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E - 京都大学大学院薬学研究科

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E - 京都大学大学院薬学研究科
名称未設定-3
1
2010/12/06
13:25:51
目 次
会長挨拶 佐治 英郎 …………………………………………… 1
退任のご挨拶 半田 哲郎 …………………………………………… 3
乾 賢一 …………………………………………… 4
富岡 清 …………………………………………… 5
就任のご挨拶 石濱 泰 …………………………………………… 6
松本 明 …………………………………………… 7
内海 潤 …………………………………………… 8
最先端創薬研究センターについて …………………………………………… 9
京都大学薬学記念事業レポート
「第 2 回 薬学の未来を考える京都シンポジウム」に参加して …………
11
旧師探訪 …………………………………………………………………………
14
会員便り∼近況報告 ……………………………………………………………
15
人事異動 …………………………………………………………………………
18
受 賞 …………………………………………………………………………
20
博士(薬学・薬科学)
…………………………………………………………
21
修士(薬学・薬科学)
…………………………………………………………
23
分野(教室)だより ……………………………………………………………
27
薬友会部報
………………………………………………………………………
45
京大薬友会会則 …………………………………………………………………
47
薬学研究科教員 電話番号・Eメール一覧
…………………………………
48
広告索引 …………………………………………………………………………
53
ご 挨 拶
会長
薬友会員の皆様にはお元気でご活躍のことと
お喜び申し上げます。伊藤信行前薬学研究科長・
薬学部長の後任として、本年 4 月から私が薬学
研究科長・薬学部長に任じられ、併せて薬友会
会長を務めることとなりました。ここに、薬友
会会誌第 62 号をお届けするにあたり、薬学研
究科・薬学部の近況をご報告申し上げ、ご挨拶
とさせていただきます。
ご存知のとおり、平成 18 年より新しい薬学
教育制度が始まり、本学部では創薬科学研究者・
技術者の育成を主たる使命とする 4 年制の教育
課程(薬科学科)と、高度な先端医療を担う薬
剤師・医療薬科学者の育成を主たる使命とする
6 年制の教育課程(薬学科)とを並置し、それ
ぞれの志望進路を通して薬学領域の将来を支え
る人材の育成に努めているところです。教職員
の皆様には一致協力してこの新教育体制の実施
に取り組んでいただいており、その結果、新制
度での教育はスムーズにスタートし、本制度で
の 4 年制の第 1 期生を本年 3 月に卒業させ、ま
た 6 年制の第 1 期生の 5ヶ月間の実務実習(2ヶ
月半ずつの病院実習、薬局実習)も本年度初め
から順次開始し、現在まで順調に進んでいると
ころです。今後とも教職員一同全力で取り組ん
でいく所存ですので、皆様の一層のご支援とご
鞭撻をお願い申し上げます。
学部の新教育制度による体制整備に伴って、
大学院の教育体制の整備も進めています。最近
の医薬品開発方法の多様化に対応できるように
統合的な薬学大学院教育を目指して、従来の創
薬科学、生命薬科学、医療薬科学の 3 専攻を 1
専攻(薬科学専攻)に改組し、本年度から実施
しています。さらに現在、6 年制の学部教育課
程の卒業生を対象とする博士課程(4 年)の 24
年度からの設置に向けて努力しているところで
す。
また、更なる薬学教育の充実を求めて、現在
の個別の専門領域の資質育成教育に加え、分野
佐 治 英 郎
横断的な創薬・育薬力を持った先導的創薬研究
リーダーを育成するための横断的統合型教育の
プラットフォームを築き、学士力を総合的に高
める教育システムを構築することを目的として
「横断的統合型教育による創薬・育薬力育成プ
ログラム」を文部科学省の支援のもとに始めま
した。また、その実施にあたって、拠点となる
「統合薬学教育開発センター」を医療薬学教育
棟(旧 RI 学生実習室を改修)に設置しました。
本センターを核とする薬学教育の充実に向けた
活動は、本研究科・学部における薬学教育の発
展に大きく貢献するものと期待されます。
一方、時代の先端を拓く薬学研究の新しい展
開を求めて、それに対応した研究組織の構築に
も務めており、その一環として本年 3 月に研究
科内に「最先端創薬研究センター」を設置し、
現在 3 名の特定拠点教授、4 名の特定拠点助教
を採用して活動を開始しています。本センター
は、昨年秋に開始された、科学および科学技術
の領域で世界をリードする研究開発のための大
型国家プロジェクト「最先端研究開発支援プロ
グラム(FIRST プログラム)」の中で採択された、
ノーベル化学賞受賞者の島津製作所の田中耕一
フェローを中心研究者とする「次世代質量分析
システム開発と創薬・診断への貢献」というプ
ログラムにおいて設置したものです。すなわち、
京都大学薬学研究科の先生方が本プログラムの
共同提案者として研究の一翼を担うために、京
都大学側の研究拠点として、本センターを本年
3 月に本研究科内に設置しました。本センター
では、現在医療で最も対応に難渋している、が
んとアルツハイマー病を対象として最先端質量
分析研究に基づく新たな治療戦略の構築、さら
にはこの領域を開拓し、その将来を担う人材の
育成を目指して研究を推進しているところで
す。また、このプログラムを推進するために、
田中耕一先生には本年 3 月から本センターの客
員教授としてご指導を頂いています。先月 10
−1−
月 30 日に開催しました本会主催の 「第 2 回 薬
学の未来を考える京都シンポジウム」において、
田中先生をはじめ、本プログラムの中心となっ
ておられる先生方に研究の概要と方向性につい
てご講演を頂きました。新しい科学技術の創出
による創薬、医療の新領域の開拓が強く期待さ
れます。
さて、研究科構成員の異動の面から 1 年を振
り返りますと、本年 3 月末をもちまして、製剤
機能解析学分野の半田哲郎教授、協力講座であ
る医学部附属病院薬剤部の医療薬剤学分野の乾
賢一教授が定年でご退職されました。また薬品
合成化学分野の富岡 清教授も定年まであと 2
年を残されていましたが、同志社女子大学薬学
部への異動のため、ご退職されました。3 名の
先生方には、長年の薬学研究科・薬学部の研究・
教育へのご貢献に対して心から御礼を申し上げ
ます。
また、京都大学薬学研究科にとりましては初
めての寄附講座として、エーザイ株式会社のご
寄付により平成 15 年 4 月に設置されました創薬
神経科学講座が本年 3 月末をもって終了しまし
た。2 期 7 年間にわたり、本研究科の大きな期
待に応えて活発な研究活動を展開され、多大な
功績を挙げられ、研究はもちろんのこと、本研
究科の教育にもご貢献いただきましたことに厚
く御礼を申し上げます。本講座のスタッフ、関
係者の方々の今後のご活躍を祈念いたしており
ます。
一方、ご退職やご栄転の先生方の後任や新設
の「最先端創薬研究センター」などに新しく多
くの先生方をお迎えしました。製剤機能解析学
分野の担当教授として石濱 泰先生、「最先端
創薬研究センター」の特定拠点教授として松本
明先生、内海 潤先生、さらに、本年 3 月末を
もって終了しました創薬神経科学講座の特定教
授の杉本八郎先生がご着任されました。
「統合
薬学教育開発センター」の特定教授には、「統
合薬学教育フロンティアセンター」教授であっ
た栄田敏之先生が本年 8 月にご異動されまし
た。さらに、平成 20 年 10 月から京都大学理事・
副学長として京都大学の発展のためにご尽力頂
きました藤井信孝先生には、2 年間の本部での
ご活躍を終えられ、本年 10 月より本研究科の
特別教授としてご着任頂き、引き続きご指導を
いただいております。また、准教授、助教にも
新進気鋭の先生方をお迎えしました。ご栄転に
なられた先生方、新たにご着任になられた先生
方の益々のご活躍を祈念いたします。
現在、国家予算の削減、競争原理の導入、評
価の導入、グローバル化などにより、大学は厳
しい教育・研究環境に直面しています。厳しい
環境ではありますが、京都大学薬学研究科・薬
学部は日本の薬学教育・研究のリーダーとして、
これからも新しい薬学像の構築を目指して努力
していく所存です。薬友会会員の皆様には引き
続き相変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう
重ねてお願い申し上げます。最後になりました
が、薬友会会員の皆様方の一層のご健勝とご活
躍を心より祈念いたします。
−2−
退任のご挨拶
半 田 哲 郎
本年 3 月末日をもちまして、京都大学を定年
退職いたしました。
私は、昭和 40 年に京都大学薬学部に入学、
49 年に大学院博士課程を中途退学し、その後
36 年間、京都大学薬学部・薬学研究科と岐阜
薬科大学で物理化学、生体の界面科学および製
剤学の研究・教育を行ってまいりました。京大
薬友会には学部入学以来 45 年間半もお世話に
なっています。
高校時代までは野良仕事を手伝う農村の生活
でした。大学に入学し、歴史の長い都市、京都
に飛び込んできました。農村共同体から近代的
個人が集まる都市に投込まれたのです。ルネッ
サンスの諺どおり、都市の空気は自由でしたが、
しかし、自分自身の位置がわからなくなり、体
重も 5kg ほど減るというパニック状態でほぼ約
2 年間を過ごしました。それでも、これを機会
に自己や周りの社会をじっくり考えてみようと
いう意気軒昂な気分も残っておりました。その
ときの難問は、結局、答えを得ることなく今日
に至っています。しかし混沌と迷いのなかで、
なんとか自己の平衡を保つことを学び、学部時
代の後半からは物理化学や界面化学に興味を向
けていくことが出来ました。昭和 40 年代はよ
い時代でもありました。
私の研究は、中垣正幸先生のもとで、界面の
脂質単分子膜の相平衡から出発しました。単分
子膜は 2 分子膜の半分の構造を有するもので
す。肺胞表面では呼吸機能に、血漿中ではリポ
タンパクの代謝と機能調整に重要な役割を担っ
ています。単分子膜の基礎研究は比較的順調で、
その理論・技術を用いて米国留学でも成果を出
すことが出来ました。米国化学会のコロイド界
面討論会にも発表できましたが、今までに経験
したことのない厳しくて真剣な討論にも出会
い、強いインパクトを受けました。その経験を
もとに、脂質̶タンパク複合ナノ粒子(HDL)、
脂質エマルション(キロミクロンモデル)、ミ
セル・リポソームの分光学的性質や物理製剤学
などに研究領域を広げる努力をいたしました。
HDL の研究では医学や分子生物学の専門家と
ともにプロジェクトを展開できました。広い領
域の皆さんと交流し、サイエンスの広がりを楽
しむことができたのは大変に幸福でありまし
た。恩師の中垣先生をはじめ、尊敬する先生や
先輩に引っ張って頂き、また多くの優秀な後輩
達に押してもらい、ようやく定年退職にたどり
着くことができました。皆様、本当に有り難う
ございます。
ご縁があり、定年後の 4 月より鈴鹿医療科学
大学薬学部の教壇に立つことになりました。こ
ちらは創設 3 年目の 6 年制薬学部であり、私の
他にも 7 名の京大薬友会の皆様が教授を努めて
います。京都大学では、世界的に新しい課題に
優秀な学生をも巻き込むように努めて参りまし
た。鈴鹿医療科学大学では、日本を支える多数
派の若い人が薬学の実務家としてスタートに立
てるよう、その育成に努めております。この地
の歴史や風土にも新鮮な印象を感じています。
もちろん、教育・研究環境の大きい変化を予感
しておりましたが、実際はそれ以上であり、試
行錯誤の毎日が続いています。また、長い間、
構想していた薬学・生命科学領域の学生のため
の、物理化学の視覚的教材の開発に手を付けま
した。自然の自発的方向を示す熱力学の難解で
特異な概念を、離散的に熱運動する粒子集団よ
り説明し、生体分子の機能までも解説できれば
と考えています。
京大薬友会の皆様には、これからもご指導や
ご鞭撻を頂きたく思います。皆様のますますの
ご健勝とご発展をお祈りして、退任の挨拶に代
えさせて頂きます。
−3−
退任のご挨拶
乾 賢 一
平成 6 年 1 月に堀 了平先生の後任として、
京都大学医学部附属病院薬剤部(薬学研究科医
療薬剤学分野)を担当して早くも 16 年が経過
し、本年 3 月末に無事定年退職いたしました。
これも偏に諸先生、諸先輩、同僚、後輩の皆様
のご指導とご支援の賜物と深く感謝し心から御
礼申し上げます。
顧みますと昭和 44 年に京都大学薬学部を卒
業後、大学院を経て広島大学、京都大学、東京
医科歯科大学、京都大学に 37 年余の期間勤務
し、その内、医学と薬学の接点である大学病院
薬剤部に 30 年余在籍しました。そして、前任
地東京医科歯科大学と京都大学で併せて 20 年
間教授・薬剤部長を勤めたことになります。医
療環境が大きく変化し、また国立大学の法人化
や薬学教育 6 年制の改革が進む激動の中で、薬
剤部の職員と大学院学生が一丸となって 21 世
紀の医療を見据えながら先駆的な薬剤業務・教
育・研究を目指して歩んできました。大学病院
薬剤部の役割・使命としては、(1)医薬品の安
全管理、適正使用、経済性への貢献、(2)高度
医療における薬物治療の支援と科学性の確保、
(3)医学教育・薬学教育への参画 等が最も重
要であると考えて実践してきました。
教授・薬剤部長を拝命して以来、臨床医学が
基礎医学と一体となって発展を遂げつつあるこ
とを目の当たりにして、薬学においても医療薬
学や薬剤業務の科学的基盤構築に向けての努力
が必要であることを痛感していました。そのよ
う な 中 で「 医 薬 品 の 適 正 使 用 を 目 指 し て ∼
From Bench to Bedside ∼」 と い う キ ャ ッ チ フ
レーズは自然発生的に生まれました。京大病院
の幾つかの診療科との共同研究を通して、基礎
研究成果の臨床応用を目指しました。また、症
例が契機となって開始した研究の成果や、それ
が如何に臨床に還元できたかというアプローチ
も重視しました。これらの成果は、薬剤管理指
導など薬剤業務の科学的基盤、テーラーメイド
医療などに着実に繋がっています。
平成 18 年 4 月に待望の薬学 6 年制がスタート
し、わが国の薬学・薬剤師にとって歴史的な改
革が実現しました。私は平成 14 年 10 月から始
まった文部科学省の「薬学教育の改善・充実に
関する調査研究協力者会議」のメンバーとして
加わり、1 年余にわたる会議において発言を重
ねてきましたので特別の思い入れがあります。
この薬学教育改革では、薬の専門家としての十
分な知識、技能、態度を身につけた質の高い薬
剤師の育成が期待されていますが、これは取りも
直さず、Science(科学)
、Art(技術)
、Humanity
(人間性)をバランス良く統合した教育と言え
ましょう。先行して進められてきた医学教育改
革 で は、 優 れ た 研 究 能 力 を 備 え た 臨 床 医
「Physician Scientist」の養成が現在求められて
います。6 年制薬学教育においても「Pharmacist
Scientist」養成の必要性を訴えたいと思います。
そして同時に、この教育改革は臨床を指向した
薬学の新しい研究展開、トランスレーショナル
リサーチ(探索的臨床研究)に繋げるチャンスと
して捉えることができると思います。京都大学
薬学部から世界に向けて情報発信が続くことを
願っています。薬学教育改革の真の成果が出る
のは、まだ 10 年以上先になるでしょうが、成
功に向けて行方を見守り続けたいと思います。
私は 4 月から京都薬科大学学長を拝命しまし
た。もとより微力ではございますがこれまでの
医学・医療での経験を生かしながら、輝ける薬
学・薬剤師の未来に向けて最善を尽くす所存で
ございます。
最後に、京大薬友会並びに会員の皆様の益々
のご発展を祈念するとともに、引き続きご指導・
ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
−4−
退任のご挨拶
富 岡 清
2010 年 2 月 12 日都ホテルにて記念講義と記
念祝賀会を開催させて頂き、1996 年 1 月に薬学
部に務め始めて以来 2010 年 3 月末まで京都大学
での 14 年間を締め括りました。偏に、諸先生、
諸先輩、同僚、後輩の皆様方のご指導、ご鞭撻、
ご支援、そしてご協力の賜物と厚く感謝致して
おります。京都大学の志優れた学生院生諸君と
一緒になって、研究に没頭できましたことは大
変幸福でした。自由の学風の中で伸び伸びと精
一杯やらせて頂きました。
思い起こせば、1967 年に東京大学教養学部
に入学以来、1 年半に及ぶ東大闘争、圧縮授業
と想定外の薬学部進学、6 月卒業、有機合成化
学に没頭した東大大学院と米国コロラド州立大
学のポストドク時代、東大学薬学部での助手、
助教授、そして教授として 4 年間務めた大阪大
学産業科学研究所有機材料合成部門と息も吐か
せぬ魅力に溢れた大学生活でした。
京都大学に拠点を移してからも、薬用植物化
学講座から薬品合成化学分野への主題転換、大
学院重点化、中期目標設定、自己点検評価、法
人化、さらには 6 年制薬学科と 4 年制薬科学科
併存の新教育体制、等への対応で不断に研究教
育の足を取られる日々が続きました。対応した
からといって、研究テーマに跳ね返すことはせ
ず、学問として面白い、学生院生の育成に相応
しい、を絶対基準に研究課題を設定し続けまし
た。考える深さが勝負だと理解し実践する新進
気鋭の育成が夢でした。それも、支援部隊員で
はなく最前線突撃部隊のリーダーや一匹狼の育
成を目標に掲げたので、院生やスタッフの中に
は、顎を出し悲鳴を上げてしまう方々もおいで
になりました。
大阪大学には 4 年間務めただけでしたが、理
学研究科を兼任させて頂いたお陰で、薬学を外
から客観視致しました。阪大産研に教員純増付
きで薬学部門の新設を頂いたのも薬学の科学レ
ベルの向上への思いからでした。調べたり検査
するようなことが科学研究であるとしてまかり
通っているところが薬学にはあります。そんな
薬学の次代を舵取りする新しい道は情報科学と
の融合であると信じておりましたが、青天霹靂
の研究科長という機会と運に恵まれて医薬創成
情報科学専攻の新設が、教員純増のおまけ付き
で、叶いました。ご支援頂いた文科省高見功薬
学教育専門官から「奇跡」ですよと言われた時
の嬉しさと責任の重さは昨日の事のように蘇り
ます。実学の色濃い薬学はややもすると科学の
応用に堕す恐れがありますが、原理原則の追究
を命とする虚学としての薬学の科学化に役立つ
ように大事に育て上げて頂きたい思いで一杯で
す。
薬学教育者ワークショップでは近畿の先生方
や薬剤師の方々と薬学並びに薬剤師教育の夢を
共有致しました。少しでも良い講義をという思
いでしたが、京大の先生方の無私のご協力を得
て、近畿の薬学教育の中心は京大薬であること
を示せたのではないかと自負しております。し
かし、未知との遭遇そのものでした。
知識、技能、態度が薬学の三種の神器のよう
に唱えられていますが、高い志と研究マインド
を培わなければ単なる科学の消費、浪費である
ことを自覚すべきです。大学の第一義は若者の
育成にあることを肝に銘じて、縁あって研究室
の立ち上げを許された同志社女子大学薬学部で
の教育研究生活を楽しむ所存です。末筆になり
ましたが、京大薬友会の皆さま方の益々のご活
躍とご発展を心の底から祈念いたします。
−5−
就任のご挨拶
石 濱 泰
製剤機能解析学分野 薬友会会員の皆様には益々ご健勝のこととお
喜び申し上げます。平成 22 年 10 月より、製剤
機能解析学分野を担当させていただくことにな
りました石濱でございます。本紙面をお借りし
まして自己紹介かたがたご挨拶申し上げます。
私は平成 2 年に本学工学部工業化学科を卒業
し、平成 4 年に同大学院工学研究科工業化学専
攻を修了いたしました。学部卒業研究では有機
フッ素化学を石原孝先生(現京都工芸繊維大学
教授)に、修士論文研究ではキャピラリー電気
泳動を中心とした分離分析化学を寺部茂先生
(現兵庫県立大学名誉教授)にご指導いただき
ました。その後、エーザイ(株)筑波研究所で
14 年間勤務した後、山形県鶴岡市にあります
慶應義塾大学先端生命科学研究所で特別研究准
教授として 4 年半在籍し、このたび現職に採用
していただきました。エーザイ在籍中には医薬
品の微量分離分析や物性測定の新規手法開発等
を行い、平成 10 年に中川照眞先生(薬品機能
解析学分野教授(当時))にご指導をいただき
ながら博士(薬学)
(論博)を取得いたしました。
その後、平成 13 年− 15 年に南デンマーク大学
Matthias Mann 教授の研究室へ 2 年間留学した
ことをきっかけとして、質量分析計や微小化液
体クロマトグラフィーを駆使したプロテオミク
ス研究に課題をシフトし、現在にいたっており
ます。
現在進行中の研究テーマは主に 2 つあり、
(1)新しい分離系の開発とヒトプロテオーム一
斉解析システムへの応用
(2)リン酸化修飾を主とした細胞内シグナル伝
達ネットワークの解明
であります。(1)では、今まで培ってきた微量
分離分析学に基づき、非常に複雑でダイナミッ
