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1 米国 IT 業界動向 2010 年 11 月 JETRO/IPA New York 1.主要 IT

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1 米国 IT 業界動向 2010 年 11 月 JETRO/IPA New York 1.主要 IT
米国 IT 業界動向 2010 年 11 月
JETRO/IPA
New York
1.主要 IT 企業動向
(1)グーグル
・ モバイル決済サービスのゾング(Zong)は、アンドロイド(Android)OS搭
載の携帯電話に利便性の高い新たな決済方法を開発した。同業のビリング・
レボリューション(Billing Revolution)とアドナレッジ(AdKnowledge)
も続く見込み。現状では、アンドロイドOS携帯にはグーグルチェックアウト
とペイパルの決済手段があるが、都度クレジットカード番号やユーザー名を
入力する必要があり、使い勝手の悪さが指摘されていた。また、ボク(BOKU)
は、アンドロイドOSと連携した決済方法の開発を計画している。一方、グー
グルは決済方法の多様化の一環として、PaypalをアンドロイドOSアプリケー
ションに組み込むことを検討している模様。
【10月25日 Businessweek】
・ グーグルは、米内務省の入札に不正があったとして、同省を提訴した。同社
の訴えによると、同省はウェブ・ベースの電子メール・サービス契約に関す
る入札の際に、マイクロソフトのサービスを前提に条件を策定し、競合サー
ビスを排除したという。グーグルは、内務省の入札手続きを停止するようワ
シントンDCの連邦請求裁判所に要請するとともに、公正な調達手続きを実施
するよう求めている。今回、内務省が提示した同電子メール・サービスの契
約は、向こう5年間で5900万ドル以上の売り上げにつながる。契約規模は両
社にとってさほど大きいものではないが、今後他の政府機関との契約上、今
回の契約は非常に重要となっていた。
【11 月 1 日 Washington Post】
・ グーグルは、ファッション専門のオンライン購買サービスの拡充を進めてい
る。専用検索サービス「グーグル・プロダクト・サーチ(Google Product
Search)」を用いて、ユーザーは服飾品などの「ソフトグッズ」の検索をよ
り簡単にできるようになるという。関係筋によると、グーグルは、8月に買
収したLike.comの画像検索技術を採用し、画像による商品比較・検索を可能
とした。商品写真の下に表示されている「ビジュアル・サーチ」をクリック
すると、その商品に似た色や外観の製品が表示される仕組みだ。
グーグルが開設したこのe-コマースサイト(Boutiques.com)では、デザイ
ナーやスタイリスト、著名人を含む約100人のアドバイスに加えて、上記画
像認識技術やコンピュータの学習アルゴリズムを利用して小売りサイトへ
誘導したり、買い物客にお薦め商品を提示するサービスを行う。自ら小売
りには手を付けず、クリックに応じた手数料を販売元から徴収する。
Boutiques.comにはラルフ・ローレンやスティーブ・マッデンといった有名
1
ブランドが含まれている。
類似サービスには、Polyvore.comやカブードルKaboodle.comがある。
【11月4日 WSJ】【11月17日 CNET】
・ グーグルは、情報を双方向で提供しないサービス事業者への情報提供を差し
止める。対象にはソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)世界最大
手フェイスブックも含まれている。グーグルは、ユーザーが情報を自己管理
できるようにするのが目的としているが、実際には、情報を公開しないフェ
イスブックへの報復措置との見方もある。
フェイスブックでは、新規登録の際、グーグルが提供するGメールの連絡先
データを使って、フェイスブック登録者データとユーザーの連絡先にあるG
メール・ユーザーの電子メールアドレスを照合し、ユーザーに対してフェ
イスブックアカウントをもつ知人を情報提供してきた。フェイスブックは、
現在、アカウント開設時に他社サービスの電子メールアドレスの登録をユ
ーザーに要求しているが(電子メールアドレスがアカウントIDになる)、独
自のドメイン名(@facebook.com)を使った電子メールアドレスを利用者に
提供することで、このアカウント情報を置き換える計画を進めている。
【11月4日、11日 Techcrunch】
・ グーグルは、共同購入クーポン・サイト最大手グルーポン(Groupon)の買
収交渉を進めている。これまでも、ヤフーが同社と買収交渉を行ったが交渉
が決裂した。関係筋によると、グルーポンを買収できるだけの資金を用意で
