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2011 年度フランス短期留学帰国報告書

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2011 年度フランス短期留学帰国報告書
2011 年度フランス短期留学帰国報告書
農学部・農学科・2 年
01100068
鎌野
太功
今回私は 8 月 18∼31 日の 14 日間の日程でフランスのボーヴェ・ラサール・ポリテクニ
ーク学院に短期留学してきました。当初の目的は明確には2つありました。1つは、自分
も農学を学ぶ者として日本と農業大国フランスとの違いを五感で感じて、フランス農業の
現状を知ることでした。そして、2つ目は、フランス人と日本人の歴史や文化,習慣の違い
を経験し、物事を日本的と外国的な異なる2つの視点から捉えることのできる広い視野を
養うことでした。私は今回、特に2つ目の目標に重点を置いて 14 日間の短期留学に臨みま
した。
まず、現地での活動を簡単に 1 日ずつ分けて報告したいと思います。
1 日目:成田空港からボーヴェ・ラサール・ポリテクニーク学院へ移動。その後現地学生
と共に大学キャンパス内の見学、そして夕食(ピザ)をとって宿舎に移動し、説明を受け
て解散。
2 日目:朝食(バケットやシリアル)を大学でとり、ボーヴェの町へ移動し、LA MA
LADRERIE ST LAZARE(瓦などの美術館)を見学し、近くのショッピングセンターで買
い物。その後、大学に戻り昼食(ワインやチーズ、パテやサラミなど)をそれらがフラン
スのどの辺りで作られているのかを聞きながらとり、引き続き午後もボーヴェの聖堂等を
見学。その後 1 時間の自由行動の後、大学でバーベキュー。
3 日目:宿舎の食堂で朝食をとり、電車でボーヴェからパリへ移動。パリではエッフェル
塔に行き、セーヌ川周辺を散策し昼食。ノートルダム寺院で 1 時間の自由行動。帰りは電
車の遅延によりボーヴェの町で夕食。
4 日目:宿舎の食堂で朝食をとり、ミニバスで CHANTILLY 城と庭園を見学し、昼食(サ
ンドウィッチとタルト)をとり、COMPIEGNE 城と庭園を見学。そして大学で夕食
5 日目:朝食を大学でとり、ミニバスで ROUEN へ移動。ROUEN で自由行動(昼食、
ROUEN 大聖堂やジャンヌダルク像、特有の美しい街並み等を見学)の後、ROUEN 近く
の植物園で見学。大学で夕食。
6 日目:大学で朝食をとり、マイクロバスで COMPIEGNE 城へ移動。昼食(サンドウィ
ッチとタルト)をとり、その後は自由行動(宮殿内の見学や庭園の散策など)大学で夕食。
7 日目:大学で朝食をとり、PARC ST PAUL(アミューズメントパーク)へミニバスで
移動。午前中はアミューズメントパークで過ごし、午後はボーヴェの町へ自由行動とショ
ッピングセンターで買い物の後、大学で夕食。
8 日 目 : 大 学 で 朝 食 を と り 、 ミ ニ バ ス で AMIEN へ 移 動 し 、 小 舟 で LES
HORTILLONNAGES(水上庭園)の見学。そして、AMIEN にあるレストランで昼食(ガ
レット)をとり、午後は自由行動(アミアン大聖堂など)
。大学で夕食。
9 日目:大学で朝食。ミニバスで移動し、午前中は画家アンドリュー・バンビーク氏の庭
園とアトリエの見学。大学で昼食をとり、THE POTTERY MUSEUM(壺の博物館)を見
学。大学で夕食。
10 日目:宿舎の食堂で朝食をとり、マイクロバスで REIMS へ移動し、自由行動(昼食、
ノートルダム大聖堂やトー宮殿、マルスの門など)。大学で夕食。
11 日目:宿舎の食堂で朝食をとり、電車でパリへ移動。ルーブル美術館から自由行動(午
前中はルーブル美術館、昼食、午後はシャンゼリゼ通りや凱旋門周辺の散策)。大学で夕食。
12 日目:大学で朝食をとり、ミニバスで FERME DE CHASSY(無農薬農園)へ移動し、
農園の見学。大学で昼食をとって、GAEC ST JEAN(牧場とチーズ工場)の見学。その後
ショッピングセンターでの買い出しの末、バーベキュー。
13 日目:大学で朝食をとり、ミニバスでモネの庭へ移動。モネの庭見学後、昼食(サン
ドウィッチとアップルパイ)をとって、GERBEROY に移動。到着後自由行動(町内の散
策)、大学で帰国準備と夕食。日本へ出発。
14 日目:日本に到着。成田にて解散。
次にこの 14 日間のプログラムを通じて、当初の目的に対して私が感じたことです。
1 つ目の農業に関する点では、フランスに到着してまず農地の広大な広さに驚かされまし
た。以前の講義でヨーロッパの自然林はとても少なく、森や林は 90%以上が農地や人工林
