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2013 年度 主要国・地域におけるコールドチェーン調査

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2013 年度 主要国・地域におけるコールドチェーン調査
2013 年度
主要国・地域におけるコールドチェーン調査
(フィリピン)
2014 年 3 月
日本貿易振興機構(ジェトロ)
マニラ事務所
農林水産・食品部
農林水産・食品調査課
【免責条項】
本報告書で提供している情報は、ご利用される方のご判断・責任においてご使用下さい。ジェトロで
は、できるだけ正確な情報の提供を心掛けておりますが、本報告書で提供した内容に関連して、ご利用
される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、ジェトロは一切の責任を負いかねますので、ご了承
下さい。
はじめに
ジェトロは2013年度、主要な新興国・地域(中国、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、
インドネシア、インド)において、コールドチェーンの実態について調査を実施いたしまし
た。
新興国向けの農林水産物・食品輸出の課題のひとつに、コールドチェーンの整備状況
が挙げられますが、そもそもそれら国・地域におけるコールドチェーンの状況に関する情
報が不十分であるとの声が寄せられていました。
本調査では、空港・海港から小売店までの流れ、冷蔵施設数や容量、主な事業者のほ
か、コールドチェーンに対する脆弱な電力事情等のハード面の課題や取扱業者不足等ソ
フト面の課題などについて明らかにすることを目的としています。
本報告書は、日本の中小企業の皆様向けに作成しておりますが、農林水産物・食品輸
出に取り組む方のみならず、農林水産物・食品産業に関わる皆様にお役に立てば幸甚で
す。
2014年3月
日本貿易振興機構(ジェトロ)
マニラ事務所
農林水産・食品部
農林水産・食品調査課
目次
1.要旨...................................................................................................................................... 5
2.調査の概要 ........................................................................................................................... 3
2.1 目的.............................................................................................................................. 3
2.2 調査手法および時期 ..................................................................................................... 3
3.フィリピンの基礎情報 ............................................................................................................. 4
3.1 国土および気候 ............................................................................................................ 4
①国土 .............................................................................................................................. 4
②気候 .............................................................................................................................. 4
3.2 輸入および検疫規則 ..................................................................................................... 5
4. 主要日本産品の流通実態 ................................................................................................... 6
4.1 フィリピンで流通する日本産魚介類および日本酒類の流通 ............................................ 6
①
魚介類 ................................................................................................................... 6
②
日本酒 ................................................................................................................... 7
4.2 フィリピンにおける小売構造 ........................................................................................... 8
5. 主要地域におけるコールドチェーンの現状 ........................................................................ 10
5.1 物流............................................................................................................................ 10
(参考)フィリピンの輸入関税および諸税・手数料 ..................................................................11
5.2 主要な施設の状況 ...................................................................................................... 12
①港湾施設 .................................................................................................................... 12
③
市内冷蔵・冷凍倉庫施設 ..................................................................................... 15
5.3 卸・小売りサイドからのコールドチェーンに対するニーズ ............................................... 22
5.4 ハード面やソフト面での課題 ........................................................................................ 22
①電力インフラ ................................................................................................................ 22
