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跡見学園女子大学観光マネジメント学科准教授講演録
別 記 講 演 録 「観光による地域活性化へのチャレンジ! −岡山県備中高梁市元気プロジェクトの紹介−」 内閣府地域活性化伝道師・総務省地域力創造アドバイザー 跡見学園女子大学 観光マネジメント学科 准教授 篠 原 靖 氏 1.はじめに 今日は本当に釈迦に説法ですが、私が体でぶつかっていろいろ感じてきた観光 についての思い、観光の可能性、どうしても陥りがちな各市町村での場面があり ますので、この辺の体験を交えて、短い時間ではありますが、お話をさせていた だきたいと思います。今日のタイトルでありますけれども、岡山県の備中高梁と いう町があります。約3万5,000人の人口ではありますが、限界集落、山間部が多 い市であります。ここでのチャレンジが今始まっており、大分息を吹き返して町 中が元気になってきているという事例をベースにお話をさせていただきたいと思 います。 自己紹介をさせていただくと、今でこそ教員になっておりますけれども、昨年 までは約30年間、大手旅行会社におり、まさに旅行のマーケットと向き合い、旅 行商品の開発、マーケティングを担当していました。ここで感じたことというの は、どうしても学問でいう観光と現場で求めているものとは違うということです。 文部科学省でも、実務型の教員を増やすということで、今教壇で学生相手に若い 芽を育てているわけであります。今日、ご参集の各市にも既にお邪魔をさせてい ただいており、何人かの市長さんとは顔見知りであります。まさに実務型です。 2.地方の現状 私も現場を歩いて、地方の疲弊をつくづく感じます。よく言われることではあ りますが、格差の拡大、少子高齢化、中心市街地の衰退、こうした現実を目の当 たりにしております。時代のキーワードとして、少子高齢化、若者の減少、晩婚 化、人口減少があり、こういった状況の中で、定住人口を求めるよりは、交流人 口をいかに拡大し、経済的にお金を落としていただけるかという仕掛けをいかに つくれるか、これがまさに観光だと思います。 1 3.観光による地域振興 観光の消費額は23.6兆円でありますが、どうしても宿泊をしていただけるかど うかということでお金の落ち方が違う。6割以上がやっぱり宿泊を伴わないと、 経済的に地域にお金が入っていないという現実はあるわけです。そして、この生 産波及効果は51.4兆円、付加価値の誘発効果が26.5兆円という整理になっており ます。国内における旅行消費額の規模は23.5兆円で、自動車産業でさえ15.6兆円 です。観光による経済の活性化の可能性があるかということを改めて見ると、や はりばかにはできないということが改めて理解できるようになると思います。 この経済生産波及効果でありますが、今、観光は大分変わってきています。昔は、 旅館、ホテル、バス会社、鉄道会社、ドライブインといった観光関連産業が主に その収入を扱う源と言われていましたが、今は地域型の観光になっていますので、 農業、漁業などいろいろな部分に対してもお金が回ってくるという大きな変化が あります。それから、日本国内における旅行・観光消費の生産波及効果(51.4兆 円)のうち交通・宿泊・飲食等(16.2兆円)以外の35.2兆円のお話ですが、それ ぞれの分野に対し、この富の分配が行われています。まさにこの観光産業以外の 幅広い産業に効果が出ているというのが、観光の特色であります。 以前、沖縄に行ってまいりまして、その時はサーズが流行った年でした。沖縄 はやはり修学旅行の誘客に相当力を入れており、1年、2年かけて1校を取って くる。そして、いよいよその学校が動く前になったら、サーズの問題で全面的に キャンセルになってしまった。沖縄の経済も大変でありますので、そのときには、 ホテル、旅館だけでなくて、町の中のクリーニング店までが倒産をしたという事 件がありました。非常に幅広い糸で囲われている、まさにすそ野産業であるとい うのがこの観光の特色であります。 これは、交流人口の拡大による経済の試算をしたものであります。各市町村で 定住人口が減っている。定住人口が各市町村で1名減った場合には何名の観光客 を呼べば具体的に経済環境が戻せるかという試算です。まず、外国人の場合、1 人当たりの消費額は約17万円という試算が出ております。官公庁で出しておりま す最新の統計で、中国人の富裕層は23万6,000円という数字が出ています。したが って、1名の誘客によって、どれだけお金を落としているのかということを考え ると、外国人の大切さが分かります。では、今度は、日本人の場合はどうかとい 2 う こ と で す が 、 宿 泊 を し た 場 合 は 、 1 人 が 5 万 2,000円、日帰りの場合は1万 6,000円という試算が出てきております。これらを人数に換算すると、定住人口1 名減りますと外国人は7人、国内の宿泊は24人、日帰りは79人となり、こうした 誘客の目標を立てて、具体的な各市町村での数値目標を作っているケースが最近 は多くなっています。 4.社会環境の変化と旅行マーケットの変化 従来型の観光というのは、「団体」、「宴会」、「通過」。これが「個人」、 「体験」、「滞在」、「交流」、テーマ性、地域性、地域の魅力、そして最近も う公用語になってきましたが、着地型商品へと変わってきています。例えば、東 京のお客様が出発する場合は、東京発ですから「東京発地」になります。