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「省エネルギー・再生可能エネルギー分野の海外展開について」(PDF

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「省エネルギー・再生可能エネルギー分野の海外展開について」(PDF
総合資源エネルギー調査会
基本政策分科会 第6回会合
資料4
省エネルギー・再生可能エネルギー分野の
海外展開について
平成25年10月
1.海外展開に係る総論
1-1.海外展開の重要性
1-2.海外展開支援の必要性
2.具体的支援策の概要
(海外展開の環境整備)
2-1.海外動向調査、普及啓蒙活動・制度構築支援
(海外市場の獲得支援)
2-2.相手国との政策共同研究
2-3.官民協力によるビジネス案件創出支援
2-4.相手国との共同実証を活用したビジネス化に向けた取組
1-1.海外展開の重要性

世界のエネルギー需要は、2030年までに1.3倍(2010年比)に増加。うち約9割が中印、中東などの新
興国。これらの国々のエネルギー利用に伴う温室効果ガスの削減に向けた取組が重要であり、これ
らの国々を中心に、エネルギー需給の逼迫に備え、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入の機
運が高まってきている。

また、新興国・先進国双方において、各国の事情に応じて、IT技術の活用により省エネ・再エネ技術
を効率的かつ大規模に組み合わせる取組(スマートコミュニティ)に対する関心も高まっており、その
潜在市場規模は、2020年までに現状の約3倍まで拡大する見通し。なお、「日本再興戦略」では
「2020年30兆円」(現状10兆円)のインフラシステムの海外受注目標が掲げられているところ。

以上を踏まえ、省エネ・再エネ等の技術・システムの海外展開においては、
①世界大での地球温暖化問題への対応に加え、世界のエネルギー需給の逼迫の緩和、我が国エネ
ルギーセキュリティの確保といったエネルギー・環境問題への対応
②成長が見込まれる国際エネルギー市場の獲得
を目指すこととする。
【世界の一次エネルギー需要の増加動向】
非OECD国
(出所)IEA World Energy Outlook 2012
【スマートコミュニティの世界の潜在市場規模】
約3倍
(出所)世界スマートシティ総覧2012 日経BPクリーンテック研究所
1
1-2.海外展開支援の必要性

省エネ・再エネ等を巡る状況は、地理、気候、経済発展の段階、政府方針(規制・制度)等が、国・地域
によって大きく異なる。

本年1月に実施した省エネ・再エネ等の分野で海外展開を目指している企業(日本スマートコミュニティ
アライアンス(事務局:NEDO)の会員企業・団体)へのアンケートでは、海外展開にあたっての問題点と
して、現地ニーズの把握、現地の商習慣の違い、現地政府や地元企業との交渉等が挙げられている。

こうした状況を踏まえ、官民を挙げて、下記取組を総合的に行っているところ。
①海外展開の環境整備
・ 多様な国別のエネルギー情勢の動向調査
・ 政府関係者等への省エネ・再エネ政策に関する普及啓蒙活動・制度構築支援
②海外市場の獲得支援
・ 相手国との政策共同研究
・ 官民ミッション派遣等の官民協力によるビジネス案件創出支援
・ 相手国との共同実証事業
【企業へのアンケート結果】(2013年1月実施、回答数278社)
省エネ・再エネ等の技術・システムの海外展開にあたり困っていること
困ってい
ない
←
←
←
大変困って
いる
-
1
2
3
4
5
無回答
1
現地で求めている技術・製品のニーズ
3
6
15
27
7
3
2
海外現地の商慣習の違い
3
4
20
23
8
3
3
知的財産の有効な活用方法
3
6
31
12
6
3
4
現地政府・自治体との接点
2
3
22
19
12
3
5
現地政府・自治体との折衝・交渉
2
4
18
23
11
3
6
自社の知名度・信用力の不足
9
10
31
5
3
3
7
アライアンスを組む地元企業の探索・交渉
1
2
19
27
9
3
(出所)日本スマートコミュニティアラ
イアンスの会員企業・団体向けアン
ケート
2
1.海外展開に係る総論
1-1.海外展開の重要性
1-2.海外展開支援の必要性
2.具体的支援策の概要
(海外展開の環境整備)
2-1.海外動向調査、普及啓蒙活動・制度構築支援
(海外市場の獲得支援)
2-2.相手国との政策共同研究
2-3.官民協力によるビジネス案件創出支援
2-4.相手国との共同実証を活用したビジネス化に向けた取組
2-1.海外動向調査、普及啓蒙活動・制度構築支援

海外動向調査
①各国について、省エネ対策・再エネ導入に係る動向調査を継続して実施。
②省エネ・再エネに係る国際会議等も積極的に活用し、各国の情報収集に努めるとともに、我が国
技術・システムのアピールを実施してきている。

普及啓蒙活動・制度構築支援
①エネルギー需要の増大が見込まれるアジアや中東などを主な対象に、相手国政府関係機関への
専門家派遣等を通じて、省エネ・再エネ関連制度の構築を支援※。
②支援対象国38カ国中、33カ国で省エネ・再エネ関連制度が導入されてきている。
※ 省エネ分野については、過去10年間で約2500人の研修生受入、約700人の専門家派遣を実施。
再エネ分野については、過去9年間で約900人の研修生受入、約100人の専門家派遣を実施。

