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災害に強い低炭素都市のあり方 オフィスビルにおける

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災害に強い低炭素都市のあり方 オフィスビルにおける
「日経環境シンポジウム」
「スマートな節電手法のチェックポイント
とBCP型スマートシティの展開」
2012年3月12日
三井不動産株式会社
ビルディング本部 運営企画室長
丸山 裕弘
弊社ビル事業概要
●賃貸・運営管理棟数:約300棟(首都圏および主要地方都市)
●総延床面積:約200万坪
●入居企業数: 3,000 社強
<主要ビル>
東
京
ミ
ッ
ド
タ
ウ
ン
ノグ
ーラ
スン
タト
ワウ
ーキ
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ウ
三日
井本
本橋
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井
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(日
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関
ビ
ル
新
宿
三
井
ビ
ル
赤
坂
B
i
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タ
ワ
ー
ゲートシティ大崎
弊社ビル事業の理念(従来)
<ワーカーズファースト>
~働く人にいちばんの場所であること~
いつも、快適で心豊かに働けるオフィスこそが、
個々の力を十分に引き出すことができる。
ひとりひとりが能力を最大限に発揮することが、
そのまま企業(テナント)の成功につながる。
そうした「豊かさ」の連携を実現するビルづくり・ビル運営を
私たち三井不動産は続けていきます。
ワーカーズ
ファースト
安心
快適
便利
弊社ビル事業の理念
震災
安心
「安全」
の徹底
「安心感」
の醸成
サスティ
ナビリ
ティ
ハード・ソフト両面において
オフィスビルとしての
「コミュニケーション」
「ネットワーク」を軸に
「安全」
「サスティナビリティ」
「安心感」
「サスティナビリティ」
を高いレベルで追求
をステークホルダーへ提供
地震発生
直後
安全の確保・徹底
安心感の提供
帰宅困難者
大量発生
館内滞留に必要な
環境・機能の維持
地震発生
テナント
業務再開
オフィス環境・機能
の維持・早期復旧
館内滞留支援
地域貢献
帰宅支援
テナントBCPの支援
Ⅰ.スマートな節電手法のチェックポイント
昨夏のピークカット対応
◎省エネ法、東京都条例への対応
・震災以前から、省エネ(節電主体)に注力
・テナントに共用部の温度設定や照明点灯時間などの変更に
ついて説明
・専有部での省CO2対策の提案、協議
社内、社外との連携体制が既に出来上がっていた
省エネ手法をピークカット用に転換して対応
トップレベル事業所(2010&2011)
◎ トップレベル 4棟
日本橋三井タワー、銀座三井ビル、東京ミッドタウン、
グラントウキョウ ノースタワー
○ 準トップレベル 4棟
日本橋1丁目ビル、汐留シティセンター
ゲートシティ大崎、赤坂Bizタワー
推進体制
グループ会社と一体となった総合力
(AM,PM,BM各社との連携)
三井不動産
横断的な支援機能
三井不動産ビルマネジメント
三井不動産ホテルマネジメント
ららぽーとマネジメント
ファースト・ファシリティーズ
ファースト・ファシリティーズ
設計会社
技術管理者(計装会社)
電気事業法への対応①
◎タスクフォースの結成
横断的課題の解決のため、AM、PM、設備管理、技術スタッフ
にて4つのチームを結成(総勢21名)
①節電運用
②テナント・リレーション
③省エネ改修工事
④ブラックアウト対応
◎省エネ工事の実施
年度計画工事の前倒し、省エネ効果の高い工事の実施
電気事業法への対応②
