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Acronis PowerUtilities

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Acronis PowerUtilities
PowerUtilities 2003
ユーザーズ ガイド
Acronis
Acronis
Acronis
Acronis
Acronis
PrivacyExpert
MigrateEasy
DiskEditor
DriveCleanser
RecoveryExpert
Compute with confidence
www.acronis.com
Copyright © SWsoft, 2000-2002. All rights reserved.
Linux は Linus Torvalds の登録商標です。
OS/2 は IBM Corporation の登録商標です。
Windows および MS-DOS は Microsoft Corporation の登録商標です。
ユーザーズガイドに掲載されている商標や著作権は、すべてそれぞれ各社に所
有権があります。
著作権者の明示的許可なく本書ユーザーズガイドを修正したものを販売すること
は禁じられています。
著作権者の事前の許可がない限り、商用目的で書籍の体裁をとる作品または派
生的作品を販売させることは禁じられています。
本書は現状のまま使用されることを前提としており、商品性の黙示の保証および
特定目的適合性または非違反性の保証など、すべての明示的もしくは黙示的条
件、表示および保証を一切行いません。ただし、この免責条項が法的に無効とさ
れる場合はこの限りではありません。
第1章 はじめに
1.1 Acronis PowerUtilities について
Acronis PowerUtilities は、テクノロジーリーダである Acronis の製品のなかか
らパワーユーザに人気のある 4 つのシステムユーティリティを 1 つに統合した製
品です。
•
Acronis PrivacyExpert: コンピュータと Web 参照の履歴を完全に保護
する強力なプライバシー保護ユーティリティ
•
Acronis MigrateEasy: ハードディスクドライブの移行ツール
•
Acronis DiskEditor: ハードディスクとパーティションデータを手動で編集
するために設計された最先端技術のツール
•
Acronis DriveCleanser: ハードディスクを完全に消去
•
Acronis RecoveryExpert: ハードディスクのパーティション復元ソフトウェ
ア
コンピュータと Web 参照の履歴を消去! − PrivacyExpert
Acronis PrivacyExpertは、スタンドアローン型あるいはネットワーク型コンピュ
ータ(PC)で作業を進める際に、完全に機密を保護するための機能を提供しま
す。Acronis PrivacyExpert の提供するコンピュータの機密保護機能により、作
業やインターネット使用の形跡を完全に取り除くことで、履歴データや Windows
ファイルをクリーンアップできます。
ほかのソフトウェアと異なり、Acronis PrivacyExpertは、データ消去保証アルゴ
リズムを使用して完全に PC の使用形跡を取り除くことができるのです。
Acronis PrivacyExpertによる一時ファイルのクリーニングを行うと、コンピュータ
のパフォーマンスの向上にもなります。
Acronis PowerUtilities
3
ハードディスク ドライブを瞬時にアップグレード! − MigrateEasy
ついにそのときが来ました。今こそ、これまで先延ばしにしていた新しいハードデ
ィスクドライブへのアップグレードを実行に移すときです。大半の人は、アップグレ
ードに積極的ではありません。これは、単調な作業が何日も続く、大規模なプロジ
ェクトになると思えるからです。その可能性はあります。助けがなければなおのこと
です。しかし、幸いにもあなたにはAcronis MigrateEasyがあります。Acronis
MigrateEasyは、いくつかの賞に輝く優秀なソリューションであり、オペレーティ
ングシステムとアプリケーションの実行状態をまったく損なわずにコンピュータ上
のすべてのデータを新しいハードディスクドライブに短時間で移行することができ
ます。MigrateEasyを使用すれば短時間でアップグレードを完了できるのです
から、これを使わずに何日も費やす手はありません。
ハードディスクのあらゆる問題を修復 − DiskEditor
ディスクサブシステムなどのさまざまなコンピュータシステムをユーザーが調査で
きるプログラムツールがあります。ディスクマネージャはこれらのツールの中の 1
つで、ハードディスクのデフラグ、ファイルやフォルダ構造の不備の検出と修正、
および不良セクタの検索とマーク付けを行うことができます。情報の整合性を損な
うおそれのあるコンピュータウィルスを検出し駆除することができる、特別なユーテ
ィリティもあります。
また場合によっては、ハードディスクを修復するために、ディスクエディタと呼ばれ
るより強力なツールが必要になります。Acronis DiskEditorは、まさにこの作業
を行うためのソフトウェアです。
ハードディスクのデータを完全消去 − DriveCleanser
古い PC の除去、新しいハードドライブへのアップグレード、リースコンピュータの
返却、または社内における PC の移動はよく行われます。このような場合、古いハ
ードディスクからすべてのデータを完全に消去することは大変重要です。
Acronis DriveCleanserは、選択したパーティション上のデータやディスク全体
のデータを完全に消去します。インターフェイスは非常にシンプルな Windows
XP 形式で操作も簡単です。
削除してしまったパーティションを復元! − RecoveryExpert
Acronis RecoveryExpertは、簡単に使える専門家レベルのハードディスクのパ
ーティション復元ソフトウェアです。誤ってハードディスクのパーティションを削除
し て し ま った り ハー ド ウ ェ アやソ フ トウェ アを 破 損 し て しま っ た り し た とし て も
Acronis RecoveryExpertがパーティションやデータを救出します。
4
はじめに
1.2 ユーザーズ ガイドについて
このユーザーズガイドは、Acronis PowerUtilities の各コンポーネントのユーザ
ーズマニュアルが次の順で合冊されています。各コンポーネントのユーザーズガ
イドの構成については、それぞれの目次ならびに説明をお読みください。
•
PrivacyExpert ユーザーズ ガイド
•
MigrateEasy ユーザーズガイド
•
DiskEditor ユーザーズガイド
•
DriveCleanser ユーザーズガイド
•
RecoveryExpert ユーザーズガイド
1.3 ソフトウェアの使用条件
Acronis PowerUtilitiesの使用条件は、同封の『使用許諾契約書』に明記され
ています。Acronis PowerUtilitiesの正式な購入およびその使用を証明するた
めに、梱包製品と一緒に登録カードが同封されています。登録カードに記入され
ているシリアル番号は、各Acronis PowerUtilities製品に固有のものです。
現在の法律制度の解釈に基づき、『使用許諾契約書』は、ユーザーとソフトウェア
販売元の間の契約として理解されます。本契約は法的効力を持ち、本契約に違
反した場合は訴訟に発展する可能性があります。
違法なソフトウェアの使用および配布は、法律の違反行為に該当するため起訴
されます。
1.4 テクニカル サポート
正式にAcronis PowerUtilitiesの購入および登録を行ったユーザーは、無料テ
クニカルサポートを受けることができます。システムのインストール時、および使用
時に、ユーザーズガイドのヘルプや README ファイルを読んでも解決できない
問題が発生した場合は、テクニカルサポートまで email でご連絡ください。その
際、梱包物に同封されたAcronis PowerUtilitiesのシリアル番号も必要になりま
す。
Acronis PowerUtilities
5
サポート URL: http://www.proton.co.jp/support/personal/
電子メール: [email protected]
6
はじめに
第2章 Acronis PowerUtilities のインストールと使
用方法
2.1 パッケージ内容
Acronis PowerUtilities のパッケージには次のものが同梱されています。
•
インストール CD-ROM 1 枚
•
ユーザーズ ガイド (本書)
•
補足説明書
•
登録カード
2.2 必要なシステム
Acronis PowerUtilities のすべての機能を使用するために必要なシステム要
件は以下の通りです。
•
Pentium C P U または同等の CPU を搭載したPC/AT 互換コンピュータ
•
32 MB 以上のメモリ
•
VGA モニタ
•
マウス (推奨)
•
アーカイブファイル保存用の空きディスク領域
2.3 コンポーネントのインストール
Acronis PowerUtilities のコンポーネントをインストールするには、インストール
用の CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入し、インストールプログラムを実行し
て必要なコンポーネントを選択してください。その後、インストールウィザードの指
示に従ってください。
Acronis PowerUtilities
7
Acronis PowerUtilities のコンポーネントによっては、インストールウィザードの
問いに応えるときに、ブータブル CD または起動ディスクを作成するかどうかの問
い合わせがあります。
2.4 コンポーネントの修復
Acronis PowerUtilities コンポーネントのインストールまたは実行に失敗した場
合は、インストール プログラムを再実行してください。インストール プログラムは、
コンポーネントが既に PC にインストールしているかどうかを判断し、修復(更新)
またはディスクから完全に削除するかを尋ねます。
コンポーネントのインストール ウィザードで、[Acronis <コンポーネント> の修復/
更新]を選択し、[次へ]をクリックします。ソフトウェアを正しく復元するために必要
なすべてのファイルがハードディスクにコピーされます。
2.5 コンポーネントの削除
コンポーネントを削除するには、プログラム メニューから[Acronis <コンポーネ
ント>]、[<コンポーネント> の削除]を選択します。PC のハードディスクからソフト
ウェアを削除するかという確認ダイアログが表示されます。
削除するには、[はい]をクリックしてください。Acronis PowerUtilities の選択さ
れたコンポーネントが PC のハードディスクから完全に削除されます。
2.6 ユーザ インターフェイス
Acronis PowerUtilities のユーザインターフェイスは Windows の標準的なグ
ラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の要素を備えています。クリーンナップオ
プションの設定や実行の際には、十分に注意してください。
8
Acronis PowerUtilities のインストールと使用方法
2.7 コンポーネントの実行
コンポーネントを実行するには、[スタート]→[プログラム]→[Acronis]→[Acronis
<コンポーネント>]の順に選択します。たとえば、PrivacyExpert を実行するに
は、[プログラム]→[Acronis]→[Acronis PrivacyExpert]の順に選択します。
場合によっては、コンポーネントのインストール中に作成した起動ディスクまたは
ブータブル CD からコンポーネントを実行するに指示されることがあります。
Acronis PowerUtilities
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Acronis PrivacyExpert
ユーザーズガイド
Copyright © SWsoft, 2000-2002
Copyright © SWsoft, 2000-2002. All rights reserved.
Linux は Linus Torvalds の登録商標です。
OS/2 は IBM Corporation の登録商標です。
Windows および MS-DOS は Microsoft Corporation の登録商標です。
ユーザーズガイドに掲載されている商標や著作権は、すべてそれぞれ各社に所
有権があります。
著作権者の明示的許可なく本書ユーザーズガイドを修正したものを販売すること
は禁じられています。
著作権者の事前の許可がない限り、商用目的で書籍の体裁をとる作品または派
生的作品を販売させることは禁じられています。
本書は現状のまま使用されることを前提としており、商品性の黙示の保証および
特定目的適合性または非違反性の保証など、すべての明示的もしくは黙示的条
件、表示および保証を一切行いません。ただし、この免責条項が法的に無効とさ
れる場合はこの限りではありません。
目次
はじめに .............................................................................................5
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法 ...........10
1.1 商品梱包内容 ....................................................................... 10
1.2 システムの構成...................................................................... 10
1.3 システムのインストール ........................................................... 10
1.4 Acronis PrivacyExpert の修復 ............................................ 11
1.5 システムの削除...................................................................... 11
1.6 Acronis PrivacyExpert の使用方法 ..................................... 11
1.6.1 Acronis PrivacyExpert のメインウィンドウ .......................... 11
1.6.2 ロジカルソフトウェアの構成:セクション.................................. 12
1.6.3 手動による PC クリーンアップの実行.................................... 14
1.6.4 クリーンアップの設定........................................................... 14
1.6.5 個々のコンポーネントのクリーンアップ設定........................... 18
1.6.6 スケジュールされた PC クリーンアップの実行 ....................... 26
1.6.7 クリーンアップ機能の名前の変更 ......................................... 28
1.7 データクリーンアップのアルゴリズム......................................... 29
第 2 章 PC の複合クリーンアップ.....................................................31
2.1 PC の複合クリーンアップ........................................................ 31
2.2 システムのクリーンアップ ........................................................ 32
2.3 インターネットのクリーンアップ ................................................ 33
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ .........................34
3.1 インターネントコンポーネント................................................... 34
3.1.1 インターネットキャッシュ ....................................................... 35
3.1.2 Cookie............................................................................... 37
3.1.3 ダウンロードされたコンポーネント ......................................... 38
3.1.4 最近アクセスしたページ ...................................................... 40
3.2 システムコンポーネント ........................................................... 43
3.2.1 ページングファイル/スワップファイル..................................... 43
3.2.2 ごみ箱................................................................................ 43
3.2.3 一時ファイル....................................................................... 44
3.2.4 ハードディスクの空きスペース .............................................. 45
3.2.5 カスタムフォルダ/ファイル .................................................... 45
3.2.6 レジストリのバックアップ ....................................................... 47
3.2.7 検索コンピュータの一覧 ...................................................... 48
3.2.8 検索ファイルの一覧 ............................................................ 49
3.2.9 最近使ったファイルの一覧 .................................................. 51
Acronis PrivacyExpert
3
3.2.10 Windows 実行プログラムの一覧........................................52
3.2.11 オープン/保存ファイルの履歴 ............................................53
付録 A ハードディスクの消去アルゴリズム ..................................... 54
A.1 消去アルゴリズムの機能原理に関する情報 .............................55
A.2 Acronis PrivacyExpert によって使用されるアルゴリズム........55
4
目次
はじめに
Acronis PrivacyExpert
Acronis PrivacyExpertは、スタンドアローン型あるいはネットワーク型コンピュ
ータ(PC)で作業を進める際に、完全に機密を保護するための機能を提供しま
す。Acronis PrivacyExpert の提供するコンピュータの機密保護機能により、作
業やインターネット使用の形跡を完全に取り除くことで、履歴データや Windows
ファイルをクリーンアップできます。
ほかのソフトウェアと異なり、Acronis PrivacyExpertは、データ消去保証アルゴ
リズムを使用して完全に PC の使用形跡を取り除くことができるのです。
Acronis PrivacyExpertによる一時ファイルのクリーニングを行うと、コンピュータ
のパフォーマンスの向上にもなります。
コンピュータ情報の機密性を保護する理由
コンピュータで作業すると、ユーザーに次のような多数の深刻なセキュリティ上の
問題が発生します。
1.
コンピュータ上では、さまざまなファイルを作成し、削除しますが、その内容
は誰にも知られたくないものです。しかし、削除したファイルは本当に読み
出せないようになったのでしょうか? 答えは No です! Windows オペレーテ
ィングシステムでは、削除したファイルが簡単に修復でき、ユーザーにとって
見られたくない情報にアクセスされてしまうのです。
2.
Windows や、Internet Explorer、Netscape Navigator といった一般的
なブラウザは、非常に弱い保護機構によってインターネットの履歴データを管
理しています。
3.
PC での作業中には、自分でも知らないうちに行ったアクションの形跡(さまざ
まなシステムファイルの記録)が残っているのです。
Windows オペレーティングシステムでは、インターネットへの接続、開いた
文書、作成および削除した文書、アクセスしたサイト、興味を持った情報(た
とえば、どの分野の製品やサービスに興味を持ったか)といった、ほとんどす
べての作業情報が残されています。たとえば、オンラインショッピングをした
時のクレジットカード番号やプロバイダのアクセスパスワードまでもが記録さ
れているのです。
Acronis PrivacyExpert
5
Windows では、コンピュータ上でのすべてのアクションが、なんらかの形で
記録されます。
こういった問題すべてに対して、確実なソリューションを提供できるのはAcronis
PrivacyExpertしかありません。Acronis PrivacyExpertは、ユーザーの作業形
跡に対する Windows のセクションをすべてチェックし、完全にそれらのファイルや
情報を削除し、痕跡を消去することができます。
Acronis PrivacyExpertを定期的に使用してコンピュータをクリーンアップすれば、
インターネットの作業情報や個人データを自分で管理して、残すものを選択できま
す。
機密データへの脅威:誰からどんな情報を保護すべきか
機密データ(ユーザーの個人データ)には、次の 3 種類の脅威があります。
•
インターネットを使用しているほかのコンピュータから、直接、PC のディスク
やファイルにアクセスされる可能性があります。あるいは、「スパイソフトウ
ェア」や「トロイの木馬」をロードして、ユーザーのデータや、お気に入り、
Cookie、アクセスしたネットワークリソースなどの情報を取得される可能
性もあります。
自由社会の中で常に監視状態に置かれているとしたら違和感を感じま
すが、こういった状況がインターネットのアクセス中に実際に発生してい
るのです。この問題について調査を行ったあるセキュリティの専門家は、
誰かが自分の PC のリソースに 10 分から 15 分ごとにアクセスしている
ことを知り、たいへん困惑したそうです。今日、インターネット上では、ハ
ッカーだけでなく、通常の人々や企業でさえもユーザーの PC の監視を
行っており、PC ユーザーや PC に関する情報を集中的に収集しようとして
います。
そのため、非常にプライベートな個人データの一部が流出し、迷惑メー
ル、脅迫、恐喝、または違法な詐欺行為などの目的で悪質な人間の手に
渡る可能性も考えられます。
•
6
仕事の同僚が社内ネットワークからあなたの PC にアクセスする可能性
も考えられます。一緒に働いている人をすべて信用できますか? あなた
のデータに悪意でアクセスしようとする同僚はいませんか? もし、仕事中
に MP3 ファイルを聞いたり、インターネットサーフィンをしたりしているこ
とを、上司が知っていたら落ち着いていられるでしょうか?
はじめに
•
子供も使用している家庭用 PC で作業する場合、子供があなたの機密
情報の脅威の対象にはならないと自信を持って言えますか?
こういった理由から、家庭用 PC のユーザーや会社員の大部分は、自分の PC の
作業内容を保護することが絶対に必要なのです。
Acronis PrivacyExpertによるクリーンアップの内容
Acronis PrivacyExpertのソフトウェアを使用すれば、あらゆる Windows セクショ
ンの作業履歴を削除できます。Acronis PrivacyExpertは、次のことができま
す。
1. PC およびインターネットでの作業内容が保存されている Windows レジ
ストリのバックアップを削除
2. 標準的な Windows フォルダの一時ファイルを削除
3. PC に接続してあるディスクのフォルダ/ファイルのうち指定したものを削
除
4. Windows のごみ箱のクリーニング
5. Windows のページングファイル/スワップファイルのクリーニング
6. ハードディスクの空きスペースのクリーニング
7. オープン/保存ファイルの履歴のクリーニング
8. 検索ファイルの一覧、および検索コンピュータの一覧から、使用履歴を
削除
9. インターネットキャッシュのクリーニング
10. Cookie のクリーニング
11. ダウンロードしたコンポーネントの削除
12. 最近アクセスしたページの記録をクリーニング
Acronis PrivacyExpertは、ユーザーの PC の作業内容を削除し、修復ができな
いようにします。Acronis PrivacyExpertは、PC のクリーンアップを行うために、
厳密な機密データ消去保証アルゴリズムを使用しており、そのアルゴリズムは、主な
国家規格/州規格を満たすか、それを上回っています。(詳細については、「1.7
データクリーンアップのアルゴリズム」を参照してください)
ユーザーズガイドの目次-必要な情報を見つけるには
Acronis PrivacyExpertのユーザーズガイドは、大きく分けて、次の章から構成
されています。
•
第 1 章 「 Acronis PrivacyExpert の イ ン ス ト ー ル と 使 用 方 法 」 -
Acronis PrivacyExpertのインストールおよび使用方法、ユーザーイン
Acronis PrivacyExpert
7
ターフェイス、さまざまな PC クリーンアップの機能の設定および実行に
関する詳細な情報について説明されています。
•
第 2 章「PC の複合クリーンアップ」
PC セクションの複合クリーンアップを行う場合は、「2.1 PC の複合クリー
ンアップ」をお読みください。
インターネットの作業形跡のみをクリーニングする場合は、「2.3 インター
ネットのクリーンアップ」をお読みください。
PC からシステムの複合クリーンアップを行う場合は、「2.2 システムのクリ
ーンアップ」をお読みください。
•
第 3 章「個々の PC コンポーネントのクリーンアップ」
Windows の個々のセクション(コンポーネント)のみをすばやくクリー
ンアップする場合は、このセクションをお読みください。
•
付録 A「ハードディスクの消去アルゴリズム」-コンピュータのハードディ
スクの、機密データ消去保証アルゴリズムについて、詳細に説明していま
す。
ソフトウェア使用時の条件
Acronis PrivacyExpertの使用条件は、同封の『使用許諾契約書』に明記され
ています。Acronis PrivacyExpertの正式な購入およびその使用を証明するた
めに、梱包製品と一緒に登録カードが同封されています。登録カードに記入され
ているシリアル番号は、各Acronis PrivacyExpert製品に固有のものです。
現在の法律制度の解釈に基づき、『使用許諾契約書』は、ユーザーとソフトウェア
販売元の間の契約として理解されます。本契約は法的効力を持ち、本契約に違
反した場合は訴訟に発展する可能性があります。
違法なソフトウェアの使用および配布は、法律の違反行為に該当するため起訴
されます。
テクニカルサポート
正式にAcronis PrivacyExpertの購入および登録を行ったユーザーは、無料テ
クニカルサポートを受けることができます。システムのインストール時、および使用
時に、ユーザーズガイドのヘルプや README ファイルを読んでも解決できない
問題が発生した場合は、テクニカルサポートまで email でご連絡ください。その
8
はじめに
際、梱包物に同封されたAcronis PrivacyExpertのシリアル番号も必要になりま
す。
サポート URL:http://www.proton.co.jp/support/personal/
電子メール:[email protected]
Acronis PrivacyExpert
9
第1章 Acronis PrivacyExpertのインスト
ールと使用方法
1.1 商品梱包内容
Acronis PrivacyExpertの商品梱包内容
•
インストール用 CD-ROM
•
ユーザーズガイド(本書)
•
使用許諾契約書
•
登録カード
1.2 システムの構成
Acronis PrivacyExpertを利用する際に必要なもの
•
Pentium CPU または同等の CPU を搭載した PC/AT 互換コンピュータ
•
32MB RAM
•
フロッピーまたは CD-R/RW ドライブ
•
VGA モニタ
•
マウス(推奨)
1.3 システムのインストール
ソフトウェアをインストールするには、Acronis PrivacyExpertのインストール用
CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入し、インストールプログラムを起動します。
起動後、インストールウィザードの指示に従ってください。
インストールウィザードが終了し、ハードディスクにPrivacyExpertのファイルがコ
ピーされたら、コンピュータを再起動してください。
10
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
1.4 Acronis PrivacyExpertの修復
インストール中または実行中に、Acronis PrivacyExpertに何らかの障害が発生
した場合は、インスト ールプログラムを 再度起動 してみてく ださい。 Acronis
PrivacyExpertがコンピュータにインストールされたかどうか確認し、Acronis
PrivacyExpertの修復(更新)を行うか、Acronis PrivacyExpertをディスクから完
全に削除するか聞いてきます。
インストールウィザードのウィンドウで、Acronis PrivacyExpertの修復/更新を選択し、
次へ をクリックしてください。Acronis PrivacyExpertのすべてのファイルがハー
ドディスクにもう一度コピーされ、ソフトウェアの修復が行われます。
1.5 システムの削除
ソフトウェアを削除するには、プログラムメニューから[Acronis]→[PrivacyExpert]→
[Acronis PrivacyExpertのアンインストール]を選択します。ソフトウェアをハードディ
スクから削除していいか確認するダイアログボックスが表示されます。
削除するときは、 はい をクリックします。Acronis PrivacyExpertは完全にコンピ
ュータのハードディスクから削除されます。
1.6 Acronis PrivacyExpertの使用方法
Acronis PrivacyExpertのユーザーインターフェイスは、Windows XP の標準
的なアイコンなどのグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)に似せて構成さ
れています。本項では、クリーンアップの機能の設定と実行に関しての一般的な
使い方を説明します。
1.6.1 Acronis PrivacyExpertのメインウィンドウ
Acronis PrivacyExpertの操作はメインウィンドウで行います。プログラムメニューか
ら[Acronis]→[PrivacyExpert]→[Acronis PrivacyExpert]を選択すると、画面にメイン
ウィンドウが表示されます。Acronis PrivacyExpertのメインウィンドウは Windows
のダイアログボックスで、次の 2 つのエリアに分割されています。
Acronis PrivacyExpert
11
•
右側のエリアには、Acronis PrivacyExpertによってユーザーが実行
できる主な PC クリーンアップの機能をグループ化した一覧があります。
•
ウィンドウの左側のエリア(サイドバー)は、Windows XP で初めて導入さ
れたものです。右側のウィンドウから実行できるアクションが、グループ
化されています。
Acronis PrivacyExpertのメインウィンドウ
クリーンアップの機能は、メインメニュー、ツールバー、サイドバー、コンテキストメ
ニューの対応する項目から、実行したり、設定やスケジュール、名前の変更など
を行います。
1.6.2 ロジカルソフトウェアの構成:セクション
Acronis PrivacyExpertは論理的に複数の構成部分から成り、(1)PC の作業形
跡を削除する特定の機能を集めた複合 PC クリーンアップと、(2)個々のシステムコ
ンポーネントのクリーンアップを、行えるようになっています。
12
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
複合 PC クリーンアップ
Acronis PrivacyExpertの右側のメインウィンドウにデフォルト表示されるワンクリ
ッククリーンアップセクションには、あらかじめ定義された、3 つの複合 PC クリーンア
ップ用アイコンが用意されています。
次の処理を行うには
1.
インターネット作業に関連する Windows システムのエリアおよびセクション
を含む PC 全体のクリーンアップを行うには、PC 全体のクリーンアップを実行し
ます。
2.
インターネット作業に関連する項目のクリーンアップを行うには、インターネットクリ
ーンアップを実行します。
3.
Windows システムセクション、およびユーザーファイルやフォルダのクリーンアッ
プを行うには、システムのクリーンアップを実行します。
注意! 前述したクリーンアップ機能はデフォルトの値が設定されており、Acronis
PrivacyExpertのインストール完了後、すぐに使用することができます。各機能は、
多くのユーザーが簡単に使用できるように作成されており、高度な設定内容を理
解する必要はありません。また、ほとんどのユーザーにとって必要な項目がすべ
て用意されています。どの機能もマウスを一回クリックすることで実行できます。
個々のシステムコンポーネントのクリーニング
インターネットコンポーネントとシステムコンポーネントのセクションは、各システムコン
ポーネントをすばやくクリーンアップして、PC の作業履歴を消去できます。
たとえば、他人に履歴を見られたくないときに、ブラウザのキャッシュをクリーンア
ップしたり、アクセスしたサイトの一覧から URL を削除したりする必要があります。
複合クリーンアップより非常に短時間で行えます。
Acronis PrivacyExpert
13
次の処理を行うには
1.
Windows システムセクションの一部のコンポーネントや、一部のユーザーフ
ァイルやフォルダのみをすばやくクリーンアップするには、コンポーネントセク
ションからクリーンアップの機能を一つ選択し、実行します。
2.
インターネット作業に関する Windows コンポーネントの一部のみをすばや
くクリーンアップするには、インターネットコンポーネントセクションの機能を実
行します。
個々のコンポーネントをクリーンアップするには、Windows エリア全体の複合クリ
ーンアップに比べ、非常に短時間に行うことができます。
設定項目数に違いがあるだけで、個々のコンポーネントのクリーンアップばかりでな
く、PC クリーンアップすべての機能を手動またはスケジュールされた時刻に実行
し、全般的に設定することもできます(「1.6.3 手動による PC クリーンアップの実
行」、「1.6.6 スケジュールされた PC クリーンアップの実行」、「1.6.4 クリーンアッ
プの設定」を参照してください)。
1.6.3 手動による PC クリーンアップの実行
複合 PC クリーンアップおよびコンポーネントの手動クリーンアップを実行するには、
3 つの方法があります。
Acronis PrivacyExpertメインウィンドウの右側で選択した PC あるいは個々のコ
ンポーネントのクリーンアップを実行するには、次のようにします。
1.
Acronis PrivacyExpertメインウィンドウのサイドバーの[今すぐ始めよう!]を
マウスでクリック
2.
メインメニューから、[クリーンアップ]→[今すぐ始めよう!]を選択
3.
タスクのコンテキストメニューから、[今すぐ始めよう!]を選択
クリーニングしたいクリーンアップ機能やコンポーネントが画面に表示されない場
合は、下にスクロールして表示させます。
1.6.4 クリーンアップの設定
クリーンアップの設定
クリーンアップの設定を変更し、Acronis PrivacyExpertを自分の使用目的に応
じて設定することができます。たとえば、スピードと信頼性に見合った適切なデー
14
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
タ消去アルゴリズムの選択、クリーニングしたい一時ファイルの種類の入力、使用
するブラウザの選択、個々のコンポーネントのクリーンアップの無効化といった、さ
まざまな設定を行えます。つまり、Acronis PrivacyExpertは、最高のスピードと最
高のパフォーマンスで、PC のクリーニングをすることを約束いたします。
設定については、次をお読みください。
クリーンアップの設定エディタ
Acronis PrivacyExpertの右側のメインウィンドウからクリーンアップする機能を
マウスでクリックして選択し、サイドバーの[編集]一覧から[プロパティ]を選択す
ると、「設定エディタ」が起動します。クリーンアップする機能を選択し、メインメニュ
ーから[クリーンアップ]→[プロパティ]を選択しても設定エディタを起動できます。ク
リーンアップする機能のコンテキストメニューから[プロパティ]を選択しても、設定
エディタが起動します。
エディタによる PC コンポーネントのクリーンアップの設定
次の図は、PC 全体のクリーンアップに属する 2 種類のクリーニングコンポーネン
トグループに対して設定エディタを開いた状態を表しています。
•
インターネットクリーンアップ-このグループには、インターネットの作業に
関連したセクションのクリーンアップが含まれます。
•
システムクリーンアップ-このグループには、Windows システムセクショ
ンおよびユーザーファイルやフォルダのクリーンアップが含まれていま
す。
グループ化された PC コンポーネントのクリーニングについては、後述します。(第 3
章「個々の PC コンポーネントのクリーンアップ」を参照してください)
Acronis PrivacyExpert
15
コンポーネントのクリーニングを設定する場合
1.
エディタの左側からコンポーネントを選択し、[<コンポーネントの名前>を有効
にする]チェックボックスをオンにします。
クリーニングを行うコンポーネントに関する説明
2.