だと聞いたことがあり、本当なのか疑問に思っていましたが実際に自分の目で見て納得し
ました。先に紹介したように私はいろいろな街を見学してきましたが、街周辺を除くと日
本のように山や森などではなく、道路以外は見渡す限りの農地となっていました。農機具
を実際に使っている様子はプログラム中見学することができませんでしたが、トウモロコ
シやヒマワリなどの作物を広大な面積で栽培していたので、機械化が進んだ農業システム
をとっているように感じました。また 14 日間で広く栽培されていた作物は、今挙げたトウ
モロコシとヒマワリのみで、残りは栽培に使われていない農地と刈り取られたサイレージ
用に丸く加工された青刈り作物があるだけでした。最初はどうして限られたものしか栽培
しないのか疑問に思いましたが、現地での生活を通じて私なりに理由がわかってきました。
これはおそらく気候の問題であると私は考えました。フランスは日本と異なり一日を通し
て湿度が低く、日中は気温が高く、夜間は低いという特有の気候で昼夜の激しい温度変化
の環境ストレスに耐えることができ、加えて広い面積で栽培するため、強い乾燥にある程
度耐えることができる作物しか栽培できないため、種類が限られてしまうのではないかと
思いました。また、12 日目には無農薬栽培を行う農場を見学することができ、ここでも日
本との違いを垣間見ることができました。栽培面では、最近では日本でも行われている雑
草を抜かずに競争力で成長力を促し、害虫の被害を分散させるという方法を用いていて、
広い畑を扱う農業には労力を削減でき、最適方法であると感じました。また野菜の価格的
な面では、日本よりきわめて安く、トマトやニンジンは 1kgで1€とkg単位で売られて
いました。14 日間のプログラムを通じて、日本とは異なるフランス農業の特色を数多く学
ぶことができました。
また2つ目の日本との歴史や文化、習慣の違いを経験するという点でも、歴史や文化、
習慣だけでなく、人間そのものの感覚の違いなどを感じることができました。私が 14 日間
を通じて、フランス人が日本人と感覚的なものが著しく異なっていると強く感じたのは几
帳面さです。しかしこれは、たまたま出会った人がこのような性格であったのかもしれま
せんが、私はフランスの人たちは少しルーズだと感じました。時間にルーズな国はたくさ
んあるように思いますが、私はフランスの人たちは特に時間ではなく衛生管理が少しルー
ズだと感じました。残ったものは常温で一週間近く放置したり、チーズが強い臭いを発す
るようになっても捨てずに食べたり、果物などにコバエが発生しても何ら対策を講じるこ
ともありませんでした。なかでも衝撃的であったことが、チーズ工場に行った際にチーズ
を作っている人たちが素手で薄い帽子と白い服と長靴を履いただけで作業していたことで
した。私はコンビニの惣菜工場でアルバイトをしていた経験があり、そこでは帽子と手袋
は三重に着用することが義務づけられていて、一時間ごとにローラーで髪の毛やほこりを
徹底的に取り去り、加えて手袋は定期的に交換する決まりになっていました。私はその経
験もあり、日本との違いに衝撃を受けました。私はこういった感覚の違いはチーズのよう
なカビなどの独特な食文化に触れて生活をしていることが原因で生じているのではないか
と感じました。それにフランスは日本に比べて極めて湿度が低く菌なども繁殖しにくい環
境であることも関係しているのではないかと、私は考えました。同時に日本は湿度が高く、
きちんとした衛生管理がなければならず、几帳面な性格となったように思います。今回の
プログラムで国の特徴や性格の形成にはその国が置かれている環境が大きく関わっている
と感じました。環境に関連して、習慣等も同様に環境に左右されていました。フランスは
先に述べたように昼間は気温が高く、夜間は気温が下がるといった気候で 13 日目には夜間
の温度があまりに下がり、加えて翌日の日中の気温が急上昇したため、低温の夜間に蓄積
された農地の水分が 10:00 頃にまとまって蒸発し、非常に濃い霧が発生してしまうという
現象が起こるほどでした。このような気候ですから、現地の人たちは夏でも重ね着をして、
温度調節ができるような服装で生活していました。また今の時期フランスはサマータイム
で、夜 9:00 過ぎまで日が沈まず、活動時間が日本に比べて長く、日本のように急いだ忙し
い雰囲気ではなく、ゆったりと生活しているような印象を受けました。そして、今の時期
は一般的に夏休みの時期に当たり、バカンス等に出かけてしまうため商店等はほとんど閉
店状態でした。こういったところも日本とは異なった面白い文化だと思いました。他には、
