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第2章 道路特定事業の整備方針

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第2章 道路特定事業の整備方針
第2章 道路特定事業の整備方針
2-1
バリアフリー経路
(1)生活関連経路Ⅰ(※12)(以前の特定経路)
省令で定める構造基準*に適合した整備を行います。
*移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める省令
(国土交通省令第 116 号(付属資料参照))等
(2)生活関連経路Ⅱ(※13)(以前の特定経路(特例))
一部基準に適合できない道路であっても生活関連経路Ⅱとして位置付け、可能な限りバ
リアフリー化を図ります。
(3)その他移動経路
基本構想で示された生活関連経路と一体的に整備を実施する道路を設定。可能な限りバリア
フリー化を図ります。
経
路
経路数
延
長
(1)生活関連経路Ⅰ
84
64.7km
(2)生活関連経路Ⅱ
13
6.4km
(3)その他移動経路
7
1.1km
104
72.2km
合
計
(※12)生活関連経路Ⅰ…重点整備地区内の生活関連経路を連絡する主要な移動経路のうち、バリアフリー化基準
に適合したバリアフリー整備を行う経路として設定。
(※13)生活関連経路Ⅱ…重点整備地区内の生活関連施設を連絡する主要な移動経路のうち、地形的制約や沿道の
市街化状況などにより、バリアフリー化基準の全てを満たす整備が困難な経路として設定。可能な限りバ
リアフリー化基準に適合した整備を行う。
6
2-2
整備目標年次
旧事業計画では、国が定めた整備目標年次に合わせ平成 22 年を目途に事業を展開してきました
が、国が新たに定めた整備目標年次(移動等円滑化の促進に関する基本方針の一部改正)に合わせ
て、平成 23 年度から平成 32 年度までの 10 年間の整備スケジュールとします。
また、より具体的に展開するため、短期・中期・長期に区分し、概ね以下の内容で整備を行いま
す。
○短期(平成 23~26 年度(4箇年))
既存ストックの改良(※14)(用地買収を伴わない)を中心に整備を推進し、超高齢社会の到来※
に向け、短期的に効果を上げる。
○中期(平成 27~29 年度(3箇年))
現在事業計画中及び事業中の他事業(区画整理事業・街路事業・電線共同溝事業等)と合わせて
推進する。また、スパイラルアップ(※15)による改良を推進する。
○長期(平成 30~32 年度(3箇年))
新たな事業計画を必要とする区画整理事業や、用地買収を伴う歩道整備・道路の新設などを実施
する。また、スパイラルアップによる改良を推進する。
※超高齢社会の到来…千葉市では、平成 27 年に高齢化率が 25%を超える見通しである。
(※14)既存ストックの改良…現在の道路用地内での改良。現況の歩道幅員内、あるいは歩道と車道の幅員構成を
見直して基準内の整備を行う。
(※15)スパイラルアップ…具体的な施策や措置に関する内容について当事者の参加のもと検証し、その結果に基づいて新たな
施策を講じることにより段階的・持続的な発展を図ること。
7
2-3
事業進捗率
本市では、平成 15 年 7 月に策定した「道路特定事業計画」に基づき、生活関連経路等のバリア
フリー化を、駅周辺や公共施設周辺などから、重点的に推進しています。
今回の計画策定にあたり、現状を整理すると、平成 23 年度末現在における事業の進捗状況は以
下のとおりです。
道路特定事業計画整備進捗状況
道路特定事業計画(km)
重点整備地区名
計
特定経路
特例経路
その他
経路
平成23年度末
整備済
(km)
整備率
(%)
1
JR/京成幕張本郷地区
0.7
0.7
0.0
0.7
100.0%
2
JR/京成幕張地区
3.5
3.5
0.0
3.5
100.0%
3
JR新検見川地区
1.6
1.6
0.0
1.6
100.0%
4
JR/京成稲毛地区
2.7
2.7
0.0
2.3
85.2%
5
JR西千葉、京成みどり台地区
2.0
2.0
0.0
1.6
80.0%
6
千葉都心地区
26.7
26.7
0.0
20.2
75.7%
7
JR蘇我地区
1.5
1.5
0.0
0.4
26.7%
8
JR浜野地区
0.0
0.0
0.0
-
-
9
JR鎌取地区
2.9
2.9
0.0
1.5
51.7%
10
JR誉田地区
1.0
1.0
0.0
0.1
10.0%
11
JR土気地区
2.8
2.8
0.0
1.3
