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最近における鉱物資源需給の動向と 鉱物資源政策の状況

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最近における鉱物資源需給の動向と 鉱物資源政策の状況
資料5
最近における鉱物資源需給の動向と
鉱物資源政策の状況について
平成18年10月23日
資源エネルギー庁
目
次
Ⅰ.鉱物資源の国際需給と安定供給を巡る情勢の
変化について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
Ⅱ.鉱物資源政策の最近の進展 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
1
Ⅰ.鉱物資源の国際需給と安定供給を巡る
情勢の変化について
鉱物資源の国際市況と短期的な需給の見通し
¾ 近年、非鉄金属の価格は著しく上昇。
¾ 例えば、銅価格は、1998年以降、概ねトン当たり、1,500ドル~2,000ドル程度で推移していたが、
2003年以降急速に上昇。 2005年10月には、史上初めて4,000ドル台を、2006年5月12日には、
8,788ドルを記録した後、最近は乱高下の後、7,000ドル台で推移。また、多くのレアメタルについ
ても、ここ数年で、急激な価格上昇や需給逼迫を経験。
¾ 国際資源情勢の急激な変動は、中国等における経済成長に伴う、金属消費量の急拡大を背景
としたもの。中国は大資源国でもあるが、自給率が低下し、輸入国に転換しつつある。
($/トン)
国際銅研究会(ICSG)、鉛亜鉛研究会(ILZSG)による
2006年、2007年需給見通し(単位千トン)
非鉄金属価格の推移(LME)
$9,000.0
06/5/12
8,788$(最高値)記録
$8,500.0
$8,000.0
$7,500.0
06/4/12
6,000$突破
$7,000.0
$6,500.0
$6,000.0
$5,500.0
05/10/6
4,000$突破
$5,000.0
銅地金
$4,500.0
$4,000.0
$3,500.0
アルミ地金
$3,000.0
【銅】
2005年
2006年予測
2007年予測
地金生産量
16,512
17,398
18,059
地金消費量
16,614
17,160
17,884
需給バランス
▲102
+238
+175
【亜鉛】
2005年
2006年予測
2007年予測
地金生産量
10,207
10,644
11,166
地金消費量
10,649
11,060
11,352
需給バランス
▲442
▲416
▲186
2005年
2006年予測
2007年予測
地金生産量
7, 572
8,033
8,273
地金消費量
7, 742
7,997
8,208
需給バランス
▲170
+36
+65
$2,500.0
亜鉛地金
$2,000.0
$1,500.0
$1,000.0
鉛地金
$500.0
$0.0
鉛
5月
1月
年
06
9月
年
06
5月
年
05
1月
年
05
9月
年
05
年
5月
亜鉛
04
1月
年
04
9月
年
04
年
5月
銅
03
年
1月
アルミニウム
03
9月
年
03
5月
年
02
1月
年
02
9月
年
02
5月
年
01
1月
年
01
9月
年
01
5月
年
00
年
00
00
年
1月
【鉛】
3
《主要金属・資源の価格高騰の状況》
¾ 近年、多くの金属価格は高騰を経験し、引き続き、多くは高水準を維持している。
2003年7月
鉄鉱石(US$/ton)※1
2005年7月
対2003年7月
比
2006年7月
対2003年7月
比
主な用途
17.50
22.30
+127%
37.00
+211%
鋼材
1,710.00
3,614.20
+211%
7712.10
+451%
電線、電子、機械
亜鉛地金(US$/ton)
827.50
1,194.40
+144%
3,339.86
+404%
メッキ鋼板、合金
鉛地金(US$/ton)
514.80
854.50
+166%
1,052.38
+204%
鉛バッテリー
白金地金(US$/TroyOunce)
690.24
878.97
+127%
1241.32
+180%
自動車用触媒、電子部品
8.80
14.58
+166%
26.59
+302%
ステンレス鋼、構造用合金(自動
車、船舶)、二次電池
タングステン鉱($/MTU)
46.00
145.00
+315%
160.00
+348%
超硬工具、高速度鋼
コバルト地金(US$/kg)
23.48
30.03
+128%
31.21
+133%
耐熱合金(ガスタービン等)、二次
電池(リチウムイオン電池等)
モリブデン鉱(US$/kg)
11.49
66.55
+579%
54.40
+473%
構造用合金鋼(自動車向け鋼材、
シームレスパイプ等)
460.00
536.30
+117%
1050.0
+228%
普通鋼、特殊鋼
10.22
65.86
+644%
36.01
+353%
高張力鋼(パイプライン等)
182.50
898.89
+493%
775.00
+425%
透明電極(液晶パネル等)
ネオジム(US$/kg)
6.8
11.7
+172%
24.0
+353%
希土類磁石
ジスプロシウム(US$/kg)
25
65
+260%
109
+436%
希土類磁石
銅地金(US$/ton)
ニッケル地金(US$/kg)
フェロマンガン(US$/ton)
フェロバナジウム(US$/kg)
インジウム(US$/kg)
レアアース
※ 鉄鉱石価格はいずれも翌年度の年間引き取りに関する指標価格
出典:LME、LMB、MW等
4
《レアメタル価格の長期的推移》
5
国際非鉄金属市場における我が国の位置付け
世界の消費量
日本の消費量
日本のシェア(順位)
日本国内の市場規模
(試算)
備考
銅
(2005年)
1,682万トン
123万トン
7.3%(3位)
5,640億円
1位:中国(21.6%)
2位:米国(13.5%)
亜鉛
(2005年)
1,039万トン
60万トン
5.8%(3位)
1,187億円
1位:中国(28.2%)
2位:米国(9.8%)
鉛
(2005年)
753万トン
29万トン
3.8%(5位)
444億円
1位:中国(25.8%)
2位:米国(19.5%)
白金
(2005年)
208トン
41トン
