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3.1 職業能力開発の背景

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3.1 職業能力開発の背景
国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
3.1
職業能力開発の背景
労働力の技能水準及び教育到達レベルによって、生産性、所得が決定されるととも
に変化する環境への労働者の適応度も決定される。メキシコにおいては、貧困とな
る基準以下で生活する人口の割合は大きい。この理由の一つとして、労働力におけ
る技能取得者の比率が低いことが挙げられる。
現在の技能開発の多くは、たとえば労働者が両親、親類及び雇用者の仕事を手伝い
ながら技能を身につけるといったような非公式な形態で実施されている。このよう
な労働者は正式な資格を保有せず、低賃金労働に従事せざるを得ないため、雇用者
との関係ではきわめて不利な立場にいる。そのような労働者は、非公式な形態をと
ることとなり、公式な訓練コースに参加するよりも日々の生計の獲得が切迫した状
況にある。当該労働者の生産性は低水準であるが、メキシコの GDP への寄与度で
は無視することはできない。メキシコが、技能を承認するだけでなく経済の要請に
見合う方法で教育及び訓練を提供することが可能となる資格制度を創設した場合、
労働力を構成する者がディーセントな(まともな)生計費を獲得するのを支援する
だけでなく、メキシコの労働力の生産性向上により国民経済に貢献することになる。
メキシコにおける訓練は一般的には訓練センターで実施され、就労中の成人及び学
校卒業者向けに企画されている。様々な訓練センターは教育制度に依存しており、
訓練を提供する学校も教育制度の枠組みに組み込まれている。学校卒業生は、職業
教育及び訓練コースに参加することに積極的ではないが、その理由は、職業教育な
どが実質的な終了点と考えられており、そこでは今まで以上に資格を強化すること
ができないと考えているためである。したがって、職業訓練への動機付けのために、
職業訓練コースの垂直的な移動可能性を保証するように他の教育部門との連関を作
り出す努力が行われている。
メキシコの教育制度の法的枠組みは、全体的制度の有効性の改善を目的として新た
な機関を追加することにより拡大されてきている。これらの本質的な改革及びイノ
ベーションは、1) CONEVyT(National Council on Education for Life and Work:
生活及び労働のための教育に関する国家評議会)の創設、2) INEE(National
Institute for Assessment of Education:国立教育評価研究所)の創設、3) 就学前
教育の義務教育化(2003 年∼2004 年学校年度まで、メキシコの基礎義務教育には
6 年の初等教育及び 3 年の中等教育の、合計 9 年間の教育が含まれる)、4) 教育委
員会国家評議会の創設などに表れている。
以下は、メキシコの教育制度に加えられた上述の各新設機関の説明である。
(1)
CONEVyT(生活及び労働のための教育に関する国家評議会)
CONEVyT は、生活及び労働に関する教育を保証する活動の連携に対して、
助言、技術支援及び調整を実施する大学向け組織として創設された。同評議会
は、青少年及び成人の生活及び労働に対する継続教育プログラム、教育の仕組
み及びサービスに係る調整、推進、連携を目的としている。またその仕組みの
中では、全国的に教育の社会的機能の統合を強化する国家制度の形成及び教育
的に遅れた状況にある者の継続学習制度へのアクセスの確保も目標とされて
いる。
1
国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
(2)
INEE(国立教育評価研究所)
INEE は独立した組織であり、その目的は、基本教育及び後期中等教育(シニ
ア・ハイスクール)における教育制度の評価を目的として、教育機関及び民間
部門に適切な評価手段を提供することにある。
(3)
教育委員会国家評議会
教育委員会国家評議会は、メキシコ各州における教育長官の参加の下で、3 カ
月に 1 回開催される。その主たる目的は、連邦の教育に関するより良いサー
ビスの提供を可能とするために設置された主要プログラムと行動をフォロー
アップすることである。
労働市場への参加を希望する青少年及び成人のために存在するもっとも重要な国家
職業能力制度は、中等教育修了後(バカロレア資格後)訓練あるいはプロフェッシ
ョナル教育訓練から構成されている。
前期中等教育における技術・職業教育及び訓練プログラムは、中等教育においてア
カデミックより職業教育コースを選択する学生あるいは学校制度から早期に離脱し、
特定の職業プログラムあるいは早期見習制度に移行する学生により伝統的に選択さ
れてきた。実際、メキシコにおける CONALEP(前期中等職業訓練プログラム)は、
職業向きであり、かつ労働への準備として制度設計されている。このコースは青少
年及び成人が選択しており、通常は 4 年制の職業コースとなっている。CONALEP
は、技術専門キャリア及び卒業生に対し高度な水準の継続学習の可能性を提供する
主要な教育機関である。
政府により創設された職業訓練プログラムの大きな目的は、労働力の技能水準及び
教育水準が変化する環境の中で、労働者の生産性と適応性の確保が十分となるよう
にすることである。現時点でもあるいは潜在的にも、労働力の多数は必要とされる
技能を保有せず、したがって訓練を受ける必要がある。読み書きのできない者及び
初等教育水準にとどまる者は、現在の労働力の中できわめて高い比率を占めており、
その両者を合わせると労働力全体のほぼ 4 分の 3 を占めている。既存の労働力の教
育水準はきわめて低い一方で、教育は受けているが専門的技能を持たない者も失業
者総数のうち高い比率を占めている。こういった現象の主たる理由は、制度が一般
的な学術に傾斜した教育を過度に進めており、職業教育への認識がきわめて低いこ
とである。
3.2
職業能力開発を進めるための国の政策
非技能労働者の供給はきわめて多く、また技能を保有しないことにより賃金もきわ
めて低水準となっている。一方で、メキシコにおける特定の技能に対する需要はき
わめて高く、また需要に見合う者が存在しない事態も散見される。
現在、メキシコの政策において観察される傾向は次のとおりである。
・
労働力の需給における効果的なマッチングあるいは仲介実施のための労働市
場機関の重要性に関する認識傾向
・
労働市場情報の修正、照合及び評価の必要性
2
国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
・
非公式部門の関与及び自営業の促進
・
労働市場政策の分権化
・
雇用情勢のより詳細な監視の必要性
・
労働市場政策の開発と実施を目的とした社会パートナー(労使双方など)の参
加
学校中退の若年者及び非公式部門の現役労働者のグループにとって利用可能な技能
開発機会はきわめて少ない。既存の技能開発プログラムは、基本的に長期間の設定
となっているが、これは教育、社会及び経済的背景を考慮した場合には必要なこと
である。貧困層あるいは教育水準の低いものは、高度な入学資格及び機会費用など
が障害となり、長期訓練プログラムを受ける余裕はない。
(1)
OPORTUNIDADES
若年成人及び高齢者の職業能力開発を促進するために実施された施策の 1 つ
は、OPORTUNIDADES と呼ばれるプログラムである。実際に同プログラム
