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水戸市公共交通基本計画(素案)2(PDF形式 9276キロバイト)

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水戸市公共交通基本計画(素案)2(PDF形式 9276キロバイト)
第3章 目指す将来像と公共交通の基本方針
3-1 公共交通基本計画の計画体系
通勤・通学,業務,買い物などの「都市活動」は,多様な都市機能が配置された都市基
盤で営まれています。前章の交通課題を踏まえ,自立的で健康的な活力がある「都市活動」
を実現するためには,本市が目指す将来像を明確にし,公共交通をはじめとする様々なモ
ビリティを個々人が選択し,移動できる総合的な交通システムが求められます。
本計画では,交通事業者や関係機関等と連携しながら,本市が目指す基本理念に向け,
目指す将来像(公共交通ビジョン)を掲げ,都市活動を支える移動を公共交通の視点から
具現化するための考え方を公共交通の基本方針として示すものとします。
48
3-2 基本理念と目指す将来像(公共交通ビジョン)
(1)基本理念
上位・関連計画で示された方針や公共交通の課題を踏まえ,既存の交通資源を効果
的に活用することによって,市民が将来にわたって安心して暮らすことのできる基盤
づくりに向け,本市の公共交通における基本理念を次のとおり定めるものとします。
全ての人が安心して移動できる交通体系の実現
(2)目指す将来像
水戸市第6次総合計画における都市空間整備の基本的方向である「魅力・活力集積
型スマート・エコシティ」と上記の基本理念の実現に向け,目指す将来像を次の通り
掲げるものとします。
~3エリア型の公共交通サービスで快適に移動できるまち~
・エリアⅠ(都市核)
・エリアⅠ
まちなかのにぎわいを支える回遊性の高い公共交通
・エリアⅡ(都市核と連続した市街地)
・エリアⅡ
まちなかと交通結節点※へ便利に移動できる公共交通
・エリアⅢ(主に市街化調整区域)
・エリアⅢ
まちなかと交通結節点へ移動できる公共交通
※交通結節点…同じ交通手段,異なる交通手段を相互に連絡する乗り換え・乗り継ぎ地点
<凡例>
エリアⅠ【まちなかのにぎわいを支える回遊性の高い公共交通】
エリアⅠ(都市核)
エリアⅡ(都市核と連続した市街地)
エリアⅢ(主に市街化調整区域)
エリアⅡ【まちなかと交通結節点へ便利に移動できる公共交通】
赤塚駅
内原駅
都市核
東水戸駅
常澄駅
エリアⅢ【まちなかと交通結節点へ移動できる公共交通】
図 3-1
3エリアのイメージ
49
①エリアⅠ まちなかのにぎわいを支える回遊性の高い公共交通
本エリアにおいては,人と環境にやさしく,歩いて楽しめる交通体系の確立に向
け,利便性と回遊性に優れた公共交通体系の構築を図ります。公共交通体系の構築
に当たっては,徒歩・自転車などのエリア内の回遊をサポートするモードとの役割
分担を含めて検討します。
また,市役所新庁舎や新たな市民会館等への公共交通機関を利用したアクセスの
向上に向け,市民,交通事業者,行政機関等で情報を共有し,連携を図りながら,
効果的な取組を実施します。
②エリアⅡ まちなかと交通結節点へ便利に移動できる公共交通
本エリアにおいては,高齢者をはじめ,全ての市民が安心,安全に生活できる居
住環境の形成を図るため,都市核や交通結節点へ便利に移動できる公共交通体系を
構築します。
③エリアⅢ まちなかと交通結節点へ移動できる公共交通
本エリアにおいては,路線バスの維持・確保や利用促進に取り組むとともに,地
域・事業者等と連携しながら各地域のニーズに適合した効率的な輸送手段を組み合
わせることで,通院・通学等,日常生活に必要な交通手段の確保を図ります。
50
3-3 公共交通の基本方針
(1)公共交通の
公共交通の定義
本計画が示す公共交通とは,
「料金を支払うことで,全ての人が利用できる交通手段」
であり,鉄道,路線バス,タクシー,コミュニティサイクル,コミュニティバス等が
該当します。
図 3-2
交通手段と公共交通の関係性
(2)公共交通の
公共交通の基本方針
公共交通の基本方針は,以下の3つを設定します。
①使いやすい公共交通
いやすい公共交通
個々の路線の必要性に加え,本市の将来像からみた路線の必要性を考慮し,公共交通
相互の乗り継ぎ円滑化などを含めた公共交通体系を構築します。公共交通体系の構築に
当たっては,既存の鉄道や路線バス,タクシーの活用に加え,デマンド型交通やコミュ
ニティサイクルなど,新たな交通手段も含めて検討します。
公共交通体系は,市内の活動だけでなく,近隣市町村を含め検討するものとし,既存
の鉄道ネットワークを活用して,市内での路線バス,自転車等の2次交通と連動させる
ことで,市外からの利用者の利便性を確保します。また,鉄道ネットワークで補完でき
ない地域では,路線バスを中心とした交通ネットワークを構築することで,自動車に過
度に依存することなく,交通手段が選択できる環境を目指します。
②分かりやすい公共交通
かりやすい公共交通
公共交通は,市民と共に育んでいくことで,市のシンボルとして認識されるようにな
ります。そのためには,情報提供やバスサービスの充実を図ることで,初めて利用され
る方でも分かりやすいサービスを提供します。
また,市内での活動において,公共交通の魅力が十分に伝わっていないことから,公
51
共交通に対する意識・イメージの改善と合わせて取り組んでいきます。
③まちづくりを支
③まちづくりを支える公共交通
える公共交通
まちなかの魅力向上や賑わいの創出に向けて,都市機能の集積に合わせた公共交通サ
ービスを提供することで,歩いて楽しめるまちづくりを活動面からサポートします。
また,まちづくりに合わせた新たな活動を公共交通が担うことで,環境に優しいまち
づくりを支えます。
52
3-4 公共交通ネットワーク形成の方向性
(1)公共交通ネットワークのあり
公共交通ネットワークのあり方
ネットワークのあり方
現状の公共交通ネットワークは,水戸駅周辺に集中する形で形成されています。路線
バスの多くは,水戸駅の北側の中心市街地を経由して各方面を結んでいる状況です。
城里町方面
鉄道
主要なバス路線
鉄道駅
那珂市方面
水戸駅
ひたちなか市
・日立市方面
赤塚駅
笠間市
・首都圏方面
東水戸駅
内原駅
常澄駅
茨城町方面
大洗町方面
図 3-3
現状の公共交通ネットワーク
53
将来の公共交通ネットワークとして,
「使いやすい公共交通」,
「分かりやすい公共交通」,
「まちづくりを支える公共交通」を実現するネットワーク形成を目指します。
鉄道と幹線バスを軸に,都市核と交通結節点及び近隣市町村を結び,大動脈として,
通勤や通学,業務等の都市活動を支えます。また,各交通結節点に,支線として路線バ
スや他の移動手段で接続し,鉄道や幹線バスへ乗り継ぐことで都市核へのアクセスが可
能となり,買い物や通院等の市民の足として,日常生活を支えます。
エリアⅠ(都市核)
城里町方面
エリアⅡ(都市核と連続した市街地)
エリアⅢ(主に市街化調整区域)
