...

JP 2008-540582 A 2008.11.20

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

JP 2008-540582 A 2008.11.20
JP 2008-540582 A 2008.11.20
(57)【要約】
シュロソウ属(Veratrum)植物、ツゲ属(Buxus)植物、ホラルレーナ属(Holarrhena
)植物、ナス属(Solarium)植物、及びインドジャボク属(Rauwolfia)植物より選択さ
れるステロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む、毛髪成長
を促進するためのシステムが提供される。このシステムはさらにピロカルプス属(Piloca
rpus)植物からの抽出物及び海藻抽出物を含み得る。このシステムはまた、脱毛を減らし
、毛髪の色を強化若しくは回復し、毛髪の太さを増大させ、毛髪の全体的な外観を改善し
、かつ/又はふけを低減するか若しくはなくすのに使用され得る。毛髪の成長を促進する
方法も提供される。
(2)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュロソウ属植物からの抽出物、ツゲ属植物からの抽出物、ホラルレーナ属植物からの
抽出物、ナス属植物からの抽出物、及びインドジャボク属植物からの抽出物のうちの1つ
又はそれ以上を含む、毛髪成長を促進するためのシステム。
【請求項2】
ピロカルプス属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物をさらに含む、請求項1に記載の
システム。
【請求項3】
1つ又はそれ以上の海藻抽出物をさらに含む、請求項1又は2に記載されるシステム。
10
【請求項4】
シュロソウ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物、ツゲ属植物からの1つ又はそれ以
上の抽出物、ホラルレーナ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物、及びインドジャボク
属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む、請求項1∼3のいずれか1項に記載のシ
ステム。
【請求項5】
シュロソウ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物及びツゲ属植物からの1つ又はそれ
以上の抽出物を含む、請求項1∼3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
ツゲ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物、及びホラルレーナ属植物からの1つ又は
20
それ以上の抽出物を含む、請求項1∼3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
シュロソウ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物、及びインドジャボク属植物からの
1つ又はそれ以上の抽出物を含む、請求項1∼3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
シュロソウ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む、請求項1∼3のいずれか1
項に記載のシステム。
【請求項9】
ツゲ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む、請求項1∼3のいずれか1項に記
載のシステム。
30
【請求項10】
海藻がヒバマタ属の海藻である、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
海藻がヒバマタである、請求項3に記載のシステム。
【請求項12】
シュロソウ属植物が、バイケイソウ、ベラトラムカリフォルニカム、シュロソウ、オオ
シュロソウ及びベラトラムビリデより選択される、請求項1∼5、7、8、10又は11
のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
ツゲ属植物がボックスウッドである、請求項1∼6、9、10又は11のいずれか1項
40
に記載のシステム。
【請求項14】
ホラルレーナ属植物がホラレーナディセンテリカである、請求項1∼4、6、10又は
11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
インドジャボク属植物がインドジャボクである、請求項1∼4、7、10又は11のい
ずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
対象に有効量の請求項1∼15のいずれか1項に記載のシステムの各抽出物を局所投与
することを含む、対象の毛髪成長を促進する方法。
50
(3)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【請求項17】
対象に有効量の請求項1∼15のいずれか1項に記載のシステムの各抽出物を局所投与
することを含む、対象の脱毛を減少させる方法。
【請求項18】
対象に有効量の請求項1∼15のいずれか1項に記載のシステムの各抽出物を局所投与
することを含む、対象の毛髪の色を強化若しくは回復するか、毛髪の太さを増大させるか
、毛髪の全体的な外観を改善するか、又はふけを低減するか若しくはなくすか、又はそれ
らの組み合わせの方法。
【請求項19】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、並びに:シュロソウ属植物からの抽出
10
物、ツゲ属植物からの抽出物、ホラルレーナ属植物からの抽出物、ナス属植物からの抽出
物、及びインドジャボク属植物からの抽出物の1つ又はそれ以上を含む、毛髪成長を促進
するためのシステム。
【請求項20】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、並びにシュロソウ属植物からの1つ又
はそれ以上の抽出物、ツゲ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物、ホラルレーナ属植物
からの1つ又はそれ以上の抽出物、及びインドジャボク属植物からの1つ又はそれ以上の
抽出物を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、並びにシュロソウ属植物からの1つ又
20
はそれ以上の抽出物及びツゲ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む、請求項19
に記載のシステム。
【請求項22】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、並びにツゲ属植物からの1つ又はそれ
以上の抽出物及びホラルレーナ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む、請求項1
9に記載のシステム。
【請求項23】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、並びにシュロソウ属植物からの1つ又
はそれ以上の抽出物及びインドジャボク属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む、
請求項19に記載のシステム。
30
【請求項24】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、及びシュロソウ属植物からの1つ又は
それ以上の抽出物を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、及びツゲ属植物からの1つ又はそれ以
上の抽出物を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
海藻抽出物がヒバマタ属の海藻の抽出物である、請求項19∼25のいずれか1項に記
載のシステム。
【請求項27】
40
海藻がヒバマタ抽出物である、請求項19∼25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
シュロソウ属植物がバイケイソウ、ベラトラムカリフォルニカム、シュロソウ、オオシ
ュロソウ及びベラトラムビリデより選択される、請求項19∼24のいずれか1項に記載
のシステム。
【請求項29】
ツゲ属植物がボックスウッドである、請求項19∼22又は25のいずれか1項に記載
のシステム。
【請求項30】
ホラルレーナ属植物がホラレーナディセンテリカである、請求項19、20又は22の
50
(4)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
いずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
インドジャボク属植物がインドジャボクである、請求項19、20又は23のいずれか
1項に記載のシステム。
【請求項32】
ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、並びに:シュロソウ属植物からの抽出
物、ツゲ属植物からの抽出物、ホラルレーナ属植物からの抽出物、ナス属植物からの抽出
物、及びインドジャボク属植物からの抽出物の1つ又はそれ以上を含有する単一の組成物
を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項33】
10
ピロカルプス属植物からの抽出物を含む第一の組成物、海藻抽出物を含む第二の組成物
、並びに:シュロソウ属植物からの抽出物、ツゲ属植物からの抽出物、ホラルレーナ属植
物からの抽出物、ナス属植物からの抽出物、及びインドジャボク属植物からの抽出物の1
つ又はそれ以上を含む第三の組成物を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項34】
毛髪成長の促進が望まれる領域に、有効量のピロカルプス属植物からの抽出物、有効量
の海藻抽出物、並びに有効量の:シュロソウ属植物からの抽出物、ツゲ属植物からの抽出
物、ホラルレーナ属植物からの抽出物、ナス属植物からの抽出物、及びインドジャボク属
植物からの抽出物の1つ又はそれ以上を局所適用する処置を含む、対象の毛髪成長を促進
するための方法。
20
【請求項35】
局所適用する処置が、有効量のピロカルプス属植物からの抽出物、有効量の海藻抽出物
、並びに有効量の:シュロソウ属植物からの抽出物、ツゲ属植物からの抽出物、ホラルレ
ーナ属植物からの抽出物、ナス属植物からの抽出物、及びインドジャボク属植物からの抽
出物の1つ又はそれ以上を含む単一の組成物を局所適用することを含む、請求項34に記
載の方法。
【請求項36】
局所適用する処置が、有効量のピロカルプス属植物からの抽出物を含む第一の組成物、
有効量の:シュロソウ属植物からの抽出物、ツゲ属植物からの抽出物、ホラルレーナ属植
物からの抽出物、ナス属植物からの抽出物、及びインドジャボク属植物からの抽出物の1
30
つ又はそれ以上を含む第二の組成物、並びに有効量の海藻抽出物を含む第三の組成物を局
所適用することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
局所適用する処置が、逐次的に:
(a)第一の組成物を局所適用すること、
(b)第二の組成物を局所適用すること;及び
(c)第三の組成物を局所適用すること
を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
局所適用する処置が、ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、シュロソウ属植
40
物からの1つ又はそれ以上の抽出物、ツゲ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物、ホラ
ルレーナ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物、及びインドジャボク属植物からの1つ
又はそれ以上の抽出物を局所適用することを含む、請求項34∼37のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項39】
局所適用する処置が、ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、シュロソウ属植
物からの1つ又はそれ以上の抽出物及びツゲ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を局
所適用することを含む、請求項34∼37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
局所適用する処置が、ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、ツゲ属植物から
50
(5)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
の1つ又はそれ以上の抽出物及びホラルレーナ属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を
局所適用することを含む、請求項34∼37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
局所適用する処置が、ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、シュロソウ属植
物からの1つ又はそれ以上の抽出物及びインドジャボク属植物からの1つ又はそれ以上の
抽出物を局所適用することを含む、請求項34∼37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
局所適用する処置が、ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、及びシュロソウ
属植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を局所適用することを含む、請求項34∼37の
いずれか1項に記載の方法。
10
【請求項43】
局所適用する処置が、ピロカルプス属植物からの抽出物、海藻抽出物、及びツゲ属植物
からの1つ又はそれ以上の抽出物を局所適用することを含む、請求項34∼37のいずれ
か1項に記載の方法。
【請求項44】
海藻抽出物が、ヒバマタ属の海藻の抽出物である、請求項34∼43のいずれか1項に
記載の方法。
【請求項45】
海藻が、ヒバマタ抽出物である、請求項34∼43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
20
シュロソウ属植物が、バイケイソウ、ベラトラムカリフォルニカム、シュロソウ、オオ
シュロソウ及びベラトラムビリデより選択される、請求項34∼39、41又は42のい
ずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
ツゲ属植物がボックスウッドである、請求項34∼40又は43のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項48】
ホラルレーナ属植物が、ホラレーナディセンテリカである、請求項34∼38又は40
のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
30
インドジャボク属植物が、インドジャボクである、請求項34∼38又は41のいずれ
か1項に記載の方法。
【請求項50】
対象にピロカルプス属植物、海藻、シュロソウ属植物、ツゲ属植物、ホラルレーナ属植
物、又はインドジャボク属植物からの抽出物を経口投与することをさらに含む、請求項3
4∼49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
対象に海藻抽出物を経口投与することをさらに含む、請求項34∼49のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項52】
40
請求項1∼15のいずれか1項に記載のシステム及び場合により使用のための指示書を
含む毛髪成長を促進するためのキット。
【請求項53】
請求項19∼33のいずれか1項に記載のシステム及び場合により使用のための指示書
を含む、毛髪成長を促進するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪及び頭皮の処置の分野、特に毛髪成長を促進するための植物抽出物に関
する。
50
(6)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【背景技術】
【0002】
脱毛症又は脱毛は、ヒト及び動物を悩ませる継続的な問題である。男性、女性及び小児
は全て脱毛症に罹患する可能性があり、これは遺伝因子、ホルモン因子、外科処置、外傷
及びストレスを含む多数の因子うちの1つ、又はそれらの組み合わせの結果であり得る。
脱毛の発生の普遍性により、毛髪成長を刺激し脱毛を防止するための組成物を発見しよう
とする努力が歴史を通して継続して払われてきた。
【0003】
毛髪は基本的に丈夫で不溶性のタンパク質であるケラチンから構成される。各毛髪は円
筒形の毛幹及び毛根を含み、皮膚におけるフラスコ状のくぼみである毛包中に含まれてい
10
る。平均的なヒトの頭部は、頭皮の全域に広がった例えば約100,000の毛包を有する。毛
包の底部は毛乳頭と呼ばれる指状突起を含み、これは結合組織から成り、そこから毛髪が
成長し、そしてそこを通って血管が細胞に栄養を供給する。毛幹は皮膚表面から外に向か
って延びている部分であり、一方毛根は毛髪の埋没した部分として説明されている。毛根
の基部は毛球中に広がり、毛乳頭上に存在する。毛髪が生成される細胞は、毛包の毛球で
増殖し;これらは毛包で細胞が増殖するにつれて繊維の形態で押し出される。「毛髪成長
」とは、分裂細胞による毛髪繊維の形成及び伸長を指す。しかし、毛包は成長、休止及び
退行の段階を繰り返しているので毛髪成長は一定ではない。大部分の哺乳動物において、
毛髪成長の周期は季節性であり、そして昼光の長さおよびホルモン活性に関係し、脱落又
は抜け変わりの規則的な周期を生じる。対照的に、ヒト毛髪の毛包は、一般的に互いに独
20
立して循環しており、それぞれの毛包はそれ自体の内部時計を有しているようである。種
々の研究は、一連の物質、例えば成長因子、ホルモン及び薬物が、毛幹細胞の集団を増加
させること及び/又は毛髪への栄養の供給に影響を与えることにより周期を調節し得るこ
とを示した。
【0004】
男性は典型的には後退する髪の生え際及び頭冠上のはげを伴うパターンはげ(pattern
baldness)を患い、女性は典型的に頭頂部全体にわたる毛髪の全般的な薄化に見舞われる
。男性型脱毛症(Androgenetic alopecia)(又は「男性型禿頭症」)は、毛周期が加速さ
れたか乱れた場合に発症する。換言すると、脱毛症は、成長期が短くなり毛髪がより早く
休止期に進んで大量に脱落する場合に発症する。その後に続く成長周期には、毛髪が次第
30
にまばらに、そして次第に短くなり、徐々に無着色に退色変化することになる。
【0005】
種々の因子が個体における脱毛症の発症の一因となっていると考えられており、これら
としては遺伝的特質、栄養、ホルモンレベル(甲状腺ホルモン、さらにステロイドホルモ
ン、テストステロン及びアルドステロン並びにそれらの前駆体のレベルを含む)、及び特
定の成長因子のレベルが挙げられる。
【0006】
例えば、いくつかの研究により、毛包はアンドロゲン感受性であることが示されている
。テストステロンはヒトにおける主要な循環アンドロゲンであり、そして酵素5−アルフ
ァレダクターゼにより触媒される反応においてジヒドロテストステロンに変換される。頭
40
髪脱毛に対するアンドロゲンの作用は、サイクリックAMP(cAMP)の細胞内濃度の変化によ
り媒介され得る。頭髪の毛包におけるアデニルシクラーゼの活性に対する種々の性ホルモ
ンの作用が試験されており、ジヒドロテストステロンはアデニルシクラーゼ活性を阻害す
るがテストステロンは阻害しないということを示している。毛包における高いジヒドロテ
ストステロンレベルは、アデニルシクラーゼを阻害することによりはげを起させ得るとい
うことが示唆されている。
【0007】
ソニックヘッジホッグ経路もまた、男性及び女性のパターンはげにおいて重大な影響を
及ぼし得る。皮膚において、ソニックヘッジホッグ(Shh)は、胚形成の間の毛包形態発生
、並びに成体における毛包成長及び周期の調節に必要である。最近の研究により、局所適
50
(7)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
用されたヘッジホッグ(Hh)−アゴニストが成体マウス皮膚における毛包周期を調節できる
ことが示された。Hh−アゴニストは、成体マウス皮膚における毛周期の休止期(テロゲン
)から成長(アナゲン)期への移行を刺激した。このことは、Hh−アゴニストの局所適用
が、頭皮における減少した増殖及び異常な毛包周期の状態(男性型脱毛症を含む)を処置
する際に有効になり得ることを示唆している(Paladini et al., Journal of Investigati
ve Dermatology. 2005; Volume 125 Page 638)。
【0008】
FDAは300,000種の毛髪成長治療薬がアメリカ合衆国において市場に出されたと見積もっ
ている。脱毛症の処置のための臨床用途で現在よく知られた1つの化合物は、2,4−ジア
ミノ−6−ピペリジノピリミジン 3−オキシド(ミノキシジル又はRogaine)である。ミノキ
10
シジルの毛髪成長特性への興味は1979年にロニテン錠(連邦食品医薬品局により血圧低下
