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Agilent - Keysight

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Agilent - Keysight
Agilent
J8120A VPT501
車載ネットワーク用プロトコル・
テスタ・シリーズ 500 を用いた
CAN/LIN ネットワークの
タイミング問題のテスト
Application Note
概要
このアプリケーション・ノートでは、J8120A Agilent 車載ネットワーク用プロ
トコル・テスタ(VPT501)をテスト・ツールとして使用することにより、ネッ
トワークのタイミング問題を特定できることを紹介します。タイミング問題は
システムの信頼性に影響し、検出できないと、システムの信頼性が低下します。
定義
エージ:1 つのイベントまたはイベントのシーケンスの終了までの時間。
アービトレーション:ある時点でネットワーク上の通信を許可するノードを決
定するプロセス。
CAN(コントローラ・エリア・ネットワーク):1 Mbps のマルチマスタ・ネット
ワーク・プロトコル。
CRC(巡回冗長検査):係数と多項式を使用するモジュラ演算で、特定の種類の
通信(CAN、FlexRay など)において通信エラーが発生していないことを検証
するための手法。
FlexRay:10 Mbps のデュアル・ワイヤ物理層に基づいたネットワーク・プロ
トコルで、同期(安全性がクリティカルなアプリケーションに必要)と非同期
の両方を同時にサポートします。
フォローアップ時間:連続するフレームの間の時間。
フレーム(メッセージ)
:パブリッシャ・ノードからの通信シーケンス(スタート・
シーケンス、ヘッダ、制御フィールド、データ・バイト(信号)、チェックサム、
フレーム終了)を構成する全ビット。
機能:関連する入力と出力の論理グループ間の関係を定義するために使用され
る、論理演算を含めた制御メカニズム。
ゲートウェイ遅延:ネットワーク上でゲートウェイ処理が必要なデータがゲー
トウェイ・ノードで受信されてから、ゲートウェイを通過したデータがゲート
ウェイ先のネットワーク上で測定されるまでの時間。
ゲートウェイ:複数のネットワーク間のインタフェースとして、ネットワーク
間でデータを転送する責任を負うノード。
インタフェース:ノードとネットワーク間の物理的な接続。
LIN(ローカル・インターコネクト・ネットワーク)
:20 Kbps のマスタ/スレーブ、
シングル・ワイヤ物理層に基づいたネットワーク・プロトコルで、主に低速で
重要性の低いアプリケーションのためのサブ・バスとして用いられます。
最大エージ:特定の制御機能の実行に対して許容される最大時間を指定したデ
ザイン・タイミング要件。
MCF(マスタ・コンフィギュレーション・ファイル):ノード、フレーム、信号の
ネットワーク定義と、タイミング・チェッカが使用するタイミング・パラメー
タを記録したデータベース・ファイル。
メッセージ(フレーム)
:パブリッシャ・ノードからの通信シーケンス(スタート・
シーケンス、ヘッダ、制御フィールド、データ・バイト(信号)、チェックサム、
フレーム終了)を構成する全ビット。
2
最小エージ:特定の制御機能の実行に対して許容される最小時間を指定したデ
ザイン・タイミング要件。
ネットワーク:複数のノードを相互接続する物理通信媒体(多くはケーブル)で、
データ・パラメータ(信号)の通信を用いて分散されたシステム機能が制御され
ます。
ノード:与えられた 1 つまたは複数のネットワーク上で通信する ECU。
周期的:一定の間隔で繰り返し送信される信号またはフレーム。
パブリッシャ(トランスミッタと同じ):ネットワーク上で特定のデータ・セット
を送信するノード。
パブリッシャ遅延:センサまたは入力のステートが変化してから、対応するデー
タまたはフレームがネットワーク上に送信されるまでの時間。
レシーバ:ネットワークから特定のデータ・セットを受信するノード。
信号:
(a)1 つまたは複数のノードで測定される入力(電気、光、熱など)で、
1 つまたは複数の機能に関連する制御ロジックや計算に用いられるもの。(b)
フレーム内に含まれるデータ・ビットで、測定値、ステータス、コマンドなど
をシステム内の他のノードに伝達するために用いられるもの。
信号チェーン・アナライザ:プログラム不要の通信アナライザ。
ステート変化:信号の値に変化があったときにだけ送信される信号の種類。
サブスクライバ(レシーバと同じ): ネットワークから特定のデータ・セットを
受信するノード。
サブスクライバ遅延:ローカル出力ステートの変化を要求するデータがサブス
クライバ・ノードに受信されてから、出力ステートの変化が測定されるまでの
時間。
システム:ネットワークで相互接続されたノードのグループ。
TDMA(時分割多元接続)
:通信方法の一種で、搬送波周波数が連続するタイム・
スロットに多重化(分割され)、そのタイム・スロットで 1 つのノードが指定さ
れたデータを送信するもの。
タイムアウト:イベントの間に許容される最大経過時間で、これを超えるとタ
イムアウト・フラグが発生。
タイミング・チェッカ:VPT タイミング基準レコーダで使用できるプログラム
不要のチェッカ。
トランスミッタ(パブリッシャと同じ):ネットワーク上で特定のデータ・セット
を送信するノード。
アップデート・ビット: 伝送された信号値のアップデートが実行されたことを
示す通信フラグとして使用されるデータ・ビット。
3
アップデート間隔:信号に対して実行される 2 つのアップデートの間の時間。
アップデート・レート: ローカル入力またはセンサの変化から、対応する通信
信号値の変化が測定されるまでに必要な時間。
VPT(車載ネットワーク用プロトコル・テスタ)
:エージ、パブリッシャ遅延、ゲー