幹線(鉄道、路線バス)
主な支線(路線バス)
交通結節点(鉄道駅)
那珂市方面
水戸北SIC
交通結節点(候補地)
支線(路線バスや他の交通手段)で
カバーする範囲
茨大
常陸津田駅
双葉台
常陸青柳駅
ひたちなか市
・日立市方面
水戸駅
赤塚駅
東水戸駅
内原駅
浜田
河和田
笠間市
・首都圏方面
常澄駅
県庁
吉沢
鯉渕
笠間市方面
桜の郷
大洗駅
長岡
茨城町方面
図 3-4
大洗町方面
将来の公共交通ネットワーク
【交通結節点の候補地】
総合病院や大型商業施設,大学等の日常生活で多くの人々が集まる場所に加え,既存バスターミナル
やバス事業者の営業所等の中から本市交通の要所となるポイントを選定
54
(2)バス路線再編
バス路線再編の
路線再編の必要性
本市では,主に市域を跨ぐ広域移動に鉄道が利用されており,公共交通による市内
移動の中心は路線バスが担っています。
本市の路線バスは,大部分が市の中心部の一部区間に集中しています。また,路線
が複雑で,複数のバス事業者により運行されていることから,既存のバス路線の体系
は利用者には分かりにくい状況となっています。これを幹線と支線に分け,一部区間
に集中している資源を分散させることにより,地域の状況に応じた公共交通体系を構
築することができるバス路線の再編が必要です。
55
(3)バス路線
バス路線再編
路線再編のポイントとメリット
再編のポイントとメリット
① バス利用者
バス利用者にとってのバス
利用者にとってのバス路線
にとってのバス路線の
路線の再編
【ポイント】
・方面別に整理された分かりやすい路線
・移動の負担が少ないサービス(分割・増便による待ち時間短縮,円滑な乗継ぎ,
乗車時間が短い直行)
・使いやすい待ち時間(一定間隔の運行,ラウンドダイヤ)
【メリット】
・バス利用者にとって使いやすい・分かりやすい運行
② 交通事業者にとってのバス
交通事業者にとってのバス路線
にとってのバス路線の
路線の再編
【ポイント】
・「円滑に乗継可能な幹線・支線運行」と「直行運行」を組み合わせた効率的な運行
・重複,迂回が少ない路線の設定
・需要に応じたメリハリのある路線・サービスレベルの設定
【メリット】
・交通事業者にとって効率性が高い運行
路線が長く、
本数が少ない
路線が長く、
利用も少なく、
収益が低い
多くの方面から中心地
に乗り入れるため、路線
重複、過剰サービス等、
非効率な運行
再
編
前
迂回したルートで、
乗車時間が長い
需要に
需要に応じた
運行形態
に見直し
見直し
再
編
後
路線を
路線を短くし
本数を
本数を増加
シームレスな
乗継ぎ
乗継ぎ環境
幹線・
幹線・支線の
支線の分割
により中心地
により中心地の
中心地の
運行を
運行を整序化
距離が
距離が短い
場合は
は直通
場合
シームレスな
乗継ぎ
乗継ぎ環境
迂回を
を避けた
迂回
直通ルートへ
直通ルートへ
図 3-5
バス路線再編のイメージ
56
(4)総合的な
総合的な施策展開の
施策展開の考え方
① 運行サービス
運行サービスの
サービスの質の向上
バス路線の再編により,利用者の利便性向上,運行の効率化を行うとともに,より
「使いやすい公共交通」,「分かりやすい公共交通」を目指して,運行サービスの質を
向上させます。
通勤・買い物・休日の外出などの目的に応じた運行内容,駅等の結節機能強化,マ
ップや案内表示の統一,ICカード導入等により,質の高い公共交通サービスを目指
します。また,鉄道や路線バスが利用しにくい地域では,コミュニティバス,サイク
ル&バスライド等により,移動の足の確保します。
② 行政・
行政・市民・
市民・交通事業者の
交通事業者の協働
公共交通施策の実施・実現には,行政,市民,交通事業者の協働が不可欠です。そ
れぞれの役割を実行・連携し,総合的に計画・事業を推進していきます。
57
(5)都市機能集積の
都市機能集積の促進(
促進(立地適正化施策との
立地適正化施策との連携
との連携)
連携)
今までの市街地形成過程を追認する場合,
「都市構造の拡散」⇒「自動車依存の進展」
⇒「公共交通の衰退」⇒「移動困難者の増加」と,都市活動の悪循環が生じることに
なります。このままでは,今後の高齢化進展,中心市街地の人口減,郊外の高齢者増
等により,更なる都市の魅力低下が危ぶまれます。
そのため,このような悪循環を断ち切り,「まちづくりを支える公共交通」により快
適な都市環境を実現するために,「都市機能集積」を促進させる「公共交通ネットワー
ク形成」を展開します。
本市では,今後,都市機能の適正な誘導を図る「立地適正化計画」を策定する予定
です。この計画の立地適正化施策との連携として,
「都市機能誘導区域」では,通勤・
業務等の移動を支える高いレベルの交通サービスを提供することが求められます。ま
た,「居住誘導区域」では,買い物・通院等の日常生活を支える交通サービスの維持が
求められるため,これら都市機能集積を踏まえた,公共交通ネットワーク形成を進め
ていきます。
図 3-6
立地適正化計画における「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の考え方
出典:国土交通省ホームページ
58
第4章 重点施策の実施プログラム
4-1 施策体系
基本理念,目指す将来像(公共交通ビジョン)に基づき,基本方針,基本施策を展開し,
さらに,本市で考えられるすべての交通施策の中から,8年間の計画期間内に重点的に実
施する施策を抽出して,重点施策に位置付け,施策体系を整理しました。
※
記載の重点施策は,8年間の計画期間内に重点的に実施する施策です。重点施策以外
の施策も随時実施するものです。
59
<基本理念>
<目指す将来像>
<基本方針>
<基本施策>
<重点施策>
① バス路線の再編
1 公共交通体系の構築
②
都市核と拠点間を結ぶ交通ネットワー
クの強化
③ 乗継ぎダイヤの調整
1 使いやすい公共交通
~
ビ
ス
で
快
適
に
移
動
で
き
る
ま
ち
④ 既存のバス専用レーンの規制徹底
⑤ 優先信号システムの導入
3
エ
リ
ア
型
の
公
共
交
通
サ
⑥ 新たな移動手段の導入
3 移動手段の確保
⑦ 高齢者等に対する補助制度の充実
⑧ 共通サインシステムの導入
⑨ インフォメーション施設の整備
1 情報提供
ー
⑩ 運行情報を提供するシステムの構築
⑪ 路線図・時刻表等の配布
⑫ バス停留所の見直し
2 分かりやすい公共交通
2 バスサービスの充実
⑬ 運賃の見直し
⑭ 共通乗車券の導入
⑮ 車両の高度化
~
全
て
の
人
が
安
心
し
て
移
動
で
き
る
交
通
体
系
の
実
現
2 公共交通相互の乗継ぎ円滑化
3 公共交通利用に対する意識・イメージ
の改善
⑯ モビリティマネジメントの実施
1 人と環境にやさしい交通体系の構築
⑰
移動空間のバリアフリー化・ユニバー
サルデザインの導入
⑱
都市景観に配慮したバス停留所施設の
改善
3 まちづくりを支える
公共交通
2 歩いて楽しめるまちなか交通の実現
⑲ コミュニティサイクル等の整備
⑳ 国道50号の有効活用
60
施策
番号
