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東三河アンテナショップ実現可能性調査

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東三河アンテナショップ実現可能性調査
東三河アンテナショップ実現可能性調査報告書
2016年3月
東三河広域連合
目次
調査概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3ページ
業務1: 首都圏アンテナショップ実態調査・・・・・・・・・・・
6ページ
1-(1):文献調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1-(2):ヒアリング調査・・・・・・・・・・・・・・・・
① 既存店舗ヒアリング調査・・・・・・・・・・・・・・
② 新規店舗ヒアリング調査・・・・・・・・・・・・・・
③ 有識者ヒアリング調査・・・・・・・・・・・・・・・
1-(3):アンケート調査・・・・・・・・・・・・・・・・
8ページ
11ページ
11ページ
12ページ
13ページ
17ページ
業務2: 首都圏アンテナショップ利用者調査・・・・・・・・・・
26ページ
2-(1):首都圏住民webアンケート調査 ・・・・・・・・・
2-(2):首都圏住民グループインタビュー調査・・・・・・
2-(3):訪日外国人観光客アンケート調査・・・・・・・・
28ページ
41ページ
48ページ
業務3: 東三河特産品ポジショニング調査・・・・・・・・・・・
52ページ
業務4: 東三河アンテナショップモデル構築・・・・・・・・・・
56ページ
総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
67ページ
2
調査概要
3
はじめに
全国的な少子高齢化に伴う人口減少時代の到来による地域内の消費の減少によって、
近年地方自治体は地域の活性化のため、人の集まる大都市部に需要を求めていかざるを
得ない状況となっている。そうした状況下で、各自治体は大都市との交流のために様々
な策を講じている。
アンテナショップの設置もその策の一つで、都市部に常設することで、地域に対する
認知度を高めると同時に常に消費者のニーズを的確に把握し、それに応じた特産品の販
売や観光施策が可能となる。 アンテナショップは、特産品の生産拡大や交流人口の増
加といった地域産業の活性化に加え、地方自治体と大都市との交流拠点として重要な役
割を担っている。
4
調査概要
■ 業務名
東三河アンテナショップ実現可能性調査業務
■ 業務の目的
東三河のさらなる認知度の向上及び交流人口の拡大等を図るため、東三河の特産品等の現状を認識
するとともに、現地の消費者ニーズ等を的確に捉え、東三河が出店を目指すべきアンテナショップのコン
セプト及びモデルの構築を行うことを目的とする。
■ 業務内容
・業務1 首都圏アンテナショップ実態調査(文献調査、ヒアリング調査およびアンテナショップ関係者アンケート調査)
・業務2 首都圏アンテナショップ利用者調査(首都圏住民アンケート調査、外国人観光客アンケート調査、
グループインタビュー調査)
・業務3 東三河特産品ポジショニング調査
・業務4 東三河アンテナショップモデルの構築テナシ
■ 調査実施期間
平成27年10月7日(水)~平成28年3月31日(木)
5
業務1 : 首都圏アンテナショップ実態調査
6
業務1-'1(:文献調査
調査目的
各自治体のアンテナショップや東三河地域に関する資料およびデータを調査分析する。これにより、既存アンテナショップ
の実態や成功要因、失敗要因の把握及び東三河地域の特産品や地域資源などの特性を把握するとともに、東三河アン
テナショップのあるべき方向性の基礎資料とする。
実施時期
平成27年10月
調査対象
「自治体アンテナショップ実態調査報告書」'一般財団法人地域活性化センター(、各アンテナショップホームページ
調査方法
デスクリサーチ
業務1-'2(:ヒアリング調査
① 既存店舗ヒアリング調査
② 新規店舗ヒアリング調査
調査目的
現場での運営手法や問題点、さらには既存店舗にはない新たな空間造りや戦略について把握する。
実施時期
平成27年10月~11月
調査対象
21店舗のアンテナショップ店長、自治体担当者等
調査方法
ヒアリング調査
業務1-'2(:ヒアリング調査
③有識者ヒアリング調査
調査目的
有識者にヒアリングを行い、アンテナショップの現状及び課題認識、さらには今後の方向性について把握する。
実施時期
平成27年10月~11月
調査対象
地域活性化センター 振興部広報室長 畠田千鶴氏
調査方法
ヒアリング調査
業務1-'3(:アンテナショップ関係者アンケート調査
調査目的
アンテナショップに対しアンケート調査を行い、既存アンテナショップの実態を把握する。
実施時期
平成27年10月~12月
調査対象
首都圏のアンテナショップ56店舗に調査票を送付し、34店舗から回収
調査方法
郵送法によるアンケート調査
7
業務1-'1(:文献調査
~アンテナショップ出店数推移~
東京都内のアンテナショップは平成13年度は10店舗ほどであったが、それ以降増加を続け平成26年度では55店舗と
なった。平成26年度は、年間3億円以上を売り上げるアンテナショップが14店舗、さらに7億円以上を売り上げる店舗が1
店舗増えて3店舗となった。(これまでの北海道どさんこプラザと沖縄わしたショップに広島ブランドショップTAUが加わっ
た。) 平成27年度はさらに5店舗増え、60店舗に達している。
平成26年度年間入館者数
店数
10万人未満
55
構成比
14
25.5%
10万人以上20万人未満
8
14.5%
20万人以上50万人未満
11
20.0%
50万人以上70万人未満
5
9.1%
70万人以上100万人未満
1
1.8%
100万人以上
4
7.3%
未回答
12
21.8%
合計
55
100.0%
平成26年度年間売上
店数
構成比
3千万円未満
9
16.3%
3千万円以上5千万円未満
3
5.5%
5千万円以上1億円未満
2
3.6%
1億円以上3億円未満
15
27.3%
3億円以上5億円未満
8
14.5%
5億円以上7億円未満
3
5.5%
7億円以上10億円未満
3
5.5%
未回答
12
21.8%
合計
55
100.0%
出所:自治体アンテナショップ実態調査報告書をもとにJTB総合研究所作成
8
~アンテナショップ名称・設立年~
都道府県 自治体名
1 北海道
2 北海道
3 北海道
4 北海道
5
6
7
8
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
9 山形県
10
11
12
13
山形県
福島県
福島県
茨城県
14 栃木県
アンテナショップ名
設立年
北海道 北海道どさんこプラザ
函館市 函館もってきました。
旭川食べマルシェ
旭川市
ローソン新宿イーストサイドスクエア店
1999
2011
美瑛町 丘のまち美瑛
2013
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
あおもり北彩館東京店
いわて銀河プラザ
宮城ふるさとプラザ
あきた美彩館
2014
2002
1998
2005
2008
山形県 おいしい山形プラザ
2009
飯豊町
福島県
福島県
茨城県
2014
2014
2009
2012
高円寺純情コミュニティカフェ&ショップ IIDE
日本橋ふくしま館「MIDETTE」
福島県八重洲観光交流館
茨城マルシェ
かつまるショップ'柴又駅前観光案内所(
立川市・大町市観光情報プラザ
「信濃大町アルプスプラザ」
2010
2010
立川市柴崎町3-14-3
麦わら帽子
2001
多摩市&長野県富士見町共同
アンテナショップ Ponte
2010
2012
15 群馬県
群馬県 ぐんま総合情報センター
2008
16 埼玉県
埼玉県 埼玉アンテナショップ ナチュラルローソン 新宿西店
埼玉アンテナショップ
埼玉県
ナショナルローソン東京日本橋一丁目店
東京都 東京愛らんど
2009
17 埼玉県
18 東京都
19 東京都
東京都 TOKYO地域特産品売店
20 東京都
東京都
21
長野県
葛飾区
立川市
大町市
武蔵野市
22 東京都
'複数団
東京都
多摩市
23
長野県 富士見町
2014
1992
1991
24 神奈川県
三浦市 なごみま鮮果
2006
25 新潟県
新潟県 表参道・新潟館 ネスパス
1997
26 富山県
富山県 いきいき富山館
2002
27
28
29
30
石川県
金沢市
福井県
福井県
2014
2014
2002
2013
石川県
石川県
福井県
福井県
東京都杉並区高円寺北2-7-6 高円寺名店ビル
中央区日本橋室町4-3-16 柳屋太洋ビル1F
中央区八重洲2-6-21 三徳八重洲ビル1F
中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1F
東京都墨田区押上1-1-2
東京スカイツリータウン・ソラマチイーストヤード4F
中央区銀座5-13-19
デュープレックス銀座タワー5/13 1.2F
新宿区西新宿1-13-12 西新宿昭和ビル1階
中央区日本橋1-7-9
ナチュラルローソン東京日本橋一丁目店
港区海岸1-12-2 竹芝客船ターミナル内
新宿区西新宿2-8-1
東京都庁第一本庁舎1階北側
(東京観光情報センター内(
東京都葛飾区柴又4-9-5 穂戸田ビル1F
栃木県 とちまるショップ
いしかわ百万石物語・江戸本店
銀座の金沢
福井県ビジネス支援センター
ふくい南青山291
食の國 福井館
都道府県 自治体名
所在地
千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館1階
中央区京橋2-4-12ローソン京橋駅前内
新宿区新宿6-27-30 B1F
ローソン新宿イーストサイドスクエア店内
千代田区有楽町2-10-1
東京交通会館B1
千代田区富士見2-3-11
中央区銀座5-15-1南海東京ビル1F
豊島区東池袋1-2-2 東池ビル1・2階
港区高輪4-10-8 ウィング高輪WEST-Ⅲ1F
