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セルトラリンまたはそれらの薬学的に受容可能な塩、およびスルホアル

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セルトラリンまたはそれらの薬学的に受容可能な塩、およびスルホアル
JP 2007-536228 A 2007.12.13
(57)【 要 約 】
本発明は、セルトラリンまたはそれらの薬学的に受容可能な塩、およびスルホアルキル
エーテルシクロデキストリンを含有する水性経口製剤を提供する。本液体製剤は、おいし
く、使用に便利であり、そして化学的および物理的安定である。本液体製剤は直接または
投与前に希釈されて投与され得る。市販のZOLOFT
TM
製剤とは異なって、本明細書中
の液体製剤は水、フルーツジュース、ソーダまたは他の薬学的に受容可能な経口液体担体
で希釈する際に沈殿しない。本スルホアルキルエーテルシクロデキストリン含有製剤は、
販売されている非水性製剤および他のシクロデキストリン含有セルトラリン製剤よりも顕
著な利点を提供する。本製剤は、微生物増殖に対して自己保護し得る。SAE−CD含有
セルトラリン製剤は、液体形態中で提供され得るか、再構成可能な粉末として提供され得
る。即座に使用可能な液体製剤および濃縮された液体製剤の両方が製造され得る。本製剤
は透明溶液または懸濁液として利用可能である。
10
(2)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルトラリン、SAE−CD、水性液体担体を含有するテイストマスク水性経口液体製
剤 で あ っ て 、 こ こ で S A E − C D 対 セ ル ト ラ リ ン の モ ル 比 が 少 な く と も 0 .9 5 で あ り 、
そして該製剤がSAE−CD以外の別の類似の水性製剤よりも改善された味を有する、製
剤。
【請求項2】
SAE−CDの代わりに、それと等モル量でHP−β−CDを含有する別の類似の水性
製剤と比較して改善された味を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
10
セルトラリンが薬学的に受容可能な塩として提供される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
SAE−CDが式1:
【化1】
20
の化合物またはその混合物であり、
ここで:
nが、4、5または6であり;
30
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9が、それぞれ独立して−O−また
-
は−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 基であり、ここで、少なくとも1つのR1およ
-
びR2が、独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 基であり;そして
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9は、それぞれ独立して、薬学的に
受容可能なカチオンである、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
式1の化合物が約4∼7の置換度を有する、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
酸性化剤、アルカリ性化剤、抗真菌剤、抗菌剤、酸化防止剤、別の治療薬、緩衝化剤、
充てん剤、複合体化促進剤、抗凍結剤、密度調整剤、電解液、矯味矯臭剤、香料、凍結乾
40
燥助剤、防腐剤、可塑剤、溶解促進剤、安定化剤、甘味料、界面活性剤、揮発調整剤、粘
度調整剤またはそれらの組み合わせをさらに含有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
緩衝化剤が有機酸もしくは無機酸、有機塩基もしくは無機塩基またはそれらの塩である
、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
緩衝化剤が酢酸、クエン酸、リン酸、ホウ酸またはそれらの塩からなる群から選択され
る、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
製剤が、セルトラリン、SBE7−β−CD、キシリトール、クエン酸、クエン酸ナト
50
(3)
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リウム、グリセリン、安息香酸、矯味矯臭剤および水を含有し、そして該製剤のpHが約
2∼7の範囲にある、請求項6に記載の製剤。
【請求項10】
矯味矯臭剤をさらに含有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
製剤が、グリセリン、エタノール、メントール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT
)および同量のセルトラリンを含有する非水性型製剤よりも蛍光および/または紫外線に
対してより大きい光化学安定性を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
セルトラリンが約1∼110mg/mLの濃度で存在する、請求項1に記載の製剤。
10
【請求項13】
製剤が、グリセリン、エタノール、メントール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT
)および同量のセルトラリンを含有する非水性型製剤よりもより受容可能な味を有する、
請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
防腐剤がソルビン酸または安息香酸である、請求項6に記載の製剤。
【請求項15】
製剤が、グリセリン、エタノール、メントール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT
)および同量のセルトラリンを含有する非水性型製剤と実質的に同等の薬物動態を提供す
る、請求項1に記載の製剤。
20
【請求項16】
SAE−CDが約5∼700mg/mLの濃度で存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
SAE−CDが、式SAEx−R−CD(式2)の化合物またはその混合物であり、こ
こで、
a.SAEがスルホメチルエーテル、スルホエチルエーテル、スルホプロピルエーテル
、スルホブチルエーテル、スルホペンチルエーテルおよびスルホヘキシルエーテルからな
る群から選択され;そして
b.Rがα、βまたはγである場合、それぞれxが約1∼18、1∼21または1∼2
4の範囲である、
30
請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
液体製剤が、少なくともSAE−CDおよびセルトラリンを含有する再構成可能な固体
を水溶液を用いて再構成することによって製造される、請求項1に記載の製剤。
【請求項19】
製剤が対象への経口投与の前に、希釈を必要とせずに即座に使用可能な製剤である、請
求項1に記載の製剤。
【請求項20】
製剤が、セルトラリンが著しく沈殿することなく水性希釈剤で希釈可能である、請求項
1に記載の製剤。
40
【請求項21】
希釈剤が、レモン/ライムソーダ、ジンジャーエールソーダ、コーラソーダ、オレンジ
ジュースまたはリンゴジュースからなる群から選択される、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
再構成可能な固体からテイストマスク水性液体経口製剤を製造する方法であって、以下
:
a.セルトラリン、SAE−CD、場合によって、少なくとも1種の他の薬学的賦形剤
を含有する再構成可能な固体を提供する工程(ここで該固体が水性液体で再構成可能であ
り 、 そ し て S A E − C D 対 セ ル ト ラ リ ン の モ ル 比 が 少 な く と も 約 0 .9 5 で あ る ) ; お よ
び
50
(4)
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b.再構成可能な固体を少なくとも懸濁するのに十分な量の水性液体担体で固体を再構
成し、それによってテイストマスク水性液体経口製剤を形成する工程
を包含する、上記方法。
【請求項23】
再構成可能な固体が、セルトラリン混合物、SAE−CD、および場合によって、1種
またはそれ以上の賦形剤を含有し、ここでセルトラリンの大部分がSAE−CDと複合体
化しない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
再構成可能な固体が、予め形成されたセルトラリンとSAE−CDとの複合体、および
場合によって、1種またはそれ以上の賦形剤を含有し、ここでセルトラリンの大部分がS
10
AE−CDと複合体化する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
再構成後さらなる希釈を必要とせずに、液体製剤が対象に経口投与する状態になってい
る、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
液体製剤が懸濁液である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
添加される液体担体の量が、透明液体製剤を提供するのに十分である、請求項22に記
載の方法。
【請求項28】
20
製剤が、1ml体積中に少なくとも1mgのセルトラリンを含有する濃縮剤である、請
求項22に記載の方法。
【請求項29】
請求項22に記載の方法。
【請求項30】
うつ病の治療方法であって、請求項1に記載の製剤をその必要がある対象に経口投与す
る段階を包含する、方法。
【請求項31】
セロトニン作動性系の障害によって引き起こされる疾患または症状を治療または予防す
る方法であって、請求項1に記載の製剤をその必要がある対象に経口投与する段階を包含
30
する、方法。
【請求項32】
疾患または症状が、うつ病、拒食症、薬物依存、不安関連障害、パニック障害、強迫性
障害、全般性不安障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、回避的人格障害、早漏、癌お
よび心筋梗塞後症候群からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
テイストマスク水性液体製剤中のセルトラリンを対象に経口投与する方法であり、以下
:
a.SAE−CD、セルトラリンおよび水性担体を含有する水性液体を提供する段階(
こ こ で S A E − C D 対 セ ル ト ラ リ ン の モ ル 比 が 少 な く と も 約 0 .9 5 で あ る ) ;
40
b.薬学的に受容可能な水性希釈剤で液体を希釈し、すぐに投与できるテイストマスク
水性液体製剤を形成する段階;および
c.少なくとも一単位用量のすぐに投与できる製剤を対象に経口投与する段階、
を包含する、上記方法。
【請求項34】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリンが、式1の化合物またはその混合物である
、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
治療有効量のセルトラリン、SAE−CD、水性液体担体、1種またはそれ以上の甘味
料、および場合によって、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含有し、こ
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こ で S A E − C D 対 セ ル ト ラ リ ン の モ ル 比 が 少 な く と も 約 0 .9 5 で あ る 、 透 明 テ イ ス ト
マスク水性経口液体製剤。
【請求項36】
1種またはそれ以上の矯味矯臭剤をさらに含有する請求項35に記載の製剤。
【請求項37】
1種またはそれ以上の緩衝化剤をさらに含有する請求項36に記載の製剤。
【請求項38】
1種またはそれ以上の防腐剤をさらに含有する請求項37に記載の製剤。
【請求項39】
1種またはそれ以上の溶解促進剤をさらに含有する請求項37に記載の製剤。
10
【請求項40】
1また種はそれ以上の複合体化促進剤をさらに含有する請求項37に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された抗うつ製剤、特にセルトラリンおよびスルホアルキルエーテルシ
クロデキストリンを含有するテイストマスク(taste−masked)経口溶液製剤
、ならびに抗うつ薬応答性障害および疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
20
セルトラリン((1S−シス)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4
−テトラヒドロ−N−メチル−1−ナフタレンアミド)の塩酸塩(HCl)は、他のSS
RI、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬または他の利用可能な抗うつ薬と化学的に関係性
のない選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)である。ノルエピネフリン
濃度およびドーパミン値の両方に影響を与えるモノアミン酸化酵素(MAO)インヒビタ
ーまたは三環系抗うつ薬のような第一世代抗うつ薬と比較して、SSRIは、セロトニン
作動性系に対するそれらの選択性に起因して、より軽度の有害事象プロフィールを有し、
成人ならびに小児集団に魅力的な治療選択肢を与える。
【0003】
塩酸セルトラリンは、現在、商標名ZOLOFT
( R )
の下、米国で市販されている。2
30
5、50および100mgのフィルムコート錠および複数回投与用の60mLボトル中の
経口濃縮物(20mg/mL)として供給される。水中への塩酸セルトラリンの限られた
溶解性およびその苦味に起因して、ZOLOFT
( R )
経口濃縮物は、60mL複数回投与
用容器中の非水性溶液濃縮物として供給される。製剤の各ミリリットルは、20mgのセ
ルトラリンと等しい塩酸セルトラリン、グリセリン、アルコール(12%)、メタノール
およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。米国市場における液体投薬形
態を有する5つのSSRIのうち、製剤の苦味に起因して、ZOROFT
( R )
経口濃縮物
のみが投薬前に希釈しなければならない。添付文書に従って、患者は、投与量を水、ジン
ジャーエール、レモン/ライムソーダ、レモネードまたはオレンジジュースのみと混合し
、そしてその投与量を直ちに飲むように指示される。残念なことに、それらの大部分の飲
料を用いてZOLOFT
T M
40
製剤を希釈する際、セルトラリンの沈殿がしばしば観察される
。そのアルコール含有に起因して、ZOLOFT経口濃縮物は、ジスルフィラム(ANT
ABUSE
( R )
)との禁忌を示す。
【0004】
米国において、塩酸セルトラリンは、成人の社会不安障害、大うつ病性障害、パニック
障害、強迫性障害(OCD)、月経前不快気分障害(PMDD)および心的外傷後ストレ
ス障害(PTSD)ならびに子供(6∼12歳)および若者(12∼17歳)のOCDに
適用される。
【0005】
セルトラリンおよびいくつかのそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩(例えば、塩酸塩
50
(6)
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) が 、 米 国 特 許 第 4 ,5 3 6 ,5 1 8 号 ( 5 1 8 特 許 ) に 開 示 さ れ 、 こ れ ら の 開 示 は そ の 全
体が本明細書に参考によって加入される。
【0006】
セルトラリンは、広範囲の疾患および障害の治療に有用である。セルトラリンおよびそ
れらの誘導体が抗うつ薬として有用であることを、518特許は開示する。米国特許第5
,1 3 0 ,3 3 8 号 は 、 薬 物 依 存 ( ア ル コ ー ル 、 タ バ コ お よ び コ カ イ ン の 依 存 状 態 を 含 む )
の 治 療 に お け る セ ル ト ラ リ ン の 使 用 を 開 示 す る 。 米 国 特 許 第 4 ,9 6 2 ,1 2 8 号 は 、 パ ニ
ック障害、強迫性障害、全般性不安障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害および回避的
人格障害のような不安関連障害の治療におけるセルトラリンの使用を開示する。米国特許
第 4 ,9 4 0 ,7 3 1 号 は 、 早 漏 の 治 療 に お け る セ ル ト ラ リ ン の 使 用 を 開 示 す る 。 国 際 P C
10
T出願番号WO 96/22085号は、癌の治療におけるセルトラリンの使用を開示す
る 。 米 国 特 許 第 6 ,2 4 5 ,7 8 2 号 は 、 心 筋 梗 塞 後 症 候 群 の 治 療 に お け る セ ル ト ラ リ ン の
使用を開示する。
【0007】
セルトラリンは、広範囲の疾患および障害を治療するための他の薬剤と組み合わせて使
用 さ れ 得 る 。 米 国 特 許 第 5 ,5 9 7 ,8 2 6 号 は 、 セ ル ト ラ リ ン の よ う な 選 択 的 セ ロ ト ニ ン
再取り込みインヒビター(SSRI)、およびセロトニン1(5−HT1)レセプターの
アゴニストまたはアンタゴニストを含有する組成物、ならびに以下から選択される状態を
治療または予防するためのこのような組成物の使用を開示する:気分障害(うつ病、季節
性情動障害および気分変調を含む)、不安障害(全般性不安障害およびパニック障害を含
20
む);広場恐怖症、回避的人格障害;対人恐怖;強迫性障害;心的外傷後ストレス障害;
記憶障害(痴呆、健忘症および加齢性記憶障害を含む);食事行動の障害(拒食症および
神経性大食症を含む);肥満症;群発性頭痛;片頭痛;疼痛;アルツハイマー病;慢性発
作性片頭痛;血管障害関連頭痛;パーキンソン病(パーキンソン病における痴呆、神経遮
断剤誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジーを含む);高プロラクチン血症の
ような内分泌障害;血管けいれん(特に、脳血管系);高血圧症;運動性および分泌の変
化が関連する胃腸管における障害;性的機能不全(早漏を含む);および薬物依存。
【0008】
セルトラリンおよび関連化合物が多種多様な異なる投薬形態で投与され得ること、すな
わち、これらは、錠剤、カプセル剤、薬用キャンデー、トローチ、ハードキャンデー、粉
30
末、スプレー、水性懸濁液、注射溶液、エリキシル剤、シロップなどの形態で種々の薬学
的に受容可能な不活性担体と組み合わせられ得ることを、518特許は開示する。518
特許に従って、経口投与用の水性懸濁液および/またはエリキシル剤が所望される場合、
それら中の必須の活性成分は、種々の甘味料または矯味矯臭剤、着色剤または色素、所望
の場合、乳化剤および/または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコー
ル、グリセリンおよび種々のそれらの組み合わせのような希釈剤と共に、組み合わせられ
てもよい。セルトラリンを含有する製剤中のシクロデキストリンの含有は開示されていな
い。
【0009】
また、518特許に従って、非経口投与が所望される場合、本発明の化合物の溶液は、
40
ゴマ油またはピーナッツ油中に、または水性プロピレングリコールまたはN,N−ジメチ
ルホルムアミド、ならびに水溶性、非毒性ミネラルおよび有機酸付加塩の滅菌水溶液中で
製造され得、このような溶液は、所望の場合、適切に緩衝化され、そして等張にされる。
【0010】
セルトラリンの経口液体投薬形態の開発は、液体形態の薬物によって与えられる不愉快
な味および切迫する感覚(stringency sensation)により困難であ
る。518特許に記載されるようなセルトラリンの経口液体溶液または懸濁液は、不愉快
な味を有する。
【0011】
米 国 特 許 第 6 ,7 2 7 ,2 8 3 ( 本 明 細 書 中 以 下 で 2 8 3 特 許 と い う ) は 、 塩 酸 セ ル ト ラ
50
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リン、エタノールおよびグリセリン、ならびに1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な
賦形剤を含有する経口投与用のセルトラリン塩酸塩の濾過可能な本質的に非水性の液体濃
縮溶液を開示する。濃縮物の提案された価値は、容易に飲み込むことができる受容可能な
味を有する製剤の製造であった。283特許は、濃縮物を使用し、濃縮物を患者に投与す
る前に水性希釈剤で希釈する方法をさらに開示する。283特許に従って製造された製剤
は、不愉快な味を有したままであるが、518特許に従って製造された製剤よりも不愉快
さの程度はより低い。
【0012】
シクロデキストリンは、化合物の悪い味をマスクするそれらの能力について周知されて
いる。誘導体化されていない親シクロデキストリンおよびいくつかのそれらの誘導体が有
10
用であることが示唆または証明されている。水および抗菌剤であるヘキセチジンを含有す
る経口水性製剤におけるHP−β−CDの使用を、Schmidt等(Pharmazi
e.(1993 Nov.)48(11),837−41)は開示する。製剤は、報告に
よればHP−β−CDの存在下、改善された味を有している。Miyaji等(Acta
Pharm.Nord.,(1992),4(1),17−22)は、α−CD、β−
CDおよびγ−CDと共にフェンブフェンを含有する水性液体製剤を開示する。この製剤
は、報告によれば向上したバイオアベイラビリティーおよび減少した苦味を示す。Han
(Zhongguo Zhong Yao Za Zhi.(1990 Dec.),1
5(12),729−31,765)は、β−CDと胆汁酸との複合体製剤を開示し、報
告によると、胆汁酸の苦味を減少させる。
20
【0013】
M o t o l a 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 5 ,0 2 4 ,9 9 7 号 は 、 全 組 成 物 の 体 積 に 対 し
て約2質量/体積%∼約5質量/体積%のイブプロフェン、約20質量/体積%∼約70
質量/体積%の少なくとも1種のテイストマスキング甘味成分および約22質量/体積%
∼約75質量/体積%のヒドロキシプロピルβシクロデキストリン(ヒドロキシプロピル
置 換 密 度 が 約 6 ∼ 約 7 .5 ) を 含 み 、 イ ブ プ ロ フ ェ ン : ヒ ド ロ キ シ プ ロ ピ ル β シ ク ロ デ キ
ス ト リ ン の 質 量 比 が 1 : 1 1 ∼ 1 : 1 5 で あ り 、 そ し て 適 量 の 水 ( w a t e r q .s .)