実施時期(年度)
実施主体
実施地域
①
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
全域
②
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
全域
③
検討:交通会議
実施:交通事業者,水戸市
全域
④
検討:交通会議
実施:道路管理者,県警
エリアⅠ
エリアⅡ
⑤
検討:交通会議
実施:バス事業者,県警
エリアⅠ
エリアⅡ
⑥
検討:交通会議
実施:水戸市
⑦
検討:交通会議
実施:水戸市
全域
⑧
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
全域
⑨
検討:交通会議
実施:交通事業者,水戸市
エリアⅠ
⑩
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
全域
⑪
検討:交通会議
実施:交通事業者,水戸市
全域
⑫
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
全域
⑬
検討:交通会議
実施:交通事業者,水戸市
全域
⑭
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
エリアⅠ
⑮
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
全域
⑯
検討:交通会議
実施:水戸市
全域
⑰
検討:水戸市
実施:交通事業者,
道路管理者等
全域
⑱
検討:交通会議
実施:バス事業者,水戸市
エリアⅠ
⑲
検討:水戸市
実施:水戸市
エリアⅠ
⑳
検討:交通会議,水戸市
エリアⅠ
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
(H28)
(H29)
(H30)
(H31)
(H32)
(H33)
(H34)
(H35)
第1次再編
第2次再編
全域
(モデル地区)
高機能な車両の導入
ノンステップバスの導入
検討
凡例
計画等策定
試験的実施
本格実施
61
4-2 重点施策
1 使いやすい公共交通
いやすい公共交通
1-1 公共交通体系の構築
施策番号
施策概要
①
施策名
バス路線の再編
既存の交通資源を活用し,地域の課題やニーズ等を踏まえながら,利用者の視
点に立った分かりやすいバス路線に再編します。56 ページに示した「バス路線
再編の基本的な考え方」を基本として,バス路線の再編を検討・実施することで,
「将来の公共交通ネットワーク形成」に取り組みます。
■バス路線再編の基本方針
方針1
方針1 方面別の
方面別の路線設定
方針2
方針2 「幹線・
幹線・支線運行(
支線運行(円滑な
円滑な乗継ぎ
乗継ぎ)」と
)」と「直行運行(
直行運行(乗車時間が
乗車時間が短い)」を
)」を組み合
わせた路線設定
わせた路線設定
方針3
方針3 重複・
重複・迂回を
迂回を避けた路線設定
けた路線設定
方針4
方針4 使いやすい運行間隔
いやすい運行間隔の
運行間隔の設定
方針5
方針5 需要に
需要に応じたサービスレベルの設定
じたサービスレベルの設定
■バス路線再編の検討・実施方法
方針1 方面別の路線設定
・水戸駅から北方面へ向かうバスは北口発,南方面へ向かうバスは南口発とす
るなど,路線を主要方面別に整理し,バスの運行を分かりやすくします。
・各拠点を発着するバスに,記号・番号等を設定します。
・基本的には主要目的地(拠点)を設定し,主要な経由地がある場合は,地名
を補足する等,複雑な路線図に頼らないで利用できる路線を検討します。
図 4-1
水戸駅のバス乗場と方面の現状(行き先,北・南の機能が混在)
62
施策概要
方針2 「幹線・支線運行(円滑な乗継)」と「直行運行(乗車時間が短い)」を組み合わ
せた路線設定
・幹線と支線に分割し,幹線・支線間の円滑な乗継ぎ環境を整備し,各方面か
らの移動の負担を軽減させます。距離が短い場合は直行運行にします。
・エリアⅠ・Ⅱ内は,直行運行を基本として,通勤・通学・業務等の短い時間
での移動を支えます。また,通院等に特化した路線についても,乗換え負荷
を与えないという面で直行運行を検討します。
・エリアⅠ・Ⅱから,エリアⅢ・近隣市町村へは,幹線と支線に分割します。
幹線は,サービスレベルが高い鉄道・バスを基本とし,支線はバスを基本と
して地域に適した交通サービスとします。分割により効率的な運行本数増加
等,適正なサービスレベルの設定が可能になります。また,待合所・料金方
策等による円滑な乗継環境を用意して,乗換え負荷を軽減させます。
・直行運行は「④既存のバス専用レーンの規制徹底」,
「⑤優先信号システムの
導入」,幹線・支線の分割は「③乗継ぎダイヤの調整」,「⑥新たな移動手段
の導入」,「⑦高齢者等に対する補助制度の充実」と併せて検討します。
下江戸方面
飯富方面
渡里町
【現状のバス路線】
茨大
周辺
石川町
水戸駅
飯富方面
下江戸方面
【再編後のバス路線】
分割
直行
渡里町
分割
直行
石川町
茨大
周辺
乗継ぎ
環境整備
水戸駅
図 4-2
分割と直行を組み合せたバス路線の再編イメージ(水戸駅北側の例)
63
施策概要
方針3 重複・迂回を避けた路線設定
・重複・迂回が少ない路線設定により,乗車時間を短くして,利便性向上を図
ります。
・駅等の主要拠点に複数の路線の集中を避ける路線設定とします。「方針2の
幹線・支線運行」と併せて,最寄りの鉄道駅・乗継ぎ拠点に,接続先を振替
えることを検討します。
・路線が長く,目的地までの乗車時間が長い迂回するルートを避ける路線設定
とします。「方針2の直行運行」と併せて,移動のニーズを踏まえて,直行
路線を検討します。
表 4-1
水戸駅~県庁間の路線バスの現状(南口接続が短時間で,乗車率も高い)
水戸駅北口
~大工町~県庁 BT
差
30
23
-7
7.7
6.6
-1.1
3.8~6.3
8.4~10.2
+4.3
所要時間(分)※1
距離(km)※1
乗車密度(人)※2
水戸駅南口
~県庁 BT
※1 関東鉄道ホームページ
※2 路線全体の実績:北口は「県自動車・吉沢車庫~県庁 BT」,南口は「水戸駅~県庁 BT」
方針4 使いやすい運行間隔の設定
・幹線バスについて,運行整序化(5分,10 分の一定間隔の運行)により,
使いやすい待ち時間にして,利便性の向上を図ります。
・支線バスについては,毎時間同じ時刻(毎時同分)に運行するラウンドダイ
ヤを導入するなど,覚えやすい時刻表にします。
・「方針2の幹線・支線運行」,「⑩運行情報を提供するシステムの構築」と併
せて検討します。
図 4-3
水戸駅北側のバス路線の現状
(各方面から水戸駅に向かって路線が合流・重複して運行間隔がばらばら)
64
施策概要
方針5 需要に応じたサービスレベルの設定
・利用が少なく収益が低い路線のサービスレベルの見直しや,需要が望めない
地域への規模に応じたサービス導入を検討します。
・運行頻度に対して利用が少ない等,事業者単独で運行を継続することが難し