中央区銀座1-5-10 ギンザファーストファイブビル1F・
2F
31
32
33
34
35
山梨県
山梨県
山梨県
山梨県
長野県
長野県
長野県
飯島町
長野県 木島平村
アンテナショップ名
富士の国やまなし館
レストランY-wine'わいわい(
銀座NAGANO~しあわせ信州シェアスペース~
信州いいじまマルシェ
調布&木島平 食の駅 新鮮屋
設立年
2004
2010
2014
2015
2003
36 静岡県
静岡県 静岡県産品アンテナコーナー「おいしず」
2013
37 三重県
三重県 三重テラス
2013
38 滋賀県
滋賀県 滋賀県東京観光物産情報センター
「ゆめぷらざ滋賀」
2001
39 京都府
京都府 京都府コーナー
2015
40 京都府
41 兵庫県
42 兵庫県
京都市 京都館
豊岡市 コウノトリの恵み 豊岡
淡路市 淡路島アンテナショップ
2006
2011
2015
43 奈良県
奈良県 奈良まほろば館
2009
44 奈良県
奈良県 ときのもり
2016
45 和歌山県 和歌山県 わかやま紀州館 2004
鳥取県
46
岡山県
47 島根県
鳥取県
とっとり・おかやま新橋館
岡山県
島根県 にほんばし島根館
48 広島県
広島県 広島ブランドショップ TAU
2012
49 山口県
山口県 おいでませ山口館
2002
2014
2003
武蔵野市吉祥寺本町2-33-1
51 徳島県
香川県
52
愛媛県
徳島アンテナショップローソン
徳島県
虎ノ門巴町店内
徳島県 徳島アンテナショップ飯田橋三丁目店内
香川県
香川・愛媛 せとうち旬彩館
愛媛県
東京都多摩市永山1-4
53 高知県
高知県 まるごと高知
2010
54 長崎県
長崎県 日本橋長崎館
2016
55 長崎県
長崎県 長崎よかもんショップ
2014
千代田区鍛冶町2-5-11 ミハラビル1F
渋谷区神宮前4-11-7
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館
B1F
中央区銀座2-2-18 H銀座ビル
中央区銀座1-8-19 キラリトギンザ6F
港区南青山5-4-41
中央区銀座1-3-3
※赤枠は年間売上3億円以上のアンテナショップ
50 徳島県
56
57
58
59
60
熊本県
熊本県 銀座熊本館 くまもとプラザ
大分県
大分県 坐来大分
宮崎県
宮崎県 新宿みやざき館「KONNE」
鹿児島県 鹿児島県 かごしま遊楽館
沖縄県
沖縄県 銀座わしたショップ
所在地
中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル1F
中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル2F
中央区銀座5丁目6-5 NOCOビル 1F・2F・4F
三鷹市井の頭2‐7-1
調布市小島町1-34-11
千代田区神田練塀町8-2
日本百貨店しょくひんかん内
中央区日本橋室町2-4-1
YUITO ANNEX 1F・2F
千代田区有楽町2-10-1
東京交通会館2F
千代田区丸の内3-5-1東京国際フォーラムB1F
ファミリーマート東京国際フォーラム店内
中央区八重洲2-1-1 ヤンマー東京ビルF
千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館1F
千代田区丸の内3-1-1 国際ビル1F
中央区日本橋室町1-6-2
日本橋室町162ビル1・2F
港区白金台5-17-10
千代田区有楽町2-10-1
東京交通会館地下1F
港区新橋一丁目11番7号
新橋センタープレイス1F/2F
中央区日本橋室町1-5-3福島ビルF
中央区銀座1-6-10
銀座上一ビルディング
中央区日本橋2‐3‐4
日本橋プラザビル1F
2009
港区虎ノ門3-11-15
2013
千代田区飯田橋3-6-5
港区新橋2‐19‐10
新橋マリンビル1・2F
中央区銀座1‐3‐13
リープレックス銀座タワー
中央区日本橋2-1-3
アーバンネット日本橋二丁目ビル1階
新宿区四谷1-10-2
長崎県東京産業支援センター1F
中央区銀座5-3-16
中央区銀座2-2-2 ヒューリック西銀座ビル8F
渋谷区代々木2-2-1 新宿サザンテラス内
千代田区有楽町1-6-4 千代田ビル1,2,3F
中央区銀座1-3-9 マルイト銀座ビル1F・地下1F
2003
1994
2006
1998
1995
1994
出所:自治体アンテナショップ実態調査報告書をもとにJTB総合研究所作成
9
~アンテナショップの最近の傾向~
最近のアンテナショップは都道府県による出店が増え、規模も大型化、売上も増加傾向にある。立地は、銀座、有楽
町、日本橋などエリアへの集積が進んでいる。また、消費者ニーズに対応するため飲食機能や移住相談や交流イベン
トなどコミュニケーション機能を強化したアンテナショップが増加しており、アンテナショップの多様化が進んでいる。
①面積の拡大
この数年100㎡未満の店舗の割合は減り、アンテナショップの面積は大型化しつつある。500㎡以上の店舗は5店舗ある。
※500㎡以上の店舗'表参道新潟館ネスパス、ふくい南青山291、広島ブランドショップTAU、かごしま遊楽館、銀座わしたショップ(
②売上の拡大
55店舗の中で29店舗が売上1億円を超えており'うち14店舗は売上
3億円超(、過去最高の店舗数となっている。
平成27年度エリア別
自治体アンテナショップ分布図
山の手線沿線
池袋 1(1)
③都道府県のアンテナショップの増加
中央線沿線
都道府県のアンテナショップ数が増えて過去最大の42店舗となった。
新宿 4(3)
④進む銀座、有楽町、日本橋への集積
飲食施設を持つアンテナショップが約50%ある。気軽に地方の味が楽し
めるイートインばかりでなく、本格的なレストランを備えた店舗も登場し、
飲食機能も多様化が進んでいる。
飯田橋・四谷
3(3)
銀座・有楽町
21(19)
銀座、有楽町、日本橋への出店が増加し、買い回りによる集積効果が
高まっている。
⑤飲食機能の多様化
東京・日本橋・
神田 11(10)
表参道 2(2)
その他地域 4(5)
多摩地域 4(4)
新橋・虎ノ門・
浜松町 4(4)
品川 1(1)
( )内は平成26度の数
出所:自治体アンテナショップ実態調査報告書をもとにJTB総合研究所作成
10
業務1-'2(:ヒアリング調査
①既存店舗ヒアリング調査 ~アンテナショップの動向に関して~
2012年以前に開設したアンテナショップでは、地酒のイベントなど集客力のある「商品」を中心に誘店策を実施して
いる。「食」の中でも「地域色の強いモノ」に人気が集まっている。
ヒアリング項目
各項目についてのポイント
販売商品に関して
・地域のイメージが強い「食品」が良く売れている。
イベントについて
・「地酒」のイベントは集客力がある。
テストマーケティング
について
・県内のメーカーが行う試食販売に店舗内のキッチンを開放している。
・地元へのフィードバックを重視している。
情報発信について
・ほとんどの店舗でSNSを活用している。
・最も効果的な媒体はテレビである。
・チラシやDMも効果を上げている。
交流人口増加施策
について
・アンテナショップ間の情報交換を行っている。
・2週間に1度展示を変更し、飽きない工夫や季節感の創出をしている。
アンテナショップの動向
について
・補助金でしか成り立たない店舗が多数ある中、独立採算で黒字化の店舗もある。
・自治体が基盤を作り運営は民間のノウハウを活用するという考え方も出てきている。
成功要因
・酒のフェアなど消費者に好評なフェアを定着させている。
失敗要因
・商品の導入時には重視されても、定番化した後はケア不足になり売上が減尐した。
・情報発信手法が総花的でイメージが先行しターゲットに訴求しきれていない。
11
②新規店舗ヒアリング調査
~アンテナショップの動向に関して~
2013年以降に開設された比較的新しいアンテナショップは、銀座や日本橋などの立地が多いことから、高品質の商
品の売れ行きが良い。「試食」や「試飲」のイベントは必須条件だが、作り手や料理人など「地域のヒト」と直接接触で
きるイベントが効果を生んでいる。
ヒアリング項目
各項目についてのポイント
販売商品に関して
・値段に関わらず質がいいものが売れている。
・優れた特産品への期待がある。
イベントについて
・イベントでは、「試食」と「試飲」が必須条件となっている。
・売上よりもPR効果が重要である。
テストマーケティング
について
・製造事業者による試食販売が効果的である。
・商品取り扱いに関して登録制度やチャレンジ制度などを設けている店舗が多い。
情報発信について
・ほとんどの店舗でSNSを活用している。
交流人口増加施策
について
・特産品と観光と移住を組み合わせたイベントにより交流人口増加を狙う事例がある。
・外国人観光客に対する誘店策は特に行われていない。
アンテナショップの動向
について
・売上重視から、地域のPR効果を狙う方向にシフトしつつある。
・銀座長野はワインに特化したお洒落な店舗展開をしている。
成功要因
・富裕層の多いエリアでは、高額で品質の良い商品を揃え、集客を図っている。
・地域の飲食店や料理人をアンテナショップに招聘して行うイベントが成功している。
・スタッフ全員がバイヤーという意識で発注業務に取り組む店舗が成功している。
失敗要因
・準備不足のままイベントを実施し不成功に終わったというケースがみられる。
12
③有識者ヒアリング調査
~アンテナショップの動向に関して~
「広島ブランドショップTAU」の登場により「モノ」ではなく「地域ブランド」を売るアンテナショップへと機能の転換が
はかられつつある。「広島ブランドショップTAU」は、レストランを野球ファンに開放するなど、店舗の多機能化を図っ
ている。2020年に東京オリンピックを控えており、外国人対応の取組強化が望まれる。
ヒアリング項目
各項目についての回答ポイント
最近のアンテナショップ
の動向とその背景
・店舗の大規模化とともに、有楽町から銀座・日本橋・新橋への出店が増加している。
・中国人の爆買いが目立つ銀座は、出店先として有力とみられる。
・日本橋室町のアンテナショップは日本人富裕層の来店が増加している。
注目しているアンテナ
ショップと注目点