16
引き続きコンポーネントのクリーンアップを選択し、必要に応じて設定しま
す。(クリーンアップアルゴリズム、ファイルの種類、インターネットブラウザな
どの選択/入力)
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
[ファイル]設定
3.
設定を保存するには、 適用 をクリックします。設定の変更を保存しない時
は、 キャンセル をクリックします。
Acronis PrivacyExpertのクリーンアップをデフォルトの設定に戻す場合
1.
コンポーネントの一番上の階層にある[設定]を選択します。
2.
エディタの右側にある、 デフォルトに戻す をクリックします。
Acronis PrivacyExpert
17
Acronis PrivacyExpertをデフォルト設定に戻す
1.6.5 個々のコンポーネントのクリーンアップ設定
エディタでクリーニングするコンポーネントを選択し、クリーンアップの設定の一覧
を開きます。
Acronis PrivacyExpertでは、クリーニングするコンポーネントにはそれぞれ、いくつ
かの(コンポーネントによって 1~3 個の)設定があります。
次に挙げるのは、多くのコンポーネントに共通な設定です。コンポーネント固有の設定
については、第 3 章個々の PC コンポーネントのクリーンアップ」で説明します。
インターネット作業に関連するコンポーネントのクリーンアップの設定
[インターネットブラウザ]および[アドレス]の設定は、インターネット作業に関連す
るコンポーネントに共通です。
[インターネットブラウザ]の設定
Acronis PrivacyExpertは、PC にインストールされているサポートするブラウザ
をすべて自動的に検出し、インターネット作業に関連するすべてのブラウザ構造
のクリーニングをデフォルトで行います。
18
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
Internet Explorer がインストールされている場合、クリーニングするプロフィー
ルは、現在ログインしているユーザーのものに限ります。
[インターネットブラウザ]の設定
Netscape Navigator および Mozilla は、個人のプロフィールをサポートしてい
ます。Acronis PrivacyExpertは、追加設定を行うことなく、[デフォルトプロフィ
ール](プロフィールが一つの場合)か、現在ログインしているユーザーのプロフィ
ールのいずれかをクリーニングします。
1 つのブラウザのみクリーンアップを行う場合
1.
クリーンアップするブラウザ名(たとえば、Internet Explorer)の横のチェッ
クボックスにのみチェックを入れ、ほかのチェックボックスからチェックを外しま
す。
2
Netscape Navigator(あるいは Mozilla)を使用している場合は、さらに、
([プロフィール...]リンクをクリックして)個人のプロフィールを選択します。
[アドレス]の設定
[アドレス]の設定は、インターネットキャッシュと最近アクセスしたページの一覧を
クリーニングします。([アドレス]設定には、インターネットキャッシュ、最近アクセスし
たページの 2 つしか、クリーニングするシステムコンポーネントがありません)
Acronis PrivacyExpert
19
たとえば次のように、[アドレス]の値にインターネットアドレスの全部あるいは一部
をセミコロンで区切って入力することもできます。
*worldsoccer.com; *formula1.com;
入力したアドレスのうちのひとつにでも一致すれば、そのサイトから全部または一
部をダウンロードしたファイルがすべて削除されます。
注意! 検索に用いるインターネットアドレス(の全部または一部)の文字列の長さ
は、ほぼ無制限です! たとえば、*worldsoccer.com や*formula1.com と
いったアドレスをセミコロンで区切っていくつでも入力できます。
必要に応じて、次の操作を行います。
1.
指定したインターネットアドレス(サイト)からダウンロードしたすべてのファイル
(一覧、エレメント)のうち、インターネットキャッシュ(最近アクセスしたページ
の一覧)をクリーンアップするには、たとえば次のようにアドレスまたはアドレ
スの一部を、セミコロンで区切って入力します。
*cnn*;*formula1*
このようにすると、www.cnn.com、www.formula1.comからダウンロードし
たファイルがすべて削除されます。
2.
特定のインターネットアドレス(サイト)からダウンロードしたファイルのうち、特
定の種類のファイルからのみインターネットキャッシェをクリーンアップするに
は、たとえば次のようなアドレスを、セミコロンで区切って入力します。
*cnn*.jpg;*cnn*.gif;*formula1*.jpg;*formula1*.gif
このようにすると、*.jpg、*.gif のファイルのみが削除され、たとえば、
*.html ファイルは、キャッシュの中に残ります。
インターネットアドレスの一覧を入力すると、選択したファイル(アクセスしたペー
ジ)を一覧に表示できます。この操作を行うには、 URL の表示 をクリックしま
す。選択したアドレスがウィンドウに表示されます。選択したアドレスは、選択し
たコンポーネントのクリーンアップ時に削除されます。
システムコンポーネントのクリーンアップの設定
[データ消去アルゴリズム]および[ファイル]の設定は、システムコンポーネントの
クリーンアップに共通です。
20
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
[データ消去アルゴリズム]の設定
[データ消去アルゴリズム]の設定を選択すると、PC のクリーンアップのセキュリテ
ィレベルとクリーンアップのスピードを変更できます。
データ消去アルゴリズムに関する詳細情報については、「1.7 データクリーンアッ
プのアルゴリズム」および「付録 A ハードディスクの消去アルゴリズム」を参照して
ください。
最も安全なアルゴリズムはたいていスピードが非常に遅く、逆に非常に高速なア
ルゴリズムは信頼性と安全性に欠けています。
設定名をマウスでクリックすると、使用できる項目(データ消去アルゴリズムの選択
欄)がエディタの右側に表示されます。
データ消去アルゴリズムの選択
エディタの右側に表 示されたドロップダウンリストをマウスで クリックすると、
Acronis PrivacyExpertで使用できるデータ消去アルゴリズムの一覧が表示さ
れます。
Acronis PrivacyExpert
21
セキュリティの安全性を保証するには
1.
PC の使用形跡に関して最大の安全性を保証するには、Peter Gutmann
方式のアルゴリズム(データ消去 35 回)を選択します。ただし、実行速度は
非常に遅くなります。
2.
平均的な速度のクリーンアップで中程度のセキュリティを保証するには、VSITR
あるいは Bruce Schneier 方式のアルゴリズム(データ消去 7 回)を選択し
ます。
3.
セキュリティレベルを考慮しない高速の PC クリーンアップを行うには、データ
処理回数 1~3 のアルゴリズムのうちの 1 つを選択します。(データ処理回
数については「A.2 Acronis PrivacyExpert によって使用されるアルゴリ
ズム」を参照してください)
[ファイル]の設定
[ファイル]の設定では、Acronis PrivacyExpertが(Windows ごみ箱とシステム
フォルダ、およびユーザーフォルダから)クリーニングするファイル名を指定できま
す。検索文字列を使用することもできます。
Windows オペレーティングシステムでは、検索文字列はファイル名全体あるいはそ
の一部を表現します。検索文字列にはアルファベットや数字、カンマ、*、?といった
記号が含まれ、次のような意味を持ちます。
•
*.*-ファイル名や拡張子に関係なく、すべてのファイルがごみ箱から
削除されます。
•
*.doc-特定の拡張子の付いたファイルが削除されます。この例では
マイクロソフトの文書ファイルが削除されます。
•
read*.*-ファイル名が「read」で始まるすべてのファイルが削除され
ます。拡張子の種類は関係ありません。
•
read?.*-ファイル名が 5 文字で、「read」で始まるファイルすべてが
削除されます。拡張子の種類は関係ありません。5 番目の種類は任意
で構いません。
たとえば最後の検索文字列では、read1.txt および ready.doc ファイル
が削除されます。しかし、readyness.txt はファイル名が 5 文字より長い
ため、残されます。(この場合、拡張子はファイル名の文字数から除外さ
れます)
複数の検索文字列をセミコロンで区切って入力できます。たとえば、
22
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
*.bak; *.tmp; *.~~~;
といった具合です。検索文字列のうち少なくとも一つに名前が一致するファイル
が、すべて削除されます。
注意! ファイル名(の全部あるいは一部)の検索文字列の長さは、ほぼ無制限で
す! たとえば、*.tmp、read?.*といったファイル名あるいはその一部を、セミコ
ロンで区切っていくつでも入力できます。
[ファイル]の設定にはクリーニングするシステムコンポーネントが 4 つあります。ご
み箱、一時ファイル、カスタムフォルダ/ファイル、および検索ファイルの一覧で
す。
[ファイル]の設定
必要に応じて、次の操作を行います。
1.
ごみ箱(システムあるいはユーザーフォルダ)から、特定の種類のファイルの
みを削除するには、次のようにファイル名をセミコロンで区切って入力しま
す。
*.jpg; *.gif;
Acronis PrivacyExpert
23
2.
ごみ箱(システムフォルダあるいはユーザーフォルダ)から、特定の名前のフ
ァイルのみを削除するには、次のように入力します。
read*.txt.
read!.txt、readme.txt、read1.txt な どの フ ァイル が削 除さ れますが、
read.doc、readme.doc などのファイルは残されます。
3.
ごみ箱(システムフォルダあるいはユーザーフォルダ)から、決まった文字数
の特定の名前のファイルのみを削除するには、次のようなファイル名を入力し
ます。
read?.txt
read!.txt 、 read1.txt 、 read2.txt な ど の フ ァ イ ル は 削 除 さ れ ま す が 、
read.doc、readme.doc などのファイルは残されます。
ファイル名を入力すると、Acronis PrivacyExpertで選択したファイルを表示でき
ます。この操作を行うには、 ファイルの表示 をクリックします。選択したファイルがウ
ィンドウに表示されます。選択したファイルは、指定したコンポーネントのクリーン
アップ時に削除されます。
[コンピュータ]の設定
[コンピュータ]の設定では、ローカルネットワークのコンピュータを見つけるため
に使用した検索文字列を、レジストリからクリーンアップします。この検索文字列に
より、ネットワーク内で自分が興味を持った情報が推測されてしまいます。機密保
護のため、これらの項目も削除する必要があります。
[コンピュータ]の設定は、[ファイル]の設定と同じです。[コンピュータ]の設定の文
字列は、任意の個数のコンピュータ名(の全部あるいはその一部)をセミコロンで区
切ったものです。コンピュータの検索文字列は、Windows の規則に従って[コンピュ
ータ]の設定と比較され、削除されます。([ファイル]の設定を参照してください)
24
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
すべてのローカルネットワークコンピュータの検索文字列を削除するだけの場合は、
次のようにします。(たいていの場合にあてはまります)
1.
[検索コンピュータの一覧]を選択します。
2.
[検索コンピュータの一覧のクリーニングを有効にする]のボックスにチェックマ
ークを入れます。
3.
[コンピュータ]の設定を選択します。デフォルトの値「*」は変更しないでそ
のままにしておきます。
これで、すべてのコンピュータの検索文字列がレジストリから削除されます。
[コンピュータ]の設定
[コンピュータ]の設定値を入力すると、Acronis PrivacyExpertで選択したレジ
ストリ内の検索文字列を表示できます。この操作を行うには、 コンピュータの表示
をクリックします。ネットワーク上で検索したコンピュータ名の全部あるいはその一
部がウィンドウに表示されます。これらの文字列は、レジストリのクリーンアップ時
に削除されます。
Acronis PrivacyExpert
25
1.6.6 スケジュールされた PC クリーンアップの実行
Acronis PrivacyExpertの PC クリーンアップ機能は、手動あるいはスケジュール
で自動的に実行できます。
PC クリーンアップを日単位で(たとえば仕事が終わって PC の電源を切る直前に
実行するように)設定しておけば、PC を使用した痕跡やインターネット作業の形
跡のすべてが毎日確実に削除されるようになります。
Acronis PrivacyExpertには、スケジューラが内蔵されています。
スケジューラの呼び出し
Acronis PrivacyExpertのメインウィンドウの右側にあるクリーンアップ機能をマウス
でクリックし、サイドバーのクリーンアップ一覧から[スケジュール]を選択すると、スケ
ジューラが起動します。クリーンアップ機能を選択し、メインメニューから[クリーンアッ
プ]→[スケジュール]を選択しても同じです。または、クリーンアップ機能のコンテキスト
メニューから[スケジュール]を選択しても、スケジューラを呼び出せます。
26
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
スケジューラ
スケジューラの設定
スケジューラによって、PC クリーンアップ機能を柔軟に自動実行できます。
Acronis PrivacyExpert
27
PC の自動クリーンアップをスケジュールするには
1.
毎日または数日に 1 度、決まった時間にクリーンアップを行うには、スケジュ
ーラの最初のページで[日単位]に設定します。
2.
毎週指定した曜日、たとえば火曜日と金曜日、あるいは数週間に 1 回指定
した曜日にクリーンアップを行うには、スケジューラの最初のページで[週単
位]に設定します。
3.
毎月指定した日時、たとえば<第 1 週、第 2 週、第 3 週、第 4 週、最終週><
曜日>(月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、土曜、日曜)にクリーンアップを行う
には、スケジューラの最初のページで[月単位]に設定します。
4.
指定した時刻(時:分)や指定した日(○年○月○日)に一度だけクリーンア
ップを行うには、スケジューラの最初のページで[1 回だけ]に設定します。
5.
設定が終わったら 次へ をクリックし、スケジューラの次のページでさらに設定
を行います。
PC の自動クリーンアップを実行するには
1.
PC の起動時にクリーンアップを行うには、スケジューラの最初のページで
[このコンピュータの起動時]に設定します。
2.
シャットダウン時にクリーンアップを行うには、スケジューラの最初のページ
で[このコンピュータのシャットダウン時]に設定します。
自動スケジュール実行を取り消す場合
1.
スケジューラをもう一度起動ます。
2.
スケジューラの最初のページで、[タスクの削除]に設定します。
1.6.7 クリーンアップ機能の名前の変更
各コンポーネントのクリーンアップを有効化/無効化したり、クリーンアップの設定
を選択したりするなど、必要に応じて PC クリーンアップの機能を設定し、カスタマ
イズできます。さらに、機能の名称を PC クリーンアップの内容がわかりやすいも
のに変更することもできます。
PC(あるいは個々のコンポーネント)のクリーンアップ機能の名称は、次のいずれかの
方法で変更できます。
28
1.
サイドバーの[名前の変更]をマウスでクリック
2.
メインメニューから、[クリーンアップ]→[名前の変更]を選択
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
3.
PC(コンポーネント)のクリーンアップ機能のコンテキストメニューから、[名前
の変更]を選択
このうちのどれかを実行すると、[項目名の変更]ウィンドウが表示され、PC または
コンポーネントクリーンアップの機能の新しい名称を入力できます。
1.7 データクリーンアップのアルゴリズム
PC やインターネット作業の機密性を保証するほとんどのソフトウェアとは異なり、
Acronis PrivacyExpertは、Windows のセクション(ファイル、フォルダ、レジスト
リコンポーネントなど)を削除するだけでなく、削除するデータを含むハードディスク
のセクタをローレベルまで完全にクリーンアップします。
Windows のトレースデータおよびファイルは、統合されたデータ消去アルゴリズ
ムを使用して完全にクリーニングされます。Acronis PrivacyExpertには 8 種類
のアルゴリズムが用意されています。そのうちの 5 種類は、データ消去に関する国
家規格を満たしています。
(1) 米国式:DoD 5220.22-M
(2) 米国式:NAVSO P-5239-26 (RLL)
(3) 米国式:NAVSO P-5239-26 (MFM)
(4) ドイツ式:VSITR
(5) ロシア式:ロシア規格、GOST P50739-95
Acronis PrivacyExpertは、これらの国家規格を満たすアルゴリズムのほかに、
トップレベルの情報セキュリティ専門家による、さらに強力なアルゴリズムを提供し
ています。
(6) Peter Gutmann 方式のアルゴリズム
(7) Bruce Schneier 方式のアルゴリズム
この最も強力なAcronis PrivacyExpertのクリーンアップアルゴリズムを使用する
と、最も高度な磁気顕微鏡による技術など、どんな最新の手法を駆使してもディスク
データを修復することはできません!
それほど重要でない場合は、次のような単純で高速なアルゴリズムを使用するこ
ともできます。
Acronis PrivacyExpert
29
(8) 高速
ユーザーデータを含むディスクセクタを、連続する論理 0 および論理 1 で何度も上
書きするという技術に基づいて、アルゴリズムが作られています。その結果、以前に
書き込んだデータは、ランダムデータによって新しく書き換えられます。アルゴリズム
に関する詳細については、「付録 A ハードディスクの消去アルゴリズム」を参照してく
ださい。各アルゴリズムの提供するハードディスクのデータ処理回数や、処理中に書
き込まれる数字の並びについて説明しています(「A.2 Acronis PrivacyExpert に
よって使用されるアルゴリズム」を参照してください)。
30
第 1 章 Acronis PrivacyExpert のインストールと使用方法
第2章 PC の複合クリーンアップ
次に述べる PC の複合クリーンアップ機能を使用することで、PC 作業の形跡が残
る膨大な数のさまざまな Windows コンポーネントをクリーニングできます。
逆に、最近アクセスしたインターネットページといった、個々の Windows のコンポ
ーネントのみをクリーニングする場合は、Acronis PrivacyExpertのセクション項
目のひとつを選択します(第 3 章「個々の PC コンポーネントのクリーンアップ」を
参照してください)。個々のコンポーネントをクリーンアップするほうが、PC の複合
クリーンアップ機能よりも高速に処理できます。
2.1 PC の複合クリーンアップ
PC の使用形跡のクリーンアップを行うには、PC 全体のクリーンアップを選択します。
PC 全体のクリーンアップにより、Acronis PrivacyExpertがアクセスできるすべての
Windows コンポーネントをクリーニングできます。
1. ユーザーの使用形跡に関する Windows のレジストリをクリーニングしま
す。
2. 標準 Windows フォルダから一時ファイルを削除します。
3. PC に接続されているディスク中の指定したファイルを削除します。
4. Windows のごみ箱をクリーニングします。
5. Windows のスワップファイルをクリーニングします。
6. ハードディスクの空き容量をクリーニングします。
7. 最近アクセスしたページおよび最近使ったファイルの一覧をクリーニングし
ます。
8. ネットワークコンピュータや、インターネットの情報といった、接続してい
るディスクの中のファイル検索に関する形跡を削除します。
9. インターネットキャッシュをクリーニングします。
10. Cookie を削除します。
11. ダウンロードしたコンポーネントを削除します。
12. インターネットの履歴や最近アクセスしたページの一覧をクリーニングしま
す。
Acronis PrivacyExpert
31
PC 全体のクリーンアップは、メインウィンドウの右側の項目をマウスでクリックして
実行します(その他の実行方法については、1.4.2 および1.6.6の項目を参照して
ください)。
Acronis PrivacyExpertによる、個々のクリーニングに関する詳細(クリーニングさ
れるファイル、フォルダ、システム、またはレジストリセクションの種類とその方法、お
よびクリーニングされるデータの種類)については、第 3 章「個々の PC コンポーネ
ントのクリーンアップ」を参照してください。
2.2 システムのクリーンアップ
システムセクションから、PC の使用形跡を消去する必要がある場合、システムのクリ
ーンアップを使用します。システムのクリーンアップにより、次の処理が実行されま
す。
1. ユーザーの使用形跡から Windows のレジストリをクリーニングを行いま
す。
2. 標準 Windows フォルダから一時ファイルを削除します。
3. PC に接続されているディスクの中の指定したファイルを削除します。
4. Windows のごみ箱をクリーニングします。
5. Windows のスワップファイルをクリーニングします。
6. ハードディスクの空き容量をクリーニングします。
7. 最近使ったファイルの一覧をクリーニングします。
8. ネットワークコンピュータやインターネットの情報など、接続されているデ
ィスクの中のファイル検索に関する形跡を削除します。
システムのクリーンアップは、メインウィンドウの右側のクリーンアップ機能をマウス
でクリックして実行します(その他の実行方法については、1.6.3および1.6.6を参
照してください)。
Acronis PrivacyExpertによる、個々のクリーニングに関する詳細については、第
3 章「個々の PC コンポーネントのクリーンアップ」を参照してください。
32
第 2 章 PC の複合クリーンアップ
2.3 インターネットのクリーンアップ
インターネット作業の形跡を消去するには、インターネットクリーンアップを使用しま
す。この機能によって次の処理が実行されます。
1. インターネットキャッシュをクリーンアップします。
2. Cookie を削除します。
3. ダウンロードしたコンポーネントを削除します。
4. インターネットの履歴や、最近アクセスしたページの一覧をクリーニングしま
す。
インターネットのクリーンアップは、メインウィンドウの右側の項目をマウスでクリック
して実行します(その他の実行方法については、1.6.3および1.6.6を参照してく
ださい)。
Acronis PrivacyExpertによる、個々のクリーニングに関する詳細については、第
3 章「個々の PC コンポーネントのクリーンアップ」を参照してください。
Acronis PrivacyExpert
33
第3章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
ワンクリッククリーンアップでは、PC の複合クリーンアップ機能を(手動あるいはスケ
ジュールして)実行し、大量のシステムコンポーネントをクリーニングできます。これ
らの機能は、通常の用途を十分カバーできます。
しかし、個々のシステムコンポーネントのクリーニングをすばやく行うには、Acronis
PrivacyExpertのインターネットコンポーネントおよびシステムコンポーネントの項目
を使用します。
個々のコンポーネントのクリーンアップについては、本ユーザーズガイドの第 2 章
で、分かりやすく詳細に説明しています。
特に、個人ユーザーの情報が保存される場所や、保存が必要な理由、個々のコン
ポーネントのクリーンアップが必要な理由(たとえば、スワップファイルに関して)に
ついて説明してあります。
この章からは、Acronis PrivacyExpertの操作内容に興味のある経験豊富な
PC/Windows のユーザー向けに書かれています。
Acronis PrivacyExpertによる、PC および個々のコンポーネントに対するクリー
ンアップ機能の、さまざまな実行方法や設定機能の詳細については、1.6で説明し
ています(1.6.3、1.6.6、1.6.4を参照してください)。各コンポーネントのクリーンア
ップは同じ方法で設定されるため、本章での説明は省き、特別な設定方法につい
てのみ説明します。ご質問については提示されているそれぞれのリンクにてお願
いいたします。
3.1 インターネントコンポーネント
今日、PC のセキュリティに対する脅威のほとんどは、インターネットから発生して
います。このことについては「はじめに」のページや、PC やインターネットのロー
カルな作業形跡を保存しているシステムセクションまたはシステムコンポーネント
の章で簡単に説明しました。ハードディスクドライブのさまざまな場所やファイル
に、ブラウザ、キャッシュ、Cookie、インターネットの履歴、最近アクセスしたペー
ジの一覧が残っています。
34
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
Acronis PrivacyExpertは、次のブラウザで使用、または作成したファイルをサ
ポートし、それらのファイルを自動的に確認します。
•
Internet Explorer
•
Netscape Navigator 4x、6x、7x
•
Mozilla
3.1.1 インターネットキャッシュ
インターネットキャッシュのクリーンアップでは、インターネットのページの閲覧やサ
ーフィン中にダウンロードしたファイルの削除を行います。
ブラウザは、インターネットのサーフィン中に、ハードディスクの特別なフォルダ
に、アクセスしたページ内容(「キャッシュ」)を保存しています。このインターネット
キャッシュのフォルダ内には、ウェブページ(HTML ファイル)や、テキストおよび
画像(JPEG および GIF 画像ファイル)が残ります。ページキャッシュとは、インタ
ーネットへのアクセスおよびインターネットの閲覧のスピードをアップさせるための
ものです。つまり、以前にアクセスしたページに戻るときは、ブラウザはインターネ
ットからページをダウンロードする代わりに、キャッシュに保存されている膨大な数
のページの中から該当するページを画面に表示させます。
Internet Explorer のキャッシュは、Windows 95/98/Me では C:\Windows\Te
mporary Internet Files フォルダ内に、Windows XP では C:\Documents and Se
ttings\<user name>\Local Settings\Temporary Internet Files フォルダ内にあ
ります。
Acronis PrivacyExpert
35
Internet Explorer のキャッシュの内容
注意! キャッシュされたファイルには、「インターネット アドレス」というプロパティが
あり、そのファイルのダウンロード元がわかります。そのため、インターネットキャッ
シュを消去する場合は、[ファイル]の設定ではなく、[アドレス]の設定を行いま
す。すると、特定のアドレスからダウンロードされたファイルを削除できます。([ア
ドレス]の設定を参照してください)。[アドレス]設定の値を入力すると、クリーニン
グするファイルの種類も指定できます!
Netscape Navigator のキャッシュはユーザーが指定するフォルダ内に保存され
ています。Windows XP では、キャッシュはデフォルトのユーザープロフィールフ
ォルダ:C:\Documents and Settings\<user name>\Application Data\Moz
illa\Profiles\<profile name>にあり、フォルダ名は\Cache です。
インターネットのキャッシュが保存されたままだと、自分が興味を持ったウェブサイ
トの情報がすべてキャッシュの中に残っているため、PC の使用における機密性
が損なわれる可能性があります。たとえば不在中に、子供や配偶者、同僚といっ
た人々が、簡単にあなたの家庭用 PC や仕事用 PC にアクセスし、インターネット
キャッシュの内容を閲覧することができ、あなたが先月や先週に、何に興味を持
ったかという情報が分かってしまうわけです。
また、インターネットキャッシュは、オペレーティングシステムの容量の制限を設定
しない限り、ハードディスク内のかなりの容量を占有するようになります。
Windows キャッシュフォルダ内にあるファイルの数やサイズを見れば、驚くほど
多くの容量を使っていることがわかるでしょう。さらに、キャッシュ内には、バナー
広告などガラクタのような大量の画像も保存されています。そのため、大量のイン
ターネットキャッシュを残したままにしておくと、ブラウザ全体のパフォーマンスも
低下することになります。
Acronis PrivacyExpertでは、インターネットキャッシュをクリーニングすることに
より、PC 作業の機密性を維持し、(キャッシュから必要なファイルを見つける時間
が短縮されるため)サイトへのアクセススピードを上げることができます。
36
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
3.1.2 Cookie
Cookie とは、ウェブサイトにアクセスした時にユーザーの PC に作成される小さ
なファイルです。Cookie には、ユーザー名や、ウェブサイトに登録した時に入力
したデータの情報が保存されています。ユーザーが、もう一度サイトにアクセスし
た場合、自分の名前が自動的に表示されたり、あるいは、言語、ページデザイン
のエレメント、またはページ内容といった、自分が以前に選択した設定を適用す
るために使われます。
Acronis PrivacyExpertでは、不要な Cookie を削除できます。また、削除する
Cookie と残しておく Cookie を選択することにより、必要な Cookie だけを保存でき
ます。
どの Cookie が不要で、どの Cookie が機密性を損なう対象となるのでしょうか? イン
ターネットサーフィンの内容や、アクセス順序に関する作業形跡は、Cookie 全体を
通して完全に把握することができるのです。
ネットワーク企業がユーザー情報や、製品の嗜好性について情報を収集している
というスキャンダルが、メディアでよく議論されています。よく知られた事例として、
A.S.A.P. Investigations、Dig Dirt、Infoseekers といった企業が、ユーザーの
経歴、銀行口座、電話番号、所有財産、健康状態、または実際の社会保障番号
と い っ た 個 人 情 報 を 、 た っ た 100 ド ル で 企 業 に 提 供 し て い ま す 。 ( 参 照 :
http://www.pcmag.com/article/0,2997, a=2443,00.asp Matthew Graven
著「Leave Me Alone」PC マガジン、2001 年 1 月 16 日)
Internet Explorer が デ フ ォ ル ト ブ ラ ウ ザ の 場 合 、 Cookie は 、 Windows
95/98/Me では C:\Windows\Cookies フォルダ内に、Windows NT/2000/XP
では、С:\Documents and Settings\<user name>\Cookies フォルダ内にありま
す。
Windows XP の Cookie フォルダの内容
Netscape Navigator がデフォルトブラウザの場合、Cookie は、ユーザープロフ
ィールフォルダ内の cookies.txt ファイルとして保存されており、デフォルト設定で
Acronis PrivacyExpert
37
は、C:\Documents and Settings\<user name>\Application Data\Mozilla
\Profiles\<profile name> の中にあります。
次のようにすれば、選択した Cookie を保護し、それ以外の Cookie を削除できま
す。
1.
[インターネットクリーンアップ]グループから[Cookie]を選択します。
2.
[Cookie のプロテクト]を選択します。PC あるいは個々のコンポーネントの
クリーンアップ完了後も保存しておきたい Cookie の横のボックスにチェッ
クマークを入れます。
完全に PC のクリーニングが完了すると、Acronis PrivacyExpertは、プロテク
トする Cookie 以外の Cookie を消去します。
[Cookie のプロテクト]の設定
3.1.3 ダウンロードされたコンポーネント
このユーザーズガイドで、ダウンロードされたコンポーネントとは、ActiveX のオブジェ
クトのことを意味します。これらのオブジェクトは、さまざまなサイトにアクセスした時
に、ユーザーが知らないうちに PC にインストールされてしまいます。
38
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
ActiveX のオブジェクトにより、静止画ではなく、動画のウェブページを見ることが
できるようになりました。そして、インターネット上でのビデオやアニメーションの鑑
賞や、複雑なコントロールおよびメニューの操作が可能となり、さらに、さまざまな
複雑な方式を使って、ユーザーはウェブサイトとの双方向通信を行うことがでるよ
うになります。
ActiveX のオブジェクトによる脅威としては、その機能の悪用が考えられます。
ActiveX のオブジェクトを使用して、作成者は PC リソースにアクセスすることがで
きます。ActiveX のオブジェクトは、パスワードで ISP サイトへアクセスすることによ
って、ハードディスクの検索、ディスクの中のファイルやフォルダの破損または削
除、あるいはディスクの初期化など、さまざまな方法でコンピュータの不具合を引き
起こすために使用される可能性があります。
ダウンロードされた ActiveX コンポーネントのクリーンアップを行うことによって、
悪用される可能性があるオブジェクトを削除できます。たまたま悪質なサイトから
ActiveX の オ ブ ジ ェ ク ト を ダ ウ ン ロ ー ド し て し ま っ た 場 合 な ど は 、 Acronis
PrivacyExpertでハードディスクからそのオブジェクトを削除しましょう。
インターネットへアクセスする際に、適切なセキュリティレベルの設定を行うことに
より、ある程度 ActiveX のオブジェクトのダウンロードを制限できます。しかし、す
べての ActiveX のオブジェクトを制限することはほとんど不可能です。
インストールされたダウンロードコンポーネントを制御するには、
1.
