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利用した覚えのない国際電話料金請求トラブル −“画像型”大幅減、“音声

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利用した覚えのない国際電話料金請求トラブル −“画像型”大幅減、“音声
記者説明会資料
平成 15 年 12 月 5 日
独立行政法人 国民生活センター
利用した覚えのない国際電話料金請求トラブル
−“画像型”大幅減、“音声型”減少 なお要注意−
1. 国際電話に係る相談について
当センターや各地の消費生活センターに寄せられる国際電話に係る相談は「利用した覚
えのない国際電話料金を請求された」という相談が大半を占める。このトラブルには大き
く2種類のパターンが存在する。
(1)いわゆる“音声型”
“音声型”は国際電話を利用した音声による情報提供(主にアダルト情報)を行うサー
ビスで、多くはアダルト雑誌などに掲載されているようである。これは、電話番号を表示
する際に、その番号の区切りを変えることなどにより、国際電話であることを分からなく
して、国内電話と同じであるかのように消費者を誤解、錯覚させて電話をかけさせるもの
である。なお、この“音声型”はインターネットとは全く関係がない。
(2)いわゆる“画像型”
“画像型”はインターネットを利用する消費者がホームページを閲覧中に接続プログラ
ムをダウンロードすることによって発生するトラブルである。インターネットへの接続方
法をダイヤルアップにしている場合、通常は自宅から最寄りのアクセスポイントを設定す
るが、ダウンロードした接続プログラムにより、アクセスポイントが書き換えられ、国際
電話経由でのインターネット接続となってしまうため、インターネットを利用するたびに
国際電話の通話料が発生することになる。
(3)“音声型”と“画像型”の変遷
PIO−NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)によると、“音声型”の相談は 1993 年頃か
ら寄せられている。当時、ダイヤルQ2が社会問題化し、NTT による規制が厳しくなったこ
とを受け、情報提供業者が NTT を通さずに営業を続けるために考え出した仕組みと思われ
る。
いずれのタイプにおいても国際電話料金が発生するという点では同じであるが、“音声
型”の場合は、雑誌などを見て消費者が架電しないと国際電話料金は発生せず、また、消
費者が継続的に利用するとは限らない。
一方、“画像型”の場合は、ダウンロードした接続プログラムが勝手にアクセスポイント
を書き換えるため、消費者がすぐに気がつくことは稀で、インターネットを利用するたび
に国際電話料金が発生することとなる。“画像型”は、これらの特徴やインターネットの普
及を背景に 1998 年頃から急増しており、その後も増加の一途を辿っていた。
1
(4)特定対地への利用休止後の現状及びトラブルの未然防止に向けて
こうした状況を受け、当センターや各地の消費生活センター、総務省などは国際電話会
社に対策を要請していたところであるが、国際電話会社は 2002 年 12 月頃から特定対地へ
の取り扱いを休止するという対策を実施した(資料 1 参照)。この対策から約 1 年が経過し
たが、「利用した覚えのない国際電話料金を請求された」という相談は激減している(資料
2 参照)。
しかし、その内訳をみると“画像型”は激減しているが、
“音声型”はそれほど減少して
おらず、2003 年 4 月にはその比率が逆転している(資料 2 参照)。
そこで、消費者被害の未然防止及び拡大防止のため、国際電話会社に“音声型”に関す
る対策や“画像型”への継続的な注視を望むとともに、消費者自身もトラブルの未然防止
のために注意すべき点を情報提供することとした。
なお、PIO−NET の分類上、
“画像型”と“音声型”を判別していないため、ここでは、
“国
際電話”を「国際電話に関する相談のうち、不当請求に関連する相談」、“画像型”を「“国
際電話”のうち、インターネットに関連する相談」、“音声型”を「“国際電話”のうち、イ