トウェイ遅延、サブスクライバ遅延のタイミング・パラメータのテストをプロ
グラムなしで実行できるネットワーク・テスト・ツール。
ネットワークの
信頼性テスト
車載エレクトロニクスの複雑化に伴い、テスト手順とツールの重要性が高まっ
ています。
今日のシステムでは、ネットワーク帯域幅の効率的な使用は常に重要な問題で
すが、現在の多くのデザイン・プロセスには、バス負荷による遅延を測定/制
御できる信頼性の高い方法がありません。信頼性の高いデザイン手法がないた
め、今日最も広く用いられているネットワーク、CAN(コントローラ・エリア・
ネットワーク)では、システム動作の信頼性を十分に確保するために、帯域幅
利用率を実際には 50% 以下に制限しています。
ネットワーク帯域幅が信頼性に影響を与えるレベルに達したときに用いられる
一般的な手法の 1 つとして、ネットワークの数を増やす方法があります。この
方法は実際に問題のネットワークの帯域幅利用率を下げる効果がありますが、
ネットワーク処理がさらに複雑になります。信号を複数のネットワークに分配
することにより、信頼性が低下するとともに、ネットワーク上で信号値のゲー
トウェイ処理を担当するノードに大きな処理負荷がかかります。信号のゲート
ウェイ処理を担当する ECU は利用率が高く複雑なので、通信遅延の原因にな
ることがよくあります。
ネットワーク処理の複雑さが高まるとともに、テストによる問題の発見と解決
がますます重要になっています。これに対して、テストに使用できる時間が複
雑化に見合うほど増えることはなく、システムの信頼性を十分に確保できない
というリスクが高まっています。しかし、最終製品が成功するかどうかは購入
者の体験で測定されるので、テスト・プロセスとツールの性能は重要な意味を
持ちます。
業界におけるこのようなニーズの高まりに応えて、Agilent のテスト・ツール
製品に、車載ネットワーク用プロトコル・テスタ(VPT)501 が新たに加わりま
した。
VPT 501 は、既存のプロセスやデータ・フォーマットから容易に作成できるマ
スタ・コンフィギュレーション・テスト・ファイルを使用します。マスタ・コ
ンフィギュレーション・ファイルに記録されたテスト・パラメータを使うこと
で、最小限の設定で、VPT501 の強力なテスト機能を利用できます。ネットワー
ク・タイミング・チェッカおよび信号チェーン・アナライザ を使用して、タイミ
ングの問題を自動的に特定できます。
4
これらの機能を活用するために、VPT 501 のハードウェア・プラットフォーム
は、大容量メモリと、2 つの CAN ネットワーク(ソフトウェア選択可能な内
蔵トランシーバを含む)、2 つの LIN ネットワーク、8 つのデジタル I/O ライ
ンが用意されています。VPT 501 の他の機能として、スタンドアロンのデータ・
ロギングや、他の機器(オシロスコープやロジック・アナライザ)と接続して
相関解析を行えるトリガ・ラインがあります。
また、VPT 501 はスケーラブルなテスト・ツールであり、物理層からプロトコ
ル層、さらにはアプリケーション層までのさまざまなテスト・ケースに使用で
きます。VPT には 熟練したネットワーク技術者 のトラブルシューティング・ス
キルが組み込まれ、テストの自動設定、 ネットワーク関連の問題 を効率的に特
定するために必要なノウハウが簡単に利用できます。
テストの有効範囲
VPT 501 には、実行時またはポスト・プロセッシング時に自動実行される標準
化された通信テストがあり、フレーム、信号、ゲートウェイ、ECU 処理のタ
イミング測定を行い、システム仕様からの変動をチェックできます。
Life of a signal
図 1:信号の流れ
パブリッシャ
遅延
パブリッシャ
ECU
デュアル・
ステート
入力
通信遅延
ネットワーク
サブスクライバ
遅延
デュアル・
Dual
state
ステート
サブスクライバ
ECU
出力
Output
ステート
変化
エージ時間の測定値(ms)
ステート
変化
図 1 に信号の流れを示します。「信号」という言葉はさまざまな意味に用いら
れるので、最初に定義を明確にしておきます。信号の概念を理解するには、ま
ず 1 つの自動車またはシステムを他のものから区別する要素、すなわち機能(特
長)に着目する必要があります。各機能は、アクティベーション、すなわち何
らかの入力または入力の集合のステート変化に基づいて開始されます。この入
力は ECU によって処理され、ECU は入力を通信信号内のデジタル値として送
信します。この信号はサブスクライバ ECU で受信され、サブスクライバ ECU
は機能の実行に必要な出力をドライブします。
5
VPT は、「信号の流れ」の図(上記)に示されているテスト・コンポーネントに
対して、信頼性の確保に必要なタイミング・パラメータ(表 1)の自動測定機能
(プログラムは不要)を備えています。
表 1:自動タイミング測定の選択
VPT がこれらの測定を自動的に行うために必要なものは、測定するタイミング
の定義と、インタフェース接続だけです。
テスト・タイミング・パラメータの定義
VPT は、マスタ・コンフィギュレーション・ファイルと呼ばれるデータベースを
使用します。これには、ネットワーク、ノード、フレーム、信号に関する代表
的な通信データベースの定義がすべて含まれています。これらのパラメータの
他に、マスタ・コンフィギュレーション・ファイルには、VPT がタイミングの識
別に使用するテスト・タイミング・パラメータも含まれています。
マスタ・コンフィギュレーション・ファイル の定義は、CAN データベースおよ
び LIN デスクリプタ・ファイルをインポートすることにより作成できます。ま
た、CAN データベースには、「アトリビュート」と呼ばれるコンテナに有用な
システム情報が含まれている場合があります。これらのアトリビュートも、付
属の CANdb アトリビュート・マッパ・ユーティリティを使用して、マスタ・コ