設定エディタから、ダウンロードしたコンポーネントのクリーンアップを選択しま
す。
2.
[コンポーネントのプロテクト]を選択し、PC に保存(プロテクト)するコンポー
ネントの横のボックスにチェックを入れます。
PC をクリーニングするときに、Acronis PrivacyExpertは、プロテクトされたコンポ
ーネント以外のすべてのダウンロードされたコンポーネントを消去して、疑わしいも
のを削除します。
Acronis PrivacyExpert
39
[コンポーネントのプロテクト]の設定
3.1.4 最近アクセスしたページ
最近アクセスしたページのクリーニングは、選択したブラウザ用の個々のインターネ
ットアドレス一覧を、[アドレス]の値に応じて削除します。
Internet Explorer では、ウェブサイトにすばやくアクセスできるように、アクセスし
たことのあるアドレスの一覧やそれまでの履歴を表示するようになっています。
40
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
Internet Explorer で最近アクセスしたアドレス
Internet Explorer では、ユーザーがアドレスフィールドにアドレスを入力した
か、既に開いているページのリンクをマウスでクリックしたかによって、ページが分
類保存されています。最近アクセスしたページは、レジストリに保存されることもあ
れば、C:\Documents and Settings\<user name>\Local Settings\History
\History.IE5 (Windows XP の場合)フォルダ内に保存されることもあります。ま
た、Windows エクスプローラで表示したシステムファイルやフォルダについても、
先週、月曜日、火曜日、今日などのフォルダに保存されています。
Internet Explorer の履歴フォルダ
これらのフォルダの中には、index.dat というファイルも含まれています。このファイ
ルの内容は、cnn(www.cnn.com)のように、アクセスしたサイトの名前と URL が
付いたフォルダとして表示されます。
Acronis PrivacyExpert
41
Internet Explorer の履歴フォルダおよびアクセスしたページアドレス
Netscape Navigator(Mozilla)でも、よく似た形式のリストが、ブラウザのフォル
ダ内に保存されています。
Acronis PrivacyExpertはアクセスしたインターネットアドレスのすべてをクリーニ
ングします。アドレスを直接入力してアクセスしたか、クリックによってアクセスした
かどうかは関係ありません。
ウェブサイトのアドレスは、スタートメニューの中の[ファイル名を指定して実行]の名
前フィールドに入力することができます。このウィンドウで OK をクリックすると、デ
フォルトのブラウザにアドレス入力されて、そのサイトが開きます。最近アクセスし
たページのクリーンアップによって、[ファイル名を指定して実行]の一覧も消去され
ます。
[ファイル名を指定して実行]に表示されるインターネットアドレス
[ファイル名を指定して実行]の一覧のクリーンアップでは、インターネットアドレスの
削除(「3.2.10 Windows 実行プログラムの一覧」を参照してください)は行われ
ず、実行したプログラムおよび開いたファイルの名前の削除を行います。
42
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
3.2 システムコンポーネント
システムクリーンアップの項目では、一般的なシステムタスクに関連するコンポーネ
ント(フォルダ、ファイル、レジストリセクションなど)のクリーニングを行うことができ
ます。これらの Windows コンポーネントには、ユーザーの PC での作業形跡が
保存されるため、機密性を損なわないためにも完全に削除する必要があります。
3.2.1 ページングファイル/スワップファイル
スワップファイルをクリーンアップすると、PC の使用やインターネット作業に関する
すべての形跡を消去することができます。
Windows のスワップファイルとは、アプリケーションの動作に RAM が不足して
いる場合、追加メモリとして Windows が使用するハードディスク上のファイル(た
と え ば 、 Windows95/98/Me で は C:\win386.swp 、 あ る い は Windows
NT/2000/XP では C:\pagefile.sys)のことです。
スワップファイルには、気づかないうちにハードディスク上の機密性の高いデータ
が残っていることがあります。たとえば、ユーザーが Internet Explorer のペー
ジをたくさん開きすぎているときに、その 1 つに自分の個人情報を入力したとしま
す。その後、ほかの Internet Explorer のウィンドウに切り替えたとき、メモリが足
りなくなると、以前のウィンドウの内容がスワップファイルに保存されます。ユーザ
ーがブラウザを終了したとしても、個人データがスワップファイルに残っている可
能性は非常に高いのです。
Windows 95/98/Me でスワップファイルのクリーンアップが完了した後、Acronis
PrivacyExpertでは PC の再起動が必要です。スワップファイルのクリーンアップ
は、システムの起動前に行われます。Windows NT/2000/XP では再起動後にこ
のファイルが削除されます。
3.2.2 ごみ箱
ごみ箱のクリーンアップでは、[ファイル]の値に応じてトレースファイルが消去されま
す。
Windows のごみ箱は、誤って捨ててしまったファイルをいつでも拾い出すことが
できるようになっています。つまり、ごみ箱の中のファイルに重要な情報が含まれ
ていた場合に、機密性を損なう可能性があるわけです。
Acronis PrivacyExpert
43
デスクトップのアイコンとして、またはエクスプローラのフォルダとして表示される
Windows のごみ箱の実体は、論理ディスク上に存在する複数のシステムフォル
ダです。Acronis PrivacyExpertでは、システムフォルダのすべてを完全にクリ
ーニングします。
3.2.3 一時ファイル
一時ファイルのクリーンアップを行うことによって、システムフォルダから一時ファイル
を完全に消去することができます。[ファイル]の値に応じて削除するファイルの種
類や名前を指定することができます。
Windows では 、 通 常、 C:\Windows\Temp あ る い は D:\Documents and
Settings\<user name>\Local Settings\Temp フォルダといった専用のフォル
ダに一時ファイルを保存しています。
この場合、一時ファイル用のフォルダとは、temp 環境変数に設定されたフォルダ
のことをいいます。これは、Windows の set コマンドによって設定することがで
きます。コマンド行に set temp と入力することによって temp に設定されてい
る値を確認することができます。たとえば Windows XP では、D:\Documents
and Settings\<user name>\Local Settings\Temp といった文字列が表示さ
れます。
一時ファイルの種類は、たいてい拡張子によって決まっています。たとえば、次のよ
うな拡張子が一時ファイルです。
•
*.bak、*.old–バックアップコピー
•
*.gid–Windows ヘルプを開いた時に作成される一時ファイル
•
*.chk–ディスク内の位置が不明のクラスタのチェックが行われている間
に作成されたファイル
•
*.tmp、*.$*、*.~*、*.---、~*.*さまざまなプログラムによって作
成されたその他の一時ファイル
上記に挙げた拡張子は、ほんの一例です。ほかにも数多くあります。
44
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
一時ファイルのクリーンアップのほかにも、Acronis PrivacyExpertでは、ユーザ
ーフォルダやファイル(詳細については後述します)のクリーンアップをすることがで
きます。[ファイル]の値に応じて、接続されているすべてのディスクのフォルダから
一時ファイルをすべて削除できます。
一時ファイルのクリーンアップの設定で、[ファイル]の値に*.*を指定すると、一時
ファイル用のフォルダの中のすべてのファイルを消去することができます。
3.2.4 ハードディスクの空きスペース
ディスクの空きスペースのクリーンアップでは、ハードディスクの空きスペースセクタ
に残っているデータの痕跡をすべて消去します。
ディスクの空きスペースには、たいてい、Windows の管理下におかれた情報や
データの一部が残っています。
Windows がファイルを消去したとき、実際にはデータが消去されたわけではありま
せん。ファイルアロケーションテーブル(FAT)の中で、Windows では使用できな
い文字にファイル名を置き換えるだけです。ファイルデータの一連のクラスタは空
き領域として認識されますが、データそのものはハードディスクセクタからは消去
されておらず、ファイルはユーザーから見えなくなっているだけです。実際、削除
された Windows ファイルは比較的簡単に修復することができますし、DOS や
Windows 用に、そのためのプログラムがたくさん存在します。
フォーマットやパーティションの削除もハードディスクセクタからデータそのものを
消去するわけではありません。必要ならばそういった残っているデータを直接読
み取ることは可能です。
ディスクの空きスペースの全セクタごとにクリーンアップする作業は、PC の機密性
を維持するためにも非常に重要です。20~40GB のハードディスクドライブともな
ると、クリーニングにはかなりの時間がかかりますが、プライバシーとデータの機密
を守ることが何よりも重要であることをご理解ください。
3.2.5 カスタムフォルダ/ファイル
カスタムフォルダ/ファイルのクリーンアップによって、選択したフォルダからファイルを
完全に消去することができます。
Windows によるファイルの削除は完全といえません。Windows によって削除され
たファイルは常に修復される可能性があるのです。
Acronis PrivacyExpert
45
Windows とは異なり、Acronis PrivacyExpertでは特別なアルゴリズムによっ
て、指定したフォルダからユーザーファイルを完全に消去し、修復不可能な状態
にします([データ消去アルゴリズム]および、「1.7 データクリーンアップのアルゴ
リズム」を参照してください)。
ユーザーファイルを削除するには、Acronis PrivacyExpertではデータ消去ア
ルゴリズムの選択、および[ファイル]の値やクリーニングを行うユーザーフォルダ一
覧を指定することができます。
Acronis PrivacyExpertによってクリーニングを行うフォルダおよびファイルの一覧を選択
するには
1.
カスタムフォルダ/ファイルを選択します。
2.
[フォルダ/ファイル]の設定を選択した後、右側のウィンドウの 追加 をクリック
し、消去するフォルダおよびファイルを追加します。
注意! 慎重に実行してください– 選択したフォルダは完全に消去されます! すべて
のファイルは破壊され、修復することはできません!
46
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
3.2.6 レジストリのバックアップ
Windows 95/98/Me のオペレーティングシステムでは、PC の使用やインターネ
ット作業の履歴を記録したレジストリバックアップが作成されます。
レジストリバックアップのコピーのクリーンアップによって、レジストリファイルのバック
アップコピーを消去することができます。もちろん、単にファイルを削除するだけで
はなく、指定した消去アルゴリズムによってハードディスククラスタ(セクタ)ごとに
完全に消去します。
Windows 95/98/Me のレジストリファイルとは、C:\WINDOWS フォルダの中に
ある system.dat および user.dat のことです。Windows Millenium のレジスト
リファイルとして、classes.dat もあります。レジストリファイルのバックアップコピーは、
C:\WINDOWS\SYSBCKUP フ ォ ル ダ の 中 の ア ー カ イ ブ フ ァ イ ル rb<file
number>.cab に保存されています(「rb」は「registry back-up」を意味します)。
Windows を起動するときに、システムのレジストリファイルのバックアップコピーが
作成されます。そのため、最近アクセスしたページの一覧やファイル、コンピュー
タの検索一覧などのユーザーデータは、レジストリだけでなく、バックアップコピー
にも保存されてしまいます。
Acronis PrivacyExpertによって、レジストリに保存されているユーザーデータの
クリーンアップすれば、次に PC を再起動したときは、PC の使用の形跡を残さず
に自動的にバックアップコピーを作成します。
レジストリのクリーニングを行っただけで PC の電源を切った場合、PC の使用の形
跡を保存している古いバックアップコピーが残ってしまいます。そのため、PC の
使用の機密性を完全に維持するには、レジストリバックアップのコピーのクリーニ
ングも行う必要があるのです。
Acronis PrivacyExpertによるほかのコンポーネントのクリーニングとは異なり、レ
ジストリのバックアップコピーのクリーンアップを行う場合は、データ消去保証アルゴ
リズムを使用して、レジストリキーだけでなく、レジストリファイルのすべてのバック
アップコピーを削除します(「1.7 データクリーンアップのアルゴリズム」を参照して
ください)。ほかのコンポーネントのクリーンアップ機能を使ってレジストリのクリー
ンアップを行った場合でも、ユーザーの PC の使用形跡がレジストリファイルの新
しいバックアップコピーからクリーニングされます。
Acronis PrivacyExpert
47
Windows 95/98/Me では、レジストリファイルのすべてのバックアップコピーがクリ
ーニングされます!
Windows 95/98/Me のレジストリファイルのバックアップコピーのクリーンアッ
プ
3.2.7 検索コンピュータの一覧
検索コンピュータの一覧のクリーンアップによって、Windows のレジストリから一覧
を削除します。検索文字列にはドメイン名付きの完全なコンピュータ名を入れるこ
とも、コンピュータ名の一部を入れることもできます。
48
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
レジストリに保存されている検索コンピュータの一覧の文字列
Windows エクスプローラには、さまざまなファイルシステムに対するナビゲーショ
ン機能があり、ネットワーク上のコンピュータの検索や、内蔵ディスクまたは外付け
ディスクにあるファイルやフォルダの検索機能もサポートしています。このため、エ
クスプローラでの作業によってさまざまな痕跡がハードディスクに残ってしまい、
機密性が損なわれる可能性があります。
3.2.8 検索ファイルの一覧
検索ファイルの一覧のクリーンアップによって、Windows のレジストリからファイル
検索の一覧が消去されます。検索文字列はパスを含む完全なファイル名を入れ
ることも、ファイル名の一部を入れることもできます。
Acronis PrivacyExpert
49
レジストリに保存されている検索ファイルの一覧の文字列
ほとんどの場合、[ファイル]の値を*.*と指定するだけで、検索ファイルの一覧を
完全に消去することができます。
50
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
3.2.9 最近使ったファイルの一覧
最近使ったファイルの一覧のクリーンアップによって、最近、ユーザーが PC での作
業に使用したドキュメントの一覧を削除することができます。
スタートメニューから最近使ったファイルを選択すると、たとえば文書や画像、
Excel のデータや MP3 または WAV のサウンドファイルなど、Windows 上で最
近使用されたファイルが一覧表示されます。
プライバシー保護のためにも、常に、最近使用したファイルの一覧は削除してお
きたいものです。
スタートメニューの最近使ったファイルの一覧
Acronis PrivacyExpert
51
3.2.10 Windows 実行プログラムの一覧
Windows 実行プログラムの一覧のクリーンアップによって、スタートメニューの、ファ
イル名を指定して実行から実行したファイルの一覧を削除することができます。
Windows のファイル名を指定して実行の名前フィールドには、(アクセスしたインタ
ーネットのページとともに)、今までに実行したプログラムや開いたファイルおよび
フォルダの名前が一覧表示されます。
Windows の実行プログラムの一覧
スタートメニューから[ファイル名を指定して実行]を選択すると、同じ名前のウィンド
ウが開きます。名前フィールドには、ファイル名、フォルダ名、ネットワークフォルダ
名、またはインターネットアドレスを入力できます。 OK をクリックすることで、プログ
ラム(アプリケーション)を実行したり、ファイルを開いたり、選択したサイトに接続し
たりします。このとき、名前フィールドに今までの履歴が表示されることからもわかる
よ う に 、 Windows に は こ れ ら の 作 業 の 履 歴 が 残 っ て し ま い ま す 。 Acronis
PrivacyExpertによって、ユーザーがアクセスしたファイル名やフォルダ名を完全
に消去することができます。
ユーザーがファイル名を指定して実行に入力したインターネットアドレスの一覧は、
このクリーンアップでは削除されません! 最近アクセスしたページのクリーンアップに
よって削除されます。(「3.1.4 最近アクセスしたページ」を参照してください)
52
第 3 章 個々の PC コンポーネントのクリーンアップ
3.2.11 オープン/保存ファイルの履歴
Windows オペレーティングシステムでは、ファイルのオープン/保存をするため
の標準のダイアログボックスが用意されています。ノートパッドやペイントなどの標
準 Windows アプリケーションから、[開く]、[保存]、あるいは[名前を付けて保存...]
を選択すると表示されます。どのオフィスアプリケーションでも似たようなダイアロ
グボックスを用意しています。
Windows の開く(保存、名前を付けて保存...)ウィンドウ
アプリケーションファイル(ワード、エクセルなど)やフォルダへのアクセスに関する
全情報は、D:\Documents and Settings\<user name>\最近使ったファイル、
というフォルダの中にリンクの形で保存されています。これらのリンクにはファイル
名やフォルダ名はもちろんのこと、作成および修正日の情報なども含まれている
ので、ファイル自身を削除したとしても、「最近使ったファイル」フォルダを見れ
ば、最近使ったファイルに関する情報を知ることができるのです。PC の作業の機
密性を維持するためには、開いたり保存したりしたファイルの履歴はクリーニング
する必要があります。
PC のクリーンアップを行う際、Acronis PrivacyExpertでは、[ファイル]の値に
応じて、開いたり保存したりしたファイルの履歴も消去することができます。
Acronis PrivacyExpert
53
付録A
付録 ハードディスクの消去アルゴリズム
ハードディスクドライブから、セキュリティ上の措置を講じないで削除した(たとえ
ば、Windows 上で削除しただけの)情報は、簡単に修復することができます。特
殊な機器を使用すれば、何度も上書きされた情報を修復することも可能です。そ
のため、データの完全な消去を保証する技術が不可欠になっています。
磁気媒体(つまり、ハードディスクドライブ)の情報の消去を保証するということは、こ
の分野の専門家が一般的なツールや修復手法を用いても、データの復元が不
可能であることを意味しています。
この問題をくわしく説明すると次のようになります。データとは 1 と 0(イチとゼロ)と
いう 2 進数の連続としてハードディスクに記録され、それぞれの数値は磁気ディ
スク上で異なった磁化の形態で表現されています。
一般的に、ハードディスクに 1 と書き込まれた場合、ディスク装置によって 1 と読
み出され、0 と書き込まれた場合は、0 と読み出されます。しかし、0 の上に 1 と書
き込まれた場合、読み出された値はたとえば 0.95 になり、その逆も同様で、1 の
上に 1 と書き込まれた場合、結果は 1.05 となります。ここで発生するわずかな値
の差は、ディスク装置にとってはまったく無意味ですが、特殊な機器を使用する
と、1 と 0 の間に「潜む」値の連続性を簡単に読み取ることができるのです。
特殊なソフトウェアと比較的安価なハードウェアを使えば、このようにしてハードデ
ィスクセクタの磁化の状態やトラックの両端に残留している磁気の詳細を分析した
り、磁気顕微鏡を使って削除されたデータを読み出したりすることが可能なので
す。
磁気媒体に書き込むことにより、次のような非常にかすかな現象が生じます。つま
り、磁気ディスクのすべてのトラックには、今まで記録した値のすべてのイメージが残
ってしまうのです時間がたつにつれてこれらの記録(磁気層)は弱くなっていきま
す。
54
付録 A ハードディスクの消去アルゴリズム
A.1 消去アルゴリズムの機能原理に関する情報
ハードディスクから情報を物理的に完全に消去するには、すべての磁気領域 1
つ 1 つに対して、特別に選び出した 1 と 0 の並び(サンプルデータ)をできるだ
け多く書き込み、磁気の状態を何回も切り替えます。
一般的なハードディスクの論理データエンコーディング方法を利用すれば、セク
ターに書き込まれる記号(または最小単位のデータ)の並びのサンプルを厳選し
て、継続的かつ効果的に機密情報を消去することができます。
国家規格で提唱されたアルゴリズムでは、ランダムな記号をディスクセクタに対し
て(1 回または 3 回)記録します。これは単純で確実性に欠ける方法ですが、そ
れほど重大ではない状況では効果的です。最も有効な情報消去のアルゴリズム
は、あらゆるタイプのハードディスクで記録されたデータの、かすかな特徴を詳細
に分析することを基本としています。このような事情により、情報の消去を保証する
には複雑な多数回処理するアルゴリズムが必要となります。
情報の消去を保証する技術に関する具体的な理論は、Peter Gutmann 氏によ
る論文で紹介されています。このサイトを参照してください。
http://www.cs.auckland.ac.nz/~pgut001/pubs/secure_del.html.
A.2 Acronis PrivacyExpertによって使用されるアルゴリズム
次の表では、Acronis PrivacyExpertが使用している消去アルゴリズムの内容に
ついて簡単に説明しています。それぞれ、各セクタに書き込む数字(バイト単位)
と、ハードディスクセクタのデータ処理回数を表しています。
使用している情報消去アルゴリズムに関する説明
NN
1.
アルゴリズム(書き
込み方式)
データ処
理回数
アメリカ式:DoD
5220.22-M
4
情報
1 回目–各セクタのバイトごとにランダ
ムに選んだ記号。2 回目–1 回目に書
き込んだ数の補数。3 回目–再度、ラ
ンダムな記号。4 回目–書き込みの確
認。
Acronis PrivacyExpert
55
NN
アルゴリズム(書き
込み方式)
データ処
理回数
アメリカ式:
NAVSO P-523926 (RLL)
4
2.
1 回目–全セクタに対して 0x01。2 回
目–0x27FFFFFF。3 回目–ランダム
な記号の並び。4 回目–確認。
アメリカ式:
NAVSO P-523926 (MFM)
4
3.
1 回目–全セクタに対し 0x01。2 回
目–0x7FFFFFFF。3 回目–ランダム
な記号の並び。4 回目–確認
ドイツ式:VSITR
7
1~6 回目–0x00 と 0xFF を交互に。
7 回目–0xAA。
すなわち 0x00、0xFF、0x00、
0xFF、0x00、0xFF、0xAA。
ロシア式:GOST
P50739-95
1
第 6~第 4 セキュリティレベルのシス
テムの場合、各セクタのバイトごとに論
理ゼロ(0x00)。
4.
情報
5.
第 3~第 1 セキュリティレベルのシス
テムの場合、各セクタのバイトごとにラ
ンダムな記号(数字)。
P. Gutmann 式
アルゴリズム
35
高度に洗練されたアルゴリズムである
Peter Gutmann 氏のハードディスク
情報消去理論に基づく
(http://www.cs.auckland.ac.nz/~p
gut001/pubs/secure_del.htmlを参
照してください)。
B. Schneier 式ア
ルゴリズム
7
Bruce Schneier 氏は、応用暗号法
に関する著書の中で、7 回上書きする
アルゴリズムを提唱している。
1 回目–0xFF。2 回目–0x00。残り 5
回は、暗号論的に安全な擬似ランダ
ムデータを上書き。
6.
7.
56
付録 A ハードディスクの消去アルゴリズム
NN
8.
アルゴリズム(書き
込み方式)
データ処
理回数
高速アルゴリズム
1
情報
全セクタに対して論理ゼロ(0x00)で
消去。
Acronis PrivacyExpert
57
Acronis MigrateEasy
ユーザーズガイド
Copyright © SWsoft, 2000-2002
Copyright © SWsoft, 2000-2002. All rights reserved.