②首都圏における渋滞および大型貨物トラック規制 ......................................................... 22
③政府の政策 ................................................................................................................. 22
6. 冷凍・冷蔵電化製品の市場動向 ........................................................................................ 23
6.1 一般家庭用................................................................................................................. 23
6.2 業務用 ........................................................................................................................ 23
<アンケートのお願い> ......................................................................................................... 24
1.要旨
フィリピンは年間の平均気温が約 28.6℃と高く、最も暑い 4~5 月には早朝でも 30℃を越え、日
中は 40℃近くに上るため、生鮮・冷蔵品にとっては昼夜を問わず低温管理が必要な環境である。
フィリピンでは 2002 年にコールドチェーン協会が設立され、現在低温物流・倉庫事業者約 30
社に加え、小売・卸等、計 100 社が会員企業となっている。2011 年には冷蔵・冷凍物流および倉
庫事業者に対し、農業省による許認可制度が義務付けられ、さらに同省による 3 段階の格付け制
度(任意)も整備された。コールドチェーン協会の会員企業かつ農業省からの格付けも受けている
事業者においては、マニラ首都圏および地方主要都市に低温倉庫を設けており、現地の大手食
品メーカーや外資企業にも利用されている。輸入港(主にマニラ港)に到着してから小売店舗に輸
送されるまで、このような事業者に委託すれば食品の温度管理は保たれると考えてよい。
港湾ターミナルは運営が民間企業に委託されており、貨物の大半を取扱うマニラ国際コンテナ
ターミナルでは、フィリピン国外でも経験と実績を誇る現地資本の大手企業が運営しており、冷蔵・
冷凍コンテナ用の電源設備(有料)も整備されている。通常、輸入通関には 3~5 日かかるが、この
間、冷蔵・冷凍コンテナは設定された温度で保管される。ターミナルから市内の倉庫までは 1~2
時間かかり、この間も冷蔵・冷凍トラックもしくは電源を備えコンテナの積込み可能なトラックで輸送
される。倉庫は冷蔵用、冷凍用、急速凍結用、加工用と分かれていることが多く、通常、食品の種
類や顧客(要望により一部屋丸ごとを割り当てる場合もあり)によって保管部屋が分かれている。冷
蔵部屋は 0~5℃、冷凍部屋は-25~-18℃、急速凍結部屋は-40~-30℃の設定が一般的
である。また、低温倉庫の利用料は、一トンもしくは一パレットあたり 100 ペソ1前後/日であり、企
業によっては 3 割ほど下げた低価格設定戦略を取っていることもある。市内の大手低温倉庫では
情報システムによる入出庫管理や配送管理を行っており、在庫精度は約 99%である。低温倉庫か
ら小売店舗までは通常約 30 分~2 時間かかるが、冷蔵・冷凍品は低温倉庫と同じ温度が保たれ
た状態で配送される。
フィリピンのコールドチェーンにおける今後の課題としては、①地方都市におけるコールドチェー
ンの整備、②高い電気代による事業者のコスト増への対応(省エネサービス等)、③マニラ港およ
びマニラ首都圏における渋滞緩和、④政府による温度管理に関する規定の明確化などが挙げら
れる。①については大手事業者が地方都市への投資を進めているところであり、数年内には稼動
の見込みである。②の省エネ対策としては、太陽光パネルを活用した施設等、エネルギーサービ
ス業界からも提案が挙がり始めている。③の渋滞対策としては大型貨物トラックに対する主要道路
の運行時間規制があるものの、長期的には交通インフラ全般の改善が必要とされる。④政府による
食の安全に対する取り組みとしては 2013 年に「食の安全に関する法律(Food Safety Act)」が制
定されたばかりであり、具体的な規則は農業省を中心に作成が進められているところである。
1調査時点において
1 ペソ=約 2.4 円。
Copyright (C) 2014 JETRO. All rights reserved.
2
2.調査の概要
2.1
目的
本調査は、フィリピンにおけるコールドチェーンの実態を調査し、日本産冷蔵・冷凍食品輸出の
可能性のある中小企業等へ情報提供することを目的とする。調査の主な対象は冷凍海産物およ
び日本酒とする。
2.2
調査手法および時期
本報告書に記載されている情報は、政府機関による統計データ、コールドチェーン関連事業者、
小売、飲食業、輸入業者等の公開情報および関係者へのインタビューに基づいている。
調査実施時期は、2013 年 11 月~2014 年 1 月である。なお、報告書に記載されている各商品
の小売価格は 2014 年 1 月下旬のマニラ首都圏大手スーパーマーケットおよび家電量販店におけ
るものである2。
2
小売価格の通貨単位はペソ。
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3
3.フィリピンの基礎情報
3.1
国土および気候
①国土
フィリピン共和国は、約 7,100 の島々からなる島嶼国家である。国土面積は日本の約 80%に
あたる約 30 万平方kmで、大きくはマニラ首都圏を含むルソン地方、ビサヤ地方(中心都市セ
ブ)、ミンダナオ地方(中心都市ダバオ)という 3 つの地域に分けられる。
②気候
フィリピンは熱帯海洋性気候であり、主に雨期と乾期に分けられる。雨期3は 5~11 月、乾期は
12~4 月であり、年間平均気温は約 28.6°C4、月間平均気温が 30℃を超える最も暑い月は 4~5
月である。暑い月は日中気温が 37℃を上回ることもある。
【図表 1】フィリピン雨温図
出所:フィリピン気象庁データ
3
4
月間平均雨量が 150mm を超える月
出所:フィリピン気象庁 2012 年データより。なお、2010~2012 年の平均年間気温は 28.7℃。
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4
3.2
輸入および検疫規則
海外からフィリピンに食品を輸入する場合、事前に営業許可(License to Operate)及び製品登
録証明(Certificate of Product Registration)を取得する必要があり、政府管轄機関は食品の
種類によって異なる。鮮魚及び魚介類の場合は、農業省漁業水産資源局(Bureau of Fisheries
& Aquatic Resources: BFAR, Department of Agriculture)、日本酒の場合は、厚生省食品薬
品管理局(Food and Drug Administration: FDA, Department of Health)である。通常、上
記営業許可及び製品登録証明は輸入業者若しくは流通業者が取得する。また、水産物について
は輸入通関の際、検疫が義務付けられている。
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5
4. 主要日本産品の流通実態
4.1
フィリピンで流通する日本産魚介類および日本酒類の流通
① 魚介類
日本からの魚介類(鮮魚・冷凍)の輸入量は約 2 万トン(2013 年推定)であり、過去 5 年で年平
