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公営住宅事業の概要,公営住宅の位置づけ[PDFファイル/90KB]

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公営住宅事業の概要,公営住宅の位置づけ[PDFファイル/90KB]
【第3章】
公営住宅ストッ クの概要
3.2
3.2.1
公営住宅事業の概要
近年の建設実績と改善事業実績
石狩市の近年の建設実績では、平成11年から平成14年にかけて、花川団地の54戸
の建替を行ってきた。今後は平成16年から、現在の柏北団地の移転建替として、
(仮称)
本町団地の建設を予定している。また、改善・改修の実施状況については、はまなす団
地・南花川団地の水洗化の実施、その他、必要に応じて外壁の修繕や入退居修繕を随時
行っている。
3.2.2
既存ストックの現状と将来
現在の公営住宅ストックについて、建設年代別、構造別の耐用年数による経過状況を
把握し、平成15年度末現在302戸の公営住宅ストックの建替時期と量を把握する。こ
れは、長期的な視点において、どの時期にどれだけの建替が発生するかを把握し、スト
ック活用の計画期間及び構想期間内の事業量をつかむ目安とする。
(1)今後の不良住宅ストックの推移
1)公営住宅ストックの現況
平成15年度末現在、構造別の公営住宅ストックの現況は、図3.2.3-1に示すとお
りとなっている。
単位:戸
耐火 54戸
簡易耐火(2階)準耐 17戸
簡易耐火(平屋) 231戸
150
133戸
100
56戸
6
133
54戸
50
19戸
8戸
0
18
8
S35∼
39
図3.2.3-1
45
18戸
50
S40∼
44
S45∼
49
S50∼
54
8
3
11
S55∼
59
S60∼
H1
公営住宅ストックの建設年度別・構造別戸数
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
9戸
5戸
2
54
9
H2∼
6
H7以降
【第 3 章 】
公 営 住 宅 ストッ ク の 概要
2)公営住宅不良ストックの推移
耐用年数経過状況による、建替が必要となる住宅ストックの推移は、図3.2.3-2に
示すとおりである。すでに耐用年数を超えた簡易耐火造が計画期間に19戸/年のペー
スで発生し、その後は1戸/年以下のペースで推移している。計画期間での不良スト
ックの解消は、石狩市の処理能力を超えるため、古い住宅を維持しながらの事業の
先送りなど、ピークカットの必要がある。
40
単位:戸
不良ストック
177戸
簡易耐火平屋
ストック活用
計画期間
(今期)
35
ストック活用
計画期間
(2期)
ストック活用
計画期間
(3期)
1戸/年
1戸/年
ストック活用
計画期間
(4期)
簡易耐火2階
中層耐火
30
25
19戸/年
20
15
7戸/年
10
0戸/年
0戸/年
0戸/年
図3.2.3-2
平 成 84
平 成82
平 成80
平 成 78
平 成 76
平 成 74
平 成 72
平 成 70
平 成 68
平 成 66
平 成 64
平 成 62
平 成 60
平成58
平 成 56
平 成 54
平 成 52
平 成 50
平 成48
平 成 46
平 成 44
平成42
平 成 40
平 成 38
平 成 36
平 成 34
平 成 32
平 成 30
平 成 28
平成26
平 成 24
平 成 22
平 成 20
平成18
平 成 16
平 成 14
平 成 12
平成8
平成10
0
平成6
5
不良ストックの推移
(2)不良住宅ストックの解消
不良住宅ストックの解消を検討するにあたっては、建設年度、構造による老朽化以
外に、住戸面積や住宅性能など住環境に関する整備水準や財政能力、入居希望者への
配慮、適正管理戸数の維持の観点から、事業の平準化等を考慮する必要がある。
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
46
【第3章】
公営住宅ストッ クの概要
3.3
3.3.1
公営住宅の位置づけ
公営住宅の課題の整理
これまでの分析結果から、石狩市の公営住宅に係わる諸課題のなかから、ストック活用