い路線を抽出します。また,エリアⅢ等で,駅やバス停が遠く,公共交通を
利用しにくく,高齢者等の代替手段がない人が多い地域を抽出します。
・運行車両の小型化や,需要規模を踏まえた頻度設定等による運行の効率化,
地域の住民・施設等と連携した地域交通サービスの導入による交通不便地区
等の解消を図り,持続可能な地域交通サービスを検討します。
・「⑥新たな移動手段の導入」,「⑦高齢者等に対する補助制度の充実」と併せ
て検討します。
■検討・実施の役割分担
市・交通会議
・市・交通会議が実施計画を検討し,関係者間の協議を調整・牽引します。
・事業者単独で運行を継続することが難しい路線について対策を検討します。
交通事業者
・再編の対象路線を運行する交通事業者が,路線・ダイヤ等の運行を検討します。
・重複するルートでは,各交通事業者が,一体となって検討・調整します。
市民・地域住民
・路線バスを積極的に利用します。
・事業者単独で運行を継続することが難しい路線は,利用だけでなく,計画参画,
利用促進,既存サービス活用等を行います。
連携・協働の進め方
・複数の交通事業者の連携,地域の住民・施設との協働を実現するため,段階的
に実施していきます。関係者間の協議・調整を重ねて,モデル地域で,検討手
順・役割分担・実現性を検証し,他地域へ展開・拡大する等,段階的に実施し
ていきます。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
実施:バス事業者,水戸市
65
施策番号
施策概要
②
施策名
都市核と拠点間を結ぶ交通ネットワークの強化
都市核と拠点間を結ぶバスルートを創設し,公共交通ネットワークの機能向上
を図ることで,都市核と拠点間の有機的な機能連携ネットワークの構築を目指し
ます。各拠点間の移動目的に適したサービス方針に基づき,機能向上を行います。
表 4-2
交通ネットワークのサービス方針
主な移動目的
サービス方針
移動手段
鉄道,バス
サービス内容の例
幹線(都市核と拠
通勤,通学,業
ピーク時は 5~10
点間の移動)
務,買物, 通院,
分間隔の運行,オ
観光
フピーク時は 10~
20 分間隔の運行
支線(各拠点と
買物,通院,私用
バス,乗合タクシ
ピーク時は 20~30
居住地間の移
(通勤,通学,業
ー,学校・企業バ
分間隔の運行,オ
動)
務)
スの混乗,サイ
フピーク時は 30~
クル&バスライド
60 分間隔の運行
都市核内(中心
業務,買物,通
バス,コミュニテ
主要施設へのサイ
市街地内の移
院,私用,観光
ィサイクル,徒歩
クルポート配置,主
動)
要経路の歩行環境
改善
表 4-3
各拠点のサービス方針
主な移動目的
水戸駅
サービス方針
移動手段
サービス内容の例
通勤,通学,業
鉄道・幹線バス
乗継ぎ総合案内
務,買物, 通院,
⇔幹線バス・支
所,方面別停留
観光
線バス・自転車・
所,乗継ぎ経路の
徒歩
歩行環境改善
上記以外の鉄道
通勤,通学,業
鉄道・幹線バス・
乗継ぎ案内,停留
駅
務,買物,通院
支線バス⇔支線
所統合,P&R 駐車
バス・自動車・自
場,C&R 駐輪場
転車・徒歩
その他の交通結
通勤,通学,買
支線バス⇔支線
P&R 駐車場,C&R
節点
物,通院, 業務,
バス・自動車・自
駐輪場
市外アクセス等の
転車・徒歩
特定目的
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
実施:バス事業者,水戸市
66
1-2 公共交通相互の乗継ぎ円滑化
施策番号
施策概要
施策名
③
乗継ぎダイヤの調整
鉄道とバス,バス事業者間相互のダイヤ調整等により,乗継ぎの円滑化を図り
ます。
鉄道とバス,バスとバスが乗継ぎできるダイヤ調整に加えて,情報提供(車内
や停留所付近での方面別乗継ぎ時間表示等),環境整備(複数停留所の統合,待
合環境整備,乗継ぎ経路の短縮,バリアフリー化,案内表示等)により,利用者
側の視点に立って,シームレスな乗継ぎシステムを構築します。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
実施:交通事業者,水戸市
参考事例
図 4-4
盛岡市の乗継ぎ拠点の例(松園バスターミナル)
出典:広島電鉄
ホームページ
図 4-5
廿日市の同一平面での乗継ぎ例(廿日市市役所前駅)
67
施策番号
施策概要
施策名
④
既存のバス専用レーンの規制徹底
既存のバス専用レーンの規制徹底により,路線バスの定時制,速達性の確保を
図ります(取締強化,警告表示,バスカメラを活用した警告通知等)。また,路
線バスの走行空間の確保に向け,バス専用レーンの厳守,割り込み禁止等,運転
マナーの向上に関する情報を発信します。
なお,監視員による取締徹底から,センサーを用いた警告表示等,多様な対策
メニューがあるため,コストと効果を踏まえて,対策メニューを検討します。
図 4-6
バス専用レーンの設置箇所(国道 50 号,51 号,118 号,県道 342 号)
実施主体
検討:交通会議
実施地域
エリアⅠ,エリアⅡ
実施:道路管理者,県警
参考事例
出典:大阪府警資料
図 4-7
バス専用レーンでの違法車両への警告表示例
68
施策番号
施策概要
⑤
施策名
優先信号システムの導入
バス専用レーンの設置箇所等に優先信号制御を導入して,路線バスの定時制を確
保し,利便性向上による利用促進を図ります。自動車からバスへの利用転換を図
ることにより,交通総量の制御による渋滞の緩和と走行時間の短縮につなげま
す。導入する際は,一般車両の混雑につながらないように,全体の交通状況を適
正化する信号制御や,バス専用信号の設置等も併せて検討します。
①光ビーコンで
バス通過を確認
②交通管理センターが
信号を青に切り替え
図 4-8
バス専用信号
優先信号システムのイメージ
出典:一般財団法人 UTMS 協会ホームページ
実施主体
検討:交通会議
実施地域
エリアⅠ,エリアⅡ
実施:バス事業者,県警
69
1-3 移動手段の確保
施策番号
施策概要
⑥
施策名
新たな移動手段の導入
公共交通空白地区等の中から,モデル地区を選定し,鉄道,路線バス等の公共
交通との連携を基本とする地域のニーズを踏まえた外出支援策を実証実験とし
て実施します。
鉄道・路線バスの公共交通ネットワークを補完する,地域ニーズにあったコミ
ュニティバス等の地域公共交通の導入検討を行います。また,地域住民・市・交
通事業者との協働のあり方,導入手順,持続可能な運行モデル構築等について,
実証実験を通じて検証します。
なお,地域が望む運行,地域力の活用,持続的な運行には,地域住民との連携
が不可欠になります。また,空白地区が市内の外側に拡がっていることから,隣
接市町との連携も検討します。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域(モデル地区)
実施:水戸市
参考事例
図 4-9
地域公共交通の導入例
(左:那珂市のひまわりバス,右:山口市のグループタクシー)
地域住民
・ニーズ把握
・運行計画検討への参画
