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報告4:「Co-petition(コ・ペティション) ― ビジネスを発展させる効果的な
独立行政法人「ジェトロ」発足記念シンポジウム
「東アジア自由ビジネス経済圏形成に向けて」
第1セッション「東アジアにおけるビジネス戦略と課題」
報告4:
「Co-petition(コ・ペティション)
― ビジネスを発展させる効果的な方法」
魏 少軍 大唐電信科技股分有限公司 総裁
私の発表ですけれども、トピックは Co-petition(コ・ペティション)としております。
これは、新しくつくった言葉です。
頭の部分はコーポレーション=協力の部分です。例えば、テーブルの上では握手をして
協力をしながら、実は机の下では足で蹴り合っているということもあったりしますが、
Co-petition というやり方、この新しい言葉を使うことこそがビジネスの展開に効果的なの
ではないかというように今日はお伝えしたいと思います。
まずその前に、私の会社であります大唐についてお話したいと思います。
DTT といいますこの大唐電信が中国の電気通信機器のメーカーとして非常に大切な存在
になっております。98 年に CATT、電信科学技術研究院をベースにつくられまして、いま
は電子通信技術のなかで中国においては 46 年の歴史を持つ最大の研究施設となっておりま
す。
それをベースにしてつくられた DTT は非常に積極的な展開をしておりまして、デジタ
ル・スイッチング、光通信、ワイヤレス通信などですでに大きな成果をあげているほか、
いまよく知られているのが TD-SCDMA です。これは第三世代移動体通信の三つの規格の
一つをつくったものでございます。そのほかマイクロエレクトロニクス、ソフトウェアで
も知られております。
上海の証券取引所に 98 年に上場を果たしまして、現在、子会社が五つ、それから事業部
が七つあります。具体的にはデジタル・スイッチング、それから光通信、ワイヤレス、ソ
フトウェア、マイクロエレクトロニクスなどを扱っております。
事業部では、チャイナテレコム、チャイナネットコム、チャイナモバイル、チャイナユ
ニコムなど中国内外のお客様に対応させていただいております。
従業員数はおよそ 3500 人、ほとんどが技術者です。
私どもは設立以来、かなりの投資を知的財産にしてまいりました。現在、核となる特許
あるいは商標を数百持っております。具体的な分野としてはデジタル・スウィッチング、
移動体通信、ソフトウェア、それからマイクロエレクトロニクスの分野になります。
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この TD-SCDMA といいますのは、電気通信の歴史のなかの一つの大きな節目になった
存在です。98 年、私どもは ITU(国際電気通信連合)にこの規格を次世代の移動体通信の
規格として提出いたしました。中国の代表としてです。
3年後、ITU はこの TD-SCDMA を第三世代移動体通信の三つの国際規格の一つとして
承認いたしました。また、第 3 世代移動体通信システムの標準化プロジェクトである 3GPP
(3rd Generation Partnership Project)も TD-SCDMA を認めております。
なぜ、この TD-SCDMA が大きな転機だったのかといいますと、まず、この ITU の歴史
のなかで欧米以外の会社あるいは団体が中心となって規格を出したのは初めてだったとい
うこと。しかもそれが途上国であったということ、また、初めて中国が独自の通信規格を
持ったという意味で大きな出来事でした。
そしてこの3つある国際規格のうち、残り二つ、CDMA2000―これはアメリカでよく使
われているものですが―そしてヨーロッパを中心として使われている WCDMA は、いずれ
も FDD モード、周波数分割多重のモードになっています。
これに対しまして、私どもの TD-SCDMA は、唯一、TDD、時分割多重の第三世代の規
格となっております。
つまり、この TD-SCDMA は、唯一、どこの国でも使える規格なのです。
もちろん、そのメリットはさまざまです。同時アップリンクですとか、スマート・アン
テナ、ソフト無線、Baton Handover ですとかいろいろあります。そういった技術的な優位
があります。周波数の効率が高いこと、オペレーションのコスト、そして機器接続にかか
るコストが低いこと、さらに非常にフレキシブルな形でデータ通信に対応できます。第三
世代といえば、やはりデータということも頭に入れておいていただければと思います。