・対応の流れ
①3月14日~
政府要請に対する節電対応を継続
②3月下旬~
基本計画策定(ビル側作成の25%削減プラン)
③4月上旬~
テナントと協議開始
政府方針の変更(25%⇒15%)
④~5月下旬
実施計画策定
⑤6月~
テナント協議の継続、 共同使用制限の検討
実施計画の試行・精査・修正 + テナント協力
実際のピーク電力の確認
☆この段階で15%削減の実現見通しがたった
⑥7月1日~
使用制限開始
電気事業法への対応③
基本方針
基本サービスである安全、安心は確保しつつ、以下のとおりとする
<節電部位の優先順位>
①共用部における削減を優先
②テナントの執務環境(空調)や利便性に関わる部位は後順
③テナントには照明、コンセント使用量の削減を中心に協力を
仰ぎ、空調は運転変更(温度緩和)は行っても停止させない
電気事業法への対応④
・節電メニュー
順位
部位
具体的な設定
1
共用部照明
(出入口、廊下、外構、看板)
間引き(1/2~2/3)
一部消灯
2
ジェットタオル
給湯器
共用部空調
(玄関ホール、廊下、トイレ)
停止
停止
温度設定28℃
部分運転
専有部照明減
間引き(2/3~1/2)
照度変更(750lx→400lx)
ELV、ESC
ELV空調
原則稼働
専有部室温
室温が28℃を超えないように
設定は26℃~27℃
3
4
5
電気事業法への対応⑤
◎省エネ改修工事
・計画工事の前倒し & 省エネ対策工事
・デマンドメーターの取付け
◎テナント・リレーション
・ビル側のプランを元にメニュー練り上げて実施
・室内照明対応(照度調整、管球の間引き)
・全ワーカー向けに節電リーフレットを作成
◎ 対策費
(1)省エネ改修工事
(2)照明対応
(3)デマンドメーター
(4)リーフレット
(5)その他
コージェネや蓄熱槽などを持ち削減余力のある大型ビル
+
余力ない中小ビル
=
ピークカットの実現
24:00
23:00
22:00
21:00
20:00
19:00
18:00
17:00
16:00
15:00
14:00
13:00
12:00
11:00
10:00
9:00
8:00
7:00
6:00
5:00
4:00
3:00
2:00
1:00
共同使用制限スキーム
コージェネを持つビルの電力推移
ここを他に融通
受電電力量
CGS発電電力合計
使用電力合計
Ⅱ.BCP型スマートシティの展開
東日本大震災からの教訓
計画停電の多大な影響
◎テナント ⇒ 業務の停止
特にサーバーの停止と再起動に手間と時間を要する
◎ビル事業者 ⇒ 事前準備と事後確認
例)ELV事前停止、電気錠の設定、BEMSの設定変更
各機器のリセット(空調機の設定がデフォルトに戻る
など)対応に追われる
知的生産の場としてのオフィスが十分に機能しない状況
東日本大震災からの教訓
非常用発電機の実態と課題
①長時間停電、計画停電への対応
大地震後の長時間運転や反復運転は未経験
⇒トラブル発生
・燃料配管へのエア混入、潤滑油の泡立ち、
セルモーターバッテリー切れ などで停止
②電力供給先
専有部への供給は限定的
③燃料不足
被災地への優先割り当てによる不足
今回は首都圏配送車両用の燃料も不足
通行制限地区への車両の乗入れも課題
東日本大震災からの教訓
館内残留を前提としたインフラの構築
・館外避難は必ずしも安全とは言えない(落下物、余震、天候など)
・震度6,7といった地震が首都圏を直撃した場合、交通機関は数日
間にわたって全面的にストップする可能性が大
・東京都でも「一斉帰宅の抑制」を周知・徹底させる方針
・ビル事業者として求められるものは、テナントやスタッフ
の館内残留、帰宅困難者の受け入れを前提とした対策、準備
・さらに、テナント室内への電力供給も必要
+
インフラの復旧も考慮すると72時間(3日間)程度の自立確
保を可能とする事前対策が必要
東日本大震災からの教訓
通常時も非常時も安心・安全な都市へ
意識の変化 ⇒ 安全・安心に対する価値観の上昇
環境と安全・安心の両立 = 省エネ&BCP機能
特に、エネルギー対応は重要