・地域が一体となった利用促進
・地域団体・企業との連携
等
市
三者協働
・市民への情報提供
・運行計画検討・支援
・関係機関との調整
・運行継続の財政支援 等
交通事業者
・市への情報提供
・運行計画への助言
・運行実施,経費削減
・地域と連携した利用促進 等
図 4-10 地域住民・市・交通事業者の協働イメージ
70
施策番号
施策概要
施策名
⑦
高齢者等に対する補助制度の充実
高齢者や障害者等に公共交通を気軽に利用してもらうため,新たな移動支援策
や割引サービスの導入等について検討します。
高齢者等の移動支援策としては,オフピーク時におけるタクシーの活用や運転
免許自主返納者へのバス利用券の発行,施設・店舗等の割引サービス等を検討し
ます。
表 4-4
概要
対象
既存の高齢者等の移動支援策(平成 27 年 4 月時点)
通院等支援サービス事業
福祉タクシー券
ねたきりなどの高齢者等を対象とし
重度障害者が医療機関への通院などでタ
て,リフト付きタクシーにより病院等
クシーを利用する場合,料金の一部を助
への送迎を行うサービス
成
・満 65 歳以上で要介護 3・4・5 と認定
・身体障害者手帳 1 級・2 級の方
された方で,住民税非課税世帯に属
・療育手帳○A,A の方
する方
・精神障害者保健福祉手帳 1 級・2 級の方
※自動車税減免,福祉施設に入所されて
いる方は非対象
利用料
・初乗り 30 分以内の運賃の 1 割で利
・1 回の乗車につき 500 円相当を助成,年
用可能,30 分を超える運賃は利用
間に 60 回分を上限
者負担
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
実施:水戸市
参考事例
出典:飯田市資料
図 4-11 飯田市の免許返納者支援の例
71
2 分かりやすい公共交通
かりやすい公共交通
2-1 情報提供
施策番号
施策概要
⑧
施策名
共通サインシステムの導入
バス路線の再編後,各バス事業者共通の系統番号の整理や路線のカラーリング
等を行い,利用者の視点に立った分かりやすい情報を提供します。
「①バス路線の再編 方針1 方面別の路線設定」に併せて,段階的に実施し,
路線の主要方面別の整理に合わせ,分かりやすい記号・番号等を,各拠点を発着
するバスに設定します。
共通サインシステムは,利用者が行きたいところに,どのバスに乗車したらよ
いか,一目で分かる情報提供を目指します。バス事業者共通の系統番号・記号・
カラーリングや,バス車体のカラーリング・方向幕への色表示,バス前面へのス
テッカー等の表示方法を検討します。また,停留所,案内看板,バスマップ等に
についても,共通サインを示して,より分かりやすい情報提供を実施します。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
参考事例
■路線バスのナンバリング及びカラー
実施:バス事業者,水戸市
リング(八戸市)
八戸市では,路線バスの再編に合わせ
て,方面別のナンバリングとカラーリン
グを実施することで,分かりやすさの向
上を図っています。
図 4-12 行先別のカラーリング
出典:第9回地域ITS推進団体連絡会資料,H25.2.6
■バスの行先に合わせた表記の統一(中津川市)
中津川市では,バスの行先により,バス停看板や誘導サイン,時刻表,パンフ
レット表記等を統一的にカラーリングすることで,直感的に分かりやすい多言語
対応を実施しています。
図 4-13 統一的にカラーリングした多言語表示
出典:国土交通省委員会資料
72
施策番号
施策概要
⑨
施策名
インフォメーション施設の整備
水戸駅北口バスターミナル等に各バス事業者共通のインフォメーション施設
を整備し,乗り場案内や行き先案内等の情報案内を実施します。
インフォメーション施設は,路線数・利用者が多いターミナルを中心に設置を
検討し,案内員による情報提供を行います。水戸駅等の来訪者が多い場所では,
タッチパネル式の情報端末や,複数路線の次発時刻を一度に案内する電子情報掲
示板等の設置を検討します。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
エリアⅠ
参考事例
■バス事業者共通の案内所(盛岡市)
実施:交通事業者,水戸市
盛岡市では,各バス事業者共通の案内所(きっぷうりば)を設置しており,分
かりやすい情報案内を実施しています。
図 4-14 盛岡市のバス案内所
73
施策番号
施策概要
⑩
施策名
運行情報を提供するシステムの構築
誰もが分かりやすい情報提供を実施できるように,運行情報や所要時間等の情
報を利用者に提供するシステムを構築し,待ち時間のイライラや,乗り遅れへの
不安を解消します。
バスロケーションシステム等のリアルタイムの情報提供は,利用者が多い中心
市街地や乗継拠点の停留所への設置を検討します。停留所でのモニターや音声に
よる案内,携帯電話等のインターネット端末による情報提供を検討します。
なお,バスロケーションシステム導入は,利用者への情報提供のみならず,バ
スの運行状況を一元管理することで,労働管理や運行計画の改善にも役立てるこ
とが可能となります。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
参考事例
■運行情報モニター(八戸市)
実施:バス事業者,水戸市
八戸市では,バス路線の見直しに合わせて,運行情報モニターの設置などを行
っています。
図 4-15 八戸市の運行情報モニター
出典:第9回地域ITS推進団体連絡会資料,H25.2.6
74
施策番号
施策概要
⑪
施策名
路線図・時刻表等の配布
路線バスの利用者や本市への来訪者に分かりやすいバス路線図や時刻表を作
成し,公共交通を利用した回遊性の向上を図ります。特に,本市の重要な観光資
源である偕楽園への案内に重点的に取り組みます。
路線図は,全てのバス事業者の路線・停留所,鉄道,駐輪場,主要施設等の情
報を1つにまとめて,作成します。また,定期的に路線図を更新して,利用者に
最新情報を提供できるよう継続的に取り組みます。これらの路線図作成は,本計
画の「⑧共通サインシステム」と連携して検討します。
なお,マップの内容について,市民とのワークショップや,大学等と連携した
バスマップコンクールの開催等により,アイデアを公募することも検討します。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
参考事例
■市民との協働により作成したバスマップ(京都府)
実施:交通事業者,水戸市
京都府では,バスマップの
作成にあたり,市民とのワー
クショップを行うことで,昼
間のお出かけに必要となる
情報の記載やベビーカーの
乗せ方など地域のニーズに
即したものが完成していま
す。
図 4-16 京都府のバスマップ
出典:JCOMM ホームページ
■目的別時刻表(十勝バス)
十勝バスでは,目的別の活
動を行う場合に,どのような
バスを利用できるかを示した
目的別時刻表を作成していま
す。
図 4-17 十勝バスの目的別時刻表