は、メキシコのもっとも限界的なコミュニティー及びもっとも学習の必要性の
ある若年者に対して、学習の継続が可能となるよう資金の提供(女性に対して
提供される金額は男性よりも多い)を実施している。
(2)
PRONABES
世界銀行の先住民政策の下、先住民の発展を保証するための準備プロジェクト
の期間において、実施計画の詳細を詰める必要がある。当計画では、先住民の
支援を目標とする以下の 2 つのプログラムに特別な注意が払われている。1 つ
は、高等教育において先住民に対する国家奨学金プログラムを支援するもので
ある。
高等教育機関に在籍する学生の多数は、PRONABES が人口の限界的な部分
を対象に奨学金を付与すること及び最低成績要件(同プログラムの奨学金取得
と維持のために必要となる平均 GPA、つまり平均成績評価点は 8.0)に関して
の知識を有している。しかし、学生の両親及び潜在的な大学生のなかには
PRONABES の存在を知らないものもいる。現在、当プログラムでは女子学
生の比率が増加しているが、さらに先住民のなかの潜在的な高等教育水準の学
生の間に、PRONABES 奨学プログラムの存在を認識させる必要がある。
(3)
PROBRECAT
PROBRECAT と呼ばれる失業者のためのメキシコ職業訓練プログラムは、
1982 年の経済危機の影響によって増加する失業者及び悪化する生活水準に対
応するため、1984 年に制定された。比較的低い公表失業率(1984 年の主要都
市での失業率は 6%)にもかかわらず、メキシコは慢性的な失業率に悩まされ
ていた(現在でも状況は同じ)。さらに、特定の経済成長分野において、十分
に訓練を受けた労働者の不足が認識された。したがって当プログラムの公式の
目標は、就職支援を目的とする失業労働者の生産性の改善であるが、当プログ
3
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ラムは近年になり大規模なものとなっている。制定当初の 10 年間(1984∼
1993 年)、PROBRECAT は年間約 5 万人に訓練を提供していたが、その数が
1994 年には 19 万 9,000 人、1995 年には 41 万 2,000 人、また 1996 年と 1998
年の間には年間約 55 万人にまで増加した。当プログラムは、メキシコ労働省
により管理運営されており、訓練期間中、プログラムに参加する失業中の労働
者に対しては、公的資金による職業訓練及び特別手当が支給される。1986 年
のプログラム開始当初は、ハイスクール及びその他の訓練センターにおいて訓
練が提供されていた。この最初のプログラムモジュールは、学校をベースとし
た訓練 (Cursos Escolarizados) と呼ばれていた。その後、当プログラムで提
供される訓練とビジネス界の生産部門における実際のニーズとの連関を強化
するため、新規のモジュールで Cursos Mixtos と呼ばれるインサービス訓練
(実際の実務につながる訓練)が追加されている。当該モジュール(2 つめの
モジュール)の下では、地元の雇用者が訓練を提供する一方、労働者への手当
は政府により支給される。訓練の修了後、雇用者は訓練生の少なくとも 70%
を雇用する義務がある。3 つめのモジュールは、PILEOT と呼ばれる自営業の
労働者への訓練であり、1994 年の金融危機後、急速に増加する失業に対応す
るために 1995 年に設置された。学校ベース及びインサービス訓練モジュール
の受益者は、州の雇用管理事務所に登録した失業者から選別されるが、そこで
は地元の市場のニーズに対応して、応募者の職業技能及び希望が評価される。
すべての者に要求される基本要件の他に、選別の手順においては、さまざまな
異なる基準による評価点の加重が行われる。合計総合点が規定水準を超えた者
のみが参加の資格を与えられる。なお、参加者に与えられる訓練機会は 1 回
のみである。訓練は、平均 2∼3 カ月継続し、参加者には最低賃金に等しい手
当、プラス訓練センターまでの交通費及び訓練期間中の基本的な健康保険が付
与される。なお、当プログラムの受益者におけるインサービス訓練の比率は、
1987∼92 年の 5%から 1993 年の 20%に増加した後、1996 年には 13%に低下
しているが、この理由は、1995 年に設置された新たな PILEOT モジュールの
急拡大によるものである。
(4)
PAC 及び SICAT
STPS(Ministry of Labour and Social Welfare:労働社会福祉省)は、通常、
連邦予算及び国際融資の資金による労働者及び企業に対する訓練コースの提
供を通じて、職業訓練開発 (PAC) を支援するプログラムを管理している。こ
の他、STPS により設置された重要な国家プログラムは、労働者のための連邦
訓練制度あるいは職業訓練プログラム (SICAT) である。メキシコ政府の課題
は、メキシコが必要とする質の高い職業の形成への環境の創出であり、政府は
この目的のため、いくつかの新規プログラムを立ち上げている。労働のための
連邦訓練制度では、失業者のための訓練奨学制度を提供しており、また訓練支
援プログラムである職業訓練開発は、中小企業における生産性と企業競争力の
拡大を目指している。メキシコ政府は、女性及び高齢者など特定グループの労
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国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
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働市場へのアクセス改善に向けた努力を続けている。たとえば Abriendo
Espacios プログラムは、高齢者及び障害者の雇用促進を目指した職業マッチ
ング及び訓練システムである。
図 3-1
労働市場政策:SICAT 及び PAC
積極的な労働市場の政策
SICAT
PAC
失業者又は
雇用者
不完全雇用者
この他の職業能力開発に関連する重要な政策は、成人教育に関するものである。そ
の理由は、メキシコにおける非識字者の数が多く、また多くの成人が職業訓練の受
講実績がないために職業に就けない状況が存在するからである。最近メキシコは、
国際的な成人学習の主題的点検に参加したが、この点検の目的は、OECD 諸国にお
ける教育及び訓練への成人のアクセスと参加に関する状況の把握及び成人の学習活
動への参加動機を高める政策及びアプローチを強化することである。基本教育の分
野では、INEA(National Institute for Adult Education:国立成人教育研究所)が、
MEVyT(Model of Education for Life and Work:生活と労働のための教育モデル)
と呼ばれる新規の改革プログラムを主導しているが、これは教育における重要な基
礎となっている。
3.3
政府及び関係団体の制度、組織、機能
職業能力開発及びその実施に関与する 3 つの主要組織は、まず、1) 高等教育レベル
(若年者、成人及び高齢者)で職業訓練を所管している STPS、次に 2) 基礎教育レ
ベル(子供および青年)で教育制度を所管する SEP(Ministry of Public Education:
公共教育省)、そして 3) MOE(the Ministry of Economy:経済省)である。
しかし、以上の 3 つの政府組織は、技能開発の枠組みにおいて共通して鍵となる特
徴を共有しており、それらは以下のとおりである。