そして、 例えば、旅行先が鹿児島県の霧島であれ霧島市が着地になるわけです。すなわち、 霧島市の地域資源をニッチに編集した観光ツアー企画を、どうしたらこの発地側 (東京側)で発信できるか。先程も確認したように、近年の旅行ニーズは小さな 特殊な趣味の追求、例えば、グルメを追求したいという方であればお店で料理を 味わうだけでは無く、漁師体験をして自分が魚を獲りそれを食するなど、その土 地との関わりを、より深く求めるニーズがトレンドです。その地域でしかできな い企画をいかに地域(地元)でまとめていけるか。重ねて申します、その企画を 発地である東京などでこの「発地型商品」で発信できるかということがポイント になってきます。 5.地域観光コンセプトづくり (1)資源発掘の視点 それぞれの地域には必ず伝統、歴史に裏打ちされた資源がたくさんありますが、 どのようなものにまず着目をするかということです。あきらめず外部の人の視線 などを交えてゼロから洗い出して見る事が重要です。 (2)顧客価値の視点 私も長年商品を作る側におりましたが、地域に講演などでお招きいただいた際、 お客様の価値は何でしょうかという質問をすでにプロモーションを開始している 案件に対しお聞きすると先方が、「ううん」と悩んでしまう事が良くあります。 プロモーションしていく素材がどのような「顧客価値を持っているのか?」この 視点を忘れないということだと思います。それから、顧客の価値を創造するため 3 にどのように加工していったらいいのか、歴史とグルメをどう合わせるか、そし てそれをどう伝えていくかという部分です。 (3)事業モデル化の視点 イベントでモニターツアーを実施するということはよくやられていますが、具 体的な継続性を持った事業としてどう活かしていけるかということがポイントに なると思います。 6.地域の魅力を地域挙げて創り出す! この図も皆さんの資料につけておりますが、改めて観光の威力を見ていただこ うと思います。まず、一番左側からまいりますと、「元気のない農業」がありま すが、これも食、地産地消、収穫体験、交流という観光の視点のフィルターを通 しますと、大きく化ける可能性があるわけです。この間も茨城県のある町に行っ てきたのですが、5,000円だった1俵のお米が、そこに収穫体験といった付加価値 を入れることによって、8,000円で売れている。こうしたお話の中で、地域のお年 寄りにもお金が回って、また生き生きとそこに一つの循環が生まれてきている。 商店街の衰退についても、街並みの再整備をして、例えば高齢化の問題がありま すが、この街並みと商店街を歴史・伝統のガイドによって甦らせている例もあり ます。最近でよく言いますヘルスツーリズム。今までは温泉に入って泉質の違い を楽しむということはよくありましたけれども、医科学的な裏打ちをしながら、 それぞれの地域の温泉の質を気功療法というものと抱き合わせて、消費者に健康 ブームの中で売っていくこともあります。歴史、文化にしましても、ミュージア ムを作りながら、他の産業との連携を取っていくということであります。何回も 申しますが、観光は観光関連だけの課題でなくて、地域一体のものであるという ことが改めてここで証明されるわけであります。 これも一つのビジネスモデルとしてご覧いただきたいのですが、観光地といい ましても、観光に取り組んでいる地域と思っていただければ結構であります。こ の観光地は、今までは観光産業と観光地の関係だったわけです。旅行会社、鉄道 会社、バス会社と観光地の関係でしたが、観光産業は今どういう状況かというと、 旅行会社を別に例に取ればわかりますが、流通の変革でもう一網打尽、虫の息で あります。結局、今旅行会社はどのようにして生き残りをかけているかというと、 新しい観光のビジネスモデルを模索しているわけです。これが先ほど申しました 4 地域型、着地型商品の開発を旅行業としてもお手伝いをしながら作って、東京サ イドで売りたいという動きに間違いなくなってきているわけです。 しかし、さっき申し上げたように、今まではこういう関係だった観光地と観光 産業ですが、これをいかに地域の農家、漁師、こうした幅広い皆さん方に観光を 理解していただいて、地域一丸となったまちづくりの取組ができるかどうかだと 思います。漁師の方に言ったとしても、「何で、おれが観光なんだよ。そんな暇 ないよ」と、こう言われてしまうのがよくある話ではありますが、根本的にやは りこの理解を得られるような仕組みを作ることが、早道であると思います。一応、 こうした仕組みの中で新しいビジネスモデルが作られてきており、こうしたもの を新しく展開できたところが、今お客様を集められている地区であるということ があちこちで証明されてきております。 それから、今日は行政のトップを前にして大変申し上げにくいお話にもなりま すが、観光に関しては、役所を中心では定着しない。これは私の持論でありまし て、結局、やる気のある方が観光課に配属をされて頑張っても、人事異動がある ため、織物になっていかない。やはり補助金の切れ目が縁の切れ目、事業の切れ 目になってしまっている。こういったことをもう百も二百も経験しています。 従いまして、今からご紹介申し上げる高梁市は、こうしたことでなくて、いかに 市民に先ほどのビジネスモデル、こうした話を作り上げていくかということをベ ースにして立ち上げたというお話であります。 7.