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ギターのタブ和音の宇宙

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ギターのタブ和音の宇宙
音
1
楽
内容
歌
科
評価事例集の題材,教材の一覧
内容
鑑
題
材
歌曲に親しもう
学年
1
鑑器
日本の音楽に親しもう
1
鑑歌
アジアの音楽に親しもう
1
鑑
イメージと音楽
2
鑑
音楽の構成
2
鑑器
歌
日本の音楽の特徴
2
鑑器
2
鑑
世界の音楽に親しもう
∼楽器の響き∼
音色の効果
鑑
日本の舞台芸術
3
鑑器
歌
鑑歌
オペラの音楽表現を味わお
う
世界の音楽
∼声の魅力∼
新しい出会いをイメージし
て歌おう
曲の特徴を感じながら歌お
う
3
歌
歌
歌
歌鑑
混声合唱を楽しもう
∼合唱コンクール∼
情景を想像して表現を工夫
しよう
3
3
1
1
1
1
主 な 教 材
魔王,魔王(レーヴェ)
野ばら
雅楽「越天楽」,黒田節
越天楽今様,郷土の民謡
ケチャ,ノンアク,シャン
グー,オルティンドゥ
組曲「惑星」から
組曲「展覧会の絵」から
交響詩「はげ山の一夜」
小フーガト短調
交響曲第5番ハ短調
箏曲「六段の調」
ノヴェンバーステップス
さくらさくら
世界の諸民族の器楽曲
備 考
音3
ボレロ
アランフェス協奏曲
歌舞伎「勧進帳」
長唄「勧進帳」
能「安宅」,狂言「朝比奈」
歌劇「アイーダ」から第2
幕第2場
ホーミー,ゴスペル
ブルガリアンコーラス 他
今ここに,校歌,BELIEVE
音 10
メリーポピンズから
だれかが口笛吹いた
スコットランドのつりがね
草
課題曲,自由曲
光の中へ
モルダウの旅,モルダウ
花の街
学年
2
歌
題
材
イメージをふくらませて歌
おう
詩と旋律の流れ
歌
声部の役割
2
歌
2
歌
歌
混声合唱の響きを味わおう
∼合唱コンクール∼
情景を思い浮かべて
曲想の変化
歌
音色と響き
3
歌
混声合唱で充実した響きを
つくろう
∼合唱コンクール∼
希望の歌声
3
リズムリレーをしよう
身のまわりの音をつかって
表現しよう
重なりの変化を楽しもう
曲をつくろう
1
1
音 27
音 28
2
3
音 29
音 30
1
1
2
音4
音5
音6
音7
課題
音8
課題
歌
3
3
3
音9
音 11
創
創器
音 12
創器
創歌
器
器
音 13
器鑑
リコーダーアンサンブルを
楽しもう
和楽器に挑戦
音 14
器鑑
ギターを楽しもう
音 15
器
器
音 16
音 17
※
※
※
2
主 な 教 材
心と心で,ぜんぶ空
もののけ姫
夏の思い出,浜辺の歌
ローレライ
踊る少女,もみじ,ふるさ
と
課題曲,自由曲,春に
この星のどこかで
花,海が明けるよ
帰れソレントヘ,追憶
サンタルチア,椰子の実
ライオンは寝ている
ソーラン節,ふるさと
課題曲,自由曲
備 考
音 18
旅立ちの日に,仰げば尊し
卒業の歌,君が代
音 26
ソナタ K.331,きらきら星
春(四季から)
さくらさくら,うさぎ
禁じられた遊び,四季の歌
静かなメロディー
カントリーロード
音 19
音 20
音 21
音 22
音 23
音 24
音 25
音 31
音 32
課題
音 33
リコーダーとギターの響き 2
音 34
合いを楽しもう
楽器編成を工夫してアンサ 3
さくらさくら,虹の彼方に 音 35
ンブルしよう
木星 他
課題
内容の欄は「内容のまとまり」鑑賞,歌唱,創作,器楽を示している。複数で
示しているものは,内容がまたがるものである。
主な教材のうち,教科書に掲載されているものをゴシックで示している。
備考の欄は掲載しているページを示すとともに,課題学習を設定しているもの
には課題と示している。
2
音楽科における「評価計画例」,評価実践事例の考え方と見方
(1) 評価計画例(題材別評価規準・評価基準表)の考え方と見方
各題材の評価計画例については,活動内容,留意点,評価規準,評価方法,評価基
準を示している。評価規準については,各題材の時間数を勘案しながら,実際に授業
場面で評価することができると考える,評価規準の数や方法を示している。また,他
教科と同様に,関心・意欲・態度等の情意面にかかる評価基準については,ABを峻
受・表現の工夫」と「表現の技能」を含む評価規準の場合「感・表」と標記して示し
ている。
④
選択教科の評価計画例
音楽科では,選択教科の評価計画例として,以下の2題材について示している。
学年
3
題
材
内
日本の音楽に親しもう
容
ページ
音 36
課題学習
別して表記する難しさがあるため,期待する姿,徴候(シンプトム)を複数表記して
いる。
①
(2) 評価実践事例の考え方と見方
観点の標記
音楽科では,観点別学習状況の評価の4つの観点について以下の略号で示している。
②
評価実践事例として,以下の4題材について,検証授業を実施したうえで,評価実
践事例としてまとめている。評価規準ごとに,具体的な評価の実際について記述して
関:音楽への関心・意欲・態度
いる。実践にあたっては,各学校における教育指導計画や生徒の実態に則って実践し
感:音楽的な感受や表現の工夫
ているので,「評価計画例」(題材別評価規準・評価基準表)に示している指導過程,
表:表現の技能
評価規準等に修正を加えている。
鑑:鑑賞の能力
領域
学年
感性にかかわる評価
鑑賞
3
鑑賞
材
ページ
日本の舞台芸術
歌舞伎「勧進帳」
音 38
2
イメージと音楽
組曲「惑星」から
組曲「展覧会の絵」から
音 44
歌唱
2
詩と旋律の流れ
夏の思い出
音 50
器楽
1
ギターを楽しもう
禁じられた遊び
四季の歌
音 56
題
音楽科は教科の特性から,感性にかかわる評価も求められており,観点別学習状況
の評価の第2観点として「音楽的な感受や表現の工夫」が示されている。感性にかか
わる評価は,情意面以上に表出されにくいものが評価の対象となっており,客観性や
妥当性を適切に保つことが難しい内容であるといわれている。
そこで,本評価事例集の音楽科編では,ABなどの基準を明確に示すことが困難な
「感受・表現の工夫」の評価規準については,関心・意欲・態度等の情意面の基準と
同様に,期待する姿,徴候(シンプトム)を複数文章表現することにした。
③
複数の観点を含む評価規準の設定
音楽科は,その目標構造から,「感受・表現の工夫」と「鑑賞の能力」「表現の技能」
は相互に密接な関係にある。例えば,アンサンブルの表現活動の状況や内容を評価す
ることで,「表現の技能」と「表現の工夫」を評価することができる。このように,一
つの活動において複数の観点の内容を併せ持つ評価規準を設定することもある。「感
材
教
3 題材別評価計画例
題材 「歌曲に親しもう」 第1学年(2時間∼3時間)
目標 ○歌曲の劇的な内容と音楽の結びつきに関心を持つ。
○独唱者の巧みな表現と伴奏による表現効果を感じ取る。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
歌曲に親しもう
2
「魔王」の詩を読み物語の内容をとら
えて鑑賞し,情景を想像する。
・詩を朗読したCDを聴かせイ
メージを広げる。
・登場人物のようす
関:曲の展開に興味を持って鑑賞 ・登場人物や物語の背景につい
している。
(様相チェック,発言チ
て熱心に考えている。
ェック)
・いろいろな場面についてのお
もしろさや変化について発言
・馬や嵐など緊迫したようす など
している。
★:Cの状況の生徒への手だて
物語のあらすじや情景をもう一度確認してから曲を視聴
し,その効果を感じ取る。
・集中して曲を視聴している。
「魔王」を視聴する。
・歌い手の表情
歌い手の表現の工夫を考える。
・登場人物の歌い分け
など
劇的な雰囲気を盛り上げているピアノ
の演奏効果を感じ取る。
・魔王の部分での変化
・楽曲との出会いを大切にし,
感鑑:4人の登場人物の歌い分け
・登場人物の異なる表現を聴き ・登場人物の異なる表現を聴き
じっくり聴き味わう習慣を身に
とその効果を感じ取っている。
(学
分け,その効果を感じ取り,声
付けるように助言する。
習プリント分析)★
の変化などについて説明する
・伴奏については,音型の変化
鑑:物語と音楽を結びつける作曲
・伴奏の音型の変化や歌唱に伴 ・伴奏の音型の変化や歌唱に伴
ばかりでなく,歌唱に伴った強
者や歌い手の工夫を聴き取る。
(感
った強弱・表情の変化,転調に
った強弱・表情の変化を感じて
弱・表情の変化にも注意するよ
想分析、発言チェック)※
気づいて鑑賞している。
鑑賞している。
分け,その効果を感じ取る。
ことができる。
うに指示する。
※:Cの状況の生徒への手だて
など
形成的評価
<形成的評価>
作曲者の工夫として楽譜を,歌い手の工夫としては役によ
①楽曲の構成要素,演奏形態につ
って映像の角度を変えたVTRを準備し,工夫を聴き取り
いての把握
やすくしておく。
②楽曲の表現効果の把握
1
(学習プリント分析,感想分析)
レーヴェ作曲の「魔王」や演奏者や演
・演奏者や演奏形態の違う CD
鑑:シューベルトとレーヴェの「魔
・伴奏の音型や旋律の違いによ ・伴奏の音型や旋律の違いによ
奏形態の違う「魔王」と聴き比べ,表
など比較鑑賞の資料を準備して
王」の表現の違いや演奏効果につ
る表現の違いや演奏効果に気
る表現の違いや演奏効果を聴
現効果について考える。
おく。
いて聴き取る。 (感想分析)☆
づき,そのよさについて説明す
き取る。
ることができる。
「ます」や「野ばら」を鑑賞し,歌と
伴奏の溶け合いによる表現効果を感
じ取る。
☆:Bの生徒をAにひきあげる手だて
LDなどを視聴し,演奏している様子を視聴できるように
する。
題材 「日本の音楽に親しもう」 第1学年(3時間∼6時間)
目標 ○雅楽の特徴を聴き取り,それを生かして表現する。
○時代を越えて親しまれてきた日本の音楽についてその特徴をとらえ,日本の音楽に対する関心を深める。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
★:Cの状況の生徒への手だて
日本の音楽に親しもう
楽器の種類ごとの演奏ビデオを準備し,それぞれの特徴が
つかみやすいようにしておく。
2
雅楽「越天楽」を鑑賞し,雅楽の楽器
の音色や響きなどを聴き取る。
・微小な音程の変化
・余韻がないこと
など
・鑑賞した感想を書く時間を設
鑑:雅楽の楽器の音色やリズムの
・雅楽の楽器や音色の特徴,特
・雅楽の楽器や音色の特徴,特
け,楽器・合奏などの特徴につ
特徴などを聴き取る。
(学習プリン
に微小な音程,加速度的なリズ
に微小な音程,加速度的なリズ
いて活発に意見をだせるように
ト分析)★
ムの変化,かすれた音,不協和
ムの変化などに気づいている。
する。
雅楽の演奏の特徴をとらえる。
・不協和な和音
・リズムのずれ
など
な和音などに気づいている。
感:雅楽の特徴あるリズムや楽器
・雅楽の特徴あるリズムのず ・雅楽と西洋のオーケストラと
の組み合わせによる効果を感じ取
れ,不協和な和音の効果に気づ
の演奏効果の違いに気がつい
る。
(感想分析,様相チェック)※
いている。
ている。
※:Cの状況の生徒への手だて
「越天楽今様」
「黒田節」を歌い比べる。
西洋の音楽をLDなどで視聴し,その演奏方法や効果の違
・旋律の共通点
・
「黒田節」が福岡の民謡である
2∼
雅楽の楽器の特徴を生かして,身近な
3
楽器で「越天楽」の出だしの部分を演
奏する。
・旋律のスレ
・加速度的なリズムの変化
1
郷土の民謡やリズム・囃し言葉などを
調べたり,歌ったりする。
郷土の民謡
例 黒田節 博多子もり歌 など
囃し言葉のあるもの
例 佐渡おけさ 斉太郎節 など
いを考えるように指示する。
ことを確認する。
関表:雅楽の特徴をとらえ,演奏 ・雅楽器を管弦楽の楽器で置き
・身近な楽器の置き換えの参考
の方法を工夫している。
(学習プリ 換え表現するとどうなるかを
に近衛秀麿編曲「管弦楽『越天
熱心に考えている。
楽』
」を鑑賞して,参考にする。 ント分析)☆
笙(キーボード)鞨鼓(タンブ
・雅楽器を身近な楽器に置き換
リン)など。
えるとどんな楽器がいいかを
・グループごとに演奏方法を工
活発に意見を出している。
夫するように指示する。
・日本の音楽を歌い継いでいき
・福岡の民謡には,適切な囃し
言葉が少ないので、囃し言葉が
わかりやすい曲を準備する。
・多くの民謡は,民衆の生活の
中で育まれてきたことを確認す
る。
関:日本の音楽に対する興味を深
たいという記述がある。
める。
(感想分析)
・日本の音楽には他にどんなも
のがあるか知りたいという記
述がある。
・日本の音楽と日本の歴史につ
いての考えを記述している。
・雅楽の特徴をとらえ,楽器や
演奏の方法を工夫し,雅楽らし
・雅楽の特徴をとらえ,楽器や
く演奏している。
演奏の方法を工夫している。
☆:Bの生徒をAにひきあげる手だて
雅楽の演奏の特徴が表現できているかどうか,録音して確
かめるように促す。
題材 「アジアの音楽に親しもう」 第1学年(2時間∼3時間)
目標 ○アジアの音楽の楽しさを積極的に感じ取っている。○アジアの音楽の特徴をとらえる。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
アジアの音楽に親しもう
1
アジアの音楽を視聴し,独特の味わい
を醸し出している要素について考え
る。
・同じアジアの音楽であっても多
関感:アジアの諸民族の音楽のお ・興味深くVTRを視聴してい ・アジアの諸民族の音楽につい ・アジアの諸民族の音楽におも
様な音楽があることに気づくよう
もしろさを積極的に探っている。
に助言する。
(学習プリント分析,様相チェッ ・諸民族の音楽のおもしろさを
る。
て特徴を指摘することができ
しろさを感じている。
る。
・モンゴルのオルティンドーの歌
ク)
・シャングー ・オルティンドー
い方が日本の追分様式の民謡に与
感:それぞれの国の音楽のそれぞ ・音楽を通してそれぞれの国に ・それぞれの国の音楽について ・それぞれの国の音楽におもし
・バラタナーティヤム ・ケチャ
えている影響について考えるよう
れの味わいを感じ取る。
おもしろさや楽しさを感じ,そ
ろさや楽しさを感じ,興味を持
・ノンアク(農楽)とサムルノリの
に示唆する。
(学習プリント分析,発言チェッ
れぞれの国の歴史・自然などと
つ。
ク)
の関係を考える。
・書籍で調べるほかコンピュータ
鑑:アジアの音楽の楽器や旋律の
・アジアの音楽の楽器や旋律の ・アジアの音楽の楽器や旋律の
の百科事典ソフトなどを活用する
特徴を聴き取る。★
特徴を聴き分けその特徴を説
よう指示する。
(学習プリント分析)
明する。
音色,演奏方法,リズムや音階
アジアの音楽の楽器や声を視聴し,そ
の特徴を調べたり,身近な楽器で演奏
したりして,親しみを持つ。
感じている記述や発言がある。
対して興味を深めている。
・オルティンドーの声の出し方を調べ
特徴を聴き分けている。
★:Cの状況の生徒への手だて
る。 など
アジアの音楽の楽器や声を視聴し,楽器や音楽的な構造の共通
1
点や相違点をとらえるように助言する。
ケチャやノンアクの演奏に挑戦する。
・グループに分かれ練習をする。
感表:それぞれの音楽の特徴をと ・ケチャやノンアクだけでなく ・声の出し方や音楽のつくりな ・日本や西洋の音楽との違いを
・リズムアンサンブル
楽器は,身近な楽器に置き換えて
らえ演奏し,表現を工夫している。 興味を持っている他の国の音
・声をあわせる など
演奏するよう指示する。
(学習プリント分析,様相チェッ
楽にも挑戦しようとする。
ク)
1
音楽にかかわる物語や舞踊,人々のく
・国際理解の視点からそれぞれの
関:アジアの国々の音楽も我が国 ・アジアの音楽もいろいろなも
らしの様子に目を向ける。
よさを見つけるよう指示する。
の音楽と同様に生活と深い結びつ
・サムルノリやケチャなどのVT
きがあることを実感している。
・韓国(サムルノリ)
・インドネシア(ケチャ) など
Rを準備しておく。
のがあって興味深いと記述し
ている。
・音楽の中の生活感を感じ取っ
ている。
どをしかして演奏する。
考えて,演奏している。
題材 「イメージと音楽」 第2学年(2時間∼4時間)
目標 ○楽曲が表現している情景を豊かに想像し,イメージを思いうかべて聴くおもしろさを感じ取っている。○管弦楽と合唱の融合や変拍子などの近代・現代の特徴を感じ取る。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
イメージをふくらませよう
☆:Cの状況の生徒への手だて
合唱と管弦楽の融合された別の楽曲を数曲例示し,管弦
1
「惑星」を鑑賞し,管弦楽や合唱がつ
くり出す豊かな響きを味わいながら
鑑賞する。
「火星」
,
「木星」
,
「海王星」
・曲のイメージととの理由
1
「展覧会の絵」を鑑賞し,どんな絵を
イメージしたか想像する。
「グノーム」
,
「古城」
,
「卵の殻をつ
関:自分のイメージをもとうと集中
・熱心に曲を鑑賞している。
楽のみの部分と合唱が入っている部分との比較を行うよ
して鑑賞している。
・管弦楽と合唱がつくり出す
うに指示する。
(感想分析,様相チェック) 豊かな響きを楽しんでいる。
・
「海王星」の合唱と管弦楽がつく
感鑑:管弦楽や合唱がつくり出す豊
・自分のもったイメージを積 ・管弦楽や合唱がつくり出す豊 ・管弦楽や合唱がつくり出す豊
る豊かな響きに注意して鑑賞する
かな響きを感じ取る。☆
極的に記述している。
ように指示する。
(感想分析) ・それぞれの曲に豊かなイメ
かな響きを感じ取り,
それを醸
かな響きを感じ取っている。
し出している楽器の音色や構
ージを持って鑑賞している。
成要素についてとらえている。
・感じたこと,思い浮かべたこと
関感:イメージを思い浮かべて聴く
・音楽を聴いて情景を想像す
・自分が想像したイメージを構 ・自分が想像したイメージを説
を中心に自分の感想を述べるよう
おもしろさを感じている。
るおもしろさを感じている。
成している音楽的要素(音域, 明し,その理由を述べる。
に助言する。
(学習プリント分析,感想分析) ・集中して聴きイメージを広
速度,調性など)を説明する。
げようとしている。
けたひなどりのバレエ」
,
「鶏の足の上
に建っている小屋」
,
「キエフの大門」
2
「展覧会の絵」の原曲(ピアノ)と管
・原曲が管弦楽に編曲されたこと
感:演奏形態の違いによる表現効果
・演奏形態の違いによる表現効 ・演奏形態の違いによる表現効
にふれ,演奏形態の違いを確認す
の違いを感じ取っている。★
果の違いを感じ取り,他者にわ
弦楽編曲を聴き比べる。
る。
・表現効果の違い
・管弦楽の編曲にも数種類あるこ
(学習プリント分析)
果の違いを感じ取っている。
かりやすく説明する。
とを知らせ,比較できるようにす
★:Cの状況の生徒への手だて
る。
ピアノや管弦楽,シンセサイザーなどで演奏された同じ
楽曲毎に,MD等に録音しておき,自由に聴きながら表
現効果を感じ取ることができるようにしとおく。
「はげ山の一夜」を鑑賞し,表現して
いる情景について話し合う。
題材 「音楽の構成」 第2学年(3時間∼6時間)
目標 ○和声音楽と多声音楽の味わいの違いや音楽の構成美に気づき,音楽の仕組みに関心を持つ。 ○主題の変化・発展による曲の変化を感じ取る。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
<評価の方法>
評価基準(関心・意欲・態度)
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
音楽の構成をとらえよう
1
「小フーガ ト短調」をフーガの主題
と応答の関係について考えながら鑑賞
する。
関:和声音楽や多声音楽のよさを積 ・主題を聴き取る活動で積極的
にハンドサインを送っている。
極的に感じ取ろうとしている。
(様相チェック,発言チェック) ・納得いくまで動機の回数を繰
り返し聴いている。
・和声音楽や多声音楽の聴き分け
にあたっては,理論的にならない
ように配慮する。
鑑:和声音楽や多声音楽を聴き分け ・多声音楽に興味をもって気づ ・和声音楽と多声音楽のそれぞ
れの特徴をとらえ聴き分けて
る。
☆
(学習プリント分析) いたことを述べている。
いる。
・動機が発展していく様子を OHP
で楽譜を提示したり,発展型をじ
っくり聴いたりするよう助言す
る。
感:変化や対照によって構成される
音楽の巧みな美しさを感じ取る。
★
(感想プリント分析)
・主題と応答の反復,対照,変化など
1
和声音楽と多声音楽を比較する。
・和声や音の重なり方 など
☆:Cの状況の生徒への手だて
・繰り返し現れる主題と応答の旋
律に注意して鑑賞するように指示
する。
声部の音色が違う多声音楽の演奏を提示し,多声音楽の特徴
をとらえるようにする。
・和声音楽と多声音楽を聴き分
けることができる。
交響曲第5番1楽章(ベートーベン)
1
を聴き,動機主題の変化や対照を聴き
取る。
・動機の変化
・第1主題と第2主題の対照など
発表する
交響曲・パイプオルガン
バッハ・ベートーヴェン
課 題 学 習
和声音楽と多声音楽
その他
2∼
3
★:Bの生徒をAにひきあげる手だて
・興味や関心をもったものや,疑
問に思ったことを調べるように指
示をする。
形成的評価
・動機や主題の反復や変化,対 ・動機や主題の変化や対照によ
照によって構成される曲の美 って醸成されている音楽の美
しさを感じ取っている。
しさを感じ取っている。
<形成的評価>
①和声音楽と多声音楽の違いの把
握
②フーガ,交響曲の形式の理解
(学習プリント分析)
スコアーに動機や主題をチェックして,主題が変化して低音
部で演奏される部分や高さが変わって現れる部分などを取
り出して提示する。
・類似のテーマの生徒同士で交流
できるように,学習成果を Web ペ
ージで発信したりレポートにまと
めたりする。
・探究の成果をわかりやすく伝
関表:追究の成果をわかりやすく伝 ・発表を熱心に聴く。
えることができる。
(発表内容分析) ・方法を工夫してわかりやすく えることができ,発表方法に工
夫がある。
発表しようとしている。
・探究の成果をわかりやすく伝
えることができる。
題材 「日本の音楽の特徴」 第2学年(3時間∼6時間)
目標 ○箏や尺八の特徴を感じ取る。 ○箏や尺八の独特な奏法や微小な音程の変化を聴き取る。 ○現代の日本の音楽に親しむとともに和楽器と西洋音楽の融合された特徴ある響きを味わう。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
<評価の方法>
評価基準(関心・意欲・態度)
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
日本の音楽の特徴を味わおう
☆:Cの状況の生徒への手だて
1
箏や尺八・琵琶の音色と類似の楽器の
音色を比較し,それぞれの楽器の特
徴,よさについて話し合う。
・
「六段」「ノヴェンバーステップ
ス」などの一部を鑑賞し,その特徴
やよさをつかむことができるよう
にする。
・箏の弦をはじいた後の余韻の繊細さ
・尺八の様々な息の使い方 など
1
筝や尺八の奏法について理解する。
・題材「和楽器に挑戦」との関連
を図ると効果的である。
・メリ カリ 押し手 引き色など
日本の音楽の特徴をまとめる。
拍節感 リズム 音の重なり
1
など
現代日本の音楽を鑑賞し,その特徴,
よさについて考える。
・和洋楽器のアンサンブルから生まれ
る統一感や繊細さ など
・日本の伝統的な美意識について
は,美術や工芸などと関連させる
ようにする。
・和洋のコラボレーションが把握
しやすい曲を提示し,新たな創造
という視点からとらえることがで
きるようにする。
課 題 学 習
楽器の構造や歴史
シ
和と洋楽器の演奏
和楽器を演奏する
他
その他
発表会
★:Bの生徒をAに引き上げる手だて
ししおどしの音が作り出す「間」からどのような効果が感じ
<形成的評価>
①箏や尺八の奏法についての理解
②日本の音楽の特徴を把握
(プリント,活動状況チェック)
形成的評価
2∼
3
アルトリコーダーと尺八の独奏曲を音色や奏法,拍子や旋