19.6%
1,312億円
欧州(34.9%)
北米(15.8%)
ニッケル
(2005年)
124万トン
17.5万トン
14.1% (2位)
2,869億円
1位:中国(15.1%)
3位:米国(10.9%)
タングステン
(2005年)
5.9万トン
0.8万トン
13.6%(4位)
137億円
中国(36.1%)
米国(15.0%)
コバルト
(2005年推定値)
5.0万トン
1.3万トン
25.8% (1位)
504億円
1位:日本(25.8%)
西欧(17.1%)
モリブデン
(2005年)
17.3万トン
2.9万トン
17.0%(3位)
2,254億円
マンガン
(2001年参考値)
1,963万トン
113万トン
5.7%(5位)
565億円
中国(35.7%)
ウクライナ(13.6%)
バナジウム
(2005年推定値)
8.8万トン
1.0万トン
11.4%(4位)
439億円
西欧(21.2%)
米国(19.2%)
351トン
211トン
60.1% (1位)
148億円
米国(21.4%)
84千トン
20千トン
23.8%(2位)
219億円
1位:中国(35.1%)
インジウム
(2002年)
レアアース
(2003年参考値)
(出典) ○Cu、Zn、Pb:WMS2006
○ Pt:PLATINUM2006
○ Ni:INSG Aug.,2006
西欧(32.4%)
米国(19.0%)
○ W、Co、V:工業レアメタル06
○ Mo:CRU Aug.,2006
○その他:JOGMECレアメタル備蓄データ集 等
○市場規模は、国内建値の年平均値等から算出
6
主要レアメタルの輸入動向
鉱種
主要生産国
(2005年)
主要輸入先
(2005年)
中国の動向
備考
①ニッケル
(備蓄)
露22%
加15%
豪14%等
インドネシア(44%)、フィリピン
(14%)、ニューカレドニア(13%)等
から調達
ステンレス生産の拡大を受け、輸
入が急増。海外調達を積極化。
・LME上場金属
・我が国企業による探鉱開発あり。
②クロム
(備蓄)
南ア43%
インド19%
カザフ19%等
南ア(49%)、カザフ(26%)、インド
(9%)から調達。
輸入量は年々拡大。
フェロクロム生産では日本企業が
南ア進出例あり。
③タングステン
(備蓄)
中国90%
中国からの輸入が79%。
増値税還付率を削減し、国内需
要を優先。
中国の付加価値政策(鉱石→中
間製品へ)で、鉱石としての輸入
は激減。
④コバルト
(備蓄)
コンゴ31%
ザンビア17%
豪13%等
加工後の製品を、フィンランド、豪
州、カナダ等から調達
中国国内の二次電池需要が拡大
し、コンゴ等からの輸入が増加。
・銅及びニッケルの副産物。
我が国企業により探鉱開発あり
(ニッケル)。
⑤モリブデン(備
蓄)
米34%
チリ27%
中国17%等
チリ(45%)、中国(15%)等から調
達
中国は輸出国の一つ。
・多くは銅の副産物。
・我が国企業による探鉱開発あり
(銅)。
⑥マンガン
(備蓄)
南ア22%
豪14%
ガボン13%等
南ア(47%)、豪州(23%)、中国
(19%)から調達。なお、中間製品
のシリコマンガンは中国に依存。
輸入が急拡大中。
・マンガン鉱石確保で、南ア・サマ
ンコール社との提携あり。
・シリコマンガン生産で中国進出例
あり。
⑦バナジウム(備
蓄)
南ア42%
中国34%
露21%等
南ア(49%)、中国(25%)から調達
国内は大手2社で9割の生産。
(詳細は不明)
フェロバナジウム生産で南ア進出
例あり。
⑧インジウム
中国55%
日本15%
加11%等
輸入の7割が中国。また、亜鉛の
海外鉱から国内製錬所で抽出。
詳細は不明
・亜鉛の副産物
⑨レアアース
中国93%
輸入の9割が中国
内蒙古、華南で生産
7
(出典) 主要生産国:WBMS2006、MCS2006
主要輸入先:日本貿易統計
鉱物資源の供給に係る3つのリスク
¾
中国の需要拡大
中国の原料輸入が急増し、鉱石確保における我が国との競合が発生。日本の需要家の原料市場での優位性が相
対的に低下。
¾
サプライヤーの寡占化
国際的な資源生産メジャー企業は再編を通じて市場支配力を強化。主要7社の銅鉱石生産シェアは33%(1990
年)から45%(2005年)に拡大、ニッケルの鉱山生産量については、主要3社のシェアが約5割を占める。
¾
資源の偏在
経済性を有する資源は世界的に偏在。結果として、供給企業数も少数。
中国の需要拡大
資源の偏在
生産者の寡占化
8
《リスク1 中国における需要拡大》
¾ 世界的に鉄、銅等の国際金属消費量は拡大。
¾ その中で、特に中国の金属消費量の急増が存在。
(中国の最近5年間の銅消費量の伸びは、ほぼ日本全体の消費量を上回る規模。)
1990年
中国
粗鋼消費量
世界
中国
世界消費の伸びに占
める中国の比率
世界
0.69億トン
7.7億トン
3.0億トン
10.8億トン
75%
51万トン
1078万トン
364万トン
1682万トン
52%
2.8万トン
84万トン
20万トン
132万トン
36%
銅地金消費量
ニッケル消費量
2005年(注)
出典 粗鋼:Steel Statistical Yearbook 2005、銅及びニッケル:WBMS2006
注:粗鋼消費量は2004年
世界の銅地金消費(地域別)
アジアの銅地金消費(国別)
4千㌧
000.0
千㌧
18 000.0
3 500.0
16 000.0
3 000.0
14 000.0
12 000.0
2 500.0
10 000.0
2 000.0
8 000.0
6 000.0
1 500.0
4 000.0
1 000.0
2 000.0
0.0
1996
500.0
1997
1998
1999
欧州
米州
2000
アジア
2001
2002
オセアニア
2003
2004
アフリカ
出典:World Bureau of Metal Statistics 2006
2005
0.0
1996
1997
1998
日本
1999
2000
韓国
2001
中国
2002
台湾
2003
その他
2004
2005
9
中国の銅消費量増大、鉱物資源自給率の推移
¾ 中国は昨今の経済成長の急進に伴い、電力、通信、インフラ部門を中心に銅地金需要が
急増するが、一人当たり消費量は低水準。
¾ 消費の拡大とともに鉱物資源の自給率が低下し、海外からの原料輸入国に転換。
主要国の一人当たり銅消費量の推移(試算)
中国の鉱物資源の自給率の推移
160
14.0
