る場合がある。この「職
務構成表」が企業でいう
【部門】
企業組織の”部や課”に
相当する。
【仕事】
仕事】
分業もしくは分担可能な「作業」のまと
まりをいう。
【職務】
企業組織の業務機能を
同一の種類、系統等で括
った区分で、概ね企業組織
の”係”に相当する。
【作業】
一人の労働者が行う一連の動作。複数
人で行った場合効率の低下や安全性
が損なわれるものをいう。
【作業に必要な主な知識及び技能・技術】
一つの「作業」について、 「技能・技術」は「
その作業における重要な動作」で「~できる
」と表現する。「知識」は「その動作のポイン
ト」で「~を知っている」と表現する。
【レベル】
「仕事」や「作業」の習熟度、難易度、責
任の範囲等により1~4で設定する。
「組織図」と概ね対応し
職務構成表
ている。
分析調査表
図表 4 「職業能力の体系」の概念図
部門
職務
段取り
製造
は、一般的に「営業」で
仕事
ル
レ
ベ
工程作成
2
材料準備
1
材料切断
1
括られる「部門」の中に
も、「製造」部門に深く
関わる「技術営業」など
の「職務」があることが
分かる。
また、一般に「設計」といわれる「職務」も図
面を描くだけではなく、
「開発」や「企画」に密接
に関わる「技術」部門の「職務」の一つとして整
理した。さらに、近年、国内外を問わず、営業に
・・・
職務
定せず、
「職務」からな
械製造業の特徴として
作業に必要な主な知識
業 必要
な知識
及び技能・技術
び技能・技術
・技術
部門
などでは、「部門」を設
今回整備した建設機
能力構成
基本的要素は同一、企業によって独自要素
レベル
・・・
職務
経営
営業管理
営業活動
技術営業
カスタマサポート
設備・機器管理
作業環境管理
外部環境管理
資材調達
工程管理
品質管理
研究
新製品開発
量産製品企画
設計
技術管理
段取り
製缶
機械加工
塗装・組立
検査
出荷
総務
人事
労務
法務
経理
・・・
部門
経営
営業
業務構成
企業規模に依らない同一性
組織構成
企業規模によって変化
作業
作業に必要な主な知識、技能・技術
工程作成 部品毎の組立トーナメントを作成することができる
製作工程表の作成ができる
材料準備 材料にけがき作業ができる
図面の読み方を知っている
けがき用具の使い方を知っている
ノギスによる測定ができる
安全作業について知っている
簡単な展開計算ができる
機械切断 材料の選択ができる
材料の種類と特徴を知っている
材料記号を知っている
用途を知っている
ノコ及び砥石切断ができる
加工条件を知っている
切断機の取り扱いを知っている
切断砥石の種類と特徴を知っている
シャーによる切断ができる
シャーの操作を知っている
レーザー 加工条件の設定ができる
材料の種類と特徴を知っている
レーザーの特性を知っている
加工プログラムが作成できる
機械図面の読み方を知っている
加工ができる
機械操作を知っている
段取りを知っている
図表 5 建設機械製造業の「職務分析表」抜粋 (2013)
ついては、幅広い顧客サービスのニーズが多くな
ってきていること、また技術支援も有する業務で
6. おわりに
あることから、
「カスタマサポート」を営業部門の
本調査研究は、(一般社団法人)日本建設機械工
一職務として設定した。
業会の協力を得て、建設機械製造業の標準的な「
5. 「職務分析表」について
仕事」や「作業」を洗い出すことで、企業等が行
う人材育成や能力開発等を効果・効率的に進める
「職業能力の体系」の概念図を図表4に示す。
ための基礎資料の整備を主な目的に実施した。
「業務構成」は、
「仕事」と「作業」から構成さ
今後は、作成した「職業能力の体系」が企業等
れ、一人の人が効率的かつ安全にできる一連の動
においてより活用できる内容となるよう、活用事
作を「作業」とし、その一定のまとまりを「仕事
例等を収集するなど、継続して内容を見直しして
」としている。
「能力構成」は、その作業における
いく必要がある。
重要な動作を「~できる」とし、その動作のポイ
最後に本調査研球を進めるにあたり多大なご協
ントを「~知っている」として関係付けをしてい
力を頂いた(一般社団法人)日本建設機械工業会に
る。建設機械製造業における「職務分析表」を図
深く感謝申し上げます。
表5に示す。この「仕事」-「作業」-「作業に必
