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Cerasus `Kakegawa`

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Cerasus `Kakegawa`
カケガワザクラの起源を探る
Research the origine of Cerasus ’Kakegawa’
三澤 恒汰・岡本 海・神田 毬央・近藤 有輝・ 山下 拓海・村松 万里
1. カケガワザクラとはなにか
静岡県
ラダーマーカー
の示すDNA長
からサクラの
DNA長を解析.
④
D
N
A
の
読
み
取
り
三島遺伝学研究所
果樹研究所興津拠点
掛川市
カケガワザクラのDNA長読み取り用グラフ
1000
y = 20.295e0.0084x
R² = 0.9963
100
bp(log)
静岡県立掛川西高等学校 自然科学部 Team Cerasus
10
読み取り値
指数 (読み取り値)
1
0
100
200
300
400
pixel
※このグラフは実験の1例のものであり,数値は毎回変化する.
カケガワザクラ
Cerasus ‘Kakegawa’
4. 各サクラのSSR遺伝子長
・学校前を流れる逆川沿いに植えられている.
・2015年1月始業式での校長先生のお話で存在を知った.
・2012年新品種に認定.
6/12
6/14
電
気
泳
動
の
結
果
・カンヒザクラとヤマザクラの自然交配に
より生じたとされるが遺伝的根拠はない.
・カケガワザクラはカワヅザクラなのでは
ないかという声も上がっていた.
カワヅザクラ
カケガワザクラの起源を探るべく研究へ
Prunus lannesiana ‘Kawazu-zakura’’
シュゼンジベニカンザクラとカケガワザクラ
シュゼンジベニカンザクラ
2. サクラDNA解析方法の模索
・自家不和合性を持ち,一個体で増殖することがない.
・発見者である田旗氏が原木としている木からの
最初の接ぎ木が逆川沿いに植えられている.
・SSR遺伝子(単純反復配列遺伝子)を使って静岡県内の
サクラの系統解析を行ったという論文がある.
・カワヅザクラと非常に形質が似ている.
研究材料としての
カケガワサクラ
単位(bp)
カワヅザクラ
カワヅザクラとカケガワザクラ
カケガワザクラ のバンドをそれぞれ表している.
カケガワザクラ
カワヅザクラ
シュゼンジベニカンザクラ
カンヒザクラ
9回平均実験値
2回平均実験値
2回平均実験値
引用値
PMS67
165(±0)
187(±3)
165(±1)
191(±1)
165(±1)
171(±1)
165
165
M13b
178(±1)
184(±2)
172(±1)
184(±0)
172(±1)
184(±1)
184
184
M9a
139(±1)
141(±2)
139(±2)
141(±2)
139(±1)
141(±1)
139
139
64
64
カケガワザクラ
花の色
紫紅色
開花時期
3月上旬~3月中旬
樹の形
傘状
葉の長さ
11~15cm
M4c
64(±1)
70(±0)
64(±1)
70(±2)
64(±1)
70(±1)
カワヅザクラ
淡紅紫色
2月下旬~3月上旬
傘状
12~15cm
MA007a
108(±2)
118(±0)
104(±0)
118(±1)
108(±0)
110(±1)
論文の著者である太田智先生に,サクラの系統解析法につい
ての相談をしていだたくため果樹研究所興津拠点を訪問.
2015年3月上旬
・高校内ではアガロースゲルを用いた電気泳動法により解析
が可能.
・17種あるSSR遺伝子の中から5種,カケガワザクラの起源を
探るのに有効なものを選出.
太田先生のアドバイスをもとに実験を開始.
⇒DNAの精製・増幅ができず失敗.
三島の遺伝学研究所を訪問,高性能のポリメラーゼ酵素がサ
クラのDNA解析には有効.
東洋紡HPで「KOD FXを用いた植物葉からの迅速DNA増幅」
という手法を知り,実験を行う.
3月中旬
4月
5月
⇒5つのSSR遺伝子のうち,3つのDNA長が判明.
⇒実験方法を改良し,約30回の実験で残りのDNA長が判明.
・ゲルの変更 ・温度サイクルの計算 ・薬品組成の変更
6月-10月
PMS67
M13b
M9a
M4c
MA007a
104 108 104 112
5. カケガワザクラの起源
カンヒザクラ以外3品種の一方のハプロタイプがカンヒザクラの一方のハプロタイプ
と全てのSSR遺伝子において一致している.
カケガワザクラの片親はカンヒザクラである可能性が高い。
共通したハプロタイプと対立するハプロタイプにおいて,カンヒザクラ以外3品種間で
PMS67・M13b・MA007aがそれぞれ異なっている.
カケガワザクラはカワヅザクラ・シュゼンジベニカンザクラ
・カンヒザクラとは別品種である。
カケガワザクラと全く同じSSR遺伝子長を持つサクラは参考文献内にはない.
カケガワザクラは新品種である可能性が高い.
ゲルの歪み等によるDNA長測定の限界
3. 実験の手順
遺伝子座
各
D
N
A
断
片
長
Tm値(℃)
F
R
55
61
59
55
61
59
51
55
57
57
わかっていないもう一方の親の特定
アニーリング
温度(℃)
選出基準
53
57
57
53
53
カンヒザクラが164bpをホモに持つ
カンヒザクラが184bpをホモに持つ
カンヒザクラが139bpをホモに持つ
カンヒザクラに特有の64bpをホモに持つ
参考文献内にDNA長が17種あり多様である
プライマーの塩基配列
primer
PCR反応液
①
D
N
A
抽 サクラの葉を
出 ホモジェナイズ・
②
D
N
A
増
幅
遠心分離
PCR法で
DNA増幅
③
D
N
A
電
気
泳
動
PMS67
M13b
M9a
M4c
MA007a
F
AGTCTCTCACAGTCAGTTTCT
R
TTAACTTAACCCCTCTCCCTCC
F
AAGTGTGGGAGTCGGTGTCG
R
GCTCAATTTCGCTGCTTCCT
F
GCCGAAACCCTAGGTGAGCG
R
CAGGATGCTTGCGGTGCTTG
F
GAATTTGTTCTCTCTCTCTC
R
GGAAGCGTTCGTCTGCAAAT
F
GTGCATCGTTAGGAACTGCC
R
GCCCCTGAGATACAACTGCA
サイクル数
1回
温度(℃)
94
98
アニーリング温度
68
68
時間(秒)
120
30
30
60
420
35回
1回
新しいDNA解析法(シーケンス解析)による,
カケガワザクラの起源の完全な解明.
参考文献
謝辞
1. 「核および葉緑体DNA多型に基づく静岡県伊豆地域のサクラの解析」
太田 智・村上 覚・勝木 俊雄・石井 ちか子・稲葉 善太郎・山本 俊哉
2. 「遺伝研のさくら」 財団法人 遺伝学普及会
3. KOD FXを用いた植物葉からの迅速DNA増幅
http://www.toyobo.co.jp/seihin/xr/lifescience/tech/upload/upld96/
users/kodfx96un02.pdf
4. 日本花の会 桜図鑑 http://www.hananokai.or.jp/b/b3000.html
5. 掛川市役所 商工観光課 観光交流係 鑑定資料
研究にあたり多くの指導をして頂いた果樹研究所興津拠点の
太田智先生,試料となるカワヅザクラ・シュゼンジベニカンザクラ
を提供してくださった遺伝学普及会の皆様,DNA解析について
基本的な指導をしていただいた静岡大学徳元俊伸教授,その他
研究にご協力いただいた先生方に心よりお礼申し上げます.
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