kg/ 人
10.0
120
8.0
6.0
100
80
60
4.0
40
2.0
20
0.0
1950
1960
輸
140
自 給 率 (% )
12.0
米国
日本
中国
1970
1980
1990
2000
2010
出典:WBMS2006、外務省及び総務省HP等
0
1996
出
国
か
ら資
源
輸
入
国
に
転
換
銅
鉛
亜鉛
ニッケル
1998
輸出ポジション
輸入ポジション
2000
2002
2004
2006
出典:WBMS2006
10
中国に依存する鉱物資源の供給リスク
¾
¾
我が国の消費が中国からの供給に多く依存している資源は主に下記の四鉱種。
特にレアアース、アンチモン、タングステンは中国依存度が大きい。中でもレアアースとタングステンは、WTOルール上輸出制限措置が
可能としているうえ(注)、輸出許可証の発行遅延等の前例あり。(注:ガット20条(g)で有限天然資源保存のための例外措置が認められる前提条件で
ある「国内生産または消費に関する制限」が実際に取られているかは不明)
レアアース
アンチモン
タングステン
インジウム
我が国消費の中国への依存度
92%(注1)
94%
87%
71%
世界の生産に占める中国比率
93%
82%
88%
34%
主要用途
二次電池(ハイブリッド自動車
等)、電子材料、触媒、磁石等
プラスチック、合成繊維、ゴ
ムに添加される難燃助剤
超硬工具、特殊鋼、
照明器具、電子部品触媒等
液晶等平面表示パネル
用途別代替性
困難
困難
困難
困難
供給源代替性
なし
-
国家・民間備蓄あり。
加、豪、ペルー、ボリビア等に
旧鉱山あり。
亜鉛鉱石の製錬時に副産物とし
て回収。
リサイクルの現状
なし
単独では困難。合成樹脂とし
てのリサイクルが検討。
使用済み超硬工具、触媒からの
一部リサイクルあり。他の製品
では不明。
国内需要の30%程度は、ス
パッタリングターゲット回収材。
シャープが液晶からの回収技術
開発に着手。
我が国企業の上流権益への関
与
なし(レアアースの探査、採掘、
選鉱は禁止業種。精製・分離は制
限業種)
-
なし
亜鉛鉱石に含まれるため、亜鉛
鉱山権益として関与の例あり。
中国による輸出制限の前例
2002年に輸出許可発行遅延に
より混乱発生
なし
2000年後半に輸出許可書の
発行制限
なし
中国による輸出制限以外の措
置
2005年5月酸化物等に対する
輸出増値税還付を撤廃(注2)
2006年12月に輸出増値
税還付を撤廃(注2)
2006年12月に輸出増値税
還付を撤廃(注2)
2005年5月に輸出増値税の
還付を撤廃(注2)。地方政府
の当局が、環境汚染を理由に製
造事業所に閉鎖命令。
日中間貿易に係る政府間・企
業間関係
日中レアアース交流会議を官民に
より毎年開催
なし
2005年9月ITIA(注3)総
会開催時にタングステン・モリ
ブデン工業会と中国タングステ
ン協会とが意見交換
なし
注1)レアアースの中国依存度は酸化物換算量をもとに算出。
注2) 輸出増値税の還付率の削減・撤廃は、実質的に輸出インセンティブを削減する効果あり。
注3)ITIA:INTERNATIONAL TUNGSTEN INDUSTRY ASSOCIATION
11
中国の最近の鉱業政策
第10次5カ年計画(2001年~2005年)において、「資源保護と合理的な開発を強化し、鉱山能力、
製錬能力と生産量を厳格に管理する」と明記。さらに現在策定中の第11次5カ年計画では、「資源
節約型・環境配慮型社会」の実現を目指すと提起されている。また、2003年12月23日中国国務
院は、「中国鉱産資源政策」と称する白書を公表している。本方針に沿った資源政策のポイントは
以下のとおり。
(鉱物資源供給の現状と問題点)
1. 中国国内には多様な鉱物資源が、豊富に存在。鉄、銅、アルミニウム、鉛、亜鉛などの
鉱物資源が比較的豊富であるが、特に、石炭、レアアース、タングステン、モリブデン、ア
ンチモン、チタンなどの鉱物資源は、世界の中でも最大規模の埋蔵量を保有。
2. 鉄、銅、ボーキサイト、クロムなど鉱物資源は、国内供給が不足。
3. 鉱物資源開発によって起こる浪費と環境汚染問題が存在。探査・採掘技術が後れ。
4. 西部地区と中部の辺境地域は資源が豊富だが、自然条件が悪く、資源調査は不十分。
(主要政策)
1. 外国企業による中国国内における探査・開発を奨励するため、国内の投資環境を更に
改善する。
2. 中国政府は中国企業が、国外において探査・開発に取り組むことを奨励する。
3. 「タングステン、アンモチン、レアアース」など、中国の強い鉱物資源については、輸出構
造を改善し、輸出品の付加価値を高め、国内外の鉱産物貿易の健全な発展を促進
4. 採掘・選鉱・製錬による環境汚染を低減するため、クリーンな技術による生産を進める。
5. 低品質資源の活用、リサイクル資源の利用、省エネルギー・省資源を進める。
12
《リスク2 資源メジャー寡占化の進行》
・ 世界的な非鉄金属関連企業(資源メジャー)は、企業買収等により収益力を高めるとともに、資源
供給のシェアを拡大。非鉄金属の世界市場は集中化が進展。現時点でも、カナダインコ社を巡る
買収案件が進行中。
・ 資源メジャー7社の銅鉱山生産量のシェアは1990年代の約3割から約4割に拡大。ニッケルでは、
資源メジャー3社の鉱山生産量のシェアが約5割を占める。
○最近話題となっている買収案件
-バリックゴールド社(加)がプラサードーム社(加)を104億USドルで買収。
(2006年3月)
-エクストラータ社(スイス)がファルコンブリッジ(加)を171億ドルで買収。
(2006年8月)
-CVRD社(ブラジル)によるニッケル生産量世界第2位のインコ社(加)の
銅
コデルコ
フェルプスドッジ
BHP・ビリトン
リオ・ティント
アングロ・アメリカン
グルーポ・メヒコ
フリーポート
7社計
その他
世界計
7社シェア
買収が進行中。
年
買収または合併の代表例
買収金額
(US$)
2006 エクストラータ社(スイス)がファルコンブリッジ社(加)を買収
171億
2006 バリック社(加)がプラサードーム社(加)を買収
104億
2005 ノランダ社(加)がファルコンブリッジ社(加)に合併・統合
25億
2005 BHPビリトン社(英・豪)がWMC社(豪)を買収
73億
2003 エクストラータ社(スイス)がMIM社(豪)を買収
30億
2001 BHP社(豪)とビリトン社(英)が合併。BHPビリトン社設立
145億