ンフィギュレーション・ファイルにインポートできます。
6
図 2:CANdb アトリビュート・マッピング・エディタ
CANdb アトリビュート・マッピング・エディタを使用すると、CAN データベー
スをインポートする際に CANdb アトリビュートからパラメータを抽出して、
テスト・タイミング・パラメータを読み込むことができます。
テスト・パラメータを定義するもう 1 つの方法は、タイミング・パラメータ設定
ユーティリティを使用する方法です。このユーティリティを使用すると、パブ
リッシャ遅延のテスト・パラメータを定義できます。
7
図 3:タイミング・パラメータ設定ユーティリティ
タイミング・パラメータ設定ユーティリティは、マスタ・コンフィギュレーション・
ファイル内にタイミング・パラメータを定義する最も簡単な方法です。このユー
ティリティでは、サポートされるテスト・タイミング値
(フレームのフォローアッ
プ時間、信号のアップデート時間、パブリッシャ遅延、サブスクライバ遅延、エー
ジ)を、対応するフレームまたは信号の周期レート(単発またはイベントの場合
は 0)の%±オフセット値のフォーマットで入力できます。これらの値は、 マ
スタ・コンフィギュレーション・ファイルのデータ・セット全体に対してグロー
バルに、または選択したサブセットだけに割り当てることができます。
VPT 内のタイミング・パラメータは、実際に動作している ECU またはシステ
ムから記録された基準タイミングに基づいて設定することもできます。この方
法は、単に記録するデバイスを VPT 501 に接続して、測定を行うだけです。
必要な量のデータが記録されたら、タイミング・チェッカに組み込まれた基準タ
イミング・チェッカ機能を使って、パラメータをマスタ・コンフィギュレーション・
ファイルに保存できます。
8
図 4:基準タイミング・レコーダ
基準タイミング・レコーダを使用したテスト・タイミング・パラメータの指定は、
異なるシステム間の通信動作の違いをチェックする場合に特に便利です。1 つ
のシステムや ECU で間欠的に問題が発生し、他のシステムでは発生しない場
合などに利用できます。
エージ測定の説明
エージとは、機能の完了に必要な時間のことです。
説明図 1:機能エージ
制御ロジック
入力
出力
機能エージの測定は、最終的には製品の購入者やエンドユーザにより、製品の
全使用期間にわたって、応答性や信頼性という形で行われ続けます。製品のす
べての機能のエージの合計が、製品の品質や価値に関する全体的な印象に反映
されます。
エージ測定は、製品の各開発フェーズ(デザイン、実装、テスト)に関わるすべ
てのエンジニアが意識すべき重要なパラメータです。
以下の例は、エージ測定に含まれる分散された機能の要素を示しています。
9
図 5:機能エージの測定
デュアル・
ステート
パブリッシャ
ネットワーク
ECU
デュアル・
ステート
入力
サブスクライバ
ECU
出力
ステート
変化
エージ時間の測定値(ms)
ステート
変化
機能は、スイッチやセンサなどの入力トリガのステート変化により開始されま
す。この入力ステートの変化は、ECU によって処理され、結果がサブスクラ
イバ ECU に向けてネットワーク上に送信されるために準備されます。上図の
機能では、1 つのサブスクライバ ECU が関連する送信データを受け取り、デー
タを処理して、出力をドライブする論理ステートを決定します。
システム内のすべての機能は測定可能なエージを持ち、それらの集合がシステ
ムの性能と信頼性の指標になります。購入者やエンド・ユーザは、これらの機
能エージに関連する性能特性に基づいて製品の品質と価値を最終的に判断しま
す。
エージの測定
エージを簡単に測定するには、モニタ付き入力ラインを持つテスト・ツールを
使用して、解析する機能の入力と出力にテスト・ツールの入力ラインを接続し
ます。テスト・ツールは、機能の入力ステートの変化と、対応する出力ステー
トの変化との間の時間を測定することにより、エージ測定を行います。
例:
周辺光の輝度が 2,500 ルックス未満になったときにライトを点灯する機能を考
えます。以下のシステム例では、エージの計算値を集計して、応答時間の分布
を求めます。
周辺光
図 6:ライト制御機能センサとライト制御
1.2
90000
80000
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
1.67 3.33 5
周辺光
LEDステート
10
6.67 8.33 10 11.7 13.3 15 16.7 18.3 20 21.7 23.3
時間(ms)
24 時間にわたって、周辺光の輝度と、対応するライト・システムの応答の記録
が実行されました。テストのために実験室を準備し、その記録された 24 時間
輝度の変動を定期的にサンプリングしました。
エージ測定値を収集する際には、システムが時間とともに、さまざまな条件下
でどのように動作するかを理解するのに十分な数のサンプルを収集することが
重要です。テストの時間的な制約から、データの全母集団を実現することは不
可能ですが、システムの全使用期間中に測定される動作を反映できる数のサン
プルを収集することが必要です。
図 7:ライト制御のエージ計算例
エージ測定
1.2
0.6
1
t = 54.938
0.8
t = 109.859
t = 88.81
0.8
センサ入力
LED出力
0.6
0.4
0
0
t = 81.325
0.2
t = 93.090
0.4
t = 65.629
論理ステート
1
t = 97.191
1.2
0.2
0
130 260 390 520 650 780 910 1040 1170 1300 1430
時間
(ms)
最初に、テスト・セットアップと予測される応答をチェックするために、サン
プルとして機能エージの測定がライト機能に対して行われました。センサが測
