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最近のエネルギー情勢を踏まえた 北陸港湾の可能性

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最近のエネルギー情勢を踏まえた 北陸港湾の可能性
最近のエネルギー情勢を踏まえた
北陸港湾の可能性
高野
1港湾空港部
2復興庁
政広1・大谷
港湾計画課
琢磨2・村上
(〒950-8801
地域班/インフラ構築班
学1・井出
正志1
新潟市中央区美咲町1-1-1
(〒107-0052
)
東京都港区赤坂1丁目9番13号
)
東日本大震災以降,日本においてエネルギー政策の転換や安定供給が大きな課題となっている.本論文
では,エネルギー資源の中でも,特に多くの関心が集まっている天然ガスに着目し,天然ガスを巡る情勢,
LNG(液化天然ガス)船,LNG基地・パイプラインの動向について整理した上で,日本の安定的なエネルギ
ー供給に資するエネルギー拠点としての北陸地方整備局管内の港湾(以下北陸港湾という)の可能性につ
いて考察した.
キーワード エネルギー,天然ガス,LNG(液化天然ガス),ガスパイプライン, 北陸港湾
そのため,ロシアでは,今後東シベリアや極東の石
油・天然ガス資源を積極的に開発し,アジア太平洋諸国
東日本大震災以降,日本においてエネルギー政策の転
(特に日本・韓国・台湾)への輸出を進めようとしてい
換やエネルギーの安定供給が大きな課題となっている.
る.日本においては,ロシアとの間でウラジオストク
また,震災以降,天然ガスシフトや再生可能エネルギー
LNGプロジェクトの覚書など,ロシア産LNG市場の開拓が
への転換に多くの関心が集まっており,特に,天然ガス
進んでいる.
については,原油に比べ,生産量・埋蔵量が特定地域に
さらに,最近は,アメリカにおいて,日本へのLNG輸
偏在しておらず,中東依存度が低いことや,温室効果ガ
出(シェールガスを含む)が解禁され,大きな話題とな
ス排出量が少ないことなど,重要なエネルギー源として
っている.これにより,ロシアでは,アメリカからの輸
注目され,需要が高まっている.近年では,通常の油田, 入が始まるまでに,日本で供給先を確保しようとする動
ガス田から生産される「在来型ガス」に加えて,在来型
きが激しくなることが予想されている.
ガスとは異なる場所から生産される「非在来型ガス」
本論文では,こうしたエネルギー情勢の変化を踏まえ,
(シェールガス,メタンハイドレート等)の開発が加速
天然ガスをめぐる情勢,LNG船,LNG基地・パイプライン
しており,シェールガスの可採埋蔵量は,全世界の在来
の動向について整理した上で,日本のエネルギー拠点と
型ガスの確認埋蔵量に匹敵(約60年分)するといわれて
しての北陸港湾の可能性について考察する.
いる.また,在来型ガスの確認埋蔵量はロシア,中東が
多い一方で,非在来型ガス(シェールガス)の可採埋蔵
2.天然ガスをめぐる情勢
量は,在来型ガスの分布とは異なり,中国,北米,アル
ゼンチンが多い.
(1) 天然ガスの需要見通し
こうしたなか,アメリカにおいては,2006年以降,シ
① アメリカのLNG輸入見通しが下方修正され、
ェールガスの生産が拡大し,将来のLNG(液化天然ガ
アメリカへの輸出ができなくなる。
③
② アメリカに輸出するはずであった天然ガスが
欧州市場へ流入し、天然ガス価格が下がる。
ス)輸入見通しが大幅に下方修正された.この影響を大
③ 従来ロシアが欧州へ天然ガスを輸出していたが、
中東産の格安ガスの影響で勝負できなくなる。
④ アジア太平洋諸国への市場展開。
きく受けたのが,アメリカへの輸出を見込み,積極的に
④
LNG生産能力を拡大していたカタールなどの中東諸国で
②
ある.アメリカへの大量輸出ができなくなったことで,
①
余った中東諸国の天然ガスが欧州市場へ流入し,次は欧
州でガスが余るようになり,天然ガスの価格が低下した.