1999 アングロ・アメリカン社(南ア)とミノルコ社(南ア)が合併
37億
1997 ニューモント社(米)がサンタ・フェ社(米)を買収
25億
1995 RTZ社(英)とCRA社(豪)が合併しリオ・ティント社を設立
40億
(千トン)
銅生産企業
1990年
1,197
540
101
470
335
171
164
2,978
5,982
8,960
33%
2005年
1,833
1,274
927
753
655
753
537
6,732
8,068
14,800
45%
(千トン)
ニッケル生産企業
ニッケル
ノリルスク
インコ
WMC
3社計
その他
世界計
上位3社シェア
2004年
244
186
116
546
764
1,310
42%
(千トン)
ニッケル生産企業
2005年
ノリルスク
インコ
BHP・ビリトン
3社計
その他
世界計
上位3社シェア
(出典:Raw Materials Data等)
242
178
148
568
747
1,315
46%
13
《リスク3 資源の偏在》
ニッケル
コバルト
W
Co
Ni
Ni
V
Co Mo
Mo
Cr
V
W
モリブデン
タングステン
Cr
Mn Co
Ni
Mn
Co
Co
バナジウム
V
Mo
Mn
Ni
Mn
Ni
Mo
Cr
クロム
マンガン
14
非鉄金属資源開発をめぐる国際情勢の変化
1960年代末~70年代
‡ 南米等一部の資源国が社会主義政権の成立。
‡ 外国企業の締め出し、鉱山の国有化等。
¾ 1968年CIPEC(銅輸出国政府間協議会;チリ・ペルー・ザンビア・ザイール)の設
立
1980年代
‡ 第2次石油危機後の金属価格、鉱業投資の低迷
‡ 南米諸国において、累積債務問題・超インフレ等の発生
‡ 外資法、鉱業法の見直しの動き始まる:1983年チリ鉱業法等の改正
1990年代以降
‡ 1990年代には、中南米(メキシコ、ペルー、ボリビア、アルゼンチン等)、アジア、アフリカ
で、外国投資の受け入れ・拡大を目指した鉱業セクター改革が進展。
¾ 国営鉱山会社の民営化
¾ 外国資本による鉱山開発が、中南米を中心として拡大。
最近の動向
‡ 中国における非鉄資源消費量の飛躍的な拡大を受け、中国企業の海外資源確保の動
き。
‡ 南アフリカではアフリカ人への権益一部譲渡等を定めた鉱業法の成立(2002年)、チリ、
ペルーで、鉱業ロイヤルティ制度(2004年、2005年)の導入、モンゴルの超過利得税
導入等、資源国に新たな動きあり。
15
<主要資源国の鉱業政策の動向>
• 1970年代に銅鉱山の国営化が中南米・アフリカで発生したが、1990年代に鉱山開発は外資への開放が進展。
• 資源開発に係るロシアの外資規制、カザフスタンの地下資源法改正による地下資源ライセンス取得に対する国の
優先権付与など、国内資源を外資から守る動きが顕在化。
• ペルー、チリなど資源国の鉱業政策が鉱業振興から課税強化・環境規制等へシフトし、鉱山経営の影響が懸念。
• インドネシア及びフィリピンでは鉱業法制が不安定なため鉱業投資が停滞。
○経緯
<ペルー>
<チ リ>
2004年7月 ロイヤルティ政府案を議会に提出
12月 内容を改めた新ロイヤルティ法案
を議会提出
2005年 5月 法案可決・成立
2006年1月 施行
○新ロイヤルティ法案の内容
-鉱業法改正ではなく、外国投資法及び所
得税法の改正
-利益の4%(5%)を鉱産税として徴収
-固定税率期間は12年(15年)
-鉱産物の年間売上高が5億ドル以上の鉱
山採掘業者が対象。
<カザフスタン>
<ロシア>
・戦略的鉱床(レアメタル等)については、
ロシア企業による50%以上権益保持を
条件とする新地下資源法案が検討中。
さらに、大規模資源開発の入札から外
国企業を除外する動きが鮮明化。
【主要金属埋蔵量】
銅(2,000万トン)
ニッケル(660万トン)
インジウム(300トン)
白金族金属(6,200トン)
○経緯
2004年6月 ロイヤルティ制度公布
8月 改正法公布(入札案件の二
重ロイヤルティ徴収回避)
11月 鉱業協会は同法に対する違
憲訴訟を憲法裁判所に提出
2005年4月 憲法裁判所による合憲裁決
○ロイヤルティ法案の内容
-課税率は総精鉱売上額により1~3%
徴収
世界10位
世界 2位
世界 5位
世界 2位
・2004年12月、地下資源法が改正され、
譲渡される地下資源ライセンスの買収
等に対して国に優先権を認める条項が
追加。
・2005年10月、経済安全保障上、問題が
ある場合には、ライセンスの譲渡等に際し、
政府に介入権を認める法案の可決。
【主要金属埋蔵量】
銅(1, 400万トン)
世界11位
鉛(500万トン)
世界 4位
亜鉛(3,000万トン) 世界 3位
クロム(29,000万トン) 世界 1位
ウラン(830万トン)
世界 2位
<モンゴル>
・2006年5月にモンゴル国内の資源開発に対し、
銅や金の市況価格に応じて課税される超過
利潤税(Windfall Tax)を課する法案が議会で
可決。
・現時点では大統領は当該法案に対し拒否権
を発動していない。
(参考)超過利潤税(Windfall Tax):銅価格
$2,600/t、金価格$500/oz以上の状況下、
輸出に関する利益に対し、68%の税を課
するもの。
【主要金属の年間生産量】
銅(年間13万トン)
世界16位
金(年間18トン)
世界19位
モリブデン(年間1,200トン) 世界10位
<インドネシア>
・従前、同国への外資による鉱業投資はプロ
ジェクト毎にCOW(Contract of Work)を政府
と締結することにより安定的投資環境が保証。
・97年以降、政治的混乱と地方自治法、森林法
との調整問題によりCOW申請が停止。
・現在、問題解決のための新鉱業法を審議中。
○新鉱業法の内容
・COW制度の廃止。
・鉱業権はインドネシアで設立された法人であ
れば、地方政府が付与。
・地方政府が特別に留保した地域については、
国営企業にしか鉱業権を付与しない。
【主要金属埋蔵量】
銅(3,500万トン)
世界 2位
ニッケル(1300万トン)
世界 8位
16
金(2,800トン)
世界 6位
Ⅱ.鉱物資源政策の最近の進展
鉱物資源政策の基本的考え方について
1. 銅、鉛、亜鉛等のベースメタルやタングステン、コバルト等のレアメタルは、国民生活及び
産業活動に必要不可欠な基礎素材である。我が国は、世界有数の非鉄金属消費国であ
りながら、国内資源に乏しく、その供給のほぼ全量を海外に依存している。
2.