そして TD-SCDMA は世界でいろいろと使われることになります。まず、もちろん中国
で導入されておりまして、人口 13 億人、そのなかで携帯電話加入者の数が2億 5000 万人
となっております。中国で第三世代の技術として真っ先に導入されるのがこの TD-SCDMA
と予想されております。
第三世代の市場全体を見ますと、おそらくその 2002 年から 2010 年までの間には、1兆
人民元ぐらいと見られておりますが、低めに見積もっても TD-SCDMA は 30%のシェアを
取ることになるでしょう。その規模は 3000 億人民元となるわけです。
TD-SCDMA は、中国でつくった規格ですが、ご覧いただけばお判りいただけますように、
ほとんどのヨーロッパの国では TDD のライセンスが出されております。アジア・太平洋も
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このようになっております。
韓国、日本以外の国々はほとんど、TDD 用の周波数の割り当てを認めております。すな
わち中国だけではなく、ヨーロッパでもそしてアジア・太平洋地域でも、そしてアメリカ
でもこのシステムは使われるようになるということです。
そして私ども業界のパートナーを介しまして、完全なチェーンをつくっております。ノ
キア、シーンメンス、フィリップス、ノーザンテレコムなど世界の有名企業、それから中
国では華為とか、ZTE、UTstracom などともパートナーとなっております。
TD-SCDMA が何をもたらすかということになりますけれども、中国の市場規模としては
600 億ドル、アジア・太平洋地域としては 1000 億ドル、そして世界的には 2000 億ドルと
見積もられております。また、単なる売上だけではありません。例えば雇用も生み出す、
税収も生み出す、それから技術の基盤になります。このように TD-SCDMA のもたらす機
会というのは非常に大きいわけです。
さらに、TD-SCDMA によって世界に追いつくだけではなく、将来の電気通信業界の方向
性を自分達で決めることができる可能性をもたらします。文化、伝統、ライフスタイル、
そのほかを考えますと、TD-SCDMA がより大きな可能性を持つのはアジア・太平洋地域だ
と思われます。この TD-SCDMA は私どもの企業に属しているものではありますけれども、
もっと大切なことはアジア・太平洋地域の一環としてつくられている、それから世界の一
員であるということです。
単なる技術的なものだけではなく、そのほかにも、例えば経済、生活、文化といったも
のも影響されますので、皆がもう少し関心を払うべきではないかと私どもは思います。
こうした 3G(第三世代)の二つの柱となるのがマイクロエレクトロニクスとソフトウェ
アになります。いまのシステムは、ハードウェアとソフトウェアを合わせたものになって
おりますけれども、私どもでは、70%の活動をソフトウェアの開発に費やしております。
ハードウェアは、IC のみ、中核の部分だけであります。コンピュータの主要機能をチップ
に搭載した SOC(システム・オン・チップ)と埋め込みソフトウェア(embedded software)
がシステムの設計、そして開発のコアとなる技術です。
そして IC とソフトの組み合わせを最適化することによって第2世代の移動体通信では奇
跡のようなことが起こりましたけれども、引き続き、第三世代においても新たな奇跡が実
現されることになります。また移動体通信は加速しつつあります。これによって IC、そし
てソフトウェア業界の動きも加速することになるでしょう。間もなく第三世代の移動体通
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信によって、マイクロエレクトロニクス、そしてソフトウェアの世界にも新しい商機が生
まれます。よりソフトウェアが求められます。ソフト無線、サービス仕様記述言語、リア
ルタイム OS などです。それからさらに複雑で高度なものも求められます。音声+信号だっ
たものが、音声+信号にデータも映像も、場合によっては動画もというふうになります。
これをソフトで処理しなければいけないわけです。
このためパフォーマンスが高い、そして消費電力の少ない SOC(システム・オン・チッ
プ)のプラットフォーム、少なくとも CPU を一つと、複数の DCP(デジタル・シグナル・
プロセッサ)を持ったものが第三世代のシステムの中核となるでしょう。その上でソフト
が走ることになるわけです。
私どもの重要なプロジェクトの一つが、COMIP というものです。これは新しい SOC の