Linux は Linus Torvalds 氏の登録商標です。
OS/2 は IBM Corporation の登録商標です。
Windows は Microsoft Corporation の登録商標です。
ユーザーズガイドに掲載されている商標や著作権は、すべてそれぞれ各社に所
有権があります。
著作権者の明示的許可なく本書ユーザーズガイドを修正したものを販売すること
は禁じられています。
著作権者の事前の許可がない限り、商用目的で書籍の体裁をとる作品または派
生的作品を販売させることは禁じられています。
本書は現状のまま使用されることを前提としており、商品性の黙示の保証および
特定目的適合性または非違反性の保証など、すべての明示的もしくは黙示的条
件、表示および保証を一切行いません。ただし、この免責条項が法的に無効とさ
れる場合はこの限りではありません。
目次
はじめに ...................................................................................... 5
第1章
移行の準備 .................................................................... 7
1.1
1.2
1.3
ハードディスクのパーティションとファイルシステム....................... 7
コンピュータへのハードディスクの設置....................................... 8
BIOS のセットアップ................................................................. 9
第2章
Acronis MigrateEasy のインストールと
ご使用にあたって.......................................................... 10
2.1
2.2
2.3
2.4
2.5
2.6
2.7
2.8
2.8.1
2.8.2
Acronis MigrateEasy のパッケージ ...................................... 10
必要なシステム....................................................................... 10
インストール ........................................................................... 11
Acronis MigrateEasy の修復とアップグレード ....................... 12
ソフトウェアの削除 .................................................................. 12
ユーザーインターフェイス........................................................ 12
Acronis MigrateEasy の操作の開始..................................... 13
移行シナリオ .......................................................................... 15
自動アップグレード................................................................. 15
手動アップグレード................................................................. 16
第3章
自動アップグレード ....................................................... 17
3.1
3.2
3.3
3.4
3.5
移行元ハードディスクの選択 ................................................... 18
移行先ハードディスクの選択 ................................................... 19
移行先ハードディスクが空でない場合 ..................................... 20
アップグレードシナリオウィンドウ .............................................. 22
安全性................................................................................... 23
第4章
手動アップグレード ....................................................... 24
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
4.6
4.7
ハードディスクを起動用にする................................................. 25
移行先ハードディスクの選択 ................................................... 27
元のハードディスクの処置....................................................... 29
パーティションのサイズと位置.................................................. 38
パーティションラベル .............................................................. 40
アップグレードのシナリオ ........................................................ 42
追加のデータストレージとしてのハードディスクのインストール....... 43
Acronis MigrateEasy
3
付録 A
A.1
A.1.1
A.1.2
A.1.3
A.2
A.2.1
A.2.2
A.2.3
A.2.4
A.2.5
付録 B
B.1
B.2
B.2.1
B.2.2
B.2.3
B.2.4
B.2.5
B.2.6
4
目次
ハードディスクと BIOS のセットアップ............................. 48
コンピュータへのハードディスクの設置 .....................................48
一般的なハードディスクの設置方法 .........................................48
マザーボードのソケット、IDE ケーブル、および電源ケーブル....49
設置モードとジャンパ ..............................................................51
BIOS.....................................................................................52
セットアップユーティリティ ........................................................53
Standard CMOS Setup メニュー ...........................................54
起動シーケンスの調整 - Advanced CMOS Setup メニュー ...55
AwardBIOS..........................................................................57
ハードディスクの初期化エラー .................................................63
パーティションとファイルシステム................................... 64
ハードディスクのパーティション ................................................64
ファイルシステム .....................................................................65
FAT16...................................................................................65
FAT32...................................................................................66
NTFS ....................................................................................67
Linux Ext2 ...........................................................................67
Linux Ext3 ...........................................................................67
Linux ReiserFS ....................................................................67
はじめに
短時間でできるハードディスクドライブのアップグレード
ついにそのときが来ました。今こそ、これまで先延ばしにしていた新しいハード
ディスクドライブへのアップグレードを実行に移すときです。大半の人は、アップグ
レードに積極的ではありません。これは、単調な作業が何日も続く、大規模なプロ
ジェクトになると思えるからです。その可能性はあります。助けがなければなおの
こ と で す 。 し か し 、 幸 い に も あ な た に は Acronis MigrateEasy が あ り ま す 。
Acronis MigrateEasyは、いくつかの賞に輝く優秀なソリューションであり、オペ
レーティングシステムとアプリケーションの実行状態をまったく損なわずにコン
ピュータ上のすべてのデータを新しいハードディスクドライブに短時間で移行す
ることができます。MigrateEasyを使用すれば短時間でアップグレードを完了で
きるのですから、これを使わずに何日も費やす手はありません。
かつてないほど簡単で安全なアップグレード手順
Acronis MigrateEasyを使用すれば、専門知識がなくても新しいハードディスク
ドライブへのアップグレードを行うことができます。ユーザーはメッセージが表示さ
れた所でいくつかの選択を行うだけで、その他の作業はすべてMigrateEasyが
自動的に行います。移行のプレビューも参照できるため、移行が意図したとおり
に行われることを事前に確認できます。アプリケーションとオペレーティングシステ
ムを含め、データは短時間で新しいハードディスクドライブに安全に移行され、移
行後すぐに使用できます。
ガイドの使用について
ガイドの必要な部分を適宜参照するには、新しいハードディスクをインストールす
る目的を明確に理解する必要があります。目的として考えられるのは、基本的に
は次の 2 点です。
Acronis MigrateEasy
5
1. 新しいハードディスクを起動用ディスクとしてインストールし、元のハードディ
スクからインストールしたハードディスクにすべての情報を転送する。
この作業はすべて自動モードで実行できます。第 3 章「自動アップグレード」
を参照してください。
元のハードディスクからのデータの削除やパーティション再作成など、その他
のインストール機能を考慮に入れる必要がある場合は、手動モードを使用す
る必要があります。第 4 章「手動アップグレード」を参照してください。
2. 新しいハードディスクを追加のデータストレージとしてインストールする。これ
は手動アップグレードモードでしか行えません。4.7「追加のデータストレージ
としてのハードディスクのインストール」を参照してください。
ソフトウェアの使用条件
Acronis MigrateEasyソフトウェアの使用条件は、パッケージに含まれる「使用
許諾契約書」に規定されています。同封の登録カードは、お客様がAcronis
MigrateEasyを正規に購入され、お客様のシステム上で使用されることを確認
するものです。登録カードには、固有の登録番号が付いています。
このソフトウェアを違法に使用または頒布した場合は起訴の対象となります。
テクニカルサポート
正規にAcronis MigrateEasyを購入し、登録していただいたお客様には、テク
ニカルサポートを無償で提供しています。インストールやご使用に際し、本書また
は README ファイルを参照しても解決できない問題が発生した場合は、弊社
のサポート Web サイトをご覧いただくか、下記のアドレスの弊社のサポート部門
に電子メールをお送りください。その際Acronis MigrateEasyの製品シリアルも
お知らせください。製品シリアルは、製品に同梱されている登録カードに記載され
ています。
サポート URL:http://www.proton.co.jp/support/personal/
電子メール:[email protected]
6
はじめに
第1章 移行の準備
Acronis MigrateEasyを効果的に使用するには、ハードディスクに関する最低
限の基本的な知識を持ち、コンピュータとハードディスクとの間の働きを知ってお
く必要があります。ここでは、最も重要な情報のみを紹介します。ハードディスクの
内部構造の技術的な詳細については説明しません。
このアプリケーションがハードディスクに対してどのような処理を行うかをより詳しく
理解するには、このガイドの最後にある付録を参照してください。これらの付録に
は、ハードディスクの機構およびハードディスクへのデータの格納方法に関する
情報が記載されています。
1.1 ハードディスクのパーティションとファイルシステム
ハードディスク全体を 1 つの単位としてアクセスする以外に手段がないと、非常
に不便です。そこで、ハードディスクをいくつかの部分に分割して、さまざまな種
類のデータやオペレーティングシステムを格納する仕組みが考案されました。こ
れは、ハードディスクをパーティションに分割することによって実現されます。
オペレーティングシステムは、パーティション上に何らかの種類のファイルシステ
ムをサポートします。これによって、ユーザーはデータを扱うことができるようにな
ります。ほとんどのオペレーティングシステムは、いくつかのファイルシステムをサ
ポートします。たとえば、Windows 98/Me は FAT16 および FAT32 をサポート
し、Windows NT/2000/XP は FAT16/32 と NTFS の両方をサポートします。
Linux は、Ext2、Ext3、および ReiserFS と、その他の数種類のファイルシステ
ムをサポートします。
Acronis MigrateEasy
7
Acronis MigrateEasyは、ハードディスクおよびそのハードディスク上のパー
ティションのみを操作します。これは次のことを意味します。
1. MigrateEasyの操作中はファイルもフォルダも表示されず、ハードディスク、
パーティション、および両方のプロパティ(ディスク番号、ドライブ文字、容量と
サイズなど)のみが表示されます。
2. すべてのデータを新しいハードディスクに移動する場合、MigrateEasyは
ファイルとフォルダではなく、より基本的なディスク構造の要素を操作します。
ハードディスクのパーティションと、それらをオペレーティングシステムが使用する
方法の詳細については、付録 B「パーティションとファイルシステム」を参照してく
ださい。
1.2 コンピュータへのハードディスクの設置
コンピュータのディスクサブシステムをアップグレードするには、PC ケースに新し
いハードディスクを取り付け、それを電源供給ブロックおよびマザーボードに接続
する必要があります。
ハードディスクを取り付けて固定する前に、電源およびデータケーブルの接続先
であるディスクボードの特別なコネクタにジャンパを取り付ける必要があります。
元のハードディスク上のジャンパは通常、マスタ位置に取り付けられています。
ハードディスクをアップグレードするには、まず新しいハードディスクをスレーブと
して設置する必要があります。その後、ハードディスクの使用方法に応じてジャン
パを適切な位置に設定します。ハードディスクが起動用ディスクである場合はマ
スタ、ハードディスクが単なる付加的なストレージである場合はスレーブにします。
PC ケースへのハードディスクの取り付けと接続の詳細については、A.1「コンピュ
ータへのハードディスクの設置」を参照してください。
8
第 1 章 移行の準備
1.3 BIOS のセットアップ
ハードディスク上のジャンパを適切な位置に設定し、電源およびデータケーブル
に 接 続 す る だ け で は 充 分 で は あ り ま せ ん 。 BIOS ( Basic Input/Output
System)でハードディスクを正しく構成する必要もあります。
コンピュータの電源投入直後に画面に表示されるキーの組み合わせを押すと、
BIOS セットアッププログラムを起動できます。
ハードディスクは、BIOS セットアップメニューの Standard CMOS Setup セク
ションで構成できます。ハードディスクのジャンパをスレーブに設定してデータ
ケーブルをマザーボードのプライマリ IDE プラグに接続した場合、通常は、プラ
イマリスレーブディスクの TYPE パラメータと MODE パラメータを「Auto」に設定
すれば充分です。この情報があれば、BIOS が正しく最新のハードディスクを検
出して構成できます。
BIOS で新しいディスクを構成した後、設定を保存します。
BIOS のセットアップ、およびセットアップ中に発生する可能性があるエラーの詳
細とエラーメッセージについては、A.2「BIOS」を参照してください。
Acronis MigrateEasy
9
第2章 Acronis MigrateEasyのインストールとご
使用にあたって
2.1 Acronis MigrateEasyのパッケージ
Acronis MigrateEasyのパッケージには、次のものが含まれます。
• インストールディスク 1 枚
• ユーザーズガイド(本書)
• 補足説明書
• 登録カード
2.2 必要なシステム
Acronis MigrateEasyを充分に活用するには、次のものが必要です。
• Pentium CPU または同等の CPU を搭載した PC / A T 互換のコン
ピュータ
• 32MB の RAM
• フロッピーディスクドライブまたは CD-RW ドライブ
• VGA モニタ
• マウス(推奨)
10
第 2 章 Acronis MigrateEasy のインストールとご使用にあたって
2.3 インストール
Acronis MigrateEasyをインストールするには、次の作業を行います。
1. Acronis MigrateEasyのインストールディスクを CD-ROM ドライブに挿入
し、インストール手順を開始します。
2. 画面に表示されるインストールプログラムの指示に従います。
3. インストールオプションを選択してAcronis MigrateEasyのファイルをハード
ディスクにコピーすると、起動用フロッピーディスクまたはブータブル CDR/RW の作成を求められます。Windows でMigrateEasyを実行中に、
Linux またはその他の PC のオペレーティングシステムを含むハードディスク
を移行することもできます。Windows を実行していない場合は、起動用メ
ディアを作成し、そこから PC を再起動して移行を開始する必要があります。
Acronis MigrateEasyのインストールが完了したら、コンピュータを再起動してく
ださい。
Acronis MigrateEasy
11
2.4 Acronis MigrateEasyの修復とアップグレード
ソフトウェアのアップグレードや修復を行うにはMigrateEasyのインストールプロ
グラムを再度実行します。インストールプログラムは、MigrateEasyが既にコン
ピュータにインストールされているかどうかを判断し、プログラムを修復(アップグ
レード)するかどうか、あるいはプログラムをハードディスクから完全に削除するか
どうかを確認するメッセージを表示します。
2.5 ソフトウェアの削除
ソフトウェアを削除するには、[スタート]メニューのプログラムから、[Acronis]→
[MigrateEasy]→[Acronis MigrateEasy のアンインストール]の順に選択しま
す。PC のハードディスクからソフトウェアを削除するかどうかを確認するダイアロ
グボックスが表示されます。削除する場合は はい を押します。これによりAcronis
MigrateEasyソフトウェアが完全に削除されます。
2.6 ユーザーインターフェイス
Acronis MigrateEasyは非常に使いやすいウィザード形式の Windows グラ
フィックユーザーインターフェイスを備えており、マウスや Tab 、 Shift+Tab 、
← 、 → 、 ↑ 、 ↓ 、 Space 、 Enter 、および Esc キーによって操作できます。
Windows、X Window、または OS/2 アプリケーションを日常的に使用している
ユーザーは、Acronis MigrateEasyインターフェイスを問題なく理解し使用でき
ます。
ユーザーはアップグレードウィザードを使用する際、一連のダイアログボックスを
操作します。各ダイアログボックスのコントロールを操作することによって、実行す
る処理を選択します。
コントロールのそれぞれの値(状態)は、マウスまたはキーボードを使って選択(設
定)します。
各ダイアログには、ダイアログの目的とダイアログに含まれるコントロール、および
可能なコントロール位置すべてに関する詳細な説明が用意されています。
12
第 2 章 Acronis MigrateEasy のインストールとご使用にあたって
ウィザードのページには ヘルプ はありません。各ページには、そのページとペー
ジ内のコントロールの目的についての詳細な説明があるため、ヘルプは用意され
ていません。さらに、それぞれの場面で各コントロールを選択した場合の影響に
ついても詳細に説明されています。
2.7 Acronis MigrateEasyの操作の開始
Windows で移行処理を開始するには、[スタート]メニューのプログラムから、
[Acronis]→[MigrateEasy]→[Acronis MigrateEasy]の順に選択します。
Windows がインストールされていない場合は、起動用フロッピーディスクまたは
ブータブル CD を作成し、その起動メディアから PC を再起動して移行処理を開
始する必要があります。それ以降の手順は同じです。
ハードディスクに対するすべての操作は、ユーザーの選択内容と操作の結果とし
て作成されるシナリオに従って行われます。シナリオを実行するまでは、既存の
構成に対する変更が実際に行われることはありません。前のシナリオ作成段階に
戻ることが可能であり、プログラムの任意の段階でパラメータを変更できます。
Acronis MigrateEasy
13
プログラムは、コンピュータに 2 つ以上のハードディスクがインストールされている
場合にのみ動作可能です。ハードディスクが 1 つしかない場合は、次のメッセー
ジが表示されます。
ウィザードの次のページは、新しいハードディスクへのデータ転送に関する作業
を実際に開始するページです。最初にMigrateEasyの操作に関する主なシナリ
オについて説明します。
14
第 2 章 Acronis MigrateEasy のインストールとご使用にあたって
2.8 移行シナリオ
プログラムを起動する前に、このプログラムによって何が実現できるのかを確実に
知っておく必要があります。考えられる作業シナリオの詳細を次に示します。ここ
では、主なシナリオとその結果のみを紹介します。
2.8.1 自動アップグレード
自動アップグレードのシナリオの結果は、次のようになります。
1. 移行先ハードディスクに移行元ハードディスクの正確なコピーが作成されま
す。文字どおりすべてのもの(次に挙げるもの)がコピーされます。
• ディスクパーティション、ファイルシステムの種類、ボリュームラベル
• すべてのフォルダとファイル、インストールされているオペレーティングシ
ステムとアプリケーション
新しいハードディスクの容量が元のハードディスクより大きい場合、元の
ハードディスクのパーティションは、移行先にあわせてサイズが比例増加
した状態で新しいハードディスクへ転送されます。
2. 移行先ハードディスクがアクティブになります。また、移行元ハードディスクが
起動用の場合は移行先も起動用になります。
3. 移行元ハードディスク上のデータはそのまま残ります。
Acronis MigrateEasy
15
2.8.2 手動アップグレード
手動アップグレードでは、より自由な設定が可能です。もちろんパーティションと
データを新しいハードディスクへ転送する必要はありますが、新しいハードディス
クの用途や、元のハードディスク上のデータをどのように処理するかを選択できま
す。
1. まず、新しいハードディスクを構成する 2 つの主な用途から 1 つを選択でき
ます。
• ハードディスクを起動用ディスクとして使用する。
• ハードディスクを追加のデータストレージとして使用する。
2. 次 に 、 パ ー ティ シ ョ ン と デ ータ の 移 行 方法を 定 義 す る必要 が あ り ま す。
MigrateEasyには次のオプションが用意されています。
• パーティションとデータを現状のままで移行する。
• 新しいハードディスク上のディスク領域を、元のハードディスクから移行さ
れるパーティションに比例的に割り当てる。
• 手動で設定する。
3. 元のハードディスクをどのように処理するかも選択できます。
• 元のハードディスク上にパーティション(およびデータ)を残す。
• 元のハードディスクからパーティション(およびデータ)を削除する。
パーティションを新しいハードディスクに移行し、元のハードディスクから削除する
ことに決めた場合は、元のハードディスクのパーティションを再分割して他の目的
に使用することができます。
パーティションを現状のままで移行すると、新しいハードディスク上には元のハー
ドディスクの個々のパーティションに対応する正確なコピーが作成されます。パー
ティションの種類、サイズ、ファイルシステム、およびラベルは変わりません。
「新しいハードディスク上のディスク領域を比例的に割り当てる」とは、次のような
意味です。新しいハードディスクの容量が元のハードディスクより大きい場合、新
しいハードディスク上には元のハードディスク上の個々のパーティションに対応す
るコピーが作成されます。ただし、パーティションが移行先ハードディスクの全体
を占有するように、個々のパーティションのサイズは新しいハードディスクの容量と
元のハードディスクの容量の比率に応じて大きくします。
16
第 2 章 Acronis MigrateEasy のインストールとご使用にあたって
第3章 自動アップグレード
自動アップグレードは、すべてのパーティションを新しいハードディスクのサイズ
にあわせて比例的にサイズを調整し、元のハードディスクの正確なコピーを作成
します。ほとんどの場合、この機能を選択して問題ありません。
[Welcome]ページのすぐ後に[アップグレードモード]ページが表示されます。
アップグレードモードの選択(自動/手動)
このページのオプションボタンを[自動]に切り替え、 次へ を押します。
Acronis MigrateEasy
17
3.1 移行元ハードディスクの選択
次に、データの移行元となるハードディスクを指定する必要があります。
移行元ハードディスクの選択
このページに表示される内容は、どのハードディスクを移行元にしてどのハード
ディスクを移行先にするかを判断するのに役立ちます(ディスク番号、ボリューム
ラベル、ハードディスク上のパーティションとファイルシステムを確認できます)。
ウィンドウの下部には、選択されたハードディスクのパーティションと未割り当て領
域が、さまざまなサイズの四角形によってグラフィックで表示されます。ハードディ
スクの番号に加え、パーティション番号、ボリュームラベル(SYSTEM など)、ファ
イルシステムの種類(FAT16、FAT32 など)、パーティションのサイズ(GB)など
の追加情報が表示されます。パーティションの種類([プライマリ]および[論理])
と未割り当て領域は、異なる色で表示されます。これらすべての情報によって、
データの移行元と移行先を間違えるのを防ぐことができます。
18
第 3 章 自動アップグレード
3.2 移行先ハードディスクの選択
[移行先ハードディスク]ページで、データの移行先に指定するハードディスクを
選択します。
前のページで移行元ハードディスクとして指定したハードディスクは、このページ
では淡色表示され、選択できなくなっています。
コンピュータにインストールされているハードディスクが 2 つしかない場合、残りの
1 つのハードディスクのみ選択できます。
移行先ハードディスクの選択
Acronis MigrateEasy
19
3.3 移行先ハードディスクが空でない場合
次の手順で、プログラムは移行先ハードディスクが空の状態かどうかを調べます。
空でない場合はその旨が通知され、[移行先ハードディスクに存在するパーティ
ション]ページが表示されます。この場合、移行先ハードディスクにいくつかの
パーティションが含まれていて、少なくともその一部にデータが含まれている可能
性があります。
[移行先ハードディスクに存在するパーティション]ウィンドウ
この場合は、次のいずれかを実行する必要があります。
1. 戻る を押し、[移行先ハードディスク]ページで別の移行先ハードディスクを
選択します。
2. [移行先ハードディスク上のパーティションを削除]を選択して、プログラムが
既存のパーティションをハードディスクから削除できるようにします。
20
第 3 章 自動アップグレード
転送前の移行元ハードディスクのパーティションと転送後の移行先ハードディスク
のパーティションを示す、[ハードディスクの構成]ページが表示されます。
[ハードディスクの構成]ウィンドウ
この段階では、プログラムは実際の処理を実行していないことに注意してくださ
い。プログラムはユーザーとの対話によってアップグレードのシナリオを作成した
だけです。
表示された設定内容が適切でない場合は、 戻る を押して 1 ページまたは数
ページ前の手順に戻り、シナリオのパラメータを再入力することができます。
Acronis MigrateEasy
21
3.4 アップグレードシナリオウィンドウ
次のページには、作成されたシナリオの内容が表示されます。
最終的なアップグレードのシナリオ
これはウィザードの最後のページで、この後でシナリオが実行されます。この段階
ではプログラムは処理を実行していません。アップグレードのシナリオを作成した
だけです。ウィザードの 次へ がこのページでは 実行 になっていることに注意して
ください。正しいアップグレードパラメータを入力したという確信が持てない場合は、
ここで正しい指定を行ったかどうかを検討します。 実行 を押すと、シナリオの実行
結果を元に戻すことはできません。
実行 を押した後は、MigrateEasyがすべての処理を自動的に行います。すべて
の処理を完了するため、MigrateEasyはシステムを再起動します。
アップグレード処理が完了すると、アップグレードの完了を示すメッセージが表示
されます。
22
第 3 章 自動アップグレード
このメッセージが表示されたら PC の電源を切り、ハードディスクのジャンパ(新し
いハードディスクのジャンパも含む)の位置を目的に合わせて変更する必要があ
ります。
3.5 安全性
次のことに充分な注意を払ってください。ハードディスクを操作しているときは、
データ整合性の面で安全ではない状況にあります。データの移行の最中に電源
が切れたり誤って電源プラグを抜いてコンピュータの電源を切ってしまったり、リ
セットボタンを押したりすると、処理は完了せず、データ(パーティション)は移行さ
れません。また、ほとんどの場合新しいハードディスクは使用できなくなります。し
たがって、移行処理中は充分な注意が必要です。
自動アップグレードモードで移行する場合、元のハードディスク(移行元ハード
ディスク)上のデータは完全に安全です。これは、プログラムが元のハードディス
ク上のデータに対してデータの読み取り以外の処理を一切行わないためです。
ハードディスクのパーティションの再作成もサイズ変更も行われません。
元のハードディスクのデータが新しいハードディスクに正しく移行されたこと、およ
び新しいハードディスクが問題なく機能すること(コンピュータが新しいハードディ
スクから起動し、すべてのアプリケーションが正しく実行され、アプリケーションか
らファイルを開くことができること)を確認するまでは、元のハードディスクのデータ
を削除しないことをお勧めします。
Acronis MigrateEasy
23
第4章 手動アップグレード
手動アップグレードモードでは、プログラムの動作と機能を完全に制御することが
できます。
手動アップグレードでは、次のことが可能です。
1. ハードディスクを起動用として使用するか、追加のデータストレージとして使
用するかを選択する。
2. 既存のパーティションをすべて現状のままで新しいハードディスクに移行する
か、パーティションのサイズを手動で変更する。
3. 新しいハードディスク上に新しいパーティションを作成する。
手動アップグレードを実行するには、[アップグレードモード]ページのオプション
ボタンを[手動]に切り替えます。
[アップグレードモード]ウィンドウ
24
第 4 章 手動アップグレード
4.1 ハードディスクを起動用にする
[新しいハードディスクの用途]ページで、オプションボタンを[起動用ドライブとし
て使用]に切り替えます。
[新しいハードディスクの用途]ウィンドウ
Acronis MigrateEasy
25
[移行元ハードディスク]ページで、データのコピー元となるハードディスクを選択
します。
[移行元ハードディスク]ウィンドウ
26
第 4 章 手動アップグレード
4.2 移行先ハードディスクの選択
[移行先ハードディスク]ページで、データのコピー先となるハードディスクを選択
します。
[移行先ハードディスク]ウィンドウ
Acronis MigrateEasy
27
移行先ハードディスクにパーティションが存在する場合(この場合データが存在
する可能性もあります)は、[移行先ハードディスクに存在するパーティション]
ページが表示されます。
移行先ハードディスクにパーティションが存在する場合に表示されるウィンドウ
この場合は次の処理から選択します。
• [移行先ハードディスク]ページに戻って別の移行先ハードディスクを選
択する。
• [移行先ハードディスク上のパーティションを削除]を選択して、移行先
ハードディスクのパーティションを削除する(この場合、データはすべて失
われます)。
28
第 4 章 手動アップグレード
4.3 元のハードディスクの処置
次の手順では、元のハードディスクの処理方法をウィザードに指示する必要があ
ります。ウィザードには 3 つのオプションが用意されています。
• 元のハードディスク上に新しいパーティションを作成する。
• 元のハードディスク上のデータを変更せずに保持する。
• データを消去する。
デフォルトでは、ウィザードは元のハードディスク上のデータを保持することを提
案します。安全性の問題については、既に自動アップグレードモードの説明でも
簡単に述べましたが、移行されたデータで新しいハードディスクが問題なく機能
することが確認できるまで、元のハードディスクからデータを削除すべきではあり
ません。この規則を守ることをお勧めします。
元のハードディスクの処置を指定するためのウィンドウ
元のハードディスク上のデータを保持するには、[データを保持]を選択します。
Acronis MigrateEasy
29
オプションボタンを[データを消去]に切り替えて 次へ を押すと、[消去パラメータ]
ページが表示されます。このページで、データを消去する方法を[クイック]と[通
常]から選択します。
この 2 つの方法は、データ消去の速度とセキュリティレベルの点で異なります。
データ消去用のパラメータ
以降は、元のハードディスク上に新しいパーティションを作成することに決定し、
それに応じてウィザードのページのオプションボタンを切り替えたと仮定して説明
を進めます。
(元のハードディスクにパーティションを再作成する、つまり新しいパーティション
を作成するシナリオの作成方法については、後で説明します。)
30
第 4 章 手動アップグレード
次の手順では、元のハードディスクから新しいハードディスクへパーティションを
移行する方法を選択します。
新しいハードディスクへパーティションを移行する方法
ウィザードには 3 つのオプションが用意されています。
• 現状のままでのデータの移行
• 移行先にあわせる移行
• 手動による移行
データを「現状のまま」移行すると、新しいハードディスク上に元のハードディスク
の正確なコピーが作成されます。パーティションはすべてサイズ変更なしで移行
されます。
「移行先にあわせる」移行では、パーティションはディスク容量の増加に比例して
大きくしたサイズで、元のハードディスクから新しいハードディスクへ移行されます。
データを「手動」で移行する場合、移行する個々のパーティションのサイズをアッ
プグレードウィザードで選択できます。
Acronis MigrateEasy
31
「現状のまま」のデータ移行と「移行先にあわせる」データ移行については説明し
たとおりです。ここでは「手動」移行モードについてのみ説明します。
[手動によるレイアウト]ページが表示されます。
パーティションのサイズと位置
([レイアウト変更を行う]チェックボックスが選択可能)
このページには、パーティション構成の一案が表示されます。また、[レイアウト変
更を行う]チェックボックスもあります。このチェックボックスをチェックします。
32
第 4 章 手動アップグレード
パーティションのサイズと位置が表示されたページから、[パーティションの選択]
ページに移動します。
移動またはサイズ変更するパーティションの選択
このページにはディスク番号 2 のハードディスクが表示されます。この構成を、
パーティションのサイズを変更したりパーティションを移動することによって変更で
きます。
このページで変更するディスクパーティションをクリックして選択します(上の例で
はパーティションは 1 つしかありませんが、このページではデフォルトでパーティ
ションは選択されません)。
Acronis MigrateEasy
33
次に、[サイズと位置]ページに移動します。
[サイズと位置]ウィンドウ
ここでは、選択したパーティションのサイズと位置を変更できます。設定可能な
パーティションの最小サイズが表示されます。この例では 39.19MB ですが、この