近年、世界的規模で進展する工業活動の成長を背景として、中国をはじめとして世界の
非鉄金属消費量が急激に増加しつつある。また、供給面では、過去の国際価格低迷によ
り、低迷した探鉱開発活動の結果、生産が伸び悩む中で、海外非鉄メジャーの合併による
供給源の寡占化が進展している。このため、非鉄金属資源の安定供給を確保するための
環境はより厳しくなりつつある。
3. こうした状況を踏まえ、経済産業省では、平成18年5月の「新・国家エネルギー戦略」、同
6月の「資源戦略研究会」などの検討の中で、レアメタルをはじめとする非鉄金属の安定
供給確保策について、検討を進めたところである。
4.
我が国への非鉄金属の安定供給を確保するため、
(1)「中長期的対策」として、
9 海外資源開発権益の確保を強めるため、探鉱開発支援策を講じるとともに、資
源外交的なアプローチにより、資源国に対する直接的な働きかけを強化。
9 国内における供給力の確保等を図るため、①リサイクル困難な廃棄物に関する
リサイクル技術の開発、更に、②特に、供給制約の大きなレアメタルについて産
学官連携による、代替材料の開発の強化を検討している。
(2) また、レアメタルの「短期的な供給障害」への備えとして、代替性が特に小さく、供
給国の偏在が著しい鉱種(ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マ
ンガン、バナジウム)について、備蓄を行っている。
18
原料確保と資源循環
リサイクル
鉱物資源探鉱開発
・山元確保(探鉱・開発投資)
・資源外交
・環境配慮設計
・物質毎の分別・回収ルート確立
・物質毎の3R技術開発
<生産>
・代替材料の開発利用
<消費(使用)>
地金
鉱石
代替材料の開発
代替物
半製品
製錬
減量化・省使用化
製品
リサイクル
リサイクル
Reuse
再資源・原料
(有価物)
<リサイクル>
・分別・回収ルール等環境整備
・3Rプログラム(省使用、リサイクル、リユース)
輸出
廃棄物
(無価物)
19
海外探鉱開発
○ 我が国企業は、需要の増加にも対応できるよう、開発プロジェクトに参加することにより、関
係会社との関係強化を図り、長期契約等を通じ、原料の安定調達を確保。
<我が国の輸入量 銅128.2万t(04年)、亜鉛56万t(04年)、金70t(04年)、
ニッケル7.5万t(04年)、コバルト1.5万t(04年)>
○ 我が国企業は、90年代に操業開始した海外の鉱山に対して開発段階から積極的に参入を図
り、銅鉱石は自主開発鉱石の比率が40%を超えるなど資源の輸入安定化に寄与。
鉱
山
名
鉱
種
ワンサラ
ソロアコ
モレンシー
エスコンディ-ダ
ティサパ
ラ・カンデラリア
マッカサーリバー
ノースパークス
亜鉛等
国
名
年間生産量
銅
亜鉛
オーストラリア
銅
オーストラリア
ハックルベリー
銅
カナダ
コジャワシ
銅
チリ
37 万 t
99 年
12%
バツヒジャウ
銅
インドネシア
33 万 t
99 年
35%
ロスペランブレス
アンタミナ
アタカマコーザン
銅
銅
チリ
ペルー
チリ
40%
10%
60%
エンデバー
亜鉛
オーストラリア
ポゴ
パルカ
セロベルデ
ゴロ
サン・クリストバル
レガリート
金
アメリカ
ペルー
ペルー
ニューカレドニア
ボリビア
チリ
00 年
01 年
03 年
1983 年
03 年買収
06 年
06 年
06 年(予定)
07 年(予定)
07 年(予定)
11 年(予定)
銅
銅
亜鉛等
銅等
亜鉛
銅
Ni、Co
亜鉛等
銅
年
年
年
年
年
年
年
年
100%
21.27%
15%
10%
49%
20%
30%
20%
4万t
97 年
40%
38 万 t
銅 32 万 t
3万t
10 万 t
―
―
―
―
―
―
68
78
86
94
94
95
95
95
日本側
出資比率
ペルー
インドネシア
アメリカ
チリ
メキシコ
チリ
ニッケル
亜鉛 3.8 万 t
7万t
―
103 万 t
亜鉛 3.3 万 t
8万t
22 万 t
7万t
操業年
日本側企業
三井金属
住友金属鉱山 他
住友金属鉱山、住友商事
三菱商事、日鉱金属、三菱マテリアル
同和鉱業、住友商事
住友金属鉱山、住友商事
日鉱金属 他
住友金属鉱山、住友商事
三菱マテリアル、同和鉱業、
古河機械金属他
三井物産、日鉱金属、三菱マテリアル
住友商事、住友金属鉱山、
三菱マテリアル 他
日鉱金属、三菱マテリアル、丸紅他
三菱商事
日鉄鉱業
25% 東邦亜鉛
60%
100%
(21-25%)
21%
35%
100%
住友金属鉱山、住友商事
三井金属
住友金属鉱山、住友商事
住友金属鉱山、三井物産
住友商事
PPC
生産量は粗鉱生産量に品位(含有率)を乗じるなどして算出したもの。
20
我が国企業の鉱石自主開発比率の推移
鉱石の安定的な確保を図るため、我が国企業は海外の鉱山プロジェクトに積極的に
参加。その結果、特に銅については、鉱石の自主開発比率が大きく向上。ただし、鉱山
は採掘により次第に減耗していくため、継続的に探鉱開発を進めていくことが必要。
〔鉱石の自主開発比率の推移〕
(%)
50.0
45.0
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
元年
5.8
銅
4.7
鉛
3.8
亜鉛
16
ニッケル
2年
3年
4年
5年
6年
7年
8年
5.8
4.7
3.8
21.5
13.6
5.1
4.6
23.1
14.1
6.6
3.4
21.7
14.4
12.4
4.3
19.8
15.2
9.5
6.8
17.5
18.5
11.3
9.6
19.4
21.7
16.5
16.4
25.6
9年
10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
