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資料4小水力発電の現状と課題

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資料4小水力発電の現状と課題
資料4
小水力発電の現状と課題
全国小水力利用推進協議会
副会長
沖 武宏
EAML
■小水力発電所設備概要
■ 設備の構成は、設置場所や条件等により大きく異なる。
■ 設備は、大きく土木設備、水車発電機器、送電設備に分けられる。
● 土木設備は、取水設備、ヘッドタンク、除塵設備、水圧管、放水路など
● 水車発電機器は、水車、発電機、配電盤など
● 送電設備は、送変電機器、送電線路など
水力発電設備の全体
取水設備
配電線
発電所内部
ヘッドタンク
水圧管
余水路
河川(用水路)
発電所
水車
放水路
EAML
発電機
変圧器
配電盤
■一般的な水路式発電所
スクリーン
ゲート2門
スクリーン
ゲート2門
除塵機
落差=①-② m
落差=①-② m
流量=河川流量 ㎥/s
流量=河川流量 ㎥/s
① EL
EL ○
○○
○○m
○m
①
トンネル
開渠又は管路
サイフォン
埋設管
EL ○○○○○m
○m
②② EL
EAML
■ ダム維持放流使用例
出
力:570kW
有効落差:10.69m
使用水量:6.5㎥/s
ダ
ム
軸
EAML
■設置可能地点とその留意点
 基本的に、落差と流量のあるところであれば、場所を問わず発電は可能
 ただし、適用技術、法的手続き、経済性は、地点毎に全て異なる
 出力(kW) = 9.8×落差(m)×流量(㎥/s)×機械効率(%)
一般河川
下水処理排水
砂防/治山ダム
農業用水
ダムの維持放流水 既設発電所放流水
EAML
上水道
工場排水
トンネル湧水
ビル冷却水
■ 小水力発電の目的
● 自給(自家消費)のエネルギー ⇒ お金以外の価値
● 事業用のエネルギー(全量売電) ⇒ 発電事業としての価値
自給エネルギー
事業用エネルギー
3kW以下程度
100kW以上
手作り感覚(汎用品利用)
億単位の投資
趣味、モニュメント、観光
全量売電
割高、短寿命
⇒お金以外の価値
投資効果優先と半永久使用
⇒発電事業として
引用:岐阜県小水力利用推進協議会平野事務局長殿の岐阜県小水力サミットのプレゼン資料より
EAML
■ 小水力発電調達価格と期間(平成26年度)
既設(発) 9円/kwh
<価格表記は、消費税込み>
1,000kW以上
200kW以上
30,000kW未満 1,000kW未満 200kW未満
調達価格
25.2円
30.45円
35.7円
調達期間
20年間
20年間
20年間
■ 全国での小水力発電設備導入状況(平成26年2月現在)
運転を開始したもの
認定されたもの
平成24年度 平成25年度
(7月~3月) (4月~7月末)
2,000kW 4,000kW
EAML
平成24年7月~
平成25年7月末
261,000kW
6
■ 島根県内の既存水力発電所
500kW未満
500~1,000kW
1,000kW以上
小水力
(売電式)
10か所
1,635kW
35か所
公営企業
(県営)
4か所
1,050kW
1か所
770kW
238,335kW
中国電力
3か所
460kW
3か所
2,170kW
ダム式4か所 ダム式4か所
19,200kW
86,400kW
水路式3か所 水路式3か所
6,230kW
120,420kW
EAML
■ 開発への課題(取り組み)
 島根県内での新規開発地点は
● 県内の河川は電力会社と公営企業で経済性の高い地点は開発済み
小河川は昭和20~30年代に地域経済活性化で小水力が建設された
● 通常の一般河川利用としての残存地点は投資対効果が厳しい
景勝地や自然公園指定地を小水力発電と協調させる思考が必要
自然公園、景勝地は人が来なければ地域に貢献しない。
この地域に小水力発電を設置しても水量は必要に応じて確保でき、遊歩
道と発電取水管を一体化すれば景観は変わらず、発電所建物の位置は
地下埋設または区域外も可能
EAML
景勝地の活用方法
遊歩道を利用する
自然公園等は人工的な建造物や景観を変えることは出来ないとされている、
遊歩道が設置可能ならこの下に導水管を組み込むことで発電用の取水が可
能となるし、遊歩道の維持費は発電維持費で対応できる
EAML
■
河川の水量と発電使用水量の関係
水量選定基準
河川の年間流量を多い順に日数で並べた下記流況曲線によって決める
小水力発電の使用水量は通常 常時出力=渇水量(355日)
最大出力=低水量(275日)
*最大出力運転でも275日は河川に余剰水が流れている
*河川への必要な水量確保は発電量調整で任意に可能、休日や平日の
昼間を観光放流しても年間の電力量として経済効果を計算する
EAML
■ 経済性を高めるためのポイント
 地点毎に経済性は大きく異なる
ハイドロバレー開発計画調査でも、建設単価で50円/kWh~1,000円/kWh
の違いあり (kW当りでは建設費100~300万円が開発可能地点)
初期投資が大きく減価償却20年程度だが、60年以上運転が続けられる
これは、風力、太陽光発電などと大きく異なる特徴でもある
 経済性の良い地点を発掘するのが開発の重要なポイント
景勝地的な急流(滝)の地点が発電所として経済性が高い
砂防ダムを貯水可とすれば経済性が出るケースもある
ダム維持放流の活用(ダム設置者でなく放流を受ける地域での活用)
 初期投資の大きい発電事業は地域団体限定で可能なのか
県外企業の参加を認めれば資金的には簡単(参加基準の設定)
EAML
砂防ダム貯水化
砂防ダムを貯水ダムにすると溢
流堤までの貯水量とダム高さが
発電に利用でき、下流の渓流も
落差に利用するために発電位置
まで導水管を設置することで経
済性が高まる。
発電に使用すれば負荷率を高
めるためダム内の「しゅんせつ」
を行うため砂防効果は維持でき
る。
問題点として常時貯水で周辺へ
の浸透水問題等が発生する可
能性があり要検討
EAML
維持放流の活用
このダムは下流の河川環境維持の目的で魚道放流とは別に365日ゲート
放流がされている
ダムの設置者は電力会社で放流水による環境改善の影響を受けるのは下
流の地域であり、発電利用には難しい問題があると言われている
技術的には年間ベースで500kw程度の発電が見込まれるこのエネルギー
は地域として有効活用できないか
EAML
まとめ
現在中国地方の地域小水力発電は、昭和20,30年代に建設さ
れ、60年以上たった今も、建設当初と変わらぬ電力を発生して、
地域のエネルギー資源として貢献することを証明している。
建設当初、戦後の疲弊した地域社会に売電料金の収入が大きく
貢献したが、国家のエネルギー政策が変わることで、発電事業が
厳しい状況に追い込まれたことも事実。
しかし今、小水力発電は貴重な再生可能エネルギーとして再び
認められる時代となった。
島根県内の小水力発電開発に取り組むには、地域活
性化の有効な手段として、大切な水資源を既存の設
備や観光資源と複合的に生かす発想の転換がなけれ
ば、地点的に厳しい状況にあると考えられます。
EAML
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