プラットフォームです。32 ビットの CPU と複数の DSP を使います。埋め込みのソフトウ
ェア(embedded software)もあり、特殊な言語も使います。これによって将来の第三世代
サービスのアプリケーションソフトを走らせるわけです。これを発表いたしまして、来年
には間もなく、実際に供用されることになるでしょう。
このソフトウェアそれからマイクロエレクトロニクスという TD-SCDMA の二つの柱を
さらに進めるために、私どもは二つの子会社をつくりました。一つは、大唐ソフトウェア
という名前になっております。こちらは 90 年代のはじめに設立されまして、98 年に DTT、
私どもの会社の傘下に入りました。もともと国連開発計画(UNDP)が資金を出したアジ
ア・太平洋地域のプロジェクトから派生したもので、400 人以上の高度な技術を持った技術
者がいます。中国では、通信分野最大のソフトウェア会社となっております。私どもは引
き続き技術革新を続け、電気通信以外の分野にも事業を展開し、ソフトウェアのアウトソ
ーシングサービスも提供していきます。日本の企業にもすでにこのサービスは提供させて
いただいております。
また、私どもが特に力を入れるのは次世代のパーソナル・コミュニケーション端末のた
めの埋め込みソフト(embedded software)です。
それからもう一つの柱のマイクロエレクトロニクスですが、こちらには大唐マイクロエ
レクトロニクス・テクノロジーという子会社を設立いたしました。96 年に設立されまして、
98 年に私どもの子会社になっております。中国で最大のファブレスの IC 設計企業となって
おります。従業員数は 600 人です。この 600 人のうち 280 人は高度な技術を持ったチップ
設計の技術者です。それからコア・パテントは 40 以上、それから商標などの IC、そして埋
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め込みソフトウェア(embedded software)を持っております。中国では、この電気通信の
スマート・カード・チップのサプライヤーとして最も重要な存在になっております。ハイ
エンドの SIM/UIM カードチップの 80%のシェアを持っております。
こちらのほうでも引き続き、コスト削減、そして技術革新に努めていきたいと思います。
再構成可能な SOC プラットフォーム、そしてリアルタイム OS、埋め込みソフト(embedded
software)、アプリケーションを組み合わせるということです。そしてこちらも次世代のパ
ーソナルコミュニケーション・ターミナルというのを戦略的な次世代製品と位置づけてお
ります。
もちろん、一社で何でもやることはできませんので、Co-petition、協力と競争というこ
とを考えました。よくいわれるのがイノベーション、革新ということですが、これはもち
ろん企業活動の中核です。素晴らしい人材を持っていてきちんとした組織があって、そし
て長期的なビジョンを持っているということ。そのためにはインスピレーションも必要で
すし、意思も必要ですし、自信も必要です。ですが、それはあくまでも社内のことです。
Co-petition というのが事業の中核だと思います。Co-petition するためには多くのビジョン
が必要ですし、また、十分な理解と信頼が必要です。そして長期的な利害が一致すること、
そして win-win のビジネスモデルが必要です。そのためにはオープンであること、忍耐、
寛容、そして勇気が必要です。技術革新というのはエンジニアの仕事です。そして経営革
新はマネジャーの仕事です。Co-petition というのは起業家(Entrepreneur)の責任です。
ですが、それで十分なのでしょうか。これは十分討議するべき点だと思います。Co-petition、
協力と競争をうまく組み合わせるということはその事業の発展に一番効果的だと思います。
これは起業家(Entrepreneur)の責任でありますが、win-win の関係を生み出すことがで
きますし、新しい世界観を提供できます。
一方、大唐といたしましては革新を続け、そしてパートナーさんとの協力を深化すると
同時に、新しいパートナーとの可能性をいつも見ております。私どもは信頼を得られるよ
うに努力いたしますし、また、私ども持っている競争力をさらに強化したいと思います。
強みといいますのは知的所有権、IC、そしてソフトウェアです。
以上、ご清聴ありがとうございました。
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