関:日本の音楽のよさ感じ取り積 ・楽器の音色の特徴・違いなど
について積極的に発言する。
極的に活動している。
律の違いについて繰り返し聴けるようにCDやMDを準備
(様相チェック,発言チェック) ・箏や尺八・琵琶の音色に興味
する。また,
「琵琶の弾き方はどのようにしているのだろう
をもって視聴している。
か?」
「尺八の演奏者の工夫は何か?」など特徴に結びつく
・日本の他の楽器などとの共
補助発問をする。
通点に気づく。
・非拍節的なリズムや微小な音 ・非拍節的なリズムなど,日本
感鑑:非拍節的なリズムや微小な
程など、日本の音楽の特徴を聴 の音楽の特徴を聴き分け,その
音程の変化などの日本の音楽の特
き分け,その音楽的構成につい よさを味わっている。
徴を聴き分ける。☆
て理解しながらそのよさを味
(学習プリント分析,感想分析)
わっている。
鑑:
「間」や「わび・さび」などの
・音楽を通して「間」や「わび・ ・音楽を通して「間」や「わび・
日本の伝統的な美意識についてと
さび」などの日本の伝統的な美 さび」などの日本の伝統的な美
らえ,その効果を味わう。★
意識についてとらえ,その効果 意識についてとらえている。
(プリント分析,感想分析)
を味わっている。
られるか問いかけ,日本人が大切にした感覚が音楽の中にも
はぐくまれていることに気づくようにする。
・意欲的に課題学習に取り組ん ・探究の方法や発表の方法を工 ・探究の方法や発表の方法を工
夫するだけでなく,自分の考え 夫している。
でいる。
・自分の音楽的な特質や興味・ を述べることができる。
関心を生かして課題学習に取
り組んでいる。
・課題の設定にあたっては,日本
の音楽のよさを意識した活動とな
るようガイダンスを充実させる。
関表:意欲的に課題学習に取り組
み,探究の方法や発表の方法を工
夫している。
(発表内容
分析)
題材 「世界の音楽に親しもう」 第2学年(2時間∼3時間)
目標 ○世界の音楽について,それぞれのよさを積極的に感じ取る。○楽器の種類や奏法などによる独特な味わいに気づく。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
世界の音楽に親しもう
∼楽器の響き∼
1
多様な世界の諸民族の音楽を鑑賞し
・VTRやLDを準備し,視覚的
て,それぞれのよさをとらえる。
にとらえることができるようにす
関感:多様な諸民族の音楽のおも ・興味を持って熱心に鑑賞して ・多様な諸民族の音楽のおもし ・多様な諸民族の音楽のおもし
しろさを感じ取っている。☆
いる。
ろさを感じ取り,それぞれの楽 ろさを感じ取り,それぞれの楽
る。
(様相チェック,発言チェック) ・それぞれの楽器を自分の知っ
・シタールとタブラー
・ズルナ(メヘテルハーネ)
・イリアン・パイプスとフィドル
・ケーナ,シーク,チャランゴ,ア
ルパ,ボンボ(フォルクローシ)
などの音色や旋律,など
ている楽器と比較し,類似点や
器の特徴をとらえることがで
器に興味を持っている。
きる。
相違点を積極的に発表する。
☆:Cの状況の生徒への手だて
管楽器や弦楽器,打楽器等に分類し,そのまとまりごとに楽
器の音色や構造の違いなどについて考えるように指示する。
1
独特の味わいを醸成している楽器の種
・それぞれの音楽に関連した楽器
感鑑:それぞれの音楽の特徴を醸
・それぞれの音楽の特徴を醸成 ・それぞれの音楽の特徴を醸成
類や奏法などについてとらえ鑑賞す
や情景などのイメージをふくらま
成している要素を聴き取る。
している要素を聴き取り,説明
している要素を聴き取ること
る。
せるように映像も視聴する。
(学習プリント分析,感想分析)
することができる。
ができる。
身近な楽器を使って演奏してみる。
表:それぞれの音楽の特徴を生か
・それぞれの音楽の特徴を生か ・それぞれの音楽の特徴を感じ
・ガムラン音楽をリコーダーで13音
して表現する。★
して,演奏を工夫している。
・ガムラン(微分音)など
1
階音階をつくって演奏する。など
取って演奏している。
(学習プリント分析,感想分析)
★:Cの状況の生徒への手だて
演奏することが苦手な生徒には,短いフレーズの繰り返し
で演奏できるような楽譜を準備したり,DTMを活用して
楽器は,その土地の自然や暮らしと結
びついていることを知る。
特徴をつかめるようにする。
・国際理解の視点から音楽と生活
とのつながりについてふれる。
題材 「音色の効果」 第3学年(2時間∼4時間)
目標 ○それぞれの楽器の特徴を知り,積極的に表現効果を感じ取る。
○楽器が組み合わさった美しさや表情の変化を感じ取る。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(情意,感受)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
音色の効果を楽しもう
1
「ボレロ」を視聴し,管弦楽のそれぞ
関:楽器の音色や響きに興味・関 ・何の楽器で演奏しているか興
れの楽器の音色・響きなどを対比させ,
心を持ち,積極的に聴いている。
味を持って鑑賞している。
表現効果やその美しさについて考え
(様相チェック,感想分析)
・楽器の音色や響きの違いを感
じている。
る。
1
「アランフェス協奏曲」を視聴し,独
奏ギターと管弦楽の組み合わせによる
対比と調和の美しさを話し合う。
・独奏ギターの豊かな音色,巧みな表
現
・独奏楽器と管弦楽の対比と調和
・ギターの独奏曲と協奏曲を対
感鑑:ギターなどいろいろな楽器 ・独奏ギターと管弦楽の音量や ・いろいろな楽器の音色の特徴 ・いろいろな楽器の音色の特徴
比させてその魅力にせまる。
の奏法の特徴を聴き分け,その演
音色,響きなどの対比や調和, や音量のバランス,楽器の組み
や楽器の組み合わせを聴き分
・ギター(クラシック)は実物
奏効果を感じ取る。
(学習プリント
旋律,美しさなどを感じ取りな
合わせを聴き分け,その効果を
け,その効果を感じ取ることが
を提示する。
分析,感想分析)★
がら視聴する。
感じ取ることができる。
できる。
・ギターの音色,奏法に興味を
持って学習している。
★:Cの状況の生徒への手だて
それぞれの楽器のLDを見せ,音色を確認してから,もう
一度楽曲を鑑賞し組み合わせを聴き分けられるようにす
る。
・個々の楽器の音色の変化と組 ・個々の楽器の音色の変化と組
1∼
いろいろな独奏楽器の協奏曲を聴き,
・バイオリン協奏曲やピアノ協
感鑑:楽器の音色やその組み合わ
み合わせによる対比と調和を
み合わせによる音色の違いを
2
表現の効果を味わう。
奏曲などいろいろな演奏形態の
せによる効果を感じ取る。
(学習プ
聴き分け,その効果を感じ取る
聴き分け,その効果を感じ取る
・バイオリン協奏曲,ピアノ協奏曲,
CDを準備し,自由に聴くこと
リント分析,感想分析)☆
ことができる。
ことができる。
打楽器の協奏曲など
・ピアノ協奏曲と連弾編曲版の比較
ができるようにしておく。
☆:Bの生徒をAにひきあげる手だて
楽器の組み合わせを表にして思いついたその演奏効果を記
入し,比較する。
題材 「日本の舞台芸術」 第3学年(3時間∼5時間)
目標 ○日本の伝統音楽の奥深さや緻密さを味わおうとする。
○長唄の唄い方や楽器の用い方などによる多様な表現とその効果を感じ取る。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(情意・感受)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
★:Cの状況の生徒への手だて
日本の舞台芸術に親しもう
長唄のLDを見ながら一緒に練習をする。また,音の高低
がとらえやすい図形楽譜を準備しておく。
1
1
歌舞伎「勧進帳」のハイライトを視聴
し面白さに気づき,あらすじをとらえ
・歌舞伎「勧進帳」の「旅の衣
☆:Bの生徒をAにひきあげる手だて
る。
∼着きにけり」の場面を興味を
いくつかの場面を取り出して,場面と楽器のつながりに着
持って視聴している。
目して鑑賞するように指示する。
長唄「勧進帳」を視聴して,歌詞の部
・長唄が当時のさまざまな音楽
関感:総合芸術のおもしろさを感 ・ことばを聴き取ろうと集中し ・歌舞伎や歌舞伎音楽の構成要
分によって変化する節回しや楽器につ
の表現様式を取り入れた曲であ
じ取っている。
(感想分析,発言チ
ている。
素を場面ごとに的確にとらえ
舞台のようすについて説明で
いて話し合う。
ることに注意して視聴するよう
ェック)
・この後の展開に興味を示して
ている。
きる。
いる。
・構成要素や楽器について適切
・歌舞伎音楽が楽器や唄い方,
に聴き分ける。
旋律の特徴などからいくつか
・謡がかり(謡曲的部分)
に指示する。
・外記がかり(語り物的部分)など
・場面ごとに内容を整理でき,
の部分からなっていることを
感じ取る。
1
1
謡がかりや外記がかりの特徴を感じ取
・元唄の旋律線の特徴の把握の
表感:表現することの難しさを実
って歌ってみる。
ために,繰り返し聴かせたり,
感し,日本の伝統芸能の奥深さを ・曲の仕組みや物語を聴き手に
とを実感し,工夫して練習して
とを実感し,もどかしく感じて
OHP で楽譜を提示して視覚的に
実感する。
(感想分析,発言チェッ
伝える工夫をしている。
いる。
いる。
長唄「勧進帳」の楽器やその使われ方
とらえさせたりする。
ク)★
・表現することの難しさ,楽し
・場面ごとに謡いまわし,声の ・CDに合わせて自分なりに謡
を聴き取りと表現効果をとらえる。
・唄の区切りの部分の小鼓や三
・三味線,大鼓,小鼓,能管
味線の合い方の効果についてど
・閑寂や厳粛さをもった落ち着いた
う考えるか発問する。
雰囲気を醸し出す楽器。
・伴奏楽器の中心として活躍する楽
・熱心に練習に参加している。 ・LDのように表現できないこ ・LDのように表現できないこ
さを実感した発言をしている。 出し方に気をつけて謡うこと
うことができる。
ができる。
感鑑:楽器の種類とその効果を理
・歌舞伎の場面にあった音楽や ・歌舞伎の場面によって楽器の
解し鑑賞する。
(プリント分析,発
楽器の使い方を工夫している
使い方が違うことを指摘でき
言チェック)☆※
ことをとらえている。
る。
器。など
※:Cの状況の生徒への手だて
楽器だけの部分と歌のある部分を抜粋したLDを見せ,楽
1
能や狂言を視聴し,日本の伝統的な舞
台芸術にふれる。
・能の様式美
器の使い方が表現上効果をあげていることに着目できるよ
・能「安宅」や狂言「朝比奈」
・日本の伝統芸能の価値を認め
を準備しておく。
る発言をする。
うにする。
題材 「オペラの音楽表現を味わおう」 第3学年(3時間∼4時間)
目標 ○総合芸術としての歌劇の特徴やおもしろさを味わう。
○歌劇の音楽表現の豊かさを感じる。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
オペラの音楽表現を味わおう
1
歌劇「アイーダ」
(第2幕第2場)を鑑
・
「アイーダ」全体の流れと第2
・熱心に曲を視聴している。
賞し,あらすじをとらえる。
幕第2場のストーリーを明確に
・
「アイーダ」全体の流れと第
区別してとらえるように指示す
2幕第2場のストーリーを明
る。
確に区別できる。
・登場人物の関係
など
構成している音楽的要素について理解
1
感鑑:第2幕第2場を構成してい
・歌劇を構成する音楽的な要素
・演奏形態(合唱,独唱,重唱)
・歌舞伎の構成や音楽的要素と
る音楽的な要素について分析的に
について正確にとらえ,場面の
など歌劇を構成する音楽的な
比較しながらまとめるととらえ
とらえている。
(学習プリント分
転換点とのつながりがわかる。 要素を指摘することができる。
やすい。
析,感想分析)★
し,それぞれの表現の違いを感じ取る。
・独唱(アリア,レシタチーボ)
・重唱 ・合唱 ・管弦楽 など
★:Cの状況の生徒への手だて
LDを視聴し,演奏形態の違いを認識できるようにする。
1
興味・関心に応じてアイーダの主要部
分を表現する。
・
「凱旋行進曲」のリコーダーアンサン
・リコーダーアンサンブルでは
☆:Bの生徒をAにひきあげる手だて
ブル
運指が難しくならないように伴
演出の違いを比較できるように自由に視聴できるようにす
・
「勝利に輝く」の合唱
奏にMIDI を活用する。
る。その際,注目する点は,歌,バレエ,舞台演出等から
・独唱部を希望する生徒がいた
自分で決めることができるよう提示する。
ら挑戦させてもよい。
演出の違う歌劇「アイーダ」を視聴し,
1
関感:総合芸術のおもしろさを感 ・楽しそうにLDを視聴してい
・総合芸術のよさ,おもしろさ
・総合芸術のよさ,おもしろさ
表現の多様性を感じ取る。
・興味・関心を持たせるために
じ取っている。
(感想分析,様相チ
る。
について自分のことばでわか
について記述することができ
・第2幕第2場冒頭部
それぞれを視聴させ,オペラの
ェック)☆
・音楽に対する自分の見方が広
りやすく記述することができ
る。
・ラダメスの登場部
演出家により舞台設定が異なっ
など
がったという記述がある。
る。
ていたり登場人物の配置が異な
・演出の違いを通して演出家の
・演出の違いを比較し,説明す
っているなどのおもしろさ,楽
意図をとらえ説明する。
る。
しさに気づかせる。
題材 「世界の音楽」 第3学年(1時間∼2時間)
目標 ○世界の諸民族の音楽のいろいろな発声に親しむ。
○文化が違っても共通した感性が生まれることを感じる。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
世界の音楽を楽しもう
∼声の魅力∼
★:Cの状況の生徒への手だて
簡単に模倣してみることで興味を持つ。
1
世界の諸民族の音楽の中から代表的な
・伝統的な世界の諸民族の声楽
関感:多様な世界の諸民族の音楽
声楽曲を聴き,どこの国の音楽かを考
曲に親しみそれぞれのよさをあ
のおもしろさを感じ取る。
(発言チ
る。
おもしろさを感じ,そのよさに
おもしろさを感じ取り,それぞ
える。
げるようにする。
ェック,感想分析)★
・伝統的な声楽曲に興味を示す
気づく。
れの声に興味をもっている。
感:各国の声楽曲の表現の特徴を
記述や発言がある。
・各国の声楽曲の表現の特徴 ・各国の声楽曲の表現の特徴を
・ゴスペル
・パンソリ
・熱心にVTRを視聴してい ・多様な世界の諸民族の音楽の ・多様な世界の諸民族の音楽の
・グリオの音楽
感じ取る。
(学習プリント分析,感
を,発声法,旋律性,伴奏楽器
・ブルガリアの女声合唱
想分析)
など音楽的要素から分析でき
・ヨーデル
・ホーミー
感じ取っている。
る。
★:Bの生徒をAにひきあげる手だて
表現の特徴と構成要素のつながりについて記述するように
声の音色や装飾的な歌い方に気をつけ
て聴き比べ,表現の特徴を感じ取る。
・発声の違い
・響きの違い
指示する
・感想を話し合わせることによ
鑑:それぞれの音楽の発声や旋律 ・発声方法が異なっても感性の ・それぞれの音楽の発声や旋律 ・それぞれの音楽の発声や旋律
り,相違点だけでなく共通点を
の特徴を聴き取る。
(学習プリント
部分で共通のものがあること
の特徴を感じ取り,日頃の自分
が日頃の自分たちが歌ってい
見つけ,それぞれの音楽の特徴
分析,感想分析)※☆
に気づく。
たちが歌っている音楽との相
る音楽と異なっていることに
違点や共通点に気づく。
気づく。
に気づかせる。
☆:Bの生徒をAにひきあげる手だて
異なっている点ばかりでなく似ている点は何かを考えるこ
とに気づかせる。
※:Cの状況の生徒への手だて
1
発声法に着目し,自分たちが歌っている音楽との違いを考
いろいろな歌や発声などに挑戦してみ
える。
る。
・ゴスペル
・ホーミー
・ヨーデル
・参考になる Web ページを示し
関表:それぞれの声楽曲の表現の ・それぞれの声楽曲の表現の特 ・それぞれの音楽の発声や旋律 ・それぞれの音楽の発声の特徴
たり,書籍やCDなどを準備し
特徴に対する興味を深める。
(学習
徴をとらえ表現しようと努力
の特徴を感じ取って演奏を工
たりして主体的な学習を促す。
プリント分析,感想分析)
している。
夫している。
を感じ取って演奏している。
題材 「新しい出会いをイメージして歌おう」 第1学年(3時間∼4時間)
目標 ○新しい友と歌う楽しさを味わう。
○速度・強弱・奏法上の記号を理解するとともに,歌詞や曲の気分を感じ取り,イメージに合わせて歌い方を工夫する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
関:楽曲に親しみ,進んで表現活
動を楽しもうとしている。
(様相チ
ェック,プリント分析)
・積極的に朗読をしている。
・積極的に詩に対する自分のイ
メージを述べている。
・早く歌詞を覚え,早く歌える
ようになりたいと意欲的に練習
している。
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
感表:歌詞のイメージを自分のこ
とばや絵で表現している。
(表現内
容分析,発言チェック)
・歌詞のイメージを相手にわか
りやすく,ことばや絵で豊かに
表現している。
・歌詞のイメージを自分のこと
ばや絵で表現している。
表:発音や発声に気をつけて表現
する。
(表現内容チェック)★
・正しい発音や発声で正確に母
音唱や歌詞唱をする。
・正しい発音で発声に気を配り
ながら表現する。
新しい出会いをイメージし
て歌おう
1
「今ここに」
「校歌」を斉唱する。
・ 歌詞の朗読
・ 範唱の鑑賞
・ 歌詞や曲の気分をイメージした
絵などの制作
・ 歌詞の内容理解
・ 音程の把握
・ 斉唱
・オリエンテーションも含めた内容
で構想し,新しい出会いの喜びを実
感させるために出身小学校別にそ
れぞれの校歌の披露をする。
・詩のイメージをとらえさせるため
にイメージ画を描かせてもよい。
1
伴奏に合わせて,主旋律の母音唱や明
確な発音で歌詞唱をする。
・ 明確な発音による朗読
・母音唱により音程やメロディーを
正確にとらえることができるよう
にする。
★:Bの生徒をAにひきあげる手だて
フレーズや子音の発音について助言する。
速度・強弱・歌い方の記号を表現に生
かす。
・ 記号の読み方と意味
・ 音符・休符の名前と長さの割合
1∼
2
歌詞のイメージを生かすように工夫
して歌う。
・ 伴奏に合わせた表現
・ 歯切れのよいリズムの練習
・自分が表現したいことを表すため
に,メロディーに諸記号を書き入れ
ることのできるプリントを準備す
る。
感表:奏法上の記号の意味を理解
し,作曲者のイメージを生かして
歌うことを心がけている。
(発言チ
ェック,表現内容チェック,学習
プリントチェック)☆
・プリントに書き入れた諸記号 ・奏法上の記号の意味を理解し,
には,その記号にした意図,理 作曲者のイメージを生かして歌
由がしっかりと見られ,作曲者 うことを努力している。
のイメージを生かす歌い方をし
ている。
☆:Cの状況の生徒への手だて
歌詞を繰り返し読み,リズムに乗って歌う工夫について考え
るように指示する。
・お互いに表現方法を出し合う場の
設定をする。
感表:歌詞のイメージに沿って表
現する。
(表現内容チェック)
・自己のイメージや感情をしっ
かり持ち,それを生き生きとし
た姿で表現に生かしている。
・自分なりの歌詞のイメージは
持っている。
題材 「曲の特徴を感じながら歌おう」 第1学年(3時間)
目標 ○楽曲を特徴付けている音楽の諸要素に関心を持ち,積極的に表現を工夫する。
○長調と短調の響きの違いをとらえ,言葉がもつリズムや抑揚に気をつけながら歌う。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
曲の特徴を感じながら歌お
う
2
「だれかが口笛吹いた」
「スコットラ
ンドのつりがね草」の範唱を鑑賞す
る。
・ 二拍子,三拍子,四拍子の拍子感
の感得
「だれかが口笛吹いた」
「スコットラ
ンドのつりがね草」を斉唱する。
・ 範唱の鑑賞
・ 主旋律のリズム打ち
・ 移動ド唱法による階名唱
・ 歌詞唱
1
楽曲を特徴づけている諸要素の働き
を理解し,斉唱する。
・ 長調,短調の理解
音階
主要三和音
・ コードネームの理解
・ 諸要素を生かした斉唱
・二拍子,三拍子,四拍子の指揮
法にも触れる。
・拍子には,強拍部分と弱拍部分
があることを説明する。
関鑑:曲を特徴付けている要素に ・範唱を集中して聴いている。 ・曲を特徴付けている諸要素を ・曲を特徴付けている諸要素に
関心を持ち,聴き取っている。
(様 ・曲を特徴づける諸要素につい 聴き取り,その部分,内容を的 気づいている。
確に発言できる。
て意欲的に発言している。
相チェック,発言チェック)
・移動ドの説明においては,リコ
ーダー学習時における固定ドと混
乱させないよう,音程の相対的な
把握となるよう配慮する。
感表:拍子感の違いを感じ取り,
正確にリズム打ちをする。
(様相チ
ェック)
表:移動ド唱法を理解し,階名唱
をする。
(発言チェック,様相チェ
ック)
・強拍,弱拍を理解し,それを
生かした正確なリズム打ちを
する。
・移動ドについて十分理解し,
属音や導音などを意識して表
現している。
表感:長調と短調の違いを理解し,
表現を工夫する。
(表現内容チェッ
ク)
・長音階と短音階の仕組みを理 ・長音階と短音階の仕組みを理
解し,音階から受ける感じを表 解し,長音階と短音階の響きの
違いを指摘できるが,表現に生
現に生かしている。
かすところまでは至っていな
い。
・曲の構成要素である旋律,リ ・和声の変化を感じ取り,表現
ズム,和声を感じ取り,表現に に生かしている。
生かしている。
・理論的な説明が多すぎないよう
に注意する。
・説明プリントを用意する。
感表:曲想の変化を感じ取り,表
現に生かす。
(表現内容チェック)
☆
・拍子感の違いを感じ取り,正
確にリズム打ちをする。
・長調や短調の調性感をとらえ
ることができる。
☆:Cの状況の生徒への手だて
A∼Cの部分の曲想がどのように変化するか発問する。
題材 「混声合唱を楽しもう」 第1学年(6時間)
目標 ○発声や発音を工夫し,混声合唱の豊かな響きを楽しむ。
配時
活
動
内
容
○歌詞の内容を味わい,曲の構成にふさわしい表現を工夫し,合唱する。
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
混声合唱を楽しもう
∼合唱コンクール∼
2
合唱コンクール課題曲,自由曲を合唱
する。
・前年度合唱コンクールのVTR視聴
・範唱の鑑賞
・歌詞の内容理解
・パート練習
・音程の把握
・合唱
・変声期についての不安を感じさ
せないように,また声帯に,負担
をかけないようにアドバイスす
る。
・詩のイメージをとらえさせるた
めにイメージ画を描かせてもよ
い。
・合唱をつくりあげていくには協
調性が必要であることを折に触れ
伝える。
形成的評価
2
課題曲・自由曲の表現の工夫をする。
・発声の工夫
・強弱の工夫
・パート間のバランスの工夫
・ブレスの位置
・音楽の解釈
・歌い手にわかりやすい指揮
合唱の録音を聴いて,改善点を考え,
さらに表現の工夫をする。
・部分的に区切った視聴
1
合唱コンクールで合唱する。
1
合唱コンクールのVTRを視聴し,自
己評価をする。
・お互いに表現方法を出し合う場
の設定をする。
・拍子感を感じ取り,歌い手にわ
かりやすい指揮をするよう指示す
る。
・音だけでなく,姿勢等も改善し
ていくため,ビデオも使用する。
・クラスメートと心をひとつにし,
楽しんで歌うことを大切にするよ
う伝える。
・自己評価表,感想プリントを用
意する。
・自己評価に当たっては,合唱の
まとめ方,次回への課題等につい
て記述させる。
関:混声合唱に積極的に取り組も ・男声,女声の音の重なりあい
に喜びを感じている。
うとしている。(様相チェック)
感:歌詞のイメージに関する自分 ・積極的に詩のイメージに関す ・イメージを相手がとらえやす ・イメージを自分のことばで述
いようにできるだけわかりや べている。
の気持ちを述べることができる。 る自分の気持ちを述べる。
・イメージをとらえようと努力 すく述べている。
(発言チェック)☆