従来欧州では,ドイツを中心として,ロシアが天然ガス
を輸出していたが,中東産の格安ガスの影響により,ロ
図-1 世界の天然ガス需要見通し
シア産の天然ガスの輸出が減少した.
1.はじめに
×
×
世界のエネルギー需要見通しの中で,天然ガスについ
ては,今後も堅調に推移する見込みとなっている.特に,
アジア(中国,インドなど)では,2035年において,
2010年比で約2.3倍に急増する見通しとなっている(図1).
世界の天然ガス生産量,消費量についても,ともに増
加傾向にあり,アメリカが世界最大の生産国であるとと
もに,消費国となっている.なお,世界の天然ガス消費
のうち,国際間取引が行われるのは約32%,うち約22%
がパイプライン,残り約10%がLNGとなっている.
(2) LNGの輸出量・輸入量見通し
2011年における世界のLNG輸出量は,カタールが最大
で,全体の約3割を占めている(図-2).輸入について
は,日本が,全体の約3割を占め,世界最大の天然ガス
輸入国となっている(図-3).
日本のLNG輸入は年々増加しており,2001年から2011
年にかけて,概ね1.3倍に増加しており, 2011年3月に
発生した福島第一原子力発電所の事故を契機としてさら
に増加している.また,日本のLNG輸入相手国について
は,2010年ごろまでは,インドネシアやマレーシアとい
った東南アジアが中心であったが,震災以降は,カター
ル,アフリカ,ロシア等からの輸入が増加するなど,輸
入先の多国化が進んでいる.これは,LNGユーザー(主
に電力・ガス会社)が,安定的かつ経済的に調達するた
め,と考えられる.
(3) LNGの輸入価格見通し
LNG輸入価格については,アジアでは日本向け原油平
均輸入価格(JCC)に連動する長期契約の価格準拠に基
づき決定されている.一方で,アメリカではHenry Hub,
イギリス,大陸欧州の一部ではNBPといったスポット
(随時契約)市場での需給に,大陸欧州では石油製品や
ブレンド原油価格に連動する長期契約の価格準拠に基づ
き決定されている.そのため,リーマンショックやアメ
リカのシェールガスの生産拡大による天然ガス需給の緩
和から,アメリカやイギリス向けの天然ガス価格が大幅
に下落した一方で,日本向けのLNG価格はJCC価格の上昇
により上がり調子で,アメリカとの価格差は広がるばか
りである.(図-4).そのため,日本では,アメリカの
シェールガスを直接LNGとして輸入する動きを始め,ガ
ス価格を下げるための取り組みが本格化してきている.
18.765$/mmbtu
14.71$/mmbtu
6.56$/mmbtu
4.02$/mmbtu
※btu(British thermal unit):1BTU は,標準気圧下において
質量 1 ポンドの水の温度を 60.5°F から 61.5°F まで上昇
させるのに必要な熱量を示す.mmbtu=106btu.
図-4 世界のLNG輸入価格の推移
3.LNG船等の動向について
(1) 天然ガスの輸送手法
ガス体
図-2 世界のLNG輸出国
パイプラインによる輸送
天然ガス輸送手法
CNG(Compressed Natural Gas)による船舶輸送(開発中)
LNG船による船舶輸送
L
N
G
(ALTO ACRUX)
(SERI BIJAKSANA)
総トン数:122,361GT、喫水:9.2m
総トン数:104,881GT、喫水:10.2m
出典:三菱重工業株式会社
LNGローリー・LNGコンテナによる陸上輸送
図-5 天然ガスの輸送手法
図-3 世界のLNG輸入国
天然ガスの輸送は,ガス体のままパイプラインにより
輸送するもの,液化して輸送するLNG船によるものが主
流となっている.生産地と消費地が近い場合には,パイ
プラインによる輸送が最も効果的で,遠距離の場合は
LNG船やLNGローリーによる輸送が効率的とされている
(図-5).また,天然ガスを圧縮して輸送する技術も
様々あり検討が進んでいる.その技術の一つであるCNG
(天然ガスを気体のまま圧縮)船については,これまで
に幾つかのコンセプトが提案され,開発も行われている
が,実際の建造に至っていないのが現状である.