総務省地域力創造アドバイザー事業「岡山県高梁市『備中高梁元気プロジェ クト』のご紹介」 (1)地域力創造アドバイザー事業とは 実は、平成21年度の総務省の地域力創造アドバイザー事業、この中にもアドバ イザーが派遣された地域の市長さんもいらっしゃると思います。釧路、根室も私 の友人が行っておりましたが、21年度については、11地区が選定されました。ど ういうものかというと、登録している学識経験者などのアドバイザーを国で派遣 し、年中そこの地域に入り込んで、地域の皆さんと一緒に観光のベースを作って いくという事業であります。 (2)地域の概況 岡山県の高梁市は、岡山駅からさらに伯備線に乗って、約40分入っていくわけ 5 です。新見市のちょうど手前になるわけでありますが、この高梁市が、私が今回 入っていた地域であります。高齢化率は平成20年10月末で35.6%、岡山県の15市 中で最も高い高齢化率というお話であります。 近藤市長がこちらを司っておられますが、この近藤さんと私の出会いは、実は 平成20年度の段階で、私は何回か岡山県の仕事で高梁に入っており、この近藤さ んが観光課長でおられました。非常に観光に熱く、熱心な方だったのですが、あ る日退職をされたということでお手紙が入り、市長になったというこんなお話だ ったのです。 (3)近藤・高橋市長が目指す観光振興 実は、この高梁市は平成16年10月に1市4町が合併し、誕生しました。しかし、 観光という一つの切り口で見ましても、やはり旧市町の壁が非常に厚い。そして、 これが市民だけじゃなくて、頭でわかっているものの、やはり市の職員にまでこ の壁が取り切れないでいたのです。例えば、他の地域のお祭りやイベントについ ては余り興味がなく、観光案内所で尋ねても、自分の地域のことしかPRできな いという現状があったわけです。そして、民間としても、おらが一番ということ で、高梁市が一つになったとは言いながらも、お互い壁を作って、自分が一番だ という主張をしていた、これが現実でした。ここを何とか民間主導にしていくと いうことが、この観光を切り口にしたすべての市政のベース作りだというお話を 聞いて、入ったわけであります。これが総務省に出した企画書の核になるもので すが、マンネリ停滞している高梁市の観光にメスを入れ、観光地・高梁として再 生し、市民自らが誇れる観光地として、また全国ベースで魅力ある観光地として 発信し、全国から誘客できる観光振興の体制を構築する、合併後の高梁市の市全 体が一丸となった観光振興戦略を構築する、これが、私が派遣された目的でした。 (4)プロジェクトの重点検討エリア・進め方 広い地域ですが、高梁というもともとの地域、それから成羽、ここは神楽の発 祥と言われている備中神楽の発祥地、宇治というのは農村型のリゾートとして、 過去、歴史があるところです。そして、ベンガラの町・吹屋とこうした4つを重 点スポットとして開拓をしてきたということになります。3年計画のプロジェク トであって、平成21年度は気づき・企て、22年度は構え・動かし、そして今度4 月以降、動かし・広がりということで、このベース作りがうまく構築できつつあ 6 るという状況であります。 まず、どのように進めたかというと、このプロジェクトの推進協議会を作りま した。通常、市町村で作ると、幾つかの重点地区の観光協会長、商工会長とか、 こうした冠がついた方がベースになってしまうのですが、私からは、一本釣りで もいいので、次世代を超えて本当に動ける方々をまとめていただきたいというこ とをお願いしました。役職にとらわれずに汗を流している方をベースにメンバー を20人選びました。そして、今度は、この協議会全体の会議と合せて、各地区の 地区座談会を設けました。そして、市長と相談して、市役所の中に市長直轄のプ ロジェクトを作りました。これをベースに活動を支援していくという仕組みにな っています。 では、約10分間のVTRを見ていただきます。 【VTR上映】 初めて高梁市に入ったときはどういう状況かと言いますと、行政側からは市民 のやる気のなさや脱力感が強く、行政依存型で市民自ら動いてくれないというお 話をお聞きしておりましたが、一方で私がこの市民との対話を行う座談会で地区 に入った際には、住民から聞くのは逆に行政の悪口でした。言い変えれば、相互 には本音の対話が無く、見ない相互依存とでも言いますか、そう言う状況であり ました。まず、私は住民に対し、いずれにしても、このままでは5年後は地域が 持たないのではないか、今を放置していてはまずいのではないかという提案をし ても、過去すでに何もかもやってきた、それでもだめなんだということの繰り返 しで、結局話が進まなかったんです。いろいろと苦心しながらも、回を重ね、住 民の皆さんとじっくりと対話する地区座談会を何回となく開催しましたが、やっ ぱり地方都市ではよそ者は中々信用されず、とことん排除されるんです。それで も、何回も足を運び、お酒を酌み交わしながら本音の話ができる環境が出来てき ました。 そして、私は今いろいろな問題はある、それはみんなが分かっているけれども、 ここで手をつけなかったときに、10年後、この町の文化や歴史を孫達に伝えられ るのかという話をしました。そうしたら、1人のお婆ちゃんが手を挙げて、私達 7 はいろいろな批判をしているけれども、大変だと言いながら何もやっていないよ ね、という一言がありました。そこからあっという間に、具体的に動き出したの です。そうなると、地方都市は不思議な連鎖反応があり、今回の高梁市であれば、 近隣の町同士がライバルだと思っているわけですから、あそこが何かやり始めた という情報が入りましたら、うちも負けちゃいられないよといういい連鎖になり、 それぞれが課題を整理しながらその解決策を提示していただけるようになって来 たのです。