し,意欲的に自分のことばや絵
で表現している。
形成的評価
①音程やリズムを正しく把握でき
☆:Cの状況の生徒への手だて
ているか。
歌詞を繰り返し読むよう助言し,イメージを自分のことばで
(表現内容チェック,自己評価表分
発言できるよう促す。
析
②歌詞の内容を把握できている
か。(表現内容チェック)
③積極的に活動することができる
か。(様相チェック)
・歌詞の内容や気持ちを生かし ・歌詞の内容や気持ちを生かせ
表:歌詞の内容や気持ちを生かし
て,フレーズによる曲のまとま る表現方法を探っている。
て,表現しようとしている。
(発言
りを感じて表現している。
チェック)
・発音や発声に気を配りながら ・発音や発声に気をつけて表現
表:発音や発声に気をつけて表現
響きのある声で歌詞唱をして している。
している。
(表現内容チェック)
いる。
・主旋律を意識し音量のバラン ・パート間のバランスを考えて
表:パート間のバランスを考えて
スを考え,歌唱を工夫してい 歌唱を工夫している。
歌唱を工夫している。
(表現内容チ
る。
ェック)
・演奏が不十分な部分の原因を ・演奏が不十分な部分を指摘で
鑑:録音を聴いて改善点を指摘す
きる。
指摘できる。
ることができる。(発言チェック)
題材 「情景を想像して表現を工夫しよう」 第1学年(3∼5時間)
目標 ○管弦楽の楽器に関心を持つ。
○歌詞や曲が表現している情景を思い浮かべて表現・鑑賞する。
○諸記号の働きによる曲想の変化を感じ取って表現の工夫をする。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
情景を想像して表現を工夫
しよう
2
「モルダウ」を鑑賞し,情景の変化し
ている様子を想像する。
・
情景を想像
・
管弦楽に使われている楽器及び
その音色の把握
・鑑賞にあたっては,生徒の感受
に基づく発言を大切にする。
・モルダウ川の源流から下流まで
の様子を描写した音楽であること
を知らせてから曲を提示する。
関鑑:管弦楽曲に関心を持ち,楽 ・楽器の音色や響きなど管弦楽 ・川の様子の変化を想像豊かに
曲が表現している内容を積極的に 曲に興味を示している発言が 聴き取り,曲の部分と場面を結
びつける。
聴き取ろうとする。(様相チェッ ある。
ク,発言チェック,学習プリント ・集中して鑑賞している。
チェック)
・管弦楽器の写真,録音した音を
用意し自由に聴くことができるよ
うにしておく。
鑑感:管弦楽の楽器の音色やその
組み合わせによる響きの効果を感
じ取っている。
(様相チェック,発
言チェック)☆
1∼
2
「モルダウ」を合唱する。
・ 音程の把握
・ 歌詞唱
・歌唱する時のよい姿勢,よい口
形を習慣付ける。
「モルダウ」を合唱する。
・ 明瞭な発音,発声方法の工夫
・息の入れ方の指示を行い,腹式
呼吸の徹底を図る。
・場面の変化を感じ取り,急流
の部分を聴き取る。
・四つの標題部分が,それぞれ ・冒頭のフルートとクラリネッ ・急流をティンパニーと金管楽
の内容を表現するために,どん トの組み合わせによる効果,狩 器で表現している効果を感じ
な楽器でどのような表現をし のホルンの効果を感じ取って 取っている。
・
ているか聴き取り,発言してい いる。
る。
☆:Cの状況の生徒への手だて
場面ごとに繰り返しLD等で視聴させ,楽器の音色について
とらえさせる。
表:発音や発声に気をつけて表現
する。
(表現内容チェック)
・腹式呼吸をマスターし,明確 ・歌詞にふさわしい発音や曲想
な発音や適切な発声で表現し にあった発声に気をつけて表
現している。
ている。
表:歌詞のイメージを歌にこめて
表現している。
(表現内容チェッ
ク,様相チェック)★
・積極的に自分の意見を出し, ・原曲のイメージを歌にこめて
イメージにあった歌い方を工 表現している。
夫している。
1
表現を工夫して「モルダウ」を合唱す
る。
・ 情景を想像し歌詞の特徴を生か
した合唱
・ フレーズのまとまりや盛り上がり
を生かした合唱
★:Bの生徒をAにひきあげる手だて
イメージしたものが表現されているか相互評価を行う。
・お互いに表現方法を出し合う場
の設定をする。
表感:曲の流れを意識した表現を
工夫する。
(発言チェック,表現内
容チェック)
・曲の山を感じ取り,強弱,速
さなどの諸記号を曲の流れの
中で適切に使って表現に生か
している。
・曲の山を感じ取り,強弱,速
さなどの諸記号を意識して表
現に生かしている。
題材 「イメージをふくらませて歌おう」 第2学年(3時間∼4時間)
目標 ○歌詞の内容を味わい,意欲的にイメージをふくらませようとする。
○表情豊かな歌い方を工夫し,諸記号を生かす。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
イメージをふくらませて歌
おう
2
「心と心で」
「ぜんぶ空」を合唱する。
・ 歌詞の朗読
・ 歌詞の内容理解
・ 範唱の鑑賞
・ イメージ画制作
・ イメージや曲想についての意見
交換
・ 音程の把握
・ 合唱
・イメージは文章や絵など生徒
個々の特性を生かして表現できる
ようにする。
・詩を読み,詩のリズムを感じ取
らせるために,フレーズを記入す
ることのできる拡大した歌詞譜,
範唱CDを提示する。
・歌詞のイメージをグループで話
し合い意見交換する場を設定す
る。
1∼
斉唱部と合唱部を生かした合唱をす
る。
・ 斉唱部の透明感
・ 合唱部の重厚感
・ 声部の役割と全体の響き
・斉唱部や合唱部それぞれのよさ
に着目した発言を大切に取り上げ
る。
2
関表:意欲的にイメージをふくら ・歌うことを楽しんでいる。 ・自分なりにふくらませた歌詞 ・歌詞のイメージをもって歌っ
ている。
ませて表現する。
(表現内容チェッ ・イメージをとらえようと努力 のイメージして歌う。
し,意欲的に自分のことばや絵
ク,発言チェック)☆
で表現している。
・イメージについて積極的に意
☆:Cの状況の生徒への手だて
見交換している。
歌詞の中で一番印象的な部分を述べさせ,その部分にしぼっ
てイメージをわかせるよう助言する。
表:斉唱部と合唱部の音色の特徴
を感じ取って表現する。
(表現内容
チェック)★
・斉唱部の声の透明感と合唱部 ・斉唱部と合唱部の音色の違い
の重厚感を感じ取り,合唱部で を感じ取り表現する。
の自分のパートの役割を意識
して,表現する。
★:Bの生徒をAにひきあげる手だて
パート間の音量バランスをいろいろ変化させて,音色の違い
が出ることを示す。
イメージを生かして,発声を工夫して
合唱する。
・ 響きのある発声
・ 曲の山(強弱の工夫)
・姿勢,発声などに注意しながら, 感表:曲のイメージを求めて,響
のびやかに歌うように指示する。 く声で口形や姿勢を工夫し,発声
(表現内
・いろいろな発声法を提示する。 法に気をつけて表現する。
容チェック)
・ことばにあった口形やよい姿 ・ことばにあった口形やよい姿
勢を工夫し,頭声的発声をマス 勢を工夫し,響く声を求めてい
る。
ターしている。
題材 「詩と旋律の流れ」 第2学年(3時間)
目標 ○詩の内容と旋律の流れを感じ取って,詩情豊かに歌おうとする。
配時
活
動
内
容
留 意 点
○旋律の反復や対照,記号の意味を理解して表現する。
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
詩と旋律の流れを感じて歌
おう
1
「夏の思い出」
「浜辺の歌」の歌詞か
ら情景を想像し,曲想表現を工夫す
る。
・ 範唱の鑑賞
・ 歌詞の朗読
・ 歌詞の内容理解
・ 音程の把握
・ 歌唱
1
曲の旋律進行,構成及び言葉とリズム
の関係や拍子に対する理解を深める。
・ 旋律の進行を把握
・ 旋律の反復や変化を把握
・ フレーズのまとまりを把握
・ リズムの特徴と言葉とのかかわ
りの理解
・ 複合拍子,二部形式の理解
・ 曲にふさわしい速度,速度の変
化,強弱の変化の工夫
・ 歌唱
・詩の舞台である尾瀬の風景さら
に水芭蕉,石楠花などについてと
らえさせるために,ビデオ,ポス
ター,絵はがき等の視覚資料を用
意する。
・音程把握においては,臨時記号
のついた音,跳躍音に十分気をつ
けるように指示する。不十分な場
合はハンドサインを活用して指導
する。
・旋律の進行,反復,変化,フレ
ーズのまとまりの理解を確認する
学習カードを準備する。
・説明の時間が長すぎないように
注意する。
・理解させたらすぐ表現してみる
ことを繰り返しおこなう。
・お互いに表現方法を出し合う場
の設定をする。
1
歌詞の内容を理解して,自然の大切さ
について考え,まとめの斉唱をする。
・ 尾瀬の自然保護
関感:旋律の流れを積極的に聴き
取り,詩情豊かに表現の工夫をす
る。
(様相チェック,
発言チェック)
☆
・作詞者江間章子がこの曲を作詞
した背景について述べる。
・
「夏の思い出」と関連させて,尾
瀬の自然保護等,環境について触
れる。
・積極的に範唱を聴き,詩情を ・自己のイメージや感情の根拠
を歌詞や曲の仕組みの中に見
とらえようとしている。
・詩について思ったことを自分 つけ,詩情豊かに表現の工夫を
する。
で積極的に探っている。
・自己のイメージを生かして,
詩情豊かに表現の工夫をする。
☆:Cの状況の生徒への手だて
イメージがわくように,繰り返し歌詞を読むように助言
する。
表:曲の流れを大切にして表現す
る。(表現内容チェック,学習プリ
ント記入チェック)
表感:歌唱を通してリズムの特徴,
拍子の特徴,形式の特徴を感じ取
り,表現する。
(学習プリント記入
チェック,表現内容チェック)
・旋律線のもつ方向性,音のつ ・旋律の流れを大切にして表現
ながり方,フレーズの作り方を している。
意識して表現している。
・拍子のまとまり感,リズムパ ・拍子のまとまり感,リズムパ
ターンの反復や変化,形式など ターンの反復や変化に気づい
の表現効果を生かして表現し て表現を工夫している。
ている。
表:曲想と諸記号の関係をとらえ
て,表現に生かしている。(表現内
容チェック)
・諸記号の意味を理解し,工夫
して表現に生かしている。
・諸記号の意味を理解し,表現
に生かしている。
題材 「声部の役割」 第2学年(2∼3時間)
目標 ○二つの声部の掛け合いのおもしろさを感じ取りながら歌おうとする。
配時
活
動
内
容
留 意 点
○和声的・多声的な声部の重なり方を聴き分け,表現を工夫する。
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
声部の役割を感じて歌おう
1∼
2
「踊る少女」の特徴をつかんで歌う。
・ 範唱の鑑賞
・ 各声部の旋律のリズム把握
・ パート練習で音程の把握
・ 二部合唱
・ 同じ旋律のかけあい
「踊る少女」
「ふるさと」を聴き比べ
る。
・ 響きの違いを感受
・ 多声音楽のよさを歌ってみて感
じ取る
・旋律の絡み合いの様子を感じ取
らせるため,各声部のリズム打ち
を行う。
・パート練習では,一人一人が自
信を持って歌えるまで十分練習さ
せる。
・各声部の旋律のかかわりを聴 ・多声音楽のかけあいの面白さ
関鑑:多声音楽のかけあいの面白 ・集中して鑑賞している。
・多声音楽に興味をもって鑑賞 き取り,多声的な部分を指摘 を楽しんでいる。
さを味わう。
し,その効果を味わっている。
(発言チェック,様相チェック) している。
・多声音楽と和声音楽の説明にあ
たっては,理論的にならないよう
に配慮する。
感:多声音楽と和声音楽の違いを
味わい,それぞれのよさに気づく。
(感想分析)☆
・
「ふるさと」については和声的な
伴奏がつけられているものを提示
し,比較できるようにする。
・多声音楽の複数の旋律の巧み ・多声音楽と和声音楽の感じの
なかかわりあい,和声音楽の和 違いに気づく。
音の豊かな響きを感じ取る。
☆:Cの状況の生徒への手だて
声部の重なり方の違いを図示し,声部の特徴をつかむ
ことができるようにする。
1
「踊る少女」を二部合唱する。
・ 主旋律と対旋律の役割の理解
・ 声量やバランスの工夫
・他の声部の旋律を聴き取りなが
ら,多声的な曲の特徴を生かした
合唱ができるようになるまで高め
る。
表:声部の掛け合いの特徴を生か
して表現する。
(表現内容チェッ
ク)
表:声量を考え,他の声部とバラ
ンスのとれた歌唱表現をする。(表
現内容チェック)★
・曲の前半はほぼ同じリズムパ
ターンが両声部とも2回繰り
返されていることに気づき,声
部のかけあいの特徴を生かし
て表現する。
・曲の前半のかけあい部分と,
主旋律と対旋律の出てくる後
半部分の対比を考え,バランス
のとれた歌唱表現をする。
・曲の前半は声部が掛け合って
いることに気づき,その特徴を
生かして表現する。
・声量を考え,他の声部とバラ
ンスをとりながら歌唱表現を
する。
★:Bの生徒をAにひきあげる手だて
多声音楽と和声音楽の声部のバランスの取り方の歌唱
例を提示する。
題材 「混声合唱の響きを味わおう」 第2学年(4∼5時間)
目標 ○合唱する喜び,充実感を感じている。
配時
活
動
内
○声部の役割を生かし,和声の響きの変化を味わって合唱する。
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
混声合唱の響きを味わおう
∼合唱コンクール∼
1
合唱コンクール課題曲・自由曲を合唱
する。
・前年度合唱コンクールのVTR視聴
・範唱の鑑賞
・パート練習
・歌詞の内容理解 ・カデンツの練習
・音程の把握
・合唱
・詩のイメージをとらえさせるた
めにイメージ画を描かせてもよ
い。
・合唱には協調性が必要であるこ
とを折に触れ伝える。
・学級活動の延長ではなく,教科
としてのねらいを意識して指導を
心がける。
関:合唱する喜びを味わっている。 ・積極的に合唱に取り組んでい
(様相チェック,発言チェック) る。
・合唱を楽しんでいる。
感鑑:混声三部合唱の和声的な響
きを感じ取ることができている。
(自己評価分析,発言チェック)
・変声期後に男声が安定し,響 ・混声三部合唱の安定感を感じ
きにやわらかさが出てきたこ 取ることがきる。
とに気づいている。
表:歌詞の気持ちを曲想に反映さ
せて合唱している。
(表現内容チェ
ック)
・歌詞の気持ちを生かし合唱し ・歌詞の気持ちを考え個人やパ
て,曲想を的確に表現できる。 ートでは曲想を的確に表現で
きる。
形成的評価
1
∼2
課題曲・自由曲の表現の工夫をする。
・パート間のバランスの工夫
・合唱と伴奏のバランスの工夫
・フレーズ感
・拍子感
・各声部の役割を考えた歌い方の工夫
・指揮者と伴奏者が一体化した合唱
・お互いに表現方法を出し合う場
の設定をする。
・指揮者は,全体のまとめ役であ
ることを意識付け,歌い手は指揮
を見て合唱することの習慣化を図
る。
合唱の録音を聴いて,改善点を考え
さらに表現の工夫をする。
・改善点の反復練習
・音だけでなく,姿勢等も改善し
ていくため,ビデオの使用も効果
的と思われる。
1
合唱コンクールで合唱する。
・自己評価表,感想プリントを用
1
合唱コンクールのVTRを視聴し,自
己反省をする。
意する。
形成的評価
①音程やリズムを正しく把握でき
ているか。 (表現内容チェッ
ク)
②和声的な響きを感じ取って表現
できるか。
(プリント分
析)
・和声的な部分で他のパートの ・和声的な部分で他のパートと
響きを聴きながら合唱してい のバランスに気をつけて合唱
している。
る。
・曲の分析をおこない,曲にふ ・強弱を感じ取れる指揮をして
いる。
さわしい指揮をしている。
感表:和声の響きを味わい,声部
のバランスを考えて合唱する。
(表現内容チェック,分析)
表:指揮者は曲の特徴をとらえ,
曲にふさわしい指揮をする。
(活動状況チェック)☆
関:評価活動を生かして学習を進
めている。
(プリント分析,活動状
況チェック)
表:改善点に気をつけて合唱する
ことができる。
(発言チェック,自
己評価表チェック,表現内容分析)
関:合唱後の充実感,集団で合唱
することの喜びを自分なりに味わ
っている。(感想分析,様相チェッ
ク)
☆:Cの状況の生徒への手だて
・評価活動をていねいにおこな
っている。
・積極的に改善の方法を見つけ
ている。
・感想の中に協力して合唱をつ
くりあげる楽しさについての
記述がある。
・満足できる出来上がりに充実
感を味わっている。
指揮の基本形を提示する。
・合唱をしながら課題を見つ
け,修正して表現している。
・合唱をしながら課題に気づ
き,修正して表現しようとす
る。
題材 「情景を思い浮かべて」 第3学年(2時間)
目標 ○歌詞の情景や曲想を味わい,表情豊かに歌おうとする。
○歌詞とフレーズの関係を考え,まとまりある表現を工夫する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
情景を思い浮かべて歌おう
1
1
「花」を合唱する。
・ 歌詞の音読
・ 歌詞の内容理解
・ 範唱の鑑賞
・ パート練習
・ 合唱
・文語調の歌詞を口語訳にして,
内容の理解を図る。
全体のまとまりを考えながら「花」を
・上下パートの組み合わせを変え
て,いろいろなパートを経験でき
るようにする。
合唱する。
・
情景と曲想
・
フレーズ感
・
言葉のもつ美しい響きや抑揚
・歌唱を中心に据えた年間計画に
おいて,学年当初のグループづく
りは欠かせない。パートリーダー
の決定もおこなう。
関:楽曲に親しみ,進んで表現活 ・積極的に歌唱に取り組んでい
動を楽しもうとしている。
(様相チ る。
・歌唱を楽しんでいる。
ェック)
・リーダーを中心に意欲的に練
習している。
感表:歌詞とフレーズの関係を把
握し,表現する。
(発言チェック,
表現内容チェック)☆
表:歌詞の内容や曲想を感じ取り,
表情豊かに表現する。(表現内容チ
ェック)★
・1フレーズに七五調の歌詞が ・4小節の歌詞が1フレーズに
ついていることに気づき,フレ なっていることに気づき,歌詞
ーズのまとまりと語感の美し とフレーズの関係を把握し,表
現する。
さを感じて表現する。
☆:Cの状況の生徒への手だて
フレーズを楽譜に書き込み,それを見て歌うように促
す。
・春の隅田川の情景を思い浮か
べ,その季節感にふさわしい曲
想をつけ,表情豊かに歌う。
・情景を思い浮かべ,表情豊か
に歌う。
★:Bの生徒をAにひきあげる手だて
美しい春の上右傾を表現するためにハーモニーやレガ
ート唱,曲想の工夫などを求めていくよう助言する。
題材 「曲想の変化」 第3学年(2∼4時間)
目標 ○速度,強弱,転調による曲想の変化を理解して表現を工夫して歌おうとする。
○曲の雰囲気や詩情を生かした声の表情を工夫する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
曲想の変化を感じ取ろう
∼ 独唱の楽しみ ∼
2
「帰れソレントへ」
「追憶」を鑑賞し
曲の特徴をとらえる。
・ 転調と曲想の変化
1
1
・転調や曲の構成については,実
際に歌いながらその特徴や機能に
気づかせるようにする。理論的説
明は必要に応じて行う。
「帰れソレントへ」
「追憶」を斉唱す
る。
・ 諸記号の理解
・ 音程の把握
・ イタリア・スペインの民謡と発
声
関鑑:転調について理解し,曲の
気分を感じ取りながら,主体的に
表現しようとしている。
(発言分
析,様相チェック)
・集中して曲を鑑賞している。 ・転調について理解し,長調, ・転調した部分を指摘でき,表
・転調した部分で歌い方を変 短調の感じの違いを説明し,表 現に生かそうとしている。
現に生かそうとしている。
え,表現を楽しんでいる。
感:歌詞の情景や曲の構成を生か
した表現の工夫をする。
(表現内容
チェック,発言チェック)☆
・自己のイメージや感情にあう ・歌詞の情景や曲の構成を生か
した表現の工夫をしている。
歌唱表現を工夫している。
☆:Cの状況の生徒への手だて
長調の部分,短調の部分をそれぞれどのような気分
で表現したいかと発問することで,曲の構成を表現
に生かすことができるようにする。
スペイン民謡,イタリア民謡,日本歌
曲をVTRやCDなどで視聴する。
・
曲の雰囲気を感じ取る。
・VTRを活用し,歌を体全体で
表現していることをとらえさせ
る。特に,カンツォーネの歌手の
演奏は効果があるので取り入れ
る。
関:VTRやCDを集中して鑑賞 ・集中してVTRやCDを鑑賞
している。
する。(様相チェック)
・カンツォーネの雰囲気に浸っ
て聴いている。
フレージング,強弱,伴奏の表情を感
じ取って斉唱する。
・ 表情をつけた効果的な伴奏
・希望を募り,独唱させる。
・独唱にあたっては,声域にあっ
た音域で歌いやすいピアノ伴奏に
移調する。
感表:曲の雰囲気や詩情を感じ取
り,それを生かした声の表情を工
夫して表現する。
(表現内容チェッ
ク)
・曲の雰囲気や詩情を感じ取
り,それを生かした声の表情で
歌う。
・曲の雰囲気や詩情を感じ取
り,声の表情をいろいろと変え
て試している。
題材 「音色と響き」 第3学年(2∼3時間)
目標 ○それぞれの声部にふさわしい声の音色を工夫して歌おうとする。
○和声の響きを感じ取って歌う。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
音色と響きを感じ取ろう
1
・響きの出るよい口形をし,声を
遠くへとどかせるような気持ちで
母音唱を行う。
・鼻濁音に気をつけて歌うよう指
示する。
・パート練習を充実させ,どのパ
ートも歌唱できるようにしてお
く。
関感:発声の違いで曲の表情が変 ・範唱を集中して聴いている。 ・発声の違いで曲の表情が変化 ・発声の違いで曲の表情が変化
・発声の違いで曲の表情が変化 することに気づき,いろんな発 することに気づいている。
化することに気づく。
(様相チェック,活動状況チェッ することに驚きを示している。 声を試し工夫している。
ク)
☆
☆:Cの状況の生徒への手だて,
いろいろな発声法を提示する。
・音量のバランスを考えて,合唱
するように促す。
表:他声部を意識しながら合唱す
る。
(表現内容チェック)
・主旋律がどのパートかを把握 ・他声部を意識しながら合唱し
し,自分のパートの役割を意識 ている。
して合唱している。
音色の響きの違いを感じて,日本歌曲
を合唱する。
・ ソーラン節
・ふるさと
・声部の役割に気づかせるため,
声部を変えた練習を繰り返し行
う。
表:他の声部につられずにどの声
部も正確に合唱する。
(表現内容チェック)
・他の声部につられずに,声部 ・他の声部につられずにどの声
間の調和を図りながら正確に 部も正確に合唱する。
合唱する。
「ライオンは寝ている」を合唱する。
・
手拍子の導入
・軽快なリズムにのった手拍子を 表:リズムにのって合唱表現,身
(様相チェック,
つけ,楽しい合唱として仕上げる。 体表現ができる。
表現内容チェック)
「ライオンは寝ている」を合唱する。
・ 範唱の鑑賞
・ パート練習と合唱
・ 各声部にふさわしい音色の工夫
主旋律と他の声部のかかわりを生か
して合唱する。
・
・
1∼
2
声部の組み合わせと全体の響き
音色の変化と全体の響き
・正確なリズムにのって合唱表
現,身体表現ができる。
・リズムにのって合唱表現,身
体表現をする。
題材 「混声合唱で充実した響きをつくろう」 第3学年(4∼6時間)
目標 ○美しく充実した響きの合唱をつくりあげようとしている。
配時
活
動
内
容
○歌詞の内容,曲想を生かしてバランスのとれた,豊かな合唱表現を工夫する。
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
関:合唱の楽しさを味わい,率先
して歌っている。
(練習状況分析,
チェック)
感鑑:混声四部合唱の和声的な響
きを感じ取ることができている。
(自己評価表分析,発言チェック)
・積極的に楽しんで歌ってい
る。
・めざす演奏を求めて,自主的
にパート練習をしている。
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
混声合唱で充実した響きを
つくろう∼合唱コンクール
1∼
2
合唱コンクール課題曲・自由曲を合唱
する。
・歌詞の内容理解 ・カデンツの練習
・音程の把握
・パート練習