(2) LNG船の動向
LNG船の隻数については,天然ガス需要の高まりによ
り,2000年以降,増加傾向にあり,船型も世界的に大型
化の傾向にある.従来,80,000GT~100,000GT(GT:総ト
ン数(グロストン)),船舶の大きさを示すのに用いる
指標)クラスが主流であったが,100,000GT~120,000GT
クラスに主流が移行しつつあり,120,000GTを越えるク
ラスの船舶も建造されている.現在,世界最大のLNG船
は , Q-MAX ( 船 長 345m , 船 幅 53.8m ) と 呼 ば れ , 約
160,000GT(積載容量26万立方メートル級)となってお
り,日本にも入港している.
世界的にLNG船の標準的な船型は,LNG船の総トン数と
喫水,船幅,船長の関係から,100,000GT~120,000GTク
ラス,喫水11~13m,船幅40~50m,船長260~300m程
度となっており,LNG取扱港湾には,これに対応した水
深の航路などが求められる(図-6).
(隻数)
400
400
350
350
300
300
250
250
200
200
160,000~170,000
140,000~160,000
120,000~140,000
100,000~120,000
80,000~100,000
~80,000
(単位:GT)
加する見通しとなっている.LNG液化プラント(輸出
側)については,オーストラリア・ナイジェリア等を中
心に基本設計が完了しており,2015年~2017年にかけて
新規の操業が増加する見通しとなっている.
(2) 日本のLNG取扱港湾
日本のLNG取扱港湾については,主に太平洋側に集中
しており,日本海側には限られた状況となっている.ま
た,日本のLNG輸入港湾における係留施設の岸壁水深は,
計画段階のものも含めて,その約8割が14m以上であるた
め,今後のLNG船の船型動向にも対応可能となっている.
北陸港湾においては,新潟港,直江津港において,水深
14mのドルフィンなどがすでに整備されており,今後の
LNG船の船型動向にも対応できる機能が備わっている.
(3) 日本の天然ガスインフラの整備状況
日本におけるLNG基地・パイプラインといった天然ガ
スインフラの整備状況は図-7に示すとおりである.日本
では,事業者がガスの需要見通しを立てたうえで,投資
採算性を勘案し,天然ガスインフラを整備してきており,
その結果,主要都市間やLNG基地間を連結するパイプラ
インの整備が進んでいないのが現状である.また,LNG
基地については,各地で整備が進んできているものの,
東京,大阪といった需要地の近くに偏在しているのが現
状である.パイプラインについて見ると,日本海側と太
平洋側を結ぶパイプラインについては,新潟起点のみし
か整備されておらず,三大都市圏についてみると,関西
圏,中京圏に対して,日本海側から太平洋側へ縦断する
パイプラインがない状況にある.
150
150
100
100
50
50
00
2000
2000 2001
2001 2002
2002 2003
2003 2004
2004 2005
2005 2006
2006 2007
2007 2008
2008 2009
2009 2010
2010 2011
2011
5.北陸港湾の可能性
図-6 世界の LNG 船の動向
4. 天然ガスインフラ整備動
向について
(1) 世界の主なLNG取扱港湾
世界の主なLNG取扱港湾の対象
船型の諸元は,前章第2項のLNG船
の標準的な船型となっており,対
応するLNG取扱港湾の諸元は,岸
壁延長350m,岸壁水深14mが標
準的となっている.
LNG受入基地(輸入側)につい
ては,現在,中国・インドを中心
に建設が進められており,2013年
~2015年にかけて新規の操業が増
図-7 日本の天然ガスインフラの整備状況
(1) 北陸のLNG取扱港湾が果たす役割
現在,北陸管内におけるLNG取扱港湾には,新潟港及
び直江津港がある.
新潟港においては,東港区に東北電力(株)の「東新潟
火力発電所」が立地しており,最大出力は520万kwで全
国1位の出力を誇り,東北地方への最大の電力供給拠点
となっている.LNGの輸入については,水深14mの専用ド
ルフィン及び日本海LNG(株)のLNG基地(10万klタンク×
4基,8万klタンク4基)が整備されており,2012年には
約530万トンのLNGを輸入している.新潟港で取り扱う
LNGは,パイプラインやタンクローリーによる輸送等に
より東日本地域のガス安定供給にも寄与している.