・
産業界との協議により決定される、モジュール式雇用可能技能を基礎とする需
要主導型短期訓練コース
・
柔軟な提供構造(パートタイム、週末、フルタイム)
・
多様な特定グループの要求に見合うためのプログラムの異なるレベル(基盤レ
ベルからスキルアップの多様な段階)
・
政府、民間部門及び企業の設立機関の下での VT(Vocational Training:職業
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訓練)実施機関により提供される訓練
・
訓練費用の効果的利用を目的とした既存インフラの最大限の活用
・
公平性の確保のため、訓練プログラムには参加しない独立評価機関による訓練
生の技能試験
・
過去の学習(非公式に獲得した技能)に対する試験及び資格証明
・
制度の要諦は、政府機関及び企業組織の双方により全国的に認証される証明書
にあること
図 3-2
技術教育及び訓練近代化プロジェクトに向けた経路
PMETyC
初歩的訓練又は
(Proyecto d
SEP
学校での訓練
e Moderniza
ción de la E
職業訓練
ducacioń Té
労働市場
cnica y Cap
acitación:技
術教育及び訓
初歩的訓練又は
STPS
学校での訓練
練近代化プロ
ジェクト)
(1)
SEP(公共教育省)
教育に関する国家プログラムの中期目標は、1) 高等教育開発の強化に関する
公式計画の策定(2008 年より開始)、2) 高等教育において大学入学者数を 280
万人に増加、3) 技術大学において少なくとも 15 万人の学生、大学院において
21 万人の学生(そのうち 1 万 6,000 人は博士課程)の確保、4) PROMEP プ
ログラムを通した 5,000 件の新規奨学金の支給、5) 高等教育機関において年
間 5,000 人の新規常勤職の創出である。この目標の達成のため、公共教育省
が昨年設置したプログラムは以下のとおりである。
・
PRONABES
(National
Programme
of
Higher
Education
Scholarships)
低所得の学生に対する学部での学習継続のための資金援助及び支援強
化を目的とする国家高等教育奨学制プログラム
・
PIFI (Integral Programme for Institutional Reinforcement)
各高等教育機関の教育品質及びサービス活動の改善を目的とする教育
機関強化統合プログラム
・
PIFOP (Integral Programme for Graduate Reinforcement)
大学院教育プログラム及び研究活動の品質改善を目的とする大学院教
育強化統合プログラム
・
PROMEP (Teaching Staff Improvement Programme)
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大学の学術組織の形成及び成果における困難な状況の克服及び高等教
育の品質評価を目的として創出された教員向上プログラム
・
Higher Education Program for Mobility in North America
異なる分野での知識に関する協力及び研究ネットワークの創出及び強
化を目的とした、北米における学生、教員及び研究者の交換を促進する
ことを目的とする、北米モビリティー(移動の促進)プログラム(当プ
ログラムでは各国から 2 教育機関以上のパートナーシップ携帯での協力
作業への資金支援も行う)。
(2)
経済省 (MOE)
経済省は、PMETyC(Technical Education and Training Modernization
Project:技術教育及び訓練近代化プロジェクト)を創設した。その目的は企
業の生産性及び競争力の増大の中核となる人的資源の形成及び訓練の構造変
革へ向けた主導的役割を果たすことにある。当プログラムを強化するため、経
済省は STPS と協調して中小企業支援のための企業訓練プログラムも設置し
た。しかし、両プログラムは高度技能人材に直接関与するものではなく、新規
技術での操業のなかで労働者を訓練するような文化的変革を促進するもので
ある。
(3)
STPS(労働社会福祉)
STPS は、1970 年以降運営されている職業センターを管理しており、雇用に
関する取引費用の削減を目指している。この政府機関は、企業(雇用者)及び
求職中の労働者の間を結びつける新たな仕組みの開発を続けている。また当組
織は、求職者のためのワークショップを通じた(個人的な障害の除去の支援等)
人的資本の開発及び専門的経験のない若年者または技能の向上が必要な若年
者に対する多様な奨学プログラムも担当している。
3.4
予算と財源
財源に関しては、連邦政府が、教育、研究、訓練及び文化普及を目的とする公共教
育機関に対しての予算配分を行っている。一方で各機関は、財源獲得のためのプロ
グラムを開発することが許可されている。連邦予算支出に所属する財源は、国家的
優先課題の支援及び教育訓練制度への参加を促進することを目的とし、制度設計、
学術プログラムの更新、管理及び一般運営費を通して、高等及び職業教育機関に配
分されている。
SHCP(Ministry of Finance and Public Credit:財務省)は、各省庁からの詳細な
提案を使用した国家予算の編成に責任を持つ。従って、公共教育省は高等教育への
投資水準を財務省と折衝し、その後連邦予算支出案の一部として国民議会の代議員
による審議のために議案として提出される。同様に、国民議会は州政府の州立公共
高等教育機関に対する支出額の承認を行う。
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当初の定額交付金に加えて、SEP は教育施設の向上及び公共機関の物理的インフラ
及び設備の拡張を目的として、競争的資金を利用して付加的な財源の提供を行う。
CONACyT もまた、高等教育に対して高度な水準の研究及び卒業後訓練のための競
争資金の提供を行っている。
公共連邦教育機関は連邦政府より年間定額交付金を受け取る。州立大学は連邦政府
及び該当する州政府から共同の補助金(両者の比率は変動)を受け取る。また、公
共教育省は、一定の基準を用いて連邦技術訓練機関に対して補助金を交付する。
メキシコの教育制度は、1) 就学前教育 (K1∼K3) 、2) 義務基礎教育(グレード 1
∼9)、3) 後期中等教育(グレード 10∼12)、4) 高等教育の 4 つのレベルに組織化
されている。政府は、公式的には義務基礎教育の提供にのみ責任を持つが、他の 3
つのレベルに関しても就学前教育及び後期中等教育への公的準備金、また多くの州
の高等教育に対する公的財源を通じて関与している。なお、メキシコにおいて公立
学校に通う学生は、すべての学生の 86.4%を占めている。
図 3-3
教育・訓練制度
義務教育
・ 小学校(6 年間)
上級中等∼高等教育
・ 中学校(3 年間)
職業訓練
技術中学校
入門
・ 農業
・ 物理、数学
・ 林業
・ 生物、化学
・ 漁業
・ 保健
・ 工業
・ 社会化学
・ 民族
・ 人文科学、芸術
技術高等学校
CONALEP
高等教育
メキシコの教育制度及びグレードの進級方法を詳しく説明すると、中等教育を卒業
した学生は、Bachillerato(中等・高等教育に相当)と呼ばれる 3 年間のカレッジ
予備プログラムあるいは上級技術訓練いずれかの中級レベルの教育を受けることが
可能となる。高等教育は、1) 大学、2) 技術単科大学、3) 教員訓練機関の 3 つのタ
