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IT活用による若者の観光行動誘発方策検討調査

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IT活用による若者の観光行動誘発方策検討調査
IT活用による若者の観光行動
誘発方策検討調査
巻
頭
言
本調査の目的は、近年の情報通信技術の新しい利用方法が、観光行動の誘発方策に
どのように結び付くのかを検討することにあります。本調査においては先進地域の関
係者・利用者に対する聞き取りやアンケート等によって、各地の取り組み事例や地域
への経済効果・振興効果を明らかにするとともに、観光行動を誘発するために有効な
情報提供手法や環境整備等などの方策について提言をまとめることも目的としていま
す。
近年のインターネットを中心とした情報通信技術の利用の特徴として「ソーシャル
メディア」と「モバイル化の進展」が見受けられます。ソーシャルメディアによって
仕事や趣味、関心などを共有する利用者同士がつながりを拡げ、コミュニケーション
を行うことが可能になりました。また、モバイル化の更なる進展により、利用者は携
帯電話やスマートフォン、タブレット端末などの各種携帯端末を介して移動先でも容
易にインターネットが利用できます。そして、これら二つの特徴はGPS機能による
位置・地理情報を活用した「ジオメディアサービス」を介して連動しながら、利用者
に魅力的なサービスを提供しています。それによって利用者は移動先の詳細な情報を
得たり、移動先での体験や情報をソーシャルメディアによって仲間と共有したりして
います。まさにインターネットとリアル(現実)の連動です。
こうした近年のインターネットの新しい利用方法は、今後も私たちの仕事や生活、
趣味などに広範で大きな影響を及ぼし続けるでしょう。とりわけ観光分野においては、
その活用が大いに期待されています。インターネット(オンライン)で得られた情報
を観光行動や購買行動(オフライン)に結びつけるという意味では、位置情報を活用
した観光行動は、まさに「O2O(オーツーオー,Online to Offline)の概念」に立脚
したものといえるでしょう。
本調査の開始時にとくに注目したのが若者層でした。若者層は、近年、旅行離れが
指摘されますが、同時に、若者層は上で述べた新しいインターネットの利用方法に他
の世代よりも親和性が高いと考えられるからです。しかし、各地の事例を詳細に検討
していく中で、ジオメディアサービスを活用した観光行動は狭義の若者にとどまらな
いことも次第に明らかになってきましたので、本調査タイトルにある「若者」は、本
報告書の中では「ジオメディアサービスを活用するユーザー」と緩やかに定義されて
います。
本報告書では、まず、現在のジオメディアサービスについて先進地域の参考事例を
類型化しつつ、地域観光への活用手法の紹介を行いました。位置情報ゲームと連携し
た地域産品販売の事例や利用実態などの貴重なデータも明らかにされています。また、
この分野の成功の鍵ともいうべきジオメディアサービスを活用した観光情報提供の手
法についても数多くの事例に基づく検討を行い、その上で、この分野での観光振興の
可能性について、関係する企業や団体への聞き取りによって得られた知見をもとに留
意点や方向性をまとめています。さらに、公衆無線 LAN などの地域における情報環
境整備のあり方も視野に入れられています。これらの検討を通じてジオメディアサー
ビスを活用した観光振興行動の誘発方策を数種類に類型化すると同時に、事業主体ご
との取り組み方策について提言をまとめています。
本調査では、観光、交通、情報通信、メディア、シンクタンク、行政、大学など産
官学からの有識者・関係者で構成する委員会で4回にわたり内容についてご審議とご
提言をいただきました。また、調査機関として社団法人中国地方総合研究センター、
事務局として公益財団法人ちゅうごく産業創造センターのご協力を頂きました。徳山
大学准教授・和田崇副委員長をはじめご参加いただきました委員の皆様、本調査にご
協力頂きました関係各位に心より御礼申し上げます。
本調査報告書が、この分野に関心を持たれる各界の皆様にご活用いただけますこと
を祈念しております。
平成 24 年 3 月
「IT活用による若者の観光行動誘発方策検討調査」委員会
委員長
谷口 重徳
IT活用による若者の観光行動誘発方策検討調査
委員会名簿
(敬称略:所属五十音順)
所属・役職
広島国際学院大学 現代社会学部 准教授
徳山大学 経済学部 准教授
一畑電気鉄道株式会社 経営推進部 企画推進担当部長
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
中国支社法人営業部 街づくり推進担当課長
岡山県 産業労働部 観光課 振興班 総括副参事
岡山市 経済局 次長
産興株式会社 営業本部 部長(コンテンツメディア担当)
島根県
商工労働部 観光振興課 観光企画グループリーダー
中国運輸局 企画観光部 観光地域振興課長
中国経済産業局 産業部 流通・サービス産業課長
中国経済連合会 部長
委員長
副委員長
委員
氏名
谷口 重徳
和田 崇
日野 信男
委員
佐野 修
委員
委員
委員
委員
委員
委員
委員
桑原 宏
山本 修司
尾川 貴将
田中 浩史
西田 末廣
松本 正
元岡 敬史
委員
森島 誠司
委員
委員
委員
委員
委員
委員
オブザーバー
是川 幸士
阿部 正範
岡村 清
田村 直也
百々 隆雄
松冨 洋志
花野 和広
オブザーバー
和崎 裕美
事務局
中野 直文
西日本電信電話株式会社 中国事業本部 法人営業部 担当部長
西日本旅客鉄道株式会社 広島支社 営業課 主席
広島県 商工労働局 観光課 主幹
広島市 都市活性化局 観光交流部 観光課 課長
広島電鉄株式会社 経営政策グループ 政策チームチーフ
山口県 地域振興部 観光交流局 観光交流課 主任主事
中国運輸局 企画観光部 観光地域振興課 専門官
中国経済産業局
産業部 流通・サービス産業課 サービス産業調査官
公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 専務理事
藤田 英彦
公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 調査部長
事務局
事務局
事務局
事務局
シンクタンク
シンクタンク
シンクタンク
中電技術コンサルタント株式会社 地域マネジメント部
地域づくりグループ グループリーダー(課長)
(第1~2回委員会)
(第3~4回委員会)
公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 常務理事
調査部統括部長
三牧 詳史
山下 雅哉
中村 睦
佐藤 俊雄
秋田 紀之
吉原 俊朗
公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 調査部 部長
公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 調査部 部長
公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 調査部 部長
社団法人 中国地方総合研究センター 地域計画研究部長
社団法人 中国地方総合研究センター 地域計画研究部 次長
社団法人 中国地方総合研究センター 地域計画研究部 主任研究員
吉澤 洋一
IT活用による若者の観光行動誘発方策検討調査報告書
(公財)ちゅうごく産業創造センター
目
次
調査の背景と目的
1.調査の背景 ·········································································1
(1)位置情報を活用したジオメディアサービスの発達 ····················1
(2)ジオメディア関係者の交流 ··················································1
(3)ヴァーチャルなゲームからリアルな移動・観光への展開 ···········2
(4)ジオメディアサービスの類型 ···············································3
2.調査の目的 ·········································································4
3.調査方法 ············································································5
Ⅰ.ジオメディアサービスの類型化と活用手法
1.ジオメディアサービスの類型整理···········································6
2.ジオメディアサービスの参考事例···········································7
(1)案内・情報提供型の事例 ·····················································7
(2)位置情報ゲーム型の事例 ·····················································16
(3)ソーシャルメディア型の特性と活用手法 ································19
3.事例から得られる各類型の活用アイディア·······························22
(1)案内・情報提供型 ······························································22
(2)位置情報ゲーム型 ······························································22
(3)ソーシャルメディア型 ························································23
Ⅱ.位置情報ゲームによる観光行動と地域振興効果
1.コロカ店舗と位置ゲーユーザー訪問の概況·······························25
(1)店舗の立地環境と外観 ························································25
(2)ユーザーの来訪とその効果 ··················································25
2.アンケート調査の実施 ··························································32
(1)調査の目的 ·······································································32
(2)調査方法 ··········································································32
(3)回収状況 ··········································································32
3.位置ゲーユーザーの属性 ·······················································32
(1)年齢 ················································································32
(2)性別 ················································································32
(3)今回使用した端末 ······························································33
(4)「コロニーな生活」開始時期 ···············································33
(5)今までに訪問したコロカ店舗数 ············································34
(6)コロカ獲得旅行の回数 ························································35
(7) 「コロニーな生活」以外で利用している位置ゲー ··················36
4.位置ゲーユーザーによるコロカ店訪問実態·······························36
(1)集客エリア ·······································································36
(2)訪問回数 ··········································································38
(3)同行者 ·············································································38
(4)主な交通手段 ····································································38
(5)コロカ店での商品購入額 ·····················································39
(6)コロカ店及びその周辺での滞在時間 ······································41
(7)コロカ店での購入商品の満足度 ············································41
(8)コロカ店の立地環境やお店の雰囲気の満足度 ··························42
(9)コロカ店での人との触れあいの満足度 ···································43
5.位置ゲー旅行の実態 ·····························································43
(1)旅行の日数 ·······································································43
(2)今回の旅行での他のコロカ店の訪問 ······································44
(3)今回の旅行の主な目的 ························································46
(4)コロカ店訪問旅行の消費額 ··················································47
(5)訪問した(する予定の)観光施設 ·········································48
(6)コロカ店訪問旅行の満足度 ··················································50
(7)GPS機能付きのネット情報の利用 ······································53
(8)インターネットで提供されることが便利な情報 ·······················53
6.位置ゲーによる観光行動と地域振興効果··································55
(1)位置ゲーをきっかけとした旅行創出と
位置ゲーが後押しして観光旅行を創出 ···············55
(2)ヴァーチャルなゲームとリアルな観光体験が両立 ····················55
(3)位置ゲー訪問店舗での経済効果 ············································55
(4)位置ゲーによる旅行需要創出 ···············································55
(5)旅行先で求められる情報 ·····················································56
Ⅲ.位置情報を活用した観光振興の可能性(専門家インタビュー調査)
1.位置ゲー運営会社 ································································57
(1)ジオメディアを利用して移動・観光させる仕組み ····················57
(2)ジオメディアを利用した移動・観光の実態·······························57
(3)今後の展開について ···························································58
(4)地域での観光情報整備のありかた ·········································58
2.ジオメディアの普及・促進を図る団体
「ジオメディアサミット」運営者····························59
(1)観光におけるジオメディアの活用について ·····························59
(2)ジオメディアを観光に活かす地域でのソフト施策 ····················60
(3)ジオメディアを観光に活かす情報環境整備のありかた ··············60
3.旅行会社系コンサルタント····················································61
(1)観光面での位置情報サービスの活用について ··························61
(2)位置ゲーの観光面での活用について ······································61
(3)コンタクトポイントでの情報提供の必要性について ·················62
4.WEB制作会社(グーグルマップ開発パートナー) ··················63
(1)観光アプリの可能性と課題 ··················································63
(2)IT業界と観光の関係について ············································64
(3)グーグル社との連携について ···············································64
(4)公衆無線LANについて ·····················································65
(5)位置情報の精度について ·····················································65
5.まとめ ···············································································67
(1)国内観光の現状とITによる観光情報発信について ·················67
(2)観光・移動のきっかけを生むITについて·······························67
(3)周遊行動を生むITについて ···············································67
(4)観光アプリの開発について ··················································68
(5)観光分野におけるIT活用の留意点について ··························68
Ⅳ.ジオメディアサービスを支える情報環境整備
1.通信事業者による公衆無線 LAN サービス ·······························70
2.行政・民間団体による公衆無線 LAN の整備 ····························71
(1)観光協会による公衆無線LANの整備 ···································71
(2)行政主導による面的な公衆無線LANの整備 ··························72
(3)行政による公衆無線LAN整備の取り組み ·····························74
(4)商業ゾーンにおける面的な公衆無線LANの整備 ····················75
(5)自治体と通信事業者との連携による公衆無線LANの整備 ········76
(6)民間団体による公衆無線LANの整備 ···································77
3.無線通信会社による高速無線通信網の整備·······························79
4.地域における情報環境整備の方向···········································80
Ⅴ.位置情報を活用した観光行動誘発方策
1.位置情報による観光行動誘発の新たな可能性 ···························83
2.観光行動フェーズと情報提供のあり方·····································84
(1)観光行動フェーズと情報提供手法 ·········································84
(2)移動誘発方策 ····································································85
(3)周遊誘発方策 ····································································86
3.事業主体毎の取組方策 ··························································88
(1)事業主体別の観光行動誘発の考え方 ······································88
(2)自治体・観光協会など公的機関の取組方策·······························89
(3)観光事業者など民間組織の取組方策 ······································90
資料編
位置ゲーユーザーアンケート調査票 ······································92
調査の背景と目的
1.調査の背景
(1)位置情報を活用したジオメディアサービスの発達
我が国では、1999 年から携帯電話によるインターネット利用が始まり、2002
年には GPS 対応機種が登場したことにより、携帯電話によるナビゲーション
サービスや位置情報ゲームが開始された。2008 年には総務省により携帯電話
の GPS 対応が義務化され、同時期に通信パケット料の定額化も始まったこと
等により、GPS 機能を活用した新しいサービス(ソーシャルメディアやソーシ
ャルゲーム)が登場してきた。それらは位置・地理情報を活用するサービス
として「ジオメディアサービス」 注 1 と呼ばれている。
地図情報の面では、2005 年に Google Maps の API(Application Programming
Interface)が公開され、それを契機としてそれまで有料で提供されていた地
図 API が無料で公開されることとなった。さらにぐるなびやリクルート等が
持つ POI
注2
情報も公開され、地図 API と組み合わせたサービスが展開されて
きている。
さらに、現在地の把握においても、GPS だけでなく、キャリア基地局測位や
Wi-Fi 測位が可能になった。加えて、デバイス面においても、携帯電話(フィ
ーチャーフォン)だけでなく、スマートフォン(多機能携帯電話)の急速な普
及やタブレット端末の登場等により、移動先での各種位置情報サービスの享
受が容易になった。このような IT 技術に係わる各種の環境変化が同時期に進
展したことにより、ジオメディアサービスの展開が加速されつつある。
特に,2011 年はスマートフォン元年といわれるほどスマートフォンが爆発
的に普及した年 注 3 でもあり,ジオメディアサービスを組みこんだ観光アプリ
が全国各地で開発される現象が見られるところとなった。
(注 1)Geographical と Media Service を合成した位置情報活用型サービスの概念であり、株
式会社シリウステクノロジーズが提唱したもの。類似の概念としては Location Based
Service(LBS)があるが、これは BtoB も含めたジオメディアサービスよりもやや広いサ
ービスを対象としている。
(注2) Point Of Interest の略称であり、店舗などの地理情報付きデータを示す 。
(注3)2011 年の携帯電話の出荷ベースにおいては,スマートフォンがほぼ半分のシェアを
占める見通しである。また,日本経済新聞(日経MJ)による2011年ヒット商品
番付によれば,東の横綱は iPhone4S を開発した「アップル」,同大関は「Android 端
末」
(グーグルの OS 搭載の情報端末),同関脇が「フェイスブック」となっており,ス
マートフォン関連の商品が上位に並んでいる。
(2)ジオメディア関係者の交流
「ジオメディア関係者間の交流を活発にし、業界の市場を拡大すること」
を目的に、2008 年にジオメディア関係者が集まり,ジオメディアサミットを
開始している。「中立、オープン、交流重視」というコンセプトで、これまで
1
に8回のサミット及び数回のイベントを開催し,情報交流と関係者の人的交
流を深めており,ジオメディアサービスのソフトインフラとしての役割を果
たしつつある。
ジオメディアサミットの開催状況
2008 年 3 月
第 1 回ジオメディアサミット
2008 年 8 月
第 2 回ジオメディアサミット
2008 年 11 月
第 1 回ジオメディアサミット関西
2009 年 04 月
第 3 回ジオメディアサミット
2009 年 07 月
ジオジオスタンプラリー第 1 回:都電で楽しむ位置ゲーと宝探し
2009 年 10 月
第 4 回ジオメディアサミット
2009 年 11 月
第 2 回ジオメディアサミット西日本
2009 年 12 月
ジオメディアサミット&FOSS4G 合同忘年会 OFF4G
2010 年 3 月
第 5 回ジオメディアサミット
2010 年 7 月 30 日
ジオメディアサミット名古屋
2010 年 9 月 20 日
第 6 回ジオメディアサミット
2011 年 6 月 8 日
第 7 回ジオメディアサミット
2011 年 8 月 26 日
ジオメディアサミット福岡
2012 年 1 月 23 日
第 8 回ジオメディアサミット
2012 年 1 月 27 日
第4回ジオメディアサミット関西
(ジオメディアサミット公式ページ
http://geomediasummit.jp/より抜粋)
(3)ヴァーチャルなゲームからリアルな移動・観光への展開
ジオメディアを活用したゲームが生まれ、実際の移動を誘発している事例も見
られる。「コロニーな生活」は、早い時期から「位置ゲー」 注 4 に取り組み、リア
ルな移動を生み出している代表例である。
「位置ゲー」においては、ゲーム内のポイントを得るために提携する名産品
の店舗を実際に訪れる仕組みを構築するとともに、
「位置ゲー」運営会社と旅
行会社や交通会社、自治体などが連携し、実際に広域的な移動を誘発する取
り組みも行われている。これにより、提携店の売り上げ増加に加え、移動さ
せるツアーやイベントなどの旅行商品が生まれ、ネットサービスとリアル社
会がつながった新たな観光形態として注目されている。
これを移動の視点でとらえると、ITによる仮想的(バーチャル)な情報
を基に現実(リアル)に移動を生むものと、移動先において観光行動が誘発
されるものに分けられ、前者を1次移動型、後者を2次移動型と捉えること
ができる。
(注4)「位置情報ゲーム」の略称。本名称は、2009 年 3 月に『コロニーな生活』の運営会社