24.6 29.4 32.4
13.4 10.2 9.4
15.0 15.4 15.1
23.2 23 21.3
41.3 42.9 41.0
9.6 4.0 7.1
17.0 16.4 16.4
20.7 24 22.9
41.6
4.5
13.6
20.3
40.9
7.5
15.1
21.6
38.8
6.9
12.5
26.5
(注 )自 主 開 発 比 率 = 自 主 開 発 鉱 石 輸 入 量 / 総 鉱 石 輸 入 量
【出典:日本鉱業協会】
21
非鉄金属等に関する探鉱開発予算の動向
¾ 企業による資源開発投資額は市場価格に反応して大きく変動。鉱山の開発投資は、初期
的な探鉱も含めれば10年ないしそれ以上のリードタイムが必要。このため、需要量が急
拡大したとしても、短期的な生産能力増加には限界。
¾ 価格の高騰等を受け、海外資源開発の動きが活発化している中、我が国資源産業は、探
鉱予算など資源メジャーと比較して相対的に規模が小さく、取組強化が課題。
¾ また、国内生産拠点の縮小により、海外資源開発事業拡大に必要となる鉱山技術に関す
る人材確保も課題。
世界の探鉱予算とベースメタルの価格推移
60
2005年の探鉱予算
16 000.00
14 000.00
120
12 000.00
10 000.00
6 000.00
4 000.00
40
2 000.00
20
銅
計
合
鉄
企
業
日
本
非
M
cM
t-
ep
or
Gr
oR
an
Me
xic
o
LC
O
er
ic
an
CO
DE
up
o
Fr
e
出典:LME、メタルズ・エコノミクス・グループ社
Am
ニッケル
0
An
glo
亜鉛
Do
dg
e
鉛
Ph
el
ps
年
世界の探鉱費
Bi
llit
on
0.00
P
0
BH
10
60
Ti
nt
o
20
80
(百万USドル)
8 000.00
100
ドル/t
30
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
億ドル
40
Ri
o
50
22
<海外鉱物資源探鉱開発の促進策>
我が国企業による海外探鉱開発事業への展開を支援するためのスキームとして、(独)石油天然ガス・金属鉱物資
源機構(JOGMEC)、国際協力銀行(JBIC)、(独)日本貿易保険(NEXI)による各種制度が体系的に存在。
探 鉱 (地質情報の収集等、地質構造の解明)
Early Stage
Grass Roots 大
開発・生産
Late Stage
小 Feasibility Study
リスク
情 報 収 集 ・ 提 供 事 業
( J O G M E C )
海外諸国の資源に関する情報の収集
情報収集・ウラン生産者との関係強化
(JBIC)
業務協力協定を通じたウラン生産会社等との定期協議・関係強化を引き続き推進
技術開発等(JOGMEC)
民間企業の探鉱への支援(JOGMEC)
基礎調査等(JOGMEC)
z低品位鉱を処理できるバイオリーチング等
z 海外地質構造調査
z 共同資源開発基礎調査(ODA)
を活用した湿式製錬技術開発
JOGMEC自ら案件を発掘し、我が国企業
海外において、調査費の一部を民間企業か
への引き継ぎを重視した途上国における資
ら負担金として徴し、資源機構が探鉱に必
源開発調査(JV調査)
要な地質構造の調査を実施
z 海外共同地質構造調査
z 資源探査技術等の開発
人工衛星リモートセンシング、
民間企業が海外の外国法人と共同で探鉱
高精度物理探査技術開発
に必要な調査を行う際に、我が国企業に対
し、その調査に必要な資金の一部を助成
海外探鉱出融資(JOGMEC)
融資制度について、従来の一律固定金利から貸付期間に応じた金利に制度改正(18年度より実施)
税
z 減耗控除制度
制
措
z資源開発人材の育成支援
開発資金融資(JBIC)
鉱山開発に係る資金の貸付
開発資金の出融資への保険(NEXI)
民間事業者による鉱山開発資金の融資(海
外事業資金貸付保険)、出資(海外投資保
険)を支援
海外開発資金債務保証(JOGMEC)
連帯保証人を免除し、カントリーリスクを勘案
連帯保証人を免除し、カントリーリスクを勘案した保
した保証料率に制度改正(18年度より実施)
証料率に制度改正(18年度より実施予定)
置
z 海外投資等損失準備金制度
鉱業所得の課税の特例制度
海外探鉱・開発事業に投融資を行った法人に対し準備金の積立を認める制度
資
源
外
交
資源国における投資環境改善のため、APEC等のマルチ会合のほか、EPA等の政策協議の場を積極的に活用
23
非鉄金属のリサイクル
•
•
•
非鉄金属は回収・再生可能な資源であり、資
源の安定供給を確保する観点から、リサイク
ルシステムの確立が重要である。
– 銅、亜鉛、鉛、アルミ等の主要非鉄金属に
加え、レアメタルについても、リサイクル
活動が行われているものの、回収率の向上
のためには、リサイクル原料を安定的に確
保するシステムや回収設備等を整えること
が課題。
鉱種
特に、資源の偏在が著しく、希少性の高いレ
アメタル類については、リサイクル原料は貴
重な国内資源。
コバルト
多くの非鉄金属については、多くの工業製品
の部品として、多様な形態で利用される。使
用済み製品から、効率的にリサイクルを進め
るためには、高度の分離技術が必要。
国内の原料に占めるスク ラップ等
の割合(%)(推計値)
銅
14(注1)
鉛
57(注1)
亜鉛
16(注1)
ニッケル
44(注2)
クロム
26(注2)
モリブデン
7(注3)
14(注4)
(出典)
○銅、鉛、亜鉛:日本鉱業協会「鉱山」
○ニッケル~バナジウム:JOGMEC調査による
注1:原料における「スクラップ」と「その他」の占める割合(2004年)
注2:特殊鋼分野の消費量に占めるスクラップ原料の割合(2003年)
注3:日本の需要量における鉄鋼分野で使用されたスクラップ原料