46.4%
12
JR/モノレール都賀地区
1.1
1.1
0.0
1.1
100.0%
13
JR検見川浜地区
4.8
4.3
0.5
2.4
50.0%
14
JR稲毛海岸地区
4.2
3.7
0.5
1.6
38.1%
15
モノレールスポーツセンター地区
0.8
0.8
0.0
0.8
100.0%
16
モノレール千城台地区
2.2
2.2
0.0
0.6
27.3%
58.5
57.5
1.0
39.7
68.0%
計
8
2-4
バリアフリー新法における道路に関する変更点
バリアフリー新法における道路に関する変更点及び国土交通大臣が定める省令等での追加事項は
以下のとおりです。改定に準拠し、今回整備内容を見直した経路もあります。
(1)バリアフリー化する整備範囲の拡大
・重点的に事業を実施する地区を拡大
・道路移動等円滑化基準を満たした道路を維持することの義務を追加
・全ての道路について道路移動等円滑化基準の適合の努力義務を追加
(2)適合義務対象道路における電柱等の地上占用許可基準の追加
バリアフリー化のために必要な構造基準を満たす整備を行った道路で、電柱等の占用物件が、
道路移動等円滑化基準で定める有効幅員の確保の支障となるときは、歩道上における電柱などの
設置を許可できないこととした。
(3)市町村が整備できる国道(指定区間外)・都道府県道の特例
本来都道府県が整備・管理する国道等について、市町村が整備出来るよう定めた。
(本市は政令指定都市につき、元来市管理となっています)
(4)民間との管理協定の活用
・官民管理協定制度の導入により、道路の有効幅員が確保できない場合に民間等の沿道スペー
スを活用することができるよう定めた。
9
(5)新たな経過措置の適用条件
・市街地の状況やその他の特別な理由によりやむを得ない場合は、当分の間、歩道の有効幅員を
1.5m まで縮小することができる。
○車道と歩道の幅員構成を再配分して、歩道の有効幅員を確保
・市街地の状況やその他の特別な理由によりやむを得ない場合は、当分の間、歩道に代えて、車
道及びこれに接続する路肩の路面における凸部、車道における狭さく又は屈曲部その他の自動
車を減速させて歩行者又は自転車の安全な通行を確保するための道路の部分を設けることがで
きる。
○狭さく
○屈曲部
※経過措置の適用は、まずは有効幅員の縮小について検討し、それが出来ない場合、歩車共存道
路を検討する。
(6)スパイラルアップの導入について
具体的な施策や措置に関する内容について、当事者の参加のもと検証し、その結果に基づいて
新たな施策を講じることにより段階的・持続的な発展を図る。
本計画では、地域の方や障害をお持ちの方にバリアフリー化された経路を、実際に歩いて「ま
ちあるき点検」
(付属資料参照)を行い、意見を取り入れさせていただきました。
10
2-5
アンケート調査結果による整備優先順位
市では、平成 22 年 7 月に「歩道のバリアフリー整備の取り組み」について、インターネットによ
るモニターアンケート調査を実施し、その結果を道路特定事業の個別計画の優先順位付けを行う際
の参考としました。主な回答結果は以下のとおりです。
バリアフリー化された歩道は 67%の市民から歩きやすくなったとの回答が得られました。一方で、
一般的に歩道を歩く際の支障になるものとして「段差・傾斜・幅員」などの回答が依然上位を占め
ています。また、インフラのみならず、自転車に対する意見が数多く寄せられており、自転車の歩
道通行マナー、放置自転車対策等が今後の重要課題であることが判明しました。
このことから、段差の解消や平坦性の確保を優先的に整備するよう努めるなど、これからも市民
の要望に沿った整備を心がけていきます。
〈 アンケート結果の一例 〉
○歩道のバリアフリー整備により、歩きやすくなったか
○歩道を歩く際に一番支障になるものは何か
回答数 945 名
11
2-6
具体的なバリアフリー整備事業の方針
(1)歩道の段差を解消し、歩道路面の平坦性を確保します。
歩道幅員を2m以上確保することで、車いす同士のすれ違いが容易になります。
歩道形式をセミフラット型にすることで、歩道の波打ちが解消され、車いす使用者等の
走行の快適性を高めます。
横断歩道接続部の段差については、1cm とすることで、車いす使用者、ベビーカー使
用者等の移動の利便性を高めます。
縦断勾配を5%以下、横断勾配を1%とすることで、車いす使用者等の走行の快適性を
高めます。
<千葉市型L型ブロック設置例>
<セミフラット型整備例>
(JR/京成稲毛地区)
■幅員
・有効幅員2m以上(車いすのすれ違い(図1)を考慮)