出典:JCOMM ホームページ
75
2-2 バスサービスの充実
施策番号
施策概要
⑫
施策名
バス停留所の見直し
本市内は,複数のバス事業者が運行していることから,事業者ごとにバス停を
設置しており,同一の場所でもバス停の名称が異なるなど,利用者にとって分か
りにくい状態となっています。このため,バス停の統合やカラーリングなどを通
じて改善を図ります。
また,バス停留所の待合機能を向上させるため,建物内をバスの待合スペース
として活用する等,バス停留所の環境改善にも取り組みます。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
参考事例
■バス停の統合(宇都宮市)
実施:バス事業者,水戸市
宇都宮市の大通りでは,
同じバス停名が複数
の場所に存在
停留所名が同じにもかか
わらず,設置場所が離れて
同じ場所に同じ会社
のバス停が複数存在
いたり,同じ会社の停留所
が同じ場所に系統別に並
んでいたことから,バス停
の統合化に対する支援を
行い,バスを利用しやすい
環境整備を進めています。
図 4-18 宇都宮市の大通りバス停留所図
出典:宇都宮市ホームページ
■コンビニエンスストア併設のバス
待ち環境(九条車庫前バス停)
京都市の九条車庫前バス停では,停
留所の待合スペースにコンビニを併設
することで,待ち時間を有効活用でき
るようにしています。
図 4-19 コンビニが併設されたバス停
出典:京都新聞ホームページ
76
施策番号
施策概要
⑬
施策名
運賃の見直し
バス路線の再編後,特に乗換えの際に,利用しやすい料金体系の構築を図りま
す。
料金体系の考え方には,距離制運賃やゾーン制運賃,均一制運賃などが存在す
ることから,それぞれの料金制度のメリットとデメリットを整理し,本市のバス
ネットワークに適したものを採用します。
ゾーン制運賃は,市内をいくつかのゾーンに分類し,出発地から目的地まで,
どの経路でも同額となる制度です。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
参考事例
■基幹バスから支線バスへの乗継ぎ(盛岡市)
実施:交通事業者,水戸市
図 4-20 盛岡市の乗継ぎ事例
77
施策番号
施策概要
⑭
施策名
共通乗車券の導入
乗継ぎの円滑化,利便性向上のため,各バス事業者共通の乗車券を導入しま
す。
バス事業者の連携により,お得な乗車券を複数の事業者間のバスで利用でき
るようになれば,利用者が運賃面だけでなく,乗継ぎ利便性向上の恩恵を受け
ることが可能となります。
また,事業者・商業施設等と連携して,家族割引や夏休み期間の児童割引,
買い物割引等,様々な企画乗車券を検討して,更なる利用促進を図ります。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
エリアⅠ
参考事例
■まちなか・おでかけパス(盛岡市)
実施:バス事業者,水戸市
盛岡市では,市に居住している 70 歳以上の方
を対象に,自宅近くのバス停と中心市街地エリア
(盛岡市立病院エリアへも利用可能),中心市街
地エリア内を自由に乗り降りできる,市内のバス
事業者共通の乗車券を発行しています。
図 4-21 盛岡市のまちなか・おでかけパス事業
■「水戸駅~大工町」共通回数券活用 100 円バス
事業(水戸市都市交通戦略会議)
水戸駅~大工町区間では,期間限定で共通回数
券活用 100 円バス事業を実施しており,効果を検
証しながら,継続的な実施に向けて検討していき
ます。
図 4-22
78
100 円バス事業
施策番号
内容
⑮
施策名
車両の高度化
通勤・通学時の混雑解消,路線バスに対するイメージ改善,輸送力強化のため
の連節バス等の高機能な車両の導入や,輸送需要に応じた小型バス等の導入を検
討します。高機能な車両の導入に当たっては,利用者に本市のシンボルとして認
識されるようにデザイン性に優れたものを検討することが必要であり,車両の内
装も運行経路や目的地までの所要時間表示など情報提供の観点からも高機能化
を図ることも求められます。
また,超低床ノンステップバスについては,市内の導入率が,2005(平成 17)
年度には約3パーセントに留まっていましたが,2014(平成 26)年度には約 24
パーセントとなっており,引き続き,超低床ノンステップバスの導入を進めます。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
実施:バス事業者,水戸市
参考事例
図 4-23 岐阜市の連節バス
図 4-24 金沢市の小型バス
出典:岐阜市ホームページ
図 4-25 車内での運行経路情報表示(ストラスブール市)
(左:運行経路情報,右:主要バス停までの所要時間)
79
2-3 公共交通利用に対する意識・イメージの改善
施策番号
施策概要
⑯
施策名
モビリティ・マネジメントの実施
「過度に自動車に頼る状態」から,「公共交通や徒歩などを含めた多様な交通
手段を適度に(かしこく)利用する状態」への行動変容を促すため,環境や健康
等に配慮した交通行動を,大規模かつ個別的に呼びかけていく各種コミュニケー
ション施策を実施します。
市職員が通勤・業務での自動車利用を控える等,率先して行動に示していくこ
とや,企業等への公共交通での通勤の呼びかけ,転入者への本市公共交通の情報
提供(路線図等の提供)等,既に実施している施策とともに,引き続き検討しま
す。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
全域
参考事例
■転入者への路線図配布(八戸市)
実施:水戸市
八戸市では,路線図「バスマップはちのへ」を作成しており,転入者に対する
生活支援・情報提供の一環として,市役所での転入届受付時に配布し,市内路線
バスの利用促進を図っています。
■構成9市町村統一ノーマイカーウィーク(県央地域首長懇話会)
水戸市長をはじめとする県央地域の9市町村長で構成する県央地域首長懇話
会では,鉄道,路線バスなどの公共交通の重要性を再認識していただくとともに,
必要以上のマイカー利用がもたらす地球温暖化などの問題について意識を高め
ていただくことを目的として,ノーマイカーウィークを実施しています。
■路線バス乗り方教室,らくがきバス(水戸市)
児童の公共交通に対する理解と関心を高めるとともに,将来公共交通を利用で
きるよう学習していただくことを目的に実施しています。
図 4-26 路線バス乗り方教室
80
図 4-27 らくがきバス
3 まちづくりを支
まちづくりを支える公共交通
える公共交通
3-1 人と環境にやさしい交通体系の構築
施策番号
施策概要
⑰
施策名
移動空間のバリアフリー化・ユニバーサルデザインの導入
高齢者・障害者等全ての人にやさしい移動空間の創出に向け,駅やバスターミ
ナル等の旅客施設や歩道等のバリアフリー化を進めるとともに,ユニバーサルデ
ザインの導入を図ります。
本市では,2004(平成 16)年度に策定した「水戸市交通バリアフリー基本構