である株式会社コロプラによって商標登録出願がなされている。
2
(4)ジオメディアサービスの類型
様々なジオメディアサービスが生まれつつあるが,それを分類すると,位
置情報を活用して移動することをゲームとして娯楽的要素を取り込んだ「位
置情報ゲーム型」、チェックインと呼ばれる現在の位置情報を自ら発信するこ
とにより情報を取得するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)な
ど「ソーシャルメディア型」、さらに現在の位置情報を基に周辺の情報を検索
する「案内・情報提供型」
(AR 注 5 技術を活用したものを含む)として捉える
ことができ,各地域において多彩なジオメディアサービスが生まれつつある。
(注5)ARとは Augmented Reality の略で拡張現実感と訳される。現実の環境から知覚に
与えられる情報に、コンピュータが作り出した情報を重ね合わせ、補足的な情報を与
える技術であり、観光アプリでの利用例としては、スマートフォンのカメラを通して
みた風景の中に、エアタグと呼ばれる情報メモが写し出され、風景の中の観光資源の
情報を得ることができることなどが挙げられる。
ジオメディアサービスの分類例
1次移動
バーチャルか
ら現実の移動
への誘発
2次移動
位置情報ゲーム型
・・・位置情報をゲームの要素として取り込んだサービス
例)コロニーな生活、ケータイ国盗り合戦、広探ゲームなど
ソーシャルメディア型
・・・ソーシャルネットワーキングサービスと連動した位置情報サービス
例)foursquare、Facebook、mixi、地域SNS など
移動行動から
観光行動への
案内・情報提供型
誘発
○地図情報の提供とともに各種案内や情報提供をするサービス
例)NAVITIME、駅探、ドコイク?、食べログ、ぐるナビなど
○AR技術を活用したサービス
例)セカイカメラ、Layar など
※「位置情報サービスの未来」
(シリウステクノロジーズ シリウスラボ 関治之所長)を参考
3
2.調査の目的
IT は、これまでもウェブサイトでの観光情報(観光地情報、宿泊予約サイト等)
やクチコミ情報等により、観光行動を誘発する情報基盤としての役割を果たして
きたところである。しかしながら、近年における位置情報データの整備と公開化、
センシング技術の進展とデバイスの進化にはめざましいものがあり、各種のジオ
メディアサービスが生まれている。
こうしたジオメディアサービスを観光行動の誘発に繋げていくために,本調査
においては各地域における取組の事例や地域振興効果等を検証するとともに,今
後の対応のあり方について検討を行う。具体的にはジオメディアサービスを活用
した観光行動の誘発方策や情報提供手法について検討することを目的としている。
なお、本調査のタイトルには「若者」という言葉が使われているが、これは「位
置ゲー」ユーザーとしての若者が、ジオメディアサービスを活用して実際の移動
(旅行)を行いはじめたことに着目したものである。しかしながら、ジオメディア
サービスを活用した観光行動は、必ずしも若者に限定されるものではないことか
ら、対象を「ジオメディアサービスを活用するユーザー」と緩やかに定義するこ
ととする。
またジオメディアサービスは、観光だけでなく、商業などのマーケティングで
の活用も注目されているところである。本調査で対象とする「観光」 注 6 は、日常
生活の中での買物・飲食活動やレクリエーション等の余暇活動との厳密な線引き
が困難な面があるが、本調査では「非日常圏への旅行」を念頭に置くものとする。
ジオメディアサービスを活用した「観光」行動の誘発
◇地理情報 API 公開
・地図情報
(ex.GoogleMap)
・店舗等の地理情報付きデータ
③案内・情報提供型
・GooglePlaces
・Layar(AR アプリ)等
◇センシング技術の発達
・GPS
・基地局測位
・Wi-Fi 測位
消費
②ソーシャル
メディア型
・Twitter
・Facebook 等
(宿泊・購買・交通)
①位置情報ゲーム型
現地での
追加情報
“1次移動”
実際の移動の誘発
◇デバイスの進化
・フィーチャーフォン
・スマートフォン
・タブレット端末等
“2次移動”
観光行動の誘発
IT を活用した観光(従来型)
WEB
・観光情報
・クチコミ情報
観光地、店舗等
(注6)観光庁では、観光を「余暇、レクリエーション、業務等の目的を問わず非日常圏へ
の旅行」として捉えており、日帰り旅行については、「片道の移動距離が 80km 以上、又は所要時間が 8 時間以
上の非日常圏への旅行」と定義している。(「旅行・観光消費動向調査」より)
4
3.調査方法
本調査は次のように実施した。まず,ジオメディアサービスの類型別に基本的
な事例を抽出し,サービスの特性と活用手法について整理した。続いて,ジオメ
ディアサービスの代表的な事例である位置情報ゲームに着目し,位置ゲー旅行の
実態と地域振興効果を検討するために,アンケート調査等を実施した。また,ジ
オメディアを活用した観光情報の提供手法について,事例調査やヒアリング調査
を実施した。
ジオメディアを活用した観光振興の可能性については,各分野の専門家への意
見聴取を実施し,ジオメディアを支える情報環境整備については,各地の事例調
査・ヒアリング調査を実施した。
これらを踏まえ,ジオメディアを活用した観光行動誘発方策について,観光行
動のフェーズに即して情報提供方策と,事業主体毎に取組方策をとりまとめた。
調査フロー
Ⅰ ジオメディアサービスの類型化と活用手法
(調査内容)
・類型別の特性
・位置情報の活用手法
(調査方法)
・事例調査・ヒアリング調査
Ⅱ 位置情報ゲームによる観光行動と地域振興効果
(調査内容)
・位置ゲー移動の実態
・位置ゲーによる観光旅行創出と経済効果
(調査方法)
・ヒアリング調査,アンケート調査
Ⅳ ジオメディアサービスを支える情報環境整
備
(調査内容)
・地域における情報環境整備のありかた
(調査方法)
・事例調査,ヒアリング調査
Ⅲ 位置情報を活用した観光振興の可能性
(調査内容)
・ジオメディアの活用策と可能性
(調査方法)
・専門家への意見聴取
Ⅴ 位置情報を活用した観光行動誘発方策
・観光行動のフェーズと情報提供方策
・事業主体毎の取組方策
5
Ⅰ
ジオメディアサービスの類型化と活用手法
1.ジオメディアサービスの類型整理
ジオメディアサービスには、現在の位置情報を基に周辺の情報を検索する「案内・情
報提供型」
(AR技術を活用したものを含む)、位置情報を活用して移動することをゲー
ムとして娯楽的要素を取り込んだ「位置情報ゲーム型」、チェックインと呼ばれる現在
の位置情報を自ら発信することにより情報を取得するSNSなど「ソーシャルメディア
型」等の種類があり、地域発のジオメディアサービスも生まれているのが現状である。
図表Ⅰ.1 ジオメディアサービスの分類例とそれぞれの特徴
分類
概要
特性(観光行動誘発)
サービス事例
案内・情報 ○地図情報の提 ○カーナビを始めとして、位置情報を活 ・NAVITIME
提供型
供とともに各
種案内や情報
提供をするサ
ービス
用したサービスとして従来から存在。 ・駅探
○現在地周辺の観光情報の提供サービ
スとして認知されている。
○スマートフォンの普及により、観光ア
・Google Places
・食べログ
・i コンシェル
プリが登場し、各地で様々なアプリが
その他、観光アプ
開発されている。
リ多数
○現在では、ユーザーからのクチコミ情
報の追加など、多様なサービスが見ら
れる。
○位置情報にA
○スマートフォンのカメラを実際の風
R技術を付加
景にかざすと、画面上に情報が表示さ
したサービス
・セカイカメラ
・Layar
れる。
など
○実際の移動時に役立つ情報が得られ
るため、観光地などでの導入がみられ
る。
位置情報
○位置情報をゲ
ゲーム型
ームの要素と
して取り込ん
だサービス
○バーチャルなゲームから、実際の移動
を誘発する。
○交通事業者や旅行業者との連携によ
・コロニーな生活
・ケータイ国盗り
合戦
るユーザー対象商品へ展開している。 ・広探ゲーム
○ユーザー数は限定的。
など
ソ ー シ ャ ○ソーシャルネ ○チェックイン機能によりユーザー自 ・foursquare
ルメディ
ア型
ットワーキン
グサービスと
らの位置情報を知らせる。
○店舗でチェックインした人を対象と
・Facebook
・mixi
連動した位置
したクーポン配布へと展開しており、 ・Twitter
情報サービス
クーポンを取得するための移動誘発
など
がみられる。
○ユーザー数は世界中で大幅に増加傾
向にある。
※「位置情報サービスの未来」
(シリウステクノロジーズ シリウスラボ 関治之所長)を参考に作成
6
2.ジオメディアサービスの参考事例
※参考事例は、以下の4項目についてそれぞれ整理している。(以下同)
a.概要
・運営者
・サービス内容 など
・ユーザーの関わり方
b.位置情報の活用手法
・地域情報提供手法
・移動誘発の頻度・範囲 など
c.ビジネスモデル
d.地域の関与と振興効果
・事業収益の仕組み など
・地域の関与の仕方
・観光への展開状況と地域振興効果 など
(1)案内・情報提供型の事例
a.Google Places (グーグルプレイス)
(a)概要
ユーザーの位置情報に基づいてショップやレストラン、
図表Ⅰ.2
観光情報などを提供するサービス。情報には営業時間や電
話番号などの基本データや店内の画像などのほか、ユーザ
ーが書き込んだレビューやレーティング(評価)も含まれ
る。グーグルプレイスの情報は、グーグルの検索ページや
グーグルマップ、グーグルアースと行った地図情報ページ
と連動している。
(b)位置情報の活用手法
ユーザーは無料で利用可能。自らの位置情報から、周辺
の情報を知ることができる。ユーザーは、レストラン、カ
フェ、居酒屋などの飲食店情報の他、ATM、ガソリンスタン
ド、郵便局など生活関連情報、ホテルや観光スポットといった観光情報など、現在地周
辺の様々な情報を取得することができる。それぞれの情報は、リスト表示されるほか、
地図上での表示、経路探索、レビューの閲覧が可能となっている。
(c)ビジネスモデル
ユーザーは無料で利用可能であり、収益としては、広告収入が主であると考えられる。
(d)地域の関与と振興効果
飲食店情報だけでなく観光情報の発信が可能であり、多様なグーグルのサービスとの
連携が図られていることが、観光振興に寄与すると考えられる。飲食店など店舗のオー
ナーであれば無料で店舗情報を登録することができるため、ローカルビジネスにとって
は情報発信ツールとしての活用が期待される。
(資料:Google Places ホームページ、IT メディア http://www.itmedia.co.jp/ など)
7
b.i コンシェル(オートGPS)
(a)概要
NTT Docomo の携帯電話で使用できる
図表Ⅰ.3
i コンシェル(月額利用料 210 円)で
は、オート GPS 機能を活用し、今いる
場所・地域の天気や観光情報の配信や、
位置情報と連携したゲームなどが利用
できる。
(b)位置情報の活用手法
オート GPS 機能は、ユーザーの位置
情報をバックグラウンドで定期的に測
位し、自動でサービス提供者に提供で
きる。ユーザーは i コンシェル機能に
より、鉄道運行情報、道路交通情報、
警報/その他気象情報などの生活関
連情報や、イベント情報、グルメ情
報などの周辺情報を得ることができ
る。
(c)ビジネスモデル
NTT Docomo のサービスとなってい
る。
(d)地域の関与と振興効果
ユーザーが忘れたくない情報を携
帯電話に登録しておくと、その場所
に近づいたときにインフォメーショ
ンでお知らせするオート GPS リマイ
ンド機能が地域情報の発信に寄与し
ている。例えば、テレビで見た気になるレストラン情報をあらかじめ自分で設定してお
くと、そのお店の周辺に近づいたときに、「あの時テレビで特集されていたレストラン
はここの近くにありますよ!」などの情報提供が可能となっている。事業者向けに、店
舗等の携帯販促・集客ツールとして、来店者に対するクーポン配布などが可能な「iコ
ンシェル情報配信ツール」を提供している。
(資料:NTT Docomo ホームページ http://www.nttdocomo.co.jp/ )
8
c.福ぶら(福岡県福岡市)
(a)概要
「福ぶら」は、従来の観光ガイド本にない福岡の魅力をゲーム感覚で楽しませ、福岡
の街歩きを楽しくさせる目的で開発された iPhone 用無料アプリケーションである。公
式サイトオープンは 2011 年 2 月。
「福ぶら」には、普通の観光コースにはないユニークなコース(例えば「パワースポ
ット」とか「怪獣」
「廃線」
「元寇」など)が設定されており、興味の有るテーマごとに
回るコースの情報を提供している。
その他、観光スポットの情報も提供している。観光情報には、向かう場所の簡単な説
明や、住所、最寄の交通機関などの詳細も確認でき、マップ画面でスポットの表示も可
能となっているため、福岡に詳しくない観光客でも楽しめるものとなっている。
図表Ⅰ.4
コース選択画面
コース詳細画面
観光情報画面
(b)位置情報の活用手法
設定されているコースごとにテーマに沿った物語が用意されており、実際のスポット
に足を運ぶことで、その場所にちなんだ物語が進行していくゲーム的要素を含んでいる。
全てのコースのプロローグ(序章)のみ誰でも読むことができるが、コースに沿った場
所に行くまでは物語が進まない仕掛けとなっている。
(c)ビジネスモデル
福岡市委託事業として、福岡市、九州大学、福岡のゲーム会社(有限会社エレメンツ)
の産学官連携シリアスゲームプロジェクトの一環で製作されている。
(d)地域の関与と振興効果
福岡市の委託事業として展開しており、福岡市内の観光スポット情報が提供されてい
る。ゲーム性を持った新たな形のスタンプラリーであり、参加者の趣味・趣向に合わせ
たテーマ選択により、従来の観光では訪れることが少なかったスポットへ誘導する役目
を果たすと期待される。
9
d.Duomo 道の駅アプリ(九州朝日放送)
(a)概要
九州朝日放送が制作している、九州エリアの道の駅を紹介する番組「Duomo」内の
企画「道の駅インワンダーランド」と連動した Android 用無料アプリである。配信開
始は 2011 年 8 月 23 日。
番組内で訪問した際に得た情報や九州エリアの道の駅情報を提供するとともに、ユー
ザーが実際に道の駅に訪れた際のクチコミ情報などを収集・公開している。
図表Ⅰ.5
(b)位置情報の活用手法
「道の駅を攻略する」ために、実際に道の駅に行って「オリジナルのキャッチコピー
の投稿」や「そこでしか撮れないオリジナルフレーム付き記念写真の撮影」をすること
で番組に参加することができる仕組みとなっている。
(c)ビジネスモデル
九州朝日放送のプロジェクトとして展開。収益事業化するためのマネタイズは今後の
課題。
(d)地域の関与と振興効果
テレビ番組コンテンツとの連動によりユーザーの獲得を生み、道の駅の訪問という実
際の移動をユーザーに求めていることから、従来の訪問者以外の来訪を促す効果が期待
される。
10
e.SAGAPP!
(佐賀県観光連盟)
(a)概要
開発のきっかけは、夏休みにスタンプラリーを継続してきたが、年配の方と小学生以
下は楽しんで参加してくれるものの、若者の応募が少ないので、その層を取り込みたい
と考えたことである。GPS による位置情報、AR 技術を利用し、佐賀県を訪れた観光客
が、現地で訪れた場所によって異なる様々な観光情報やご当地キャラクター、クーポン
などを取得できる iPhone アプリとして、2011 年 8 月にスタートした。スタート当初
のエアタグ注1は 65 であるが(50 がゆるキャラと観光資源、15 がクーポン)、今後は季
節情報も含め、徐々に増やしていく。現地で取得した観光情報やキャラクターなどを
Twitter,Facebook を通じて情報発信でき、ソーシャルメディアを通じた認知を広める
ことも可能。
(注1)エアタグとは,頓知ドットが開発した iPhone アプリである「セカイカメラ」において,カメラの
画面上にポップアップされる,施設に関する文字や写真などのデータ。
(b)位置情報の活用
県内を 20 エリアに分けて、ご当地キャラクターはそれぞれのエリアでないと取得できな
い仕組みとしている。取得した情報はガイドブックに保存でき、自分だけのガイドブック
をつくるというエンターテイメント性を付加している。
(c)ビジネスモデル
佐賀県とじゃらんリサーチ、IT 企業(シーエー・モバイル/東京)が連携して開発した
もので、3 者ともパイロット事業として位置付けて取り組んだ。クーポンは、道の駅や公的
な観光施設を対象としてスタートしている。
(d)地域の関与と振興効果
今回の事業も来年だと遅いし、去年だと早すぎるので、タイミングが重要と認識されて
いる。サービス開始後 20 日間のダウンロード数は約 800 で、まだ効果の把握はできていな
いが、エアタグのキャッチ数やエリア毎のアクセス数などを日ごとに分析することで、観
光の動きがリアルにわかる。今後は、時期に応じた情報発信とクーポンの増加が大切と認
識されており、エアタグ情報の更新をかけないといけないが、アップデート費用をどう賄
うかも課題である。
11
f.鳥取 AirMAP (鳥取県)
(a)概要
新たな観光情報発信が必要と考え、知事の肝いりで県の若手職員による検討チームで企
画し、県内の IT 企業(ケイズ)がソフトを開発した。2010 年 8 月に iPhone 向けにサービ
スを開始し、2011 年 8 月末までのダウンロード数は約 7,600 件, 2011 年 6 月にサービスを
開始した Android が約 100 件。
掲載データは約 1,000 件で、県の観光パンフに出ている観光資源はほぼ総て掲載してい
るほか、民間の飲食店、温泉、宿泊施設も掲載している。英語版、韓国語版もある。
2010 年 8 月には、鳥取砂丘を舞台として、砂丘内にクイズを記載したインフォタグを設
置したクイズラリーを開催した(参加者は小学生とその家族 20 組)
。
図表Ⅰ.6
(b)位置情報の活用
GPS 情報と AR 技術を利用し、鳥取県の観光情報を iPhone と Android スマートフォン
で発信するもので、
インフォタグに触れると 100 字程度の簡単な解説や写真が表示される。
インフォタグは現在地から 10km に設定されているが、状況に応じて距離は設定できる。
2011 年 9 月からは現在地からのルート案内の機能を付加した。
(c)ビジネスモデル
県が開発したものであり、公共による観光情報発信の位置づけである。ソフト会社とは 3
年間の契約で、制作・更新を行う。
(d)地域の関与と振興効果
県内には 1 年間に約 300 万人が来訪しており、ダウンロード数はまだ少ないと考えられ
ている。ダウンロード数を拡大するための啓発を進めるとともに、IT 技術の改良スピード
が早いため、それに対応していくことが課題となっている。
12
g.ふらっと案内(ソフトバンクモバイル)
(a)概要
ソフトバンクモバイルが iPhone / Android アプリとして提供している周辺情報配信
サービスであり、アプリは無料でダウンロードできる。位置情報を取得して周辺の飲食
店情報やクーポンなどのお得情報、施設情報、イベント情報などを適宜表示するアプリ
として、iPhone 版は 2009 年 7 月から、
Android 版は 2011 年 2 月から配信されており、
パートナー企業などを徐々に増やして情報を拡充している。
(b)位置情報の活用
現在地周辺のスポット情報が取得できるだけでなく、現在地周辺のおすすめ散策コー
ス、周辺の観光情報の詰まったガイドアプリなどを取得することができ、観光目的のユ
ーザーに活用しやすいものとなっている。
図表Ⅰ.7
(c)ビジネスモデル
「ふらっと案内」に関して、閲覧や情報の掲載などは無料で行うことができる。ソフ
トバンクモバイルでは、自治体等との協働事業として「ふらっと案内」上のアプリ開発、
情報更新など、観光情報基盤整備に取り組んでいる。
(d)地域の関与と振興効果
広島県では、2011 年 1 月 15 日から 3 月 15 日までの実証事業として、外国人観光客
への情報提供の充実やホスピタリティ向上を目指し、「ふらっと案内」を活用して、日
本語、英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語の 4 カ国語で広島県内の観光地案内や
イベント情報、飲食店情報、交通情報などを配信した。
また、2011 年 6 月にスタンプラリー機能が追加された。このスタンプラリー機能を
利用して、尼崎市と阪神電気鉄道では、7 月 1 日~9 月 30 日の期間限定で尼崎の忍た
ま乱太郎ゆかりの地をめぐる企画「忍たま乱太郎 尼崎大冒険の段 デジタルスタンプ&
クイズラリー」を開催した。
13
h.セカイカメラ
(a)概要
iPhone、Android 上で動作するAR技術を利用したスマートフォンアプリであり、頓
智ドット株式会社(トンチドット)が無償で提供している。セカイカメラを起動すると、
iPhone、Android 内蔵のデジタルカメラによって目の前の景色が画面上に映し出された
上に、その場所・対象物(建物・看板など)に関連する「エアタグ」と呼ばれる付加情
報(文字・画像・音声)が重ねて表示される。
(b)位置情報の活用手法
GPS を用い、現在地を特定する。また、内蔵の電子コンパスによってカメラの向いて
いる方角を認識し、その方向に貼り付けられたエアタグを表示できる。エアタグはユー
ザーが自由に付加することができ、ユーザー間で共有される。現地の観光情報などが、
カメラをかざすだけで得られるという利便性があり、日本国内でも埼玉県や岐阜県高山
市など、各地で実験的に導入した事例が見られる。
(c)ビジネスモデル
セカイカメラアプリは無償提供されており、エアタグ上への広告等により収益を確保
している。
(d)地域の関与と振興効果
埼玉県では「セカイカメラ」を活用して、魅力的な周遊型観光企画を造成、集客並び
に埼玉県観光のPRにつなげることを目的として埼玉県AR観光プロモーションを行
っている。2010 年 11 月 14 日開催の「忍城時代まつり」では、開催地周辺の着地観光
情報(忍城の歴史情報や行田名物の B 級グルメ「フライ」「ゼリーフライ」などのスポ
ット情報など)が AR アプリ「セカイカメラ」のエアタグとして表示され、市内の周遊
観光および地域での消費を促進する仕組みを提供した。
今後は、
「じゃらん」メディアでのプッシュ型の旅行情報の発信、ス マートフォンの
AR アプリ、その他メディアを活用し、来訪の動機づくり~現地観光の活性化まで、各
メディアの可能性を最大限に生かした双方向からのPRで 新しい観光の動きを創出し
ていく予定である。
また、岐阜県では iPhone アプリ開発人材の集積や iPhone を活用した地域振興を図る
「GIFU・iPhone プロジェクト」を展開しており、高山市においても、各所にエアタグ
を設置(以下の写真参照)するなど観光施策として「セカイカメラ」を活用している。
なお、
「セカイカメラ」を開発した頓智ドット株式会社は、同県の IT 拠点施設ソフトピ
アジャパン内にあるドリームコアに入居している。
(資料:Wikipedia、頓智ドット株式会社 HP など)
14
i. Layar
(a)概要
風景にスマートフォンをかざすと、カメラ撮影された現実の映像の上に情報が重ね合
わさる拡張現実 AR サービスを提供するアプリケーション。
(b)位置情報の活用手法
GPS 機能と電子コンパス機能を搭載したスマートフォン(Android、iPhone)で、特別
な操作や設定をせずに、携帯電話の位置と向けた方向から正確な位置情報を読み取るこ
とができる。
(c)地域の関与と振興効果
広島市では、Layar を使い、平和記念公園周辺でスマートフォン(Android、iPhone)
を風景にかざすと自分の周りにある飲食店や観光スポット、46 の記念碑が画面に重ね
合わせて表示され、周囲にどんなスポットがあるかを直感的に把握できるサービスを構
築している。
事業は、広島市の委託事業(地域ICT利活用推進交付金事業)として株式会社中国
放送がシステムを構築。2010 年 4 月 10 日、サービス開始。コンテンツ制作とシステム
運用は中国放送があたっている。かざした映像の上に重ねて表示された各種情報をタッ
チするとお店の詳細情報やモニュメントの情報を表示したり、直接電話をかけたり、詳
細地図を表示させることができる。
図表Ⅰ.8
(資料:広島 P2 ウォーカーHP http://p2walker.jp/peace/ja/ )
15
(2)位置情報ゲーム型の事例
a.コロニーな生活
(a)概要
株式会社コロプラが運営している携帯位置情報ゲーム(通称:位置ゲー)。現在、日
本国内において位置ゲーの代表的な存在となっている(『位置ゲー』はコロプラ社の
商標)。2003 年から個人によりサービス開始。2011 年 1 月下旬時点の会員数は 165
万人。最近は毎月 10 万人のペースで会員が増加している。ユーザーは移動した距離
の分だけ仮想通貨を得ることができ、手に入れた仮想通貨を使って、自分のコロニー
(土地)を育成することができる。ゲームが実際の移動を生む仕組みとして、提携店
舗での購買行動誘発や交通事業者、旅行業者との連携による旅行商品化への展開して
いる。(後述)
(b)位置情報の活用手法
ゲーム内では、携帯電話の GPS(全地球測位システム)・位置登録機能を使って、利
用者が実際に 1km 移動するたびにゲーム内の仮想通貨「1 プラ」が手に入る。このプラ
を使って、自分の街(コロニー)に建物を作って人口を増やしていく。位置登録したそ
の地域だけでしか買えないお土産アイテムや、近隣のコロニーとのコミュニケーション
や取引など、リアルの移動がゲーム内容に反映される。通勤や移動のたびに、こまめに
アクセスしてくれる熱烈なファンに支えられているのがコロプラ社の特徴である。日本
の逸品を取り扱う提携店舗「コロカ店」を募集、選定し、提携店で商品を購入すると、
購入金額に応じてもらえるカード「コロカ」を設置。ユーザーは「コロカ」のシリアル
ナンバーをゲーム上に入力することによりゲーム内アイテムを入手することができる。
「コロカ店」は、09 年6月に4店舗で始まり、2011 年 6 月 19 日時点で 101 店に拡大
している。コロカ店への来店は月間 20,000 人を超え、中国地方内のコロカ提携店(コ
ロカ店)は 2012 年 1 月末
図表Ⅰ.9
時点で、以下の 10 店舗と
なっている。コロカ店は、
旅費をかけてでも訪れる
べき、
「本当に素晴らしい
もの」「素敵な場所」「貴
重な体験ができる商品」
があるお店ということを
最大の条件とし、全国
コロカ
200 社、各都道府県 4 社
を上限として選定してい
く予定である。
コロカ利用イメージ
16
[鳥取]中川酒造株式会社(2010.01.08 登録)
[島根]株式会社和田珍味(2009.10.01 登録)
[島根]島じゃ常識商店(2011.10.16 登録)
[岡山]有限会社直齋陶房(備前焼)(2010.03.01 登録)
[岡山]株式会社島のこし(灰干し)(2011.11.10 登録)
[岡山]みずの郷奥津湖(2011.11.10 登録)
[広島]藤井酒造株式会社(2009.12.03 登録)
[広島]株式会社山豊(広島菜漬)
(2010.07.12 登録)
[山口]有限会社 泉流山(萩焼)
(2010.06.01 登録)
[山口]株式会社花の海(2011.07.11 登録)
(c)ビジネスモデル
収入は、課金収入(利用者が 500 円単位の『投げ銭』をすると、ゲーム内で使えるア
イテムがもらえる)と、提携先である交通機関や「コロカ店」などからの手数料収入が
ある。
「コロニーな生活」による店舗売り上げは合計で年間 4 億 2000 万円に上り、既に
交通機関といった企業を中心に 10 社以上と提携。将来は年間で 20 億~30 億円の売り
上げを見込んでいる。
(d)地域の関与と振興効果
コロプラ社では、『普段行かない場所へ楽しみながら旅をして、旅の楽しさとその地
域の良さを再発見する——そのきっかけを提供することにより、地域経済の活性化、ひい
ては日本を元気にする貢献を微力ながらしていきたい』との方針を打ち出している。交
通機関との協業では、「コロニーな生活」のゲーム内で使用でき、かつ実際の列車・船
にも乗れる「コロプラきっぷ」を提携先交通機関に販売してもらい、コロプラ社は提携
きっぷの売り上げに応じて一定料率を手数料収入として受け取っている。
