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による 5階建て共同住宅プロジェクト

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による 5階建て共同住宅プロジェクト
採択事例
34
プロジェクト名
(平成 26 年度)
補助種別
提案の
概要
木 造 化
提案者(事業者)
混構造(RC 造+木質系組立構造)による
5階建て共同住宅プロジェクト
山梨住宅工業株式会社
設計者
株式会社ミサワホーム総合研究所
施工者
ミサワホーム甲信株式会社
建設地
山梨県北杜市長坂町長坂上条
A. プロジェクト全体の概要
建設地は山梨県北杜市の長坂駅にほど近い、工場・民家が混在する地域拠点集落であり、南アルプス
と八ヶ岳連峰が望める敷地。事業主所有の既存 2 階建てアパート群を、福利厚生社宅として、5 階建
ての駐車場付き共同住宅に建て替える。建築の重層化により建物の利便性を上げて空地を広げ、良好
な住環境を形成する。
B. 提案する木造化・木質化の取り組み内容の概要
●大量生産され、軽量かつ高強度の木質接着複合パネルを壁式構造として採用する。
●木質構造の中層化への試みとして、RC 造との上下混構造を開発する。
●木材を仕上材に使用した、1 時間耐火構造の壁を開発し、採用する。
●全国規模での木材の地産地消のしくみをシステム化、外装・内装の過半に採用する。
●木質構造床に適した、高遮音性能の木質素材 2 重床の開発と採用する。
C. 提案のアピールポイント
●木質パネル構造では初めての 5 階建て混構造。
●非木造が主流の中層共同住宅市場に、耐火構造化した木質構造で参入するため、量産化を見据えた
プロトタイプモデルの開発。
●仕上を杉等の木材とした木質パネルの耐火構造外壁を新たに開発し採用。
●木質 2 重床は業界最高水準の Lr,H-55 を目指し、机上予測可能な知見を得る。
●各地域の各種木材を地産地消するため、流通・製造・販売をシステム化・部品化して量産化を図り、
地域や社会的要請に応える。
外観模型写真
評価の
ポイント
木質パネル構造としては国内初の5階建て混構造(1階RC造)となる共同住宅の計画。外壁
には、屋外側を木材で仕上げた木質パネルによる1時間耐火構造外壁を新規採用することとし
ている。主体構造は、中層化への取り組みとして木質接着複合パネルを用いた壁式構造とRC
造との上下混構造としている。また、共同住宅で問題となりやすい床遮音にも、制振ダンパー
を用いた新しい構法を提案している。全国的な普及を視野に、各地域の各種木材を地産地消す
るための流通・製造・販売のシステム化・部品化を検討し量産化を目指すとしている。非木造が
主流の中層共同住宅市場に対して、木造での置き換えが可能かを検証するモデルプランとして
有効な計画である。
道路に開けた面には木製建具を採用し、木の表情にあふれる建物
混構造(RC 造 + 木質系組立構造)による 5 階建て共同住宅プロジェクト—1
187
全体概要
本プロジェクトは、5 階建ての共同住宅を木造+ RC 造の混構造の耐火構造で建設するプロ
ジェクトである。これまで RC 造などで供給されてきた日本の中層住宅を、木造で置き換え
が可能か検証するモデルプランである。木質外装による 1 時間耐火構造外壁の認定取得を目
指すとともに、内外装木材の地産地消をシステム化し量産化を目指す。
中層共同住宅の市場の木造化
統計によると、1、2 階建て低層共同住宅は全体の約 28% を占め、
そのほとんどが木造と思われる。一方 3 〜 5 階建ては 39% あり、
木造以外の構造がほとんどである。これらを木造でつくることがで
きれば、飛躍的に木造のシェアを増やすことができる。
高層
高層
28%
17%
+
39%
木造化・高層化・木質化・耐火構造化
木造の
木造の
範囲を
範囲を
拡大
平成 20 年の共同住宅統計
平成 20 年 総務省統計局
5F
□内装木質化(床材・建具)
県産材を含む
国産材を使用
4F
□高遮音木質二重床