値はパーティション内の実際のデータ量によって異なります。
34
第 4 章 手動アップグレード
次のウィザードページには、移行元ハードディスクがパーティションの存在しない
空のハードディスクとして表示されます。この説明では、このハードディスクに新し
いパーティションを作成することに決定しています。
[新しいパーティション]ウィンドウ(移行元ハードディスクを空のハードディスクとして表示)
ディスク番号 1 のハードディスクは前述のウィザードページと同じものですが、前
述のウィザードページでは、このハードディスク上に、部分的にデータが含まれて
いる FAT32 のプライマリパーティションが表示されていたことに注意してください。
このページでは、すべてのディスク領域が未割り当てと表示されています。
このページの[新しいパーティションを未割り当て領域に作成]チェックボックスは
デフォルトでチェックされています。この設定は、ここで説明する手順と合致する
ので、このままにします。
Acronis MigrateEasy
35
次の[ファイルシステムの種類]ページでは、新しいパーティションで使用する
ファイルシステムを選択します。
[ファイルシステムの種類]ウィンドウ
MigrateEasyには、次のオプションが用意されています。
• ファイルシステムを作成しない。
• FAT16、FAT32、または NTFS の Windows ファイルシステムのいずれ
かを作成する。
• Ext2、Ext3、Linux Swap、または ReiserFS の Linux ファイルシステ
ムのいずれかを作成する。
DOS または Windows 95 の場合は、[ファイルシステム:]のオプションボタンを
[FAT16]に切り替えます。
Windows 95OSR2/98/Me の場合は、[ファイルシステム:]のオプションボタン
を[FAT32]に切り替えます。
Windows NT/2000/XP の場合は、[ファイルシステム:]のオプションボタンを
[NTFS]に切り替えます。
36
第 4 章 手動アップグレード
Linux の場合は、[ファイルシステム:]のオプションボタンを[Ext2]、[Ext3]、
[Linux Swap]、または[ReiserFS]に切り替えます。
次の手順の[パーティションの種類]ページでは、新しいパーティションの種類とし
て[プライマリパーティション]または[論理ドライブ]を選択します。デフォルトでは
[論理ドライブ]が選択されています。
[パーティションの種類]ウィンドウ
この 2 つの種類の違いについては、B.1「ハードディスクのパーティション」を参照
してください。どちらを選択するかは、新しいパーティションの用途によって決まり
ます。オペレーティングシステムをこのパーティションから起動する場合は[プライ
マリパーティション]を選択し、パーティションが単にデータ格納用である場合は
[論理ドライブ]を選択します。
Acronis MigrateEasy
37
4.4 パーティションのサイズと位置
次の手順の[サイズと位置]ページでは、新しいパーティションの位置を選択しま
す。
パーティションのサイズと位置
この図の数値はそれぞれのケースで異なりますが、図の内容そのものは非常に
重要です。
まず、[パーティションサイズ]フィールドでパーティションのサイズを数 MB 単位
で直接指定できます。フィールド内の値は、上矢印ボタンを押すと増加し、下矢
印ボタンを押すと減少します。矢印をマウスの左ボタンをクリックしたまま押し続け
ると、フィールドの値が連続して変化していきます。
[パーティションサイズ]フィールドの値を変更すると、新しいパーティションを示す
ページ上部の白い四角形の領域についても、サイズが水平方向に変わります。
38
第 4 章 手動アップグレード
グラフィカルインターフェイスの機能を使うこともできます。四角形の領域の右端
にある縦の浮き彫り線にマウスを置くと、マウスカーソルが左右に矢印が付いた垂
直の 2 本線に変わります。マウスの左ボタンをクリックしたまま左に動かすと、四角
形の領域の右端も左に動き、四角形のサイズが変わります。
マウスを使用したパーティションのサイズ変更
四角形の領域の左端についても同じ操作が可能で、領域の左端の位置を変更
することができます。
四角形の左端と右端の位置を変更すると、[パーティションサイズ]、[直前の未
割り当て領域]、および[直後の未割り当て領域]のフィールドの値がそれぞれ変
わります。
以上のいずれかの方法を使用して、新しいパーティションのサイズと位置を、シリ
ンダ境界に合わせて選択することができます。
Acronis MigrateEasy
39
4.5 パーティションラベル
次の手順では、[パーティションラベル]ページでパーティションラベルを入力しま
す(これは必須ではありません)。「SYSTEM」などのパーティションラベルを入力
します。
[パーティションラベル]ウィンドウ
この機能は、目的が異なる複数のパーティションを作成する場合に役立ちます。
40
第 4 章 手動アップグレード
ラベルの入力後、再び[新しいパーティション]ページに戻ります。
SYSTEM プライマリパーティションが既に作成されている
[新しいパーティション]ウィンドウ
[新しいパーティションを未割り当て領域に作成]チェックボックスはまだ選択可能
で、必要に応じてチェックしたりチェックを外したりできます。このチェックボックス
が選択可能かどうかは、ハードディスク上に未使用の空き領域があるかということ
に直接関連しています。
したがって、この例ではハードディスク上に少なくともあと 1 つパーティションを作
成できます。パーティションをもう 1 つ作成するには、[新しいパーティションを未
割り当て領域に作成]チェックボックスをチェックしたままにします。作成しない場
合はチェックボックスのチェックを外し、 次へ を押して次に進みます。
Acronis MigrateEasy
41
4.6 アップグレードのシナリオ
次に、新しいハードディスクのインストールに関しての完成したシナリオのページ
が表示されます(元のハードディスク上にパーティションを作成するための設定も
含まれています)。
最終的なアップグレードのシナリオ
これはウィザードの最後のページで、この後でシナリオが実行されます。この段階
ではプログラムは処理を実行していません。アップグレードのシナリオを作成した
だけです。ウィザードの 次へ がこのページでは 実行 になっていることに注意して
ください。正しいアップグレードパラメータを入力したという確信が持てない場合は、
ここで正しい指定を行ったかどうかを検討します。 実行 を押すと、シナリオの実行
結果を元に戻すことはできません。
実行 を押した後は、MigrateEasyがすべての処理を自動的に行います。すべて
の処理を完了するため、MigrateEasyはシステムを再起動します。
42
第 4 章 手動アップグレード
アップグレード処理が完了すると、アップグレードの完了を示すメッセージが表示
されます。
このメッセージが表示されたら PC の電源を切り、ハードディスクのジャンパ(新し
いハードディスクのジャンパも含む)の位置を目的に合うように変更する必要があ
ります。
4.7 追加のデータストレージとしてのハードディスクのインス
トール
[新しいハードディスクの用途]ページで、オプションボタンを[追加のストレージ
として使用]に切り替えます。
[新しいハードディスクの用途]ウィンドウ
次のページでは、一覧から移行先ハードディスク(追加のデータストレージとして
インストールするハードディスク)を選択するよう求められます。
Acronis MigrateEasy
43
この手順では、状況によって表示される内容が異なります。
1. 移行先ハードディスクが空である(ハードディスク上にパーティションが存在し
ない)。未使用領域の容量はハードディスクの容量と同じです。
[移行先ハードディスク]ウィンドウ(空の場合)
プログラムは、ハードディスク上の空き領域内にパーティションを作成すること
を提案します。
44
第 4 章 手動アップグレード
2. ハードディスク上にパーティションがあるが、未使用の空きディスク領域もあ
る。
[移行先ハードディスク]ウィンドウ(空ではない場合)
プログラムは、ハードディスク上の未割り当て領域内にパーティションを作成
することを提案します。
Acronis MigrateEasy
45
3. すべてのディスク領域がパーティションによって占められている。
この場合の[移行先ハードディスク]ページは次のとおりです。ディスク番号 2 の
ハードディスクには、ディスク容量と等しいサイズのパーティションが 1 つ含まれて
います。このハードディスクはフォーマットされておらず、明らかにデータは含まれ
ていません。
[移行先ハードディスク]ウィンドウ
(移行先ディスクに空きがない場合)
46
第 4 章 手動アップグレード
次に、[移行先ハードディスクに存在するパーティション]ページに移動します。
移行先ハードディスクにパーティションがある場合に表示されるウィンドウ
[移行先ハードディスク上のパーティションを削除]を選択した場合、移行先ハー
ドディスクは、ハードディスク上にどのようなパーティション、ファイル、およびフォ
ルダが存在するかにかかわらず空のハードディスクとして扱われ、次のページで
はそのハードディスク上に必要に応じて新しいパーティションを作成するように求
められます。
[パーティションを削除しない]を選択した場合、 次へ は押せません。移行先には
別のハードディスクを選択する必要があります。
Acronis MigrateEasy
47
付録A ハードディスクと BIOS のセットアップ
この付録では、ハードディスクの機構に関する詳細情報、情報がハードディスクに
格納される仕組み、ハードディスクをコンピュータに取り付けてマザーボードに接
続する方法、BIOS を使用したハードディスクの構成、パーティション、ファイルシ
ステム、およびオペレーティングシステムとハードディスクとの相互作用について
説明します。
A.1 コンピュータへのハードディスクの設置
A.1.1 一般的なハードディスクの設置方法
新しい IDE ハードディスクを設置するには、次の手順を実行する必要があります。
作業を開始する前に PC の電源を切ってください。
1. 古いハードディスクのジャンパがマスタになっていることを確認します。次に新
しいハードディスクがスレーブとして構成されるように、ハードディスクのジャン
パを正しく取り付けます。
2. コンピュータのカバーを開き、新しいハードディスクを専用の 3.5 インチまた
は 5.25 インチスロットに挿入します。ハードディスクをネジでしっかり固定しま
す。
3. 電源ケーブルを新しいハードディスクに差し込みます(黒 2、黄、赤の 4 芯
ケーブル。このケーブルは決まった向きでしか取り付けられません)。
4. フラットケーブルをハードディスクのソケットに差し込みます(差し込みに関す
る規則については後で説明します)。
5. コンピュータの電源を入れ、コンピュータの起動時に画面に表示されるキーを
押して BIOS セットアッププログラムを起動します。
6. 設置したハードディスクを、パラメータ(種類、シリンダ、ヘッド、セクタ、および
モード、または変換モードがあり、これらのパラメータはハードディスクのケー
スに記載されています)を設定して構成するか、あるいは BIOS の IDE 自動
検出ユーティリティを使用して自動的に構成します。通常はハードディスクの
認識方法を[Auto]にすることでハードディスクが自動検出されます。
48
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
7. ブートデバイスを A:、C:、CD-ROM などのように設定します。この設定は
MigrateEasyの起動方法によって異なります。起動用フロッピーディスクを使
用する場合は、フロッピーディスクが最初になるように設定します。ブータブル
CD を使用する場合は、ブートデバイスが CD-ROM から始まるようにします。
8. BIOS の セ ッ ト ア ッ プ を 終 了 し 、 変 更 を 保 存 し ま す 。 再 起 動 後 に
MigrateEasyの起動メディアを挿入しておくと、MigrateEasyが自動的に起
動します。
9. MigrateEasyを使用して、ウィザードの指示に従ってハードディスクを構成し
ます。
10. 作業が終了したらコンピュータの電源を切り、新しいハードディスクを起動用
にする場合はハードディスク上のジャンパをマスタに設定します(ハードディス
クを追加のデータストレージとして設置する場合はスレーブ位置のままにしま
す)。新しいハードディスクを起動用にする場合は古いハードディスクを取り外
すか、ジャンパをスレイブに変更します。
A.1.2 マザーボードのソケット、IDE ケーブル、および電源ケーブル
マザーボードには、ハードディスクを接続できるスロットが 2 つあります。プライマ
リ IDE とセカンダリ IDE です。
IDE(Integrated Drive Electronics)インターフェイスを備えたハードディスクは、
マーク付きの 40 芯または 80 芯のフラットケーブル経由でマザーボードに接続さ
れます。ケーブル芯線のうちの 1 本は別の色になっています。
各ソケットには 2 台の IDE ハードディスクを接続できます。つまり、この種類の
ハードディスクは PC に最大 4 台設置できます(各 IDE ケーブルには 3 つのプ
ラグがあります。2 つはハードディスク用で、1 つはマザーボードソケット用です)。
IDE ケーブルプラグは通常、決まった向きでしかソケットに接続できないように設
計されています。
通常、ケーブルプラグのピンホールは 1 つが埋められており、埋められたホール
に重なる部分のピンがマザーボードソケットから取り除かれているため、ケーブル
を間違った向きで差し込むことはできません。
ケーブルのプラグの方に突起があり、ハードディスクとマザーボードのソケットにく
ぼみがある場合もあります。この場合も、ハードディスクとマザーボードを接続する
際の向きは 1 つだけになっています。
Acronis MigrateEasy
49
以前のプラグはこのように設計されていなかったため、「IDE ケーブルをハード
ディスクソケットに接続する際は、マーク付きの芯線が電源ケーブルに最も近く
なるようにする、つまりマーク付きの芯線をソケットの 1 番ピンに接続する」という
経験則がありました。ケーブルとマザーボードの接続にも同様の経験則が使用さ
れていました。
ケーブルがハードディスクまたはマザーボードと正しく接続されていないからと
いって、必ずしもハードディスクやマザーボードの電子機器部分が損傷するわけ
ではありません。単に、ハードディスクが BIOS によって検出されなかったり初期
化されなかったりするだけです。しかし、IDE ケーブルは規則どおりに接続する
必要があります。
以前のハードディスク、特に古いハードディスクには、接続を間違えるとドライブの
電子機器部分が損傷するモデルがあります。
ここでは、現在使用されているすべての種類のハードディスクについて詳しくは説
明しません。現在、最も普及しているハードディスクは、IDE または SCSI イン
ターフェイスを備えたものです。SCSI ハードディスクの場合は IDE ハードディス
クとは異なり、6~14 台を PC に設置できます。ただし、これらを接続するには特
別な SCSI コントローラが必要です。SCSI ハードディスクは、通常はパーソナル
コンピュータ(ワークステーション)では使用されることは少なく、ほとんどの場合
サーバーで使用されます。
IDE ケーブルとは別に、4 芯の電源ケーブルをハードディスクに接続します。こ
のケーブルは、間違いが発生しないよう、決まった向きでしか差し込めないように
なっています。
50
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
A.1.3 設置モードとジャンパ
ハードディスクは、コンピュータ内にマスタまたはスレーブとして設置できます。
ハードディスクの設置モードは、ジャンパと呼ばれるハードディスク上の特別なコ
ネクタの位置によって決まります。
ジャンパは、ハードディスクの電子基盤上か、またはハードディスクとマザーボー
ドの接続用の特別なソケットに存在し、通常は取り付け位置を示すマークが付い
ています。
一般的には、ハードディスクのケースに、取り付け位置に関する説明が書かれた
ステッカーが貼られています。DS、SP、CS、および PK が取り付け位置を表す
一般的なマークです。
それぞれのジャンパ位置は、次に示すハードディスクの特定の設置モードに対応
します。
• DS – マスタ/工場出荷値
• SP – スレーブ(またはジャンパ不要)
• CS – マスタ/スレーブのケーブル選択。ハードディスクの用途は、マザー
ボードとの物理的な位置関係によって決定されます。
• PK – ジャンパのパーキング位置。既存の構成でジャンパが不要な場合
に、ジャンパを配置できる場所です。
ジャンパをマスタに設定したハードディスクは、BIOS(Basic Input/Output
System)によって起動用として扱われます。
同一のケーブルに接続した複数のハードディスク上のジャンパは、マスタ/スレー
ブのケーブル選択の位置に配置できます。この場合、一般的に BIOS は、IDE
ケーブルに接続されているハードディスクの中でマザーボードのコネクタから遠い
ほうのコネクタに接続されたハードディスクを「マスタ」と見なします(マザーボード
に近いほうを「マスタ」とするものもあります)。
Acronis MigrateEasy
51
残念ながら、ハードディスクの説明に使われるマークは標準化されていません。
使用しているハードディスクのマークが上述のものと異なることは珍しくありませ
ん。さらに、旧式のハードディスクの場合、1 つではなく 2 つのジャンパによって
用途が定義されることがあります。ハードディスクをコンピュータに取り付ける前
に、マークをよく確認してください。
ハードディスクをマザーボードに物理的に接続し、ハードディスクが機能するよう
ジャンパを正しく設定しただけではまだ不充分です。マザーボードの BIOS で、
ハードディスクを適切に構成する必要があります。
A.2 BIOS
コンピュータの電源を入れたときに画面に表示される内容を、何度も見たことがあ
るでしょう。おなじみのオペレーティングシステムのスプラッシュ画面が表示される
前に、何行もの短いテキストメッセージが表示されます。
これらのメッセージは、 BIOS に属しプロセッサによって実行される POST
(Power-On Self Test)プログラムによって出力されます。
BIOS(Base Input/Output System)は、コンピュータのマザーボード上の不揮
発メモリチップ(ROM または Flash BIOS)に常駐するプログラムで、重要な要
素です。BIOS は、プロセッサ、メモリ、統合デバイスといったマザーボードのすべ
てのコンポーネントの特性をすべて「認識」します。BIOS はマザーボードの製造
元によって提供されます。
BIOS の主な機能は次のとおりです。
• プロセッサ、メモリ、および入出力デバイスのテスト(POST シーケンス)
• ソフトウェアによって管理されるマザーボードのすべての部分の初期構成
• オペレーティングシステム(OS)の起動プロセスの初期化
コンピュータには膨大な数のコンポーネントがありますが、その中の外部記憶サ
ブシステム(ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、CD-ROM ドライ
ブ、DVD などを制御)について、初期構成が必要です。
52
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
A.2.1 セットアップユーティリティ
BIOS には、コンピュータの初期構成を行うための組み込みのセットアップユー
ティリティがあります。セットアップユーティリティを起動するには、コンピュータの
電源を入れた直後に開始する POST シーケンス中に、BIOS によって異なる特
定のキーの組み合わせ( Del 、 Ctrl+Alt+Esc 、 Ctrl+Esc など)を押す必
要があります。通常は起動テスト中に、必要なキーの組み合わせを示すメッセー
ジが表示されます。このキーの組み合わせを押すと、BIOS に含まれるセットアッ
プユーティリティのメニューが表示されます。
メニューの外観、メニューに表示される項目と項目名は、BIOS の製造元によっ
て異なります。PC のマザーボード用の BIOS の製造元として最もよく知られてい
るのは、Award/Phoenix と AMI です。また、標準セットアップのメニュー項目に
関しては BIOS ごとの違いはほとんどありませんが、拡張セットアップの項目は、
コンピュータおよび BIOS によって大幅に異なります。
ここでは、ハードディスクの初期構成に関する一般原則と、AwardBIOS での構
成(例)について説明します。
Compaq、Dell、Hewlett-Packard といった PC の大手製造元は、自社でマ
ザーボードを製造し、独自の BIOS バージョンを開発しています。このような PC
を使用している場合は、コンピュータに付属しているマニュアルを参照し、指示に
従って適切な BIOS 構成を行う必要があります。
Acronis MigrateEasy
53
A.2.2 Standard CMOS Setup メニュー
Standard CMOS Setup メニューのパラメータは通常、ハードディスクのジオメト
リを定義します。PC にインストールされている個々のハードディスクに対し、以下
のパラメータ(および値)を使用できます。
パラメータ
Type
値
目的
1~47、
Not Installed、
Auto
Type「0」または「Not Installed」は、ハードディスクがインス
トールされていない場合に(そのハードディスクを使用しない
ように設定するために)使用され、Type「47」は、ユーザー定
義のパラメータ、または IDE 自動検出ユーティリティによっ
て検出されるパラメータ用に予約されている。
「Auto」値は、起動シーケンス中の IDE ディスクパラメータ
の自動検出を可能にする。
Cylinder(Cyl)
1~65535
ハードディスク上のシリンダの数。IDE ディスクの場合は、シ
リンダの論理的な数が指定される。
Heads(Hd)
1~16
ハードディスク上のヘッドの数。IDE ディスクの場合は、ヘッ
ドの論理的な数が指定される。
Sectors(Sec)
1~63
ハードディスクのトラックあたりのセクタ数。IDE ディスクの場
合は、セクタの論理的な数が指定される。
Size(Capacity)
MB
MB 単位のディスク容量。次の式に従って計算される。
Mode
(Translation
Method)
Normal/LBA/
Large/Auto
セクタアドレスの変換方法。
サイズ=(Cyl×Hds×Sct×512)÷1024÷1024
たとえば、MigrateEasyの主な機能を実際に示すために、ハードディスクの 1 つ
として Quantum Fireball TM1700A ハードディスクを使用してみます。この
ハードディスクのパラメータは次のような値になります。
パラメータ
値
Type
Auto
Cylinder(Cyl)
827
Heads(Hd)
64
Sectors(Sec)
63
Mode
Auto
CHS
1,707MB
Maximum LBA Capacity
1,707MB
BIOS セットアップでは、Type パラメータを User Type HDD(ユーザー定義の
種類)に設定することができます。その場合は、さらに Translation Method パラ
メータの値を指定する必要があります。指定できる値は「Auto」/「Normal」/
「LBA」/「Large」です。
54
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
Translation Method は、セクタアドレスの変換に使用される方法です。このパラ
メータが登場したのは、BIOS でハードディスクの最大アドレス容量が 504MB
(1024 シリンダ×16 ヘッド×63 セクタ×512 バイト)に制限されていたためで
す。この制限を回避する方法は 2 つあります。物理セクタアドレスから論理セクタ
アドレス(LBA)に切り替える方法と、計算によってアドレス指定されるセクタ(シリ
ンダ)の数を減らし、ヘッドの数を増やす方法です。後者の方法は Large Disk
(Large)と呼ばれます。最も簡単なのは、Translation Method パラメータの値
を「Auto」に設定する方法です。
マザーボードに複数のハードディスクを接続しているがいくつかは当面使用しな
いという場合は、これらのハードディスクの Type を「Not Installed」に設定する
必要があります。
ハードディスクのパラメータは、ハードディスクの製造元がケースに記載している
情報を使用して手動で設定できます。しかし、最新の BIOS バージョンには通常
は IDE 自動検出ユーティリティが含まれており、これを使用する方が簡単です。
IDE 自動検出ユーティリティは、個別の BIOS メニュー項目として存在する場合
もあれば、Standard CMOS Setup メニューに含まれている場合もあります。
付録 A「ハードディスクと BIOS のセットアップ」で説明したのは物理的なハード
ディスク構造の一般的な詳細です。組み込みの IDE ハードディスクコントローラ
は、物理的なディスク構造を隠ぺいします。その結果、マザーボードの BIOS に
よって認識されるのは、論理的なシリンダ、ヘッド、およびセクタです。ここではこ
の問題について詳しく説明しませんが、このことを知っておくと役に立つ場合があ
ります。
A.2.3 起動シーケンスの調整 - Advanced CMOS Setup メニュー
BIOS メ ニ ュ ー に は 通 常 、 Standard CMOS Setup と は 別 に 、 Advanced
CMOS Setup 項目があります。この項目で、C:、A:、CD-ROM の起動シーケン
スを調整できます。
起動シーケンスの管理は、AMI BIOS、AwardBIOS、およびハードウェアの製
造元など、BIOS ごとに異なることに注意してください。
Acronis MigrateEasy
55
数年前のオペレーティングシステムの起動シーケンスは、BIOS にハードコー
ディングされていました。オペレーティングシステムは、フロッピーディスク(ドライ
ブ A:)またはハードディスク C:から起動可能で、それが BIOS が外部ドライブを
クエリするシーケンスでした。BIOS は、ドライブ A:が準備できている場合はフロッ
ピーディスクからオペレーティングシステムの起動を試み、ドライブ A:が準備でき
ていない場合またはフロッピーディスクにシステム領域がない場合は、ハードディ
スク C:からオペレーティングシステムの起動を試みました。
現在の BIOS では、フロッピーディスクとハードディスクだけでなく、CD-ROM、
DVD、およびその他のデバイスからオペレーティングシステムを起動できます。コ
ンピュータに C:、D:、E:、および F:のラベルが付いた複数のハードディスクがイ
ンストールされている場合は、起動シーケンスを調整することにより、オペレーティ
ングシステムがたとえばハードディスク E:から起動するように設定できます。この
場合、起動シーケンスを、E:、CD-ROM、A:、C:、D:のように設定する必要があり
ます。
これは、この一覧にある最初のハードディスクから起動が実行されるという意味で
はありません。単に、オペレーティングシステムを起動する最初の試みがこのハー
ドディスクから行われるという意味です。ハードディスク E:にオペレーティングシス
テムがない場合や、E:が非アクティブになっている場合があります。この場合、
BIOS は一覧の次のドライブをクエリします。起動中に発生する可能性のあるエ
ラーについては、A.2.5「ハードディスクの初期化エラー」を参照してください。
BIOS は、IDE コントローラに接続されている順序(プライマリマスタ、プライマリス
レーブ、セカンダリマスタ、セカンダリスレーブの順)に従ってディスクを順番に認
識し、次に SCSI ハードディスクを順番に認識します。
BIOS セットアップで起動シーケンスを変更した場合、この順序は崩れます。たと
えば、起動をハードディスク E:から実行するよう指定した場合、通常の環境では
3 番目になるハードディスク(一般的にはセカンダリマスタ)から認識が開始されま
す。
コンピュータにハードディスクを設置して BIOS で構成すると、PC(つまりマザー
ボード)はそのハードディスクの存在と主なパラメータを「認識」するようになります。
しかしオペレーティングシステムがハードディスクを操作するには、まだ充分では
ありません。
56
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
A.2.4 AwardBIOS
AwardBIOS でのハードディスクの構成例を、次に示します。
Celeron、Pentium II~III、AMD-K6/K7 プロセッサ用のマザーボードでハー
ドディスクを構成するための一般的な AwardBIOS の[Main]メニューは、次のよ
うになっています。
AwardBIOS セットアップユーティリティ
Main
Advanced
Power
Boot
Exit
System Time
System Date
[16:16:35]
[01/10/2001]
Item Specific Help:
Legacy Diskette A
Legacy Diskette B
Floppy 3 Mode Support
[1.44M, 3.5in]
[None]
[Disabled]
<Enter> to go to sub-menu.
Primary Master
Primary Slave
Secondary Master
Secondary Slave
[Auto]
[Auto]
[Auto]
[Auto]
Language
Supervisor Password
User Password
Halt On
Installed Memory
[English]
[Disabled]
[Disabled]
[All but Disk/Keyboard]
[Disabled]
F1
Help
↑↓
Select Item
-/+
Esc
Exit
←→
Select Menu
Enter Select Sub-Menu
Change Values
F5
Setup Defaults
F10
Save and Exit
Acronis MigrateEasy
57
Primary Master 行を選択し、 Enter キーを押して次のような画面に移動しま
す。
AwardBIOS セットアップユーティリティ
Main
Primary Master [Auto]
Type
Item Specific Help:
[Auto]
<Enter> to select the type
of the IDE drive.
[User Type HDD] allows
you to set each entry on
your own.
Warning: Ultra DMA Mode
3/4/5 can be enabled only
when BIOS detects
Shielded 80-pin cable.
F1
Help
↑↓
Select Item
-/+
Esc
Exit
←→
Select Menu
Enter Select Sub-Menu
Change Values
F5
Setup Defaults
F10
Save and Exit
Type パラメータの値(この場合は[Auto])を選択して Enter キーを押し、この
パラメータに設定できる値の一覧を開きます。例を次に示します。
None
Auto
User Type HDD
CD-ROM
LS-120
ZIP-100
MO
Other ATAPI Device
58
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
↑ キーと ↓ キーを使用して User Type HDD の値を選択し Enter キーを押
すと、次のような画面になります。
AwardBIOS セットアップユーティリティ
Main
Primary Master [User Type HDD]
Item Specific Help:
Type
Translation Mode
[User Type HDD]
[LBA]
<Enter> to select the type
of the IDE drive.
Cylinders
Head
Sector
CHS Capacity
Maximum LBA Capacity
[………0]
[……0]
[…0]
0MB
0MB
[User Type HDD] allows
you to set each entry on
your own.
Multi Sector Transfer
SMART Monitoring
PIO Mode
Ultra DMA Mode
[Maximum]
[Disabled]
[4]
[5]
Warning: Ultra DMA Mode
3/4/5 can be enabled only
when BIOS detects
Shielded 80-pin cable.
F1
Help
↑↓
Select Item
-/+
Esc
Exit
←→
Select Menu
Enter Select Sub-Menu
Change Values
F5
Setup Defaults
F10
Save and Exit
Translation Mode、Cylinders、Head、および Sector パラメータの値(ハード
ディスクのケースに記載されている値)を入力して、BIOS でのハードディスクの
初期構成を終了します。
Translation Mode パラメータでは、次の値を設定できます。
LBA
Large
Normal
Match Partition Table
Manual
Acronis MigrateEasy
59
新しいバージョンの AwardBIOS メニューには[Boot]項目があります。起動シー
ケンスを調整するための Award BIOS の[Boot]メニュー画面は、次のように
なっています。
AwardBIOS セットアップユーティリティ
Main
Advanced
Boot
Power
Exit
1. ATAPI CD-ROM
2. Removable Device
[None]
[Legacy Floppy]
Boot Sequence:
3. IDE Hard Drive
4. Other Boot Drive
[IBM-DTLA-307020]
[Disabled]
Plug & Play O/S
Boot Virus Detection
Quick Power On Self Test
Boot up Floppy Seek
Full Screen Logo
[No]
[Enabled]
[Enabled]
[Enabled]
[Enabled]
<Enter> to select the
device To select the boot
sequence, use up or down
Arrow.
Press <+> to move the
Device up the list, or
<-> to move it down the list
F1
Help
↑↓
Select Item
-/+
Esc
Exit
←→
Select Menu
Enter Select Sub-Menu
Change Values
F5
Setup Defaults
F10
Save and Exit
[3. IDE Hard Drive]項目の右側のフィールドを選択して Enter キーを押す
と、コンピュータに接続され BIOS により検出されたすべてのハードディスクの一
覧が、[Disabled]行の下に表示されます。表示例を次に示します。
Disabled
Quantum FireBALL_1700A
IBM DTLA-307020
Quantum FireBALL_1700A
画面の左上隅にあるデバイスのシーケンスは、BIOS が起動ディスクを探す際、
最初に CD-ROM(1. ATAPI CD-ROM)をクエリすることを意味しますが、現在
の構成では CD-ROM はありません。BIOS は次にフロッピーディスクドライブ(2.
Removable Device)をクエリします。どちらのディスクにもオペレーティングシス
テムが含まれていない場合にのみ、BIOS は一覧から選択されたハードディスク
(3. IDE Hard Drive)をクエリします。
60
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
一覧から項目を選択するには ↑ キーと ↓ キーを使用し、一覧のデバイスを上下
に移動するには + キーまたは - キーを使用します。これにより、起動シーケンス
が変更されます。起動シーケンスの選択例を次に示します。
AwardBIOS セットアップユーティリティ
Main
Advanced
Boot
Power
Exit
1. Removable Device
2. ATAPI CD-ROM
[Legacy Floppy]
[None]
Boot Sequence:
3. IDE Hard Drive
4. Other Boot Drive
[IBM-DTLA-307020]
[Disabled]
Plug & Play O/S
Boot Virus Detection
Quick Power On Self Test
Boot up Floppy Seek
Full Screen Logo
[No]
[Enabled]
[Enabled]
[Enabled]
[Enabled]
<Enter> to select the
device To select the boot
sequence, use up or down
Arrow.
Press <+> to move the
Device up the list, or
<-> to move it down the list
F1
Help
↑↓
Select Item
-/+
Esc
Exit
←→
Select Menu
Enter Select Sub-Menu
Change Values
F5
Setup Defaults
F10
Save and Exit
指定されたパラメータを設定した後、 ← キーと → キーを使用して[Exit]メニュー
項目を選択します。指定したパラメータの保存を求めるメッセージに従い、指定内
容を保存します。
Acronis MigrateEasy
61
Pentium、Pentium Pro(上述のプロセッサより旧式のプロセッサ)、および
AMD-K5/K6 プロセッサのマザーボード用 AwardBIOS の、Standard CMOS
Setup 画面は次のようになります。
ROM PCI/ISA BIOS (2A69JA2A)
STANDARD CMOS SETUP
AWARD SOFTWARE, INC.