イプから構成される。それら 3 つのタイプには、それぞれ私立と公立の教育機関が
あるが、学生の 80%以上が公立大学及び単科大学に在籍しており、学校数から見て
も公立教育機関が多数でありかつ規模も通常は大きなものとなっている。
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表 3-1
教育関連支出等
2003 年の GDP を 100 とする
2005 年
教育関連支出(対 GDP 比)
(単位:%)
2006 年
2007 年
2008 年
6.5
6.2
6
6.3
公共部門支出
5
4.9
4.7
4.9
民間部門支出
1.4
1.4
1.4
1.4
総合計学生数(単位:100 万人)
32.3
33
33.3
33.8
公共教育部門の学生比率(%)
86.8
86.6
86.5
86.4
就学前教育(4∼6 歳)
85.1
84.8
85
84.9
初等教育(6∼12 歳)
91.9
91.9
91.8
91.7
前期中等教育(12∼15 歳)
92.5
92.5
92.4
92.5
後期中等教育(15∼18 歳)
79.9
80.1
80.8
80.7
高等教育
67.3
67
66.7
66.5
職業訓練
63.7
62.7
63.3
63.6
15.9
16
17.1
18.1
就学前教育(4∼6 歳)
10.4
11.1
11.9
12.6
初等教育(6∼12 歳)
9.4
10.1
10.8
11.4
前期中等教育(12∼15 歳)
14.5
15.5
16.6
17.6
後期中等教育(15∼18 歳)
14.2
15.2
16
16.8
高等教育
20.4
21.8
22.9
24
職業訓練
45.6
48.8
51.3
53.9
公共教育制度での学生 1 人当り支
出(単位:1,000 ペソ1)
*出典:Segundo Informe de Gobierno, <http://www.informe.gob.mx/anexo_estadistico/
PDF/INDICADORES_DE_LA_PLANEACION_NACIONAL_DEL_DESARROLLO/IGUA
LDAD_DE_OPORTUNIDADES/1_3.pdf> accessed on 20 October 2008
企業による訓練に関連する投資は一般的に十分とは言えないため、特に最貧層に位
置する労働者に対し、その競争力の維持を可能とする手段を提供することを目的と
する資金及び規制の枠組みの提供については国家の役割は重要である。訓練に対す
る支援プログラム (PAC) は、独立の指導員の採用に対して補助金の給付を実施し
ている。その例として下表 3-2 は、連邦政府及びアメリカ開発銀行から STPS に交
付される資金による、PAC と呼ばれる特定の訓練プログラムにおける各年の予定登
録者数である。
1
1 ペソ=6.98 円(2009 年 1 月 7 日現在)
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国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
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表 3-2
訓練支援プログラム
(単位:人)
PAC 目標値
年
訓練対象労働者
2007
80,000
2008
105,000
2009
217,500
2010
243,000
2011
279,500
2012
321,500
*出典:Secretariat of Labor and Social Welfare, <http://www.stps.gob.mx/transparen
cia07/programas_sociales/padronPAC/EVALUACION_PAC/Evaluacion%20Final%20de
l%20PAC%20en%20PDF%20marzo%2008/5-3%20Capitulo%203%20Cobertura%20y%20
Focalizacion.pdf> accessed on 20 October 2008
ここで留意する必要があるのは、当プログラムは、連邦政府及びアメリカ開発銀行
の協力により STPS を通して資金拠出がなされるもので、費用の一定の比率まで(零
細企業は 60%、小企業は 55%、中企業の場合は 50%まで)給付が実施される。
図 3-4
メキシコ政府の
財政支出
3.5
職業訓練の財源
国際融資
企業による人的
資本投資
外国・国際機関からの援助
国際技術協力機関が、メキシコにおける職業訓練の提供に特化した国家機関の設立
に関して大きな役割を果たしたことに疑問の余地はない。様々な 2 国間及び多国間
協力機関は、国立職業訓練機関及び当該機関のプログラム、教室及びワークショッ
プの設置、また教育及び情報技術、装置及び多岐にわたる資源の提供において重要
な役割を果たした。特に、職業訓練機関の教員、技師及び人材一般は、様々な協力
プログラムから多大な利益を受けているが、このプログラムは明らかに異なる国々
の技術協力機関との密接なつながりがある。
最初の職業訓練機関が設立されて以降、外国の協力機関は決定的に重要な役割を果
たしてきており、訓練様式の定義、教育上のアプローチ、施設の近代化、貧困に対
する戦い及び訓練への新規技術の組み込みなどの分野において足跡を残している。
多くの国際機関が職業能力開発に関与しているが、国際労働機関の条約及び提言は、
公式の労働市場に関する国際規則のもっとも重要な部分となっている。しかし、今
までのところ ILO 及びその他の多国間組織が採択した労働市場に関する政策提言の
10
国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
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多くは、メキシコなどの開発途上国においては制度的な適応力の欠如により限定的
な実施となっている。アメリカ開発銀行は、職業訓練及び技術・職業教育の改善を
目的としたメキシコに対する融資の承認をしているが、全体的な目標は、労働者と
卒業生が技能を身につけて就職し、かつ労働市場での活動を継続することを可能と
することである。訓練プログラムは、主としてメキシコの公共教育省により実施さ
れ、労働者の生産性を向上させ、技術教育制度からの若年卒業生の就職可能性を高
めることである。また当プログラムは、教育カリキュラムとビジネス界及び産業界
からの要請と期待との間を結びつける一方で、教員の訓練、教材及び装置への財源
の提供も行っている。
また、世界銀行及びアメリカ開発銀行は、メキシコの教育において主要かつ長期に
わたるプレゼンスを維持している。世界銀行及びアメリカ開発銀行のような国際機
関による融資は、メキシコの教育予算に対して極めて小さい部分 (1∼5%) ではある
が、教育政策及び教育改革への影響は顕著であり、メキシコ政府に対する大規模な
融資と結び付いている。
たとえばアメリカ開発銀行は、職業訓練及び雇用プログラムの支援を目的として、
メキシコ政府に対する融資を実行している。アメリカ開発銀行の融資の大部分は、
BECATE 職業訓練助成プログラムの支援のためであり、当プログラムは、失業者あ
るいは不完全雇用とされる者が企業において訓練を受ける場合の給付金を提供して
いる。当プログラムの第 1 段階で、この給付金を受けた訓練生は、訓練終了後に高
いレベルの就職を達成している。
また、アメリカ開発銀行は、BECATE 及び労働省が所管するその他のプログラムの