具体例としては、「コロニーな生活」と連動して提携店である佐賀県の有田焼窯元を
訪れるツアーが実際に行われ、現地で陶器を購入するとゲーム内でも有田焼のアイテム
を取得できる仕掛けや、JR 九州では「コロプラ★乗り放題きっぷ」として地域内フリ
ー切符とコロカをセットにした商品を発売している。
(資料:コロプラ社 HP、日経情報ストラテジー、JR 九州 HP など)
17
b.広探ゲーム
(a)概要
ゲームは広島在住のIT関係者で構成する「広探ゲームプロジェクト」のメンバーで
管理・運営されており、広島発の位置ゲーである。「広探ゲーム」は、GPS付きの携
帯電話を持ち、広島市内にある実際の路面電車に乗って、すごろくのようにスタート駅
からゴール駅を目指す位置情報を活用したゲームであり、平成 24 年 1 月 28 日に第 16
回目を開催している。
(b)位置情報の活用手法
道中は、携帯電話の画面に表示される指示に従って動き、各駅に関連したイベントが
発生する。路線は遠回り有り、行き止まり有りで、おもしろおかしく広島探訪の旅を演
出してくれる。ゲームの中で「指令」という形で強制的に移動を生み出すことから、参
加者にとっては新たな発見につながる。主催者側からみると、行ってほしい場所や体験
して欲しいことなどを「指令」として提示することにより参加者を誘導することが可能
となる。
(c)ビジネスモデル
現状では、WEB TOUCH MEETING という自主勉強会の雑談から生まれたゲームであり、
広探ゲームプロジェクトのメンバーで管理・運営されており、無料参加を前提としてい
る。
(d)地域の関与と振興効果
現在のところ、路面電車を活用したイベントとして実施されているが、各駅イベント
のパッケージ化(国際平和都市としての多言語対応、広島の歴史探訪や社会見学用途な
ど)により、今後は広探ゲームのノウハウを地域活性化に活用していくことも検討して
いる。
(資料:広探ゲーム HP http://www.hirotangame.net/ )
18
(3)ソーシャルメディア型の特性と活用手法
a.foursquare
(a)概要
foursquare(以下「4sq」
)は米国の foursquare Labs 社が運営する、スマートフォン
での位置情報を用いたソーシャルメディアサービス。 2009 年に米国でサービスを開始
している。店や駅など、自分がいる場所で 4sq アプリを起動してチェックインボタンを
押す(チェックインする)と、自分の場所がネット上に登録され、友人に公開される。
すでに全世界で 650 万人以上のユーザーを集めている。foursquare Labs 社によれば「東
京は世界で 2 番目に 4sq チェックインが多い都市」であり、日本人ユーザーも多い。2011
年 2 月中旬にサービスの日本語化を実現している。
(b)位置情報の活用手法
4sq は、チェックインの頻度に応じてその場所の「メイヤー(市長)」になれたり、
バーチャルなバッジを獲得したりすることができる。こうしたゲーム性を兼ね備えてい
ることがチェックインを増大させている要因のひとつである。2010 年のチェックイン
数は全世界で約 3 億 8157 万件。世界中の全ての国からのチェックインがあった。POI
(point of interest : チェックイン場所)の情報はユーザーが追加できる。
(c)ビジネスモデル
ユーザーは無料で利用可能であり、ビジネスモデルとしては、提携先(Microsoft)
との協業と、広告収入によっている。
(d)地域の関与と振興効果
図表Ⅰ.10
19
4sq は、位置情報や店、観光スポットなどの現実社会と絡めてサービスを展開してい
る。このことが単なるネット上での SNS ではなく「SNS が普及したあとに登場した、SNS
や Twitter とは違う新世代サービス」として業界の注目を集めている理由である。 例
えば「Tips」と呼ばれる機能があるが、レストランに行ったときにチェックインすると、
その店に訪れた 4sq ユーザーが残した「このメニューがおいしい」
「接客が悪い」など
の便利情報(Tips)を読むことができる。店舗を検索することなく、自分のいる場所を
チェックインするだけで、さまざまな店や街の情報を閲覧、共有できる。このあたりが
「ネットと現実社会の融合」という新しいサービス形態を感じさせる。
米国では、さらに有名な観光スポットに 4sq でチェックインすると、テレビチャンネ
ルの『ヒストリーチャンネル』がその名所の歴史を表示してくれる。また、スターバッ
クスやマクドナルド、ギャップなどが「店で 4sq にチェックインすると、その店のメニ
ューが割引になる」などといった、4sq ユーザー向けの割引・無料クーポンサービスの
取り組みを始めている。日本でも、4sq ユーザー向けのクーポンサービスが始まってお
り、以下の通りチェックイン画面に「スペシャル(特典)」として表示される。
(資料:foursquare HP、日経トレンディなど)
b.Facebook のチェックイン機能
(a)概要
世界中に 8 億 4,500 万人というユーザーを抱える Facebook。企業も Facebook ページ
を持ち数多くのファンを獲得しており、Facebook 上での情報提供を行っている。世界
中で利用されている Facebook は、日本での利用も急拡大しており、MMD 研究所調べに
よると、以下の図の通り 2010 年 11 月~2011 年 4 月にかけて、全体で 3.7%から 31.3%
と利用が急増している。
図表Ⅰ.11
(資料:MMD 研究所)
20
(b)位置情報の活用手法
Facebook では、2010 年 8 月に“Facebook Places”を発表しロケーション機能を追
加(日本でも 2010 年 9 月から開始)。ユーザーは Facebook Places を使って、今いる場
所にチェックインしたり、友達の居場所を知ることができる(チェックイン場所はユー
ザーが作成可能)。また、チェックイン時にクーポンを発行する Facebook チェックイ
ンクーポンのサービスが 2010 年 11 月に米国で始まり、2011 年 6 月に日本でも開始さ
れている。
(c)ビジネスモデル
ユーザーは無料で利用可能であり、収益としては、広告収入が主である。
(d)地域の関与と振興効果
ユーザー数の多い Facebook が Facebook Places をはじめたことにより、 Facebook
Places 使ったプロモーションが世界各地で行われ始めている。例えばイギリスの観光
についての公式サイト VisitBritain は、イギリス国内の観光名所、そして国そのもの
をプロモーションするために Facebook Places を活用。有名な観光名所に行ったユーザ
ーは、そこにチェックインして、さらにレビューを書く。この情報は自動的に“Top 50
UK Places ” と い う ス コ ア ボ ー ド に 反 映 さ れ る 。 常 に ど の 場 所 が い ま 人 気 か が
VisitBritain のサイトとファンページで確認できる仕組み。キャンペーン開始から数
千規模のチェックインがされていて、TOP 50 の場所への合計チェックイン回数は 25 万
回以上。キャンペーン開始から、ファンページのファン数が 34%増加した。
また、チェックインクーポンの日本開始に伴い、2011 年 6 月時点で、ファミリーマ
ート、ミニストップ、ローソン、ギャップジャパン(渋谷店)、ウォルト・ディズニー・
ジャパン(渋谷店)、
図表Ⅰ.12
ドミノ・ピザ ジャパ
ンなど 14 社が、期間/
枚数/店舗限定などの
クーポンを提供して
いる。チェックインク
ーポンは右の写真の
ように「近隣スポッ
ト」の一覧にマークが
付記され、チェックイ
ンすると利用できる
クーポンの内容が表
示される。
(資料:TechWave
http://techwave.jp/archives/51571966.html 」
)
21
3.事例から得られる各類型の活用アイディア
(1)案内・情報提供型
案内・情報提供型の地域観光振興への活用アイディアの例として、参考までに以下の
3点を挙げる。
a. 地域の観光資源の評価システムとしての活用
グーグルプレイスの事例に見られるように、ユーザーの評価を飲食店だけでなく地域
の観光資源へと展開している点に注目すべきである。また、他のユーザーの評価により
飲食店を選ぶように、観光訪問先についても他人の評価を参考にする状況になっている
ことから、地域の観光資源について多くの評価を誘導する仕組みを導入するなど、この
状況を地域として積極的に活用し、より多くの来訪者評価を得る仕組みとして活用する
ことが考えられる。
b. 来訪者へ直接情報提供するツールとしての活用
案内・情報提供型は、現在も地域情報を提供するツールとして幅広く活用されている
が、i コンシェルのオートGPS機能など、地域へ来た人に自動的に情報提供できるサ
ービスの展開がなされはじめている。従来の観光マップやカーナビへの観光情報の掲載
などに加えて、来訪者に必要な情報を直接提供する手法を導入し、観光振興につなげる
ことが期待される。
c. 地域の歴史情報の提供ツールとしての活用
事例としては挙げていないが、ヒロシマアーカイブ、ナガサキアーカイブというサイ
トでは、被爆当時の写真の撮影場所を特定し、グーグルアース(3次元マップ)上に設
置している。位置情報が特定できる写真や動画を地図上に設置し、現在の風景と比較さ
せることができることから、
「50 年前のこの場所」といった地域の歴史情報の提供ツー
ルとしての活用も考えられる。
(2)位置情報ゲーム型
位置情報ゲーム型の地域観光振興への活用アイディアの例として、参考までに以下の
3点を挙げる。
a. 移動のきっかけを与えるツールとしての活用
位置情報ゲーム型は、バーチャルなゲームのユーザーを実際の移動行動へと展開させ
るという点で、非常に観光振興に関連が深い。「コロニーな生活」など移動距離に応じ
てポイントが加算されるサービスでは、日常的に移動しているユーザーが多いという指
摘があるが、旅行会社との提携が進むなど旅行業界にとっても可能性のある市場として
捉えられている。
22
また、広探ゲームの「指令」という形で強制的に移動を生み出す仕組みを活用し、よ
り広範囲のエリアにおける移動を誘発する新たなゲームの展開(例えば、ドライブの行
き先を「指令」という形で「強制的に」紹介するゲームアプリの新規開発など)による
地域活性化への貢献も将来的には考えられる。
b. 地域の特産品販売ツールとしての活用
「コロニーな生活」では、日本の逸品を取り扱う提携店舗「コロカ店」を選定し、実
際に提携店舗での消費を促す仕組みを導入している。ネット販売など従来のIT活用に
よる特産品販売に加えて、来店者を増やし、新規顧客を獲得するツールとして期待でき
る。
コロプラ社では、旅費をかけてでも訪れるべき「本当に素晴らしいもの」「素敵な場
所」「貴重な体験ができる商品」があるお店をコロカ店として厳選しており、各都道府
県 4 社、全国で 200 社を上限とする意向である。そのため、新たにコロカ店に選定され
ることは非常に難しいと考えられるが、同様のサービスが提供される場合に「先に手を
挙げる」ことが重要になってくると考えられる。
c. 新たなスタンプラリーの手法としての活用
位置情報ゲーム型は、位置情報をゲームの要素として取り込んだサービスであり、各
地のスタンプラリーなどへも展開がはじまっている。従来のスタンプラリーのようにス
タンプ台の設置や台紙の準備が不要であり、個別の場所での位置登録によりゲーム上で
スタンプを取得できることから、個別の場所への位置登録によるバーチャルスタンプラ
リーのサービスも各所でみられている。
(3)ソーシャルメディア型
ソーシャルメディア型の地域観光振興への活用アイディアの例として、参考までに以
下の3点を挙げる。
a. 地域のファンを獲得するツールとしての活用
4sq や Facebook の事例から、チェックインクーポンなど店舗を訪れるお客様へのサ
ービスとして活用するサービスが生まれ始めていることがわかる。店舗を地域に置き換
えると、従来からのクーポン付きチラシやプレゼント付きアンケートといった地域への
来訪者に向けたサービスについて、新たにWEB上での展開が容易になるほか、地域の
来訪者からの声(意見、評価)を得ることもできる。地域としての Facebook のファン
ページの開設などの動きが見られる中、地域ファンを獲得するツールとしてソーシャル
メディア型サービスの活用が考えられる。
b. 友人・知人のクチコミ効果を誘発するツールとしての活用
23
昨今では、観光行動の動機や情報源としてクチコミ効果が言われている。観光情報の
入手方法としては、WEB上のブログや評価サイトのコメントなど他人のクチコミから
情報を得ることもあるが、行動の動機となるのは友人・知人のクチコミによるところが
多いと考えられる。
ソーシャルメディア型の特性として、友人・知人とのコミュニケーションツールとし
ての役割に位置情報が付加されているという点が挙げられ、ユーザーが自らの位置情報
を友人・知人に知らせ、その場所での行動内容や感想などを伝えていくツールであるこ
とから、「あの人が行ったあの場所へ行ってみよう」という友人・知人のクチコミ効果
が期待される。
c. 細分化されたテーマに応じたメニューの提案ツールとしての活用
ソーシャルメディアでは、ユーザー各人の興味のある情報を収集することが可能であ
り、テーマ別コミュニティがWEB上に形成されているといえる。例えば、田舎暮らし
体験やコスプレイベントなど、マスメディアに向かってPRする場合には費用対効果が
小さくなるようなテーマであっても、ソーシャルメディア型は細分化されたテーマ毎に
必要な情報を提供することができるツールといえる。位置情報の活用という面では今後
の広がりが期待されるところであるが、現時点でのソーシャルメディアは、地域の観光
振興のために求められている多様なニーズへの対応が可能なツールと考えることがで
きる。
24
Ⅱ.位置情報ゲームによる観光行動と地域振興効果
位置ゲーの代表例である「コロニーな生活」による観光行動誘発について検討を行
うため,中国地方のコロカ店(7店注1)を対象として、現地調査及びヒアリングを実
施し,それを踏まえアンケート調査を実施した。7店の業種は、酒の蔵元 2 社、陶器
製造販売が 2 社、漬け物製造販売が 1 社、水産加工販売が 1 社、観光農園が 1 社とな
っている。
1.コロカ店舗と位置ゲーユーザー訪問の概況
コロカ店は、伝統産業・地場産業型の業種であり、こじんまりとした和風の外観を
もつ等、
「わざわざ訪れる価値のある店舗」であることを体現した施設である。公共交
通が比較的不便で、観光資源からも離れているという立地条件のところが多いが、ユ
ーザーは全国から来店しており、コロカ店では会話を通じて各種の地域情報を提供す
るなどのおもてなしをしている。
(注1)2011 年9月1日時点の店舗数であり,同年 12 月1日時点では10店に増加している。
(1) 店舗の立地環境と外観
a.公共交通機関との関係
各店舗は JR 駅から離れているところが多く、遠方から来訪する場合は、JR 駅から
はタクシー、バス、徒歩、レンタサイクルなどが使われており、アクセスは容易でな
いところが多い。
b.観光資源との関係
立地地域には著名な観光資源を有するところが比較的多い。ただし、コロカ店と観
光資源とは、比較的距離があり、位置ゲーユーザーが観光地を訪問しようとする場合
は、意識的な行動が求められる状況にある。
c.施設の外観
酒の蔵元、陶器の制作販売店等の地場産業型の業種が多いことから,図表Ⅱ.1に
示すように,外観が和風の施設が多くなっている。
(2) ユーザーの来訪とその効果
コロカ店へのヒアリングによれば,位置ゲーユーザー訪問には次のような傾向が見
られる。
a.ユーザーの来訪地域
全国からの来訪が見られる。近隣地域(自県内)からの来訪と大都市圏からの来訪
とに区分すると、立地条件により自県内が少ないところもあれば、自県内が最も多く
なるケースもある。
b.ユーザーの属性
25
一人、カップル、グループ、家族連れなど多様であり、オタク的な人たちだけでは
なく、総じて若い人が多いという印象である。
c.観光行動との関連
コロカ獲得やゲーム上のお土産・スタンプの獲得を主目的としているため、観光を
あまりせずに効率的に移動するケースが多いと思われるが,近隣に著名な観光資源が
ある場合は、観光地にも向かっている地域もある。
d.店舗での対応
来店者は総じて話し好きであるため、丁寧な対応を心がけ、周辺の飲食店や観光情
報の提供等をしている店舗が多い。
e.集客効果
コロカ店の登録開始日から少なからぬユーザーの来訪があり、その当月が集客のピ
ークとなるケースが多い。翌年はペースが多少落ちるが、一定数は確実に確保されて
いる。
f.購買効果
1人当たりの購買額は千円から数万円まで様々であるが、概ね四千円程度が目安と
なっている。一般客に比べると購買単価が高く、その消費効果は店舗からは高く評価
されている。
g.その他の効果
位置ゲーの縁がなかったら、来店は考えられないような客層が来店している。その
後のリピーターに繋がっている例もあり、新たな客層が生まれている。
h.今後の課題
現状では中国地方のコロカ店の認定数が少ないため、周遊ツアーが生まれにくいが、
今後は加盟店同士での連携した誘客の必要性が認識されている。
近隣の観光資源や宿泊施設と連携した周遊コースの開発も考えられている。
インターネット上のクチコミ効果が大きいので、おもてなしの質を高めていくこと
も意識されている。
26
図表Ⅱ.1 コロカ店の立地環境と店舗の概要
●泉流山(萩市)
<立地環境>JR 東萩駅からは約 1km の距離にあり、循
環バスが走行している。萩市の主要な観光施設は概ね
2.5km 圏域にあり、循環バスが運行している。
店内はこじんまりとしているが、手前に休息・歓
談スペースがある。
和風の店構えに松の木。工房と一体となってお
り、お店は左側の一角にある。
開放感のある店内では、ガラス棚や木製台の上
に、萩焼が陳列されている。
店内には、萩焼がディスプレイされた床の間を備え
た和室(茶室)がしつらえてある。
27
店舗に隣接して、かつての登り窯が保存・公開さ
れている。また、緩やかな坂を上ったところに、
吉賀大眉記念館が設置されている。
●中川酒造(鳥取市)
<立地環境>
JR 鳥取駅からは 1km 強に位置する。駅からのアクセ
スはタクシー利用が主体で、レンタサイクル、路線バ
ス、徒歩等による。鳥取砂丘とは約 5km 離れている。
日本酒の蔵元としての風格ある店構え。ユーザーは
左の建物の正面から入店する。
コロカの対象商品が陳列されているコーナー。
コロカ店認定の決め手となった、鳥取オリジナルの酒米
「強力」を陳列している。
「強力」の稲穂は通常のお米の
稲穂(右端)よりも丈がかなり長い。
蔵元である中川酒造は小売店への卸しを主業としてい
る。このためユーザーの来店に対応し、入り口の一角に
小売コーナーを設置しており、コロカユーザーが来店の
記録を残すメモ書きスペースもある。
28
●花の海
(山陽小野田市)
10km
花の海
城下町長府
火の山公園
(立地環境)
JR 埴生駅からは 1km 強に位置しており、駅からのアク
セスはタクシー利用が主体。周囲には観光資源が乏しく、
下関の観光地とは約 10km 離れている。
花の海は、花・野菜の生産・販売をする会社組織で、
生産ゾーンと交流ゾーンから構成されている。
交流ゾーンの核となる建物内には、販売コーナーとレ
ストランが設置されている。
鉢植えのバラ等が販売されており、コロカ対象商品
となっている。
高価格な商品が少ない中で、コロカ取得希望者に対
応して、やや高価格なセット商品も販売されている。
生産ゾーンにおいては、温室内でイチゴ等が機械化され
た生産方式により栽培されている。イチゴの摘み取りも
コロカ対象の体験コース商品となっている。
29
●山豊(広島市)
<立地環境>
アストラムライン長楽寺駅にほど近く、来店手段は
公共交通と自家用車がほぼ半々ぐらい。近くには観
光資源はほとんど無い。
漬け物の製造直売店を体現する伝統的な店構え。
多くの種類の漬け物が商品化され、こぎれいに陳列さ
れている。
レジ周りには、3 種類のコロカが並んでいる。
ユーザーの来店を記録するノート。メモ書きするコー
ナーも設置されている。
30
●藤井酒造(竹原市)
<立地環境>
竹原を代表する観光資源である街並み保存地区内
に店舗があり、JR 竹原駅からは 1km 弱の距離にあ
る。
●直齊陶房(備前市)
(資料)竹原市観光HP
<立地環境>
JR 備前片上駅からは 1km 強の距離にあり、観光資
源もやや離れている。
(資料)備前焼唐友会HP
●和田珍味(大田市)
<立地環境>
JR 五十猛駅からは 1km 強の距離にある。
観光資源もやや離れており、石見銀山が 10km 弱の
距離にある。
(資料)和田珍味HP
31
2.アンケート調査の実施
(1)調査の目的
位置ゲーの代表例である「コロニーな生活」におけるコロカ獲得のための移動の実
態と満足度、観光との結びつき,店舗や地域への経済効果、情報入手の方法やその内
容等を把握する。
(2)調査方法
中国地方におけるコロカ店7店において,コロカ取得希望者に対して、調査票を手
渡し、その場で記入してもらい,回収を行う。各店舗にて有効回収数 100 程度を確保
することとし(全体で 700 票)、回答者にはもれなく Web Money(500 ポイント)を提
供する。
コロカ店や「コロニーな生活」ユーザーへの告知は、ゲーム運営会社である株式会
社コロプラと連携して行う。
(3)回収状況
2011 年9月8日に,全国の「コロニーな生活」ユーザーに対して調査実施について
告知し,同日より調査を開始した。総回収数は,618 票(88.3%)である(2012 年1
月 16 日までの回収分)。
3.位置ゲーユーザーの属性
(1)年齢
30 才代が 45.3%,40 才代が 32.2%であり,20 才代は 15.9%の順となっている。位
置ゲーユーザーは,若者の中でも,コロカ獲得のための旅行をする余裕をもつ年齢層
が主体となっているとみられる。
年 齢
図表Ⅱ.2
10代
20代
30代
40代
50代
60代以上
不明
1.0
全体(618) 0.6
15.9
0%
45.3
20%
32.2
40%
60%
80%
4.9
0.2
100%
(2)性別
男性が 58.7%,女性が 41.1%と,やや男性の方が多くなっているが,女性のユーザ
ーも少なくない。
32
図表Ⅱ.3
性 別
男性
全体(618)
女性
不明
58.7
0%
20%
40%
60%
41.1
0.2
80%
100%
(3)今回使用した端末
「携帯電話」が 78.3%,
「スマートフォン」が 22.5%となっている(一部重複回答
あり)。急速に普及が進むスマートフォンであるが,本調査時点では位置ゲーユーザー
においても,世間並みの普及率注2となっている。
(注2)
「スマートフォン/ケータイ利用動向調査 2012」
(インターネットメディア総合研究所)では 2011
年9月時点でのスマートフォンの所有率は 22.9%となっている。
使用端末
図表Ⅱ.4
携帯電話
スマートフォン
タブレット端末
78.3
全体(618)
0.0
20.0
その他
22.5
40.0
60.0
80.0
0.6
100.0 (%)
(一部複数回答あり)
(4)
「コロニーな生活」開始時期
全体では「1年未満」が 23.4%であるのに対し,「1年~2年未満」が 43.7%,
「2
年以上」が 33.0%となっており,コロカ店を訪問している位置ゲーユーザーにおいて
は,比較的長くゲームをしているユーザーの割合が多くなっている。性別・年代別に
見ても大きな差は見られない。
図表Ⅱ.5
3か月未満
3か月~6か月未満
6か月~1年未満
1年~2年未満
2年以上
不明
全体(618) 4.5 6.8
0%
「コロニーな生活」経験期間
11.7
20%
43.7
40%
33.0
60%
33
80%
0.3
100%
図表Ⅱ.6
「コロニーな生活」経験期間(性別)
3か月未満
3か月~6か月未満
6か月~1年未満
1年~2年未満
2年以上
不明
男性(363) 4.1 5.8
11.8
女性(254) 5.1 8.3
全体(618) 4.5 6.8
11.4
33.0
40%
60%
0.3
80%
100%
「コロニーな生活」経験期間(年代別)
3か月未満
3か月~6か月未満
6か月~1年未満
1年~2年未満
2年以上
不明
9.2 3.1 8.2
30代(280) 2.1 10.4
42.9
13.6
35.0
52.8
13.3
全体(618) 4.5 6.8
36.7
38.2
40代(199) 3.53.0 10.6
50代(30)
0.6
31.1
43.7
20%
図表Ⅱ.7
34.4
44.1
11.7
0%
20代(98)
43.3
13.3
13.3
11.7
0%
30.2
26.7
33.3
43.7
20%
0.7
33.0
40%
60%
0.3
80%
100%
(5)今までに訪問したコロカ店舗数
全体では「1店」は 11.7%と少なく,逆に「6~10 店」が 23.6%,
「11 店以上」が
34.5%となっており,ヘビーユーザーが多くなっている。
「コロニーな生活」経験期間
別に見ると,3ヶ月未満でも複数店舗訪問者が4割程度となっており,比較的短期間
の間にゲームを通じての旅行経験を積む傾向が見られる。経験期間が長くなるほど訪
問店舗数も増加しており,
「6店以上」の訪問経験が「1年~2年未満」では6割を超
え,
「2年以上」では7割を超えていることから,コロカ店訪問のリピーター化傾向が
みられる。
図表Ⅱ.8
1
全体(618)
0%
2~5
今までに訪問したコロカ店舗数
6~10
11.7
11~20
28.8
20%
21~40
23.6
40%
41店舗以上
18.8
60%
11.5
80%
34
不明
4.2
1.5
100%
図表Ⅱ.9
今までに訪問したコロカ店舗数(「コロニーな生活」経験期間別)
1
2~5
6~10
3か月未満(28)
11~20
21~40
41店舗以上
60.7
21.4
不明
7.1
7.1 3.6
2.4
3か月~6か
月未満(42)
28.6
61.9
7.1
1.4
6か月~1年
未満(72)
22.2
34.7
1年~2年未
6.3
満(270)
29.6
2年以上(204) 4.9
21.1
19.6
0%
32.8
20%
23.6
13.9
2.8 1.4
23.7
14.1
4.1 1.1
19.6
40%
14.7
60%
80%
6.4 2.0
100%
(6)コロカ獲得旅行の回数(最近1年間)
全体では「1回」は 13.8%と少なく,多くのユーザーが最近1年間に複数回のコロ
カ獲得旅行をしている。
「2~5回」が約6割と多く,
「10 回以上」という回答も2割
近くあり,平均旅行回数は,5.8 回/年となっている。最近1年間の旅行回数を問う
ているため,
「コロニーな生活」経験期間が1年未満の人は経験期間に対応して旅行回
数が少なくなるが,
1年以上の経験者では,経験年数による差はほとんど見られない。
コロカ獲得のための旅行回数(最近1年間)
図表Ⅱ.10
1回
2~5回
全体(618)
6~9回
10~19回
13.8
20~29回
30回以上
59.5
0%
20%
図表Ⅱ.11
6.5
40%
60%
12.8
80%
不明
2.12.3 3.1
100%
コロカ獲得のための旅行回数
(最近1年間・「コロニーな生活」経験期間別)
1回
2~5回
6~9回
3か月未満(28)
10~19回
20~29回
6か月~1年
未満(72)
8.3
58.3
20.8
1年~2年未
満(270)
11.5
52.2
2年以上(204)
11.8
52.5
0%
2.4 2.4
64.3
31.0
20%
40%
不明
3.6 7.1
25.0
64.3
3か月~6か
月未満(42)
30回以上
9.6
6.4
60%
15.6
19.1
80%
35
9.7 1.4 1.4
3.73.7 3.7
2.9 3.4 3.9
100%
(7)「コロニーな生活」以外で利用している位置ゲー
「有る」が 16.8%,
「無い」が 80.3%となっている。ゲームから旅行行動を起こし
ている位置ゲーユーザーは,年間に約6回程度の旅行によりその都度位置情報を獲得
しているが,複数の位置ゲーを楽しんでいるというわけではなく,一つのゲームに専
念している傾向がみられる。
図表Ⅱ.13
「コロニーな生活」以外で利用している位置ゲー
ケータイ国盗り合戦
しろつく
まちつく!