クレンジの広い試料を究極の分離分析法でオン
ライン分離しながら質量分析計に送り込んでい
くシステムを現在開発中であります。すでに大
腸菌などの生物では発現している全タンパク質
の一斉分析が可能になっており、ヒトプロテ
オームへの展開が大いに期待されております。
(2)では、リン酸化されているものだけを高選
択的に濃縮する技術を開発し、リン酸化タンパ
ク質の解析をプロテオーム規模で行うことが可
能となりました。その結果、機能未知のシグナ
ル伝達関連タンパク質が数千個も見つかってき
たため、現在はこれらの未知タンパク質をプロ
テオーム規模で細胞内シグナル伝達ネットワー
ク中にマッピングしていくことが課題となって
います。
私は、これまで一貫して、
“Technology-Driven
Science”をキーワードに、新規分析技術開発
と生命科学への応用を中心テーマにして研究を
展開してまいりました。プロテオミクスはここ
数年の質量分析計の著しい高性能化にも関わら
ず、いまだに Technology の進歩が Science の前
進の律速段階になっています。常に新しい鍵
(計測技術)をもって、新しい Science のドア
を開けるパイオニアとなれるよう、今後も研究
に尽力いたす所存です。それとともに、グロー
バル化してゆく明日の日本を切り拓いていく優
れた人材を産業界・学術界に送り出せるよう、
教育にも力を入れていきたいと考えています。
薬友会会員の皆様からの温かいご支援とご指
導、今後ともよろしくお願いいたします。
−6−
就任のご挨拶
最先端創薬研究センター アルツハイマー・オミックス部門
京都大学薬友会会員の皆様方にはご清栄のこ
ととお慶び申し上げます。
2010 年 4 月大学院薬学研究科に設置されまし
た最先端創薬研究センターのアルツハイマー・
オミックス部門において診断法の開発研究を担
当させて頂くことになりました。
本研究センターは、内閣府最先端研究開発支
援プログラム「次世代質量分析システム開発と
創薬・診断への貢献(中心研究者:田中耕一客
員教授)」に関わるもので、質量分析解析技術
の進歩と応用手法の至適化を基盤として、がん
及びアルツハイマー病という極めて社会的重要
度の高い疾患の新たな診断・治療手法の開発を
目指す研究プログラムです。
私は神戸大学医学部を卒業後、内科臨床を経
験した後、生化学専攻の大学院生として研究生
活をスタートしました。木幡陽教授により確立
された複合糖質の分子構造解析手法を用い、香
港型インフルエンザウイルス赤血球凝集素の糖
鎖構造決定(学位論文)、赤血球系細胞の癌化
に伴う膜蛋白複合糖質構造の分子変化、乳汁中
ラクトトランスフェリンの新規糖鎖構造発見等
を行いました。当時の生化学系講座では、対象
研究試料蛋白の精製から構造解析に用いるエキ
ソグリコシダーゼ等の精製に至るまで自ら行う
のが原則で、この経験がその後の研究遂行で大
変役立ちました。次いで大学院特別研究学生と
して中西重忠教授(京大・医・免疫研究施設)
のもとで分子生物学研究手法の指導を仰ぎまし
た。その後母校の教官(放射線基礎医学講座)
となり、興味を持ったヒトの脳老化の生化学的
アプローチ、特にアルツハイマー病(AD)の
病態生化学の領域に進み、現在に至っています。
まず家族性 AD 由来 B リンパ芽球細胞系に
おいて β セクレターゼ様作用を示す 68kDa セリ
ンプロテアーゼの発見に至りましたが、これは
ヒト脳由来 β アミロイド含有ペプチドには全
松 本 明
く作用せず、β アミロイドの形成・分解系は組
織特異性の厳格な反応系であることが判明しま
した。その後ヒト脳から精製した酵素の活性探
索と同定を網羅的に行った過程で、ヒト脳型カ
ルボキシペプチダーゼ B(HBCPB)を発見・同
定いたしました。本酵素は特に海馬菱形ニュー
ロンの細胞質に著明な発現を認めますが、AD
脳では著減し、β アミロイド 1-42 の C 端アミノ
酸を消化する活性を持つことが明かになり、そ
の生理的機能を解明する研究を継続しておりま
す。2003 年から、
(財)
先端医療振興財団の研究
部長として、質量分析解析システム(SELDITOF-MS、MALDI-TOF-MS/MS)を用いた解析
により、髄液中あるいは血液中から HBCPB 結
合蛋白群(CPB-BPs)を新に探索・同定し、適
切な特異抗体の作成、早期 AD 病態診断候補
マーカーとしてアッセイ系の構築に努めていま
す。
確実な診断方法の開発と根本治療薬の開発は
治療の両輪です。AD の殆どを占める孤発型は
高齢者での発症率が極めて高く、患者本人のみ
ならずその家族の負担も大きい疾患であり、少
子高齢化社会が進む我が国にとってその本質的
な診断・治療手法の確立は喫緊の課題です。そ
の早期診断法は画像診断とともに、脳老化の本
質に関わりながら末梢での検出が可能な立体構
造特異的エピトープをいかに多く見出し、汎用
性の高いアッセイ系に纏め上げることができる
かにかかっていると思います。それゆえ今後の
質量分析機の解析感度の向上と前処理手法の至
適化は、未同定のエピトープ発見の可能性の向
上に大きく関わっていると考えています。
さて、私は大阪市に在住し、久しぶりの長距
離通勤にはこの夏の猛暑が大変こたえました。
今後の皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げ
ます。
−7−
就任のご挨拶
最先端創薬研究センター
がん・オミックス部門 薬友会会員の皆様には益々ご健勝のこととお
慶び申し上げます。私は平成 22 年 3 月に大学院
薬学研究科に設置された最先端創薬研究セン
ター(がんオミックス研究グループ)に特定教
授として 6 月に着任いたしました。本紙面をお
借りいたしまして自己紹介と就任の挨拶をさせ
ていただきます。
私は、北海道大学獣医学部及び大学院獣医学
研究科で放射線生物学を専攻し、学位取得は理
学研究科(タンパク質化学)でした。卒業後は
東レ株式会社に入社し、28 年間に亘り医薬研
究と臨床開発を担当いたしました。その後、文
部科学省国家プロジェクトのアドバイザーを兼
務したのを契機に東レを早期退職し、北大教授
/知的財産部長として産学連携・知財管理業務
を 4 年間担当いたしました。
研究歴からは京都大学とは少なからず「縁」
を感じております。まず、北大時代の指導教官
(吉井義一先生)は京大原子炉実験所助教授か
ら北大教授になられた方で、教室では 1 人関西
弁で意気軒昂な方でした。東レ入社後の最初の
開発テーマであったインターフェロン(糖タン
パク質医薬)では、京大ウイルス研が学術分野
のトップを走っており、学会で教えを乞う状況
でもありました。同様に二番目の開発テーマの
新規オピオイド系化合物でも、京大薬学部がオ
ピオイド系受容体研究を精力的に行っていたこ
とから、研究論文をよく読ませていただきまし
た。こうした京大の活動を知るにつけ、さすが
に独創性と存在感のある大学だなという感想を
持っておりました。
製薬企業で在職中に新薬創出につながる研究
開発は数分の一とも聞いておりましたが、私が
関わった二つのテーマはいずれも医薬品化に成
功し、大変幸運であったと思っています。特に
内 海 潤
後者のテーマは、私が企画提案した適応症が薬
理活性にフィットして開発が進み、日本オリジ
ンで世界初のκオピオイド系止痒薬として厚生
労働省から承認を取得することができました
(2009 年 1 月)。さらに大変光栄なことに、この
成果で当時の同僚と一緒に平成 22 年度の日本
薬学会創薬科学賞をいただくことができまし
た。
北大の知的財産部長時代は年間 300 件位の大
学特許の審査に当たる一方、地域クラスターや
トランスレーショナルリサーチなどの連携研究
の仕組み作りとプロジェクトマネジメントを経
験いたしました。その中で、産学連携は大学の
優れた研究があってこそ成功するもので、それ
なくしては徒労に終わる、という感慨を強く持
ちました。
その後、創薬経験と産学連携の実践を活かし
たく、京大最先端創薬研究センターに応募する
機会を得て、このたびメンバーの一員に加えて
いただきました。同センターは、国の最先端研
究開発支援プログラム(FIRST プログラム)で
島津製作所の田中耕一フェローを中心研究者と
する「次世代質量分析システム開発と創薬・診
断への貢献」のサブテーマ研究部門です。次世
代システムを研究現場で評価しつつ、疾患バイ
オマーカーと創薬標的分子候補を探索すること
が目的です。研究の舞台となるプロテオミクス
分野は世界的にも非常に競争が激しい分野でも
ありますが、私は今までの知識と経験をフルに
使って若いメンバーと一緒に見るべき成果を出
すよう尽力する所存です。
最後に、伝統を誇る薬友会の一員に加えてい
ただいたことに感謝しつつ、会員の皆様からの
ご支援とご指導を何卒よろしくお願い申し上げ
ます。
−8−
最先端創薬研究センターについて
■設立の経緯と目的
昨年、国(内閣府総合科学技術会議)は、基
礎研究から出口を見据えた研究開発までの様々
な分野で、「研究者最優先」の研究支援制度と
して 「最先端研究開発支援プログラム」(FIRST:
Funding Program for World-Leading Innovation
R&D on Science and Technology)を創設しまし
た。本プログラムは、優れた研究者を中心とし
て 3∼5 年で世界のトップを目指した先端的研
究を推進することにより、産業、安全保障等の
分野における我が国の中長期的な国際的競争
力、底力の強化を図るとともに、研究開発成果
の国民及び社会への確かな還元を図ることを目
的とし、30 のプロジェクト(研究課題と中心
研究者)を設定して平成 21∼25 年度で実施さ
れます。
そのひとつの、島津製作所フェローの田中耕
一氏を中心研究者として採択された課題「次世
代質量分析システム開発と創薬・診断への貢献」
は、島津製作所と京都大学が連携して実施する
プロジェクトです。田中フェローは、質量分析
(Mass Spectrometry: MS)の専門家であり、MALDI
(マトリックス支援脱離イオン化法)-MS の発明
者として 2002 年ノーベル化学賞を受賞いたし
ました。生体高分子のイオン化の主要な方法と
なっている MALDI は、発明から 25 年を経過し
た現在も発明者自らが感度や汎用性の向上に向
けて精力的に活動を継続していることは、その
発明と共に世界に高く評価されています。
連携研究を行う学術機関としては、京都大学
が選ばれました。これを受けて、薬学研究科で
は新たに最先端創薬研究センターを設置いたし
ました。
創薬研究は最先端の技術と科学の融合で初め
て世界と競争出来ます。薬学研究科では、従来
より時代の先端を拓く創薬研究を目指し多面的
研究を展開してきておりますが、同センターで
は、現在早期診断・治療で最も難渋している疾
患である、がん(乳がん、食道がん)、アルツ
ハイマー病に対しての新たな治療戦略構築を目
指し、京都大学医学部付属病院と連携して臨床
オミックス研究を推進します。研究陣には田中
フェローを客員教授としてお迎えし、がんオ
ミックス部門とアルツハイマー病オミックス部
門には新進気鋭の研究者を結集して研究を展開
いたします。さらに同センターは、新たな医学・
薬学研究における質量分析技術の応用、
“質量
分析学”
を開拓する人材の育成を図っていきます。
■研究概要と体制
本プロジェクトは次の 3 つのサブテーマに分
けて推進されます。
①サブテーマ 1/次世代質量分析システムの開
発(リーダー:田中耕一・島津製作所 田中
最先端研究所長)
本サブテーマは、次世代の質量分析(MS)
システムの開発です。仮説等に基づいてター
ゲット物質を絞り込み、それを釣り上げるため
の前処理法、極微量しか回収できない化合物を
高効率でイオン化する手法、感度が高く微細な
構造の違いまでをも見分ける質量分析装置、得
られたスペクトルから有意義な情報を導き出す
解析ソフトを開発することなどにより、より優
れた疾患関連マーカーを発見することや超早期
診断が可能な診断システムを構築することがで
きる、従来機に比べて世界最先端の超高性能な
次世代 MS システムの製作が目標です。
②サブテーマ 2/乳がん等の新規バイオマー
カー同定と創薬ターゲット探索(リーダー:
辻本豪三・京都大学大学院薬学研究科教授)
本サブテーマは、次世代 MS システムを用い
るプロテオーム解析技術を最大限活用し、新規
な乳がん関連バイオマーカーの探索・同定を中
心に、その利用から導かれるテーラーメード医
療と新規治療法の開発への貢献を目的としてい
ます。そのため、京都大学医学部付属病院と連
携して乳がんの早期診断バイオマーカーの探索
と新規治療法の開発のための標的分子の探索等
を進めています。本研究で確立する次世代 MS
システムを用いた疾患プロテオーム解析プラッ
−9−
トフォームは、他の疾患にも展開できるため、
基礎研究あるいは臨床研究上の価値も非常に大
きいと期待できます。
③サブテーマ 3/アルツハイマー病の早期診断
方法の開発(リーダー:杉本八郎・京都大学
大学院薬学研究科客員教授)
本サブテーマは、次世代 MS システムを駆使
することにより β アミロイド仮説および過剰リ
ン酸化タウに基づいたアルツハイマー病治療薬
の開発を支援するために、アルツハイマー病と
その予備群である軽度認知機能障害の血液サン
プルを用いた診断方法の開発を目指します。血
液サンプルからの診断することで、脳脊髄液か
らの診断に比べて一般の人も気軽に受診するこ
とができ、疾患の早期診断・治療に大きく貢献
します。
− 10 −
京都大学薬学記念事業レポート
「第 2 回 薬学の未来を考える京都シンポジウム」に参加して
平成 22 年 10 月 30 日(土)に第 2 回 薬学の未
来を考える京都シンポジウム―創と療の伝統と
革新―が、学内外から 116 名の参加を得て、本
学薬理ゲノミクス分野 辻本豪三 世話人の下で
本研究科記念講堂にて開催された。本シンポジ
ウムは、“日本の薬学”が今後進むべき道筋を
示すことを目的として、これまでの「21 世紀
の薬学を探る京都シンポジウム」をさらに発展
させたものであり、今回が第 2 回目の開催と
なった。今回のシンポジウムでは、島津製作所・
田中耕一フェローを中心研究者とする最先端研
究プログラム共同提案者の採択を受け、本年 3
月 1 日に京都大学薬学研究科に設置された最先
端創薬研究センターの紹介が行われた。最初に
佐治英郎研究科長から挨拶があり、本シンポジ
ウム開催の経緯と、最先端創薬研究センターに
ついて紹介があった。次にセンター長、辻本豪
三教授より最先端研究プログラムの位置づけ、
センター設置の経緯と組織概要について紹介が
あり、引き続き本研究科、赤池教授、佐治教授、
辻本教授、金子教授を座長として、センターに
着任された田中耕一客員教授、内海潤教授、杉
本八郎客員教授と学外からお招きした島津製作
所ライフサイエンス研究所 兼 経営戦略室の佐
藤孝明先生の 4 名による講演会を開催した。以
下にその内容を略述する。
た。また新薬開発において臨床ニーズを的確に
捉えるための市場調査、臨床医との綿密なコ
ミュニケーションが重要となること、さらには
実際の治療効果について臨床データを交えなが
ら解説された。最後に、基礎研究から臨床試験、
特許・知的財産等の幅広い先生のご経験を基に、
大学における創薬研究のあり方についても示さ
れた。
杉本八郎 先生
(薬学研究科最先端創薬研究センター・客員教授)
「アルツハイマー病の診断と治療、現状と将来
展望」
高齢化社会を迎えた我が国の大きな医療問題
の一つであるアルツハイマー病について日本に
内海 潤 先生
(本研究科最先端創薬研究センター・教授)
「世界初の新規止痒薬ナルフラフィンの開発と
その意義」
最初に日本における創薬の現状について、
年々膨大になる研究開発費用、基礎研究から臨
床試験への移行における開発戦略等についてご
説明頂いた。次に、先生がこれまでに企業で携
わってこられた世界初の新規止痒薬ナルフラ
フィン開発の経緯を示された。当初の痛みの治
療薬開発から痒みの治療薬開発へと方針を変更
することになった研究経緯と開発戦略について
当時の開発現場の様子を交えながら説明され
− 11 −
おける現状、また治療戦略に関して世界の動向
を交えながら説明された。また、先生が開発に
携われた日本で唯一のアルツハイマー病治療薬
「アリセプト(塩酸ドネペジル)」と、海外で使
用される治療薬の現状についても解説された。
アルツハイマー病の進行を遅らせ、症状を改善
させる対処療法薬としてのアリセプトと共に、
今後はアルツハイマー病の根本治療に向けて、
病態と関連する β アミロイド、タウタンパク
質等が創薬ターゲットとなり得ること、さらに
Mild Cognitive Impairment(MCI)と呼ばれるア
ルツハイマー予備軍に注目し、早期発見のため
のバイオマーカー探索から創薬に向けた研究を
展開される強い意欲を示された。
田中耕一 先生
(薬学研究科最先端創薬研究センター客員教授・
島津製作所フェロー)
「創薬・診断に貢献する次世代質量分析システ
ムを構築する」
最初に本プロジェクト中心研究者として、プ
ロジェクトが目指す研究の方向性と医療への貢
献という道筋を示された。田中フェローが確立
された質量分析を基盤とした最先端技術の解説
と医療応用への可能性を独自の視点を交えて興
味深く解説された。本プロジェクトが掲げる目
標の一つである現状の 1 万倍の高感度分析を可
能とする次世代質量分析計の開発により、がん
やアルツハイマー病等の革新的臨床診断手法開
発や分子標的薬の創薬を図り、医療費の軽減や
国民の健康増進に結びつくことを説明された。
最後に、本プロジェクトが若手研究者の育成に
も力を入れており、自由な発想を大切にするこ
とが次世代の優秀な研究者育成に繋がるという
考えを示され、田中先生のお人柄が現れたご講
演であった。
佐藤孝明 先生
(島津製作所ライフサイエンス研究所 兼 経営戦略室)
「最先端プロにおける診断・創薬技術への展開」
質量分析計を利用したプロテオミクス分野に
おける最新のテクノロジー開発とその現状、ま
た診断・創薬への応用を目標とした研究戦略を
説明された。質量分析計と顕微鏡を組み合わせ
た革新的技術である質量顕微鏡についての解説
と本装置を用いることにより可能となる組織切
片の高解像度の新規イメージング技術について
解説された。次に高感度に標的タンパク質の検
出を可能にする超可変抗体技術の説明と本抗体
により補足されたタンパク質を質量分析計によ
り同定する技術について、それぞれの有用性を
具体的なデータを交えながら示された。質量分
析の新たな可能性を多方面のプロテオミクスア
プローチと融合させた研究展開と、医療への応
用という観点も含めて説明された。
最後に清水一治教授より、「科学と技術」と
題して本プログラムで開発が期待される次世代
超高感度質量分析計という技術の進歩が科学を
大きく発展させる技術革新になり得ることを、
科学の歴史を振り返りながら解説された。さら
に、日本の科学の発展と、国民の健康への貢献
− 12 −
という観点から、本プログラムに期待される創
と療の革新的進歩の重要性について示され、閉
会の辞となった。
本講演会は多くの方にご出席頂き活発な質疑
応答が行われた。引き続き教育棟 1 階ホールに
会場を移して懇親会が開催された。懇親会では、
学生、若手研究者と講演された先生方の活発な
意見交換がされていた。また、名誉教授の先生
方、卒業生の方々、教職員並びに学生が講演会
の余韻を楽しみながら親睦を深め合い、本シン
ポジウムは盛会のうちに終了した。最後に、ご
講演頂いた先生方と参加者の皆さんに厚く御礼
を申し上げ報告を終えたい。
− 13 −
平澤 明(薬理ゲノミクス分野)
原 貴文(最先端創薬研究センター)
旧師探訪
∼河合明彦先生∼
残暑がまだまだ厳しい八月末日(火曜日)、
恩師 河合明彦先生の勤務先である(財)生産
開発科学研究所(通称「生研」)を酒井博幸(京
大ウイルス研・准教授)、中村暢宏(京都産業大・
教授)、栃倉匡文(薬学研究科・特定准教授)
の 3 名で訪問しました。生研は下鴨神社にほど
近いところに在りますが、実は薬学部とも縁が
あり、昭和 22 年に京大薬学部の一室を借用し
て発足した(財)生活科学研究所がその前身で
す。今から 50 年程前に現在地に移転され、産
学連携の専門機関として多岐にわたる自然科学
分野の研究が行われています。
河合先生は、京大を定年退職された平成 18
年に生研に移られ、現在に至っておられます。
久し振りにお会いした先生はお元気そうで、大
学におられた頃の雑務から開放されたことも
あってか、以前にも増して一層生き生きと見受
けられました。生研本館 1 階にあるレストラン
「グリル生研」でランチをご馳走になりながら
近況をお話していただきました。まず河合先生
が「トリプルワーク」と呼んでおられる現在の
ライフスタイルですが、大事な収入源として、
週に 3 回伏見にある介護老人保健施設で医師と
して認知症やリハビリ中のお年寄りの診療を
行っておられます。また、京都文教短大におい
て非常勤講師として解剖学や医学一般の講義を
週 3 回されています。そして、3 つ目は学術研
究ですが、基本的には土・日曜を含めて、診療
と講義以外の全ての時間を研究に充てておられ
るそうです。現役時代と変わらぬ研究漬けの
日々で、「毎日が充実していて、とても楽しい」
とおっしゃっていました。生研でもご専門の狂
犬病ウイルスの研究を続けられておられ、現在
の研究テーマの一つは「食材に含まれる抗ウイ