想」に基づき,全ての人にやさしい移動空間の創出に向け,道路事業として,歩
道の段差や路面の凹凸の改善,点字ブロックの設置等を進めるとともに,公共交
通についても水戸駅構内へのエレベーター設置やノンステップバスの導入促進
を図ってきたところです。
2016(平成 28)年度には,「(仮称)水戸市バリアフリー基本構想」を策定す
る予定であり,これまでの公共交通及び道路事業に加え,建築物や駐車場,公園
等についても面的なバリアフリー化を進め,ユニバーサルデザインの導入を図る
ことで,歩いて楽しむことができる人にやさしいまちづくりの実現に資する施策
を推進していきます。
図 4-28 重点整備地区及び特定経路・準特定経路
出典:水戸市交通バリアフリー基本構想
実施主体
検討:水戸市
実施地域
全域
実施:交通事業者,道路管理者等
81
3-2 歩いて楽しめるまちなか交通の実現
施策番号
施策概要
⑱
施策名
都市景観に配慮したバス停留所施設の改善
中心市街地におけるバス停留所の待合機能向上と都市景観整備のため,民間事
業者の事業を活用し,広告パネル付きバスシェルターを設置します。また,建物
内をバスの待合スペースとして活用する手法についても検討します。
広告パネル付きバスシェルターについては,民間事業者が広告出稿の恩恵を感
じられる,特に歩行者通行量が多い箇所への設置を促していきます。
実施主体
検討:交通会議
実施地域
エリアⅠ
参考事例
■上屋付きバス停留所(MCDecaux 社)
実施:バス事業者,水戸市
MCDecaux 社は,広告収入を得ることで上屋付きバス停留所の維持管理費用を
捻出し,快適なバス待ち空間を提供しています。
図 4-29
MCDecaux 社の上屋付きバス停留所
出典:『コミュニティ・サイクルによる都市モビリティ・マネジメント戦略』シンポジウム資料
※建物内をバスの待合スペースとして活用した事例については,「⑫バス停留所
の見直し」を参照
82
施策番号
施策概要
⑲
施策名
コミュニティサイクル等の整備
商店街,観光地の回遊性向上及び公共交通網の補完のため,既存のレンタサイ
クルの機能充実や,サイクルポート間で乗り捨て可能なコミュニティサイクル等
の整備について検討します。
本市のレンタサイクルは,水戸駅南口自転車駐車場と千波湖西駐車場に貸出場
所があり,主に千波湖周辺への回遊性の向上に役立っています。「水戸市観光基
本計画」
(第3次)では,観光拠点間の回遊性が高いネットワークづくりに向け,
レンタサイクルの拡充等に取り組むこととしています。また,コミュニティサイ
クル導入としては,鉄道駅や乗り継ぎ拠点,主要施設等へのサイクルポートの設
置を検討します。これらの取組の推進に当たっては,快適な自転車走行空間を整
備することが必要であり,2016(平成 28)年度に策定する予定の「(仮称)水戸
市自転車利用環境整備計画」で,その手法等について検討を進めます。
表 4-5 レンタサイクルの概要
水戸駅南口レンタサイクル
貸出場所
貸出期間
貸出時間
利用料金
サイクリング
行動範囲
備考
千波湖・桜川レンタサイクル
水戸駅南口東棟自転車
千波湖西駐車場
駐車場
年末 12/29~31 を除く毎日
9:00~18:00
9:00~16:00
大人(中学生以上)
:1日1回 500円(定額)
子供(小学生以下) :1日1回 300円(定額)
タンデム車
: 500 円
※子供は原則として保護者等同伴が必要
市内全域(ただし 2 人制自転車は,千波湖畔園路及び指定
サイクリングロードのみ)
レンタサイクルはどちらでも返却可能
出典:水戸市観光協会ホームページ
図 4-30 レンタサイクル貸出場所
出典:水戸市観光協会,水戸サイクルマップ
実施主体
検討:水戸市
実施地域
エリアⅠ
実施:水戸市
83
施策番号
施策概要
⑳
施策名
国道 50 号の有効活用の検討
歩道等のバリアフリー化等道路空間の整備に併せて,国道 50 号における歩行
者空間の有効な活用策を検討します。
水戸黄門まつりや水戸まちなかフェスティバルの開催時には,水戸中央郵便局
から大工町までの区間を歩行者専用道路とすることで,まちなかのにぎわいを創
出しています。
2016(平成 28)年度には,水戸黄門漫遊マラソンが開催される予定であり,
中心市街地が発着点となることから,大会の参加者をはじめ,関係者や沿道での
観戦者など,多くの方が当地区を訪れることが予想されます。
これらイベントの開催時に,参加者をはじめとする多くの方を円滑に目的地ま
で輸送することも公共交通の大きな役割であることから,まちなかのにぎわい創
出に資する公共交通を支える国道 50 号の有効活用策について検討を進めます。
図 4-31 水戸まちなかフェスティバルでの歩行者用道路区間
出典:第 4 回水戸まちなかフェスティバル オフィシャルパンフレット
図 4-32 黄門まつり,水戸まちなかフェスティバルの様子
実施主体
検討:交通会議,水戸市
実施地域
エリアⅠ
84
第5章 計画の進捗管理
5-1 計画目標の設定
(1)施策体系とアウトカム
施策体系とアウトカム指標
とアウトカム指標
公共交通基本計画の進捗管理を進めるため,計画に基づいた施策実施がもたらす市民生
活への効果についてアウトカム指標を用いて評価し,計画の見直し・修正実施を進めてい
きます。
アウトカム指標は,基本方針に基づいた基本施策に対応するよう,以下のように設定し
ます。
なお,アウトカム指標については,今後の計画の進展や施策の実施状況を踏まえ,施策
の実施効果を適切に計測できない場合は,必要に応じて見直しを行います。
基本方針
基本施策
アウトカム指標
1-1
公共交通体系の構築
1
使いやすい
公共交通
1-2
●1日当たりの路線バス利用者数
●市内バス路線の運営収支
公共交通相互の
乗継ぎ円滑化
1-3
移動手段の確保
2-1
情報提供
2-2
2
分かりやすい
公共交通
バスサービスの充実
●公共交通機関に対する満足度
2-3
公共交通利用に対する
意識・イメージの改善
3-1
人と環境にやさしい
3
まちづくりを
交通体系の構築
支える公共交通
3-2
歩いて楽しめる
まちなか交通の実現
●中心市街地の歩行者通行量
●中心市街地の年間商品販売額
85
(2)アウトカム指標
アウトカム指標の
指標の内容
①使いやすい公共交通
●1日当たりの路線バス利用者数
《ねらい》
・バス路線をより使いやすく再編することで,路線バスの利用者が増加します。
《目標値》
29,656人/日(平成26年度水戸市調査)
→33,000人/日(平成35年度)
●市内バス路線の運営収支
《ねらい》
・市内バス路線の再編を進め,路線バス利用者の増加とともに,運行の効率化によ
り費用の縮減が図られ,市内バス路線の運営収支が改善します。
《目標値》
~目標値の設定については,今後協議を進めて定めます。
86
②分かりやすい公共交通
●公共交通機関に対する満足度
《ねらい》
・バスを含めた公共交通全体が分かりやすくなり,公共交通機関に対する満足度が
上昇します。
《目標値》
~市民1万人アンケートにおける公共交通機関が充実していると感じている市民の
割合が増加
