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下肢静脈瘤

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下肢静脈瘤
下肢静脈瘤
当院では血管内レーザー治療(保険診療)を行っております。
当院は日本静脈学会を中心とした6学会による血管
内レーザー焼灼実施・管理委員会が定めた実施施設、
実施医、指導医の認定を受けております。
下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による
実施施設・実施医・指導医の認定証
新機種:波長1470nmエルベスレーザー
下肢静脈瘤とは・・・
出産、肥満、長時間の立ち仕事や遺伝的な理由によって下
肢の後ろや内側の表在静脈がこぶのように拡張する疾患です。
症状としては以下のものがあります。
・足の血管が目立つ。
・足がむくむ。
・足がかゆい
・ふくろはぎがだるい、疲れやすい。
・膨らんでいる血管が痛い。
・寝ているときに足がつる。
・足首の皮膚が硬くなる、茶色になる。
・くるぶしに潰瘍がある。
皮膚炎
色素沈着
皮膚硬化
下肢静脈瘤の原因・・・
下肢の静脈には筋肉内を走行する静脈(深部静脈)と皮膚
と筋肉の間を走行する表在静脈、そして深部静脈と表在静脈
の間を交通する交通枝(穿通枝ともいう)に分類されます。表在
静脈の主なものとしては、鼠径部から足首にかけて内側を走る
大伏在静脈と下腿の背側を走る小伏在静脈があります。
それぞれの静脈は心臓へとスムーズに血液が還流するように、
逆流を防止する弁が存在します。静脈瘤の原因はこの表在静
脈である大伏在静脈、あるいは小伏在静脈の弁不全によって
起こる血液の逆流であることがほとんどです。ときに交通枝の
弁不全が原因となっていることもあります。
静脈弁の逆流が原因!
静脈瘤化
正常な弁
異常な弁
交通枝
下肢静脈瘤の検査・・・
超音波検査で静脈の弁逆流の範囲や
その重症度を判断し、治療方針を決定し
ます。特に痛みもなく、低侵襲な検査です。
大伏在静脈の逆流
拡張した大伏在静脈
静脈瘤
下肢静脈瘤の治療法・・・
私は治療が必要?
・見た目が気になる
・症状があってつらい。
・皮膚炎の原因になっている
場合は治療が必要です。
静脈瘤は悪性の病気で
はありませんが、徐々に
は悪くなっていきますの
で、若い方(60歳未満)
は早めの治療をお薦め
します。
静脈瘤の治療法には大きく、圧迫療法、硬化療法、瘤切除術、
高位結紮術、ストリッピング手術、血管内レーザー治療の6つ
があります。
・高位結紮術
大伏在静脈あるいは小伏在
・ストリッピング手術
静脈自体に弁逆流や拡張が
・血管内レーザー治療
あり、治療が必要な場合
のいずれかを選択
大伏在静脈あるいは小伏在
静脈の分枝に静脈瘤があり
治療が必要な場合
・瘤切除術
・硬化療法
のいずれかを選択
しかしながら、まずは圧迫療法が基本です。
弾性包帯や弾性ストッキングにて患肢を圧迫し、
うっ血を予防する治療法です。これだけでは静脈
瘤は消失しません。根本的な治療法ではなく、病
状の進行を予防するための治療法です。
当院でも弾性ストッキングを注文可能です。患者
様の足のサイズを測定し、患者様にあったサイズ
や圧迫圧の弾性ストッキングを提供します。
(3800円から4700円程度の自己負担となりま
す。)
下肢静脈瘤の外科治療後は再発予防のため、約1ヶ月、弾性
ストッキングの着用を原則としております。
高位結紮術は静脈瘤の再発率が高い。
静脈瘤の原因となっている大伏在
静脈あるいは小伏在静脈を数カ所結
紮切離し、逆流を止める治療法です。 残存した
大伏在静脈
ところどころ大伏在静脈あるいは小伏
在静脈は残存しますのでストリッピング
手術や血管内レーザー治療と比べて
再発した
再発率は高く、あまりお薦めしません。
静脈瘤
大伏在静脈、小伏在静脈に対する治療に対しては
ストリッピング手術あるいは血管内レーザー治療を
お薦めします。どちらとも翌日からシャワー可能で、
入浴は約1週間後になります。
ストリッピング手術(静脈抜去術)について
ストリッパーという特殊なワイヤーを用いて静脈瘤の原因と
なっている大伏在静脈あるいは小伏在静脈全体を除去する方
法です。ストリッピングの手技自体は1-2㎝の皮膚切開が2カ所
で可能です。TLA麻酔という特殊な局所麻酔を用いて内翻法と
いう周囲の組織に損傷を与えない方法で手術を行いますので、
術後ほとんど痛みはありません。現在ではレーザー治療が困
難な症例に適応されます。基本的には日帰り手術で行っていま
す。
抜去した伏在静脈
内翻法:静脈が内側にめ
くれる様にして抜去しま
す。周囲組織を傷つけま
せん。
血管内レーザー治療について
下肢静脈瘤の原因となっている大伏在静脈、小伏在静脈に
1㎜程度のレーザーファイバーを血管内に挿入し、レーザー照
射を行い静脈を閉塞させる方法です。この手技自体ではほとん
ど傷がつかず、美容的に優れた治療法です。局所麻酔で施行
可能ですので入院の必要もありません。瘤切除や硬化療法を
あわせて施行する場合もあります。今回導入になった波長
1470nmのエルベスレーザーは従来の波長980nmエルベスレー
ザーと比べると術後の疼痛と皮下出血が著明に改善していま
す。この機種の保険収載によって今後ますます低侵襲な治療
が可能となりました。
日本での治験データ
980nm
1470nm
エルベスレーザー エルベスレーザー
(従来の機種)
(新機種)
術後疼痛
25%
0%
皮下出血
57%
7%
術後の疼痛、皮下出血が著明に改善
新機種:
波長1470nmエルベスレーザー
小さい傷での瘤切除術
ストリッピング手術や血管内レーザー治療単独では瘤が残
存すると予想される場合は、瘤切除も併せて行います。当院で
はバラディーという特殊な手術器具を用い2-3㎜の切開創で
瘤切除(スタブ・アバルジョン法)を行っております。
バラディー
スタブ・アバルジョン法
による小切開の傷跡
硬化療法について
硬化剤という特殊な薬を静脈瘤に注入し、静脈瘤を固めて、
消失させる治療法です。大伏在静脈、小伏在静脈には適応は
なく、その分枝静脈瘤に対して行います。硬化療法は外来で
の治療が可能であり、1回の治療時間は15分程度です。硬化
療法は主に軽い静脈瘤に対して施行され、太い静脈瘤に対し
てはあまり効果はありません。硬化剤注入部にしこりや色素
沈着が起こることはありますが、次第に消失していきます。
フォーム硬化剤
硬化療法後の色素沈着
費用は?
保険診療3割負担の方で
・ストリッピング手術(外来・日帰り手術)
・血管内レーザー治療(外来・外来手術)
・高位結紮術(外来・日帰り手術)
・硬化療法
約3万5千円
約4万5千円
約1万円
約5千円
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