の占める割合(1999年)
注4:日本の消費量における金属スクラップ及び石油精製使用
済み触媒からの回収量の占める割合(2003年)
24
非鉄金属リサイクル技術開発の推進
~希少金属等高効率回収システムの開発~
プロジェクトの概要
プロジェクトの概要
廃小型電子・電気機器、廃超硬工具等の一部は、収集後、既存の非鉄製錬工
程で処理され、主要な非鉄金属が回収されている。現在の処理工程は、回収可
能な金属が銅、金などに限定されており、その他の希少金属は廃棄処分されてい
る。
このため、高温によらない湿式製錬方式による回収工程の開発等を通じて、省
エネルギーの達成及び希少金属(インジウム、ニッケル、コバルト、タンタル、タン
グステンレアアース)の回収率向上を図る。
①廃小型電子・電気機器等からの希少金属の回収
・希少金属を含有する部品の選択的分離・分解(セパレーション)技術の開発。
・最適酸浸出(リーチング)技術の開発
②廃超硬工具からのタングステン等の回収
・最適酸浸出(リーチング)技術の開発
☆技術戦略マップ上の位置付け
重要技術のロードマップの「①総合
エネルギー効率の向上」の産業分
野の「素材製造プロセスの高度化」
に位置付けられている。
実施体制
実施体制
国→JOGMEC→民間企業委託及び大学等との共
同研究
定額補助(10/10)(平成21年度から1/2補助(一部
(10/10))
プロジェクトイメージ
プロジェクトイメージ
<技術開発要素>
経済的に回収可能な
ビデオレコーダー
超硬工具
☆分野別推進戦略上の位置付け
エネルギー分野中の戦略重点科学
技術である「究極の省エネ工場を
実現する革新的素材製造プロセス
技術」に位置づけられる。また、環
境分野中にも、必要な技術開発とし
て位置づけられている。
研究開発期間 平成19~22年度(4年間)
事業総額(予定) 9.8億円
平成19年度要求額 :0.88億円(新規)【石特(エネ
高)】
デジカメ
希土類磁
石
多くのレアメタル・レアアース等
を含有
<現状>
既存溶鉱炉
(乾式製錬炉)
<現状課題>
・一部の非鉄金属(銅、金等)を
除き多くの希少金属は廃棄処分
・有害物質の拡散による環境汚
染の懸念
①選択的分離・分解(セパレーション)技
術の開発
②最適酸侵出(リーチング)技術の開発
携帯電話
溶媒抽出-電解採取法(SX-EW法)等
M
レアメタル・レアアースを回収
+
廃棄物減容化による
最終処分場逼迫解消
-
+
-
低温処理によるエネ
ルギーの使用合理化
回収率の向上、供給源の多様化に
よる非鉄金属鉱物資源の安定供給
25
代替材料等開発の推進
~希少金属代替材料開発プロジェクト~
プロジェクトの概要
プロジェクトの概要
・希少金属は、特殊用途において希有な機能を発揮する一方で、その
希少性・偏在性・代替困難性から、市場メカニズムが必ずしもうまく機
能せず、その供給ストップは川下の経済成長の制約要因となりうるリ
スクを伴っている。
・近年、①コンピュータによる材料設計、②ナノテクによる微細構造制
御等が飛躍的に向上した結果、従来出来なかった、①コンピュータに
よる最適制御設計による候補元素系の探索、②結晶粒界、界面の制
御等マイクロ構造の制御等が可能となりつつあることから、こうした最
先端技術を用いることで、希少金属の新たな代替/省使用化技術を
開発する。
研究開発の背景・効果等
研究開発の背景・効果等
平成19年度~23年度
平成19年度~23年度
平成19年度要求額
平成19年度要求額 14億円(新規)【一般】
14億円(新規)【一般】
実施体制
実施体制
NEDO → 共同研究体等への委託
(NEDO交付金)
レアメタル代替イニシアティブ(仮称)の体制(案)
レアメタル代替イニシアティブ(仮称)の体制(案)
①企画段階からの府省連携 ②選定・運営の一体化 ③協調ファンディンク
による基礎から実用化までのシームレスな支援゙
第3期科技計画の戦略
重点領域に指定
文科省ナノ材料室
/JST戦略センター
経産省ナノ材料室
/NEDOナノ材料部
内閣府総合科学
技術会議
合同で公開シンポジウムの開催等(H18度内予定)
(研究開発の背景)
・レアメタルについては、これからの成長分野である燃料電池、情報家電、ロボット等
領域Ⅱ:経済産業省
の新産業創造分野の拡大とともに需給が逼迫するケースが増大する見込み。
領域Ⅰ:文部科学省(元素戦略)
社会的要請を踏まえ、5年後を目処に、具
・供給の脆弱性があるレアメタルを国外に頼っている我が国において、省使用、再使
10から15年後の完全代替を見
体的な鉱種を対象に、相当程度の原単位
用、代替使用等により資源循環する環境を整備することは、レアメタルへの依存リス
通し、現時点から取り組みが必
改善のための早急な対応が必要なテーマ
クの低減・分散に大きく資する。
要な独創的かつ基盤的テーマ
具体的テーマ例
(期待される効果等)
①透明電極向けインジウム(In)
・例えば、ネオジウム磁石では、発明以降、試行錯誤により約3割の磁性向上が可能
②希土類磁石向けディスプロシウム(Dy)
となったものの、現状でも理論上の磁性強度の1/7程度しか発揮されていない。これ
③超硬工具向けタングステン(W)
を、最先端技術を用いて、希少金属の機能発現レベルから代替/省使用化技術を
再構築することで、大幅に理論値に向けて改善できることが期待される。
(経済波及効果)
<H19年度> 共通委員会(アドバイザリーボードの設置を含む)を設置
新産業創造戦略の出口分野の多くの製品がレアメタルを必要としていることを鑑み、
提案公募
提案公募
レアメタルの安定調達は新産業創造に資する。
基盤技術創成を主眼とする文
実用化を主眼とする経済省(NED
科省の競争的資金
O)の競争的資金
領域Ⅱにおける研究の対象は、需給状況、供給リスク等を総合的に検討し以下と
する予定。