・「広島ブランドショップTAU」の登場は「モノ」から「地域ブランド」への転換期となった。
・「とっとり・おかやま新橋館」も地域ブランディングに力点を置いた展開をしている。
・「ふくい291」は店舗マネージャーを招聘して成功した。
自治体系アンテナショップ
と企業系アンテナショップ
の差異と特徴
アンテナショップに今後
期待される機能と役割
・自治体のアンテナショップは公共性と収益性のバランスが求められる。
・企業のアンテナショップは収益性がまず求められる。
・地域差を包含しつつ県全体のイメージを高めることが必要である。
・季節に応じたフレキシブルな品揃えや運用も必要となってくる。
・アンテナショップの役割は、地域ブランディングと、地域資源の掘り起こしである。
・東京人は飽きやすくマーケットは変化する。フレキシブルな運用が必要である。
13
~アンテナショップの好事例について~
ヒアリング項目
効果的であった取組や
イベントの事例とその要因
各項目についての回答ポイント
・「広島ブランドショップTAU」は、レストランを野球ファンに開放して集客している。
・シーズンには1階のソフトクリーム売り場を生牡蠣の立ち食いコーナーに変える。
効果的であった
テストマーケティング
の事例とその要因
・「北海道どさんこプラザ」ではテストマーケティングにより、売上順位の高い商品はプロ
パーの棚へ、順位の低い商品はメーカーに改善提案をする。テストマーケティングの結
果は関係者にフィードバックされ、改善に結び付いている。
効果的であった観光との
相関性形成の事例
・国内の旅費が高すぎるため、アンテナショップが観光効果につながりにくい。若い人は
相対的に旅費が安い海外に出かけてしまう。
効果的であった
外国人対応の事例
・外国人対応での成功事例はあまりない。
・英語のスタッフが常駐する店舗はあるが、ホームページは外国語対応できていない。
テストマーケティング結果
の地元へのフィードバック
の有無とその効果
効果的であった
情報発信事例
・どの店舗も地元へのフィードバックを行っている。
・「ふくい南青山291」ではアンケートを取り、消費者の声を販売に結び付けている。
・外部連携が重要なポイントとなっている。
・地域をよく知り、なおかつ地域外と連携のとれる手法が効果を生んでいる。
14
~今後の方向性について~
ヒアリング項目
東京オリンピック・パラリン
ピックに向けて必要となる
アンテナショップの取組
適切と考える運営形態
'株式会社、協同組合、
DMO等(
自治体からアンテナショッ
プへの投資金額の考え方
失敗事例とその要因
撤退基準のあり方
各項目についての回答ポイント
・2020年までに取り組まなくてはならないテーマは外国人対応力の強化である。
・2020年までは間違いなく需要は続く。その後の持続性が課題である。
・完全に民間企業だけで運営しているというケースはほとんどない。
・自治体関連のショップであることでの信用力もある。
・運営は委託会社が担って自治体が手数料を受け取るケースもある。
・特に基準のようなものはなく、投資金額は自治体の台所事情と首長の思いによって異
なる。
・立地と物件が良くないのにもかかわらず無理に出店すると失敗しやすい。
・立地と物件が良ければ7~8割成功する。
・自治体の持つ様々な資源をアンテナショップに注ぎ込まないことも失敗に結び付く。
・売上よりも来店者数が減ったことによる撤退のケースが多い。
15
ヒアリング調査 ≪まとめ≫
○ファーストフード志向
アンテナショップの機能は、特産品販売が中心であることに変わりはないが、「食」の中でも店内ですぐに
食べられる食品中心に変化してきており、イベントも「試食」「試飲」が不可欠となってきた。
○さらなる地域性
地域色がより求められており、「食」の提供者も東京のアンテナショップのスタッフではなく、地元飲食店の
出店や地域の製造事業者による試食などに人気がある。
〇地域コミュニティ
アンテナショップを野球ファン(カープ女子)に開放するなどのコミュニティ機能の強化が支持されてきてい
る。アンテナショップが特産品の販売や観光情報の発信といった、店舗側からの商品(情報)提供といった
一方向の消費者接点ばかりでなく、イベントによる交流や地域コミュニティの場の提供など双方向の取組
が望まれている。
○外国人観光客
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、外国人対応力の強化が必要という認識はあるが、ア
ンテナショップの現場では、外国人観光客への対応についての意識は低い。免税システムの導入もほとん
どない。
〇認知・共感
消費者にとって特産品の購入は、モノの消費にとどまらず、地域ブランドの認知・共感という消費スタイル
に変化しつつある。
16
業務1-'3(:アンテナショップ関係者アンケート調査
~目的・効果~
アンテナショップの開設目的では「特産品のPR」(97.1%)「特産品の販路拡大」(88.2%)についで「観光案内・誘客」
(73.5%)が挙げられた。アンテナショップの開設効果でも「特産品の知名度アップ」(100%)や「特産品の販路拡大」
(82.4%)は変わらないが、観光客の増加という点では目的に対し効果が低い。
17
~取扱い・売れ筋~
アンテナショップの取扱い商品は、地域の特産品をくまなく取り扱っているものの、売れ筋商品では「菓子類」
(85.3%)が圧倒的に突出しており、次いで「水産加工品」(55.9%)、「農産加工品」(44.1%)、「酒類」(29.4%)などの順で
ある。
18
~イベント頻度・観光関連性~
アンテナショップの来訪と観光への興味・関心の関連性では、61.8%が「関連性がある」と答えた。
アンテナショップ開設前に実施した調査では、店舗立地調査が44.1%で突出している。消費者の趣向や購買行動
が多様化しているので、今後はマーケティング調査も重要となる。
19
~外国人来店者~
外国人観光客への対応は32.4%が「特に対応していない」と答えた。外国人観光客の国別比率についての回答も
半数以上の店舗で「無回答」であり、把握していない状況が伺える。
20
~開設年による比較'客層・機能(~
2013年以降に開設されたアンテナショップの方が若い客層が多く、物販以外では「イベント」「カフェ」「移住相談」
などの機能が多い。イベントの頻度は2012年以前の開設店舗と比較して約半分であり、回数の多さよりも、内容を
重視しているものと考えられる。
その他の回答
・多目的ホール、事務所の貸し出し
・有料試食カウンター
・ビジネスセンター
21
~開設年による比較'目的・効果(~
2013年以降に開設されたアンテナショップは、2012年以前の開設店舗と比べ、その開設目的や効果に「地元出
身者との交流促進」「地域間交流」「地元住民の意欲増大」など地元住民とのコミュニケーションを図る場としての
役割を期待している。
22
~観光との関連性認識による比較~
アンテナショップの来訪と地域の観光需要との関連性があると認識している店舗では、比較的若い年代層が来店
している。また、それらの店舗は、イベントの頻度が多く、観光案内や移住相談に力を入れており、レストランよりも
気軽に地域の味覚が味わえるカフェやワンハンドフードショップが充実している。
その他の回答
・多目的ホール、事務所の貸し出し
・有料試食カウンター
・ビジネスセンター
23
~観光との関連性~
アンテナショップの来訪と地域の観光需要との関連性を認識している店舗の開設目的では特産品の販売や観光
案内に次いで「自治体のPR」や「地域情報発信」に力点が置かれており、開設効果についての評価においても「自
治体のPR」や「地域情報発信」が大きな位置を占めている。
24
アンテナショップ関係者アンケート調査 ≪まとめ≫
アンテナショップの現状
○「特産品のPR」「特産品の販路拡大」「観光案内・誘客」などがアンテナショップの開設目的であるが、開設効果で
は「特産品の知名度アップ」「特産品の販路拡大」「自治体の知名度アップ」が挙げられており、特産品や地域その
もののPR効果が大きい。
〇アンテナショップの来訪と観光への興味・関心の関連性では、61.8%が「関連性がある」と答えた。
〇2013年以降に開設されたアンテナショップの方が客層は若い年代が多く、物販以外では「イベント」「カフェ」「移
住相談」などの機能が多い。イベントの頻度は2012年以前の開設店舗と比較して半分以下であり、回数の多さよ
りも、内容に力を注いでいるものと考えられる。
アンテナショップの課題
○外国人観光客への対応は32.4%が「特に対応していない」と答えた。東京オリンピックを控えた現在、外国人観
光客への対応力強化が望まれる。
25
業務2 : 首都圏アンテナショップ利用者調査
26
業務2-'1(:首都圏住民webアンケート調査
調査目的
マーケティングの観点を中心に多角的に分析・調査しアンテナショップ開設時における経営戦略に利
用する。
実施時期
平成27年11月
調査対象
首都圏在住者1,000人
調査方法
webアンケート調査
業務2-'2(:首都圏住民グループインタビュー調査
調査目的
アンテナショップ利用者の潜在意識を把握し、仮説の抽出や仮説の質的検証を行う。
実施時期
平成27年11月~12月
調査対象
首都圏在住者34人 'うち9人は首都圏在住外国人(
調査方法
グループインタビュー'6回(
業務2-'3(:訪日外国人観光客アンケート調査
調査目的
訪日外国人観光客のアンテナショップの利用目的やアンテナショップを利用することが今後の旅行機
会創出に繋がるか、日本人と購入商品の内容にどのような違いがあるかなど多角的に分析する。
実施時期
平成27年12月
調査対象
訪日外国人観光客103人
調査方法
東京シティアイでのアンケート調査
27
業務2-'1(:首都圏住民webアンケート調査
~利用内容・目的・情報入手・ニーズ~
アンテナショップの利用内容は、「特産品購入」(95.3%)に偏っており、「レストラン」(17.4%)「観光案内」(14.3%)の利
用は少ない。来店動機は「たまたま通りがかった時」(61.3%)が多く、次いで「ほしいものがある時」(43.8%)の順となっ
ている。
28
~訪問頻度と目的・利用内容との関連性~
アンテナショップの訪問頻度が高いほど、「特定のほしいものがある時」「旅行後にその地域に興味を持った時」