・やむを得ない場合は、有効幅員 1.5m以上(車いすと人
有効幅:200cm
がすれ違える最低幅(図2)及び車いすが 180 度転回で
きる最低幅(図3)を考慮)
図1
●車いすと人のすれ違いの最低幅
●車いすが 180 度転回できる最低幅
有効幅:140cm
有効幅:135cm
図2
図3
12
■歩道形式
・新たに設置する歩道については,車両乗り入れ部等での波打ちを防ぐために、セミフラッ
ト形式の歩道とします。(ただし、周辺の状況によってこの形式にすることが適当でない場合
にはこの限りではありません。
)
<マウントアップ形式>
<セミフラット形式>
・横断歩道箇所等に設ける縁石は,車いす使用者等が無理なく通行できるように改良した千
葉市型L型ブロックを設置します。
(視覚障害者の方が歩道と車道との
境目が確認できるような仕様とし
ています。
)
<千葉市型のL型ブロック>
■既設歩道の段差、勾配の解消、平坦性の確保
・既設歩道の改修は極力段差や勾配の解消、有効幅員の平坦性の確保をするものとします。
・また,アスファルト舗装よりも平坦性が落ちるインターロッキングブロックや自然石ブロ
ック舗装で、特に車いす使用者等の快適な走行が損なわれるような路面状況の場合は、ア
スファルト舗装等への全面改修、部分改修(車いす走行幅員程度)を行います。
●段差、勾配の改善イメージ
沿道地権者の理解
と協 力 を得 なが ら
すりつけを行って
いく必要がある。
すりつけ勾配5%以下
縦断勾配5%以下
縦断勾配5%以下
すりつけ勾配15%以下
<交差点に横断歩道がある場合の
<細街路の路面高を歩道の高さまで
歩道箇所における構造>
持ち上げる場合の例>
(スムース横断歩道)
13
(2)視覚障害者誘導用ブロックを黄色で統一し、連続的に設置するとともに、PRシートを設
置します。また、必要に応じエスコートゾーン(視覚障害者用横断帯)を設置します。
視覚障害者誘導用ブロックを黄色に統一することで、視覚障害者の6割以上※を占める
弱視の方の移動の円滑化を高めます。
※厚生労働省統計資料
・今後、新たに設置する視覚障害者誘導用ブロックは JIS 規格品に統一します。
・既設の黄色以外の視覚障害者誘導用ブロックは全て改修を行っていきます。
・視覚障害者誘導用ブロックの設置位置は民地との境界(官民境界)から約1m(歩道幅員が
狭い場合は約 70cm)の位置を標準とします。(ただし、周辺の状況によってこの値にする
ことが適当でない場合にはこの限りではありません。
)
<歩道幅員が広い場合>
<歩道幅員が狭い場合>
(概ねW≧3.5m)
(概ねW<3.5m)
<巻き込み部>
・敷設方法は、視覚障害者誘導用ブロック設置指針・同解説((社)日本道路協会;昭和 60 年
9 月)
、歩行空間整備マニュアル(千葉市;平成 18 年 5 月)等に準拠します。
・視覚障害者誘導用ブロック上の障害物設置防止のため、「目の不自
由な方ための施設です。物を置かないでください。」等のPRシー
トを敷設します。
14
物
を
置
か
な
い
で
下
さ
い
。
た
め
の
施
設
で
す
。
目
の
不
自
由
な
方
の
■建築物の誘導ブロックと道路の誘導ブロックとを連続した設置を推進します。
建築主と連携し、特別特定建築物※等の誘導ブロックと道路の誘導ブロックを接続して設置
することで、一体的かつ面的なバリアフリー化が図れます。
※特別特定建築物・・・不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等
が利用する特定建築物であって、利用等円滑化が特に必要なものとして政令で定め
るものをいう。(盲学校、病院、百貨店、集会場等、不特定かつ多数の者が利用す
る施設及び官公署)
<連続性確保の一例>
<設置事例>
■公共施設、病院、福祉施設近傍で横断距離の長い信号交差点には公安委員会と協力し、エスコ
ートゾーン(視覚障害者用横断帯)と音響信号の整備を進めます。
<エスコートゾーンの設置位置>
<エスコートゾーンの設置事例>
<音響信号>
15
(3)駅前広場に身体障害者乗降場を整備します。
駅前広場への身障者専用乗降場の設置により、一般車両に妨げられず、車いすの方がス
ムーズに乗降できるようになります。
(4)特定旅客施設(橋上駅)の自由通路にはエレベーターを設置します。
高齢者、車いす、ベビーカー使用者等の垂直方向の移動の利便性を高めるため、エレベ
ーターを設置します。
・今後、新たに設置するエレベーターは、移動円滑化構造基準に適合したものとします。
ev
(出入口が1箇所の場合)
(出入口が2箇所の場合)