①透明電極向けインジウム(In)
:薄型テレビ用に需要急拡大
府省連携マッチングファンド方式により、国全体でのポートフォリオ管理を可
②希土類磁石向けディスプロシウム(Dy) :モーター用等適用分野の広い磁石
能とし、かつ画期的なシーズ技術創成から実用化までのシームレスな 26
③超硬工具向けタングステン(W)
:工具向けとして不可欠
支援を実現
レアメタル備蓄
¾ 代替が困難で、供給国の偏りが著
しいレアメタル7鉱種について、短
期的な供給障害等に備える備蓄
制度を実施(国家備蓄及び民間備
蓄)。
備蓄対象7鉱種:ニッケル、ク
ロム、モリブデン、マンガン、
タングステン、コバルト、バ
ナジウム
¾ 国内消費量の60日分を目標とし、
平成18年9月末の平均備蓄量は
35.2日分(うち、国家備蓄は24.8
日分)。
国家備蓄…備蓄事業の実施主体は独立行政法人石油天然ガス
・金属鉱物資源機構。緊急時等に備え、国家備蓄を実施。
政 府
財政融資資金
政府保証 利子補給金
管理運営費
市中金融
機関
借入
独立行政法人
石油天然ガス
元金返済
債券償還
利子支払
・金属鉱資源機構
利子支払
備蓄事業の実施
民間備蓄…備蓄事業の実施主体は民間企業。
((社)特殊金属備蓄協会がとりまとめ)
27
レアメタル備蓄の放出
備蓄放出制度
①制度創設当時は、供給障害が発生している場合
又は発生するおそれがある場合に緊急措置として
放出する「緊急時放出制度」のみ。
②平成3年度に価格高騰時に一部売却する制度(高騰
時放出)を追加。また、平成12年度には、当面備蓄量
の低減が可能と判断される4鉱種(ニッケル、クロム、
モリブデン、マンガン)について30日分まで売却するこ
とを可能とした(平常時放出)。
緊急時放出-供給障害が発生している場合又は発生
するおそれがある場合に放出。
高騰時放出-価格が相当に高騰した場合に、備蓄資金
等確保のために放出。
平常時放出-相対的に供給が安定している鉱種に
ついて、備蓄物資を一部売却。
国家備蓄レアメタルの売却実績
売却量
(㌧)
売却時期
売却鉱種
平成10年7月
バナジウム
97
8.4日分
平成15年7月
モリブデン
34
0.8日分
平成16年3月
モリブデン
20
0.5日分
4月
バナジウム
20
1.3日分
7月
バナジウム
20
1.3日分
8月
モリブデン
338
8.0日分
8月
マンガン
15,000
14.6日分
120
7.9日分
23
0.5日分
12月
平成17年1月
バナジウム
モリブデン
国内消費量換算
4月
ニッケル
607
1.1日分
7月
タングステン
117
8.5日分
平成18年6月
ニッケル
1,084
0.8日分
平成18年9月
ニッケル
188
0.4日分
注)9月のニッケルには未搬出分含む
平成18年9月末現在 28
レアメタル備蓄の目標について
備蓄目標については、制度創設以来、国内消費量の60日分を目標。内訳は、国家
備蓄42日(70%)、民間備蓄を18日分(30%)。
但し、平成12年12月鉱業審議会レアメタル対策分科会は、ニッケル、クロム、
マンガン、モリブデンの4鉱種について、以下の理由等から、当面の備蓄水準の削減
が可能と評価し、平成13年度(2001年度)以降、最低合計30日分以上の備蓄
物資を確保している。
(平成12年当時における目標削減理由)
①ニッケル
対日輸出国集中度が低下、リサイクルが進展する等、7鉱
種の中では供給の安定度は相当高い。
②クロム
我が国企業の南アフリカ進出、南アフリカ情勢の安定化等
から供給の安定度は上昇。
③マンガン
南アフリカ情勢の安定化、生産国の分散化が進展するなど、
供給の安定性は大幅に上昇。
④モリブデン
生産の集中度等は高いものの、アメリカ・中国・チリ等安
定した生産国が多いことから備蓄水準の削減が可能。
29
希少金属鉱産物備蓄状況(2006年9月末現在)
国家備蓄
鉱種・品目
民間備蓄
(通常在庫とは別枠管理)
備蓄目標量(t)
平成18年9月末現
在
備蓄目標量(t)
平成18年3月末現
在
42日分相当量
数量(t)
18日分相当量
数量(t)
日数
日数
コバルト
251
145
24.2
108
62
10.4
タングステン
579
293
21.2
248
175
12.7
バナジウム
641
326
21.4
275
207
13.6
1,771
886
21.0
759
390
9.2
ニッケル
19,505
10,837
23.3
8,359
4,180
9.0
マンガン
43,183
32,665
31.8
18,507
9,253
9.0
クロム
94,853
68,596
30.4
40,651
20,222
9.0
モリブデン
24.8
10.4
注)ニッケル及びコバルトは純分量、他はグロス量。
ただし、民間備蓄のタングステン、バナジウム及びモリブデンは純分量をグロス量に換算。
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レアメタル対策部会中間報告における検討課題
総合資源エネルギー調査会鉱業分科会レアメタル対策部会中間報告(平成16年7月28日)に
おいて示された検討課題は以下のとおり。
1.レアメタルに関する情報収集及び現状分析
・備蓄7鉱種の需給状況等について引き続き情報収集を行い、現状分析を実施すること。
・プラチナ、希土類、インジウムなど要注視鉱種としてあげられているレアメタルについて情報
収集を行うこと。
2.機動的放出のあり方
・備蓄の緊急時放出につき、迅速に実施出来るよう実態を考慮のうえ放出マニュアルを整備
すること。
3.売却制度における課題
・高騰時売却、平常時売却についての効果、売却方法等について実際の売却を踏まえた検
討を行うこと。
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