要な知識及び技能・技術」については、自社の人
文献
材育成(評価、教育訓練)方針策定に有用であるば
1)『建設車両の仕組みと構造』GP 企画センター編
2)建設機械研究会編『新版建設機械ハンドブック』鹿
島出版会 1996
3)内田直之 –素形材センター -特集「建設機械産業の変
遷・動向と素形材」
『建設機械産業の現状と今後の予
測について』(社)日本建設機械工業会
かりではなく、労働者自身の自己理解や目標の設
定、ジョブカードの評価項目、国の実施する各種
教育訓練の目標などにも活用されている。
− 43 −
「ものづくり体験」イベントへの取り組みについて
-学科の特色を活かしたテーマ策定-(実践報告)
高知職業能力開発短期大学校
電子情報技術科
高本浩司
1. はじめに
面の来場者と接することにより、コミュニケーショ
各能力開発施設において、地域社会に向けた「機
構並びに施設運営の広報」、
「ものづくり分野への理
ン力、状況分析力等といったヒューマンスキルの向
上も期待するものである。
解と啓蒙」等を目的とした対外イベントが広く開催
この取り組みを約 4 年間に渡って行い、ストック
されるようになっている。当校においても毎年 11 月
可能ないくつかのテーマの策定に至ったので、その
上旬に「ものづくりフェスタ」を開催しており、県
経緯について報告するものである。
内の各団体、企業、教育機関及び当校の取り組み状
況の紹介・展示、種々の催し等が実施されている。
2. 取り組み経緯
その中でも「ものづくり体験コーナ」は幅広い方々
に「ものづくり」に接してもらう機会を提供してお
2.1 平成 23 年度(初年度)の取り組み
初年度は「ものづくり体験コーナ」におけるテー
り、当該イベントにおいて「ものづくり体験コーナ」
マ策定において、次のような方針で行った。
は重要な位置を占めるものとなっている。
また、学卒者向けの「オープンキャンパス」開催
①対象を小中学生限定とし、興味を示してもらうた
が年度計画上欠かせない行事となって久しい。
「オー
めに「光る、鳴る、動く」のいずれかの動作を行
プンキャンパス」では、学科の特色や教育訓練方針
うものとする
の説明、施設見学及び体験授業等を通し、短時間で
②はんだ付け作業を主とし、簡単に楽しく製作でき
るものとする
いかに認識してもらうかが重要であるが、当校の電
子情報技術科ではこれらの対外イベントにおける製
③比較的低予算で製作ができて、かつ持ち帰り可能
なものとする
作体験用の「持ちテーマ」が少なく、同じものを長
らく実施しているため、バリエーションを欠いてい
④部品やケース等の製作を当校の生産技術科や他施
る状況であった。一方で、新規テーマの策定を行う
設と連携して可能な限り行うものとする
場合、他業務との兼ね合いを考慮すると、準備等々
これらの方針に基づいて、
「人感センサを利用した
に対して担当職員の負担が増しているが、その反面、
スノードーム」及び「LED ライト付き防犯ブザー」
継続性のない、その時限りの一過性に終わっていた。
の製作に関するテーマを提示することとなったが、
この状況を受けて、電子情報技術科の特色(組込
み機器製作技術・技能の習得)を活かした、比較的
実施した結果、次のような問題点が挙がった。
①はんだ付け作業が初めての来場者が多く、個別の
説明やミス修正等の対応が頻発
簡単かつ短時間で製作できる「電子回路」を基調と
したストック可能なテーマの策定を行った。この策
②内容に凝ったために製作過程が細かくなり、予定
定は主に「総合制作実習」の機会を利用し、専門課
時間を大幅に超過しただけでなく、未完成のもの
程 2 年生の一部学生に取り組んでもらうことで実施
があった
した。策定に関わった学生には、
「ものづくり体験コ
③部品の不具合がイベント終了後発覚し、後対応が
ーナ」内での製作サポートも担当してもらい、初対
− 44 −
発生
したがって、当該テーマは今後の実施テーマとし
ものであり、一定の確率で特別な点灯パターンを
ては不適切であると判断せざるを得なかったばかり
表示する「隠し機能」も備えている。
か、一部の来場者には製作の負担感や煩わしさから
「電子回路≒電子情報技術科」に対してのマイナス
イメージを抱かせる可能性も危惧された。
2.2 平成 24 年度以降の取り組み