「ふるさとを懐かしく思うとき」などの目的が多くなる。レストランやカフェの利用も訪問頻度が多いほど高い。
29
~訪問頻度と情報入手方法・ニーズとの関連性~
情報入手方法では訪問頻度の高いほど、「インターネット」「エリア情報誌」が多い。今後のアンテナショップに求
めるものは、訪問頻度が高いほど「観光情報発信」「イベント」などが多くなる。「飲食」については、訪問頻度に関係
なくアンテナショップに求められている。
30
~訪問と観光・移住~
アンテナショップで観光情報を入手した経験者は34.7%で、その情報で特定の地域に興味を持ったものは37.6%、
その結果興味を持った地域に実際に旅行をした経験者は19.5%にものぼる。
31
~東三河の地域資源認知度~
東三河を「正確にわかる」が7.4%、「ある程度正確に
わかる」を加えて40.2%の認知度である。
東三河の観光資源では、「豊川稲荷」「伊勢湾フェ
リー」「伊良湖岬」「JR飯田線」などの順に多い。観光資
源についてまったく知らない回答者も45.6%いる。
32
~東三河の特産品認知度~
東三河の特産品については、25.9%が興味があると
答え、購入経験を持つ回答者も21.0%いる。
東三河の特産品で認知されているのは、「豊川いな
り寿司」が最も多く、次いで「五平餅」「金山寺みそ」「え
びせんべい」「ブラックサンダー」の順に多い。一方で、
「この中に知っているものはない」が48.0%と約半数を
占める。
33
~訪問頻度と東三河の認知度との関連性~
アンテナショップの訪問頻度が多いほど、東三河の認知度や特産品への興味、購入経験なども高くなる。アンテ
ナショップの利用度と東三河への関心や接触度との間には相関関係があるといえる。
34
~旅行情報・計画・経験~
アンテナショップの利用の有無を問わず、旅行先としての東三河への興味を確認したところ、 24.7%が「興味があ
る」と答え、東三河への旅行を検討する気持ちが「ある」と答えた回答者も23.4%にのぼる。東三河への旅行経験者
は14.0%みられた。
35
~興味から行動までの転換率~
旅行先としての「東三河」に興味を持つ割合は24.7%であるが、興味から検討への転換率と、準備(情報収集)から
計画への転換率が高い。このことから、地域への興味を持たせることと、興味を持った後に情報収集をしやすくする
ための工夫が重要であるといえる。
興味
設問29
n
検討
設問30
準備
設問32
計画
設問33
行動
設問35
興味があ
情報収集 旅行を計 行ったこと
検討する
る
した
画した
がある
回答数
1000
247
200
55
48
37
選択率
1000
24.7%
20.0%
5.5%
4.8%
3.7%
興味
設問29
n
検討
設問30
準備
設問32
計画
設問33
興味転換 興味→検討 検討→準備 準備→計画 計画→行動
率
関心転換率
転換率
転換率
転換率
24.7%
81.0%
27.5%
87.3%
77.1%
行動
設問35
興味があ
情報収集 旅行を計 行ったこと
検討する
る
した
画した
がある
選択率
1,000
24.7%
20.0%
5.5%
4.8%
3.7%
転換率
1,000
24.7%
81.0%
27.5%
87.3%
77.1%
興味転換 興味→検討 検討→準備 準備→計画 計画→行動
率
関心転換率
転換率
転換率
転換率
24.7%
81.0%
27.5%
87.3%
77.1%
首都圏住民webアンケート調査結果
36
~旅行回数とアンテナショップ利用頻度~
地方への旅行回数の多い回答者ほどアンテナショップの利用経験は多い。アンテナショップに行く目的も「特定の
ほしいものがある時」「テレビや雑誌で紹介されて興味を持った時」などの回答が多く、利用内容も「特産品の購入」
が非常に多い他、「レストラン」「観光案内」「ワンハンドフードショップ」など多様な使い方がみられる。
37
~情報入手とアンテナショップ利用頻度~
アンテナショップで得た情報で特定地域に旅行した経験のある回答者は、アンテナショップの利用頻度も多くなっ
ている。アンテナショップの利用目的では「特定のほしいものがある時」「テレビや雑誌で紹介されて興味を持った
時」などの回答が多く、利用内容では、「観光案内」「レストラン」「カフェ」「イベント」など多様な使い方がみられる。
38
~東三河の認知度と特産品への興味との関連性~
地方への旅行回数の多い回答者や、アンテナショップで得た情報で特定地域に旅行した経験のある回答者
ほど、東三河の認知度や特産品への興味は強い。
39
首都圏住民webアンケート調査 ≪まとめ≫
アンテナショップ利用の現状
○アンテナショップの利用内容は、「特産品購入」(95.3%)に偏っており、「レストラン」(17.4%)「観光案内」(14.3%)
の利用は少ない。
〇来店動機は「たまたま通りがかった時」(61.3%)が多く、次いで「ほしいものがある時」(43.8%)の順となっている。
〇アンテナショップの訪問頻度が高いほど、「特定のほしいものがある時」「旅行後にその地域に興味を持った時」
「ふるさとを懐かしく思うとき」などの目的が多くなる。レストランやカフェの利用も訪問頻度が多いほど高い。
〇アンテナショップの訪問頻度が多いほど、東三河の認知度や特産品への興味、購入経験なども高くなる。アンテ
ナショップの利用度と東三河への関心や接触度との間には相関関係があるといえる。
アンテナショップと観光の関連性
○アンテナショップで観光情報を入手した経験者は34.7%で、その情報で特定の地域に興味を持ったものは37.6%、
その結果興味を持った地域に実際に旅行をした経験者は19.5%にものぼる。
40
業務2-'2(:首都圏住民グループインタビュー調査'日本人(
~アンテナショップ訪問目的'潜在ニーズ(~
物販中心の現状のアンテナショップに対するニーズは低く、首都圏住民へのアンケート調査結果にみられるよう
についでに立ち寄るポイントに過ぎない。利用内容は特産品の購入が最も多く、友人訪問の際の自分の郷里の土
産探しや友人からもらった土産を探すためにアンテナショップに訪問するというニーズもある。
テレビや雑誌の紹介で興味を持って来店する事例があることから、消費者にまだ知られていない特産品が今後
の来訪促進のきっかけになり得ることが考えられる。
◇グループインタビュー調査および定量調査結果より
テーマ
アンテナショップの
訪問目的
顕在ニーズ
〇そこでしか買えないもの
〇食べたいもの
〇もらった土産'リピートのきっかけ(
潜在ニーズ
欲しいものが見つかればアンテナショップに来訪
する例がみられる⇒消費者が知らずにいる特産
品活用により集客の余地が残されている。
出所:首都圏住民webアンケート調査
41
~アンテナショップに求めるもの、理想形'潜在ニーズ(~
アンテナショップに求めるものは首都圏住民へのアンケート調査結果でも「特産品の販売」が最も多く、現状では特
産品や飲食といった地域の物産との接触である。インターネットでの情報入手や購買行動の多くなる時代にあって、
今後アンテナショップに求められる機能のひとつとしては、人的な交流(コミュニティ)機能や、出身地との結びつきを
強化するような機能(方言の聞こえる店、県人会の窓口)の充実が挙げられる。
◇グループインタビュー調査および定量調査結果より
テーマ
顕在ニーズ
アンテナショップ
に求めるもの
〇買い物'物産(
〇食'その場で食べられるもの(
〇直接商品に触れること
アンテナショップ
の理想・アイディア
〇イートイン、居酒屋
〇人との交流'コミュニティ機能(
〇エリア単位の連携
潜在ニーズ
「県人会の窓口機能」「地元'地方(出身者の店
員の方言」などへのニーズがみられる
⇒地元出身者の会員制度などによって、地元意
識の醸成とファンクラブ化が望まれる。
出所:首都圏住民webアンケート調査
42
~東三河への関心'潜在ニーズ(~
首都圏住民へのアンケート調査結果でも、東三河の特産品の興味や購入経験は低く、日常での接触機会の少な
さがみられた。首都圏においては「東三河ブランド」の浸透がまず必要となってくるものと考えられる。
グループインタビュー参加者の東三河の訪問経験や興味は低いが、東三河の地域資源については、自然豊かで
静かなたたずまいと勇壮な手筒花火など、静と動の両面が評価された。
◇グループインタビュー調査および定量調査結果より
テーマ
東三河への関心・ニーズ
顕在ニーズ
〇豊川稲荷、手筒花火、奉納歌舞伎
〇花祭り・鳳来山など高齢者好みの地域資源
〇山奥の静けさと花火'静と動(
潜在ニーズ
特産品の興味の低さの割に購入経験を持つ者
が多い⇒特産品との接触から東三河のファンに
できる可能性を秘めている。
出所:首都圏住民webアンケート調査
43
首都圏住民グループインタビュー調査'日本人(
≪まとめ≫
アンテナショップには目的を持った来店というよりもついでに立ち寄る程度の人が多いものの、その利用の仕方
は多様である。東三河の地域資源や特産品に対する興味・関心は、他の地域と比較して突出した評価は得られ
なかったが、その中で「手筒花火」には好反応がみられる。東三河の特産品や地域資源の情報は、消費者まで届
いていない。
〇アンテナショップの利用の仕方
・知人や家族が旅行に行く前にアンテナショップで土産をリサーチして、
買ってきてもらう。
・茨城の商品を東京の知人に広めるために買いに行ったことがある。
・京都のお土産でいただいたものを探しに行ったことがある。
・そこで情報収集するよりも実際に旅行に行く。
日本人参加者への質問
合計
比率
25
(%)
■家族・友人・知人の中にアンテナショップに頻繁に行く人がいる
11
44.0%
■アンテナショップに行く
14
56.0%
■家族・友人知人の中に東三河に頻繁に行ったことがある人がいる
4
16.0%
■東三河に行ったことがある
6
24.0%
■東三河に行ってみたいと思った
7
28.0%
参加人数
〇理想のアンテナショップ
・モノよりもコミュニティ機能が充実している。
・そこでしか売っていないものが売っている。
・すぐに食べられるものが売られている。
・馴染みがない食べ物の試食やサンプルが充実している。
・県'店(単位ではなく、エリア単位もしくはアンテナショップ全体で
イベントを行い盛り上げる。
〇東三河の資源への期待・評価