きるのは、マイクロソフト、アマゾン、eBayくらいではないかとのことだが、
現在、グーグルが検討している金額は、ヤフーが提示した20億~30億ドルを
上回る(過去YouTube買収に投じた金額は16億ドル)とみられる。
グルーポンの売り上げは増加の一途をたどり、月に5000万ドル以上と言わ
れている。同社は地域商業(ローカル・コマース)向けにクーポンを提供
しているが、同市場は利益率が高く市場も大きい。グーグルが同社を買収
するとなれば、AdMob(7.5億ドル)、ITAソフトウェア(7億ドル)買収の時
を上回る連邦政府競争当局の厳しい調査が予想される。
【11月19日 All Things Digital】
(2)アップル
・ アップルは、同社のパソコン機種(マック)にもアドビ・システムズの動画
閲覧ソフト「フラッシュ」を出荷段階で搭載しない意向を明らかにした。た
だし、利用者はマックを購入後、オンライン上から同ソフトをダウンロード
してインストールできる。アップルは、搭載中止の理由としてバッテリの大
量消費を挙げている。
ハイテク情報企業のアース・テクニカ(Ars Technica)が新型マックブッ
ク・エアー(MacBook Air)で検証したところによると、フラッシュを搭載
せずにサファリでウェブ・ページを次々と読み込んだ場合は、バッテリの
寿命が6時間に達した。しかし、フラッシュをインストールした後に同じ
サイトを再度読み込んだら4時間で電池が切れたという。
これは、各ウェブ・ページに埋め込まれているフラッシュを利用した広告
2
を読み込むたびに、プロセッサが電力を消費するためだと指摘されている。
【10月22日 Computer World、11月4日 Apple Insider】
・ アップルは、ユニシス(Unisys)と提携。企業および米国政府への製品販売
を強化していく。提携により、ユニシスは、アップル製品を購入した企業お
よび政府機関に対し保守および管理サービスを提供する。同社はこれまでに
も政府顧客向けにiフォン用アプリケーションを開発してきた。たとえば、
国境警備隊向けのアプリケーションを米国土安全保障省(DHS)が採用して
いる。
アップルは企業向け販売高が同社売上全体に占める割合を明らかにしてい
ないが、同社の発表によればフォーチュン500企業の80%がiフォンを、フ
ォーチュン100企業の65%がiパッドを導入しているとのことである。
【10月25日 Businessweek】
・ iパッドに代表されるタブレット型コンピュータがラップトップ市場に打
撃を与えている。たとえば、2010年4月に発売されたiパッドは半年間に約
750万台を売り上げ、10月だけでもすでに420万台の販売を記録している。
調査会社パークス・アソシエーツが、米消費者の中からiパッド所有者ま
たは購入予定者500人以上を対象に実施した8月の調査では、その3分の1
以上が「iパッドによってラップトップの購入を先送りまたは断念した」
と回答している。さらに、調査会社ガートナー(Gartner)によると、2011
年の米市場におけるタブレット全販売台数は前年比3倍の5480万台に達す
ると予想される。
これに対して、調査会社NPDによると、今年2月以降、ラップトップの月間
販売数の伸びは毎月縮小しており、8月には前年同月比で4%減となった。
【10月28日 Dallas Morning News】
・ アップルは、モトローラがiフォン関連の3件の特許技術を侵害していると
して同社をウィスコンシン州西部地区連邦地裁に提訴した。訴えによると、
モトローラはアップルのタッチスクリーン・ソフト技術を無断で使用してい
るという。【11月1日 WSJ】
・ IDCによると、アップルは、米国に続き世界のスマートフォン市場でもブラ
ックベリー(BlackBerry)を製造するカナダのリサーチ・イン・モーション
(RIM)を抜き2位となった。iフォン4(iPhone 4)の中国における販売
拡大が奏功した。
また、2010年第3四半期(7~9月)のスマートフォン世界出荷台数は、前
年同期比89.5%増の計8110万台に達した。1位はノキアで、同61.6%増の
2650万台となり、なんとか首位を死守した格好だ。アップルは同90.5%増
の1410万台だった。
【11 月 4 日 IDC】
・ アップルは、マイクロブログ・サイト大手ツイッターと提携した。アップル
がiチューンズ(iTunes)内に新設した音楽専門ソーシャル・ネットワーキ
ング・サービス(SNS)「ピング(Ping)」とツイッターを連結。ツイッター
利用者は、iチューンズ経由で取り込んだ楽曲や歌手の評判を書き込み、仲
間と共有できる。
3
【11 月 11 日 Reuters】
・ アップルの双方向モバイル広告サービス「iアド(iAd)」がモバイル広告市
場の拡大に寄与している。2010年7月のiアド導入 当初、ユニリーバ
