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居住地校交流の手引き

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居住地校交流の手引き
ポイント2:インクルーシブ教育システム構築への流れ
ポイント3:障害がある人にとっても,障害がない人にとっても大事な取組
~近年の特別支援教育とインクルーシブ教育に関する主な流れ~
平成 24 年に中央教育審議会初等中等教育分科会においてとりまとめられた「共生社会の形成
○平成18年:国連総会において『障害者の権利に関する条約』が採択される
※ 教育については第24条に記載されており,インクルーシブ教育システムについて,
まとめられています。
に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」の中では,交流
及び共同学習の推進について,以下のように述べられています。
交流及び共同学習とは?
居住地校交流理解啓発資料
居住地校交流の手引き
学校教育において,学習の一環として行われる交流活動を『交流及び共同学習』といい
ます。
育むことができる。(後略)
小学校,中学校,高等学校,特別支援学校の学習指導要領にも,『交流及び共同学習』
についての記載があり,教育活動における積極的な取組が望まれているところです。
交流及び共同学習は,障害のある児童生徒と,障害のない児童生徒や地域の人たちの双方にとっ
て重要な役割を果たすものです。
○平成24年:中央教育審議会から『共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム
構築のための特別支援教育の推進(報告)』が出される
※ 障害者権利条約で求められているインクルーシブ教育システムの構築の理念を踏まえ
た教育制度の在り方等について検討され,まとめられています。
○平成25年:『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』が成立する
※ 平成28年4月から施行。「合理的配慮の提供」についても触れられています。
○平成26年:『障害者の権利に関する条約』を日本が批准する
※ 鹿児島県においては,平成26年に『障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づく
り条例』が制定されており,その前文には,障害のある人とない人との交流についての
記述があります。
○平成28年:『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』が施行される
※ 文部科学省から対応指針が出されています。「合理的配慮」の具体例についても示され
ています。
ことが不可欠であり,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒,あるいは,地域社会の
めにも大変重要です。
性を養い,豊かな人間性を育てる上で,大きな意義を有するとともに,多様性を尊重する心を
○平成23年:『障害者基本法』が改正される
※ 可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受け
られるよう配慮することや,交流及び共同学習の推進についても触れられています。
実現を目指しています。そのためには,障害のある人と障害のない人が互いに理解し合う
人々が,触れ合い,共に活動する機会は,互いの立場を理解し,尊重し合う関係を築くた
(前略)交流及び共同学習は,特別支援学校や特別支援学級に在籍する障害のある児童生徒等
にとっても,障害のない児童生徒等にとっても,共生社会の形成に向けて,経験を広め,社会
○平成19年:文部科学省から『特別支援教育の推進について(通知)』が出される
※ 特別支援教育の理念について「共生社会の形成の基礎となるものである」と述べられ
ており,教育活動等を行う際の留意事項等として,交流及び共同学習についても触れら
れています。
我が国は,障害の有無に関わらず,誰もが相互に人格と個性を尊重し合える共生社会の
ポイント1:交流及び共同学習の形態
共生社会の形成
通常の学級と特別支援学級との
学級間における交流及び共同学習
・ 障 害 の あ る 人 に つ
いての理解が深まる
・ 多 様 な 人 間 性 を 認
めることを通して,
豊かな社会性や人間
性を養うことにつな
がる
・ 自立と社会参加を
促進する
・ 社 会 を 構 成 す る
様々な人々と共に助
け合い支え合って生
きていくことを学ぶ
機会になる
なお,交流及び共同学習には,相互の触れ合いを通じて豊かな人間性を育むことを目的とする
交流の側面と,教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があり,この二つの側面は分