で組成物の100質量/体積%としたpH約3∼5の経口投薬物に適切な味のよい水性イ
ブプロフェン溶液を開示する。
【0014】
30
H u n t e r 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 5 ,0 1 9 ,5 6 3 は 、 イ ブ プ ロ フ ェ ン の 種 々 の 塩 と
β − C D と の 複 合 体 を 開 示 す る 。 イ ブ プ ロ フ ェ ン 対 β − C D の モ ル 比 は 、 1 : 0 .2 0 ∼
1 : 0 .7 5 の 範 囲 内 で あ る 。 好 ま し い イ ブ プ ロ フ ェ ン の 塩 は 、 ナ ト リ ウ ム 塩 で あ る 。 こ
の複合体は、報告によれば向上した味プロファイルおよびバイオアベイラビリティーを有
する。
【0015】
しかし、1つのクラスのシクロデシストリンから別のものに移行する場合、または同じ
クラスのシクロデキストリン内で1つの薬物から別のものに移行する場合、化合物の不愉
快な味をマスクするCDの能力は極めて予測不可能である。従って、化合物とシクロデキ
ストリンのクラスとの特定の組み合わせが必要とされる。
40
【0016】
シクロデキストリンは、デンプンから誘導化される環状炭水化物である。未改変シクロ
デキストリンは、結合して一緒になった円柱構造中のグルコピラノース単位の数が異なる
。親シクロデキストリンは、6個、7個または8個のグルコピラノース単位を含み、そし
てそれぞれα−、β−およびγ−シクロデキストリンと呼ばれる。各シクロデキストリン
サブユニットは、2位および3位に第二級ヒドロキシル基を有し、そして6位に第一級ヒ
ドロキシル基を有する。シクロデキストリンは、親水性の外表面および疎水性の内部空洞
を有する中空円錐台として描かれ得る。水溶液中で、これらの疎水性空洞は、疎水性有機
化合物に回避場所(haven)を与え、化合物はそれらの構造の全部または一部がこれ
らの空洞中に嵌め込められ得る。包接複合体化として公知のこのプロセスは、複合体化薬
50
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物に対して見掛けの上昇した水性溶解度および安定性をもたらし得る。複合体は疎水性相
互作用により安定化され、そしていずれの共有結合の形成をも伴わない。
【0017】
親シクロデキストリンの化学的改変(通常はヒドロキシル部分における)は、時として
、改善された安全性を有する誘導体を生じるが、一方シクロデキストリンの複合体化能力
を維持または改善する。今日までに製造された多数の誘導体化シクロデキストリンのうち
、2つのみ;2−ヒドロキシプロピル誘導体(HP−β−CDまたはHPCD)(Jan
nsenおよびその他により商業的に開発された中性分子)、およびスルホアルキルエー
テル誘導体(SAE−β−CDまたはSAE−CD)(CyDex,Incにより開発さ
れた)が商業的に存在するようである。
10
【0018】
【化1】
20
【0019】
30
SAE−CDは、負荷電シクロデキストリンの一つのクラスであり、これらはアルキル
スペーサーの性質、塩形態、置換度および出発親シクロデキストリンにおいて変化する。
シクロデキストリン1分子あたり平均約7個の置換基を有するβ−シクロデキストリンの
スルホブチルエーテル誘導体(SBE7−β−CD)のナトリウム塩は、CAPTISO
L
( R )
シクロデキストリンとしてCyDex,Inc.(Kansas)により商業化さ
れている。
【0020】
陰イオン性スルホブチルエーテル置換基は、親シクロデキストリンの水溶性を劇的に改
善する。CAPTISOL
( R )
シクロデキストリンを用いる薬物の可逆的な非共有結合複
合体化は、一般的に、水溶液中のいくつかの薬剤の上昇した溶解度および安定性を可能に
40
する。しかし、特定の薬物への結合に関してHP−β−CDを上回るSAE−CDの改善
した特性は、幾分予測できない。多くの薬物がSAE−CDとより結合しやすいことが知
られているが、他の薬物はHP−β−CDとより結合しやすいことが知られている。さら
に、CAPTISOL
( R )
シクロデキストリンが比較的新しく、そして経口投与用のセル
トラリンHClとそれらとを組み合わせた使用は、先行技術で評価または示唆されていな
い。
【0021】
C h e n 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 6 ,2 6 7 ,9 8 5 号 は 、 ト リ グ リ セ リ ド の 可 溶 化 を 改 善
するための方法および治療薬の改善された送達を開示する。開示された製剤は、2種の界
面活性剤、トリグリセリドならびにトリグリセリド、担体またはトリグリセリドおよび担
50
(9)
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体の両方の中に可溶化され得る治療薬の組み合わせを含む。985特許は、セルトラリン
、場合によって、シクロデキストリンのような可溶化剤の使用を示唆し、シクロデキスト
リンとしては、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン(HPCD)、スルホブチルエー
テルシクロデキストリンおよびシクロデキストリンのスルホブチルエーテル結合体のよう
なシクロデキストリン誘導体が挙げられる。HPCDが、好ましいシクロデキストリンで
ある。SAE−CD、セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水性液体経口投薬
形態は示唆されていない。
【0022】
P a t e l 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 6 ,2 9 4 ,1 9 2 号 は 、 治 療 有 効 量 の 疎 水 性 治 療 薬 を
可溶化し得る、トリグリセリドを含まない経口医薬組成物を開示する。開示された製剤は
10
、親水性界面活性剤および疎水性界面活性剤の組み合わせた担体を含有し、この組成物は
、実質的に水および選択された脂肪酸のグリセロールトリエステルを含まない。192特
許は、セルトラリン、場合によってシクロデキストリンのような可溶化剤の使用を示唆し
、シクロデキストリンとしては、HPCDのようなシクロデキストリン誘導体およびスル
ホブチルエーテルシクロデキストリンが挙げられ得る。HPCDが好ましいシクロデキス
トリンである。SAE−CD、セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水性液体
経口投薬形態は、示唆されていない。
【0023】
C h e n 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 6 ,3 8 3 ,4 7 1 号 は 、 少 な く と も 1 種 の イ オ ン 化 官 能
基および担体を有する疎水性治療薬を含有する、溶液であり得る医薬組成物を開示する。
20
担体としては、官能基をイオン化し得るイオン化剤、界面活性剤、場合によって可溶化剤
、トリグリセリドおよび中和剤が挙げられる。471特許は、シクロデキストリン(これ
らとしては、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン(HPCD)、スルホブチルエーテ
ルシクロデキストリンおよびシクロデキストリンのスルホブチルエーテル結合体のような
シクロデキストリン誘導体が挙げられる)が、適切な可溶化剤であり得ることを開示する
。セルトラリンは、医薬組成物中に含有され得る薬物として列挙される。SAE−CD、
セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水性液体経口投薬形態は、示唆されてい
ない。
【0024】
Hsu等に対する米国特許公開番号20020192302は、抗うつ薬および基本的
30
な浸透エンハンサーを投与することによって体表面を通り抜ける抗うつ薬の流れを増加さ
せ る 方 法 を 開 示 す る 。 こ の 方 法 の た め に 使 用 さ れ る 製 剤 の p H は 、 8 .0 ∼ 1 3 .0 の 間 で
あることがクレームされている。302出願は、水溶液を開示し、そして抗うつ薬の例と
してセルトラリンを開示する。第二の浸透エンハンサーを添加し得、これとしてはシクロ
デキストリンエンハンサーが挙げられる。302出願は、可溶化またはテイストマスクの
ためのシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の使用を開示していない。S
AE−CD、セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水性液体経口投薬形態は、
示唆されていない。
【0025】
Chen等に対する米国特許公開番号20020156066は、活性成分および水溶
40
性ポリマーを含有する固体分散体を製造するためのプロセスを開示する。このプロセスは
、活性成分および水溶性ポリマーが揮発性有機溶媒および水の共溶媒中に溶解されている
溶液を製造する工程を包含する。セルトラリンおよびその酸付加塩がクレームされている
。066出願はまた、溶液が薬学的に受容可能な担体上にスプレーされるプロセスをクレ
ームしている。クレームされた担体としては、α−、β−およびγ−シクロデキストリン
ならびにヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンが挙げられる。しかし、066出
願は、プロセスの溶液中の、水溶性ポリマーとしてのシクロデキストリンの使用をクレー
ムも教示もしていない。SAE−CD、セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク
水性液体経口投薬形態は、示唆されていない。
【0026】
50
(10)
JP 2007-536228 A 2007.12.13
Vandecruysに対する米国特許公開番号20020150616は、やや溶け
にくい水溶性薬物化合物、シクロデキストリン、生理的に許容される水溶性酸および生理
的に許容される水溶性有機ポリマーを含有する医薬組成物を開示する。616出願は、水
性組成物の潜在的用途を開示するが、教示していなく、そして実質的に水を含まない組成
物が好ましいことを開示する。616出願は、やや溶けにくい水溶性薬物としてのセルト
ラリンおよび生理的に許容される水溶性の置換もしくは非置換シクロデキストリンを開示
する。スルホブチルエーテルシクロデキストリンは、出願に開示される。SAE−CD、
セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水性液体経口投薬形態は、示唆されてい
ない。
【0027】
10
C h e n 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 6 ,7 2 0 ,0 0 1 号 は 、 多 官 能 性 活 性 成 分 の 送 達 の た め
の薬学的水中油型乳剤を開示し、ここで乳剤は、水相、乳化剤および油相を含んでいる。
セルトラリンは、多官能性活性成分としてクレームされている。001特許はまた、乳化
剤、ポリオールと脂肪酸との反応混合物、グリセリド、植物油、硬化植物油、またはステ
ロールをクレームしている。シクロデキストリンはポリオールの例として開示されている
。SAE−CD、セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水性液体経口投薬形態
は、示唆されていない。
【0028】
Patel等に対する米国特許公開番号20020012680は、疎水性治療薬、な
らびに少なくとも1種の親水性界面活性剤および少なくとも1種の疎水性界面活性剤を含
20
有する担体を含む、トリグリセリドを含まない医薬組成物を開示する。この出願は、適切
な疎水性治療薬としてのセルトラリンの使用をクレームしているが、教示していない。ク
レームされた製剤は、可溶化剤をさらに含み得、これはスルホブチルエーテルシクロデキ
ストリンであり得る。SAE−CD、セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水
性液体経口投薬形態は、示唆されていない。
【0029】
C h e n 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 6 ,7 2 0 ,0 0 3 号 は 、 非 結 晶 質 塩 酸 パ ロ キ セ チ ン ま た
は塩酸セルトラリンを製造するための方法を開示する。この方法は、塩酸パロキセチンま
たは塩酸セルトラリンおよび水溶性ポリマーが揮発性有機溶媒と水との共溶媒中に溶解さ
れている溶液を製造する工程を包含する。次いで、溶液を乾燥させ、非結晶質塩酸パロキ
30
セチンまたは塩酸セルトラリンおよび水溶性マトリクスを含有する組成物を得る。シクロ
デキストリンは、水溶性ポリマーまたは薬物含有溶液がスプレーされた担体としての使用
が示唆されている。SAE−CD、セルトラリンおよび水を含有するテイストマスク水性
液体経口投薬形態は、示唆されていない。
【0030】
S t e l l a 等 に 対 す る 米 国 特 許 第 5 ,1 3 4 ,1 2 7 号 お よ び 同 第 5 ,3 7 6 ,6 4 5 号
は、SAE−CDおよび薬物を含有する組成物を開示している。セルトラリンは使用され
得る薬物のリストに含まれていない。さらに、Stella等は、SAE−CD、セルト
ラリンおよび水を含有するテイストマスク水性液体経口投薬形態は、示唆していない。
【0031】
40
改善された味を有するセルトラリン経口液体投薬形態は、治療への不従順(non−c
ompliance)という問題に関して有用であり、この問題は、外来患者の50%ま
でにも影響を与えると考えられ、そして高齢患者、小児患者および精神病患者において特
に問題のようである(B.Blackwell,Drug Therapy:Patie
nt Compliance,N.Engl.J.Med.1973,289(5):2
49−52)。アルコールを含まないセルトラリン製剤はまた、ANTABUSE
( R )
(
ジスルフィラム)または危険もしくは他の受容不可能なアルコールとの薬物相互作用の可
能性を有する他の治療薬を同時に服用する対象において相互作用を排除するので有用であ
る。即座に使用可能な(ready−to−use)液体製剤(投与前に希釈する必要の
ない製剤)はまた投与前の投薬操作の必要性が少なく、希釈溶媒の購入および/または入
50
(11)
JP 2007-536228 A 2007.12.13
手の必要がなく、そして希釈剤と製剤との潜在的な化学的および物理的相互作用が排除さ
れるので、有用である。従って、受容可能な味および特性を有するセルトラリンの代替的
な即座に使用可能な液体投薬形態についての当該分野における必要性が存在する。
【0032】
ZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤の存在下における固有の不利益を克服し得る公知の技術
はなく、そして改善された製剤の必要性が残っている。より受容可能な味を有し、使用前
に希釈する必要がなく、アルコールと相互作用することが公知の他の薬物および製剤と相
互作用する可能性が低く、種々の保存条件下および使用条件下において化学的および物理
的安定性を維持し、そして微生物増殖に耐性である改善された製剤の必要性が残ってい
る。さらに、本明細書中にクレームしている本発明は、どの技術にも開示または示唆され
10
ていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、他の公知の製剤固有のいくつかまたは全ての不利益を克服しようとする。本