定した輝度レベルに基づいて、機能の論理出力ステータスが LED のオン/オ
フを切り替えます。測定したエージ・データを以下の表に示します。
図 8:ライト制御機能のエージ測定(50 サンプル)
データ
番号
フォロー
アップ
時間
データ
番号
フォロー
アップ
時間
データ
番号
フォロー
アップ
時間
データ
番号
フォロー
アップ
時間
データ
番号
フォロー
アップ
時間
1
88.810
11
141.414
21
119.873
31
136.635
41
123.851
2
65.629
12
98.411
22
100.362
32
119.224
42
131.164
3
109.859
13
71.790
23
99.851
33
104.493
43
136.256
4
81.325
14
71.124
24
112.097
34
110.079
44
120.277
5
97.191
15
79.530
25
94.796
35
116.430
45
102.899
6
93.090
16
143.574
26
100.444
36
124.720
46
998.906
7
54.938
17
107.297
27
100.144
37
82.125
47
99.192
8
111.755
18
63.121
28
98.523
38
108.089
48
108.757
9
67.321
19
140.506
29
79.821
39
96.489
49
127.638
10
106.703
20
72.006
30
78.074
40
98.446
50
127.348
50 サンプルの測定では、システムの全使用期間にわたる機能の応答動作の正確
な分布モデルを得るには通常は不十分ですが、このサンプル・サイズからでも
ある程度の一般化は可能です。
11
テストの設計の一部として、性能と品質に関するリスク係数を、最良の測定値
からの偏差として定義する必要があります。現在評価中のライト・システムに
ついては、以下の定義が与えられています。
平均ターゲット・エージ...........................................100 ms
< 5% の偏差.......................................................................最低リスク
< 25% の偏差....................................................................低リスク
< 35% の偏差....................................................................中リスク
> 35% の偏差....................................................................高リスク
サンプルをリスク・レベルでグループ化することにより、被試験システムの信
頼性に関する簡単な評価が行えます。
簡単な解析から、収集されたデータの 14% が高リスクと判定されました。これ
は品質の観点からは許容できない値です。この場合、ただちに必要なことは、
テスト条件を調査して、テスト・セットアップが正しいかどうかを判断するこ
とです。テストが正しいことが確認されたら、さらに情報収集を行って、問題
の原因がシステム・デザイン、実装、その他の要因のどれに起因するのかを判
断します。これについてはこの後の「エージの要素」のセクションで説明します。
Distribution of measured function age
図 9:エージ測定のためのリスク評価
データのリスク
最低
低
中
高
母集団=50サンプル
リミット
上限
下限
10%
72.006
71.124
4%
71.79
63.121 67.321
54.938 65.629
65
0
64.999 74.999
5/50
2/50
10%
82.125
78.074
79.821
79.53
81.325
75
84.999
5/50
6%
94.796
93.09
88.81
85
94.999
3/50
26%
99.192
98.906
102.899
98.446
96.489
104.493
98.523
100.144
100.444
99.851
100.362
98.411
97.191
95
104.999
13/50
16%
108.757
108.089
110.079
112.097
107.297
106.7
111.75
109.86
105
114.999
8/50
12%
120.277
123.851
124.72
116.43
119.224
119.873
115
124.999
6/50
10%
6%
127.348
127.638
131.164
125
134.999
3/50
136.256
136.635
140.506
143.574
141.4
135
> 135
5/50
次に、母集団を十分に表現するために、1000 回の測定を実行して、統計解析を
行い、以下の正規分布が得られました。
12
図 10:エージ測定の分布
機能エージの正規分布
0.025
確率
0.02
0.015
0.01
0.005
0
0
50
100
150
機能エージの測定値(ms)
200
上図はサンプル母集団に基づいた分布です。重要な統計値( エージ測定の平均
値は 100 ms、標準偏差は 20 ms)が計算されています。
この情報から、被試験機能に問題があり、デザインで指定された要件を満たし
ていないことがわかります。この後、さらにテストを行って、高リスク動作の
根本原因を特定し、必要な対策を決定する必要があります。このテストの有効
範囲については以下の「エージの要素」のセクションで説明します。
VPT 501 を使用したエージ測定