計画で解消すべき課題を以下に示す。
(1)耐用年数を超えた簡易耐火構造の不良住宅ストックの解消
■簡易耐火構造の住宅の9割が計画期間終了年の平成27年に耐用年数を超える
■簡易耐火構造の郊外型団地の多くが、利便性に欠けている
■花川地区の居住ニーズへの対応が必要である
(2)活用可能な既存住宅ストックの住環境改善
■老朽化した住宅の建替を順次行うため、今後10年間程度、簡易耐火構造の建物
を使用しなければならない
■簡易耐火構造の住宅は、水洗化の整備が遅れている
(3)少子高齢化に対応した住宅、住環境の創出
■入居者の高齢化が進んでいる
■住宅の高齢化対策が遅れている
■市民アンケートでも高齢者向け住宅へのニーズがみられる
■シルバーハウジング等の導入検討が必要である
(4)需要に対応した適切な住宅供給と供給手法の検討
■将来の人口、世帯数をふまえた適切な戸数の検討が必要である
■市の財政状況に応じた建替計画が必要である
■特定優良賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅等の民間活力の導入検討が求められ
ている
これらの課題をまとめたものを以下に示す。
耐 用 年 数 を 超 え た 簡 易 耐 火 構 造 の
不 良 住 宅 ス トック の 解 消
47
活 用 可 能 な 既 存 住 宅 ス トック の
住 環 境 改 善
花 川 地 区 の
居 住 ニ ー ズ へ の 対 応
( ま ち な か 居 住 )
少 子 高 齢 化 に 対 応 し た
住 宅 、住 環 境 の 創 出
シ ル バ ー ハ ウ ジ ン グ
等 の 導 入 検 討
需 要 に 対 応 し た 適 切 な 住 宅 供 給 と
供 給 手 法 の 検 討
特 優 賃 、 高 優 賃 等 の
民 間 活 力 の 導 入 検 討
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
【第 3 章 】
3.3.2
公 営 住 宅 ストッ ク の 概要
公営住宅の特性
公営住宅法は、昭和26年に制定され、その後、昭和34年に収入超過者制度を導入し、
昭和44年に公営住宅建替制度の導入などにより改正されてきた。平成8年には、45年間
維持されてきた公営住宅制度が大きく改正され現在に至っている。この改正の視点は以下
のとおりである。
■
従来の公営住宅が住宅に困窮する者へ的確に供給されていないこと
■
直接建設方式のみでは需要に対応しにくいこと
■
老朽化等によるコミュニティの低下
■
地方自治体の住宅政策手段の不足等
その主な概要はつぎのとおりとなっている。
■
入居者資格の適格化
・入居収入基準について収入分位33%以下から25%以下へ
・ただし、高齢者等に対しては収入分位の40%まで地方自治体の裁量範囲
■
入居者の収入変動等に対応した家賃決定方式の導入
・従来の限度額家賃基準から入居者の収入変動等を反映できる応能応益家賃へ
・収入超過者、高額所得者に対しては、より適切な負担を求めた家賃の設定
■
種別廃止、補助制度の合理化
・第1種、第2種の種別区分の廃止
・建設費国庫補助一律1/2
・近傍同種家賃と実際の徴収家賃との差額を補助
■
供給方式の拡大、多様化
・従来の直接建設方式に買取り、借上げ方式を追加
・買取りに要する費用の1/2 、借上げ住宅の共用部分の工事費1/3の補助
■
公営住宅建替事業の施行要件の緩和
・建替事業の戸数要件を、従前管理戸数の1.2倍以上から従前入居戸数以上へ
・社会福祉施設等併設の場合にはさらに戸数要件緩和
■
公営住宅の社会福祉事業等への活用
・社会福祉法人等に対して公営住宅を住宅として使用可能
・公営住宅を中堅所得者向けの特定優良賃貸住宅として活用可能
これらの改正の方向は、入居資格の改正からみて、より高齢者を対象とし、住宅に困窮
する者への的確な供給を行うよう、福祉的側面が強い公共住宅としての役割を位置づける
とともに、他の住宅との整合・役割を明確にすることにある。
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
48
【第3章】
公営住宅ストッ クの概要
3.3.3
公営住宅の役割
(1)公営住宅の入居条件