用に承認された)の出現により明るみに出た。ロニタン錠を服用する患者の約80%におい
て顔、肩、及び体幹での過剰な毛髪成長が始まり、そして男性型脱毛症を有する患者では
彼らの頭部において新しい毛髪の成長が観察された。ノコギリパルメット(saw palmetto
)抽出物及びイラクサ根抽出物と組み合わせてミノキシジルを含む組成物を含め、禿頭症
の処置のためのミノキシジルを含む種々の組成物が記載されている(米国特許第6,596,266
号及び米国特許出願公開第20020028257号を参照のこと)。
【0009】
薬草及び植物抽出物のみに基づく脱毛症のための多数のより自然な治療薬が提案されて
きた。例えば、冬虫夏草(dong chong xia cho)(米国特許第4,769,231号);セイヨウメ
20
ギ(Berberis vulgaris又はbarberry)(米国特許第4,769,231号);ノコギリヤシベリー(
saw palmetto berry)(米国特許第5,750,108号);セイヨウイラクサ(Urtica dioica)(
米国特許第5,407,675号);トウモロコシ穂軸及びアロエベラゲル(米国特許第5,405,609号
);セイヨウメギ(Berberis vulgaris又はbarberry)(米国特許第5,607,693号);サルメ
ンエビネ(Calanthe R. Br.)又はガンゼキラン属(Phaius Lour.)(米国特許第5,750,10
7号);ノコギリパルメット(saw palmetto)及びアフリカピジウム(African Pygeum)(
米国特許第5,972,345号);ノコギリヤシ(Serenoa repens)(米国特許第6,019,976号);
ベチベル草(Vetiver grass)(米国特許第6,193,976号);ホップ、ローズマリー及びセン
ブリ属(Swertia)(米国特許第6,447,762号);アンジェリカ(Angelica)及びオウギ(As
tragali radix)(米国特許第6,689,348号);ヨモギ属(artemisia)、パセリ及びクラッ
30
シュドグレープ(GB 2 060 378A);並びにキノ(Pterocarpus marsupium)(米国特許出願
公開第20040146482号)からの抽出物を含む、毛髪成長を促進するか又は脱毛を低減するた
めの組成物が記載されている。
【0010】
ヘアトニックとして使用するための25種を超える植物抽出物の組み合わせを含むより
複雑な組成物が、日本特許出願公開JP60146829号に記載されている。米国特許出願公開第
20040156920号には、被子植物及び裸子植物からのオイル抽出物を製造するための一般的
な方法、並びにこれらの抽出物の使用(耐病性、ストレス抵抗性、健康及び成長の全体的
促進、老化の遅延、創傷治癒、皮膚修復、毛髪成長の刺激、骨修復並びに脂質低下におけ
る適用を含む)が記載されている。
40
【0011】
米国特許第5,674,510号には、ガーリックパウダー、醸造用酵母、グレープフルーツジ
ュース、酢酸及びケルプを含む、脱毛症を低減するかなくし、そして毛髪成長を増大させ
ることができる毛髪処置液剤が記載されている。米国特許第6,232,302号には、海藻、特
にヒバマタ(Fucus vesiculosus)、ノルウェイ産ケルプ(Ascophyllum nodosum)、クロ
メ(Ecklonia kurome)、アラメ(Eisenia bicyclis)、ラミナリア(Laminaria digitat
a)、マコンブ(Laminaria japonica)、ウミウチワ属(Padina pavonia)、ペルベチア
カナリクラタ(Pelvetia canaliculata)、ザルガッスムリニフォリウム(Sargassum lin
ifolium)又はワカメ(Undaria pinnatifda)から得られる解重合したフカン(fucane)
サルフェートを有効量局所適用することにより頭皮の毛髪成長周期における毛髪の割合を
50
(8)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
増加させる方法が記載されている。
【0012】
ブラダーラックとして一般的に知られるヒバマタ(Fucus vesiculosus)は、高いヨウ
素含有量を有するケルプの一種であり、そして種々の多糖類、例えばフコイダンを含有し
、抗血栓作用、抗凝固作用及び創傷治癒作用を有することが示されている(Colliec,S,et
al,Thromb Res 1991,64:143-154,O’Leary,R,et al,Biol. Pharm Bull,2004,27.166-270)
。
【0013】
米国特許第6,103,272には、コロイド状銀及び場合によりアロエベラゲル、アラントイ
ン、アルニカの花、ヒレハリソウの葉、ホーステールハーブ抽出物、ホホバ、コラーゲン
10
(collogen)、エラスチン、サポニン、カモミールの花、エルクウィード(elkweed)、
ヤボランジの葉、ピロリドンカルボン酸ナトリウム(napca)又はローズマリーの葉を含
む毛髪成長を促進するための局所用液剤が記載されている。
【0014】
ヤボランジは、ピロカルプス属(Pilocarpus)の種々の植物、主にP jaborandi、P pen
natifolius、P trachylophus、P microphyllus及びP spicatusに関して使用される一般的
な用語である。ヤボランジの葉からの抽出物は、種々の疾患及び障害の処置のための生薬
として長年使用されており(Lloyd, J U. The Gleaner 1937, volume 46)、そして皮膚障
害、例えば湿疹、騷痒、及び乾癬の処置、さらに毛髪の色の暗化及び毛髪成長の促進にお
いてある程度の有効性が示された(Eclectic Medical Publications, Portland, Oregonか
20
ら入手可能なKing's American Dispensatory, Felter&Lloyd, 1898を参照のこと)。ヤボ
ランジの公知の活性成分の1つはアルカロイドのピロカルピン(pilocarpine)であり、
これは緑内障の処置において、及び眼の瞳孔の収縮を促進するための眼の設定(ophthalm
ic settings)において使用される。ピロカルピンはまた、シェーグレン症候群を有する
患者において口内乾燥及び関連する口腔症状を処置するために使用されている(Vivino, F
. B., 2001, Scandinavian Journal of Rheumatology, 30:1-39)。ピロカルピンに加えて
、ヤボランジは多数の他のアルカロイドを含み、さらにテルペン類及びタンニン酸を含む
。
【0015】
ホラルレーナアンチディセンテリカ(Holarrhena antidysynterica)抽出物は、伝統的
30
な薬草療法において、アミーバ赤痢及び他の胃障害、例えば下痢、消化不良、膨満及び疝
痛を処置するそれらの能力について知られている(例えばDictionary of Indian Medicina
l Plants, Hussain, A., et al., 1992, Central Institute of Medicinal and Aromatic
Plants, Lucknow, Indiaを参照のこと)。ホラルレーナアンチディセンテリカ(Holarrhe
na antidysynterica)の樹皮は、収れん作用を有することも知られている。ホラルレーナ
アンチディセンテリカ(Holarrhena antidysynterica)の活性成分の1つはステロイド性
アルカロイドであるコネッシンであると考えられており、これはホラルレーナアンチディ
センテリカ(Holarrhena antidysynterica)樹木の樹皮から単離することができる。30
種より多くのアルカロイドがホラルレーナアンチディセンテリカ(Holarrhena antidysyn
terica)から単離されており、これにはコネッシン(conessine)、kurchine、kuchicine
40
、holarrhimine、conarrhimine、conaine、conessimine、iso-conessimine、conimine、h
olacetin、及びconkurchinが含まれる。
【0016】
インドジャボク(Rauwolfia serpentina)(Indian snakewood)は、アーユルベーダ医術
及び伝統的なインド医術において、解熱剤として、蛇咬症、下痢、及び赤痢の処置として
、並びに種々の中枢神経系障害の緩和のために何世紀も使用されてきた。インドジャボク
アルカロイドは、高血圧、及び精神障害を有する患者における重い動揺の処置において使
用される。
【0017】
ステロイドアルカロイドもまた、シュロソウ属(Veretrum)(例えば、ジェルビン(jer
50
(9)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
vine)、ルビジェルビン(rubijervine)、プソイドジェルビン(pseudojervine)及びシ
クロパミン)、ナス属(Solanum)(例えば、ソラニン、トマチン、ソラソジン(solasodin
e)及びソラニジン(solanidine))、ツゲ属(Buxus)(例えば、ジアセチルブキサジン(
diacetylbuxadine)、デメチルシクロミクラニン(demethylcyclomikuranine)、シクロ
ミクラニン(cyclomikuranine)、シクロブキソフィリン(cyclobuxophylline)、ブキサ
クアマリン(buxaquamarine)及びスピロホルナブキシン(spirofornabuxine))及びイン
ドジャボク属(Rauwolfia)(例えば、レセルピン及びレシナミン(rescinnamine))の植
物により製造される。これらのアルカロイドの多くは公知の毒素であり、これにはジェル
ビン及びシクロパミン(これらは催奇性である)、並びにソラニン(これは有系分裂毒で
ある)が含まれる。ジェルビンはまた、いくつかの哺乳動物種において催奇性作用を及ぼ
10
すことも示されている。異常は、それらの発生のための正常な軟骨形成に依存する構造に
限られている。ジェルビンは、特に間充組織の軟骨への分化の初期段階中に特異的に作用
し、特定の幹細胞集団がこの化合物の標的組織であるようである(Campbell et al, Dev.
Biol. 1985; 11 1(2):464)。バイケイソウ(Veratrum album)はまた、山地の牧草用草地
での重大な雑草として知られる。なぜならバイケイソウは、哺乳動物に対して急性(actu
e)毒性を示し、そして飼料植物と局地的に置き換わるからである(Schaffner et al., Bi
ocontrol News and Information, 2002, 22:19N-28N)。
【0018】
癌又は細菌感染、真菌感染若しくは寄生生物感染における多剤耐性を改善又は抑制する
ための、ソラニダン(solanidanes)及びC−ノル−D−ホモステロイドアルカロイドを含
20
むステロイドアルカロイドの使用が報告されている(米国特許出願公開公報第2003/011439
3号)。ヘッジホッグシグナル伝達、コレステロール生合成及び輸送のモジュレーション、
並びに顎弓形態発生の間の細胞増殖の制御に対するシュロソウ属ジェルビンアルカロイド
の強力な調節作用が報告されている。(Incardona et al., Development 1998; 125, 3553
-3562、及びCooper et al,. Science 5 June 1998:Vol. 280. no. 5369, pp. 1603-1607)
。
【0019】
この背景情報は、本発明の関連する可能性があると出願人が考える情報を知らせる目的
のために提供される。前述の情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成するという
ことの自白を必ずしも意図するものではなく、そう解釈されるべきものでもない。
30
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、毛髪成長を促進し、毛髪及び頭皮の健康を改善するためのシステム及
び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一局面によれば、シュロソウ属(Veratrum:又はバイケイソウ属)植物からの
抽出物、ツゲ属(Buxus)植物からの抽出物、ホラルレーナ属(Holarrhena)植物からの
抽出物、ナス属(Solanum)植物からの抽出物、及びインドジャボク属(Rauwolfia)植物
40
からの抽出物のうちの1つ又はそれ以上を含む、毛髪成長を促進するためのシステムが提
供される。
【0022】
本発明の別の局面によれば、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物、海藻抽
出物、並びに:シュロソウ属(Veratrum)植物からの抽出物、ツゲ属(Buxus)植物から
の抽出物、ホラルレーナ属(Holarrhena)植物からの抽出物、ナス属(Solanum)植物か
らの抽出物、及びインドジャボク属(Rauwolfia)植物からの抽出物の1つ又はそれ以上
を含む、毛髪成長を促進するためのシステムが提供される。
【0023】
本発明の別の局面によれば、毛髪成長の促進が望まれる領域に、有効量のピロカルプス
50
(10)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
属(Pilocarpus)植物からの抽出物、有効量の海藻抽出物、並びに有効量の:シュロソウ
属(Veratrum)植物からの抽出物、ツゲ属(Buxus)植物からの抽出物、ホラルレーナ属
(Holarrhena)植物からの抽出物、ナス属(Solanum)植物からの抽出物、及びインドジ
ャボク属(Rauwolfia)植物からの抽出物の1つ又はそれ以上を局所適用する工程を含む
、対象において毛髪成長を促進するための方法が提供される。
【0024】
本発明の別の局面によれば、本発明のシステム及び場合により使用のための指示書を含
む毛髪成長を促進するためのキットが提供される。
【0025】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面が参照される以下の詳細な説明においてよ
10
り明らかとなる。
図1は、患者の罹患した領域における毛髪成長に対する本発明の一実施態様による植物
性組成物の効果の例を示す。図1Aは、処置前の罹患した領域を示し、そして図1Bは処
置後の罹患した領域を示す。
【0026】
本発明は、1つ又はそれ以上の植物抽出物を含む毛髪成長を促進するためのシステムを
提供する。その最も単純な実施態様において、このシステムは、シュロソウ属(Veratrum
)植物、ツゲ属(Buxus)植物、ホラルレーナ属(Holarrhena)植物、ナス属(Solanum)
植物、及びインドジャボク属(Rauwolfia)植物より選択されるステロイドアルカロイド
を含有する植物由来の1つ又はそれ以上の植物抽出物を含む。他の実施態様において、こ
20
のシステムはまた、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び/又は海藻抽出
物を含む。抽出物は粗製の植物抽出物、実質的に純粋な抽出物、植物化学物質(例えばア
ルカロイド、グリコシド及び/又は多糖類)を富化された抽出物、又は上記植物から抽出
された実質的に精製された植物化学物質(例えばアルカロイド、グリコシド及び/又は多
糖類)であり得る。一般的に、植物抽出物は、植物抽出物を含む組成物の形態でシステム
に含まれ、これを本明細書中で「植物性(botanical)組成物」と呼ぶ。このシステムの
植物抽出物は、単一の植物性組成物として組み合わせて提供される得るか、又は各抽出物
が別々の植物性組成物として提供及び保存され得る。あるいは、システムの植物抽出物の
2つ又はそれ以上が、第一の植物性組成物として、別々の組成物として提供及び保存され
るシステムの1つ又はそれ以上のさらなる植物抽出物と共に組み合わされて提供され得る
30
。システムがシュロソウ属(Veratrum)植物抽出物、ツゲ属(Buxus)植物抽出物、ホラ
ルレーナ属(Holarrhena)植物抽出物、ナス属(Solanum)植物抽出物、及びインドジャ
ボク属(Rauwolfia)植物抽出物のうち1つより多くを含む場合、これらの抽出物は単一
の植物性組成物として提供されても、別々の植物性組成物として提供されてもよい。
【0027】
このシステムは、毛髪の成長の促進において有効であり、従って毛髪成長が停止若しく
は減少した身体の領域、又は毛髪成長が生来少ない身体の領域における毛髪成長を促進す
るために対象により使用することができる。このシステムはまた、脱毛を減らし、毛髪の
色を強化若しくは回復し、毛髪の太さ(thickness)を増大させ、毛髪の全体的な外観を
改善し、かつ/又はふけを低減するか若しくはなくすために使用することができる。
40
【0028】
本発明はまた、対象において毛髪成長を促進するためにシステムを使用する方法を提供
する。本発明のシステムを使用して対象において脱毛を減らし、毛髪の色を強化若しくは
回復し、毛髪の太さを増大させ、毛髪の全体的な外観を改善し、かつ/又はふけを低減す
るか若しくはなくす方法もまた提供される。
【0029】
本発明のシステム及び方法は、例えば男性型脱毛症(alopecia androgenetica)(「男
性型禿頭症」)、瘢痕性脱毛症(cicatrista)及び円形脱毛症を含む種々の形態の脱毛症
に直面したか、又は外傷、傷害、化学療法、ストレス、遺伝的因子、ホルモン変化、疾患
、栄養不均衡、頭皮異常などの結果として完全又は部分的な脱毛に悩む対象により、さら
50
(11)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
に生来毛髪成長が少ない対象のために使用することができる。
【0030】
本発明のシステム及び方法は、ヒト及び他の哺乳動物種の両方における使用に適してい
る。例えば、このシステム及び方法を、羊毛又は毛皮の生産において使用される非ヒト哺
乳動物に適用して、毛髪成長を加速させ、それにより例えば、正味の1年の羊毛生産をよ
り多くするか、又は成熟した皮膚を生じさせるために必要とされる時間を減らすことがで
きる。
【0031】
定義
他に規定されていなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、
10
本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0032】
用語「植物」は、本明細書中で使用される場合、陸上植物及び水性植物の両方を含むこ
とが意図される。
【0033】
用語「海藻」とは、本明細書中で使用される場合、褐藻綱(Phaeophyceae)、紅藻綱(
Rhodophyceae)又は緑色植物門(Chlorophyta)からの海草を指す。
【0034】
用語「植物材料」とは、本明細書中で使用される場合、個別に、又は一群で採取された
植物の一部を指す。例としては、球根、葉、花、果実、地下茎、根、種子、種子のさや、
20
茎、葉状体、樹皮、末端枝、小枝、及び植物の他の部分が挙げられるがこれらに限定され
ない。
【0035】
用語「抽出物」又は「植物抽出物」とは、本明細書中で使用される場合、それが由来す
る元の植物材料と異なる形態である植物材料に由来する製造物を指す。抽出は、機械的に
細胞を溶解させるような簡単なものでもよく、この場合、製造物は不溶性の残屑を除去す
るために遠心分離又は濾過により清澄化され得るか、又は植物材料を1つ若しくはそれ以
上の溶媒と接触させることにより誘導される製造物であり得る。用語「抽出物」はまた、
植物化学物質(例えばアルカロイド、グリコシド及び/又は多糖類)の含有量を富化する
ために1つ又はそれ以上の精製工程を経る製造物、さらに植物材料に由来する部分的又は
30
実質的に精製された植物化学物質を含む製造物を包含する。
【0036】
用語「ステロイド」及び「ステロイド様」は、本明細書中で交換可能に使用され、そし
てシクロペンタノフェナントレンの骨格または1つ若しくはそれ以上の結合切断又は環拡
大若しくは環縮小によりシクロペンタノフェナントレンの骨格から誘導された骨格を有す
る多環式化合物のクラス全般を指す。これらの環は1つ又はそれ以上の位置において、メ
チル又は他の低級アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基などにより置換されて、
原子価及び安定性の規則に従う誘導体を生じ得る。
【0037】
用語「ストレッサー」とは、本明細書中で使用される場合、植物を収穫する前に特定の
40
植物化学物質の生成を増加させるために植物に対して適用される物理的ストレス、化学化
合物又は生物学的薬剤のような因子を指す。
【0038】
用語「対象」とは、本明細書中で使用される場合、処置を必要とするか、又は本発明の
システムの使用から別の利益を得るであろう哺乳動物を指す。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「約」とは、名目値からの+/−10%の変動を指す
。このような変動は、それが特に言及されてもされなくても、本明細書中に提供されたあ
らゆる示された値に常に含まれるということが理解されるべきである。
【0040】
50
(12)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
植物抽出物を含むシステム
本発明のシステムは、シュロソウ属(Veratrum)植物、ツゲ属(Buxus)植物、ホラル
レーナ属(Holarrhena)植物、ナス属(Solanum)植物及びインドジャボク属(Rauwolfia
)植物より選択されるステロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物
を含む。一実施態様において、このシステムは、シュロソウ属(Veratrum)植物及び/又