VPT 501 には、システム I/O に接続可能な入力が下図のように備わっています。
図 11:エージ測定のための VPT 501 の接続
VPT 501の入力を
ECU 1の入力に接続
ECU 1
入力
E CU 1
VPT 501の入力を
ECU 2の出力に接続
E CU 2
ECU 2
出力
エージの測定には、VPT 501 の入力を、エージ測定の対象のシステムの入力と
出力に接続する必要があります。このためには、少なくとも 2 つの入力をシス
テムに物理的に接続する必要があります。
エージ値の許容範囲は、マスタ・コンフィギュレーション・ファイルで定義で
きます。各信号に対して最小エージと最大エージを定義します。
13
図 12:エージ測定用のマスタ・コンフィギュレーション・テスト・パラメータ
エージの定義が使用可能な場合は、VPT 信号チェーン・アナライザにより、MCF
に指定された要件が満たされていないエージ・タイミングの測定値を見つけること
ができます。
図 13:エージ測定のための信号チェーンの定義
信号チェーン・アナライザを使用すると、プログラムを作成することなくエージ
測定が簡単に行えます。上の図 13 に示すように、信号チェーンは、定義され
たしきい値電圧をライト・センサの入力が(上昇中または下降中に)通過するた
びに、自動的にライト機能のエージを計算します。
この測定が実行されるたびに、測定値が Value 列に表示されます。測定された
応答時間の最小値と最大値の履歴が表示されます。
例えば、図 13 に示す例では、信号チェーンに対して定義された許容範囲は
80.00 ms ~ 120.00 ms です。入力の遷移がしきい値電圧を通過するたびに、測
定値が記録されます。この例では、信号チェーンに対する最小の時間測定値は
75.00 ms、最大の測定値は 135.3 ms でした。最新の測定値は Value 列に表示さ
れた 97.82 ms です。信号チェーンの測定結果が、許容範囲外になるたびに、
VPT 501 解析スイートは、エラー・フラグ・インジケータを作成し、このエラー
が発生した場所と、関連する ECU、フレーム、信号を通知します。
収集されたデータの解析から、以下のようにエージの測定値が最小値/最大値
を超えた頻度が示されます。
14
図 14:エージ測定値の分布
エージの測定値(ms)
最小エージ
平均値
X
最大エージ
O
O
X
エージの要素
エージの測定値は、ハードウェア、ソフトウェア、通信に関連するさまざまな
寄与因子から構成されています。エージ測定の変動の原因を判断するには、さ
らに別の測定が必要です。VPT 501 は、以下に示す測定が行えます。
パブリッシャ遅延:センサまたは入力のステートが変化してから、対応するデー
タまたはフレームがネットワーク上に送信されるまでの時間。
サブスクライバ遅延:ローカル出力ステートの変化を要求するデータがサブス
クライバ・ノードに受信されてから、出力ステートの変化が測定されるまでの
時間。
ゲートウェイ遅延(該当する場合)
:ネットワーク上でゲートウェイ処理が必要
なデータがゲートウェイ・ノードに受信されてから、ゲートウェイを通過した
データがゲートウェイ先のネットワーク上で測定されるまでの時間。
通信時間:エージが計算される相対データを含むフレームを送信するのに必要
な時間。
パブリッシャ遅延
パブリッシャ遅延は、入力ステートが変化してから、対応するデータの変化が
ネットワーク上で測定されるまでに経過する時間と定義されています。パブリッ
シャ遅延の解析から、ローカル入力の変化に応じて通信データを供給するパブ
リッシャ ECU の信頼性がわかります。
図 15:パブリッシャ遅延
パブリッシャ
デュアル・
ステート
入力
ステート
変化
ネットワーク
ECU
パブリッシャ遅延の測定値(ms)
15
ネットワーク
信号
パブリッシャ遅延の測定では、ハードウェア・インタフェース(スイッチ・セ
ンサ)の動作、ECU アーキテクチャ(ソフトウェアとハードウェア)、通信デザ
インが重要な役割をします。
図 16:パブリッシャ遅延の要素
通信ドライバ
データ
処理
IL
ポーリング/割込み
入力
ハードウェア
パブリッシャ
COM COM
パブリッシャ遅延の大きさと変動に影響を与える要素としては、以下があります。
入力ステートの変化: 電気ステートの測定可能な大きさの変化で、スイッチま
たはセンサから認識されたステート変化の処理をトリガします。
ハードウェア・フィルタリング: ステート変化が パブリッシャ ECU に認識され
る前に、ハードウェア回路による信号の調整に必要な遅延。
ポーリング/割込みデータ処理:ECU がローカル入力のステートを測定するた
めの認識方法に関連する遅延。
データ処理時間:通信ドライバで新しい通信値を更新する前に、すべてのソフ
トウェア調整アルゴリズムで新しいデータ値を使用するための、ECU で必要
な時間(ジッタを含む)。
通信ドライバ遅延:この遅延は、ネットワーク通信デザインに影響され、多く
はアービトレーション遅延の関数で、このフレームの送信試行の間に他の ECU
が送信できるフレームの数で表されます。
バス・アービトレーション遅延:これはネットワーク通信デザインとの積です。
データ変化を反映する信号の通信: これは物理層特性(速度と健全さ)の結果で
あり、更新されたデータ値を含むフレームの送信を完了するために必要な時間
を表します。
16
パブリッシャ遅延の測定
パブリッシャ遅延は、パブリッシャ ECU への入力ステートが変化してから、
対応する更新された通信信号を含むフレームが正常に送信されるまでの時間差
を計算することにより測定されます。
図 17:パブリッシャ遅延
信号
パブリッシャ
入力
ネットワーク
ECU
時間
パブリッシャ遅延
VPT 501 によるパブリッシャ遅延の測定
VPT の入力の 1 つをネットワーク・インタフェースと組み合わせて使用する