・サーフィンは見てみたい。海に興味がある。
・手筒花火、奉納歌舞伎は、歴史を感じる。
・そこに行かなければ見られないものはないが花火は見てみたい。
・山奥は穴場のようでゆっくりできそうだ。
・旅行プランがあれば示してほしい。圧倒的に情報量が尐ない。
44
業務2-'2(:首都圏住民グループインタビュー調査'外国人(
~アンテナショップへの潜在ニーズ~
外国人にとっては、アンテナショップそのものが日本の独自文化であり、詳細な情報を与えないと店舗の概念やイ
メージが伝わりにくい。地域独自の特産品や観光情報には関心が強く、そのことは訪日外国人のアンケート調査結
果からもうかがえることから、外国人に対しては地域の特産品と観光情報の発信基地として、アンテナショップを周
知することが重要である。
◇グループインタビュー調査および定量調査結果より
テーマ
顕在ニーズ
〇地方の雰囲気を楽しむ
アンテナショップに求める
もの
〇免税よりも多言語対応が必要
〇地域独自の食文化への興味
〇東京にいながらにして可能な小旅行
潜在ニーズ
「東京にいながら地方のものを買うという」アン
テナショップの機能が理解しにくい面がある。
⇒日本各地の独特の文化がみられる拠点が東
京に集まっている=これが「東京の魅力の一つ
であり、東京に来る観光客には必見の場所であ
る」というメッセージは効果が期待できる。
出所:訪日外国人観光客アンケート調査
45
~東三河への関心'潜在ニーズ(~
南北に長い日本の特性は、四季のあることと、地方独自の食文化や伝統芸能などの存在であり、これらをミックスし
て伝達することにより、外国人観光客への訴求力は高まるものと考えられる。
訪日外国人のアンケート調査結果でも、東三河の市町村名の認知度は非常に低く、伝わりにくい地域名により来
訪を促すよりは、東三河固有の地域文化の画像を発信することの方が来訪に結び付きやすい。
〇グループインタビュー調査および定量調査結果より
テーマ
東三河への関心・ニーズ
顕在ニーズ
〇自然、歴史、文化の魅力
〇四季の移り変わりを感じさせる景観
潜在ニーズ
東三河に対する低い認知度
⇒外国人に対しても、アンテナショップでの地域
資源紹介機能を充実させて、店内で東三河の
魅力や文化を体感してもらうことが重要になる。
出所:訪日外国人観光客アンケート調査
46
首都圏住民グループインタビュー調査'外国人(
≪まとめ≫
アンテナショップとの接触は少ないが、参加者に店舗の概要を伝えることで利用の仕方をイメージさせることがで
きる。地域の特産品の販売は外国人にも喜ばれそうであるが、免税に関してはそれほど多くの効果は生まないとの
意見が多かった。
〇アンテナショップの利用の仕方
・宮城のアンテナショップに行ったことがある。
・高知、北海道、長野のアンテナショップに行ったことがある。
・友人が「北海道に行きたい」と言ったら、アンテナショップを教えてあげ
るかもしれない。
・これから旅行に行く地域情報より、知らない地域の情報を入手するこ
との方を重視する。
〇東三河の資源への期待・評価
・歴史もあり伝統もあり面白そうである。
・自然、伝統、歴史・文化が残っている。
・芝桜と花火についてもっと知りたい。
・手筒花火は普通の花火と違うので新しい体験になる。
・「天空の花回廊」という言葉には魅かれる。
外国人参加者への質問
合計
比率
9
(%)
■アンテナショップに行く
4
44.4%
■東三河を知っている'本人、家族、友人知人を含む(
0
0.0%
■家族・友人知人の中に東三河に頻繁に行ったことがある人がいる
0
0.0%
■東三河に行ったことがある
0
0.0%
■東三河に行ってみたいと思った
5
55.6%
参加人数
〇理想のアンテナショップ
・免税よりも、地域の特殊なものが買える環境を整備すれば売れると思
う。
・免税よりは多言語対応の方がうれしい。
・それほど高額のものは買わないので、8%を免税しても大して変わら
ない。
・地域の名物料理が食べられるのは魅力的である。
47
業務2- '3( :訪日外国人観光客アンケート調査
~認知度・魅力・地域への興味~
訪日外国人のアンテナショップに対する認知度は9.7%で決して高くはないが、79.7%が「魅力を感じる」と答えた。
アンテナショップ利用者では、77.0%が「地域への興味を持った」と答えている。
48
~情報入手・ニーズ・東三河の認知度~
アンテナショップ利用経験者の利用状況は「特産品の購入」「観光情報の入手」(いずれも46.2%)などで、アンテナ
ショップの情報入手ルートは「新聞記事」や「エリア情報誌」(いずれも38.5%)である。
アンテナショップに望むことでは、「外国語対応」(65.0%)が「免税対応」(39.8%)や「クレジットカードの利用」
(38.8%)を上回る。 東三河の市町村の認知度については「ない(どれも知らない)」が83.5%あり、ほとんど知られて
はいない。
49
~アンテナショップへの興味と利用経験等との関連性~
アンテナショップに対する興味が強いほど、アンテナショップの利用経験が高く、魅力も強く感じている傾向がみ
られる。興味がある外国人ほど「外国語対応」「免税対応」に加えて、「本国への配送」を望む声も聞かれた。
50
訪日外国人観光客アンケート調査 ≪まとめ≫
アンテナショップの認知と利用
○訪日外国人のアンテナショップに対する認知度は決して高くはないが、説明を加えることによってアンテナショッ
プに対する関心は高まる。
〇アンテナショップに求めるものは、「免税対応」や「クレジットカードの利用拡大」よりも「外国語対応」が多く挙げら
れており、「外国語対応スタッフの配置」によって、アンテナショップの満足度はかなり向上するとみられる。
アンテナショップと観光の関連性
〇東三河の知名度はかなり低いが、アンテナショップ利用により、地域への関心の高まりや地域への来訪に結び
つく可能性が示唆された。
〇しかしながら、現行のアンテナショップでは物販が優先されており、観光に対してのアンテナショップの効果が大
きいとは言えない状況である。
51
業務3 : 東三河特産品ポジショニング調査
52
業務3:東三河特産品ポジショニング調査
調査目的
特産品に関わる創り手'生産者・加工者(、売り手'流通関係者(、使い手'飲食関係
者(それぞれから見た東三河の特産品の立ち位置を具体的に聞き取り、付加価値の
高い販売機会を増やすためのきっかけと課題を探る。
実施時期
平成27年12月~平成28年1月
調査対象
東三河の生産者・加工者、首都圏の流通関係者・飲食関係者 '合計20人(
調査方法
ヒアリング調査
53
~テーマごとの評価~
東三河の特産品は生産量日本一のものが多く、地元生産者では非常に評価が高い。一方首都圏では東三河の
知名度やブランド力は非常に低い水準にとどまっており、ストーリー作りやマーケティングに多くの課題がある。
テーマ
東三河'生産者等(
首都圏'流通事業者等(
東三河の特産品が
抱える課題について
・生産者の人数が減っている。
・東三河の特産品は品質が良いが、売り方が下
手である。
・全国でも有数の産地である農産品があるが、
愛知は自動車のイメージしかない。
・東三河そのものの認知度が低い。
・品質よりもPR方法に課題がある。
・知名度が低い。
・殿様気質があり、自分たちから外に売りに行く
という感覚がない。
・これまであまり首都圏を向いていなかった。
・農産物の出荷量は多いが、品質が突出してい
るかどうかは疑問である。特に無農薬や有機
などに対するこだわりが弱い。
東三河の特産品
'農林水産品・加工品(
の市場評価について
・品質はいいが市場の評価はさほど高くない。
・農業が盛んと言われ生産高もトップレベルだ
が、ブランド化されていない。
・品質が評価され、出荷量も多い。農協の部会
で品質向上を目指している。
・愛知県のものはあまり特徴がない。
・海のものも山のものも揃う地域は意外に尐ない
・東三河の情報はほとんどない。
・東三河の農産品は北海道に次ぐランクである。
特産品の認知度を
高める手法
・技術や歴史を上手に伝えていく必要がある。
・ブランディングのために東三河地域の知名度
を上げる必要がある。
・プロモーションに予算をかけるべきだ。
・モノではなく、名前を売る必要がある。
・わかりやすいストーリーやPRが必要だ。
・生産者よりも店に付いている顧客が多い。
・パッケージも工夫するべきである。
・単独でなく連携する強みを活かすべき。
首都圏における東三河
アンテナショップの
有効性について
・ストーリーを作りつつ、加工品を開発し観光な
どに結びつけるべきだ。
・商売としては成り立たないのではないか。
・スタッフは地元の人で、しっかり商品を説明で
き、会話を重視する店づくりが良い。
・地域住民の力が入らないのは、地元での問題
意識が低いからではないか。
・百貨店に出向いて東三河の産品を売ってみる
べきだ。恥をかかなければ成功できない。
・生産者が実際に売り場に立つ機会が必要だ。
54
業務3:東三河特産品ポジショニング調査
東三河の特産品の品質は非常に高く、他の地域にひけをとらないものが多い。しかしながら首都圏における認知
度は、地元での認知度と比較してきわめて低く、その結果東三河の特産品に対する評価も低い水準にとどまってい
る。今後の展開としては、まず「東三河」の知名度を上げるために、特に優れた特産品の試食販売などによって「東
三河ブランドの浸透を図り、その延長線上に多くの特産品を見せていく事から始める必要がある。
←
特
産
物
の
品
質
高
東三河の
生産者の
意識
東三河特
産品のあ
るべき姿
←特産物の知名度低
◇東三河の生産者に必要なこと
・東三河ブランドの強化
・統一ブランド化
'商品パッケージに統一のロゴやネームを使用(
・商品力の高い商品の開発
・原材料の確保と生産の安定化
・首都圏への販路拡大
・地域資源との連携強化
・情報発信やPR
特産物の知名度高→
首都圏の
流通事業
者意識
出所:ポジショニングヒアリング結果より現状のイメージとして
JTB総合研究所が作成
→
特
産
物
の
品
質
低
◇首都圏の流通事業者へのアクション
・試食会、商談会等の実施
・百貨店等のチャンネル開拓
55
業務4 : 東三河アンテナショップモデル構築
56
業務4:東三河アンテナショップモデル構築
目的
コンセプトメイキング
会議実施日