均約 6%増加している。輸入額(FOB)は約 2,500 万米ドルであり日本からの食品輸入総額の約 7
割を占める。
日本から輸入されている魚介類の内訳はサバが約 6 割と最も多く、次いでカツオが約 3 割、イワ
シが 1 割弱である(2012 年)。また、キハダマグロも輸入量上位 5 位に入るが年によって量に大き
な差がある。
日本から輸入される魚介類の大半はフィリピンの大手食品メーカーによって缶詰等に加工され欧
米諸国に輸出される。一方、消費者向けには日本食レストランに卸されたり、現地の日本食材店等
で冷凍のまま販売されたりしている。
【図表 2】日本からの魚介類輸入額及び量推移
30
25,000
25
20,000
20
15,000
15
10,000
10
5,000
5
-
2008
2009
2010
輸入額合計(FOB)
(百万米ドル)
2011
2012
2013(推定)
輸入量合計(トン)
出所:国家統計局データより作成
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6
トン
百万米ドル
日本からの魚介類(鮮魚・冷凍)輸入
【図表 3】日本から輸入される魚介類の内訳
出所:国家統計局データより作成
② 日本酒
日本からの日本酒の輸入量は約 78 トン(2012 年)であり、2003 年から 2012 年まで輸入量は年
平均 26%増加している5。日本酒は主に日本食レストラン、日本食材店およびワインショップ等に流
通している。一般にフィリピン人は日本酒をほとんど飲まず、フィリピンにおける日本酒の主な最終
消費者は在比日本人と一部の欧米人である6。
フィリピンの日本食レストランで販売されており人気が高い清酒は、「一の蔵」、「八海山」、「久保
田」、「越乃寒梅」、「月桂冠」である。フィリピンで流通している日本酒は一部を除き、蔵元から直接
ではなく卸・小売経由で仕入れられている。日本の酒税が価格に含まれていることもあり、一般的
に日本の小売価格の約 2~3 倍となっている。
ただし「清酒」の輸入統計には「焼酎」が含まれていると推測される。焼酎は関税が 2014 年時点で 4%(JPEPA 税率適用の場
合。2018 年までに 1%ずつ下がりゼロとなる。JPEPA 税率適用でない場合は MFN 税率(15%)がかかり、さらに物品税がかかる
ため、関税も物品税もゼロである「清酒」として(違法申請して)輸入されるケースがあるためである。
6 稀にフィリピン人が日本人との付き合い等で日本酒を嗜むこともあり、それらの場合、例えば「上善如水」のような飲みやすいも
のが好まれる。
5
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7
【図表 4】日本からの日本酒輸入額及び量推移
6
100
5
80
4
60
3
40
2
トン
万米ドル
日本からの日本酒輸入
20
1
0
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008
輸入額合計(FOB)
(万米ドル)
2009
2010
2011
2012
輸入量合計(トン)
出所:国家統計局データより作成
【図表 5】フィリピンで流通している代表的な日本酒
銘柄
量
販売価格(飲食店)
1.8L
P5,500
720ML
P2,800
上善如水
1.8L
P4,000~4,800
梅錦 酒一筋
1.8L
P6,200
梅錦 栄冠
1.8L
P4,300
久保田 千寿
1.8L
P5,000~6,200
720ML
P3,000~3,500
剣菱 黒松
1.8L
P4,500
八海山
1.8L
P5,000~6,500
一ノ蔵 超辛口
1.8L
P4,000~5,000
菊水 辛口
720ML
P2,000
山田錦
1.8L
P4,200
上善如水 純米吟醸
出所:マニラ首都圏における代表的な日本食レストランにおけるメニュー価格より作成
4.2
フィリピンにおける小売構造
フィリピンにおけるモダントレード率は約 2 割(2012 年、売上ベース)であり、約 8 割は「サリサリ
ストア」と呼ばれる日用雑貨を取り揃えた零細小売店および伝統的市場(wet market、推定約 4
万市場)が占めている。サリサリストアは全国に約 60 万店あると言われており、各コミュニティ内に
複数、自宅から歩いていける距離にある。店主と顧客が顔見知りのため「ツケ」が利くことから、特に
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8
中間層以下の消費者層で広く利用されている。
近代型小売はマニラ首都圏に集中しているが、昨今、地方への進出も積極的である。2022 年ま
でにモダントレード率は現在の 21%から 27%まで増加する見込みである7。
【図表 6】フィリピンにおける小売構造(2012 年)
出所:Business Monitor International より作成
【図表 7】フィリピンにおける代表的な近代型小売店
種類
店舗名
ス
ー
パ
ー
マ
ー
ケ
ッ
ト
SM(シューマート)
80
概要
小売マーケットシェア No.1(6.5%)
中間層向け
Robinsons(ロビンソンズ)
64
中間層向け
Rustan’s(ルスタン)
22
富裕層向け
Landmark(ランドマーク)
2
中間~富裕層向け
S&R
8
会員制スーパー。
Puregold(ピュアゴールド)
コ
ン
ビ
ニ
店舗数
セブン・イレブン
159
1,000
中間層向け、卸機能も果たす
1984 年に進出。
2014 年内に 300 店舗オープン予定
ミニストップ
386
2001 年に進出
ファミリーマート
33
2013 年に進出
出所:各社ホームページ、アニュアルレポート、ニュースリリース等より作成
7
出所:Business Monitor International 2013
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5. 主要地域におけるコールドチェーンの現状
5.1
物流
日本からフィリピンへ輸出される冷蔵・冷凍貨物(海上輸送)は以下の流れで示すように 1 ヵ月前
後かかる。ただし、台風の多い時期や貨物量の多いクリスマス期には、さらに時間がかかることもあ
る。
生鮮食品用の冷蔵・冷凍貨物はマニラ港到着後、電源設備のあるコンテナヤード内で輸入通関
終了まで保管され(有料)、その後、輸入業者が契約する物流業者がマニラ港から首都圏の冷蔵・
冷凍倉庫まで運び、店舗への出荷までニーズに応じた設定温度で保管される。フィリピンの大手メ
ーカーや輸入卸業者、日系企業が利用している事業者(後掲)のサービスを利用すれば、各輸送
段階で一定の温度管理は可能である。倉庫内および輸送段階での消耗率に関する正確な数値は
ないものの、例えば倉庫内でフォークリフトのオペレーションミスにより商品を傷つけたり、輸送段階
で箱が落ちたりすることによる品質劣化は稀にあるものの、温度管理不足による品質劣化に関する
問題点はほぼないと言える。
【図表 8】貨物の流れと温度管理状況
(所要日数)
(温度帯)
製造元
↓
輸出倉庫
↓
輸出通関(約 1 週間)
輸出港
↓
輸入港
(マニラ港)
↓
市内倉庫
↓
店舗
冷蔵(0~5℃)
・冷凍(-25~-18℃)
(2 週間~1 ヵ月)
輸入通関(3~5 日)
コンテナ
コンテナヤード内に電源設備あり(冷蔵・
冷凍コンテナ内の設定温度を保温)
通関手続き終了後、その日
冷蔵・冷凍トラックあり
中に輸送
冷蔵(0~5℃)
・冷凍倉庫(-25~-18℃)
(1~2 時間)
あり
(保管)
倉庫から首都圏店舗へは
30 分~2 時間
冷蔵(0~5℃)
・冷凍トラック
(-25~-18℃)あり
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10
(参考)フィリピンの輸入関税および諸税・手数料
フィリピンにおける輸入関税および諸税・手数料は以下のように定められている。
〔輸入関税および諸税・手数料合計〕
=輸入関税+VAT(付加価値税 12%)+輸入手続き料+物品税
VAT(付加価値税)
=(輸入課税額+銀行手数料+輸入関税+ブローカー手数料(a)+貨物積み卸し料(b)
+埠頭使用料(c)+印紙税(d)+輸入手続き料(e))×12%