ことにより、VPT 501 に付属するタイミング・チェッカと信号チェーン・アナラ
イザ機能を使って、パブリッシャ遅延を測定できます。
図 18:パブリッシャ遅延を測定するための VPT 501 の接続
VPT 501の入力を
ECU 1の入力に接続
VPT 501をネットワークに
接続
ECU 1
入力
E CU 1
E CU 2
ECU 1
出力
パブリッシャ遅延のテスト・タイミングの定義は、マスタ・コンフィギュレーショ
ン・ファイル内で下図のように定義されています。
図 19:マスタ・コンフィギュレーション・ファイルでのパブリッシャ遅延の許容範囲の定義
この例に示された許容範囲によれば、パブリッシャ・ノードがエンジン速度信
号を送信するために許容される時間は 0.000 ~ 37.380 ms の範囲です。VPT
501 は、タイミング・チェッカ測定の際にこの情報を使用します。
17
図 20:タイミング・チェッカによるパブリッシャ遅延の判定
タイミング・チェッカは、設定された測定で発見されたパブリッシャ遅延違反を
すべて表示します。図 20 から、測定タイム・スタンプ 1799.46 ms で、ABS に
よる ABS_ FRAME の送信に 96.33 ms かかっていることがわかります。仕様
によれば、この送信に必要な時間は 50.00 ms 以下でなければなりません。
この原因の特定には、この時刻前後のネットワーク・トラフィックを測定して、
通信遅延がどの程度の影響を与えたかを判断することです。
図 21:フレーム・トレースでパブリッシャ遅延を検索
タイミング・チェッカでパブリッシャ遅延のエントリを右クリックすると、その
エントリに対して使用できる VPT の機能が表示されます。
図 22:フレーム・トレースでバス・アービトレーション遅延を解析
18
トレース・ウィンドウ には、フレームがネットワークでの発生順序に従ってア
クティブに表示されます。ABS_FRAME が強調表示されていて、バス・アービ
トレーション遅延がパブリッシャ遅延に与えた影響がわかります。
ここでは、CAN1 ネットワーク上でフレームの伝送にかかった時間を理解する
ことが重要です。ネットワークの速度があらかじめわかっていない場合は、こ
の情報はマスタ・コンフィギュレーション・ファイルから容易に得られます。下
図のように nodes タブで CAN1 ネットワークを選択します。
図 23:マスタ・コンフィギュレーション・ファイルのネットワーク速度の定義
ネットワーク速度は 500 kbps であることが容易にわかります。CAN では同期
のためのスタッフ・ビットが用いられるので、1 つの CAN フレームの送信に
必要なビット数を正確に予測することは不可能ですが、11 ビットの識別子を使
用する代表的な 8 バイト CAN フレームの送信には 125 ビット時間かかると予
測できます。
このことから、1 個の CAN フレームに必要な時間は 125/500,000 = 0.25 ms です。
この計算と図 22 のデータを組み合わせることにより、ENGINE FRAME A(ID
0x170)の送信後、このバスは連続的に使用されていることがわかります。これ
は、フレーム開始時間の差を計算するとわかります。この値は Relative Time
列に表示されています。
ただし、このフレームが実際に、これらの他の送信されたフレームとのアービ
トレーションが生じるタイミングで、CAN コントローラの送信キューにロー
ドされたのかどうかはわかりません。しかしここでは、テストのために、ワー
ストケースのアービトレーション遅延が実際に発生したと仮定します。この場
合、パブリッシャ遅延の他の要素から生じる遅延は最小になります。
ENGINE FRAME A の開始と ABS_FRAME の送信との間の時間差は以下のよ
うに計算されます。
1799.460 - 1798.498 + 0.25(1 フレームの伝送時間)= 1.212 ms
これはパブリッシャ遅延のごく一部(1.258%)でしかないので、遅延の根本原
因ではありません。ここで、ECU ソフトウェア・アーキテクチャと、関連す
る CAN ドライバの調査が必要になります。
信号チェーン・アナライザは、エージ計算と同様にパブリッシャ遅延測定にも使
用できます。接続された入力をサンプリングしてステータスの変化が検出され
ると、パブリッシャ遅延が自動的に計算されるように設定できます。
19
サブスクライバ遅延
図 24:サブスクライバ遅延
デュアル・
ステート
ネットワーク
サブスクライバ
ECU
出力
ネットワーク
信号
ステート
変化
サブスクライバ遅延の測定値(ms)
サブスクライバ遅延は、データがネットワークに送信されてから、出力ステー
トの対応する変化が発生するまでの時間と定義されています。この時間を構成
する要素を以下に示します。
サブスクライバ遅延の測定には、ハードウェア・インタフェース(リレー出力)
の動作と、ECU アーキテクチャ(ソフトウェアとハードウェア)が影響します。
図 25:パブリッシャ遅延の要素
ハードウェア
IL
データ
処理
ポーリング/割込み
COM COM
通信ドライバ
サブスクライバ
出力
パブリッシャ遅延の大きさと変動に影響を与える要素としては、次のものがあ
ります。
通信ドライバ遅延:この遅延は、通信ドライバが新たに受信したデータ値をア
プリケーションに引き渡すのに必要な時間です。
データ処理時間:適切な出力ステートをドライブするために必要なすべてのソ
フトウェア調整アルゴリズムで新しいデータ値を使用するための、ECU で必
要な時間(ジッタを含む)。
ハードウェア遅延:ハードウェア回路で発生する遅延。
20
サブスクライバ遅延の測定
サブスクライバ遅延は、新しい通信データ値の受信と、対応する出力ステート
の実現との間の時間差を計算することにより測定されます。
図 26:サブスクライバ遅延
出力
信号
ネットワーク
サブスクライバ
ECU
時間