単なる物産の販売所にとどまらず、東三河地域の魅力をまるごと体感できるアンテナショップとして、
首都圏に集まるあらゆる地域の人の繋がりの形成とコミュニケーションの実現に寄与する場の創出を
目指したコンセプトメイキングを行う。
1回目:平成28年1月19日'火(
2回目:平成28年3月11日'金(
3回目:平成28年3月23日'水(
■東三河広域連合
■株式会社JTB総合研究所
コンセプトメイキング
会議構成
■アドバイザー
内田 勝規 氏 '株式会社オフィス内田 代表取締役会長(
鍋島 裕俊 氏 '折込広告文化研究所 代表(
陳内 裕樹 氏 'Google株式会社 観光立国推進部長(
畠田 千鶴 氏 '一般財団法人地域活性化センター 広報室長(
57
業務4:東三河アンテナショップモデル構築
~コンセプトメイキング会議の概要~
東三河アンテナショップの可能性について、特産品、IT、紙媒体広告、アンテナショップ研究の4分野の専門家を
集めてコンセプトメイキング会議を行った。会議では調査結果の更なる分析を行うとともに、新たなアンテナショップ
モデルについて、具体的に議論を行った。
協議のポイント
 多様な分野の専門家による調査結果のさらなる分析を行
い、東三河のブランディング手法を作成するとともに、目
指すべきアンテナショップのコンセプトメイク及びモデル構
築を行う。
 アドバイザー会議では、これまでのアンテナショップのイ
メージにとらわれない、アンテナショップの新たな形態'進
化系(を模索する。
 単なる東三河の物産販売所に留まらず、東三河地域の認
知度向上と地域情報の発信、特産品の販売促進や観光
振興につなげるための効果的なアンテナショップのあり方
について、有識者を交え議論を行う。
58
~有識者による4つのアンテナショップモデルの評価~
東三河のアンテナショップモデルとして4つの仮説(アンテナショップモデル)に基づいての議論を行った。その結果、
東三河の目指すべきブランドショップモデルは、ブランド推進型のアンテナショップモデルが有識者の間では最も評
価が高かった。加えて、ガイドブックとコラボすることで、ブランド力をさらに向上させる戦略も有効とのことであった。
アンテナショップモデル
アンテナショップモデルの評価
全国移動型
アンテナショップ
・一度スーパーで取り扱った商品は、百貨店では取り扱ってもらえないことが多い。
・東三河ブランドのイメージを高める目的であれば、スーパーへの開設は避けるべき。
・スーパーでの物産展は、百貨店ほど成功するケースが尐ない。
テーマパーク型
アンテナショップ
・モノを買いにくることと、楽しみにくることでは目的が違う。
・設置コストが膨大になり現実的ではない。
・顧客離れを防ぐため、テーマパークのように定期的にハード部分を更新する必要がある。
ガイドブックコラボ型
アンテナショップ
・東三河の認知度やブランド力の低さを、企業ブランドで補うことが可能である。
・他の自治体のアンテナショップとの差別化ができる。
・企業側のコンテンツを利用できるメリットは大きいが、一方でロイヤイティーが発生する。
・ガイドブックは情報の更新制が高いため、店舗においてもその効果を利用できる。
ブランド推進型
アンテナショップ
'ブランドショップ(
・広島のブランドショップTAUの成功モデルを東三河でも推進すべき。
・東三河の物産は、知名度やブランドがないだけで、展開次第で可能性は非常に高い。そ
れを、ブランドショップで高めて行くことが十分できる。
・ブランドを重視するのであれば、立地も重要となる。首都圏ではやはり銀座がよい。
59
東三河アンテナショップモデルの検討①
移動型
全国移動型アンテナショップ
従来の店舗設置による固定的なアンテナショップではなく、移動販売車を活用する販売形態である。実店舗でのアンテナショップ運営の最
大の参入障壁である、地代などの運営費を大幅に削減することが可能となる。また、実店舗では客層や商圏が固定されてしまう懸念があるが、
移動型アンテナショップではあらゆる客層に対し全国規模で東三河の特産品の購入やPRを行うことができる。さらに、イベントにも参加しやす
いことも強みである。また、移動型と固定型店舗のと中間型として、日本全国のショッピングモールのテナントを活用したアンテナショップも検討
したい。これは、期間限定のキャラバン形式で店舗をオープンさせていく形態である。これらのデメリットは、店舗が移動するため固定客の囲い
込みが難しいことや、ショッピングモールのテナントや移動販売車での販売となるため売り場面積が狭く、アイテム数が実店舗に比べ少なくな
ることである。
商品
Product
価格
Price
流通
Place
販促
Promotion
・売り場スペースが狭いため、大型
商品や高価格帯などの販売数量
の見込めないものは不向き
・最寄品である食品や消耗品が中
心の商品ラインナップとなるため、
常設店舗と比べ低価格帯が中心
・首都圏に限らず、あらゆる地域に
出店が可能
・公式ホームページやFacebook、
TwitterなどのSNS
・アイテム数や在庫を多く抱えること
ができず数の制約がある
・販売エリアで、商品ラインナップを
変更できるため、価格帯がエリア
に応じて変更できる
・移動式のため、在庫をストックする
倉庫が必要
・観光協会でのPRや各種観光イベ
ントなどでのPR
・東三河に近いエリアでの販売では、
朝どれ野菜などの付加価値を付
けて販売することが可能
・移動式アンテナショップの話題性
や珍しさもあり、マスコミの報道や
利用者の口コミなどで情報拡散が
可能
・販売エリアのターゲットによって商
品の選定が可能であり、必要でも
ある
プラス要因
・ブランド力や知名度が低い
内
部
環
境
・アイテム数が実店舗と比べ少ない
・固定費が低い
・食品中心となり、商品単価が低い
S
W
(強み) (弱み)
O
外
部
環
境
・大型免許を取得しているスタッフが必要
T
(機会) (脅威)
・交通事故
・地震や火災などの災害リスクが低い
・近隣住民とのトラブル
・首都圏以外でも訪日外国人観光客
・法律規制の強化
が増えている
高価格
・リピータ客が付きにくい
・広範囲に東三河をPRできる
・同じ形態のアンテナショップが少
ないため話題性が高い
■イオンモール株式会社
■NEXCO各社
■全国の道の駅
■イベント会社各社 その他
ポジショニング
マイナス要因
・エリアごとでマーケティングが行える
想定協力企業
バ
ラ
エ
テ
ィ
こ
だ
わ
り
低価格
60
東三河アンテナショップモデルの検討②
常設型
テーマパーク型アンテナショップ
近年、古民家を活用した飲食店など、古い伝統的な日本建築が人気を集めており、和の歴史を感じさせる建物そのものが集客施設となって
いる。このアンテナショップは、江戸時代の商店の外観を再現し、スタッフも江戸時代さながらの衣装を身に着けるなど徹底したこだわりを持っ
た店づくりを行う。その雰囲気に誘われ、ついつい足を踏み入れた消費者に強烈なインパクトを与えると同時に、当時の雰囲気を十分に楽し
んでもらい、東三河の魅力を広くタイムリーに発信する拠点とする。
東三河地域は古くから二川宿を始めとする宿場町や、商売繁盛の神様として全国的に有名な豊川稲荷など、豊かな歴史と伝統を持ち合わ
せており、特に二川宿は今も当時の面影を多く残す観光スポットとして存在しているため、店舗とのタイアップなども考えられる。
商品
Product
価格
Price
流通
Place
販促
Promotion
・立地を考慮することが必要である
ものの、最寄品・買回り品・専門品
すべてを取り扱うことが可能
・常設店舗であるため、多くのアイテ
ム数を取り扱うことができるため、
価格帯の範囲も広く設定できる
・東海道の出発点やである日本橋
や旧東海道沿いに店舗を設置
・公式ホームページやFacebook、
TwitterなどのSNS
・江戸時代や歴史を意識した店づく
りを考慮し、ストーリー性のある
パッケージやここでしか買えない
オリジナル商品の開発
・本物志向やブランド志向の顧客を
ターゲットとし、厳選した商品で比
較的高価格で設定
・鮮度を意識した流通システムを
整備
・観光協会でのPRや各種観光イベ
ントなどでのPR
・テストマーケティングの結果を即座
に地域へフィードバックできる体制
の構築と商品更新頻度の充実
・商品購入者に東三河の観光施設
の割引を受けることができる手形
の発行など、東三河への旅行とア
ンテナショップを連動させるPR
・本物志向やブランド志向を重視
・気軽に、味わえたり体験できる価
格帯の設定も重要
プラス要因
内
部
環
境
・ブランド力や知名度が低い
・テーマ性がはっきりしている(ブレにくい)
・設置コストが大きくなる
・外観にインパクトがあり、初年度から
来店者数が見込める
外
部
環
境
ないため話題性が高い
・古民家など歴史的な建築物が人気
・訪日外国人観光客の集客に期待ができる
・景気回復による客単価の増加
高価格
・設置場所によっては維持費が高額
S
W
バ
ラ
エ
テ
ィ
(強み) (弱み)
・同じ形態のアンテナショップが少
■東映株式会社
■東京都江戸東京博物館
■二川宿本陣資料館
■豊川稲荷 その他
ポジショニング
マイナス要因
・二川宿が観光スポットとなっている
想定協力企業
O
T
(機会) (脅威)
こ
だ
わ
り
・東京出店の場合、競合が多い
・テナント更新時の賃料増額のリスク
低価格
61
東三河アンテナショップモデルの検討③
常設型
ガイドブックコラボ型アンテナショップ
東三河地域と旅行ガイドブックがコラボレーションすることにより、旅行ガイドブックのならではの地域の見せ方を演出し、効果的な観光誘客
を目指す店舗である。このコラボレーションのメリットは、知名度が高いガイドブックと組むことにより、他の都道府県との知名度で不利な状況と
なる東三河の知名度を補うことが可能であることや、旅行することの楽しさをアンテナショップの中で体感・実現することができ、これにより東三
河のPRと観光客の誘客促進に効果的であると考えられる。また、旅行サイトとの連動による誘客も魅力的である。
実際の店舗イメージとして、例えば『るるぶ』の出版会社であるJTBパブリッシングに監修・協力を仰ぎながら店舗をデザイン、プロデュース、
運営する体制を構築することが考えられる。
商品