はツゲ属(Buxus)植物からの1つ若しくはそれ以上の抽出物を含む。さらに、このシス
テムは、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの1つ若しくはそれ以上の抽出物、及び
/又は1つ又はそれ以上の海藻抽出物を含むことができる。このシステムはさらに、処置
されている対象に対して追加の有益な効果を与える追加の植物抽出物を含むことができる
。
10
【0041】
システム中の植物抽出物は、植物性組成物の形態で提供され得、これは場合により適切
な担体、賦形剤及び/又は添加剤を含み、そしてさらに場合によりそれらの有効性を補足
、促進又は他の改善をする他の成分を含むことができる。このような追加の成分は、抗菌
剤、保湿剤、ビタミン、ミネラルなどであり得る。
【0042】
いずれかの理論又は機構に限定されるものではないが、本発明のシステムに含まれる植
物抽出物は、毛髪の幹細胞集団を増加させ、構造タンパク質ケラチンの生成を増加させ、
毛穴を開き、かつ/又は必須栄養素を毛髪に与え、それにより毛髪の成長を促進し、その
全体的な健康を改善するのに寄与するものと考えられる。本発明の一実施態様において、
20
システムは毛穴が開くのを促進するためのピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出
物;毛髪の幹細胞集団の増加を促進しかつ/又はテストステロンのジヒドロテストステロ
ンへの変換を下方調節するためのステロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以
上の抽出物;及び毛髪に栄養素を与えるための海藻抽出物を含む。
【0043】
本発明の一実施態様において、システムは、シュロソウ属(Veratrum)植物、ツゲ属(
Buxus)植物及びホラルレーナ属(Holarrhena)植物より選択されるステロイドアルカロ
イド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を;ピロカルプス属(Pilocarpus)植物か
らの抽出物、及び海藻抽出物と組み合わせて含む。別の実施態様において、システムは、
シュロソウ属(Veratrum)植物及びツゲ属(Buxus)植物より選択されるステロイドアル
30
カロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を;ピロカルプス属(Pilocarpus)植
物からの抽出物及び海藻抽出物と組み合わせて含む。さらなる実施態様において、システ
ムは、ツゲ属(Buxus)植物及びホラルレーナ属(Holarrhena)植物より選択されるステ
ロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を、ピロカルプス属(Pilo
carpus)植物からの抽出物、及び海藻抽出物と組み合わせて含む。
【0044】
本発明の代替の実施態様において、システムは、シュロソウ属(Veratrum)植物からの
1つ又はそれ以上の抽出物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び海藻抽
出物を含む。別の実施態様において、システムは、ツゲ属(Buxus)植物からの1つ又は
それ以上の抽出物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び海藻抽出物を含
40
む。別の実施態様において、システムは、ホラルレーナ属(Holarrhena)植物からの1つ
又はそれ以上の抽出物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び海藻抽出物
を含む。さらなる実施態様において、システムは、ナス属(Solanum)植物からの1つ又
はそれ以上の抽出物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び海藻抽出物を
含む。別の実施態様において、システムは、インドジャボク属(Rauwolfia)植物からの
1つ又はそれ以上の抽出物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び海藻抽
出物を含む。
【0045】
別の実施態様において、システムは、シュロソウ属(Veratrum)植物、ツゲ属(Buxus
)植物、ホラルレーナ属(Holarrhena)植物及びインドジャボク属(Rauwolfia)植物よ
50
(13)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
り選択されるステロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を;ピロ
カルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物、及び海藻抽出物と組み合わせて含む。別の
実施態様において、システムは、シュロソウ属(Veratrum)植物、インドジャボク属(Ra
uwolfia)植物、及びツゲ属(Buxus)植物より選択されるステロイドアルカロイド含有植
物からの1つ又はそれ以上の抽出物を;ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物
及び海藻抽出物と組み合わせて含む。さらなる実施態様において、システムは、ツゲ属(
Buxus)植物、インドジャボク属(Rauwolfia)植物及びホラルレーナ属(Holarrhena)植
物より選択されるステロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を;
ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び海藻抽出物と組み合わせて含む。別
の実施態様において、システムは、シュロソウ属(Veratrum)植物及びインドジャボク属
10
(Rauwolfia)植物より選択されるステロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ
以上の抽出物を;ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物及び海藻抽出物と組み
合わせて含む。
【0046】
1. 植物
ステロイドアルカロイド含有植物
本発明のシステムは、シュロソウ属(Veratrum)植物、ツゲ属(Buxus)植物、ホラル
レーナ属(Holarrhena)植物、ナス属(Solanum)植物、及びインドジャボク属(Rauwolf
ia)植物より選択されるステロイドアルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出
物を含む。本発明のシステムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料のう
20
ちこれらのステロイドアルカロイド含有植物に由来する割合は、約15%と約95% w/wとの
間である。一実施態様において、ステロイドアルカロイド含有植物材料の割合は、システ
ムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料の約20%と約90% w/wとの間で
ある。別の実施態様において、ステロイドアルカロイド含有植物材料の割合は、システム
のための抽出物を製造するために使用される全植物材料の約25%と約90% w/wとの間であ
る。さらなる実施態様において、ステロイドアルカロイド含有植物材料の割合は、システ
ムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料の約30%と約85% w/wとの間で
ある。
【0047】
本発明の代替の実施態様において、ステロイドアルカロイド含有植物材料の割合は、シ
30
ステムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料の約30%と約60% w/wとの
間である。さらなる実施態様において、ステロイドアルカロイド含有植物材料の割合は、
システムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料の約30%と約50% w/wと
の間である。
【0048】
シュロソウ属(Veratrum)植物
本発明のシステムに含まれるシュロソウ属植物抽出物は、種々の公知のシュロソウ属種
及び亜種に由来し得る。適切な例としては、バイケイソウ(Veratrum album)(ホワイト
ヘリボー)、ベラトラムカリフォルニカム(Veratrum californicum:又はベラトルムカリ
フォルニクム)(カリフォルニアフォルスヘリボー(California false hellebore))、ベ
40
ラトラムグランジフロラム(Veratrum grandiflorum)、シュロソウ(Veratrum japonicu
m)、オオシュロソウ(Veratrum nigrum)(ブラックフォルスヘリボー(Black false hel
lebore))、ベラトラムオフィシナレ(Veretrum officinale)(サバジラ)、ベラトラムサ
バジラ(Veratrum sabadilla)(サバジラ)、ベラトラム(Veratrum)spp.(フォルスヘリ
ボー(False hellebore))、ベラトラムビリデ(Veratrum viride)(グリーンヘリボー)
及びベラトラムウージー(Veratrum woodii)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
一実施態様において、本発明のシステムは、バイケイソウ(Veratrum album)、ベラト
ラムカリフォルニカム(Veratrum californicum)、シュロソウ(Veratrum japonicum)
、オオシュロソウ(Veratrum nigrum)又はベラトラムビリデ(Veratrum viride)由来の
50
(14)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
シュロソウ属植物抽出物を含む。
【0050】
ツゲ属(Buxus)植物
本発明のシステムに含まれるツゲ属植物抽出物は、種々の公知のツゲ属種及び亜種由来
であり得る。適切な例としては、ブクススアクミナタ(Buxus acuminata)、バレアルボ
ックス(Buxus balearica)、ブクススボジネリ(Buxus bodineri)、ブクススシトリフ
ォリア(Buxus citrifolia)、ブクススクラシフォリア(Buxus crassifolia)、ブクス
スコキンケンシス(Buxus cochinchensis)、ブクススクバナ(Buxus cubana)、ブクス
スフォリオサ(Buxus foliosa)、ブクススハルランジー(Buxus harlandii)、ブクスス
ヒルデブランドチー(Buxus hildebrandtii)、ブクススヒルカナ(Buxus hyrcana)、ブ
10
クススマクロフィラ(Buxus macrophylla)、ブクススマコワニ(Buxus macowani)、ブ
クススマダガスカリカ(Buxus madagascarica)、ブクススメジストフィラ(Buxus megis
tophylla)、ブクススメキシカナ(Buxus mexicana)、ヒメツゲ(Buxus microphylla)(
ツゲ(Buxus microphylla japonica)、ブクススミクロフィラコレアナ(Buxus microphy
lla koreana)及びタイワンアサマツゲ(Buxus microphylla sinica)を含む)、ブクスス
パピロサ(Buxus papillosa)、ブクススポルトリセンシス(Buxus portoricensis)、ブ
クススプベセンス(Buxus pubescens)、ブクススレボルタ(Buxus revoluta)、ブクス
スリパリア(Buxus riparia)、ブクススロツンジフォリア(Buxus rotundifolia)、ブ
クススルグロサ(Buxus rugulosa)、ビキシスルピコラ(Bixis rupicola)、ブクススシ
ニカ(Buxus sinica)、セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)(ボックス)、ブクスススフ
20
ルクタカ(Buxus suffructaca)(ドワーフボックス)、ブクススバッシニオイデス(Buxus
vaccinioides)、ブクススリブラリス(Buxus rivularis)、ブクススロルフェイ(Buxu
s rolfei)及びブクススワリキアナ(Buxus wallichiana)が挙げられるがこれらに限定
されない。
【0051】
一実施態様において、本発明のシステムは、バレアルボックス(Buxus balearica)、
ブクススボジネリ(Buxus bodineri)、ブクススハルランジー(Buxus harlandii)、ヒ
メツゲ(Buxus microphylla)(ツゲ(Buxus microphylla japonica)、ブクススミクロフ
ィラコレアナ(Buxus microphylla koreana)及びタイワンアサマツゲ(Buxus microphyl
la sinica)を含む)、ブクススリパリア(Buxus riparia)、ブクススルグロサ(Buxus r
30
ugulosa)、ブクススシニカ(Buxus sinica)、セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)(ボ
ックス)、及びブクススワリキアナ(Buxus wallichiana)由来のツゲ属植物抽出物を含む
。本発明の別の実施態様において、本発明のシステムは、セイヨウツゲ(Buxus sempervi
rens)由来のツゲ属植物抽出物を含む。別の実施態様において、ツゲ属植物抽出物は、ツ
ゲ属植物の葉由来である。
【0052】
ホラルレーナ属(Holarrhena)植物
本発明のシステムに含まれるホラルレーナ属植物抽出物は、種々の既知のホラルレーナ
属種及び亜種由来であり得る。適切な例としては、ホラルレーナアンチディセンテリカ(
Holarrhena antidysenterica)、ホラルレーナフェブリフガ(Holarrhena febrifuga)、
40
ホラルレーナフロリブンダ(Holarrhena floribunda)及びホラルレーナプベセンス(Hol
arrhena pubescens)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0053】
一実施態様において、本発明のシステムは、ホラルレーナ属植物の樹皮由来のホラルレ
ーナ属植物抽出物を含む。
【0054】
ナス属(Solanum)植物
本発明のシステムに含まれるナス属植物抽出物は、種々の公知のナス属種及び亜種由来
であり得る。適切な例としては、テリミノイヌホオズキ(Solanum americanum)、キンギ
ンナスビ(Solanum aculeatissimum)(ラブアップル)、フォールスエルサレムチェリー(
50
(15)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
Solanum capsicastrum)、サルナスビ(Solanum carolinense)(ホースネトル(Horsenet
tle))、ムラサキハリナス(Solanum citrullifolium)、ソラヌムヅルカマラ(Solanum
dulcamara)(ウッディナイトシェード)、ラシャナス(Solanum elaeagnifolium)、ヤン
バルナスビ(Solanum erianthum)(タバコナイトシェード(Tobacco Nightshade))、ソ
ラヌムヘテロドキスム(Solanum heterodoxum)、ヒラナス(Solanum integrifolium)(
ラッフルドレッドエッグプラント(Ruffled Red Eggplant))、シホウゲ(Solanum lacin
iatum)(タスマニアカンガルーアップル)、アカミノイヌホオズキ(Solanum luteum)、
ガーデンハックルベリー(Solanum melanocerasum)(サンベリー(Sunberry))、ツノナ
ス(Solanum mammosum)(ソドムのリンゴ)、ナス(Solanum melongena)(エッグプラント
)、イヌホオズキ(Solanum nigrum)(ブラックナイトシェード)、ソラヌムオレラセウム
10
(Solanum oleraceum)(ジャグエリボ(Jagueribo))、ヒメケイヌホオズキ(Solanum ph
ysalifolium)、フユサンゴ(Solanum pseudo-capsicum)(エルサレムチェリー)、ソラヌ
ムキトエンセ(Solanum quitoense)(ナランジラ)、トマトダマシ(Solanum rostratum)
、ケイヌホオズキ(Solanum sarrachoides)、ソラナムシシンブリフォリウム(Solanum
sisymbrifolium)、ソラヌムソドマエウム(Solanum sodomaeum)(ソドムのリンゴ)、ハ
ゴロモイヌホオズキ(Solanum triflorum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)(ポテト)
及びソラヌムキサントカルプム(Solanum xanthocarpum)(カンチカリ(Kantikari))が
挙げられるがこれらに限定されない。
【0055】
一実施態様において、本発明のシステムは、ソラヌムヅルカマラ(Solanum dulcamara
20
)(ウッディナイトシェード)由来のナス属植物抽出物を含む。別の実施態様において、本
発明のシステムは、植物の地上部分由来のナス属植物抽出物を含む。
【0056】
インドジャボク属(Rauwolfia)植物
本発明のシステムに含まれるインドジャボク属(Rauwolfia)植物抽出物は、種々の公
知のインドジャボク属種及び亜種由来であり得る。適切な例としては、インドジャボク(
Rauwolfia serpentina)、ラウウォルフィアボミトリア(Rauwolfia vomitoria)、ラウ
ウォルフィアカネセンス(Rauwolfia canescens)及びラウウォルフィアテトラフィラ(R
auwolfia tetraphylla)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0057】
30
一実施態様において、本発明のシステムは、インドジャボク(Rauwolfia serpentina)
由来のインドジャボク属植物抽出物を含む。
【0058】
ピロカルプス属(Pilocarpus)植物
本発明のシステムに含まれるピロカルプス属植物抽出物は、種々の公知のピロカルプス
属種又は亜種由来であり得る。適切な例としては、ピロカルプスセアレンシス(Pilocarp
us cearensis)、ヤボランジ(Pilocarpus jaborandi)(ペルナンブコヤボランジ(Perna
mbuco jaborandi)としても知られる)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マラン
ハムヤボランジ(Maranham jaborandi)としても知られる)、ピロカルプスオフィシナリ
ス(Pilocarpus officinalis)、ピロカルプスパウシフロルス(Pilocarpus pauciflorus
40
)(ピロカルプススピカツス(Pilocarpus spicatus)の亜種)、ピロカルプスペンナチホ
リウス(Pilocarpus pennatifolius)(ピロカルプスペンナチホリウスヤボランジ(Piloc
arpus pennatifolius jaborandi)を含む)、ピロカルプスラセモスス(Pilocarpus racem
osus)(グアデロウペヤボランジ(Guadeloupe jaborandi)としても知られる)、ピロカル
プススピカツス(Pilocarpus spicatus)(アラカチヤボランジ(Aracati jaborandi)と
しても知られる)及びピロカルプストラキロフス(Pilocarpus trachylophus)が挙げられ
るがこれらに限定されない。
【0059】
一実施態様において、本発明のシステムは、ピロカルプスペンナチホリウス(Pilocarp
us pennatifolius)、ヤボランジ(Pilocarpus jaborandi)又はヤボランジ(Pilocarpus
50
(16)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
microphyllus)由来のピロカルプス属植物抽出物を含む。別の実施態様において、本発
明のシステムは、ピロカルプス属植物の葉及び細い茎由来のピロカルプス属植物抽出物を
含む。
【0060】
一実施態様において、本発明のシステムは、ブラジル原産のピロカルプス属植物からの
抽出物を含む。別の実施態様において、本発明のシステムは、ブラジルのセアラ州又はマ
ラニャン州原産のピロカルプス属植物からの抽出物を含む。
【0061】
本発明のシステムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料のうちピロカ
ルプス属植物に由来する植物材料の割合は、約3%と約20% w/wとの間である。一実施態
10
様において、ピロカルプス属植物材料の割合は、システムのための抽出物を製造するため
に使用される全植物材料の約5%と約18% w/wとの間である。別の実施態様において、ピ
ロカルプス属植物材料の割合は、システムのための抽出物を製造するために使用される全
植物材料の約7%と約15% w/wとの間である。
【0062】
海藻
本発明のシステムの海藻抽出物成分が由来する海藻は、褐藻(褐藻綱(Phaeophyceae))