諦めずに自分達ができる課題を整理して提案をしてきてくれた。こん なことを繰り返していきました。 しかしながら、当初、商工観光課が事務局でしたけれども、年間のイベントを クリアすることで目いっぱいで、こうした新たなことをやらなきゃならないとい う気持ちがあっても実際にはできないんです。そこで、先ほど話が出てきた市長 直轄のプロジェクトですが、メンバーはそれぞれ4地区の住人なんです。ただ、 職員を割り当てるのではなくて、あえて「プロジェクト推進委員」としての辞令 を出してほしいということを市長にお願いしました。市長名の辞令を出して、市 の職員ではありますが例えば異動したとしても、必ずそのメンバーとしてその地 区に根づくという仕組みが構築されて行きました。 8.今年度の成果 このような地区を取りまとめていきながら、今、具体的な話がまとまって動き 出しました。こんな形で1年間始まりましたが、非常にうまく基礎が固まって、 5つの成果がありました。地域リーダーがそこで決まり、具体的に地域の中での 活動ができ、そして誘客をするためにどうしたらいいかというような案を具体的 にみんなで話し合いながら、市が応援していく体制が出来ました。 どこのお客様が来ているかということの状況が把握できていませんでしたので、 市民が協力して、500サンプルの観光客から動向調査を行うことにも成功しました。 このようにプロジェクトを推進しており、それぞれの分野の専門の部会を設け、 それぞれの課題がまとまってきております。 まさに高梁市の動きというのは、具体的にこうした素材がいろいろな地区で出 てきておりますので、これを東京の旅行会社といかにタイアップをするのか、J R西日本とのタイアップをどうやってするのか、発地としてどのようなメリット を顧客価値に変えて情報発信をしていくのか。いずれにしてもお金がありません。 8 お金がない分、どのような付加価値を付けていくかというのが、腕の見せ所です が、着実にこの高梁市はお客様が増え出しています。去年とその前を比べますと、 130%ぐらいのお客様の入り込みが増えているという統計も取れております。 今後は、このようにもっと幅広い市民の団体を巻き込みながら、今のものに付 加価値を付けていくということを繰り返してまいりたいと思っています。 私がいつも言う切り札は、100年後にこの町の歴史・文化を継承しよう、これが 今、私が観光の一番ベースにしている動きであります。 【質疑応答】 A 市 長……A市は18万人弱であり、もともと製造業とその流通で経済が成り 立っていた町であり、周辺は別にして、あまり観光収入という面で は、A市としてはそれほどでもなかったのです。ただ、御多分に漏 れず、製造業などの落ち込みもあります。一方、今お話がありまし たように、町ができてちょうど400年ぐらいの町であり、それなり に歴史、資源も周辺から比べれば、正直恵まれていると思いますが、 まだ資源化されていない。今それらを結びつける、磨いて結ぶとい うことを打ち出しておりますが、その中で、市民の皆さんとよく話 しているのは、目玉がないということです。例えば、宇都宮の餃子 とか、何か食べ物で、Aの○○というようなものが欲しいと、市民 の皆さんはおっしゃいます。さりとて、一つというのをなかなか正 直挙げられません。一つ一つがある意味、60点ぐらいなのがたくさ んあるということもあります。1つに絞り込んでいくためのプロセ ス、或いは本当に絞り込む必要があるのか、また、もっと上位概念 を打ち立てて、1つのコンセプトを作りたいと漠然に思っています が、その辺についてのヒントをいただきたいと思います。 篠原准教授…こうした質問はよくあります。やはり核がないからうちは無理だ、 昔からやっているけれども、本当に要がないんだというお話をよく 聞くわけです。私は、今まで2つのことをやってきた中で感じまし た。 1つは、やはり広域観光とよく言いますけれども、それほど核と なるものがないというところが多いように思いますが、こうしたと 9 ころを面で結んで編集していくと、他にないミュージアムみたいな ものが結構出来てくるというケースがあります。 1つの事例で言うと、産業観光というよく言葉がありますけれど も名古屋市の1つの事例で申しますと、自動車をベースにして産業 ミュージアムがいろいろなところにたくさんあります。今では、産 業観光バスというのが出るようになり、その地域は個別のミュージ アムだけではなかなか集客はできなかったけれども、1つのテーマ 性を持ったミュージアムをつなげることによって、1つの自動車産 業というものを深く分かるような仕組みに編集できたんです。 今度、この産業観光の切り口を名古屋市以外でどうやるかという と、三重県では真珠の観光資源を伝統工芸としてつなげていったり、 静岡県の浜松というのは、オートバイ、ピアノとかの楽器の文化が あるのですが、こうした1つの産業という括りでまとめていくとい う事例がありました。まさに広域的なことで再編集をかけるという ことが可能かと思います。 それからもう1つですが、どれも悪くはないけれどもというお話 を聞くわけですが、去年、内閣府の仕事で霧島市に伺ってきました。 鹿児島まで新幹線が開通すると、途中の駅がどうしても通過してし まうのではないかということで、その資源を一緒に掘り起こそうと いうことになりました。