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2005.11月号

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2005.11月号
移住者の会
11 月号
移 住 者 の 会 年次総会と講演会の報告
去る 2005 年 10 月 15 日(土曜日)午後 6 時より NNMHC(日系ヘリテージセンター)で移住者の会年次総会が行われました。主な
議題は移住者の会の解散と JCCA への会員の参加であり、9 月の役員会で承認されたこの計画について、下記のような JCCA の
目的を認めたうえで、総会の承認を得られました。 この組織的変更について、10 月 17 日の JCCA 理事会の承認も得られました。
役員は辞任されたヘルゲッツ妙さんを除いて前年度から留任、新たにゲーナー久子さんが参加することになりました。
会解散と J C C A へ の 参 加
具体的には、以下のような組織的変更を実施することになります。
― 2005 年 12 月31日に移住者の会を解散して、JCCA 内に日本語委員会(仮称)を組織する。
― 日本語委員会の代表(委員長)は JCCA の理事会に参加して定期的に委員会の活動報告を行う。
― 当分の間、移住者の会の会報は移住者のページとして月報に掲載する。
― 移住者の会会員には JCCA に会員として参加し、「月報」を継続して購読するよう訴える。
― 今年末に日系センター内の事務室の賃貸を停止する。
― 委員会の会合等に関して、JCCA 事務室を使わせてもらう。
J C C A とは
JCCA の正式の名称は Japanese Canadian Citizens’ Association of Greater Vancouver。バンクーバーとその周辺地域に在住
する約 2 万人の日系人を代表するコミュニティの団体で、第二次大戦直後、日系人の完全な公民権の獲得を目指して設立されまし
た。その後一貫して人権の擁護や差別の撤廃などを目指して活動しています。
戦後の技術移住が始まった 1960 年代末には、日本語部会を設けてオリエンテーションなど新移住者を援助する活動を行ってい
ました。(詳しくは「グレーターバンクーバー移住者の会創立 25 周年記念誌」、2002 年、 28−31 ページを参照) 現在、JCCA は
日系センター内に事務所を持ち、全カナダ日系人協会(NAJC)の加盟団体としても活動しています。
なお、JCCA は規約(1999 年)の中に以下のような目的(要約)を列挙しています。
―差別に反対し、全ての人の権利と自由を擁護する。
―カナダ市民にカナダ市民権に固有の権利や義務について周知徹底させる。
―日系文化を奨励、関連のコミュニティ活動を支援する。
―カナダの一般市民を対象に日系人の歴史や文化についての教育活動を行う。
―カナダや諸外国の多文化主義諸団体との連絡を密にする。
―個人、家族、コミュニティのレベルでの日系カナダ人の文化的アイデンティティ、社会開発、福利増進などの活動を支援する。
―会員、日系人にとって重要な問題を討論するための場として定期刊行の雑誌を発行する。
このような JCCA の目的が、従来の移住者の会の様々な活動 (会報や市民権ガイドの発行、法律講習会、日系人の社会や歴史
に関する文化講演会、国際結婚ワークショップ) と重なり合うところが多いと思われます。
今後とも会員の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
講演会とエンターテインメント
年次総会に引き続いて、大河内南穂子氏によるボランティア活動を主なテーマにした講演会が行われました。演題は「コミュ二テ
ィ・グループはリーダー次第か − 日系社会団体の活性化には今、何が必要か?」 大河内さんは移住者の会の元役員。30 年余
りの当地在住のごくはじめの時期から、女性グループを発足させ、その活動を現在にいたるまで続けておられます。サレ−地域の
すみれ会、そして、日系センターでのコスモスの会などで指導的な役割を演じておられます。当日もコスモスの会の会員などに出席
を勧められ、大勢の参加者がありました。大河内さんはその豊富な経験に基づいて、ボランティア活動の人材の見つけ方、適材適
所の協力要請の仕方など、具体的な方法についてお話いただき、参加者は得られるところが多かったと思います。
(写真は大河内南穂子さん、写真提供:菊池友理)
講演に続いて浮田知義氏に津軽三味線と笛の演奏をお願いしました。賑やかな「ジャンガラ節」や物静かな横笛の「風林火
山」など変化に富んだプログラムで、参加者一同、大いに楽しませてもらいました。
(写真は浮田知義氏、写真提供:菊池友理
年次総会活動報告
10月15日の移住者の会年次総会では天野会長から以下のような活動報告がおこなわれました。
1.