、紅藻(紅藻綱(Rhodophyceae))又は緑藻(緑藻植物門(Chlorophyta))であり得る。典
型的な褐藻(又はケルプ)としては、ヒバマタ属(Fucus)、コンブ属(Laminara)(例えば
、ラミナリア(Laminaria digitata)、カラフトコンブ(Laminaria saccharina)又はマ
20
コンブ(Laminaria japonica))、ホンダワラ属(Sargassum)(サルガッサムナタン(Sar
gassum natan:又はサルガッスムナタン)又はサルガッサムフルイタン(Sargassum flui
tan))、アスコフィラム属(Ascophyllum:又はアスコフィルム)(例えば、アスコフィル
ムノドスム(Ascophyllum nodosum)及びカジメ属(Ecklonia)の種が挙げられるがこれら
に限定されない。典型的な紅藻としては、アマノリ属(Porphyra)及びツノマタ属(Chon
drus)の種、例えば、アイリッシュモス(Chondrus crispus)が挙げられるがこれに限定
されない。典型的な緑藻としては、アオサ属(Ulva)の種、例えば、ウルバラツカ(Ulva
latuca)が挙げられるがこれに限定されない。
【0063】
本発明の一実施態様において、システムは、有機ヨウ素を生産する海藻からの海藻抽出
30
物を含む。本発明の別の実施態様において、海藻抽出物は、褐藻由来である。別の実施態
様において、海藻抽出物は種々の公知のヒバマタ種及び亜種ののうちの1つ由来である。
適切な例としては、フーカスアミラセウス(Fucus amylaceus:又はフクスアミラセウス
)(オゴノリ(Ceylon Moss))、フーカスカナリクラツス(Fucus canaliculatus)(海藻
(Wrack))、フーカスジジタツス(Fucus digitatus)、フーカスガルドネリ(Fucus gar
dneri)、フーカスヘルミントコルトン(Fucus helminthocorton)(コルシカンモス(Cor
sican Moss))、フーカスナタンス(Fucus natans)(ヒジキ(Gulf-Weed))、フーカスノ
ドスス(Fucus nodosus)(ノブドラック(Knobbed Wrack))、フーカスセラツス(Fucus
serratus)(ブラックラック(Black Wrack))、フーカスシリクオスス(Fucus siliquosu
s)(海藻(Wrack))、フーカススピラリス(Fucus spiralis)及びヒバマタ(Fucus vesi
40
culosus)(ブラダーラック(bladder-wrack))が挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
本発明の特定の実施態様において、フーカスジジタツス(Fucus digitatus)、フーカ
スヘルミントコルトン(Fucus helminthocorton)、フーカスナタンス(Fucus natans)
、フーカスノドスス(Fucus nodosus)、フーカスセラツス(Fucus serratus)、フーカ
スシリクオスス(Fucus siliquosus)、フーカススピラリス(Fucus spiralis)及びヒバ
マタ(Fucus vesiculosus)に由来する海藻抽出物を含む。さらなる実施態様において、
海藻抽出物は、ヒバマタ(Fucus vesiculosus)由来である。
【0065】
本発明のシステムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料の海藻由来の
50
(17)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
植物材料の割合は、約5%と約55% w/wとの間である。一実施態様において、海藻植物材
料の割合は、システムのための抽出物を製造するために使用される全植物材料の約7%と
約55% w/wとの間である。別の実施態様において、海藻植物材料の割合は、システムのた
めの抽出物を製造するために使用される全植物材料の約10%と約50% w/wとの間である。
【0066】
2.抽出物の製造
植物材料は、選択された植物から標準的な技術により得られる。抽出物の製造において
使用される植物材料は植物全体であり得るか、又は植物の1つ又はそれ以上の個別の部分
、例えば、葉、種子、根、茎、花、葉状体、樹皮、枝、小枝、もしくはこれらの種々の組
み合わせであり得る。
10
【0067】
本発明の植物抽出物は、ストレスのかかっていない(「天然の」)植物から又は収穫の
前に1つ若しくはそれ以上のストレッサーで処理された植物から収穫された植物材料から
製造され得る。ストレッサーは、化学的ストレッサーでも物理的ストレッサーでもよい。
化学的ストレッサーの例としては、有機酸及び無機酸、脂肪酸、グリセリド、リン脂質、
糖脂質、有機溶媒、アミノ酸及びペプチド、単糖類、オリゴ糖類、多糖類及びリポ多糖類
、フェノール類、アルカロイド、テルペン及びテルペノイド、抗生物質、界面活性剤、ポ
リアミン、ペルオキシド、及びイオノフォアが挙げられるがこれらに限定されない。物理
的ストレッサーの例としては、紫外線、低温、高温、浸透圧変化(例えば、塩又は糖によ
り誘導される)、及び栄養欠乏(例えば、植物の必須栄養物、例えば、窒素、リン又はカリ
20
ウムを欠乏させること)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0068】
抽出物は、新鮮な植物材料を使用して製造し得るか、又は植物材料を、例えば、乾燥、
凍結、凍結乾燥、若しくはこれらのいくつかの組み合わせにより、抽出物の製造前に処理
することができる。植物材料を、収穫の直後に使用することができ、又は抽出物の製造の
前にある期間の間保存しておくことができる。所望の場合、植物材料に、保存の前に上記
の処理の1つ又はそれ以上を施すことができる。
【0069】
選択された植物の1つ若しくはそれ以上に由来する植物材料を、抽出物の製造の前に組
み合せることができ、又は別々の抽出物を各個別の植物から製造し、そしてそれらを後の
30
段階で組み合せるか若しくは別々の抽出物として保存することができる。本発明の一実施
態様において、選択された植物の少なくとも2つに由来する植物材料を、抽出物の製造前
に組み合せる。別の実施態様において、全ての選択された植物に由来する植物材料を、抽
出物の製造前に組み合せる。本発明のなお別の実施態様において、選択された植物由来の
植物材料を抽出物の製造前に組み合せず、そして抽出物は別々の抽出物として保存される
。
【0070】
上記のように、抽出物を製造するために使用される植物材料は新鮮であっても乾燥され
ていても凍結されていてもよい。抽出物は、植物材料を単純に破砕するか断片化すること
により製造することができる。例えば、植物材料を、グラインダー、ハンマーミル、ナイ
40
フミル、ツースミル(tooth mill)、ブレンダー、乳棒及び乳鉢、若しくは植物の部分を
小片又は粒子へと断片化するための他の装置を使用して機械的に強打し、粉砕し、若しく
は薄く切ることができ、又は植物材料を、液体窒素中で凍結させ、次いで破砕若しくは断
片化してより小さな破片にすることができる。当該分野で公知のその他のサイズリダクシ
ョン方法も使用することができる。
【0071】
あるいは、植物材料を1つ又はそれ以上の溶媒と接触させることにより植物抽出物を製
造することができる。所望の場合、上記の溶媒と接触させる前に、溶媒に対するより大き
な表面積を与えるために、植物材料を上記のように破砕又は断片化することができる。所
望の場合、その後の溶媒接触のためにより大きな表面積にするために、植物材料を圧力下
50
(18)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
で破砕又は断片化することができる。
【0072】
本発明の一実施態様において、植物材料を1つ又はそれ以上の溶媒と接触させることに
より植物抽出物を製造する。別の実施態様において、植物材料は、1つ又はそれ以上の溶
媒と接触させる前に破砕又は断片化される。
【0073】
溶媒
抽出物を製造するために溶媒を使用する場合、その溶媒は、水性溶媒、有機溶媒、水性
―有機混合溶媒、又は2つ若しくはそれ以上の有機溶媒の混合物であり得る。抽出物の製
造における使用に適切な水性溶媒としては、水、種々の緩衝水溶液並びに有機塩及び/又
10
は無機塩の溶液が挙げられるがこれらに限定されない。水溶液のpHは、当該分野で知られ
ているような酸及び塩基の添加により適切な値に調整することができ、そして約2と約12
との間のpHの範囲にわたり得る。適切な有機溶媒としては、種々の天然油、第一級アルコ
ール、例えばメチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、1−プロ
パノール及び1−ブタノール;第二級アルコール、例えば2−プロパノール及び2−ブタノ
ール;第三級アルコール、例えば2−メチル−2−プロパノール;液体多価アルコール、例
えばグリセリン及びグリコール;及び他の公知の有機溶媒、例えばアセトン、テトラヒド
ロフラン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−
ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン及び酢
酸エチル、又は上記溶媒の組み合わせが挙げられる。
20
【0074】
溶媒として使用することができる典型的な油としては、植物油、例えば扁桃油、アニス
油、バーム油、ベイ油、ベルガモット油、ルリジサオイル、カユプテオイル、カノーラ油
、ヒマシ油、セダー油、桂皮油、丁子油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、月見
草油、アマニ油、グレープシードオイル、麻実油、ホホバ油、カランジ(Karanj)(Ponga
mia glabra)油、ラベンダーオイル、リンシードオイル、マカダミアオイル、からし油、
ニーム(インドセンダン)油、オリーブ油、オリグナウム(orignaum)(タイム)油、ラッカ
セイ油、ナタネ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油、ティーツリー油、くるみ
油、及び小麦胚芽油、若しくは鉱油、例えば流動パラフィン、又は上記のいずれかの組み
合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
30
【0075】
適切なグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールが挙げられ
る。
【0076】
本発明の一実施態様において、溶媒は、水性溶媒、低級アルコール、天然油、又はそれ
らの組み合わせを含む。本発明の文脈において、「低級アルコール」とは、1∼4個の炭
素原子を有するアルコール、例えば第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコ
ール又は液体の多価アルコールを指す。別の実施態様において、低級アルコールは:メチ
ルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、1−プロパノール、1−ブタ
40
ノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2
−プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、ジプロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールの群より選択される
。さらなる実施態様において、溶媒は植物油を含む。
【0077】
水性−有機混合溶媒は、一般的に約2:1∼1:20の比の有機溶媒:水性溶媒を含む。一
実施態様において、抽出物の製造において使用される溶媒は、約1:1∼1:15の比の有機
溶媒:水性溶媒を含む水性−有機混合溶媒である。別の実施態様において、抽出物の製造
において使用される溶媒は、約1:2∼1:10の比の有機溶媒:水性溶媒を含む水性−有機
混合溶媒である。
50
(19)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【0078】
抽出
抽出プロセスにおいて最初の工程として、植物材料及び溶媒を合わせて十分に混合する
。
【0079】
植物材料及び溶媒は、約10:1∼約1:100w/wの間の植物材料:溶媒比で混合され、より
典型的には、約5:1∼約1:70w/wの間の植物材料:溶媒比である。一実施態様において、
この比は約3:1∼約1:60w/wの植物材料:溶媒である。別の実施態様において、この比は
、約1:2∼約1:50w/wの間の植物材料:溶媒である。別の実施態様において、比は約1:1
∼約1:50 w/wの間の植物材料:溶媒である。さらなる実施態様において、この比は、約1
10
:1∼約1:30 w/wの間の植物材料:溶媒である。なおさらなる実施態様において、この比
は約1:1∼約1:10 w/wの間の植物材料:溶媒である。
【0080】
本発明の代替の実施態様において、最初の抽出工程において使用される植物材料の量は
、約1%∼約50% w/wである。
【0081】
抽出プロセス全体が単一の抽出工程を含むことができ、又は多数の(すなわち、2つ又
はそれ以上)の抽出工程を含むことができる。典型的には、各抽出工程は、公知の要因、
例えば出発物質、抽出プロセス、抽出温度、植物材料に対する溶媒の比などによって、当
該分野で知られているように選択された時間の間適切に混合しながら、植物材料を溶媒と
20
接触させることを含む。
【0082】
当該分野で知られている種々の抽出方法を使用することができ、そして例えば、冷浸、
再冷浸、消化、撹拌、撹拌冷浸、ろ過、ボルテックス抽出、遠心分離、超音波抽出、向流
抽出、パーコレーション、再パーコレーション、エバコレーション(evacolation)(減圧
下での抽出)、ジアコレーション(diacolation)及びソックスレー抽出器で連続的な還流
下での固液抽出(例えば、Hagers Handbuch der Pharmazeutischen Praxis, 5th Edition,
Vol.2 pp. 1026-1030, Springer Verlag, Berlin-Heidelberg-New York 1991を参照のこ
と)の1つ又はそれ以上を伴い得る。パーコレーションは、大規模な抽出物を製造する場
合に適する可能性がある。
30
【0083】
植物材料は、植物材料からの活性成分が溶媒により取り込まれるように、溶媒への植物
材料の適切な暴露を確実にするのに十分な期間にわたって溶媒と接触したままにされる。
典型的には、この期間は約1時間と4か月との間であるが、当業者はより長いかより短い
時間が適切な場合があることを理解する。溶媒を、植物材料と接触させる前に、例えば、
植物材料に加える前に約10℃と約150℃との間の温度に加熱することができる。あるいは
、植物材料を、短期間の間溶媒中で穏やかに煮沸し、次いで放冷させることができる。抽
出工程は一般的には約4℃と約65℃との間の温度で行われる。一実施態様において、抽出
は約1O℃と約6O℃との間の温度で行われる。別の実施態様において、抽出は約2O℃と約6O
℃との間で行われる。さらなる実施態様において、抽出は、約25℃と約5O℃との間で行わ
40
れる。抽出プロセスは通常の雰囲気下で行うことができ、又は抽出物の成分の酸化が懸念
される場合には不活性ガス雰囲気下で行うことができる。これは、例えば抽出が40℃より
高い温度で行われる場合に有用かもしれない。
【0084】
本発明の一実施態様において、抽出手順は約1時間と約4か月との間の期間にわたって
約4℃と約50℃との間の温度で行われる。上記のように、溶媒を抽出プロセスのために植
物材料と合わせる前に加熱することができる。植物材料と溶媒との適切な接触は、振盪又
は定期的若しくは連続的に懸濁液を撹拌することにより促進され得る。本発明の一実施態
様において、抽出は暗所で行われる。
【0085】
50
(20)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
次いで液体抽出物を固形(不溶性)物質と分離する。この分離は、当業者に公知の1つ又
はそれ以上の標準的なプロセス、例えばろ過(通常、吸引、真空又は加圧下)、限外ろ過、
遠心分離、超遠心分離法又は溶液から固体を分離するための当該分野で公知の他の手段に
より達成され得る。必要に応じて、このようにして得られた固形物質(又は絞りかす)を圧
縮して得られた液体を抽出物に加えることができる。
【0086】
さらなる抽出工程が行われる場合、固形物質(又は絞りかす)を回収して1つ又はそれ以
上の上記のさらなる抽出を行い、そして抽出物を合わせることができる。絞りかすは「そ
のままで」使用することができ、又はさらなる抽出の前に焼却若しくはか焼することがで
きる。典型的には、か焼のために、押圧した絞りかすを耐火皿に広げ、そして絶えず下か
10
ら加熱する。一般に、か焼プロセスの温度は、生じた塩の溶融及び融合を避けるために約
400℃以下に維持される。か焼は通常は段階的に進行し、そして異なる色変化を通り、最
初の変化は絞りかすの炭化であり、これは黒く、次いで色調違いの褐色及び橙色を通り、
次いで最後に灰色、次いで白色となる。か焼プロセスから得られた塩/灰を、最初の抽出
物に加え戻し、そして最初の液体抽出物を溶媒として使用してその後の抽出を行うことが
でき、又は塩を新しい溶媒に加えてさらなる抽出を行い、そして得られた抽出物を最初の
抽出物に加えることができる。
【0087】
一実施態様において、か焼プロセスから得られた塩/灰は、1つ又はそれ以上の植物化
学物質のオリゴ形態を含む。
20
【0088】
追加の成分を、例えば抽出物の性質を改善するために、植物材料及び溶媒の混合物に加
えてもよいということも本発明で予定されている。これらの追加の成分は、酸、例えば硝
酸を含み得る。これらの追加の成分は、植物材料の最初の冷浸の時に溶媒に加えても、そ
れらを植物材料と溶媒との混合物に加えてもよい。これらの追加の成分の量は、植物材料
に加えられる溶媒の体積の0.1%と5%との間で変動し得る。本発明の一実施態様におい
て、1% v/vの硝酸を溶媒に加える。別の実施態様において、硝酸を最初の冷浸の時に溶
媒に加える。
【0089】
本発明の一実施態様において、植物材料を破砕又は断片化してパルプを生成させ、次い
30
で溶媒をこのパルプに約2:1∼約1:20 w/wの植物材料:溶媒比で加え、そして十分に混
合することにより、抽出物を製造する。混合物を約1時間∼100日間の間冷暗環境に放置
する。続いて、混合物を頻繁に振盪して、植物材料から溶媒への関連成分の完全な抽出を
確実にする。抽出期間の後、懸濁液を約30分∼10日間のさらなる時間そのままにして、よ
り大きな固形粒子を抽出容器の底に沈降させることができる。次いで固形物質を除去して
液体植物抽出物を得る。
【0090】
本発明の別の実施態様において、植物材料を破砕又は断片化してパルプを生成し、次い
でこのパルプをオイルと約2:1∼約1:50 w/wの間の植物材料:オイル比で混合すること
により、抽出物を製造する。この工程で使用されるオイルの温度は約1O℃と約150℃との
40
間である。あるいは、植物材料をオイルに分散させた後、約1分∼2時間の間、穏やかに
とろ火で煮てもよい。特定の実施態様において、植物材料をオイルに分散させた後、約1
分∼60分の間穏やかにとろ火で煮てもよい。一実施態様において、次いでオイル/パル
プ混合物を流動パラフィンと、3:1と1:3 w/wとの間の植物材料:流動パラフィン比(例
えば、2:3 w/w 植物材料:流動パラフィン)で混合し、続いて約0.2%∼2% w/wの同じ
か又は異なるオイルと混合する。最終混合物を約7∼10日間の間冷暗所で、植物材料から
オイルへの関連成分の完全な抽出を確実にするために1日につき2回振盪しながら放置す
る。抽出期間の後、固形物質を所望の場合、例えばろ過により除去することができる。
【0091】
本発明のさらなる実施態様において、植物材料を破砕または断片化してパルプを生成し
50
(21)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
、次いで水性溶媒と1:2∼1:20 w/wの比で混合することにより抽出物を製造する。この
工程で使用される水性溶媒の温度は、約10℃∼約150℃である。あるいは、植物材料を水
性溶媒に分散させた後、約1分∼2時間の間、穏やかにとろ火で煮てもよい。特定の実施
態様において、植物材料を水性溶媒に分散させた後、約1分∼60分の間、穏やかにとろ
火で煮てもよい。一実施態様において、次いで水性溶媒/パルプ混合物を約1:1∼約1:2
0 w/wの植物材料/溶媒比で有機溶媒と混合する。所望の場合、第二の有機溶媒をこの工
程で約0.2%∼約20% w/wの量で加えることができる。混合物を約1時間と100日間との間
の期間、植物材料から溶媒への関連成分の完全な抽出を確実にするために頻繁に振盪しな
がら冷暗環境に放置する。抽出期間の後、懸濁液を約30分と10日間との間の追加の期間、
より大きな固形粒子を容器の底に沈降させるためにそのままにしておくことができ、所望
10
の場合、固形物質を例えばろ過により除去することができる。
【0092】
本発明の別の実施態様において、植物材料を破砕または断片化してパルプを生成し、次
いで溶媒と1:2∼1:10 w/wの比で混合することにより抽出物を製造する。次いでこの混
合物を約21日∼100日の間、暗所で約30℃∼約40℃にて植物材料から溶媒への関連成分の
完全な抽出を確実にするために頻繁に振盪しながらインキュベートする。抽出期間の後、
懸濁液を約30分と10日との間の追加の期間、より大きな固形粒子を容器の底に沈降させる
ためにそのままにしておくことができる。所望の場合、次いで固形物質を例えばろ過によ
り除去する。
【0093】
20
本発明の一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。別の実施態様において、溶媒は