キャリスト
発見!ニッポン城めぐり
ekiSh
フォースクエア
配達野郎
ロケタッチ
マイステーション
犬わんグランプリ
GPSハンター
キラメキ
ロイヤル
駅コレクション
mixiモバイル
mixi
日本縦断アンテナDASH
図表Ⅱ.12
「コロニーな生活」以外で利用している
位置ゲー
(n=618)
不明
2.9%
有る
16.8%
無い
80.3%
61
9
4
3
3
3
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
20
40
60
4. 位置ゲーユーザーによるコロカ店訪問実態
(1)集客エリア
全体では,近畿・関東が合わせて 45.3%であり,ほぼ半数が大都市圏からの集客と
なっている。一方,コロカ店の立地する県内が 20.7%,他の中国地方が 13.6%となっ
ており,約 1/3 がコロカ店の近隣エリアという状況である。
コロカ店の地理的条件により,集客範囲は異なっており,近畿圏に隣接する岡山と
鳥取のコロカ店では,近畿圏からの入り込み割合が多い。他のコロカ店では関東や中
国地方からの集客割合が多く,山口のコロカ店では九州からの集客が多くなる。各県
の観光統計で把握される集客エリアと比較してみても,位置ゲーの集客エリアが広域
にわたっていることが特徴となっている。
図表Ⅱ.14
県内
他の中国地方
四国
集客エリア
近畿
関東
九州
中部
東北・北海道
不明
1.0
全体(618)
20.7
0%
13.6
20%
2.3
21.5
40%
23.8
60%
36
10.0
80%
6.0
1.1
100%
図表Ⅱ.15 集客エリア
その他
11.0%
近畿
36.0%
中国地方
27.0%
その他
18.3%
近畿
23.3%
中国地方
26.7%
関東
26.0%
関東
31.7%
その他
11.3%
近畿
41.5%
中国地方
20.8%
不明
2.0%
その他
34.3%
その他 近畿
12.0% 11.0%
近畿
23.5%
中国地方
55.0%
関東
16.7%
近畿
10.0%
鳥取コロカ店
(酒の蔵元)
関東
中国地方
0%
その他
26.0
20.4 4.2
27.0
11.0
69.0
20%
40%
近畿
不明
島根コロカ店
(海産物店)
6.3
60%
80%
100%
関東
岡山コロカ店
(陶器製造販売)
中国地方
41.5
23.9 2.1
岡山県
0%
40%
20.8 11.3
60%
近畿
山口県
関東
23.5
10.0 15.0
5.66.3
中国地方
16.7
23.5
近畿
広島コロカ店
(漬物製造販売)
11.2
80%
広島県
100%
その他
66.4
0%
20%
40%
60%
80%
(資料) 「山口県観光客動態調査結果」(平成22年)との比較
26.7
18.3
40%
14.4
60%
関東
80%
100%
29.1
20%
2.0
26.0
21.8
100%
37
不明
17.5 4.9
12.0
55.0
22.0
15.5
66.0
9.8 8.8
0%
その他
33.0
15.5
11.0
中国地方
40%
60%
(資料) 「広島県観光客数の動向」(平成22年)との比較
不明
34.3
49.0
不明
64.4
20%
広島コロカ店
(酒の蔵元)
(資料) 「観光客・その流れと傾向-岡山県観光客動態調査報告書-」(平成22年)との比較
山口コロカ店
(陶器製造販売)
山口コロカ店
(観光農園)
その他
31.7
15.0 6.2
0%
不明
62.8
20%
中国地方
(資料) 「島根県観光動態調査結果」(平成22年)との比較
その他
26.4
関東
23.3
島根県
(資料) 「鳥取県観光客入込動態調査結果」(平成22年)との比較
近畿
関東
33.0%
(注)中国地方には同一県内を含む
36.0
鳥取県
関東
26.4%
関東
15.0%
中国地方
49.0%
近畿
近畿
15.5%
中国地方
29.1%
中国地方
23.5%
その他
26.0%
不明
4.9%
その他
17.5%
関東
22.0%
80%
100%
(2)訪問回数
全体では今回の調査で対象としたコロカ店への訪問回数は,
「初めて」が 77.7%と
大勢であるが,一方では「2~3回目」 が 14.4%を占めるなど,同一店舗のリピー
ターも2割強を占めている。コロカ店の業種別に見ると,漬物・酒・観光農園などの
食品関係の店舗ではリピーターの割合が多くなっている。
図表Ⅱ.16
初めて
訪問回数
2~3回目
A店
79.0
B店
78.3
C店
4~5回目
6回以上
3.0
18.0
3.8 1.9
1.0
4.9
94.3
D店
22.3
71.8
E店
20.0
60.0
F店
14.0
6.0
6.9 2.9
90.2
G店
78.0
全体(618)
77.7
0%
20%
1.7
6.7
13.3
7.0 4.0
11.0
4.0 3.9
14.4
40%
60%
80%
100%
(3)同行者
「一人で」は 1/3 程度であり,家族・友人・カップル等の同行者連れでの訪問が6
割強を占めている。
図表Ⅱ.17
一人で
同行者
カップル
友人
家族
その他
不明
1.0
全体(618)
32.8
0%
20%
18.8
40%
18.1
60%
28.8
80%
0.5
100%
(4)主な交通手段
全体では自家用車が7割強を占めている。近隣エリアからの訪問が 1/3 程度で,大
都市圏からの集客が半数近くを占めるにも拘わらず,自家用車が主体となっているの
は,同行者連れが多いことや,後述するように観光との関連が強いことが影響してい
ると考えられる。
立地地域別に見ると,空港に近い店舗では飛行機利用の傾向が見られるが,それ以
外の店舗では自家用車利用が7割前後と高くなっている。
集客エリア別に見ると,関東では飛行機・新幹線の割合が多く,中部では新幹線の
割合が高くなっているが,それ以外の地域では自家用車が大勢を占めている。
38
図表Ⅱ.18 主な交通手段(店舗別)
自家用車
飛行機
新幹線
その他の鉄道
バス
その他
不明
2.0
75.0
10.0
78.3
10.0
67.9
3.8
55.3
12.6
16.5
10.7
15.0
2.0
4.0 3.0 1.0
68.6
6.9
13.7
6.9 3.9
8.0 3.0
20%
8.3
40%
60%
10.7
5.0
1.5
6.0 2.8
80%
100%
主な交通手段(集客エリア別)
飛行機
新幹線
その他の鉄道
県内(128)
バス
その他
他の中国地方(84)
29.7
80%
100%
92.9
四国(14)
85.7
8.3
近畿(133)
78.2
32.0
26.5
九州(62)
0%
27.9
90.3
中部(37)
2.7
62.2
20%
40%
60%
不明
0.8
0.8
7.8
2.4
1.2
2.4
1.2
7.1
7.1
0.8
4.5
8.3
2.7
3.4
7.5
1.6
1.6
1.6
1.6 3.2
5.4
90.6
関東(147)
1.9
3.9
5.0
70.7
自家用車
9.4
70.0
全体(618)
図表Ⅱ.19
2.0
5.0 5.0 1.7
17.0
82.0
0%
(注)店舗名は省略
5.0 6.0
(注)不明があるため全体数は調査数に一致しない(以下同様)。
(5)コロカ店での商品購入額
店舗別では,1人当たりの商品購入額の平均は 3,500 円~7,200 円であり,全体の
平均は約 4,800 円となっている。今回調査したコロカ店は,酒の蔵元,陶器製造販売,
漬物製造販売,海産物店,観光農園など地場産品の製造・直売店であり,これらの店
舗における一般客の客単価と比べるとかなり高い水準として評価されている。
客単価は年齢との相関がみられ,20 代では 4,000 円程度であるが,40 代以上では
5,000 円を超えている。
集客エリア別に見ると,関東からの場合では客単価は約 6,200 円と,遠隔地からの
来訪者において高額となっている。
39
図表Ⅱ.20 「コロニーな生活」ユーザーの客単価(店舗別)
7,200
7,100
4,800
4,800
4,700
4,200
3,500
0
2,000
4,000
8,000(円)
6,000
(注)店舗名は省略
図表Ⅱ.21 「コロニーな生活」ユーザーの客単価(年代別)
3,800
10代(4)
3,900
20代(74)
4,700
30代(229)
5,400
40代(161)
5,600
50代(20)
5,000
60代以上(6)
4,800
全体(495)
0
図表Ⅱ.22
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000(円)
「コロニーな生活」ユーザーの客単価(集客エリア別)
県内(96)
4,200
他の中国地方(76)
4,000
四国(12)
4,700
近畿(107)
4,600
関東(122)
6,200
九州(46)
4,700
中部(32)
4,700
全体(495)
4,800
0
2,000
4,000
6,000
(円)
調査日数とアンケート回収数から年間の来店者数を推計すると,約 160 人/店~約
1,100 人/店と幅が大きくなっている。平均では約 460 人/店と推計される。各店の
客単価を乗じてコロカによる販売効果を推計すると,1店当たりの年間売上高は 114
万円~403 万円で,平均では約 210 万円/店と推計される。
40
図表Ⅱ.23 「コロニーな生活」ユーザー来店数(年換算推計値・店舗別)
1,141
545
415
392
372
213
160
0
200
400
600
800
1,000
1,200 (人)
(注)店舗名は省略
「コロニーな生活」ユーザーによる年間売上げ
(推計値・店舗別)
図表Ⅱ.24
403
258
190
178
176
154
114
0
100
200
300
400 (万円)
(注)店舗名は省略
(6)コロカ店及びその周辺での滞在時間
全体では「1時間」が約6割と大勢を占めており,コロカ店及びその周辺での滞在
時間は総じて長くはなっていない。ただし,近隣に著名な観光資源がある鳥取や萩の
店舗では,滞在時間が長くなる傾向が見られる。
図表Ⅱ.25
1時間
2~3時間
滞在時間
4~7時間
8~12時間
13~24時間
24時間以上
不明
5.0
鳥取の
コロカ店
44.0
30.0
10.0
6.0
4.0 1.0
9.8
萩の
コロカ店
44.1
29.4
5.9 2.9
4.9 2.9
2.1 1.9
全体(618)
63.3
7.0
20.7
1.5
3.6
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(7)コロカ店での購入商品の満足度
全体では「大いに満足」が約2/3を占めており,高い満足度が示されている。た
だし店舗毎に見ると 23%~88%という幅があり,商品のこだわり度等が評価に反映さ
れているものと考えられる。
41
図表Ⅱ.26
大いに満足
コロカ店での満足度
ある程度満足
普通
(n=618)
やや不満
大いに不満
不明
5.8 1.0
購入商品
25.7
65.9
1.6
1.6
立地環境やお店の
雰囲気
62.6
人との触れあい
65.5
0%
20%
図表Ⅱ.27
大いに満足
40%
27.8
7.8
0.2
21.0
12.8
0.6
60%
80%
100%
購入商品の満足度(店舗別)
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
2.0
88.0
8.0
81.0
2.0
17.0
76.7
2.0
1.7
21.7
3.8
67.9
28.3
6.8
65.0
26.2
1.9
2.9
64.7
31.4
21.0
23.0
1.0
6.0
47.0
0%
20%
40%
3.0
60%
80%
100%
(注)店舗名は省略
(8)コロカ店の立地環境やお店の雰囲気の満足度
全体では図表Ⅱ.26 のとおり「大いに満足」が6割を超え,高い満足度が示されて
いる。ただし,店舗毎に見ると 27%~85%という幅があり,店舗や周辺環境の景観が
評価に反映されているものと考えられる。
図表Ⅱ.28 立地環境やお店の雰囲気の満足度(店舗別)
大いに満足
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
85.0
15.0
3.0
78.0
19.0
1.0
74.0
24.0
1.0
5.9
66.7
27.5
5.8
62.1
28.2
3.9
13.2
47.2
35.8
3.8
25.0
27.0
0%
44.0
20%
40%
3.0
1.0
60%
80%
(注)店舗名は省略
42
100%
(9)コロカ店での人との触れあいの満足度
全体では図表Ⅱ.26 のとおり「大いに満足」が約2/3を占めており,高い満足度
が示されている。ただし,店舗毎に見ると 26%~89%という幅があり,コロカ店での
応対の親密度等が評価に反映されているものと考えられる。
図表Ⅱ.29
大いに満足
人とのふれあいの満足度(店舗別)
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
89.0
9.0
2.0
89.0
8.0
3.0
9.8
19.6
70.6
15.0
1.7
18.3
65.0
7.5
32.1
60.4
12.6
1.9
29.1
56.3
38.0
0%
1.0
35.0
26.0
20%
40%
60%
80%
100%
(注)店舗名は省略
5. 位置ゲー旅行の実態
(1)旅行の日数
全体では「日帰り」が4割強で,
「宿泊」は6割弱であり,コロカ店舗訪問が宿泊旅
行を多く創出していることがわかる。集客エリア別に見ると,県内及び中国地方から
の場合は日帰りが多いが,中国地方以外からの訪問の場合は宿泊が多くなっている。
宿泊者においては,
「1泊」,
「2泊」が各4割前後となっているが,関東からの集客
の場合は,
「1泊」が2割以下と少なく,比較的長い期間の宿泊旅行を行っていること
がわかる。
図表Ⅱ.30
日帰り・宿泊の別
日帰り
全体(618)
宿泊
不明
42.4
0%
20%
57.3
40%
60%
0.3
80%
43
100%
図表Ⅱ.31
日帰り・宿泊の別(集客エリア別)
日帰り
宿泊
県内(128)
93.8
他の中国地方(84)
34.5
21.4
近畿(133)
78.6
29.3
70.7
7.5
92.5
九州(62)
中部(37)
6.3
65.5
四国(14)
関東(147)
不明
38.7
1.6
59.7
10.8
89.2
0%
20%
40%
80%
100%
宿泊数
図表Ⅱ.32
1泊
60%
2泊
3泊
4泊
5泊
6泊
7泊以上
不明
1.4
全体(354)
41.2
37.9
2.8 3.1 0.3
12.7
0.6
0%
20%
40%
図表Ⅱ.33
1泊
60%
80%
宿泊数(集客エリア別)
2泊
3泊
県内(8)
4泊
5泊
6泊
7泊以上
50.0
他の中国地方(29)
100%
不明
50.0
41.4
48.3
四国(11)
3.4
6.9
9.1
81.8
9.1
1.1
近畿(94)
55.3
30.9
1.1
10.6
2.9
関東(136)
18.4
49.3
3.7
19.1
5.1
1.5
九州(37)
70.3
中部(33)
24.3
42.4
0%
20%
33.3
40%
60%
18.2
80%
2.7
2.7
6.1
100%
(2)今回の旅行での他のコロカ店の訪問
全体では「無し」が 73.5%,
「有り」が 24.1%となっている。集客エリア別に見る
と,中国地方以外からでは,他のコロカ店を訪問した人の割合がやや多くなっている。
周遊形態を見ると,同一県内の他のコロカ店を訪問するケース等,近隣のコロカ店を
訪問するパターンがみられる。
44
図表Ⅱ.34
他のコロカ店訪問(今回の旅行で)
無し
全体(618)
有り
不明
73.5
0%
20%
23.6
40%
60%
2.9
80%
100%
図表Ⅱ.35 他のコロカ店訪問(今回の旅行で・集客エリア別)
無し
有り
県内(128)
8.6 2.3
89.1
他の中国地方(84)
20.2
78.6
四国(14)
26.3
71.4
関東(147)
29.9
64.6
九州(62)
27.4
69.4
中部(37)
20%
2.3
5.4
3.2
35.1
64.9
0%
1.2
35.7
64.3
近畿(133)
図表Ⅱ.36
不明
40%
60%
80%
100%
他のコロカ店への訪問状況
中川酒造
島じゃ常識商店
和田珍味
みずの郷奥津湖
岡山のお店
広島のお店
山豊
藤井酒造
泉流山
花の海
45
直齋陶房
香川・愛媛
中川酒造
島じゃ常識商店
和田珍味
みずの郷奥津湖
直齋陶房
山豊
藤井酒造
福井
泉流山
花の海
愛媛
中川酒造
島じゃ常識商店
和田珍味
みずの郷奥津湖
直齋陶房
山豊
藤井酒造
泉流山
花の海
(3)今回の旅行の主な目的
全体では「コロカの入手」は 9.9%,
「コロカ店での商品の入手」は 12.8%,
「コロカ
入手が主で観光・レジャーを兼ねる」が 25.2%であり,これらを位置ゲーを主目的と
した旅行として捉えると,全体の 47.9%となる。一方,
「観光・レジャーが主でコロ
カ入手を兼ねる」は 39.0%,
「出張・仕事のついでのコロカ店訪問」が 5.2%であり,
これらを位置ゲーが付随的な旅行として捉えると 44.2%となる。位置ゲー主導型がや
や多いものの,両者はほぼ同程度という結果となっている。即ち,位置ゲーは旅行を
創出するとともに,観光旅行創出を後押していることがわかる。
また,店舗別に見ると,広島の漬物製造販売店のように「コロカ店での商品の入手」
が 28.0%に達する例もあり,位置ゲーが 商店の顧客創出に結びつきつつある例も見
46
られる。
集客エリア別に見ると,県内からの訪問のケースでは,「コロカ店での商品の入手」
が主目的となっているが,関東・中部等の遠隔地と近畿・九州では,
「観光・レジャー
が主でコロカ入手を兼ねる」が5割前後と多く,観光を楽しむという意識が強まって
いる。
図表Ⅱ.37 旅行の主な目的(店舗別)
コロカの入手
コロカ店での商品の入手
コロカ入手が主で観光・レジャーを兼ねる
観光・レジャーが主でコロカ入手を兼ねる
出張・仕事のついでのコロカ店訪問
その他
不明
6.0
7.0
15.0
23.0
45.0
4.0
6.7
10.0
25.0
15.1
40.0
15.1
15.0
7.5
24.5
1.7
30.2
7.5
5.8
9.7
11.7
21.4
42.7
6.8
6.0
11.0
28.0
16.0
33.0
6.0
2.0
4.9 3.9
32.4
48.0
7.8
4.0
14.0
全体(618)
11.0
9.9
12.8
0%
(注)店舗名は省略
34.0
25.2
7.0
5.2
39.0
20%
図表Ⅱ.38
30.0
40%
60%
7.3
80%
100%
旅行の主な目的(集客エリア別)
コロカの入手
コロカ店での商品の入手
コロカ入手が主で観光・レジャーを兼ねる
観光・レジャーが主でコロカ入手を兼ねる
出張・仕事のついでのコロカ店訪問
その他
不明
2.3
県内(128)
15.6
18.8
23.4
32.8
6.3
3.6
他の中国地方(84)
6.0
四国(14)
31.0
13.1
14.3
38.1
14.3
14.3
8.3
28.6
28.6
2.3
近畿(133)
15.8
8.3
8.1
中部(37) 2.7 2.7
0%
44.4
6.0
13.6
関東(147) 4.8 2.7
九州(62)
23.3
25.9
46.3
25.8
11.3
6.1 0.7
1.6
4.8
48.4
2.7
29.7
20%
51.4
40%
60%
10.8
80%
100%
(4)コロカ店訪問旅行の消費額
コロカ取得希望者1人当たりの旅行消費額は,日帰りの場合は 1.3 万円,宿泊の場
合は 5.2 万円であり,平均では 3.6 万円/人となっている(同行者分も含む,重複は
除く)。集客エリア別に見ると,同一県内では 1.0 万円/人であるが,遠隔地では消費
額が大きくなり,関東では 6.4 万円/人となっている。
47
図表Ⅱ.39 一人当たり旅行全体の平均消費額(日帰り・宿泊別)
日帰り(240)
1.3
宿泊(331)
5.2
全体(571)
3.6
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
6.0 (万円)
5.0
(注)同行者分の重複を除く
図表Ⅱ.40
1人当たり旅行全体の平均消費額(集客エリア別)
県内(114)
1.0
他の中国地方(79)
2.0
2.6
四国(13)
九州(62)
2.8
近畿(125)
3.7
4.6
中部(34)
関東(136)
6.4
0.0
2.0
4.0
8.0 (万円)
6.0
(注)同行者分の重複を除く
(5)訪問した(する予定の)観光施設
全体では「有り」が 54.7%と多く,位置ゲーと観光との結びつきが強いことを示し
ている。集客アリア別に見ると,中部・関東等の遠隔地や九州からの訪問において,
観光施設の訪問率が高くなっている。具体的な観光施設としては,鳥取県のコロカ店
では鳥取砂丘・ジオパーク,島根県のコロカ店では出雲大社,広島県内のコロカ店で
は宮島や平和公園・広島城,山口県内のコロカ店では萩の観光資源や秋吉台・秋芳洞
等のように,各地域を代表する主要観光資源を訪問していることがわかる。
図表Ⅱ.41 訪問した(する予定の)観光施設(店舗別)
有り
無し
不明
37.0
56.0
7.0
31.7
60.0
41.5
56.6
45.6
1.9
16.5
37.9
53.0
77.5
18.6
48.0
54.7
0%
20%
2.0
45.0
45.0
全体(618)
8.3
38.3
40%
60%
(注)店舗名は省略
48
3.9
7.0
7.0
80%
100%
図表Ⅱ.42 訪問した(する予定の)観光施設(集客エリア別)
有り
県内(128)
無し
不明
8.6
59.4
32.0
他の中国地方(84)
6.0
38.1
56.0
四国(14)
50.0
42.9
7.1
近畿(133)
51.9
40.6
7.5
関東(147)
64.6
30.6
4.8
九州(62)
64.5
30.6
4.8
中部(37)
10.8
86.5
0%
20%
40%
60%
80%
2.7
100%
図表Ⅱ.43 訪問した(する予定の)観光施設名
訪問した(する予定の)観光施設(鳥取コロカ店)
訪問した(する予定の)観光施設(島根コロカ店)
33
鳥取砂丘・ジオパーク
出雲大社
境港・水木しげるロード
松江城
かろいち
仁風閣
三朝温泉
鳥ぎんバードスタジアム
コナンの里
なしっこ館
鳥取温泉
鳥取花回廊
鳥取城跡
温泉
投入堂
倉吉
大山
隠岐
月山富田城
奥津温泉
厳島神社
ジャスコ鳥取北店
岩手温泉
天橋立
いろいろ
7
松江・松江城・小泉八雲記念館
6
石見銀山
2
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
17
出雲大社
7
5
4
5
境港・水木しげるロード
4
仁摩サンドミュージアム
4
浜田・おさかなセンター・アクアス
3
鳥取・鳥取砂丘
3
萩城跡
玉造温泉・玉造湯神社
2
熊野大社
2
2
八重垣神社
岩国城・錦帯橋
1
唐戸市場
1
川棚温泉
1
隠岐
1
1
道の駅
10
20
30
40
0
4
9
9
竹原まちなみ・美術館・西方寺
2
倉敷
14
宮島・厳島神社・宮島水族館
広島市内・平和公園・広島城
3
蒜山高原
7
呉・大和ミュージアム・くじら館
2
姫路城
5
尾道・しまなみ海道
カブトガニ博物館
1
福山城・鞆の浦
玉野市ののちゃんの展覧会
1
道の駅
2
2
酒祭り
1
マツダスタジアム
1
岩国
1
和気神社
1
三朝温泉
1
犬島アート
1
出雲大社
1
出雲大社
1
伯方塩業(大三島工場)
1
天橋立ビューランド
1
オーシャンスパ汐音
1
竹原周辺の名所
1
1
銀波桜
城
1
海の駅
1
0
1
寺
2
4
20
訪問した(する予定の)観光施設
(広島コロカ店(竹原))
訪問した(する予定の)観光施設(岡山コロカ店)
赤穂・赤穂城跡・花岳寺