発明は、水、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)、セルトラリ
ン(または任意のそれらの薬学的に受容可能な塩)、場合によって、1種またはそれ以上
の薬学的に受容可能な賦形剤を含有するテイストマスク水性経口液体製剤を含む医薬組成
物を提供する。SAE−CDが、セルトラリンのテイストマスクに主として関与する。特
定のセルトラリンの薬学的に受容可能な塩としては、塩酸塩およびメシレート塩が挙げら
20
れる。本発明のテイストマスク製剤は、単回用量製剤または複数用量製剤であり得る。製
剤が微生物で汚染され始めると、微生物増殖の速度が停止または減速するのに十分な量で
SAE−CDが存在する場合、クレームされた製剤はまた、微生物増殖に対して自己保存
することを本発明者らは確定している。本発明の製剤はまた、ZOLOFT
( R )
経口製剤
および他のシクロデキストリンベースの製剤よりも改善された光化学安定性を有する。
【0034】
本発明の液体製剤が透明であるために、SAE−CD対セルトラリンのモル比は、少な
く と も 約 0 .9 8 で あ る べ き で あ る 。 こ の モ ル 比 は 、 受 容 可 能 な テ イ ス ト マ ス ク を 提 供 す
るのに十分である;しかし、SAE−CDによって結合されるセルトラリンの割合を増大
することによって味が改善されることが見出されているので、より高いモル比がさらにも
30
っと改善されたテイストマスクをもたらす。特定の実施形態に従って、SAE−CD対セ
ル ト ラ リ ン の モ ル 比 は 、 少 な く と も 約 1 .1 : 1 、 1 .5 : 1 、 2 .0 : 1 、 5 .0 : 1 、 1
0:1または20:1である。
【0035】
本発明はまた、快い味であり、薬学的に安定であり、そして投与前に希釈する必要がな
いセルトラリンのSAE−CDベースの経口溶液を提供する。
【0036】
特定の実施形態としては、以下のものが挙げられる;1)スルホアルキルエーテルシク
ロデキストリンが透明溶液を提供するのに十分な量で存在する;2)セルトラリンが治療
有 効 量 で 存 在 す る ; 3 ) S A E − C D 対 セ ル ト ラ リ ン の モ ル 比 が 約 0 .9 5 ∼ 1 0 の 範 囲
40
である;4)セルトラリンが約2∼40mg/mLの濃度で存在する;5)SAE−CD
が約20∼700mg/mL(または2∼70質量/体積%)の濃度で存在する;6)少
なくともSAE−CDおよびセルトラリンを含有する再構成可能な固体の水溶液を用いる
再構成によって液体製剤が製造される、ここで再構成可能な固体は本明細書中で定義され
る;7)製剤が対象に経口投与される前に希釈する必要がない;8)SAE−CDはスル
ホブチルエーテル4−β−CDまたはスルホブチルエーテル7−β−CDである;9)S
AE−CDが式1(以下)の化合物またはそれらの化合物の混合物である;10)製剤が
可溶化剤、矯味矯臭剤、甘味料、粘度誘発剤、酸化防止剤、緩衝化剤、酸性化剤、複合体
化促進剤、凍結乾燥助剤(例えば、充てん剤もしくは安定剤)、電解質、他の治療薬、ア
ルカリ性化剤、抗菌剤、抗真菌剤またはそれらの組み合わせをさらに含有する;11)液
50
(12)
JP 2007-536228 A 2007.12.13
体製剤が凍結乾燥または他の方法で乾燥させられて、再構成可能な固体を形成する;12
)非水性であり、グリセリン、アルコール(12%)、メントール(フレーバー)および
ブチル化ヒドロキシトルエンを含有するZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤よりも製剤がより
受容可能な味を有する;13)シクロデキストリンを含有しない水性製剤よりも製剤が受
容可能な味を有する;14)等モル濃度の別の誘導体化されているか、もしくは誘導体化
されていないシクロデキストリンを含有する水性製剤よりも製剤がより受容可能な味を有
する;15)セルトラリンの沈殿を伴わずに、液体製剤が水性ベースの希釈剤で希釈可能
である;16)紫外線または蛍光灯に曝された場合、ZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤と比
較して、液体製剤は改善された光化学安定性を有し、そして分解されにくい;17)顕著
な沈殿を伴わずに、液体製剤は市販のレモン/ライムソーダ、ジンジャーエール、コーラ
10
、オレンジジュースまたはリンゴジュースで希釈可能である;18)患者に投与される場
合、製剤がZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤と等価な薬物動態を示す;および/または19
)紫外線または蛍光灯供給源からの光に曝された場合、SAE−CDが等量の別のシクロ
デキストリン(例えば、HP−β−CD)によって置き換えられた製剤よりも、液体製剤
は化学分解を受けにくい。
【0037】
水、ジンジャーエール、レモン/ライムソーダ、レモネードまたはオレンジジュースで
希釈された場合、ZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤よりも、製剤はまたより受容可能な(お
いしい)味を有する。
【0038】
20
本発明の別の局面は、再構成可能な固体からテイストマスク水性液体経口製剤を製造す
る方法を提供し、本方法は以下の工程を包含する:
セルトラリン、SAE−CD、場合によって、少なくとも1種の他の薬学的賦形剤を含
有する再構成可能な固体を提供する工程、ここで固体が水性液体で再構成可能であり、そ
し て S A E − C D 対 セ ル ト ラ リ ン の モ ル 比 が 少 な く と も 約 0 .9 5 ま た は 少 な く と も 約 0 .
98である、工程;および
再構成可能な固体を少なくとも懸濁するのに十分な量の水性液体担体で固体を再構成し
、それによってテイストマスク水性液体経口製剤を形成する工程。
【0039】
本発明の特定の実施形態としては、以下のものが挙げられる:1)液体製剤が懸濁液で
30
ある;2)添加される液体担体の量が透明液体製剤を提供するのに十分である;3)本方
法が、再構成可能固体と水性液体担体を混合する工程をさらに包含する;4)再構成後、
液体製剤がさらなる希釈を必要とせずに、対象への投与の準備ができている;5)製剤が
1∼110mg/mL、2∼50mg/mLまたは2∼20mg/mLの範囲のセルトラ
リンの濃度を有する濃縮物である;6)製剤のpHが、セルトラリンのpKaに近似する
か、またはそれ未満である;7)製剤のpHが約2∼7の範囲である。
【0040】
本発明はまた、セルトラリンを投与する方法を提供し、スルホアルキルエーテルシクロ
デキストリンおよびセルトラリンまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を含有する即座に
使用可能な液体製剤を経口投与する段階を包含する。
40
【0041】
本発明の方法の特定の実施形態としては、以下のものが挙げられる:1)液体製剤は経
口投与される;2)本発明に従って、本方法は、投与前に水性液体担体を用いて濃縮物を
希釈し、それによって即座に使用可能な液体製剤を提供する工程をさらに包含する;3)
本発明に従って、本方法は、水性液体担体と再構成可能な固体とを混合することによって
液体製剤を形成する工程をさらに包含する;4)液体製剤が、本明細書に記載されるよう
に製造される;5)ZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤と比較して、液体製剤がアルコールと
の所望でない相互作用を有することが公知であるジスルフィラムまたは他の薬理学的活性
剤と所望でない薬理学的相互作用をほとんどまたは全く相互作用しない;6)ZOLOF
T
( R )
経口濃縮製剤と比較して、液体製剤が、等価なまたは改善された化学安定性を提供
50
(13)
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する;および/または7)液体製剤が、ZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤と同等の薬物動態
特性および/または薬力学的特性を提供する。
【0042】
本発明はまた、セロトニン作動系の状態によって引き起こされる疾患または症状を治療
または予防する方法を提供し、本方法は、本発明の水溶液をそれらを必要な患者に経口投
与する段階を包含する。本発明の特定の実施形態としては、以下のものが挙げられる:1
)疾患または症状が、うつ病、拒食症、薬物依存、不安関連障害(例えば、パニック障害
、強迫性障害、全般性不安障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害および回避的人格障害
)、早漏、癌および心筋梗塞後症候群からなる群から選択される;2)製剤が、ZOLO
FT
( R )
経口濃縮物に対する投薬量および投薬実施方法に従って投与される。
10
【0043】
本発明はまた、セルトラリンまたはそれらの薬学的に受容可能な塩のSAE−CDベー
スの水溶液を製造する方法を提供する。
【0044】
本発明の別の局面は、SAE−CDを含有する第一の医薬組成物およびセルトラリンま
たはそれらの薬学的に受容可能な塩を含有する第二の医薬組成物を備えるキットを提供す
る。
【0045】
本発明の他の性質、利点および実施形態は、以下の説明、添付の実施例によって当業者
に明らかとなる。
20
【0046】
以下の図面は、本明細書の一部であり、そして本発明の特定の局面をさらに示すことを
包含する。本明細書中に存在する特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて1つまたは
それ以上のこれらの図面を参照することによって、本発明はより理解し得る。
【0047】
図1は、水中で塩酸セルトラリンおよびSBE7−β−CD、γ−CDまたは2−ヒド
ロキシプロピル−β−CDを用いて行った室温相溶解度研究から得られたデータを示す。
図2は、セルトラリン含有製剤を用いて投薬した後のヒト対象者の血漿中のセルトラリ
ン濃度を示す。
図3は、種々のpH値での、0、10または20%w/vのスルホブチルエーテル−7
−β−シクロデキストリン(Captisol
( R )
30
)を含む溶液中の塩酸セルトラリンの
溶解度を示す。
【0048】
セルトラリンまたはそれらの薬学的に受容可能な塩およびスルホアルキルエーテルシク
ロデキストリンを含有する本発明に従う製剤は、先行技術のセルトラリン製剤に存在する
いくつかのまたは全ての公知の不利益を克服する。本発明の製剤は、意図的に添加される
任意のエチルアルコールを実質的に含まず、物理的および化学的に安定であり、そして市
販の非シクロデキストリンベースの水性液体経口投薬形態および他のシクロデキストリン
ベースの水性液体経口投薬形態と比較して、改善された味を有する。即座に使用可能な(
すなわち、すぐに投与できる)形態に製造される場合、本発明の液体製剤は、投与前に希
40
釈する必要がない。さらに、本発明の製剤は、患者に経口投与される場合、ZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤と実質的に等価な薬物動態を示す。濃縮物として存在する場合、本発明
の製剤はまた、沈殿物を形成することなく、広範囲の水性ベースの希釈剤中に希釈可能で
ある。
【0049】
本明細書中で使用される場合、そして他の特定されない限り、用語「セルトラリン」と
は、全ての中性の、遊離塩基の、結晶性、非結晶性、無定形および多形の形態の全てのセ
ルトラリンを包含する。セルトラリンは、本製剤中に使用する前は無水形態または水和物
形態で存在し得る。セリトラリンの好ましい塩は、薬学的に受容可能な塩である。本明細
書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」とは、セルトラリンの誘導体をいい、
50
(14)
JP 2007-536228 A 2007.12.13
ここで活性剤は、イオン化結合対を形成するのに必要とされる酸とそれを反応させること
によって修飾される。薬学的に受容可能な塩の例としては、形成される親化合物の慣用的
な非毒性塩または第四級アンモニウム塩(例えば、非毒性無機酸または有機酸)が挙げら
れる。適切な非毒性塩としては、塩酸、塩化臭素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミン酸
、リン酸、硝酸および他の当業者に公知の酸のような無機酸に由来するものが挙げられる
。他の塩は、アミノ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン
酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マ
レイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸
、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンス
ルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、オキサル酸、イセチオン酸および他
10
の当業者に公知の酸のような有機酸から製造される。他の適切な塩のリストは、Remi
ngton’s Pharmaceutical Sciences,第17編,Mac
k Publishing Company,Easton,PA,1985に見出され
、これらの関連する開示は、本明細書に参照によって組み入れられる。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「再構成可能な固体(再構成可能な組成物)」とは
、水性液体媒体中に溶解し、再構成液体を形成し得る固体を意味し、ここで溶解後、液体
媒体は投与に適切である。1つの実施形態において、再構成可能な固体は、視覚的に透明
であるテイストマスク液体製剤を形成する。別の実施形態において、液体製剤は、テイス
トマスク懸濁液である。本発明に従う再構成可能な医薬製剤は、セルトラリン、SAE−
20
CD、場合によって、少なくとも1種の他の薬学的賦形剤を含有し、ここでSAE−CD
対セルトラリンのモル比は、本明細書中で定義される通りである。再構成可能な固体は、
SAE−CDおよびセルトラリン、場合によって、固体を形成するための他の成分を含有
する水性液体溶液から液体媒体を除去することによって製造され得る。再構成可能な固体
組成物は、セルトラリンの大部分が再構成の前にSAE−CDと複合体化しないように、
固体SAE−CDおよびセルトラリン含有固体、場合によって、少なくとも1種の薬学的
賦形剤の混合物を含有し得る。あるいは、組成物は、SAE−CD、セルトラリン、場合
によって、少なくとも1種の他の薬学的賦形剤の固体混合物を含有し得、ここでセルトラ
リンの大部分が再構成の前にSAE−CDと複合体化する。再構成可能な固体は、一般的
に、8質量%未満の水を含有する。再構成可能な固体製剤は、市販されるZOLOFT
)
( R
30
経口濃縮製剤と比較して、セルトラリンの同等かまたは改善した化学安定性を提供する
。この組成物は、水溶液を用いて再構成され、セルトラリンおよび対象者に経口投与し得
る他の薬剤を含有する液体製剤を形成する。再構成可能な製剤の製造に使用される液体製
剤は、希釈または濃縮された液体製剤について本明細書中に記載される通りに製造され得
る。また典型的に本発明の液体製剤に使用されるよりも大きな濃度でSAE−CDおよび
セルトラリンを含有するようにも製造され得るが、SAE−CD対セルトラリンの同じモ
ル比は維持される。本発明に従ういずれの組成物もSAE−CDを含有する別の液体に溶
解または希釈され得ることを、出願者は気づいている。