ルス活性物質の探索」だそうです。アズキが出
芽に際して放出する種々の生理活性物質の中に
抗ウイルス活性物質が含まれることに着目さ
れ、その活性物質本体を明らかにすることを目
的として他大学と共同で精力的に研究を進めら
れています。先生によると、赤アズキには抗ウ
イルス活性があるが白アズキにはないそうで、
その理由としてアントシアン関連物質の有無を
考えておられるようです。ほかに、現役時代か
らのウイルスタンパク質の構造と機能との関連
性の研究も続けておられます。
レストランで 2 時間程お話を伺った後、記念
撮影をし、最後に研究室を見せていただきまし
た。第 5 研究室と書かれたドアを開けると、い
きなりそこには昔の教授室さながらの、うず高
く積まれた書籍の山々が…。横の流しにはさり
げなく水に浸かった白アズキがありました。何
日浸しておいても腐らないそうで、白アズキに
はアントシアン以外の抗菌性物質の存在が期待
されるそうです。奥の部屋には安全キャビネッ
トと倒立顕微鏡が、また右の部屋にはディープ
フリーザー(3 台)および最新式の蛍光顕微鏡
が置いてありました。外の雑音は殆ど聞こえず、
研究に没頭するのにはピッタリの環境でした。
薬友会の皆様には河合先生がお元気でお過ご
しのご様子であることをご報告し、また分子微
生物学講座の同窓生の皆様には先生をご訪問さ
れることを是非お勧めします。昔にタイムス
リップしたような懐かしいあの時代に戻れま
す。河合先生のご多幸と益々のご発展をお祈り
して本稿の結びとさせていただきます。
酒井 博幸(院 35 回卒)
中村 暢宏(院 35 回卒)
栃倉 匡文(分子微生物学講座・元助手)
− 14 −
「会員便り∼ブルーバックスをもう読まれましたか?」
松崎 勝巳(薬品機能解析学教授)
京都大学大学院薬学研究科では、創薬の魅力
を広く一般にアピールするため、講談社ブルー
バックスより「新しい薬をどう創るか 創薬研
究 の 最 前 線 」 を 刊 行 し、 好 評 を 得 て い ま す
(ISBN978-4-06-257541-6)。これまでに 1 万 8000
部を発行しました。
10 名の教員の分担執筆で、創薬の基本的な
考え方から、ドラッグデリバリーシステム、ゲ
ノム創薬など最新の研究まで幅広く紹介してい
ます。まだ、お読みになっておられない方は、
是非この機会にご一読下さい。
(編集担当:松崎勝巳)
目 次
第 1 章 薬創りは『健康と病気の違いを知ること』から始まる
(中山和久)
第 2 章 薬を合成する∼薬創りに王道なし、薬の創造から製造
まで∼
(竹本佳司)
第 3 章 薬のターゲットタンパク質の構造を決定する
(加藤博章)
第 4 章 薬をデザインする∼勘と経験からコンピューターナビ
ゲーションへ∼
(仲西 功)
第 5 章 薬がなぜ効くかを調べる
(金子周司)
第 6 章 抗ウイルス剤の開発
(大高 章)
第 7 章 日本発 世界が驚いたアルツハイマー病治療薬の開発
(杉本八郎)
第 8 章 生体防御の仕組みから抗菌剤を創る∼平成版ガマの油
の話∼
(松崎勝巳)
第 9 章 体の中の薬の動きを自由にあやつる
(高倉喜信)
第 10 章 ゲノムで変わる医療、創薬
(辻本豪三)
− 15 −
「会員便り∼第 37 回卒業生同窓会」
西村 桂子(第 37 回卒)
薬学部記念講堂で「薬学の未来を考える京都
シンポジウム」が開催された 10 月 30 日に、私
達 37 回卒 23 名は京都岡崎に集まりました。近
畿に最接近した季節外れの台風 14 号も、私達
の熱い思いが南に押しやり、集合時間の午前
10 時過ぎには雨も止み、午後には晴れ間さえ
見えました。
首都圏では年に数回、関西地区でも数年に一
度有志が集まってはいましたが、卒業生全員に
呼びかけての全体会は卒業後19年振り1995年3
月、阪神大震災の2ヶ月後に芝蘭会館で開催した
のが初めてでした。2 回目は 9 年後の 2006 年 10
月京大会館で開催し、今回は3回目になります。
卒業以来、日本全国、世界各地で活躍してい
る仲間ですが、同窓会は懐かしい京大周辺でと
いう声が多く、今回も岡崎「白河院」で同窓会
を行いました。
前回までの会では卒業後 20 年以上経って初
めて会う人が多く、出席者の自己紹介だけで結
構盛り上がって終わりました。今回は趣向を変
えて同窓会の前に、岡崎に散在する有名な別荘
群の中のひとつ、住友家の別荘「有芳園」拝観
ツァーを計画しました。隣接した住友コレク
ションを保有する「泉屋博古館」で数々の中国
青銅器や日本美術(屏風絵、襖絵、茶碗、磁器
等)を三々五々鑑賞した後、住友史料館の研究
員の方の案内で、雄大な別荘内を回遊しました。
古の都の岡崎にひっそりと佇む別荘。内に能舞
台まである邸宅の縁側に座り、住友家の好むシ
ンプルさを庭師の小川治兵衛さんが東山を借景
にし、疎水の流れを取り入れ、見事に築いた庭
を眺めて、ひととき住友家の当主になったよう
な気持ちになりました。普段私達が関わってい
る医療と全く異次元の世界に触れて、暫し現実
を忘れた時間を過ごしました。
同窓会場の白河院では同じ小川治兵衛さんの
築庭を眺めつつ、会席料理に舌鼓を打ちながら、
ひとり一人が前回から 4 年の間の近況報告をし
ました。自分の事、子供の事、孫の事、4 年間
にそれぞれ波瀾万丈、変化に富んだ人生があり、
感慨深く聴きました。
また、卒業時にはその存在すら知らなかった
京都大学 1976 年卒全理系学部卒卒業アルバム
を藤吉彰君が持参してくれ、参加者は 34 年前
の自分の姿に驚愕の思いを抱きました。
同窓会を終えて懐かしい京大周辺を散策しつ
つ、10 月 1 日に約四半世紀振りに再オープンし
た楽友会館の会議室で全員参加の二次会をし、
同窓会の最後をしめくくりました。
今回の参加者の近況報告で、皆が激動の時代
を生きており、また、年齢的にも社会で、家庭
で、変化の大きな時期に来ていますので、次回
は早い目 2∼4 年後の還暦前後に元気で再会出
来ることを約束して楽しい一日を終えました。
有芳園門前にて
白河院庭園にて
− 16 −
「会員便り∼第 51 回卒業生同窓会」
青木 宏光(第 51 回卒)
2010 年 3 月 13 日にホテルフジタ京都にて第
51 回卒業生の同窓会を開催しました。薬学部
創立 70 周年記念式典の際、大学に残っている
西川君の発案で、卒後 20 年になるので同窓会
をやろうという話になったようで、鳩野君とと
もに同窓会の開催に奔走して頂きました。この
話を聞いて、ちょうど我々が学部 4 年生の時、
50 周年記念式典が現在の新研究棟の建ってい
る場所(当時は駐車場)で行われたことが懐か
しく思い出されました。
当日は 30 名に、参加できないかもしれない、
との連絡があった 2 名の飛び入り参加で 32 名で
の開催となりました。今は亡き友人 2 名の冥福
を祈り、黙祷を捧げた後、乾杯、歓談、近況報
告と進んでいきました。20 年という歳月が流
れ、会社、大学、地域で頑張っているもの、子
育てに奮闘しているものなど、学生時代とは
まったく状況は異なるのは当たり前ですが、一
瞬で昔に戻れるのが同級生の良いところ。楽し
い一時を過ごすことができました。卒業アルバ
ムの写真の上映も行われ、懐かしい思いに浸る
と共に、当時、不勉強だった私を(恐らく私だ
けではないはず)無事、卒業させてくれた恩師
の寛大さに、今更ながら感謝するばかりです。
また、HP に同窓会の掲示板を作成してくれた
お陰で、仕事の都合などで参加できなかった方
からも、近況報告を頂くことができました。今
回の同窓会を企画、運営してくれた友人に御礼
申し上げます。
同窓会の後、新しくなった薬学研究棟を見学
させてもらい、その変容ぶりに驚くと共に、現
在、薬学部で学んでいる学生さんが羨ましくも
なりました。テニスコートは昔のままでしたが、
以前は近衛通が透けて見えていたのが、今では
木が覆い茂り、通りがまったく見えなくなって
おり、時の流れを感じました。「友情は成長の
遅い植物である」とはジョージ・ワシントンの
言葉ですが、学生時代の友人たちとの友情をこ
れからも大切に育んでいきたいと思います。末
筆になりましたが、薬友会会員の皆様のご健勝
と、当会の益々のご発展をお祈り申し上げます。
− 17 −
人 事 異 動
(平成 21 年 11 月 1 日∼平成 22 年 10 月 31 日)
氏名
年 月 日
異動内容
山﨑 哲男
平成 21 年 12 月 15 日
辞職(生体分子認識学分野准教授)
(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部教授へ)
鈴木ちぐれ
平成 21 年 12 月 31 日
辞職(サービス・イノベーション人材育成特定助教)
(順天堂大学助教へ)
山内 肇
平成 22 年 3 月 31 日
辞職(大学院教育改革支援プログラム特定助教)
(京都大学大学院薬学研究科助教へ)
富岡 清
平成 22 年 3 月 31 日
辞職(薬品合成化学分野教授)
(同志社女子大学教授へ)
山森 元博
平成 22 年 3 月 31 日
辞職(統合薬学フロンティア教育センター助教)
(武庫川女子大学薬学部講師へ)
村田 克美
平成 22 年 3 月 31 日
半田 哲郎
平成 22 年 3 月 31 日
定年退職(製剤機能解析学教授)
(鈴鹿医療科学大学薬学部教授へ)
乾 賢一
平成 22 年 3 月 31 日
定年退職(医療薬剤学教授)
(京都薬科大学学長へ)
新留 徹広
平成 22 年 3 月 31 日
任期満了退職(創薬神経科学講座准教授)
(エーザイ株式会社筑波研究所研究員(室長)へ)
木原 武士
平成 22 年 3 月 31 日
任期満了退職(創薬神経科学講座講師)
(洛和会みささぎ病院常勤医師へ)
山本 康友
平成 22 年 3 月 31 日
任期満了退職(統合薬学フロンティア教育センター助教)
(同志社女子大学特任助手へ)
服部 正泰
平成 22 年 3 月 31 日
辞職(統合ゲノミクス助教)
(東京工科大学応用生物学部准教授へ)
柿澤 昌
平成 22 年 4 月 1 日
採用(生体分子認識学分野准教授)
(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科講師より)
山内 肇
平成 22 年 4 月 1 日
採用(遺伝子薬学分野助教)
(大学院教育改革支援プログラム特定助教より)
松本 明
平成 22 年 4 月 1 日
採用(最先端創薬研究センター特定拠点教授)
((財)先端医療振興財団脳疾患病態解析部部長より)
小澤健太郎
平成 22 年 4 月 1 日
採用(最先端創薬研究センター特定拠点助教)
(金沢大学医薬保健研究域医学系助教より)
津元 裕樹
平成 22 年 4 月 1 日
採用(最先端創薬研究センター特定拠点助教)
(名古屋市立大学大学院薬学研究科特任助教より)
寺澤 和哉
平成 22 年 4 月 1 日
採用(最先端創薬研究センター特定拠点助教)
(NEDO 助教より)
辞職(システムケモセラピー(創薬計算化学)助教)
− 18 −
氏名
年 月 日
異動内容
原 貴史
平成 22 年 4 月 1 日
採用(最先端創薬研究センター特定拠点助教)
(立命館大学生命科学部助教より)
佐野 紘平
平成 22 年 4 月 1 日
採用(病態機能分析学分野特定助教)CK プロジェクト
(九州大学大学院薬学研究院助教より)
内海 潤
平成 22 年 6 月 1 日
採用(最先端創薬研究センター特定拠点教授)
(北海道大学創成研究機構特任教授より)
山岡 清
平成 22 年 6 月 29 日
栄田 敏之
平成 22 年 7 月 31 日
辞職(統合薬学教育フロンティアセンター特定教授(特別
教育研究))
(統合薬学教育開発センター教授へ)
栄田 敏之
平成 22 年 8 月 1 日
採用(統合薬学教育開発センター特定教授(特別教育研究))
(統合薬学教育開発センター教授より)
天野 博夫
平成 22 年 8 月 1 日
採用(統合薬学教育開発センター特定助教(特別教育研究))
(病態機能分析学研究員より)
石濱 泰
平成 22 年 10 月 1 日
採用(製剤機能解析学分野教授)
(慶應義塾大学政策・メディア研究科特別研究准教授より)
藤井 信孝
平成 22 年 10 月 1 日
採用(統合薬学フロンティア教育センター特定教授(特別
教育研究))
(理事より)
休職期間満了退職(病態情報薬学准教授)
− 19 −
受 賞
(平成 21 年 11 月 1 日∼平成 22 年 10 月 31 日)
氏 名
年 月 日
受 賞 名
高倉 喜信
平成 21 年 11 月 8 日
Fellow of the American Association of Pharmaceutical
Scientists
川上 茂
平成 21 年 11 月 28 日
DMPK Award for the Most Frequently DownLoaded Review
Article in 2007
山本 康友
平成 22 年 1 月 8 日
平成 21 年度 日本薬学会近畿支部奨励賞
中川 貴之
平成 22 年 3 月 17 日
第 25 回日本薬理学会学術奨励賞
土居 雅夫
平成 22 年 3 月 25 日
(社)日本内分泌学会
平成 21 年度 第 10 回若手研究奨励賞
内海 潤
平成 22 年 3 月 27 日
平成 22 年度 日本薬学会創薬科学賞
瀬木(西田)恵里
平成 22 年 3 月 27 日
平成 22 年度 日本薬学会奨励賞
塚野 千尋
平成 22 年 7 月 7 日
第 10 回天然物化学談話会奨励賞
橋田 充
平成 22 年 7 月 13 日
Controlled Release Society, Fellow of the CRS
橋田 充
平成 22 年 8 月 29 日
International Pharmaceutical Federation, FIP Fellow Award
2010
橋田 充
平成 22 年 10 月 8 日
日本薬物動態学会、平成 22 年度学会賞
− 20 −
博士(薬学)の学位授与される
平成 22 年 1 月 25 日
勝 見 英 正
高分子型一酸化窒素供与体の開発とその体内
動態制御に関する研究
寺 北 晃
Effects of Additives on Physical and Chemical
Stability of Drug in Solid State Formulation(固
体製剤中の薬物の物理的及び化学的安定性に
及ぼす共存化合物の影響に関する研究)
平成 22 年 3 月 23 日
相 田 一 樹
高感度バイオ蛍光分析のための含ランタニド
蛍光試薬の開発に関する研究
太 田 悠 介
Synthesis of Nitrogen-Containing Polycyclic
Compounds through Copper-Catalyzed MultiComponent Reaction(銅触媒による多成分反
応を利用した含窒素多環式化合物の合成)
渡 部 敏 明
Synthetic Studies on Nitrogen Heterocycles by
Transition Metal-Catalyzed C-H Bond Functionalization and Their Synthetic Application to
Biologically Active Compounds(遷移金属触媒
を用いた C–H 結合官能基化による含窒素複
素環の合成と生物活性物質への応用)
佐 藤 智 洋
エナールの閉環反応を鍵とする光学活性 5 員
環化合物の合成研究
榎 本 太 郎
カチオン性 Au(I)触媒によるアルキンの活
性化を基盤とする含窒素複素環構築法の開発
とヒドロイソキノリンアルカロイドの合成研究
上 﨑 春 陽
パラジウム触媒を用いた分子内アミド化を経
由するラクタム環化反応の開発
江 川 響 子
Structural Biology Studies on the Overexpression
and Translocation of Peroxisomal Membrane
Protein(ペルオキシソーム膜タンパク質の大
量発現と膜局在化に関する構造生物学的研究)
阿 部 峰 大
Development of peptide inhibitors of the receptor
tyrosine kinase activity in a novel inhibitory
mechanism(受容体型チロシンキナーゼに対
する新規メカニズムを有する活性阻害ペプチ
ドの開発)
福 田 正 和
Spontaneous Reconstitution of Discoidal HDL
from Model Membranes by Apolipoprotein A-I
(アポリポタンパク A-I によるモデル膜の自
発的なディスク状 HDL 化)
宇留野 義 治
D, L-型オリゴマーの構造特性を利用した新
規物質創製
宇 田 篤 史
小胞体における新規タンパク質の生理機能解析
森 田 一 平
神経可塑性における HNK-1 糖鎖機能に関す
る研究
三 輪 裕 幸
神経系特異的に発現する新規 BMP アンタゴ
ニ ス ト Brorin 及 び Brorin-like の 発 見 と そ の
機能解析
齋 藤 明 奈
Three Homologous ArfGAPs Participate in Coat
Protein I-mediated Transport(ArfGAP1ArfGAP3 は COPI 依存的な輸送経路で働く)
森 﨑 達 也
マルチ亜鉛フィンガータンパク質の細胞内挙
動に関する研究
大 西 正 俊
出血性脳障害におけるミクログリアおよび
MAP キナーゼ経路の役割に関する研究
呉 曉 峰
Roles of angiotensin type 1 receptor signaling in
neuroprotection(アンジオテンシン 1 型受容
体による神経保護作用の研究)
髙 橋 淳
アルツハイマー病治療薬としてのカーバメー
ト系コリンエステラーゼ阻害薬に関する研究
松 田 賢
ミクログリア及び成体神経幹細胞からの
ニューロン新生を制御する因子に関する研究
− 21 −
森 大 輔
脳内ニコチン性アセチルコリン受容体の核
医学分子イメージングのためのテクネチウ
ム-99m 標識分子プローブの開発に関する研究
関 心
Development of DNA vaccine-based anti-tumor
immunotherapeutic system(DNA ワ ク チ ン に
基づく抗腫瘍免疫治療システムの開発に関す
る研究)
小笠原 健
腎有機イオントランスポータの転写制御に関
する研究
津 田 真 弘
遺伝子発現系及びノックアウトマウスを用い
た H+/ 有機カチオンアンチポータ MATE の
薬物動態学的役割に関する研究
西 原 久美子
単離尿細管を用いた腎病変進展の分子機構解
明に関する研究
塩 瀬 能 伸
カテプシン感受性ペプチドスペーサーを有す
る抗癌剤―カルボキシメチルデキストランポ
リアルコール結合体の薬物遊離特性と抗腫瘍
効果の関連に関する研究
藤 田 恵 美
Stabilization of a Formaldehyde-Sensitive Drug
Substance by Meglumine and a CompressionSensitive Drug Substance by a Wet-Granule
Tableting Method(ホルムアルデヒドにより
分解する薬物のメグルミンによる安定化及び
加圧により分解する薬物の湿製錠法による安
定化)
山 本 康 友
高活性複合系リチウムエステルエノラートの
不斉 Michael 反応と3連続不斉点構築への展開
平成 22 年 7 月 23 日
相 根 康 司
神経系特異的 ADAM 分子の機能解析研究
平成 22 年 9 月 24 日
張 凱 琳
Development of histidine-modified gene carriers
for improving transfection via enhanced
endosomal escape(エンドソーム脱出による
遺伝子導入改善を目的としたヒスチジン修飾
遺伝子キャリアの開発)
博士(薬科学)の学位授与される
平成 22 年 3 月 23 日
類 家 慶 直
トランスクリプトーム・メチローム解析に基
づく網羅的遺伝子機能探索に関する研究
岡 野 晃 典
Development of Efficient Methodologies for
Construction of Bicyclic Heterocycles by
Palladium-Catalyzed Domino Cyclization(パラ
ジウム触媒を用いたアレン及びアルキンへの連
続環化反応による二環性複素環構築法の開発)
佐 藤 美 穂
核 – 細胞質間輸送因子 Transportin1 の発現解
析と遺伝子欠損マウスの作出
山 田 裕 之
Molecular Clocks in Mouse Skin(マウス皮膚
における分子時計)
財 部 将 孝
ネットワーク情報に基づく薬物相互作用の特
徴解析
田 中 道 廣
真核生物ゲノムの多様性とリン脂質分子種の
多様性の関連解析
平成 22 年 9 月 24 日
孫 琦
GPR 120 Receptor-Ligand Interaction: Design
and Pharmacological Characterization of Novel
GPR120 Agonist(GPR120 受容体とリガンド
の相互作用:GPR120 の新規アゴニストの開