効果を評価するため、モニタリング及び評価制度の調査並びに開発への助成を実施
している。当プログラムのこの評価に関する部分は、全国社会開発政策評価協議会
(CONVEAL) との調整が行われる。当プログラムの枠組み及び州政府との協力の下
で、STPS は、雇用斡旋代理店が求職者に対してより良いサービスを提供するよう
訓練しながら、国家雇用サービス庁の管轄領域を強化及び拡大することを計画して
いる。
さらに、UNESCO の技術職業教育訓練のための国際センターもまた、職業能力開
発における直接的な関与を行う国際組織の一部分を担っている。
最後に、メキシコにおいて開発が遅れている特定分野における職業能力開発を支援
するために、外国がスポンサーとなるプログラムも存在している。たとえば、日本
政府は APEC(Asia-Pacific Economic Cooperation:アジア太平洋経済協力会議)
の枠組みの中で、OVTA を通してメキシコ人に対して IT に関する学習意識を醸成す
るための IT 訓練コースを提供している。デジタルデバイドの障壁は、技術的なもの
というよりは経済的、歴史的なものであり、メキシコのインターネットのアクセス
にも国民の間で大きな差があるため、日本は技術能力の構築及びメキシコの競争力
強化に向けたある意味での直接投資を行っている。
11
国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
3.6
職業能力開発の政策評価
職業能力開発政策実施による達成度評価の主要な指標は、訓練プログラムを所管す
る各省及び組織を通じて連邦政府により公表される統計であり、その内容は費用、
参加率、修了率(特定のレベルでは離脱率が高く、研修生の維持が重要である)識
字率、平均就学年数等となっている。これらの指標の多くは、機会及び教育の平等
に関する大統領報告の中で提供される。様々な職業能力開発訓練の実施を担当する
各省庁は、その稼働状況、行政及び立法府の決定により毎年配分される財源の有効
利用を証明するため、提供するプログラムの結果に関するフォローアップを義務付
けられている。
職業能力開発政策の達成度評価を担当する主要な外部機関は、INEE である。しか
しミクロの段階では、各訓練プログラムが参加者数、出席者数、証明を取得した人
数、一般的な仕事の改善がなされた人数等の達成度を登録する必要がある。
職業能力開発政策実施の達成度は、国立教育評価機関のような国家機関により測定
されるだけでなく、国際標準試験によっても評価が行われる。
国際的に見ると、OECD の PISA プロジェクトは、異なる国における 15 歳の学生
の学習達成度を比較する研究である。当プロジェクトは、学生の特定の学習課程に
関する評価を行うものではなく、実際に成人社会で生活することが可能となる知識
及び技能を保有するかを評価することが目的であり、この PISA 評価は 3 年ごとに
実施される。充てられる焦点は変更される可能性があり、2000 年の焦点は読解力に
充てられ、2003 年は数学的能力を中心として科学知識及び問題解決能力の評価が実
施され、2006 年の場合は科学が焦点の中心となった。世界中の教育当局、学校長及
び教員は、PISA の結果をきわめて情報価値に富むものとしており、将来の計画へ
の指針として利用している。メキシコでは、公共教育大臣が学生の達成度及び州及
び各地域の達成状況の比較を実施するために PISA の結果を利用している。メキシ
コは最近の国際試験では成績があまり振るわず、ラテンアメリカ諸国のなかでも学
生の成績は最低水準にある。
加えて、独立系の研究者及び民間企業による経済面からの調査があり、職業能力開
発政策の実施による達成度評価が行われている。訓練プログラムの標準的評価方法
の中で、通常、評価を担当するコンサルタントは一定の統計情報を必要とする。当
該評価のためのデータは、1) プログラムからの管理データ 2) プログラム終了から
3 カ月後に実施される訓練生の調査 3) 国立統計・地理・情報研究所による全国雇用
調査の 3 つの情報源から取得される。
もっとも重要な労働者の訓練政策は、参加者(労働者の場合)に対する質問票ある
いは調査により評価が行われる。
さらに国際的な状況を見ると、長期的な雇用及び賃金の見通しに関して訓練プログ
ラムは、その効果ありとなしが混在している。メキシコにおける訓練プログラムの
最新の評価では、SICAT のような幾つかのプログラムは目標が適正に決定されてお
り、貧困層への所得の移転という観点では良く機能しているが、将来的な高賃金の
雇用の面ではあまり成功しているとは言えない。相反する評価結果を前提とすると、
より詳細な評価検討をすることなしにこれらのプログラムの拡張を決定することは
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国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
困難である。ここで参考のために付け加えると、現在のメキシコの訓練プログラム
費用は 1 人当り約 2,500 ペソであり、貧困により危機的水準にある人口規模に比較
して、訓練プログラムが対象とする人口は比較的小さいものとなっている。
たとえば、1994 年、1995 年及び 2002 年には対照群を設置するために擬似経験法を
利用した SICAT の正確な効果測定が実施された。メキシコの SICAT 評価の結果は、
プログラムが肯定的な効果を持っていることを示している。対象となる人口は、就
職がもっとも困難なグループ及び現在一時的に失業中の者である。全国平均によれ
ば、プログラムに参加した失業者の期待賃金は、不参加の失業者と比較して 5.4%高
くなっている。評価ではまた、メキシコの 32 州の内で 19 州においてプログラム参
加者の賃金は非参加者と比較して高くなっていた。最新評価における全体的な効果
は、以前の評価と比較して改善が見られている。
一方で訓練支援プログラム (PAC) は、1) 生産性指標、2) 利益性指標、3) 訓練コ
ース実施数、4) STPS からの助成金、5) 労働者当りの企業からの助成金といった、
異なる統計情報を使用して評価がなされている。また、プログラムの実施状況及び
効果を評価し、財務諸表及びその報告を改訂するために、国と地域の会合が組織さ
れている。
3.7 職業能力開発の実施概況
以下に例としていくつかのコースを説明するために、職業能力開発プログラムのリ
ストを掲載する。
(1)
UNESCO−UNEVOC(技術職業教育訓練のための国際センター)
効果的な技術職業教育訓練制度の開発は、教育改革に向けた努力の中心となっ
ている。選択された制度は、TVET(Technical and Vocational Education and
Training:技術職業教育訓練)へのアクセス、TVET の品質などの重要な点に
影響を与える枠組みを構成している。TVET 制度は大きく異なる形態をとる
可能性があるが、これを決定する主たる要素とは、以下のとおりである。
・
その管轄が教育省あるいは労働省(あるいは雇用または社会福祉)であ
るが、管轄が両省にまたがることもまま見受けられる。
・
TVET の重要な構成要素が理論的な部分及び実務学習であるという点。
特化した知識及び技能は、学校、特別訓練センター及び職場における
TVET を通して獲得されることになる。
・
TVET は、中等教育、中等教育後の教育及び高等教育の一部の形態をと
る可能性がある。
・
TVET は、初級者への導入訓練あるいは労働力人口を対象とする継続訓