【0051】
再構成可能な組成物は、以下のいずれかの方法に従って製造され得る。最初に本発明の
40
液体製剤を製造し、次いで凍結乾燥(フリーズドライ)、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、真空
乾燥、貧溶媒(antisolvent)沈殿、超臨界もしくは超臨界付近の液体を利用
する種々の方法、または再構成に適切な粉末または固体を構成するための液体製剤の当業
者に公知の他の方法によって固体を形成する。上で述べたように、再構成可能な固体は、
乾燥成分の混合物であり得、過剰な水分の非存在下(すなわち、湿度は約60%RH未満
であるべきである)、成分を物理的に混合することによって製造する。
【0052】
再構成可能な固体は、粉末、ガラス様固体、多孔質固体、粒状物、ペレット、ビーズ、
圧縮固体または粒子であり得る。
【0053】
50
(15)
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本発明に従うSAE−CD含有組成物または製剤に関して使用される場合、用語「希釈
可能な」とは、SAE−CDおよびセルトラリンを含有する液体製剤をいい、ここで、製
剤は、好ましくはセルトラリンが顕著に沈殿することなく(すなわち、沈殿が生じた場合
、約3質量%未満またはそれと等しいセトラリンである)、室温(例えば約20℃∼28
℃の温度のような周囲温度)で、透明水性液体担体でさらに希釈し得るのと同時に、約0
.1 5 ∼ 5 m g / m L の セ ル ト ラ リ ン 濃 度 に 希 釈 し た 場 合 に 最 終 的 な 透 明 溶 液 を 提 供 す る
。希釈可能なSAE−CDおよびセルトラリン含有製剤が、不透明溶液で希釈される場合
、得られた混合物は、透明であってもなくてもよい。希釈可能なSAE−CDおよびセル
トラリン含有液体が、SAE−CDを含有しない別の溶液で希釈され得、そして得られた
希釈溶液は、好ましくは、顕著なセルトラリンの沈殿をもたらすことなく、低濃度の可溶
10
化セルトラリンを有する。
【0054】
本発明の液体製剤を希釈するための液体の例としては、炭酸飲料、非炭酸飲料およびジ
ュースのような市販飲料が挙げられる。炭酸飲料の例としては、フレーバーソーダおよび
非フレーバーソーダ(フレーバーは、コーラ、レモン、ライム、ルートビール、風船ガム
、サクランボ、オレンジおよび他のフレーバーまたはそれらの混合物である)が挙げられ
る。ジュースの例としては、リンゴ、レモン、ライム、オレンジ、ブドウ、サクランボ、
クランベリー、グレープフルーツ、イチゴ、キウィ、ラズベリー、ブルーベリー、ブラッ
クベリー、デューベリー、タンジェリン、パイナップル、スイカ、カンタロープメロン、
ジンジャー、グアバ、マンゴ、パパイヤ、プラム、アプリコット、西洋ナシ、モモ、ネク
20
タリン、ザクロおよび他のジュースまたはそれらの混合物が挙げられる。従って、本発明
により希釈可能でないSAE−CDおよびセルトラリン含有溶液は、別の溶液で希釈した
場合に顕著な量(活性物質の>3質量%)の沈殿を形成する。
【0055】
希釈溶液中のセルトラリン対SAE−CDの最終モル比が本明細書中に記載されるよう
な必要範囲内である限り、室温にて水で希釈不可能な溶液が、SAE−CDを含有する水
溶液で希釈可能になることが言及されるべきである。従って、本発明は以前に希釈不可能
であったセルトラリン含有溶液(本明細書中に定義される通り)を希釈可能にする方法を
提供し、以前に希釈不可能な溶液をSEA−CDを含有する第二の溶液で希釈する工程を
包含し、希釈溶液中のSAE−CD対セルトラリンのモル比は本明細書中に定義される通
30
りである。
【0056】
温度は、溶液の希釈可能性に影響し得る。一般的に、溶液が希釈可能であるか否かの決
定は、約25℃または周囲温度(例えば、20℃∼28℃)で行われる。約25℃で希釈
不可能な溶液は、>30℃、>40℃、>50℃またはそれ以上のような高温で希釈する
ことにより、室温の水で希釈可能になり得る。この加熱希釈は、最初に25℃の溶液を加
熱溶液で希釈することにより、または最初に周囲温度で2つの溶液を混合して加熱するこ
とによって行われ得る。あるいは、2つの溶液を別個に加熱し、次いで混合し得る。
【0057】
周囲温度でのSAE−CDおよびセルトラリン含有溶液の希釈可能性は、混合する前に
溶液を典型的に加熱しない薬が使用される状況において特に重要である。従って、本発明
は、界面活性剤、有機溶剤、石鹸、洗浄剤または他のこのような化合物を必要とすること
なく、周囲温度で希釈し得るセルトラリン溶液を提供する。
【0058】
本明細書中で使用される場合、薬学的に受容可能な液体担体は、経口または非経口製剤
を希釈または溶解するために薬学で用いられる任意の水性媒体である。
【0059】
本発明の製剤は、セルトラリンおよび式1:
40
(16)
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【化2】
10
のスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含有する:
ここで:
nは、4、5または6であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して−O−また
-
は−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 基であり、ここで、R1およびR2の少なくとも
-
1つは、独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 基、好ましくは−O−(CH2
20
-
)mSO3 基であり、ここで、mは2∼6、好ましくは2∼4(例えば−OCH2CH2C
-
-
H2SO3 または−OCH2CH2CH2CH2SO3 )であり;そして
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9は、それぞれ独立して、薬学的に
+
+
受容可能なカチオンであり、これには、例えばH 、アルカリ金属(例えば、Li 、Na
+
+
、K )、アルカリ土類金属(例えば、Ca
+ 2
、Mg
+ 2
)アンモニウムイオンおよびアミ
ンカチオン(例えば、(C1−C6)−アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、(C1−
C6)−アルカノールアミンおよび(C4−C8)−シクロアルカノールアミンが挙げられ
る。
【0060】
液体または固体製剤に使用されるSAE−CDは、Stella等に対する米国特許第
30
5 ,3 7 6 ,6 4 5 号 お よ び 同 第 5 ,1 3 4 ,1 2 7 号 に 記 載 さ れ て 、 そ れ ら の 開 示 全 体 は 本
明細書に参照によって組み入れられる。製造方法は、適切な温度(例えば、70℃∼80
℃)で、シクロデキストリンを可能な最も高い濃度で水性塩基中に溶解する工程を包含し
得る。例えば、本明細書中のシクロデキストリン誘導体を製造するために、存在する第一
級CDヒドロキシル基のモル数に対応する適切な量のアルキルスルトンを、不均質相の最
大限の接触が確保されるように激しく撹拌しながら添加する。
【0061】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレン」および「アルキル」(例えば、−O
-
−(C2−C6−アルキレン)SO3 基中またはアルキルアミン中)とは、それぞれ直鎖、
環式および分枝、飽和および不飽和(すなわち、1つの二重結合を含む)の二価アルキレ
40
ン基および一価アルキル基を包含する。本明細書中の用語「アルカノール」とは、同様に
、アルカノール基の直鎖、環式および分枝、飽和および不飽和のアルキル成分の両方を包
含し、ヒドロキシル基は、アルキル部分のいずれかの位置にあり得る。用語「シクロアル
カノール」とは、非置換のまたは置換(例えば、メチルまたはエチルによって)の環式ア
ルコールを包含する。
【0062】
SAE−CD誘導体の例としては、SBE4−β−CD、SBE7−β−CD(CAP
TISOL
( R )
シクロデキストリン)、SBE11−β−CD、SBE5−γ−CDおよ
びSBE9−γ−CDが挙げられ、これらは、それぞれ、n=5、5、5、6および6で
あり;mが4であり;かつそれぞれ、平均4、7、11、5および9個のスルホアルキル
50
(17)
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エーテル置換基が存在する式1のSAE−CD誘導体に対応する。これらのSAE−CD
誘導体は、セルトラリンのような水溶性が乏しい薬物の溶解度を、先行技術に示唆または
開示されていない方法で種々の程度まで上昇させることが見出されている。
【0063】
SAE−CD誘導体の他の例としては、式SAEx−R−CD(式2)のものが挙げら
れ、ここでSAEは、スルホメチルエーテル(SME)、スルホエチルエーテル(SEE
)、スルホプロピルエーテル(SPE)、スルホブチルエーテル(SBE)、スルホペン
チルエーテル(SPtE)またはスルホヘキシルエーテル(SHE)であり;R(親シク
ロデキストリンの環構造)がそれぞれ、α、βまたはγである場合、x(平均または特定
の置換度)は、1∼18、1∼21、1∼24であり;かつCDがシクロデキストリンで
10
ある。
【0064】
本発明は、式(1)に示した構造を有するシクロデキストリン誘導体の混合物を含有す
る組成物を提供し、組成物は、全体として、シクロデキストリン分子1個あたり平均して
少なくとも1個そして多くとも3n+6個のアルキルスルホン酸部分を含む。本発明はま
た、単一型のシクロデキストリン誘導体、または少なくとも50%の単一型シクロデキス
トリン誘導体を含有する組成物を提供する。
【0065】
他の式1のSAE−CD化合物が、本発明の液体製剤に使用され得ることが理解される
べきである。これらの他のSAE−CD製剤は、スルホアルキル基によるそれらの置換度
20
、スルホアルキル鎖中の炭素数、それらの分子量、SAE−CDの形成に使用した基礎シ
クロデキストリンに含まれるグルコピラノース単位の数および/またはそれらの置換パタ
ーンが、SBE7−β−CDとは異なる。さらに、スルホアルキル基を用いるβ−シクロ
デキストリンの誘導体化は、厳密な様式ではないが制御された様式で起きる。この理由の
ために、置換度は、実際に、シクロデキストリンあたりのスルホアルキル基の平均数を表
す数である(例えば、SBE7−β−CDはシクロデキストリンあたり平均7個の置換基
を有する)。さらに、シクロデキストリンのヒドロキシル基の置換の位置化学(regi
ochemistry)は、ヘキソース環の特定のヒドロキシル基の置換に関して変動し
得る。この理由のために、異なるヒドロキシル基のスルホアルキル置換は、SAE−CD
の製造中に起きるようであり、そして特定のSAE−CDは独占的または特異的ではない
30
が優先的な置換パターンを有する。上記を仮定すると、特定SAE−CDの分子量は、バ
ッチ毎に変動し得、そしてSAE−CD毎に変動する。これらの変動の全ては、複合体化
平衡定数の変化を導き得、これは次にSAE−CD対セルトラリンの必要なモル比に影響
する。平衡定数はまた、温度によっても幾分変動し得、そして製造、貯蔵、輸送および使
用中に起こり得る温度変動の間に、薬剤が可溶化されたままであるような比率の許容が必
要である。平衡定数はまた、pHによっても変動し、そして製造、貯蔵、輸送および使用
中に起こり得るpH変動の間に、薬剤が可溶化されたままであるような比率の許容が必要
である。平衡定数はまた、他の賦形剤(例えば、緩衝化剤、防腐剤、酸化防止剤)の存在
によっても変動する。従って、上記の変動を補償するために、本明細書中に示される比率
からSAE−CD/セルトラリンの比率を変動(±)させる必要があり得る。
40
【0066】
本発明のシクロデキストリン誘導体が、精製組成物として得られる(すなわち、存在す
るシクロデキストリンの全量、未反応の親シクロデキストリンを含有するシクロデキスト
リンのバランスに関して少なくとも90質量%または95質量%のシクロデキストリン誘
導体を含有する組成物)。好ましい実施形態において、少なくとも98質量%のシクロデ
キストリン誘導体を含有する精製組成物が得られる。本発明のいくつかの組成物において
、未反応のシクロデキストリンは実質的に除去され、残りの不純物(すなわち、5質量%
未満の組成物)はシクロデキストリン誘導体含有組成物の機能に対して重要でない。
【0067】
他の実施形態に従って、SAE−CD中に存在する未反応の親シクロデキストリンの量
50
(18)
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は、シクロデキストリンの全乾燥量を基にして、SAE−CDの約50質量%まで、約4
0質量%未満、30質量%未満または20質量%未満である。
【0068】
「セルトラリン/SAE−CD複合体」により、一般的に、式(1)のスルホアルキル
エーテルシクロデキストリン誘導体とセルトラリンとの包接化合物または包接複合体を意
味する。複合体は、二元複合体または三元複合体であり得る(セルトラリンの塩形態は複
合体化される)。分子複合体中に存在するSAE−CD:セルトラリンの比率は、変化し
得 、 そ し て モ ル 基 準 で 約 0 .9 5 ∼ 7 5 0 の 範 囲 で あ り 得 る 。 本 明 細 書 中 に 記 載 さ れ た 投
薬形態の別の実施態様において、SAE−CD:セルトラリンの比率は、モル基準で約0
.9 5 ∼ 約 2 0 の 範 囲 で あ る 。 従 っ て 、 S A E − C D は 、 一 般 的 に 、 過 剰 の セ ル ト ラ リ ン
10
中に存在するが、必ずしもそうである必要はない。過剰量は、薬剤固有の溶解度、予想さ
れる薬剤の用量および特定の薬物(薬剤)と特定のSAE−CDとの間の包接複合体形成
の結合定数によって決定する。
【0069】
「大部分」により、治療化合物の少なくとも約50質量%を意味する。種々の特定の実
施形態において、50質量%、60質量%、75質量%、90質量%または95質量%よ
りも大きいセルトラリンが、医薬製剤中でSAE−CDと複合体化され得る。複合体化さ
れる薬物の実際の割合は、セルトラリンに対する特定のSAE−CDの複合体化を特徴づ
ける複合体化平衡定数ならびに複合体化に利用可能なSAE−CDおよびセルトラリンの
濃度に従って変化する。SAE−CD:セルトラリンの一定のモル比において、SAE−
20
CDおよびセルトラリンの濃度の減少につれて、セルトラリンの遊離画分は増加する。遊
離画分とは、SAE−CDを含有する溶液中の複合体化していないセルトラリンの量をい
う。テイストマスクを向上させるために、セルトラリンの遊離画分は、最小化されるべき
で あ る 。 5 m g セ ル ト ラ リ ン / m L 、 お よ び S A E − C D : セ ル ト ラ リ ン モ ル 比 が 0 .9
5 で あ る よ う な 低 濃 度 に お い て 、 セ ル ト ラ リ ン の 遊 離 画 分 は 、 約 2 5 % ( 約 1 .2 5 m g
/mL)である。64mgセルトラリン/mL、およびSAE−CD:セルトラリンモル
比 が 0 .9 8 で あ る よ う な 高 濃 度 に お い て 、 セ ル ト ラ リ ン の 遊 離 画 分 は 、 約 8 % ( 約 5 .5
mg/mL)である。例えば、実施例7の製剤は、セルトラリン(20mg/mL)、S
B E 7 − β − C D ( 1 7 質 量 / 体 積 % ) 、 水 、 お よ び 、 約 1 .3 の S A E − C D : セ ル ト
ラリンモル比を含有した。受容可能なテイストマスクを有するこの製剤は、約5%(1.