発と薬理特性に関する研究)
− 22 −
修士(薬学)の学位授与される
平成 22 年 3 月 23 日
今 井 こずえ
ゲル化能を増強する直鎖ジアミドの添加化学
金 東 鉉
環状テトラアミドゲル化剤の創製
高 濱 佑 次
イソシアナートのアルキル化―ブロモラクタ
ム化ワンポットプロセス
那 須 裕 之
リチウムアミド―キラルジエーテル配位子錯
体の NMR 解析
原 田 慎 吾
リチウムアミドの不斉共役付加―アルキル化
反応を鍵とするアスピドスペルマアルカロイ
ドの不斉全合成
坂 本 翔 太
アミノチオウレア触媒を用いた不斉ニトロシ
クロプロパン化反応の開発
永 本 祐 樹
スピロシクロプロパンを与える環縮小転位反
応の開発と生理活性物質創製へのアプローチ
幸 林 美由紀
シソ属植物の精油成分生合成に関する検討―
GPP からシトラ−ルに至る反応について―
増 本 直 子
シソ属植物の精油成分生合成に関する検討―
ゲラニオールおよびリナロール合成酸素につ
いて―
大 前 薫
新規小分子蛍光ラベル法による生細胞での
GPCR オリゴマーの検出
小 川 麻里子
アミロイド β 蛋白質(1-42)と(1-40)の細胞膜
上における凝集挙動の比較
平 松 直 子
転写因子 Sp1 における転写活性化ドメイン間
相互作用の解析
増 原 泰 英
高分解能 NMR 解析のための分子シャペロン
カプセル化システムの構築
中 村 駿
概日時計関連タンパク質 Cryptochrome の X
線結晶構造解析に適した分子種の探索
東 拓 人
ホスホリパーゼ D 反応性に対するリン脂質
膜環境の影響
宮 崎 公 一
脂質蛍光プローブを用いたディスク状 HDL
の構造評価
山 本 容 輔
脂質ナノディスクに再構成した上皮成長因子
受容体のリン酸化活性および新規阻害剤の機
能評価
和 田 祏 典
蛍光分光法および時分割中性子散乱法を用い
たリン脂質輸送タンパク質 Sec14 の機能解析
上 田 善 弘
求核触媒を用いる糖類の位置選択的官能基化
坂 井 啓 紀
不斉軸に直結したカルベン炭素を有する新規
NHC の開発
多久和 正 訓
α-アミノ酸を出発物質とする多置換 β -ラクタ
ムの不斉合成
三 代 憲 司
基質認識型触媒を用いる D-Glucose 特異的ア
シル化
大 﨑 真佐子
calumin 欠損マウスにおける血管形成異常
合 田 隆 久
骨格筋における小胞体膜タンパク質ミツグミ
ン 23 の役割
鮫 島 健 彦
高度な糖鎖付加を受ける接着分子 SynCAM
の神経突起伸長作用に関する研究
三 島 彩
肺胞上皮細胞における小胞体膜タンパク質
TRIC-B の生理的機能
矢 野 理 史
BSRPs 欠損マウスにおける薬物誘発性けい
れん感受性の低下
大 橋 正 和
Analysis of the interferon system in mouse
neuroblastoma C1300 cells(マウス神経芽細胞
− 23 −
腫 C1300 におけるインターフェロンシステム
の解析)
馬 場 啓 子
生体膜リン脂質非対称性を司るフリッパー
ゼ の 細 胞 内 局 在(Subcellular localization of
flippases that determine phospholipid asymmetry
in biological membranes)
上 西 良 泳
Molecular mechanism of serotonin efflux induced
by a psychostimulant, MDMA(合成麻薬 MDMA
によるセロトニン放出の分子メカニズム)
河 本 愛
A critical role of TRPM2 channel in inflammatory
and neuropathic pain(炎症性および神経障害
性疼痛における TRPM2 チャネルの役割)
永 安 一 樹
Mechanisms of sustained MDMA-induced
augmentation of 5-HT release in raphe serotonergic
slice culture(縫線核培養切片への MDMA 慢
性処置による 5-HT 遊離増強現象の解析)
椎 野 円
新規分泌性タンパク質 Neudesin の脂肪組織
形成における機能解析
新 野 智 香
神経系特異的に発現する新規 Wnt アンタゴ
ニスト Neucrin の機能解析
村 田 雄 亮
Fgf 21 の脂質代謝における生理的意義の解明
湯 浅 英 司
zebrafish Fgf19 の心臓形成における機能解析
髙 島 皓 平
Arf のグアニンヌクレオチド交換因子 BIG1 と
BIG2 のトランスゴルジ網局在化機構の解析
(Analysis of mechanisms that underlie TGN
localization of BIG 1 and BIG 2 , Arf-guanine
nucleotide exchange factors)
武 井 朋 美
細胞質分裂における低分子量 GTPase Arf6
の 局 在 と 機 能(Localization and function of a
small GTPase, Arff6, during cytokinesis)
藤 田 淳 人
in silico 手法を用いた新規抗 HIV 化合物の標
的タンパク質の予測(Predicting target proteins
of novel anti-HIV inhibitors using in silico
method)
森 本 和 志
急性炎症における PGE₂-EP3 受容体と PGI₂IP 受容体シグナルの異なる役割(Different
Roles of PGE 2-EP 3 and PGI 2-IP Signaling in
Acute Inflammation)
今 村 智 佳
転写因子 Sp1 と GATA-1 のジンクフィンガー
ドメイン間相互作用の解析
片 山 沙綾香
脂肪酸修飾による膜透過ペプチドの細胞内移
行亢進
小 西 雄 介
膜透過性アルギニンペプチドのマウス体内動
態と腫瘍指向性に関する研究
辰 谷 和 弥
zif268ジンクフィンガーの疎水性コアにおける
Arg 残基の効果
大 谷 祐 基
Development of in vivo long-term gene expression
system in the kidney using ΦC31 integrase in
mice(ΦC31 integrase を用いたマウス腎臓での
in vivo 長期遺伝子発現系の構築)
奥 村 聡 子
Development of primary mesenchymal stem cells
with long-term expression of EmGFP using
transposon(トランスポゾンを用いた EmGFP
を長期発現する初代培養間葉系幹細胞の構築)
髙 橋 晴 之
Investigation of transfection characteristics by
pressure-mediated transfection method in rat
kidney(ラット腎臓における組織押圧核酸導
入法による遺伝子発現特性に関する検討)
谷 名 宏 允
Evaluation of intratracheally instilled liposomal
doxorubicin for inhibition of lung metastasis in
mice(マウスを用いたドキソルビシン内封リ
ポソーム気道内投与による肺転移抑制効果の
評価)
鄭 雲 龍
Inhibition of bone metastasis by catalase delivery
to the bone(カタラーゼの骨デリバリーによ
る骨転移の抑制)
増 田 真理恵
Development of anti-MUC1 aptamer/amino acid
dendrimer bioconjugates for tumor cell targeting
− 24 −
(癌細胞指向型抗 MUC1 アプタマー / アミノ
酸デンドリマー結合体の開発)
泉 尾 直 孝
アミロイド β タンパク質誘発神経毒性に対す
るセロフェンド酸の保護作用およびセロフェ
ンド酸結合タンパク質の探索
市 川 茉莉那
ラット初代培養心筋細胞における酸化ストレス
に対する sulforaphane の保護作用機序の解析
加 藤 優
興奮毒性に対する非線維状アミロイドベータ
(nAβ)の神経保護作用に関する研究
QAND AGHA NAZARI
Evaluation of anti-oxidant activity of natural
products using oxidative stress model induced
by intrastriatal microinjection of sodium
nitroprusside in mice(Sodium nitroprusside の
線条体内投与により誘発されるマウス酸化ス
トレスモデルを用いた天然物の抗酸化活性の
評価)
松 島 さやか
Nrf2-ARE 経路によるパラコート誘発細胞死
の制御
武 藤 千 恵
培養線条体細胞における酸化ストレスに対す
るピーチ果汁エーテル抽出物の保護活性成分
の解析
脇 田 誓 子
中脳ドパミンニューロンの突起伸長における
線条体ニューロンの役割に関する解析
石 川 真奈美
アルツハイマー病脳内 β アミロイドタンパク
質の検出を目的とした boron dipyrromethene
(BODIPY)誘導体の合成と評価
小 川 祐
糖尿病超早期診断のための膵臓 β 細胞 GLP-1
受容体結合型放射性イメージングプローブの
開発研究
利 川 香 衣
ペプチドトランスポーターを介する細胞内取
込みを集積機序とした F-18 標識ペプチド性
腫瘍イメージングプローブの開発
宮 野 梓
腫瘍核医学分子イメージングのための低酸素
特異的安定型プローブの開発に関する基礎的
検討
渡 邉 裕 之
MT1-MMP を標的とした乳がん悪性度診断用
核医学分子イメージングプローブの開発に関
する基礎的研究
安 藤 満
Control of spatiotemporal distribution of IFN-γ
for optimization of IFN-γ gene therapy(IFN-γ
遺伝子治療最適化のための IFN-γ 時空間分布
の制御)
末 原 徹 也
Acceleration of wound healing by increasing
survival of transplanted cells using adhesamine, a
synthetic cell adhesion molecule(合成細胞接着
分子 adhesamine を利用した移植細胞延命化
による損傷治癒の促進)
滝 口 直 美
Role of inflammatory cytokines and reactive
oxygen species on reactivation of transgene
expression(遺伝子発現再活性化における炎
症性サイトカインおよび活性酸素の役割)
豊 田 敬 康
Improved dermal delivery of CpG oligodeoxynucleotides by cholesterol modification for the
treatment of atopic dermatitis(コレステロール
修飾を利用した CpG オリゴデオキシヌクレ
オチドの皮膚デリバリー改善によるアトピー
性皮膚炎の治療)
松 岡 奈 穂
Development and evaluation of polypodna, a
polypod-like structure forming nucleic acid(多足
型構造を形成する核酸 -polypodna- の開発と
評価)
関 根 寛 子
発達過程における腎薬物トランスポータの発
現変動
橋 本 真 弥
メトホルミンの尿細管分泌に及ぼすシメチジ
ンの影響
平成 22 年 9 月 24 日
KANITTA WATCHARANURAK
Effect of sustained interferon-γ gene expression
on atopic and contact dermatitis in mice(マウス
におけるアトピー性皮膚炎及び接触性皮膚炎
に対する持続的インターフェロン γ 遺伝子発
現の効果)
肖 瑛
ラット腎炎モデルを用いた腎炎治療薬評価系
の構築
− 25 −
修士(薬科学)の学位授与される
平成 22 年 3 月 23 日
井 上 大 輔
脂肪酸受容体 GPR41 の交感神経節における
機能解析
今 中 由花子
ヒト食道扁平上皮がん細胞のシスプラチン抵
抗性獲得における miRNA の役割に関する研究
侯 増 燁
アザインドール骨格を有する新規 CK2 阻害
剤テンプレートの開発研究
棚 原 憲 子
ケモカイン受容体 CXCR4 選択的蛍光プロー
ブを活用した化合物評価系の構築と応用
千 葉 浩 亮
ドミノ型反応を用いたイソキノリン型複素環
構築法の開発と天然物合成への展開
寺 川 幸 宏
熱力学的積分法による HIV-1 膜融合阻害ペプ
チドの gp41/S138A 置換効果の解析
林 亮 子
アルケン型ジペプチドイソスターの合成とケ
モカイン受容体 CXCR4 拮抗剤の構造活性相
関研究への応用
水 原 司
抗 HIV 剤の開発を指向した多環式複素環骨
格の新規構築法の開発と構造活性相関研究
吉 光 佑 二
Pachastrissamine およびその誘導体の立体選
択的合成研究
瀨 尾 和 志
視交叉上核に発現する電位依存性 Ca2+ チャ
ネルのリズム発振への関与
安 西 一 正
抗体を用いたマンノシルトリプトファン検出
C
系の構築および新規 C-マンノシル化タンパク
質の同定
大 塚 紗 織
低酸素誘導因子 HIF-1α の活性を制御する天
然有機分子の探索研究
BEKIR ERGUNER
Extracting Common Substructures of GPCR
Ligands(G タンパク質共役受容体リガンド
の共通部分構造の抽出)
− 26 −
分 野(教 室)だ よ り
薬品有機製造学 / ケモゲノミクス
(薬品製造学)
本年度の薬品有機製造学分野は、貫禄を身に
纏う我らが大将・藤井教授、若く切れ味鋭い智
将・大野准教授、バイタリティ溢れる名将・大
石講師、さらに研究員 1 名、補佐員 2 名、DC 9 名、
MC 8 名、及び 4 回生 4 名の総勢 27 名からなっ
ております。
当研究室は、元来研究の中心として進めてお
りましたペプチド / 蛋白質化学を基盤として、
有機合成化学、医薬品化学、生物有機化学など
の幅広い領域にまたがる研究を展開していま
す。
各々がそれぞれのテーマを持って日々実験
し、研究に励んでいる一方で、様々なコンパ、
研究室旅行といった行事も活発に行い、充実し
た生活を送っています。薬友会スポーツ大会に
は毎年積極的に参加しており、昨年度はバレー
ボール大会、野球大会ともに準優勝という成績
を残しています。毎年秋には他大学の有機化学
領域の 4 研究室とスポーツを介し友好を深め、
日頃の研究活動に関する情報交換を行うなど、
対外活動も積極的に行っています。
最後になりましたが、薬友会のみなさまのご
健康と益々のご活躍をお祈りいたします。また、
卒業生の皆様、当研究室に興味のある学生の
方々も是非お気軽にお立ち寄り下さい。
薬品合成化学
(薬用植物化学)
当研究室は現在、山田健一准教授、武村真由
美秘書と、研究員が 2 名、D1 が 1 名、M2 が 2 名、
M1 が 3 名、5 回 生 が 1 名、4 回 生 が 4 名 の 総 勢
15 名が研究室のメンバーです。前年度をもち
まして、富岡前教授は退官されました。研究員
2 名はフランス出身です。
研究内容は、ラジカル種の新規発生法と反応
の開拓、不斉分子を用いる有機金属反応剤の活
性化と不斉化手法の開拓、生理活性天然化合物
の不斉全合成など多岐にわたっています。
山田准教授は、メンバー全員に対し、頻繁に、
研究についての議論と、きめ細やかで、熱意の
溢れるご指導をしてくださいます。同時に無類
のラーメン好きでよく学生をラーメン屋に連れ
て行ってくれます。
そんな山田准教授のご指導の下、日夜、実験
に勉強にと力量ある有機化学者目指して頑張っ
て い ま す。NMR、IR、MS、GC、HPLC、CD、
旋光計などの設備機器も充実しており、非常に
研究しやすい雰囲気であります。週に 2 回のセ
ミナーでは、各人が積極的に議論に参加し、非
常に有意義な時間となっております。
今春も恒例の新人との顔合わせを兼ねたお花
見を鴨川沿いの桜の下で行いました。薬友会野
球大会では山田准教授の大活躍もあり、1 回戦
を勝ち進みました。秋には研究室旅行で加賀に
紅葉とカニと温泉を堪能しに行く予定です。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
と益々のご活躍をお祈りいたします。卒業生の
皆様、また学部学生の方も、お気軽にお立ち寄
りください。
薬品分子化学
(有機薬化学)
本年度の薬品分子化学分野は竹本教授、高須
准教授、塚野助教、猪熊特定助教のもと、DC
3 名、MC 9 名、4 回生 4 名、ドイツからの博士
研究員 1 名、秘書 1 名の計 22 名で構成されてい
ます。竹本先生は非常に教育熱心で、忙しい合
間にも学生との熱い議論を欠かしません。また、
研究室旅行など研究以外の時には、ユーモラス
な一面も見せてくれます。高須先生は学生の意
見を尊重しながら適切なアドバイスを下さると
ともに、化学の楽しさを伝えてくれます。塚野
先生は懇切丁寧に化学を教えてくれ、研究室に
新しい風を吹き込んでくれています。猪熊先生
はサービスイノベーション人材育成分野の特任
− 27 −
助教として、本業のかたわら当研究室で熱心に
教育・研究を続けられています。ここ最近の
ニュースとしては、当分野もようやく学内の人
気研究室(?)の仲間入りができたかなという
ところです。新 4 回生の配属において、第一希
望の学生が 3 年連続で定員フルに希望するよう
になりました。研究室一丸となって有機化学の
フロンティアを開拓すべく、以下の研究テーマ
で有機化学と格闘しています。
1.環境に優しい高機能性不斉有機触媒・チオ
ウレアの開発と応用
2.多様性指向型有機合成を基盤とする遷移金
属触媒反応の開発
3.迅速な高度分子変換を可能とする多成分反
応プロセスの開発
4.医薬品リードとなる天然有機化合物の高選
択的な全合成研究
5.引力的分子間相互作用を基盤とする生体機
能性低分子の開発
等が挙げられ、これらの研究成果は国内外の
様々な学会や論文誌において発表されております。
教室行事としては、各種コンパのほか、お花
見や研究室旅行などを行っております。今年の
研究室旅行では城崎・天橋立を訪れました。旅
行 1 日目は城崎にて温泉を満喫し、2 日目は日
本三景のひとつである天橋立を眺めました。
卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも
たれた学部学生の方は、いつでも気軽にお立ち
寄りください。最後になりましたが、薬友会の
皆様のご健康と益々のご活躍をお祈り申し上げ
ます。
薬品資源学
(生薬学)
2)薬用植物の精油成分生合成と薬理活性に関
する研究
3)民間伝承薬物の薬理活性成分に関する研究
4)海外の薬用植物及び伝統薬物の調査研究
に大別されます。このようにテーマは天然物化
学から薬理、遺伝子研究までと幅広い分野にわ
たっており、これらの成果を薬学会、生薬学会
などで発表しています。
教室行事としては、各種コンパ、研究室旅行
の他に、山で自然と触れ合いながらの植物観察
会や香木展見学、植物園見学など当研究室なら
ではの活動も行っています。薬草園では、シソ
の系統保存のために毎年シソを種から育ててい
て、畝立てなどの作業があり、日頃運動しない
者にとってはいい運動の場となっています。ま
た、梅やアンズの実、シソなども採れ、それら
で作った梅干しや季節ごとの果実酒は絶品で
す。葛根湯、加味逍遥散などを生薬から炊いて
飲むこともあり、研究室での実験以外の場にお
いても薬用植物にふれることで、それらに対す
る知識と理解を深めています。
現在 3 名の留学生がいるため、会話の合間に
英語が飛び交ったり、各自おかず一品ずつを持
ち寄る新年会では珍しい外国の料理が出てくる
など、アットホームな雰囲気の中、文化交流の
場ともなっています。
卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも
たれた方は近くまでおいでの際には、是非お立
ち寄りください。最後になりましたが、皆様の
ご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げま
す。
薬品機能解析学
(薬品分析学)
本年度の薬品資源学分野は、いつもパワフル
でエレガントな伊藤准教授のご指導のもと、博
士課程 3 名、修士課程 6 名、5 回生 1 名、4 回生
2 名計 13 名から構成されています。修士課程に
はカメルーン、アフガニスタン、中国からの留
学生もおり、国際色豊かな研究室となっていま
す。
当研究室のテーマとしましては、
1)フィールドワークを軸とした、シソ、ジン
コウ、ケイヒに関する研究
薬品機能解析学分野(薬解)のスタッフは、
松崎教授、星野准教授、矢野助教に檀秘書の 4