役員(2004 年 10 月∼2005 年 9 月)
会長 :天野美恵子
副会長:鹿毛達雄
会計 :高橋政司
書記 :蛭田栄美子
池永清
ヘルゲッツ妙
スチュワート範子
小林裕子
2、会合(2004年11月∼2005年10月)
毎月第3木曜日、8月を除く
3、各種行事 講演会
2004年11月25日 依存症とその対応 佐竹直子
2005年1月22日
日系コミュ二ティ合同新年会
4月19日
日本語 英語による国際結婚ワークショップ
5月26日
浮世絵師と版元 後藤朋子
7月30日、31日 パウエル祭 古本の販売
10月15日 年次総会、大河内南穂子さんの講演
浮田知義さんによる津軽三味線の演奏
4、 会報 主な寄稿と寄稿者
11月 日系カナダ人体験史から見る日本文化(講師:柴田祐子)講演レポート
随筆「移住者生活、気を効かす」笠原修
12月 2004年∼2005年の新役員選出
野鳥の声が CD に
高橋清
海外在住者年金の裁定請求の手続きについて
1月 役員からの年頭のご挨拶と抱負
依存症とその対応 佐竹直子(精神科医師)
2月
日本の平和憲法を大切にしよう 志道良夫
選挙のしくみ、投票ガイド 天野美恵子
「稲むらの火」 鹿毛達雄
共依存と結婚制度
ヘルゲッツ妙
3月 物とサービス交換バンクについて登録しよう
真似ることと独創性、ゲイ レズビアン問題 鹿毛達雄
4月 平和を守るために 鹿毛達雄
「私達に出来ること」 増川千鶴子
5月
6月
7月
8月
9月
隣組と私 西岡佳余子
浮世絵と版元(スライドと講演) 後藤朋子
平和と反日デモの背景
鹿毛達雄
ロイ ミキ著 REDRESS を読んで 篠原ちえみ
賑やかだった「すみれ会」25周年祝賀会
世界各地日系人移住者の共通関心は 鹿毛達雄
「反日デモ」で思ったこと 志道良夫
バンクーバー九条の会結成のお知らせと参加の呼びかけ
ホスピスとは 天野美恵子
小野瀬さんの「田んぼ計画」 ヘルゲッツ妙
第13回パンアメリカン日系大会から 鹿毛達雄
「出稼ぎワークショップ」 鹿毛達雄
ホスピス便り「生命の値段」 天野美恵子
会の今後を想う(1)
「会の今後を考える」(2)
ホスピス便り「燃え尽きて」 天野美恵子
年次総会のお知らせ
5
ファンド レイジング
7月30日、31日 パウエル祭での古本の販売
6
役員交代 新任: ゲーナー久子さん、 辞任: ヘルゲッツ妙さん
「バンクーバー九条の会」より映画と懇談会のおしらせ
日時
場所
:
:
参加費 :
2005 年 11月18日〔金曜日〕 午後 7 時−9時
隣組
511 East Broadway, Vancouver
電話 (604) 687-2172
5ドル(会場費として)
映画:「日本国憲法 英語版」 (Japan’s Peace Constitution)
主催:バンクーバー九条の会
日本人だけではなく、世界の人々、わけても近隣諸国の人々は日本の憲法をどのようにみているのでしょうか? 永
らく日本に住み、日本を勉強し続けているアメリカの監督、ジャン・ユンカーマン氏がアメリカの歴史家ジョン・ダワー
氏、日本の社会学者、日高六郎氏などをはじめとする12人の文化人のインタビューを元に製作した記録映画で、穏やかに
透徹した目で憲法を眺めたユニークな作品です。英語サブタイトル付きですから 、一人でも多くの方の参加をお願いいた
します。映画の後に懇談のひと時を用意しております。
お問い合わせ:かがみ
(604) 688-7652
のりまつ (604) 987-2728
まつだ
(604) 274-6641
にしざわ (604) 990-9041
つるた
(604) 524-1869
ホスピス便り「猫のニャンコ」
天野美恵子
古びた建物の三階に二匹の猫が同居しているホスピスがあります。数年前の雨の日、外出中の患者さんが裏道に捨てら
れた一匹の子猫を上着の中に隠して持ち帰ったのでした。
「子猫を追い出すのなら、自分もここを出てホームレスになる。」と叫んだ患者さんに同情した他の患者さんがどこから
か痩せた猫を連れてきました。患者さん達の強い願望にホスピスの責任者も反対できず、二匹の猫は居候になりました。
この猫達は数えきれないほどの幾つも名前を持っています。視力が弱って日常生活も不自由なご様子の G さんは痩せた
猫を「ミャンコ」と呼んで溺愛しました。ミャンコも G さんを慕ってどこへ行くにも一緒でした。朝が来るとミャンコ
は G さんのべットに飛び乗り寝ている G さんの鼻をザラザラした舌でペロリと舐めるのでした。 G さんの肩に乗り背中
にへばり付いて首や頭の髪の毛をペロペロと舐め始めました。其のうち G さんの手や足を舐め始めました。「恥ずかし
い」と言ってはお風呂に入るのを断っていた G さんはある日、自分から進んでお風呂に入ることになりました。ホスピ
スのお風呂は一般のご家庭のお風呂と違って風呂桶の中に移動式のべットが付いています。ここでは特殊入浴室と呼ばれ
ています。特殊入浴室は広さ約20畳ほどでタイル貼りの明るい入浴室です。浴槽は長さが3メートル、幅1メートル、
深さが80センチメートルの白い浴槽です。スイッチで浴槽の高さが調節できるようになっています。浴槽の中の底には
3センチメートルのパイプが貼りめぐらされていて、そのパイプには開いた幾つもの穴があり、小さな穴から空気が出て
泡風呂になっています。入浴する時はこの浴槽専用のストレッチャ−を使用します。ストレッチャ−とは移動式べットの
ことです。ストレッチャ−は上下に動き高さを調節することが出来ます。洋服を脱いだ患者さんが横になるとストレッチ
ャ−は少し横に揺れます。患者さんの好みによってお湯が浴槽に満たされるときに薬用入浴剤や香料油やオレンジの皮な
どを入れます。お湯の色を緑や青、黄色にすることもあります。湯舟に入った患者さんの好みの温度にお湯を調節します。
恥ずかしがりやの G さんには男性の入浴専門介護士が付き添いました。ミャンコは特殊入浴室のドアの外で G さん出て
くるのを待ちました。「ああ、気持ちが良かった。」と言って G さんが桜色になった暖まった手足で、さっぱりしたご
様子で特殊入浴室を出ていらした。喜んだミャンコは G さんの足元で飛び回りました。くつろいだ G さんはラウンジの
南側に置いてある揺り椅子に座り、膝にミャンコを乗せて「荒城の月」をハミングしていらっしゃいました。明るい陽射
し中、穏やかな絵になる光景を瞬間見つけたホスピスでの私の秋の午後でした。
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