公営住宅法第1条によると、「公営住宅とは、健康で文化的な生活を営むに足りる住
宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、または、
転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」
となっている。
具体的には、世帯の状況により算出した収入額が、表3.2.3-1に示す収入分位の25
%までの世帯が入居の対象となり、その他高齢者、障がいのある人など世帯の実情に応
じて、40%までの範囲を事業主体により裁量階層とされている。
収入分位
0.0 ∼ 10.0 %
10.0 ∼ 15.0 %
15.0 ∼ 20.0 %
20.0 ∼ 25.0 %
25.0 ∼ 32.5 %
32.5 ∼ 40.0 %
40.0 ∼ 50.0 %
50.0 %∼
制令月収
下限値
上限値
0
123,000
123,001
153,000
153,001
178,000
178,001
200,000
200,001
238,000
238,001
268,000
268,001
322,000
322,001
推定年収
0 ∼ 2,616,000
1,856,015 ∼ 2,976,000
2,216,015 ∼ 3,276,000
2,516,015 ∼ 3,540,000
2,780,015 ∼ 3,996,000
3,236,015 ∼ 4,356,000
3,596,015 ∼ 5,004,000
4,244,015 ∼
家賃算定基
礎額
37,100
45,000
53,200
61,400
70,900
81,400
94,100
107,700
※推定年収は、所得が世帯主(50歳以下)の給与所得のみの4人の核家族世帯を想定した。
表3.2.3-1
入居者の収入分位
(2)今後の公営住宅の役割、整備手法
現在、少子高齢化の進展、環境問題の顕在化などから、公共住宅の公共による建設の
是非、公営住宅の必要性・あり方などが問われている。また、これまでは公営住宅が民
間住宅を先導するとしていたが、今後は市場特性に応じた公共賃貸住宅の整備が必要と
されており、以下のことに留意して計画を策定していく必要がある。
・既存公営住宅の計画的な建替、ストック総合活用計画による効率的な
維持・管理
・地域の賃貸住宅市場による公的補完としての公共賃貸住宅の整備
・公共賃貸住宅の整備における民間活力の導入等多彩な整備手法の検討
具体的には、今後の公営住宅及び公的住宅の整備手法として、つぎの手法が考えられる。
49
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
【第 3 章 】
公 営 住 宅 ストッ ク の 概要
1)借上げ公営住宅
民間事業者や土地所有者が、国や市町村の補助を利用して賃貸住宅を建設、整備し、
市町村が原則20年間借り上げ、公営住宅として供給するものである。新築のみなら
ず、既存建物においても、公営住宅の整備基準に合致するものが対象となる。
なお、建物本体、共同施設の整備にあたり、共同施設、高齢者向け設備の設置など
の共用部分等の整備に対し、国が1/3、市町村が1/3を事業者に補助することがで
きる。
借上げ公営住宅のメリット
①国と市町村から、建設費の一部補助がある。
②20年間一括の借上げにより、空家の心配がなく安定した経営ができる。
③市町村が入居者募集や管理を行うため管理・修繕の手間がかからない。
④中心市街地活性化、高齢者向け公営住宅の建設等が実現できる。
⑤民間資金の活用で初期投資が少なく公営住宅の整備ができる。
2)買取り公営住宅
民間事業者や土地所有者が、国や市町村の補助を利用して賃貸住宅を建設、又は整
備し、市町村が買い取り、公営住宅として供給するものである。借上公営住宅と同様
に、既存建物においても、公営住宅の整備基準に合致するものが対象となっている。
また、建物本体の他、土地、付属物の所有権も対象としている。
直接建設方式と原則同様で、現在、建設費の1/2を国が補助することになってい
る。補助対象部分は公営住宅(主体附帯工事費+特例加算、特定工事費)、共同施設、
駐車場整備、解体工事費も含まれている。
買い取り公営住宅のメリット