練の形態をとる可能性があり、中等後教育及び高等教育にも門戸が開か
れる場合がある。
・
TVET は、前述したとおり公式教育の一部となる場合のみだけでなく、
職場において非公式な学習及び非公式な手段によっても実施が可能とな
る場合がある。
13
国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
(2)
メキシコ UNEVOC センター
メキシコにおいては、DGETI が国立 UNEVOC センターとしての機能を果た
している。DGETI から得られた情報によれば、国際技術協力プログラムは、
ラテンアメリカ及び中米の各国と継続的な関係を維持している。日本メキシコ
協定の結果、メカトロニクス関連の教員の知識更新を目的とする国立センター
が設立され、異なる国からの教員に対しても参加への道が開かれている。
DGETI はまた、会議と訓練コースの連絡及びグアテマラにおける技術援助に
関しても責任を持っている。DGETI の訓練指導員は、ボリビアにおけるセミ
ナーを組織し、ボリビアにおける教員訓練センター設立に向けた実行可能性の
調査も実施している。また DGETI の訓練指導員は、ニカラグアにおけるメカ
トロニクスの会議にも積極的な参加をしている。メカトロニクスに関する国際
的な訓練コースは、アルゼンチン、ボリビア、ペルー、ウルグアイ、ベネズエ
ラ及びコスタリカからの参加をみて実施されている。現在まで日本との協定に
基づき、計画された 5 つのコースのうち 3 コースが既に実施されている。
(3)
SICAT(職業訓練制度)
SICAT 受講者に対しては、1) 職務関連理論訓練、2) 実習訓練、3) 自営のた
めの能力構築、4) 生産技術訓練、5) 訓練クーポン、6) 専門家及び技師のた
めの訓練、7) 労使紛争中の企業労働者の支援といった 7 つの異なる訓練シス
テムが提供されている。
SICAT 雇用訓練は、雇用者との協力の下で提供され、経費は、STPS 及び訓
練を実施する企業との間で多少異なる比率で分担される。なお、すべての場合
において STPS が参加者への奨学金を負担する一方、雇用者は通常、物理的
なインフラの提供及び訓練材料の費用負担を行う。
SICAT は STPS により運営されるが、教育モジュールは、教育省管轄の機関
と州当局が管轄する技術教育機関である分権化された連邦訓練組織を通すか
あるいは公共資金を受け取る民間の訓練提供者により提供されている。その訓
練方法には、地域の学校でのアカデミックな教育、技術訓練及び OJT が含ま
れる。受講生に対する特典は、奨学金に加えて交通費及び傷害保険費用支払い
のための資金支援が供与される。
SICAT 形式のプログラムは、技術訓練を通して失業者の将来的な所得の改善
及び雇用可能性を高めることを目的として、失業者に対して訓練費用支援から
構成されている。当プログラムのコースを受講中、訓練生には最低限の生活水
準が維持できるよう賃金が支払われる。政府の雇用事務所は、参加者に対して
就職斡旋サービスを提供している。メキシコの職業訓練プログラムである
SICAT(前身は PROBECAT)は、1997 年以降アメリカ開発銀行による支援
を受けている。当プログラムは、1982 年の経済危機以降の増大する失業に対
応するため、1984 年に設立され、初期の段階では年間 5 万人を対象としてい
た。第 1 回目の効果に関する評価結果では、この形式のプログラムの利益は
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国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
失業保険に分類されるべきものと指摘されたにもかかわらず、最近の評価結果
では、この形態のプログラムは労働者の雇用可能性及び期待所得への効果を持
つとされている。
この制度は、成人労働者及び若年の卒業生に対する支援を目的とする 7 つの
プログラムを持つが、その主たる機能及び目的は以下のとおりである。
(a)
特定のコンピテンシー(能力)/技能向上のための労働者訓練
当訓練コースは、特定の雇用者あるいは産業におけるきわめて特殊なニ
ーズを満たすため、30 人以上の労働者が参加する生産部門との協力によ
り組織されている。当コースの期間は 1 カ月∼3 カ月で、そのコース時
間の 70%は当サービスを必要とする企業において実施される応用実務
訓練に割り当てられる。当該コースの収容能力、構造及びカリキュラム
は、CONOCER(Occupational Competency Standardisation and
Certification Council:職業コンピテンシー標準化及び資格証明協議会)
による承認を受けなければならない。この訓練を希望する企業は、訓練
指導員の費用の支払い、コースカリキュラムの開発、使用する指導教材
の提供、すべての参加者に対する傷害保険費用の支払い、少なくとも訓
練コース修了者の 80%の雇用を実行する必要がある。その一方で参加者
は、訓練期間中に STPS からの資金助成を受け取ることになる。
(b)
実務職業訓練あるいは OJT 職業訓練
これらの訓練コースは、30 人までの被雇用者を持つ企業内で実施される。
この訓練において学生は実務的知識を獲得し、また訓練後に当該企業に
雇用される可能性があるため企業に対して労働サービスを提供する。こ
の形態の訓練期間中に、学生は STPS からの経済的支援、傷害保険及び
医療支援を受け取る。
(c)
生産部門の訓練
当プログラムは、必要となる技能を持たずに特定の生産プロジェクトへ
の参加を希望する失業者あるいは不完全雇用者を対象としている。この
種類のコースはプロジェクトの特定性により、実務的学習の多くが進め
られる場所において実施される。SICAT では、参加者に対して訓練の期
間中(合計での期間は 1 カ月∼3 カ月)、1 日当たり最低賃金の 1 倍∼3
倍の間の賃金が提供される。
(d)
失業中の専門的労働者及び技師に対する訓練
この訓練は、職業経験が豊富でない高等技術教育、学士号取得あるいは
大学卒業生で、情報科学、英語、会計など特定の職業に必須の技術知識
の強化あるいは補完を希望する者を対象としている。このコースでは評
議会による評価の後に、コースの受講及び受講料代(コースの期間は最
長で 4 カ月)として使用できるクーポンが受講申請者に提供される。し
かし、このクーポンは 1 カ月の最低賃金分までに限定されているため、
このような訓練コースの拡大のため、職業訓練制度と様々な教育機関と
の間で合意がなされている。
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国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
(e)
訓練クーポン/バウチャー制度
この訓練では、きわめて特定されたコースの受講及び受講料代(コース
の期間は最長で 3 カ月)として使用できるクーポンが受講申請者に提供
される。この補助金は、様々な分野での職業経験のある成人に対して付
与される。失業者が訓練機関により提供される特定の訓練を選択した場
合、奨学金及び交通費と健康保険の助成金を受け取ることができる。
(f)
自営業のための訓練
当該訓練は、社会的及びコミュニケーションの場所あるいは公共、民間
教育機関において実施され、失業者は、ミクロ企業の設立のために新た
な知識を学習する。当職業訓練制度では、参加者に対して STPS より訓
練用具(コンピュータソフト、マニュアル等)が提供される。
(g)