・主旋律と他の旋律のかかわりを生か
した合唱表現
・自由曲の選曲にあたっては,ね
らいに迫ることができる楽曲を選
択できるように工夫する。
・カデンツの練習を充実させ,混
声四部合唱の響きに慣れさせる。
・パート練習ではリーダー育成を
図る。
形成的評価
1∼
2
課題曲・自由曲の表現の工夫をする。
・発声の工夫
・ ハーモニー感
・合唱と伴奏のバランスの工夫
・指揮者の役割
・ビデオによる,自分の表現を振り
返り
指揮者と伴奏者と歌い手が一体化し
て合唱をつくりあげる。
・曲の雰囲気にあった
・指揮指揮者の表現を生かす伴奏
1
・お互いに表現方法を出し合う場
の設定をする。
・音だけでなく,姿勢等も改善し
ていくため,ビデオを活用する。
・指揮者,伴奏者を事前に指導し
ておき,曲の雰囲気に合った指揮,
指揮に合わせた伴奏,指揮に合わ
せた合唱指導を行う。
合唱コンクールで合唱する。
1
合唱コンクールのVTRを視聴し,自
己反省をする。
・自己評価表,感想プリントを用
意する。
形成的評価
①音程やリズムを正しく把握でき
ているか。(表現内容チェック,
自己評価表分析)
②パートにふさわしい声質で表現
できるか。(表現内容チェック)
③さらに合唱の質を高めていく方
法をとらえているか。(表現内容
チェック,自己評価表分析)
関:学級独自の表現となるように
努力している。(様相チェック,発
言チェック)
表:混声四部合唱の響きあいを大
切にして合唱することができてい
る。
(表現内容分析)☆
・四声で音の幅が広がり,響き ・混声四部合唱の安定感を感じ
がやわらかくなることに気づ 取っている。
いている。
・積極的に納得いく演奏を目指
して試行錯誤している。
・個性的な表現のためにいろい
ろと表現の工夫をしようとし ・和声的な部分で他のパートと ・和声的な部分で他のパートの
のバランスに気をつけて合唱 響きを聴きながら合唱してい
ている。
る。
している。
☆:Cの状況の生徒への手だて
一つずつの声部を重ねて響きを確かめ,響きの豊かさを
求めるためには他の声部と聴きあうことが大切である
と説明する。
・指揮者,伴奏者と共に,みん ・自分なりにクラスが一つにま
関感:指揮をよく見て,仲間とひ ・集中して指揮を見ている。
とつのものをつくり上げようと表 ・指揮者の表現意図を積極的に なでよりよいものに仕上げよ とまる表現方法を工夫してい
る。
うと表現を工夫している。
とらえようとしている。
現を工夫している。
(様相チェック,感想分析)
・曲想の変化などの表現意図を ・歌い手から目を離さず,歌い
表:歌い手を引き付ける指揮をし
ながら指揮をしている。
・感想の中に最後の合唱コンク 指揮で表すことができる。
ている。
関:合唱後の充実感,集団で合唱 ールを友と協力してつくりあ
することの喜びを味わっている。 げた喜びについての記述があ
る。
(感想分析,様相チェック)
・満足できる出来上がりに充実
感を味わっている
題材 「希望の歌声」 第3学年(3時間)
目標 ○曲の特徴をとらえ,豊かな表現を目指して協力して歌おうとする。
○歌詞の詩情や気持ちを味わい,心をこめて表現する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
希望をもって歌おう
2
「旅立ちの日に」
「卒業の歌」を歌唱
する。
1
・
歌詞のイメージ
・
美しい発声と響き
・3年間の学習経験を想起させ,
自分たちで表現を深めていくよう
促す。
・ 曲の構成把握と強弱・速度
・
合唱
卒業式で歌う「仰げば尊し」
「卒業の
歌」
「君が代」等を練習する。
・ 心をこめた合唱
・3年間の音楽科の学習を振り返
り,仲間と歌う中学校生活しめく
くりの歌を,心をこめて歌えるよ
うにする。
関:歌詞の詩情や気持ちを生かし ・積極的に詩のイメージに関す ・美しい発声と響きのある声を ・歌詞の詩情や気持ちを生かし
て,発音や発声に気をつけて歌
歌唱の中で生かす。
て表現しようとする。
(発言チェッ る自分の気持ちを述べる。
う。
・卒業式の歌唱への意欲を示し
ク)
表:美しい発声と響きのある声で ている。
歌う。
(表現内容チェック)☆
☆:Bの生徒をAにひきあげる手だて
子音の発音や美しく響く発声などのチェックポイント
を示し,それを意識して美しい歌声をめざすようにす
る。
感:曲の構成など特徴を生かした
・曲の山を感じて曲にふさわし ・曲の特徴を生かす表現方法を
表現の工夫をする。
(表現内容分
探って歌唱表現している。
い歌唱表現を工夫している。
析)
感表:周囲の声に調和させて,響
きを感じながら表現の工夫をす
る。(様相チェック)★
・気持ちを表すのに適した速度 ・曲の雰囲気を生かす速度や音
や音量を考え,バランスを確か 量を考え,バランスを確かめな
がら表現している。
めながら表現している。
★:Cの状況の生徒への手だて
卒業式で伝えたい気持ちを確かめ,音楽で伝えるため
にはどのように歌えばよいか考えるように促す。
題材 「リズムリレーをしよう」 第1学年(2時間∼4時間)
目標 ○リズムに関心をもち,自らリズム創作をする楽しさを味わう。
○言葉がもつ自然なリズム・抑揚や,音楽における拍子・リズムのはたらきを感じ取り,簡単な旋律を創作する。
配時
活
動
内
容
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
・基本の拍子にのって即興的に創
作できるように,メトロノームや
リズムボックス等で4拍子を刻む
ようにする。
関:音楽づくりに意欲的に取り組
む。
(様相チェック)
・4拍子を身体で感じながら,
意欲的にリズムパターンをつ
くったり,手拍子リレーをした
りしている。
・自分のつくったリズムパター
ンを友だちに積極的に伝えて
いる。
・早口言葉の文節に気をつけてリ
ズムを工夫するように指示する。
・全員で同じ言葉を言う部分を入
れることで,他のグループが言っ
ている間も4拍子の拍子感を持ち
続けられるように
する。
感表:文節とリズムを結びつけ,
即興的に短いリズムをつくる。
(様
相チェック,演奏チェック)☆
・得意な楽器で旋律作りに挑戦で
きるよう,リコーダーや鍵盤楽器
などを十分に準備する。
・旋律の創作では,終止音によっ
て旋律の雰囲気が変化することに
気づかせるため,短調と長調の旋
律を例示する。
感表:リズムや旋律の動きを感じ
取り,即興的に短い旋律をつくる。
(様相チェック,演奏チェック)
★
留 意 点
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
リズムリレーをしよう
1
1∼
2
4拍や8拍単位の簡単なリズムパタ
ーンをつくり,4拍子の流れにのって
手拍子リレーをする。
早口言葉が2小節におさまるように
各グループでリズムを工夫し,途中に
全員で同じ言葉を言う部分を入れて,
言葉のリズムリレーをする。
合い言葉のアクセントに気をつけて,
CDEGAの5音を使って簡単な旋
律をつけ,合い言葉と早口言葉をリレ
ーする。
1
作品を記録する方法を工夫する。
・リズム譜 ・言葉(タンなど)譜
・4拍子の拍子感を感じ取り, ・リズムの動きを感じ取り,2
即興的に多様なリズム表現を 小節単位の言葉に合うリズム
を即興的につくる。
する。
☆:Cの状況の生徒への手だて
手拍子を打ちながら言葉を乗せてみるように助言する。
・音符や休符を使う方法以外に, 表感:効果的な方法を工夫して作
(様相チェック,記
「タン」や「タカ」といった言葉 品を記録する。
や,図形など自分でわかりやすい 録分析)
記録方法を考えるように指示す
る。
・リズムや旋律の動き,調性の ・リズムや旋律の動きを感じ取
違いを感じ取って,即興的に短 り,即興的に短い旋律をつくっ
ている。
い旋律をつくっている。
★:Bの生徒をAに引き上げる手だて
調性が不明確な場合や終止形が不安定な場合,どちらの
調でまとめたらよいか助言する。
・自他ともにわかりやすい表記 ・自分にとってわかりやすい表
方法を工夫し,記録している。 記方法を工夫している。
題材 「身のまわりの音をつかって表現しよう」 第1学年(3時間∼5時間)
目標 ○身の回りの自然音・環境音に着目し,興味をもって表現しようとする。
○音の特性を感じ取り,自由な発想で表現する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(情意・感受)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
身のまわりの音をつかって
表現しよう
1
身のまわりでどんな音が聞こえてい
るか,サウンドウォッチングをする。
・鳥の声 ・人の声 ・車の音
・工事現場の音など
いろいろな効果音や効果音楽を聴き,
何を表現しているのかを考える。
・波の音 ・花火の音
・楽しい気持ち ・悲しい気持ちなど
1
いくつかの音楽を聴き,イメージをふ
くらませて,それらの音楽から思い浮
かぶ情景や気持ちをもとに,短い物語
をつくる。
(例) ・
「はげ山の一夜」
・
「魔法使いの弟子」
・
「熊蜂の飛行」など
1∼
自分の表現したい情景や場面・気持ち
を声・身体や,身近な楽器・身のまわ
りの音などをつかって自由に表現す
る。
・ボディーパーカッションなど
2
1
発表会
発表会
・音に集中できるような環境をつ
くる。
・教室内だけでなく,運動場や登
下校中で聞こえる音を調べさせる
など,サウンドウォッチングの範
囲を広げる工夫をする。
関:自然音・環境音に興味をもつ。 ・集中して,自然音・環境音を
(様相チェック,発言チェック) 聴き取っている。
・聴き取った音について積極的
に発言したり,今まで気づかな
かった音に気づいたとつぶや
いている。
・効果音や効果音楽から連想する
ものや気持ちを考えさせ,音当て
ゲームにならないように配慮す
る。
・効果音は直接的な音表現である
のに対して,効果音楽は間接的に
雰囲気を表現していることに気づ
かせるために多様な例を示す。
感:表現されている内容や雰囲気 ・集中して効果音や効果音楽を ・表現されている内容や雰囲気 ・表現されている内容や雰囲気
を感じ取る。
(様相チェック,プリ 聴き,感じたことを積極的に発 と音の特性や音楽の構成要素, を感じ取り,自分の言葉で説明
言したり,プリントに記入した 表現要素とのかかわりを感じ する。
ント分析)
取り,わかりやすく説明する。
りしている。
・イメージをよりはっきりさせる
ため,興味をもった曲を繰り返し
聴くことができるような場を設定
する。
・生徒のイメージを大切にするた
めに,曲名や解説をふせて提示す
る。
感鑑:楽曲の雰囲気や曲想の変化
を意識して聴き取る。
(感想分析,
発言チェック)
・表現したい内容が似ている生徒
でグルーピングする。
・表現したい内容を明確にさせ,
単なる音遊びにならないように配
慮する。
・表現の幅が広がるように,多く
の楽器を準備したり,音の見つけ
方を例示したりする。
表:表現したいイメージに合った
音素材を選択し,それらを組み合
わせて表現する。
(演奏チェック)
☆
・それぞれの表現の工夫やおもし
ろさを味わわせるため,相互評価
を行う。
・思い浮かぶ情景や気持ちを, ・楽曲の雰囲気や曲想の変化か
楽曲の雰囲気や曲想の変化な ら,思い浮かぶ情景や気持ちに
ど音楽の構成要素に関連させ ついて述べる。
て述べる。
・選択した音素材を効果的に組 ・選択した音素材を効果的に組
み合わせたり,短い旋律表現を み合わせて自分なりの表現を
加えたりして,より多くの人の する。
共感を得るような表現をする。
☆:Cの状況の生徒への手だて
・自分の表現を楽しんで発表し
どんなイメージか発問し,音と結びつくような表現のしか
ている。
たを例示する。
鑑感:音楽の素材としての声や音 ・活動が充実していたという感
・それぞれの表現の工夫やおも ・それぞれの表現の工夫やおも
の特性をとらえ,それぞれの表現 想がある。
の工夫やおもしろさを感じ取る。 ・他の発表を集中して聴いてい しろさについて,音の特性と結 しろさについて感じ取った記
述がある。
びつけて的確に述べる。
る。
(様相チェック,感想分析)
題材 「重なりの変化を楽しもう」 第2学年(2時間∼4時間)
目標 ○リズムアンサンブルを身体で表現する喜びを味わう。
○リズムの重なり方が変化していくおもしろさを感じながら表現する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(情意・感受)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
重なりの変化を楽しもう
1
・拍がずれたり拍子感が損なわれ
ないよう,メトロノームなどを用
い一定のリズムを刻むようにする
・生徒に2小節のリズ
ム創作をさせ,それ
を用いてアンサンブ
ルができる場を設定
する。
・身のまわりの楽器の音や,自然
音・環境音に注目するよう促す。
関表:リズムアンサンブルに関心 ・積極的にリズムアンサンブル ・リズムパターンの重なりを考 ・2小節の簡単なリズムを創作
する。
えて表現する。
をもち,意欲的にリズム創作やリ に取り組んでいる。
ズムアンサンブルをする。
(様相 ・自分のつくったリズムパター
ンと友だちのつくったリズム
チェック,演奏チェック)☆
パターンを教えあったり,比較
☆:Cの状況の生徒への手だて
したりしている。
2拍子からなる短いリズムパターンをいくつか例示し,組
み合わせて見るように指示する。
4拍子と3拍子を組み合わせて,重な
り方がずれていくリズムアンサンブ
ルをする。 ・拍の組み合わせ
・4拍子の基本となるリズムパタ
ーンや3拍子のかけ声の言葉を工
夫させ,主体的にリズムアンサン
ブルができるように配慮する。
感表:重なり方の変化のおもしろ
さを感じながら,リズムアンサン
ブルをする。
(様相チェック,演
奏チェック)
・リズムパターンやかけ声を工 ・リズムの重なり方がずれてい
リ
夫し,
重なり方の変化を感じ取 くおもしろさを感じながら,
って,
リズムアンサンブルをす ズムアンサンブルをしている。
る。
グループごとにテーマを決め,それに
沿った短い言葉を組み合わせて,リズ
ムアン
サンブ
ルをする。
・テーマに沿って,4拍子になる
ように言葉を組み合わせてリズム
パターンをつくるよう指示する。
・打楽器やリズムボックス
で8分音符を刻み,リズム
の流れにのって演奏できる
よう配慮する。
感:自由な発想で音楽を構成する
工夫をしている。
(様相チェック)
・選択したテーマや言葉の組み ・自分なりのテーマや言葉を選
リズムパターンをつくっ
合わせ方を工夫してリズムア 択し,
ンサンブルを構成している。 ている。
・言葉の抑揚やアクセントに注目
するよう指示する。
・活動しやすいようにできるだけ
多くの楽器を準備
する。
表:言葉のアクセントを生かして
旋律にする。
(演奏チェック)
・言葉のアクセントを生かしな ・言葉のアクセントを生かして
がら,
音楽的なまとまりを意識 旋律をつくる。
して,旋律をつくる。
2小節から成る1つのリズムパター
ンを,1小節ずらして手・足拍子で重
ね,リズム
アンサンブルをする。
1つのリズムパターンを,表現したい
イメージに合った言葉で(擬音)で表
現する。
1
1
1
短い言葉のリズムアンサンブルに,鍵
盤楽器の黒鍵だけを使って旋律をつ
け,それを重ね合わせてアンサンブル
を工夫する。
題材 「曲をつくろう」 第3学年(3時間)
目標 ○自ら作った旋律パターンを組み合わせて曲を作っていく創造的な活動の喜びを味わう。
○リズムや和声的な響きのまとまりを生かした旋律を作る。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
短い旋律を組み合わせて自
分たちの曲をつくろう
1
「マンボ NO5」の旋律 A,B に合う旋
律をつくる。
つくった旋律を組み合わせて旋律パ
ターンをつくり,その旋律を輪唱す
る。
1
旋律の組み合わせ方を構成し,前奏と
後奏を工夫し,曲を仕上げる。
・和声音・非和声音に気づき,既
成の旋律にあう音を見つけさせる
ため,その旋律を支えている和声
について説明する。
・自分が旋律をつくりやすい
楽器を選択できるよう,リコ
ーダーや鍵盤楽器など,数種
類の楽器を準備する。
関:創作活動に意欲的に取り組ん ・いろいろな楽器を使って,意
でいる(様相チェック,発言チェ 欲的に旋律つくりをしている。
・納得できるまで繰り返し活動
ック)☆
している。
・自分のつくった旋律につい
て,友だちと積極的に意見交換
をしている。
☆:Cの状況の生徒への
手だて
録音した既成の旋律を流
しながら,和声音から音
を重ねてみるように助言
する。
・音楽構成の多様性を実感させる
ため,組み合わせ方を変えて輪唱
する場を設定する。
・構成の幅を広げるため,繰り返
しや休みを取り入れて組み合わせ
ることもできることを知らせる。
・前奏や後奏がつくことで,曲と
してのまとまりが強まることを実
感させるために例を示す。
感表:リズムや和声的な響きのま
とまりを感じ取り,旋律の組み合
わせ方を工夫して表現する。
(演奏
チェック)★
・リズムや和声的な響きのまと ・リズムや和声的な響きのまと
まりを感じ取り,旋律の組み合 まりを感じ取り,旋律のいろい
わせ方を工夫して,全体的な統 ろな組み合わせ方を試みる。
一感のある作品をつくる。
・前奏や後奏を工夫して,多様
な音楽表現をする。
★:Bの生徒をAに引き上げる手だて
スムーズに曲が始まったり,曲の終結感を出したりするた
めにはどうしたらよいかと発問し,前奏や後奏の例を示す。
1
発 表
発表会
・グループごとに作品を発表した
後,前奏・後奏を統一して,全員
で合唱する場を設定する。
・各グループの工夫のおもしろさ
を相互評価できるよう,評価表を
準備する。
鑑:各グループの工夫や特徴を聴
き取る。
(感想分析)
・各グループの工夫や特徴を聴 ・各グループの工夫や特徴を聴
き取り,それぞれのよさについ き取った記述がある。
て的確に記述している。
題材 「リコーダーアンサンブルを楽しもう」 第1学年(6時間)
目標 ○アンサンブルの楽しさを実感し,表現する喜びを味わう。
○アルトリコーダーの柔らかで豊かな響きを生かし,全体の響きを感じ取ってアンサンブルをする。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
・基礎的な奏法・技能がしっか
りと身につき,曲にあったアー
ティキュレーションを工夫し
て演奏する。
・基本的な運指,呼吸の仕方,
タンギングなど,基礎的な奏
法・技能が身についている。
・美しい音色や響きを感じ取
り,多様な奏法を試みて,曲に
あった演奏の仕方を工夫して
いる。
・美しい音色や響きを感じ取
り,演奏の仕方を工夫しようと
する。
リコーダーアンサンブルを
楽しもう
1
アルトリコーダーの音色の特徴を
とらえる。
・やわらかい
・低い
・丸いなど
・アルトリコーダーの豊かで深い
味わいの音色に気づかせるため,
ソプラノリコーダーと比較する場
を設定する。
関:アルトリコーダーの音色に関 ・範奏を集中して聴いている。
・感じ取った音色の特徴を積極
心をもつ。
(様相チェック,発言チェック) 的に友だちに説明している。
・小学校時からの技能の差に配慮
する。
関:アルトリコーダーの演奏に関 ・意欲的に練習に取り組んでい
る。
心をもつ。
(様相チェック)
表:呼吸の仕方,タンギングなど ・豊かで深みのあるの音色を出
基礎的な技能が身についている。 そうと努力している。
(演奏チェック)
・曲の練習を通して,基礎的な奏
法を確認しながら,曲の練習をす
るよう指示する。
〈形成テスト〉
①アルトリコーダーの演奏への意
欲
②基礎的な奏法の習得
(表現内容,活動状況チェック)
・柔らかく美しい音色にするには
どうしたらよいか,息の入れ方や
タンギングを工夫するよう指示す
る。
感:アルトリコーダーの美しい音
色や響きを感じ取る。
(演奏チェッ
ク,発言チェック)☆
2
アルトリコーダーの基本的な運指や
呼吸の仕方,タンギング,アーティキ
ュレーションの練習をする。
・ノンレガート奏法・ポルタート奏法
・スタッカート奏法・レガート奏法
・
「ソナタK.331」
・
「きらきら星」
・
「春」
(四季から)
形成的評価
1
柔らかく美しい響きで,心を込めて演
奏する。
・
「ソナタK.331」
・
「きらきら星」
・
「春」
(四季から)
2
声部の役割と全体の響きを感じなが
ら,アンサンブルをする。
・音色の調和
・声部間のバランスなど
・2つの声部の響き合いを感じ取
るように促す。
関:アンサンブルの楽しさを実感
し,協力して意欲的に活動する。
(様相チェック)
感表:全体の響きの美しさを感じ,
アンサンブルをする。
(演奏チェッ
ク,感想分析)
☆:Cの状況の生徒への手だて
個別指導によって,息の入れ方やタンギングの違いによ
る音色の変化を体感させるととも,アーティキュレーシ
ョンを比較させる。
・友だちと練習方法を工夫し
て,アンサンブルに意欲的に取
り組んでいる。
・協力してアンサンブルをつく ・全体の響きにとけあう演奏を ・全体の響きの美しさを感じな
りあげる喜びを味わっている。 めざし,表現を工夫している。 がら,自分の声部を正確に演奏
する。
題材 「和楽器に挑戦」 第2学年(3時間∼7時間)
目標 ○和楽器の演奏を通して伝統音楽のよさを味わう。
○和楽器の音の特徴を感じ取り,それを生かして表現する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
和楽器に挑戦しよう
1
1
1
・箏の構造をとらえさせたり,音
色の力強さや余韻の美しさを感じ
取らせるために,箏曲を視聴させ
たり,実際に楽器に触れられるよ
うにする。
・箏の記譜法が実用的であること
をとらえさせるため,五線譜と比
較できるようにする。
・箏曲を集中して聴いている。
・積極的に楽器に触れている。
・音色の特徴について,意欲的 ・箏の構造をとらえ,音程の微
妙な変化や噪音など音色の特
に意見交換している。
徴を的確に感じ取っている。
・箏の構造をとらえ,力強さや
余韻といった音色の特徴を感
じ取っている。
・納得できるまで繰り返し,練
関:箏に関心をもち,基本的な奏 習に取り組んでいる。
法の習得に積極的に取り組む。
(様 ・箏の演奏を楽しんでいる。
相チェック)
・正しい姿勢や構えで,楽譜に
表:正しい姿勢や構えで演奏する。
そって力強い音で演奏する。
(演奏チェック)
・正しい姿勢や構えで演奏す
る。
関:箏に関心をもつ(様相チェッ
ク,発言チェック)
感:箏の構造をとらえ,音色の特
徴を感じ取る。
(様相チェック,プ
リント分析)
感表:箏の音色の特徴を感じ取り,
それを生かして表現する。
(様相・
演奏チェック,プリント分析)☆
・押し手の強さによって音高が変
わることに気づかせたり,裏連の
華やかさや引き色による余韻の微
妙な変化を感じ取らせるために,
生徒に体験させる場を設定する。
形成的評価
・基本的な奏法を確認しながら,
曲の練習をするよう指示する。
〈形成テスト〉
①箏の演奏への意欲
②基本的な奏法の修得
(活動状況,表現内容チェック)
・興味のある和楽器の演奏に挑戦
させるため,三味線,尺八,和太
鼓等数種類の和楽器を提示した
り,書籍やVTRを準備する。
・自分にあった楽器や課題を選
関:和楽器に関心をもち,積極的 択しようとする。
に表現している。
(様相チェック, ・意欲的に課題に取り組んでい
る。
感想分析)
・書籍やVTRを主体的に活用
して演奏している。
課 題 学 習
課題学習の成果の
発表をする。
和太鼓の
リズム創作など
音色の変化を味わいながら,
「うさぎ」
を演奏する。
・押し手,裏連,引き色
箏のいろいろな
奏法のへ挑戦
1
箏の記譜法をとらえ,基本的な奏法を
練習し,
「さくらさくら」を演奏する。
・縦書きの楽譜
・正しい姿勢や構え
・弦のはじき方
興味がある
和楽器の演奏
3
箏曲を視聴し,箏の構造や音色の特徴
をとらえる。
・箏曲「六段の調」
・13本の弦 ・柱を立てて音程を
決める
・力強い音
・余韻の美しさ
・操音 ・音程の微妙な変化