10
6
0
49
5
10
15
訪問した(する予定の)観光施設
(山口コロカ店(萩))
訪問した(する予定の)
観光施設(広島コロカ店(広島))
14
広島城・平和公園・交通科学館等
宮島・厳島神社
マツダスタジアム
尾道・因島
ビッグアーチ
出雲大社
秋芳洞
下関・しものせき水族館
小豆島
温井ダム
福山城
大和ミュージアム
ウッドワン美術館
江田島旧海軍兵学校
錦帯橋
萩
倉敷
姫路城
城
12
8
5
2
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
5
10
33
萩城跡・松陰神社等
秋芳洞・秋吉台
出雲大社
金子みすゞ記念館・青海島等
石見銀山
シーマート
瑠璃光寺・湯田温泉
唐戸市場
錦帯橋
津和野城・SLやまぐち
瓦そば たかせ
広島市内
松江城・松江
道の駅
厳島神社
岩国
米子
鳥取
たくさん
日本
15
16
8
7
5
4
3
3
3
2
2
4
4
3
1
1
1
1
1
1
0
20
40
訪問した(する予定の)観光施設
(山口コロカ店(山陽小野田))
9
秋吉台・秋芳洞
リバーウォーク北九州・門司港
しものせき水族館・唐戸市場
温泉
カモンワーフ
萩城跡
瓦そばたかせ
防府市公会堂
長沢ガーデン
道の駅
長府庭園
ときわ公園
宮島
石見銀山
山口・島根の神社仏閣
温井ダム
出雲そばの店
やじま旅館
スーパーホテル防府駅前
白木屋グランドホテル
中国地方
県内
これから
7
6
4
2
2
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
5
10
(6)コロカ店訪問旅行の満足度
全体では「大いに満足」が 52.3%,「ある程度満足」が 32.8%であり,高い満足度
が示されている。
「大いに満足」を店舗毎に見ると,26%~69%と幅があり,コロカ店
での商品の満足度,店舗の立地環境やお店の雰囲気の満足度,コロカ店での人との触
れあいの満足度との相関が見られる(相関係数は順に 0.63,0.62,0.59)。即ち,コ
ロカ店での満足度が旅行の満足度を高めているといえる。
観光施設を訪問しているケースの方が旅行の満足度が高くなっており,また旅行の
主目的別に見ても,観光・レジャーのウエイトが増すと,「大いに満足」がやや多く,
「普通」という評価が少なくなるなど,旅行の満足度が高くなる傾向が見られる。
これらのことから,観光体験がコロカ店訪問旅行の満足度を高めることに繋がってい
ることがわかる。集客エリア別に見ても顕著な差はみられない。
50
図表Ⅱ.44
大いに満足
旅行の満足度
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
0.3 0.5
全体(618)
52.3
0%
32.8
20%
図表Ⅱ.45
大いに満足
40%
12.5
60%
80%
100%
旅行の満足度(店舗別)
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
9.0
69.0
21.0
1.0
5.9
62.7
27.5
61.7
3.9
5.0
33.3
11.0 1.0
55.0
32.0
1.0
10.7 1.0
51.5
34.0
2.9
15.1
35.8
47.2
1.9
29.0
26.0
1.0 1.0
1.0
42.0
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(注)店舗名は省略
図表Ⅱ.46
大いに満足
旅行の満足度(商品の満足度別)
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
0.2
大いに満足(407)
ある程度満足(159)
68.6
20.1
19.5
9.3
64.8
1.2
13.8
1.9
2.82.8
普通(36)
41.7
11.1
やや不満(6)
36.1
33.3
16.7
5.6
50.0
大いに不満(0)
0%
図表Ⅱ.47
20%
40%
60%
80%
100%
旅行の満足度(立地環境の満足度別)
大いに満足
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
0.3
大いに満足(387)
68.5
21.2
8.8
1.3
0.6
ある程度満足(172)
26.7
55.2
15.1
2.3
2.12.1
普通(48)
18.8
47.9
27.1
2.1
10.0
やや不満(10)
20.0
30.0
40.0
大いに不満(0)
0%
20%
40%
60%
80%
51
1.6
100%
図表Ⅱ.48
旅行の満足度(人との触れあいの満足度別)
大いに満足
ある程度満足
普通
やや不満
大いに不満
不明
0.5
大いに満足(405)
66.4
ある程度満足(130)
23.2
25.4
8.4
57.7
1.2
16.2
0.8
1.3 1.3
普通(79)
21.5
43.0
27.8
5.1
やや不満(0)
大いに不満(0)
0%
図表Ⅱ.49
20%
40%
60%
80%
100%
観光施設訪問の有無×旅行の満足度
大いに満足
ある程度満足
有り(338)
普通
やや不満
大いに不満
62.1
不明
4.7 1.2
32.0
1.3
無し(237)
39.7
24.1
33.8
0.8
0.4
0%
20%
図表Ⅱ.50
40%
60%
ある程度満足
やや不満
大いに不満
28.6
46.4
不明
23.6
32.1
53.2
10.3
35.7
57.3
0%
20%
40%
60%
5.4
80%
普通
やや不満
大いに不満
不明
0.8
23.4
2.3
31.3
42.2
8.3
他の中国地方(84)
1.2
33.3
57.1
7.1
四国(14)
7.1
85.7
10.5 0.8
1.5
36.1
51.1
7.5
関東(147)
2.0
33.3
57.1
17.7
1.6
37.1
43.5
5.4
中部(37)
0%
35.1
59.5
20%
40%
60%
80%
100%
52
1.7
100%
旅行の満足度(集客エリア別)
ある程度満足
九州(62)
2.6
1.3
観光・レジャーが主で
コロカ入手を兼ねる
(241)
近畿(133)
0.7
0.6
コロカ入手が主で観
光・レジャーを兼ねる
(156)
県内(128)
普通
0.7
コロカの入手、コロカ
店での商品の入手
(140)
大いに満足
100%
旅行の満足度(旅行の主な目的別)
大いに満足
図表Ⅱ.51
80%
(7)GPS機能付きのネット情報の利用
「利用しない」が 66.7%,
「利用した,する予定」が 31.2%となっている。利用し
ない人が多いのは,本調査時点ではスマートフォンより表示面積の小さい携帯電話の
利用者が8割近くを占めることが影響していると考えられる。利用するアプリとして
は,グーグルマップなどの地図情報が圧倒的である。
図表Ⅱ.52
GPS機能付ネット情報を利用したか
しない
全体(618)
した、する予定
不明
66.7
0%
図表Ⅱ.53
20%
31.2
40%
60%
80%
2.1
100%
利用した(する予定の)アプリ名
60
グーグルマップ
地図アプリ
コロプラ
Ezweb/EZナビウォーク/ EZ助手席ナビ
グーグル
ナビ
ケータイ国盗り合戦
食べログ
フォースクエア
mixi
マイステーション
その他
16
13
11
10
6
3
2
2
2
1
5
0
20
40
60
(8)インターネットで提供されることが便利な情報
全体では「ご当地のグルメ情報」が 60.8%と高くなっており,食情報への関心の高
さが伺われる。
「旅行者によるクチコミ情報」が 31.9%,
「観光施設のマニアックな情
報」が 25.1%,
「観光施設や飲食店での割引等のクーポン情報」が 23.1%と続いてお
り,多彩なニーズが見られる。年齢別に見ると,10 代,20 代ではクーポン情報や観
光施設へのマニアックな情報へのニーズが強く,総じて若い人ほどインターネットで
提供してほしい情報へのニーズが強くなっている。性別に見ると,女性ではご当地グ
ルメ情報,旅行者クチコミ情報,クーポン情報へのニーズが強く,男性では観光施設
のマニアックな情報へのニーズが強い。集客エリア別に見ると,関東では観光施設の
マニアックな情報,近畿ではクーポン情報へのニーズが強いなどの地域性も窺える。
53
図表Ⅱ.54 どのような情報がインターネットで提供されれば便利か
観光施設のマニアックな情報
25.1
ご当地のグルメ情報
60.8
観光施設や飲食店での割引等の
クーポン情報
23.1
旅行者によるクチコミ情報
31.9
その他
3.7
不明
6.6
0
図表Ⅱ.55
(n=618)
10
20
30
40
50
60
70 (%)
インターネットで提供してほしい情報(年代別)
観光施設の
マニアックな
情報
ご当地のグ
ルメ情報
旅行者によ
るクチコミ情
報
観光施設や
飲食店での
割引等のク
ーポン情報
その他
2.0
10代・20代
(102)
28.4
61.8
30代(280)
27.9
60.4
30.4
34.3
5.7
21.8
31.1
2.5
40代(199)
20.6
61.3
50代以上
(36)
19.4
61.1
0
25.0
100
(%)
150
インターネットで提供してほしい情報(性別)
観光施設の
マニアックな
情報
ご当地のグ
ルメ情報
27.8
女性(254)
35.2
13.9
50
図表Ⅱ.56
男性(363)
20.6
21.3
0
57.9
旅行者によ
るクチコミ情
報
観光施設や
飲食店での
割引等のク
ーポン情報
20.7
65.0
29.8
26.8
50
その他
3.9
35.0
3.5
100
(%)
150
図表Ⅱ.57 インターネットで提供してほしい情報(集客エリア別)
観光施設の
マニアックな
情報
関東(147)
ご当地のグ
ルメ情報
観光施設や
飲食店での
割引等のク
ーポン情報
61.2
17.7
29.3
近畿(133)
24.2
中国地方
(212)
20.8
0
58.1
58.0
50
旅行者によ
るクチコミ情
報
31.3
33.0
25.9
3.4
38.7
37.1
100
4.8
4.7
150
54
その他
(%)
6. 位置ゲーによる観光行動と地域振興効果
(1)位置ゲーをきっかけとした旅行創出と位置ゲーが後押しして観光旅行を創出
コロカ店を訪問する位置ゲーユーザーは,遠隔地からもコロカ店を訪問しており,
1年間に約6回程度のコロカ獲得旅行をするなど,ヘビーユーザーが多い。年齢的に
は 30 代と 40 代が主体となっており,若者層の中でも,コロカ店への旅行や商品購買
力を備えた余裕を持つ層として捉えられ,男性だけでなく女性にも広がっている。ま
た,一人で訪問するよりも,家族・友人・カップルと同行する形態が多い。
旅行目的を見ると,コロカ入手を重視する位置ゲー主導型旅行と,観光を主目的と
した位置ゲー付随型旅行とはいずれも4割以上となっている。即ち,位置ゲーをきっ
かけとした旅行が創出されているとともに,位置ゲーが後押しして観光旅行が創出さ
れていると捉えられる。
(2)ヴァーチャルなゲームとリアルな観光体験が両立
コロカ獲得だけでなく,お店での商品購入,お店の雰囲気,お店での人との触れあ
いにも高い満足度が示されている。また,著名な観光地がある地域では,滞在時間も
長くなっており,観光施設への訪問が旅行全体の満足度を高めることにも繋がってい
るなど,ヴァーチャルなゲームとリアルな観光体験が両立している。
(3)位置ゲー訪問店舗での経済効果
中国地方のコロカ店では,コロカを求める年間の訪問者数は,店舗単位では,約 160
人/店~約 1,100 人/店程度で,平均では 460 人/店と推計される。客単価は約 4,800
円と,伝統的な商品を販売する店舗側からもかなり高い水準として評価されている。
各店舗の客単価を乗じると,1店当たりの年間売上高は 114 万円~403 万円で,平
均では約 210 万円/店と推計される。コロカ店はいずれも伝統産業・地場産業的な性
格を持つ店舗であり,店舗側においても,位置ゲーによる新たな客層の開拓と,消費
効果の大きさが高く評価されている。また,食品系の店舗では商品購入のリピーター
が創出されつつある例もみられる。
(4)位置ゲーによる旅行需要創出
位置ゲー旅行者の多くは宿泊旅行をしており,ユーザーの1旅行当たりの旅行消費
額(同行者分も含む)は,3.6 万円となっている。コロカやコロカ店の商品獲得を主
目的とした旅行(位置ゲー主導型旅行)においては,この値を1人当たり旅行需要創
出額とし,
観光を主としついでにコロカ獲得を目的とした旅行(位置ゲー付随型旅行)
においてはコロカ店での商品購入額を1人当たり旅行需要創出額として,各店舗毎に
旅行者数を乗じて算出すると,中国地方7店では1年間に約 6,300 万円の旅行需要が
創出されていると推計される注3。これを基にすると,全国的には年間で約 11 億円程
度の旅行需要注4が創出されていると推計される。
55
(注3)各店舗毎の旅行需要創出額は下記の計算による。同行者による旅行消費額の重複分は除外した。
旅行需要創出額=位置ゲー主導型旅行者数×1人当たり旅行消費額(2.6~4.8 万円)
+位置ゲー付随型旅行者数×1人当たり商品購入額(3,500~7,200 円)
(注4)2011 年 11 月 28 日現在の店舗数を基に推計。コロカ獲得旅行には,今回対象とした個人旅行の
他に,旅行会社主催ツアーもあるが,今回の推計に含めていない。
また,この旅行需要に伴う経済波及効果(生産波及効果)は約 2.2 倍程度の規模になると考えら
れる(観光庁発表による 2009 年度の全国値)
。
(5)旅行先で求められる情報
旅行者の約 1/3 がGPS機能付きのアプリとして地図情報等を活用している。ただ
し,ユーザーの内,スマートフォン利用者は現時点において2割余りにとどまってい
ることから,今後スマートフォンの普及拡大に伴って,GPS機能付きのアプリ利用
が拡大していくものと思われる。
求められている情報としては,ご当地グルメ情報へのニーズが突出して高く,マニ
アックな観光情報,旅行者クチコミ情報に対するニーズ,観光施設や飲食店でのクー
ポン情報など多彩である。総じて,若い人ほどこうした情報に対するニーズが強くな
っている。位置ゲーユーザーにおいても,観光施設への訪問体験が旅行全体の満足度
を高めていることから,移動先での効果的な観光情報提供の仕組みの構築が,旅行の
満足度を高める上で重要となっている。
56
Ⅲ
位置情報を活用した観光振興の可能性(専門家インタビュー調査)
1.位置ゲー運営会社
株式会社コロプラ 取締役副社長 千葉功太郎氏 (平成 23 年 8 月 4 日)
(1)ジオメディアを利用して移動・観光させる仕組み
a.ヴァーチャルとリアルの結合による移動の誘発
位置ゲーは、オンラインのゲームとオフラインの提携先が結合したサービスである。
目的地(コロカ店舗)
、宿泊、移動手段の3要素で旅が構成されるが、これを面的に広
げていくという切り口で展開してきた。
b.ゲームは観光のきっかけづくりとなる
若い人は、ヴァーチャルなエンターテインメント、即ち、家の中で遊ぶことに時間
を使っている。観光はテレビゲーム、インターネットサービスと競合せざるを得ない
が、ゲームは人を動かすわかりやすいモチベーションであり、非常に強い観光のきっ
かけとなる。
(2)ジオメディアを利用した移動・観光の実態
a.ゲームを通じて移動を起こす人数
「コロニーな生活」のユーザーは約 200 万人。そのうちアクティブなユーザーがコ
ロカ店にまで出向き、そこで商品を購入している。商品購入の月間総額はいまや 1 億
円を超えている。また、その土地に行かないと購入できないゲーム上のデジタルお土
産が全国に 1,000 個近くあり、月間数十万人ものユーザーがそれを求めて移動してい
る。
b.ゲーム中心の動きをするユーザー
ユーザーは「コロニーな生活」のゲームを軸に動いており、複数のコロカ店に行っ
て買い物をしたり、宿や路線などをゲーム上有利になるように選んだり、途中でスタ
ンプやアイテムを拾ったりしながら動いており、普通に観光地を巡る人よりも強く、
ゲームによって動機づけされていると思われる。
c.移動先で観光が誘発される可能性を秘める
コロカ店は、「旅費をかけてでも訪れるべき、日本の良いものを提供している店舗」と
いうコンセプトで厳選した店舗である。数を絞ることで付加価値を付けており、各都道府
県に4箇所程度、店舗の密度を均等にできるように点在させている。
ゲームのパワーで一次移動させ、出かけると五感に訴えかける風景、におい、空気、水、
文化、町並み、商品、そして人、そういうものが全部あって、感動するという展開を想定
する。これは観光資源を情報発信して観光地に人を誘客するという、これまでの観光とは
逆のアプローチである。
57
(3)今後の展開について
a.回遊性のある観光圏の形成をゲームで構築
コロカ店は、地域の集客ポイントであり、ゲーム上の玄関口の役割を果たす。その
玄関口に対して人が動き、その周辺に観光施設、食べ物屋などでゲーム上のおもしろ
いことを仕掛けると、そこも周遊するために、宿泊型の観光圏が生まれる。全国にこ
のような観光圏という単位で回遊モデルを作って行くことができる。
b.「コロニーな生活」の認知度を高めることで観光振興に繋げる
ユーザー数は 200 万人を超えているが、Mobage や GREE といった大手SNSと比
べるとその規模は 10 分の1以下程度であるため、今後は、認知度を高め、ユーザー
数を増やすことで、地域経済に貢献できると考える。
(4)地域での観光情報整備のありかた
a.ユーザー目線による選択的な観光情報の紹介
マニアックな隠れ家、名店を探すというのが観光の目玉になると思う。観光情報誌
の特集ページに載っているところをめざす観光は、若者の中ではあまり魅力を感じな
いのではないだろうか。地域の核となる場所に人が集まっているのであれば、そこを
基軸にどうやって魅力をうまく整理して伝えるかが重要である。今までは横並び主義
が強かったが、これから徹底しなければいけないのはユーザー目線である。インター
ネットの普及でランキング時代になっており、いい場所を厳選して紹介しないと、リ
ピーターにはなってくれない。
b.ユーザー評価の集まるソーシャルメディアの活用
インターネットでは、不評、不平はすぐ共有され、どんどんネガティブスパイラル
が発生する。来る人たち全員が、つながって情報共有されている顧客であるぐらいの
接客をして、どうおもてなしするかということを真剣に考えるべきである。インター
ネットのブログや Twitter でつぶやいたら、みんなにすごいと言われるようなところ
に人は動く。
58
2.ジオメディアの普及・促進を図る団体「ジオメディアサミット」運営者
株式会社シリウステクノロジーズ シリウスラボ所長 関治之氏(平成 23 年 8 月 4 日)
(1)観光におけるジオメディアの活用について
a.観光面で活用される位置情報サービス
新潟でのトリエンナーレは、数十キロという広域の作品展であり、携帯を使って作
品を探したり、スタンプラリーのように集めるサイトを用意している。
例えばバルセロナに行ってガウディの作品を見る時に、観光ガイドを持っていなく
ても、ウィキペディアを見れば詳しい情報がわかって楽しめる。いかに追加情報を得
てもらうかというところが位置情報の出番である。
b.ソーシャルメディアの活用が重要
例えばチェックインした時に4sq の場合はチップス(Tips)が出せる。それがすご
く充実していたら回遊するチャンスは増える。街のいいところを、出す側の目線では
なく、来る側の目線で、情報発信していくこと。ソーシャルメディアを更新する担当
者を付けることも必要。
c.ソーシャルメディアによる地域の分析
地方に行っている人たちがどういうところに行ってどう感じたのか、収集してみる
というところから始めてもいい。Facebook を分析すれば、どういう人がどういうと
ころにチェックインして、どんなことを言っているかわかる。Twitter も、検索して
データベース化すれば、どこがおもしろくなかった、おもしろかったと言っているか
わかる。地元の人と、観光客の感じ方は違う。ソーシャルメディアはアウトプットの
メディアではなく、対話のメディアということが重要だと思う。
d.ジオメディアデータの分析の必要性
人々がどういう回遊行動をしているかを分析して、どこをどう改善したいか語れる
ようになると、施策の精度は上がる。メインの観光スポットがいくつかあって、ここ
までは来ているがここには来ていないというのがわかるようになると、改善しやすい。
そういうデータが取れるのは、公衆無線 LAN やチェックイン等だろう。
e.エントリーポイントとコンテンツの組み合わせを考えること
ある場所に行った時に、携帯電話を使って何かアクションをする人がいる、という
ことを認識する必要がある。それに対して、どういうエントリーポイントを設けるこ
とができて、どういうコンテンツが出せるか。コンテンツとしては、我が町の魅力は
何かということである。位置情報ポイントとしては、そのコンテンツをどう出すかと
いうところ。エントリーポイントとしては、チェックインがあり、ゲームもある。
f.パンフを補完するジオメディア
駅の案内所はすごいコンタクトポイントである。もらったパンフレットは、見て終
わりとなるが、もっとインタラクティブにできる。携帯でその場で、アクセスと追加
情報を得られるようにするとか、曇っている時でも天気のいい時にはこう見えるとい
う景色を見せてもいい。観光は、バックグラウンドにどれだけ情報があるかによって
59
楽しさが全然違う。
g.AR 系によるよりきめ細かい情報提供の可能性
AR 系のサービスや店舗内でGPSの位置情報をさらに細かい精度で提供できると
いうサービスをやっている会社があるが、例えば美術館である絵の前に立ったらその
絵の情報が出せるというような、屋内型施設で場所に応じて情報提供ができるという
ものは、いろいろな大学、企業が研究しており、インフラという意味で有用である。
h.今後役割を増すジオメディア
位置情報サービスは、広告や飲食店等の検索に関しては、伸び続けてきているが、
まだまだ母数は少なく、数百万人程度。間違いなく検索ということにおいては位置情
報が強く影響するようになる。
(2)ジオメディアを観光に活かす地域でのソフト施策
a.地域のテーマを打ち出すこと
移動先でどう観光行動を起こさせるかという点では、その地域のテーマをどう構築
するかが大切。街全体の強みを元に軸を作って、そこにどう誘導していくかというこ
とを考える必要がある。
b.おもてなしやリアルなインセンティブが大切
位置ゲーを見てもわかるように、ネットだけではなく、着地したところでのおもて
なしが大切。例えば情報をARで見ることができても、ただ情報が見られるというだ
けでは不十分で、リアルなインセンティブが生まれる、知らなかったことがわかるこ
とが重要。
(3)ジオメディアを観光に活かす情報環境整備のありかた
a.公衆無線 LAN による快適な情報環境
快適なインフラを用意すること。公衆無線 LAN は、基本的には店舗などがインタ
ーネットを引いていればルーターの設置によって提供できる。公衆無線 LAN はアク
セスした時にトップページを出せるので、その地域の売り出したいテーマを打ち出し、
イベント情報など載せていける。テクノロジー的には難しくはないが、企画、ディレ
クションできる人がいるかどうかがポイントとなる。
b.IT 技術者と連携した地域でのソフト開発
例えば観光系のサイトから携帯向けに観光用のアプリケーションを提供して、その
アプリをダウンロードして行くといろいろな観光情報が得られるし、お勧めのルート
案内もできると思うが、企画を持った人と技術者とが話し合えば、いろいろなアイデ
アが出てくると思う。もちろんその際には、予算や企画力が必要になってくる。
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3.旅行会社系コンサルタント
株式会社リクルート じゃらんリサーチセンター研究員
木村 宏美氏 加藤
史子氏(平成 23 年 8 月 22 日)
(1)観光面での位置情報サービスの活用について