30
0mg/mL)のセルトラリン遊離画分を有する。
【0070】
従って、製剤の味が受容可能となる程度まで、SAE−CDは、セルトラリンの遊離画
分(濃度)を最小化するのに十分な量で製剤中に存在するべきである。一般的に、遊離セ
ル ト ラ リ ン の 濃 度 は 、 約 2 .0 m g / m L 未 満 、 約 1 .5 m g / m L 未 満 、 約 1 .0 m g /
m L 未 満 、 約 0 .5 m g / m L 未 満 、 0 .1 m g / m L 未 満 、 0 .0 5 m g / m L 未 満 、 0 .
005mg/mLであるべきである。
【0071】
図1は、約25℃でのセルトラリンとSBE7−β−CD、γ−CDまたはHP−β−
CD(pHを調節しない)との結合に対する相溶解度曲線を描く。シクロデキストリンの
40
低 モ ル 濃 度 ( 約 0 .0 8 M 未 満 ) に お い て 、 各 シ ク ロ デ キ ス ト リ ン に 対 す る 相 溶 解 度 曲 線
は非常に類似する。シクロデキストリンおよびセルトラリンの濃度の増加につれて、SB
E7−β−CDおよびHP−β−CDはγ−CDよりも優れている。
【0072】
即座に使用可能な製剤は、実施例7に従って製造され、そして投与前に希釈することな
く患者に経口投与された。比較のために、ZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤もまた、患者に
投与された。投薬間に14日間のウォッシュアウト期間が使用された。患者におけるセル
トラリンの血漿濃度は、投薬後の約72時間の間モニターされた。図2は、患者に製剤を
投与した後のセルトラリンについての血漿濃度プロフィールを示す。薬物動態に関して、
SAE−CDベースの製剤がZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤と実質的に同等であることを
50
(19)
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データは証明した。薬物動態データは、実施例9により詳細に要約される。
【0073】
実施例10の方法に従って、被験者が、SAE−CDベースの製剤およびZOLOFT
( R )
製剤の味を評価した。本発明の製剤は、ZOLOFT
( R )
製剤よりも著しく優れていた
。HP−β−CDとSAE−CDとのテイストマスクを比較するために、別の味試験を行
った。上記のように、HP−β−CDおよびCAPTISOL
( R )
が、この試験条件下、
セルトラリンに対してほぼ同じ結合定数を有することを本発明者らが見出したので、両方
が実質的に同レベルのテイストマスクを提供することを始めは推測した。驚いたことに、
SAE−CDは、HP−β−CDを越える改善したテイストマスクを提供した。
【0074】
10
Na−SAE−CD(SAE−CDのナトリウム塩)、HP−β−CDおよびγ−CD
を評価するために、さらなる研究を実施した。Na−SAE−CDは、セルトラリンに対
する結合定数が類似した場合、低濃度のCDでさえ、HP−β−CD(実施例10)およ
びγ−CDよりも著しく優れていた。
【0075】
上記のように、テイストマスクに関して、SAE−CDの機能は、スルホネート基に対
する特定の対イオンに従って変化し得る。テイストマスクの提供について、SAE−CD
のナトリウム塩形態、カルシウム塩形態およびアンモニウム塩形態を評価し、そして測定
した。利用された試験条件下、ナトリウム塩がテイストマスクの最も高いレベルを提供し
た。
20
【0076】
実施例8に詳細されるように、2つのSAE−CDベースの製剤(製剤BおよびC)、
HP−β−CDベースの製剤(製剤A)、γ−CDベースの製剤(製剤D)およびZOL
OFT
( R )
経口濃縮製剤(製剤E)の光化学安定性を評価した。各製剤の一部を、15日
間にわたって紫外線または蛍光灯に曝した。時点「0日目」および「15日目」で、溶液
のアリコートを回収し、そしてHPLCによって分析し、それらの不純物プロフィールを
決定した。クロマトグラムに現れる任意の新しいピークを、貯蔵の間に形成される分解物
に対応するように設計した。SAE−CDは、他のシクロデキストリンならびにZOLO
FT
( R )
経口濃縮製剤の両方よりも優れていた。SAE−CDを含有する製剤中でより少
ない数の分解物が形成され、そしてより少ない量の分解物が得られた。セルトラリンに対
30
して、これらの他のシクロデキストリンと類似の結合定数を与える他の2つのシクロデキ
ストリンよりもSAE−CDが優れていることは意外である。示されたSBE4−β−C
DおよびSBE7−β−CDの両方が、他の製剤よりも光化学安定性を改善した。
【0077】
SAE−CDを含有する本発明の製剤を実施例14に従って評価し、製剤に添加される
慣用的な防腐剤がSAE−CDによって結合され得るにもかかわらず、保存され得るか否
かを決定した。本発明に従って製造されたセルトラリン製剤が微生物増殖の遅延または保
存効果特性を有し、そして保存された経口溶液についてUSPおよびEPに示された基準
を合格することを結果に示す。すなわち、本明細書中で製造されるような水性液体製剤が
、利用される試験条件下、少なくとも試験された微生物に関して保存され得る。データは
実施例14に要約される。
【0078】
ZOLOFT
( R )
経口濃縮物についての添付文書は、製剤が投薬前に飲料で希釈されな
ければならないことを指示する。しかし、希釈は、しばしば付随するZOLOFT
( R )
の
沈殿物という問題がある。多数の異なる飲料を用いる本発明の製剤の希釈可能性を評価し
、そして同じ条件下でのZOLOFT
( R )
製剤の希釈可能性と比較した。実施例15に詳
細されるように評価を行った。以下の表に結果を示す。
【0079】
40
(20)
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【表1】
10
20
【0080】
ほとんど全ての場合において、示された飲料を用いて本発明のシクロデキストリン製剤
を希釈した後、顕著な沈殿は観察されなかった。他方では、ZOLOFT
( R )
経口濃縮物
30
は、試験されたほとんど全ての場合において、顕著な沈殿が示された。従って、本発明は
、一般的な飲料で希釈するのに適切なセルトラリンの透明水性経口液体製剤を提供する。
【0081】
沈殿の形成に関して、本発明の液体製剤の化学安定性は、液体担体のpHを調整するこ
とによって強化され得る。化学安定性はまた、液体製剤を固体または粉末製剤に変換する
ことによって強化され得る。
【0082】
液 体 製 剤 の p H は 、 一 般 的 に 約 p H 3 .0 ∼ 約 p H 7 .0 の 範 囲 に あ る ; し か し 、 よ り 高
いかまたはより低いpH値を有する液体製剤を製造し得る。図3は、可変量のSAE−C
Dを含有する溶液中のセルトラリンの溶解度に対する溶液pHの効果を決定するための研
40
究結果を示す。薬物溶解度は評価された範囲にわたってpHと無関係であることを、結果
は示す。シクロデキストリンによるセルトラリンの溶解性は、シクロデキストリン含有量
に依存するが、この同じ範囲にわたるpHには依存しない。
【0083】
本発明はまた、液体ビヒクルを含む第一の容器および上記のような再構成可能な固体医
薬組成物を含む第二の容器を備える薬学的キットを提供する。液体ビヒクルとしては、水
、デキストロース、生理食塩水、乳酸加リンガー溶液または液体医薬化合物の製造のため
の任意の他の薬学的に受容可能な水性液体ビヒクルのような水性液体担体が挙げられる。
【0084】
必須ではないが、本発明の製剤は、酸化防止剤、酸性化剤、アルカリ性化剤、緩衝化剤
50
(21)
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、充てん剤、抗凍結剤、密度調整剤、電解質、矯味矯臭剤、香料、グルコース、安定剤、
可塑剤、溶解促進剤、甘味料、界面活性剤、揮発調整剤、粘度調整剤、保存製剤に使用す
るための当業者に公知の他の賦形剤またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0085】
複合体化促進剤を、本発明の水性液体製剤に添加し得る。複合体化促進剤は、セルトラ
リンとSAE−CDとの複合体化を促進する化合物である。複合体化促進剤が存在する場
合、SAE−CD対セルトラリンの必要比は、より少ないSAE−CDが必要とされるよ
うに変更する必要があり得る。適切な複合体化促進剤としては、1種またはそれ以上の薬
学的に不活性な水溶性ポリマー、ヒドロキシ酸、および特定の薬剤とシクロデキストリン
との複合体化を促進するために液体製剤に典型的に使用される他の有機化合物が挙げられ
10
る。適切な水溶性ポリマーとしては、水溶性天然ポリマー、水溶性半合成ポリマー(例え
ば、セルロースの水溶性誘導体)および水溶性合成ポリマーが挙げられる。天然ポリマー
としては、イヌリン、ペクチン、アルギン誘導体および寒天のような多糖類ならびにカゼ
インおよびゼラチンのようなポリペプチドが挙げられる。半合成ポリマーとしては、セル
ロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース)、それらの混合エーテル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース)、および他の混合エーテル(例えば、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および
カルボキシメチルセルロース)およびその塩(特に、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム)が挙げられる。合成ポリマーとしては、ポリオキシエチレン誘導体(ポリエチレン
20
グリコール)およびポリビニル誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンお
よびポリスチレンスルホネート)、およびアクリル酸の種々のコポリマー(例えばカルボ
マー)が挙げられる。適切なヒドロキシ酸としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸および酒
石酸、ならびに当業者に公知の他のものを例として挙げるが、これらに限定されない。
【0086】
親水性ポリマーを使用して、シクロデキストリンを含有する製剤の機能を改善し得る。
Loftssonは、シクロデキストリンの機能および/または特性を強化するためにシ
クロデキストリン(誘導体化されていないまたは誘導体化されている)と合わせて使用す
るのに適切な多数のポリマーを開示している。適切なポリマーは、以下に開示される:P
harmazie(2001),56(9),746−747;Internation
30
al Journal of Pharmaceutics(2001),212(1)
,29−40;Cyclodextrin:From Basic Research to Market,International Cyclodextrin Sym
posium,10th,Ann Arbor,MI,United States,M
ay 21−24,2000(2000),10−15(Wacker Biochem
Corp.:Adrian,Mich.);PCT国際公開番号WO 9942111
;Pharmazie,53(11),733−740(1998);Pharm.Te
chnol.Eur.,9(5),26−34(1997);J:Pharm.Sci.
85(10),1017−1025(1996);欧州特許出願公開EP0579435
;Proceedings of the International Sympos
40
ium on Cyclodextrins,9th,Santiago de Com
ostela,Spain,May 31−June 3,1998(1999),26
1−264(Editor(s):Labandeira,J.J.Torres;Vi
la−Jato,J.L.Kluwer Academic Publishers,D
ordrecht,Neth);S.T.P.Pharma Sciences(199
9),9(3),237−242;ACS Symposium Series(199
9),737(Polysaccharide Applications),24−4
5;Pharmaceutical Research(1998),15(11),1
696−1701;Drug Development and Industrial
Pharmacy(1998),24(4),365−370;Internatio
50
(22)
JP 2007-536228 A 2007.12.13
nal Journal of Pharmaceutics(1998),163(1
−2),115−121;Book of Abstracts,216th ACS National Meeting,Boston,August 23−27(199
8),CELL−016,American Chemical Society;Jo
urnal of Controlled Release,(1997),44/1(
95−99);Pharm.Res.(1997)14(11),S203;Inves
tigative Ophthalmology&Visual Science,(1
996),37(6),1199−1203;Proceedings of the International Symposium on Controlled Re
lease of Bioactive Materials(1996),23rd,
10
453−454;Drug Development and Industrial Pharmacy(1996),22(5),401−405;Proceedings
of the International Symposium on Cyclo
dextrins,8th,Budapest,Mar.31−Apr.2,(1996
),373−376.(Editor(s):Szejtli,J.;Szente,L
.Kluwer:Dordrecht,Neth.);Pharmaceutical Sciences(1996),2(6),277−279;European Jou
rnal of Pharmaceutical Sciences,(1996)4(
SUPPL.),S144;Third European Congress of Pharmaceutical Sciences Edinburgh,Scotla
20
nd,UK September 15−17,1996;Pharmazie,(19
96),51(1),39−42;Eur.J.Pharm.Sci.(1996),4
( S u p p l . ) , S 1 4 3 ; 米 国 特 許 番 号 第 5 ,4 7 2 ,9 5 4 号 お よ び 同 第 5 ,3 2 4 ,
718号;International Journal of Pharmaceut
ics(Netherlands),(Dec.29,1995)126,73−78;
Abstracts of Papers of the American Chem
ical Society,(02 APR 1995)209(1),33−CELL
;European Journal of Pharmaceutical Scie
nces,(1994)2,297−301;Pharmaceutical Rese
arch(New York),(1994)11(10),S225;Interna
30
tional Journal of Pharmaceutics(Netherla
nds),(Apr 11,1994)104,181−184;およびInterna
tional Journal of Pharmaceutics(1994),11
0(2),169−77(これらの開示全体は参照として本明細書に組み入れられる)。
【0087】
他の適切なポリマーは、医薬製剤の分野で一般的に使用される周知の賦形剤であり、こ
れらとしては、以下に挙げられる:例えば、Remington’s Pharmace
utical Sciences,第18編,Alfonso R.Gennaro(e
ditor),Mack Publishing Company,Easton,PA
,1990,pp.291−294; Alfred Martin,James Sw
40
arbrick and Arthur Commarata,Physical Ph
armacy.Physical Chemical Principles in P
harmaceutical Sciences,第3編(Lea & Febinge
r,Philadelphia,PA,1983,pp.592−638);A.T.F
lorence and D.Altwood,(Physicochemical P
rinciples of Pharmacy,第2編,MacMillan Pres
s,London,1988,pp.281−334。本明細書に引用される参考文献の
全ての開示は、参照によって本明細書に組み入れられる。なお他の適切なポリマーとして
は、水溶性天然ポリマー、水溶性半合成ポリマー(例えば、セルロースの水溶性誘導体)
および水溶性合成ポリマーが挙げられる。天然ポリマーとしては、イヌリン、ペクチン、
50
(23)
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アルギン誘導体(例えば、アルギン酸ナトリウム)および寒天のような多糖ならびにカゼ
インおよびゼラチンのようなポリペプチドが挙げられる。半合成ポリマーとしては、セル
ロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース)、それらの混合エーテル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース)、および他の混合エーテル(例えば、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒ
ドロキシプロピルエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、お
よびカルボキシメチルセルロース)およびその塩(特に、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム)が挙げられる。合成ポリマーとしては、ポリオキシエチレン誘導体(ポリエチ
レングリコール)およびポリビニル誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ンおよびポリスチレンスルホネート)、およびアクリル酸の種々のコポリマー(例えばカ
10
ルボマー)が挙げられる。水溶性、薬学的受容可能性および薬理学的不活性の基準を満た
す他の天然ポリマー、半合成ポリマーおよび合成ポリマーは、本明細書中に名前は挙げな
いが、本発明の範囲内であることが同様に考慮される。
【0088】
溶解促進剤を、本発明の水性液体製剤に添加し得る。溶解促進剤は、液体製剤中のセル
トラリンの溶解を促進する化合物である。複合体化促進剤が存在する場合、SAE−CD
対セルトラリンの比を、より少ないSAE−CDが必要とされるように変更される必要が
あり得る。適切な溶解促進剤としては、1種またはそれ以上の有機溶媒、洗浄剤、石鹸、
界面活性剤および特定薬剤の溶解度を促進するために経口溶液製剤に典型的に使用される
他の有機化合物が挙げられる。適切な有機溶媒としては、例えば、エタノール、グリセリ
20