水性−有機混合溶媒である。さらなる実施態様において、溶媒は約1:2∼1:10の有機溶
媒:水性溶媒の比を有する水性−有機混合溶媒である。
【0094】
本発明の特定の実施態様において、最初の抽出の後、固形物質を(例えば、ろ過により)
除去し、そして焼成プロセスに供する。別の実施態様において、か焼された固形物質を最
初の液体抽出物に加え戻し、そしてさらなる抽出を行う。さらなる実施態様において、か
焼された物質及び最初の液体抽出物を混合し、そして約21日と100日との間の期間、暗所
で約30℃∼約40℃の温度にて頻繁に振盪しながらインキュベートする。別の実施態様にお
いて、約2%∼約20%のプロピレングリコールを混合したか焼物質及び最初の抽出物に第
30
二の抽出の前に加える。次いで植物抽出物を振盪することなしに約30分∼約30日間の間さ
らにインキュベートして、あらゆる固形物質を沈降させ得る。一実施態様において、植物
抽出物を21日間インキュベートして固形物質を沈降させる。固形物質は、所望の場合、例
えばろ過により除去することができる。
【0095】
本発明はまた、当該分野で公知の他の方法を使って植物抽出物を製造する場合があるこ
とも予定している(例えば、米国特許出願公開第20040156920号に一般的に記載される方
法)。
【0096】
抽出プロセスの後、所望の場合、植物性組成物において使用される前に、溶媒及び/又
40
は水の一部又はかなりの部分を除去することにより、抽出物を濃縮してもよい。植物化学
物質(例えば、アルカロイド、グリコシド及び/又は多糖類)を富化し、かつ/又は脱色
プロセスに付した抽出物を提供するために、当業者に一般的な方法(例えば、第二の抽出
、ろ過、ゲルろ過によるサイズ分画又は勾配遠心分離など)を使用して抽出物を分画して
もよい。所望の場合、このようにして製造された抽出物を、例えば、個々の望ましくない
成分の選択的な除去に供してもよい。一実施態様において、抽出物は、約5質量%∼約10
質量%の最終固形物含量を有し、そして「そのまま」使用される。別の実施態様において
、溶媒は、乾燥、例えば、スプレー乾燥又は凍結乾燥により、実質的又は完全に除去され
る。
【0097】
50
(22)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
実質的に精製された植物化学物質
本発明はまた、植物材料由来の実質的に精製されたアルカロイド、グリコシド及び/又
は多糖類を含む抽出物を提供する。このような抽出物は、最初に上記のように製造され、
次いで1つ又はそれ以上のさらなる精製工程に供される。本発明の文脈において使用され
得る複雑な混合物中の活性成分を富化するための、当該分野で周知の多数の技術が存在す
る。これらの技術の例としては、固−液抽出、液−液抽出、固相抽出(SPE)、膜ろ過、限
外ろ過、透析、電気泳動、溶媒濃縮、遠心分離、超遠心分離、液相若しくは気相クロマト
グラフィー(サイズ排除、アフィニティなどを含む)、凍結乾燥、エバポレーション、種々
の「担体」(PVPP、カーボン、抗体など)を用いた沈殿、又はそれらの種々の組み合わせが
挙げられるがこれらに限定されない。当業者であれば、目的の植物化学物質中のそれぞれ
10
の連続した画分を富化するために、逐次的なやり方で上記の選択肢をどのようにして使用
するかを理解するはずである。
【0098】
固−液抽出は、ソックスレー抽出、ボルテックス振盪機、超音波及び抽出を強化する他
の手段の使用、並びにろ過、遠心分離、及び文献に記載される関連する方法による回収を
含む(例えば、R. J. P. Cannell, Natural Products Isolation, Humana Press, 1998を
参照のこと)。使用され得る溶媒の例としては、炭化水素溶媒、塩素化溶媒、有機エステ
ル、有機エーテル、アルコール、水、及びそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定さ
れない。
【0099】
20
液−液抽出は、当該分野で公知の溶媒(超臨界条件下の溶媒を含む)の種々の混合物の
使用を含む。典型的な溶媒としては、上で列挙したものが挙げられる。液−液抽出は手動
で達成することができ、又は半自動化若しくは完全に自動化することができ、そして溶媒
を当該分野で標準的な技術により除去又は濃縮することができる(例えば、S Ahuja, Hand
book of Bioseparations, Academic Press, 2000を参照のこと)。
【0100】
固相抽出(SPE)技術は、カートリッジ、カラム又は当該分野で公知の他の装置の使用を
含む。このような技術と共に使用され得る吸着剤としては、シリカゲル(順相)、逆相シリ
カゲル(修飾シリカゲル)、イオン交換樹脂、及びフルオリジル(fluorisil)が挙げられ
るがこれらに限定されない。本発明はまた、抽出物の所望の植物化学物質含量を富化する
30
ための、スカベンジャー樹脂又は有機もしくは無機高分子物質から誘導された固体支持体
に結合されたほかの捕捉試薬の使用を含む。
【0101】
膜、逆浸透及び限外ろ過は、当該分野で公知の種々の型の膜の使用、並びに圧力、真空
、遠心力、及び/又は膜及び限外ろ過プロセスにおいて利用することができる他の手段の
使用を含む(例えば、S. Ahuja, Handbook of Bioseparations Academic Press, 2000を参
照のこと)。
【0102】
透析は、約0.5KDa未満から約50KDaより高くまで変化する分子量カットオフを有する膜
を使用して行うことができる。選択された植物化学物質を富化された抽出物を、当該分野
40
で公知の種々の手段(エバポレーション、減圧エバポレーション、蒸留、真空蒸留、及び
凍結乾燥が挙げられるがこれらに限定されない)により透析液又は保持液(retentate)
から回収することができる。
【0103】
クロマトグラフィーを、当該分野で公知の種々の技術及び文献に記載される種々の技術
により行うことができる(例えば、G. Sofer, L. Hagel, Handbook of Process Chromatog
raphy, Academic Press, 1997を参照のこと)。例としては、通常のカラムクロマトグラフ
ィー、フラッシュクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧液体ク
ロマトグラフィー(MPLC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、向流クロマトグラフィ
ー(CCC)、移動床クロマトグラフィー、疑似移動床クロマトグラフィー、流動層クロマト
50
(23)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
グラフィー、及び平面クロマトグラフィーが挙げられるがこれらに限定されない。上記ク
ロマトグラフィー法において使用され得る吸着剤の例としては、シリカゲル、アルミナ、
フルオリジル、セルロース及び修飾セルロース、種々の修飾シリカゲル、イオン交換樹脂
、サイズ排除ゲル及び当該分野で公知の他の吸着剤が挙げられるがこれらに限定されない
(例えば、T. Hanai, HPLC: A Practical Guide, RSC Press, UK 1999を参照のこと)。本
発明はまた、クロマトグラフィー法による活性成分の分画、部分的精製、及び/又は精製
を達成するための溶媒グラジエントの使用を含む。利用され得る溶媒の例としては、ヘキ
サン、ヘプタン、ペンタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテ
ル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、イソブタ
ノール、tert−ブタノール、水、ジクロロメタン、ジクロロエタン、酢酸エチル、テトラ
10
ヒドロフラン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、アセトン、及び2−ブタノン
が挙げられるがこれらに限定されない。水又は水相が使用される場合、それは様々な量の
無機塩若しくは有機塩を含有していてもよく、かつ/又は分画及び/若しくは精製を強化
するためにpHを酸若しくは塩基で種々の値に調整し得る。
【0104】
選択的沈殿は、植物化学物質の選択的沈殿を達成するために、種々の溶媒及び溶媒の組
み合わせの使用、温度変化の使用、沈殿剤及び/若しくは修飾剤の添加、並びに/又は塩
基若しくは酸の添加によるpHの調節を含む。
【0105】
本発明はまた、水蒸気蒸留、ハイドロディスティレーション(hydrodistillation)又
20
は当該分野で公知の他の関連する蒸留方法による植物化学物質の単離を含む(例えば、L.
M. Harwood, C. J. Moody, Experimented Organic Chemistry, Blackwell Scientific Pu
blications, UK, 1989を参照のこと)。
【0106】
植物性組成物
上記のように、植物抽出物を本発明のシステムに植物性組成物の形態で含めることがで
きる。それらの最も単純な実施態様において、本発明の植物性組成物は、上記のように製
造された植物抽出物又は植物抽出物の組み合わせから構成される。
【0107】
あるいは、局所使用を意図した製剤の製造に関する当該分野で公知の標準的な技術に従
30
って、抽出物を配合することにより植物性組成物を製造することができる(例えば、「Rem
ington: The Science and Practice of Pharmacy」 (以前は「Remingtons Pharmaceutica
l Sciences」); Gennaro, A., Lippincott, Williams&Wilkins, Philadelphia, PA (200
0)を参照のこと)。
【0108】
例えば、組成物の安定性及び/又は保存期間を改善するために、抽出物を1つ又はそれ
以上の保存料及び/又は抗酸化剤と組み合わせることもできる。適切な保存料及び抗酸化
剤の例としては、プロピレングリコール, パラベン(例えばイソプロピルパラベン、イソ
ブチルパラベン、メチルパラベン及びプロピルパラベン)、ジアゾリジニルウレア、精油(
例えばキャラウェー、シナモン、クローブ、クミン、ユーカリ、ラベンダー、レモン、バ
40
ラ、ローズマリー、セージ、ビャクダン及びタイム由来の油)、グレープフルーツ種子抽
出物及びビタミンEオイル(例えばT-50 ビタミンEオイル)、又はその組み合わせが挙げら
れるがこれらに限定されない。
【0109】
本発明はまた、抽出物を生理学的に許容しうる担体と混合することによる植物性組成物
の製剤化を予定している。添加剤、結合剤、賦形剤及び他の添加物(例えば保存料、安定
剤、乳化剤、緩衝剤、着色剤、香料、抗酸化剤、増粘剤、紫外線安定剤など)も最終組成
物に含めることができる。他の植物抽出物、保湿剤、ビタミン及びミネラルなどを含む他
の活性成分も添加することができる。組成物が1つより多くの抽出物を含む場合、抽出物
を一緒に製剤化して植物性組成物を提供することができ、又は抽出物を独立して製剤化し
50
(24)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
てそしてそれぞれの製剤を賦形剤などを使用して後で合わせて最終植物性組成物を提供す
ることができる。あるいは、各抽出物を独立して製剤化して、別個の植物性組成物として
維持することができる。さらに別の代替として、抽出物を独立して製剤化し、続いて少な
くとも2つの製剤を混合して1つの植物性組成物を提供し、そして他の抽出物は別個の植
物性組成物として維持することができる。
【0110】
それ故、本発明の一実施態様において、植物性組成物は、一緒に混合された後生理学的
担体を添加された2つ又はそれ以上の抽出物を含む。本発明の別の実施態様において、植
物性組成物は、個々に製剤化され、次いで混合される2つ又はそれ以上の抽出物を含む。
なお別の実施態様において、2つ又はそれ以上の抽出物は個々に製剤化されて別個の組成
10
物として維持される。
【0111】
特定の実施態様において、システムは、ステロイドアルカロイド含有植物由来の1つ又
はそれ以上の植物抽出物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物及び海藻抽出物を含む1つ
の植物性組成物を含む。別の実施態様において、システムは、ステロイドアルカロイド含
有植物からの1つ又はそれ以上の植物抽出物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの
抽出物及び海藻抽出物を含み、2つ又はそれ以上の植物性組成物として提供される。別の
実施態様において、システムは、ステロイドアルカロイド含有植物由来の1つ又はそれ以
上の植物抽出物を含む第一の植物性組成物、ピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽
出物を含む第二の植物性組成物、及び海藻抽出物を含む第三の植物性抽出物を含む。さら
20
なる実施態様において、本発明のシステムは、別個の植物性組成物として提供されるステ
ロイドアルカロイド含有植物からの2つ又はそれ以上の植物抽出物、ピロカルプス属(Pi
locarpus)植物からの抽出物を含む植物性組成物、及び海藻抽出物を含む植物性組成物を
含む。さらに別の実施態様において、本発明のシステムは、ステロイドアルカロイド含有
植物からの1つ又はそれ以上の植物抽出物及びピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの
抽出物を含む植物性組成物、並びに海藻抽出物を含む植物性組成物を含む。
【0112】
さらなる実施態様において、本発明のシステムがヒバマタ属(Fucus)植物からの抽出
物を含む場合、ヒバマタ属植物からの抽出物は経口投与用の植物性組成物として製剤化さ
れる。
30
【0113】
本発明の一実施態様において、植物性組成物は、各植物抽出物を約1%∼約25% w/w又
はv/v含む。
【0114】
本発明の植物性組成物は、固体形態でも、半固体形態でも液体の形態(水性及び非水性
の両方の液体形態を含む)でもよく、そして適切な場合には単位投薬形態で提供され得る
。本発明の組成物は、様々な従来の形態(液剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、分散性散剤、
分散性顆粒剤、錠剤、乳剤、疎水性クリーム剤、親水性クリーム剤、液体クリーム剤、ロ
ーション剤、軟膏剤、ワックス剤、ゲル剤、パスタ剤、ゼリー剤、チンキ剤、リニメント
剤、スプレー剤、エアゾール剤、スティック剤が挙げられるがこれらに限定されない)で
40
、スポンジ若しくは綿の塗布具で、又は水性液体、非水性液体、水中油エマルジョン、も
しくは油中水液体エマルジョン中の液剤若しくは懸濁剤として提供され得る。
【0115】
当該分野で公知の種々の生理学的に許容しうる担体を、本発明の植物性組成物を製造す
るために使用することができる。適切な担体の例としては、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、デンプン(トウモロコシ、バレイショ、コメ、コムギ)、アルファ化デンプン、ゼラチ
ン、ショ糖、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、エチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム
、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微
結晶セルロース、粉末セルロース、グルコース、クロスカルメロースナトリウム、クロス
50
(25)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
ポビドン、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ト
ラガント、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、カオリン、
マンニトール、タルク、セルロースアセテートフタレート、ポリエチレンフタレート、セ
ラック、二酸化チタン、カルナウバロウ、マイクロクリスタリンワックス、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ステ
アリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、ケイ酸カルシウム、ケイ酸
マグネシウム、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、塩化カルシウム、硫酸カルシウ
ム、シリカゲル、フタル酸ジエチル、モノ−及びジ−アセチル化モノグリセリド、トリア
セチン、アラミン酸(alamic acid)、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、
ベントナイトマグマ、カルボマー934、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラ
10
ギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ペクチン、
ポビジン(povidine)、アルギン酸ナトリウム、トラガント、キサンタンガム、シリコー
ン、グリコール(例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール及びプロピレン
グリコール)、エステル、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、アルコール(例えば
、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びポリビニルアルコール)、オイル(例
えば、ヒマシ油、鉱油、軽質鉱油、ラッカセイ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリー
ブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、脂質物質などが挙げられるがこれらに限定されな
い。
【0116】
水性懸濁剤として製剤化された組成物は、水性懸濁剤の製造に適した添加剤と混合した
20
抽出物を含有する。このような添加剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナ
トリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、及びアカシアガムであり:分散剤又
は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシド
と脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシ
ドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール
、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮
合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシ
ドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物、例え
ばポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁剤はまた、1つ若しくは
30
それ以上の保存料、例えばp−ヒドロキシ−安息香酸エチル若しくはn−プロピル、及び
/又は1つ若しくはそれ以上の着色剤を含有していてもよい。
【0117】
抽出物を植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、若しくはココナッツ油
、又は鉱油、例えば流動パラフィン中に懸濁させることにより、組成物を油性懸濁剤とし
て製剤化することができる。油性懸濁剤は、増粘剤、例えば蜜ロウ、固形パラフィン又は
セチルアルコールを含有してもよい。着色剤を加えてもよく、そして製剤をアスコルビン
酸のような抗酸化剤を添加することにより保存し得る。
【0118】
水又は別の担体の添加による水性懸濁剤の製造に適した分散性散剤及び顆粒は、抽出物
40
を分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1つ又はそれ以上の保存料との混合物中に提供する。
適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、上記の物で例示される。さらなる添加剤(例え
ば、着色剤)も存在し得る。
【0119】
本発明の組成物はまた、水中油乳剤の形態であり得る。油相は、植物油、例えば、オリ
ーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物で
あり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するガム、例えば、アカシアガム又はトラガント
ガム、天然に存在するホスファチド、例えばダイズ、レシチン、及び脂肪酸とヘキシトー
ル無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、
並びに上記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレン
50
(26)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
ソルビタンモノオレエートであり得る。乳剤は着色剤を含有していてもよい。
【0120】
本発明の一実施態様において、植物性組成物は、水、グリコール、エステル、グリセリ
ン、油及びアルコールの群より選択される1つ又はそれ以上の担体と共に製剤化される。