・演奏だけでなく工夫点や難しか
った点も発表するよう指示する。
・それぞれの楽器の音楽がどのよ
うに伝承されてきたか,補足説明
する。
表感:それぞれの和楽器のよさや
おもしろさを実感している。
(様相
チェック,感想分析)
・音色や余韻の変化を感じ取 ・音色や余韻の変化を感じ取っ
り,曲の中に生かして演奏す て演奏する。
・音色の変化を感じ取った記述
る。
・奏法と音色の関係についてと がある。
らえた記述がある。
☆:Cの状況の生徒への手だて
奏法のVTRを提示し,演奏の参考にできるようにした
り,少しずつ区切った範奏を聴かせたりする。
・設定した課題(選んだ楽器の ・設定した課題(選んだ楽器の
演奏)に積極的に取り組む。
演奏)に工夫が見られる。
・他の楽器のよさやおもしろ ・他の楽器に関心をもった記述
さ,特徴をとらえた記述があ がある。
る。
題材 「ギターを楽しもう」 第1学年(5時間)
目標 ○ギターの特徴や音色・奏法に関心をもち,演奏する楽しさを味わう。
○曲にふさわしい奏法や声部の役割を生かし,全体の響きを感じ取って曲想表現を工夫する。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候
(シンプトム)
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
ギターを楽しもう
1
ギターの構造や音色の特徴をとらえ
る。
(
「禁じられた遊び」
「アランフェス協奏曲」
)
・6本の弦 ・フレットなど
・甘い音色 ・激しい音色など
1
音とフレットの関係に気をつけて,
旋律のさぐり弾きをする。
・
「禁じられた遊び」
1
1
1
左手の押さえ方に気をつけながら,旋
律を演奏する。
・
「四季の歌」
コードの構造を理解し,簡単なコード
を練習する。
・Am,Dm,E
旋律とコードに分かれ,全体の響きの
バランスを感じながら,二部合奏す
る。
・CDを聴かせることによって,
音色に着目させる。
・クラシックギターやフォークギ
ター,エレクトリックギターなど
の実物や演奏VTRを準備する。
・VTRを集中して視聴してい
関:ギターに関心を持つ。
(様相チェック,発言チェック) る
・積極的に楽器に触れている。
・感想や意見を積極的に発言し
たり,友だちに説明したりして
いる。
・美しい音の出し方に気づかせる
ため,左手の押さえる強さや右手
の弾き方をいろいろ試してみるよ
うに助言する。
・アポヤンド奏法・アル・アイレ
奏法について説明し,自分にあっ
た奏法を選択させる。
関:ギターの基礎的な奏法に関心
をもち,意欲的に演奏に取り組ん ・美しい音を出そうと繰り返し
練習している。
でいる。
(様相チェック)
・演奏に集中し,もう一度演奏
表:正しい構えやポジションで旋 したいと発言する。
律を演奏する。
(演奏チェック)
☆
・左手の第1ポジションにおける
運指に慣れさせるため,左手だけ
の練習を取り入れる。
・タブ譜の読み方を理解させるた
め,タブ譜の六線と数字がギター
の弦とフレットに結びついている
ことに着目させる。
・ギターは,和音を演奏するのに 表:正しいポジションでコードを
(演奏チェック)
適した楽器であることに気づかせ 演奏する。
るため,リコーダー等の管楽器や
鍵盤楽器と比較できる場を設定す
る。
・弾き語りによってコードが旋律
の伴奏になることに気づかせ,演
奏に対する興味・関心を喚起する。
感:全体の響きの美しさを感じ取
(演奏チェ
・生徒の希望に応じて声部を分け り,合奏を工夫する。
ック,感想分析)
る。
・自分たちが合奏したものを録音 表:声部の役割を生かし,豊かな
して聴き返し,全体の響きのバラ 音で表現する。 (演奏チェック)
ンスを考えさせる。
・運指表やタブ譜を活用し,主
体的に練習している。
・美しい和音の響きやなめらか
なコード進行を追求して,繰り
返し練習している。
・ダイヤグラムを活用し,主体
的に練習している。
・正しい構えやポジションで, ・正しい構えやポジションで旋
アポヤンド奏法あるいはア 律を演奏する。
ル・アイレ奏法で旋律を演奏す
る。
☆:Cの状況の生徒への手だて
構え方やポジションを友だちと相互確認するように指示
する。
・正しいポジションで,豊かな ・正しいポジションでスムーズ
音色でスムーズにコードチェ にコードチェンジができる。
ンジができる。
・各声部の音量のバランスや音
色について,
よい点や改善点を
的確に指摘し,
表現の工夫に生
かしている。
・全体の響きの中で,自分の声
部の役割を生かし,
豊かな音色
で曲にあった曲想表現をする。
・合奏による音楽の広がりを感
じ取り,
よりよい響きになるよ
う工夫しようとしている。
・自分の声部を豊かな音で表現
する。
題材 「リコーダーとギターの響き合いを楽しもう」 第2学年(3時間∼5時間)
目標 ○楽器の特徴を生かし,小編成によるアンサンブルの楽しさを味わう。
○旋律と和声のはたらきに気づき,全体の響きの調和を感じ取って合奏する。
配時
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
・旋律と伴奏の役割を理解させた
り,自分の興味や適性を把握させ
たりするため,それぞれのパート
を演奏してみる試しの活動を設定
する。
関:小アンサンブルで表現するこ
とに関心をもつ。 (様相チェッ
ク)
・範奏を集中して聴き,試しの
活動に積極的に取り組む。
・自分の興味や適性を生かし,
主体的に楽器を選択する。
希望の楽器を選択し,グループに分か
れ曲のイメージを決定し,アンサンブ
ルの練習をする。
・静かな感じ ・のんびりとした感じ
・元気な感じ ・リズムに乗った感じ
・どんなイメージの曲に仕上げた
いかによって,似通ったイメージ
ごとにグルーピングする。
・担当のパートを確実に演奏でき
るようにするため,パートごとの
範奏や運指表,ダイヤグラムを準
備する。
表:パートの役割を意識して,合
奏する技能を身につけている。
(演奏チェック,プリント分析)
☆
曲の感じや自分たちのイメージにふ
さわしい曲想表現を工夫する。
・強弱 ・アーティキュレーション
・速度 ・フレージング
・ストロークのリズム
・自分のパートだけでなく,他の
パートの役割や表現意図を互いに
理解し合えるように,話し合いの
場を設定する。
感:表現したいイメージに合った
曲想表現を工夫する。
(演奏チェック)★
活
動
内
容
留 意 点
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
リコーダーとギターの響き
合いを楽しもう
1∼
2
1
「カントリーロード」の範奏を聴き,
リコーダー,ギターそれぞれの楽器が
受け持つ役割について理解する。
・旋律と伴奏(コード)
・2つのパートの役割を生かし ・他の声部の響きを意識しなが
ながら,バランスに気をつけて ら,自分のパートを確実に演奏
する。
合奏する。
☆:Cの状況の生徒への手だて
それぞれのパートを録音したものを聴き比べる場を設定
する。
・全体の響きの調和を感じ取 ・表現したいイメージに合った
り,自分たちの表現したいイメ 速度・強弱を工夫している。
ージに合った多様な曲想表現
を工夫する。
★:Bの生徒をAに引き上げる手だて
自分たちの演奏を録音し,吟味する場を設定する。
1
1
簡易打楽器の即興的なリズム伴奏を
工夫する。
・タンブリン ・ギロ ・コンガ
・トライアングルなど
発 表
会
発表会
・リズム伴奏を工夫して加えられ
るように,8ビートや16ビート
のリズムパターンを例示する。
・演奏だけでなく,工夫点や難し
かったところも発表するように指
示する。
・各グループの表現の工夫を感じ
取ったり,活動の達成感を味わわ
せるなどの観点から,相互評価を
行う。
感表:曲にあったリズム伴奏を工
夫する。
(様相チェック,演奏チェ
ック)
・イメージに合う打楽器を積極 ・イメージに合う打楽器を選択
的に選択し,曲にあうアクセン し,曲にあったリズム伴奏をす
トやリズムパターンを工夫し る。
てリズム伴奏をする。
関鑑感:小アンサンブルで表現す
ることの楽しさを味わい,各グル
ープの表現の工夫を感じ取る。
(感
想分析,演奏チェック)
・自分たちの工夫について,自 ・納得した表現を発表し,各グ ・アンサンブルを完成した喜び
信を持って発表し,演奏を楽し ループの工夫の特徴をイメー を味わったり,各グループの工
ジと関連させて的確にとらえ 夫のおもしろさを感じ取って
んでいる。
いる。
たている。
題材 「楽器編成を工夫してアンサンブルをしよう」 第3学年(5時間)
目標 ○興味・関心や技能に応じて進んで曲を選択し,協力してアンサンブルをする。
○曲にふさわしい楽器編成を工夫し,曲想表現の効果を感じ取って合奏をする。
配時
活
動
内
容
留 意 点
評 価 規 準
評価基準(関心・意欲・態度)
<評価の方法>
期待する姿・徴候(シンプトム)
関:選曲や楽器編成に関心をも
つ。
(様相チェック,発言チェッ
ク)☆
・範奏を集中して聴いている。
・難易度や使用する楽器について
積極的に質問したり,意見を述べ
たりしている。
評価基準(感受・表現の工夫,表現の技能・鑑賞の能力)
A
B
楽器編成を工夫して
アンサンブルをしよう
1
範奏を聴き,難易度やパート(楽器)
の役割についてとらえ,グループに分
かれる。
・難易度の把握 ・選曲と楽器の選定
2
課 題 学 習
・選曲とパートの決定
1
曲にふさわしい表現の工夫について
話し合い、合奏する。
・速度
・強弱
・バランスなど
発 発表会
表 会
☆:Cの状況の生徒への手
だて
自分の興味・技能に応じて
選択できるように,試しの
活動の場を設定する。
リベルタンゴ
マンボ№5
木星︵ 組曲﹁惑星﹂から︶
虹の彼方へ
タイタニックのテーマ
さくらさくら
各グループで曲の特徴について話し
合い,パート練習や合奏をする。
・静かな曲 ・リズミカルな曲
1
・希望の曲やパート(楽器)
,ど
んな曲に仕上げたいかという点
を考慮して,グルーピングをす
る。
・曲の特徴やイメージを明確にさ
せるため,原曲のCDや解説書を
準備する。
・主体的にパート練習を進められ
るように,運指表やダイヤグラム
を提示したり,パート別範奏を準
備する。
・めざす表現ができているか,自
分たちの演奏を録音し,聴き返し
て確認できるよう,機器を準備す
る。
・演奏だけでなく,工夫点や難し
かった点についても発表するよ
う指示する。
・他の演奏のよさを聴き取るよう
指示する。
関:協力してアンサンブルをして
いる。
(様相チェック)
表:自分のパートを正しく演奏す
る。
(演奏チェック)
感表:音楽の構成要素や曲にふさ
わしい音色,奏法を感じ取り,そ
れらを生かして表現の工夫をす
る。
(様相チェック,演奏チェッ
ク)★
表感:全体の響きの調和を感じ取
り,表情豊かに合奏する。
(様相チェック,演奏チェック)
鑑:各グループのよさを聴き取
る。
(様相チェック,感想分析)
・資料を活用し,積極的に話し合
いをしている。
・運指表やダイヤグラム,パート
別範奏を参考にしながら,主体的
に練習している。
★:Bの生徒をAに引き上げ
る手だて
自分の考えた表現の工夫を
グループで試し,バランスや
楽器編成について助言する。
・自分のパートを正しく演奏 ・自分のパートを正しく演奏す
し,速度・ピッチに注意して合 る。
奏する。
・音色や奏法などについて,よ ・音色や奏法などについて,感
りよい表現のしかたを友だち じたことを友だちと話し合っ
ている。
に教えている。
・自分たちのイメージする曲想 ・曲にふさわしい速度や強弱を
を追究し,
演奏に生かして表現 工夫して表現する。
する。
・全体の響きの調和を感じ取
り,
身体全体を使って表情豊か ・全体の響きの調和を感じ取
り,表情豊かに合奏する。
に合奏表現をする。
・各グループの工夫点をとら
え,
曲の特徴や音楽的な要素と ・各グループの工夫点をとらえ
関連させて的確に聴き取って てそのよさを聴きわけている。
いる。
4 選択教科(音楽科)の評価の展開
を生かして音楽的な諸能力を一層高めていく活動も大切である。
「芸術表現を追求する」
(1) 選択教科「音楽」の内容
ということは,難易度の高い楽曲の表現や高度な演奏技能による表現を目指すだけでは
学習指導要領には,選択教科としての音楽の内容について下記のように示している。
生徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できるよう,第2の内容その他の内容で各
なく,個々の生徒に自分なりの音楽の美しさを主体的に追求させ,さらによりよいもの
を創りだしていこうとする表現行為を意味している。
学校が定めるものについて,課題学習,創造的な表現活動の学習,郷土の伝統芸能など
地域の特質を生かした学習,表現の能力を補充的に高める学習,芸術表現を追求する発
展的な学習などの学習活動を各学校において適切に工夫して取り扱うものとする。
他教科と同様に
「補充的に∼」
「郷土の伝統芸能など∼」
という内容が付加されている。
【課題学習】
一人一人の生徒が音楽に対してもっている「もっと表現したい,鑑賞したい,調べた
(2) 選択教科「音楽」の評価
選択教科の「音楽」においては,生徒一人一人のよさや可能性を積極的に評価し,豊
かな自己実現に役立つようにすることが重要である。各学校においては,必修教科と同
様に,評価をふまえ,選択教科「音楽」の指導計画や指導方法,教材,学習活動等を見
直し,よりよい指導の改善につないでいく必要がある。
い,深めたい」などの気持から課題を設定し,主体性を生かした学習を行うものである。
選択教科「音楽」の評価については,自ら学ぶ意欲や問題解決の能力,個性の伸長な
そこでは,課題の解決方法や学び方を工夫し計画すること,実際に行うこと,成果をま
どに資するため,個人内評価,すなわち,生徒一人一人のよい点や可能性,進歩の状況
とめて発表することなどの学習活動を通し,生徒の音楽に対する興味や関心を一層高め
などの評価を工夫し,生徒を励ましたり,努力を支援したりする観点に立って,生徒の
ていくことが大切である。
進歩を促したり,努力を要する点を伝えたりすることに十分に配慮する必要がある。
なお,学習の過程としては,①課題の提示・選択・選定,②課題の解決方法の予測・
選択教科の評価の観点については,すでに「総則」で述べたように,必修教科の観点
検討,③課題解決のための学習活動,④学習成果のまとめと発表,などが考えられる。
別学習状況の評価の観点や各学校における選択教科の開設の視点,ねらい等をふまえ,
【創造的な表現活動の学習】
このことについては,各学年の目標で「創造的に表現する能力」と示しているが,必
修における基礎的・基本的な学習を生かして,一人一人の生徒のイメージや曲想を大事
にして,豊かな表現を発達段階に応じて発展させていくことが考えられる。
【郷土の伝統芸能など地域の特質を生かした学習】
今回の改訂では,必修教科としての「音楽」における表現及び鑑賞の指導について,
我が国の音楽や郷土の伝統音楽の指導及び和楽器についての活用を重視している。ここ
での学習は,基礎的・基本的なことが中心となることから,選択教科としての「音楽」
において,郷土の伝統芸能を教材とするなど,地域の特質を生かした学習へと一層発展
させることが考えられる。
【表現の能力を補充的に高める学習】
前述した課題学習とも関連させて,必修における学習内容を継続的及び補充的に高め
ていく表現の活動を設定することが考えられる。
【芸術表現を追求する発展的な学習】
生徒一人一人の個性的,
創造的な学習活動の発展の一つとして,
選択音楽においては,
より芸術的な表現を追求する活動が考えられる。また,生徒の実態や興味・関心に応じ,
必修教科としての「音楽」での学習体験の深化・発展として,また,個々の生徒の特性
適切に設定することが重要である。先に示す事例は,その一例として観点別学習状況の
評価の第3観点と第4観点を合わせて,
「関心・意欲・態度」
「感受・表現の工夫」
「表現
や鑑賞の技能・能力」の3観点から評価することにしたものを示している。
(3) 選択教科(音楽科)の指導計画・評価計画例
第3学年
実施時期
目
題 材「日本の音楽に親しもう」
(課題学習)
9月∼12月
教科
音楽
時数
観
標
○日本の音楽に関する体験的な学習
をとおして,そのよさを実感する。
17時間
点
別
目
標
関心・意欲・態度
感受・表現の工夫
○積極的に日本の音楽の演奏をしようと
○微小な音程の変化や加速度的なリズムなど日
する。
主な学習活動・内容
表現・鑑賞の技能・能力
○日本の音楽の特徴を聴き分ける。
本の音楽の特徴を生かして表現を工夫する。
月
時
評 価 規 準(方法)
9
1
1 必修教科における日本の音楽の学習を振り返り, 鑑感:日本の音楽の特徴を指摘でする
特徴を想起する。
(学習プリントチェック)
・ 微小な音程 ・かすれた音 ・加速度的なリズム,
速度の変化
A:楽曲を聴き,日本の音楽の特徴的な部分を聴き取り,そ
の効果を感じ取っている。
B:楽曲を聴き,日本の音楽の特徴的な部分を聴き取る。
2
2 表現活動のコース・内容を決定し,学習計画を立
案する。
・箏
・三味線
・尺八 ・民謡 ・義太夫
(1)試しの活動,情報の確認
(2)コース・内容の決定
(3)学習計画の立案
(4)評価の観点の設定
A:自分の技能や興味・関心を的確に把握し,自分にあった
学習計画を立てたり,評価の観点を設定したりしている。
B:活動全体を見通した計画を立案し,評価の観点を設定し
ている。
関技:適切な学習計画を立案し,自己評価の観点や
方法が設定している
(評価計画分析,チェック)
Cの状況の生徒への手だて
興味・関心と技能を考慮して計画するよう指示するとと
10
5
3 計画に沿って探究学習をすすめる。
・個別の表現活動
・専門家への質問
・演奏法についての調査研究
・録音,録画による自己評価
もに,参考になる資料等を提示する。
関:充実した探究学習を進めている
(活動状況チェック)
11
1
4
12
2
2
4 中間発表を行う。
・発表とこれまでの取組状況の報告
・学習計画の修正
5 計画に沿って探究学習をすすめる。
・表現の練り上げ(美しさの追究
6 発表会を行う。
・演奏
・工夫点についての発表
7 学習を振り返り,活動状況や学習成果を WEB ペー
ジに掲載したりCDをつくったりする。
評 価 基 準
感技:日本の音楽の特徴を生かして表現している
(表現内容分析)
A:計画に沿って,納得いく活動をしている。
課題を探究する方法が的確である。
B:計画に沿って活動を進めている。
助言を受けながら課題を探究している。
A:日本の音楽の特徴的な部分を意識して表現を工夫してい
る。
B:日本の音楽の特徴を大切にしながら表現している。
○自己評価の観点
・日本の音楽の特徴を生かして演奏できたか
・日本の音楽のよさを実感できたか
感関:日本の音楽のよさを実感しているか
(活動状況分析,感想分析)
A:学習を振り返り,
「間」や「わび・さび」などの日本の伝
統的な美意識を音楽の中に感じている。
B:日本の音楽の特徴から醸成される雰囲気のよさを感じ取
っている。
5 評価実践事例
関連する内容のまとまりごとの評価規準
題材の評価規準
評価方法
第3学年 題材「日本の舞台芸術」評価実践事例 p 音-11
1 目 標
○ 日本の伝統音楽の奥深さや緻密さを感じ取る。
○ 長唄の唄い方や楽器の用い方などによる多様な表現とその効果を感じ取る。
2 教 材
歌舞伎「勧進帳」
長唄「勧進帳」
能「安宅」
3 学習指導要領との関連
・音楽の構成要素・表現要素を理解し,それ
感
らが生み出す曲想や美しさを感じ取って
受
・
いる。
表 ・我が国の音楽及び世界の諸民族の音楽にお
現
ける楽器の音色や奏法と歌唱表現の特徴
の
工
を感じ取っている。
夫 ・音楽をその背景となる文化・歴史及び他の
芸術とかかわらせて総合的に感じ取って
いる。
・歌詞の内容や曲想の味わい,曲種に応じた
発声や言葉の特性,声部の役割と全体の響
きの調和を感じ取っている。
①総合芸術のおもし
ろさを感じ取って
いる。
②表現することの難
しさを実感し,日本
の 伝 統 芸能 の奥 深
さを味わっている。
③楽器の種類とその
効 果 を 理解 し鑑 賞
する。
感想分析
発言チェック
②表現することの難
しさを実感し,日本
の 伝 統 芸能 の奥 深
さを味わっている。
感想分析
発言チェック
③楽器の種類とその
効 果 を 理解 し鑑 賞
する。
プリント分析
発言チェック
感想分析
発言チェック
プリント分析
発言チェック
◎ 我が国の音楽および世界の諸民族の音楽における楽器の音色や奏法と歌唱表現
の特徴から音楽の多様性を理解して聴くこと。B(1)ウ
○ 声や楽器の音色,リズム,旋律,和声を含む音と音とのかかわり合い,形式など
の働きとそれらによって生み出される曲想とのかかわりを理解して,楽曲全体を味
わって聴くこと。B(1)ア
○ 音楽をその背景となる文化・歴史や他の芸術とのかかわりなどから総合的に理解
表
・歌詞の内容や曲想,曲種に応じた発声や言
現
葉の特性を生かして,曲にふさわしい歌唱
の
技
表現をするための技能を身につけている。
能
して聴くこと。B(1)エ
○ 曲種に応じた発声により,美しい言葉の表現を工夫して歌うこと。A(1)イ
4 題材の評価規準・評価方法
関連する内容のまとまりごとの評価規準
関
・音楽の構成要素・表現要素の働き及びそれ
心
らが生み出す曲想の変化に関心を持って
・
意
いる。
欲 ・我が国の音楽及び世界の諸民族の音楽にお
・
ける楽器の音色や奏法と歌唱表現の特徴,
態
度
それらによる音楽の多様性,音楽の背景な
どに関心を持っている。
題材の評価規準
①総合芸術のおもし
ろさを感じ取って
いる。
評価方法
感想分析
発言チェック
・音楽の構成要素・表現要素の働き,及びそ
鑑
れらが生み出す曲想の変化を聴き取り,楽
賞
の
曲全体を味わって聴くことができる。
能 ・我が国の音楽及び世界の諸民族の音楽にお
力
ける楽器の音色や奏法と歌唱表現の特徴
を聴き取って,音楽の多様性を理解し聴く
ことができる
・音楽をその背景となる文化・歴史及び他の
芸術とのかかわりを総合的に理解して聴
くことができる。
5 授業設計・評価計画(5時間)
※ 指:指導の手だて
補:補説
評:評価
時
活 動 内 容
1
1 歌舞伎「勧進帳」のハイライト
評価規準
①
を視聴し,あらすじをとらえる。
1
2 長唄「勧進帳」の冒頭部を視聴
①
し,歌詞の部分によって変化する
節回しや伴奏の楽器について話し
合う。
・
「謡がかり」と「外記がかり」
1
3 「謡がかり」や「外記がかり」
②
指:歌舞伎「勧進帳」のあらすじの漫画と文章を準備する。勧進帳の読み上げ・義経と見破られる・金剛杖で
打つ・弁慶が詫びる・飛び六法の部分をVTRで提示する。
補:十分にとらえることができない生徒のために,主な登場人物についての説明のプリントを準備しておく。
評:
「総合芸術のおもしろさを感じ取っている」かどうかという点について,感想プリントから評価する。
指:歌舞伎の伴奏音楽が長唄であるということを確認したうえで,長唄「勧進帳」の「次第の囃し∼海津の浦に
着きにけり」までの部分の音楽的特徴についてとらえさせる。そのために,
「いくつの部分にわけることがで
きるだろうか?」と発問し,楽器の使われ方や節回しの違いにより,曲の特徴が醸成されていることに気づ
くようにする。
指:楽器の使われ方は,情景描写としての打楽器の使用や,心象描写としての三味線の使用などについておさ
える。また,節回しについては,謡曲の旋律的な特徴を取り入れた「謡がかり」の部分と大薩摩節の特徴を
取り入れた「外記がかり」の部分があることをおさえる。
補:節回しの違いを十分にとらえることができない生徒には,歌詞を具体的に聴き取る活動を取り入れたり,
音高や音長の変化をプリントで提示したりして理解を促す。
の特徴を感じ取って歌ってみる。
1
4 長唄「勧進帳」の楽器やその使
③
われ方と表現効果について考え
る。
・三味線,大鼓,小鼓,能管
・静的,動的な扱い
1
5 能や狂言,浄瑠璃等を視聴し,
日本の伝統的な舞台芸術にふれ