(a) 通関ブローカー手数料
輸入品の課税対象額(CIF 価格)
1 万ペソ以下
1 万ペソ< 2 万ペソ以下
2 万ペソ< 3 万ペソ以下
3 万ペソ< 4 万ペソ以下
4 万ペソ< 5 万ペソ以下
5 万ペソ< 6 万ペソ以下
6 万ペソ< 10 万ペソ以下
10 万ペソ< 20 万ペソ以下
20 万ペソ<
通関ブローカー手数料
P1,300
P2,000
P2,700
P3,300
P3,600
P4,000
P4,700
P5,300
20 万ペソ分に対して P5,300、
20 万ペソを超える額の 1%の 8 分の 1
出所:関税局 2001 年行政命令 No.1-2001 より作成

(b) 貨物積み卸し料、(c) 輸入港埠頭使用料および保税地区保管料
コンテナ
(b) 貨物積み卸し料
(c) 埠頭使用料
保管料(5 日間までは無料、
サイズ
(arrastre charge)
(コンテナあたり)
6 日目以降 1 日あたり)
20ft
P4,174.24
P519.35
P240.65
35ft
P4,174.24
P656.85
P421.10
40ft
P9,577.12
P779.05
P481.30
50ft
P9,577.12
P916.50
P541.45
出所:Philippine Port Authority より作成(2014 年 1 月時点)

(d) 関税印紙税(Customs Documentary Stamp) P250(一律)

(e) 輸入手続き料(Import Processing Fee)
輸入品の課税対象額(CIF 価格)
25 万ペソ以下
25 万ペソ< 50 万ペソ以下
50 万ペソ< 75 万ペソ以下
75 万ペソ<
出所:関税局 2001 年行政命令 No.2-2001 より作成
輸入手続き料
P250.00
P500.00
P750.00
P1,000.00
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11
5.2
主要な施設の状況
①港湾施設
マ ニ ラ 港 で 国 際 貨 物 を 取 り 扱 っ て い る の は 、 マ ニ ラ 国 際 コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル ( Manila
International Container Terminal: MICT)と南港(South Harbor)の2つであり、ともに運営は
民 間 企 業に 委 託 され てい る 。前 者 は International Container Terminal Services, Inc.
(ICTSI)、後者は Asia Terminal Inc.(ATI)が運営している。
E スービック港
■■
A マニラ港
■
B セブ港
D カガヤン・デ・
オロ港
■
■
C ダバオ港
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12
a) マニラ国際コンテナターミナル(MICT)
運営主体名
International Container terminal Services, Inc. (ICTSI)
URL
www.ictsi.com
会社概要

1988 年運営開始(フィリピン初の民間コンテナターミナル運営事業者。政
府と 50 年の業務委託契約)

マニラ港での全国際貨物量の約 65%を取り扱う(2013 年は前年比 10%
増)。1 日の取引(≒トラックの積荷)は 3,000~5,000 件。

最大取扱能力は 250 万 TEU

コンテナヤードは約 33 ヘクタール(ターミナル面積約 75 ヘクタール)

マニラ港以外にスービック New Container Terminals 1&2、バタンガス
Bauan Terminal、ダバオ Sasa Wharf、ジェネラルサントス Makar
Wharf、ミサミスオリエンタル Mindanao Container Terminal、タグム
Hijo International Port を運営する。また海外でもインドネシア、ブルネ
イ、沖縄、中国、インド、パキスタン、米国、欧州、中東、アフリカで事業を展
開するグローバル企業である。
冷蔵施設