名 で す。 学 生 は、DC 1 名、MC 8 名、4 回 生 5
名(男性 8、女性 6)の計 14 名です。
現在の研究テーマは、1)抗菌性ペプチドの
作用機構の解明と創薬への展開(松崎)、2)ア
ルツハイマー病発症機構の解明と予防・治療法
の開発(松崎・星野)、3)膜タンパク質の構造
形成原理の解明(松崎・矢野)、4)G タンパク
質共役型レセプター(GPCR)の可視化と機能
− 28 −
解析(松崎・矢野)、5)NMR を用いた蛋白質
新規構造解析法の開発(星野)です。2)のテー
マでは、昨春卒業した若林真樹君が、日本薬学
会近畿支部奨励賞を受賞しました。また、4)
のテーマで開発した可視化試薬は、まもなく市
販される予定です。最近では、1 分子計測も行っ
ており,面白いデータが出はじめています。こ
れらの研究成果は、国内外の学会や学術雑誌で
発表しています。また、毎週のセミナーにおい
て文献紹介・研究報告・英語プレゼンテーショ
ンが行われ、常に活発な質疑応答がなされます。
日頃の英語プレゼンの成果を生かし、学生も英
語で口頭発表をするようにしています。
一方で、実験やセミナーの合間にはコーヒー
で一息ついたり、コンパや教室旅行があったり
と、研究教育以外の面においても充実した日々
を 送 っ て い ま す。 当 研 究 室 の ウ ェ ブ サ イ ト
(http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/yakkai/) で 論 文
やトピックスなど更に詳しい研究活動情報が御
覧になれますので、ぜひアクセスしてください。
最後になりましたが薬友会の皆様の御健康・御
多幸をお祈り申し上げます。
構造生物薬学
構造生物薬学分野では、現在、加藤教授、中
津准教授、山口助教の教員 3 名と、博士研究員
4 名、DC 3 名、MC 5 名、4 回生 3 名、企業から
の研究生 2 名、秘書 1 名の総勢 21 名で研究に励
んでいます。
本分野は主に X 線結晶構造解析という手法
を用いてタンパク質の立体構造を明らかにする
ことによって、創薬の基礎となる生命現象を解
明する研究を行なっています。主に以下の 4 つ
の テ ー マ、1)X 線 結 晶 構 造 解 析 に 基 づ い た
ABC トランスポーターの構造生理学、2)ペル
オキシソ−ム膜タンパク質の膜局在化メカニズ
ムの構造生物学、3)精密立体構造に基づく酵
素の触媒作用の構造的起源の解明、4)X 線結
晶構造解析による生物時計の構造と機能の解
明、を中心に掲げ、研究を行なっています。当
研究室では、構造解析だけでなく、対象タンパ
ク質の遺伝子大量発現、精製、結晶化あるいは
構造決定後の機能解析など、一つ一つの実験を
自らの手で進めています。また、実験設備も充
実しており、昆虫細胞によるタンパク質の大量
発現のための細胞培養室や恒温条件での結晶化
が可能な結晶化室、さらに実験室の装置として
は世界最高性能の X 線回折装置なども備えて
います。最近、研究室創設以来挑戦を続けてき
た膜タンパク質の結晶化ができるようになり、
構造決定の目前にまで来ることができました。
当研究室は昨年度よりも所属人数が増え、ま
すます活気ある日々を過ごしています。その中
で学生はそれぞれテーマを持ち、日々研究・実
験に意欲的に取り組んでいます。また、定期的
に勉強会が開催され、様々な知識をたくわえる
ことができています。スタッフの方々は、あく
まで学生の自発性に重きを置いています。学生
はスタッフの方々から指導を頂きながらも、ひ
とつずつ自分で考えて研究を組み立てていくこ
とで、より主体的に研究に取り組むことができ
ています。あくまで自分自身の手で主体的に研
究を進めていくことを望む学生にとっては、非
常に恵まれた環境であるといえます。一方で、
「事業仕分け」などにより研究費が大幅に削減
され、先生方からは、節約を求められることも
多くなりました。大学のおかれている状況の厳
しさを感じています。
また、新歓コンパ、院試激励会、忘年会など
教室行事も様々なものが企画され、めりはりの
ある研究生活が行なわれています。卒業生の皆
様を始め、学部生の方々も、当研究室に興味を
もたれましたら是非お立ち寄り下さい。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
とますますのご活躍をお祈り申し上げます。
ゲノム創薬科学 / 薬理ゲノミクス
(薬品分子構造学)
ゲノム創薬科学分野では、辻本豪三教授、平
澤明准教授、木村郁夫助教の職員 3 名と、DC
5 名、MC 8 名、4 回生 1 名、研究補佐員 5 名の
総勢 22 名で構成され、
「一流の研究者を育て上
げる」という辻本教授の指導方針のもと、日夜
研究に励んでおります。
当研究室では、DNA マイクロアレイや高速
シークエンサーによる大規模遺伝子発現プロ
ファイルといった最新の分子生物学的手法か
ら、遺伝子改変動物や病態モデル動物を用いた
− 29 −
病理実験まで、以下のような幅広い創薬研究を
行っています。
1.ゲノムの包括的解析による新規創薬標的の
発見とターゲットバリデーション
2.バイオインフォマティクスによる in silico
創薬研究
3.生体内オーファン G 蛋白質共役型受容体
のリガンド探索及び機能構造解析
4.マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析
5.遺伝子改変動物、病態動物を用いた遺伝子
の個体レベルにおける機能解析
6.機能性 RNA に基づく創薬研究
本年度も引き続き、研究の更なる充実を図る
べく、研究室内では活発な討論が日々なされて
います。また、共同研究や技術交換など、他の
研究室などとも幅広い交流を持ち、互いの向上
に努めております。
こうした研究活動の一方で、研究室行事も盛
んです。「仕事にメリハリを」という辻本教授
の理念のもと、4 回生歓迎コンパに始まり、学
生実習の打ち上げや院試激励会、忘年会の他、
全国各地を巡る研究室旅行などが計画され、お
互いの親睦を深めています。
卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、当研
究室に興味を持たれましたら、ぜひお立ち寄り
く だ さ い。HP(http://gdds.pharm.kyoto-u.ac.jp)
ではこの他、様々な情報がご覧になれます。最
後になりましたが、研究室一同、薬友会の皆様
の御健康と御活躍を心よりお祈り申し上げま
す。
製剤機能解析学
(薬品物理化学)
製剤機能解析学分野では、教授として長年、
物理系薬学の研究と教育を支えてこられた半田
哲郎先生が平成 22 年 3 月を以て定年ご退職され
ました。現在半田先生は鈴鹿医療科学大学薬学
部にて教鞭を執られております。2 月に開催し
た定年退職記念祝賀会では多くの先生方、卒業
生の方々のご列席を賜り誠にありがとうござい
ました。
当分野は本年度(9 月現在)、中野准教授と
事務補佐員(秘書)の檀さんの他、修士課程 7 名、
薬学科 5 回生 1 名、4 回生 4 名の総勢 14 名とな
りました。分野の研究は脂質分子の多様な集合
構造(ナノ粒子)を構築し、その界面物性解明、
生理学的機能の制御と製剤への応用を目的とし
たものです。HDL 新生反応をはじめとする脂
質−タンパク質相互作用の詳細を、国内外の研
究室とも協力し、蛍光法、NMR、X 線・中性
子小角散乱、表面プラズモン共鳴、等温滴定熱
量測定など、多岐にわたる研究手法を駆使して
解明しようと努力しております。毎週月曜に行
われるセミナーでは、情報、意見交換をしなが
らお互いに切磋琢磨しています。また、輪読会
では学生が主体となって界面科学や生物物理化
学の基礎を勉強しています。そのほか、他大学
の研究室との合同セミナーや、研究室旅行、コ
ンパ、お花見など、教室行事も盛りだくさんで
す。ときには実験台が宴会テーブルに変わった
りもします。
製剤機能解析学は薬学研究科の基盤的研究・
教育を担う重要な分野であり、その責任が果た
せるよう努力しております。本年 10 月からは
慶應義塾大先端生命科学研究所の石濱泰先生を
教授に迎え、新しい体制で研究活動を行ってい
くことになりました。
今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い
申し上げます。
生体分子認識学
(生物化学)
生体分子認識学分野は生化学の講義と実習を
担当するとともに、主に細胞生物学や細胞生理
学の研究手法を用いた研究を遂行しています。
昨年度に得られた研究成果は、国際生理学会や
米国生物物理学会を含む海外学会、日本生理学
会や日本薬理学会などの国内学会、さらには各
種学会誌等の総説などとして情報発信されまし
た。学内外グループとの共同研究による研究発
展も積極的に取り組んでいますので、詳細につ
い て は 当 教 室 の ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.
pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/) を ご 覧 い た だ け
れば幸いです。
現在(平成 22 年 8 月)の当分野は教員 4 名(竹
島教授、柿澤准教授、山本助教、山崎特定助教)、
研究員 1 名、研究補助員 2 名、事務補佐員 1 名、
修士課程学生 3 名、学部 4 回生 1 名というメン
− 30 −
バーで構成されています。この教室員に関する
話題としては、申請資格者全員が本年度の科研
費を獲得したこと、山本助教と山崎特定助教に
はそれぞれ第一子が最近誕生したこと、熱心に
研究サポートしてくれる研究補助員が春より参
入してくれたことなどが特記されます。上記の
メンバーにて取り組んでいる研究課題の中で、
2 つの項目を以下に解説します。
「小胞体 Ca2+ シグナリングに関する研究 」は
当分野の中心課題です。小胞体からの Ca2+ 放
出は、筋収縮、伝達物質放出、膜電位調節など
多彩な細胞機能に関与しています。細胞内 Ca2+
ストアとして働く小胞体は、様々なタンパク質
によりその機能が構築・制御されていますが、
分子実体については不明な点が多く残されてい
ます。興奮性細胞における小胞体の構成タンパ
ク質の役割を 1 つ 1 つ明らかにすることにより、
小胞体 Ca2+ 放出の分子基盤を解明することを
目指しています。得られた研究成果は、新たな
医薬品開発へ向けた薬物標的の設定や遺伝子疾
患の理解に貢献しています。最近では、我々が
発見した小胞体 K+ チャネルである TRIC チャ
ネルや小胞体膜貫通型 Ca2+ 結合タンパク質で
あるカルミンによる Ca2+ 放出への生理的およ
び病理的な寄与について解析を進めています。
偶然ですが、両分子の欠損マウスでは脈管系で
の異常が観察され、当分野では血管関連実験が
盛んな現状です。
小脳電気生理学実験に精通した柿澤准教授の
参入を得て、
「中枢系情報伝達に関する研究 」
にも当分野は注力しています。近年の我々の研
究成果により、海馬や小脳の神経可塑性の成立
において小胞体 Ca2+ 放出の重要性が判明して
います。しかしながら、その作動原理や生理的
調節機構については謎に満ちており、加齢や疾
患病態における Ca2+ 放出の異常についても不
明です。小脳プルキンエ細胞における Ca2+ 放
出に着目して、分子レベルでのそれらの謎解き
を目指しています。
分子微生物学
(微生物薬品学)
計 4 名と少人数ではありますが、活気溢れる研
究室として日々研究に励んでいます。
当研究室では、インターフェロンに関する諸
問題(基礎から応用まで)をテーマとして掲げ
ており、一人一人が独自のテーマをもって研究
に励むとともに、お互いの研究テーマについて
意見を交換しながら、普段から情報を共有しつ
つ活発に研究に取り組んでいます。
インターフェロンは、1950 年代にウイルス
増殖を特異的に抑制する因子として発見されま
したが、近年では自然免疫における感染防御の
主体をなすものとして注目されるとともに、獲
得免疫の形成にも大きく寄与していることがわ
かってきました。さらに SLE や関節リウマチ
などの自己免疫疾患の形成の際にもインター
フェロンが産生されることがわかっており、そ
ういった疾患の病態形成の理解のためにもイン
ターフェロンの研究が重要視されています。ま
た、近年、ウイルスの様々な抗インターフェロ
ン戦略も明らかにされつつあり、ウイルス学の
分野でもインターフェロンは再び新たな注目を
集めております。さらに、オートファジーや中
枢神経系とインターフェロンの関係にも興味を
持たれています。したがって、インターフェロ
ンは今後も医薬の分野で様々な応用が期待され
ているサイトカインです。
小所帯ではありますが和気あいあいと活動し
ており、普段からお互いの研究についていろい
ろ歓談したり、実験の成功を祝ってお茶をしに
いったり、4 回生は週に一度、英文テキストで
細胞生物学の勉強会を開いたり、また夏休みに
は卒業生の方が尋ねてくださったりなど事ある
ごとに皆で親睦を深めております。なお、当分
野 の ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.pharm.kyoto-u.
ac.jp/bisei/)を設けてありますので、是非ご覧
ください。
卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味を持
たれた方は、どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
今後とも皆様の尚一層のご指導、ご鞭撻を賜り
ますようお願い申し上げる次第です。
最後になりましたが、薬友会会員の皆々様の
ご健康と益々のご活躍をお祈り申し上げます。
分子微生物学分野では、現在、渡部好彦准教
授のもと、修士 1 名、5 回生 1 名、4 回生 2 名の
− 31 −
生体機能解析学
(分子作用制御学)
生体機能解析学分野は今年度、金子周司教授、
中川貴之准教授、白川久志助教、DC 4 名、MC
5 名、5 回生 4 名(いずれも薬学科)、4 回生 4 名
(薬科学科 1 名と薬学科 3 名)、共同研究員 3 名、
教授秘書 1 名の計 24 名で構成されています。金
子教授が教育方針として掲げる 5 つの「ちから」
(専門理解力・専門技術力・競争力・情報技術力・
英語力)と 3 つの能力(知識・技能・態度)を
身につけることを念頭に置き、切磋琢磨しなが
ら日々研究活動に励んでいます。
当研究室は伝統ある薬理学系講座の流れをく
み、中枢神経薬理を研究領域としています。特
にイオンチャネルやトランスポーターといった
膜輸送タンパク質に焦点を当て、現在は以下に
示すようなテーマを軸に研究を展開していま
す。
創薬標的としてのイオンチャネルおよびトラ
ンスポーターの機能解析、薬理学的評価とゲ
ノム科学に関する研究
慢性疼痛における脊髄内グリア細胞の役割
依存性薬物や抗うつ薬の作用メカニズムの解明
脳内グリア細胞に発現する TRP チャネルの
病態生理的役割
多くの研究手法を駆使しているところが当研
究室の特徴の一つであり、分子生物学、電気生
理学、行動薬理学、生化学、組織化学など幅広
い技術を取り入れています。研究成果は日本薬
理学会、日本神経科学学会、日本疼痛学会をは
じめとする国内学会だけでなく、北米神経科学
学会、国際疼痛学会など海外でも発表し、論文
投稿を行っています。詳細は当研究室のウェブ
サ イ ト(http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/channel/
ja/index.html)に掲載していますので、興味を
持たれましたらぜひご覧ください。
若々しい先生方の下とあってか活発な学生が
集い、研究の合間にはバレーボール、バドミン
トン、スキー、キャンプ、サイクリング(数十
∼数百 km)などを楽しんでいます。また同じ
薬理学系講座から発展してきた薬品作用解析学
分野とは新歓コンパ・教室旅行・追い出しコン
パの 3 大教室行事を合同で開催し、親睦を深め
ています。
(他にも学生実習や研究報告会を合
同で行っています)
例年同様、今年度も個性的な顔ぶれが集いま
した。研究を筆頭に何事にも熱心に取り組み、
賑やかな研究生活を送っています。卒業生の皆
様も、機会がありましたらぜひお立ち寄りくだ
さい。末筆となりますが、薬友会の皆様のご健
康と益々のご活躍をお祈り申し上げます。
遺伝子薬学
(遺伝子薬品学)
当研究室は今年度で開設 19 年目を迎えまし
た。現在、遺伝子薬学分野は、伊藤教授、三宅
講師、山内助教、佐塚助教の厳しくも心温まる
ご指導のもと、DC 4 名、MC 6 名、5 回生 1 名、
4 回生 4 名、技術補佐員 1 名、合計 20 名という
構成です。薬学部本館 2 階において、先生方の
厳しくも心温まるご指導のもと、日々研究にい
そしんでおります。
現在の当研究室の研究テーマとしては、
1)細胞増殖因子(FGF)の脂肪組織形成、脳
形成などにおける役割の解明
2)遺伝子探索法による新規細胞増殖 / 分化因
子遺伝子の探索と構造解析
3)遺伝子機能抑制小型魚類の作製による新規
遺伝子の個体レベルでの機能解析
4)遺伝子欠損マウスの作成による新規遺伝子
の機能解析とその分子機構の解明
5)組織形成、組織修復の分子機構の解析と再
生医学への応用
が挙げられ、こういった研究の成果は分子生物
学会、薬学会、アディポサイエンス等の様々な
学会において発表されています。
学生たちは皆熱心に研究に励んでおります
が、研究に明け暮れてばかりいるわけではあり
ません。当研究室では、新歓コンパ、院試激励
およびお疲れ様コンパ、教室旅行、クリスマス
会、忘年会、追い出しコンパといった各種公式
行事に加え、お花見、スキー旅行といった、有
志による楽しい企画が目白押しで、学年の垣根
を越えて皆で親睦を深めています。また、最近
はスポーツ熱もますます高まっています。悲願
の二回戦進出を目指した本年度の薬友会野球で
は、一回戦において強豪相手に残念ながら負け
を喫し、二回戦に進むことができませんでした。
− 32 −
しかし、チーム力は毎年着実に上がっておりま
すので、来年こそは二回戦へと進んでくれるも
のと期待しています。このように学生達は、忙
しい研究生活の合間の行事、スポーツにも手を
抜くこと無く真剣に取り組んでいます。
このように、遺伝子薬学分野は、益々活気に
満ちた研究室となっておりますので、卒業生の
皆様はじめ、当研究室に興味を持たれた方、お
気軽にお立ち寄り下さい。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
と更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
生体情報制御学
(衛生化学)
生体情報制御学分野は、現在、中山和久教授、
加藤洋平助教の指導のもと、技術補佐員 1 名、
事務補佐員 1 名、博士課程 5 名、修士課程 8 名、
学部 5 回生 1 名、学部 4 回生 4 名の 22 名で構成
され、日夜研究に励んでおります。
当研究室では、ゴルジ体やエンドソームを中
心としたタンパク質の細胞内輸送及び局在化の
機構の解析及び、こうした細胞内輸送による細
胞分裂や脂肪滴形成の調節機構の解析をテーマ
として研究を進めております。毎週のセミナー
では絶えず質問が飛び交い、活発な議論が行わ
れているなど、教室全体で研究をすすめるよう
に努力しております。教室行事も盛んで、春の
お花見に始まり、新歓コンパ、院試激励会、教
室旅行、忘年会、追コン……など、事あるごと
に皆で親睦を深めています。さらに今年度は、
当研究室主催で第 9 回次世代を担う若手ファー
マ・バイオフォーラム 2010 を開催し、これを
無事に終了することができました。
個性あふれるメンバーに恵まれ、お互いのい
いところを見ながら切磋琢磨する一方で、「何
事においても真剣」な所は共通です。研究はも
ちろんのこと遊びにおいても情熱を持って取り
組んでいます。例えば、春開催の新入生歓迎ボー
リング大会(中山記念)では新入生から先生ま
で皆が、豪華賞品を目指して、毎年熱い戦いを
繰り広げています。スタートからハイスコアで
逃げ切りを図るもの、ラスト 3 フレームで怒涛
の追い上げを見せるもの、またはブービー賞を
目指すものなど各々の戦略で盛り上がっていま
す。しかし実験にはやはり真剣に取り組み、時
には先生方の厳しい指導のもと、メリハリのあ
る研究室生活を送っております。そして、忙し
い中にもやりがいを感じながら、目標に向かっ
て邁進しております。
卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも
たれた方、どうぞお気軽にお立ち寄りください。
最後になりましたが、研究員一同、薬友会の皆
様のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。
薬品動態制御
(薬剤学)
本年度の薬品動態制御学分野(旧薬剤学教室)
は、橋田教授、山下准教授、川上講師の教員 3、
Post Doc 1 名、Doc 7 名(うち外国人留学生 3 名)、
MC 6 名、5 回生 3 名、4 回生 4 名、研究生 1 名、
秘書 2 名の総勢 27 名で構成されています。また、
橋田教授が併任されている物質―細胞統合シス
テム拠点(iCeMS)から村上助教、Post Doc 2 名、
工学部 MC 1 名、研究支援員 1 名、革新的ナノ