る。
・能「安宅」 ・狂言「朝比奈」
指:
「謡がかり」や「外記がかり」の部分は旋律性だけでなく,元唄である「謡曲」や「大薩摩節」の影響を受
け,発声が異なっていることに着目し,曲種に応じた発声を体験する活動を設定する。
補:
「発声の違い」に気づかない生徒には,題材「オペラの表現を味わおう」
(主教材 アイーダ)で学習した,
旋律性に富む「アリア」と,語りに近い「レシタチーボ」の発声の違いに着目するよう補説する。また,V
TRの画面にあわせて歌わせたり,キーボードやシンセサイザーを活用して鼓の音を付加させたりして,よ
り臨場感のある表現ができるように配慮する。
評:
「表現することの難しさを実感し,日本の伝統芸能の奥深さを味わっている」かどうかという点について,
歌っている途中の発言や学習後の感想からとらえる。
①②
③
指:日本の音楽にも,変化と対照による,曲の巧みな構があることに気づかせるために,長唄「勧進帳」の「次
第の囃し∼海津の浦に着きにけり」の部分の,楽器の使われ方と表現効果についてとらえさせる。ここでは,
謡がはじまる前の「能管」による期待を高める効果,歌詞の節目で打たれる「大鼓」の響き,
「三味線」を
中心にして「大鼓」や「小鼓」が加速度的に掛け合い雰囲気を盛り上げる「寄せの合い方」などを分析的に
取り上げ,効果を具体的に実感できるようにする。
評:
「楽器の種類とその効果を理解し鑑賞する」という点を,発言やプリントの記述から分析して評価する。
指:いろいろな日本の伝統的な舞台芸術にふれ,そのよさを実感させる。ここでは,
「勧進帳」との関連から,能「安宅」を鑑
賞させる。あらすじは把握しているので能の特徴である「型」の様式に触れ,日本の伝統音楽の奥深さを感じられるように
する。
6 評価の実際
評価規準①については,
「発言チェック」と「学習後の感想」の2つの評価方法を取り
(1)評価規準①の評価
上げ,総合的に判断して評価を行った。評価は,第1時と第2時の2時間で行い,その
評価規準
総合芸術のおもしろさを感じ取っている。 (関・感)
中で顕著な発言・感想を取り上げた。さらに,第5時の発言・感想をチェックし,第1
評価方法
感想分析,発言チェック
時・第2時の評価に加味・修正するように考えた。
評価時期
第1時,第2時,第5時
期待する姿(シンプトム)
A
B
・興味をもってVTR
・歌舞伎や長唄の構成
・場面ごとに内容を整
評
を視聴している。
要素を場面ごとに的
理でき,舞台の様子
価
・歌詞を聴き取ろうと
確にとらえている。
について説明できる。
基
準
集中している。
・物語の今後の展開に
興味を示している。
・構成要素や楽器につ
<発言チェックで活用した座席表>
・楽器や謡い方,旋律の
いて適切に聴き分け
特徴などからいくつ
明確に区分する。
かの部分からなって
いることを感じ取る。
○「歌舞伎の魅力」について班ごとでの話し合いを設定する。
(第1時)
○登場人物の関係についてまとめたプリントを提示する。
(第1時)
○使われている楽器の特性についてまとめた学習の手引を参考にするよう指
示する。
(第2時)
補
○学習の手引に記載されている歌詞を使い,変化を感じた場所に線を引き,
なぜ変化を感じたかを考えるようにする。
(第2時)
<学習後の感想分析>
学習の手引に学習後の感想を書かせ,評価した。下の感想は,それぞれA,B,Cの
状況と評価した例である。
○興味・関心に応じて,いろいろな舞台芸術をVTRで視聴できる場を設定
する。
(第5時)
説
○日本の総合芸術や舞台芸術のおもしろさについて班で話し合いをする場面
を設定する。
(第5時)
○学習の手引に書きためてきた「学習後の感想」を振り返り学習を想起でき
るようにする。
(第5時)
A
B
C
○発声の違いに気づかない場合は,題材「オペラの音楽表現を味わおう」
(主
教材 アイーダ)で学習した,旋律性に富む「アリア」と,語りに近い「レ
補
チタティーボ」の発声の違いについて振り返らせる。
(第3時)
○VTRの画面にあわせて歌わせたり,小鼓を実際に打つことにより臨場感
のある表現ができるように配慮する。
(第3時)
事前に構想した評価基準に照らし合わせると,KTはCの状況,TK・KYはBの状
況として想定した発言をしていたので補説を行った。また,感想については,日ごろの
○謡曲や大薩摩節に近づいているかどうか,自分の声を録音できるように録
説
音機器を設定する。
(第3時)
文章表現力を配慮し発言とあわせて評価した。Aの感想は,
「だんだん表情が変わって
○「一人で声色を使い分けることは難しい」ということを補説する。
(第3時)
いくことや動作が大事にされていること」という2つの点を記述しているのでAの状況,
○日本の総合芸術や舞台芸術や魅力についての Web.ページの記述を提示す
Bの感想では「小鼓・大鼓が入ったことや音楽によく合っていた」という点に気づいた
る。
(第5時)
記述があるのでBの状況,Cの感想は構成要素についての具体的な記述が見られないと
ころからCの状況と評価した。
評価規準②については,発言チェックと学習後の感想分析の2つの評価方法(素材)を
取り上げ,総合的に判断して評価を行った。第3時に評価した結果は,さらに第5時で
(2)評価規準②の評価
評価規準
加味・修正するように考えた。
表現することの難しさを実感し,日本の伝統芸能の奥深さを味わっ
ている (表・感)
評価方法
感想分析,発言チェック
評価時期
第3時,第5時
期待する姿(シンプトム)
<発言チェックで使用した座席表>
A
B
・熱心に発声をまねて練 ・VTRのように表現で ・VTRのように表現で
評
習している。
きないことを実感し,
きないことを実感し,
価 ・曲の仕組みや物語を聴
工夫して練習してい
もどかしさを感じて
基
き手に伝える工夫を
る。
いる。
準
している。
・表現することの難しさ
楽しさを実感した発
言や記述がみられる。
・日本の伝統芸能の価値
を認める発言をする。
・場面ごとに謡いまわ ・VTRに合わせて自分
し,声の出し方に気を
なりに声の出し方を
つけて歌っている。
工夫して歌っている。
(3)評価規準③の評価
<学習後の感想分析>
A
B
評価規準
楽器の種類とその効果を理解し鑑賞する。 (感・鑑)
評価方法
発言チェック,プリント分析
評価時期
第4時,第5時
期待する姿(シンプトム)
評
C
A
B
・歌舞伎の場面に合った ・歌舞伎の場面によって
価
楽器の使い方や奏法,
楽器の使い方が違う
基
旋律などを工夫して
ことを指摘できる。
準
いることをとらえて
いる。
○第2時で活用した,使われている楽器の特性についてまとめた学習の手引
を参考にするよう指示する。
(第4時)
補
学習後の感想Aは座席表HNの生徒の感想である。
「発声の方法」についての記述と
「違いを実感した」発言から評価規準②についてAの状況であると評価した。また,感
想Cは座席表KAのものである。表現することの難しさの要因をとらえているとはいえ
○生徒が必要に応じて,繰り返し聴くことができるように機器を準備してお
く。
(第4時)
説
○適切に感受できた生徒の発言を学級全体にかえし,理解を促す。
(第4時)
◎旋律の特徴とその効果を感じ取らせるために,音高や音長の変化をライン
ないので,Cの状況であると評価した。そこで,指導の過程において,
「VTRの画面
で表現してみるよう指示し,その方法を例示した学習プリントを提示する。
にあわせて歌わせたり,小鼓を実際に打つことにより臨場感のある表現ができるように
(第4時)
配慮する。
」の補説を実施したが,結果として,工夫して表現するには至らなかったの
でCの状況ととらえた。
また,この評価規準の評価においては,
「日本の音楽の奥深さ」という評価規準の表
現が生徒の発言や行動のレベルまで具体化できていなかったので,発言チェックや感想
からの評価が困難だった。評価規準や評価の方法,シンプトムを再度見直さなくてはな
らない。
<発言チェックで使用した座席表>
ここでは,鑑賞中の生徒の発言をメモして評価した。TA,OK,IKは,場面と楽器
評価規準①の「総合芸術のおもしろさを感じ取っている(関・感)
」については,部
の使い方や奏法などの工夫について具体的に指摘できているのでAの状況であると評
分的に鑑賞させるだけでなく,繰り返しじっくりと聴取できる時間の確保や,他の歌舞
価した。また,KA,HN,YSについては,この発言だけでは真意が伝わらなかった
伎の鑑賞も取り入れる必要を感じた。また,
「おもしろさ」の感じ方がみな同じような
ので,学習プリントの記述とあわせて評価することとした。授業も回を重ねるとBの状
感想になってしまったので,指導の手だてを再考しなければならないと考える。適切な
況を示している生徒が多くなってきた。
「旋律の工夫」というAの状況に近づくことが
感受ができたかどうかという評価に関しては,発言チェックや学習後の感想の分析から
できるように旋律の特徴とその効果を感じ取らせるために,音高や音長の変化をライン
総合的に評価しようとした。今回のような座席表での評価方法を取り入れる場合は,頻
で表現してみるよう指示し,その方法を例示した学習プリントを提示した。その結果A
繁にメモを取らねばならなかった。事前に評価の基準を示し,授業中は記号で記入でき
の状況を示すようになった生徒も多くなった。
るようにするなどの工夫が必要であることを感じた。また,発言と感想の評価を総合的
また,指導の過程では,Bの状況に至っていない生徒が数人見られたため,適切に感
受できた生徒の発言を学級全体にかえし,理解を促した。班での意見交換をしたところ,
に評価するとき,どの段階で合わせるかということも大切になってくる。
評価規準②の「表現することの難しさを実感し,日本の伝統芸能の奥深さを味わって
ほぼ全員が「歌舞伎の場面によって楽器の使い方が違うことを指摘できる」というB基
いる(表・感)
」については,Bの状況と考えていた「独特の発声」など表面的なとら
準に到達することができた。
え方をした生徒が多く,Aの状況として考えていた「奥深さ」などを内面的に感じた生
徒は少なかった。
。
<学習プリントの分析>
評価規準③の「楽器の種類とその効果を理解し鑑賞する(感・鑑)
」については,ほ
とんどの生徒がBの基準は達成した。これは,必要に応じて繰り返し聴くことができる
A
B
ように機器を準備しておいたことが有効であったと考える。また,班で意見交換したこ
とも理解を促す助けとなったという感想の記述があった。
以上のことから,次回実践では,総合芸術や舞台芸術の「奥深さ」
「おもしろさ」を
実感できる手だてを工夫することが課題と考える
ここでは,発言のメモがとれなかった生徒や発言では真意を測ることができなかった
生徒の評価に学習プリントを活用した。Aの感想は,座席表中TAのものである。
「場
面による演奏のしかたや楽器の使い方の違いがある」という記述から,評価規準③につ
いてAの状況であると評価することとした。
7 指導・評価についての考察,次回実践への課題
本題材では,歌舞伎や能などの日本の舞台芸術に触れ,その奥深さや緻密さを感じ取
ること,長唄の唄い方や楽器の用い方などによる多様な表現とその効果を感じ取ること
をねらいとして指導をし,題材を通して,3つの評価規準を設定した。
第2学年 題材「イメージと音楽」評価実践事例 p 音-6
関連する内容のまとまりごとの評価規準
題材の評価規準
評価方法
1 目 標
○
楽曲が表現している情景を豊かに想像し,イメージを思いうかべて聴くおもしろ
さを感じている。
受
○ 管弦楽と合唱の融合や,変拍子などの近代・現代の音楽の特徴を感じ取る。
2 教 材
ホルスト作曲
組曲「惑星」から「火星」
,
「木星」
の
3 学習指導要領との関連
べて聴くおもしろさ
の変化を感じ取っている。
学習プリント
感想分析
を感じている。
④演奏形態の違いによ 学習プリント
工 ・表現要素と曲想の変化との関連を,より細部
る表現効果の違いを
夫
感じ取っている。
にわたり感じ取っている。
声や楽器の音色,リズム,旋律,和声を含む音と音との関わり合い,形式など
・演奏者の違いや意図によって曲想が異なり,
の働きとそれらによって生み出される曲想とのかかわりを理解して楽曲全体を
音楽の表情が大きく変わることを感じ取っ
ている。
味わって聴くこと。B(1)ア
○
っている。
現 ・表現要素の働きによって生み出される曲想
「グノーム」
,
「卵の殻をつけたひなどりのバレエ」
◎
かな響きを感じ取る。
わたり知覚し,曲想を感じ取っている。
・ ・楽曲構成の豊かさや表現の多様さを感じ取 ③イメージを思いうか
表
ムソルグスキー作曲 ラヴェル編曲 組曲「展覧会の絵」から
◎
感 ・音楽の様々な構成要素の働きをより細部に ②管弦楽が作り出す豊 感想分析
・音楽の特徴や特質を,その音楽の生まれた
音楽をその背景となる文化・歴史や他の芸術とのかかわりなどから,総合的に
理解して聴くこと。B(1)エ
時代や地域の文化・歴史と結びつけて感じ
速度の変化や強弱の働き,及びそれらによって生み出される曲想の変化を理解し
取っている。
て聴くこと。B(1)イ
4 題材の評価規準・評価方法
関連する内容のまとまりごとの評価規準
関
感想分析
かわりについてより細部にわたり関心をも
もとうと集中して
様相チェック
ち,意欲的に聴いている。
鑑賞している。
体の味わいに関心を持っている。
意 ・表現要素によって生み出される曲想の変化
欲
に関心をもち意欲的に聴いている。
・ ・表現要素と曲想の変化との関連を,より細
態
部にわたり聴くことに意欲的である。
度 ・演奏者の違いや意図によって曲想が異なり,
音楽の表情が大きく変わることに関心をも
っている。
・音楽の特徴や特質を,その音楽の生まれた
時代や地域の文化・歴史と結びつけること
に関心を持っている。
③イメージを思いう
かべて聴くおもし
ろさを感じている。
・音楽の構成要素の働きと曲想とのかかわり ②管弦楽が作り出す豊 感想分析
評価方法
・音楽の様々な構成要素の働きと曲想とのか ①自分のイメージを
心 ・楽曲構成の豊かさや表現の多様さと楽曲全
・
題材の評価規準
学習プリント
感想分析
をより細部にわたり理解し,楽曲全体を味
鑑
わって聴き取っている。
賞 ・楽曲の構成の豊かさや表現の多様さから楽
の
曲全体を味わって聴き取っている。
能 ・表現要素によって生み出される曲想の変化
力
を理解して楽曲全体を聴き取っている。
・表現要素と曲想の変化との関連をより細部
にわたり理解し,楽曲全体を聴き取ってい
る。
・ 音楽の特徴や特質を,その音楽の生まれた
時代や地域の文化・歴史とのかかわりを理
解し楽曲全体を聴き取っている。
かな響きを感じ取る。
5 授業設計・評価計画(4時間)
時
1
活 動 内 容
評価規準
1 惑星の「火星」と「木星」を聴い
①②
て,管弦楽の豊かな響きを感じ,
指:
「惑星」の「火星」の冒頭の変拍子の部分と「木星」の Andante Cantabile の部分を,比較しな
がらイメージして聴くように指示する。
補:十分にイメージをもつことのできない生徒のために,繰り返し聴けるようにCDやMDを準備して
自由にイメージをもつ。
・何かが迫ってくるイメージ
おく。
・宇宙空間のイメージ
評:自分のイメージをもとうと集中して鑑賞しているかどうかなど様相や感想文から評価する。
1
2 「展覧会の絵」の「グノーム」
③
と「卵の殻をつけたひなどりのバ
レエ」をイメージしながら聴き,楽
指:管弦楽の豊かな響きを感得するために,木管アンサンブルや金管アンサンブル,弦楽合奏との音
曲の特徴的な構成要素や表現要素
色の違いなどを比較して鑑賞する。
をとらえてイメージをふくらませ
補:視覚的な面から,楽器の編成の違いについて気づくように,アンサンブルや管弦楽のスコアを提
示し,惑星の豊かな響きが,楽器編成の大きさにも要因があることに気づかせる。
評:管弦楽が作り出す豊かな響きを感じ取っているか感想分析を行う。
る。
・
「グノーム」の旋律から醸し出さ
れる怪しい雰囲気
・
「卵の殻をつけたひなどりのバレ
エ」の細かいリズムから小さな
ものが動く様子
1
④
3 「展覧会の絵」の原曲であるピ
アノ演奏と管弦楽などの演奏と聴
き比べ表現効果の違いを味わう。
1
・原曲(ピアノ)は繊細な感じ
・管弦楽はダイナミックな感じ
指:
「グノーム」と「卵の殻をつけたひなどりのバレエ」を聴いて自由にイメージするように指示する。
さらに,楽曲を構成している音楽的要素には,おもに作曲した人によって決められる構成要素と演奏
家によって決められる表現要素の2つの側面があることを気づかせ,イメージをしたものがどの音楽
的要素をとらえているか,考える。楽曲の特徴に着目し,生徒同士の意見を交換する事で,自分では
気づかなかったイメージが広げていけるようにする。
補:
「音楽は何の組合わせでできているか,考えてみよう。
」という発問を行い,音楽の要素について意
見を出すよう促す。
補:着目した要素と「感じたことやイメージしたこと」を書き込んだプリントを班やグループで交換し,
自分も「そう思う。
」ことや「なるほど。
」と思うことなどに色を変えてアンダーラインをひく。再度
楽曲を鑑賞することで,イメージをひろげることができるようにする。
評:イメージを思い浮かべて聴くおもしろさを感じている。ということを管弦楽の豊かな響きや楽曲を
構成している要素と結びつけることができているかどうか,様相チェック,学習プリントや感想の中
から評価する。
4 「はげ山の一夜」を鑑賞する。
・表現している情景を想像する。
指:表現効果の違いや編曲によって醸し出すおもしろさやそれぞれのよさを気づかせるために,
「展覧会の絵」
のピアノ演奏と,管弦楽に編曲されたものを聴き比べる。
補:ピアノ演奏や管弦楽だけではなく,パイプオルガンやシンセザイザーによる演奏のCD等も準備し,シ
ンセサイザーと管弦楽など,それぞれのコーナーを作って自由に視聴できるよう準備する。
評:演奏形態の違いによる表現効果の違いを感じ取っているかどうかを,鑑賞している様相や学習プリント
から評価する。
6 評価の実際
(1)評価規準①の評価
評価規準
自分のイメージをもとうと集中して鑑賞している。
(関)
評価方法
様相チェック,感想分析
評価時期
第1時
期待する姿(シンプトム)
・音楽にひたって鑑賞し
評
ている。
価 ・リズムや拍子を感じ取
基
って曲を鑑賞してい
準
る。
・自分のイメージを想像
し,説明ができる。
A
<鑑賞中の様相チェック>鑑賞中の様相をメモしたものである。
B
・楽曲の特徴を聴き分 ・楽曲の特徴を感じ取っ
け,音楽にひたってい
て鑑賞している。
る。
・楽曲の特徴を感じ取
・楽曲の雰囲気から自分
って,自分のイメージ
のイメージを想像する
を想像することがで
ことができる。
きる。
<楽曲の感想と授業後のふりかえりの感想分析>
○音楽的な要素に特徴のある他の楽曲を例にあげ,
「この曲にはどんな特徴が
補
A
あるか。
」という発問を行い,意見を出させて,特徴をあげる例を示す。
(第
1時)
○実物投影機で生徒の書いたイメージを映し出す。
(第1時)
説
○友人と話し合い,付け加えた意見は学習プリントに赤で記入するように指
示する。
(第1時)
○MDやCDで繰り返し鑑賞できるようにしておく。
(第1時)
○作曲者が思い描いていた「占星術の象徴的な表示」を提示する。
(第1時)
B
評価規準①については,鑑賞時の様相チェックや学習後の感想分析を資料として,評
価を行った。様相チェックでは,第1時,第2時のクラス全体での音楽鑑賞時の表情や
様子で顕著なものを記録し,評価の資料とした。また,鑑賞している時だけではなく,
生徒同士の意見交換や教師の発問に対しての答えや様相も評価の資料とした。感想分析
では,評価の規準の「集中して鑑賞している」という部分から,楽曲のイメージを表現
した感想と,集中して聴いていたかという自己評価の感想との両方の側面から感想分析
を行った。
C
評価規準②の評価については,学習後の感想分析によって評価を行った。
評価では,OAとOMについては鑑賞曲に興味を示し,イメージも自分なりの表現を
行っている。鑑賞時には何度も繰り返しMDを聴き,自分なりのイメージをもとうとい
<学習後の感想分析>下記の感想をそれぞれABCと評価した。
A
う行動が見られた。また,聴くことに集中していたことが,本時の感想から読みとれる
のでAの状況であると評価した。SNのようにイメージはもてたが,聴くことに集中で
きていない生徒や集中してきいていたものの,具体的なイメージが持てない生徒に関し
てはBの状況と評価を行った。AKとITについては,イメージを具体的にする事がで
きなかったことと,楽曲を漠然ときいており,学習後の感想も,
「ずっときいていると,
B
C
同じようにきこえてくる」という点から聴くことに関して消極的であるのでCの状況と
とらえた。またCの生徒は授業後に「どうして歌唱より鑑賞のほうがいやなのか」をき
くと,
「自分の書いていることが,あっているのかまちがっているのかわからないから。
」
「自分のイメージしたことを,友達に見られると恥ずかしい。
」という言葉が返ってき
たので,イメージには正解や不正解はないこと,同じようなイメージをもっている人が
学習後の感想から,Aの感想を書いた生徒は吹奏楽との比較の中から管弦楽の低音部
いたことや,個性の話などを行い,次の授業の示唆をおこなった。
の豊かな響きをとらえているのでAの状況とし,Bの感想を書いた生徒は吹奏楽と管弦
(2)評価規準②の評価
評価規準
管弦楽の豊かな響きを感じ取っている。
(感,鑑)
楽の全体の雰囲気をとらえているのでBの状況ととらえた。Cの感想を書いた生徒は管
評価方法
感想分析
弦楽の音が複雑に絡み合っていることは感じているものの,その様子や変化を音の大小
評価時期
第1時
ととらえている。したがって「管弦楽の豊かな響きを感じ取っている」ということには
期待する姿(シンプトム)
A
・管弦楽の豊かな響き
・管弦楽がつくりだす
B
・管弦楽が作り出す豊
不十分なのでCの状況であるととらえた。しかし,Cの生徒を含め,管弦楽の深い響き
を感じながらその言葉にできない部分や,感受の面でのAとB,BとCの微妙な違いを
豊かな響きを感じ取
かな響きを感じ取ろ
判断することに困難を極めた。このことから,感想記述中の生徒の様子や,発問などの
価
り,それを醸し出して
うとしている。
受け答えの様子,響きを感得するための活動の様子等も加味して総合的に評価すること
基
いる構成要素や表現
が必要であると考えた。以下は授業中にとらえた生徒の様相の一部である。上記のCの
準
要素についてとらえ
生徒は会話の中から音の大小だけではなく響きをとらえようとしている姿が見られた
ようとしている。
ので,Bの状況であると評価した。
評
を楽しんでいる。
○管弦楽と弦楽合奏など,演奏形態の異なったものを,音色や和音の響きに
着目して聴き比べるようにCDやMDを準備する。
(第1時)
補
○管弦楽そのものの響きの違いを感得するために,古典派と近・現代の作品
など,異なった時代の管弦楽を聴き比べ,響きの違いを感じさせる。
(第1
時)
○楽器の編成の違いを視覚的に判断できるように,弦楽合奏や管弦楽などの
説
編成の異なったスコアを提示する。
(第1時)
○惑星の中でも,
「木星」冒頭の管楽器と弦楽器が重なり合っている部分と,
Adagio Cantabile の弦楽器が中心となっている部分など,楽器の編成が
異なった部分で比較鑑賞ができるように,楽曲の部分を録音したMDを準
備する。
(第1時)
<楽曲を鑑賞中の生徒の様子や会話より>
(3)評価規準③の評価
た。
評価規準
イメージを思いうかべて聴くおもしろさを感じている。
(感・鑑)
<学習プリントの分析>
評価方法
学習プリント,発言チェック
学習プリントに記述したものを授業後に評価し,それぞれをABCと判断した。
評価時期
第2時,第3時
A
期待する姿(シンプトム)
A
B
評
・ 楽曲のもつイメージ
・ 自分が想像したイメ
・ 自分が想像したイメ
価
を積極的に記述して
ージを構成要素や表
ージを構成要素や表
基
いる。
現要素と結びつけ,
現要素と結びつけて
準
・ それぞれの楽曲に豊
構造的に理解し,説