かち難いものとして捉えて推進していく必要があります。
地域の人々との
交流及び共同学習
特別支援学校の幼児児童生徒(以下,「児童生徒」)が,自分が
住んでいる地域にある小学校・中学校で行う交流及び共同学習(居
特別支援学校と小・中学校
住地校交流)は,障害のある児童生徒が,地域社会の一員として
等との学校間における交流
豊かに生きることができるための,地域における生活基盤をつく
及び共同学習
る上で重要な活動といえます。
動を共に行う直接的な交流のみではなく,手紙のやり取りなどの間接的な交流など様々な方法を
充実した居住地校交流のためには,関係する学校間での連携,
いずれにしても,障害のある人とない人が,共に理解を深め合う貴重な機会になるものです。
交流及び共同学習の一つの形態とし
て,『居住地校交流』があります。障
交流及び共同学習の推進に当たっては,計画的,組織的に継続した活動を実施することや,活
工夫することも大切です。
居住地校における交流及び共同学習
協力が一層必要になります。
害のある児童生徒が,自分の居住地の
学校に行き,共に学習活動を行うもの
です。
同じ地域で暮らしている同年代の友
鹿児島県教育委員会
達と関わることで,将来,地域で過ご
平成 27 年度作成
す上での基盤づくりにつながります。
居住地校交流の流れ
【参考1】交流及び共同学習(居住地校交流)共通理解シート(様式例)
交流及び共同学習(居住地校交流)共通理解シート
児童生徒名
○○○○
○○○養護学校○学部○年○組
居住地校
○○○学校
担任
○○○○ ○○○○
【長期目標】
○
○
目標
【短期目標】
※個別の教育支援 ○
計画から
○
【交流及び共同学習における目標】
○
児童生徒の実態
性格や学習の様子
身辺処理面
※ 性格や,普段の学習の様子などを記入する。
特別支援学校
からの依頼
担当者間(交流係,
担任等)の打合せ
事前学習
【Point】
【Point】
【Point】
【参考2】交流及び共同学習(居住地校交流)評価シート(児童生徒対象)(様式例)
【評価】よくできた:◎ ある程度できた:○ あまりできなかった:△ できなかった:×
評価項目
居住地校交流
の実施
事後学習
【Point】
【Point】
評 価
【Point】
保護者や本人の希望
在籍校が作成する「共通理解シー
手紙や自己紹介カードを
当日は,原則として在籍校の
手紙を送ったり,活動の様
交流を行った学習の教
を基に,特別支援学校
ト【参考1】」などを基にして,対
やり取りしたり,お互いの学
担任,もしくは他の教員が引率
子を,写真や映像等で振り
科等の目標や,活動に対
(以下,在籍校)から該
象の児童生徒の実態に関する共通
校や学習の様子などを,写真
をします(送迎は保護者がしま
返ったりして,次回の交流に
する児童生徒の取組状況
当する小中学校等(以
理解を行います。学習面や学校生
や映像で紹介したりして,交
す)。
向けての意欲を高めるとと
などについて適切に評価
下,居住地校)に連絡
活面での合理的配慮についても確
流に向けて意欲を高め,当日
児童生徒同士の関わりが広が
もに,地域生活の中での良好
をします。
をし,確認後に文書で
認し,当日の活動内容や分担など
の活動にスムーズに参加で
るような授業展開ができるよう
な関係性を築けるようにし
評価の観点を明確にし
依頼します。スムーズ
について検討します。居住地校で
きるような関係性をつくっ
に,在籍校と居住地校の教員が
ます。感想文などを書き,交
た「評価シート」を活用
な交流を行うためには,
は,担当者だけではなく,学校全
ておくことが大切です。事前
協力しながらサポートしてくだ
流の様子や次回へ向けての
するなど,適切な評価に
管理職の理解と協力が
体で,交流があることや配慮する
に確認した配慮することな
さい。
思いなどを整理する活動も
努めるようにします。
大切です。
ことについて,共通理解をするこ
ども児童生徒と一緒に確認
活動の様子などを撮影する場
大事です。
→【参考2・3】
とも大切です。
します。
合は,肖像権に留意してくださ
※ 着替えや排泄などの実態について記入する。
評価
特記事項(よかった点,改善点)
事前学習を通して,児童生徒が,互いの
様子を知ることができたか
事前学習を通して,児童生徒が当日への
期待感をもつことができたか
児童生徒同士の関わりは適切であったか
児童生徒は,主体的に活動に取り組んで
いたか
児童生徒の学習のねらいは達成できたか
事後学習を通して,互いを尊重する心を
深めることができたか
【その他特記事項】
い。
コミュニケーション
※ コミュニケーションの方法や,他人との関わり方などについて記入する。
好きなものや遊び
※ 活動を考える際に参考になると思われる,好きなものなどを記入する。
【Q&A】
集団活動への参加
※ 集団活動への参加状況や,ルールを守っての行動ができるかなどについて記入する。
Q:交流のために特別な授業を設定するのですか?