バイオ創薬拠点から樋口助教が研究室にいらっ
しゃり、大所帯が日夜研究にいそしんでおりま
す。
橋田教授は FIP(国際薬学連合)学術部門議
長や日本薬学会副会頭などの要職を務められる
など国内外で広くご活躍されており、お忙しい
毎日を過ごしていらっしゃいます。
当研究室の研究内容は、タンパク医薬品や遺
伝子医薬品など単独の投与では効果的な薬効の
発現が困難な薬物に対し、肝臓、肺、腎臓、癌
などへの臓器 / 組織レベルでの送達を目的とし
たシステムの開発を進めると共に、吸収、代謝
のコンピューター予測も行っております。これ
らの研究成果は、薬学会、薬剤学会、薬物動態
学会、DDS 学会といった国内学会のみならず、
さまざまな国際学会で多数発表しております。
また、多くの製薬会社の皆さんが集まる経口
投与製剤勉強会が数ヶ月ごとに開催され、製剤
にかかわる企業研究者の方々にお話を聞かせて
いただくチャンスもあります。
教室行事は春の新歓コンパに始まり、夏の他
大学との合同サマーセミナー、秋の阪大薬剤学
教室との交流会、研究室旅行、年度末の追い出
しコンパなど多数行われ、普段はお忙しい先生
− 33 −
方も交えて大いに盛り上がっております。昨年
の薬友会野球では、研究室一丸となりベスト 4
進出を果たしました。今年は良きチームワーク
を軸に優勝を目指しています。
このように当研究室では何事にも熱心に取り
組み、充実した研究室生活を送っています。卒
業生の皆様、お時間がございましたら是非研究
室にお立ち寄りください。また、当研究室に興
味を持たれた方のお越しもお待ちしておりま
す。最後になりましたが、薬友会の皆様方のご
健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
薬品作用解析学
(薬理学)
本年度の薬品作用解析学分野は赤池教授、久
米准教授、泉助教授のご指導のもと、DC 9 名、
MC 5 名、5 回生 3 名、4 回生 4 名、秘書 1 名の総
勢 25 名より構成され、日々研究に励んでいま
す。当分野は以前から生体機能解析学分野や医
学部との共同研究が多いため、研究室は活気に
満ち溢れ、互いに切磋琢磨する中で研究に勤し
んでいます。
現在当研究室では、「中枢神経疾患における
ニューロン死の機序とその保護因子に関する研
究」「当研究室で発見された新規神経保護物質
『セロフェンド酸』に関する研究」「食品由来化
合物による神経保護に関する研究」「ドパミン
ニューロンの生存および再生に関する研究」等
が日々進められており、これらの研究成果は薬
理学会、薬学会、神経科学会等の様々な学会に
おいて発表されています。
こうした研究活動の一方で教室行事も盛ん
で、生体機能解析学と合同で行われる新歓コン
パ、教室旅行、追い出しコンパの三大イベント
を筆頭に、その他にも野球、サッカー観戦など
のイベントが数多く行われています。また、ス
ポーツ好きな人も多く、野球、フットサル、テ
ニス、バレーボールなどのスポーツが盛んに行
われています。その他にも飲み会、バーベキュー
などが随時企画され、研究の合間に和気あいあ
いと行われています。
このように教室員一同、学ぶ時は真剣に研究
し、遊ぶときは一生懸命遊ぶという何事にも熱
心な研究室生活を送っていますが、卒業生の皆
様も機会がございましたら是非教室の方へお立
ち寄りください。最後になりましたが、薬友会
の皆様の御健康と益々の御活躍を心よりお祈り
申し上げます。
臨床薬学教育
臨床薬学教育分野は 2006 年 4 月に薬学教育 6
年制の開始とともに設置された分野で、薬学教
育 6 年制における臨床教育を担うことを使命と
しています。したがって、通常の基幹分野とは
少し異なる形態をとっており、分野主任である
矢野育子准教授は、京都大学医学部附属病院副
薬剤部長との併任で、分野配属学生も 6 年制の
薬学科学生のみとなっています。構成員は、矢
野准教授と 6 年制 1 期生の 5 回生 1 名、2 期生の
4 回生 1 名で、研究室(居室)は総合研究棟 1
階に位置します。
研究室のテーマは、薬剤師の役割と同じく、
医薬品の適正使用を通して患者さんの QOL に
貢献することです。中でも、薬物動態と薬効の
速度論的解析を中心に、薬物血中濃度モニタリ
ングに基づく個別化投与設計法の開発を進めて
います。附属病院薬剤部研究室(医療薬剤学分
野)のメンバーや薬剤部薬剤師の協力を得なが
ら、附属病院各診療科との共同研究も進めてい
るところで、学会発表等の成果も少しずつでて
きました。
分野構成員は現在 3 名と少ないですが、教育
研究活動以外についても医療薬剤学分野と合同
で、新歓コンパ、教室旅行、薬友会ソフトボー
ル等を行っています。薬剤部の職員や研修生、
実習生と知り合う機会も多く、社交的な 5 回生
の彼女は、この 1 年半の間に多くの友人ができ
たことと思います。一方で、臨床現場の中で研
究を行っているので、そこで働く職員の後ろ姿
を通して臨床業務の厳しさも感じていることと
思います。
このように、現在まだ発展途上の段階の研究
室ですので、薬友会会員の皆様には、なお一層
のご指導ご鞭撻をいただきましたら幸いです。
最後になりましたが、皆様のご健康とご活躍を
お祈り申し上げます。
− 34 −
病態機能分析学
(放射性薬品化学)
病態情報薬学
本年度の病態機能分析学分野は、佐治教授、
小野准教授、天満助教、木村助教、特定助教と
して佐野助教、天野助教、特別研究員として京
大病院の上田助教の御指導のもと、秘書 3 名、
共同研究員 1 名、DC 7 名、MC 9 名、4 回生 4 名
(学生 20 名)の計 31 名という構成で日々研究に
励んでおります。
本研究室は、京都大学医学部附属病院との密
接な関係を持ちながら、分子プローブの開発研
究から臨床研究をつなぐ、以下のようなトラン
スレーショナルな研究を行っております。
1.脳疾患、心疾患、悪性腫瘍、糖尿病などに
おける生体機能変化をインビボ解析する分
子イメージング法の開発と、それに基づく
病態の解明及び薬物作用の動的解析
2.病態の特性に基づく標的部位選択的移行、
選択的活性化を起こす機能性画像診断・治
療薬の創薬研究
3.生理活性金属化合物の生体作用の解明と臨
床への応用に関する研究
また、核医学診断(PET、SPECT)に用いる
放射性分子プローブの開発に加え、最近では、
MRI、光イメージングなどに対応した新たな分
子プローブの開発研究も精力的に行い、臨床画
像診断への貢献を目指して日々努力しておりま
す。
教室行事は 4 月の新歓コンパに始まり、院試
激励コンパ、院試お疲れコンパ、薬友会のスポー
ツ大会、教室旅行、忘年会、追い出しコンパと
色々な行事で盛り上がっています。
本研究室をより活気あるものとするために
も、本研究室卒業生の皆様、お時間がございま
したら是非お立ち寄り下さい。また、本研究室
に興味をお持ちの方は是非見学にいらして下さ
い。なお、より詳しい研究内容・研究室の情報
につきましては当研究室のホームページ(http://
www.pharm.kyoto-u.ac.jp/byotai/)をご覧ください。
最後になりましたが、研究室員一同、薬友会
会員の皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げ
ます。
病態情報薬学分野では、この春に山岡 清准
教授がご退職になりました。山岡先生には分野
設立以来 12 年間に渡り DNA ワクチンや RNA
干渉などの実験結果に対する薬物動態学的解析
法の構築などに関してご指導いただきました。
後期からは中国とアフガニスタンから新たに大
学院生が加わり、現在は、高倉教授、西川准教
授、高橋助教、引原秘書、DC 6 名、MC 6 名、
薬学科 5 回生 4 名、薬学科 4 回生 3 名、薬科学科
4 回生 1 名の学生 20 名(男 12 名、女 8 名)から
構成されています。
本分野では、生体に投与されるモノとしての
「クスリ」と投与される側の「ヒト」との関わ
りを、生物薬剤学・薬物動態学・ドラッグデリ
バリーシステムなどの学問的バックグランドに
基づき統合的に追求し、薬物投与の最適化の実
現を目的に研究活動を行っています。現在の研
究内容は、1)遺伝子治療・DNA ワクチン療法
の最適化を目指した核酸医薬品開発、2)核酸
ナノデバイス・ハイドロゲルの開発、3)RNA
干渉を利用した疾患治療システムの開発、4)
多機能細胞治療剤の開発などがあります。これ
らのテーマを各個人で実験計画を立て責任を
持って研究活動に取り組むとともに、研究報告
会や「遺伝子」、「核酸」、「動態制御」のグルー
プに分かれてのグループディスカッションで
は、研究の進捗状況について意見交換を行って
います。また、毎週行われるセミナーでは学生
たちからも遠慮なく質問が飛び交い、非常に活
発なものになっています。得られた研究成果は、
日本薬学会、日本薬剤学会、日本薬物動態学会、
日本 DDS 学会、アメリカ遺伝子治療学会など
国内外の様々な学会において発表を行っていま
す。秋には、第 4 回世界薬学会議(PSWC2010)
や第 8 回 GPEN などの国際会議において博士後
期課程の院生が学術発表を行いました。また、
本年 8 月には、インターフェロンγの持続的発
現によるアトピー性皮膚炎治療に関する研究成
果が日本経済新聞で紹介されました。
毎年行われる教室行事は、春の新歓コンパに
始まり、秋の教室旅行、冬の追い出しコンパな
どで、学年の垣根を越えて大いに盛り上がって
います。今年度の薬友会の野球大会では、昨年
− 35 −
に初戦敗退してしまった悔しさをバネに全力で
試合に臨み、無事に一回戦を勝ち進むことがで
きました。この調子で次の試合でも勝利できる
よう意気込んでいます。女子もソフトボール大
会では、薬品動態制御学分野と合同チームで練
習に励んでおり、優勝を狙っています。
当 研 究 室 で は ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.
pharm.kyoto-u.ac.jp/byoyaku/index.html) を 設 け
ていますのでぜひご覧ください。最後になりま
したが、薬友会の皆様のご健康とご活躍をお祈
り申し上げます。
システムバイオロジー
システムバイオロジー分野は、医薬創成情報
科学専攻の一分野として 2007 年度に開設され
た研究室で、2007 年春に紫綬褒章を 2009 年に
体内時計界最高峰の Aschoff's Rule Award を受
章されました岡村均教授と新進気鋭の土居雅夫
講師、山口賀章助教、松尾雅博特任助教のご指
導のもと、ポスドク研究員 2 名、研究員 1 名、
博士課程 2 名、修士課程 9 名、四回生 4 名、研
究補佐員 1 名、および秘書 1 名の総勢 24 名で構
成されています。前年度に比べ構成員は増加し
ましたが、現在も引き続き、大学院生・学部学
生を募集しております!
当研究室では哺乳類の時計機構を分子レベル
で解明したいと考えております。生体リズムの
研究は、脳・神経科学、時間薬理学、睡眠科学、
行動科学に関連する諸問題を分子生物学、細胞
生物学、蛋白質化学、遺伝学的な手法を投じて
解決してゆく学問分野です。他の研究分野では
類を見ないほどの広範な広がりを持つ、きわめ
て学際的な研究分野といえます。それゆえ、本
研究室では、中枢神経系、ゲノム、遺伝子、細
胞、全身機能、疾病(発癌、メタボリック症候
群など)を研究の対象としています。現在、我々
の研究室は、科学研究費特別推進研究「分子時
計による体内リズムの統合機構の解明(平成
18–22 年度:代表岡村均)」の援助を受け、研
究室が一丸となって生体リズムの解明に全力を
上げています。
研究室の日常では、毎週開かれる研究室セミ
ナーにおいて活発に研究討論がなされ、その中
で学生たちは確実にスキルアップしていきま
す。また、新入生歓迎会や各種のお祝いごとに
は研究室の全員で楽しいコンパが企画され、研
究教育以外の場においても活気ある充実した研
究室ライフを送っております。薬友会の皆様を
はじめ、学部生の方々も、当研究室にご興味を
もたれましたら、是非お立ち寄り下さい。HP
(http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/system-biology/)
ではこの他、さまざまな研究室の情報がご覧に
なれます。
最後になりましたが、研究室一同、薬友会の
皆様のご健康とご活躍を心より祈念いたしまし
て、システムバイオロジー分野のご挨拶とさせ
ていただきます。
システムケモセラピー・制御分子学
システムケモセラピー・制御分子学分野(制
御)は、2007 年 4 月にスタートし、本年度で 4
年目を迎えました。研究室員は、現在、掛谷教
授、服部准教授、西村助教、林特定助教、酒井
研究員、DC 5 名、MC 9 名、5 回生 1 名、4 回生
4 名、研究生 1 名、技術補佐員 1 名、秘書 1 名の
総勢 27 名(留学生 4 名)であり、総合研究棟 5
階の研究室を中心に活気に溢れた研究生活を
送っています。
本研究室では、“切れ味の鋭い生理活性小分
子(新薬)は、新しいサイエンスを切り拓く”
の理念のもと、1)多因子疾患(癌、心疾患、
感染症、免疫疾患、神経変性疾患、糖尿病等)
に対する次世代化学療法の開発を指向したケミ
カルバイオロジー研究、2)創薬リード化合物
の開拓を指向した新規生理活性小分子の天然物
化学・天然物薬学、3)ケモインフォマティクス・
バイオインフォマティクスを活用したシステム
ケモセラピー研究およびメディシナルケミスト
リー研究、4)有用物質生産・創薬のための遺
伝子工学的研究(コンビナトリアル生合成研
究)、などの研究テーマが進行中です。研究室
員一同、最先端のケミカルバイオロジー、ケミ
カルゲノミクス、天然物化学、ならびにメディ
シナルケミストリーを世界に発信すべく、日夜
研究に励んでいます。本年度は、日本薬学会年
会、日本薬学会近畿支部大会、日本ケミカルバ
イオロジー学会、日本がん分子標的治療学会、
天 然 有 機 化 合 物 討 論 会、 日 本 放 線 菌 学 会、
− 36 −
BMB2010(日本分子生物学会年会 & 日本生化
学 会 大 会 合 同 大 会 )、Pacifichem 2010(The
International Chemical Congress of Pacific Basin
Societies)等での研究発表を行っています(一
部予定)。
研究室行事は、研究報告会、各種文献紹介な
どに加え、新歓コンパ、院試激励会、ビールパー
ティー、投稿論文採択時などの Congratulation
Party など目白押しで、何事にも真剣ですが、
アットホームな雰囲気が漂っています。また、
薬友会主催の野球大会、ソフトボール大会、バ
レーボール大会にも参戦し、心地よい汗を流し
親睦を深めています。今後も大文字山(如意ヶ
岳)登山をはじめとして、各種イベントが企画
される予定です。
当研究室は国内・国外の産官学の研究機関と
さまざまな共同研究も展開しています。卒業生
をはじめ、学部生の方々も、当研究室にご興味
を持たれましたら、是非お気軽に研究室にお立
ち寄り下さい。当研究室ウェブサイト(http://
www.pharm.kyoto-u.ac.jp/sc-molsci/)でも様々な
情報を発信しています。
末筆になりましたが、研究室員一同、薬友会
の皆様のご健勝と益々のご活躍を心よりお祈り
申し上げます。
システムケモセラピー・創薬計算化学
本年度の当分野の構成は、北浦教授、受託研
究 員 1 名、 研 究 生 2 名、DC2 が 1 名、MC1 が 1
名です。
当研究室では、薬物標的タンパク質とそのリ
ガンド分子の結合構造と結合自由エネルギーを
計算化学的手法で精度よく予測する手法を開発
し、実際の新薬の探索と設計に応用することを
主 テ ー マ に し て い ま す。 北 浦 ら が 開 発 し た
fragment molecular orbital(FMO)法は、タンパ
ク質のような巨大分子の量子化学計算が可能
で、これを用いてタンパク質とリガンドの分子
間相互作用を高精度で解析できます。そこで、
FMO 法を用いた高精度な結合構造と結合エネ
ルギーの予測法の開発に取り組んでいます。
一方、タンパク質の結合ポケットの水和構造
に基づく新しいコンセプトのインシリコスク
リーニング手法を開発しました。これにより、
300 万化合物を含む市販のスクリーニング用ラ
イブラリーの中から、腎炎治療薬の標的タンパ
ク質であるプロテインキナーゼ CK2 の新規阻
害活性化合物を約 20 個見出すことに成功しま
した。現在、これらの化合物を元に、実験グルー
プと共同で、より活性の高い化合物の設計に取
り組んでいます。
本研究室の特徴として、在籍した受託研究員
が多いことがあげられます(過去 5 年間で 5 名)。
彼らは製薬企業に勤務していて、創薬研究に長
年取り組んでいる現場の方々です。彼らとの
ディスカッションによって、研究室の全員がよ
い刺激を受け研究の発展につながっています。
学部生の方々をはじめ当研究室にご興味のあ
る方は、どうぞ気軽におたちより下さい。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
ナノバイオ医薬創成科学
医学研究科との連携を中心に、質の高い臨床
検体を解析対象として研究を進めている。特に、
DNA マイクロアレイ、高感度質量分析システ
ム等のナノレベルの先端分析技術を基盤とし
た、オミクス統合解析により、各種がんの診断、
テーラーメイド医療、分子標的医薬の創成を目
指している。具体的には、以下に示すような研
究活動を展開している。
1.mRNA 発現解析とテーラーメイド医療
食道がん、腎がん等のがんにおいて、多数の
遺伝子の mRNA 発現のパターンを統合して、
がん患者の治療選択の指標としての、予後、
化学・放射線療法感受性、遠隔転移を予測す
る方法を探索している。
2.マイクロ RNA の機能解析
マイクロ RNA は、蛋白情報を持たない小分
子 RNA であるが、多くの遺伝子が制御を受
けており、生命現象、疾患と深く関係するこ
とが判ってきている。
最近になり、マイクロ RNA の発現パター
ンをマイクロアレイ技術で、正確に網羅的に
解析できるようになってきた。正常細胞にお
ける細胞分化と免疫機構、がん細胞における
悪性度に関係するマイクロ RNA の同定とそ
の機能解析を進めて、マイクロ RNA の臨床
− 37 −
応用、創薬へつなげていきたい。
3.次世代高速シーケンサーによる解析
DNA マイクロアレイ以外のゲノム・トラン
スクリプトーム解析手法として、データ取得
の高速性と解析の網羅性に特徴のある次世代
高速シーケンサーを活用した方法が発展して
きている。薬学研究科に導入されたこの機器
と DNA マイクロアレイの両者から得られる
情報を統合し、新たなバイオサイエンスの分
野創成を目指している。
4.mRNA とマイクロ RNA 発現のエピジェネ
ティクス解析
最近、DNA メチル化がマイクロ RNA 発現を
制御していることが判りつつある。各種がん
の発がん過程において、DNA メチル化によ
る mRNA とマイクロ RNA の発現の制御につ
いてゲノムワイドに解析し、発がんにおける
エピジェネティックなメカニズムの解明を目
指している。
5.最先端研究開発支援プログラム
(株)島津製作所の田中耕一フェローを中心
研究者とする「次世代質量分析システム開発
と創薬・診断への貢献」プロジェクトに参画
している。このプロジェクトの中で、田中フェ
ローを中心として㈱島津製作所で開発される
世界最高性能(従来比 1000 倍の感度を有す
る)の「次世代超高感度質量分析システム」
を用いて、乳がん中心に臨床検体を分析する。
量がわずかで従来の装置では検出され得な
かった微量疾患関連タンパク質が検出され、
新規分子標的薬ターゲット、診断マーカーの
発見が期待される。
システム創薬科学
現在の研究課題として、1)病態発症プロセ
スや薬理作用プロセスにおけるゲノム発現解析
による病態メカニズム、薬理メカニズムのシス
テム的解析、2)病態発症プロセスや薬理作用
プロセスのシステムシミュレーションによる病
態原因遺伝子、薬物標的遺伝子の同定、3)ケ
ミカルゲノミクス情報、遺伝子発現データ、副
作用情報などのデータ統合による多重標的薬理
作用のシミュレーションモデルの開発、4)多
重標的薬理作用モデルに基づく薬理効果促進と
安全性向上を志向した合理的薬物探索手法の開
発とドラッグデザイン理論の構築、等が挙げら
れます。
これらのテーマをドライ(計算)、ウエット(実
験)の 2 つのグループに分かれて取り組んでお
ります。また、週に一度のセミナーにおいて、
研究報告と文献紹介が行われ、各々のテーマや
その周辺についてお互いに理解を深めていま
す。同時に、それぞれのグループに別れ、ディ
スカッションが行われ、活発に意見交換が行わ
れます。
一方、研究室行事も、新入生歓迎コンパや忘
年会などの各種コンパ、夏には研究室旅行が企
画され、研究生活以外の面においても充実した
毎日を送っています。
卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、当研
究室に興味を持たれましたら、どうぞ気軽にお
立ち寄りください。また当研究室の HP(http://
pharminfo.pharm.kyoto-u.ac.jp/)が設けておりま
すのでぜひご覧ください。最後になりましたが、
研究室一同、薬友会の皆様の御健康と御活躍を