説明することができ
かなイメージを持っ
明することができ
る。
て鑑賞している。
る。
・ 音楽を聴いて想像す
B
る面白さを感じてい
る。
・構成要素や表現要素が ・構成要素や表現要素が
生み出す曲想を感じ
生み出す曲想を感じ
取り,イメージをだし
取ることができる。
あい,さらにふくらま
せることができる。
○前時の授業での活動を思い出し,曲を聴いてイメージを出し合い,班で話
補
し合いを設定する。
(第 2 時)
C
○学習プリントを交換し読み,同感する部分などに,ラインを引く。(第 2 時
説
間)
○班でのプリント交換によって,よいものを実物投影機で提示する。(第 2 時,
第 3 時)
○楽曲を繰り返し聴いて,イメージをしたり,音楽的な要素と結びつけたり
できるように班ごとにMDやCDを準備する。(第 2 時,第 3 時)
○作曲者の作曲の意図を紹介する。但し,自分たちのイメージは作曲家と同
じ必要はないということを説明する。(第 2 時)
○「展覧会の絵」の元になった絵を提示する。(第 2 時間)
ここでは,鑑賞後の生徒同士の意見交換などでの発言チェックと,学習後のプリント
による評価を行った。発言チェックでは,授業時間で全ての生徒の発言を聴き取ること
は難しいので,特に目立った発言をメモし,学習プリントを補うような形で評価に加え
以上は生徒の学習プリントの中から抜粋したものである。ほとんどの生徒が自由なイ
メージをもち,お互いに意見交換することによって音楽的な要素と自分のイメージを結
びつけることができていた。Aの生徒は自分のイメージをもち,音楽的要素と結びつけ
けられることができている。さらに,イメージが複数の要素と絡んでいることや,
「こ
れに低い音色を加えればジャンヌダルクのような絵も想像できる。
」というようにイメ
ージを広げている点からAの状況であると評価した。Bの生徒はイメージと音楽的な要
素が結びついており,その要素から醸し出されている雰囲気をとらえることができてい
るのでBの状況であると評価した。また,Cの生徒はイメージをたくさんもっているも
のの,結びつけられた要素に根拠が感じられない。例えば,
「お城から逃げていく」イ
メージは「形式が激しい」と結びつけけられている。このような生徒が何人かいたので,
補説,実物投影機で評価Aの生徒の書いたプリントを写しだし,この根拠性についてあ
らためて考えさせたが,その関係をとらえることができなかったのでCの状況であると
とらえた。
(2)評価規準④の評価
評価規準
演奏形態の違いによる表現効果の違いを感じ取っている。
(感・鑑)
評価方法
学習プリント
評価時期
第3時
期待する姿(シンプトム)
評
価
基
準
補
A
C
B
・演奏形態の違いによる ・演奏形態の違いに気づ
き,楽曲の雰囲気を味
特徴をとらえそれぞ
わっている。
れの良さを味わって
いる。
○「展覧会の絵」の演奏形態の違ったCDやMDを準備する。
(第3時)
○1つの楽器の音色に着目するように,独奏演奏の比較鑑賞を行う。
(第3時)
○同じ楽曲で異なった演奏形態のLDを視聴する。
(第3時)
説
ここでは学習プリントを通して評価を行った。原曲が同じで演奏形態の違うものを聴
き比べ,同じ部分と違う部分について記述するように指示した。演奏形態の違いによっ
て表現効果も変わるということを,ほとんどの生徒が特徴をとらえることができた。一
方で原曲が同じ曲であると判断できなかった生徒も数名いた。
以下は生徒の学習プリントの一部からとりあげたものである。
<生徒の学習プリントから>
A
Aの生徒は2曲の原
曲が同じで,演奏してい
る楽器が違うというこ
とに気づき,それぞれの
おもしろさを学習プリ
ントに記述していたの
で,Aの状況ととらえた。
また,Bの生徒は旋律が
共通していた点はあげ
ているが,その違いがどこから現れているのかが,とらえられていないので,Bの状況
と評価を行った。Cの生徒は,それぞれのイメージを書いている。また,同じような速
度であるという点は着目できているが,旋律への気づきがない点から,Cと評価した。
このあと,補説の様々な演奏形式での「展覧会の絵」の数曲を聴き,編曲や編成の違い
などの理解を深めた。Cの生徒は,全体での鑑賞時には同じ楽曲を異なった演奏形態で
演奏していることに気づ
かずに鑑賞していたが,C
DやMDを自由に聴く活
動の中で,はじめに聴いた
2曲についても同じ楽曲
であることや,楽器の違い
や音色の違い,編曲の違い
でそれぞれのおもしろさ
を感じていることがわか
ったので,評価を再検討し,
評価をBの状況であると
判断した。
7 指導・評価についての考察,次回実践への課題
本題材では, 楽曲が表現している情景を豊かに想像し,イメージを思いうかべて聴
くおもしろさを感じ,管弦楽と合唱の融合や,変拍子などの近代・現代の音楽特徴を感
じ取る。ということを目的とした。そのために,次のような評価規準を設けた。
はじめに評価規準①の「自分のイメージをもとうと集中して鑑賞している(関)
」で
は多くの生徒が熱心に聞き入る姿がみられた。しかし,
「イメージはあるのに表現でき
ない生徒」からいかに表現できる力を引き出すか,その力をどのような方法で評価して
いくかということが課題となった。また,
「自分のイメージをもとうと集中して鑑賞し
ている。
」という基準では楽曲を鑑賞して感じ取っていることについての感想と,イメ
ージをもとうと集中しているかどうかという自己評価や自己分析をおこなうための感
想も合わせて評価した。しかし,生徒の感想の中から集中しているかどうか判断しがた
い部分もあるので評価方法の工夫をおこなっていく必要があると考えた。
評価規準の②では「管弦楽の豊かな響きを感じ取って聴いている。
」では管弦楽の響
きを他の編成と比較し鑑賞した。
「惑星」の幅のあるオーケストレーションは,多くの
生徒に「かっこいい」や「深い」といった思いを抱かせたようであるが,どの程度の感
じ方であるのか,判断に苦慮した。評価規準③の「イメージを思いうかべて聴くおもし
ろさを感じている。
」では,これまでの鑑賞の方法とは違って,イメージしたものを再
び振り返るような学習を行った。今回の授業では,音楽をさらに構造的にとらえるため,
音楽の構成要素や表現要素の 2 面的な側面からイメージを分析した。無意識にとらえて
いたものを意識することでさらに音楽に対する考えが一歩踏み込んだものになった。し
かし,評価としては,Cの状況の生徒をどの段階で(時間)でCと判断するか,手だて
を行い,評価を再検討したが,再検討の場面や時期についても,さらに考えていく必要
があると感じた。最後の評価規準④では「演奏形態の違いによる表現効果の違いを感じ
取っている。
」ということについて評価を行った。異なった演奏形態でのCDを聴き,
表現要素の違いによって醸し出されるそれぞれの魅力をとらえた。この規準においても
授業の経過の中でどの時点で評価していくのか,評価の見直し等考えていく必要がある
と考えた。全体を通して,感想や学習プリントから生徒の本質的な音楽の能力を見抜く
力が教師側に要求されていることに,改めておもさを感じた。さらに,
「感じる,イメ
ージする,考える。
」ということをどのような規準を設けて評価するか,評価の規準や
生徒の観察方法,評価規準を判断するための方法などということに関しても多面的に考
えていく必要があると思われる。
第2学年
1
目
○
○
2
題材「詩と旋律の流れ」評価実践事例
標
詩の内容と旋律の流れを感じ取って,詩情豊かに歌おうとする。
旋律の反復や対照,記号の意味を理解して表現する。
教
材
「夏の思い出」
3
p 音 -19
江間章子
作詞
中田喜直
作曲
学習指導要領との関連
◎
歌 詞 の 内 容 や 曲 想 を 味 わ い ,曲 に ふ さ わ し い 歌 唱 表 現 を 工 夫 し て 歌 う
こと。
A( 1 )ア
○ 曲種に応じた発声により,美しい言葉の表現を工夫して歌うこと。
A( 1 )イ
○ 音 色 ・ リ ズ ム ・ 旋 律 ・ 和 声 ・ 音 と 音 と の か か わ り 合 い・ 形 式 な ど の 働
きを理解し,表現を工夫して歌うこと。
A( 1 )キ
○ 速 度・強 弱 の 働 き に よ る 曲 想 の 変 化 を 理 解 し て ,表 現 を 工 夫 し て 歌 う
こと。
A( 1 )ク
4 題材の評価規準・評価方法
関連する内容のまとまりご
題材の評価規準
評価方法
との評価規準
関
心
・
意
欲
・
態
度
・歌 詞 の 内 容 や 曲 想 ,曲 種 に
応じた発声や美しい言葉
の 表 現 ,声 部 の 役 割 や 全 体
の 響 き に 関 を 持 ち ,曲 に ふ
さわしい歌唱や合唱の表
現をすることに意欲的で
ある。
①詩情豊かに表現の
工夫をする。
様相チェッ
ク
発言チェッ
ク
学習プリン
ト分析
感
受
・
表
現
の
工
夫
表
現
の
技
能
関連する内容のまとまりご
との評価規準
題材の評価規準
評価方法
・音 楽 の 構 成 要 素・表 現 要 素
理 解 し ,そ れ が 生 み 出 す 曲
想の美しさを感じ取って
いる。
・歌詞の内容や曲想の味わ
い ,曲 種 に 応 じ た 声 や 言 葉
の 特 性 ,声 部 の 役 割 と 全 体
の響きの調和を感じ取っ
ている。
・歌詞の内容や曲想の味わ
い ,曲 種 に 応 じ た 声 や 言 葉
の 特 性 ,声 部 の 役 割 と 全 体
の響きの調和を感じ取っ
て歌唱や合唱の表現を工
夫している。
・歌 詞 の 内 容 や 曲 想 ,曲 種 に
応じた発声や言葉の特徴
を 生 か し て ,曲 に ふ さ わ し
い歌唱表現をする技能を
身に付けている。
・声 部 の 役 割 を 生 か し ,全 体
の響きに調和さて合唱表
現をする技能を身につけ
ている。
②曲の流れを大切に
して表現する。
③歌唱を通してリズ
ムの特徴,形式の
特徴を感じ取り,
表現する。
④曲想と諸記号の関
係をとらえて,表
現 に 生か し てい
る。
①詩情豊かに表現の
工夫をする。
表現内容
チェック
学習プリ
ント分析
表現内容
チェック
表現内容
チェック
様相
チェック
発言
チェック
様相
チェック
①詩情豊かに表現の
工夫をする。
発言
チェック
5
時
1
授業設計・評価計画(2時間)
ねらい・活動内容
評価規準
①
1「夏の思い出」に関心を持ち,情景を
想像する。
・ 曲 の イ メ ー ジ( 色 ,風 景 ,場 面 )
1
2
歌詞の内容と曲想や言葉の特徴に
つ い て 理 解 を 深 め ,歌 唱 表 現 を 工 夫 す
る。
・作曲者の目線や思いと風景
3
曲の旋律進行の特徴と旋律の反復・
変化による構成を生かして歌唱表現
を工夫する。
・フレーズ(曲の構成)と表現
4
・
まとめの合唱をする。
日本の詩情
②
③
④
②
④
①
※
指 :指導の手だて
補:補説
評:評価
指:範唱CDを提示する。
歌詞中のわからない言葉を理解させ,曲の概要をとらえさせるため,歌詞を繰り返
し朗読するよう指示する。
曲を聴いたり歌ったりして,自分の感じた最初のイメージ及びその根拠となる曲の
要素を学習プリントに記入するよう促す。
尾瀬の映像(ビデオ)を見せるが,イメージを広げさせるために,イメージ画や文
を書かせた後に提示する。
補:絵や文を描くことの苦手な生徒のために,絵の上手・下手を評価するのでなく,自
分のイメージを絵や文で表現できているか,その絵や文の根拠をはっきり発言する
ことができるかが大切であることを伝える。
評:イメージ画や文を描く様子を様相チェックでとらえる。また,描いた絵や文の内容
その根拠となるものを文や言葉で表現できるかを発言や学習プリントから評価する。
指 :「 み ず ば し ょ う の は な が さ い て い る 」の 部 分 を 取 り 出 し て 美 し い 言 葉 の 表 現 と そ れ に
伴う強弱などを工夫して歌うよう指示する。
言葉の特性(抑揚・アクセント・リズム・語感・濁音・鼻濁音)に注意して,歌詞全
体を朗読させた後、自分のイメージや感情を生かして歌うようにする。
補:表現の苦手な生徒には質問することにより,できるだけ発表する機会を与える。
指: 最 初 と 最 後 の「 は る か な お ぜ と お い そ ら 」を 比 較 し ,後 の 方 に は な ぜ 跳 躍 進 行 が 使 わ れ
るのかを想像して発言させ,表現を工夫させて歌わせる。
曲 全 体 の 旋 律 の 構 成 ( a a b a´ ) を 理 解 さ せ る た め に , 反 復 さ れ て い る 旋 律 , 変 化 し
ている旋律を確認するよう指示する。
一つの構成要素についてとらえさせたら,表現してみることを繰り返し指示する。
旋 律 の 進 行 や 構 成 と 曲 想 の か か わ り に つ い て 自 分 の 考 え を 持 っ て ,ど の よ う に 表 現 を 工
夫したらよいか話し合う場を設定する。
補:学習プリントの内容が理解できていない生徒については,記入時に巡回し,繰り返し
内容をわかりやすく説明する。
評:歌っている様子や考えている様子,質問に対する発言や学習プリントから評価する。
補:「夏の思い出」と関連させて、尾瀬の自然保護や環境について簡単に触れる。
6 評価の実際
(1) 評 価 規 準 ① の 評 価
評価規準
詩情豊かに表現の工夫をする。
評価方法
様相チェック,発言チェック,学習プリント分析
評価時期
第1時
期待する姿(シンプトム)
A
B
評 ・積極的に範唱を聴き, ・自己のイメージや感 ・自己のイメージを生
価
情の根拠を歌詞や
かして,詩情豊かに
詩情をとらえよう
基
としている。
曲の仕組みの中に
表現の工夫をする。
準 ・曲想に関心を持ち,
見つけ,詩情豊かに
自分のイメージや
表現の工夫をする。
感情の根拠を曲の
仕組みの中に見つ
けることに意欲的
である。
補
説
○
○
○
イメージを絵や文で描く学習プリントを提示する。
尾瀬沼の風景・水芭蕉の花の説明をビデオで視聴させる。
イメージした絵や文が相手に伝わるようていねいに書くことを指示す
る。
○ イメージした絵や文をその根拠をもとに発表させる場を設定する。
◎ 自分のイメージを出し合う班ごとの話し合いの場の設定をする。
ここでは,様相チェック・発言チェックで目立ったものを記録簿に記録し,評価に活用
した。
イメージ画や文を書く活動の中で,生徒はそれぞれに真剣な姿で考えたり書いたりして
いた。そのため,今回Cの状況の生徒がいなかったととらえた。AかBかの判断は,歌詞
や音楽からその絵や文が想像できるものをAの状況である判断し,歌詞の内容からは離れ
たもの,曲名だけでイメージしたものをBの状況である判断した。例として,右図の中で
Ⅰ・Ⅱ・Ⅳを描いた生徒はAの状況,Ⅲを描いた生徒はBの状況であると判断した。
評 価 規 準 ① の 評 価 に つ い て は ,様 相 チ ェ ッ ク ,発 言 チ ェ ッ ク と 学 習 プ リ ン ト
の 3 つ の 評 価 方 法( 素 材 )を 取 り 上 げ ,総 合 的 に 判 断 し て こ の 規 準 に つ い て の
評価を行った。
<様相チェック,発言チェックで活用した座席表>
<学習プリント分
析>
イメージ画もし
くは文とその根拠
となることについ
ての学習プリンを
評価した。下はそ
れぞれA,B,C
と評価した例であ
る。
Ⅰ
Ⅱ
Ⅰは,しっかりと歌詞を読みとり,イメージをつかんだ文章で,絵も夏を一生懸命思い出
す様子を捉えているため,Aの状況であると判断した。
Ⅱ も ,歌 詞 に 出 て く る 文 章 を も と に イ メ ー ジ を は た ら か せ ,霧 の 中 に 浮 か び く
る 様 子 を 克 明 に と ら え て い る の で , Aの状況であると判断した。
Ⅲ
Ⅳ
Ⅲ は,熱心に描いていたが,歌詞と絵の関連性がなく夏というイメージだけで絵を描い
たので,Bの状況であると判断した。
Ⅳ は ,繰 り 返 し 歌 詞 を 読 み と る 姿 が あ り ,文 章 を も と に イ メ ー ジ を は た ら か
せ , 歌 詞 の 情 景 , 雰 囲 気 を よ く 感 じ 取 っ て い る の で , Aの状況であると判断した。
(2)評価規準②の評価
評価規準
曲の流れを大切にして表現する。
評価方法
表現内容チェック,学習プリントチェック
評価時期
第2時
評 期待する姿(シンプトム)
A
B
価
・旋律の持つ方向性, ・旋律の流れを大切に
基
音のつながり方,フレ して表現している。
準
ーズの作り方を意識
して表現している。
○ 曲想の変化する箇所に注目させ,いくつかの部分に分けて感じ取らせ
るようにする。
補 ○ 範唱とともに歌わせたりピアノ伴奏で歌わせたり,より表現しやすい
ように配慮する。
説 ○ ブレスの位置や音符の長さを確認させるための発問を行う。
○ 歌詞とフレーズとの関係を確認させるために学習プリントに記入する
よう指示する。
○ 順次進行が続く中で,3度の進行が出てきた効果について発問する。
フレーズは2小節単位と答えた生徒も4小節単位と答えた生徒も両者とも理解している
ものとみなした。
フレーズを理解しているかどうかは,質問に対する答えによって判断したが,それだけ
では不十分のため,③の評価時プリントの中からも判断した。そのためここでの評価方法
は,表現内容チェックだけでは不十分で,学習プリント分析も必要であることが課題とし
て出てきた。また,ブレスの位置の把握については,質問に対する答えやブレスをしてい
る体の動きより判断した。下図を見てもわかるように,表現力の乏しい生徒以外はほとん
どクリアしている。
3つ以上をクリアしたものをAの状況であるとし,1∼2個クリアしたものをBの状況
であると判断した。
今回はこのようにねらいをクリアした数で量的評価を行ったが,この量的評価が果たし
て妥当であったかは,課題が残る。
教師の観察による評価は,教師の評価観が問われ,評価の客観性を必要とする。
(3)評価規準③の評価
評価規準
歌唱を通してリズムの特徴,拍子の特徴,形式の特徴を感じ取
り,表現する。
学習プリント分析,表現内容チェック
評価方法
第2時
評価時期
期待する姿(シンプトム)
A
B
評
・拍子のまとまり感, ・拍子のまとまり感,
価
リ ズ ム パ タ ー ン の 反 リズムパターンの反復
基
復や変化,形式などの や変化に気づいて表現
準
表 現 効 果 を 生 か し て を工夫している。
表現している。
○ 言葉の特性をとらえさせるため歌詞を繰り返し読むよう指示する。
補 ○ 鼻濁音に○をつけるなど,書き込みながら読ませるために,縦書きの
歌詞を準備する。
○ 反復されている旋律,変化している旋律を確かめさせて,曲全体の旋
説
律の構成を理解させための学習プリントを提示する。
○ 旋律線のもつ方向性に気づかせるため学習プリント記入の指示を行
う。
どの質問項目も全く違ってとらえていた者,白紙の状態に近いものをCの状況であると
判断した。これは数名いた。Cの状況の生徒は,プリント中の楽譜だけではフレーズを理
解できなかったため,教科書の歌詞の部分をあわせて見るよう指示した。その結果,積極
的にプリントに取り組む姿が見られ,フレーズを理解できるようになったため,Bの状況
であると評価した。
プリントの質問事項が2∼5個できているものをBの状況,6∼7個できている者をA
の状況であると判断した。
ここでも,前回の②と同じく量的評価を行った。
表現内容チェックでは,座席表に様相チェックしたものを記入していったが,全般的に
女子にAの状況の生徒が多い。
ピアノ等を習っている生徒もおり,読譜力が男子より優れているからであると思われる。
男子は一生懸命に歌っているが特徴を感じて歌うまでには至ってない生徒が大半であっ
た。男子ももっとゆっくり時間をかけて歌い込むと,Bの状況がAの状況になる生徒も多
くなると予想される。
左の生徒は,すべて問題をクリアしているのでAの状況あると判断した。
右の生徒は,7問中5個正解であるのでBの状況であると判断した。
(4)評価規準④の評価
評価規準
曲想と諸記号の関係をとらえて,表現に生かしている。
評価方法
表現内容チェック
評価時期
第2時
評 期待する姿(シンプトム)
A
B
価
・諸記号の意味を理解 ・諸記号の意味を理解
基
しそれを生かした表 し表現に生かしてい
準
現に工夫をしている。 る。
補 ○ 「みずばしょうのはながさいている」の部分を取り出して,美しい言
葉の表現とそれにともなう強弱などをつけさせ,実際に歌ってみる。
○ 最初と最後の「はるかなおぜとおいそら」の部分を速度や強弱などを
変化させ,表現を工夫を行うことを指示する。
説
○ 意見交換のできる場の設定を行う。
○ 考えたことを実際に行ってみる場の設定を行う。
ここでも③の時と同じように,男女で大きく差が出た。
機械的に記号の読みと意味はわかっていても,なかなかそれが曲想に合うように生
かせるまでには時間の確保が必要である。
感じたことを素直に表現できる表現力を,いろいろな場面でつけていかなければい
けないことが課題である。下図の中のアをBの状況,イをCの状況,ウをAの状況で
あると判断した。
7
指導・評価についての考察,次回実践への課題
本題材では,我が国で長く親しまれている歌曲の歌詞の内容や曲想,言葉の表現や旋律
の特徴に関心を持たせ,曲にふさわしい歌唱表現に意欲的に取り組ませること。歌詞の内
容や曲想,美しい言葉の表現や旋律の特徴を感じ取らせ,曲にふさわしい歌唱表現を工夫
させること。歌詞の内容や曲想,美しい言葉の表現や旋律の特徴を生かして,曲にふさわ
しい歌唱表現をすることをねらいとして指導し,題材を通して4つの評価規準を設定した。
評価規準①の「詩情豊かに表現の工夫をする(関・感)」については,詩や音楽から浮
かぶイメージを絵や文で書かせ,発表させたが,描かせる作業に予想よりはるかに時間が
かかり,1時間の中で表現を工夫するところまで至らなかった。また,お互いの発表はO
HPを使って行うことができたが,発表までの取り組み過程の中で,もっと他者との意見
交換の時間をつくり,他者のイメージから刺激を受ける部分が必要であった。じっくりイ
メージをわかせる時間や意見交換の時間確保の必要性を感じているが,限られた総時間数
の中で実際には時間配分が大変難しい。年間計画35時間の位置づけの中で取り扱ってい
くことが必要である。
評価においては,イメージ画や文を描く活動中の取り組み姿勢。上手・下手ではなく,
絵や文に自分のイメージが出せているかどうか,そのイメージの根拠を説明することがで
きるかどうかに視点を置いた。ここでは,子どもにイメージを説明する場を設けたが,書
くことには苦手であるが少ない言葉で表現できる子もいる。「対話,会話による方法」で
子ども達のつぶやきを大事にし,教師のひと言で気持ちを述べやすい雰囲気をつくること
を配慮した。
評価規準②「曲の流れを大切にして表現する(表)」については,この曲を以前より知
っている生徒が多いだけに多くの生徒がBの状況に達していた。今後はBの状況の生徒を
Aの状況へと引き上げる手だての工夫が必要である。 評価規準③「歌唱を通してリズム
の特徴,拍子の特徴,形式の特徴を感じ取り,表現する(表・感)」についても,Bの状
況に達した生徒が多く見られた。特に形式の特徴をつかんでいる生徒が多く,これは,「反
復されている旋律,変化している旋律を確かめさせて,曲全体の旋律の構成を理解させる」
という補説が有効であったためと考える。
評価規準④「曲想と諸記号の関係をとらえて,表現に生かしている(表)」については
「みずばしょうのはながさいている」「はるかなおぜ とおいそら」の部分で多様な表現
が出てきた。これは評価規準①の補説で行った「意見交換のできる場の設定を行う」こと
で効果があったと考える。
以上のことから,次回実践への課題として,生徒同士の意見交換の場の設定,じっくり
考えさせたり,表現させたりする時間の確保があげられる。
第1学年
題材「ギターを楽しもう」評価実践事例
p 音-33
関連する内容のまとまりごとの評価規準
題材の評価規準
評価方法
受
・音楽の構成要素・表現要素を知覚し,そ
⑤全体の響きの美
演奏チェック
感想分析
感
1
2
目
標
○