a.位置情報サービスの使われ方について
一次移動、二次移動という考え方には賛同する。人を誘導するというきっかけコン
テンツと、着地での満足度、観光地内での回遊や消費額アップ、満足度アップのため
のコンテンツとがある。一次移動はゲームの人気、エンターテインメントの人気性な
どで引っ張っているところがあり、アニメの聖地巡礼と同じ考え方でコアユーザーが
行動している。着地側は既にそのエリアに来ている人たちに対して情報提供すればよ
いので可能性はすごくあるが、アプリを作るだけなど、デバイスありきでは、制作し
ただけで効果が把握できていない。
b.位置情報を送信させるための手法について
位置情報がエンターテイメントになっている場合は別だが、基本的には観光地でス
マートフォンをかざすことやチェックインすることは面倒くさい行為だと思う。セカ
イカメラについても、事業者受けするが、観光客が本当にやるかというと難しい。も
しかしたら城などの施設の中で、ちゃんと説明が知りたい時は、セカイカメラを使う
かもしれない。位置情報を送信させる、かざさせるモチベーションを何に置くかをも
っと考える必要がある。クーポンかもしれない。謎解き、宝探しというエンターテイ
メント系かもしれない。また、必要に迫られてということもある。知らない土地でお
いしい店を探したい時には、面倒くさいが必要に迫られて使う。
位置情報を活用した新しい技術やサービスが生まれているが、みんな手段が目的化
する(新しい技術を使うことが目的となってしまう)。手段が目的化した時に、一般消
費者は位置情報を送ることには喜びはないというところを忘れないようにしないとい
けない。
(2)位置ゲーの観光面での活用について
a.位置ゲー(「コロニーな生活」
)ユーザーの特性について
「コロニーな生活」ユーザーの場合、スタンプを取るために強行軍で回る。現状で
は移動しかしていないのではないか。ゲーム主体のため、観光の時間が取りにくい。
ただ、
「コロプラ」ツアーを九州でやった際には、最後に福岡で3~4時間のフリータ
イムを設けたが、観光も楽しみたい、おいしいものも食べたいという人が半分ぐらい
いた。
「コロニーな生活」で旅に出ている人は、皆さんアクティブだ。フットワークが
軽く、すごく欲張り。朝から晩まで動き回って、ゲームを楽しみたいし友達も作って
一緒にご飯も食べている。
b.位置ゲー(「コロニーな生活」
)を活用したツアーについて
61
9月に「コロプラ」ツアーを岩手でやるが、49,800 円のツアーで 35 名定員が埋ま
ったようなので、まだまだ力がある。参加者は観光情報についてはあまり調べていな
いので、ツアーに組み込むと満足度は高かったりする。私たちがツアーを組む時は、
必ず地域の人との接点、交流を入れるようにしていた。地場のものが食べられるとい
うようなことを皆さんすごく喜ばれる。
(3)コンタクトポイントでの情報提供の必要性について
a.着地側での情報提供のあり方について
「コロニーな生活」では、コロカ店がユーザーにとっての着地でのコンタクトポイ
ントであることは間違いない。コロカ店舗で着地の満足度上げるような情報提供がで
きればと思う。いわば観光案内所になれればいい。カスタマーがネットで情報発信す
る世界になっているのに、観光協会だけは地元のおじさんが愛想無くパンフを渡すだ
けで、オープンしている時間も短く、必要な時にいてくれない。沢木耕太郎の「深夜
特急」を読むと、海外に行って最初にすることは、どの安宿に行けば情報が集まって
いるかを探索すること。
そこで海外から来たバックパッカーがあそこの食堂はうまい、
といった情報をやりとりしている。そういうカスタマーの接点ができてもいいのでは
ないか。
b.「目的」コンテンツと「ついで」コンテンツの整理
地域のすてきなものは目的地として発信されれば良い。鳥羽伊勢志摩の海女小屋体
験という、海女さんが身体を休める小屋で海鮮を焼いてもらって苦労話を聞きながら
食べるという着地型のツアーは、50 枚チケットが 10 分たたずに完売した。ほとんど
20~30 代の女性。これは目的になりうるコンテンツ。目的になるものはどんどん出し
ていくと良い。その上で、ついでになるものはそれにふさわしいタイミングで情報提
供する。コンビニのレジの横に和菓子やチロルチョコを置いているみたいなこと。
c.コンタクトポイントを考慮した商品造成・情報発信
着地のコンタクトポイント調査をやろうと思っている。スマートフォンでチェック
インというものに限らず、バーチャル、リアル混ぜ合わせで、最初に会った人なのか、
駅なのか、宿のフロントなのか。現状では、そこがあいまいなまま着地型観光商品を
作ってしまっている。そのため、5日前要予約ということで売り出しても、なかなか
売れない。その商品を購入する一番ホットなポイントというのが、どこにあるのかと
いうことを知っておく必要があるが、現状はどこでキャッチアップしているのか、日
本人でもわからない。どのものごとはどのタイミングだと一番購買意欲が動くのか、
そこに合わせていかないと売れない。
62
4.WEB制作会社(グーグルマップ開発パートナー)
株式会社ゴーガ 代表取締役 小山 文彦 (平成 23 年 10 月 19 日)
(1)観光アプリの可能性と課題
a.観光アプリの制作
観光アプリについては、可能性は大きいが、観光情報を出すだけだと、ホームペー
ジを作るのと同じでそれなりに大変な作業が必要になってくる。観光情報が掲載され
ているアプリというだけではビジネスになりにくい。その場合、例えば自治体の観光
部局が業者に作らせるより、地域を紹介したい住民のほうが、良いものを提供できる
場合もあると思う。
b.観光情報の整理・コントロール
観光資源の情報について、歴史好きの人には歴史の情報というようにテーマ別、タ
ーゲット毎に必要な時代。自治体が位置情報付き観光情報データの中にどういうデー
タを構築するかが求められている。データ構築の部分について、自治体がやる気があ
ればやってもいいと思うが、付け焼き刃では続かない。
旅行の際に必要な情報は、初めての場合とリピーターとでは全然違ってくる。例え
ば、名古屋に初めて行くと味噌カツを食べたいが、2回目に行くと違うものが欲しい。
1回目に行きたい所、2回目に行きたい所、3回目以上、いつでも行ける時に行きた
い所は違う。3回目には味噌カツは食べていない。そういう情報をコントロールでき
ればもっとうまく情報提供ができる。今それをうまくやれている所はない。
c.観光情報データの公開・共有
観光情報データの構築にあたっては、自治体が観光アプリを開発する時にデータと
アプリケーションを分けて開発すると良いだろう。作成された位置情報付き観光情報
データは誰でも使っても良いと言えば、有志が観光アプリを制作するかもしれない。
自分のアプリに組み込む人もいるだろう。ただ、データを作るだけでは目に見えてく
ることが少ないので、アプリケーションを制作することも必要で、アプリケーション
を見てもらって、こんなデータを誰でも使えるということになれば、開発する人がい
っぱい出てくると思う。データを虎の子のデータという感じで出さないでいるのはも
ったいない。データを誰でも使えるようになると、観光資源が生きてくると思う。
d.アプリの存在を知ってもらうことが必要
観光アプリは、これまでたくさん開発されていて非常に良いと思うが、弱点が一つ
ある。それは、そのアプリの存在がわからないこと。その対策として一番大事なのは、
現地できちんと紹介することだろう。例えば広島駅に降りたら、北口(新幹線口)
、南
口両方に看板があり、アプリを知り、アプリをダウンロードするタイミングがあると
いうことが重要だ。
物理的に看板など置いてアプリを知らせない限り普及しない。我々
はデジタルサイネージの技術開発もやっているが、そういうものがポンと置いてあっ
ても良い。固定の看板は現在地がわかるという意味で地図として優位性がある。そう
63
いうアプリがあることを知れば、他の地域でもアプリを使いたくなる。そういう体験
がまだ少ないので、知らせるのがまず大事だ。
e.アプリ同士の連携による誘導は効果的
現地で宣伝することに加えて重要なのは、アプリ同士で誘導すること。例えば九州
は特に中国や韓国からの観光客が多い。多言語で作って外国人も楽しめるようなアプ
リがあちこちにあって、誘導し合うのが良いだろう。
(2)IT業界と観光の関係について
a.日本の観光について
日本人は旅行から関心をなくしてしまっており、海外旅行もしなくなっている。ど
ちらかと言うとゆったり過ごすことを好むようになって、観光地をぐるぐる回ること
もしなくなってきた。もちろん呼び起こす方法はあると思うが、日本の観光が大きく
なるかどうかは外国人にいかに来てもらうかにかかっていると思う。
b.IT業界における観光関係のマーケット
IT業界における観光関係のマーケットとして、ビジネスとしてお金を回収できる
かというと難しい。コロプラ社も 10 年かけて今のようになったが、信念が非常に強
く、人生をかけてやっている。クックパッドも成功事例だが、社長はクックパッドに
人生をかけている。そういう人のエネルギーは実を結んでいるが、続けてやっている
ことが条件になっている。税金では3年も5年も続かないだろう。
c.自治体予算の使い方
ITビジネスに税金を投入するよりも、ITを活用した情報発信手法などを学ぶな
ど、教育に予算をかけて良いのではないか。何をすれば店が知られるか、グーグルプ
レイスの登録はどのようにするか、そういう教育がどんどん進んでいって、確かなと
ころに情報を載せていくことができるようになる。これからの情報発信は、無料でで
きることが多くなってくる。個々の事業者に簡単にできる良い方法を提供していくこ
とができると良い。その時にたまたまその地域だけで作ったアプリに情報を載せると
いうだけでは、地域の観光ビジネスへの効果は小さい。
d.ローカルな開発者の有効利用
開発者が地元でやっていくという方法はある。そのプラットフォームを何にするか
が無い。福岡ではグーグルパートナーの会社が1つあり、結構うまくやっていたが、
そこも今は東京中心に営業していこうとしている。地元ではお客さんが少なく、東京
にお客さんがいるため、地方におけるマーケットの限界に直面するのが現状である。
(3)グーグル社との連携について
a.Google Maps API について
Google Maps API は 2005 年にスタートしている。我々の会社は 2006 年に創業し、
Mash Up Award というコンテストで2位に当たる賞を獲得した。Mash Up Award
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には Google Map のサイトを作っている開発者が多く参加していており、その中で賞
を獲得し、存在感を出したことで、デベロッパーとしてのコミュニケーションが始ま
り、いろいろな縁があり、我々は日本で最初の Google Map の開発パートナーになっ
た。
Google Map の API は3段階ぐらいあり、どの情報を出すか選べるようになってい
る。グーグルには製品を開発する技術者はいるが、セールスに関わる技術者はほとん
どいないので、問い合わせがあった時にこちらに相談してもらい、技術サポートとし
て答えていくというフローがある。それによって非常に親密に仕事ができている。
b.Google Places について
グーグルのサービスでプレイスというのがあり、ユーザーが自分の店を登録するこ
ともできる。Google Places は誰でも登録できるので、絶対やった方が良い。ユーザ
ーが社名や店名、施設名を検索した際に、検索結果として出てくるのと出てこないの
とでは大違い。
(4)公衆無線LANについて
a.Wi-Fi 規格について
Wi-Fi に関して言うと、現在の Wi-Fi 規格に対応することで充分ではないか。ユー
ザーは Wi-Fi より速くしたいとは思っていないし、Wi-Fi ほど普及しているものは他
にはない。今後も規格を変えてまで流行るものはしばらく出てこないと思う。Wi-Fi
環境整備を進めることはアリだと思うし、その活用方法があると良いだろう。
b.公衆無線LAN整備の実施について
Wi-Fi がつながったら心地よいので、公衆無線LANの整備はユーザーには受け入
れられるだろう。特に最初に手を挙げたところは認知度も高まり、流行る。しかし、
これからは結構厳しい。自治体の取組は先行した所を真似るが、二番手、三番手では
話題性が乏しいため、認知度が高まらない。
c.福岡での取組について
福岡の天神地下街とキャナルシティを無線LANエリアとしている九州大学の古川
先生はすごい。無線LANルーターをリレーできるところがおもしろい。
(5)位置情報の精度について
a.位置情報の精度
周囲にビルがあるとか、建物の中とか、位置情報の誤差が出てくる要因はいくらで
もある。阻害要因がなければ誤差5mが今の性能であり、実際に周辺環境が良ければ
その性能を一般の人が享受できる状況にある。ただ、現状では 200、300mは平気で
誤差が出るが、そもそも建物の中でそこに立ったらわかるという精度を求めているの
か。
65
b.ユーザビリティ
10m誤差が発生しただけで困ってしまうような仕組みを作っていいのかは疑問。大
事なのは、例えば宮島に行った時に、位置情報で検出されるのではなく、
「宮島」とい
うボタンを選び、そこに地図が描いてある方がよほど優しい。人間の力を0にして考
える必要はない。人間の能力を踏まえて機能をミックスすれば良いと思う。普通にで
きることはあまり機械にやらせなくてもいい。外国人観光客が日本で道に迷った時に、
スマートフォンで英語が話せる人を検知できるような世界ができてもいいが、英語が
話せない人にも話しかけてコミュニケーションを取ることも良いのではないか。
66
5.まとめ
(1)国内観光の現状とITによる観光情報発信について
a.専門家の意見のポイント
現在の国内観光は、テーマ別、ターゲット別にニーズが細分化されている。特に若
者は、時間やお金の使い方の面でも、家の中での楽しみ(インターネット、ゲームな
ど)と競合しており、従来型の観光地めぐりにはあまり魅力を感じていない。
旅行の際に必要な情報の発信手法として、来る側の目線(ユーザー目線)で魅力的
な情報を発信していくことが重要となってくる。それらの情報をコントロールできれ
ばもっとうまく誘客ができるが、現在それをうまくやれている所はない。
また、観光情報の内容については、
「目的」コンテンツと「ついで」コンテンツの整
理ができていない。観光資源の情報を得る一番ホットなポイント、どのタイミングだ
と一番訪問意欲が沸くかを把握し、そこでPRしていかないと、観光誘導は生まれな
い。
b.本調査に反映すべき視点
○細分化されたニーズに対応した専門的な観光情報データベース構築が必要である。
○膨大な量のデータの中からターゲット毎に適切な情報提供を行う手法を検討する必
要がある。
(2)観光・移動のきっかけを生むITについて
a.専門家の意見のポイント
ソーシャルネットワークやゲームにおいて位置情報サービスが活用され始めており、
それらインターネットのクチコミやゲームなどを情報源、きっかけとした移動が見ら
れるようになってきている。
特にゲームなどエンターテイメント要素は若者を動かすモチベーションとなりやす
く、位置ゲーではゲームによって移動を誘発し、観光のきっかけとなっている。ゲー
ムのパワーで移動させ、出かけさせて、様々なものに触れて感動させるという展開で
あり、観光資源を情報発信して観光地に人を誘客するというこれまでの観光とは逆の
アプローチで移動が生まれている。
b.本調査に反映すべき視点
○ゲームやエンターテイメントに観光要素を加えていくことにより、観光行動の誘発
が可能となる。
○観光産業や自治体、観光協会において、ソーシャルメディアを管理する担当者を配
置することにより、継続的な情報提供を行うことが必要である。
(3)周遊行動を生むITについて
a.専門家の意見のポイント
着地側での周遊行動を生むために、コンタクトポイントでの情報提供については、
67
もっと考えたほうが良い。特に観光案内所は旅行者にとって地域で最初のコンタクト
ポイントであり、地域の人と旅行者の接点となる必要がある。観光は、バックグラウ
ンドにどれだけ情報があるかによって楽しさが全然違うため、既存のパンフレット等
に加えて、携帯端末で追加情報(テーマ別の深い情報や違う季節の写真など)が得る
ことができれば、より詳細な情報発信、情報交換できる。
b.本調査に反映すべき視点
○既存情報媒体とITを連携させた、詳細な情報提供ができる仕組みが必要である。
(4)観光アプリの開発について
a.専門家の意見のポイント
観光アプリについては、可能性は大きいが、観光情報が掲載されているアプリとい
うだけではビジネスになりにくい。観光アプリの開発について、企画を持った人と IT
技術者とが話し合えば、いろいろなアイデアが出てくる。
また、観光アプリは、これまでたくさん開発されているが、そのアプリの存在がわ
からないことが弱点となっている。その対策として、現地で物理的に看板など置いて
きちんと紹介することや、アプリ同士で誘導することが求められる。
更に、観光アプリの開発にあたっては、観光情報データの構築が不可欠であるが、
観光情報データを誰でも使えるようにすることで、IT技術者がアプリを開発するな
ど、観光資源が生きてくる。
ただし、ユーザー視点で考えると、位置情報を送信したり、カメラをかざしたりす
ること自体は面倒くさい行為だとも考えられる。クーポンや謎解き、宝探しというエ
ンターテイメントなど、位置情報を送信するモチベーションを考えないといけない。
位置情報を活用した新しい技術やサービスが生まれているが、新しい技術を使うこと
を目的にすることなく、一般消費者は位置情報を送ることには喜びはないというとこ
ろを忘れないようにして、観光アプリを開発することが望まれる。
b.本調査に反映すべき視点
○企画者と IT 技術者が連携した、地域でのアプリ開発が求められている。
○新しい技術を使うだけでなくユーザーの利用しやすさを追求したアプリ開発が求め
られている。
(5)観光分野におけるIT活用の留意点について
a.専門家の意見のポイント
移動先でどう観光行動を起こさせるかという点では、ネットだけではなく、着地し
たところでのおもてなしが大切。ネットで情報が見られるというだけでは不十分で、
リアルなインセンティブが生まれる、知らなかったことがわかることが重要である。
また、インターネットでのクチコミで評判がよいところに人は動く。また、不評、不
平はすぐ共有され、どんどんネガティブスパイラルが発生する。その意味でも、ネッ
68
トを活用するために、現地でのおもてなしを考えるべきである。
また、位置情報(ジオメディアデータ)を利用して、人々がどういう回遊行動をし
ているか、どこまで人が来ているかなどを分析することができるようになってきてい
る。観光した人が、どこで、何を感じたかを収集し、何が魅力となっているかが分析
できると、観光施策の精度は上がる。
今後は、GPSの位置情報の精度が高まり、例えば美術館である絵の前に立ったら
その絵の情報が出せるということが技術的に可能となっている。今後、ジオメディア
を観光に活かすために、快適なインフラを用意することが重要であり、公衆無線LA
N環境の整備などが求められている。
b.本調査に反映すべき視点
○IT活用の際に、現地での対応も重要となる。
○位置情報を利用することにより観光客動態分析が可能となる。
○位置情報活用のために、通信環境整備が必要となる。
69
Ⅳ.ジオメディアサービスを支える情報環境整備
快適な情報通信環境は、位置情報を活用した観光情報を受発信する上での,利便性
を高めるインフラである。ここでは,通信事業者による公衆無線 LAN 整備,行政・民
間団体による公衆無線 LAN 整備,無線通信事業者による高速無線通信網の整備動向に
ついてとりまとめる。これらを踏まえ、地域における情報環境整備の在り方について
考察する。
1. 通信事業者による公衆無線 LAN サービス
インターネットへの高速接続によるユーザーの利便性向上と,パケット通信量増大
による通信回線の混雑回避等のため,通信事業者による公衆無線 LAN サービスが展
開されている。中国地域においては,主に次のような事業が展開されており,駅,ホ
テル,コーヒーチェーン店,ハンバーガーショップ等の集客施設において,公衆無線
LAN が整備されている。スポット的な Wi-Fi 環境であるものの,都市部では多くの
場所で利用可能である。ただし,こうした都市的施設が少ない地方都市では,利用可
能な場所は限定される。利用者は契約している通信事業者が整備した公衆無線 LAN
の利用という制約を受けるが,こうした制約のないもの( FREE SPOT) もある。
図表Ⅳ.1 通信事業者による公衆無線 LAN サービス
事業者名
NTT 西日本
サービス名
フレッツス
料金
速度
設置場所
840 円/月
最大 54Mbps
全国 9,000 箇所(ホテル,
315 円/月
最大 54Mbps
全国 8,000 箇所(新幹線車
ポット
NTT コ ミ ュ ニ
HOT SPOT
ケーションズ
NTT ドコモ
Mzone
ロッテリア,タリーズ等)
(注)エリアによ
内,ホテル,マクドナルド
って異なる
等)
315 円/月
最大 54Mbps
全国 6,800 箇所(ホテル,
スターバックス,ロッテリア等)
KDDI
auWi-Fi
Spot
最大 42Mbps
無料
(注)パケット通
全国4万箇所(関東エリア
主体),2012 年3月末まで
に全国で 10 万箇所。
信定額サービス
加入が前提)
ソフトバンクテ
BB モバイル
レコム
ポイント
FREESPOT 協
FREESPOT
議会
210 円/月
最大 54Mbps
全国 4,200 箇所(ホテル,
マクドナルド等)
無料
-
注1
全国 8,300 箇所(ホテル,
タリーズ等)
(資料)各社のウェブサイト等 による。料金は標準的なケース を示す。設置場所の店舗名は主 なものを示す。
2011 年 11 月8日現在。
(注1)FREESPOT 協議会:無線 LAN によるいつでもどこでも自由にインターネットにアクセスできる環境
整備を目指して,無線 LAN ルーターのメーカーが事務局となり,協賛する企業と連携して,事業を推進
している。FREESPOT 導入に係わる機材・回線・設定サービスをサポートするとともに,利用可能場所
を告知する活動を進めている。サイバー犯罪防止のため,メール認証機能を有している。設置者側では,
常時接続ブロードバンド回線(ADSL,CATV,FTTH)とアクセスポイントの設置が求められる。
70
2. 行政・民間団体による公衆無線 LAN の整備
観光地としての魅力向上,コンベンション環境の向上,地域住民の情報環境の向上
を目指して,行政・民間団体による公衆無線 LAN の整備が取り組まれている。
(1) 観光協会による 公衆無線 LAN の 整備~新潟県弥 彦村
a.情報環境整備の取り組み実態
(a)宿泊施設・飲食店・公共施設に FREESPOT を導入
観 光 地 と し て , 平 日 の 宿 泊 客 の 増 加 を 図 る こ と が 課 題 で あ っ た が , 2003 年 に
FREESPOT 協議会から,村内の2つの宿泊施設に機器が無償提供されたことが発端
となり,近い将来,宿泊施設でのネット接続は必須条件になると考え,村内の宿泊施
設に対する設置を働きかけていた。また,モバイル通信に対応できる環境があること
が,地域の付加価値を増して活性化を促進すると考え,2005 年7月より飲食店・公共
施設等も対象として FREESPOT の導入を進めてきた。
図表Ⅳ.2 弥彦村での FREE SPOT 利用可能施設(例)
(資料)弥彦村観光協会ウェブサイトより
(b)観光協会が事業を推進
弥彦観光協会の事業として進め,機器はアウトレット品をオークション等により安
価に調達した。オーナー負担は 5,000 円を限度とし,調達価格との差額は,観光協会
が補填することとしため,差額はほとんどなく,実際の補填額も少額にとどまった。
設定・仕様変更・維持管理の支援については観光協会の若手が支援した。設置場所に
は統一ステッカーを掲示するとともに,FREESPOT マップを作成した。