31.7%(平成24年度市民1万人アンケート)
→40%(平成35年度)
87
③まちづくりを支える公共交通
●中心市街地の歩行者通行量
《ねらい》
・人と環境にやさしいまちなか交通体系の構築,歩いて楽しめるまちなか交通の実
現といった施策により,市民や観光客など,まちなかへの来訪者が増加すること
で,まちなかのにぎわい創出を図ります。
《目標値》
~平日・休日の一定時間帯の延べ歩行者通行量
101,048人(平成27年度)
→131,500人(平成35年度)
≪参考≫
180,000
160,000
140,000
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
(
人
H18
76,985
H19
58,524
H22
69,399
H23
57,195
H24
65,388
H25
59,965
H26
61,833
H27
55,061
月曜日 131,247 128,167 123,700 117,438
64,378
70,902
55,351
53,214
54,200
55,938
47,961
45,987
)
0
S54
S60
H3
H11
日曜日 166,221 159,090 167,180 110,176
図 5-1
中心市街地の主な地点の歩行者通行量の推移(再掲)
出典:水戸市調査
88
●中心市街地の年間商品販売額
《ねらい》
・まちなかへの来訪者が増加し,商業施設の売上額が増加します。
《目標値》
~まちなかの商業施設全体の売上額が増加
21,070千万円/年(平成19年度)
→23,000千万円/年(平成35年度)
≪参考≫
図 5-2
本市全域と中心市街地の年間商品販売額の推移
出典:商業統計
89
5-2 目標の達成状況の評価手法
各評価指標は,以下でした方法で算定します。
(1)使いやすい公共交通
いやすい公共交通
●1日当たりの路線バス利用者数
・バス事業者に情報提供を依頼し,現状(平成 26 年),計画期間の最終年(平成 35
年)の路線バス利用者数の推移をモニタリングします。
●市内バス路線の運営収支
・バス事業者に情報提供を依頼し,現状(平成 26 年),計画期間の最終年(平成 35
年)の運営収支の改善状況をモニタリングします。
(2)分かりやすい公共交通
かりやすい公共交通
●公共交通機関に対する満足度
・平成 24 年度市民1万人アンケートの結果を現況とし,計画期間の最終年(平成 35
年)に同様のアンケート調査を実施し,指標値を集計します。
(3)まちづくりを支
まちづくりを支える公共交通
える公共交通
●中心市街地の歩行者通行量
・水戸商工会議所等実施の「歩行者通行量調査」をもとに,現状(平成 27 年)
,計
画期間の最終年(平成 35 年)の歩行者通行量の推移をモニタリングします。
●中心市街地の年間商品販売額
・商業統計調査のデータを活用し算定します。
・最新は平成 26 年度調査で,以降5年毎(経済センサス活動調査の2年後)に実施
される予定です。
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5-3 進捗管理と推進体制
(1)進捗管理
基本計画の進捗管理としては,計画期間の最終年度である 2023(平成 35)年度にお
いて,前項で提示したアウトカム指標が目標値に達しているかどうかの検証を行いま
す。その検証結果を踏まえ,各施策体系の中の具体的な実施施策の変更や実施内容の
見直しや,基本計画の改定を行います。
ただし,個別施策の実施スケジュールはそれぞれ異なるため,各施策の進捗状況は,
必ずしもアウトカム指標による評価を行わずに,適宜スケジュール管理を行い,必要
に応じて,スケジュールの変更や,実施内容の修正を行うこととします。
なお,アウトカム指標の一部は,既存統計の調査結果をもとに算出する必要があり,
当該統計調査等の実施時期との関係で,必ずしも最終年度の評価ができない場合があ
りますので,その場合は指標が算定可能な年度においての評価とします。
(2)推進体制
水戸市公共交通基本計画の推進に際し,行政,交通事業者,市民の3つの主体が相
互に連携・協働して互いの役割を果たしていくことで,さまざまな課題に対し事業の
効果を高めていくことができます。
そのため,水戸市都市交通戦略会議(地域公共交通の活性化及び再生に関する法律
第6条第1項及び都市・地域総合交通戦略要綱第二第1項に基づく法定協議会,平成
26 年7月設置)の場を活用し,学識経験者,交通事業者,市民,関係行政機関等のさ
まざまな立場の委員による協議を行い,総合的かつ戦略的な交通施策の推進を図って
いきます。
協議会の場では,個別の施策・事業ごとに,行政・交通事業者・市民の各主体の役
割を明確にし,どの時期にどの主体がどのような具体的な活動を行うかを協議して,
実際の施策・事業を進めていくとともに,毎年の各事業・施策の実施状況の確認を行
い,必要に応じ事業・施策内容の微調整を行います。
計画期間の最終年度の 2023(平成 35)年度においては,アウトカム指標に基づく計
画目標の達成状況の評価を行い,次期公共交通基本計画に向けた検討を行います。
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表 5-1
進捗管理のイメージ
年度
2015(平成 27)年
PDCA 実施内容※
・公共交通基本計画策定検討
・パブリックコメントによる意見収集
・基本計画策定(P)
2016(平成 28)年
・先行事業・施策実施(D)
…随時,スケジュールに合わせて各事業・施策を実施
2017(平成 29)年
…毎年都市交通戦略会議にて各事業・施策の実施状況の確認を行
い,必要に応じ事業・施策内容の微調整を実施
2018(平成 30)年
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2019(平成 31)年
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2020(平成 32)年
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2021(平成 33)年
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2022(平成 34)年
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2023(平成 35)年
・市民アンケート,歩行者通行量調査等の実施
→アウトカム指標による目標達成状況の評価(C)
・評価結果を受け,公共交通基本計画の改定検討(A)
2024(平成 36)年
・公共交通基本計画(第2次)策定
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※上記は,現時点でのイメージである。
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