ンターネットに関する相談を除いた、その他の不当請求に関連する相談」と定義している。
2. 今後トラブル増加が懸念される“音声型”の問題点
(1)広告の表現が不適切
そもそも国際電話を利用するためには、国際電話であることを示す「010」をつけることが
必要であるが、具体的な方法はマイラインの関係で次の2つのパターンに分かれる(2001
年 5 月 1 日より開始)。
・マイラインで選択した会社から利用する場合
010−国番号−市外局番−相手先電話番号
・マイラインで選択していない会社から利用する場合
○○○(国際電話会社の番号:KDDI であれば 001)−010−国番号−市外局番−相手
先電話番号
トラブルとなる国際電話番号は、成人向けの雑誌などに広告として掲載されていること
が多いが、その広告の表現に以下の問題点がある。
①国際電話を使ったサービスである旨の表示がないことが多い
②国際電話を利用することを分かりにくくして電話番号を掲載していることが多い
<例>010−123−456−789 を 0101−2345−6789 と表示するなど
③利用料金についての表示がないことが多い
そのため、消費者に国際電話を利用したとの認識がなかったり、料金についてのトラブ
ルが発生しやすいと思われる。
2
(2)国際電話会社の認識
国際電話会社では、“音声型”は国際電話による音声情報(アダルト情報等)を利用した
い人とそうでない人を事前に判別することは不可能であり、また、消費者は実際に音声情
報を利用した(聞いた)と捉えており、“音声型”に抜本的な対策が必要とは考えていない
ようである。国際電話会社のなかには、国際電話につながる際にその旨のガイダンスを自
動挿入していない会社があるのも、こういった考えによるものではないかと思われる。
なお、消費者が支払う国際電話料金は、架電した国の国際電話会社が徴収し、事前の取
り決めに従って接続先の国際電話会社へ徴収した代金の一部を支払うこととなっている。
音声情報を提供している業者は、接続先の外国の国際電話会社と結託して、日本の国際電
話会社から支払われた代金の一部がバックされる約束をしているものと推測される。
電話料金は、そのサービスの特性ゆえに、発信したものに関しては電話加入権の名義人
に支払い義務があることが約款に定められているため、利用した覚えのない電話料金であ
っても支払い義務があると考えざるを得ない。
ダイヤルQ2の場合、「通話料」と「情報料」に判別することができるが、国際電話料金は「通
話料」として請求されるため、上記のとおり支払い拒否は難しいこととなる。
(参考)国際電話料金の流れ
音 声 情 報
音声情報の提供業者
①
②
利
用
者
⑤
日本の国際電話会社
③
海外の国際電話会社
④
①音声情報を利用
②国際電話料金の請求
③国際電話料金の支払い
④接続した国の国際電話会社へ支払い
⑤代金の一部をバック
(3)“音声型”の具体的事例
①国際電話会社から、利用した覚えのない高額な通話料の請求の電話があった。インター
ネットは利用していない。通話地域や時間帯も不明だが、5万円になると言われた。納得で
きないため、支払いたくない。
(20歳代、女性、家事従事者)
②利用した覚えのない国際電話の請求(2万8千円)が1年前から届いていたが、納得でき
ないので支払わずにいた。最初の請求書は紛失してしまい、利用明細は不明だが、記憶で
は家族の不在時だったと思う。母と妹の3人暮らしで、パソコンは使っていない。請求書が
来た時に2∼3回電話会社に電話し、利用していないので支払わない旨を申し出た。昨日、
3
法的手続きをとると法律事務所より通知がきた。
(50歳代、女性、給与生活者)
③未成年の息子が情報料無料との広告を見て電話でアダルト情報を聞いた後に国際電話の
通話料6万8千円を請求された。セイシェル、ディエゴガルシアにつながったようである。
(50歳代、女性、家事従事者)
④利用した覚えがないのに国際電話の利用料金の請求(約3千円)が届いた。家にはパソコ
ンはなく、国際電話会社に問い合わせたところ、固定電話からの利用で、セイシェルとロ
シアに架電していたと言われた。自宅に夫と共にいた時間だが利用していない。高校生の
息子は学校に行っていた時間である。支払わなくてはならないか。
(40歳代、女性、家事従事者)