(Unilever)や日産を含む有力ブランドが、同サービスに100万ドル以上を
投じると発表。その結果、大手企業によるモバイル広告への関心が高まる結
果となった。たとえば、双方向広告制作および配信サービスを提供するスプ
ラウト(Sprout)では、出版社や広告代理店からの問い合わせが約4倍に増
えたという。iAdは日本でもサービスを開始し、ヨーロッパへの拡大が予定
されている。
一方、アップルの広告料が高額という不満も出ており、グーグル、メディ
アレッツ(Medialets)、クリスプ・ワイヤレス(Crisp Wireless)、4イン
フォ(4INFO)のようなアップル競合社にとって、事業拡大の好機となって
いる。【11月11日 WSJ】
(3)Amazon.com
・ テキサス州政府は、Amazon.comが2005年12月から2009年12月までの消費税
(売上税)を滞納しているとして、未納金とその利子、そして罰金として合
計2億6900万ドルを請求している。これに対して同社は、提出した証拠が不
十分だと反論している。Amazon.comはテキサスのほかにも、ノース・カロラ
イナやニューヨーク、そしてコロラドの各州とも消費税の未払いで係争中だ。
ワシントンDCにある非営利団体Center on Budget and Policy Priorities
の昨年の報告によると、Amazon.comは倉庫を所有する6つの州で消費税を
購入者から徴収しておらず、従って州政府に消費税を払っていないという。
【10 月 24 日 WSJ】
・ Amazon.comは、日用品や乳幼児向け製品販売業者クイッツィー(Quidsi)を
総額5億4500万ドルで買収する。クイッツィは日用品各種を取り扱うサイト
(Soap.com)や乳幼児製品専門サイト(Diapers.com)を運営している。同
社はまた、独自開発した在庫管理や、発送のITシステムに強みを持つ。
Amazon.comは、日常的にサービスを利用する顧客を惹きつけることができれ
ば、より付加価値の高いサービスの利用も期待できるとしている。
【11月8日 WSJ】
・ Amazon.comは、12月1日から同社の電子書籍(eブック)リーダー「キンドル
(Kindle)」向けに電子書籍を販売する出版社への支払い歩合を引き上げる。
具体的には、出版物の小売価格から配信料を差し引いた額の70%に引き上げ
る考えだ。
新しい歩合が適用されるには、キンドル全機種とアプリケーションに対応
し、出版社が版権を持つ全ての国で購読可能であることが条件となる。
【11月9日 AP】
・ Amazon.comは、映画および脚本のオンライン投稿事業「アマゾン・スタジオ
(Amazon Studios)」を立ち上げ、映画事業に乗り出す。同サービスでは、
脚本家や映画監督を世界中から募って作品を集めてコンテストを行い、優秀
作品に選ばれた映画や脚本に総額270万ドルを贈る。
4
Amazon.comの狙いは、受賞した脚本や映画をもとに正規の映画を製作し、
劇場で上映する権利を得ることだ。すでに、ワーナー・ブラザースは、映
画化の権利を優先的に取得できる業務提携を同社と結んでいる。
また、受賞作品はアマゾン・スタジオを通して劇場で公開される。コンテ
ストは毎月実施される。次回のコンテストは、2011年1月に開催される予
定。【11月16日 NYT】
(4)マイクロソフト
・ マイクロソフトの2010年7~9月期決算は、大幅な増収増益となった。ウィ
ンドウズ7およびオフィスの好調な売り上げが奏功した。また、Xボックス
360も好調だった。
売上高の内訳を部門別にみると、ウィンドウズ部門が前年同期比66%増の
約48億ドル。オフィスを含むビジネス部門が同比14%増の約51億ドルにな
った。また、クラウド・コンピューティング関連サービス部門も同比12%
増の約40億ドルに上った。さらに、Xボックス360を含む娯楽部門は、同比
27%増の約18億ドルと堅調だった。【10月28日 Microsoft】
・ マイクロソフトは、デジカメ用チップを開発するセネスタ(Canesta)を買
収する。買収金額は明らかにしていない。セネスタは、3D映像を認識する機
能をデジタル・カメラに追加するチップを開発。さらに動作感知機能に対応
したビデオゲーム向けにも使われている。これまでにベンチャー・キャピタ
ルからを約7000万ドルの資金を調達している。
【10 月 29 日 WSJ】
・ マイクロソフトは、次世代ビデオ会議システムであるユニファイド・コミュ
ニケーション(UC)ソリューション「リンク(Lync)」を発表した。リンク
は、企業向けのIP電話やオンライン会議向けのプラットフォームで、12月1
日に正式発売される。マイクロソフトにとって、リンクは、IP電話およびテ
レビ会議システム市場に対する3度目の挑戦となる。すでにボーイングやフ
ランステレコムが顧客となると見込まれている。