心よりお祈り申し上げます。
神経機能制御学
(生命科学研究科・生体システム学)
システム創薬科学講座は 2008 年の 10 月に開
設した小野薬品工業株式会社による寄附講座で
す。現在は奥野教授、瀬木(西田)准教授、新
島助教、研究スタッフ 1 名、DC 2 名、MC 2 名、
四回生 1 名、秘書 2 名、教務補佐 2 名、技術補
佐 2 名、学内協力として荒木准教授他 2 名、学
外協力として㈱京都コンステラ・テクノロジー
ズ(京大発ベンチャー企業)から 4 名で構成さ
れ、システム生命科学に基づく創薬展開を目指
し、日々研究に勤しんでおります。
本研究室は平成 11 年度より薬学部から生命
科学研究科に移籍し、生体システム学分野と改
称しました。現在は根岸教授、加藤准教授、生
沼助教、DC 7 名、MC 4 名、四回生 2 名、秘書
1 名の総勢 17 名から構成され、さらなる飛躍を
遂げるため、スタッフ、学生が一丸となり、日
夜研究に励んでいます。
本研究室の具体的な研究としましては、
(1)低分子量 G タンパク質による細胞の形態
− 38 −
調節機構
(2)神経細胞の突起伸展からネットワーク形成
に関わる分子メカニズム
(3)ガン細胞の運動や生存に関わる分子メカニ
ズム
等を解明することを目標としています。また、
最終的には細胞内情報伝達系の普遍的なシステ
ムを分子レベルで明らかにしたいと考え、研究
を行っています。
研究活動以外にも定例行事として新歓コン
パ、院試激励コンパ、忘年会、追いコン等の各
種コンパや、BBQ 等を行っています。また、
他学部とのソフトボール大会にも参加してお
り、積極的に外部との交流も行っております。
これらのイベントがよい気分転換の機会とな
り、皆、和気あいあいと活気あふれる日々を過
ごしています。
卒業生の皆様はもちろん、学部生の方々も、
本研究室に興味を持たれましたらお気軽にお立
ち寄りください。なお、詳しい研究内容や研究
室の様子につきましては当研究室のホームペー
ジ(http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/negishi/) を
ご覧下さい。
最後になりましたが、研究室一同薬友会の皆様
のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
生理活性制御学
(生命科学研究科・システム機能学)
本分野は現在、小堤教授、竹松准教授、内藤
助教、技官 2 名、博士課程 1 名、修士課程 6 名、
学部 4 回生 2 名、秘書 1 名の総勢 15 名で構成さ
れ、薬学部本館南北棟 3 階で、日々研究に励ん
でおります。
学生一人一人が研究テーマを持ち、その結果
や考察に関して、活発にディスカッションを
行っています。また、毎週行われるセミナーで
は、職員・学生の区別無く全員積極的に発言し、
活発な議論を行っています。
当研究室の研究内容は、
(1)スフィンゴ脂質が関与するシグナル伝達機
構に関する研究
(2)シアル酸分子種の生物学的役割に関する研究
(3)DNA マイクロアレイを用いた糖鎖発現調
節遺伝子の探索、及び糖鎖の機能解析
と多岐にわたっており、酵母、マウス、培養細
胞など、様々なモデル生物を用いて研究を行っ
ています。詳しい研究内容に関しては、ホーム
ページ(http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/kozutsumi/)
をご覧ください。
当研究室は本年度、薬友会バレーボール大会
に、学生一丸となって参加しました。また、研
究室内では、新歓コンパ、院試激励・お疲れコ
ンパ、研究室旅行、忘年会、追いコンなど、様々
なイベントを行い、親睦を深めています。今年
の 4 回生は研究・遊び共に真剣に取り組み、研
究室をより一層賑やかにしています。昨年に引
き続き、秋にはバーベキューを行う予定です。
これは今後も毎年開催したいと思っております
ので、ご都合がよろしければ、卒業生の皆様に
も御参加いただければと思います。
卒業生の皆様をはじめ、本研究室に興味を持
たれた方は、是非お気軽にお立ち寄りください。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康と
益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
医療薬剤学
(医学部附属病院薬剤部)
医療薬剤学分野は医学部附属病院に属する研
究室です。本年 3 月に、16 年間の長きに亘り医
療薬剤学分野を担当してこられました乾 賢一
先生が定年退職され、現在は京都薬科大学学長
を務められています。また、助手(助教)、副
薬剤部長として長年活躍された寺田智祐先生
が、2 月 16 日付で滋賀医科大学医学部附属病院
薬剤部教授としてご栄転されました。現教室メ
ンバーは桂 敏也准教授、増田智先講師、本橋
秀之助教、福土将秀助教、米澤 淳助教、DC
9 名(うち医学研究科 3 名)、MC 5 名、5 回生 4 名、
4 回生 4 名、秘書 2 名の総勢 29 名です。
医 療 薬 剤 学 分 野 で は、
「From Bench to Bedside」を合言葉に医薬品の適正使用を目指した
基礎・臨床研究に日々励んでおります。特に、
薬物動態の規定因子である薬物トランスポータ
や 薬 物 代 謝 酵 素 に 着 目 し、in vitro お よ び in
vivo 実験系を用いた分子・細胞生物学的解析と
臨床応用に関する研究を行っています。また、
医学部附属病院の診療各科と共同研究を行い、
新規治療法・個別投与設計法の開発に向けた臨
− 39 −
床研究も精力的に進めています。さらに、本年
度より薬学科 5 回生の病院・薬局長期実務実習
がスタートし、教員は薬剤部職員と一致協力し
ながら実習に取り組み、学生は新しい薬剤師教
育・実習を通して活気溢れる毎日を送っており
ます。
本年 12 月 1∼3 日には、乾名誉教授を年会長
として「薬物治療における基礎と臨床の橋渡し」
のテーマのもと、第 31 回日本臨床薬理学会年
会を国立京都国際会館において開催いたしま
す。本年会では、創薬と薬物治療、医薬品開発
における最新の研究成果について、議論される
場となるよう準備を進めております。是非、多
くの方々のご参加をいただければ幸いです。
薬剤部のホームページに教育・研究に関する
内容を掲載しておりますので是非一度ご覧下さ
い(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~yakuzai/main.
htm)。また、興味を持たれた方は研究室にも
どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
生体機能化学
(化学研究所・生体機能設計化学)
宇治川のほとり、四季折々の豊かな自然に囲
まれた化学研究所内に我々の研究室はありま
す。今年度の我が研究室のスタッフは教授の二
木史朗先生、助教の今西未来先生、中瀬生彦先
生をはじめとして、PD 2 名、DC 7 名、MC 8 名、
四回生 3 名、秘書 1 名の総勢 24 名から構成され
ております。
私たちは「細胞」という舞台の中で、機能性
分子がどのような場面にどのように機能すれば
最も効果的で高い活性が得られるかということ
に着目しています。本研究室では細胞内への物
質の取り込み、細胞膜を介する情報伝達、遺伝
子の認識と転写といった場で細胞機能を制御す
る高機能蛋白質の創製を目指し、以下のテーマ
を中心に研究を進めています。
1.膜透過ペプチドを用いたタンパク質細胞内
導入と細胞内情報伝達系の制御及び遺伝子
発現の制御に向けた研究
2.亜鉛フィンガー型転写因子の DNA 認識と機
能発現、またその応用的利用に関する研究
3.ペプチド工学的手法を用いたイオンチャネ
ルなどの新規機能性分子の創出
と、これまでの化学、生物学の枠にとらわれる
ことなく、化学、生化学、分子生物学的手法を
用いて生体分子の機能解明・機能創出に向けた
研究を行っております。
教室行事といたしましては、春には化研新歓
コンパ、研究室新歓コンパに始まり、化研スポー
ツ大会、夏には化研涼飲会、院試激励・お疲れ
さまコンパ、秋には化研スポーツ大会、研究室
旅行、冬には忘年会や追い出しコンパなど、い
ろいろな行事が盛りだくさんです。また、有志
によるボーリングや野球、飲み会、スキーツアー
など学生同士の交流も活発で、研究の合間に和
気あいあいと楽しく過ごしております。
なお、研究所の耐震改修に伴い、本年 4 月に
研究室が化研本館 N 棟 4 階東側に移転しまし
た。研究室員一同、新しくなった研究室で、研
究に、交流にと活気あふれる毎日を送っており
ます。本研究室の卒業生の皆様をはじめ、本研
究室に興味をもたれた方など、いつでもお気軽
にお立ち寄りください。最後になりましたが、
研究室員一同、薬友会の皆様のご健康と更なる
ご活躍を心よりお祈り申し上げます。
精密有機合成化学
(化学研究所・精密有機合成化学)
京阪電鉄宇治線もしくは JR 奈良線で数十分、
緑豊かな宇治キャンパス・化学研究所に我々の
研究室はあります。当研究室は、空手をはじめ
様々なスポーツを得意とする川端教授、実験室
を取り仕切る古田准教授及び吉村助教、質量分
析の藤橋技官、秘書 1 名、PD 1 名、DC 11 名、
MC 7 名、4 回生 3 名、研究生 1 名の総勢 28 名で
構成されております。
当研究室の研究内容は以下の通りです。
1)動的不斉制御の方法論と不斉反応への利用
2)有機触媒による精密反応制御
3)分子のキラリティーに基づく高次構造の構築
4)キラルな機能性分子の合成と分子認識に関
する研究
5)生物活性化合物の創出を指向した新規合成
法の開発
ここで、当研究室のご紹介と近況のご報告を
いたします。当研究室では、毎週行われる研究
報告会、文献紹介セミナーに加え、英語で書か
− 40 −
れた教科書の輪読会があります。学生が主体と
なった問題演習も行われています。また、夏に
は一年間の研究成果を発表するアニュアルセミ
ナーが一泊二日の日程で行われています。どの
セミナーでも活発な討論が行われております。
さらに、当研究室には 400 MHz の NMR が一台
あり、スムーズに実験を行うことができます。
年間行事としては、春の花見、新入生歓迎コン
パに始まり、前述した夏のセミナー合宿、院試
お疲れコンパ、秋の研究室旅行、新年会、追い
出しコンパなどがあり、研究生活にメリハリを
つけ楽しく充実した一年間を送っています。ま
た、化研のスポーツ大会にも積極的に参加し、
各種目で好成績を残しております。特にソフト
ボールはこの春に 3 連覇を達成し、秋の 4 連覇
に向けてメンバー全員一致団結して取り組んで
おります。卒業生の皆様をはじめ、当研究室に
興味をもたれた方はどうぞお気軽にお立ち寄り
ください。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健勝
と益々のご活躍をお祈り申し上げます。
統合ゲノミクス
(化学研究所・バイオインフォマティクス
センター)
私たち統合ゲノミクス分野は薬学研究科医薬
創成情報科学専攻に所属しています。研究は主
に宇治キャンパスにある化学研究所バイオイン
フォマティクスセンターで行われ、薬学研究科
のほか理学研究科からも大学院生の受け入れを
行っています。当研究室は金久實教授、五斗進
准教授、時松敏明助教、小寺正明助教、PD 4 名、
薬学研究科 DC 2 名、薬学研究科 MC 2 名、薬
学科 BC 1 名、理学研究科 DC 9 名、理学研究科
MC 1 名、研究生 1 名、研究員等 6 名、秘書 1 名
より構成されています。その他に当研究室が中
心となって開発している KEGG データベース
に関係する技術員や研究補助者が 12 名、シス
テムエンジニアが 5 名在籍しており、総勢 48 名
が閑静な宇治キャンパスを舞台に日々研究や勉
学に勤しんでいます。また、当研究室を主宰す
る金久教授は東京大学医科学研究所ヒトゲノム
解析センター教授も兼任しており、現地には助
教 2 名、 技 官 1 名、KEGG 開 発 メ ン バ ー8 名、
秘書 1 名の総勢 12 名が在籍しておりますので、
両拠点を合わせると金久研の構成人員は総勢
60 名に上ります。これら京大化学研究所、京
大薬学研究科、そして東大医科学研究所の間に
は、最新のテレビ会議システムが導入されあた
かも一体化された研究室として運営されていま
す。研究内容についての特徴としては、 他の研
究 室 と 異 な り ド ラ イ で あ る こ と、 す な わ ち
ウェットな実験ではなく計算機を用いた実験や
解析を行っていることです。たとえば当研究室
の研究設備は、 超並列型スーパーコンピュータ
からパソコンに至るまでコンピュータ関連の機
器が中心となっています。バイオインフォマ
ティクスの大学院向けコースは日本にもいくつ
か存在しますが、 情報科学系の研究領域の一部
として設置されることが多く、当研究室のよう
に生命科学系の研究科の一部として設置される
のは珍しいことです。実際、研究内容もアルゴ
リズムの改良や情報科学的な手法の提案に留ま
らず、その手法を通して如何に生物学的意義の
ある結論を導き出せるかが最重視されていま
す。また、本研究室は古くからバイオインフォ
マティクス研究に深く関わっており、国内のみ
ならず国際的な研究基盤を構築し研究コミュニ
ティを支えてきた実績があります。このような
背景の下、最近の潮流の一つであるケミカルゲ
ノミクス研究の一環として、低分子化合物、糖
鎖、脂質等の構造および機能解析が行われ、 国
際的にも高い評価を得ています。その他にも、
DNA 配列やアミノ酸配列の生物種間比較をゲ
ノムスケールで行う解析や、 タンパク質立体構
造や RNA 高次構造の機能解析、また主に代謝
パスウェイを用いたネットワーク解析や並列計
算機による代謝シミュレーションなど、常に最
先端のバイオインフォマティクス研究が行われ
ています。これら研究内容についての詳細は、
金 久 研 究 室 の ホ ー ム ペ ー ジ(http://kanehisa.
kuicr.kyoto-u.ac.jp/projects_J.html)をご参照くだ
さい。
当研究室の年中行事としては、 春の歓迎会、
夏の涼飲会(化研全体の行事)、秋の遠足(バ
イオインフォマティクスセンター全体の行事)、
そして新年の追い出しコンパなどです。また化
学研究所内での各種スポーツ大会も適宜開催さ
れており、後輩たちには活躍が期待されるとこ
− 41 −
ろです。一方、研究室員が関係する主な国際・
国内学会としては、GIW(Genome Informatics
Workshop)、ISMB(Intelligent Systems for Molecular Biology)、PSB(the Pacific Symposium on
Biocomputing)、日本バイオインフォマティク
ス学会年会、日本分子生物学会年会、日本生物
物理学会年会などがあり、いずれも積極的に参
加・研究発表することが推奨されています。さ
らに、米ボストン大学、独フンボルト大学およ
び仏キュリー研究所との連携教育プログラムの
一環として開催される国際ワークショップに
も、特に若手を中心に積極的な研究発表が望ま
れます。また、海外の著名な研究者を講師とし
てお招きしセミナーを行っていただくことも
多々あり、国際的な視野を持つ優秀な人材育成
に積極的に取り組んでいます。より基礎的な教
育体制についても、ラボ内で開催されるセミ
ナー・講義・実習のテーマをきめ細かく設定す
るなどし、計算機科学・プログラミング・分子
生物学などに不慣れな新入院生が無理なく一線
級のバイオインフォマティクス研究者となれる
よう、万全の教育・指導体制を敷いています。
実際、ラボメンバーの多くはウェットな実験生
物学系研究室の出身であり、入学当初は計算機
に不慣れな者ばかりでしたが、早い者は数ヶ月
程度で最新のプログラミング言語を操れるよう
になっています。
このように、当分野は薬学研究科では珍しい
ドライな分野であるため少々違和感を持たれる
かもしれませんが、 よくある個人主義的な計算
機系ラボとは異なり、研究室の中は非常にアッ
トホームで居心地のよい雰囲気に包まれていま
す。研究室見学は随時受け付けておりますので、
この記事を読み、 研究内容や研究室そのものに
興味を持たれた方、あるいはバイオインフォマ
ティクスという新しい学問領域に少しでも興味
を持たれた方は、是非一度お立ち寄りいただけ
ればと思います。
分子設計情報
(化学研究所・バイオインフォマティクス
センター)
本分野は、2006 年 4 月より薬学研究科に所属
し、さらに 2007 年 4 月に創設された医薬創成情
報科学専攻に現在所属する協力講座です。化学
研究所バイオインフォマティクスセンターは、
京都の南に位置する宇治キャンパス内に一昨年
に竣工された総合研究実験棟にあり、当分野は
その 3F にあります。構成員は馬見塚(まみつか)
教授、瀧川助教、志賀助教、PD 4 名、大学院
生 1 名です。バイオインフォマティクスは、生
命科学と情報科学の融合領域で、計算機科学や
統計学の情報処理技術により生命現象の解明を
目指す新しい学際領域です。特に、本分野では、
機械学習、パターン認識および統計科学の技術
構築・適用による生命科学への貢献に注力して
います。より具体的な研究テーマとして以下を
挙げることが出来ます。
・薬―ターゲットペアデータからのフラグメン
ト―ペプチドパターンの効率的抽出
・遺伝子発現データを使用した条件依存代謝パ
スウェイの自動抽出
・多様な生命科学データを利用した高精度の遺
伝子モジュール発見
当分野の研究環境ですが、研究には十分な背
景知識の習得と自由な討論が強く奨励されると
同時に、研究遂行に欠かせない計算サーバは必
要十分に整備されています。また、週一回のプ
ログレスミーティングは英語で行われていま
す。研究のオフには、化学研究所およびバイオ
インフォマティクスセンターの様々なイベント
(スポーツ交流、歓送迎会等)に積極的に参加
しています。また、郊外のキャンパスの新しい
建物のため、個人スペースに比較的余裕がある
ことも、本分野の特徴の一つでしょうか。卒業
生の皆様、また当分野に興味のある学生の方々
も、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい。バイオイ
ンフォマティクスはまだまだ未来技術で将来性
豊かな研究領域です。この新しい研究分野を一
緒に開拓する心意気のある方々のご訪問をお待
ちしております。
最後に、薬友会の皆様のご健康とご活躍を心
よりお祈り申し上げます。
統合薬学教育開発センター
京都大学薬学部・薬学研究科では、薬学にお
ける“創”と“療”の拠点形成を教育・研究の
基本的理念として掲げ、大学設置基準に基づき、
− 42 −
学部教育においては、平成 18 年度に導入され
た高度な薬剤師教育を目指す 6 年制教育制度
と、創薬研究者を初めとする多様な人材の養成
を目的とする 4 年制教育制度を並置し、各領域
でのスペシャリスト養成を目指して教育を進め
ています。
統合薬学教育開発センターでは、これからの
創薬に求められる能力を育成するため、現在の
個別の専門領域のスペシャリストの資質育成教
育に加え、医薬品開発を俯瞰的に捉え患者に良
質の薬物治療を提供するという薬学の本質に関
わり、統一的に必要とされる薬学総合基礎教育
を新規に展開することを目的として、新薬学教
育制度下での各学科の枠を超えて、医薬品研究
現場への参加・体験型学習及びモデル医薬品開
発・医療応用事業への参加を想定した問題解決
型の演習・実習を中心とした新たな教育カリ
キュラム「創薬・育薬力育成プログラム」を構
築しています。さらに、その成果を高学年、大
学院教育で進展させることによって分野横断的
な創薬・育薬力を持った先導的創薬研究リー
ダーを育成するための横断的統合型教育のプ
ラットフォームを築き、学士力を総合的に高め
る教育システムを構築します。
革新的ナノバイオ創薬研究拠点
革新的ナノバイオ創薬研究拠点は、京都大学
−立命館大学の国立−私立大学連携や薬工連携
によるバイオテクノロジーとナノテクノロジー
の融合などを基盤とした革新的創薬研究の推進
を目的として、2009 年 4 月に京都大学大学院薬
学研究科の附属施設として設置されました。現
在で 2 年目を迎えました。本拠点では、癌など
の難治性疾患の克服を可能とする治療薬、治療
システムの開発を目指して、学際融合的研究の
推進と最先端創薬科学の研究・教育体制の確立
に取り組むと共に、近未来の薬物療法を担う医
薬品は医療機器の開発されに次世代ナノバイオ
研究を牽引する優れた人材の養成を目指してい
ます。
本拠点の組織体制は、薬工連携推進を担当す
る教員とそれを側面から支援するシニアリサー
チフェローから構成される“連携支援ユニッ
ト”、新進気鋭の研究者を集め革新的な技術・
素材を駆使した創薬研究を実施する“先進ナノ
バイオ研究ユニット”、さらにそれぞれの機関
の既設分野の教員が兼任で参加する“薬物送達
研究班”と“医薬創出研究班”とから構成されま
す。現在は薬学研究科長の佐治英郎教授を拠点
長に総勢 23 名のメンバーで構成されています。
本拠点では、①癌治療のための新規化合物の
合成および評価、②抗癌剤候補化合物の in vivo
評価のための癌疾患モデル作成、③分子イメー
ジング法などを利用した医薬品開発候補品の薬
物動態解析とそれに基づく特異的薬物送達シス