船からコンテナを降ろし、電源を差し込める状態になっている(ICTSI がコ
ンテナを開けることはない)ため、冷蔵・冷凍コンテナの温度を保持できる
(冷凍コンテナは通常-18℃)
・ 電源使用料は 40 フィートコンテナの場合 1 日あたり 60~70 ペソ。
今後の方向性
・ ICTSI はマニラ港における混雑を考慮し施設拡張を行いたいと考えている
が、政府はマニラ港以外の港(スービックやバタンガス港)の利用を高めるこ
とでマニラ港の混雑を緩和させたい方針であり、マニラ港における貨物量の
上限を設けようとしている。ICTSI は現在の状況が続けば、3 年後にはマニ
ラ港が機能しなくなるくらい飽和状態になると危惧している。
その他
・ コンテナヤードの物流管理に IT システムを利用しており、顧客(トラック)は
コンテナの場所を容易に探すことができる仕組みになっている(以前はシス
テムがなくトラックの列ができたり、賄賂を支払って先に入ろうとするトラック
等がいたが、現在はこのような問題は解消された)。
輸入取扱品目
・ マニラ港での取り扱いが多い上位 5 品目は、冷凍豚肉、冷凍鶏肉、冷凍牛
肉、ぶどう、冷凍イワシ
出所:ICTSI へのヒアリングより作成
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13
b) マニラ港南港
運営主体名
Asia Terminal Inc.(ATI)
URL
http://www.asianterminals.com.ph/
会社概要