日本でありながらアルプス鉄道のように切 り返しをしながら超えていく、肥薩線という山岳鉄道があり、昔の 鹿児島本線の名残であります。これもこんな時間かかって誰も乗ら ないよというようなものが、考え方によっては今の日本にない唯一 のものだったり、鉄道技術の推移として見れば一番だったり、こう いったことが証明できました。 そうしたら、嘉例川という駅があり、そこの100周年記念のとき に、記念弁当を作ろうという話になって、地元の惣菜屋さんが1位 をとりました。そうしたら、このお弁当が非常に売れました。今で はJR九州の駅弁コンテストで1位です。何にもない小さな山の中 の駅弁に今は駅弁を買いにバスが訪れて、そこに昔勤めていた国鉄 10 時代のOBの方が一生懸命地元を紹介してくれる。これもまさに霧 島市の成功事例だと思いますが、初めは、こんなところには何もな いという地域でしたが、ちょっとした角度で磨くと、こういうこと になりました。この間、私が久しぶりに行ったら、前は汚い格好し た農家のおばちゃんが、口紅をつけているんです。「今日はどうし たの」と言ったら、「バスがたくさん来るから」。これはやっぱり 生きがいが観光に結びついた事例だと思います。 〔了〕 11 (講演レジメ資料) 全 国 市 長 会 第 16 回 経済委員会 都市と観光に関する研究会 観光による地域活性化へのチャレンジ 岡山県備中高梁市元気プロジェクトの紹介 1、時代のキーワードの確認 ●(1)少子高齢化・若者減少(2)晩婚化(3)雇用形態の変化・労働時間の長期時間 化(4)収入減少・支出の減少(5)物が売れない ●若者の観光旅行需要の減少・・・・・・・95 年から 10 年間で 15 歳から 29 歳までの 人口は 500 万人減少する。 ●先行き不透明と感じる買え控え ●価値観の多様化 ●地域の疲弊・ 観光地の再生循環パターン 繁栄→成熟→衰退→再生(歴史をつかむ) *大型観光地は衰退∼再生への転機 2、社会環境の変化と旅のスタイルの変化と旅行マーケットの変化 (時代の変化に静岡県は何処が変わったか) ●60年代→食の時代(食べられれば良かった!) 検 ●70年代→物の時代(大きな技術革新) ●80年代→金の時代(バブル・何をやっても当る!) ●90年代→人の時代(難しい、何をやってもダメ!) ●2,000 年→情報の時代(従来型流通システムの崩壊) ★時代変化の中で観光がどの様に変わったのか?・・・・・検証と対策は施されたか? 3、そもそも、 観光による地域振興とは・・・・・ 国内における宿泊旅行消費額・・・・・23.6兆円 ●国内旅行の増加は観光産業以外の幅広い産業に大きな効果生産波及効果 51.4兆円 ・・・5.3%(対産業連関表国内生産額) 付加価値誘発効果 26.5兆円 ・・・5.3%(対名目GDP) 雇用誘発効果 430万人 ・・・6.7%(対全国就業者数) 税収効果 4.6兆円 ・・・5.3%(対国税+地方税) ●日本国内における旅行・観光消費の生産波及効果 51.4兆円の内訳 観光産業(交通・宿泊・飲食等)16.2兆円 pg. 1 証 観光産業以外の幅広い産業に大きな効果35.2兆円 4、今こそ!地域観光の出番:A 埋もれていた資源の再発見・既存の観光資源の磨き直し (1)観光客のトレンドの確認 ①20世紀は「他律的観光の時代」であった。 パッケージツアー依存=旅行会社が主導する観光 (他律的観光の3要素・団体・名所見物・周遊) ②21世紀は「自律的観光の時代」 ア、団体→個人・夫婦・家族・小さな単位の仲間旅行へ イ、名所見物型から参加体験・自己実現型観光 (学び・自分への褒美・癒し観光へ) ウ、周遊型観光から滞在型観光へ エ、観光重視(視覚重視)から5感重視・交流重視へ オ、観光の量重視から観光の質重視へ 5、地域観光コンセプトづくり5つのポイント (1)(資源発掘の視点) 地域資源を活かす上で、どのような点に着目するか? (2)(顧客価値の視点) その資源を活かす上での「顧客価値」は何であるのか? (3)(資源の編集の視点) 顧客価値創出のための資源の編集・加工の視点は何か? (4)(事業モデル化の視点) 継続的な事業として発展させるための事業(ビジネス)モデルと して、どのような工夫をするのか? (5)(人材育成の視点) 事業を発展させるために、必要となる人材とその育成について、 どのような工夫が考えられるのか? 6、観光に関しては役所中心では定着しない。 新規プロモーションの立ち上げは役所の旗振も必要であるが、民間の情熱に火をつけ る裏方、リーダーシップの質を見直し中期的に取り組みが継続できる体制構築が行政 の仕事である。 ①縦の連携・横の糸がないので織物にならない! ②補助金の切れ目(金の切れ目)が縁(事業)の切れ目 ③人の切れ目(人事異動)が事業の切れ目! • ●具体的なプロジェクトの進め方とマーケッティング • (1)誰に来てもらうか (マーケット・セグメンテーション) • (2)アピールポイントは何か、よその観光地との違いは • (誘客で出来るコンセプトか?思い込みは無いか?) • (3)実際の観光サービス提供(誰が何をどうやって提供するのか) • (4)重要な観光地イメージの構築 内閣府地域活性化伝道師/跡見学園女子大学観光マネジメン学科 准教授 篠 原 靖 090-9315-7771 [email protected] pg. 2 平成 23 年 1 月 26 日 全 国 市 長 会 第16回 経済委員会 都市と観光に関する研究会 観光による地域活性化へのチャレンジ 岡山県備中高梁市元気プロジェクトの紹介 平成23年1月26日 跡見学園女子大学マネジメント学部 准教授 篠 原 靖 (内閣府地域活性化伝道師) 1 プロフィールのご紹介 ■プロジェクト ●全国の観光まちづくり・観光戦略・観光事業・起業サ ポート ●観光人材育成・産業振興等・行政・民間のプロジェク トや地域型商品開発を多数手掛ける。 ■委員会等(主なもの) 篠 原 靖 ●跡見学園女子大学 マネジメント学部 観光マネジメント学科 准教授 ●文教大学国際学部非常勤講師 ●日本観光協会 総合研究所客員研究員 ●所属学会 ○日本観光研究学会 ○総合観光研究学会 ○鉄道史学会 ●内閣府地域活性化伝道師選任(観光振興担当) ●総務省 地域力創造アドバイザー 総務省 地域人材活性化事業登録支援メンバー ●内閣官房 「人材力が引っ張る地方の元気回復プラン」(北海道・幌 延町、天塩町、遠別町/てんぽくツーリズムブランド戦略担当) (鹿児島県・霧島市 ローカル鉄道肥薩線ツーリズム事業創出プロジェ クト担当) (岐阜県・白川村 廃校活用プロジェクト担当) ●国土交通省 関東運輸局 観光庁 『観光まちづくりコンサルティング 事業』委員 ●国土交通省 関東運輸局 『ローカル鉄道活性化プロジェクト』委員 ●国土交通省神奈川運輸支局『公共交通2次交通活性化推進会議委 員』 ●観光庁ニューツーリズム流通促進事業 (北海道夕張・栃木県塩原温泉・長野県蓼科高原・東京都下町地区) 群馬県観光審議会委員 ●埼玉県新座市観光都市づくり推進会議 委員 ●社団法人 日本観光協会産業観光推進会議ワーキング 委員 ●社団法人 日本観光協会ヘルスツーリズム事業検討会 委員 ●社団法人 日本生産性本部 観光地域経営フォーラム 委員 その他、全国の観光振興関連の委員を歴任 2 国内における宿泊旅行消費額(平成20年度) 23.6兆円 海外旅行 (国内分) 1.7兆円 (7.2%) 訪日外国人旅行 1.3兆円 (5.7%) 宿泊旅行 15.6兆円 (66.2%) 日帰り旅行 4.9兆円 (20.9%) 我が国経済への貢献度(経済効果) 生産波及効果 51.4兆円 ・・・5.3%(対産業連関表国内生産額) 付加価値誘発効果 26.5兆円 ・・・5.3%(対名目GDP) 雇用誘発効果 430万人 ・・・6.7%(対全国就業者数) 税収効果 4.6兆円 ・・・5.3%(対国税+地方税) ※国土交通省「平成20年度旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究」による。経済効果の推計においては、2005年産業連関表(総務省)を使用。 消費額/販売額 3 「国内における旅行消費額(19年度)」の規模 30 25 20 15 10 23.5 兆円 24.7 兆円 15.6 兆円 5 兆円 10.4 兆円 7.0 兆円 6.4 兆円 家庭用電気機械器具 コン ビ ニ エ ン ス ス ト ア 出所:経済産業省「平成19年商業統計」、(財)外食産業総合調査研究センター「外食産業市場規模推移」 ガ ソリ ン ス タ ン ド 百 貨 店 ・総 合 ス ー パ ー 行 自動車 旅 外食産業 旅行 0 15.2 4 国内旅行の増加は観光産業以外の幅広い産業に大きな効果 日本国内における旅行・観光消費の生産波及効果 51.4兆円の内訳 鉄道旅客輸送 左記以外 35.2兆円 2,862 道路旅客輸送 757 水運 237 航空輸送 2,573 旅行・その他の運輸付帯サービス 1,941 耕種農業 542 水道・廃棄物処理 その他農業・林業 332 卸売 漁業 248 小売 2,468 鉱業 72 金融・保険 2,436 農産食料品 415 不動産仲介・住宅賃貸料 水産食料品 265 住宅賃貸料(帰属家賃) 菓子類 貸自動車業 316 スポーツ施設提供業・公園・遊園 地 繊維製品 455 パルプ・紙・木製品 その他娯楽 336 化学製品 飲食店 2,869 宿泊業 3,817 その他食料品 石油・石炭製品 (単位:十億円) 536 3,326 884 1,890 839 鉄道貨物輸送 10 2,113 道路貨物輸送 747 452 道路輸送施設提供 169 559 その他運輸付帯サービス 539 828 その他運輸 130 通信・放送 974 新聞・出版 302 1,613 履物・皮革製品 80 窯業・土石製品 163 その他情報通信 676 鉄鋼 288 公務 148 社会教育 162 非鉄金属 95 金属製品 228 その他教育・研究 531 一般機械 139 医療・保健・社会保障・介護 412 電気機械 137 その他の公共サービス 252 情報・通信機器 128 物品賃貸業(除貸自動車業) 電子部品 141 その他対事業所サービス 輸送機械 1,096 精密機械 163 その他製造工業製品 1,029 建設 電力・ガス・熱供給 641 2,684 理容業・美容業 346 写真業 179 その他対個人サービス 916 491 事務用品 95 1,022 分類不明 318 観光産業以外の幅広い産業に大きな効果 交通・宿泊・飲食等 16.2兆円 5 観光交流人口増大の経済効果(試算イメージ) 減少 定住人口=1億2,800万人 定住人口1人減少分 1人当り年間消費額=124万円 拡大 旅行消費額 訪日外国人旅行1.3兆円 国民の旅行(海外分除く)20.5兆円 うち宿泊旅行 15.6兆円 うち日帰り旅行 4.9兆円 国内交流人口 (国内旅行者) 国際交流人口 (外国人旅行者) 777万人 ※2008年度(08.4-09.3)実績 1人1回当り消費額 17万円 外国人旅行者7人分 又は 国内旅行者(宿泊)24人分 6億1,645万人 + うち宿泊 3億 190万人 うち日帰り 3億 1,455万人 又は 1人1回当り消費額 うち宿泊 5万2千円 うち日帰り 1万6千円 国内旅行者(日帰り)79人分 定住人口は平成17年国勢調査(総務省)、定住人口1人当り年間消費額は平成20年家計調査(総務省)による。 