□外装木質化
3F
県産材を含む
国産材を使用
□接合部開発
2F
プロジェクトの概要
□外装木質化
県産材を含む
廊 下
ホール
1DK
1DK
1DK
1DK
バルコニー
□高遮音木質二重床
高遮音木質二重床
木造化・木質化の
取り組み
内容
基準階平面図
□内装木質化
内装木質化
先端性・先進性
●木質パネル構造では初めての、RC 造による混構造 5 階建て。
●杉等を仕上材にした木質パネルによる 1 時間耐火構造外壁の新規開発。
●業界最高水準の木質構造用高遮音床の開発。
●地産地消木材を使った内外部建材のシステム化と商品化。
波及性・普及性
●木質耐火構造による中層共同住宅の供給市場への進出。
●既存構造工法と同じ販売・生産・流通・建設システム。
●商品化により、安価で質の良い国産木材建材を量産。
●床の高遮音化により木造建築への懸念を払拭。
使用する木材、木質建材の特徴
●木質構造部:工場生産された木質接着複合パネル、構造用集成材。
● 2 重床下地材:パーティクルボード。
●外装材:熱処理した国産杉材(山梨県産材)。
●内装床材:圧縮処理された山梨県産の材杉。
●内部建具:国産杉材(山梨県産材を予定)。
混構造(RC 造 + 木質系組立構造)による 5 階建て共同住宅プロジェクト—2
188
R
C
造
1F
外装木質化
1DK
67%
S/RCS/RC
中層中層
県産材を含む国産材を使用
国産材を使用
1DK
拡 大
木質パネル構造
5 階建て混構造
木質パネル初の 5 階建て混構造。2 時間耐火が必要で、壁を設け
ることができない階は RC 造、比較的プランニング上壁があり、1
時間耐火のみ要求される階は木造で対応。接合部の構造ディテール
を開発する。
高耐力木質接着複合パネル
低コストで量産可能な木質接着複合パネルを使用。
地産地消のしくみ
全国規模のメーカーが協業して、内外装建材に地産地消のシステ
ム化を確立していく。
木質外装の耐火構造壁の開発
木材による外装材を 1 時間耐火構造として開発、上記しくみを使っ
て、山梨県産材の外装材を採用。
床材・建具の地産地消
上記しくみを使って山梨県産材を主とした内装床材と建具を採用。
高遮音性能 2 重床
木造の弱点であり、共同住宅では特に問題となる上下階遮音性能
を解消する木質二重床を開発し、採用する。
木造低層
木造低層
13%
▼
プロジェクトの
高強度木質接着複合パネル
壁パネル
従来の木質接着複合パネルよりも高強度なものを使用す
方立
る。これらは「ミサワホーム事務所ビル ( 平成 23 年度採択
壁パネル
事業 )」、「赤羽の集合住宅プロジェクト ( 平成 24 年度採択
事業 )」でも使用された物と原則同じであるが、混構造との
接合部を新たに開発する。
中層の共同住宅、というある程度平面計画が定型化され
うる用途を見据えて、より低コストで量産化可能な生産シ
ステム、建設システム、ディテールとなるよう、構造計画
などを進める。
胴差
床パネル
混構造による構造計画
ボルト
1 階は駐車場用途のため、RC ラーメン構造とし、2 時間
耐火を確保する。
2 〜 4 階は単身者向け 1 ルームと家族向け 2LDK が混在
するが、比較的壁が多く、上下階でも位置が揃う平面計画
とし、構造形式は壁式構造とした。
5 階はペントハウス的な住戸を設け、屋根部には 30kW
程度の太陽光発電設備を設ける。既に認定を取得した被覆
型耐火構造の床、屋根に加え、今回新たに開発する木質外
装材による被覆型 1 時間耐火構造外壁を告示仕様(平成 26
年8月 22 日改正)として採用する。
内部の間仕切などは構造壁を少なくして、リフォーム等
で間取変更が可能となっている。
垂壁パネル
壁パネル
方立
箱型金物
座金・ナット
木質外装耐火構造の開発
中高層建築物での外装の木質化、という要請に応えるべ
く、外装を木質材料とした木質接着複合パネルによる被覆
型の 1 時間耐火構造を新たに開発し、採用する。
使用される外装木材は、全国内での地産地消が可能とな
るよう、主として杉材を想定した開発をする。