Product
価格
Price
流通
Place
販促
Promotion
・立地を考慮することが必要であ
るものの、最寄品・買回り品を取
り扱うことが可能
・カップルやファミリー層が気軽に
味わったり、利用できるよう低価
格帯が中心
・公式ホームページやFacebook、
TwitterなどのSNS
・カップルやファミリー層が気軽に
購入できる食品やイートインコー
ナーでの購入可能なアイテムを
充実させる
・しかし、ブランド価値を損なうような
安売りはしない
・『るるぶ』や『じゃらん』の読者層
である比較的若い年齢層や家族
をターゲットとするため、新興住
宅地に近い場所や人通りの多い
商店街・大型ショッピングモール
内などファミリー層が多いエリア
が望ましい
・商品によってメリハリの利いた価
格設定が必要
・味覚狩り体験を商品として販売
プラス要因
内
部
環
境
・同じ形態のアンテナショップが少
ないため話題性が高い
・鮮度を意識した流通システムを
整備
・メンバーシップ制の導入
ポジショニング
高価格
・『るるぶ』や『じゃらん』では、訪日外
国人観光客への効果は薄い
S
W
(強み) (弱み)
O
外
部
環
境
・コラボレーションしているガイド
ブックやその関連媒体でのPR
・意思決定に時間がかかる
・知名度の高いガイドブックとのコラボによる
話題性や反響が見込める
・企業のネットワークを活用できる
■JTBパブリッシング
■リクルートホールディングス
■ロンリープラネット その他
・観光協会でのPRや各種観光イベ
ントなどでのPR
マイナス要因
・テーマ性がはっきりしている(ブレにくい)
想定コラボレーション企業
T
(機会) (脅威)
・景気回復による客単価の増加
・訪日外国人客の宿泊先が地方に広がっている
・企業側の決定に左右される可能性
がある(ブランド使用中止や撤退など)
バ
ラ
エ
テ
ィ
こ
だ
わ
り
・テナント更新時の賃料増額のリスク
低価格
62
東三河アンテナショップモデルの検討④
常設型
ブランド推進型アンテナショップ
自治体のアンテナショップというと、多くは地域の特産品販売と観光案内の2本立てであり、それも販売スペースが大部分というのが多いパタ
ーンであり、主に首都圏でのテストマーケティングを狙った形態が多い。しかしこの形態は、一般的に知名度の高い都道府県のアンテナショッ
プには効果的であるが、知名度が高いとは言えない東三河では十分な効果を得ることは難しい。そこでまず、東三河という地域の知名度やブ
ランド力を醸成し、情報を首都圏に発信することで、東三河ファンを増やしていかなければならない。ここでは、従来型のアンテナショップでな
く、東三河のブランドイメージを発信する拠点と捉え、あえて『東三河ブランドショップ』と呼ぶ。
ブランドコンセプトを行う場合、どのようなブランドイメージを持って、東三河のブランド戦略を推し進めるのかを予め固めておくことが重要であ
る。
商品
Product
価格
Price
流通
Place
販促
Promotion
・立地を考慮することが必要である
ものの、最寄品・買回り品・専門品
すべてを取り扱うことが可能
・常設店舗であるため、多くのアイテ
ム数を取り扱うことができるため、
価格帯の範囲も広く設定できる
・広範囲の情報拡散やブランドステ
イタスでは、銀座や有楽町界隈
・公式ホームページやFacebook、
TwitterなどのSNS
・ブランドイメージを念頭に置いた、
商品選定や、ここでしか買えない
オリジナル商品の開発
・東三河を知ってもらい、味わったり
体験したりしやすい価格設定
・鮮度を意識した流通システムを
整備
・ブランド力の高い百貨店を活用し
たイベント'物産展など(
・テストマーケティングの結果を即座
に地域へフィードバックできる体制
の構築と商品更新頻度の充実
・切れ目ない販売会や試食会など
のイベント実施
・東三河らしさや地元ならではのも
のを味わえる飲食スペースの確保
・品質の良いものや付加価値のある
ものは高くても良い
・ブランド力や知名度が低い
・他の自治体とは違い、独自性を打ち出しやすい
・設置コストが大きくなる
S
ないため話題性が高い
・訪日外国人観光客の集客に期待ができる
・景気回復による客単価の増加
高価格
・設置場所によっては維持費が高額
・首都圏に東三河出身者が多い
W
バ
ラ
エ
テ
ィ
(強み) (弱み)
外
部
環
境
ポジショニング
マイナス要因
・先進事例が多い
・同じ形態のアンテナショップが少
■広島ブランドショップ「TAU」
・買ってもらうより、知ってもらう販促
プラス要因
内
部
環
境
参考アンテナショップ
O
T
(機会) (脅威)
こ
だ
わ
り
・東京出店の場合、競合が多い
・テナント更新時の賃料増額のリスク
低価格
63
~会議から導き出された重要項目~
東三河の認知度やブランド力向上を図るうえで、モノを売るアンテナショップではなくブランドを売るブランドショップ
を目指すべきであるという結果が導き出された。それを具現化するための要素として、ブランドイメージの高い銀座・
日本橋界隈への出店や商品力の高い商品開発のための人材育成、それを支える物産協会の設立が必要である。
重要項目
各項目についてのポイント
アンテナショップにおける
立地の重要性
・アンテナショップの大規模化と銀座日本橋界隈への出店が増加している。
・ブランドイメージを高めるためには、富裕層や外国人観光客も多く、ブランドイメージの高
い、銀座への出店が最も有効である。
・アンテナショップは設置場所の選定が良ければ、多くの場合成功している。
・良い物件を確保するためには1年以上要することもある。
商品開発における
人材育成
・レベルの高い素材は多く持っている地域だが商品力のある加工品が尐ない。
・品質の高い商品開発には、それを作る人材の育成が重要である。
・商品開発や人材育成には零細企業の資金力が重要となるため、それを支える地元金融
機関の積極的な協力が必要である。
・意欲ある事業者を集め、その事業者が実体験でブラッシュアップする場が必要である。
KPI
ブランド力向上の
仕組み作り
・自治体のアンテナショップは公共性と収益性のバランスが求められる。
・販売額・来店者数・認知率・好意度などしっかりとしたKPIの設定が重要である。
・モノを売るアンテナショップではなく、東三河のブランドを売るブランドショップを目指す。
・商品力向上やブランドを創るための仕組みとして、物産協会の設立が必要である。
・ブランド力の高い商品にはそれを流通させる販路が重要である。
64
東三河における推進組織の必要性'東三河物産協会(
東三河と都市部との温度差を理解し、地域ブランドの向上に向けた地域の支援組織を立ち上げることは、東三河
のブランディング推進にとって必要不可欠である。競争力とブランド価値の高い商品の開発と、それに係わる人材育
成を継続的に担っていく組織として「東三河物産協会(仮称)」の設立が急務である。
物産協会の目的:
①東三河のブランド価値の向上
②マーケットニーズに対応した商品の開発
③商品開発を担う人材育成
物産協会の役割:
①東三河ブランドショップへの商品供給
②人材育成セミナー・ワークショップの推進
③地元金融機関との連携
物産協会の構成員:
①東三河広域連合
②各市町村のJA
③各市町村のJF
④その他事業者組合・協会等
東三河物産協会'仮称(
(運営)
・東三河広域連合
・JA,JF
・事業組合等
(協力)
金融機関
(協力)
(商品開発)
(人材育成)
・地域おこし協力隊
生産者
加工業者
JA・JF
事業組合等
(商品供給)
物産協会の運営形態:
・各関係機関の拠出する財源による経営
・地域おこし協力隊を活用
東三河ブランドショップ
65
東三河ブランド推進組織の最終的なあるべき姿'DMOの必要性(
東三河のブランディングが進むとともに、そのブランドの価値やブランドに資する商材の目利きが必要になる。
一方、広域な組織の公益性を保つという点では、広域行政を束ねる東三河広域連合を中心としたガバナンス
機能も益々重要となる。より有益な地域ブランドによる価値創造のため、地域を経営の視点で捉えていくことが
東三河ブランドショップの経営主体に必要不可欠であり、その姿が東三河DMOと成長していく。
東三河ブランドショップ
(運営)
(商品供給)
東三河DMOの基礎母体
金融機関
(資金調達)
東三河広域経済連合会
東三河広域観光協議会
東三河物産協会
生産者
加工業者
JA・JF
事業組合等
(商品供給)
(連携・協力)
東三河広域連合
66
総括
67
アンテナショップの現状と課題
【傾向】
○アンテナショップは、年々増加傾向である。
○アンテナショップの開設は銀座・有楽町に集中してきている。
○複数の自治体で共同で開設している店舗も現れてきている
○東京都のアンテナショップの市場規模は100億円~150億円程度である。
○1店舗当たりの売上高は1億円~3億円規模の店舗が最も多い。
○地域のイメージが強い商品が売れている。
○広島ブランドショップTAUのように、既存のアンテナショップとは違うコンセプトのアンテナショップが現れた。
○海外にアンテナショップを設置する自治体が増えてきている。
○値段にかかわらず、質が良い物や本物を購入する客層が多い。
【機能面】
○アンテナショップの機能は、特産品販売が中心であるが、イートインコーナーを設置している店舗が人気である。
○「試食」「試飲」のイベントが不可欠となってきており、地元飲食店の出展や地域の製造事業者による試食などが人気である。
○イベントやコミュニケーションの場としての活用が増えている。
○物産品販売と地域のPRや観光誘致というアンテナショップの役割に大きな隔たりが存在している。
○飲食店を併設している店舗が増えてきており、その人気も高い。
○成功しているアンテナショップはテストマーケティングの結果を地元業者へしっかりとフィードバックしている。
68
【認知度とブランド力】
○全国的に東三河についての認知度が低い。
○農作物などは生産量が多いものの、ブランド力は低く、競争力が弱い。
○比較的裕福な生産者が多く、ブランドに対する意識が低い。
【商品開発と人材育成】
○農林水産の生産量や種類の多さに比べ、加工品の種類が少ない。
○競争力や商品力のある商品が少ない。
〇人材育成には3年~5年程度の期間が必要となる。