旅行消費額は旅行・観光消費動向調査(2008年度) 、国際交流人口はJNTO(2008年度)、国内交流人口及び1人1回当り消費額(国内・外国人)は両調査を用いた試算。 定住人口1人減少分に相当する旅行者人数は、定住人口1人当り年間消費額を交流人口1人1回当り消費額で除したもの。 (※国土交通省観光庁資料より転用) 6 2、社会環境の変化と 旅行マーケットの変化 7 観光を取り巻く環境の変化 →ニューツーリズムへの期待 従来型観光*「団体」、「宴会」、「通過」 「個人」、「体験」、「滞在」、「交流」 ・テーマ性 ・地域性:地域の魅力、着地型商品 ・体験、参加 ・交流、ふれあい 地域観光コンセプトづくり5つのポイント (1)(資源発掘の視点) 地域資源を活かす上で、どのような点に着目するか? (2)(顧客価値の視点) その資源を活かす上での「顧客価値」は何であるのか? (3)(資源の編集の視点) 顧客価値創出のための資源の編集・加工の視点は何 か? (4)(事業モデル化の視点) 継続的な事業として発展させるための事業(ビジネス)モデ ルと して、どのような工夫をするのか? (5)(人材育成の視点) 事業を発展させるために、必要となる人材とその育成につ 9 いて、どのような工夫が考えられるのか? 10 地域観光の変化と再構築モデル(イメージ図) 新しい観光のビジネス 市町村地域一丸と なった モデル 地域型・着地商品の開 発(受け入れ) まちづくりの取り組み 観光地 観光産業 農業・漁業・商業工業・歴 史・文化の再編工業・歴 史・文化の再編 旅行会社・鉄道会社・バス会 社・旅館・ドライブイン・ 観光施設など・・・ 11 その他の注意点 • ●観光に関しては役所中心では定着しない。 • 新規プロモーションの立ち上げは役所の旗振も必要である が、民間の情熱に火をつける裏方、リーダーシップの質を見 直し中期的に取り組みが • 継続できる体制構築が行政の仕事 • ①縦の連携・横の糸がないので織物にならない! • ②補助金の切れ目(金の切れ目)が縁(事業)の切れ目 • ③人の切れ目(人事異動)が事業の切れ目! • ●具体的なプロジェクトの進め方とマーケッティング • (1)誰に来てもらうか (マーケット・セグメンテーション) • (2)アピールポイントは何か、よその観光地との違いは • (誘客で出来るコンセプトか?思い込みは無いか?) • (3)実際の観光サービス提供(誰が何をどうやって提供する のか) • (4)重要な観光地イメージの構築 • ●旅行エージェント・鉄道・航空会社などとの付き合い方 12 総務省 地域力創造アドバイザー事業 岡山県高梁市「備中高梁元気プロジェクト」 のご紹介 13 13 地域力創造アドバイザー事業とは・・・ ■平成21年度の選定地域(11地域) 14 2.高梁市の観光に係わる現状 <地域の概況> ○岡山駅⇒備中高梁駅:特急で約30分 ○岡山空港⇒高梁市中心部:車で約50分 ★アクセスは良好 高速道路 国道 鉄道 方谷駅 有漢 IC インターチェンジ 備中川面駅 特急停車駅 高梁市内の駅 木野山駅 備中高梁駅 賀陽 IC 備中広瀬駅 岡山自動車道 総社駅 JR 伯備線 岡山 JCT JR 吉備 線 岡山空港 岡山 IC 山陽自動車道 JR 山陽本線 15 倉敷駅 15 岡山駅 2.高梁市の観光に係わる現状 <地域の概況> ■人口の推移 80,000 【人口・高齢者率】 70,000 68,494 60,000 ○人口減少、高齢化の進行 平成20年10月末の高齢化率:35.6% ⇒岡山県の15市中最も高い高齢化率 53,270 47,013 (人) 50,000 44,039 43,115 41,077 40,000 38,799 30,000 20,000 10,000 0 S35年 (1960) S45年 (1970) S55年 (1980) H2年 H7年 H12年 H17年 (1990) (1995) (2000) (2005) ■高齢者率の推移 40% 35% 33.2% 30% 30.8% 27.0% 25% 23.0% 20% 15% 17.3% 13.1% 10% 5% 16 8.7% 0% S35年 (1960) S45年 (1970) S55年 (1980) 16 H2年 H7年 H12年 H17年 (1990) (1995) (2000) (2005) 2.高梁市の観光に係わる現状 <既存の地域資源の概要> かつての面影をとどめる 趣ある町並み 石火矢町ふるさと村 地域の履歴を語る 歴史的建築物 備中松山城 地域の発展を支えた 産業文化資源・伝統技術 ダイナミックな自然体感 笹畝坑道 弥高山公園 ベンガラ館 用瀬嶽フリークライミング広場 地域独特の伝統芸能・祭り 備中神楽 備中たかはし松山踊り 紺屋川美観地区 頼久寺 季節の味覚 吹屋小学校 芳烈酒造 吹屋ふるさと村 磐窟洞 世界のぶどう園 長閑な農山村風景 17 広兼邸 備中塩田焼工房 高梁自然公園 鮎料理 17 高梁市近藤市長が抱える課題 ★平成16年10月の1市4町の合併により、市 域は広域となったものの、旧市町村の壁が住 民、そして市職員にまで残り、まとまりが付か ず。