【参考3】交流及び共同学習(居住地校交流)評価シート(教師対象)(様式例)
A:時には「お楽しみ会」等の特別な活動を設定する必要もあるかもしれませんが,毎回となると
可能な学習や
活動等
※ 教科学習の実態や,本児が主体的に参加できそうな活動について記入する。
苦手なものの有無
など
※ 活動する上で支障になるような苦手なものなどについて記入する。
必要な
合理的配慮
※ 交流を実施するに当たり,本人及び保護者からの要望を記入する。
事前の準備や日程調整など,両校の負担も大きくなります。基本的には,居住地校で日常行われ
ている学習活動の中で,どのような交流ができるのかを考えてください。歌が好きな児童生徒
であれば,音楽の授業での交流及び共同学習を計画したり,活動に音楽の要素を取り入れたり
するなど,在籍校の児童生徒の実態を考慮して,主体的に活動がしやすい学習を計画すること
が大切です。
居住地校の施設・設備の状況(安全面での配慮)
移動
□スロープ □手すり □エレベーター
トイレ
□バリアフリートイレ □洋式 □和式
活動場所
□( )階 □保健室の場所( )階
その他
特記事項
Q:実際の活動での留意点は何ですか?
A:まずは,学習環境面から,安全面に十分配慮をすることが大事です。また,障害による活動へ
の障壁がなるべく少なくなるような合理的配慮も必要です。活動場面では,在籍校の児童生徒
が受け身的な活動に終始しないように,児童生徒同士が関わり合い,共同学習へ発展するよう
に,担当教員は役割を分担し,充実した交流ができるように協力することが大切です。
【評価】よくできた:◎ ある程度できた:○ 工夫・改善が必要:△ できなかった:×
評価項目
Q:交流中にけがなどをした場合の責任の所在はどこにありますか?
A:居住地校交流は,在籍校である特別支援学校の教育課程に基づいて行われるので,けがや事
故の場合は,在籍校の責任となります。したがって,原則として在籍校の担任もしくは他の教員
の引率の下,安全面には十分留意して活動を進めます。何よりけがや事故がないように,事前の
打ち合わせを十分に行い,適切な環境で適切な活動を計画,実施することが大切です。
Q:合理的配慮とは何ですか?
A:障害のある児童生徒が,学校教育を受ける上で生じる障壁をできるだけ無くすように,環境の
調整や,意思疎通の配慮,ルールを変更するなど個に応じた適切な工夫をすることです。この合
理的配慮の提供に関しては,平成28年4月の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法
律」の施行によって法的義務となります。具体的には,聴覚過敏の児童生徒のために教室の机や
椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減したり,点字や拡大文字などを使用して学習する児童生
徒のために,授業で使用する教科書や資料,問題文を点訳又は拡大して提示したりすることなど
が挙げられます。障害の特性に応じた十分な対応が困難な場合や,保護者からの要望に添えな
い場合に代替手段を提示するなどの丁寧な合意形成が求められます。
教師間の打合せは適切であったか
互いの実態把握は十分できたか
事前学習は適切であったか
実態を踏まえた学習活動が計画されたか
当日の授業は,適切な役割分担の下に実
施できたか
事後学習は適切であったか
適切な評価ができたか
【その他特記事項】
評価
特記事項(よかった点,改善点)
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