(1)オフィスビルのエネルギーの多様化
(2)停電時におけるBCP対応 + より快適な節電
(3)自立・分散型電源の確保、高効率なエネルギー利用
再生可能エネルギー利用
これらを包含するBCP型スマートシティの実現へ
① エネルギーの
安定供給体制の構築
② 自立・分散型
エネルギー源の確保
■(参考)東京都「2020年の東京」
③ エネルギー利用の
高効率化・最適化
柏の葉スマートシティのアプローチ
スマートシティ
環境共生 × テクノロジー × コミュニティ
自然をつなぐ
緑と風の道、農業共生
技術をつなぐ
省エネ建築
新エネルギー
次世代交通システム
資源循環システム
人をつなぐ
千葉大学
カレッジリンク
地域連携
教育プログラム
まちのクラブ活動
市民が行う
植栽管理
地産地消の
マルシェ
スマートシティ
エリア・エネルギー管理システム(AEMS)
太陽光発電
オフィスビル
戸建住宅
風力発電
エネルギー最適化
災害時の危機対応
集合住宅
蓄電池
電気自動車
21
商業施設
スマートシティ
地域全体のエネルギー「見える化」
エリア・エネルギー管理システム (AEMS)
地域全体のエネルギー需給状況を一元管理
商業・オフィス棟
ららぽーと柏の葉
パークシティ柏の葉
キャンパス二番街
ホテル・住宅棟
パークシティ柏の葉
キャンパス一番街
街のエネルギーバランスモニター画面
 駅周辺街区(敷地約127,000㎡)のエネルギー
需給状況の「見える化」
 電力供給ひっ迫時には緊急メールを発信し
ピークシフトや停電回避に向けた対策を提案
22
地域全体で省エネ活動を促進
駅前148街区の環境・エネルギー対応
23
スマートシティ
エネルギー効率運用
2014年春
竣工予定
ホテル・住宅棟
商業・オフィス棟
排熱など未利用エネル
ギーの徹底活用
太陽光など多様な
発電システムの導入
0
CO2排出量
削減率
25
50
合計 (商業・オフィス棟、ホテル・住宅棟)
オフィス単体
75
屋上・壁面緑化など
パッシブデザイン
100
約40%削減
約50%削減
※ 東京都2005年度平均を基準値
(100)とした場合の削減率
テクノロジー
148街区での創エネ技術
太陽光発電、太陽熱給湯
地熱・温泉熱の活用
 屋上に200kW、庇に6kWの太陽光パネルを設置
 熱交換熱量125kWの地中熱ヒートポンプを採用
 年間予想供給熱量157MWhの太陽熱パネルを設置
 外気を地中配管に通してから室内に供給
<ららぽーと柏の葉とパークシティ二番街の太陽光パネル例>
 ホテル大浴場は温泉給湯で環境負荷軽減
<148街区の温泉掘削現場>
生ごみバイオガス発電
ガス・コジェネレーション・システム
 生ごみからメタンガスを生成し発電に利用
 都市ガスを利用した発電(発電量約620MWh/年)
 発電廃熱も給湯に利用
 廃熱を給湯・空調に利用(供給量約1,050MW/年)
<生ごみバイオガス発電のシステムイメージ>
テクノロジー
ららぽーと柏の葉での蓄エネ技術
 氷蓄熱空調システムやNAS電池で電力をピークカット
 商業施設として日本初のCASBEE・Sランクを取得
氷蓄熱槽内
電力需要
ピーク
氷蓄熱空調システム
氷蓄熱空調システム
約2割カット
NAS電池
約2割カット
消
費
電
力
NAS電池
※夏の消費電力を模式化
8時
10時
12時
14時
16時
18時
20時
テクノロジー
災害時も都市機能を継続
防災拠点としてのスマートセンター
 「柏の葉スマートセンター」は免震構造の148街区のホテル・住宅棟に設置
 エネルギー源の複線化で、停電時もエネルギーを供給維持
 エリア・エネルギー管理システムで災害時は危機モード運転にシフト
「柏の葉スマートセンター」
ホテル・住宅棟
防災拠点
災害時は避難所等のライフラインに優先供給
エリア・エネルギー管理システム (AEMS)
停電
複線化されたエネルギー網
ご清聴ありがとうございました
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