また、マイクロソフトはヒューレット・パッカード(HP)のサービス部門
と提携。顧客企業がリンクを導入する際には、HPがインストールを手がけ
る。HPではすでに、フォーチュン500企業の合計30万人以上の従業員向けに
リンク導入作業を受注している。
【11月17日 Businessweek】
(5)インテル
・ インテルは、クラウド・コンピューティング・システム運用の効率化や情報
保全強化を目的に新組織「オープン・データ・センター・アライアンス(ODCA)」
を設立した。ODCAには、15の国・地域から約70社が参加。うち、中核となる
10社には、BMW、JPモルガン、ロッキードマーチン、シェル、中国生命保険
最大手の中国人寿保険(チャイナ・ライフ)などが含まれているという。
集約したノウハウは、インテルやIBM、マイクロソフトをはじめIT大手20社
がこのほど策定した共通規格に随時反映させる仕組み。
5
【10 月 28 日 PC Magazine】
・ インテルは、同社の最先端技術を使ってアクロニクス・セミコンダクター
(Achronix Semiconductor)の半導体を製造することで合意に達した。イン
テルは過去にも他社向けに半導体を製造したことがあるが、最先端技術を使
うのは今回が初めてとなる。
アクロニクスは、通信量や暗号化データの処理に必要なプログラム可能な
フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)というチップを設
計している。一部の専門家は、インテルがパソコンおよびサーバ以外での
半導体事業で苦戦を強いられいるため、受託製造によって他社との関係を
構築し、別の市場への進出可能性を探ろうとしていると指摘している。そ
うした意味でニッチ市場のFPGAは狙い目と言えそうだ。現在、FPGAの世界
市場規模は約30億ドル。インテルはこれまでFPGA市場にほとんど関与して
いなかった。【11月1日 NYT】
・ インテルは、日立グローバル・ストレージ・テクノロジーズ(Hitachi Global
Storage Technologies)と、企業向けソリッド・ステート・ドライブ(SSD)
「ウルトラスターSSD400S(Ultrastar SSD400S)」の開発で提携した。
SSD400Sは、100ギガバイト(GB)、200GB、400GBの3種類。いずれも、毎秒
6ギガ・ビットの2.5インチ型シリアル・アタッチドSCSI(SAS)および毎
秒4ギガビットのファイバー・チャンネル(FC)インターフェイスの双方
に対応する。読み取り速度は毎秒535メガバイト(MB)で、書き込み速度が
毎秒500MBとなっている。
同製品には、日立の企業向けハードディスク・ドライブ技術に加えて、イ
ンテルの34ナノメートル加工技術およびシングル・レベル・セル(SLC)NAND
フラッシュ・メモリ技術が採用されている。量産開始は2011年上半期にな
る見込み。【11月16日 Computer World】
(6)IBM
・ IBMは、特定の用途向け集積回路(ASIC)の製造および加工技術「Cu-32」を
発表した。同技術は32ナノメートル線幅加工に対応。IBMはこの技術を使っ
て自社製および他社製ASICプロセッサを製造していく計画だ。
Cu-32では、メモリをASICの隣に標準装備する。その結果、従来の製造方法
に比べて処理速度が15%速くなる。その一方で、従来と同等速度に設定し
た場合には電力消費量を30%節減できる。IBMがCu-32の売り込み先として
狙うのは、ネットワーク機器メーカーとネット関連機器メーカー。
【11月8日 Investor’s Business Daily】
(7)ヒューレット・パッカード(HP)
・ HPは、プリンタ製品群の開発設計拠点となるイメージング・アンド・プリン
ティング・グループ・グローバル・デザイン・センターをシンガポールに開
設した。同センターは今後、インドや中国にいる設計チームと連携し、世界
市場向け製品の開発を手掛けていく。新センターには、シンガポールやマレ
6
ーシア、インドネシアなど、さまざまな国籍の開発担当者らが所属している。
【11月3日 CNET Asia】
・ HP の 2010 年8〜10 月期の四半期は増収増益となった。米国内外でパソコン
販売やクラウド・コンピューティング・サービスが好調だったことが奏功し
た。一方、10 月末の年度決算では売上高が前年度比 10.0%増の 1260 億 3300
万ドルに、純利益が同 14.4%増の 87 億 6100 万ドルと二ケタの増収増益を
記録している。【11 月 22 日 HP】
(8)シスコシステムズ
・ シスコの2010年8~10月期決算は大幅な増収となった。純利益は、研究開発
投資や営業経費の増加により若干の増益にとどまった。【11月10日 Cisco】
(9)オラクル
・ オラクルは、eコマース・システム開発のアート・テクノロジー・グループ