生産投資プロジェクト
当該プログラムの主要目的は、開発地域における生産プロジェクトに対
する投資を通して雇用の創出を図ることである。対象となるのは、18 歳
以上で 1 日の賃金が最低賃金の 2 倍未満及びいかなる融資制度も利用で
きない者である。このように当プログラムは、雇用を創出し、地域の開
発を行う魅力あるプロジェクトへの参加者に融資を実行している。
3.8
公共職業能力開発実施機関
職業訓練センター局は、メキシコ連邦政府の中央集権化された組織であり、その役
割は技能、能力及び労働市場のニーズに対応する能力の開発に関して労働者に対す
る訓練を実施することである。また当組織は、実務あるいは自己学習を伴う労働に
よって獲得されたコンピテンシーの証明を行い、かつ民間の機関により提供される
職業訓練に関する規制を実施する。
当プログラムは、特定のグループのニーズに合わせ、柔軟な方法で異なる訓練サー
ビスを提供している。ここでは、3 カ月∼6 カ月の期間において 120∼600 時間の時
間数で、52 の専門分野において 221 の通常コースが提供されている。52 の専門分
野は、それぞれ 3∼5 教科に統合されている。また、拡張プログラム及び集中特定訓
練コースも提供されているが、これらのプログラムはグループあるいは企業のニー
ズに基づいて提供されている。
さらに、STPS 及び公共教育省以外に、他の職業訓練開発機関及び協会が存在する
が、それらは、1) 職業コンピテンシー標準化・資格証明協議会、2) メキシコカレ
ッジ、3) メキシコ共和国援助連盟、4) メキシコ合衆国工業会議所連盟、5) 労使関
係経営者協会、6) 訓練管理制度である。
3.8.1
目的、組織、施設など
職業訓練センター局は、3,684 人の教員、397 の訓練センター(198 の CECATI:
連邦学校及び 197 の ICAT:分権化された学校)、34 の移動式訓練ユニット及び
職業訓練開発研究センター (CIDFORT) を所有している。昨年の学校年度
16
国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
(2006∼2007 年)では、91 万 5,468 人が異なる専門分野で訓練を受けている。
メキシコの最初の CECATI 産業技術訓練センターは、1963 年に設立され、現在
では職業訓練センター協議会の下での広範なネットワークの一部となっている。
2006 年、職業訓練センター局は、オンライン訓練コースの提供を始めており、
また、起業成功プログラムを運営し、コースの提供、会議の組織化、全国のビ
ジネス・インキュベーターにおけるカウンセリングを提供している。さらに当
局は、トヨタ自動車販売及びトヨタ自動車技術研究機関との戦略提携を進めて
いる。
職業訓練センター局の制度的目標は以下のとおりである。
・
安定し、有益で賃金の高い雇用につながる、成人のための訓練プログラム
の提供。
・
CECATI と、カリキュラム計画及び訓練資料の検討を行い、訓練生に企業
との接点を提供しかつ現場での技能の向上を提供する企業代表との連関を
促すこと。
・
教室以外で取得した技能訓練の公的承認を促進すること。職業訓練センタ
ー局の下には 400 近い訓練センターがあるが、各センターの建物の規模は
異なり、各センターの中心教科によって階層と教室数は異なっている(そ
の理由は、すべてのセンターが全 52 専門分野を提供するわけではないた
め)。
教室は通常、黒板、机及び椅子が設置されているが、この設備も当該訓練セン
ターで提供される専門分野によって異なっている。たとえば、ある教室ではコ
ンピュータ、また別の教室ではミシン、大工道具、ハンダ付け・溶接機器等が
その訓練目的で設置されている。すべての訓練センターに共通するのは図書室
及び一般授業用の教室である。
3.8.2
主要教材、予算と財源、訓練コース、訓練方法
主要教材は、本(図書館で用意されるかあるいは参加者が購入する)、インター
ネットからダウンロードできる PDF 形式のノート及び特定のケースでは学生の
実務学習支援のための CD 教材も含まれる。
上述したとおり 52 の専門分野があるが、その中には、1) ハンダ付け・溶接、
2) プラスチック形成、3) 水力技術、4) 自動車整備、5) 冷蔵及び空調、6) 電気、
7) エレクトロニクス、8) 洋服仕立て、9) 大工、10) コンピュータ保守、11) 食
物準備・保存、12) グラフィックアート、13) ラジオ・テレビ番組制作、14) 外
国語(特に、英語、フランス語、日本語、イタリア語)、15) 陶芸、16) 織物(タ
ペストリー)、17) 幼児保育、18) 歯科技工、19) 経理、20) 税関職員、21) 旅
行代理業、22) 美容サービス、23) 手工芸製品、24) トレーラー運転、25) 建設、
26) 農機具保守、27) 計測技術、28) マイクロエレクトロニクス、29) 視力保健、
30) ガラス加工、31) 製靴、32) 銀行サービス、33) 役員秘書、34) 菓子製造、
35) 労働安全、36) 産業管理システムなどが含まれる。
上述したとおり 52 の専門分野のそれぞれは、3∼5 教科に統合されている。「美
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国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
容サービス」と名付けられた分野を例にとると、カリキュラムは、1) カット、
2) キャピラリー・トリートメント(分子泳動利用のスキンケア)、3) フェイシ
ャル・トリートメント、4) マニキュア・ペディキュアの 4 科目から構成されて
いる。各科目の授業時間は 24 時間∼100 時間の間で、費用は 1,000 ペソ未満と
なっているが、確立された基準はなく、期間も費用も訓練センターにより異な
るケースがある。
3.8.3
代表的なカリキュラムとその開発方法、教材とその開発方法、指導員、訓練生
の募集、訓練生に対する優遇措置
CECATI 訓練センターで与えられた 52 コースには、期間の可変な 3∼5 の課題
に対応する 1 つのカリキュラムがある。課題のそれぞれのためにインターネッ
トを通してダウンロードすることができる教材がある。それは、3∼5 のガイド
ブックが 1 つのコース全体と一致していることを意味している。これらのガイ
ドブックは、科目と一致しているコースを選び、科目と一致する課題を選ぶこ
とによってインターネットを通して得ることができる。この点に関して、見習
い訓練の 80%が実用的応用学習であり、20%が理論的学習に割り当てられる。
「CECATI ノートブック」は、課題の内容を規格化するために SEP に勤務する
講師によって作られた。DGCFT には 1,865 人の認証された指導者がいる。
訓練生は実際の又は直近の仕事、彼らの個人的な経済状況によって財政援助を
受け取ることができる。実際のところ、2006∼07 年度に 15 万 3,967 人が DGCFT
の指導コースで勉強するために奨学金を受けている。参加者が科目を終了した
後は、求職援助を受ける。この援助は訓練生を企業に直接結びつけ、全国的な
公共のオンライン募集ネットワークに訓練生を登録することである。
*出典:DGCFT(Dirección General de Centros de Formación para el Trabajo:職業訓練
センター局), < http://www.dgcft.sems.gob.mx/dgcft/> accessed on 20 October 2008.