マニラ南港(2038 年までの政府との業務委託契約)以外にバタンガス港、
ジェネラルサントス港の運営を担う。
冷蔵施設

2013 年の貨物取扱量は約 100 万 TEU。

マニラ南港のコンテナヤードは約 30 ヘクタール。

約 200 コンテナ用の電源を整備しており、コンテナ内で設定している温度
を保つことが可能。
今後の方向性

電源使用料は、初めの 6 時間が固定料金でその後 1 時間毎に追加料金。

バタンガス港も冷蔵・冷凍貨物用に電源施設を整備したところである。

中国からの冷蔵・冷凍商品が増えているため電源設備を増やす方向。

取扱能力を 100 万 TEU から 190 万 TEU に上げることを目標に拡張を計
画している。
その他

コンテナ到着から引渡しまで書類が全て揃っていれば3~4時間で引き渡
し可能。

貨物管理は IT システムを導入して行っている。

バタンガス港はまだあまり活用されていないこともありマニラ港の混雑が常
態化している。
出所:ATI へのヒアリングより作成
② 空港
フィリピンには、国際空港は 10 か所あり、マニラ首都圏にあるニノイ・アキノ国際空港
が主要空港で 2 番目がセブ国際空港、3 番目がダバオ国際空港となっている。2012 年のニ
ノイ・アキノ国際空港の国際線及び国内線を合わせた旅客利用者数は約 3,190 万人で成田
国際空港の旅客利用者数と同程度となっている。
国際空港貨物量は合計約 32 万トンであり、
うち 97%の 31 万トンをニノイ・アキノ国際空港が占めている状況。なお、日本からニノイ・
アキノ国際空港までは片道約4時間で、福岡、大阪、名古屋、羽田及び成田間のフライト
が就航しており、セブ国際空港へは成田国際空港からフライトが就航している。
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14
③ 市内冷蔵・冷凍倉庫施設
フィリピンでは 2002 年にコールドチェーン協会(Cold Chain Association of the Philippines:
CCAP)が設立された。設立の契機となったのは 1998 年に米国農務省が実施した 28 ヵ国におけ
る調査で、これは米国からの輸出品が輸出先国できちんと管理・ハンドリングされているかを確認
するためのものであった。フィリピンはコールドチェーンに関する組織を作り、その質を高めるべき
であるという調査結果および提言に基づき、同協会が設立されることになった。冷蔵・冷凍施設事
業者を中心とした 9 社から始まり、現在では約 100 社が会員となっている。その内、冷蔵・冷凍施設
および物流の事業に従事しているのは約 30 社で、残りは食品加工メーカー、輸入業者、小売、飲
Copyright (C) 2014 JETRO. All rights reserved.
15
食店等である。CCAP は米国 Global Cold Chain Alliance にも加盟している。
CCAP によると、フィリピン国内で生産・加工された生鮮・冷蔵食品の約半分はコールドチェーン
を利用していない(冷蔵設備のないウェット・マーケットで販売されている)が、輸入品に関しては商
品価値が高いこともあり冷蔵・冷凍輸送および保管がなされている。現在、マニラ首都圏内には冷
蔵・冷凍倉庫が整備されており、港から市内倉庫までの輸送時間は 30 分~約 1 時間とそれほどか
からない。一方、地方都市におけるコールドチェーン整備はこれからであり、現在、代表的な事業
者が設備投資を行っている状況である。フィリピン経済の成長および消費者による食品の安全性
に対する意識の高まりにつれ、コールドチェーン設備は増加傾向にある。
冷蔵・冷凍倉庫を事業として営むには農業省からの認可が必要となっている(農業省 2011 年省
令 No.21)。さらに農業省は冷蔵・冷凍倉庫への認定制度(任意)を設けており、農業省のアセスメ
ントによって一定基準を満たした事業者は3段階(AAA、AA、A)の評価に分類される。また、生
鮮・冷蔵・冷凍肉に関しては、冷蔵・冷凍倉庫内に国家食肉検疫局(National Meat Inspection
Service: NMIS)の検査官常駐用の部屋を設けることが義務付けられており、輸入された該当肉
類は倉庫にてコンテナから降ろされる際に検査官が全品検査を行っている(共和国法 10536 号第
4 条(共和国法 9296 号改正法)「フィリピン肉検疫に関する法」)。
【低温倉庫の立地状況】※立地場所の市名を記載
Valenzuela
マニラ首都圏
Quezon City
Malabon
Navotas
Marikina
Caloocan
San Juan
■
Manila
Pasig
マニラ港
Mandaluyong
Taguig
Pasay
Paranaque
Makati
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以下はコールドチェーン協会の会員企業であり、現地大手食品メーカーや小売向けの食品を扱
う冷蔵・冷凍施設および物流業者の概要である。いずれもフィリピン企業である。
(i) Koldstore Centre Philippines
会社名
Koldstor Centre Philippines(100%比資本)
URL
www.koldstor.com
業績
売上約 1 億 2,500 万ペソ、純利益 1,400 万ペソ
事業内容
冷蔵・冷凍施設
冷蔵施設数・大きさ、
冷凍倉庫 15 部屋(容量 4,500 トン)、0℃~-25℃
利用可能温度帯
冷蔵倉庫 4 部屋(容量 160 トン)
急速凍結倉庫 4 部屋(容量 14 トン)
冷蔵トラック数、
なし
利用可能温度帯
対象地域
マニラ首都圏
倉庫利用料金
100 ペソ/トン/日
利用に関する手続き
サービス契約で在庫精度(通常 99.5%)についても顧客と締結する。契
約で責任保証についても明言。
今後の計画
今後 4PL に事業を拡大予定。
主な顧客
San Miguel Purefoods (生鮮肉), Purefoods-Hormel, Magnolia(ア
イスクリーム)
課題認識
電気代の高さ、燃料代の上昇、地方自治体によって規則が異なる点等
住所
オフィス:Amang Rodriguez Avenue, Brgy. Manggahan, Pasig City
倉庫:Anabu Hills Industrial Estate Anabu I-C Imus, Cavite
連絡先
Tel: +63-2-641-5690
Fax: +63-2-643-8112
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(ii) Royal Cargo Combined Logistics, Inc.
Royal Cargo Combined Logistics, Inc.
会社名
農業省認定 AAA(最高ランク))
URL
www.royalcargo.com
業績
売上約 8,200 万ペソ、純利益約 1,000 万ペソ
事業内容
冷蔵・冷凍倉庫およびトラック
冷蔵施設数・大きさ、
カビテ倉庫とラグナ倉庫それぞれ:容量 4 百万 kg(総面積 23,800 ㎡)
利用可能温度帯
・サンプリング・ルーム 1 部屋
・冷蔵・冷凍倉庫 12 部屋(-20℃~15℃)
・急速凍結倉庫 3 部屋(-35℃まで)
(レイテ島のオルモックにも倉庫を設立したばかりだったが 2013 年の台