上記事業の今後の方向性
今後は、最新の技術・システムの動向に対応できる研修プログラムを提供するとともに、研修のフ
ォローアップ強化、研修カリキュラムの体系化の推進等を通じ、より多くの世界各国の省エネ・再エ
ネ関係者の巻き込みを図る。
【普及啓蒙活動・制度構築支援の実績】
(参考:主な導入制度一覧)
・ 人材育成等の主要な支援対象国における、省エネ対策・再
エネ導入に係る制度の導入成果は以下のとおり。
((省エネ対策・再エネ導入制度が導入されたのべ国数)/
(のべ支援対象国数:38カ国))
単位
平成22年度
平成23年度
平成24年度
国数
28
31
33
達成度
(%)
74
82
87
年
対象国
制度
2007年
インド
トップランナー制度の考え方
に基づく省エネ基準の見直し
2008年
中国
省エネ法の改正
2011年
ベトナム
省エネ法の導入
2012年
タイ
トップランナー制度の考え方
に基づく省エネ基準の見直し
2013年
ベトナム
省エネラベリング制度の導入
マレーシア
省エネ法の導入
2014年~
3
2-2.相手国との政策共同研究

我が国の省エネ・再エネ技術は、海外の省エネ・再エネ導入に係る需要を取り込むだけのポテン
シャルを有しているものの、多くの国において、その技術力を適正に評価するための基準や制度が
整っていないことから、当該技術の導入インセンティブが働かないことや、価格競争に終始してしま
うことにより、受注につながらないケースが存在。
(例:省エネ性能の高いインバーターエアコン※について、東南アジア・インドにおいて、その性能評
価基準がない、またインドの省エネ認証制度では、基準のクリアに必要な技術ノウハウ情報の提
供が未整備、等)。
※ 冷暖房能力を自動で調節するエアコンのこと。これにより、無駄な電力消費が抑えられる。

我が国エネルギー産業の国際競争力の強化につなげるべく、我が国の優れた技術が適切に評価
される仕組の構築について、相手国政府のニーズを踏まえつつ、共同で研究・提案を行う。

具体的には、現在、インド・モロッコとの間で、省エネ・再エネに係る認証制度について共同研究を
行い、日本の優れた技術が適切に評価される仕組の提案につなげることを目指している。
【インドとの共同研究の概要】
(インドの省エネ認証制度(PAT制度)の導入)
○インドでは、経済成長に伴い、特に、セメント・鉄鋼等
の産業におけるエネルギー需要が急速に増加。
○このため、省エネ技術の導入を政府として推奨すべく、
PAT制度を昨年から導入。
(共同研究の方針)
○電力省 省エネルギー局をカウンターパートとし、PAT
制度の改善・執行強化について、共同で検討する。
○各産業部門の政府関係機関等をカウンターパートと
し、我が国が有する推奨技術リストの提案を通じ、イ
ンド産業界への日本技術の普及につなげる。
【モロッコとの共同研究の概要】
(モロッコの太陽光発電事業計画)
○モロッコは、石油・ガス資源に乏しく、エネルギーのほ
とんどを輸入に頼っている。
○こうした状況を改善する観点から、エネルギー自給率
を高めるため、2020年までに全電力の42%を太陽光
発電を初めとする再エネで賄う計画を立てている。
(共同研究の方針)
○モロッコ太陽エネルギー庁(MASEN)をカウンター
パートとし、モロッコ特有の砂塵等の環境を考慮した
認証試験項目を含めた評価・認証制度を共同で検討。
4
2-3.官民協力によるビジネス案件創出

省エネ・再エネ等の分野におけるビジネスベースでの日本企業と外国企業とのつながりを拡大して
いくため、日中省エネフォーラムや日米官民ラウンドテーブル等の政府間対話の機会を捉え、官民
ミッション派遣、セミナー・展示会の開催、外国企業訪問・受入等を積極的に実施。これまで、218件
の企業間合意を取り付けている。