(ATG)を総額10億ドルで買収する。
ATGは、企業間取引システムの構築に定評があり、Amazon.comなどと競合す
る。同社は世界約50ヵ国・地域で取引先1000社以上を抱え、顧客企業の中
にはベストバイやAT&Tも含まれる。【11月2日 Reuters】
主な企業の決算報告:
企 業 名
四 半 期 売 上 高
前 年 同 期 比
四 半 期 純 益
マ イ ク ロ ソ フ ト16 1.95 億 ド
ル
25 .0%
54 .1億 ド
33 2.78 億 ド
ル
8.1 %
25 .38億 ド
19 .2%
19 .3億 ド
H P
シ ス コ ・
シ ス テ ム1 0ズ7 . 5 億 ド
ル
ル
ル
ル
前 年 同 期 比
51 .0%
5.2 %
8.0 %
2.端末(PC、携帯機器、家電等)と周辺機器・ソフト
スマートフォンを使ったアプリケーションの応用範囲が拡大しつつある一方
で、タブレットが急速に普及し始めている。スマートフォンとタブレット、そ
して他の周辺機器の境界線は希薄になりつつある。
(1)スマートフォンの普及によって、遅ればせながら米国でも2次元バーコ
ードを使った販促や宣伝が、空港や駅といった公共施設で多用され始めてい
る。例えば、アウトドア広告代理店大手ラマール・アドバタイジング・カン
パニー(Lamar Advertising Company)は、ニューヨーク州アルバニー近くの
レンセラー駅でQRコードを使ったキャンペーン広告を試験的に導入している。
バスと電車が発着する同駅には、一日に約4500人が集う。今回のキャンペー
ンでは、利用者がスマートフォンで二次元バーコード(QRコード)を撮影す
ると、同コードに指定されたウェブサイト(QRiousAlbany.com)に自動的に
接続する。後は、登録手続きを済ませるだけで、抽選でiパッドが当たる仕
7
組みになっている。
一方、デンバー国際空港では、地元のファーストバンク(FirstBank)が二次
元バーコードを利用して電子書籍を無料配布し始めた。空港ターミナルの通
路に掲示されたポスターの二次元バーコードをスマートフォンで撮影すると、
指定のウェブサイトへ移動し、電子書籍をダウンロードできる。
同キャンペーンの期間は1ヵ月。用意された書籍の中から希望の作品を選べ
る。また、12月からは、搭乗客が待ち時間を潰せるように、数独のダウンロ
ード・サービスも開始する。
ただし、米国には二次元バーコードに関する業界規格が存在しないなど、解
決すべき課題も残されている。【10月25日 NYT】
(2)プリンタ・メーカーのレックスマーク・インターナショナル(Lexmark
International)は、タッチスクリーン機能とネット接続機能を搭載する4種
類のプリンタ向けに、専用アプリケーションを提供するアップ・ストアを開
設した。同社は既に、自社または提携社が開発したプリンタ向けアプリケー
ションを約60種類提供している。それらのアプリケーションはプリンタに直
接ダウンロードできる。【10月26日 WSJ】
(3)ビューソニック(ViewSonic)は、ウィンドウズ・ホーム7プレミアム
(Windows Home 7 Premium)とグーグルのアンドロイド(Android 1.6)OSの
2つのOSを搭載した10.1インチ型タブレット「ビューパッド(ViewPad)10」
を発売する。マイクロソフトとグーグルのOSを組み合わせたタブレット機種
は同製品が初めて。
ビューパッド10は、2011年第1四半期に発売される見通しで、価格は629ドル。
一方、年内にはアンドロイドOSのみを搭載した7インチ型のビューパッド7
(479ドル)も提供する。
【11月1日 MSNBC】
(4)ロジテック(Logitech)は、室内照明によって電力を得るパソコン用無
線キーボード「K750 ワイヤレス・ソーラー・キーボード(Wireless Solar
Keyboard)」を発表した。K750は小売価格80ドルで11月中に発売される見通し。
黒い筐体で、標準型のQWERTYキーが配列され、数字キーバッドもついている。
同社によると、完全充電状態から使い始めれば、照明がなくても最高3ヵ月
間使えるという。また、電力の残量を示す表示灯がついているほか、専用ア
プリケーションをダウンローすることで、同キーボードを機能させるのに十
分な灯りかどうかを知らせる機能を追加できる。
【11月2日 Yahoo Tech News】
(5)韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は、2011年の世界のスマート
フォン市場で4000万台以上の販売を目指す。2010年における同社の販売台数
がおよそ2000万台超であることから、1年で販売を倍増させる計画となる。
サムスンでは、薄型平面テレビ販売が鈍化傾向にある中、タブレット機器を
8
含め携帯機器部門の強化を図っている。
