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日航ジャンボ機123便(JA8119号機)の御巣鷹山墜落事故から 20 年目

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日航ジャンボ機123便(JA8119号機)の御巣鷹山墜落事故から 20 年目
日航ジャンボ機123便(JA8119号機)の御巣鷹山墜落事故から
20 年目を迎えての日本航空インターナショナル5労組の声明
1985 年 8 月 12 日に 520 名もの尊い命を奪った日本航空 123 便 (JA8119 号機)事故から 19 年の歳月が過ぎようと
しています。今、改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に心から哀悼の意を表
します。
同種事故の再発防止の為には科学的な調査に基づく『真の事故原因』の究明が不可欠であり、その為に私達は以
下の5項目の実現を事故直後から運輸省航空事故調査委員会(現、国土交通省航空鉄道事故調査委員会)に対して強
く要請してきました。
1. 急減圧が人体に及ぼす影響の公開実験
2. 大規模な実験による破壊過程の検証と公開
3. 未回収残骸の徹底回収と調査
4. フライトレコーダー、ボイスレコーダー等『生のデータ』の関係者への公開
5. 以上を踏まえての再度の聴聞会の開催
事故調査委員会は事故原因を「圧力隔壁の破壊による急減圧」としています。しかし私達現場の運航乗務員や客
室乗務員、整備士等の航空労働者は「急減圧が存在した」とする事故調査報告書の内容には当初から疑問を呈して
きました。
フライトレコーダーやボイスレコーダーの解析結果、機内の写真、生存者の証言のいずれを見ても、
急減圧の発生が明らかな他の事例(1986.10.26 タイ航空機事故、1988.5.28 アロハ航空機事故、1989.2.24 ユナイ
テッド航空機事故等)と 123 便事故は際立った違いを示しています。 事実、事故調査報告書の内容を検証する為に
1999 年 4 月に米国で行なわれた急減圧の人体実験の結果は、事故調査報告書の内容を完全に否定するものでした。
また 2000 年にマスコミ各社が報道した「ボイスレコーダーの音声を録音したとされるテープ」を聞くと、事故調
査報告書にあるボイスレコーダーの解析結果とは異なる会話が録音されている事も明らかになりました。更に、国
土交通省(旧運輸省)が 2001 年 4 月の情報公開法の施行を前に、膨大な事故調査に関する資料を廃棄するという再調
査への道を閉ざすような行為を行なっていた事実も明らかになっています。私達は、国際民間航空条約の規定に準
拠して、早急に上記 5 項目に基づく科学的な再調査が行われるべきであると考えます。
事故後、日本航空経営は 123 便事故に関する社内事故調査委員会を設置し、独自に事故原因の究明を開始しまし
た。事故から 17 年が経った 2002 年 8 月にようやく最終報告書が出されましたが、その内容は事故の 2 年後に運輸
省航空事故調査委員会(当時)から出された事故調査報告書の内容を写し取ったものでしかありませんでした。この
社内事故調査報告書に関する説明会がこれまでに 4 回行なわれていますが、その説明は非科学的で、且つ毎回説明
内容が二転三転するというお粗末なものとなっています。この説明会の中で社内事故調査報告書を作成した責任者
は「社内事故調査報告書は運輸省航空事故調査委員会(当時)の事故調査報告書の内容を鵜呑みにしたものである」
ことを認めるとともに、「123 便の機内では急減圧発生に伴う様々な物理的現象の存在や、急減圧に対して乗員が対
応している様子は認められないが、急減圧は発生したと考える。その矛盾については説明できない」ことを明らか
にしています。更に日本航空経営は、事故後保存し続けてきた事故機の残骸を廃棄処分する意向を示しており、事
故を起こした当事者として真の事故原因を究明するという使命を放棄し、行政と共に真相を闇に葬り去ろうとして
います。
あの未曾有の大事故から 19 年を経た今、私達は日本航空経営に対して、改めて事故の反省に立ち帰り「真の事故
原因の究明」に全力を尽くすことを強く求めていきます。また、航空の職場で働く者の社会的責務として自ら 123
便事故の真の事故原因を究明するとともに、行政に対しては再調査を行なわせる為の活動を更に強化していくこと
を決意し、ここに表明します。
2004 年 8 月 12 日
日本航空労働組合・客室乗務員組合・機長組合・先任航空機関士組合・乗員組合
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