オーナー側の環境としては,インターネットに常時接続できる回線を有しており,
71
無線 LAN アクセスポイントを購入・設置することが求められる。
利用者側では,無料で利用できるが,IDとパスワードによる利用者登録をする必
要があり,これにより1年間有効となる。また,飲食店や土産品店で利用する場合に
は,商品購入にも配慮するなどのマナーが求められる。
これまでに76カ所に設置済み(2011.10.20 現在)で,台数的にはほぼ飽和状態とな
っており,現在は,FREESPOT の有効活用を図るため,Skype(無料 IP 電話)の普
及や無線ライブカメラの増設等を展開している。
(c)GPS機能と連動した観光情報アプリを開発
着地型観光ナビゲーションとして,
「Layar」と「ふらっと案内」の2つの無料アプ
リで情報配信を展開している。
「 ふらっと案内」は情報掲示の仕様が決まっているので,
データ更新は地域で担当している。
b.情報環境整備の効果
(a)宿泊者の増加と利便性の向上
数字の面では把握できていないが,宿泊プランの多様化が促進され,ビジネス客の
増加とリピーター化に結びついた,ただし,今はどこの宿泊施設でも無線 LAN が使
えるので,アピールポイントとは考えていない。外国人旅行者が FREESPOT を介し
て母国の家族と電話が可能となり,喜ばれている。
(b)地域の情報インフラ整備が促進
集客目的以外に,村民や設置者自身が至るところで自由に使えるという利便性の向
上が図られている。FREESPOT の拡大に合わせ,光通信網の導入が隣接する燕市よ
りも早まったり,ウィルコム通信網の拡大がなされるなど,村内のインフラ整備が促
進されている。
c.地域での活用
(a)「ふらっと案内」以外のアプリを模索
これから数年で携帯電話の通信網が高速化されると,FREESPOT はそれに取って
代わられるのではないかと考えている。スマートフォンが急速に増加しているので,
これを利用した集客に繋がる情報提供手法として,
「ふらっと案内」以外のアプリを模
索しており,観光施設についての詳しい解説や動画などのコンテンツ開発も検討して
いる。
(2)行政主導による面的な公衆無線 LAN の整備~広島市
a.情報環境整備の取り組み実態
(a)平和に関する情報発信と観光情報サービスの向上を目的
国内外から多数の人が訪れる平和記念公園と平和記念資料館で,簡単にインターネ
ット接続ができ,平和に関する情報の受発信や,周辺の観光情報等の収集を行える環
境とするため,2008 年9月より無料で利用できる公衆無線 LAN が先駆的に整備され
72
ている。
公衆無線 LAN を利用する場合は,電子メールアドレス,パスワードなどを登録す
る必要があり,有効期限は1日となっている。
(b)国際会議開催を契機として区域を拡大
インターネットの技術に関して議論を行う世界最大級の国際会議の開催を契機に,
2009 年には平和大通りの一部の街路灯にアクセスポイントが設置された。これにより,
平和記念公園と平和記念資料館、平和大通りの利用エリア内は,場所を移動しながら
でも通信が途切れない状態で公衆無線 LAN が利用できるようになった。
公衆無線 LAN の利用者数(2011 年度)は,月平均で約 600 人である。機器はリー
スとしており,全体の整備・運営費は年間で約 770 万円程度となっている。
図表Ⅳ.3 平和公園一帯での公衆無線 LAN 利用可能エリア
平和記念公園と平和大通りの公衆無線LAN利用エリア
平和記念公園・平和大通りでの公衆無線 LAN 整備のサ
イン
平和大通りに設置された公衆無線 LAN のアクセス
ポイント(街灯上部の右側に設置)
b.地域での活用
平和記念公園と平和記念資料館、平和大通りへの来訪者が公衆無線 LAN を利用し
てインターネットに接続し、その場で必要な情報の収集や発信を行っている。また、
73
「広島P2ウォーカー」注 2(来訪者に,平和記念公園内の記念碑の説明や周辺の飲食
店等の情報を提供するサイト)などでもこの公衆無線 LAN が活用されている。
(注2)広島P2ウォーカーホームページ:http://p2walker.jp/
(3)行政による公衆無線 LAN 整備の取り組み
各種新聞やウェブ情報によれば,行政による公衆無線 LAN 整備の取り組みとしては,
次のような事例が見られる。
a.住民利用をターゲットとした公衆無線 LAN 整備~岡山県
行政による公衆無線 LAN の整備事例としては,広島市の他に,岡山県の事例を挙
げることができる。岡山県の場合は,ユビキタス社会を推進することを目的として,
2007 年度より,公共施設におけるインターネットへのアクセスポイント整備を展開し
ており,これまでに 16 の県施設と4の市施設において整備してきた。本事業は,県
民の利用をターゲットとしたものとなっている。
b.市民と来訪者利用を想定した公衆無線 LAN 整備~鳥取市
鳥取市では,市民と来訪者の情報収集の利便性を向上させることを目的として,主
要公共施設に公衆無線 LAN の整備を進めようとしている 注 3 。市役所や支所,主要観
光施設等の約 20 箇所を対象として機器を整備し,2012 年度より事業開始を予定して
いる。既に整備しているケーブルテレビ網など既存のインターネット環境を利用する
ことでコストを抑え,事業費は約 110 万円程度が想定されている。
(注3)2011 年 10 月 28 日付け鳥取市情報政策課発表資料
c.観光と国際会議のインフラとして公衆無線 LAN 整備~金沢市
金沢市では,観光客の誘客や国際会議の開催に不可欠な社会インフラとして公衆無
線 LAN を位置づけており,2011 年9月より,市庁舎や金沢 21 世紀美術館など8箇
所の公共施設に機器の導入を始めた(整備費約 230 万円)。同市では,今後は商店街
や宿泊施設を中心に通信事業者による公衆無線 LAN 整備の誘導を予定している。
74
(4)商業ゾーンにおける面的な公衆無線 LAN の整備~福岡市
a.情報環境整備の取り組み実態
(a)天神地下街の全域に公衆無線 LAN の整備
天神地下街(約 150 店舗)を運営する第三セクター福岡地下街開発が,地下街開
設 35 周年事業という位置づけのもと,天神地区の魅力を高めることを目的として,
2011 年9月に地下街の 27 箇所にアクセスポイントを整備した。これにより地下街総
延長 1.2km の通路・広場などの公共空間が面的に Wi-Fi 化された。
(b)無線中継技術を活用した安価なインフラ整備
無線 LAN ルーターは,九州大学(社会連携事業の一環で協力)と PicoCERA 社が
開発した独自の無線中継技術 注 4 を活用したもので,整備費は非公表とされているが,
LAN ケーブル配線が必要な従来敷設と比べると,コストは1/7に低減 注 5 されてい
る。利用者は事前登録やパスワード入力が不要なため,利便性が高くなっており,
Wi-Fi 接続するとブラウザに天神地下街のHPが立ち上がる仕組みとなっている。
(注4)同技術は,無線バックホールという中継機能を持った Wi-Fi インフラであり,これに先立ち,2010
年2月から3月中旬までの期間限定の社会実験として,キャナルシティの5層の空間に 200 台のアクセスポイ
ントを設置して,Wi-Fi 空間とした。この結果,無線バックホールの高いネットワーク性能を証明でき,安価・
簡単・迅速なシステム構築を実現することが可能と評価した。
(注5)2011 年9月 23 日付け科学新聞報道による
図表Ⅳ.4
天神地下街の公衆無線 LAN の仕組み
(資料)PicoCERA 社ウェブサイトより
75
b.情報環境整備の効果
利用者には好評で,1日当たり 700~800 件の利用がある。また,地下街ではGP
Sが機能しないことが多いが,無線 LAN の電波によりジオメディアサービスを受け
ることが可能である 注 6 。
(注6)2011 年9月 17 日付け西日本新聞報道による
c.地域での活用
2012 年には,位置情報を活用してユーザーに近接した店舗情報を配信するサービス
も開始する予定で,外国人観光客の来店の増加を図るため,外国語にも対応させる予
定である。
(5)自治体と通信事業者との連携による公衆無線 LAN の整備~山口県萩市
a.情報環境整備の取り組み実態
(a)自治体と通信事業者との連携により Wi-Fi 利用カ所を拡大
地元出身者からの提言を契機として,2010 年 11 月にソフトバンク社との協議・合
意に基づき,萩市の城下町エリア(城下町ゾーンや松陰神社周辺も含む観光エリア)
に,同社が無線 LAN ルータを無償で提供(工事費も含む)し,Wi-Fi 利用カ所を増や
している。従来は設置者側がインターネット接続環境を有していることが必要だった
が,2011 年7月からは同社が供用開始した ULTRA SPEED という高速無線回線を利
用してインターネット接続させている。利用者は,ソフトバンクのユーザーが対象と
なる。
設置場所は公共施設や商店街,宿泊施設,飲食店など一般の観光客が入れる場所で,
2011 年8月から設置作業を開始し,82 箇所に設置済みで(2011.10.11 時点),今後
200 箇所まで拡大する予定である。
図表Ⅳ.5 城下町ゾーンで公衆無線 LAN が整備されている店舗
城下町ゾーンにおいて公衆無線 LAN が整備されたギャラリー
76
(b)事業者側のメリット
通信事業者ユーザーの利便性の向上を図るとともに,通信網負荷の緩和を図ること
にもつながる。
b.情報環境整備の効果
設置事業は開始されたばかりであり,地域としての効果を確認できる段階ではない。
c.地域での活用
(a)観光関連情報のアーカイブ化
萩博物館の資料(古文書や展示情報等)の電子データ化を進めており,写真だけで
無く,学芸員のトーク等も音声や映像でのデータ化を進めている。萩のまち全体を博
物館として捉えた活動をしているが,様々な史跡において,その場所に応じた動画や
音声で解説があり,パンフレットもテキストデータとして画面で読むことができるよ
うな姿を目指している。この作業は複数年かけて進める計画である。
(b)観光面・市民生活面での多様な活用
地域での活用としては,観光客の利便性の向上を図るほか,観光客が Wi-Fi を利用
しているのを見て,商店側でも積極的に IT の活用を考えるようになってもらえれば,
という期待がある。また,観光面だけでなく,子育て情報や福祉の分野,防災面等,
市民生活に係わる情報環境整備を考えている。これらによりネット環境の過疎地域か
らの脱却につなげていく。
(6)民間団体による公衆無線 LAN の整備~島根県松江市
a.情報環境整備の取り組み実態
(a)MICE 推進協議会により整備を推進
国 際 会 議 観 光 都 市 を 標 榜 す る 松 江 市 に お い て , MICE(Meeting,Incentive
tour,Convention,Exhibition)の誘致により,観光と連携した地域活性化を目指して,
IT 企業を中心として推進協議会を発足させた(2011.5)。約 40 社の民間企業に加え,
商工会議所・青年会議所等の経済団体も参加している。MICE の振興には,会議場だ
けに Wi-Fi 環境があるだけでは不十分であり,まちなかのカフェにも必要で,ビジネ
ス客が利用しやすい外部環境が必要であると考え,公衆無線 LAN の設置の取り組み
を進めている。
具体的には,公衆の集まる場所において,通信事業者による無線 LAN ルーターの
設置を進めており,これまではソフトバンクにより約 70 箇所に設置してきた(2011.10
まで)。最近では KDDI も参画している。
一例として,松江中央通り商店街振興組合では,9箇所のアクセスポイントを設置
し,約 250m の全域で Wi-Fi 空間が形成されている。
2011 年度中に 1,300 箇所の整備を目指していたが,設置者側の理解を得るのに手間
取っているためやや遅れ気味であり,地元での設置協力体制の構築が課題となってい
77
る。
(b)県も公共施設に公衆無線 LAN を導入
MICE 協議会の活動と連携して,島根県庁では,松江城や堀川遊覧船等の観光ニー
ズが近くで見込める,県庁や県民会館に設置する方向で検討中である。県有施設に民
間が設備を設置する場合は,電気代や場所の占有料が必要になるが,公衆電話と同様
の位置づけの元に,県が負担するという考え方が検討されている 注 7 。
(注 7)2011 年 11 月9日付の毎日新聞(地方版)
(c)事業者側のメリット
Wi-Fi 環境整備により,既存通信網のバイパス的な役割を持つとともに,自社ユー
ザーの利便性の向上が図られ,キャリアイメージの向上が図られるというメリットが
ある。
b.情報環境整備の効果
設置事業は開始されたばかりであり,地域としての効果を確認できる段階ではない。
c.地域での活用
Wi-Fi に繋いだときに,そこの位置情報によってその場所でしか受け取れないコン
テンツを配信する必要がある。このためには,誰でも使えるようなオリジナルの Wi-Fi
環境整備を検討していく必要がある。
78
3. 無線通信会社による高速無線通信網の整備
スマートフォンの普及に伴い,データ通信量が急増していること等を背景として,
携帯電話会社等では新たな高速無線回線の整備を進めている。次世代通信技術といわ
れる LTE(Long Term Evolution)等を活用しているケースと,無線 LAN 技術を活
用したケースとがあるが,いずれも既存の携帯電話通信網(3G)を大きく上回る通
信速度を有している。LTE は一部のキャリアにおいて商用化が始まった段階であり,
現時点での人口カバー率は高くはないが,この数年で各社ともに急速にカバー率を高
めるように基地局整備を進めようとしている。
図表Ⅳ.6 通信事業者による高速データ通信サービスの例
対応機器別
事業者名
サービス名
最大受信
速度(下り)
スマート
フォン
データ
通信
専用機
備
考
(データ通
信 カ ー ド 、モ
バ イ ル Wi-Fi
ルーター)
NTTドコモ
Xi
(クロッシィ)
37.5Mbps
(屋外)
75Mbps(一
部屋内)
KDDI / 沖 縄 セ
ルラー電話
+WiMAX
(プラスワイマッ
クス)
40Mbps
●
●
ソフトバンク
/WILLCOM
ULTRA SPEED
42Mbps
○
●
42Mbps
○
●
40Mbps
-
●
40Mbps
-
●
イー・アクセ
ス
UQ コ ミ ュ ニ ケ
ーションズ
その他仮想移
動体通信事業
者
EMOBILE G4
(イー・モバイルジ
ーフォー)
UQ WiMAX
(ユーキューワイ
マックス)
@nifty WiMAX
BIGLLOBE 高 速 モ バ
イルWiMAX,
YAMADA Air Mobile
WiMAX, エ デ ィ オ ン
クオルネットほか
●
●
・2010年12月商用サービス開始。
・LTEを利用したサービス。
・ 2012年 度 に 最 大 110Mbpsの サ ー ビ ス
を開始予定。
・2010年12月商用サービス開始。
・関連会社UQコミュニケーションズの
通信網を利用して実施中.
・2012年よりLTEでサービス展開予定。
・2011年7月商用サービス開始。
・ 2012年 2月 よ り LTEで 最 大 110Mbpsの
「SoftBank 4G」を開始予定。
・2010年12月商用サービス開始。
・2012年3月よりLTEで最大75Mbpsのサ
ービス開始予定。
・2009年7月商用サービス開始。
・ 2013 年 よ り LTE で 100Mbps 超 の
「WiMAX2」を開始予定。
・UQコミュニケーションズの通信網を
利用して実施中。
(資料)2011年11月時点の新聞・Webサイト情報などに基づき作成,●は商用サービス実施中,○は予定を示す。
79
4. 地域における情報環境整備の方向
a.地域における公衆無線 LAN の整備形態
スマートフォン等のモバイル IT 機器の普及は,パケット通信量を飛躍的に増大さ
せつつある。これに対応する通信環境として,各通信事業者により交通拠点や主要施
設での公衆無線 LAN の整備が進められており,その整備範囲や整備スピードが加速
されつつある 注 8 。加えて,各通信事業者では次世代高速通信網の整備も進めつつある。
一方で,行政や民間団体による公衆無線 LAN 整備の取組も見られる。通信事業者
による整備においては,利用者は原則として通信事業者の契約者に限定され,ユーザ
ー側の負担があるのに対し,原則としてユーザーは限定されず負担も生じない。その
利用可能エリアは設置箇所周辺に限定されるスポット的なものであるが,広島市平和
公園一帯や天神地下街のようにゾーンとして整備されるケースもある。ただし,設置
者側の投資が必要となり,行政主体で行われているものと民間主体(観光協会,商店
街等)で実施されているケースとがある。
(注8)NTT 西日本では,同社の公衆無線 LAN サービスの対象施設を現在の約 4,300 箇所から,
今後数年間で5万箇所に拡大し,過程で同社のインターネット接続サービスを使う顧客が
実質無料で利用できるようにする。これにより公衆無線 LAN の利用者を,現在の1万5千
人から 2012 年度末に 30 万人までに増加させると発表(2012.1.26 中国新聞(夕))。KD
DIは広電グループの宮島フェリー内でも Wi-Fi SPOT の提供を開始する(2012.1.6 日本
経済新聞)。また,アサヒ飲料株式会社は,同社の系列会社が展開する自動販売機において,
2012 年から無料の Wi-Fi スポット「FREEMOBILE」を搭載させ,通信会社のキャリアを
限定せずに,全ての端末で利用可能とする。当面,仙台,首都圏,中部,近畿,福岡のエ
リアを中心に 1,000 台設置し,5年以内に 10,000 台帳の規模拡大を目指す。(2011.12.27
同社ウェブより)
図表Ⅳ.7 地域における高速無線通信環境の整備形態
大
ユ―ザー負担
公衆無線 LAN スポット(フレッツ・スポット,
HOT SPOT,Mzone,au Wi-Fi SPOT,BB
モバイルポイント,FREE SPOT)
天神地下街
岡山県
鳥取市
広島市
萩市
【行政主体】
次世代高速通信網(LT
E),WiMAX等
松江市
弥彦村
小
【民間主体】
行政・民間団体による整備
通信事業者による整備
(注)点線枠は特定キャリアの契約者にユーザーが限定されるケース,鳥取市は計画段階,他は現状を示す。
b.地域における公衆無線 LAN 整備の方向
通信事業者による公衆無線 LAN の整備は,既存の通信回線の混雑回避と契約者の
利便性向上を目的としているため,利用者の制約があることは避けられない。LTE 等
の高速無線通信網の整備が進展し,その契約者が増大すれば,スポット的な整備であ
る公衆無線 LAN の役割は低下することも予想されるが,LTE は膨大なインフラ投資
80
が必要になるため,大都市部において先行的に整備が進められることとなり,地方部
における整備は相対的に遅れると思われる。行政や民間団体による公衆無線 LAN の
整備は,このような通信事業者の整備に基づくサービスの制約を受けないという点に
意義があるが,一定の行政投資 注 9 が求められる場合においては,費用対効果に配慮し
て,効果的な場所において整備を図ることが求められる。
(注9)今回の調査では,行政が整備を図る場合の年間コストは約百万円~八百万円程度であった 。
(地方において公衆無線 LAN 整備が効果的なケース)
観光振興の観点から地域において公衆無線 LAN 整備が効果的であると考えられる
ケースを整理すると,観光情報発信との連動を図る場合,国際コンベンションや外国
人観光客の誘致とサービス向上を図る場合とが想定される。
①観光情報発信と連動させる
公衆無線 LAN に接続した場合,位置情報に対応した観光ポータルサイトと連動す
ることで,効果的な情報発信を行う仕組みを構築することが可能となる。島根県や鳥
取市においても行政による公衆無線 LAN の整備が進められようとしているが,観光
客が多く集まる観光施設とその近傍の公共施設,観光案内所,道の駅などのコンタク
トポイントにおいて,位置情報に対応した観光ポータルサイトと連動させるアプリ開
発を行うことが求められる。
また,萩市での取組のように,観光情報コンテンツをアーカイブ化することで,公
衆無線 LAN を活用して,ユーザーの関心や知識に応じて,動画を含めた厚みのある
観光情報発信の仕組みを構築していくことが求められる。
②国際コンベンションや外国人観光客の誘致とサービスの向上を図るインフラとして
位置付ける
外国人観光客が日本においてインターネット接続をする場合,国際ローミングサー
ビスを利用してもパケット料金が高額になりがちである。従って,外国人観光客が多
い地域においては,パケット通信料金が不要となる公衆無線 LAN はインバウンド観
光振興のインフラと位置づけることができる。
広域から多くの人が集まる学会やビジネスミーティングなどのコンベンション,イ
ベント,展示会等は,アフターコンベンションとして観光との結びつきが強い。国際
コンベンションの開催を契機として,ホテル周辺の外部空間を Wi-Fi 環境とした広島
市のように,国際会議場内だけでなく,まちなかで利用者制約のない公衆無線 LAN
環境があることは,国際コンベンションやビジネスミーティングを開催する環境とし
て,その重要性が認識されている。松江市や金沢市等のような国際会議観光都市を推
進している都市においては,公衆無線 LAN 整備の重要性は高い。
(公衆無線 LAN 整備において配慮すべきこと)
公衆無線 LAN の整備においては,投資コストを抑えたアンテナ機器の開発も進め
81
られていることから,コスト低減にも配慮するとともに,その運用においては,サイ
バー犯罪防止に配慮しつつも,利用しやすい認証システムとすることが求められる。
観光協会等の民間団体が主体的に整備を進める場合においても,行政が情報提供な
どの機運醸成を図ることが求められる。また,行政が通信事業者と連携して地域にお
ける公衆無線 LAN の整備を図る場合においては,公共施設を活用した整備を図ると
ともに,通信事業者と設置場所など地域との調整を担う必要がある。加えて,連携す
る通信事業者を多様化することで,ユーザーの利用制約を低減する取組が求められる。
82
Ⅴ.位置情報を活用した観光行動誘発方策
1.位置情報による観光行動誘発の新たな可能性
IT活用面においては、従来からウェブサイトでの観光情報(観光地情報、宿泊予約サ
イト等)の発信を行う情報基盤としての役割を果たしてきたところである。しかしながら、
昨今のスマートフォンの普及などのモバイル端末の利用拡大と、GPSや Wi-Fi、携帯基地
局測位など位置情報を把握する技術の進展による位置情報データの活用拡大により、IT
活用による観光行動が大きく変化しようとしている。
特に、O2O(オーツーオー、Online to Offline)と呼ばれる、インターネット上
で調べた上で実際の店舗で購買するといったオンラインからオフラインへの誘導を図
ることが消費行動において増えてきており、位置情報を活用した観光行動を誘発するた
め、インターネット上でどのような情報を提供し、どう整理して観光行動に結びつける
かが求められている。
本調査では、モバイル端末利用ユーザー(主に若者)のIT活用による観光行動の誘発
方策や情報提供手法について検討することを目的に、前章までに位置情報を活用したサー
ビス(ジオメディアサービス)の類型化と特徴、位置ゲーによる移動誘発の実態、位置情
報を活用した観光振興の視点、情報環境整備の現状などについての知見を得た。現在、こ
の分野における技術の進歩のスピードは速く、新たなサービスが次々と生まれている状況
であるが、前章までに得られた位置情報を活用した観光行動誘発について考えられる視点
をまとめると、以下の5点が挙げられる。
図表Ⅴ.1
位置情報による観光行動誘発の新たな可能性
①位置情報活用型ゲーム(位置ゲー)やメディアと連動した観光アプリなど、観光行動
の「きっかけ」をつくることができる。
②モバイル端末を活用し、目的地の周辺情報を現地で得たり、スタンプラリーやソーシ
ャルメディアのチェックインなど「遊び」や「特典」の要素を付加させたりすること