当該分野で公知の典型的な化粧品用担体は、エタノール、プロパノール又はイソプロパノ
ールを低級アルキル(C1−C4)グリコール、例えばエチレングリコール又はプロピレング
リコールと共に含有する水性アルコール溶液を含む。増粘剤又はゲル化剤を添加すること
ができる。ジメチコーン及び他の揮発性シリコーン溶媒も有用である。
【0121】
本発明はまた、植物性組成物がシャンプー及び/又はコンディショナーの形態で製剤化
10
され得ることを予定している。それ故、植物性組成物を、当該分野で一般的に使用される
シャンプー製剤、例えば、ソルビトール及び無水ソルビトールの脂肪酸エステル(ポリソ
ルベート)の混合物を含むもの(これは抜け毛を抑制する非イオン性特性を有する)に添
加することができる。
【0122】
局所適用を目的とした植物性組成物を、製剤の粘性及び使用目的に適する適切な容器に
詰めることができる。例えば、ローション又は流動性クリームは、瓶又はロールボール塗
布具、カプセル、噴射剤で推進されるエアゾールデバイス又は指操作に適したポンプを備
えた容器に詰めることができる。組成物がクリーム、ペースト又はジェルである場合、そ
れを単純に非変形性の瓶又はスクイズ性容器、例えばチューブ若しくは蓋付き瓶(lidded
20
jar)中に保存することができる。
【0123】
他の任意の活性成分
本発明のシステムに含まれる植物性組成物の1つ又はそれ以上は、毛髪成長及び/又は
毛髪の健康を促進するシステムの能力を補う1つ又はそれ以上の追加の活性成分を含み得
る。
【0124】
例えば、組成物は、1つ又はそれ以上の保湿剤、すなわち頭皮/毛髪からの水の減少を
抑制若しくは防止することにより頭皮又は毛髪の水和を容易にし、大気から水を吸収しそ
して頭皮/毛髪に潤いを与え、かつ/又は大気から直接水を吸収する頭皮/毛髪の能力を
30
強化する薬剤を含み得る。適切な保湿剤としては、2−ヒドロキシ酢酸(グリコール酸);2
−ヒドロキシプロパン酸(乳酸);2−メチル 2−ヒドロキシプロパン酸;2−ヒドロキシブ
タン酸;フェニル 2−ヒドロキシ酢酸;フェニル 2−メチル 2−ヒドロキシ酢酸;3−フ
ェニル 2−ヒドロキシ酢酸;2,3−ジヒドロキシプロパン酸;2,3,4−トリヒドロキシブタ
ン酸;2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキサン酸;2−ヒドロキシドデカン酸;2,3,4,5−
テトラヒドロキシペンタン酸;2,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロキシヘプタン酸;ジフェニル
2−ヒドロキシ酢酸;4−ヒドロキシマンデル酸;4−クロロマンデル酸;3−ヒドロキシブ
タン酸;4−ヒドロキシブタン酸;2−ヒドロキシヘキサン酸;5−ヒドロキシドデカン酸
;12−ヒドロキシドデカン酸;10−ヒドロキシデカン酸;16−ヒドロキシヘキサデカン酸
;2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸;2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸;3−ヒド
40
ロキシ−4−メトキシマンデル酸;4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸;2−ヒドロキ
シ−2−メチルブタン酸;3−(2−ヒドロキシフェニル) 乳酸;3−(4−ヒドロキシフェニ
ル) 乳酸;ヘキサヒドロマンデル酸;3−ヒドロキシ−3−メチルペンタン酸;4−ヒドロ
キシデカン酸;5−ヒドロキシデカン酸;アレウリチン酸(aleuritic acid);2−ヒドロ
キシプロパン二酸;2−ヒドロキシブタン二酸;タンニン酸;サリチル酸;エリトラル酸
;トレアル酸;アラビラル酸(arabiraric acid);リバル酸;キシラル酸;リキサル酸
(lyxaric acid);グルカル酸;ガラクタル酸;マンナル酸;グラル酸;アラル酸;アル
トラル酸;イダル酸;タラル酸(talaric acid);2−ヒドロキシ−2−メチルブタン二酸
;クエン酸、イソクエン酸、アガリシン酸、キニン酸、グルコロン酸、グルコロノラクト
ン、ガラクトロン酸、ガラクトロノラクトン、ウロン酸、ウロノラクトン、アスコルビン
50
(27)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
酸、ジヒドロアスコルビン酸、ジヒドロキシ酒石酸、トロパ酸、リボノラクトン、グルコ
ノラクトン、ガラクトノラクトン、グロノラクトン、マンノノラクトン(mannonolactone
)、シトラマル酸;ピルビン酸、ヒドロキシピルビン酸、ヒドロキシピルビン酸ホスフェ
ート及びそのエステル;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピ
ルビン酸イソプロピル;フェニル ピルビン酸及びそのエステル;フェニル ピルビン酸メ
チル、フェニル ピルビン酸エチル、フェニル ピルビン酸プロピル;ホルミルギ酸及びそ
のエステル;ホルミルギ酸メチル、ホルミルギ酸エチル、ホルミルギ酸プロピル;ベンゾ
イル ギ酸及びそのエステル;ベンゾイル ギ酸メチル、ベンゾイル ギ酸エチル及びベン
ゾイル ギ酸プロピル;4−ヒドロキシベンゾイル ギ酸及びそのエステル;4−ヒドロキシ
フェニルピルビン酸及びそのエステル;及び2−ヒドロキシフェニルピルビン酸及びその
10
エステル ラクトン又は薬学的に許容しうる塩が挙げられるがこれらに限定されない。
【0125】
保湿剤の他の例としては、セラミド、ルリジサ油(リノール酸)、リノール酸トコフェロ
ール、ジメチコーン、グリセリン、ヒアルロン酸、ペルオキシリンカルボリン酸ナトリウ
ム(peroxylinecarbolic acid)(PCAナトリウム)、コムギタンパク質(例えば、ラウルジ
モニウム(laurdimonium)ヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク質)、毛髪ケラチ
ンアミノ酸、及びその混合物が挙げられる。塩化ナトリウムもまた、例えば、毛髪ケラチ
ンアミノ酸が保湿剤として含まれる場合に存在し得る。組成物に含まれ得る他の保湿剤と
しては、プリムローズオイル及び亜麻油が挙げられる。
【0126】
20
組成物はさらに、システイン成分、マグネシウム成分、マンガン成分、セレン成分、又
は銅成分の1つ又はそれ以上を場合により含み得る。これらの成分は、毛髪に有益な効果
を付与することが当該分野で公知である。毛髪修復において補助するための化合物もまた
、組成物に添加され得る。このような化合物の例としては、セレン及びシリカが挙げられ
、これらは比較的単離された形態で、又は種々の部分的に加工された植物材料若しくは抽
出物(例えば、ホーステイル−プランテイン(Horsetail-plantain)又はイラクサ根抽出
物)の形態で加えられ得る。
【0127】
頭皮の細胞に対して周期を増加させる化合物を、組成物に加えることができる(例えば
、アザミ抽出物、イチョウ抽出物、コショウ抽出物(カイエンペッパー及び赤トウガラシ
30
を含む)、及びウルソル酸)。
【0128】
抗菌剤も組成物に添加し得る。抗菌剤の例としては、有機溶媒(例えばアルコール)、
植物油又は抽出物(例えば、ウィンターグリーン油、ティーツリー油、ペパーミント油、
キャラウェイ油、桂皮油、丁子油、クミン油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、ロ
ーズ油、ローズマリー油、セージ油、ビャクダン油、タイム油又はグレープフルーツ種子
抽出物)及びウルソル酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0129】
組成物に加えることができる他の植物抽出物の例としては、トウアズキ(Abrus precat
orius)、サルサパリラ(Sarsaparilla)(スミラックスオフィシナリス(Smilax officin
40
alis))、アメリカタカサブロウ(Eclipta alba)(葉)、ウェデリアカレンヅラ(Wedelia
calendula)(葉)、テルミナリアベレリカロキシブ(Terminalia belerica roxb)(果実)
、及びミロバランノキ(Terminalia Chebula Retz)が挙げられる。
【0130】
植物抽出物及び植物性組成物の試験
システムに含めようとする植物抽出物及び/又は植物性組成物の有効性を、例えば、ボ
ランティアの被験者の一団に対して試験することができる。システムが複数の別個の抽出
物、又は複数の組成物を含む場合、これらは一般的には、ボランティア被験者の罹患した
領域に逐次的に適用される。例えば、ボランティアの一団は、種々の用量の試験抽出物若
しくは組成物または抽出物/組成物の組み合わせを所定の期間にわたって適用されること
50
(28)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
ができ、そしてこの群における毛髪成長及び/又は毛髪の健康及び/又は頭皮の健康の改
善をさまざまな間隔で評価し、そして適切なコントロールと比較することができる。適切
なコントロールの例としては、毛髪成長及び/又は毛髪の健康及び/又は頭皮の健康を改
善することが知られている製品を使用する被験者群(ポジティブコントロール)、及び/
又はプラセボ処置を使用する被験者群若しくは未処置の群(ネガティブコントロール)が
挙げられる。このような研究はまた、コントロール群と比較して研究の過程で遭遇したあ
らゆるポジティブ又はネガティブな作用の報告を蓄積することにより、研究中の植物性組
成物のあらゆる副作用及び/又はさらなる利点をモニタリングするために使用することが
できる。適用しようとする試験組成物の最適な処置回数及び量を、この方法で決定するこ
ともできる。このような研究は、当該分野ではルーチンであり、熟練した専門家により容
10
易に設計及び実行され得る。
【0131】
所望の場合、植物抽出物及び植物性組成物に、標準的な試験、例えば細胞毒性試験、安
定性試験、バイオアベイラビリティー試験などを行い、ヒト又は動物での使用に関するそ
れらの適性を決定することができる。このような試験は当該分野でよく知られており、政
府の規定したガイドラインに従って一般的に行われる。いくつかの場合、本発明のシステ
ムに含まれる植物抽出物の毒性又は非毒性は、当該分野で公知の毒性の既知の情報源を再
検討することにより決定し得る。例えば、バイケイソウ(Veratrum album)植物抽出物の
毒性は、CKFRAY Ceskoslovenska Farmacie. (PNS-Ustredni Expedice a Dovoz Tisku, Ka
fkova 19, 160 00 Prague 6, Czechoslovakia) V.1-1952−Volume(issue)page/year:10
20
, 413, 1961に見出され得る。
【0132】
毛髪成長を促進する方法
本発明はさらに、本発明のシステムを対象に投与することからなる、毛髪成長を促進す
る方法を提供する。本発明のシステムの抽出物又は組成物は、一般的に、処置を必要とす
る領域への適用により局所投与される。抽出物/組成物は、処置される状態の重症度に依
存して1日に4回と2週毎に1回との間で適用することができる。例えば、はげ又は部分
的にはげの対象については、1日に1回と4回との間で約4∼6週間、かつ数ヶ月までの
システムの抽出物/組成物の初期適用が適切となる。所望の結果が得られた場合は、適用
頻度はこの期間の後に減らすことができる。例えば、本発明は、処置の維持レベルを、1
30
日1回と1週に3回との間の抽出物/組成物の適用を含めて観察し得ることを予定してい
る。
【0133】
システムの各抽出物/組成物は、罹患した領域に直接適用されるべきであり、そして少
なくとも約15分間から次の適用の期限である時までの間の期間、留置されるべきである
。
【0134】
システムが複数の別個の抽出物/組成物を含む場合、これらは一般的には罹患した領域
に逐次的工程で適用される。従って、システムが3つの抽出物/組成物を含む場合、方法
は、第一の工程として第一の抽出物/組成物の罹患した領域への適用を含む。適切な期間
40
の後、次いで第二の抽出物/組成物を罹患した領域に適用し、そして適切な期間の後、第
三の抽出物/組成物を罹患した領域に適用する。適用の間の適切な期間は、約1分から約
30分の間の範囲である。一実施態様において、約5分から約10分の間の期間を、それぞれ
の抽出物/組成物の適用の間に使用する。
【0135】
本発明の別の実施態様において、方法は、罹患した領域にピロカルプス属(Pilocarpus
)植物からの抽出物を含む第一の組成物、ステロイドアルカロイド含有植物からの抽出物
を含む第二の組成物及び海藻からの抽出物を含む第三の抽出物を罹患した領域に適用する
ことを含む。本発明のさらに別の実施態様において、方法は、罹患した領域にピロカルプ
ス属(Pilocarpus)植物からの抽出物を含む第一の組成物、シュロソウ属(Veratrum)植
50
(29)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
物からの抽出物及び/又はインドジャボク属(Rauwolfia)植物からの抽出物を含む第二
の組成物並びに海藻からの抽出物を含む第三の抽出物を適用することを含む。
【0136】
本発明の別の実施態様において、方法は、罹患した領域にピロカルプス属(Pilocarpus
)植物からの抽出物及びステロイドアルカロイド含有植物からの抽出物を含む第一の組成
物、並びに海藻からの抽出物を含む第二の組成物を適用することを含む。本発明のさらに
別の実施態様において、方法は、罹患した領域にピロカルプス属(Pilocarpus)植物から
の抽出物及びシュロソウ属(Veratrum)植物からの抽出物を含む第一の組成物、並びに海
藻からの抽出物を含む第二の組成物を適用することを含む。
【0137】
10
本発明のさらなる実施態様において、システムの抽出物が別個の植物性組成物として提
供される場合、方法は、組成物を適切な相対量又は投薬単位で適用することを含む。シス
テムがピロカルプス属(Pilocarpus)植物からの抽出物を含む第一の組成物、ステロイド
アルカロイド含有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む第二の組成物、及び海藻抽
出物を含む第三の組成物を含む場合の本発明の実施態様において、適用される各組成物の
量の比は、第一の組成物:第二の組成物:第三の組成物が約2:2:3と約1:4:6との間で
ある。別の実施態様において、第一、第二及び第三の組成物は、約1:2:3の体積比で適
用される。さらなる実施態様において、第一、第二及び第三の組成物は、約2:5:6の体
積比で適用される。
【0138】
20
本発明の一実施態様において、システムに含まれる組成物の単位投薬量は約0.1mlと約1
0mlとの間である。本発明の別の実施態様において、投薬単位は、約0.2ml∼約7mlの範囲
である。
【0139】
別の実施態様において、投薬単位は約0.4ml∼約5mlの範囲である。代替の実施態様に
おいて、投薬単位は約0.1グラム∼約10グラム mlの範囲である。本発明の別の実施態様に
おいて、投薬単位は約0.2グラム∼約7グラムの範囲である。別の実施態様において、投
薬単位は約0.4グラム∼約5グラムの範囲である。
【0140】
使用
30
本発明のシステムを使用して、対象において、毛髪成長が停止若しくは減少した身体領
域、又は毛髪成長が生来希薄な身体領域、又はより太い:あるいは濃い(thicker)毛髪
成長が所望される身体領域において毛髪の成長を促進することができる。
【0141】
このシステムは、完全又は部分的な脱毛を経験している対象、例えば種々の形態の脱毛
症(男性ホルモン性脱毛症(alopecia androgenetica)(「男性型禿頭症」)、瘢痕性脱毛
症(alopecia cicatrista)及び円形脱毛症を含む)が起きた対象による使用に適してい
る。同様に、このシステムを使用して、外傷、傷害、化学療法、ストレス、遺伝的因子、
ホルモン変化、疾患、栄養不均衡、頭皮異常などに起因する脱毛を経験している対象にお
ける毛髪成長を促進することができる。システムは毛髪移植患者にも使用され得る。外科
40
的毛髪移植は、現在ではかなり一般的であるが、毛髪移植移植片はしばしば約2∼4週後
に抜ける。大部分の移植片は3∼4ヶ月後に再び成長するが、追加の移植手術が必要とな
るかもしれない。本発明のシステムは、毛髪移植患者により使用されて頭皮の状態を助け
、毛髪が抜けるのを防止若しくは減少させ、かつ/又は「ヘアショック(hair shock)」
の期間を減少させることができる。システムを使用して、対象において脱毛を減少させ、
さらに生来毛髪成長が希薄な対象において毛髪成長を促進することができる。
【0142】
一実施態様において、システムを使用して、例えば、灰色若しくは白色の毛髪の色を元
の状態に戻すか、又は毛髪の色を変化させるか若しくは黒くするか、又は既存の毛髪の色
を高めることにより、毛髪の色を強化又は回復することができる。別の実施態様において
50
(30)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
、システムは例えば、毛髪の太さ又は光沢を増大させることにより、健康的に見える毛髪
の外観の促進においてさらなる用途を有する。さらなる実施態様において、本発明のシス
テムは、ふけを低減するかもしくはなくし、かつ/又はふけに伴うかゆみ及び刺激、脂漏
性皮膚炎及び頭皮の乾癬を改善する際にも有用である。
【0143】
本発明のシステム及び方法は、ヒト及びその他の哺乳動物種の両方における使用に適し
ている。例えば、システムは、羊毛又は毛皮の生産において使用される非ヒト哺乳動物に
適用して、毛髪成長を加速させ、それにより例えば、正味の1年の羊毛生産をより多くす
るか、又は成熟した皮膚を生じるために必要とされる時間を減らすことができる。羊毛又
は毛皮の生産において使用される動物としては、アルパカ、ビーバー、子牛、チンチラ、
10
コヨーテ、オコジョ、フィッシャー、ケナガイタチ、キツネ、子羊、ラマ、大山猫、テン
、ミンク、マスクラット、ヌートリア、フクロネズミ、カワウソ、アライグマ、タイリク
モモンガ(Russian squirrel)、クロテン、ヒツジなどが挙げられるがこれらに限定され
ない。
【0144】
上に示したように、本発明のシステムは局所(又は外部)適用が意図される。しかし本発
明は、毛髪成長に対するシステムの効果が、実質的に希釈された形態で、例えば、ホメオ
パシー製剤又は薬草チンキ剤としてシステムに含まれる1つ又はそれ以上の植物抽出物の
内部投与により強化又は補足され得るということも予定している。あるいは、システムに
含まれる1つ又はそれ以上の植物抽出物は、錠剤形態で投与され得る。例えば、適切な単
20
位投薬量(例えば650mg)のケルプ錠剤は、毛髪成長に対するシステムの効果を強化又は
補足するために経口投与され得る。本発明の一実施態様において、システムの局所適用は
、ヒバマタ属(Fucus)抽出物の経口投与で補われる。別の実施態様において、システム
の局所適用は、ヒバマタ(Fucus vesiculosis)母液(mother tincture)の経口投与で補
われる。なお別の実施態様において、システムの局所適用は、1日2回のケルプ錠剤の経
口投与で補われる。システムは、別の植物抽出物、例えば、サルサパリラ(Sarsaparilla
)(スミラックスオフィシナリス(Smilax officinalis)抽出物(これは経口で摂取され
ても局所適用されてもよい)を含むホメオパシー製剤又は薬草チンキ剤と共に使用するこ
ともできる。本発明のシステムと共に使用され得る他の処置としては、処置された毛髪若
しくは頭皮の日光への暴露、又は飲用水の摂取の増加が挙げられる。
30
【0145】
キット
本発明はさらに、上記のシステムをキットの形態で提供することができるということを
予定している。キットは、システムの抽出物又は組成物を適切な容器中に含む。本発明は
、システムの抽出物又は組成物は使用準備ができている形式で、あるいは凍結乾燥した形
態で提供することができ、そしてキットは凍結乾燥した抽出物の再構成に適した試薬をさ
らに含むことができるということを予定している。本発明はさらに、抽出物を溶液として
提供することができ、そしてキットが罹患した領域へのそれらの適用を容易にするために
抽出物に添加されるべきさらなる構成要素を含有し得ることを予定している。適切な場合
、キットは混合容器又はキットの構成要素の再構成若しくは混合を容易にする他の機器若
40
しくは容器を含んでいてもよい。
【0146】
抽出物/植物性組成物は、対象の罹患した領域へのそれらの適用を容易にする形式又は
容器で提供され得る。例えば、抽出物/植物性組成物は、スクイズ性容器、ノズル若しく
はロールボール塗布具を備えた容器又は指での操作に適したポンプを備えた容器中に詰め
られたローション又は流動性クリームとして提供され得る。組成物がクリーム、ペースト
又はゲルとして提供される場合、それは例えば、スクイズ性容器又はチューブで提供され
得る。キットは、抽出物/植物性組成物の適用を用意にするために適した1つ又はそれ以
上の手段をさらに含むことができる。
【0147】
50
(31)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
キットは、所定の長さの期間の間、例えば、1ヶ月と12カ月との間の長さの期間の間
、対象への適用に十分な量のシステムの成分を含む。システムが1つより多くの組成物を
含み、罹患した領域へ適用されるべき各組成物の相対量が異なる場合、キットは適切な量
の各組成物を提供し得る。例えば、本発明の一実施態様において、システムは、ピロカル
プス属(Pilocarpus)植物からの抽出物を含む第一の組成物、ステロイドアルカロイド含
有植物からの1つ又はそれ以上の抽出物を含む第二の組成物、及び海藻抽出物を含む第三
の組成物を含み、そして適用されるべき各組成物の両の比は約2:2:3と約1:4:6と間の