【11 月 4 日 Reutures】
(6)米国携帯電話会社大手ベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)、AT&T、
そしてTモバイルUSA(T-Mobile USA)の3社は、携帯電話向け決済サービス
を提供する合弁会社「アイシス(Isis)」を設立した。決済にはディスカバー・
ファイナンシャル・サービシズ(Discover Financial Services)のネットワ
ークを利用する。
近距離通信(NFC=near field communication )技術により、携帯電話を読
み取り機にかざして使う非接触型の決済が可能となる。NFC技術は、米国内の
薬局チェーンやガソリン・スタンドで会員カード向けにすでに利用されてい
る。これを既存の携帯電話で利用するにはNFC対応のメモリ・カードを購入す
る必要がある。今後はNFC対応のチップを搭載した携帯電話が投入される見通
しで、モバイル支払いサービス普及に弾みがつく可能性がある。
すでに、グーグルは、向こう数週間以内に発表予定の次期アンドロイド
(Android)「ジンジャーブレッド(Gingerbread)」(開発コード名)でNFC半
導体をサポートする計画だ。また、リサーチ・イン・モーション(Research in
Motion)は、NFC対応のチップを内蔵したブラックベリー(BlackBerry)を2011
年に投入する見込み。
【11 月 16 日 WSJ】
3.消費者向けインターネット/メディア・ビジネス
メディア・ビジネスのキーワードとなっているのは SNS。フェイスブックに代
表される SNS は、ビジネスモデルがまだ確立されていないが、ユーザー数が急
速に拡大しており、その巨大なネットワークを掌握しようと、企業の競争が激
化している。
(1)ティーンエイジャー向け小売サイトのプラムウィロウ(PlumWillow)は、
同世代の女性を研修生として雇用することで新たな販促戦略を展開している。
プラムウィロウでは、2010年に入ってからすでに20人近くのティーンエイジ
ャーを研修生として雇い、従業員との意見交換を奨励し、ウェブサイトの改
善に役立ててきた。そのほか、消費者が意見や感想を書き込むシステムが複
雑すぎるかどうかや、ハロウィン・コンテストの賞品には何が適切かといっ
た課題でも、彼女たちの意見を参考にしている。
ウェブ・コンサルティング会社アルティメター・グループ(Altimeter Group)
のスーザン・エトリンガー氏によると、同社の戦略は、企業と顧客が密接な
関係を構築しようとする昨今の傾向の表れだと指摘する。
【10月23日 NYT】
(2)ニューヨークでは、ファッションや金融、メディア業界を舞台にインタ
ーネット新興企業が相次ぎ登場している。最近、ネット新興企業を物色する
9
ベンチャー・キャピタル(VC)の資金の流入により、エッツィー(Etsy)、フ
ォースクエアー(Foursquare)、タンブラー(Tumblr)、ギルト・グループ(Gilt
GroupE)、ラダーズ(Ladders)といった新興企業が着実に成長しつつある。
VCであるユニオン社のフレッド・ウィルソン氏によると、ニューヨーク新興
企業の特長には、ネットをベースに他業界の持ち味を取り込むという傾向が
ある。つまり、金融やメディア、ファッション、デザインといった各業界の
知識をネットと融合させることで、新たな利用者体験を消費者に提示すると
いう趣向が強い。
たとえば、金融および財務サービスのバンクシンプル(Banksimple)や位置
情報サービス(LBS)のマイ・シティ・ウェイ(My City Way)は、ウォール
街出身者によって設立されている。また、高級ブランド品を会員だけに限定
販売するギルト・グループ(Gilt Groupe)は、ブルガリやルイ・ビトンの元
幹部らによって設立されている。
ただ、シリコンバレーのGoogleやAppleのような突出した企業を生み出してい
ないことや、金融、メディア業界などで高額を得ている技能者を新興企業に
引き込むのが難しいという課題も残されている。しかし、経済の減速の影響
でこれらの業界の成長が止まりつつある今、新興企業には追い風になろう。
【10月28日 Businessweek】
(3)シリコンバレー発の新興企業Blekko.comは、新たな検索サービスの試用
版を11月1日から提供開始した。同社の検索エンジンは、健康や自動車を含
む関心の高い分野において、スパムや信頼性に务るウェブサイトを検索結果
から削減するのが特長だ。
Blekko.comや業界関係者によると、グーグルの検索エンジンでは、信頼性の
低い検索結果が急増しているという。これに対して、ブレコーの場合は、グ
ーグルばりの検索アルゴリズムを活用しながらも、特定の検索項目に対し、
人の手によって主題ごとに整理された(“/blog”、“/ニュース”といった