日本の屋外環境では狂い等が問題になることが想定され、
また(準)防火地域などでは素材表面の不燃性も要求され
ることなどから、開発においては、耐候性・寸法安定性に
優れた処理 ( 熱処理等 )、耐候性塗装や不燃化処理等を充分
に考慮したものとする。
今回は耐火構造外壁(耐力)として開発するが、木質ラー
メン構造に適用できるよう、非耐力外壁の使用も考慮する。
側材
ボルト
土台
ボルト
RC梁
2階RC床
1階RC柱
高強度木質接着複合パネルの構成
強化 PB 21 × 2
木質接着複合パネル
強化 PB 21 × 2
構造計画図
木材(杉など)
木質外装耐火構造の開発予定図
混構造(RC 造 + 木質系組立構造)による 5 階建て共同住宅プロジェクト—3
189
壁パネル
木質化の取り組み
①地産地消の『しくみづくり』
材料供給者 ( ミサワホームほか ) は、日本全国において、県産材を調
全国の地産材
達し、その地域で活用するしくみづくりを始める。本プロジェクトでは、
外装材、内部建具および床材に山梨県産材を主とする国産材を採用。今後、
事業性を検討しながら対応できる地域を拡大する予定である。
②外装の木質化:地域産の木材で仕上、特徴ある外観デザインに
木材を建物の南面からサイドまでをくるむように、面積過半の広い範
囲に使用する。当プロジェクトでは、山梨県産のスギ材を熱処理した木
材を採用。
・耐候性・寸法安定性を向上させた木材。
・1 時間耐火構造の認定取得。
③内装の木質化:地産地消の「しくみ」で県産材を含む国産木材を積極
採用
部品システム化
量産化
耐候性・寸法安定性を向上させた木材
1時間耐火構造の認定取得
内装建具:国産の間伐杉材 山梨県産杉材
(主として山梨県産材)
山梨県産材認証生産事業者
より材料を調達
床材:圧縮処理した山梨県
産の間伐杉材
樹種:杉圧縮材(山梨県産材)
基材:合板
プロジェクト
データ
Lr,H-55
RC床スラブ
200 ㎜
④高遮音性能の木質 2 重床の開発
木質の共同住宅での上下階遮音問題を解決しないと普及は見込めない。
本プロジェクトでは、新たに安価で簡易な 2 重床を開発する。
木質系置床下地
(パーティクルボード)
同等性能
・Lr,H-55 の水準を実現
・性能予測を可能に
木質パネル
提案者(事業者・建築主)、設計者・施工者、建設地は
扉頁参照
事業の実施体制
建物名称:(仮称)Y-HAUS 新築工事
主要用途:共同住宅
建築主
主要構造:□木造(□軸組構法 □枠組壁工法 □丸
太組構法 □その他)
□鉄骨造 □鉄筋コ
請負契約
山梨住宅工業 ㈱
設計・監理
ンクリート造 □鉄骨鉄筋コンクリート造
■その他(RC 造+木質系組立構造)
防火地域等の区分:□防火地域 □準防火地域 □法
22 条区域 ■その他の地域
施工者
設計・監理
監理
ミサワホーム 甲信 ㈱
㈱ ミサワホーム総合研究所
耐火建築物等の要件:■耐火建築物 □準耐火建築物
耐火仕様共同開発
(60 分耐火) □準耐火建築物(45 分耐火)
発注・納品
□その他の建築物
木質パネル製造 等
ミサワホーム ㈱
敷地面積:997.62㎡
建築面積:273㎡
発注・納品
延べ面積:1,177㎡
軒 高:15.483m
最高の高さ:15.810m
木質外装材
木質建具・内装材
階 数:地上 5 階
越井木材工業 ㈱ ほか
阿部興業 ㈱ ほか
事業期間:平成 26 年度~ 28 年度
建材の共同開発
平成 27 年 11 月1日着工、28 年6月 30 日竣工に
補助対象事業費:289,600 千円
補助金額:54,710 千円
(うち平成 26 年度分 5,000 千円)
事業スケジュール
平成26年
平成27年
平成28年
7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6
実施設計
●
施工期間
190
竣工
着工
混構造(RC 造 + 木質系組立構造)による 5 階建て共同住宅プロジェクト—4
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