〇商品力やブランド力強化及び人材育成のためには、東三河の物産協会の設立が必要である。
〇商品開発や人材育成には地元金融機関の協力が不可欠である。
【外国人対応】
○外国人の対応はほとんどのアンテナショップでできておらず、意識も高いとは言えない状況である。
○近年は外国人観光客の利用者も増えてきている。
【情報発信】
○最も効果的な媒体はテレビである。
○ホームページやSNSはほとんどのアンテナショップで活用しており、会員向けのチラシやDMも一定の効果を上げている。
69
東三河が目指すアンテナショップ
これまでの調査から、東三河の第一次産品を始めとする地域資源は北海道に準ずるようなブランドに育
てることができるポテンシャルを持っていることが明らかになった。有識者からも、東三河の特産品本来
の価値に比べ市場での評価があまりにも低い結果となっているという意見が多かった。
この課題を解決するためには、地域の特産品販売に重点を置く、従来型のアンテナショップではなく、
地域ブランドの醸成や発信拠点としての役割を担うブランドショップの開設が必要である。
アンテナショップの開設だけであれば、準備期間は2年あれば可能である。しかしながら、魅力的で満足
度の高い商品等の開発を行う人材育成は、3年から5年の期間を要するため、早急に人材育成を行わなけれ
ばならない。また、そのための組織の設立も必要である。
以上のことから、今後、東三河ブランドショップ開設に向けて、以下の4つに重点を置く必要がある。
1 東三河の資源を活かすにはアンテナ
ショップではなくブランドショップ
2 魅力的で競争力の高い商品や特産
品を生産・開発する人材育成
3 妥協できない開設立地の選定
4 東三河物産協会'仮称(の設立
70
1 東三河の資源を活かすにはアンテナショップではなくブランドショップ
都心におけるアンテナショップは、既に飽和状態といえる。今後はより店舗のコンセプトを明確にした、
地域色豊かな店舗づくりが望ましい。
地域の素材に強みを持つ東三河は、その潜在能力を引き出した商品を展開し、地域色を色濃く露出する
と同時に、地域に収益をもたらす店舗運営を行うべきである。
さらに今後ますます需要の拡大が見込まれる外国人に対応できる仕組みづくりや、首都圏から海外に向
けた販路の拡大も視野に入れるべきである。
そのためには、東三河のブランディングが不可欠であり、その具現化こそが東三河ブランドショップ
(仮称)である。
71
2
魅力的で競争力の高い商品や特産品を生産・開発する人材育成
東三河地域の生産者や事業者へのインタビュー調査で明らかになったように、東三河の特産品の売り方
やブランディングというものについて、生産者や事業者自身がそれを意識してこなかったことが現在の東
三河のブランド力に少なからず影響を及ぼしている。
地域色が際立つほどの素材を有しながら、その素材を活かした商品開発(加工等)に人の手が加わるこ
とがなければ、地域ブランドを活かした販路拡大は難しい。また、魅力的な商品は簡単に開発出来るもの
ではないため、地域を理解した販売意欲のある人材を、地域ブランドの担い手として育成していく必要が
ある。
優れた商品開発やそれを担う人材の育成には少なくとも3年から5年程度の期間を要するため、早急に取
り組む必要がある。
72
3
妥協できない開設立地の選定
都道府県アンテナショップの立地方針は、コンセプトへの適合度や人通りの多さなど、事業内容に基づ
く明確な立地方針を持った事例と、他の道府県の分布状況を見て、大勢に追随した事例に分かれる。
近年では、銀座、日本橋地区への集中化傾向が強まっており、立地選択の方針として後者タイプの増加
を指摘できる。
地域のブランド価値を高める目的で設置するブランドショップ型店舗の場合、レベルの高い多くのブラ
ンドが集まる銀座エリアでの開設が望ましい。
この場合、比較的所得の高い購買層にアプローチできるため、商品単価を高く設定できる。しかし、今
後東京オリンピック・パラリンピックを前に、都内での物件は高騰してきており、選択が非常に厳しくな
る。
73
4
東三河物産協会(仮称)の設立
都道府県アンテナショップで扱われるアイテム数は、店舗の規模によって違いはあるが約1,000~4,000
アイテムである。都道府県より規模の小さい東三河が、首都圏で同規模の店舗を開設した場合、選定を緩
やかにしたとしても東三河地域の商品や特産品で埋めるのは難しいと想定される。
このような原因としては、生産者の意識が低いことや、地元中心の商圏だけでビジネスを行っている中
小零細の加工業者が多く、首都圏に販路を持たないことが考えられる。現段階では、首都圏側の消費者の
厳しい目にさらされていないことから、地元でしか売れないような商品が多い。
この課題に有効な方法として対策が望まれるのは、東三河物産協会(仮称)の設立である。首都圏はも
とより広く全国に東三河の物産を宣伝紹介し、地域の仕入れ・卸機能を充実させ、物産の販売促進と取引
先を広げる役割が期待できる。
東三河の市町村、商工会議所、商工会、各種特産・名産品等の製造・販売業者はもとより、商品開発に
資金が必要となるため、地元信金を始めとする金融機関の協力は欠かせない。公益性を保ちながら収益を
確保できる運営を行う物産協会の立ち上げは急務である。
74
東三河が目指すアンテナショップモデル
店舗コンセプト
東三河の目指すべきアンテナショップは、地域の特産品販売に重点を置き、首都圏消費者の情報を収集
するという、従来型のアンテナショップではなく、東三河に関する情報を発信し、東三河のブランドを向
上させる、東三河ファンの増加を図る『ブランドショップ』である。
このようなコンセプトの下、百貨店やブランドショップ等、比較的価格帯が高い店舗が集まることで街
自体がブランドイメージと日本人のみならず外国人にも高い知名度を誇る繁華街であること、周辺エリア
が最寄駅の拠点商業エリアであること、イベントの集客が見込めるなどを理由に銀座・日本橋界隈が適し
ている。
ブランドショップの要素
●東三河の人々の営み、モノ、歴史、情報を伝え、東三河のファンになってもらうこと
●東三河の認知度を向上させること
●東三河産品の発掘・開発を通じた新たなブランド価値の創造をすること
●首都圏と東三河との人のつながりを形成する場の創出やコミュニケーションの実現に寄与すること
●東三河に関連するイベントや体験、プロモーションを積極的に実施し、首都圏の人々に東三河を知
ってもうことで、東三河への観光促進を行うこと
75
店舗概要
施設名(例)
設置場所(候補地)
床面積(想定)
年間賃料(想定)
年間来場者数(想定)
年間売上(想定)
展開(機能)
運営方式
東三河ブランドショップ
銀座・日本橋界隈
200㎡~400㎡
90,000千円
473千人 1,500人/日
331,000千円(客単価:700円)
物販、観光・移住情報、イートイン、飲食店等
公募によって決定した民間事業者に委託
ブランドショップにおける展開
物販
東三河の豊富な生産物を活かした特産品や加工品を販売し、東三河ブランドの浸透を図る。年間を通じて
欠品がでないよう、地域での商品開発も丁寧に行い、東京での商品認知が生産地への誘引促進につなが
るようなストーリー展開を行う。
観光・移住
情報発信
地域の特筆すべき資源である手筒花火とその文化を紹介、特に動画や疑似体験等の五感に触れる体験メ
ニューを導入し、来店者の興味関心を高めることで観光交流を促進する。
イートイン
東三河の特産品をその場で食べることができるコーナーを設け、東三河の味をより多くの人々に知ってもら
うとともに、商品購入のきっかけづくりとして、店頭でのプロモーションに活用する。
飲食店
東三河ブランドを十分に堪能できる飲食スペースを設け、素材の強みを活かしたメニューや季節感を料理
で表現し、東京にある東三河をアピールする。さらに、都心に住む東三河関係者が、東京での東三河の紹
介の場(ホームスペース)として積極的に利用できるよう、東三河ブランドの浸透を図るための商談や交流
促進機能(イベント・発表会等)を充実させる。
外国人
観光客
外国人観光客に対し、東三河ブランドの認知を高める場としての活用を図るとともに、外国人が帰国後に
東三河ブランドに触れる機会を創出できる工夫を凝らし、最終的にモノの輸出につなげていく。
76
企業コラボレーションの有効性
調査結果から明らかになったように、東三河の知名度や認知度は全国的に非常に低い状況である。その
課題に対し、東三河ブランドショップの期待や役割は大きい。
一方で、首都圏には他の自治体アンテナショップが集中しており、知名度や認知度の低い現在の状況で
は集客に対し、厳しい状況が予想される。
その東三河の弱みを知名度の高い企業ブランドやイメージで補うことにより、ブランドショップそのも
のの注目度や東三河の知名度や認知度の向上が期待できるだけではなく、他の自治体のアンテナショップ
との差別化が可能となり、より効果の高いブランドショップ運営が考えられる。
その一例として、有名ガイドブックとのコラボ型ブランドショップが考えられる。ガイドブックの楽し
さや豊富な情報をブランドショップ内の空間で具現化することにより、ブランドショップに来る楽しみと
、そこから醸成する東三河への観光の期待感から観光誘致へつながる有効性が想定できる。
77
東三河ブランドショップ運営スキームのイメージ
イニシャルコスト'開設経費(
・内装工事、備品など
ランニングコスト
・賃借料、施設管理費、プロモーション
費用など
(負担)
(委託)
コラボレート企業
'ガイドブックなど(
(委託)
東三河ブランドショップ
'東三河広域連合(
(プロデュース)
(負担)
運営会社
'物販・飲食など(
(売上げに応じた
手数料収入)
(報告)
(商品案内)
構成8市町村
商品選定会議
東三河物産協会
'仮称(
78
東三河アンテナショップ実現可能性調査報告書
─2016年3月─
発行
東三河広域連合
住所
電話
調査機関
総務課
豊橋市八町通二丁目16番地(豊橋市職員会館4階)
0532-35-6000(代表)
株式会社JTB総合研究所
コンサルティング第一部部長
主任研究員
主任研究員
研究員
篠崎
宏
斎藤
薫
倉谷
裕
杉山 大輔
79
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