具合に)同社独自のサイト分類タグ「スラッシュタグ(slash-tag)」を対象
に検索していく。これによって検索結果を絞り込み、その信頼度を引き上げ
ているという。例えば、
「風邪の治療」を検索すれば、国立衛生研究所と提携
するメドラインプラス(MedlinePlus)といった信頼性の高い組織のウェブサ
イトが検索結果として表示される。
Blekko.comは当面、10万の検索分野を対象に優良サイトをそれぞれ50に絞り
込むことを目標にしている。
【10 月 31 日 WSJ】
(4)フェイスブックは、携帯電話向けにクーポンや特別サービスの配信サー
ビスを発表した。新規サービスでは、携帯電話向けの位置情報サービス(LBS)
を使って、小売店が提供する割引券や特典、各種サービスをプレイシズ
(Places)の利用者に提供できる。プレイシズは、フェイスブックが先に導
入したサービスで、GPS機能を使い自分や他人の現在位置を特定できる機能
を提供する。 小売店がプレイシズに割引券や特典に関する情報を載せるの
10
は無料だが、そのためにはフェイスブック上で有料広告を掲載することが条
件となる。
プレイシズの利用契約を結んだ主な小売業者には、服飾小売大手ギャップが
ある。ギャップは、プレイシズ利用者向け特別サービスとして、最寄りのギ
ャップ店舗に携帯電話経由で「チェックイン」した最初の1万人にジーンズ
2枚を無料進呈する。フェイスブックは、そのほか、H&Mや24アワー・フィ
ットネス、マクドナルドを含む10社以上の企業と契約する予定。
【11月3日 NYT】
(5)新興企業のロックメルト(RockMelt)は、ソーシャル・ネットワーキン
グ・サービス(SNS)の機能を融合した独自ブラウザの試験版の配布を開始
した。同ブラウザは、ウェブサイトやフェイスブックやツイッター(Twitter)
ほかの SNS をサービスとしてとりこめるのが特長。
ユーザーは、人気の高いウェブサイトや、情報共有先の SNS における知人
および家族をアイコンとして登録しておけば、SNS に切り替えなくてもアイ
コンを瞬時に呼び出すことで、各種サイトの情報や共有したいコンテンツ
を簡単に転送したり、電子メールの送受信が行える。同社は、ネットスケ
ープを開発したマーク・アンドリーセン氏が支援している。
【11 月 8 日 LA Times】
4.電子商取引と企業向け IT サービス
米国にもいよいよモバイル決済の波が押し寄せている。後は、消費者のニー
ズがどこまで膨らむかによる。
(1)eベイ傘下のオンライン決済サービス部門ペイパル(PayPal)は、スマー
トフォンを使った小額コンテンツ購入を簡略化するオンライン決済サービス
を立ち上げた。
同サービスは、利用者がスマートフォンを使ってコンテンツを購入する際に、
支払いサイトに移動せずにそのまま決済できる。また、クレジットカード番
号や銀行口座の各種情報を再入力する必要もない。一方のペイパルは、12ド
ルの未満の商品に対し5セントと取引額の5%を売り手に課す。
英フィナンシャル・タイムズでは、スマートフォン利用者が1本の記事を電
子メール送信するのに1ポンド(1.58ドル)を課す新事業の決済サービスと
してペイパルを採用する。
【10月26日 WSJ】
(2)2010年第3四半期の米オンライン小売りの売り上げは前年同期比9%増
の321億ドルとなった。ネット市場調査会社コムスコアが報告した。ただ、
コムスコアは、高い失業率が消費に歯止めをかける可能性についても警告し
ている。【11月1日 TECHSPOT】
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(3)自動車の所有者を販売店や修理業者とつなぐDriverSide.comが成長する
ネット事業の一つとして注目されている。同社のサービスには、所有者に対
する車点検のお知らせや修理代算出が含まれる。販売店は、サイト内に個別
の仮想車庫を設置し、車の所有者と連絡を取り合ったり、部品やサービスの
内容を紹介できるのが特徴だ。
同サイトの登録者は3年を経て190万人を記録し、月額最高895ドルを支払っ
て利用する販売および修理店は500店に達した。業界団体によると、車の部品
およびサービス事業は2009年、米国内の新車販売店だけで762億ドルを記録し
た。
【11月4日 Businessweek】
5.半導体とハードウェア技術
半導体市場は、デジタル家電やスマートフォン、タブレット機器に牽引され
て比較的好調。特にアジア圏は活発さをみせている。一方、処理速度のさらな
る向上が要求されているのも事実だ。
(1)米半導体工業会(SIA)の発表によれば、2010年9月の世界半導体売上高
は、前年同月比26.2%増の264億6000万ドルとなった。
地域別に売り上げをみると、アジア・太平洋が同比26.1%増の141億4000万ド