平成 24 年度以降は、初年度の問題点に対する反省
等も踏まえ、次のような点を重視した方針にてテー
図2
マの策定を行っている。
電子ルーレット
①小さな子供でも楽しく安全に取り組めるように、
(3)バーサライタ(図 3 参照)
はんだ付け作業を省略
PIC マイコンを使用し、縦一列に並んだ LED をあ
②簡単な組立てを中心とした軽作業を主とし、製作
るパターンで点滅させ、左右に振ったり回転させ
時間の短縮と高い歩留りを目指す
たりすることで、文字や図形を空中に浮かびあが
③市販部品は調達が平易なものとし、自前部品は製
ったように表示することができるものである。
作物の動作の良否を決定する部分に多用しない
これらは主に実施上のメリットを考慮した上での
方針である。一方で、職員及び学生の事前準備に要
する労力及び時間の負担が増えるため、スケジュー
ルや作業分担等の管理の必要性も発生している。
2.3 策定したテーマ事例
前述の方針を受け、平成 24 年度以降の取り組みの
図3
バーサライタ
中で策定し、
「ものづくり体験コーナ」で実施された
3. おわりに
テーマ事例を示す。
(1)ナイトイルミネーションボード(図 1 参照)
明るい部屋を急に暗くすると、CdS が反応してフ
これまでの取り組みについて簡潔に述べたが、紹
ルカラーLED が数分間点灯し、ルータにより絵や
介した各テーマは来場者に大変好評で、科の特色を
模様を彫ったアクリル板を下部から照射するもの
活かしつつ、今後の各イベントでの利用が可能なテ
で、暗闇で幻想的な雰囲気を楽しむことができる。
ーマとなっている。また、
「オープンキャンパス」に
おいても、前述の取り組み方針を「電子サイコロの
製作」内で反映させ、実施の効率化を図っている。
一方で、皮肉にもはんだ付け作業を省くことで、安
全で簡単に楽しく比較的短時間で完成できるテーマ
を策定できたが、逆に電子回路の専門性がない職員
でも対応可能なテーマとすることができたと言える。
今後の課題として、
「ものづくりフェスタ」の来場
図1
者数を考慮すると、
「光る、鳴る、動く」や「安全に、
ナイトイルミネーションボード
楽しく、簡単に」等の方向性に加えて、百人単位の
(2)電子ルーレット(図 2 参照)
多人数に対応可能かつ更に短時間で製作可能なテー
PIC マイコンを使用し、スイッチを押すと鳴音し
マの策定も必要であると考えられる。
ながら環状に配した 8 つの LED を順次点灯させる
著者 E-mail
− 45 −
[email protected]
安全衛生教育を考える
-研修を振り返り改善提案へ-
高知職業能力開発短期大学校
生産技術科
丹
敦
1. はじめに
危険予知訓練イラストシート(図 1)をもとに、
「安全第一」と職場内に掲示され、定期的な安全
パトロールやヒヤリ・ハット報告等、安全に関する
表1に示す 1R(ラウンド)から 4R までを量と質と
に注意しながら訓練していく。
取り組みは常に最重要事項であることに誰も異論は
研修は初対面であることから、程よい緊張感のな
ない。しかしながら、その取り組み方に適切さを欠
かで実施された。これによって集中し充実感のある
いていては、一部の者しか行動しない活動となって
研修を終えることができた。指導員が学生に対して
しまう。
同様な充実感を与えるために、指導員と学生との緊
職業訓練指導員として安全には十分配慮している
張感、学生間での緊張感を保つ工夫が必要である。
つもりでいるが、民間企業含め外部の取り組みにつ
さらに、指差し呼称・タッチ&コールなどの慣れな
いて知る機会を持っていなかった。今年度は研修へ
いものを定着させるための日常的な実践が重要であ
積極的に参加することで、自身の安全の目を研ぎ澄
る。
表2
ますことを目標とした。ここでは中央労働災害防止
協会(以後、中災防)が実施する 2 件の研修につい
導入
KYT 基礎 4 ラウンド法
整列・番号・挨拶・健康確認
て参加報告と、施設内での取り組みに向けた議論に
1R
現状把握
どんな危険がひそんでいるか・・(量)
ついて説明する。
2R
本質追求
これが危険のポイントだ・・・・(質)
3R
対策樹立
あなたならどうする・・・・・・(量)
4R
目標設定
私達はこうする・・・・・・・・(質)
2. KYT(危険予知訓練)トレーナー研修会