により、周遊行動を誘発できる。
③位置情報を付与した地域の詳細情報をデータベース化し、観光アプリなどデジタル上
での情報発信をすることにより、画一的な情報発信ではなく、知識・ニーズに即した
観光情報の提供が可能となる。
④位置情報が付与されたソーシャルメディアのクチコミ情報データや、カーナビや位置
登録データを基にした観光客の移動情報データの整理・分析により、実態に即した観
光戦略に資することができる。
83
2.観光行動フェーズと情報提供のあり方
(1)観光行動フェーズと情報提供手法
観光行動は旅行前・中・後の3つのフェーズに分かれており、旅行前にはきっかけや
事前情報、旅行中には現地情報や詳細情報、周辺情報が求められている。位置情報を活
用した情報提供手法を整理すると、「案内・情報提供型」、「位置情報ゲーム型」、「ソー
シャルメディア型」の3つに大別され、観光行動フェーズと対応させ「移動誘発方策」
と「周遊誘発方策」に分けて今後の活用方向を示すと下図のようになる。次項以降でそ
の詳細を述べる。
図表Ⅴ.2
観光行動の3つのフェーズと情報提供手法
旅行前
「○○に行きたい」
というきっかけ・
イメージ喚起
旅行中
移動
○○に関する
情報収集
移動のきっかけを生む
「移動誘発方策」
旅行後
メイン観光
ついで観光
目的地
目的地周辺
(必ず訪れたかっ
た場所・食べたか
ったものなど)
周遊
(当初目的以外
の飲食、体験、
観光施設など)
帰路
周遊時に活用・周遊の誘発
「周遊誘発方策」
テレビ、新聞、ラジオなど
のメディアと連動した企画
により移動させる。
位置ゲー型
<バーチャルゲーム連動型>
<スタンプラリー型>
バーチャルなゲームと連動
して移動のきっかけを生
む。
位置情報を活用したスタンプラリーなど、
移動を楽しむイベントを実施することに
より周遊させる。
<メディア連動型>
ソーシャル
メディア型
友人・知人の書き込み(ク
チコミ)を移動のきっかけ
とする。
<観光アプリ型>
現在地周辺の観光情報を、マップ、リスト、
ARなど多様な手法で提供する。エンター
テイメント性を持ったアプリにより周遊
を促進させる。
<チェックイン型>
チェックインなど位置情報を自ら発信す
ることにより、クーポン情報やクチコミ情
報を得るなど、チェックインを目的に様々
な場所に周遊させる。
位置情報付きクチコミ情報の蓄積
84
位置情報付きデータを元に観光行動の把握・分析が可能となる。
案内・情報提供型
<案内・情報提供サイト型>
現在地周辺の飲食店情報など様々な情報
を提供する。地域に来訪した時点で情報を
提供することにより、来訪者限定の情報提
供により周遊の誘発が可能となる。
<クチコミ誘発型>
旅行の写真
や思い出
などの整
理・
公開
(2)移動誘発方策
移動の誘発には、テレビ・ラジオなどメディアによるイメージ形成や、友人・知人の
クチコミなど、いくつかの方策がこれまでにも見られたが、モバイル端末を活用したI
Tによる新たな方策として以下のような方策も考えられるようになってきている。
a.メディア連動型
スマートフォンの普及により、携帯端末が出荷時に有している機能に加えて、端末で
使用可能な様々なアプリを各自がダウンロードして楽しむスタイルが定着した。観光振
興の分野では、自治体などが地域の観光紹介アプリを開発し、旅行者にダウンロードし
て頂き、地域を周遊してもらうツールとしての利用が多くなっている。
観光アプリについては後述するが、その中で、テレビ、新聞、ラジオなどのメディア
と連動した観光アプリは、旅番組やバラエティ番組などで訪れた場所にユーザーを実際
に訪問させることや、番組企画と連動して自らの移動が番組に反映する仕組み等を導入
することなどにより、その視聴者・読者を移動させるきっかけとしての活用が期待され
る。
b.バーチャルゲーム連動型
「位置ゲー」では、バーチャルなゲームと連動して移動に対するインセンティブをゲ
ーム内で付与するなど、移動を楽しむ手法を提供することにより、移動のきっかけを生
んでいる。代表例として「コロニーな生活」が挙げられ、移動 1km につき1ポイントが
付与される、現地の提携店舗で買い物をするとアイテムがもらえるといった、実際の移
動を生み出すきっかけが用意されている。スマートフォンの増加に伴い、ソーシャルゲ
ームと呼ばれる携帯電話やスマートフォンで気軽に遊べるゲームが増えてきており、ゲ
ーム内で端末の位置情報を活用し、実際の移動を誘発する手法も増えてくることが期待
される。
c.クチコミ誘発型
Facebook、mixi、Twitter など、社会的ネットワークをインターネット上で構築する
サービスであるSNSの利用が増えている。このSNSを通じ、位置情報を付与した個
別の情報発信(ソーシャルメディア)では友人・知人の書き込み(クチコミ)を閲覧す
ることが可能であり、観光地、訪問地、グルメ、アクティビティなどに関する友人・知
人のクチコミは信頼度が高いことから、良い評価の書き込みは、それを閲覧する人の移
動のきっかけとなっている。
また、後述する「チェックイン」機能について、ユーザーがチェックインする動機と
しては、クーポンなどの特典を得たいという動機の他、その場所へと訪問した記録(ラ
イフログ)として活用したい、友人・知人に現在地を教えたい(自慢したい、友人・知
人からの現在地周辺の情報や連絡が欲しいなど)という動機があると考えられ、友人・
知人のチェックイン情報(位置情報が付与されたソーシャルメディアの情報)により、
新たな移動が生まれやすくなっている。このような、ソーシャルメディア上のクチコミ
情報を整理・提供することにより移動を誘発することが期待される。
85
また、位置情報が付与されたソーシャルメディアの情報により、観光地の印象や評価
等を得ることが可能であり、受け入れ側における観光客の意向分析にも役立つツールと
なっている。
(3)周遊誘発方策
a.案内・情報提供サイト型
案内・情報提供型の代表的な例として、携帯端末でも利用可能な「グーグルプレイス」
など周辺情報提供サイトが挙げられる。現在地(又は指定地点)周辺の観光施設情報、
飲食店情報、利便施設情報など様々な情報を、携帯電話やスマートフォン上で提供する
ものである。観光行動においては、現地での「ついで情報」の検索が可能であり、目的
地周辺の周遊行動時の活用がなされている。
また、NTT ドコモの i コンシェルのように、ユーザーの位置情報を活用し、あるエリ
アを訪れた人に対して情報を自動的に提供する来訪者限定型のサービスも見受けられ
る。現在は、主に鉄道運行情報や道路交通情報、気象情報などの情報提供に活用されて
いるが、地域のイベント情報のお知らせ機能などもあり、観光面においての活用が期待
される。
更に、GPSを活用したサービスとして 1990 年代から普及し始めたカーナビも今後
の観光利用が期待されるものである。カーナビは、ドライブ時のルート案内や渋滞予測
のほか、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの利便施設や観光施設の情報が
掲載されている。現在は、インターネットに接続し、最新の道路情報の提供が可能なも
のがあり、携帯電話やスマートフォンで検索した周辺施設情報をカーナビに転送して道
案内を行うものなども登場しており、今後の観光移動時の活用が期待される。また、多
言語対応カーナビを搭載したレンタカーにより外国人観光客を対象とした観光振興に
も活用が可能となっている。
また、カーナビの通行実績データを収集・公開することにより自動車の移動状況の把
握が可能となることから、観光移動の現状把握に資するという側面もある。実際に、観
光活用では無いが、2011 年 3 月 11 日の東日本大震災直後に本田技研工業では、被災者
や支援に向かう車両などが通行可能な道路を判断できるよう、自社の通信型カーナビ
「インターナビ」の搭載車両が実際に走行した通行実績データを公開し、Google 社が
「自動車・通行実績情報マップ」として地図上に表示する取り組みを行っており、この
取り組みは 2011 年のグッドデザイン賞を受賞している。今後はこのようなカーナビの
通行実績データを基にした移動分析が期待される。
b.観光アプリ型
観光アプリでは、現在地周辺の観光情報をマップ、リスト、ARなど多様な手法で提
供することができ、主に周遊行動時に活用されている。紙媒体と比較した場合、利便性、
携帯性に優れている一方、画面が小さいことや操作がわかりにくいなどの理由から扱い
にくいと感じる旅行者も存在するが、データとして多くの情報を入れることができるた
86
め、より詳しい情報の掲載が可能となっている。
観光アプリの開発にあたっては、IT技術者と企画者の存在があれば開発可能であり、
地方の自治体でも制作可能であることが特徴といえる。地元ならではのコンテンツの掲
載や最新情報更新など、ローカルの強みを活かすことが可能であり、地域の歴史をテー
マとしたお勧めルートに沿って観光客を周遊させる観光アプリなどが開発されている。
この場合、観光アプリに掲載する情報の鮮度やローカル度が重要であり、各地における
観光資源についてテーマ別、ターゲット別に見直し、データベース化する必要がある。
また、近年のスマートフォンの急激な増加により、アプリの数も急激に増えており、
観光アプリの認知度を高める工夫、ダウンロードしてもらうための手法の確立が急務と
なっている。そこで、現地の観光案内所における看板やチラシなど直接情報により観光
アプリの存在を周知する手法や、観光アプリをまとめたプラットフォーム型の観光アプ
リの開発などが行われている。観光アプリをまとめたプラットフォーム型の観光アプリ
の利用が高まれば、必然的にそのプラットフォームに属する地域型観光アプリの利用も
増えると考えられるため、今後は利用者の多いプラットフォームへの登録や、プラット
フォーム型観光アプリのフォーマットに即した観光アプリの開発、テーマ別のプラット
フォームづくりが求められる。
c.スタンプラリー型
GPS機能付き端末を使い広島市内の路面電車の駅を双六として周遊する広探ゲー
ムにみられるような、位置情報を活用したスタンプラリーなど、移動を楽しむイベント
も各地でみられるようになってきている。また、2012 年の大河ドラマ「平清盛」に合
わせ、JR西日本では、西日本に数多く残る平家活躍の対象スポットを訪れたらアプリ
を起動して「スタンプする」ボタンを押すことでスタンプラリーを楽しみながら観光す
ることができるスマートフォンアプリ「平清盛スタンプラリー」を無料で配信している。
このようなGPS端末によるスタンプラリーは、現地でのスタンプ台や用紙などの準備
をすることなく実施することが可能であるため、スタンプラリーアプリの開発により簡
便に観光客を周遊させることが期待される。
d.チェックイン型
ソーシャルメディアにはスマートフォンなど携帯端末を利用し、自らいる場所を発信
する「チェックイン」と呼ばれる機能があるものが増えてきている。チェックインによ
り店舗のクーポンやクチコミ情報を得ることが可能となっており、位置情報を自ら発信
することにより、周遊行動の誘発につながることが期待される。
87
3.事業主体毎の取組方策
(1)事業主体別の観光行動誘発の考え方
これまで述べてきたとおり、位置情報を活用した様々な手法による観光行動の誘発が
可能となってきている。本項では、今後その動きを促進させるために事業主体毎の必要
な方策について述べる。
前項で整理した手法に沿って考えると、まず観光アプリの開発や位置ゲーとの連携な
ど、観光客や観光客となり得るユーザーに対する直接的な情報提供の手法・内容につい
て検討する必要がある。次に、その情報提供を支えるデータベース構築、人材育成など、
環境整備を検討する必要がある。それらを実施主体別に示したものが下図である。次項
以降で詳細について述べる。
図表Ⅴ.3
自治体・観光協会
など公的機関の
取組方策
実施主体別の位置情報を活用した観光行動誘発方策の整理
誘客戦略の立案・実施
ターゲット(居住地、年齢、性別、趣味・
趣向)ごとの周遊状況を分析し、誘客戦略
を立案・実行する。
観光
データベース
整理
地元資源情報に
ついて、ターゲ
ット毎の詳細情
報を整理し、デ
ータベースを作
る。
観光アプリ開発
民間IT事業者によるローカルの強みを
活かした、地元ならではの情報を盛り込
んだ、観光アプリを開発する。
観光、通信など
民間組織の
取組方策
位置ゲーによる周遊性向上
位置ゲーへの観光情報の付与や、位置ゲ
ーと観光施設・宿泊施設の連携事業によ
り、周遊性の向上を図る。
ソーシャルメディア情報提供
地 域 Facebook ペ ー ジ の 開 設 、 公 式
twitter アカウントでの発信など、ソー
シャルメディア上の情報を収集・整理、
地域情報を発信し、
「人のつながり」によ
る誘客を図る。
通信環境整備
情報取得が容易になるような公衆無線LA
Nエリアを拡充する。また、地域において
公衆無線LAN接続時のトップページを作
成するなど、ホームページや観光アプリと
の連動を図る。
88
ソーシャルメデ
ィア人材育成
飲食・物販店舗、
宿泊施設などにお
けるソーシャルメ
ディア対応を進め
る。また、対応可
能な人材育成を行
う。
(2)自治体・観光協会など公的機関の取組方策
a.誘客戦略の立案・実施
これまでは観光動態はアンケートなどによるサンプル調査で把握してきたが、位置情
報の活用が増え、観光客の移動状況が定量的に把握できる状況になりつつある。ターゲ
ット(居住地、年齢、性別、趣味・趣向)ごとの周遊状況を分析し、誘客戦略を立案・
実行することが可能となっており、観光戦略立案への位置情報の活用が徐々に期待され
る。
b.観光アプリ開発
位置情報を活用した観光アプリは、周遊行動誘発に向けて重要な要素となる。民間I
T事業者との協働により、ローカルの強みを活かした、地元ならではの情報を盛り込ん
だ、観光アプリを開発することが求められる。
ただし、観光アプリは既に数多くの地域で開発されているものの、ユーザー(旅行者)
が旅行時に必ず使うツールとはなりえていないため、観光アプリの開発と同時に、旅行
雑誌やパンフレットなど紙媒体への情報掲載、駅や宿泊施設におけるポスターなどの掲
示など、アナログ的に観光アプリの存在を周知し、ダウンロードするきっかけを用意し
ておかなければならない。また、観光アプリのポータルサイトへの登録や、観光アプリ
同士の連携によるユーザーの認知度向上など、デジタル上での連携も必要である。
更に、観光アプリのゲーム性の追及や、観光関連事業者(お土産物屋、飲食店、宿泊
施設、交通事業者など)との連携によるクーポンなどの付加サービスの導入など、ユー
ザーの利用を促進する要素も重要となる。
c.位置ゲーによる周遊性向上
ソーシャルゲームの成長と、位置ゲーによる移動誘発の可能性を踏まえ、民間IT事
業者との協働により、位置ゲーに観光情報を付与していくことや、位置ゲーと観光施
設・宿泊施設の連携事業により周遊性の向上を図ることが求められる。また、今後、既
に人気のあるソーシャルゲームへの位置情報の付加が期待されるが、その際に観光の視
点で情報を盛り込むことにより、観光行動の誘発につながることが期待される。
連携のタイプとしては、ゲームのスタートアップ時に着目して連携を図り初期ユーザ
ーの移動を促す方法と、ユーザー数が多くなった成功事例との連携によりユーザーの移
動を促す方法が考えられるが、前者は投資が容易であり成功すれば効果が大きいが成功
が見込めない場合も多く、後者は成功が保障されているが新規性に欠ける場合がある。
d.ソーシャルメディア情報提供
SNSの利用が高まり、SNSから観光情報を得る旅行者が増えてくると予想される
ため、自治体や観光協会では、ソーシャルメディア担当職員の配置、地域 Facebook ペ
ージの開設、公式 twitter アカウントでの発信など、ソーシャルメディア上の情報を収
89
集・整理、地域情報を発信し、
「人のつながり」による誘客を図ることが重要となる。
e.観光データベース整理
観光アプリ開発やソーシャルメディアへの情報提供などにあたり、地元資源情報につ
いて、これまでの一般大衆を対象とした観光情報に加えて、ターゲット毎の詳細情報を
収集・整理し、データベースを作ることが重要である。テーマ別に再構成された観光情
報をもとに情報発信を行うことが望まれる。
f.通信環境整備
位置情報活用のために不可欠な要素として通信環境整備が挙げられる。通信環境整備
については、民間通信会社に委ねる部分が多いが、公共空間における通信環境整備など、
自治体や観光協会においても取り組みが求められる。また、地域において公衆無線LA
N接続時のトップページを作成するなど、ホームページや観光アプリとの連動を図るこ
とも必要である。
(3)観光事業者など民間組織の取組方策
a.観光アプリ・位置ゲー開発
位置情報を活用した観光アプリについて、行政との協働による制作のみならず、観光
事業者、通信事業者など民間企業同士の連携により制作されることが望まれる。観光ア
プリの利用者は観光客に限定されるため、一般向けの広告収入の確保が難しいことが想
定されるが、地域のタウン誌のように地元の観光関連事業者(お土産物屋、飲食店、宿
泊施設、交通事業者など)との連携によるビジネスモデルが考えられる。また、地元の
観光関連事業者と連携した場合、クーポンや粗品の提供など、ユーザーの利用メリット
を付加する企画が可能となり、利用促進につながると考えられる。
また、エンターテイメント性(ゲームやストーリーに沿った移動など)を持ったアプ
リによる移動誘発など、地元IT事業者による新しい観光行動誘発型アプリの開発が望
まれる。
b.位置ゲーによる周遊性向上
位置ゲーなどゲームについては、IT事業者独自での開発も可能であり、観光の視点
でのアプリ開発が望まれる。また既存のユーザー数の多いゲームを保有しているソフト
会社などが位置情報の活用をゲームの魅力の一つとして組み込むことにより、多くのユ
ーザーの移動誘発につながることも期待される。その他、位置ゲーと観光施設・宿泊施
設の連携事業により周遊性の向上など、民間企業同士の連携による観光行動の誘発も期
待される。
90
c.ソーシャルメディア情報提供
SNSから観光情報を得る旅行者が増えてくると予想されるため、飲食・物販店舗、
宿泊施設などの観光事業者は、ソーシャルメディア上の情報を収集・整理し、SNSを
活用した情報発信を行うなど、新たな手法による情報発信が求められている。また、旅
行雑誌やテレビ局など情報媒体を持つ事業者は、観光情報の発信において、ソーシャル
メディアとの連携によるクチコミ効果の増大を図る必要がある。
d.ソーシャルメディア人材育成
上記のような、ソーシャルメディアでの情報発信を行うため、飲食・物販店舗、宿泊
施設などにおけるソーシャルメディア対応を進め、対応可能な人材育成を行う必要があ
る。ソーシャルメディアの効果や活用方法、ユーザー層などを把握し、ソーシャルメデ
ィア上の情報を収集・整理するため、ソーシャル対応を担当する社員の配置が求められ
る。
e.通信環境整備
位置情報活用のために不可欠な通信環境整備においては、通信事業者による国内携帯
電話の高速化とともに、飲食店や商店などにおける無線LANの開放や観光アプリとの
連携、商店街などでの公衆無線LAN整備、外国人旅行者や国際コンベンション時など
への対応のための公衆無線LANエリアの拡充なども求められる。
91
アンケートへのご協力をお願いします。
中川酒造版
回答者には先着 100 名様に WebMoney ( 500 円分 ) をご提供します。
◆ 本アンケートは、( 社 ) 中国地方総合研究センターと ( 株 ) コロプラが企画し、中国地方の 7 つのコロカ提携店舗のご協力のもとに実施するものです。
調査結果は「IT 活用による若者の観光行動誘発方策検討調査」注 に活用されます。ご記入漏れのないようにお願いします。○印は、特に指定のない
場合は一つ、指定されている場合はその数だけご記入下さい。具体的なご意見を重視しておりますので、( )内には、文字をご記入下さい。記入
しきれない場合は、欄外にご記入いただいても結構です。(注)谷口重徳准教授(広島国際学院大学)を委員長として、国・県・経済団体等の委員による委員会で検討中
Ⅰ. 今回の中川酒造へのご訪問について
① 店舗名( 中川酒造
)
② 訪問日( 月 日 )
③ あなたのご住所( 都道府県名 )
1.初めて 2.2 ~ 3 回目 3.4 ~ 5 回目 4.6 回以上
④ 中川酒造訪問回数 ( 今回分を含む ) ⑤ ご住所からの主な交通手段 (○は一つ ) 1.自家用車 2.飛行機 3.新幹線 4.その他の鉄道 5.バス 6.その他 ( )
⑥ 同行者 1.一人で 2.カップル 3.友 人 4.家 族 5.その他 ( ) 計 名
⑦ 中川酒造でのお買い物
( 主な購入商品 : ) 総 額 ( 約 円 )
⑧ 中川酒造及びその周辺での滞在時間 ( 1 時間 / 2 ~ 3 時間 / 4 ~ 7 時間 / 8 ~12 時間 / 13 ~ 24 時間 / 24 時間以上 )
⑨ 中川酒造での購入商品 1.大いに満足 2.ある程度満足 3.普 通 4.やや不満 5.大いに不満
⑩ 中川酒造の立地環境やお店の雰囲気 1.大いに満足 2.ある程度満足 3.普 通 4.やや不満 5.大いに不満
⑪ 中川酒造での人との触れあい
1.大いに満足 2.ある程度満足 3.普 通 4.やや不満 5.大いに不満
Ⅱ. 今回のお出かけ・旅行全体について
① 今回のお出かけ・旅行の日数
1.日帰り 2.宿 泊(
泊)
② 今回のお出かけや旅行で訪問した他のコロカ店
1.無 し 2.有 り(店名は? )
③ このお出かけ・旅行の主な目的 (○は一つ )
1.コロカの入手
2.コロカ店での商品の入手
3.コロカ入手を主目的として、観光・レジャー等も兼ねる 4.観光・レジャー等を主目的として、コロカ入手も兼ねる 5.出張・仕事のついでのコロカ店訪問 6.その他( )
④ お出かけ・旅行全体の消費額は?(交通費、宿泊費、飲食費、物品購入費、コロカ店での購入費等の総額で同行者分を含む ) (約 ⑤ お出かけ・旅行においてGPS機能付のネット情報を利用しましたか?(グーグルマップ等)
2.した、する予定
円)
1.しない
(利用した(する予定)のアプリ名 : ) ⑥ 訪問した ( する予定の ) 観光施設 1.有 り(名称 : ) 2.無 し ⑦ 今回のお出かけ・旅行の満足度は?
1.大いに満足 2.ある程度満足 3.普 通 4.やや不満 5.大いに不満 理由を教えてください:( 例:中川酒造でのおもてなし、中川酒造周辺地域の環境、○○での観光など 複数回答可 )
⑧ お出かけや旅行においては、どのような情報がインターネットで提供されれば便利だと思いますか? ○は主なもの2つまでとし、具体的なイメージについてもご記入下さい。 具体的なイメージは?
1.観光施設のマニアックな情報
2.ご当地のグルメ情報
3.観光施設や飲食店での割引等のクーポン情報 4.旅行者によるクチコミ情報 5.その他
Ⅲ . あなたご自身について
① 今回ご使用の端末
1.携帯電話 2.スマートフォン 3.タブレット端末 ( iPad 等 ) 4.その他( ② コロプラを始めて
1.3 か月未満 2.3 か月~ 6 か月未満 3.6 か月~1 年未満 4.1 年~2 年未満 5.2 年以上
③ 今までに訪問したコロカ店舗数 ( 今回分を含む )
)
( 1 / 2 ~ 5 / 6 ~ 10 / 11~ 20 / 21 ~ 40 / 41店舗以上 )
④ コロカ獲得のためのお出かけや旅行をこの 1 年間に何回されましたか? ( 今回分を含む )
( )回
⑤ これまでのコロカ店訪問旅行で心に残っている訪問地域・訪問施設はどこですか?( )
それはなぜですか?( )
⑥「コロプラ」以外で利用されている位置ゲーがありますか
1.無 い 2.有 る( ⑦ 年 齢
1.10 代 2.20 代 3.30 代 4.40 代 5.50 代 6.60 代以上
⑧ 性 別
1.男 性 2.女 性
)
★以上です。ご記入漏れがないことをご確認の上、お店の人にお渡し下さい。ご協力どうも有り難うございました。
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