ン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポロキサマーおよび当業者に公知
の他のものが挙げられる。
【0089】
本明細書中で使用される場合、用語「フレーバー」とは、医薬製剤に心地よい風味およ
びしばしば香りを与えるために使用される化合物を意味することが意図される。着香料ま
たは矯味矯臭剤の例としては、合成フレーバー油および香料用芳香族物質、および/また
は天然油、植物、葉、花、果実からの抽出物など、ならびにそれらの混合物が挙げられる
。これらとしてはまた、シナモン油、冬緑油、ハッカ油、チョウジ油、月桂樹油、アニス
油、ユーカリ油、タイム油、セダー油、ナツメ油、セージ油、ビターアーモンドの油、お
よびカシッア油が挙げられ得る。他に有用なフレーバーとしては、バニラ、柑橘類油(レ
30
モン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む)、および果実のエッセ
ンス(リンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、
アプリコットなどを含む)が挙げられる。特に有用であることが見出されているフレーバ
ーとしては、市販のイチゴ、オレンジ、ブドウ、サクランボ、バニラ、ミントおよび柑橘
類のフレーバーならびにそれらの混合物が挙げられる。着香料の量は、所望される感覚刺
激(organoleptic)効果を含む多数の因子に依存し得る。フレーバーは当業
者によって所望されるような任意の量で存在する。特定のフレーバーは、イチゴおよびサ
クランボのフレーバーならびにオレンジのような柑橘類フレーバーである。
【0090】
本明細書中で使用される場合、用語「甘味料」は、製剤に甘味を与えるために使用され
40
る化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、アスパルテーム、デキ
ストロース、グリセリン、マンニトール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、キシリ
トール、果糖、トウモロコシの高果糖シロップ、マルトデキストリン、スクラロース、ス
クロース、当業者に公知の他の物質およびそれらの組み合わせが例として挙げられるが、
これらに限定されない。
【0091】
本明細書中で使用される場合、香料は、比較的揮発性である物質または検出可能な芳香
(aroma)、臭い(odor)または微香(scent)を提供する物質の組み合わ
せである。香料の例としては、FD&Cとして一般的に受け入れられるものが挙げられる
。
50
(24)
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【0092】
本明細書中で使用される場合、用語「アルカリ化剤」は、アルカリ媒体を提供するため
に使用する化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、アンモニア溶
液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、
ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、有機アミン塩基、アルカリアミノ酸およびトロルアミ
ンならびに当業者に公知の他のものが例として挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本明細書中で使用される場合、用語「酸性化剤」は、酸性媒体を提供するために使用さ
れる化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、酢酸、酸性アミノ酸
10
、クエン酸、フマル酸および他のアルファヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、リン酸
、硫酸、酒石酸および硝酸ならびに当業者に公知の他のものが例として挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0094】
本明細書中で使用される場合、用語「防腐剤」は、微生物増殖を防止するために使用さ
れる化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、塩化ベンザルコニウ
ム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、ク
ロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェ
ニル水銀、チメロサール、メタクレゾール、ミリスチルガンマピコリニウムクロリド、安
息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、
20
ソルビン酸、チモールおよびメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンまたは
ブチルパラベンならびに当業者に公知の他のものが例として挙げられるが、これらに限定
されない。
【0095】
本明細書中で使用される場合、用語「酸化防止剤」は、酸化を抑制し、従って、酸化プ
ロセスによって製剤が劣化するのを防止するために使用される薬剤を意味することを意図
する。このような化合物としては、アセトン、重硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アス
コルビン酸パルミテート、クエン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキ
シトルエン、水素リン酸(hydrophosphorous acid)、モノチオグ
リセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫化
30
ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスル
ホキシレート、チオグリコール酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデト酸塩)、
ペンテテートおよび当業者に公知の他のものが例として挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0096】
本明細書中で使用される場合、用語「緩衝化剤」は、希釈した際または酸もしくはアル
カリを添加した際、pHの変化に抵抗するために使用される化合物を意味することを意図
する。このような化合物としては、酢酸、酢酸ナトリウム、アジピン酸、安息香酸、安息
香酸ナトリウム、クエン酸、マレイン酸、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、乳
酸、酒石酸、グリシン、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸一ナトリウム、重炭
40
酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム無水物および二水和物ならび
に当業者に公知の他のものが例として挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
本明細書中で使用される場合、用語「安定剤」は、薬剤の治療活性を他の方法で低下さ
せる物理的、化学的または生化学的プロセスに対して治療剤を安定化するために使用され
る化合物を意味することを意図する。適切な安定剤としては、アルブミン、シアル酸、ク
レアチニン、グリシンおよび他のアミノ酸、ナイアシンアミド、ナトリウムアセチルトリ
プトホネート、酸化亜鉛、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトール、マンニ
トール、グリセロール、ポリエチレングリコール、カプリル酸ナトリウムおよびナトリウ
ムサッカリンならびに当業者に公知の他のものが例として挙げられるが、これらに限定さ
50
(25)
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れない。
【0098】
本明細書中で使用される場合、用語「粘度調整剤」は、液体製剤の粘度を増大または減
少させ得る化合物または化合物の組み合わせを意味することを意図する。本明細書中に開
示されるいくつかのポリマーは、粘度調整剤として使用され得る。
【0099】
本明細書中で使用される場合、用語「張度調整剤」は、液体製剤の張度を調整するため
に使用し得る化合物を意味することを意図する。適切な張度調整剤としては、グリセリン
、ラクトース、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソル
ビトール、トレハロースおよび当業者に公知の他のものが挙げられる。
10
【0100】
本明細書中で使用される場合、用語「消泡剤」は、液体製剤の表面上に形成される泡立
ちを防止するかまたは泡立ちの量を減らす化合物を意味することを意図する。適切な消泡
剤としては、ジメチコン、シメチコン、オクトキシノールおよび当業者に公知の他のもの
が例として挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本明細書中で使用される場合、用語「増量剤」は、再構成可能な固体にかさを加えるた
め、および/または製造中に製剤の性質の制御を助けるために使用される化合物を意味す
ることを意図する。このような化合物としては、デキストラン、トレハロース、スクロー
ス、ポリビニルピロリドン、ラクトース、イノシトール、ソルビトール、ジメチルスルホ
20
キシド、グリセロール、アルブミン、カルシウムラクトビオネート、および当業者に公知
の他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
本明細書中で使用される場合、用語「抗凍結剤」は、凍結乾燥中に活性治療剤を物理的
または化学的分解から保護するために使用される化合物を意味することを意図する。この
ような化合物としては、ジメチルスルホキシド、グリセロール、トレハロース、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコールおよび当業者に公知の他のものが挙げられるが、
これらに限定されない。
【0103】
薬学分野において使用される化合物は、種々の機能または目的に一般的に役立つことが
30
理解されるべきである。従って、本明細書中で指名された化合物が、一回のみ言及される
か、または本明細書中で一つより多い用語を定義するために使用される場合、その目的ま
たは機能は、指名された目的または機能を単に限定するとして解釈されるべきでない。
【0104】
本発明の液体製剤は、多数の異なる方法により製造され得る。1つの方法に従って、S
AE−CDを含有する第一の水溶液を製造する。次いで、セルトラリンを含有する第二の
溶液を製造する。最後に、第一および第二の溶液を混合し、液体製剤を形成する。第一お
よび第二の溶液は、独立して、本明細書中に記載される他の賦形剤および薬剤を含有し得
る。さらに、第二の溶液は、水および/または有機溶媒ベースの溶液であり得る。別の製
造方法は、第二の溶液を構成することなく、第一の溶液にセルトラリンを直接添加するこ
40
とを除いて、上記方法と同様である。液体製剤を製造する第三の方法は、第一の溶液を構
成することなく、セルトラリンを含有する第二の水溶液にSAE−CDを直接添加するこ
とを除いて、上記の第一の方法と同様である。液体製剤を製造する第四の方法は、セルト
ラリンを含有する水溶液を粉末または微粒子のSAE−CDに添加する工程、およびこの
溶液をSAE−CDが溶解するまで混合する工程を包含する。液体製剤を製造する第五の
方法は、セルトラリンを粉末または微粒子のSAE−CDに直接添加する工程、次いで、
水溶液を添加する工程およびSAE−CDおよびセルトラリンが溶解するまで混合する工
程を包含する。液体製剤を製造する第六の方法は、第一の溶液を加熱するか、または第二
の溶液を加熱するか、または上記方法で記載した任意の溶液とこれらの溶液との組み合わ
せを加熱するかのいずれかの工程、続いて、それぞれ加熱した溶液を冷却する工程を包含
50
(26)
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する。液体製剤を製造する第七の方法は、第一の溶液のpHを調節するか、または第二の
溶液のpHを調節するか、または上記方法のいずれかで記載したいずれかの溶液との組み
合わせのpHを調節する工程を包含する。第八の方法は、上記方法のいずかにより液体製
剤を製造する工程、続いて、凍結乾燥、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、真空乾燥、逆溶剤沈殿
、または超臨界もしくは近超臨界液体を利用する方法により固体物質を単離する工程を包
含する。上記の溶液いずれかは、本明細書中で記載される他の薬学的賦形剤または成分を
含有し得る。
【0105】
液体製剤の製造方法の特定の実施形態は、以下の工程をさらに包含する方法を包含する
:1)孔径が約5μmまたはそれ以下である濾過媒体を通して製剤を濾過する工程;2)
10
照射により液体製剤を滅菌する工程;3)エチレンオキシドでの処理により液体製剤を滅
菌する工程;4)滅菌した液体製剤から滅菌粉末を単離する工程;5)液体を不活性ガス
でパージし、液体中の溶存酸素量を減少させる工程;および/または6)液体製剤を製造
するために使用される1つまたはそれ以上の溶液を加熱する工程。
【0106】
本発明の液体製剤は、キットで提供され得る。キットは、SAE−CDを含有する第一
の医薬組成物およびセルトラリンを含有する第二の医薬組成物を備える。対象者に投与す
る前に、第一および第二の製剤を混合し、そして液体投与形態として処方し得る。第一お
よび第二の医薬組成物の一方または両方は、追加の薬学的賦形剤を含み得る。キットは種
々の形態で利用可能である。
20
【0107】
第一のキットにおいて、第一および第二の医薬組成物は、別個の容器、または2個また
はそれ以上のチャンバーを有する容器の別個のチャンバーで提供される。第一および第二
の医薬組成物は、独立して、固体または粉末または液体の形態のいずれかで提供され得る
。例えば、SAE−CDを再構築可能な粉末形態で提供し得、そしてセルトラリンを粉末
形態で提供し得る。一つの実施形態に従って、キットは、第一および/または第二の医薬
組成物を懸濁および溶解するために使用される薬学的に受容可能な液体担体をさらに含む
。あるいは、液体担体は、第一および/または第二の医薬組成物と共に独立して含まれる
。しかし、液体担体はまた、第一および第二の医薬組成物から別個の容器またはチャンバ
ーに提供され得る。上記のように、第一の医薬組成物、第二の医薬組成物および液体担体
30
は、独立して、防腐剤、酸化防止剤、緩衝化剤、酸性化剤、電解質、別の治療剤、アルカ
リ性化剤、抗菌剤、抗真菌剤、溶解促進剤、粘度調整剤、着香料、甘味料またはそれらの
組み合わせを含有し得る。
【0108】
キットの特定の実施形態は、以下のものを包含する:1)第一および第二の医薬組成物
が、別個の容器、または2個またはそれ以上のチャンバーを有する容器の別個のチャンバ
ーに含まれている;2)キットが別個の薬学的に受容可能な液体担体をさらに含む;3)
液体担体が第一および/または第二の医薬組成物と共に含まる;4)医薬組成物のための
容器が、各場合で、真空容器、バッグ、ポーチ、バイアル、ボトル、または液体製剤の送
達のために当業者に公知の任意の薬学的に受容可能なデバイスから独立して選択される;
40
5)第一の医薬組成物および/または第二の医薬組成物および/または液体担体が、酸化
防止剤、緩衝化剤、酸性化剤、可溶化剤、複合体化促進剤、凍結乾燥助剤(例えば増量剤
または安定剤)、電解質、別の治療剤、アルカリ性化剤、抗菌剤、抗真菌剤、粘度調整剤
、矯味矯臭剤、甘味料またはそれらの組み合わせをさらに含有する;6)キットが冷却し
て提供される;8)液体担体および/またはチャンバーが、薬学的に受容可能な不活性ガ
スでパージされ、液体担体中の溶解された酸素の全てが実質的に除去されている;9)チ
ャンバーが実質的に酸素を含まない;10)液体担体が、約2∼7のpHを維持し得る緩
衝化剤をさらに含む;11)チャンバーおよび溶液が無菌である。
【0109】
用語「単位投薬形態」とは、本明細書中で、活性成分および希釈剤または担体の分量を
50
(27)
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含有する単一用量または複数用量の形態を意味するとして使用され、前記分量とは、1つ
またはそれ以上の所定の単位が、通常1回の治療投与に必要な量である。液体が充填され
たボトルのような複数用量形態の場合、前記所定の単位は、例えば複数用量形態の半分ま
たは4分の1のような一画分である。任意の患者に対する特定の用量レベルは、治療され
る適応、利用される治療剤、治療剤の活性、適応の重症度、患者の健康、年齢、性別、体
重、食事および薬理学的反応、利用される特定の投薬形態および他のこのような因子を含
む種々の因子に依存することが理解される。
【0110】
語句「薬学的に受容可能な」とは、本明細書中で、適切な医学的な判断の範囲内にあり
、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題または合併症を伴うことなくヒトお
10
よび動物の組織と接触して使用するのに適切であり、妥当な利益/リスク比率にふさわし
いこれらの化合物、物質、組成物および/または投薬形態を意味するために用いられる。
【0111】
本明細書中で使用される場合、用語「患者」は、哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、マウ
ス、モルモット、ウマ、ウシ、ヒツジおよびヒト)のような温血動物を意味するものとす
る。
【0112】
本発明の液体製剤は、有効量のセルトラリンを含有する。用語「有効量」によって、治
療有効量を意図することが理解される。治療有効量は、必要なまたは所望の治療反応を誘
発するのに十分であるセルトラリンの量(amount)または分量(quantity
20
)であり、言い換えると、対象に投与した場合、感知できる生物学的反応を誘発するのに
十分な量である。
【0113】
遊離塩基として表されるセルトラリンの典型的な日用量は、50∼200mg(50m
gずつ増加される)の範囲である。治療の初期の間、25mg/日の漸増用量(titr
ation dose)が、いくつかの適応において必要とされ得る。存在する製剤がZ
OLOFT
( R )
経口濃縮製剤と実質的に生物学的に同等なので、それらはZOLOFT
( R )
経口濃縮製剤のための添付文書の指示通りに投与され得る。Physician’s D
esk Reference第56編(pp.2751−2756;Eds.Lori Murray,Gwynned L.Kelly;Medical Economics
30
Company,Inc.,Montvale,NJ 07645−1742,200
2)(この関連文章は、本明細書に参照によって組み入れられる)は、ZOLOFT
( R )
のための添付文書(特に、経口濃縮溶液のための投薬量および投与)を開示する。
【0114】
上記の説明および以下の実施例を考慮して、当業者は、不必要な実験をすることなく特
許請求の範囲に記載された本発明を実施し得る。前述は、本発明に従う製剤の製造につい
て特定の手順を詳述する以下の実施例を参照してさらに理解される。これらの実施例につ
いてなされる全ての参照は、説明の目的のためである。以下の実施例は、網羅的であると