第一の組成物:第二の組成物:第三の組成物である。従って、このシステムのためのキッ
トは、第一、第二及び第三の組成物を同様の体積比、例えば、それぞれ60ml、90ml及び12
0mlで含み得る。
10
【0148】
キットはさらに、システムについての所定の期間の間の適切な使用レジメンを、例えば
一組の指示書、一般的には書面の指示書の形態で提供し得る。キットはさらに、経口投与
に適した実質的に希釈された形態(例えば、ホメオパシー製剤又は薬草チンキ剤として)
のシステムを構成する1つ又はそれ以上の植物抽出物を提供し得る。あるいは、適切な場
合、キットはさらに経口投与用の錠剤形態のシステムの1つ又はそれ以上の植物抽出物を
含み得る。生物学的製品の製造、使用又は販売を管理する政府機関により定められた形態
の通知をキットに添付し得、この通知はヒト又は動物投与のための製造、使用又は販売の
政府機関による承認を示す。
【0149】
20
本発明はここで具体例を参照して記載される。当然ながら、以下の実施例は本発明の実
施態様を記載するものであり、いかなる形であれ本発明を限定することを意図されるもの
ではない。
【実施例】
【0150】
以下の実施例1∼13は、大規模製造に適した典型的な組成物を提供する。各組成物の製
造において含まれるべき植物材料の適切な典型的な量は各植物について示されるが、これ
らは上記のように、最初の抽出については約1%∼約50% w/wで変化し得る。実施例1∼
13は抽出物の組み合わせを含む組成物を記載するが、これらの実施例において提供される
情報は、各植物抽出物が別個の組成物として製剤化される本発明のシステムを製造するた
30
めにも使用され得る。
【0151】
実施例1:ベラトラムビリデ(Veratrum viride)、ヤボランジ(Pilocarpus microphy
llus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculo
sus)を含む組成物
【表1】
40
50
(32)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【0152】
実施例2:バイケイソウ(Veratrum album)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus
)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus
)を含む組成物
【表2】
10
【0153】
実施例3:ベラトラムカリフォルニカム(Veratrum californicum)、ヤボランジ(Pil
ocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ
(Fucus vesiculosus)を含む組成物
【表3】
20
30
【0154】
実施例4:シュロソウ(Veratrum japonicum)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllu
s)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus
)を含む組成物
(33)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【表4】
10
【0155】
実施例5:オオシュロソウ(Veratrum nigrum)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyll
us)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosu
s)を含む組成物
【表5】
20
【0156】
組成物Bの典型的な製造において、オオシュロソウ(Veratrum nigrum)由来の800Og
の植物材料を32,000mlのアルコールと混合して植物材料を抽出し、ヤボランジ(jaborand
i)由来の2,000gの植物材料を8,000mlのアルコールと混合して植物材料を抽出し、そし
てヒバマタ(Fucus vesiculosus)由来の10,000gの植物材料を20,000mlのアルコールと
混合して植物材料を抽出する。
【0157】
実施例6:セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyl
lus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculos
us)を含む組成物
30
(34)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【表6】
10
【0158】
組成物Bの典型的な製造において、セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)由来の800Og
の植物材料を32,000mlのアルコールと混合して植物材料を抽出し、ヤボランジ(jaborand
i)由来の2,000gの植物材料を8,000mlのアルコールと混合して植物材料を抽出し、そし
てヒバマタ(Fucus vesiculosus)由来の10,000gの植物材料を20,000mlのアルコールと
混合して植物材料を抽出する。
20
【0159】
実施例7:バイケイソウ(Veratrum album)、セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)、
ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi)
)、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
【表7】
30
【0160】
40
組成物Bの典型的な製造において、バイケイソウ(Veratrum album)由来の4000gの植
物材料を16,000mlのアルコールと混合して植物材料を抽出し、セイヨウツゲ(Buxus semp
ervirens)由来の400Ogの植物材料を16,000mlのアルコールと混合して植物材料を抽出し
、ヤボランジ(jaborandi)由来の2,000gの植物材料を8,000mlのアルコールと混合して
植物材料を抽出し、そしてヒバマタ(Fucus vesiculosus)由来の10,000gの植物材料を2
0,000mlのアルコールと混合して植物材料を抽出する。
【0161】
実施例8:オオシュロソウ(Veratrum nigrum)、セイヨウツゲ(Buxus sempervirens
)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaboran
di))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
50
(35)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【表8】
10
【0162】
実施例9:ベラトラムビリデ(Veratrum viride)、セイヨウツゲ(Buxus semperviren
s)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jabora
ndi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
【表9】
20
30
【0163】
実施例10:ベラトラムカリフォルニカム(Veratrum californicum)、セイヨウツゲ(B
uxus sempervirens)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ
(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
【表10】
40
【0164】
実施例11:シュロソウ(Veratrum japonicum)、セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)
50
(36)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi
))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
【表11】
10
【0165】
実施例12:セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)、ホラルレーナ(Holarrhena)、ヤボ
ランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、
及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
【表12】
20
30
【0166】
実施例13:種々のシュロソウ属(Veratrum)種、セイヨウツゲ(Buxus sempervirens)
、ホラルレーナ(Holarrhena)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤ
ボランジ(Maranham jaborandi))、ヒバマタ(Fucus vesiculosus)、トウアズキ(Abru
s precatorius)及びインドジャボク(Rauwolfia serpentina)を含む組成物
(37)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【表13】
10
20
【0167】
実施例14:大規模組成物の製造:方法A
以下は実施例1∼13に示される組成物を製造する1つの典型的な方法を提供する。
植物由来の新鮮で乾燥した末端枝、葉、及び根を刻みそしてたたいてパルプにし、次い
で重量を量る。90%−99% V/V エタノール又は変性エタノールをパルプに1:3 w/w 植物
材料:溶媒の比で加え、そして十分に混合した。この混合物を栓をしたステンレス鋼タン
ク中に40日間冷暗環境で放置した。植物材料からエタノールへの関連成分の完全な抽出
を確実にするために頻繁な振盪が必要である。抽出期間の後、懸濁液を約30分から10日
の間の追加期間そのままにして大きな固形粒子を容器の底に沈降させ、そして破片の小さ
30
な粒子を含む濁った溶液を生じさせる。次いで固形物質をフィルタープレス又は同等のも
のを通してろ過することにより除去した。
【0168】
最後に、ろ液を2% w/w プロピレングリコールと混合して最終組成物を得た。
【0169】
上の組成物を2,000グラムのオリーブ油及び10,000グラムのワセリンとさらに混合し、
そして2O℃から100℃の間で混合を継続しながら加熱し得る。この塊を1時間から1ヶ月
の間放冷させてクリームの形態の組成物を得る。このクリームはしっかりと閉じる容器に
移して保存することができる。
【0170】
40
実施例15:大規模組成物の製造:方法B
以下は実施例1∼13に示される組成物を製造する別の典型的な方法を提供する。
【0171】
植物からの新鮮及び/又は末端枝、葉、及び根を刻みそしてたたいてパルプにし、次い
で重量を量る。次いでこのパルプを1:1から1:50 w/wの間の比でココナッツ油とステン
レス鋼容器中で混合した。油の温度は10℃から15O℃の間であるべきである。あるいは、
植物材料を1分と60分との間穏やかにとろ火で煮てもよい。次いで植物材料を流動パラ
フィンと2:3 w/w 植物材料:流動パラフィンの比で混合し、続いて2% w/w オリーブ油
と混合する。油/パルプ混合物を7∼10日間冷暗所で、植物材料から油への関連成分の完
全な抽出を確実にするために1日に2回振盪しながら放置した。抽出期間の後、混合物を
50
(38)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
モスリン布を通して濾す。最終的に、1∼2%の香料を油に静かに加えて最終組成物を得
る。
【0172】
実施例16:大規模組成物の製造:方法C
以下は実施例1∼13に示される組成物を製造する三番目の典型的な方法を提供する。
【0173】
新鮮でかつ/又は乾燥した植物材料を刻みそしてたたき、次いで1:2から1:20 w/wの
間の比で蒸留水とステンレス鋼容器にて混合した。水温は10℃と150℃との間であるべき
である。あるいは、植物材料を1分∼60分の間穏やかにとろ火で煮てもよい。次いで植
物材料をエタノール 90%∼99% V/Vと1:1から1:20 w/wの間の植物材料:エタノール比
10
で混合し、次いで0.2∼20% w/w プロピレングリコールと混合する。この混合物を1時間
と100日の間の期間、冷暗環境に放置する。植物材料からエタノールへの関連成分の完
全な抽出を確実にするために、頻繁な振盪が必要である。抽出期間後、懸濁液をさらに約
30分から10日の間の期間そのままにして、大きな固形粒子を容器の底に沈降させることが
でき、そして破片の小さな粒子を含む濁った溶液を得る。次いで固形物質をフィルタープ
レス又は同様のものを通してろ過することにより除去した。
【0174】
実施例17:バイケイソウ(Veratrum album)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus
)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus
)を含む組成物の毛髪成長並びに毛髪及び頭皮の健康に対する効果
20
バングラデシュ、インド、ネパール、シンガポール、パキスタン及びカナダ(ニューフ
ァンドランドラブラドール州)の1000人を超える個体(男性及び女性の両方、22歳から5歳
及びそれ以上の範囲の年齢)に、約0.5∼2.0グラム(約0.5∼3.0立方cm)の実施例2に記載
の組成物(組成物B)を頭皮に1日に2又は3回、3∼12ヶ月間局所適用した。組成物の抽
出物は以下のように製造した。
【0175】
バイケイソウ(Veratrum album)抽出物を、8000グラムの植物材料を40,000mlのアルコ
ールと混合することにより製造した。
【0176】
ヤボランジ(Jaborandi)抽出物を、2000グラムの植物材料を10,000mlのアルコールと
30
混合することにより製造した。
【0177】
ヒバマタ(Fucus vesiculosus)抽出物を、10,000グラムの植物材料を50,000mlのアル
コールと混合することにより製造した。
【0178】
上記の抽出物は1:5の植物材料:溶媒比で製造し、これらは最終組成物に含まれるが、
植物材料:溶媒の比が1:4∼1:2であるより濃縮された形態の抽出物も使用され得る。
【0179】
処置しようとする領域の頭皮及び毛髪の根元に指先を使用して上記の量を塗ることによ
り組成物を適用した。塗り込みを約1分間続けた。反復用量は、分布の均質性を確実にす
40
るために役立つ。何人かの被験者については、日光への処置された毛髪又は頭皮の暴露が
結果を改善した。
【0180】
全ての被験者が、組成物を使用して4∼6週間以内に新しい毛髪成長を示した。
【0181】
1,000人の被験者の試験群のうち、300人の男性被験者は男性型禿頭症の初期段階にあり
、そして300人の男性被験者は完全にはげていた。これらの被験者はまた、ヒバマタ(Fuc
us vesiculosus)のチンキ剤(5−10mL;ホメオパシー薬局方に従って製造した)を食事前
に経口摂取した。600人のこれらの被験者全てにおいて、組成物を使用して1∼3日以内
に非常に薄く弱い毛髪が太くなりそして黒くなることが観察された。組成物適用の4−6
50
(39)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
週後、新しい毛髪から硬毛への変換が観察された。何人かの被験者において、新しい毛髪
成長の領域において再成長した毛髪の部分的若しくは全体的な白化又は白斑が観察された
。モモの綿毛に似た軟毛が、何人かの被験者において薄くなっているかはげている箇所に
おいて、特に周辺部において現れた。新しい毛髪は、組成物の継続使用の3∼4週間以内
により太くそして黒くなった。
【0182】
試験群のうち、600人の被験者は実質的な脱毛を患っていた。これらの被験者において
、正常レベル又は正常より低いレベルへの脱毛の減少が、3回から6回の適用の後に報告
された。
【0183】
10
試験群のうち、頭部、あごひげ、口ひげ及び眉毛における円形脱毛症を患っている50人
の被験者では、かなりの毛髪成長及び罹患した領域の大きさの減少が4∼6週以内に観察
された。
【0184】
試験群のうち、女性型脱毛症に起因する脱毛を患う50人の女性の被験者では、4∼6週
以内に新しい毛髪成長が観察された。これらの被験者は、食事前にヒバマタ(Fucus vesi
culosus)のチンキ剤(5−10mL;ホメオパシー薬局方に従って製造した)も経口摂取した
。新しい毛髪成長は、組成物の適用を続けるにつれて有意に増加した。
【0185】
遺伝的脱毛症を患う患者については、毛髪成長の回復後、組成物の使用は少なくとも1
20
日に1回、又は少なくとも1週間に3回で継続するべきである。
【0186】
毛髪成長に対する組成物の効果に加えて、頭皮及び毛髪に対する以下の有益な効果が報
告された。
【0187】
試験群のうち、ふけを患っていた400人の男性及び女性の被験者では、組成物を使用し
始めて1∼2週間以内にその状態の消失が観察された。
【0188】
400人の男性及び女性の被験者は、組成物の5∼10回の適用の後、毛髪の太さ及び全
体的な毛髪の質における改善を報告した。
30
【0189】
被験者の一部は、毛じらみを患っており、そしてこの状態が組成物の3回目の適用後に
治ったことが観察された。
【0190】
全ての被験者において、新しく成長した毛髪及び既存の毛髪の両方が処置の間に適当な
状態になり、太くなり、強くなり、より魅力的になり、そして元気に(lively)なった。
元の毛髪色の回復が、毛髪が銀白色又は灰色であった被験者のほとんど(60歳を超える
被験者を含む)において4∼6週間以内に観察された。
【0191】
実施例18:バイケイソウ(Veratrum album)、ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus
)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、インドジャボク(Rauwolfia serpen
tina)及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
40
(40)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【表14】
10
【0192】
実施例19:ベラトラムカリフォルニカム(Veratrum californicum)、ヤボランジ(Pil
ocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))、インドジャボ
ク(Rauwolfia serpentina)及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)を含む組成物
【表15】
20
30
【0193】
実施例20:組成物の大規模製造:方法D
新鮮でかつ/又は乾燥した植物材料をすりつぶしてメッシュサイズ40−80の粉末にし、
そしてたたいた。次いでこの粉末を1:2から1:10 (w/v)の間の比でエタノール又は変性(
イソプロピルアルコールを含む)エチルアルコールとステンレス鋼又はガラスの容器中で
40
混合した。例えば、1kgの植物材料を2Lのアルコールと混合した。次いでこの混合物を
21日から100日間の間の期間、暗所にて30∼40℃の温度で又はインキュベーター
中に放置した。植物材料からエタノールへの関連成分の完全な抽出を確実にするために混
合物を頻繁に振盪した。抽出期間の後、懸濁液をさらに約30分から10日間の間の期間そ
のままにして、粉末粒子を容器の底に沈降させて、残屑の小さい粒子を含む濁った溶液(
抽出物)を得た。次いで粉末物質をフィルタープレス又は同等のものを通してろ過するこ
とにより除去した。次いで粉末物質(植物粉末)を焼成皿中に入れ、そして焼却した。植物
粉末が灰に変わり、そして薄い灰色になったときに、灰を頂部に置き、そしてそれを純白
になるまで加熱した。植物粉末が白色になったら放冷させた。灰を2∼20% w/wのプロピ
レングリコールと混合し、そして抽出物を入れているタンクに入れた。タンクを密閉し、
50
(41)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
そして混合物を21日から100日の間の期間暗所で30∼40℃の温度にて、又はインキュ
ベーター中で、関連塩物質の薬草抽出物中への完全な抽出を確実にするために頻繁に振盪
しながら放置した。抽出期間の後、懸濁液をさらに約30分から30日間の間の期間そのまま
にして、チンキ剤中に浮遊している不純物をタンクの底に沈降させた。
【0194】
実施例21:ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham
jaborandi))、バイケイソウ(Veratrum album)、及びヒバマタ(Fucus vesiculosus)
を含む組成物
【表16】
10
20
【0195】
実施例22:ヤボランジ(Pilocarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham
jaborandi))抽出物、バイケイソウ(Veratrum album)抽出物、及びヒバマタ(Fucus v
esiculosus)抽出物を含む組成物の製造
マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi)、バイケイソウ(Veratrum album)及び
ヒバマタ(Fucus vesiculosus)の抽出物を、実施例20において一般的に記載される方法
Dにより、以下に示される量の植物材料を使用して製造した。さらなる詳細を以下に示す