確認
指差し呼称、タッチ&コール
KYT とは危険予知訓練の略称で、「危険を危険と
気付くためのトレーニング」である。安全の先取り
3. 全国産業安全衛生大会
のために、どんな危険がひそんでいるかを事前に見
逃さないことが重要である。
全国産業安全衛生大会は全国の事業場・教育機関
等が分科会ごとに研究発表を行う。今回は安全衛生
教育とゼロ災運動の分科会に参加した。
3.1 安全衛生教育分科会
若者に対する安全教育での発表事例が多く、若者
の安全教育をパネルディスカッションとするなど、
若者の安全を課題と認識していることが分かった。
一方、安全教育指導者が育っていないという報告も
あり、安全の取り組みを全体で取り組むことの難し
さを反映していると感じた分科会であった。全体を
図1
危険予知訓練イラストシート
通じて印象に残ったものは、キーワードの設定が重
(中災防 HP お試し版より)
− 46 −
要であると思える。施設リーダーの理念があり、よ
4. 課題
り親しみやすいものへ置き換えることも取り組みと
しては有効である。分科会では表 2 に示すようなキ
これまでの研修内容と所属施設との状況から、反
省点を 2 つ挙げる。
ーワードがあった。
1 つ目は、ヒヤリ・ハット報告提出量の不足であ
表2
る。これは学生・職員ともに不足している。危険ゼ
安全へのキーワード
1
ブラザー制度・・・指導者と若者との仲介役
ロを達成していくため、事前説明を丁寧におこない
2
安全への道・・・・知って・感じて・考える
徹底して行う。
3
安全衛生とは・・・自分と他人を守る力
2 つ目は遅刻の常習化による KYT の形骸化である。
遅刻ほど安全・授業進行において悪影響なものはな
い。指導者は納得できるまで説明し、遅刻ゼロにな
3.2 ゼロ災運動分科会
災害をゼロにするという活動であるが、その取り
組みは今では「災害ゼロから危険ゼロへ」となって
るまでトコトン学生と向き合い続けていくしか方法
はない。
いることが分科会共通の取り組みであることがわか
ジョブカードや履歴書作成と同様に KYT も講義
った。前述の KYT やヒヤリ・ハット報告などハイン
を行い、その後の実習などにて日常的に実践してい
リッヒの法則(図 2)が表す多くの不安全行動や状
けるよう計画している。将来的には総合制作発表会
態を出し合える環境作りが大切である。
と併せて KYT に関しても同等の発表が行えるよう
準備を進めていく。
5. まとめ
研修を通じて、企業の安全意識の高さに大きな差
があり、それが企業では日常的に実践されているこ
とがわかった。現時点での学校での安全衛生教育は
継続性に欠け、意識の維持が難しい。
今後はあらゆるものに安全衛生を組み込み、学校
図2
から就職先へのスムーズな移行を目指す。専門的な
ハインリッヒの法則
知識・技能の習得や 5S(整理・整頓・清掃・清潔・
今回、ある事業場が実施している「KYT 演練競技
しつけ)などの基本的な部分を身に付け学生は就職
大会」というものに興味を引かれた。KYT を実践し
している。そこに「安全衛生教育」も備わっている
ていく様子を芝居にしたもので、早速授業で取り入
ならば、我々が目指す実践技能者として貢献してく
れたいと思わせる楽しく分かりやすいものであった。 れると確信する。
文献
1) 中央労働災害防止協会編,危険予知活動トレーナー
必携
2) 中央労働災害防止協会,第 73 回全国産業安全衛生大
会研究発表資料集
著者 E-mail
図3
KYT 演練
− 47 −
[email protected]
バドミントン練習用ノックマシン開発に係わるシャトル射出システム
二ローラ式バドミントンマシンの設計、開発およびシャトル射出の基礎実験
四国職業能力開発大学校 生産機械システム技術科
池本
生産電子情報システム技術科
生産技術科
株式会社
都村製作所
穴田
和夫
千知岩
浩一 下釜
○中山
伸一
洋一
悦生
電子情報技術科
鳥谷部
代表取締役会長
都村
太
尚志
1. はじめに
ャトルには自転回転(スピン:S)が生じマグナ
バドミントン競技は、1992 年のバルセロナ大会
ス力が発生する。このため厳密にはシャトルの運
よりオリンピックの正式競技種目に採用され、国
動は 3 次元となるが、マグナス力の影響を無視す
内では 20 万人強の愛好者がいるとも言われてい