みなすべきではなく、本発明によって企図する多くの実施形態のごく一部のみの単なる説
明である。
40
【実施例】
【0115】
実施例1
当該分野で周知の手順に従って、SAE−CD、HP−β−CD およびγ−CDを用
いてセルトラリンに対する相溶解度曲線を決定した(Higuchi et al.in
Phase Solubility Techniques,in Advances
in Analytical Chemistry and Instrumenta
tion(Ed.C.N.Reilly,John Wiley&Sons Inc.,
Vol.4(1965),pg.117−212)(これらの関連する開示は、参照によ
って本明細書に組み入れられる)。この結果を図1に示す。
50
(28)
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【0116】
実施例2
甘みがあり、風味付けされていない塩酸セルトラリン水溶液を、元々のpHで製造した
。製剤は、Captisol
( R )
(SBE7−β−CD)(15質量/体積%)および塩
酸セルトラリンの多形体IIを含有した。使用した量を、以下の表に明記した。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 1 .0 g ( 0 .8 9 4 g セ ル ト ラ リ ン と 等 し い )
S B E 7 − β − C D 7 .5 g ( 無 水 物 ベ ー ス )
キシリトール 15g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .0 5 g
10
水 適量加えて50mLにする
【0117】
以 下 の 手 順 を 使 用 し て 、 こ の 製 剤 を 製 造 し た 。 S B E 7 − β − C D ( 7 .5 g ) を 水 (
約30mL)に添加し、そして室温にて混合して溶解した。次いで、以下の成分を個々に
添 加 し 、 そ し て 撹 拌 し な が ら 溶 液 に 溶 解 し た ; 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン ( 1 .0 g ) お よ び サ ッ
カ リ ン ナ ト リ ウ ム ( 0 .5 0 g ) 。 キ シ リ ト ー ル ( 1 5 g ) を 水 ( さ ら に 1 0 m L ) と 共
に撹拌し続けたまま添加した。次いで、溶液を約50℃まで加熱し、キシリトールの溶解
を促進した。溶液を室温(22∼25℃)まで冷却させ、次いで、水で最終体積50mL
に し た 。 溶 液 は 、 p H 5 .4 5 を 有 し た 。
【0118】
20
実施例3
甘みがあり、風味付けされていないセルトラリン塩酸塩水溶液を、元々のpHで製造し
た。溶液は、Captisol
( R )
(17質量/体積%)および塩酸セルトラリン(20
mg/mLの濃度の多形体II)を含有した。以下の成分を、表示される量で使用した。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 1 .1 1 9 g
S B E 7 − β − C D 8 .5 g ( 無 水 物 ベ ー ス )
キシリトール 15g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .0 5 g
水 適量加えて50mLにする
30
【0119】
以 下 の よ う に こ の 液 体 製 剤 を 製 造 し た 。 S B E 7 − β − C D ( 8 .5 g ) を 水 ( 約 3 0
mL)に添加し、そして室温にて混合して溶解した。次いで、以下の成分を個々に添加し
、 そ し て 撹 拌 し な が ら 溶 液 に 溶 解 し た ; 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン ( 1 .1 1 9 g ) お よ び サ ッ カ
リ ン ナ ト リ ウ ム ( 0 .5 0 g ) 。 キ シ リ ト ー ル ( 1 5 g ) を 水 ( さ ら に 1 0 m L ) と 共 に
撹拌し続けたまま添加した。次いで、溶液を約50℃まで加熱し、キシリトールの溶解を
促進した。溶液を室温(22∼25℃)まで冷却させ、次いで、水で最終体積50mLに
し た 。 溶 液 は 、 p H 5 .3 5 を 有 し た 。
【0120】
実施例4
40
甘みがあり、風味付けされていない塩酸セルトラリン水溶液を製造した。この液体製剤
は、抗菌防腐剤として安息香酸を含有した。製剤は、SBE7−β−CD(17質量/体
積%)、キシリトールおよびソルビトールを含有した。以下の成分を、表示される量で使
用した。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 1 .1 1 9 g
S B E 7 − β − C D 8 .5 g
キシリトール 15g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .0 5 g
ク エ ン 酸 0 .1 5 0 g
50
(29)
JP 2007-536228 A 2007.12.13
安 息 香 酸 0 .0 5 g
グリセリン 5g
ソルビトール 5g
水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
水 適量加えて50mLにする
【0121】
以 下 の よ う に こ の 製 剤 を 製 造 し た 。 S B E 7 − β − C D ( 8 .5 g ) を 水 ( 約 2 0 m L
)に添加し、撹拌しながら溶解した。以下の成分を個々に添加し、そして混合しながら溶
液 に 溶 解 し た ; 安 息 香 酸 ( 0 .0 5 g ) 、 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン ( 1 .1 1 9 g ) 、 サ ッ カ リ ン
ナ ト リ ウ ム ( 0 .5 0 g ) お よ び ク エ ン 酸 ( 0 .1 5 g ) 。 グ リ セ リ ン ( 5 g ) 、 キ シ リ ト
10
ール(15g)およびソルビトール(5g)を溶液に添加し、そして撹拌し続けたまま溶
解した。溶液を約50℃まで加熱し、溶解を促進した。溶液を室温(22∼25℃)まで
冷 却 さ せ 、 次 い で 、 p H を 1 N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 用 い て 4 .0 に 調 節 し た 。 溶 液 を 水 で
最終体積50mLにし、十分に混合し、そして5ミクロン孔径フィルターに通して濾過し
た。
【0122】
実施例5
甘みがあり、風味付けされていない塩酸セルトラリン水溶液を製造した。この製剤は
、 S B E C D ( 1 5 質 量 / 体 積 % ) を 含 有 し た 。 8 .5 g に 代 わ っ て 7 .5 g の S B E C D
を使用していることを除いて、手順は実施例4の手順と同一である。
20
【0123】
実施例6
甘みがあり、風味付けされていない塩酸セルトラリン水溶液を、塩酸セルトラリンの多
形体Iを使用して製造した。以下の成分を、表示される量で使用した。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 1 .1 2 g
S B E 7 − β − C D 8 .5 g
キ シ リ ト ー ル 2 2 .5 g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .0 5 g
ク エ ン 酸 0 .1 5 g
30
安 息 香 酸 0 .0 5 g
グリセリン 5g
水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
水 適量加えて50mLにする
【0124】
以 下 の 手 順 を 使 用 し た 。 S B E 7 − β − C D ( 8 .5 g ) を 水 ( 約 1 8 m L ) に 添 加 し
、 オ ー バ ー ヘ ッ ド 高 速 ミ キ サ ー を 用 い て 溶 解 し た 。 安 息 香 酸 ( 0 .0 5 g ) を 添 加 し 、 そ
し て 溶 解 し 、 次 い で 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン ( 多 形 体 I 、 1 .1 2 g ) を 添 加 し た 。 セ ル ト ラ リ
ン が 溶 解 さ れ る ま で 、 高 速 混 合 を 3 .5 時 間 続 け た 。 以 下 の 成 分 を 個 々 に 添 加 し 、 そ し て
撹 拌 し 続 け な が ら 溶 液 に 溶 解 し た ; サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム ( 0 .0 5 g ) お よ び ク エ ン 酸
40
( 0 .1 5 g ) 、 グ リ セ リ ン ( 5 g ) お よ び キ シ リ ト ー ル ( 2 2 .5 g ) 。 溶 液 を 約 5 0 ℃
まで加熱し、キシリトールの溶解を促進した。溶液を室温(22∼25℃)まで冷却させ
、 次 い で 、 p H を 1 N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 用 い て 4 .0 に 調 節 し た 。 溶 液 を 水 で 最 終 体 積
50mLにし、十分に混合した。
【0125】
実施例7
甘みがあり、風味付けされていない塩酸セルトラリン水溶液を、塩酸セルトラリンの多
形体Iを使用して製造した。以下の成分を、表示される量で使用した。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 2 .2 3 8 g
50
(30)
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S B E 7 − β − C D 1 7 .0 g
キシリトール 40g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .1 0 g
ク エ ン 酸 0 .3 0 g
グリセリン 10g
水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
水 適量加えて100mLにする
【0126】
以下のようにこの製剤を製造した。水(約40mL)を55℃に加熱した。SBE7−
β−CD(17g)を添加し、混合しながら溶解した。塩酸セルトラリン(多形体I、2
10
.2 3 8 g ) を 添 加 し 、 そ し て 撹 拌 し 続 け 溶 解 し た 。 溶 解 時 間 は 約 4 5 分 で あ っ た 。 以 下
の成分を個々に添加し、そして混合しながら撹拌し続け、溶液に溶解した;サッカリンナ
ト リ ウ ム ( 0 .1 0 g ) お よ び ク エ ン 酸 ( 0 .3 0 g ) 、 グ リ セ リ ン ( 1 0 g ) お よ び キ シ
リトール(40g)。溶液を室温(22∼25℃)まで冷却させ、次いで、水で最終体積
1 0 0 m L に し 、 十 分 に 混 合 し た 。 得 ら れ た p H は 4 .0 8 で あ っ た 。 溶 液 を 5 ミ ク ロ ン
のナイロンフィルターに通した。
【0127】
実施例8
蛍光灯または紫外線のいずれかによるストレスに曝した後の、5つのセルトラリン液体
製剤の安定性を測定した。製剤には市販の非水性ZOLOFT経口濃縮物を含み、そして
20
4つの製剤は、等モル量の異なるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体、
お よ び セ ル ト ラ リ ン を 含 有 し た 。 全 て の 製 剤 は 、 2 2 .5 m g / m L 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン (
2 0 m g / m L セ ル ト ラ リ ン 遊 離 塩 基 と 等 し い ) お よ び 0 .0 7 8 M の シ ク ロ デ キ ス ト リ
ンを含有した。適切な量のシクロデキストリンをHPLCグレード水(約9mL)に溶解
し、セルトラリンを添加し、そして全てのセルトラリンが溶解するまで混合することによ
って、シクロデキストリン製剤を製造した。溶液を水で最終体積10mLにし、次いで0
.2 2 ミ ク ロ ン の M i l l e x − G V D u r a p o r e フ ィ ル タ ー に 通 し た 。 各 溶 液 を
セルトラリン含有量および分解物の存在についてHPLCによって分析した。各溶液A∼
E の ア リ コ ー ト ( 1 .5 m L ) を T e f l o n で 覆 わ れ た ネ ジ ブ タ を 備 え た 1 ド ラ ム ガ ラ
スバイアルに置き、そして高輝度蛍光灯(Sylvania Cool White 1
30
5ワットランプの列から約25cm)に15日間曝して貯蔵した。各溶液A∼Eのアリコ
ー ト ( 1 .5 m L ) を ま た 、 1 0 m L の ガ ラ ス ビ ー カ ー に 置 き 、 薄 い プ ラ ス チ ッ ク ラ ッ プ
でしっかりと多い、そして15日間2∼20ワットのSilverLite XL F2
0W Blacklight Blue(紫外線)ランプの真下約10cmの中央に置い
た。15日間の貯蔵後、各サンプルをHPCL法によってアッセイし、そして各々の主な
分解の量をクロマトグラムに現れるセルトラリンのピーク面積の割合として計算した。
【0128】
試験された製剤:
製剤A:セルトラリン+2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(DS=
6 .7 )
40
製剤B:セルトラリン+スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(DS=5
.5 )
製剤C:セルトラリン+スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(DS=6
.7 )
製剤D:セルトラリン+γ−CD
製剤E:ZOLOFT
( R )
経口濃縮物
【0129】
クロマトグラムに見られる各主要分解物について定量し、また分解物の全量として合計
した各製剤についての結果を以下の表に示す。貯蔵の際に生成した各分解物の量を、セル
トラリンのピーク面積に対するそのピーク面積の比として表わす。セルトラリンのピーク
50
(31)
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面積は、研究の経過にわたって著しく変化しなかった。Phenomenex Luna
5 μ m 、 2 5 0 × 4 .6 m m C N カ ラ ム お よ び 5 0 % 0 .0 5 M モ ノ ナ ト リ ウ ム リ ン
酸 塩 ( p H 6 ) お よ び 5 0 % ア セ ト ニ ト リ ル を 含 有 す る 移 動 相 を 使 用 し 、 1 .0 m L / 分
で流すHPLCシステムでのクロマトグラフィー保持時間(tr)によって分解物を同定
する。検出は220nmでのuv吸収によるものであった。セルトラリンの保持時間は、
この分析システムで約21分であった。
【0130】
(32)
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【表2】
10
20
30
40
【0131】
実施例9
実施例7に従って製造された本発明の製剤またはZOLOFT経口濃縮物を投薬した後
、男女混合の12人の成人被験者においてセルトラリンの薬物動態を比較する臨床試験を
50
(33)
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実施した。各被験者が投薬の間、14日間のウォッシュアウトを有するクロスオーバー様
式で各製剤を投与されるように、試験を設計した。5mLの液体アリコート(100mg
セルトラリン)として本発明の製剤を被験者に直接投薬した。次いで、被験者はレモン/
ライムソーダ(120mL)および水(120mL)を飲んだ。ZOLOFT経口濃縮物
用量(5mL(100mgセルトラリン))をレモン/ライムソーダ(120mL)に希
釈し、次いで被験者に投与した。次いで、各被験者は水(120mL)を受けた。
【0132】
各製剤の投薬後、72時間にわたって各被験者から血液サンプルを採取し、そしてセル
トラリンの含有量を分析した。次いで、薬物動態パラメータを、セルトラリン血液濃度−
時間プロフィールから計算した。以下の表に示される結果は、2つの製剤が同等の薬物動
10
態パラメータを与えることを示す。
【0133】
【表3】
20
【0134】
実施例10
方法1
30
実施例9における研究の志願者は、以下のグレードを使用して1∼5のスケールで摂取
直後の各製剤の味を評価した;1=非常に悪い、2=悪い、3=良くも悪くもない、4=
良 い 、 5 = 非 常 に 良 い 。 本 発 明 の シ ク ロ デ キ ス ト リ ン 製 剤 ( 3 .9 1 ± 0 .8 3 標 準 偏 差 の
平均評価)は、ZOLOFT
( R )
経 口 濃 縮 物 ( 2 .6 4 ± 1 .0 3 標 準 偏 差 の 平 均 ) よ り も
良 い 味 を 有 し た 。 p < 0 .0 5 で 有 意 に 異 な っ た 。
【0135】
方法2
20mg/mLセルトラリンを含有する2つの水性製剤を製造した:一方はスルホブチ
ル エ ー テ ル − β − C D ( S B E C D 、 置 換 度 ( D S ) = 6 .7 ) を 有 し 、 そ し て も う 一 方
は 2 − ヒ ド ロ キ シ プ ロ ピ ル − β − C D ( H P C D 、 D S = 6 .7 ) を 有 す る 。 シ ク ロ デ キ
40
ス ト リ ン を 水 に 溶 解 し 、 次 い で セ ル ト ラ リ ン を 添 加 し ( 塩 酸 塩 の 2 2 .4 m g / m L と し
て)、溶解されるまで撹拌することによって各溶液を製造した。SBECD製剤をAとラ
ベル付けし、そしてHPCD製剤をBとラベル付けした。製剤を同定できない8人の志願
者は、製剤の間に1時間待って、無作為なオーダーで各製剤を味見した。志願者は、彼ら
の 口 に 各 製 剤 ( 0 .5 m L ) を 置 き 、 1 5 秒 間 に わ た っ て 溶 液 で う が い し ( s w i s h )
、次いで溶液を吐き出した。次いで、彼らは、1∼5のスケールで溶液の味を評価した(
1−非常に悪い、2−悪い、3−良くも悪くもない、4−良い、5−非常に良い)。製剤
A は 、 2 .6 ± 0 .5 の 平 均 評 価 を 受 け 、 そ し て 製 剤 B は 、 1 .8 ± 0 .6 の 平 均 評 価 を 受 け
、SBECD製剤がHPCD製剤よりも良い味であることが示されている。
【0136】
50
(34)
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方法3
2 2 .4 m g / m L の 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン ( 2 0 m g / m L セ ル ト ラ リ ン と 等 し い ) お よ
び 0 .0 6 9 M の 種 々 の シ ク ロ デ キ ス ト リ ン を 含 有 す る 水 溶 液 を 製 造 し た 。 使 用 し た シ ク