Date (mm:dd:yy)
:
Fri,
May
15
Time (hh:mm:ss)
:
11:
33:
53
1998
HARD DISKS
:
TYPE
SIZE
CYLS
HEAD
PRECOMP
LANDZ
SECTOR
MODE
Primary Master
:
Auto
0
0
0
0
0
0
Auto
Primary Slave
:
Auto
0
0
0
0
0
0
Auto
Secondary Master
:
None
0
0
0
0
0
0
0
Secondary Slave
:
None
0
0
0
0
0
0
0
Drive A : 1.44 M
Drive B : None
Base Memory:
0K
Extended Memory:
0K
Video : EGA/VG
Other Memory:
512K
Halt On: All Errors
Total Memory:
512K
ESC : Quit
↑↓→←:
Select Item
F1 : Help
(Shift) F2
Change Color
PU/PD/+/- : Modify
TYPE パラメータの値は、「Auto」、「Not Installed」、または「User Defined」に
設定できます。「User Defined」の場合、ハードディスクのケース上の記載に従っ
て、その他のパラメータ値(MODE 以外)を手動で指定する必要があります。
MODE パラメータと LANDZ パラメータの用途については、上記の注で説明し
ています。PRECOMP パラメータはいわゆるプリコンペンセーションパラメータ
で、古いハードディスク(MFM および RLL)の場合のみ意味を持ちます。IDE
ディスクはこのパラメータを無視します。
以前の BIOS バージョンでは、起動シーケンスは Boot Sequence 行の BIOS
FEATURES Setup セクションで設定され、C:、A:、CD-ROM、あるいは CDROM、C:、A:などの最も標準的な起動シーケンスを選択するようになっていまし
た。
62
付録 A ハードディスクと BIOS のセットアップ
A.2.5 ハードディスクの初期化エラー
デバイスは、通常は正常に初期化されますが、エラーが発生する場合もあります。
ハードディスク関連の典型的なエラーは、次のメッセージによって報告されます。
PRESS A KEY TO REBOOT
このエラーメッセージは、ハードディスク初期化中のエラーと直接関係はありませ
ん。ただし、たとえば起動プログラムがハードディスク上にオペレーティングシステ
ムを見つけられない場合、またはハードディスクのプライマリパーティションがアク
ティブとして設定されていない場合に表示されます。
DISK BOOT FAILURE,
INSERT SYSTEM DISK AND
PRESS ENTER
このメッセージは、起動プログラムがフロッピーやハードディスク、CD-ROM など
の利用可能な起動用デバイスを見つけられない場合に表示されます。
C: DRIVE ERROR
C: DRIVE FAILURE
ERROR ENCOUNTERED
INITIALIZATION HARD DRIVE
このメッセージは、ハードディスク C:にアクセスできない場合に表示されます。
ハードディスクが正常に機能している場合、このエラーメッセージは次の設定/接
続が間違っていることが原因で発生したと考えられます。
• BIOS セットアップにおけるハードディスクのパラメータ
• ハードディスクのジャンパ(マスタ/スレーブ)
• インターフェイスケーブル
デバイスが故障していたり、ハードディスクがフォーマットされていない可能性もあ
ります。
Acronis MigrateEasy
63
付録B パーティションとファイルシステム
B.1 ハードディスクのパーティション
ハードディスク全体を 1 つの単位としてアクセスする以外に手段がないと、非常
に不便です。そこで、ハードディスクをいくつかの部分に分割して、さまざまな種
類のデータやオペレーティングシステムを格納する仕組みが考案されました。こ
れは、ハードディスクをパーティションに分割することによって実現されます。
ハードディスクのパーティション作成は特別なアプリケーションによって行われま
す。MS-DOS や Windows では、FDISK やディスクアドミニストレータといった
プログラムが使用されます。これらのプログラムを使用することにより、パーティショ
ンを作成し、サイズとラベルを設定することができます。
パーティション作成プログラムには次の機能があります。
• プライマリパーティションの作成(最大 4 つ)
• 任意の数の論理ディスクに分割できる、1 つの拡張パーティションの作成
• アクティブパーティションの指定(アクティブにできるのはプライマリパー
ティション 1 つだけ)
ハードディスクのパーティションに関する情報は、パーティションテーブルと呼ば
れる特別なディスク領域(シリンダ 0、ヘッド 0、セクタ 1)に格納されます。このセク
タは、MBR(マスタブートレコード)と呼ばれます。
物理ハードディスクに含めることのできるプライマリパーティションは最大 4 つで
す。この制限は、単にパーティションテーブル自体がわずか 4 つのパーティション
で構成されているために存在しています。ただし、これはオペレーティングシステ
ムを 4 種類しかインストールできないという意味ではありません。最近のディスク
管理ソフトウェアを使用すれば、さらに多くのオペレーティングシステムをインス
トールできます。たとえば、Acronis PartitionExpert 2003 のディスクマネージャ
を使用すると、1 台のハードディスクに最大 100 個のオペレーティングシステムを
インストールできます。
64
付録 B パーティションとファイルシステム
B.2 ファイルシステム
オペレーティングシステムは、パーティション上に何らかの種類のファイルシステ
ムをサポートします。これによって、ユーザーはデータを扱うことができるようになり
ます。
すべてのファイルシステムは、データの格納と管理に必要な構造を備えています。
これらの構造は通常、オペレーティングシステムのブートセクタ、フォルダ、および
ファイルで構成されています。ファイルシステムの基本的な機能は次のとおりです。
1. 使用中および未使用のディスク領域を追跡する。不良セクタが存在する場合
はこれも追跡する。
2. フォルダ名とファイル名をサポートする。
3. ハードディスク上のファイルの物理的な場所を追跡する。
オペレーティングシステムによって、使用するファイルシステムは異なります。1 種
類のファイルシステムしか扱うことのできないオペレーティングシステムもあれば、
複数の種類のファイルシステムを扱うことができるオペレーティングシステムもあり
ます。ここからは、広く一般に使用されるいくつかのファイルシステムについて詳し
く説明します。
B.2.1 FAT16
FAT16 は 、 DOS ( DR-DOS 、 MS-DOS 、 PC-DOS 、 PTS-DOS な ど ) 、
Windows 95/98/Me、および Windows NT/2000/XP で広く使用されているほ
か、ほとんどのシステムでサポートされています。
FAT16 の主な機能は、ファイルアロケーションテーブル(FAT)とクラスタです。
FAT はファイルシステムの中核です。データの安全性を高めるため、FAT のイ
ンスタンスを複数(通常は 2 つ)持つことができます。クラスタは、FAT16 のデー
タストレージの最小単位で、1 つのクラスタには一定の数(2 の累乗)のセクタが含
まれます。FAT は空きクラスタと不良クラスタに関する情報を格納し、ファイルが
格納されるクラスタの定義も行います。
FAT16 の最大サイズは 4GB、クラスタの最大数は 65525、最大クラスタは 128
セクタです。クラスタサイズは通常、クラスタの数が 65526 未満に収まる範囲でで
きる限り小さいサイズが選択されます。パーティションサイズが大きくなれば、それ
だけクラスタサイズを大きくする必要があります。ほとんどのオペレーティングシス
テムは 128 セクタのクラスタでは正しく機能しないため、FAT16 でのパーティショ
ンの最大サイズを 2GB に制限しています。
Acronis MigrateEasy
65
通常、クラスタサイズが大きいと、無駄になるディスク領域も多くなります。
他の多くのファイルシステムと同様、FAT16 にもルートフォルダがあります。ただ
し、そのルートフォルダは他のファイルシステムとは異なり特別な場所に格納され、
サイズも制限されています(標準のフォーマットで作成されるルートフォルダに格
納できるファイルやフォルダの数は最大 512 です)。
初期の FAT16 には、ファイル名に 8 文字以内の名前、ピリオド、および 3 文字
以内の拡張子を使用するという制約がありました。しかし、Windows 95 および
Windows NT ではロングファイルネームがサポートされ、この制約が回避されて
います。OS/2 でもロングファイルネームがサポートされますが、その方法は異なり
ます。
B.2.2 FAT32
FAT32 は Windows 95 OSR2 で登場し、Windows 98/Me および Windows
2000/XP でもサポートされています。FAT32 は FAT16 をベースとしていますが、
クラスタを 28 ビットで管理する点、およびルートフォルダが柔軟になりサイズの制
限がないという点で FAT16 と大きく異なります。FAT32 が使用されるようになっ
た理由は、8GB を超える大容量ハードディスクをサポートする必要が生じたことと、
今も Windows 95/98/Me の中核である MS-DOS に、これ以上複雑なファイル
システムを構築できなくなったことです。
FAT32 の最大サイズは 2TB(テラバイト)です。
66
付録 B パーティションとファイルシステム
B.2.3 NTFS
NTFS は、Windows NT/2000/XP の主要なファイルシステムです。その構造は
公開されていないため、完全にサポートするオペレーティングシステムは他にあり
ません。NTFS の主な構造は、MFT(Master File Table)です。NTFS は、
MFT の重要部分のコピーを格納し、データの損傷や損失の可能性を小さくしま
す。他の NTFS データ構造はすべて特別なファイルです。
FAT と同様、NTFS はクラスタを使用してファイルを格納しますが、クラスタサイ
ズはパーティションサイズに左右されません。NTFS は 64 ビットファイルシステム
で、Unicode を使用してファイル名を格納します。ジャーナリング(耐障害性)ファ
イルシステムでもあり、圧縮と暗号化をサポートします。
フォルダ内のファイルには、ファイル検索を高速化するためのインデックスが付け
られます。
B.2.4 Linux Ext2
Ext2 は、Linux の主要なファイルシステムの 1 つです。Ext2 は 32 ビットファイ
ルシステムで、最大サイズは 16TB です。ファイルを記述する主なデータ構造は
i-node です。すべての i-node のテーブルを格納する場所を、事前(フォーマット
時)に割り当てる必要があります。
B.2.5 Linux Ext3
Ext3 は、Linux のバージョン 7.2 で正式に導入された、Red Hat Linux の
ジャーナリングファイルシステムです。Linux Ext2 との上位および下位互換性が
あります。複数のジャーナリングモードを備え、32 ビットと 64 ビットの両方のアー
キテクチャでプラットフォームに依存しない幅広い互換性を実現します。
B.2.6 Linux ReiserFS
ReiserFS は 2001 年に正式に Linux に導入されました。ReiserFS では、Ext2
の多くの短所が取り除かれています。64 ビットのジャーナリングファイルシステム
で、データの下部構造の領域を動的に割り当てます。
Acronis MigrateEasy
67
Acronis DiskEditor
ユーザーズガイド
Copyright © SWSoft, 2000-2002
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特定目的適合性または非違反性の保証など、すべての明示的もしくは黙示的条
件、表示および保証を一切行いません。ただし、この免責条項が法的に無効とさ
れる場合はこの限りではありません。
目次
はじめに ...................................................................................... 4
第1章
Acronis DiskEditor のインストールとご使用にあたって .... 7
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
Acronis DiskEditor のパッケージ ........................................... 7
インストール ............................................................................. 7
Acronis DiskEditor の修復とアップグレード ............................ 8
ソフトウェアの削除 .................................................................... 9
ユーザーインターフェイス.......................................................... 9
第2章
Acronis DiskEditor での作業........................................ 10
2.1
2.2
2.3
2.4
2.5
2.6
2.7
2.8
パーティションまたはディスクの選択......................................... 10
プログラムのメインウィンドウ ..................................................... 11
マルチウィンドウモードでの作業 .............................................. 13
ハードディスクの編集.............................................................. 15
ブロックのファイルへの書き込みとファイルからの読み取り ......... 17
表示 ...................................................................................... 19
検索 ...................................................................................... 20
別のエンコードでの作業 ......................................................... 22
第3章
メインウィンドウの表示モード......................................... 23
3.1
3.2
3.3
3.4
3.5
MBR(マスタブートレコード) ................................................... 23
プライマリパーティションの作成 ............................................... 25
パーティションのフォーマット ................................................... 27
論理パーティションの作成....................................................... 30
ファイルアロケーションテーブル(FAT)と
ルートフォルダ(Root) ............................................................ 32
クラスタのチェーンとしてのファイル .......................................... 32
DiskEditor メインウィンドウのフォルダ .................................... 34
短い名前のファイル ................................................................ 36
長い名前のファイル ................................................................ 37
フォルダとサブフォルダ........................................................... 38
3.5.1
3.5.2
3.5.3
3.5.4
3.6
Acronis DiskEditor
3
はじめに
ハードディスク
ハードディスクは、非常に効率よく情報を格納できるデバイスです。今日のハード
ディスクは、格納される情報のボリュームが大きく、記録密度が非常に高く、かつ
格納された情報へのアクセスが非常に高速であるという特徴を備えています。
ハードディスクは、通常はきわめて信頼性の高いデバイスです。ハードディスクの
パラメータの 1 つである平均故障間隔は、20,000~50,000 時間に達します。
ただしこれは、ハードディスクに情報を格納してもエラーがまったく発生しないとい
う意味ではありません。ハードディスク上の情報はさまざまな要因によって危険に
さらされており、すべてのユーザーがこういった要因を認識しておく必要がありま
す。
ハードディスクユーティリティプログラム
ディスクサブシステムなどのさまざまなコンピュータシステムをユーザーが調査で
きるプログラムツールがあります。ディスクマネージャはこれらのツールの中の 1
つで、ハードディスクのデフラグ、ファイルやフォルダ構造の不備の検出と修正、
および不良セクタの検索とマーク付けを行うことができます。情報の整合性を損な
うおそれのあるコンピュータウィルスを検出し駆除することができる、特別なユー
ティリティもあります。
また場合によっては、ハードディスクを修復するために、ディスクエディタと呼ばれ
るより強力なツールが必要になります。Acronis DiskEditorは、まさにこの作業
を行うためのソフトウェアです。
Acronis DiskEditorはブートレコードと、ファイルおよびフォルダ構造の復元、破
損クラスタの検出、コンピュータウィルスコードのディスクからの削除など、ハード
ディスクに対してさまざまな処理を行うことができます。
また、このプログラムは初心者向けとしても価値の高いプログラムです。ハード
デ ィ ス ク の 構 造 と デ ー タ ス ト レ ー ジ に 関 す る 本 を 数 冊 読 む こ と と 、 Acronis
DiskEditorでハードディスクの構造を実際に見ることとは、まったくの別物です。
4
はじめに
このユーザーズガイドについて
ハ ー ド デ ィ ス ク は 、 か な り 複 雑 な 情 報 ス ト レ ー ジ デ バ イ ス で す 。 Acronis
DiskEditor を使って効率的に作業を行うには、ハードディスクおよびコンピュー
タとハードディスクの相互作用に関する基本的な知識が必要です。Acronis
DiskEditor を使用してハードディスクを操作する際には、ミスが重大な問題につ
ながるおそれがあることを念頭に置く必要があります。たとえば、ハードディスクの
情報の整合性を損ない、それによってデータにアクセスできなくなるばかりか、
ハードディスクを使用できなくなる可能性があります。
このガイドでは、紙面の関係で、ハードディスクのデータストレージを構成する方
法や、ハードディスクとオペレーティングシステムやアプリケーションとの相互作用
に関する情報について完全に説明することはできません。したがって、情報スト
レージやハードディスクの内部構造に関する複雑な技術情報の詳細は省き、最も
重要な内容についてのみ説明します。主にAcronis DiskEditorの機能につい
て説明します。
プログラムの基本的な機能と役割については、第 2 章「Acronis DiskEditor で
の作業」を参照してください。
各種表示モードとディスクに対する作業全般のパフォーマンスについては、第 3
章「メインウィンドウの表示モード」を参照してください。
ソフトウェアの使用条件
Acronis DiskEditorソフトウェアの使用条件は、パッケージに含まれる「使用許
諾 契 約 書 」 に 規 定 さ れ て い ま す 。 同 封 の 登 録 カ ー ド は 、 お 客 様 が Acronis
DiskEditorを正規に購入され、お客様のシステム上で使用されることを確認する
ものです。登録カードには、固有の登録番号が付いています。
このソフトウェアを違法に使用または頒布した場合は起訴の対象となります。
Acronis DiskEditor
5
テクニカルサポート
正規にAcronis DiskEditorを購入し、登録していただいたお客様には、テクニ
カルサポートを無償で提供しています。インストールやご使用に際し、本書または
README ファイルを参照しても解決できない問題が発生した場合は、弊社のサ
ポート Web サイトをご覧いただくか、下記のアドレスの弊社のサポート部門に電
子メールをお送りください。その際、Acronis DiskEditorの登録番号もお知らせ
ください。登録番号は、製品に同梱されている登録カードに記載されています。
サポート URL: http://www.proton.co.jp/support/personal/
電子メール: [email protected]
6
はじめに
第1章 Acronis DiskEditorのインストールとご使
用にあたって
1.1 Acronis DiskEditorのパッケージ
Acronis DiskEditorのパッケージには、次のものが含まれます。
• インストールディスク1枚
• ユーザーズガイド(本書)
• 補足説明書
• 登録カード
1.2 インストール
Acronis DiskEditor をインストールするには、次の作業を行います。
1. Acronis DiskEditorインストールディスクを CD-ROM ドライブに挿入し、イ
ンストール手順を開始します。
2. 画面に表示されるインストールプログラムの指示に従います。
3. インストール方法を選択してAcronis DiskEditorのファイルをハードディスク
にコピーすると、起動用フロッピーディスクまたはブータブル CD-R/RW の作
成を求められます。Windows でDiskEditorを実行時に、コンピュータを起
動できなくなる可能性があります。このため、起動用メディアを作成することを
お勧めします。
Acronis DiskEditor
7
Acronis DiskEditorのインストールが完了したら、コンピュータを再起動してくだ
さい。
1.3 Acronis DiskEditorの修復とアップグレード
ソフトウェアのアップグレードや修復を行うには、Acronis DiskEditorのインス
トールプログラムを再度実行します。インストールプログラムは、DiskEditorが既
にコンピュータにインストールされているかどうかを判断し、プログラムを修復(アッ
プグレード)するかどうか、あるいはディスクから完全に削除するかどうかを確認す
るメッセージを表示します。
8
第 1 章 Acronis DiskEditor のインストールとご使用にあたって
1.4 ソフトウェアの削除
ソフトウェアを削除するには、[スタート]メニューのプログラムから、[Acronis]→
[DiskEditor]→[Acronis DiskEditor のアンインストール]の順に選択します。
PC のハードディスクからソフトウェアを削除するかどうかを確認するダイアログ
ボックスが表示されます。削除する場合は はい を押します。これにより、Acronis
DiskEditorが完全に削除されます。
1.5 ユーザーインターフェイス
Acronis DiskEditorはグラフィックユーザーインターフェイスを備えており、マウ
スや Tab 、 Shift+Tab 、 ← 、 → 、 ↑ 、 ↓ 、 Space 、 Enter 、および Esc
キーによって操作できます。
Windows、X-Windows、または OS/2 のアプリケーションを日常的に使用してい
る場合は、Acronis DiskEditorインターフェイスを問題なく理解し使用できます。
Acronis DiskEditor
9
第2章 Acronis DiskEditorでの作業
2.1 パーティションまたはディスクの選択
Acronis DiskEditorでの作業は、[開く]ダイアログウィンドウから開始します。こ
のウィンドウは、[スタート]メニューにあるプログラムグループから[ Acronis
DiskEditor]をクリックすると表示されます。
パーティションまたはディスクの選択ウィンドウ
デフォルトでは、最初のハードディスクが自動的に作業対象としてマークされます。
他のディスクや個別のパーティションを選択するには、マウスの左ボタンで該当す
る四角形をクリックします。
ディスク全体を選択した場合とパーティションのみを選択した場合の違いは、次の
とおりです。ディスク全体を選択すると、ディスク全体のデータストレージ構造、つ
まりパーティションテーブル、全ディスクパーティションのファイルアロケーション
テーブル、ルートフォルダ、およびデータ領域を表示および編集できます。パー
ティションのみを選択した場合は、そのパーティションのデータストレージ構造の
み、つまり FAT、ルートフォルダ、および選択したパーティションのデータ領域の
みを表示および編集できます。
10
第 2 章 Acronis DiskEditor での作業
2.2 プログラムのメインウィンドウ
メインウィンドウには、内部プログラムが現在参照している場所のディスク番号とセ
クタ番号が表示され、通常はさまざまなモードでの情報と作業内容が表示されま
す。
次の図は、パーティションテーブルモードで表示した、プログラムのメインウィンド
ウです。
パーティションテーブルモードで表示したメインウィンドウ
ここに含まれる情報が意味を持つためには、現在のセクタは MBR または拡張
パーティションテーブルである必要があります。
次の図は、パーティションテーブルをそのままダンプリストで表示した図です。左
側には 16 進表記のバイト値が表示され、右側にはその値に対応する文字が表
示されます。
Acronis DiskEditor
11
16 進モードで表示したメインウィンドウ
現在の編集位置を示すカーソルが、ウィンドウの右側または左側に表示されます。
このセクションに示すDiskEditorのメインウィンドウの表示モード例はすべて、デ
モンストレーションの目的で提示されています。
Acronis DiskEditorのメインメニューには、次の項目が含まれます。
• [ディスク] - ハードディスクパーティションのウィンドウを開くことができま
す。また、編集するハードディスクを選択できます。
• [編集] - 選択したハードディスクパーティションのブロックを操作できま
す。また、編集後にディスクセクタの内容を保存できます。
• [表示] - データをよりわかりやすく表示できる表示モードを選択できま
す。
• [検索] - パーティション(またはハードディスク)から任意のデータや文
字列を検索できます。また、絶対オフセットに基づいて特定のディスクセク
タに移動できます。
• [ヘルプ] - DiskEditorのウィンドウに関するヘルプ、またはプログラム
の開発元とバージョンを表示できます。
12
第 2 章 Acronis DiskEditor での作業
2.3 マルチウィンドウモードでの作業
DiskEditorでは、複数のウィンドウを使用できます。[ディスク]メニューから複数
のメインウィンドウを開き、各ウィンドウに異なるハードディスクセクタを表示できま
す。
[ディスク]メニュー
別のAcronis DiskEditorウィンドウに切り替えるには、切り替え先のウィンドウを
マウスでクリックするか、 Alt+Tab キーを押してウィンドウを順番に切り替えます。
Acronis DiskEditor をマルチウィンドウエディタとして使用
[ディスク]メニューの[プロパティ]を選択すると、作業対象として選択したコン
ピュータのハードディスク(または任意のディスクから選択したパーティション)のメ
インプロパティを表示するウィンドウにアクセスできます。
Acronis DiskEditor
13
[ハードディスクのプロパティ]ウィンドウ
このウィンドウに表示される主なハードディスクのプロパティは次のとおりです。
• [システム名] - ディスクのシステム名
• [モデル] - ハードディスクのモデル
• [トラックあたりのセクタ数] - 1 トラックあたりのセクタ数
• [ヘッド数] - ヘッド数
• [シリンダ数] - シリンダ数
• [合計サイズ] - ハードディスクの容量
• [インターフェイス] - インターフェイスの種類(ATA、SCSI)
• [コントローラ] - コントローラの種類
14
第 2 章 Acronis DiskEditor での作業
2.4 ハードディスクの編集
DiskEditorのメインウィンドウにある[編集]メニューから、指定したハードディスク
セクタのブロックに対する主な操作を行うことができます。すべての表示モードの
フィールドで、ハードディスクのデータを直接編集できます(表示モードについて
は、[表示]メニューの説明を参照してください)。16 進モード表示では、[編集]メ
ニューを使用してデータブロックを操作できます。
[編集]メニュー
マウスの左ボタンを押しながらドラッグするか、 Shift キーを押しながら矢印キー
を押すと、ブロックを選択できます。
16 進モードで表示されたメインウィンドウで 16 進表示領域または文字表示領域
のデータを変更したり、その他の表示モードの任意のフィールドのデータを変更
するだけでは、指定されているディスクセクタは更新されません。これらの変更を
行うと、[編集]メニューの[セクタを保存]および対応するツールバーのボタンが
有効になります。
Acronis DiskEditor
15
[セクタを保存]の操作
この機能を使用して、セクタの編集結果を保存することも破棄することもできます。
ハードディスクのセクタを変更した後、変更を保存せずにエディタを終了しようと
すると、変更を保存するかどうかを確認するメッセージが表示されます。
変更したセクタの保存
16
第 2 章 Acronis DiskEditor での作業
2.5 ブロックのファイルへの書き込みとファイルからの
読み取り
[ファイルに書き込む]メニュー項目と[ファイルから読み取る]メニュー項目を使
用すると、選択したブロックをファイルに保存したり、ファイルからブロックを読み
取ってディスクセクタに保存することができます。
[ファイルに書き込む]を選択すると、[ファイルへの書き込み]ウィンドウが開きま
す(保存するブロックを事前に選択しておく必要があります)。このウィンドウでは、
ファイル名とパスを入力するか、 参照... を押してファイルの場所を指定します。
ファイルサイズは自動的に計算されます。ファイルを保存するには、 OK を押しま
す。
[ファイルへの書き込み]ウィンドウ
ファイルからブロックを読み取ってディスクセクタに挿入するには、挿入先セクタの
バイト位置にカーソルを合わせ、[ファイルから読み取る]メニュー項目を選択しま
す。このメニュー項目を選択すると、[ファイルからの読み取り]ウィンドウが開きま
す。このウィンドウでは、ファイル名とパスを入力するか 参照... を押してファイル
の場所を指定します。現在のカーソル位置から(またはファイルのオフセットを考
慮して)セクタへファイルの内容を挿入するには、 OK を押します。
Acronis DiskEditor
17
[ファイルからの読み取り]ウィンドウ
18
第 2 章 Acronis DiskEditor での作業
2.6 表示
Acronis DiskEditorウィンドウの情報は、複数の異なるモードで表示および編集
できます。[表示]メニューを使用して、適切な表示モードを選択することができま
す。
[表示]メニュー
DiskEditor には、7 種類の表示モードが用意されています。
• [16 進]
• [パーティションテーブル]
• [FAT16 ブートセクタ]
• [FAT32 ブートセクタ]
• [FAT32 FS 情報セクタ]
• [NTFS ブートセクタ]
• [FAT フォルダ]
表示モードの機能については、第 3 章「メインウィンドウの表示モード」で説明しま
す。
Acronis DiskEditor
19
2.7 検索
[検索]メニューを使用すると、ハードディスクからデータを検索し、絶対オフセット
に基づいてディスクセクタに移動することができます。
[検索]メニュー
[検索]メニューの[検索]を選択すると、編集中のディスク内のデータを検索でき
ます。 Ctrl+F キーを押しても、同じ操作を実行できます。検索パラメータは[検
索]ダイアログウィンドウで設定できます。
[検索]ダイアログウィンドウ
検索するデータには、文字列値と数値(16 進値)の両方を使用できます。大文字
と小文字を区別せずに検索したり、セクタ内の指定したオフセットから目的のデー
タを検索することができます。
検索の際は、選択したエンコードに基づいてディスクのデータが解釈されます。
大文字と小文字を区別しない検索モードを選択すると、アルファベットの場合は
大文字と小文字が区別されず、文字上の特殊記号も無視されます。
20
第 2 章 Acronis DiskEditor での作業
検索処理が完了すると、データが見つかった場合はそのデータの位置が現在位
置となり、見つからない場合は元の位置が現在位置になります。[検索]メニュー
の[再検索]を選択するか F3 キーを押すと、現在位置から次のデータを検索で
きます。
[検索]メニューの[移動]を選択するか Alt+P キーを押すと、絶対オフセットに
基づいて指定したセクタに移動できます。このメニュー項目を選択すると、[セクタ
の移動]ダイアログウィンドウが開きます。
[セクタの移動]ウィンドウ
セクタの絶対オフセット、またはシリンダ、ヘッド、およびセクタの数を入力すると、
移動が実行されます。一覧のパラメータには、次の式による制限があります。
(CYL×HDS+HD)×SPT+SEC-1
CYL、HD、SEC は、CHS 座標(シリンダ、ヘッド、およびセクタ)で表されるシリ
ンダ、ヘッド、およびセクタの番号です。HDS はディスクあたりのヘッド数で、
SPT はトラックあたりのセクタ数です。
移動先のセクタから元のセクタへ戻るには、[検索]メニューの[戻る]を選択する
か、 Ctrl+L キーを押します。
Acronis DiskEditor
21
2.8 別のエンコードでの作業
プログラムのメインウィンドウには、DiskEditorで使用できるエンコードのリスト
ボックスが用意されています。このリストボックスは閉じた状態で表示され、クリック
するとドロップダウン形式で表示されます。
エンコードのリストボックスが閉じた状態とドロップダウン形式で表示された状態
エンコードのリストボックスは、ハードディスクのセクタの内容を正しく解釈するため
のものです。必要なエンコードを選択することにより、セクタの内容を正しく表示で
きます。解釈された内容は、16 進モードのプログラムのメインウィンドウの右側に
表示されます。
22
第 2 章 Acronis DiskEditor での作業
第3章 メインウィンドウの表示モード
容量が 1.79GB のハードディスクを例に、DiskEditorでの情報の表示方法につ
いて説明します。このハードディスクは、ハードディスクのセクタのバイト値をすべ
てゼロにする Acronis DriveCleanser を使って、すべてのディスクパーティショ
ンを削除し、ディスク内の情報を完全に消去してあります。これは、ハードディスク
にデータストレージ構造を作成する標準的な方法についてのデモンストレーショ
ンを行うための処置です。標準的な方法とは、たとえば Microsoft Windows(ま
た は MS-DOS ) オ ペ レ ー テ ィ ン グ シ ス テ ム で FDISK ユ ー テ ィ リ テ ィ や
FORMAT ユーティリティを使用する方法です。
3.1 MBR(マスタブートレコード)
パーティションテーブルモードで表示したプログラムのメインウィンドウを次に示し
ます。ディスクは空で、パーティションは含まれていません。
パーティションテーブル
Acronis DiskEditor
23
ハードディスクに含めることができるプライマリパーティションは 4 つだけなので、
画面にはパーティションに関する情報を示すための行が 4 行あります。ハード
ディスクパーティションには、次のパラメータがあります。
• 種類(FAT16/32、NTFS など)
• パーティションが起動用かどうかを示す起動パッチフラグ
• パーティションの開始シリンダ
• パーティションの開始ヘッド
• パーティションの開始セクタ
• パーティションの終了シリンダ
• パーティションの終了ヘッド
• パーティションの終了セクタ
• パーティションに割り当てられたハードディスクのセクタ数
パーティションテーブルには、同時に 2 つの方法でハードディスクパーティション
が記述されます。それらの方法とは、CHS 座標(シリンダ、ヘッド、セクタによる旧
式で制限のある方式)を使用したパーティションの開始セクタと終了セクタの座標
による記述方法と、パーティションの開始位置と長さをセクタ単位で記述する方法
です。
パーティションテーブルの各レコードには、どのパーティションを起動するかをメイ
ンローダーに指示する、パーティションの起動パッチフラグが含まれます。起動
パッチフラグは、1 つのパーティションにのみ割り当てることができます。
MBR(マスタブートレコード)とパーティションテーブルを含む最も低いレベルの
(バイトによる)MBR 構造は、次のようになります。
• 000h~1BDh バイト - アクティブパーティションのブートセクタの読み込
みコード。
• 1BEh~1CDh、1CEh~1DDh、1DEh~1EDh、1EEh~1FDh バイト
- パーティションレコード。
• 1FEh~1FFh バイト - パーティションテーブルのシグネチャ。AA55h
の値を取る。
24
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
3.2 プライマリパーティションの作成
Windows オペレーティングシステムに付属する FDISK ユーティリティ(大容量
ディスクをサポート)を使用して、選択したハードディスクに 0.97GB(1,000MB)
の容量を持つプライマリパーティションを作成します。
パーティションテーブルの変更内容を表示するには、新しく作成したパーティショ
ンを持つハードディスクを選択します。作成されたパーティションを作業対象とし
て選択すると、パーティションテーブルは表示できません。パーティションテーブ
ルには、ハードディスク全体に関する情報が含まれます。作業対象としてディスク
パーティションを選択すると、DiskEditorでは該当するパーティションに割り当て
られた領域しか参照できないため、表示できるのはその領域の情報のみになりま
す。
ハードディスクのプライマリパーティションを作成すると、パーティションテーブル
が直ちに更新されます。
プライマリパーティション
1,000MB のプライマリパーティションをディスクに作成すると、パーティションテー
ブルの最初の行に書き込みが行われます。パーティションのパラメータは図に示
したようになります。パーティションには合計 2,048,193 のセクタが含まれ、種類
は FAT32(16 進数で 0Bh)です。
Acronis DiskEditor
25
[パーティションの種類]フィールドの左側にある 移動 が有効になっていることに
注意してください。このボタンを押すと、パーティションテーブルレコードで指定し
たパーティションへ直ちに移動できます。
パーティションのパラメータを変更する際は、最大限の注意を払う必要がありま
す。ディスクに格納された情報は、簡単に破壊されてしまいます。DiskEditorの
機能について学習する際は、パーティションの作成や破棄、フォーマットなどのあ
らゆる作業の実験を行えるように、重要な情報を含まない古いディスクを使用する
方法が最も適しています。実際に使用しているディスクでは実験を行わないでく
ださい。
ハードディスクの操作を行うには、どのようなデータがどこに格納されるかを知る
必要があります。DiskEditorはディスク編集プログラムとしての機能を完備してい
るため、FDISK ユーティリティやその他のユーティリティを使用せずに、ディスク
に完全なパーティションを作成できます。また、DiskEditorには他にも多くの機
能があります。FDISK ユーティリティで作成できるのは FAT16/32 のパーティ
ションのみですが、DiskEditorを使用すれば、ほとんどの既知の種類のパーティ
ションを作成できます。作成できるパーティションの種類については、[パーティ