3.8.4
修了生の取得資格、修了生へのアフターケア、修了生の就職状況
法律によれば、外部訓練は登録訓練機関のみ提供することが可能であると規定
されている。訓練実施企業は、連邦訓練局に訓練計画の登録を行う必要がある。
一方、前述した職業訓練センター局の下で提供されるコース例に関して、受講
後の状況を説明すると、各科目終了後、学生に対して資格が授与される(科目
別に資格が授与される理由は、全教科を 1 度に受講するのではなく科目別に受
講し、それにより得られた科目の終了資格を後日利用可能とするためである)。
そして、3∼5 教科の終了後に、特定分野としての最終的な資格が与えられる。
職業コンピテンシー標準化及び資格証明協議会(CONOCER)は、訓練コース
終了後に与えられる資格証明を担当する協議会である。
メキシコでは、第三者機関である CONOCER が職業コンピテンシーの証明に関
する標準化システムの計画、実施、推進及び更新を担当している。CONOCER
制度には、識別の段階、コンピテンシーの標準化、訓練及び資格証明が含まれ、
労働に関するコンピテンシーの概念のあらゆる側面をカバーしている。職業コ
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国名:メキシコ (調査大項目 3:職業能力開発とその実施状況)
作成年月日:2008 年 10 月 20 日
ンピテンシー証明のための標準化制度デザインにおけるきわめて重要な役割は、
通常は活動の支部を代表する労働者及び雇用者から構成される標準化委員会が
果たしている。CONOCER の技術的支援により当該委員会は、技能及びコンピ
テンシーを識別し、それらを標準化する作業を行う。
一方、職業能力評価制度は、STPS により認定されるすべてのプログラムが、労
働能力証明を受けるために合格する必要のある評価試験を有しているため、完
全に職業能力訓練制度に依存している。
3.9
民間企業が行う職業訓練への支援体制
1970 年以降、被雇用者に対する雇用者責任に従って、メキシコの労働法制定は特に
雇用者の訓練あるいは開発コースの提供に重点をおいており、被雇用者は、職業上
の地位向上の準備を目的として、訓練を受ける事が勧められる。同時にそれらのコ
ースは、労働者個人が現在の仕事でのパフォーマンスを最良化する支援を行う事と
なる。連邦労働法第 XV 章第 132 条によれば、前述の義務は一般的にはすべての雇
用者に適用される。小企業の場合、訓練は雇用者センター及び商工会議所など、仲
介者として機能する組織によって提供される可能性もある。当該訓練は、別途合意
が交わされない限り、業務時間中に提供されることになっている。訓練は一般的条
件が定められ、特定のプログラムは、労働の対象となる週間の中で固定的に時間表
を確定しなければいけない。
民間企業が職業教育訓練開発に参加する組織が存在する。当協議会は、訓練コース
の終了時に資格証明の付与を担当している。CONOCER は、労働者コンピテンシー
に影響を与える労働者、企業家、訓練指導員及び連邦政府を統合した形の組織であ
る。CONOCER はまた、技術教育及び訓練近代化プロジェクト (PMETyC) の共同
実施機関である。なお当プロジェクトは、柔軟性を維持しながらメキシコの生産部
門の重要なニーズに合致することが可能となるよう、メキシコの技術教育及び訓練
制度の品質を改善することを目的としている。PMETyC は、雇用者及び公式の技術
教育制度により利用される、コンピテンシーを基礎とした国家標準制度の創設を促
進する意図を持って企画及び実施されている。
3.9.1
公共職業能力開発機関による支援
職業教育(職業訓練)及び技術教育と比較すると、職場での訓練 (OJT) は大多
数が(75%が職場あるいは民間実施機関)民間部門により実施されている。メキ
シコでの OJT は、企業及び労働者の特性によって大きく異なった様々な形態を
とる。高度な研究開発の集積がある大企業及び輸出と技術への感応度の高いセ
クターの企業は、OJT を実施するケースが多くなっている。その他の大部分の
小規模・中規模企業は、被雇用者に対して訓練を提供しない場合が多い。
過去数年の間に、きわめて野心的なプロジェクトが開始されている。その 1 つ
は、成人及びアドバイザーに学習スペースを提供する、コミュニティープラザ
のミーティングポイントの設置である。この施設には出版物を中心とする伝統
19
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的な教室があるが、加えて、ローカルサーバーとインターネットが接続してあ
る最低でも 10 台のコンピュータが設置されているスペースがあり、また別のス
ペースは教材とビデオコースを受け取ることが可能なメキシコ教育サテライト
システムにリンクしている。このプラザのアイデアは、成人に対して選択肢を
多様化できるコンピュータ支援学習システムを紹介することであるが、まだこ
のプロジェクトは初期導入段階にある。主たる問題点は、アドバイザーの確保
及びプラザを成人にとって魅力があり有用なものにする事である。成人が、コ
ンピュータ上で課題のモジュールを学習できるよう、最初のステップとして教
育モデルを CD に組み込んできている。コミュニティープラザは、コミュニティ
ーに開かれた教育施設であり、教育的に不利な立場にある若年者及び成人が、
通常の教室、教育 TV 及びビデオサロン、コンピュータ及びインターネットサロ
ンといった 3 つの学習環境を統合化した利用を通して、基礎教育及び職業訓練
機会へのアクセスが可能となる場所である。国家機関「ラ・プラザ」は、技術
サポート要員及び推進者の 2 種類の運営要員と契約及び訓練を行う。国家機関
は、カリキュラム基準に沿って、またその他の利用者組織との調整を行い、プ
ラザで提供される教育サービスを運営する。この訓練施設の技術的資源は、サ
ーバー(CD 読み取り・書き込み機能付)、10 台のネットワーク接続コンピュー
タ、プリンター、テレビ、ビデオ、場合により EDUSAT 受信用アンテナ、ビデ
オ・CD・書物の資料、教育ポータルサイト(http://www.conevyt.org.mx/)、コ
ンピュータにインストール済みのマイクロソフト・オフィスなどである。
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