ロデキストリンは以下のようであった:
I−γ−シクロデキストリン
II−2−ヒドロキシプロピル−β−CD
III−スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、カルシウム塩(Ca−SA
E−CD)
IV−スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、アンモニウム塩(NH4−S
AE−CD)
10
V−スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、ナトリウム塩(Na−SAE−
CD)
【0137】
各 溶 液 の ア リ コ ー ト ( 0 .5 m L ) を 、 シ ク ロ デ キ ス ト リ ン の 選 択 を 知 ら な い 3 人 の 志
願者によって、無作為なオーダーで味見した。志願者は彼らの所見を記録した。
【0138】
実施例11
甘みがあり、風味付けされている塩酸セルトラリン水溶液を、塩酸セルトラリンの多形
体Iを使用して製造した。以下の成分を、表示される量で使用する。
成分 量 20
塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 2 .2 3 8 g
S B E 4 − β − C D 1 4 .0 g
キシリトール 40g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .1 0 g
ク エ ン 酸 0 .3 0 g
グリセリン 10g
ス イ カ フ レ ー バ ー 1 .5 g
水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
水 適量加えて100mLにする
【0139】
30
水(約40mL)を55℃まで加熱することによって、この製剤を製造した。SBE4
−β−CD(14g)を添加し、そして混合しながら溶解した。塩酸セルトラリン(多形
体 I 、 2 .2 3 8 g ) を 添 加 し 、 そ し て 撹 拌 し 続 け 溶 解 し た 。 以 下 の 成 分 を 個 々 に 添 加 し
、 そ し て 混 合 し な が ら 撹 拌 し 続 け 、 溶 液 に 溶 解 し た ; サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム ( 0 .1 0 g
) お よ び ク エ ン 酸 ( 0 .3 0 g ) 、 グ リ セ リ ン ( 1 0 g ) お よ び キ シ リ ト ー ル ( 4 0 g )
。 溶 液 を 室 温 ( 2 2 ∼ 2 5 ℃ ) ま で 冷 却 さ せ た 。 ス イ カ フ レ ー バ ー ( 1 .5 g ) を 溶 液 に
添加し、次いで、これを水で最終体積100mLにし、十分に混合した。
【0140】
実施例12
抗菌防腐剤として安息香酸を含有する、甘みがあり、風味付けされていないセルトラリ
40
ン塩酸塩水溶液を製造した。以下の成分を、表示される量で使用した。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 5 .5 9 5 g
S B E 7 − β − C D 4 2 .5 g
キシリトール 100g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .2 5 g
ク エ ン 酸 0 .7 5 g
安 息 香 酸 0 .2 5 g
グリセリン 25g
水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
50
(35)
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水 適量加えて250mLにする
【0141】
以下のようにこの製剤を製造した。水(約100mL)を中程度の撹拌下、55∼60
℃ ま で 加 熱 し 、 次 い で S B E 7 − β − C D ( 4 2 .5 g ) を 添 加 し 、 そ し て 混 合 を 続 け な
が ら 溶 解 し た 。 以 下 の 成 分 を 個 々 に 添 加 し 、 そ し て 溶 液 に 溶 解 し た ; 安 息 香 酸 ( 0 .2 5
g ) 、 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン ( 5 .5 9 5 g ) 、 サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム ( 0 .2 5 g ) お よ び ク
エ ン 酸 ( 0 .7 5 g ) 。 グ リ セ リ ン ( 2 5 g ) お よ び キ シ リ ト ー ル ( 1 0 0 g ) を 溶 液 に
添加し、そして撹拌し続けながら溶解した。溶液を室温(22∼25℃)まで冷却させ、
次 い で 、 p H を 1 N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 用 い て 4 .0 に 調 節 し た 。 溶 液 を 水 で 最 終 体 積 2
50mLにし、十分に混合し、そして5ミクロンの孔径フィルターに通して濾過した。
10
【0142】
実施例13
抗菌防腐剤としてソルビン酸を含有する、甘みがあり、風味付けされていない塩酸セル
トラリン水溶液を製造した。以下の成分を、表示される量で使用した。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 5 .5 9 5 g
S B E 7 − β − C D 4 2 .5 g
キシリトール 100g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .2 5 g
ク エ ン 酸 0 .7 5 g
20
ソ ル ビ ン 酸 0 .5 0 g
グリセリン 25g
水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
水 適量加えて250mLにする
【0143】
以 下 の よ う に こ の 製 剤 を 製 造 し た 。 安 息 香 酸 ( 0 .2 5 g ) に 代 わ っ て 防 腐 剤 と し て ソ
ル ビ ン 酸 ( 0 .5 g ) を 使 用 し た こ と を 除 い て 、 実 施 例 1 2 の よ う に 溶 液 を 製 造 し た 。
【0144】
実施例14
実施例12および13の製剤の微生物増殖抑制能力を、the United Sta
30
tes Pharmacopeia 27,2004(USP),<51>Antimi
crobial Effectiveness Testingおよびthe Euro
pean Pharmacopoeia第4編2003(EP)に概説される手順に従っ
て試験した。製剤を5つの供試生物に対して液体∼液体マトリクス(liquid−li
quid matrix)を利用して2連で評価し、次いで膜濾過を使用して定量した。
防腐効果試験についてUSPによって推奨される5つの標準生物(1mLあたり約1×1
5
6
0 ∼1×10 コロニー形成単位(CFU))を、各製剤に植菌した。これらの5つの生
物は、黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)、緑膿菌(ATCC 9027)、大腸菌
(ATCC 8739)、黒色アスペルギルス(ATCC 16404)およびカンジダ
・アルビカンス(ATCC 10231)として特定される。
【0145】
0時間でのカウントからの微生物数の対数減少として、2つの製剤の抗菌活性を以下の
表で説明する。
40
(36)
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【表4】
10
20
【0146】
30
実施例15
市販のZOLOFT
( R )
製剤の希釈能力と比較して、本発明の希釈能力を以下のように
比較した。本発明の製剤を実施例7に従って製造した。製剤またはZOLOFT経口濃縮
物のアリコート(5mL)(セルトラリン(100mg)に等しい)を、各様々な希釈剤
(120mL)に添加した。得られた溶液を、調製の5分および30分後に、色の変化ま
たは沈殿もしくは他の不混和相の形成のような物理的変化の発生について目で検査した。
【0147】
実施例16
甘みがあり、風味付けされている塩酸セルトラリン水溶液を、塩酸セルトラリンの多形
体Iおよび約5の置換度(DS)を有するスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリ
40
ンを使用して製造する。以下の成分を、表示される量で使用する。
成分 量 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 1 .1 2 g
S B E 5 − γ − C D 8 .1 2 g
キ シ リ ト ー ル 2 2 .5 g
サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム 0 .0 5 g
ク エ ン 酸 0 .1 5 g
安 息 香 酸 0 .0 5 g
グリセリン 5g
ラ ズ ベ リ ー フ レ ー バ ー 0 .7 5 g
50
(37)
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水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
水 適量加えて50mLにする
【0148】
以下の手順を使用した。スルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリン(DS=5)
( 8 .1 2 g ) を 水 ( 約 1 8 m L ) に 添 加 し 、 そ し て オ ー バ ー ヘ ッ ド 高 速 ミ キ サ ー を 用 い
て 溶 解 し た 。 安 息 香 酸 ( 0 .0 5 g ) を 添 加 し 、 そ し て 溶 解 し 、 次 い で 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン
( 多 形 体 I 、 1 .1 2 g ) を 添 加 す る 。 セ ル ト ラ リ ン が 溶 解 さ れ る ま で 、 高 速 混 合 を 3 .5
時間続ける。以下の成分を個々に添加し、そして撹拌し続けながら溶液に溶解する;サッ
カ リ ン ナ ト リ ウ ム ( 0 .0 5 g ) お よ び ク エ ン 酸 ( 0 .1 5 g ) 、 グ リ セ リ ン ( 5 g ) お よ
び キ シ リ ト ー ル ( 2 2 .5 g ) 。 溶 液 を 約 5 0 ℃ ま で 加 熱 し 、 キ シ リ ト ー ル の 溶 解 を 促 進
10
す る 。 溶 液 を 室 温 ( 2 2 ∼ 2 5 ℃ ) ま で 冷 却 さ せ 、 ラ ズ ベ リ ー フ レ ー バ ー ( 0 .7 5 g )
を 添 加 し た 。 p H を 1 N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 用 い て 4 .0 に 調 節 し 、 そ し て 溶 液 を 水 で 最
終体積25mLにし、十分に混合する。
【0149】
実施例16
0 .0 1 M の 緩 衝 液 を 1 ( H C l ) 、 3 お よ び 5 ( ク エ ン 酸 / ク エ ン 酸 ナ ト リ ウ ム ) お
よび7(リン酸二水素カリウム)のpH値で製造し、そして0、10%または20%スル
ホ ブ チ ル エ ー テ ル − β − シ ク ロ デ キ ス ト リ ン ( D S = 6 .7 ) を 含 有 す る 溶 液 を 製 造 す る
ために使用した。過剰な塩酸セルトラリンを各溶液に添加し、そして3日間混合した。溶
液を遠心分離し、そして上清をセルトラリン含有量および最終pHについて分析した[参
20
照結果?]。
【0150】
実施例17
抗菌防腐剤として安息香酸およびクエン酸/クエンサンナトリウム緩衝化剤を含有する
、甘みがあり、風味付けされている塩酸セルトラリン水溶液(10mg/mLのセルトラ
リンと等しい)を製造した。以下の成分を、表示される量で使用した。
成分 量 SBE7−β−CD(含水量について修正) 11g
塩 酸 セ ル ト ラ リ ン 1 .1 2 g
*
安 息 香 酸 0 .1 5 g
30
ク エ ン 酸 、 一 水 和 物 0 .2 7 4 g
ク エ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 二 水 和 物 0 .3 1 7 g
グリセリン 10g
キシリトール 20g
イ チ ゴ フ レ ー バ ー 0 .1 7 g
水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 1 N ) p H 4 .0 に す る た め の 必 要 量
水 適量加えて100mLにする
* 10mg/mLのセルトラリンと等しい
【0151】
以下のようにこの製剤を製造した。水(約50mL)を中程度の撹拌下、55∼60℃
40
まで加熱し、次いでSBE7−β−CD(11g)を添加し、そして混合を続けながら溶
解 し た 。 以 下 の 成 分 を 個 々 に 添 加 し 、 そ し て 溶 液 に 溶 解 し た ; 塩 酸 セ ル ト ラ リ ン ( 1 .1
2 g ) 、 安 息 香 酸 ( 0 .1 5 g ) 、 ク エ ン 酸 一 水 和 物 ( 0 .2 7 4 g ) お よ び ク エ ン 酸 ナ ト
リ ウ ム 二 水 和 物 ( 0 .3 1 7 g ) 。 グ リ セ リ ン ( 1 0 g ) お よ び キ シ リ ト ー ル ( 2 0 g )
を溶液に添加し、そして撹拌し続けながら溶解した。溶液を室温(22∼25℃)まで冷
却 さ せ 、 次 い で 、 p H を 1 N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 用 い て 4 .0 に 調 節 し た 。 イ チ ゴ フ レ ー
バ ー ( 0 .1 7 1 g ) を 溶 液 に 添 加 し 、 そ し て 溶 解 す る ま で 撹 拌 し た 。 溶 液 を 水 で 最 終 体
積100mLにし、十分に混合し、そして5ミクロンの孔径フィルターに通して濾過した
。
【0152】
50
(38)
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上記は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明である。本発明の特定の実施形態を説明
の目的で本明細書中に記載しているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、
種々の変更がなされることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によ
る以外は限定されない。本明細書中に開示および特許請求した実施形態の全ては、本発明
の開示を考慮して、過度の実験を行うことなく製造および実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】水中で塩酸セルトラリンおよびSBE7−β−CD、γ−CDまたは2−ヒドロ
キシプロピル−β−CDを用いて行った室温相溶解度研究から得られたデータを示す。
【図2】セルトラリン含有製剤を用いて投薬した後のヒト対象者の血漿中のセルトラリン
濃度を示す。
【図3】種々のpH値での、0、10または20%w/vのスルホブチルエーテル−7−
β−シクロデキストリン(Captisol
( R )
)を含む溶液中の塩酸セルトラリンの溶
解度を示す。
【図1】
【図2】
【図3】
10
(39)
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【手続補正書】
【 提 出 日 】 平 成 19年 3月 6日 (2007.3.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項29
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項29】
製剤が対象への経口投与の前に、希釈を必要とせずに即座に使用可能な製剤である、請
求項22に記載の方法。
(40)
【国際調査報告】
JP 2007-536228 A 2007.12.13
(41)
JP 2007-536228 A 2007.12.13
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(51)Int.Cl.
FI
A61K 47/10
A61K 9/10
A61K 47/46
A61P 25/24
A61P 1/14
A61P 25/36
A61P 25/22
A61P 25/18
A61P 15/08
A61P 35/00
A61P 9/10
A61P 43/00
テーマコード(参考)
(2006.01)
(2006.01)
A61K 47/10
A61K
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(2006.01)
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1/14
A61P 25/36
(2006.01)
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(2006.01)
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(2006.01)
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A61P
9/10
A61P 43/00
111 (81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,
CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,
CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L
T,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR
,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(72)発明者 アーテフ・エイ・ゲイド
アメリカ合衆国カンザス州66209.オーヴァーランドパーク.ダブリュー第121ストリート
4820
(72)発明者 レベッカ・エル・ウェデル
アメリカ合衆国カンザス州66049.ローレンス.オーヴァーランドドライヴ4500.アパー
トメントF250
Fターム(参考) 4C076 AA12 BB01 CC01 CC11 CC17 CC47 DD22 DD30 DD37 DD38
DD43 DD61 EE39 EE58 EE59 FF15 FF33 FF37 FF39 FF43
FF52 FF61 FF63
4C206 AA01 AA02 GA07 GA22 KA04 MA02 MA03 MA05 MA37 MA43
MA72 NA02 NA03 NA09 ZA02 ZA05 ZA12 ZA18 ZA36 ZA81
ZB26 ZC42
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