エレベーターの寸法
16
(5)駅前広場の歩行経路にシェルターを設置します。
シェルターを設置することで、公共交通機関相互の乗り換えの利便性が向上します。
・駅前広場の状況に応じて特定旅客施設(駅)と身体障害者用乗降場および公共交通機関(バ
ス、タクシー乗り場など)とを結ぶ歩行経路にシェルターを設置します。
(6)案内標識を設置します。
駅前広場に案内標識を設置することで、生活関連施設の位置を確認することが出来ま
す。また、主要な交差点などに行き先案内標識を設置することで、移動の利便性を向上
します。
・千葉都心地区の中心市街地については、下記イメージで一体的に設置し、行き先案内の目的
の他、中心市街地の活性化、観光・文化施設の利用拡大を図ります。
また、他の地区についても、駅前広場に同様な案内標識の設置を推進します。
(表面)
(裏面)
案内標識(大)
(側面)
(表面)(裏面)
(側面)
案内標識(中)
※案内図は、「公共交通機関の旅客施設に関する移動円滑化整備ガイドライン」(国土交通省監
修)の色覚障害者に配慮した配色等を参考とする。
17
・主要な交差点などの分岐点に、行き先案内標識を設置します。道路標識の様式114B
を準用した、下記デザインで設置します。
行き先案内標識のイメージ
案内標識(小)
(7)舗装は透水性とします。
雨水が透水することで、すべり防止機能が向上し、安全性・快適性が高まります。また、
地中に雨が浸透することで、水溜まりの解消、水はねの防止やヒートアイランド現象の緩
和などの利点もあります
・ 透水性アスファルト舗装を標準とし、特に景観に配慮する必要がある場合のみ透水性平板
舗装とします。
・ ただし、平坦性が確保されている歩道の透水性化は、舗装補修の必要が生じた時点で行う
ものとします。
透水性舗装
18
(8)電線類を地中化します(電線共同溝事業)。
通行の妨げとなる電柱をなくすことにより安全で快適な歩行空間を形成することがで
きます。併せて都市災害の防止、都市景観の向上、情報通信ネットワークの信頼性向上、
美しい都市景観の創造による地域活性化などの効果が期待できます。
整 備 後
整 備 前
電線類地中化前後の状況
(9)バス停に上屋、ベンチを整備します。
バス停へ上屋、ベンチを設置することで、雨に濡れずにバスを快適に待つことが出来ま
す。
・ 公共施設、病院、福祉施設の最寄り等の主要なバス停において、
上屋、ベンチを設置します。
・バス停の上屋は、バス事業者と協力して設置を検討します。
・歩道の幅員が4m以上の場合、上屋とベンチを設置します。
<千葉市による設置例>
<バス事業者による設置例>
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(10)立体横断施設にエレベーターを設置します。
エレベーターの設置により、高齢者、車いす、ベビーカー使用者等の移動経路を確保し
ます。
・経路上の立体横断施設の近傍に平面横断箇所がない場合は、利用状況等を確認のうえ、必
要に応じて立体横断施設にエレベーターを設置します。なお、垂直移動による経路の確
保は極力避け、交通状況に応じて横断歩道の設置を検討します。
(11)必要に応じて照明灯を整備します。
照明灯を設置することにより、夜間でも路面の状況を確認することができ、また安全に
歩行できます。
・照明灯は、既存の道路照明灯、防犯街灯等の設置状況や沿道商店の環境等を考慮したうえ
で、必要に応じて設置を検討します。
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(12)必要に応じてベンチを設置します。
経路途中にベンチを設置することで、高齢者等が休憩を取りながら移動することができ
ます。
・経路上へのベンチの設置は、高齢者や障害者等の休憩需要や歩道有効幅員の確保等を考慮
したうえで、下表のような休憩施設を設置することが望ましい道路・箇所において適当な
間隔で、必要に応じ設置します。
※休憩施設を設置することが望ましい道路・箇所
道路・箇所
住宅地内のコミュニティ道路等
高齢者・障害者等の利用が多い公
共施設周辺の道路
遊歩道等、散策やジョギングに利
用される道路
利用例
立ち話
休憩、立ち話
休憩、自然とのふれあい等
橋詰のスペース
小休憩、眺望等
商業地等の建物前面のスペース
ウィンドウショッピング、小休
憩、待ち合わせ等
バス停周辺
バス待ちを兼ねた休憩スペース
<ベンチの設置例>
(JR海浜幕張地区)
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