サブスクライバ遅延
VPT 501 によるサブスクライバ遅延の測定
VPT の入力の 1 つをネットワーク・インタフェースと組み合わせて使用するこ
とにより、VPT 501 に付属するタイミング・チェッカと信号チェーン・アナライ
ザ機能を使って、サブスクライバ遅延を測定できます。
図 27:パブリッシャ遅延を測定するための VPT 501 の接続
VPT 501の入力を
ECU 2の出力に接続
ECU 1
E CU 1
入力
VPT 501を
ネットワークに
接続
E CU 2
ECU 2
入力
サブスクライバ遅延のテスト・タイミングの定義は、マスタ・コンフィギュレーショ
ン・ファイル内で下図のように定義されています。
図 28:マスタ・コンフィギュレーション・ファイルでのサブスクライバ遅延の許容範囲の定義
この例に示された許容範囲によれば、サブスクライバ・ノードが RLWinPos 信
号などのコマンドを受信してから、リア左ウィンドウ位置の出力変化をドライ
ブするために許容される時間は、0.000 ~ 27.000 ms の範囲です。
21
VPT 501 は、このアプリケーション・ノートの前のセクションで説明したパブ
リッシャ遅延の場合と全く同じ方法で、これらのタイミング情報をタイミング・
チェッカおよび信号チェーン・アナライザで使用します。
ゲートウェイ遅延
ゲートウェイ遅延は、複数のネットワークの間で交換される信号に対して定義
されています。信号が 1 つのネットワークに現れてから、別のネットワークに
現れるまでの時間が、ゲートウェイ遅延として計算されます。
図 29:
信号値
信号値
ネットワークA
ゲートウェイ
ネットワークB
ECU
ネットワーク
信号
ネットワーク
信号
ゲートウェイ ECU は通常、高い処理能力と多くのメモリ、さまざまなインタ
フェースを搭載した高性能 ECU です。このような ECU プラットフォームは高
価なので、通常大量の作業を担当させられます。このため、ゲートウェイ ECU
は通信遅延の原因となることが多く、このような問題の解決はソフトウェアの
複雑さのためにきわめて難しくなります。
ゲートウェイ ECU がシステムの通信遅延の原因となっているかどうかを判断
するための最初のステップは、 ゲートウェイ遅延テスト を実行することです。
このテストにより、ゲートウェイがどの程度の信頼性でネットワーク間でデー
タを転送できるかがわかります。
図 30:ゲートウェイ遅延を測定するための VPT 501 の接続
CAN
CAN
またはLI
またはLI
VPT 501を
両方の
ネットワークに
接続
ゲートウェイ
VPT 501 は、CAN 用インタフェース 2 つと、LIN 用インタフェース 2 つを装
備しているので、ゲートウェイ・テストに最適です。ゲートウェイ ECU がサポー
トするインタフェースを接続するだけです。
22
信号の ゲートウェイ遅延 は、 マスタ・コンフィギュレーション・ファイル 内で、
下 図 の よ う に、 各 ゲ ー ト ウ ェ イ・ ノ ー ド の Nodes ビ ュ ー に あ る Signal
Gateways ビューで定義されています。
図 31:マスタ・コンフィギュレーション・ファイルのゲートウェイ遅延の定義
この例では、DDWinPos 信号に対する最大合計ゲートウェイ遅延が 15.200 ms と
定義されています。
VPT 501 でゲートウェイ遅延テストのタイミング・パラメータが定義されると、
タイミング・チェッカがすべてのゲートウェイ信号のタイミングを自動的に
チェックします。
図 32:タイミング・チェッカによるゲートウェイ遅延の測定
この例では、GWM_ DATA フレームのゲートウェイ処理に 101.54 ms かかっ
ていることがわかりました。要求されている時間は 54.00 ms です。
この場合も、ゲートウェイ遅延に対してフレーム・トレースを使用することによ
り、通信アービトレーション遅延がこの遅延にどの程度影響を与えているかを
評価する必要があります(注記:LIN ではアービトレーションは用いられませ
ん)。
失われた信号値
タイミング・チェッカは、ゲートウェイを通るすべての信号値を自動的にチェッ
クして、失われた信号ステートがないことをチェックします。信号が失われる
理由は、同じタイプの複数のフレームが連続して送信されたために、受信ゲー
トウェイ・ノードが情報を処理する時間が不足するからです。
23
図 33:ゲートウェイで失われた信号値
信号A=オフ
信号A=オフ
ゲートウェイ
信号A=オン
失われた
信号値
ECU
信号A=オフ
信号A=オフ
ネットワークA
ネットワークB
送信信号値と受信信号値の不一致
タイミング・チェッカ は、ゲートウェイを通る信号の一貫性チェックを自動的
に実行して、1つのバスで送信された値が入力バスで受信された値と一致する
ことを確認します。
図 34:ゲートウェイによる誤った信号値の送信
ゲートウェイ
信号A=オン
ECU
信号A=オン
ネットワークB
ネットワークA
フォローアップ時間
フレームのフォローアップ時間とは、下図のように、同じ送信フレームの 2 つ
の発生の間の時間です。
図 35:フレームのフォローアップ時間
最小FUT
時間軸
平均値
A
A
送信
フレーム
送信
フレーム
最大FUT
フローアップ時間は、マスタ・コンフィギュレーション・ファイル 内で、各送信
フレームに対して下図のように Nodes ビューに記録されています。
24
図 36:マスタ・コンフィギュレーション・ファイルのフォローアップ時間の定義
タイミング・チェッカは、送信フレームのフォローアップ時間が指定された要件
を満たさないすべての場合を自動的に識別します。
アップデート間隔
アップデート間隔とは、同じネットワーク上でアップデートされる共通の信号
の 2 つの発生の間の時間です。
アップデート間隔値の範囲は、下図のように、マスタ・コンフィギュレーション・