特に,東日本大震災時には津波被害により,太平洋側
の発電所やLNG基地において,長期間における機能停止
が起こった.1年間近く天然ガスの供給不能が起こる可
能性があったが,新潟港からパイプラインを通じて東北
地方へ天然ガスを供給できたことにより,震災後,早期
のガス供給再開に貢献するとともに,被災した太平洋側
の発電所に替わり,日本海側の発電所が東日本の電力を
支える結果となった(図-8).
中部電力(株)の1号系列,2号系列では,合わせて238
万kwの発電が計画されている.また,同港には,国際石
油開発帝石(株)が立地しており,現在LNG基地(18万kl
タンク×2基)の建設が進められている.
LNGの輸入については,中部電力(株)では,水深14mの
専用ドルフィンなどが整備されており,2012年7月の上
越火力発電所の一部営業運転開始とその後の順次運転拡
大に伴い,2012年には約62万トン,2013年3月までで約
42万トンを記録している.国際石油開発帝石(株)が建設
を進めているLNG受入基地においては,水深14mの専用ド
ルフィン及び18万klのLNGタンク2基が建設中であり,中
部電力(株)においても,さらにLNGタンクの増設が予定
されているなど,今後も直江津港におけるLNG輸入量は
増加するものと推測される.
中部電力(株)では,自社の発電所が伊勢湾周辺に集中
しているため,電力の安定供給を考慮し,直江津港に,
上越火力発電所を建設,その電力を長野・中部方面に送
電している.また,国際石油開発帝石(株)では,自社の
パイプラインを利用し,新潟県内・関東甲信越地方・東
海地方へ天然ガスを供給予定である(図-9).
中部電力(株)
国際石油開発帝石(株)
・18万kL×2基のLNGタンクを設置中。
・1号系列、2号系列で合計238万kWの
発電を計画。
運転中の火力発電所
被災した発電所(停止中)
被災した発電所
(運転再開又は一部運転再開)
・発電所が伊勢湾周辺に集中している
ため、電力の安定供給を考慮し、日本
海側に発電所を建設。
八戸火力発電所(石油)
直江津港
・自社のパイプラインを利用し、関東
甲信越・東海地方へ天然ガスを供給
予定。
・電力は長野・中部地方へ送電予定。
能代火力発電所(石炭)
秋田火力発電所(石油)
仙台火力発電所(LNG)
(H24.2.8営業運転再開)
酒田共同火力発電
酒田火力発電所(石炭)
東新潟火力発電所(LNG)
新潟火力発電所(LNG)
新仙台火力発電所(LNG、石油)
(H23.12.27営業運転再開)
長野・中部方面
へ電力を供給
関東甲信越・東海
地方へ天然ガスを
供給
相馬共同火力発電
新地発電所(石炭)
(H23.12.27営業運転再開)
原町火力発電所(石炭)
H24.4.10時点
常磐共同火力発電
勿来発電所(石油、石炭)
(H23.6.30営業運転再開)
東北電力関連火力発電所の状況
※中部電力及び国際石油帝石HPより
北陸地方整備局作成
図-9 直江津港が果たす役割
このように,新潟港・直江津港においては,北陸地域
はもとより,関東地方・東海地方・中部地方へのエネル
ギーの供給を通じ,太平洋側への安定的なエネルギー供
給を果たす重要な港湾となっている.
天然ガス輸送ルート
図-8 東日本大震災時に新潟港が果たした役割
また,直江津港においては,中部電力(株)及び東北電
力(株)の「上越火力発電所」が整備・計画されており,
(2) 北陸港湾の可能性
現状で,日本のLNG取扱港湾のほとんどが太平洋側に
集中しているが,将来的な日本のエネルギーの安定供給
に向けて,新たな調達先としてのロシアからのLNG輸入
拡大や発生が確実視される南海トラフ巨大地震等への対
応を考慮すれば,同時被災の可能性が低い日本海側への
LNG受入基地,ガスパイプライン網の形成,ロシア沿海
州等とのネットワーク構築の重要性が高まってきている.