風による影響で被害を受け営業停止している)
冷蔵トラック数、
15 トン冷蔵・冷凍トラック 10 台
利用可能温度帯
2 トン冷蔵・冷凍トラック 140 台
40 フィート冷蔵・冷凍トラック 35 台
対象地域
ルソン島:マニラ首都圏、ラグナ、カビテ、バタンガス、アラバン、スービッ
ク、バタアン、パンパンガ、バギオ(マニラから陸路 5~7 時間北部まで)
ビサヤ諸島:セブ
ミンダナオ島:ダバオ
今後の計画
冷蔵倉庫で使用する設備を Danfoss から Logix に変更予定。Logix は
温度管理の精密度が上がり省エネ対策にもつながる。
主な顧客
Purefoods-Hormel (肉類), Argentina, Dutch Windmill(乳製品,
Bounty Fresh(肉類)。Purefoods(サンミゲル傘下)は倉庫以外に物流
も受託して行っている。
課題認識
電気代の高さ(コスト全体の 20~40%を占めるため影響が大きい)
住所
Royal Cargo Bldg., Sta. Agueda Avenue, Pascor Drive,
Paranaque City
連絡先
Tel.: +63-2-529-8167
出所:Royal Cargo Combined Logistics, Inc.提供資料
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(iii) Polar Bear Freezing and Storage Corporation
会社名
Polar Bear Freezing and Storage Corporation
URL
www.polarbear.com.ph
業績
売上約 8,000 万ペソ、純利益約 600 万ペソ
事業内容
冷蔵・冷凍倉庫
冷蔵施設数・大きさ、
倉庫 5 箇所(ルソン、ミンダナオ)、さらに 2 箇所(タギッグ市、ミンダナオ
利用可能温度帯
ドゥマゲッティ)現在建設中(2014 年完成予定)
【ビクタン(ルソン島)】
・冷蔵倉庫 6 部屋:各約 1,100 ㎡(-12℃~-18℃)
・加工用倉庫 1 部屋:約 200 ㎡(5℃~10℃)
・急速凍結倉庫 2 部屋:容量 2.5 トン/回
【カガヤン・デ・オロ(ミンダナオ島)】
- 冷蔵倉庫 4 部屋:各 1,500 ㎡(-12℃~-24℃)
・加工用倉庫 1 部屋:323 ㎡(5℃~10℃)
・急速凍結倉庫 2 部屋:容量 2.5 トン/回
いずれも最低-40℃まで設定可能。
冷 蔵 ト ラッ ク 数 、 利 用
なし
可能温度帯
対象地域
マニラ首都圏、ダバオ、カガヤン・デ・オロ、ドゥマゲティ(ミンダナオ島)
倉庫利用料金
100 ペソ/トン/日(平均)
今後の計画
地方への進出・拡大
主な顧客
Rustan’s(富裕層向けスーパー)、ファミリーマート(現地パートナー:
Rustan’s)(1部屋はすべてファミリーマート向け)
課題認識
社員教育を継続的に行うことで在庫ロス等の減少に努めている(在庫精
度は 98~99%)。
電気代が高くコスト高につながる(全コストの 37%が電気代)。
住所
#48 A. Rodriguez Ave., Manggahan, Pasig City
連絡先
Tel.: +63-2-646-2132
Fax: +63-2-681-6142
出所:Polar Bear Freezing and Storage Corporation
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(iv) Igloo Supply Chain Philippines
Igloo Supply Chain Philippines(YCH Group Pte. (Singapore)
会社名
and Horizons Realty, Inc. (Philippines))
(農業省認定 AAA(最高ランク))
URL
www.igloosupplychain.com.ph
業績
売上約 1 億 2,000 万ペソ、純利益約 2,300 万ペソ
事業内容
冷蔵・冷凍倉庫およびトラック
冷蔵施設数・大きさ、
総面積約 9,400 ㎡
利用可能温度帯
冷凍倉庫 1 部屋(-25℃~0℃)
急速凍結倉庫 1 部屋(-37℃)
冷蔵倉庫 1 部屋(1℃~5℃)
最近、ミンダナオ島ダバオにも施設を建設
冷 蔵 ト ラッ ク 数 、 利 用
2 トン冷蔵トラック 25 台(1℃~5℃)
可能温度帯
対象地域
マニラ首都圏
倉庫・トラック利用料金
冷凍倉庫(-22℃~-18℃):PhP68~PhP72/パレット/日
冷蔵倉庫(1℃~5℃):PhP63~hP66/パレット/日
(量等の条件により単価が異なる)
冷蔵トラック(2 トン、マニラ首都圏内):PhP3,200~PhP4,500
Selecta(アイスクリーム), Ministop(三菱商事と現地 JG Summit との
主な顧客
合弁), Wendy's, Robinson's Supermarket
課題認識
トラック運転手の業務態度(遅刻が多い、交通マナーが悪い等)
マニラ首都圏の交通渋滞
Manggahan Light Industrial Park,
住所
A. Rodriguez Ave., Manggahan, Pasig City
Tel: +63-2-681-0000
連絡先
(v) Glacier Refrigerated Services Corp.
会社名
Glacier Refrigerated Services Corp
URL
www.glacier.com.ph
業績
売上約 5,000 万ペソ、純利益約 500 万ペソ(2011 年)
事業内容
冷蔵・冷凍倉庫
冷蔵施設数・大きさ、
マニラ首都圏 2 箇所に倉庫があり、計 14,400 ㎡。
利用可能温度帯
冷凍倉庫 13 部屋(-22℃~-18℃)
冷蔵倉庫 1 部屋(1℃~5℃)
急速凍結倉庫 2 部屋(-40℃~-30℃)
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冷 蔵 ト ラッ ク 数 、 利 用
なし
可能温度帯
対象地域
マニラ首都圏
倉庫利用料金
パレット台数により以下:
1~19 パレット:95 ペソ/パレット/日
20~224 パレット:85 ペソ/パレット/日
225~350 パレット:75 ペソ/パレット/日
利用に関する手続き
契約は 6 ヵ月以上
今後の計画
需要が伸びているためマニラ南部のカビテに新倉庫を設立予定
主な顧客
CDO Foodsphere (肉類メーカー), Mayon Consolidated (肉・魚介類
輸入卸)
36C DBP Road, FTI Complex, Taguig City,
住所
#200 Pitimini cor Roosevelt Ave, Quezon City
Tel.: +63-2-285-1358 / 287-8902 / 386-2284
連絡先
Fax.: +63-2--287-8903
(vi) Icebox Logistics Services, Inc.
会社名
Icebox Logistics Services, Inc.(船舶・物流大手マグサイサイ子会社)
URL
http://www.magsaysay-logistics.com/
業績
売上約 8,200 万ペソ、純利益約 300 万ペソ(2012 年)
事業内容
冷蔵・冷凍物流・倉庫
冷蔵施設数・大きさ、
冷蔵・冷凍コンテナ:20 フィート 100 個、40 フィート 40 個(40 フィートコ