市全体での仕掛けが、打ちにくい状況 ★行政主導型地域振興から民間主体の観光 振興へ転換していく。(民が先導し、官が支 援する体制づくり) 18 平成20年観光課長より市長に! 19 高梁市近藤市長が目指す観光振興 マンネリ停滞している高梁市の観光にメス を入れ、観光地・高梁として「再生」し、市 民自らが誇れる観光地として、また、全国 ベースで魅力ある観光地として発信し、全 国から誘客できる観光振興体制を構築す る。「合併後の高梁市」の市全体が一丸と なった観光振興戦略を構築する。 20 3.「備中高梁 元気!プロジェクト」の進め方 ■備中高梁 元気!プロジェクトの重点検討エリア 吹屋エリア 宇治エリア 高梁エリア K成りな る 成羽エリア 21 プロジェクトの進め方 年度 H21 取組段階 気づき 企 て 実施事項 ○地域資源の発見・評価(来訪者意向把握) ○少数精鋭のコアグループづくり (リーダーの決定) ○目標像の設定・目標像実現のシナリオづくり (目的、市場動向、目標、対象、手段・手法、 主体、手順の設定) 目的 ⇒地域の魅力や観光まちづくりの 重要性に気づかせ、やる気を起 こす ⇒課題とやるべきことを整理する →H22に策定する「高梁市観光振興ビジョン」 のベースとなるもの H22 H23 構 え 動かし 動かし 広がり ○「高梁市観光振興ビジョン」の策定 ○先導的プロジェクトの実施とその評価 →モニターツアーの実施・効果測定等 ○アクションプランに基づく施策の実施 ⇒これからの行動の規範となる 構想・プランを描く ⇒実際に先導的なプロジェクトを 実施し、その効果と課題を共有 化する (地域商品づくり・売込み) ⇒本格実施に向けた仲間の拡大・ ネットワーク化 ⇒アクションプランの本格実施 22 初年度の検討の進め方 ①高梁市の観光まちづくりの目標像と方向性の確認 ○高梁市の自慢は何か? ○自慢の高梁市を多くの人に見に来てもらう上での現状の課題は何か? ○課題解決のために今後、何をしていくべきか? <高梁市観光実態アンケート調査> ②自慢の高梁市を多くの人に見に来てもらうための必要施策の検討 ○来訪者に高梁市はどのように見られているのか?(顧客価値は何か?) 現状で足りない点・改善すべき点は何か? ・二次交通の利便性は? ・地域資源は陳腐化していないか? ・地域ならではの魅力的な土産物はあるか? 近年の観光動向に照らした高梁市の 新たな顧客価値発掘の可能性は何か? ・まだ光が当てられていない地域資源がないか? ・地域連携による周遊のストーリーは? ・新たな「食」の魅力は? ③高梁市観光まちづくり戦略の検討 まずはやってみよう!! じっくり取り組もう!! <先導的プロジェクト> <長期的プロジェクト> 23 今年度の活動展開・経過 24 平成21年度 7月∼8月 立上期 9月~10月 動き始め 11月∼1月 備中高梁元気プロジェクトの1年間の流れ いきなりの委員の指名!「何を するの?」かわから ずにギクシャク 振り返ると数かずの ドラマがありました! 部会活動の開始と観光地域 フォーラムの開催 (市長からの委嘱状) 部会・地区 活動開始 4つの部会および地区別懇談会が 本格的に動き出した。 市役所支援 態勢強化 事務局である歴史まちづくり課に加 え地区活動や部会活動を行う市長直 轄のプロジェクトメンバー8名の選出 22年度 備中高梁元 気プロジェクト新体制 のスタートへGO!! 先進地視察も終了し22年度に向け市独自の活動予算 化の流れもでき、地区活動や部会活動も明確な目標 に向かって自立期に移行した。 さらなる「民間活力」が キーワードに!!25 25 ◆構成モデル JR西日本 飲食業 観光協会 交通事業者 商工会 NPO 観光施設 まちづくり団 体 販売業 自治体 宿泊施設 ボランティア 団体 各分野より、様々なアイデアや意見を持ち合わせた人が集い、 地域の素材を磨き上げ、具体的にお客さまに届けていく 委員の皆さんには「コーディネーター」としての活躍を期待! 26 例外なく全国的に広がる旅行形態の変化 ■団体旅行から個人旅行へ ■点から面へ、量から質へ ■他律的観光から自立的観光へ 1地区だけでの努力では限界が・・・ 1.地域全体での魅力創出 地域、エリア単位での魅力の創出(お宝みがき、まちなか等) 2.地区ごとの力を付けないと連携しても無駄! 高梁市の観光を面でとらえていくためには、地区ごとの 受け入れ体勢を整える 3.エリアを越えた受入体制の整備 お客さま視点の仕組みづくり(着地型商品開発。二次交通、広域連携) まずは重点4地区の情報の共有体制が大切 27 27 発掘期 地域の観光素材への気づき 開発期 地域素材の見せかた・ストーリー の組み方 宣伝期 地域素材のプロモーション 販売期 地域素材を「商品」として、市場に 流通させる仕組みづくり 備中高梁元気プロジェ クト事業推進協議会 観光客を呼ぶと言うより、 最高の高梁市の魅力を 再度磨き上げ、多くの方々 に見に来てい ただく!まち自慢!を しましょう。 「商品造成」特に地域提案型の着地型商品を造成し、 地域に目に見える形で利益をもたらす仕組みづくり 28 観光による地域振興の王道 •★住んでよし、訪れてよしの町づくり! •★歳月をかけて「民・産・官・学の協働」で 自律的に地域資源持続可能な活用を図る事 •★100年後の子供たちに • この町の歴史文化を継承する!! 29 ご静聴ありがとうございました