ファイル内で、送信フレーム・ビューの信号に対して定義されています。
図 37:アップデート間隔
最小
アップデート
間隔
A
時間軸
平均値
A
アップデート
信号
アップデート のない信号
最大
アップデート
間隔
A
信号
アップデート
タイミング・チェッカ は、信号値のアップデート・レートが指定された要件を
満たさないすべての場合を自動的に識別します。
25
N5432A(オプション FRS)の FlexRay バス・トリガ機能と
デコード機能
図 4 は、最後にスケジュールされたスタティック・スロット(スロット 89)で
トリガするための MSO のセットアップの例を示したものです。この FlexRay
の測定例では、特有の通信サイクルを捕捉するために、トリガが 10 のベース・
サイクルと 16 のサイクル繰り返しでクオリファイされたことが分かります。
この設定では、オシロスコープはサイクル 10、26、42、58 でのみトリガします。
下側のトレース(青)は各キャプチャ・フレームのヘッダとペイロード・プロト
コルを示し、その真上のトレースはカラー・コード化されたスロット・タイミ
ングを示しています。ここでは、各キャプチャ・フレームが指定のスロット内
で発生していることが明確に分かります。この測定例では、スタティック・ス
ロット・セグメント(SS 89、オレンジでカラー・コード化)からダイナミック・
ミニスロット・セグメント(DS 90、緑でカラー・コード化)への遷移も確認で
きます。
Agilent の FlexRay 測定ソリューションが開発される前には、FlexRay 測定機
能があるオシロスコープでトリガできたのは、CRC エラーなどの非常に限られ
たエラー条件だけでした。しかし、Flex Ray バスが多くの安全性を重視する
アプリケーションで用いられるようになれば、特定のエラーを考えられるさま
ざまな条件に基づいてすばやく識別する必要があります。極端に低いビット・
エラー・レートはコンピュータ業界では統計的に許容される範囲内かもしれま
せんが、自動車業界ではエラーは許されません。図 5 は、ヌル・フレーム・エラー
条件でのトリガの例を示したものです。この場合は、オシロスコープはこのエ
ラー条件でトリガをかけ、ダイナミック・スロット 137 内に赤でカラー・コー
ド化された「ヌル」フレーム・エラー・メッセージを表示しています。
図 5. ヌル・フレーム・エラーでトリガをかけるための MSO6000 の
セットアップ
図 4. 理想的なスロット境界を持つ FlexRay フレームの時間相関
N5424A InfiniiVision オシロスコープ用 CAN/LIN アプリケーションに関して
の 詳 細 に つ い て は、Agilent N5424A デ ー タ・ シ ー ト( カ タ ロ グ 番 号
5989-6220JAJP)を参照して下さい。
26
関連カタログ
タイトル
カタログ・タイプ
カタログ番号
J8120A VPT501 車載ネットワーク用
Data Sheet
5989-6818JAJP
プロトコル・テスタ
J8115A LIN テスタ
Data Sheet
5989-6817JAJP
J8130A VPT1000
Data Sheet
5989-7589JAJP
Error Injection in LIN Tester
Application Note
5989-7312EN
Agilent N5424A CAN/LIN アプリケーション・ Data Sheet
N5432A FlexRay アプリケーション
5989-6220JAJP
製品 Web サイト
最新のアプリケーション/製品情報については、以下の製品 Web サイトをご
覧ください。
www.agilent.co.jp/find/automotive-network
27
アジレント・テクノロジー株式会社
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システム・インテグレーション
導入時のスタート・アップ・サービス
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計測お 客様窓口
受付時間 9:00-19:00(土・日・祭日を除く)
FAX、E-mail、Web は 24 時間受け付けています。
TEL ■■
FAX ■■
0120-421-345
(042-656-7832)
0120-421-678
(042-656-7840)
Email
[email protected]
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記載事項は変更になる場合があります。
ご発注の際はご確認ください。
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株式会社にて販売・サポートを行っております。
製品に関するお問い合わせ・お見積もりに関しま
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( 名古 屋支 店 )
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TEL:
FAX:
e-mail:
URL:
052-571-6441
052-571-6443
[email protected]
www.oec.okaya.co.jp
Agilent の自動車用テスト・ソリューションの概要
については、以下の Web サイトをご覧ください。
www.agilent.co.jp/find/automotive-test
April 22, 2008
www.agilent.co.jp/find/Vpt501
5989-7971JAJP
0000-00DEP
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