利用可能温度帯
ンテナの容量は 25 トン)
・-30℃まで設定可能
冷蔵トラック数、
グループ会社で冷蔵トラック保有
利用可能温度帯
対象地域
マニラ首都圏、全国の地方都市
トラック利用料金
・マニラ→セブ:20 フィートトラック 7 万ペソ
・マニラ→カガヤン・デ・オロ:20 フィート 7 万 3 千ペソ
・マニラ→ダバオ:20 フィート 8 万 8 千ペソ
今後の計画
需要増に合わせ、冷蔵・冷凍トラックを増加予定
主な顧客
現地大手食品メーカー(ジョリビー等ファーストフードのサプライヤー)、
ネスレ、ヤクルト等
住所
Times Plaza Bldg., UN Ave. cor. Taft Ave., Ermita, Manila
連絡先
Tel.: +63-2-527-5555
Fax.: +63-2--287-8903
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5.3
卸・小売りサイドからのコールドチェーンに対するニーズ
マニラ首都圏の卸・小売へのインタビューによると、首都圏における冷蔵・冷凍倉庫および物流
に対する大きな問題点は挙げられなかった。施設によっては清潔度が低かったり、機器類が故障
しても治すのに時間がかかったり等の問題点があるものの、上述したコールドチェーン協会に加入
している事業者のほとんどは、満足のいくサービスを提供しているとのことである。地方都市につい
ては事業者数がまだ少ないため、今後の大手事業者の地方進出・拡大が望まれる。
5.4
ハード面やソフト面での課題
①電力インフラ
フィリピンはアジア近隣諸国と比較すると電気代が高く、業務用はシンガポールの次に、家庭用
は日本の次に高い。フィリピン最大の配電会社メラルコによる平均売電単価は 2012 年に約 8.6 ペ
ソ/kWh、2013 年 1~9 月は約 9.1 ペソ/kWh であり、年間 5~6%の割合で上昇している。冷蔵・
冷凍倉庫における電力費用はコスト全体の 3~4 割に及ぶため、電気代の高さは事業者にとって
の課題である。これに対応するため、太陽光パネルを活用した施設や省エネ対策を当業界に提案
する動きも出てきている。また、大雨や台風の多い雨期には一日数時間停電になることもあるため、
事前災害対策の一環として冷蔵施設では自家発電を備えている。
②首都圏における渋滞および大型貨物トラック規制
マニラ首都圏では増加し続ける人口と交通インフラの未整備により渋滞が蔓延化している。渋滞
緩和策として政府は主要道路におけるトラックの通行時間規制を設けている。最大積載量が 4.5 ト
ン以上の貨物トラックや大型車両を対象に、最も交通量の多いエドサ通りのマガリヤネス~ノース・
アベニュー間では、日曜と祝日を除く午前 6 時~午後 9 時まで全面通行禁止、他の主要道路につ
いても平日の午前 6~9 時および午後 5~9 時の通行禁止を定めている(なお 2014 年 7 月まで規
制時間帯は午前 6~10 時、午後 5~10 時までに延長されている)(マニラ首都圏開発庁 1994 年
条例 No.05、2007 年決議 No.07-05)。そのため、大型貨物トラックは午後 9 時(2014 年 7 月まで
は午後 10 時)以降にマニラ港から市内倉庫まで輸入された貨物を運ぶことが慣行となっている。
引き続き、首都圏における交通インフラの整備による渋滞緩和が課題として挙げられる。
③政府の政策
2013 年 に 食 の 安 全 に 関 す る 法 律 ( Food Safety Act ) が 制 定 さ れ た が 、 施 行 細 則
(Implementation Rules and Regulations: IRR)がまだ作成されていない。またフィリピンの農
業省による省令(Administrative Order No.5-2012)では生肉が解体されてから市場で(冷蔵・
冷凍庫なし、外気温度にて)販売できる許容時間は「8 時間」とされているため、フィリピンコールド
チェーン協会からは、グローバル基準に比べ基準が緩いとの批判的な声も挙がっている。
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22
6. 冷凍・冷蔵電化製品の市場動向
6.1
一般家庭用
フィリピンの一般家庭における冷蔵庫の保有率は約 38%(2011 年)と低い8。特に下位 30%の貧
困層では保有率が約 8%であり、その日に購入した食材は同日中に消費され保存はされていない
実態が伺える。上位 70%の層における保有率を見ても約 51%とまだ普及率は低い。
フィリピンの小売で販売されている冷蔵庫の代表的なブランドは Samsung、LG、Condura、
Panasonic、Sharp、Sanyo である。容量は 1.8L の小型(冷蔵のみ)から 26L の大型まである。
【図表 9】家庭用冷蔵庫の小売価格
分類
超小型(冷蔵のみ)
小型(冷蔵のみ)
小型(冷蔵+冷凍庫)
中型(冷蔵のみ)
中型(冷蔵+冷凍庫)
大型(冷蔵+冷凍庫)
容量
50~100L 未満
100~200L 未満
100~200L 未満
200~400L 未満
200~400L 未満
400L 以上
店頭小売価格
約 7,000~9,000 ペソ
約 10,000~15,000 ペソ
約 16,000~20,000 ペソ
約 12,000~16,000 ペソ
約 16,000~70,000 ペソ
約 40,000~73,000 ペソ
出所:家電量販店店頭およびウェブサイト情報より作成
6.2
業務用
【図表 10】 冷凍倉庫価格
分類
冷凍倉庫
(-25℃~-18℃)
急速凍結倉庫
(-45℃~-30℃)
冷蔵倉庫(0℃~5℃)
容量
3.6m(長さ)×2.4m(幅)×
2.15m(高さ)(6Hp)
7m(長さ)×6m(幅)×
3m(高さ)(22Hp)
12m(長さ)×9m(幅)×
6m(高さ)(22Hp)
1.33m(長さ)×1.55m(幅)×2.35m
(高さ)(5Hp)
2.33m(長さ)×1.55m(幅)×2.35m
(高さ)(8Hp)
2.33m(長さ)×1.55m(幅)×2.35m
(高さ)(16Hp)
7m(長さ)×6m(幅)×
3m(高さ)(3Hp)
価格
約 35 万ペソ
約 94 万ペソ
約 190 万ペソ
約 54 万ペソ
約 61 万ペソ
約 94 万ペソ
約 26 万ペソ
出所:冷凍倉庫組立事業者へのヒアリングより作成
以上
8
出所:National Statistics Office, Annual Poverty Indicators Survey 2011
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<アンケートのお願い>
本報告書をご覧いただきありがとうございました。今後の調査テーマ選定などの参考に
させていただきたく、アンケートにご協力いただきますよう、お願い申し上げます。以下
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2013 年度
2013 年度主要国・地域におけるコールドチェーン調査
(フィリピン)
発行
2014 年 3 月
発行所 日本貿易振興機構(ジェトロ)
農林水産・食品部 農林水産・食品調査課
東京都港区赤坂 1-12-32
電話 03(3582)5186
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