既に,北陸地域では,新潟港,直江津港が,太平洋側
への安定的なエネルギー供給を果たす重要な港湾となっ
ていることや,環日本海諸国の対岸に位置し三大都市圏
に近接する地理的優位性を有していることを考慮すれば,
北陸港湾は今後,日本全体のリスク分散,エネルギー安
定供給のための重要な拠点となることが期待される.
特に,関西圏・中京圏については日本海側から太平洋
側へ横断するパイプラインが無く,日本海側から関西圏
へのエネルギー供給体制は整備されていない状況にある.
現在,関西圏のパイプラインは滋賀県まで建設されてお
り,三重県と滋賀県を繋ぐパイプラインも建設中である
が,南海トラフ巨大地震などの大規模地震が発生した場
合,関西圏のみならず隣接する中部地方,中国地方も同
時に被災する可能性が考えられることから,滋賀から日
本海側に繋がるパイプラインを整備することが重要であ
ると考えられる.この場合,福井県や石川県の港湾(敦
賀港,福井港,金沢港等)にLNG受入基地を整備し,滋
賀からこれらの港湾につながるパイプラインを整備する
ことにより,関西圏へのエネルギー供給体制が整うこと
になる.これらの港湾については,十分な自然水深を有
している港湾が多く,水深14mの岸壁やドルフィンを設
置することは比較的容易である.さらに,これらの港湾
は,LNG受入基地を整備するのに十分な面積の土地を有
しており,エネルギー拠点としての可能性を秘めている.
こうした背景から,福井県では,2013年2月に,「県
LNGインフラ整備研究会」を設立し知事が誘致促進,
2013年4月にロシア国営ガス会社である「ガスプロム」
と日露天然ガス会合が開催されるなど施設誘致の動きが
活発化している.
また,伏木富山港においては,現在,北陸電力(株)が
富山新港火力発電所のLNG火力発電へのリプレースを進
めており,受入基地の展開の可能性が生じている.
さらに,直江津港から富山市の日本海ガス岩瀬工場ま
でパイプラインを延長する計画がある.これをさらに敦
賀まで延伸させることによって,将来関西圏へのパイプ
ラインとの接続が可能となるなど,主要なLNG基地間を
連携するパイプラインの整備が進み,三大都市圏へのエ
ネルギー供給体制がより強力かつ確固たるものとなり得
る.
新潟港
電気及び天然ガス
の供給
直江津港
伏木富山港
金沢港
天然ガス
の供給
敦賀港
電気及び天然ガス
の供給
電気
の供給
:現状
:将来構想
図-10 三大都市圏へのエネルギー拠点としての北陸港湾の
イメージ
6.おわりに
本論文では,最近のエネルギー情勢の変化を踏まえ,
特に天然ガスに着目し,天然ガスを巡る情勢,LNG船,
LNG基地・パイプラインの動向について整理するととも
に,日本のエネルギー拠点としての北陸港湾の可能性に
ついて考察を行った.北陸港湾のロシアなど環日本海諸
国と対面し三大都市圏のいずれに対しても近接している
という地理的優位性を最大限に活かし,日本海側港湾へ
のLNG基地の分散を図り,滋賀方面とのパイプラインの
接続を推進していくことで,北陸地域でのエネルギー拠
点としてのみならず,三大都市圏へのバックアップ拠点
としても機能するものと考えられる(図‐10).今後,
実現に向けてさらなる検討を進めていきたい.
謝辞:本論文を執筆するにあたり,多くの関係者の方々
にヒアリングやデータ提供等の協力をしていただきまし
た.ここに感謝いたします.
参考文献
1) 資源エネルギー庁:天然ガスシフト基盤整備専門委員会
(第1回)配布資料
2) 資源エネルギー庁:天然ガスシフト基盤整備専門委員会
(第6回)配布資料
3) 国際石油開発帝石(株)HP:
http://www.inpex.co.jp/index.html
4) 日本海LNG(株)HP:http://www.nihonkai-lng.co.jp/
5) 中部電力HP:http://www.chuden.co.jp/index.html?cid=lg
6) 中部電力プレス資料(2010年7月13日):
http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press
/3078916_6926.html
7) 東北電力HP:http://www.tohoku-epco.co.jp/
8) 三菱重工HP:http://www.mhi.co.jp/index.html
9) CLARKSON:The Gas Carrier Register 2012
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