ションの種類]ドロップダウンリストボックスで確認できます。
Acronis DiskEditorでサポートされるパーティションの種類
このリストには、パーティションの種類が多数含まれています。あまり一般的では
ないものもあるかもしれません。
26
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
3.3 パーティションのフォーマット
ここで、Windows オペレーティングシステムにも付属している FORMAT ユー
ティリティを使用して、作成したプライマリパーティションをフォーマットします。この
場合は/S オプションを使用して、パーティションにシステムファイルが転送される
ようにします。
FORMAT C: /S
ディスクには、別の文字(D:など)を割り当てることができます。
FORMAT ユーティリティでパーティションをフォーマットすると、パーティションの
ブートセクタの内容が作成されます。
ブートセクタは、FAT16 ブートセクタ、FAT32 ブートセクタ、および NTFS ブート
セクタの各モードで表示できます。表示モードを選択するだけでは、DiskEditor
はパーティションのブートセクタの位置に自動的に移動しないことを覚えておく必
要があります。移動は手動で行う必要があります。この操作を実行するには、ハー
ドディスク全体で作業しているときに[検索]メニューの[移動]を選択し、ダイアロ
グウィンドウの[絶対セクタ]フィールドに、パーティションテーブルからのセクタの
オフセットを入力します。
または、[ディスク]メニューの[開く]を選択し、[開く]ダイアログウィンドウで、必要
なブートセクタのあるパーティション(ディスクと間違えないように注意)を選択しま
す。この場合、DiskEditorの位置は、パーティションの最初のセクタ、つまりブー
トセクタになります。
パーティションテーブルモードで表示している場合、パーティションレコードの左
側にある 移動 を押すだけで、あらゆるパーティションのブートセクタを見つけるこ
とができます。
Acronis DriveCleanser により、ハードディスクのセクタの値がすべてゼロになっ
ていることに注意してください。ハードディスクパーティションをフォーマットする前
に、そのパーティションのブートセクタを FAT32 ブートセクタモードで表示すると、
実際のパーティションの性質とは無関係な意味を持たないデータが表示されます。
DiskEditorの参照位置がパーティションのブートセクタにあり、FAT32 ブートセ
クタモードでの表示を選択しているとします。この場合、次の図とほぼ同じ画面が
表示されます(実際のデータの内容は、使用しているハードディスクによって異な
ります)。
Acronis DiskEditor
27
ブートセクタモード
ブートセクタモードで表示したメインウィンドウには多くのフィールドがあります。す
べてのフィールドが同じように重要なわけではありません。開発されたファイルシ
ステムはやがては古くなるため、ある時期に使用されていたフィールドが時間が
経つと使用されなくなる可能性があります。最も重要なフィールドを次に示します。
• [OEM ID] - パーティションのフォーマット時に形成されるデータ
• [セクタのサイズ] - セクタのサイズ(バイト)
• [クラスタあたりのセクタ数] - クラスタあたりのセクタ数
• [予備のセクタ] - ローダーのための予備のセクタ数
• [FAT のコピー] - FAT のコピー数(理論的にはディスクで最大 4 つの
FAT のコピーを使用可能。ただし、通常は 2 つを使用)
• [ルートフォルダの項目]、[合計セクタ数]、[FAT16 のサイズ] -
FAT16 ファイルシステムで使用するフィールド
• [メディア ID] - メディア(ディスク)ID
• [トラックあたりのセクタ数] - トラックあたりのセクタ数
• [ヘッド数] - ヘッド数
• [総セクタ数] - パーティションファイルシステム(32MB より大きなパー
ティション)で使用可能なディスクセクタ数
28
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
• [FAT のサイズ] - ディスクセクタ内のファイルアロケーションテーブルの
サイズ
• [アクティブな FAT] - コピーによる複製がオフになっている場合に、読
み取りと書き込みに使用されるアクティブな FAT コピーの番号(フィール
ドの下位 4 ビット)
• [ファイルシステムのバージョン] - FAT32 の場合は常に 0
• [ルートの最初のクラスタ] - ルートフォルダの最初のクラスタ(FAT32 で
は他のすべてのフォルダやファイルと同様にルートフォルダを格納し、
FAT16 では特殊なディスク領域を使用)
• [FS 情報セクタ] - FAT32 ファイルシステムの情報セクタの相対位置を
示す数
• [バックアップセクタ] - ブートセクタのコピーが含まれるセクタ
• [ハードディスク] - ディスクの BIOS 番号
• [拡張シグネチャ] - 拡張ブートセクタのシグネチャ
• [シリアル番号] - ボリュームのシリアル番号(フォーマット時に設定)
• [ボリュームラベル] - 文字列
• [ファイルシステム名] - ファイルシステムの文字識別子(FAT32)
• [ブートセクタのシグネチャ] - ブートセクタのシグネチャ
ブートセクタフィールドの一部は、将来の使用のために予約されています。
この構造については前述しました。ハードディスクパーティションも、オペレーティ
ングシステムのローダープログラムを含むセクタから始まります。プライマリロー
ダーとパーティションローダーは次のように関連して動作します。プライマリロー
ダーの目的は、アクティブパーティションの最初のセクタ(ブートセクタ)の位置を
特定し、そのコードをメモリに読み込んでメモリに制御を渡すことです。オペレー
ティングシステムの読み込みに関連するそこから先の処理は、アクティブパーティ
ションのローダーによって実行されます。
Acronis DiskEditor
29
プライマリローダー(パーティションローダー)のコードに含まれる命令を表示する
には、DOS と Windows の両方に付属する DEBUG ユーティリティを使用でき
ます。DEBUG を使用すると、ディスクセクタを読み取り、そのコードを逆アセンブ
ル、つまり機械語をアセンブラ言語に変換することができます。これらの命令を理
解するには、アセンブラ言語の知識が必要です。
3.4 論理パーティションの作成
論理パーティションを作成すると、パーティションテーブルの 2 行目が作成されま
す。
論理パーティション
論理パーティションは拡張 LBA(16 進数の 0Fh)でマークされます。外面的には
プライマリディスクパーティションと同じパラメータを持ちますが、構成と使用目的
が異なります。プライマリパーティションに含まれるのは、1 つの論理ディスクです。
DOS または Windows の拡張パーティションでは、論理ディスクをいくつでも構
成できます。
30
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
このユーザーズガイドでは、引き続き FAT32 ファイルシステムで使用される
DiskEditorの機能について説明します。
拡張パーティションの最初のセクタは、プライマリハードディスクパーティションの
最初のセクタ(MBR)と似ていますが、ローダーは含まず、拡張パーティションレ
コード(EPR)を含みます。
プライマリパーティションローダーは、オペレーティングシステムがディスク上にあ
る場合はそのオペレーティングシステムを読み込みます。ただし、Windows
9x/Me を拡張パーティションの論理ディスクから読み込むためには特別な設定が
必要です。
拡張パーティションレコードの最初のレコードによって、パーティションの最初の
論理ディスクが指定されます。
最初の論理ディスクが拡張パーティション全体を占有していない場合は、2 番目
の拡張パーティションレコードによって、次の拡張パーティションレコードを持つセ
クタの位置が指定されます。3 番目および 4 番目の拡張パーティションレコード
は使用されません。
物理ディスクの MBR パーティションテーブルは一度に 4 つのパーティションの
位置を指定できます。一方、拡張パーティションレコードはパーティションの
チェーンの位置を指定します。このチェーンの後方のパーティションは、拡張
パーティションレコードの 2 番目のレコードでは指定されません。
拡張パーティションレコードは、物理ハードディスクの開始位置(MBR セクタ)から
ではなく、拡張パーティションの開始位置(拡張パーティションレコードのセクタ)か
ら処理を行います。
拡張レコードのチェーンは、分岐せず連続しています。物理ディスクから見ると、
すべての論理ディスクは、パーティションテーブルに拡張パーティションとして記
述された領域に存在します。
拡張パーティションの各論理ディスクの構造は、プライマリディスクパーティション
と同じです。ブートセクタから始まり(ただし、論理ディスクのローダーは使用され
ません)、パーティションテーブル(拡張パーティションテーブル)を持ちます。
Acronis DiskEditor
31
3.5 ファイルアロケーションテーブル(FAT)と
ルートフォルダ(Root)
これまでは、FAT ファイルシステムで作成したパーティションの構造について説
明しました。パーティションは、ローダーとファイルシステムのパラメータを記述し
たテーブルを含むブートセクタから始まります。
ブートセクタの後には、1 つまたは複数のファイルアロケーションテーブル(FAT)、
ルートフォルダ、およびクラスタに分割されフォルダとファイルの格納に使用され
るデータ領域が続きます。ただし、ブートセクタと最初の FAT のコピーの間には、
いくつかの予約セクタがある場合があります。
3.5.1 クラスタのチェーンとしてのファイル
ディスク上のファイルは、クラスタのチェーンとして格納されます。クラスタは 1 つ
以上のセクタで構成されます。クラスタあたりのセクタ数はパーティションのサイズ
によって異なり、2 の累乗(1、2、4、8、16、など)になります。各クラスタは、2 で始
まる番号を持ちます。
FAT には、クラスタ内のフォルダとファイルの順番が記述されます。各クラスタは、
FAT の 1 つの要素(表のセル)に対応しています。
FAT の要素は次の値を表しています。
• 0 - 空きクラスタ
• 2 - クラスタチェーン内の次の要素の番号(FAT12 の場合 - 0FEFh、
FAT16 の場合 - 0FFEFh、FAT32 の場合 - 0FFFFFEFh)
• 0FFF0h~0FFF6h - 予約値
• 0FFF7h - 不良クラスタ
• FFF8h~FFFFh - チェーン内の最終クラスタ
32
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
ファイルを読み取るには、フォルダ内のレコードをファイル名で検索し、最初の
ファイルクラスタの番号を読み取る必要があります。最初のクラスタは、ファイルの
開始点を表します。次に、ファイルの最初のクラスタに対応する FAT の要素を読
み取る必要があります。この要素に「チェーンの最後」を表すラベルが含まれてい
る場合は、それ以上検索を行う必要はありません。このファイルは単独のクラスタ
内に存在します。クラスタが最後でない場合は、次のクラスタの番号が含まれてい
ます。次のクラスタの内容は、最初のクラスタの後に読み込まれます。チェーン内
に最後のクラスタが見つかり、このファイルがそのクラスタ全体を占有していない
場合は、クラスタの残りのバイトを切り捨てる必要があります。余分なバイトは、フォ
ルダレコードに格納されているファイル長に基づいて切り捨てられます。
ファイルを書き込む際は、オペレーティングシステムが次の一連の処理を実行し
ます。まず、空いているフォルダの要素内にファイルに関する情報を作成し、空い
ている FAT の要素を検索してその要素への参照をフォルダレコードに作成しま
す。次に、見つかった FAT の要素に記述された最初のクラスタに、データを書き
込みます。そして、次のクラスタ番号かチェーン内の最終クラスタの属性を、この
FAT の要素に配置します。
オペレーティングシステムはこのように、順番に次のクラスタをチェーンに追加し
ていきます。クラスタがディスク内に散在しているより、整然と配置されている方が
高速に処理できるのは明らかです。すでに占有されているクラスタ、または FAT
で不良クラスタとしてマークされているクラスタは処理対象から外されます。
ファイルを削除する(Windows 95 の場合はごみ箱を空にする)と、すべてのファ
イルクラスタが空であることが宣言され、該当する FAT の要素にゼロが書き込ま
れます。次に、フォルダレコード内にあるファイル名の最初の文字が、0E5h の値
に置き換えられます。オペレーティングシステムは、通常のフォルダ検索ではこの
ような要素を無視します。
Acronis DiskEditor
33
3.5.2 DiskEditorメインウィンドウのフォルダ
ここでは、ハードディスクの論理パーティション上に、ごく簡単なファイルを作成し
ます。それには、Windows のメモ帳を使用します。メモ帳のファイルに test.txt
という名前を付け、パーティションルートフォルダに保存します。
次にDiskEditorを実行し、パーティション選択ウィンドウでパーティションをクリッ
クします。
パーティションの選択
DiskEditorは自動的にこのパーティションのブートセクタに移動し、デフォルトで
は FAT32 ブートセクタモードの表示でメインウィンドウが開きます。
論理パーティションのブートセクタは、絶対オフセット 2,048,319 のセクタにありま
す(値は異なる場合があります)。論理パーティションのファイルアロケーション
テーブルは 1,255 セクタ長です。32 セクタは予約済みであるため、2,048,319+
2×1,255+32=2,050,861 となり、ルートフォルダはセクタ 2,050,861 にあると
考えることができます。
[検索]メニューの[セクタの移動]を選択するか、 Alt+P キーを押します。次に、
[セクタの移動]ダイアログウィンドウの[絶対セクタ]フィールドをクリックし、
2050861 と入力して OK を押します。
34
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
ルートフォルダへの移動
DiskEditorはルートフォルダの領域に移動します。次のように、メインウィンドウ
の表示を FAT フォルダモードに切り替えます。
ルートフォルダ
Acronis DiskEditor
35
3.5.3 短い名前のファイル
これまでに説明したように、ファイル名やその他の属性はフォルダレコードに登録
されます。
フォルダレコードは次のような構造で、フォルダレコードの主なバイト値は次のよう
になります。
オフセット
(バイト)
0
8
0Bh
長さ
(バイト)
8
3
1
0Ch~15h
16h
10
2
18h
2
1Ah
1С
2
4
目的
8 文字までのファイル名
3 文字までのファイルの拡張子(ファイルの種類)
ファイルの属性
ビット 0 - 読み取り専用属性
(変更または削除は不可)
ビット 1 - 隠し属性(H)、隠しファイル
ビット 2 - システム属性(Sys)、システムファイル
ビット 3 - ボリュームラベル
ビット 4 - フォルダ属性(ディレクトリエントリ)
ビット 5 - アーカイブ属性(A)、
ファイルは未アーカイブ
予約領域
最終更新(作成)時刻
ビット 0~4 - 秒の組み合わせ(0~29)
ビット 5~10 - 分(0~59)
ビット 11~15 - 時(0~23)
最終更新(作成)日
ビット 0~4 - 日(0~31)
ビット 5~8 - 月(1~12)
ビット 9~15 - 1980 年からの年数(0~119)
プライマリクラスタ番号
ファイルサイズ(バイト単位)
上の図は、DiskEditorによって既に変換された値を示しています。フィールドの
値は次のようになります。
[名前]
[拡張子/プレフィックス]
[A]、[D]、[V]、[S]、[H]、
[R]
[サイズ/CRC 有効]
36
ファイル名
ファイルの拡張子、または長い名前の構成要
素の番号
それぞれの文字が、アーカイブ(A)、ディレクト
リエントリ(D)、ボリュームラベル(V)、システム
(S)、隠しファイル(H)、読み取り専用(R)の
ファイル属性を表します。
ファイルサイズまたは長い名前のチェックサム
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
[クラスタ]
[時刻]
[作成日]
[予備]
最初のファイルクラスタの番号
ファイル作成時刻
ファイル作成日
予約済みのフィールド
FAT16 ファイルシステムのルートフォルダのサイズと場所は固定されており、制限さ
れた数の要素を含みます。FAT32 では、通常のフォルダ(サブフォルダ)のように、
ルートフォルダを任意の長さのクラスタチェーンで表します。その中のエントリ数、つ
まりファイルとサブフォルダの数は制限されません。フォルダのエントリ数も制限され
ませんが、ルートフォルダからカウントされるファイル名またはフォルダ名の最大長
によって間接的に制限されます。
3.5.4 長い名前のファイル
これまでに説明した内容はすべて、FAT フォルダの 8.3 形式の名前でファイル
を記述する古い方法です。しかし、Windows 95 以降のバージョンの Windows
では長いファイル名(最大 255 文字)がサポートされており、Unicode エンコード
のほとんどすべての文字を使用できます。この方法は、フォルダ内の各ファイル
に対し、要素を 1 つだけ割り当てるのではなく、隣接するいくつかの 32 バイトの
要素を割り当てることによって実現しています。長い名前に使用する要素数は、
ファイル名の長さで決まります。最初のいくつかの要素に長い名前が含まれ、そ
の次に、大文字のファイル名を含む短い名前の構造で、通常の要素が含まれま
す。この長い名前の部分を持つ要素には、順番に番号が付けられます。01h 要
素は、短い名前の要素の直前に配置されます。長い名前の部分を持つ要素が 1
つで足りない場合は、02h 要素から番号順に使用されます。最後の要素には
40h を加算します。長い名前の要素が 1 つだけの場合、番号は 41h になります。
Acronis DiskEditor
37
長い名前で使用するフォルダレコードの構造は次のとおりです。
オフセット
(バイト)
0
1
0Bh
0Ch
0Dh
0Eh
1A
1Ch
長さ
(バイト)
1
10
1
1
1
12
2
4
目的
要素の番号
名前(または名前の構成要素)
ファイル属性(常に 0Fh)
予約領域
チェックコード(短い名前から算出)
名前(続き)
最初のクラスタ番号(0)
名前(続き)
Acronis DiskEditorでは、FAT フォルダモードの表示で上の方法を参照できま
す。上に示したように、test.txt は 2 つのフォルダ要素に対応します。下の行は
左のドロップダウンリストボッ クスにある[短い名前]の値で、大文字の名前
(TEST.TXT)です。上の行は、リストにある[長い名前]の値で、[拡張子/プレ
フィックス]フィールドの 041h は、長いファイル名が追加のフォルダレコードを 1
つ使用していることを表します。
3.6 フォルダとサブフォルダ
これまでに、FAT32 ファイルシステムのルートフォルダの構造にはファイル名、
ファイル属性、およびその他のファイル情報が含まれることを説明しました。
ルートフォルダには、サブフォルダに対応するレコードが含まれる場合があります。
ルートフォルダとサブフォルダは、共にファイルシステムのフォルダツリーを形成し
ます。
FAT は、サブフォルダを親フォルダレコードが記述するファイルと同じように表し、
ルートフォルダと同じフォルダ要素のセットで構成されます。
サブフォルダの最初の要素は「.」記号による自己参照です。この参照は、指定さ
れたフォルダの最初のクラスタ番号を示します。次に、「..」記号により親フォルダ
を参照する要素が続きます。この参照によって、親フォルダの開始位置を見つけ
ることができます。このクラスタの番号がゼロの場合は、ルートフォルダを指してい
ます。
38
第 3 章 メインウィンドウの表示モード
Acronis DriveCleanser
ユーザーズガイド
Copyright © SWsoft, 2000-2002
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Linux は Linus Torvalds 氏の登録商標です。
Windows は Microsoft Corporation の登録商標です。
ユーザーズガイドに掲載されている商標や著作権は、すべてそれぞれ各社に所
有権があります。
著作権者の明示的許可なく本書ユーザーズガイドを修正したものを販売すること
は禁じられています。
著作権者の事前の許可がない限り、商用目的で書籍の体裁をとる作品または派
生的作品を販売させることは禁じられています。
本書は現状のまま使用されることを前提としており、商品性の黙示の保証および
特定目的適合性または非違反性の保証など、すべての明示的もしくは黙示的条
件、表示および保証を一切行いません。ただし、この免責条項が法的に無効とさ
れる場合はこの限りではありません。
目次
はじめに ...................................................................................... 4
第1章
Acronis DriveCleanser のインストールと
ご使用にあたって............................................................ 9
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
Acronis DriveCleanser のパッケージ...................................... 9
インストール ............................................................................. 9
Acronis DriveCleanser の修復とアップグレード..................... 10
ソフトウェアの削除 .................................................................. 11
ユーザーインターフェイス........................................................ 11
第2章
Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去 .. 12
2.1
2.2
2.2.1
2.2.2
2.2.3
2.2.4
定義済みの消去アルゴリズムの使用........................................ 15
データ消去のユーザー定義アルゴリズムの作成 ....................... 19
ユーザー定義アルゴリズムの作成............................................ 19
アルゴリズムの定義:テンプレート............................................. 21
ファイルへのユーザー定義アルゴリズムの保存......................... 28
ファイルからのアルゴリズムの読み込み .................................... 31
付録 A
ハードディスクの消去アルゴリズム ................................ 32
A.1
A.2
情報の消去アルゴリズムの機能原則........................................ 33
Acronis DriveCleanser で使用されるアルゴリズム ................. 34
Acronis DriveCleanser
3
はじめに
Acronis DriveCleanserについて
古い PC の除去、新しいハードドライブへのアップグレード、リースコンピュータの
返却、または社内における PC の移動はよく行われます。このような場合、古い
ハードディスクからすべてのデータを完全に消去することは大変重要です。
Acronis DriveCleanserは、選択したパーティション上のデータやディスク全体
のデータを完全に消去します。インターフェイスは非常にシンプルな Windows
XP 形式で操作も簡単です。
ハードディスク上の機密情報:ストレージとアクセス
今日では、ますます多くの機密情報がデジタル形式で作成され、コンピュータ上
で保存、管理されるようになっています。以前は印刷機を使って作成された文書
や机上のデータベースファイルは、今日では、コンピュータのハードディスクドライ
ブに保存されています。
銀行口座情報やクレジットカード番号といった大切な個人データや、ビジネスア
プリケーション、データバンキング、金融、経理、および企業に関するデータなど、
大変重要な膨大な量のデータがハードディスクに保存されています。犯罪者や
競争相手に取得されてはいけない、いかなる場合もハードディスクドライブに残し
てはならない文書やデータは数え切れません。
これらの文書の主な特徴は、すべて機密情報が含まれているということです。
4
はじめに
機密情報:消去
情報に機密性を持たせるためには、特別に規定したルールに従ってそれらを保
存するだけでなく、厳密なルールに従って消去する必要があります。
コンピュータは、一般に、そのライフタイムにおいて何度かアップグレードされます。
ハードディスクドライブに格納されるデータ量は増える一方であるため、コン
ピュータをアップグレードする場合、通常は最初にコンピュータのディスクサブシ
ステムをアップグレードします。容量のより大きいハードディスクをコンピュータに
設置し、元のディスク上のすべてのデータを新しいディスクに転送するような場合
もあります。しかし、多くの場合、それらのデータは元のディスク上に残されたまま
になります。
不要になったデータをハードディスクに不注意に保管しておくことは、機密情報
の漏えいにつながる可能性があります。元のディスクから新しいディスクにデータ
を移動した後、元のディスク上のデータを完全に消去することが最適な解決策で
す。情報を消去したり、不要なファイルを削除するのではなく、機密データは消去
する必要があるのです(ファイルの削除と情報の消去の違いについては、後で説
明します)。
実際にあった次の話は、機密データが消去されていなかった例を示しています。
Jack V.は、Brighton 出身のコンピュータコンサルタントです。彼は、破産したイ
ンターネット関連会社のクリアランスセールで、中古のノートブックコンピュータを
400 ドルで購入しました。ハードディスクドライブには、その会社に関するデータ
が含まれていることが明らかになりました。このデータには、社会保障番号、その
会社の 46 人の社員の給与レベル、給与明細の記録、会社の戦略計画、役員会
の機密の議事録、およびその他の社内文書が含まれていました。
中古コンピュータの売買に関しては、このようなケースが多くあります。
Acronis DriveCleanser
5
オペレーティングシステムによるデータの削除
ファイルマネージャで行うようなオペレーティングシステムによるファイルの削除と、
特別な消去プログラムを使って行うデータの消去との間には、大きな違いがありま
す。
Windows などのオペレーティングシステムは、ファイルを削除する際、ハード
ディスクから物理的には何も削除しないという点が重要です。削除されたファイル
の名前は、ファイルアロケーションテーブル(FAT)内で、オペレーティングシステ
ムが正しいファイル名として認識しない名前に置き換えられます。ファイルはユー
ザーからのみ見えなくなり、ファイルデータを含むクラスタチェーンは空きと見なさ
れます。ただし、ハードディスクセクタ内に含まれる情報はそのまま残ります。その
情報を復元することは、それほど難しいことではありません。
Linux オペレーティングシステム下におけるファイルの削除は、より信頼性があり
ますが、この場合でも、何らかのソフトウェアツールを入手して重要な情報を復元
することは可能です。
ディスク上のパーティションの削除も、ディスクのフォーマットも、この問題を解決
できません。ハードディスク上のパーティションを削除した場合は、パーティション
テーブル(プライマリパーティションの場合)またはファイルアロケーションテーブ
ル(FAT)の情報が削除されます。ただし、セクタ内に含まれる情報はそのまま残
り、ソフトウェアツールを使って復元できます。
ハードディスクの情報は、特別に設計された消去アルゴリズムを実装したプログラ
ムを使用することによって、はじめて確実に消去できます。
6
はじめに
確実な機密情報の消去:標準
Acronis DriveCleanserは、特別なアルゴリズムを使って、ハードディスク上の機
密情報を確実に消去します。
Acronis DriveCleanserのアルゴリズムは、既存の国家標準に準拠しています。
(1) アメリカ合衆国:U.S.標準、DoD 5220.22-M
(2) アメリカ合衆国:NAVSO P-5239-26(RLL)
(3) アメリカ合衆国:NAVSO P-5239-26(MFM)
(4) ドイツ:ドイツ標準、VSITR
(5) ロシア:ロシア標準、GOST P50739-95
Acronis DriveCleanserは、国家標準に対応するアルゴリズムの他に、情報セ
キュリティ分野における、有名な権威ある専門家によって提示された定義済みの
アルゴリズムもサポートしています。
(6) Peter Gutmann アルゴリズム - ハードディスク上のデータを 35 回のデー
タ処理回数で消去します。
(7) Bruce Schneier アルゴリズム - データを 7 回のデータ処理回数で消去し
ます。
また、Acronis DriveCleanserは、1 回のデータ処理回数でハードディスクのす
べてのセクタをゼロにする、高速で簡単な情報消去のアルゴリズムもサポートして
います。
Acronis DriveCleanserでは、その主要な機能としてデータ消去のためのユー
ザー定義のアルゴリズムを作成できます。
データ消去における標準方式の詳細については、本書の付録 A「ハードディスク
の消去アルゴリズム」を参照してください。
Acronis DriveCleanser
7
ソフトウェアの使用条件
Acronis DriveCleanserソフトウェアの使用条件は、パッケージに含まれる「使用
許諾契約書」に規定されています。同封の登録カードは、お客様がAcronis
DriveCleanserを正規に購入され、お客様のシステム上で使用されることを確認
するものです。登録カードには、固有の登録番号が付いています。
このソフトウェアを違法に使用または頒布した場合は起訴の対象となります。
テクニカルサポート
正規にAcronis DriveCleanserを購入し、登録していただいたお客様には、テク
ニカルサポートを無償で提供しています。インストールやご使用に際し、本書また
は README ファイルを参照しても解決できない問題が発生した場合は、弊社
のサポート Web サイトをご覧いただくか、下記のアドレスの弊社のサポート部門
に電子メールをお送りください。その際、Acronis DriveCleanserの登録番号も
お知らせください。登録番号は、製品に同梱されている登録カードに記載されて
います。
サポート URL:http://www.proton.co.jp/support/personal/
電子メール:[email protected]
8
はじめに
第1章 Acronis DriveCleanserのインストールとご
使用にあたって
1.1 Acronis DriveCleanserのパッケージ
Acronis DriveCleanserのパッケージには、次のものが含まれます。
• インストールディスク 1 枚
• ユーザーズガイド(本書)
• 補足説明書
• 登録カード
1.2 インストール
Acronis DriveCleanserをインストールするには、次の作業を行います。
1. Acronis DriveCleanserインストール CD を CD-ROM ドライブに挿入し、イ
ンストール手順を開始します。
2. 画面に表示されるインストールプログラムの指示に従います。
3. インストール方法を選択してAcronis DriveCleanserのファイルをハードディ
スクにコピーすると、起動ディスクまたはブータブル CD-R/RW の作成を求め
られます。Windows 上でDriveCleanserを実行中に、Linux または他のオ
ペレーティングシステムがインストールされたハードディスクを消去することも
できます。Windows を実行していない場合、消去を実行するには、起動用メ
ディアを作成し、それを使って PC を再起動する必要があります。
Acronis DriveCleanser
9
Acronis DriveCleanserのインストールが完了したら、コンピュータを再起動して
ください。
1.3 Acronis DriveCleanserの修復とアップグレード
ソフトウェアのアップグレードや修復を行うには、DriveCleanserのインストールプ
ログラムを再度実行します。インストールプログラムは、DriveCleanserが既にコ
ンピュータにインストールされているかどうかを判断し、プログラムを修復(アップグ
レード)するかどうか、あるいはディスクから完全に削除するかどうかを確認する
メッセージを表示します。
10
第 1 章 Acronis DriveCleanser のインストールとご使用にあたって
1.4 ソフトウェアの削除
ソフトウェアを削除するには、[スタート]メニューのプログラムから、[Acronis]→
[DriveCleanser]→[Acronis DriveCleanser のアンインストール]の順に選択し
ます。PC のハードディスクからソフトウェアを削除するかどうかを確認するダイアロ
グボックスが表示 されます。削除する場合は は い を押します。これ により 、
Acronis DriveCleanserソフトウェアが完全に削除されます。
1.5 ユーザーインターフェイス
Acronis DriveCleanserは、Windows のようなウィザード形式のグラフィック
ユーザーインターフェイスを備えており、マウスや Tab 、 Shift+Tab 、 ← 、 → 、
↑ 、 ↓ 、 Space 、 Enter 、および Esc キーによって操作できます。
Windows、X Window、または OS/2 のアプリケーションを日常的に使用してい
る場合は、Acronis DriveCleanserのインターフェイスを問題なく理解し使用でき
ます。
Acronis DriveCleanserの作業は、一連のダイアログによって実行されます。
ユーザーは、必要なオプションボタンの選択、一覧からの値の選択、必要なパー
ティションまたはディスクのマーク付けなどを行う各ダイアログで、処理を 1 つずつ
選択していきます。
マウスをクリックするか、キーを押すことによって、必要なオプションボタン(条件)
を選択(設定)します。
各ダイアログには、ダイアログの目的およびダイアログ内にある一覧(オプション)
の目的についての詳細な説明が用意されています。また、一覧の各要素(選択
可能なオプションの条件)についての説明も用意されています。
ウィザードのページには ヘルプ ボタンはありません。各ページには、そのページ
とページ内のコントロールの目的についての詳細な説明があるため、ヘルプは用
意されていません。さらに、それぞれの場面で各コントロールを選択した場合の影
響についても詳細に説明されています。
Acronis DriveCleanser
11
第2章 Acronis DriveCleanserを使ったハードディ
スクの消去
Acronis DriveCleanserでの作業は、開始画面から始まります。開始画面では、
このソフトウェアの基本的な機能が紹介されています。基本的な機能は次のとお
りです。
1. 選択したハードディスク(複数も可)のパーティションを定義済みの消去アルゴ
リズムを使って消去する。
2. ユーザー定義消去アルゴリズムを作成し、使用する。
Acronis DriveCleanserの開始画面
12
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
ユーザーとのやり取りを通して作成されたスクリプトに基づいて、ハードディスクに
対するすべての処理が実行されます。作成されたスクリプトを実行するまでは、
データの消去は行われません。ソフトウェアのどの作業段階からもスクリプト作成
の前の段階に戻ることができ、消去するパーティションやディスクを選択し直したり、
消去アルゴリズムを変更することができます。
次のウィンドウには、使用しているコンピュータに接続されているハードディスクの
一覧とそのパーティションが、主要なパラメータ(ディスク容量、パーティションサイ
ズ、ファイルシステム、およびラベル)と共に表示されています。
コンピュータのハードディスクの一覧(パーティションも表示)
次に、データを消去するハードディスク上のパーティションを選択します。
ハードディスクパーティションを表す四角形をクリックします。赤いチェックマーク
が四角形の右上隅に表示されます。これは、このパーティションがデータ消去の
対象として選択されたことを意味します。
1 つのディスク全体、または複数のディスク全体のデータを消去するように選択す
ることもできます。これを行うには、目的のハードディスクを表す四角形(デバイス
アイコン、ディスク番号、および容量が表示されている部分)をクリックします。
Acronis DriveCleanser
13
異なるディスク上にある複数のパーティション、または複数のディスクを同時に選
択することができます。
[消去後の処理]ウィンドウでは、データ消去の対象としたパーティションに対して
実行する処理を選択できます。Acronis DriveCleanserでは、3 つのオプション
から選択できます。
• [何もしない] - この後に選択するアルゴリズムに従って、データの消去
のみを行います。
• [パーティションを削除する] - データの消去とパーティションの削除を
行います。
• [フォーマットする] - データの消去とパーティションのフォーマットを行
います(デフォルト)。
[消去後の処理]ウィンドウ
以降の例は、このオプションが[何もしない]に設定された場合です。この設定に
より、パーティションのフォーマットや削除を伴わない、データの消去自体の結果
を確認できます。
14
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
2.1 定義済みの消去アルゴリズムの使用
次に、[アルゴリズムの選択]ウィンドウで、定義済みの消去アルゴリズムを一覧か
ら 1 つ選択します。
定義済みの消去アルゴリズムの一覧
Acronis DriveCleanser
15
次のウィンドウには、ハードディスクパーティションを消去するために作成されたス
クリプトが表示されます。
ハードディスクの消去スクリプトを示すウィンドウ
これで、Acronis DriveCleanserソフトウェアで、消去の処理を実行する準備が
できました。
ハードディスクパーティションを消去するためのスクリプトを実行するには、 実行 を
押します。
実行 を押した後は、DriveCleanserによって自動的にすべての処理が実行され
ます。
16
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
データ消去の実行が完了すると、ディスク消去の処理が正常に完了したことを通
知するメッセージが表示されます。
消去の処理が正常に完了したことを通知するウィンドウ
Acronis DriveCleanserには、パーティションやハードディスクの消去の結果を
確認するための方法が別に用意されています。Acronis DriveCleanserは、組
み込みの Disk Viewer ユーティリティにより、ハードディスクの内容を表示できま
す。
Acronis DriveCleanser
17
既に説明した各アルゴリズムは、データ消去のためにさまざまな方式を使用しま
す。このため、パーティションやディスクのセクタ表示は、選択したデータ消去の
アルゴリズムによって異なる場合があります。
高速アルゴリズムを実行後のディスクパーティションのセクタ
18
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
2.2 データ消去のユーザー定義アルゴリズムの作成
Acronis DriveCleanserでは、ハードディスクを消去するためのユーザー定義ア
ルゴリズムを作成できます。このソフトウェアにはあらゆる形式のアルゴリズムが含
まれていますが、ユーザー定義のアルゴリズムを選択することもできます。
2.2.1 ユーザー定義アルゴリズムの作成
ハードディスクを消去するためのユーザー定義アルゴリズムを作成するには、[ア
ルゴリズムの選択]ウィンドウのドロップダウンリストボックスから[ユーザー定義...]