⑤未成年の息子が、雑誌で見た電話番号に自宅から電話をかけた。セイシェル、モルドバ、
ディエゴガルシア等、聞いたこともない国にばかり、1回当り1分∼3分を合計10回位かけ
ている。本人は国際電話と知らずに利用したと話している。名義人である自分に4万7千円
の請求が来ているが、支払いには納得できない。
(50歳代、女性、給与生活者)
3.国際電話会社に期待される対策及び消費者へのアドバイス
(1)国際電話会社に期待される対策
①“音声型”について
雑誌などに掲載されている広告上の表現の問題もあり、消費者には「国際電話を利用し
ている」という認識が乏しいためにトラブルとなるケースが多い。消費者被害を未然に防
ぐために音声ガイダンスの挿入等の効果的な対策の実施が望まれる。
②“画像型”について
特定対地への利用休止という対策は効を奏し、トラブルは大幅に減少しているが、対象
地域が変わるだけで“いたちごっこ”になってしまう危険性も依然として残る。そのため、
国際電話会社は、今後も継続的に対象地域を監視する必要があり、新しい国や地域でトラ
ブルが発生した場合、速やかに利用休止の対象とすることが望まれる。
③その他
すでに実施している会社が多いが、引き続き以下の対策等を実施することが望まれる。
・国際電話通話料が一定額を超えた場合、消費者への通知や請求書のサイクルを早めに行
うこと
・国際電話トラブルについての注意喚起に努めること
(2)消費者へのアドバイス
①“音声型”について
広告主や広告代理店は、国際電話である旨の表示を消費者に分かりやすく行い、トラブ
ルの未然防止・拡大防止を図るための努力が望まれることは当然であるが、消費者自身も
雑誌などを見て電話をかける際には、その電話番号がどういうものなのか、きちんと確認
4
すること。確認できなければ利用しないといった姿勢が望まれる。
広告を見る際には、以下の点に注意が必要である。
・国際電話を使ったサービスである旨の表示がなされているか
・国際電話を利用することを分かりにくくして電話番号を掲載していないか
<例>010−123−456−789 を 0101−2345−6789 と表示するなど
・利用料金についての表示が明確になされているか
②“画像型”について
インターネットへの接続方法をダイヤルアップ接続としている消費者は不審なソフトを
ダウンロードしないよう注意すること。
また、ADSLやCATV、光ファイバーを利用している場合であれば、一般的にはこ
の種のトラブルは発生しないと考えられているが、パソコンからFAXを送る場合など、
ダイヤルアップ接続が可能な状態においては、ダウンロードした接続プログラムにより、
ダイヤルアップ接続が優先的に利用されてしまうため、同様のトラブルが発生することが
ある。そのため、ダイヤルアップ接続が不要であれば、ダイヤルアップ用のモデムから電
話線を外すこと、あるいはそのモデム自体を取り外してしまうことなどの対策が望まれる。
③その他
普段から国際電話を利用しないのであれば、国際電話の利用休止制度を利用することで
国際電話トラブルを未然に防ぐことができる。
(参考)<国際電話不取扱受付センター>(国際電話会社 6 社が共同で運営している窓口)
〒141-8790
東京都品川区西五反田 2-19-3 五反田第一生命ビル本館
TEL:0120-210−364 (取扱時間:平日 9 時∼17 時)、FAX:0120-210-535
5
(資料1)国際電話会社の対応
国際電話会社
休止した特定地域
実施日
KDDI(株)
・
ディエゴガルシア
2002年12月16日
*au国際電話サービスも同様
・
セイシェル
・
ディエゴガルシア
・
セイシェル
(イリジウム携帯電話も含む)
日本テレコム(株)
NTTコミュニケーションズ(株) ・
東京通信ネットワーク(株)
ディエゴガルシア
・
セイシェル
・
ディエゴガルシア
*2003 年 4 月 1 日「パワードコム」 ・
2002年12月16日
2002年12月16日
2002年12月20日
セイシェル
に社名変更
(株)NTTドコモ
・
ディエゴガルシア
・
セイシェル
ケーブル・アンド・ワイヤレスI
・
ディエゴガルシア
DC(株)
・
ドミニカ国
・
グレナダ
・