テムの設計と開発、④ DDS 技術とマイクロ体
内ロボット、ナノマシンシステムなどの融合に
よる薬物送達システムの構築、などを目標に研
究を推進すると同時に、研究成果の公表や特許
や技術の企業移転を通じた産学連携を推進して
います。昨年度には第一回ナノバイオ創薬研究
シンポジウムを開催し、100 名を超える多くの
方にご参加いただき、盛会のうちに終えること
が出来ました。
また本年度は連携研究の成果により、清水一
憲特定助教が第 26 回日本 DDS 学会において優
秀発表者賞を受賞しました。今後、さらに連携
研究を推進していくことで、我が国の創薬研究
に大きく貢献することが期待されます。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
最先端創薬研究センター
(アルツハイマー・オミックス部門)
最先端創薬研究センターは最先端研究プロ
ジェクトに採択された国のプロジェクトであり
2010 年 4 月よりスタートした。同センターは島
津製作所の田中耕一フェローを中心研究員とし
て「次世代質量分析システム開発と創薬・診断
への貢献」を目標としている中のサブプロジェ
クトとして京都大学大学院薬学研究科内の新設
された。その中には癌の診断方法を開発するグ
ループとアルツハイマー病の診断方法を開発す
るグループに分かれている。
アルツハイマー病の診断方法を開発するグ
ループは杉本客員教授以下松本特定教授、津元
助教、豊本研究員、四角研究員そして秘書の 6
名で構成されている。以下に私どものグループ
− 43 −
の研究内容について次に述べる。
軽度認知機能障害およびアルツハイマー病の
新規血液バイオマーカーの探索解析は、分子量
1 万ダルトン以上の候補タンパク質に対する精
密な電気泳動分離を用いた病態群と正常群との
比較解析手法と、分子量 1 万ダルトン以下の候
補タンパク質・ペプチドに対する質量分析シス
テムを用いた解析手法に大別される。候補分子
の同定には、さらに質量分析システムを用いた
決定解析が不可欠であり、本プロジェクトの全
般に亘り、質量分析システムの技術的及びアプ
リケーションの革新・進歩と密接に関連する。
研究開始に必要なヒト血液サンプルはイン
フォームドコンセントに基づいたものを使用す
る。ヒト血液サンプルから軽度認知機能障害お
よびアルツハイマー病の診断に必要なバイオ
マーカーの探索は成功した事例はないが、我々
は次世代質量分析システムを使用することによ
り微量な物質量を検出できるメリットや物質量
のみならず糖鎖やリン酸化といったタンパク質
修飾後翻訳などの質的に異なるものも検出でき
るメリットを生かしてバイオマーカーの発見を
可能にする。
アルツハイマー病の前駆症状とも言われてい
る軽度認知機能障害をも含めた診断方法の開発
に成功すればアルツハイマー病の治療薬の臨床
治験において薬効を反映できるマーカーにもつ
ながり治療薬開発に大きな貢献が可能となると
期待している。
末筆ではありますが薬友会会員の皆様のご健
康と更なるご活躍をお祈りもうしあげます。
最先端創薬研究センター
(がん・オミックス部門)
最先端創薬研究センターは、内閣府・最先端
研究開発支援プログラム(FIRST プログラム、
平成 21∼25 年度実施)の下で設置された研究
部門で、2010 年 4 月に発足しました。田中耕一
氏(島津製作所フェロー、2002 年ノーベル化
学賞受賞者)を中心研究者とする研究課題「次
世代質量分析システム開発と創薬・診断への貢
献」の連携研究部門であり、がんオミクス研究
グループとアルツハイマー病研究グループ、支
援室の 3 部で構成されております。
このうち、がんオミクス研究グループは 6 名
(兼任者を含む)の研究部隊で、いずれも PhD
のゲノミクスとプロテオミクスの専門家集団で
あり、さらに要員増強中です。島津社製の最新
鋭質量分析システムを設置して研究を実施して
おりますが、世界競争が激しく、多岐にわたる
最先端技術を取り込むために、日夜研鑽を重ね
ている状況です。研究内容は、乳癌を中心に最
先端のオミクス解析を行い、「癌のバイオロ
ジー」を明らかにしつつ、診断と治療のための
標的分子を探索することです。京大病院の乳腺
外科とも連携すると同時に、研究パートナーで
ある島津製作所・最先端研究所とも定例会議や
研究者の交流・共同研究を進め、医薬連携・産
学連携の二刀流で活動をしている状況ですが、
こうした形態は今後も求められる大学研究形態
のひとつと自負しております。
実学としての研究の成果が問われる立場であ
ることを認識しつつ、産学連携と実用化を目指
して精進に励む所存ですので、ご支援・ご指導
のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
と益々のご活躍をお祈りいたします。
− 44 −
薬 友 会 部 報
平成 22 年度薬友会役員
会 長
佐治 英郎 教授
総 務
大野 浩章 薬品有機製造学
副会長
伊藤 信行 教授
会 計
服部 明 システムケモセラピー(制御分子学)
雑 誌
高須 清誠 薬品分子化学
運 動
小野 正博 病態機能分析学
教 養
中川 貴之 生体機能解析学
平成 22 年度予算(案)
《収入の部》
(円)
《支出の部》
(円)
項 目
本年度(案)
前年度決算
項 目
本年度(案)
前年度決算
前年度繰越金
薬友会費(名簿代含)
会誌広告料
利息収入
23,323,360
3,750,000
1,000,000
0
25,429,679
4,087,000
1,088,000
898
合 計
28,073,360
30,605,577
総務部
教養部
雑誌部
運動部
予備費(次年度繰越金)
5,390,000
300,000
2,205,000
270,000
19,908,360
6,176,418
237,734
696,365
171,700
23,323,360
合 計
28,073,360
30,605,577
平成 21 年度 薬友会野球大会結果報告
− 45 −
平成 21 年度 薬友会ソフトボール大会結果報告
平成 21 年度 薬友会バレーボール大会結果報告
− 46 −
京大薬友会会則
第 1 章 会 名
第1条
第 6 章 会 議
本会は京大薬友会と称する。
第 17 条 会議を分けて総会及び役員会とする。
第 18 条 総会は必要に応じて、役員会の議をへて会長が之を招集
第 2 章 目 的
第2条
することができる。
本会は会員相互の親睦を厚くし学識の向上を図ることを
第 19 条 会長は 3 月に定例委員会を招集し、会計報告、新役員の
目的とする。
委嘱、その他の協議報告を行なうものとする。又、会長
は 4 月に定例委員会を招集し、予算および事業案を審議
第 3 章 会 員
第3条
決定するものとする。但し、会長は必要に応じ臨時役員
本会の会員を分けて名誉会員、通常会員及び賛助会員と
する。
第4条
名誉会員とは本会に功績ある者の中より役員会の議を経
て総会において推薦された者をいう。
第5条
会を招集することができる。
第 20 条 役員会の成立は少なくとも全役員の 3 分の 1 以上が出席
することを要す。
第 21 条 役員会の議決は出席役員の過半数を得なければならな
通常会員とは京都大学医学部薬学科及び薬学部職員・大
学院学生及びかつてその職にあった者、卒業生、学生、
い。
第 22 条 役員会は、会計報告、予算案を会報紙上に報告するもの
並びに研究生をいう。その他京都大学医学部薬学科及び
とする。
薬学部に縁故ある者は役員会の議決によって通常会員と
第 7 章 会 費
なることができる。
第6条
賛助会員とは、名誉会員・通常会員以外で本会の主旨に
第 23 条 名誉会員及び賛助会員よりは会費の徴収を行なわない。
賛同し、寄附その他の行為を為した者の中、役員会の承
第 24 条 会員は 20,000 円を一括して支払うことにより永久会員と
認を経た者をいう。
しての資格を得る。単年度毎に支払う場合は、通常会員
1,000 円、学生会員 500 円を年会費とする。但し、会費
第 4 章 役 員
は名簿代金を含まない。
第7条
本会には会長 1 名、副会長 1 名及び委員若干名を置く。
第8条
会長は京都大学薬学部長が之に当り、本会の事務を総括
するものとする。
第9条
第 8 章 経 費
第 25 条 経費の支出科目は次の通りとする。
副会長には前会長が之に当り、会長を補佐するものとす
総務部費、雑誌部費、運動部費、教養部費、会計部費、
る。
予備費
第 10 条 委員は卒業生、学生共、各学生、各学科より 1 名、大学
各事業部費は役員会の議を経なければ互いに流用する事
院各学年より 1 名、其の他に総務、雑誌、運動各部の運
はできない。
営のため若干名の委員を会長が委嘱するものとする。
予備費の支出は役員会の議決を要する。
第 11 条 委員は 2 つの代表を兼ねる事ができない。
第 26 条 毎年度の事業費の決定は役員の議をへて之を決定する。
第 12 条 委員はいずれかの事業部に属し、庶務を司るものとする。
本会の会計年度は毎年 4 月 1 日にはじまり翌年 3 月末に
その所属は役員会において決定する。
終る。
第 13 条 委員の任期は 1 年とする。但し重責は妨げない。
第 9 章 支 部
第 14 条 委員の委嘱は毎年 3 月に之を行なう。
第 27 条 会員 10 名を越える地方は役員会の議決を経て支部を設
第 5 章 事 業
ける事ができる。
第 15 条 本会の事業を行うため次の部を置く。
第 28 条 支部は役員会の議決を経て支部費を受けることができ
(イ)総務部 (ロ)雑誌部 (ハ)運動部
る。
(ニ)教養部 (ホ)会計部
第 10 章 事業所
第 16 条 総務部は予算の編成、企画、会計、連絡その他を行なう。
雑誌部は名簿の編成、雑誌の発行、その他を行なう。
第 29 条 本会は事務所を京都大学薬学部内に置く。
運動部は運動会、旅行その他を行なう。
第 11 章 会則変更
教養部は講演会、見学その他を行なう。
会計部は会計を行なう。
第 30 条 本会の会則変更は役員会の議をへなければならない。役
員会は会則の変更を会報に報告しなければならない。
− 47 −
薬学研究科教員 電話番号・E メール一覧
【薬学研究科・薬学部】
専 攻
大講座
専攻分野・研究領域
分野場所
薬
科
(藤井 信孝)(4551)nfujii
薬品有機製造学
新館 5 階
薬品合成化学
本館 4 階
薬品分子化学
本館 4 階
薬品資源学
別館 1 階
薬品機能解析学
新館 3 階
松﨑 勝巳 (4521)katsumim
構造生物薬学
本館 3 階
加藤 博章 (4617)katohiro
ゲノム創薬科学
新館 3 階
別館 3 階
辻本 豪三(兼)(4523)gtsuji
製剤機能解析学
本館 3 階
石濱 泰 (4555)yishiham
生体分子認識学
本館 2 階
竹島 浩 (4572)takeshim
分子微生物学
本館 3 階
(4564)
生体機能解析学
本館 2 階
金子 周司 (4541)skaneko
遺伝子薬学
本館 2 階
伊藤 信行 (4540)itohnobu
生体情報制御学
新館 4 階
中山 和久 (4527)kazunaka
薬品動態制御学
新館 2 階
橋田 充 (4525)hashidam
薬品作用解析学
本館 1 階
赤池 昭紀 (4550)aakaike
臨床薬学教育
新館 1 階
病態機能分析学
新館 4 階
佐治 英郎 (4556)hsaji
病態情報薬学
新館 2 階
髙倉 喜信 (4615)takakura
薬理ゲノミクス
新館 3 階
別館 3 階
辻本 豪三 (4523)gtsuji
ケモゲノミクス
新館 5 階
(藤井 信孝)(4551)nfujii
システムバイオロジー
別館 3 階
4階
岡村 均 (9552)okamurah
システムケモセラピー(制御分子学)
新館 5 階
掛谷 秀昭 (4524)hkakeya
システムケモセラピー(創薬計算化学)
新館 1 階
北浦 和夫 (9561)kkitaura
統合薬学教育開発
医療薬学
教育棟 1 階
藤井 信孝 (4551)nfujii
先端薬学教育開拓
本館 3 階
薬品創製化学
創
教 授
学
薬品機能統御学
薬品製剤設計学
竹本 佳司 (4528)takemoto
生体分子薬学
生 命 薬 科 学
生体機能薬学
生体情報薬学
薬品動態医療薬学
医 療 薬 科 学
病態機能解析学
医薬創成情報科学
医薬創成情報科学
統合薬学フロンティア教育センター
統合薬学教育開発センター
医療薬学
教育棟 1 階
革新的ナノバイオ創薬研究拠点
本館 1 階
− 48 −
栄田 敏之(特定)(9560)sakaedat
電話番号:075-753(内線番号) E-mail:メールアカウント@pharm.kyoto-u.ac.jp
准教授
大野 浩章(4571)hohno
講 師
助 教
大石 真也(兼)(9268)soishi
山田 健一(4573)yamak
塚野 千尋 (4532)tsukano
(猪熊 翼)(4610)tinokuma
高須 清誠(4610)kay-t
事 務
FAX
(4551)
(4570)
(4553)
(4604)
(4528)
(4569)
伊藤美千穂(4506)michihoi
(4507)
星野 大(4531)hoshi
矢野 義明 (4529)yyano
(4578)
(4578)
中津 亨(4606)nakatsu
山口 知宏 (4606)tyamaguc
(4619)
(9272)
平澤 明
(兼)(4543)akira_h
(4559)
(9264)
(4544)
中野 実(4565)mnakano
(4601)
(4601)
(4552)
(4605)
山本伸一郎 (4562)yamashin
(山崎 大樹)(4562)daiju-y
柿澤 昌(4552)sho-kaki
761-2698
(図書)
渡部 好彦(4577)watanabe
中川 貴之(4549)tnakaga
三宅 歩(4539)miyakea
山下 富義(4535)yama
川上 茂(4545)kawakami
久米 利明(4576)tkume
白川 久志 (4548)shirakaw
(4541)
(4542)
山内 肇 (4560)hyamauch
佐塚 文乃(特定)(4539)asatsuka
(4539)
(4600)
加藤 洋平 (4537)ykatoh
(4527)
(4557)
(樋口ゆり子)(4545)higuchi
(4545)
(4575)
泉 安彦 (4536)yizumi
(4550)
(4579)
矢野 育子(751-3582)iyano
(751-3205)
小野 正博(4608)ono
西川 元也(4580)makiya
(4568)
髙橋 有己 (4616)ytakahashi
(4616)
(4614)
(4559)
(9264)
(4544)
大石 真也(9268)soishi
土居 雅夫(9554)doimasao
服部 明(9267)ahattori
(4566)
木村 郁夫 (4533)ikimura
(武井 義則)(9264)ytakei
平澤 明(4543)akira_h
大野 浩章(兼)(4571)hohno
天滿 敬 (4566)ttemma
(木村 寛之) (4607)hkimura
佐野 紘平(特定)(4607)ksano
(4570)
山口 賀章 (9554)yoshiy
(松尾 雅博)(9554)matsuo
(9554)
(9553)
西村 慎一 (4534)nshin
(林 豊)(4534)yhayashi
(4524)
(4591)
(9253)
栃倉 匡文
(特定)(4564)tad
天野 博夫(特定) (4548)amano
樋口ゆり子(特定) (4545)higuchi
清水 一憲(特定) kshimizu
高橋 清大(特定) (751-3976)kiyohiro
松尾 雅博(特定) (9554)matsuo
林 豊(特定) (4534)yhayashi
木村 寛之(特定) (4607)hkimura
武井 義則(特定) (9264)ytakei
− 49 −
(9568)
【薬学研究科・薬学部】
専攻分野・研究領域
分野場所
教 授
准教授
最先端創薬研究センター
新館 1 階
本館 4 階
辻本 豪三(兼) (4523)gtsuji
清水 一治(兼) (9556)kazushmz
杉本 八郎(客員)(9270)hsugimot
松本 明(特定)(9270)akirama
内海 潤(特定)(9570)jutsumi
寄附講座:ナノバイオ医薬創成科学
本館 3 階
清水 一治(客員)(9556)kazushmz
佐藤 史顕(特定)(9559)fsato
寄附講座:システム創薬科学
別館 2 階
奥野 恭史(特定)(4559)okuno
瀬木 恵里(特定)(4537)eri.segi.nishida
先端技術グローバルリーダー
養成ユニット
新館 1 階
荒木 通啓(9274)araki
大学院教育改革支援プログラム
(竹島 浩)(4572)takeshim
サービス・イノベーション人材育成
(栄田 敏之)(9560)sakaedat
【生命科学研究科】
専攻分野・研究領域
分野場所
教 授
准教授
医学部
生体システム学(薬:神経機能制御学) 医学・生命科学
総合研究棟
根岸 学(4547)mnegishi
加藤 裕教(7687)hirokato
システム機能学(薬:生理活性制御学)
小堤 保則(7684)yasu
竹松 弘(7685)htakema
本館 3 階
【化学研究所】
専攻分野・研究領域
教 授
精密有機合成化学(薬:精密有機合成化学)
川端 猛夫(3190)kawabata@scl
生体機能設計化学(薬:生体機能化学)
二木 史朗(3210)futaki@scl
バイオインフォマティクスセンター
(薬:統合ゲノミクス)
金久 實(3270)kanehisa@kuicr
バイオインフォマティクスセンター
(薬:分子設計情報)
馬見塚 拓(3023)mami@kuicr
准教授
古田 巧(3191)[email protected]
五斗 進(3271)goto@kuicr
【附属病院】
専攻分野・研究領域
教 授
准教授
桂 敏也(3590)tkatsura@kuhp
薬剤部(薬:医療薬剤学)
【関連施設・事務室】
電話番号:075-753-(内線番号)
有機微量元素分析総合研究施設(4596)
研究科長室(4508)
事務長室(4501)
総務掛(4510)
経理掛(4512)
研究推進掛(4593)
※事務室 Fax(075)753-4502
教務掛(4514)
※教務掛 Fax(075)753-9276
図書掛(4598)
※図書掛 Fax(075)761-2698
薬友会事務局(4589) 月・水・金 9:00∼12:00 E-mail [email protected]
− 50 −
電話番号:075-753-(内線番号) E-mail:メールアカウント@pharm.kyoto-u.ac.jp
講 師
助 教
事 務
FAX
寺澤 和哉(特定)(4586)ktera
原 貴史
(特定)(9264)t-hara
津元 裕樹
(特定)(4586)tsumoto
小澤健太郎(特定)(9264)k.ozawa
(4522)
土屋 創健(特定)(9558)sokent
(9556)
(9557)
新島 聡(特定)(9551)niijima
(4559)
(4559)
角山 香織(特定)(9261)kao-kado
(9274)
(9275)
山崎 大樹(特定)(4562)daiju-y
猪熊 翼(特定)(4610)tinokuma
電話番号:075-753-(内線番号) E-mail:メールアカウント@pharm.kyoto-u.ac.jp
講 師
事 務
FAX
生沼 泉(7687)[email protected]
(4547)
(7688)
内藤 裕子(7685)yuko
(7684)
(7686)
助 教
電話番号:0774-38(内線番号) 講 師
事 務
FAX
吉村 智之(3193)[email protected]
(3192)
(3197)
今西 未来(3212)imiki@scl
中瀬 生彦(3211)nakase@scl
(3214)
時松 敏明(特定)(3093)tokimatu@kuicr
小寺 正明(特定)(3093)kot@kuicr
(3270)
(3269)
瀧川 一学(3024)takigawa@kuicr
志賀 元紀(3313)shiga@kuicr
(3025)
(3037)
助 教
電話番号:075-751(内線番号) 講 師
増田 智先(3586)masuda@kuhp
E-mail:メールアカウント.kyoto-u.ac.jp
助 教
本橋 秀之(3586)motohasi@kuhp
米澤 淳(3588)ayone@kuhp
福土 将秀(3588)mfukudo@kuhp
− 51 −
E-mail:メールアカウント.kyoto-u.ac.jp
事 務
FAX
(3577)
(4207)
平成 22 年 11 月発行
発 行 所 京都大学大学院薬学研究科・薬学部・薬友会
Tel 075-753-4589
E-mail [email protected]
発行責任者 佐 治 英 郎
印 刷 所 中西印刷株式会社
Tel 075-441-3155
名称未設定-3
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2010/12/06
13:25:51
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