。
【0196】
30
マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi)抽出物の製造
ヤボランジ(Jaborandi)抽出物については、1,000グラムの乾燥した植物をすりつぶし
て粉末にし、そして7.8%イソプロパリルアルコール及び3.3% 酢酸エチルで変性された4
000mlのエタノールと混合した。この混合物をよく混合し、そしてアルミニウムの瓶に注
ぎ、そしてそのまま30日間暗所にて木箱スタイロフォーム(Styrofoam)インキュベー
ターで30℃の温度にて放置した。この抽出期間の間、瓶を1日に3回振盪した。抽出期
間の後、懸濁液を2日間そのままにして粉末粒子を容器の底に沈降させた。次いで抽出物
をデカンテーションして別のアルミニウム瓶で保存し、一方沈降した粉末粒子又は絞りか
すは焼成皿に入れて焼却した。
【0197】
40
焼成工程の後、灰を2% w/w プロピレングリコールと混合し、そしてデカンテーショ
ンした抽出物を収容しているアルミニウム瓶に加え、そして21日間暗所で30℃の温度
にて放置した。抽出期間の後、懸濁液を5日間そのままにしてチンキ剤中に浮遊している
不純物をタンクの底に沈降させた。次いで抽出物をろ過し、そして瓶に保存した。
【0198】
バイケイソウ(Veratrum album)抽出物の製造
バイケイソウ(Veratrum album)抽出物については、8,000グラムの乾燥した植物材料
をすりつぶして粉末にし、そして7.8% イソプロピルアルコール及び3.3% 酢酸エチルで
変性した32000mlのエタノールと混合した。この混合物をよく混合し、そしてアルミニウ
ム瓶に注ぎ入れ、そして30日間暗所にて木箱スタイロフォームインキュベーターで30
50
(42)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
℃の温度にて放置した。この抽出期間の間、瓶を1日に3回振盪した。抽出期間後、懸濁
液を2日間放置して粉末粒子を容器の底に沈降させた。次いで抽出物をデカンテーション
し、そして別のアルミニウム瓶中に保存し、一方沈降した粉末粒子又は絞りかすは焼成皿
にいれて焼却した。
【0199】
焼成工程の後、灰を2% w/w プロピレングリコールと混合し、そしてデカンテーショ
ンした抽出物を収容しているアルミニウム瓶に加え、そして21日間暗所にて30℃の温
度で放置した。抽出期間の後、懸濁液を5日間そのままにしてチンキ剤中に浮遊している
不純物をタンクの底に沈降させた。次いで抽出物をろ過し、そして瓶で保存した。
【0200】
10
ヒバマタ(Fucus vesiculosus)抽出物の製造
ヒバマタ(Fucus vesiculosus)抽出物については、10,000グラムの乾燥した植物材料
をすりつぶして粉末にし、そして7.8% イソプロピルアルコール及び3.3% 酢酸エチルで
変性した20,000mlのエタノールと混合した。この混合物をよく混合し、そしてアルミニウ
ム瓶に注ぎ入れ、そして30日間暗所にて木箱スタイロフォームインキュベーターで30
℃の温度にて放置した。この抽出物期間の間、瓶を1日に3回振盪した。抽出期間後、懸
濁液を2日間そのままにして粉末粒子を容器の底に沈降させた。次いで抽出物をデカンテ
ーションし、そして別のアルミニウム瓶で保存し、一方沈降した粉末粒子又は絞りかすを
焼成皿に入れて焼却した。
【0201】
20
焼成工程後、灰を2% w/w プロピレングリコールと混合し、そしてデカンテーション
した抽出物を収容しているアルミニウム瓶に加え、そして21日間暗所にて30℃の温度
で放置した。抽出期間の後、懸濁液を5日間そのままにしてチンキ剤中に浮遊している不
純物をタンクの底に沈降させた。次いで抽出物をろ過して瓶に保存した。
【0202】
実施例23:別々に適用されたバイケイソウ(Veratrum album)組成物、ヤボランジ(Pi
locarpus microphyllus)(マランハムヤボランジ(Maranham jaborandi))組成物、及び
ヒバマタ(Fucus vesiculosus)組成物の毛髪成長並びに毛髪及び頭皮の健康に対する効
果
パターンはげを示す9人の男性及び1人の女性から構成される10人の志願した患者を
30
カナダにおける試験に登録した。これらの患者の年齢は30歳から55歳の範囲であった
。全ての参加者は外見は良好な健康状態であり、そして以前にこの種類の研究又は処置に
関与した者はいなかった。10人の志願者のうち、4人の被験者は男性型禿頭症を10∼1
5年間有しており、2人の男性被験者及び1人の女性被験者は5年間、頭頂及び前頭のは
げを有しており、そして2人の男性被験者は光沢のある頭皮の滑らかな斑(smooth patch
es)を有し完全にはげており、そして1人の男性被験者は前頭部の毛髪が薄く、それは完
全に滑らかな斑を発現して7×5cmの前頭はげ領域を生じていた。この被験者は以前にム
ラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)(アルファルファ)薬草錠剤を経口摂取していた。
【0203】
患者は実施例22に記載される3つの組成物を含む処置システムを使用した。これらの組
40
成物は1日に2回又は3回、3か月間適用された。適用方法は以下のとおりである。各組
成物を、以下に明記した体積を処置されるべき領域において頭皮の滑らかな斑及び毛髪の
根元に指先を使用して擦り込むことにより適用した。擦り込みは約1分間続けた。必要な
場合、適用された組成物の均質な分布を確実にするために、複数回の適用を使用してもよ
い。ヤボランジ(Jaborandi)抽出物を含む組成物を、約30−60滴(約1∼4ml)の体積で
罹患した領域に最初に適用した。
【0204】
5−10分後、バイケイソウ(Veratrum album)抽出物を含む組成物を60−120滴(約4∼
8ml)の体積で適用した。軽度の灼熱感及びくしゃみがこの第二の抽出物の局所適用によ
り観察された。5−10分後、ヒバマタ(Fucus vesiculosus)抽出物を含む組成物を90−1
50
(43)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
80滴(約8∼16ml)適用した。
【0205】
いずれの特定の機構に限定されるものではないが、第一の処置工程は毛包入口から皮脂
を除去して頭皮の皮膚の孔を開くのを補助し(皮脂は天然の非極性脂質から構成される分
泌物であり、組成物の毛包への接近性を妨害し得る);第二の処置(毛包に浸透するのが
可能にされた)は、毛包のバルジ領域周辺の毛髪神経及び幹細胞を刺激するのを補助し、
そして第三の処置は新しく成長した健康な毛髪に栄養を与え皮膚の厚みを減少するのを補
助すると考えられる。
【0206】
全ての被験者はヒバマタ(Fucus vesiculosus)のチンキ剤(5−10ml;the American H
10
omoeopathic Pharmacopeiaに従って製造した)も食事前に2回経口摂取した。何人かの被
験者については、処置された毛髪又は頭皮を日光に暴露すること及び淡水を飲むことによ
り結果が改善された。
【0207】
全ての被験者は、組成物の適切な頭皮適用、補助的なチンキ剤及び植物性組成物の経口
消費について個別にそして丁寧に指導された。
【0208】
全ての被験者が、組成物の使用2∼4週間で新しい毛髪成長を示した。
【0209】
毛髪の再成長は、処置に入って2週ほどで何人かの被験者において最初に見られた。第
20
三週までに、相当数の男性及び女性が穏やかな再成長を示し、健康な軟毛並びにより黒く
着色した中間毛及び硬毛の両方が観察された。処置後に再成長した毛髪のいくつかの部分
的及び全体的な白化があった。拡大鏡により裸眼で見える軟毛の一部は、頭皮の写真では
その感度が相対的に不足することに起因して再生していなかった。
【0210】
写真及び初期カウントを標準2倍拡大鏡を使用して処置の前にとった。個々のカウント
は二人の個人により行った。研究過程で撮られた写真から、再成長のパターンが、3か月
にわたって毛髪カウントの有意な増加を示した参加者から観察された。最初の計数可能な
毛髪は、4∼6週の処置後に見られ、そして側前領域の生え際、及び眉毛の外側三分の一
を含む頭冠又は頭頂において最初に検出された。次いでさらなる処置の後、毛髪成長は頭
30
皮の前側部領域で処置の6∼12週後に観察された。
【0211】
処置前にふけを患っていた被験者の一部は、処置の開始1∼2週以内にその状態の消失
が観察された。全ての被験者において、新しく成長した毛髪及び既存の毛髪の両方が、処
置の間に適当な状態になり、太くなり、強くなり、より魅力的になり、そして/又は元気
に(lively)なった。処置前に乾癬のような頭皮の問題を患っていた被験者の一部では、
処置の三回目の適用の後にこの状態の解消が観察された。
【0212】
最初の月に、応答者における平均毛髪カウントは、平方インチあたり30−60本の毛髪で
あった。患者が禿頭症又は毛髪の薄化に罹患していた年数は、初期の結果となんら相関を
40
有していないようであった。全ての使用者は、彼らが前方の生え際に満足し、そしてかれ
らの頭頂部に満足していると言った。
【0213】
これらの結果は、処置システムが、毛髪再成長の点において他の天然及び合成の化学製
品と同程度に有効か、またはより有効であるように思われるということを示した。さらに
、組成物に含まれる植物抽出物は、過去に個別に毒性について試験されており、従って処
置システムが重大な副作用を有するということはありそうもない。
【0214】
図1Aは、処置前の一人の患者の罹患した領域を示す。図1Bは、実施例17の組成物(
ここでは抽出物は混合されている)及びこの実施例(ここでは抽出物は順次適用される)に
50
(44)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
記載される組成物で処置した後の同じ患者の罹患した領域を示す。
【0215】
実施例24:植物性組成物の処方及び適用
本発明の記載された処置システムに含めることができる植物性組成物の典型的な処方を
以下に示す。
【0216】
組成物1:
植物:ピロカルプス属(PILOCARPUS)(一般名:ヤボランジ(Jaborandi))
抽出物製造用の開始体積:100ml
開始体積から製造された抽出物の最終体積:66ml
10
植物材料源:庭園又は陸地
植物部分:葉
抽出に使用された量:
乾燥葉(水分10%含有)
25グラム
変性アルコール 100ml
すなわち乾燥薬草のパーセンテージ 25%
最終組成物中の量:
アルコールのパーセンテージ 94.25% (アルコール計を使用して測定)
ピロカルプス属(Pilocarpus)抽出物のパーセンテージ 2.75%
プロピレングリコールのパーセンテージ 2%
20
硝酸のパーセンテージ 1%
推奨される使用:
使用継続期間 3∼6か月(又は脱毛の比率による)
投与経路 局所的
量 2ml
投薬単位 2ml
頻度 1日に2回又は3回
【0217】
組成物2:
植物:バイケイソウ(VERATRUM ALBUM)(一般名:バイケイソウ(White hellebore))
30
抽出物製造用の開始体積 100ml
開始体積から製造された抽出物の最終体積:66ml
植物材料源:森林
植物部分:枝
抽出に使用された量:
乾燥枝(水分10%含有)
25グラム
変性アルコール 100ml
すなわち乾燥薬草のパーセンテージ 25%
最終組成物中の量:
アルコールのパーセンテージ 95%(アルコール計を使用して測定)
40
バイケイソウ(Veratrum album)抽出物のパーセンテージ 2%
プロピレングリコールのパーセンテージ 2%
硝酸のパーセンテージ 1%
推奨される使用:
使用継続期間 3∼6か月(又は脱毛の比率による)
投与経路 局所的
量 5ml
投薬単位 5ml
頻度 1日に2回又は3回
【0218】
50
(45)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
組成物3:
植物:ヒバマタ(FUCUS VESICULOSUS)(一般名:ブラダーラック(Bladderwrack)、海
藻、ケルプ)
抽出物製造用の開始体積:100ml
開始体積から製造された抽出物の最終体積:66ml
植物材料源:海
植物部分:全草
抽出に使用された量:
乾燥植物(水分15%含有) 50グラム
変性アルコール 100ml
10
すなわち乾燥薬草のパーセンテージ 50%
最終組成物中の量:
アルコールのパーセンテージ 95%(アルコール計を使用して測定)
ヒバマタ(Fucus vesiculosus)抽出物のパーセンテージ 2%
プロピレングリコールのパーセンテージ 2%
硝酸のパーセンテージ 1%
推奨される使用:
使用継続期間 3∼6か月(又は脱毛の比率による)
投与経路 局所的
量 6ml
20
投薬単位 6ml
頻度 1日に2回又は3回
【0219】
実施例25:ヘアローションの製造のための典型的な方法
以下は、本発明のシステムに含めることができるヘアローションを製造するために使用
される典型的な方法を記載する。
植物及び薬草から活性成分を単離するための抽出プロセスを以下に記載する。
【0220】
ローションを製造するために使用される全ての薬草及び植物は、化学物質又は保存料を
含ませるべきでない(例えば、医薬品グレードの生の薬草)。全ての薬草の品質及び同定
30
は、植物学及び薬理学の専門家により、目視検査又は利用可能な高機能の科学機器を使用
する実験室分析により検査され得る。薄層クロマトグラフィー又は他の技術を使用して、
所望の場合、化学物質の分析のために、活性化合物の種及び存在を同定することができる
。
【0221】
植物の代用は増大しつつある問題であるので、植物種の真偽は、例えば、高性能薄層ク
ロマトグラフィー(HPTLC)により検査され得るか、又は保証された標準と比較され得る。
【0222】
原材料のアイデンティティーが確立された後、それらをさらにHPLCで調べてその材料が
適切なレベルの活性構成成分又はマーカー化合物を含有することを確認する。生の材料の
40
HPLCグラフを保証された標準と比較することは有用であり得る。分析は、HPLC分析にフォ
トダイオードアレイ検出器(PDA)を適用することによりさらに強化することができる。PDA
は、各ピークの純度を調べることを支援する3次元グラフを生じる。
【0223】
紫外可視分光法(UV/VIS)は、サンプルによる紫外光及び可視光の吸収の波長及び強度
の測定であり、定量測定に使用することができる。UV/VISは、工程間試験法として、す
なわち進行中の抽出の有効性を検査するために使用することができる。UV/VIS試験から
の結果は、その結果を検証するためにHPLCにより裏付けすることができる。オオアザミ抽
出物のUV/VIS試験により、例えば、30%シリマリン(silymarin)の測定値が得られるが
、HPLCからのより正確な測定値は20%のみの可能性がある。
50
(46)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【0224】
抽出プロセスは、生物活性化合物の活性の減少を最少にするように選択することができ
る。
【0225】
基本的なプロセス
原料の薬草は、除草剤、農薬、重金属含量及び他の有害な部物質について検査される。
システムが、個々に製剤化されて別々の組成物として維持されている植物性組成物を含む
場合、別々の組成物は同一の強度で製造されているべきである。植物がそれらの自然の生
息場所から収集される場合、それらは「ワイルドクラフティングされる」と言われる。そ
れらが商業的農業技術を利用して育てられる場合、それらは「栽培される」と言われる。
10
栽培源からの植物の収集は、収集された植物が所望の植物であることを確実にする。薬草
がワイルドクラフティングされる場合、誤った薬草が採取される可能性がかなり高い。分
析技術の使用は、収集された植物が所望の植物であることを保証するために使用すること
ができる。
【0226】
ガーブリング(Garbling)とは、使用されるべき植物の部分を、その植物の他の部分、
土、及び他の外部物質と分離することを指す。この工程はしばしば収集プロセスの間に行
われ、機械により行ってもよい。
【0227】
薬草及び植物は、それらが成長し、収集され、そし保存された様々な条件によってそれ
20
らの含水量がかなり変動する。採取後、大部分の薬草は60−90%の含水量を有し、そして
重要な化合物の破壊及び微生物を最少にするために保存の前に乾燥することが必要かもし
れない。薬草の大部分は比較的穏やかな乾燥条件を必要とする。商業的には、大部分の植
物は100−140°Fの範囲の温度で乾燥される。乾燥の間、植物材料は、許容される組成物
標準に適合しなくなるような損傷を受けたり損失を被ったりしてはならない。適切な乾燥
により、薬草含水量は14%未満に減少される。
【0228】
薬草の粉砕又はすりつぶしは、葉、根、種子又は植物の他の部分のいずれかを大きな粗
い(course)断片から微粉末に及ぶ非常に小さい単位に機械的に破壊することを意味する
。粉砕は、粗製薬草製品の製造において、さらに抽出物の初期段階において使用される。
30
【0229】
しばしば材料をグラインダーに供給する前に予め切っておくかまたはすりつぶす必要が
ある。粉砕の過程において、多数の機械を使用することができるが、最も広く使用されて
いるのはハンマーミルである。これらの機械は設計が単純である。半径方向に配置された
ハンマーは、それらが取り付けられているシャフトの回転に従って、上から機械に供給さ
れた材料を粉砕する。チャンバ(chamb)の壁は格子状であり、これがそれを通過する材
料の寸法を決定する。他の種類のグラインダーとしてはナイフミル及びティースミルが挙
げられる。
【0230】
植物及び薬草は、溶媒中の浸漬により所定の温度にインキュベーターで抽出される。
40
【0231】
薬草の抽出後、得られた溶液を濃縮して液体抽出物又は固体抽出物にし得る。大規模製
造については、抽出された植物成分が損傷を受けないように当該分野で公知の技術及び機
械(例えば薄層エバポレーター)を使用することができる。これらの機械は、溶媒を蒸発
させて、そのようにして植物化合物を残すように機能する。溶媒蒸気は濃縮器に入り、そ
れにより液体状態に戻り、次いで再使用することができる。結果として抽出された物質が
溶媒から分離され、最終生成物が実質的に純粋な植物抽出物となる。
【0232】
本明細書中で参照される全ての特許、公開された特許出願を含む公報、及びデータベー
ス登録事項の記載は、あたかもそれぞれのそのような特許、公報及びデータベース登録事
50
(47)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
項が具体的かつ個別に参照により組み込まれているように、それら全体が同じ内容で参照
により具体的に組み込まれる。
【0233】
本発明の実施態様がこのようにして記載されれば、同一の内容を多くのやり方で変更し
得ることは明らかである。このような変形は本発明の精神及び範囲から逸脱するものとさ
れるべきではなく、そして当業者に明らかであろう全てのこのような修飾は本願特許請求
の範囲内に包含されるものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】患者の罹患した領域における毛髪成長に対する本発明の一実施態様による植物性
組成物の効果の例を示す。図1Aは、処置前の罹患した領域を示し、そして図1Bは処置
後の罹患した領域を示す。
【図1A】
【図1B】
10
(48)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
【国際調査報告】
10
20
30
40
(49)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
10
20
30
40
(50)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
10
20
30
40
(51)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
10
20
30
40
(52)
JP 2008-540582 A 2008.11.20
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 36/02
(2006.01)
A61K 35/80
Z
A61P 17/14
(2006.01)
A61P 17/14
A61K 36/00
(2006.01)
A61K 35/78
W
A61K
8/97
(2006.01)
A61K 35/78
X
A61Q
7/00
(2006.01)
A61K
8/97
A61Q
7/00
10
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,
BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,
CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,L
R,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY
,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 デイヴィッド・カラハン
カナダ国ニューファンドランドA0N 1Z0.セントジョージズ.メインストリート164
Fターム(参考) 4C083 AA111 AA112 BB53 CC37 DD23 DD27 DD28 DD38 EE22 FF01
4C088 AA12 AA13 AA14 AA15 AB12 AB31 AB48 AB62 AB85 AC01
AC02 AC04 AC05 AC06 AC15 BA07 BA08 BA11 CA01 CA02
CA03 CA04 CA05 CA06 CA07 CA08 CA09 CA11 CA12 CA14
CA17 MA17 MA52 MA63 NA14 ZA89
20
Fly UP