食文化についても違いを感じました。14 日間を通じて私は、フランス人は非常に味の濃い
ものを好むように感じました。朝食もバケット(フランスパン)にチョコレートクリーム
をたっぷりかけ、シリアルにはたっぷりの砂糖、デザートも甘いプリンやチョコタルト、
チョコプリンなどでした。夕食には味の薄いサラダやおかずが出ますが、現地の学生はド
レッシングや塩コショウをたくさんかけて食べていました。私は、フランス人は幼い時か
ら料理などでワインに親しんでいるという話を聞いたのでワインに合う濃い味付けのもの
を好むのではないかと思いました。しかし、現地の料理の味はとてもおいしくて、特に
REIMS で食べた牛肉とバルサミコ酢を使った料理や AMIEN で食べたサラダ、メイン、デ
ザートの三種類のガレット、ボーヴェで食べたカルヴァドス(酒)とチーズのみで味付け
されたチーズフォンデュは、まさに本場の味ということのできる素晴らしい味わいでした。
また、チーズもいろいろな種類のものを味わうことができ、日本向きのチェダーチーズや
カマンベール、とても癖のあるブルーチーズなどを食べ、貴重な体験ができました。それ
から日本との大きな違いとしては街並みや建造物があります。私が特に強い印象を受けた
ものがフランスの街並みです。フランスの住宅は、ほとんどが煉瓦造りで歳月が作り上げ
ていく特有の美しさが一軒一軒に宿っており、それら一軒一軒が集まって一つの街並みを
作り上げていました。こういった町並みは、地震大国日本では決して見ることのできない
素晴らしい景色でした。また、今回のプログラムではいろいろな街を見学しましたが、パ
リには比較的高い建物が多く、高級感漂う街並み、ROUEN は長い歳月が作り出す落ち着
いた雰囲気を持っており、AMIEN は水路と花に囲まれた明るく、まるで街が生きているか
のような印象を受けました。一方で GERBEROY はあまり人気がなく、バラに囲まれ、街
が眠っているかのような印象を受けました。また、多くの名所も見学し、特に百年戦争や
フランス革命、第一次世界大戦など、名のある戦いの縁の地も見学することができました。
特に印象深かった場所は、CHANTILLY 城と COMPIEGNE 城、それにヴェルサイユ宮殿
とノートルダム大聖堂をはじめとする聖堂の数々です。三つの城は、内装はよく似ていま
したがそれぞれに特色があり、CHANTILLY 城は狩りを好んだため動物の装飾品や犬を大
切にしており、犬の肖像画が多く飾られていました。また、COMPIEGNE 城はナポレオン
縁の城で革命家らしく当時としては落ち着いた佇まいでした。一方で、ヴェルサイユ宮殿
は富と権力を結集した豪華絢爛な宮殿でした。三ヵ所に共通して、どの庭園も広く、そし
て美しい作りでした。貧しい人々に職を与えるために庭園を広く作ったのだと先生からお
聞きし、その理由に納得しました。そして、聖堂はフランス各地にあり、大きさに大小は
あるものの、どの聖堂も装飾やステンドグラス本当に美しく当時のキリスト教の権力や信
仰心の強さを感じました。
当初の 2 つの目標は高い水準で達成されたと、私自身プログラムを終えて感じています
が、新たな課題も浮上しました。
その課題とは国際交流のためのコミュニケーション力、簡単に言えば自分の英語力のな
さです。現地で我々の世話をしてくれた 2 人の学生、Theo と Alex は半年間の留学で英語
が自由に使え、フランスでは基本的に英語を使いました。しかし、伝えたいことがあって
も最初の方は全く話しかけることができませんでした。ですが、日を重ねる毎にどんどん
親しくなり、話しかけられるようにはなり、知らないことを教えてもらったり、みんなで
話し合ったりも少しできるようになりました。しかし、やはり英語力が足りず、もっとい
ろいろな会話をしたかったと、今日後悔しています。ですから今後は、英語により一層の
努力を重ねていきたいと強く感じました。
そして、私は、この 14 日間フランスで学んだことを活かして、農学科で学んでいくこと
はもちろんのこと、日常生活においてもこのプログラムで学んだことを活かして、物事に
はいろいろな考え方や見方があること、人によっていろいろな生活スタイルがあること、
そして国境を越えて共通のコミュニケーションや感性があることを心に刻んで、これから
の学生生活のさらなる充実と自分自身の向上を目指して日々生活していきます。
最後に Theo と Alex を含め、他のキャンパスの枠を越えて素晴らしい仲間との出会いを
提供してくれた、このフランス短期留学プログラムに心から感謝したいと思います。今後
もこういったプログラムの継続を私は強く望みます。
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