ると図.2 に示す 2 次元座標系で扱うことが可能で
る。公益法人日本バドミントン協会の登録数の結
ある。
果から平成 21 年度から平成 25 年度のバトミント
y
ン競技人口は、増加傾向にある。平成 25 年度にお
空気の抗力係数:C
D
いて、中国、四国、九州各県の人口に対してバド
S
ミントンを行っている割合を図.1 に示す。
速度:v
質量:m
抗力:D
重力加速度:g
角度α
図.2
X
シャトル飛翔のベクトル図
シャトルの質量 m=5.2g 重力加速度を g、空気の
抗力係数 CD とおくと、シャトルの運動方程式は次
式(1)~(3)となる。ただし、空気密度ρ=1.205kg/m3、
シャトルスカート部の投影面積 A=3.47×10-3m2、
図.1
各県におけるバドミントン人口の割合
水鳥シャトル CD は 0.49~0.62(0.51)、ナイロンシ
ャトル CD は 0.53~0.59(0.54)とする。
香川県のバドミントンを行っている割合が非常
に多い。このような背景の中から、香川県内企業
と共同にて、この二ローラ式バドミントン練習用
ノックマシンの開発を行った。本報告は、開発機
器の設計方法およびシャトル射出実験を行った結
果である。
2. バドミントンシャトルの飛翔モデル
空気中を質量 m のシャトルが、速度 v、発射角
度αで飛翔する場合について考える。飛翔中のシ
2x
m 2   D cos 
t
2 y
m 2  mg  D sin 
t
1
D  C D AV 2
2
(1)
(2)
(3)
先式(1)から(3)の方程式より、x 軸方向および y
軸方向の加速度を求めた結果を次式(4)、(5)に示す。
また、図.2 より x 方向の速度を vx、y 方向の速度
を vy と仮定する。
− 48 −
 2 x  C D AV 2

cos 
t 2
2m
C D AV 2
2 y
g



sin 
t 2
2m
できる。
(4)
(5)
先式(4)、(5)を次式(6)、(7)に変換することが可能
left
である。
C D AV 2 v x
2 x



V
t 2
2m
2
C D AV 2 v y
 y
g




V
t 2
2m
right
(6)
motor:HG-AK0336B
サーボアンプ:MR-J3W-0303BN6
(7)
図.4
水鳥シャトルを想定し、先式(6)および(7)を
用いて 1.5m の発射台から初速度 10m/s から 70m/s、
α=10°にて計算した結果を図.3 に示す。
二ローラ式バドミントンマシン
 4800   26 
vr  r  32.5  10 3  2 
 
 60   14 
(8)
v  vr  vl  60.6(m / s)
(9)
4.実験方法と実験結果
図.5 に示すように、高さ 1.48m の位置よりシャ
トルの発射実験を行い、飛距離の計測を行った。
弾道軌道
図.3
148cm
シャトル飛翔モデルシミュレーション
飛距離計測
発射角度αが 10°の場合、初速度 60m/s で発射
すると 13.07m の飛距離であった。地面に着地する
図.5
二ローラ式バドミントンマシン実験方法
までの時間は約 1.19 秒であった。バドミントンコ
20 回の繰り返し実験を行った結果、最高飛距離
ートの全長 13.4m であり、ネットの高さは 1.55m
8.99m、最低飛距離 7.61m、平均 8.45m であった。
である。
5.おわりに
3.バドミントンマシンの設計および製作
実験結果の飛距離から図.3 のモデルを用いて初
図.4 に示すような二ローラ式を用いて設計を行
速度を算出した結果 22.5m/s であった。今後は、
い製作した。ローラの直径は 65mm、モータの回
ハイスピードカメラなどを導入し計測する必要が
転数 4800rpm であり、自作した回転軸よって 1.86
ある。
倍の回転速度を上昇することが可能である。この
条件から次式(8)より速度を求める。
右にモータの初速度をvr とし左モータを vl と
文献
1)酒井忍ほか,二ローラ式バドミントンマシンの開発,
すると、求める初速度 v は次式(9)で求めることが
日本機械学会論文集 C 編,
− 49 −
pp.3415-3426, 2011
MEMO
− 50 −
Fly UP