さらに、こうした場において、民間ベースの取り組みが円滑に進むよう、政府レベルで、エネルギー
分野に係る各国の規制緩和、補助制度、税制優遇、ファイナンススキームの構築等について、相手
国側のコミットメントをとりつけることを目指す。
【第7回日中省エネフォーラム(2012年8月)の成果】
・モデルプロジェクト47件の協力合意に調印。
・省エネ分野等での協力案件に加えて、分散
型エネルギー、エネルギー管理システム等
が、主要な協力分野として定着。着実にビジ
ネスベースの日中省エネルギー・環境協力
の幅が広がっている。
【第7回日印エネルギー対話(2013年9月)の成果】
・茂木経産大臣とアルワリア計画委員会副委
員長との間で、廃棄物発電事業、送配電網
のスマート化等における協力について議論。
・民間活力の活用が重要との観点から、
「日印官民ラウンドテーブル」の立ち上げ、年
内の開催について合意。
・ファイナンス面を含む適切な投資環境の整
備を目指して議論。
【第1回日米官民ラウンドテーブル(2012年12月)の成果】
・再生可能エネルギー、省エネルギー
及びディマンドリスポンス等のスマー
トコミュニティ分野における、日米双
方の投資交流促進を図ると共に、企
業同士の交流促進によって民間レベ
ルでの協業の可能性を追求。
・双方企業の第三国展開(東南アジア・
中南米)も視野に入れた議論を実施。
【第3回日露省エネ・再エネ共同委員会(2013年9月)の成果】
・日露間において、今後検討が求めら
れる、省エネ・再エネ分野での具体的
な協力ニーズを洗い出し。
・世界省エネルギー等ビジネス推進協
議会を通じた、ロシアのコジェネレー
ションプラントの省エネ化に向けた設
備更新、地熱発電、廃棄物発電、ス
マートグリッドなどに係る日露間での
事業組成の可能性を精査。
5
2-4.相手国との共同実証を活用したビジネス化に向けた取組

省エネ・再エネ等の海外展開案件では、ビジネス化に際して、以下の課題に直面。
①ビジネスを普及していく上で相手国の制度に大きく左右される。
②現地企業とのコネクションが希薄なため、密接なアライアンスの形成が困難。
③機器売りが中心。O&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)等付加価値の高いビジネスモデル
に参入できていない。
④日本で開発した技術・システムが現地のニーズに合致していない。

個社では克服困難な上記課題に対応するため、相手国との共同実証を通じて以下のような取り組
みを実施中(NEDO運営費交付金として実施、平成25年度予算額は205億円)。
①相手国政府に対して技術普及促進に向けた政策的支援を求めるとともに、省エネ施策・再エネ導
入に関する制度構築支援を併せて実施する。
②海外展開にあたっての適切なパートナー探しや横展開を支援する。
③相手国政府機関等と共同で、より利益率の高いビジネスモデルの設計・普及策を検討する。
④我が国の優れた技術・システムを現地ニーズに応じて柔軟にオーダーメイドし、現地での有効性・
優位性を可視化する。

今後は、上記取り組みを引き続き推進すると共に、ODA事業やその他ファイナンススキームとの連
携や、都市開発・交通分野における国土交通省との連携等をより一層強化。
【共同実証事業の流れ】
実証フェーズ
公募
ビジネス展開
実証前調査
NEDOが日本企業
と委託契約を締結
実証事業
フォローアップ
NEDOが相手国政
府とMOU締結
これまでの成果・経験
(出所)NEDO作成資料を資源エネルギー庁により加工したもの
6
(参考1)共同実証事業の成果・実績

これまでに、49件の実証を通じ、624件が事業化。結果、年間約1,000万KLの原油削減効果と、
約3,480万トンCO2削減効果を創出。経済波及効果は約6,720億円と推計。

近年、実証プロジェクトは、技術・システム、国・地域ともに多様化しており、今後、迅速な案件発掘
及び実証成果の商業ベースでの普及拡大を更に後押ししていくことが重要。
【事例①】
産業廃棄物発電技術実証事業(ベトナム・ハノイ)
(2012年~2014年度)
ベトナムでは、廃棄物処分場の逼迫、環境汚染、電力不足問題が
深刻化しており、2009年の首相決定文書で、廃棄物に関する取組を
強化すべく、2020年までに廃棄物処理施設を7箇所建設することとし
ている。
そのうちの1つとして位置づけられている本事業の成果を足がかり
に、ベトナム内他地域への普及拡大を目指す。
【事例②】
スマートコミュニティ実証事業(フランス・リヨン)
(2011年~2016年度)
フランス第二の都市であるリヨン市の再開発地域において、省エネルギー、
再生可能エネルギーの大量導入及び次世代自動車の普及を見据え、グラン
ドリヨン共同体とともに、都市再開発に合わせてスマートコミュニティの実証
を行う。
(出所)NEDO作成資料を資源エネルギー庁により加工したもの
7
(参考2)共同実証事業の主な実施状況
フランス
•
米国
中国
英国
•
ZEB・EV・HEMS等スマコミ
ヒートポンプ等を活用
したスマコミ
スペイン
•
EV等スマコミ
ウズベキスタン
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
内陸部中小都市スマコミ実証
ZEB
都市廃棄物高効率エネ回収
新都市交通システム
下水処理場汚泥混燃発電
低濃度メタンガス濃縮技術
DR等スマコミ
EV+離島型 スマコミ
ZEB
熱電併給所の高効率化
タイ
•
•
•
•
•
環境対応型アーク炉
水和物スラリ蓄熱空調
民生ビル省エネ
キャッサバパルプエタノール製造
バガスエタノール製造
ベトナム
•
サウジアラビア
•
産業廃棄物発電
膜技術を用いた省エネ型
排水再生
インド
•
•
大規模太陽光発電エネマネ
携帯基地局マイクログリッド
インドネシア
•
•
スマート工業団地(ジャワ島)
製糖工場のモラセスエタノール製造
(出所)NEDO作成資料を資源エネルギー庁により加工したもの
8
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