ルとなり、以下、米州が同比39.5%増の48億6000万ドル、日本が同比15.4%
増の42億ドル、欧州が同比24.4%増の32億6000万ドルと続いた。SIAは、薄型
テレビやパソコン、携帯端末などの家電市場の需要が今後、先行き不透明な
米国景気の影響を受けて弱まる可能性があると警告している。
一方、SIAは、2年後の2012年の年間世界半導体販売額が3297億ドルに達する
という予測を発表した。また、2011年は、前年比6.0%増の3187億ドルになる
見通しだ。
SIAは、2012年には経済が回復基調に戻り、成長率が堅調になると楽観的な予
測を行っている。 【11月1日、4日 SIA】
(2)カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の科学者と技術者のグルー
プは、極小リチウムイオン電池の開発を進めている。大きさは塩の粒くらい
に小さいという。同研究には、国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)も
支援している。【11月2日 LA Times】
(3)アリゾナ大学光学研究班のナサー・ペイガムバリアン氏は、4インチの
プラスチック製スクリーンにカラーの立体イメージが2秒ごとに更新される
ホログラフィーの試作機を開発している。このスクリーンでは、16の角度で
映したイメージが同時に表示される。それらの角度は、組み合わされて一つ
にまとめられるのではなく、見る人がスクリーンに向かう角度によって、そ
れぞれの角度の映像を見ることが可能だ。
ホログラフィーの技術自体は50年前から存在するが、これまでホログラフィ
ー技術の動画を処理できるだけのコンピュータの処理力が不足していた。
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ペイガムバリアン氏は今後、幅6~8フィートの球状のビューイング・スク
リーンを開発していく。同氏は、10年後に360度のサラウンド・ビューでスー
パーボウルを観戦できる可能性を示唆している。
【11月3日 USA Today】
6.政府・議会動向、通信その他
情報機器間同士でのデータ転送に使う Wi-Fi 通信規格の策定が始まった。同
規格が本格的に導入されれば、ブルートゥースなど既存の通信方式にも大きな
影響を与えると考えられる。一方、通信機能の多様化がセキュリティの懸念を
強めることになる。
(1)Wi-Fi製品メーカーで構成されるWi-Fi同盟(Wi-Fi Alliance)は、新プ
ロトコル「Wi-Fiダイレクト(Wi-Fi Direct)」を策定、対応製品の認定作業
を開始した。
同プロトコルは、既存のWi-Fiシステムに対応しつつ、機器同士が無線アク
セス・ポイントやルータを介さず、相互に直接接続できるようにする。セ
キュリティには、Wi-Fi同盟が開発した暗号化技術「WPA2」を採用した。通
信には一部例外を除き2.4ギガヘルツの帯域を使用。通信速度は最大で毎秒
250メガビット、通信距離は最大200メートルとなっている。
認定製品は、既存のネットワークと認定製品同士のネットワークに、同時
または別々に接続できるのも特徴だ。このため、Wi-Fiダイレクト製品同士
のネットワーク上にある端末がネットに接続したネットワーク上の端末機
と接続すれば、アクセス・ポイントとして自動的に機能する仕組みだ。そ
のため、Wi-Fiダイレクトは実質的にピア・ツー・ピア(P2P)の無線通信
規格と言える。【10月25日 TechNews World】
(2)スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)は、自社通信ネットワークの
刷 新 に 伴 う 入 札 か ら 中 国 通 信 機 器 メ ー カ ー 大 手 の 華 為 技 術 ( Huawei
Technologies)と中興通迅(ZTE)を除外した。米国防総省及び関係議員は、
2社が中国政府および同国軍部と密接な関係を持つことから、それら2社が
米国の基幹通信設備に器材を導入することに強い懸念を示していた。ただし、
関係筋によると、スプリントに対して中国2社を入札から排除するよう要請
はしていなかったという。
スプリントの幹部は、同2社の業務対応能力が十分でないことを入札から
排除する理由として挙げている。また、一部の米政府関係者は、中国軍部
が両社の機器を使って米国の通信を妨害することが可能だとみている。な
お、華為技術は、元中国軍部の幹部が設立し、中興通迅は中国政府によっ
て運営されている。
これに対して、華為技術と中興通迅は、欧州やアジアの通信事業者とすで
に取引があることを挙げ、両社の機器が米国の安全保障を脅かすことはな
いと反論している。【11月9日 WSJ】
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