ターコス及びカイコス諸島
・
セントビンセント及びグレナデ
2002年12月26日
2002年12月29日
ィーン諸島
(株)サークル・アジア
・
モントセラト
・
ドミニカ国
・
ターコス及びカイコス諸島
・
セントビンセント及びグレナデ
2003年1月2日
ィーン諸島
6
(資料2)国際電話トラブルの件数の推移(PIO−NET より:2003 年 10 月 30 日検索)
2500
2500
2000
2000
1500
1500
1000
1000
500
500
0
国際電話
音声型
画像型
0
8月
3年
200
1月
3年
200
6月
2年
200
(注)ここでは以下のように定義している。
“国際電話”…「国際電話に関する相談のうち、不当請求に関連する相談」
“画像型”
“音声型”
…「上記“国際電話”のうち、インターネットに関連する相談」
…「上記“国際電話”のうち、インターネットに関連する相談を除いた、そ
の他の不当請求に関する相談」
国際電話トラブルの内訳
年月
国際電話に関する相談
そのうち、インターネットに関
そのうち、インターネットに関連す
のうち、不当請求に関
連する相談
る相談を除いた、その他の不当請求
に関する相談
連する相談
2002年6月
2,006件
1,491件(74.3%) 515件(25.7%)
7月
2,354
1,967 (83.6)
387
(16.4)
8月
1,846
1,563 (84.7)
283
(15.3)
9月
1,858
1,629 (87.7)
229
(12.3)
10月
2,195
1,864 (84.9)
331
(15.1)
11月
2,041
1,726 (84.6)
315
(15.4)
12月
1,897
1,631 (86.0)
266
(14.0)
2003年1月
1,208
1,012 (83.8)
196
(16.2)
2月
487
380 (78.0)
107
(22.0)
7
3月
221
131(59.3)
90
(40.7)
4月
177
76(42.9)
101
(57.1)
5月
160
54(33.8)
106
(66.3)
6月
132
43(32.6)
89
(67.4)
7月
143
39(27.3)
104
(72.7)
8月
85
12(14.1)
73
(85.9)
(補足1)ダイヤルアップ接続とADSL接続の違い
電話回線は音声を伝えるために必要な周波数が設定されているが、もっと高い周波数を
利用すると、高速でデータ通信が可能となる。この高い周波数を利用したサービスがAD
SLである。
ダイヤルアップ接続の場合、音声の周波数帯域を用いているため、消費者は自分で選択
したアクセスポイントまで通話していることになる。そのアクセスポイントが勝手に海外
のアクセスポイントに書き換えられてしまうため、結果として国際電話を利用した状態と
なり、高額な請求が発生することとなる。
ADSLなどの接続方法の場合、音声の周波数を利用しないため、原則としてこういっ
たトラブルは発生しないと考えられている。
(補足2)語句について
・特定対地…国際情報提供サービスに関するトラブルが多発している国や地域のこと。
・ダイヤルアップ…インターネットに接続する際に、その都度電話をかけて接続する方法。
・アクセスポイント…プロバイダなどが設置した、インターネットに接続するための電話
番号。アクセスポイントまでの電話料金は通常、利用者が負担する
ので、できるだけ身近なアクセスポイントを選ぶ。
・ADSL…非対称デジタル加入者線のこと。従来の電話回線をそのまま利用して、高速
データ通信を行うことができる。上り(加入者のパソコンからインターネッ
トへ)と下り(インターネットから加入者のパソコンへ)の伝送速度が異な
り、このため「非対称」と呼ばれている。
・ダウンロード…ほかの場所にあるパソコンやサーバーのデータおよびソフトを、ネット
ワークを通じて入手すること。ホームページの読み込みを指すこともあ
る。
<title>利用した覚えのない国際電話料金請求トラブル−“画像型”大幅減、“音声型”減少
8
なお要注意−</title>
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