をクリックして選択します。同じドロップダウンリストボックスに、[ファイルから読み
込む...]オプションがあることに注意してください。
ユーザー定義アルゴリズムの作成を選択する画面
次へ を押して、操作を続行します。
Acronis DriveCleanser
19
定義済みの消去アルゴリズムを選択した場合は、対象となるパーティションまたは
ハードディスク(これより前の手順でパーティションまたはハードディスクは選択済
みです)を消去するためのスクリプトを示すウィンドウが表示されます。今回は、
ユーザー定義アルゴリズムに関するウィンドウが表示され、まず[工程数]ウィンド
ウが表示されます。
例として、米国標準方式と同様の簡単なユーザー定義アルゴリズムを作成してみ
ましょう。米国標準方式では、3 回の工程で異なる記号をハードディスクに書き込
み、さらにもう 1 回の工程で検証を行うように想定されています。データ処理回数
は合計で 4 回です。
ユーザー定義アルゴリズムの工程数を設定するウィンドウ
定義済みの消去アルゴリズムは、1 回(高速アルゴリズムおよびロシア標準)から
35 回(Peter Gutmann アルゴリズム)までのデータ処理回数で実行されます。
ウィザードのウィンドウ内のスピンボックスには、キーボードまたはマウスを使って
任意の値を入力できます。この例では、ボックスに 4 を入力します。
次へ を押して、操作を続行します。
20
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
2.2.2 アルゴリズムの定義:テンプレート
[アルゴリズムの定義]ウィンドウに、これから作成するアルゴリズムのテンプレート
が表示されます。この一覧には、直前の手順で定義したアルゴリズムのデータ処
理回数分の要素が含まれています。
アルゴリズムを定義するためのウィンドウ
このウィンドウには次の内容が示されます。一覧の最初の列は、ディスクに対する
工程の番号を示します。2 番目の列は、ディスクに対し実行する処理の種類を示
します。処理の種類には「書き込み」と「検証」の 2 つがあります。書き込み処理は
ディスクに値を書き込み、検証処理は書き込みの検証を行います。3 番目の列は、
ディスクに書き込むデータのパターンを示します。
ディスクに書き込むパターンは常に 16 進数の値であり、たとえば、0x00、0xAA、
0xCD などになります。これらの値は 1 バイト長ですが、512 バイト長まで設定で
きます。このような値以外にも、任意の長さ(512 バイトまで)の 16 進数のランダム
値を入力できます。アルゴリズムには、これ以外に書き込む値として「補数」を指
定することができます。この場合、1 つ前の工程でディスクに書き込まれた値の各
ビットを反転させた値が書き込まれます。
Acronis DriveCleanser
21
バイナリ値が 10001010(0x8A)というシーケンスで表される場合、補数のバイナ
リ値は 01110101(0x75)のシーケンスで表されます。
まとめると、次のような値をアルゴリズムに含めることができます。
• 1~512 バイト長の任意の 16 進数値
• 1~512 バイト長の 16 進数のランダム値
• 1 つ前の工程でハードディスクに書き込まれた 16 進数値に対する補数
[アルゴリズムの定義]ウィンドウには、アルゴリズムのテンプレートのみが表示さ
れています。ソフトウェアが、作成したアルゴリズムに従って機密データを消去す
るためには、ディスクに書き込むパターンを明確に定義する必要があります。
これを行うには、[#1]の工程を示す行をクリックします。
パターン定義で 1 回目の工程を選択した画面
次へ を押して、操作を続行します。
22
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
ディスクに書き込むパターン(16 進数の値)を定義するためのウィンドウが表示さ
れます。
書き込みパターンを定義するための
[消去時の工程の調整]ウィンドウ
この図では、デフォルトで[パターンを書き込む]が設定されており、16 進数の値
0x00 がボックスに入力されています。
ここで、ウィンドウコントロールの要素の意味について説明します。どの工程にお
いても、[パターンを書き込む]の下にあるテキストボックスには、ハードディスクに
書き込む値として任意の 16 進数の値を入力します(この例では 1 回目の工程で
す)。
[ランダムな値を書き込む。ランダム値の長さ]の下にあるスピンボックスには、ラ
ンダム値の長さをバイトで指定します。
Acronis DriveCleanser
23
米国標準方式では、1 回目の工程で、各ディスクセクタの各バイトにランダム値の
書き込みを行います。これと同じ処理を行うには、[ランダムな値を書き込む。ラン
ダム値の長さ]を選択し、ボックスに“1”を入力します。
書き込みパターンとしてランダムな 1 バイト値を入力した画面
次へ を押して、操作を続行します。
24
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
再び[アルゴリズムの定義]ウィンドウに戻ります。以前は[1 - 書き込み - 00]で
あったレコードが、[1 - 書き込み - ランダム、1 バイト]に置き換えられたことがわ
かります。
ユーザー定義アルゴリズムの 1 回目の工程が定義された画面
次の工程を定義するには、一覧の次の行を選択し、 次へ を押します。
前回と同じウィンドウが表示されますが、今回は選択可能なオプションボタンが増
えています。追加として次の 2 つのオプションを選択できます。
• [前工程のパターンの補数を書き込む]
• [検証する]
Acronis DriveCleanser
25
前の工程で書き込まれた値に対する補数値の入力を指定した画面
米国標準方式では、2 回目の工程で、前の工程で書き込まれた値に対する補数
である 16 進数値が各ディスクセクタに書き込まれます。これと同じ処理を行うに
は、オプションを[前工程のパターンの補数を書き込む]に設定し、 次へ を押しま
す。
26
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
再び[アルゴリズムの定義]ウィンドウに戻ります。このウィンドウでは、以前は[2 書き込み - 00]となっていた 2 番目のレコードが、[2 - 書き込み - 前工程のパ
ターンの補数]に置き換えられています。
ユーザー定義アルゴリズムの 2 回目の工程が定義された画面
米国標準方式に合わせるには、データを上書きする 3 回目および 4 回目の工程
を定義してください。
同じような操作で、自分のセキュリティ要件に合う任意のデータ消去のアルゴリズ
ムを作成できます。
Acronis DriveCleanser
27
2.2.3 ファイルへのユーザー定義アルゴリズムの保存
次の[ユーザー定義アルゴリズムの保存]ウィンドウで、作成したアルゴリズムを
保存できます。アルゴリズムを保存しておくと、後でこのアルゴリズムを使用する場
合に便利です。
[ユーザー定義アルゴリズムの保存]ウィンドウ
28
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
アルゴリズムを保存するには、[ファイル名]にアルゴリズムのファイル名およびパ
スを指定するか、または、ウィンドウの左側に表示されているエクスプローラを使っ
てディスク内の既存のファイルを指定します。
アルゴリズムのファイル名および説明のウィンドウ
各ユーザー定義アルゴリズムは、独自の名前で個別のファイルとして保存されま
す。既存のファイルに新しいアルゴリズムを書き込む場合、既存のファイルの内容
は消去されます。
Acronis DriveCleanser
29
ユーザー定義アルゴリズムのすべての工程が定義され、アルゴリズムはファイル
に保存されました。 次へ を押すと、ユーザー定義アルゴリズムに基づいて生成さ
れた消去スクリプトを示すウィンドウが表示されます。
ユーザー定義アルゴリズムに基づくデータ消去のスクリプト
実行 を押すと、生成されたスクリプトが実行されます。
Acronis DriveCleanserで作業中に、データ消去のユーザー定義アルゴリズム
を作成しそれを保存した場合は、そのアルゴリズムを次のように使用できます。
30
第 2 章 Acronis DriveCleanser を使ったハードディスクの消去
2.2.4 ファイルからのアルゴリズムの読み込み
[アルゴリズムの選択]ウィンドウで、ドロップダウンリストボックスから[ファイルから
読み込む...]を選択します。
アルゴリズムの選択:ファイルからの読み込み
Acronis DriveCleanser
31
付録A ハードディスクの消去アルゴリズム
ハードディスクドライブから安全でない方法(Windows での単なる削除など)に
よって削除された情報は簡単に復元できます。特別なツールを使用すれば、繰り
返し上書きされた情報でさえも復元することは可能です。したがって、今日では、
データの完全な消去が不可欠になっています。
磁気メディア(ハードディスクドライブなど)の情報を完全に消去するということは、
専門家がどのような既知のツールまたは復元方法を用いても、データを復元でき
ないようにすることを意味します。
この問題は次のように説明できます。データは、磁気ディスクの磁化部分の差異
によって表される 1 および 0 のバイナリシーケンスとしてハードディスク上に保存
されます。
一般的に、ハードディスクに書き込まれた 1 は、コントローラに 1 として読み取ら
れ、また、0 は 0 として読み取られます。しかし、0 に 1 を上書きした場合、その結
果は 0.95 になったり、また 1 に 1 を上書きした場合、その結果は 1.05 になった
りします(これらの値はディスクによって異なります)。これらの差異は、コントローラ
にとっては問題になりません。ただし、特別なツールを使用すると、1 と 0 の「下に
ある」シーケンスを簡単に読み取ることができます。
特別なソフトウェアとそれほど高価ではないハードウェアさえあれば、「削除」され
たデータをこのように読み取ることができます。読み取りは、ハードディスクセクタ
の磁化、つまりトラックサイドの残留磁性を解析するか、または最新の磁気顕微鏡
を使って行われます。
磁気メディアへの書き込みでは、次のようなわずかな効果が存在します。磁気
ディスクの各トラックには、以前そこに書き込まれた各レコードのイメージが残りま
す。ただし、そのようなレコード(磁性層)の効果は、時間の経過と共に薄れていき
ます。
32
付録 A ハードディスクの消去アルゴリズム
A.1 情報の消去アルゴリズムの機能原則
物理的にハードディスクから情報を完全に消去するには、記録装置の磁気領域
の各基本要素に対してできるだけ多くの回数の変更を行う必要があります。これ
は、論理値 1 および 0 の特別に選択されたシーケンス(サンプルとも呼ばれま
す)を書き込むことによって行います。
現在のハードディスクにおいて論理データのエンコード方法を使用する場合には、
セクタに書き込む記号(基本データビット)のサンプルのシーケンスを選択すること
によって、反復的および効果的に機密情報を消去することができます。
米国標準方式で提供されるアルゴリズムでは、ディスクセクタにランダムな記号を
(1 回または 3 回)記録します。記録されるランダムな記号は、一般的に簡単かつ
任意に決定されます。このアルゴリズムは、普通の場面では有効です。最も効果
的な情報の消去アルゴリズムは、あらゆる種類のハードディスクへのデータ記録
の細かい特性まで深く分析した結果に基づくものです。これは、完全な情報の消
去を行うためには、複雑な複数の工程のアルゴリズムが必要であることを示してい
ます。
完全な情報の消去の理論については、Peter Gutmann 氏の文書で詳細に説
明されています。次のサイトを参照してください。
http://www.cs.auckland.ac.nz/~pgut001/pubs/secure_del.html
Acronis DriveCleanser
33
A.2 Acronis DriveCleanserで使用されるアルゴリズム
次の表は、Acronis DriveCleanserで使用される情報の消去アルゴリズムに関
する簡単な説明です。各説明にはハードディスクセクタに対する工程数と各セク
タバイトに書き込まれる数値が記載されています。
組み込みの情報消去アルゴリズムの説明
データ
アルゴリズム
番号
記録方法
(書き込み方法)
処理回数
1.
アメリカ合衆国: 4
1 回目の工程では、各セクタの各バ
U.S.標準、DoD
イトにランダムに選択した記号を書き
5220.22-M
込みます。2 回目の工程では、1 回
目の工程で書き込まれた値の補数を
書き込みます。3 回目の工程では、ラ
ンダムな記号を再度書き込みます。4
回目の工程では、書き込みを検証し
ます。
2.
アメリカ合衆国: 4
1 回目の工程では、すべてのセクタ
NAVSO Pに 0x01 を書き込みます。2 回目の
5239-26(RLL)
工程では、0x27FFFFFF を書き込
みます。3 回目の工程では、ランダム
な記号のシーケンスを書き込みま
す。4 回目の工程では、検証を行い
ます。
3.
アメリカ合衆国: 4
1 回目の工程では、すべてのセクタ
NAVSO Pに 0x01 を書き込みます。2 回目の
5239-26
工程では、0x7FFFFFFF を書き込
(MFM)
みます。3 回目の工程では、ランダム
な記号のシーケンスを書き込みま
す。4 回目の工程では、検証を行い
ます。
4.
7
ドイツ:ドイツ標
1 回目から 6 回目までの工程では、
準、VSITR
0x00 と 0xFF を交互に書き込みま
す。7 回目の工程では、0xAA を書き
込みます。つまり、各工程はそれぞれ
0x00、0xFF、0x00、0xFF、0x00、
0xFF、0xAA を書き込みます。
34
付録 A ハードディスクの消去アルゴリズム
5.
ロシア:ロシア標
準、GOST
P50739-95
1
6.
Peter
Gutmann
アルゴリズム
35
7.
Bruce
Schneier
アルゴリズム
7
8.
高速
1
セキュリティレベルシステムの 6 から
4 段階に対しては、論理ゼロ(0x00)
を各セクタの各バイトに書き込みま
す。セキュリティレベルシステムの 3
から 1 段階に対しては、ランダムに選
択された記号(数値)を各セクタの各
バイトに書き込みます。
Peter Gutmann アルゴリズムは大
変高度なものです。このアルゴリズム
は、ハードディスクの情報消去におけ
る氏の理論に基づいています
(http://www.cs.auckland.ac.nz/
~pgut001/pubs/secure_del.htmlを参
照してください)。
Bruce Schneier は 自 著 『 Applied
Cryptography』の中で 7 工程の書
き込みを行うアルゴリズムを提案して
い ま す。 1 回目の工程では 0xFF
を、2 回目の工程では 0x00 を書き
込みます。その後の 5 回の工程で
は、暗号手法的に安全である擬似的
なランダムシーケンスを書き込みま
す。
消去するすべてのセクタに論理値 0
(0x00)を書き込みます。
Acronis DriveCleanser
35
Acronis RecoveryExpert
ユーザーズガイド
Copyright © SWsoft, 2000-2002
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Linux は Linus Torvalds の登録商標です。
OS/2 は IBM Corporation の登録商標です。
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特定目的適合性または非違反性の保証など、すべての明示的もしくは黙示的条
件、表示および保証を一切行いません。ただし、この免責条項が法的に無効とさ
れる場合はこの限りではありません。
目次
はじめに......................................................................................... 4
第 1 章 Acronis RecoveryExpert のインストールと起動 ............... 6
1.1 Acronis RecoveryExpert システムパッケージ.......................... 6
1.2 動作環境................................................................................. 6
1.3 インストール............................................................................. 7
1.4 Acronis RecoveryExpert の修復とアップグレード.................... 8
1.5 ソフトウェアの削除.................................................................... 8
1.6 ユーザーインターフェイス ......................................................... 8
1.7 Acronis RecoveryExpert ソフトウェアを実行する ..................... 9
第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する............................. 10
2.1 自動復元............................................................................... 12
2.2 手動復元............................................................................... 18
Acronis RecoveryExpert
3
はじめに
Acronis RecoveryExpertについて
Acronis RecoveryExpertは、簡単に使える専門家レベルのハードディスクのパ
ーティション復元ソフトウェアです。誤ってハードディスクのパーティションを削除
して しまっ たり ハ ード ウェ アや ソフト ウ ェア を破 損して しま っ たり したと しても
Acronis RecoveryExpertがパーティションやデータを救出します。
ハードディスクのパーティションの作成は Acronis PartitionExpert のパーティ
ションマネージャで行います。パーティションマネージャを使用すればさまざまな
種類のパーティションを作成したり、既存のパーティションを編集したり、削除した
りすることができます。ハードディスクの構成の変更、パーティションの追加、また
はオペレーティングシステムのインストールの前には、重要なデータのバックアッ
プを作成しておくことをお勧めします。
ディスクパーティションはコンピュータやオペレーティングシステムの不具合によっ
て削除されてしまうことがあります。パーティションが破壊された場合にはハードデ
ィスクのセクタにまだ残っているデータ、すなわちファイルやフォルダが使用でき
なくなってしまいます。だからこそハードディスクのパーティションを利用するユー
ザーにとってAcronis RecoveryExpertはまさに欠かせないユーティリティなので
す。
Acronis RecoveryExpertで起動ディスクを作成しておけば事故の備えは完璧
です。 停電、ウィルス感染、ソフトウェアやハードウェアの不具合によってディスク
がダメージを受けてもAcronis RecoveryExpertが迅速に復元します。
ソフトウェアの使用条件
Acronis RecoveryExpertソフトウェアの使用条件については、パッケージに含
まれる「使用許諾契約書」に規定されています。同封の登録カードにより、お客様
のAcronis RecoveryExpert購入および使用が法的に確認されます。登録カー
ドには固有の番号が付いています。
4
はじめに
ソフトウェアの違法使用または配付は法律違反であり、起訴の対象となります。
テクニカルサポート
正規にAcronis RecoveryExpertを購入して登録いただいたお客様に無料でテ
クニカルサービスを提供しております。インストールや使用中に本書や Readme
ファイルで解決できない場合、弊社テクニカルサポートに電子メールを送ってくだ
さい。その際、お客様のAcronis RecoveryExpertの製品シリアルもお送りくださ
い。この番号は製品に同梱の登録カードに記載してあります。
サポート URL:http://www.proton.co.jp/support/personal/
電子メール:[email protected]
Acronis RecoveryExpert
5
第1章 Acronis RecoveryExpertのインストールと
起動
1.1 Acronis RecoveryExpertシステムパッケージ
Acronis RecoveryExpertシステムパッケージには次のものが同梱されています。
•
インストール CD 1 枚
•
ユーザーズガイド(本書)
•
補足説明書
•
登録カード
1.2 動作環境
Acronis RecoveryExpertの機能を最大限に活用するには次の動作環境が必
要です。
6
•
Pentium CPU または同等の CPU を搭載した PC/AT 互換コンピュータ
•
32MB RAM
•
フロッピーディスクドライブまたは CD-R/RW ドライブ
•
VGA モニタ
•
マウス(推奨)
第 1 章 Acronis RecoveryExpert のインストールと起動
1.3 インストール
Acronis RecoveryExpertのインストール方法
1. Acronis RecoveryExpertインストール CD を CD-ROM ドライブに挿
入します。
2. 画面上のインストールプログラムの指示に従ってください。
3. インストール方法を選択して、Acronis RecoveryExpertのファイルをハ
ードディスクにコピーした後ブータブルレスキューディスクまたはブータ
ブル CD-R/RW の作成を求められます(パッケージ製品を購入した場
合はブータブル CD が同梱されているのでここは無視して構いません)。
RecoveryExpert は Windows 上で動作するソフトウェアですがコンピ
ュータが起動できなくなったり、Linux やその他のオペレーティングシス
テムのハードディスクのパーティションを修復したりするときはこのディス
クで起動する必要があります。
Acronis RecoveryExpert
7
Acronis RecoveryExpertのインストールが完了したらコンピュータを再起動しま
す。
1.4 Acronis RecoveryExpertの修復とアップグレード
ソフトウェアの修復やアップグレードを行うには、Acronis RecoveryExpertのイ
ンストールプロ グラム を再 度 実行しま す。イ ンストールプ ロ グラムは Acronis
RecoveryExpertがすでにコンピュータにインストールされていると判断しプログ
ラムを復元(アップデート)するかディスクから完全に削除するかをたずねてきます。
1.5 ソフトウェアの削除
ソ フ ト ウ ェ ア を 削 除 す る に は 、 [ プ ロ グ ラ ム ] メ ニ ュ ー か ら [ Acronis ] →
[RecoveryExpert]→[Acronis RecoveryExpertのアンインストール]の順に選択しま
す。ダイアログボックスが現れて、コンピュータのハードディスクから本当にソフトウ
ェアを削除するのかを聞いてきます。 はい をクリックして削除することを確認しま
す。Acronis RecoveryExpertは完全に削除されます。
1.6 ユーザーインターフェイス
Acronis RecoveryExpertは、Windows オペレーティングシステム上で動作しま
す。グ ラ フ ィカルユー ザー イン ター フェ イス を備 えてお り、マ ウスや、 TAB 、
SHIFT+TAB 、 ← 、 → 、 ↑ 、 ↓ 、 SPACE 、 ENTER および ESC キーで操作できま
す。Windows では一般な、ウィザード形式のアプリケーションです。
8
第 1 章 Acronis RecoveryExpert のインストールと起動
普段から Windows、X Window、OS/2 のアプリケーションをお使いの場合は、
Acronis RecoveryExpertインターフェイスを簡単に使用することができます。
パーティションの復元のウィザードを使うと、一連のウィザードページが表示されま
す。ウィザードの各ページで利用できるアクションの中から選択しお好みの状態
に設定します。
マウスやキーボードを使っても選択できます。
各ダイアログボックスには選択されている状態だけでなくダイアログの目的や設定
(コントロールの要素)に関する詳細な説明も表示されます。
ウィザードページに ヘルプ ボタンはありません。それぞれのページには、そこで
の目的やコントロールについての詳しい説明が記載されています。また、あらゆ
る状況でどんな操作を選択しても、起こりうる事柄ついては詳細に説明してあり
ます。
1.7 Acronis RecoveryExpertを実行する
重大なシステム機能障害やディスクのファイル構造の破損のときに、Acronis
RecoveryExpertは異なったモードでディスクやパーティションの復元処理を行
います。
オペレーティングシステムが破損してシステムパーティションからコンピュータを起
動 で き な い 場 合 に は 、 あ ら か じ め [スタート]→ [プログラム]→ [Acronis]→
[RecoveryExpert]→[ブータブルレスキューメディアビルダ]で作成しておいた起動デ
ィスクまたはブータブル CD-R/RW を使って起動します。
Acronis RecoveryExpert
9
第2章 Acronis RecoveryExpertを使用する
Acronis RecoveryExpertは初期画面のページから始まります。ここでは、このソ
フトウェアでできることのすべてが説明されています。
Acronis RecoveryExpertは次に、ハードディスクのパーティション構成の読み
込みを開始します。
このプロセスの終了後、ハードディスクに未割り当て領域がないというメッセージ
が表示されることがあります。
ハードディスクに未割り当て領域がない
10
第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
注意:ハードディスクのすべての領域には、その一部にパーティションを作成した
り一部を未割り当てにしたりできます。ディスクパーティションを削除すると、それ
が故意であれ過失であれその領域は未割り当て領域になります。新しいパーティ
ションの作成に利用できるのは未割り当て領域だけです。
Acronis RecoveryExpertはハードディスクに未割り当て領域があるかをチェック
します。未割り当て領域がない場合、削除されたパーティションを探すことも復元
することもできません。未割り当て領域があれば、そこにひとつまたは複数のパー
ティションが含まれていた可能性があります。Acronis RecoveryExpertは、自動
の場合も手動の場合も、未割り当て領域を隅々まで検索します。
Acronis RecoveryExpert
11
2.1 自動復元
削除されたパーティションは、自動または手動で復元できます。モードは、[復元
モード]ウィンドウでどちらかを選択します。
最初にパーティションの自動復元について説明します。[復元モード]ウィンドウで
[自動]を選択してください。
自動復元モードを選択
12
第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
Acronis RecoveryExpertは、次の[削除されたパーティションの検索]ウィンドウで
削除されたパーティションをすべて検索します。検索の進行状態がウィンドウ下部
に表示されます。
削除されたパーティション検索の進行状況
ハードディスクのパーティションに関する情報は、特別なディスク領域(第 0 シリ
ンダの第 1 セクタ、第 0 ヘッド)に格納され、パーティションテーブルといいま
す。このセクタはブートセクタまたはマスターブートレコード(MBR)と呼ばれてい
ます。Acronis RecoveryExpertは、削除されたパーティションについて、パー
ティションテーブルをチェックするだけでなく、ディスク全体もスキャンします。そ
のため、復元プロセスの完了までには、ある程度の時間がかかります。
注意:Acronis RecoveryExpertは検索開始後すぐに削除されたパーティション
を見つけることがあります。見つかったパーティションは[削除されたパーティション
の検索]ウィンドウの一覧に追加されます。ただし、検索はディスク全体のパーティ
ションをスキャンし終わるまで継続します。
Acronis RecoveryExpert
13
自動復元モードではこの検索が終了するまで次の復元ステップに進めません。
[削除されたパーティションの検索]ウィンドウのプログレスバーがいっぱいにならな
いと、 次へ ボタンが使用可能になりません。しかし、手動モードの場合はすぐに
作業が可能です(「2.2 手動復元」を参照してください)。
検索時に見つかったパーティションは次の主なパラメータとともに一覧表示されます。
•
パーティション番号
•
ステータス
•
ラベル
•
容量
•
パーティションの空き領域
•
ファイルシステムの種類
注意:見つかったパーティションは検索中に自動的に一覧に追加されます。
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第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
削除されたパーティションを発見
注意:自動モードでは、パーティションを選択して復元する必要はありません。
Acronis RecoveryExpertは、見つかったパーティションをすべて復元します。
Acronis RecoveryExpert
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[復元されるパーティション]ウィンドウには復元するパーティションがハードディスク
のパーティション構造の一部として表示されそのボックスの右上の隅にアイコンが
つきます。
復元されるハードディスクパーティション
上の図ではAcronis RecoveryExpertによって一つのパーティションが発見され
ディスク構造の中に表示されていますが、まだ復元はされていません。
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第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
次のウィンドウには、Acronis RecoveryExpertが生成したパーティション復元の
処理手順が表示されます。
パーティション復元の処理手順
これはウィザードの最終ページです。次にこの処理手順を実行に移します。ここま
ではプログラムは何も実行しておらず、復元のための処理手順を記録しただけで
す。ウィザードの 次へ ボタンが、ここでは 進む になっていることに注意してくださ
い。
進む をクリックすると、あとはAcronis RecoveryExpertが自動的にすべての処
理を実行します。
Acronis RecoveryExpert
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2.2 手動復元
[復元モード]ウィンドウで[手動]を選択して手動復元モードにします。
手動復元モードを選択
Acronis RecoveryExpertの[空き領域の選択]ウィンドウに、パーティション構造と
未割り当てディスク領域が表示されます。前述のように、以前に存在し削除されて
しまったパーティションは、未割り当て領域からのみ検索されます。
パーティションを削除すると、その領域は未割り当て領域になります。したがって、
手動復元モードでは、削除されたパーティションを含む可能性のある未割り当て
領域を選択する必要があります。
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第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
このウィンドウでは、複数の未割り当て領域を、同時に復元対象として選択できま
す。
パーティション復元の対象に選択した未割り当て領域
次の[検索方法]ウィンドウで、削除されたパーティションを検索するための 2 種類
の方法から、ひとつを選択します。
• 高速
• 完全
こ の 2 つ の 方 法 の 違 い は 次 の と お り で す 。 「高速」検 索 を 使 う と 、 Acronis
RecoveryExpertはハードディスクの全シリンダの先頭部分をチェックします。「完
全」検索では、Acronis RecoveryExpertはハードディスクのすべてのセクタをチ
ェックします。
Acronis RecoveryExpert
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「高速」検索は比較的短時間で終了します。「完全」検索はかなり長時間かかります
が完全に検索します。
注意:「高速」検索でもほとんどの場合、削除されたすべてのパーティションを見
つけることができます。
検索方法の選択
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第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
[削除されたパーティションの検索]ウィンドウには、選択した未割り当て領域に、削
除される前には存在していたパーティションのパラメータが表示されます(それが
実際に存在していて削除された場合)。
Acronis RecoveryExpertが見つけたハードディスクの削除パーティション
自動復元モードと異なり、ハードディスクの削除されたパーティションの検索が終
了するまで待つ必要はありません。一つまたは複数のパーティションが見つかっ
て一覧に追加されたら、それらを選択してすぐに復元できます。パーティションを
選択すると、 次へ ボタンが使用可能になります。それをクリックすれば検索を中
止して復元に進むことができます。
手動復元モードでは、見つかったどのパーティションも復元対象として選択でき
ます。手動モードでは、例えば、あるパーティションを故意に削除し、誤って別の
パーティションも削除した場合、誤って削除してしまったパーティションだけを選
択して復元できます。復元対象のパーティションはクリックして選択します。
Acronis RecoveryExpert
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削除されたパーティションをクリックして選択し、復元を続行します。
復元対象として選択された削除パーティション
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第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
次の[復元されるパーティション]ウィンドウでは、復元されるパーティションの場所が、
ディスクパーティション構造の中に表示されます。
復元されるパーティションの場所
Acronis RecoveryExpert
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次のAcronis RecoveryExpertのウィンドウには、パーティション復元の処理手順
が表示されています。
パーティション復元の処理手順
これはウィザードの最終ページです。次にこの処理手順を実行に移します。ここま
ではプログラムは何も実行しておらず、復元のための処理手順を記録してきただ
けです。ウィザードの 次へ ボタンが、ここでは 進む になっていることに注意してく
ださい。
進む をクリックすると、あとはAcronis RecoveryExpertが自動的にすべての処
理を実行します。
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第 2 章 Acronis RecoveryExpert を使用する
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