①直接建設事業にほぼ同様な体系であり、補助の対象となる範囲が広く、
買い取る年度に予算措置をするため、先行して建設工事を実施できる。
②中心市街地活性化、公営住宅と福祉施設等との一体的な整備、定住促進
のための、的確な住宅供給など多様な公営住宅の整備が可能である。
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
50
【第3章】
公営住宅ストッ クの概要
3)特定優良賃貸住宅
特定優良賃貸住宅は、中堅所得者ファミリー世帯が必要とする、ゆとりのある良質
な賃貸住宅の供給促進を目的としている。
民間の土地所有者等は、国と北海道による整備費補助金を利用して良質な賃貸住宅
を建設し、一定期間、経験ある管理事業者が公的賃貸住宅として適正な管理をする住
宅制度である。入居資格は以下の内容となっている。
同居親族があること(特定中心市街地に
世帯人数
年収額(単位;円)
おける単身向けを除く)
2 人
( 3,424,000 ) 4,152,000
∼
9,768,000
自ら居住するため住宅を必要としている
3 人
( 3,924,000 ) 4,628,000
∼
10,181,000
収入基準の範囲内であること
4人
(4,396,000 ) 5,104,000
∼
10,581,000
(所得月額200,000∼601,000)
5人
( 4,872,000 ) 5,576,000
∼
10,981,000
※世帯主が45歳以下の場合は153,000
※(
)は世帯主が45歳以下の場合
4)高齢者向け優良賃貸住宅
高齢者向け優良賃貸住宅は、高齢者が安心して住み続けることができるよう供給さ
れる賃貸住宅で、民間賃貸住宅のバリアフリー化の推進と良質な賃貸住宅ストックの
形成に資する制度である。
特定優良賃貸住宅と同様に民間の土地所有者等は、国と北海道による整備費補助金
を利用して良質な賃貸住宅を建設し、一定期間、経験ある管理事業者が公的賃貸住宅
として適正な管理をする新しい住宅制度となっている。
51
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
【第 3 章 】
3.3.4
公 営 住 宅 ストッ ク の 概要
公営住宅の役割の転換
(1)国の住宅政策の転換
我が国では、戦後の住宅不足、基幹産業を支える勤労者の増加、高度成長期の都市へ
の人口集中を背景に、これに対応するために、公共主導で住宅供給を果たしてきた。こ
れらを支えた、以下に示す「住宅政策の3本柱」が機能し一定の成果があった。
■住宅金融公庫:住宅ローンによる持家促進
■住宅公団※
:中堅所得者へ住宅・宅地の供給
■公営住宅
:低額所得者、高齢者などの住宅困窮者への住宅供給
(※住宅公団から住宅・都市整備公団へ名称変更後、現在は都市基盤整備公団となっている)
一方、現在、国の住宅政策では、当初の目的を達成したとして、今後は民間活力によ
る機能転換を図っていくこととしている。そのため、住宅政策の3本柱のうち公庫融資、
公団業務を大きく機能転換し、公営住宅についても、民間住宅市場の公的補完としての
役割に転換していくなかで、公営住宅の今後のあり方が問われている。
今後の公営住宅は、住宅市場の公的補完的役割のもと、市場で住宅を確保できない市
民の「住宅セーフティネット」としての役割を担うこととなる。また、公共による公営
住宅の直接建設のみならず、民間活力導入の制度を積極的に活用することとしている。
(2)石狩市の公営住宅の課題
国の住宅政策が転換され、今後、石狩市の公営住宅についても、役割の転換を図って
いく必要がある。そうしたなか、石狩市の公営住宅では、公営住宅の役割の転換や入居
者の適正化への対応が課題となっている。
石狩市の公営住宅は、近年の募集倍率は5倍程度と公営住宅の需要が高い状況となっ
ている。また、現入居者の高齢化の進行、収入超過者等の対応などソフト面の課題のほ
か、ハード面では、老朽化した不良住宅の解消など、様々な課題を抱えている。
2004-2015 ISHIKARI Public Housing Stock Synthesis Practical Use Plan
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