ギターの特徴や音色・奏法に関心をもち,演奏する楽しさを味わう。
・
れらが生み出す曲想や美しさを感じ取っ
しさを感じ取り,
○
曲にふさわしい奏法や声部の役割を生かし,全体の響きを感じ取って曲想表現
表
ている。
合奏を工夫する。
を工夫する。
現
教
材
「四季の歌」
3
荒木
とよひさ
作曲
「禁じられた遊び」
スペイン古謡
学習指導要領との関連
◎
楽器の基礎的な奏法を身に付け,美しい音色を工夫して表現すること。
A(1)ウ
○
声部の役割を感じ取り,全体の響きに気を付けて合唱や合奏をすること。
A(1)エ
○
音色,リズム,旋律,和声を含む音と音とのかかわり合い,形式の働きを
感じ取って表現を工夫すること。
○
A(1)キ
速度や強弱の働きによる曲想の変化を感じ取って表現を工夫すること。
A(1)ク
4
題材の評価規準・評価方法
関連する内容のまとまりごとの評価規準
関
題材の評価規準
①ギターの音色に
心
関心を持つ。
評価方法
様相チェック
発言チェック
・
・楽器の基礎的な奏法や楽器の美しい音色,
意
声部の役割と全体の響きに関心をもち,
欲
器楽や合奏の表現をすることに意欲的で
②ギターの基礎的
様相チェック
・
ある。
な奏法に関心をも
発言チェック
態
ち,意欲的に演奏に
学習記録カー
度
取り組んでいる。
ド分析
学習記録カー
ド分析
・楽器の基礎的な奏法や楽器の美しい音色, ⑥ 声 部 の 役 割 を 生
の
声部の役割と全体の響きを感じ取って器
かし,豊かな音で
工
楽や合奏の表現を工夫している。
表現する。
演奏チェック
夫
表
・楽器の基礎的な奏法や楽器の美しい音色
③正しい構えやポ
現
に気を付けて器楽表現をする技能(読譜
ジションで旋律
の
力を含む)を身に付けている。
を演奏する。
技
・声部の役割と全体の響きに気を付けて合
能
奏表現をする技能を身に付けている。
④正しいポジショ
演奏チェック
演奏チェック
ンでコードを演
奏する。
⑥声部の役割を生
かし,豊かな音で
表現する。
演奏チェック
5
授業設計・評価計画(5時間)
時
1
活
1
動
内
容
※
評価規準
ギターの構造や音色の特徴をとらえ
①
る。
2
・6本の弦
・フレット
・甘い音色
・激しい音色
など
音とフレットの関係に気を付けて,旋
②③
律のさぐり弾きをする。
・「禁じられた遊び」
1
3
左手の押さえ方に気を付けながら,旋
②③
律を演奏する。
・「四季の歌」
4
コードの構造を理解し,簡単なコード
②④
指→指導の手だて
補→補説
評→評価
指:「禁じられた遊び」「アランフェス協奏曲」のCD,VTRを提示する。
補:ギターに対する関心が低い生徒,ギターの構造や音色の特徴を十分にとらえることができな
い生徒のために,実物のクラシックギターやエレクトリックギターを提示し,自由にふれる
ことができるようにしておく。
評:「ギターに関心をもつ」という点について,活動中の様相や発言及び授業後の学習記録カー
ドの分析から評価する。
指:「禁じられた遊び」の旋律をさぐり弾きをすることで,ギターの基礎的な奏法に関心がもて
るようにする。
補:ギターの基礎的な奏法に関心がもてない生徒には,先輩が演奏したVTRを提示したり,ペ
アで協力して音をさがしたりするように指示する。
評:「ギターの基礎的な奏法に関心をもち,意欲的に演奏に取り組んでいる」かどうかという点
について活動中の様相や発言及び授業後の学習記録カードの分析で,また,「正しい構えや
ポジションで旋律を演奏する」という点について演奏状況から評価する。
指:第1ポジションの運指とタブ譜の読み方を理解させ,主体的に旋律を演奏できるようにする。
補:うまく演奏できない生徒には,1∼3弦の第1ポジションによる音階を補充指導する。また,
楽器の支え方や弦の押さえ方,弦の弾き方などについて,改善点を直接指導する。
評:「ギターの基礎的な奏法に関心をもち,意欲的に演奏に取り組んでいる」かどうかという点
について活動中の様相で,また,「正しい構えやポジションで旋律を演奏する」という点に
ついて演奏状況から評価する。
を練習する。
・Am,Dm,E
3
5
旋律とコードに分かれ,全体の響きの
バランスを感じながら,二部合奏をす
⑤⑥
指:旋律に合わせてコードが変化することを感じ取らせるため,弾き語りを聴く活動を設定する。
指:各コードのポジションを確認できるように,ダイヤグラム(TAB譜)の見方を説明する,
評:「ギターの基礎的な奏法に関心をもち,意欲的に演奏に取り組んでいる」かどうかという点
については活動中の様相や発言及び学習記録カードの分析で,また,「正しいポジションで
コードを演奏する」という点については演奏状況から評価する。
る。
指:生徒の希望に応じて声部を分ける。全体の響きを感じ取らせるために,合奏を録音して聴き返し,話し合う場を設定する。
評:「全体の響きの美しさを感じ取り,合奏を工夫する」という点については,演奏状況と感想の記述から分析して評価する。また,「声部の役割を生かし,
豊かな音で表現する」という点については,演奏状況から評価する。
6
評価の実際
また,座席表中のメモは,授業中に生徒が「音色の特徴」として学習プリントにメモ
した内容や発言した内容(発)を,授業後付加したものである。
(1)評価規準①の評価
評価規準
ギターの音色に関心をもつ。
事前に構想した期待する姿をふまえて,生徒の様相から,YTは静かにCDを鑑賞し
(関)
評価方法
様相チェック,発言チェック,学習記録カード分析
ていたもののメモを取ったり友だちと意見交換をするような姿が見られなかったので,
評価時期
第1時
補説「CDやVTRを繰り返し視聴したり,自由に楽器に触れたりすることができる場
期待する姿(シンプトム)
A
B
手渡したり,気づいたことをメモしたりするまでには至らなかった。YTの学習記録カ
・CDやVTRを集中し
評
を設定する」を行ったところ,YTは自分で楽器を手にしていたが,すぐに他の生徒に
ードの学習後の感想には「できた」とあったが,これまでの感想にも同じような表記が
て視聴している。
価 ・積極的に楽器に触れて
何度も見られたので,授業中の様相と合わせて結果的にYTはCの状況と判断した。
基
SS,TK,YOはメモを取ったり発言したりする姿が
いる。
準 ・弾き方による音色の違
見られたのでBの状況,YK,MYは積極的に楽器に触れ
いを友だちに説明した
たり自分の気づいたことを説明するといった様相が顕著
りしている。
に見られたので,Aの状況と判断した。
〈YTの感想〉
○これまでのギター体験や鑑賞経験について,自由に発表できる雰囲気
(2)評価規準②の評価
を作る。(第1時)
補
説
○CDやVTRを繰り返し視聴したり,自由に楽器に触れたりすること
評価規準
ギターの基礎的な奏法に関心をもち,意欲的に演奏に取り組んで
いる。
ができる場を設定する。(第1時)
○楽器の構造や音色の特徴について,気づいたり感じたりしたことにつ
いて,班ごとで話し合えるようにする。(第1時)
(関)
評価方法
様相チェック,発言チェック,学習記録カード分析
評価時期
第2時,第3時,第4時
期待する姿(シンプトム)
評価規準①の評価については,様相チェック,発言チェック,学習記録カード分析の
・美しい音を出そうと繰り返
3つの評価方法を取り上げ評価を行った。
し練習している。
〈様相チェック,発言チェックで活用した座席表〉
座席表内のア∼キは,予想される様相
を事前に挙げたもので,次のようになっ
ている。
ア
CDを聴きながら感じたことをメモ
イ
友だちと意見交換
ウ
気づいたことを発言
エ
友だちに助言
オ
VTR,実物に見入る
カ
積極的に楽器に触れる
キ
活動に消極的
評
価
基
準
・演奏に集中し,もう一度演
奏したいと発言する。
・運指表やタブ譜,ダイヤグ
ラムを活用し,主体的に練
習している。
・美しい和音の響きやなめら
かなコード進行を追求し
て,繰り返し練習している。
A
B
○ペアの友だちと相談しながら音をさがしていくように指示する。(第
評価規準
正しい構えやポジションで旋律を演奏する。
○見つけたポジションを自由に発表させ,順次板書していく。
(第2時)
評価方法
演奏チェック
○先輩が演奏したVTRを視聴する場を設定する。(第2時)
評価時期
第2時,第3時
2時)
補
説
(3)評価規準③の評価
○基礎的な奏法の大切さを認知させるために,うまく演奏できない原因
について班で話し合う場を設定する。(第2時,第3時,第4時)
期待する姿(シンプトム)
(表)
A
B
評
・正しい構えやポジシ ・正しい構えやポジシ
評価規準②の評価については,様相チェック,発表チ
価
ョンで,アポヤンド奏
ョンで旋律を演奏す
ェック,学習記録カード分析の3つの評価方法で評価を
基
法あるいはアル・アイ
る。
行った。また,この評価は,第3時,第4時の活動の中
準
レ奏法で旋律を演奏
で吟味・修正を行うように考えた。
する。
左の座席表は第2時及び第3時で用いたもので,評価
○構え方やポジションを友だちと相互確認するように指示する。(第2
規準①と同じように事前に予想される様相を下記のよ
時,第3時)
うに記号で示しておいた。
ア
根気強く音さがし,繰り返し練習
イ
ペアに助言,ペアと協力
ウ
見つけた音を発言,説明
エ
運指表,ダイヤグラムの活用
オ
活動に消極的
○旋律をつかませるため,CDを聴いたり旋律を階名唱したりする場を
補
説
設定する。(第2時,第3時)
○手の部分を拡大した,演奏VTRを提示する。(第2時,第3時)
○教材曲に用いられている音のポジションを音階で確認する。
(第3時)
○練習すべきポイントを明確にさせるため,できない部分を楽譜に記入
するよう指示する。(第3時)
評価規準③の評価については,授業中の演奏チェックで
ここに挙げている生徒はすべてBの様相を示してい
評価を行った。演奏チェックに用いた座席表は,評価規準
たが,KM,NO,AOは,ペアの生徒が弾いていると
②と同時にチェ
きにも一緒にフレットを指しながら音をさがしており,
ックできるよう
正しい構え方→構
MYは見つけた音を発言したり,周囲の友だちに説明している様相を示したのでAの状
に同じシートと
正しいポジション→ポ
況であると評価した。
した。事前に構
アポヤンドあるいはアル・アイレ奏法→奏
また,第3時において様相に変化が見られた場合は,記号に丸印をつけて書き加え,
想した評価基準に則った技能を右の表のように記号で示
吟味を行った。その結果,MOはペアと協力し運指表を見ながら練習を進めていたので
し,第2時でできたものについては○印,第3時でできた
Aと修正した。
ものについては◎印で記録していった。
〈NOの感想〉
〈AOの感想〉
NNは,第2時の終了時点で3項目のどれも満足してお
らず,Cの状況であると判断していたため,第3時におい
て,補説の「構え方やポジションを友だちと相互確認する
ように指示する」及び「練習すべきポイントを明確にさせ
るため,できない部分を楽譜に記入するよう指示する」を
実施した。その結果,正しい構え方はできるようになったものの,1∼3弦にまたがる
○ポジションを友だちと相互確認するように指示する。(第4時)
第1ポジションを理解し旋律を演奏することができなかったのでCの評価とした。KY,
○手の部分を拡大した,演奏VTRを提示する。(第4時)
AOについては,正しい構え方は第2時で身につけていたが,ポジションで迷う部分が
○コードが変わる部分で旋律を区切り,ポジションを確認しながら演奏
あったのでCの状況と判断し,補説「教材曲に用いられている音のポジションを音階で
できるようにする。(第4時)
確認する」を実施した。その結果,跳躍音程意外スムーズに演奏できるようになったの
補
でBの状況に修正した。
また,MYは,アル・アイレ奏法を用いて旋律を演奏していたのでAと評価した。
説
〈補説「練習すべきポイントを明確にさせるため,できない部分を楽譜に記入するよう
○上手に演奏できるコードから旋律に合わせていくよう指示する。(第
4時)
○コードが変わる部分を抜き出して練習する場を設定する。(第4時)
○練習すべきポイントを明確にさせるため,できない部分を楽譜に記入
するよう指示する。(第4時)
指示する」で使用した楽譜〉
◎左手の押さえ方(他の弦に触れていないか,押さえる強さなど)を個
別指導する。(第4時)
評価規準④については,次の座席表を
用い演奏チェックにより評価を行った。
評価規準③と同様に下記のように技能
を記号で示し,できているものについて
第2時の学習では第1弦のみを使って旋律を演奏したため,ほとんどの生徒がBの状
は○印をつけるようにした。
況であったが,第3時の学習で第1∼3弦にまたがる第1ポジションで旋律を演奏する
なお,座席表中のア∼オは,評価規準②
ようになるとBに達することができない生徒が数名みられた。また,Aの状況と判断で
についての第4時における様相チェック
きる生徒は大変少なかった。評価規準②の様相チェックですべての生徒がB以上であっ
である。
たので,評価規準③については,もう少し練習する時間をとっていれば,多様な手だて
コードのポジション→ポ
でCをBに,BをAに引き上げることができたのではないかと思われる。
スムーズなコードチェンジ(進行)→進
豊かな音色→音
事前に構想した評価基準に則り,YU,
(4)評価規準④の評価
MYはコードのポジションを覚え旋律に
評価規準
正しいポジションでコードを演奏する。
評価方法
演奏チェック
でBの状況,他の6名はコードチェンジに時間がかかるのでCの状況であると判断した。
評価時期
第4時
そこで,補説「コードが変わる部分で旋律を区切り,ポジションを確認しながら演奏で
評
価
基
準
期待する姿(シンプトム)
A
(表)
合わせてコードチェンジができていたの
B
きるようにする」「コードが変わる部分を抜き出して練習する場を設定する」を実施し
・正しいポジション ・正しいポジションで
た。その結果,AmとEの間のコードチェンジはスムーズにいくようになったが,Am
で,豊かな音色でス
スムーズにコード
とDmの間のコードチェンジでは,ポジションを確認する間をなくすことができなかっ
ムーズにコードチ
チェンジができる。
た。
ェンジができる。
また,この授業の中で,Aの状況と判断できる生徒は見られなかった。
このことから,評価規準「正しいポジションでコードを演奏する」についての評価基
いで速さやリズムがそろっていたが,メロディーの人数
準B「正しいポジションでスムーズにコードチェンジができる」は,この段階において
が少ないのでコードに押しつぶされそう」と述べたので,
は,
「正しいポジションでコードを演奏する」が適切ではなかったかと思われる。また,
旋律とコードの響き合いを感じ取っており,声部間のバ
評価基準A「正しいポジションで,豊かな音色でスムーズにコードチェンジができる」
ランスを取り上げ,
「旋律声部の人数を増やしたらよい」
は,「正しいポジションで旋律に合わせてコードチェンジができる」が適切ではなかっ
と改善点を指摘していると判断した。また,この生徒は,
たかと思われる。このように,ここでは評価基準の吟味という課題が抽出できた。
1回目の合奏ではコードを演奏したが,2回目の合奏で
は,旋律を演奏したので,具体的に工夫していると判断
(5)評価規準⑤の評価
しAとした。
MYは,「ちゃんと合奏になっていた」という記述に
評価規準
全体の響きの美しさを感じ取り,合奏を工夫する。(感)
評価方法
演奏チェック,感想分析
ついて聞き取りを行ったところ,「速さや音色がそろっ
評価時期
第5時
ていてきれいだった」と述べたので,全体的なまとまり
期待する姿(シンプトム)
A
B
・各声部の音量のバラ ・合奏による音楽の広
評
価
基
準
を感じ取っていると判断し,改善すべき点を指摘し演奏
しようとしてるが,それを練習や表現に具体的に生かし
ンスや音色につい
がりを感じ取り,よ
きれていないので,Bと評価した。
て,よい点や改善点
りよい響きになる
〈感想分析〉
を的確に指摘し,表
よう工夫しようと
現の工夫に生かし
している。
ている。
○旋律だけの演奏と合奏を聴き比べ,その違いについて話し合う場を設
←YHの感想
定する。(第5時)
○各声部ごとの演奏を録音して聴き返し,自分の声部のよい点や改善点
補
説
YUの感想↓
をあげるよう指示する。(第5時)
○改善点について,「どうしたらよりよい演奏になるか」と発問し,各
声部で話し合う場を設定する。(第5時)
○各声部で話し合った工夫点を試してみるよう指示する。(第5時)
評価規準⑤については,右の座席表を用いた授業中の演奏チェックと,自分たちの演
奏を録音して聴いた後の感想を分析して,合わせて評価した。
YHは,合奏としてのまとまりや響き合いを感じ取りながら「コードチェンジ時の間
の大きさ」について「弦が移るときの間が大きい」と的確に指摘し,「AmやDmの指
の位置を確実に覚える」といった具体的な改善方法を記述しており,練習の中でもそれ
を実行していたのでAと評価した。またYUは,感想中の「きちんとコードとメロディ
ーがそろっていた」という記述について授業後に聞き取りを行ったところ,「音がきれ
MYの感想↓
ア
自分の声部を確実に演奏
イ
全体に合わせて演奏
ウ
改善点を練習
評価規準⑤における評価基準Aでは,「各声部の音量のバランスや音色について」と
7
指導・評価についての考察,次回実践への課題
しているが,感想ではコードチェンジや和音の響きについて記述している生徒が多かっ
本題材では,ギターに関心をもち演奏する楽しさを味わわせること,奏法や声部の役
た。これは,前時までの各声部の練習が不十分であったり,補説の「旋律だけの演奏と
割を生かし全体の響きを感じ取って曲想表現を工夫することをねらいとして指導をし,
合奏の聴き比べ」を行う時間的な余裕がなかったためと思われる。このことからも,こ
題材を通して,6つの評価規準を設定した。
評価規準①「ギターに関心を持つ(関)」及び評価規準②「ギターの基礎的な奏法に
の題材における配時の検討が必要であるという課題が抽出できた。
(6)評価規準⑥の評価
関心を持ち,意欲的に演奏に取り組んでいる(関)」については,ほとんどの生徒がB
評価規準
声部の役割を生かし,豊かな音で表現する。(表)
基準以上の様相を示していたが,Aとするための明確で具体的なシンプトムを設定して
評価方法
演奏チェック
おく必要があった。また,評価規準②は「ギターの基礎的な奏法に関心をもち」として
評価時期
第5時
いるが,第1学年のギター導入の段階では,「基礎的な奏法」と限定するのではなく,
期待する姿(シンプトム)
評
A
B
・全体の響きの中で, ・自分の声部を豊かな
ギターそのものに関心をもたせるような指導が必要ではないかと思われる。
評価規準③「正しい構えやポジションで旋律を演奏する(表)」及び評価規準④「正
しいポジションでコードを演奏する(表)」については,
「6
評価の実際」でも述べた
価
自分の声部の役割
基
を生かし,豊かな音
ように,練習時間の確保といった年間の授業時数をふまえた全体的な配時の検討や,
「ス
準
色で曲にあった曲
ムーズなコードチェンジ」といったや技能面での評価基準の吟味が必要である。また,
想表現をする。
授業中に全ての生徒について適切に評価できるようなチェック方法を見直す必要があ
音で表現する。
補
○声部ごとで合わせて練習する場を設定する。(第5時)
る。今回は,一斉演奏を基本に授業を進めていったが,一人ずつ1曲を通して演奏をチ
説
○声部内で演奏の相互評価を行い,演奏技能を高められるようにする。
ェックすることが大変困難で,曲の一部分をチェックすることとなった。例えば,班ご
(第5時)
とに練習をさせ,その演奏をチェックしていけば,より適切に評価できるのではないか
○「合奏の中で,自分の声部が気を付けることは何か」と発問し,声部
と思われる。
の役割を意識できるようにする。
(第5時)
評価規準⑤と⑥は,第5時の中で同時にチェックできるように,1枚の座席表にメモ
をとるようにした。(前ページ)
MK,NK,YKは曲の途中で間違えることはあっても,最後まで曲の流れを意識し,
評価規準⑤「全体の響きの美しさを感じ取り,合奏を工夫する(感)
」については,
美しい響きの合奏とはどういうものなのか,それを感受させる指導の手だてが不十分で
あった。生徒が「美しい響きの合奏」について理解した上で,自分たちの演奏について
自己評価できるようにする必要があると考えられる。また,感受した内容について判断
しっかりとした音色で演奏していたのでBと判断した。YHは合奏中も旋律を歌いなが
するために感想分析を行ったが,感想の記述だけでは判断できない部分が多かったため,
らコードを演奏したことから,YUは声部の音量のバランスを考え旋律を演奏したこと
授業後に個別の聞き取りを行って生徒の感じたことを引き出していったことは有効で
からAと判断した。YTは曲の途中で間違えると止まってしまい,最後まで演奏するこ
あった。
とができず,またTTはコードチェンジがうまくいかないため,Amの部分のみを演奏
評価規準⑥「声部の役割を生かし,豊かな音で表現する(表)
」については,第4時
していたのでCの状況と判断した。そこで,補説「声部ごとで合わせて練習する場を設
までの学習活動で演奏技能に差ができており,補説「声部ごとで合わせて練習する場を
定する」を実施したが,時間の不足からBに到達するに至らなかった。
設定する」が有効だった生徒もいるが,あまり進歩が見られなかった生徒も数名いた。
この評価規準の評価では,評価基準Aの表現が曖昧で,授業中の演奏チェックで評価
することが大変難しかった。評価基準における技能面の内容は,より具体的に表現すべ
きだという課題が抽出できた。
また,第5時に評価規準を2つ設定したために,演奏チェックの基準が複雑になった。
以上のことから,次回実践への課題として,評価規準・評価時期の精選,評価基準の
具体化・吟味,年間の授業時数をふまえた上での配時の検討の三点が明らかになった。
6
音楽科の評価
(1) 音楽科の評価の基本的な考え方
音楽科の特性は指導の内容的な対象となる音楽そのものが,構造的・感性的なも
のであるという点にある。音楽の構造的な側面は,音楽の構成的要素(リズム・テン
らない。また,情意的な側面の評価に当たっては,方向目標であるという認識をも
ち,長期にわたって評価することが大切であるという理念のもとに短期・長期の複
眼的な視点から,個々の生徒の音楽への関心・意欲・態度がよりよい方向に変わっ
ていくように,評価活動を生かしていく必要がある。
ポ・音色・強弱・音の重なり・楽曲の構成等)と,技能的要素(歌唱力・楽器の演奏
評価の観点については,学習指導要領に示された各教科に共通的な原則としての
力・合唱の能力・即興表現の能力等),及び知識・理解的要素(読譜力・諸記号の理
「関心・意欲・態度」
「思考・判断」
「技能・表現」
「知識・理解」を,さらに音楽科
解・作曲者や作品の背景等)などに分けることができる。一方,感性的な側面は,こ
の特性から再構築した「音楽への関心・意欲・態度」「音楽的な感受や表現の工夫」
れらの音楽の構造的な側面の,構成的要素の相互作用によって生み出される音楽の
「表現の技能」
「鑑賞の能力」の4観点である。この4観点は常に相互にかかわり合
質的側面である。さらに,教科としての音楽においては,このような特性に加え,
いながら,すべての学習活動の中で機能することになる。楽曲の構造的な側面につ
生徒の音楽への関心・意欲・態度といった情意的な側面が含まれており,この点も
いては,客観的基準を設けて評価することが可能なものである。これに対し音楽の
学習を成立させるうえにおいては,重要な側面である。これらの3つの側面は,相
もつ固有の情緒・感情・美しさ等の感性的側面については,客観的な基準を設けに
互に有機的に関連をもちながら音楽科における指導内容を構成し,音楽科の学力を
くく,また,基準を設けたとしても,評価者のそれぞれの主観が必ずしも一致しな
形成するとともに,感性を基盤とする音楽科の学習を成立させるために不可欠なも
いため評価に困難な面がある。
のである。
音楽科教育の目的は,その音楽に内在する固有の感情・情緒・美しさに生徒が共
音楽科の評価に当たっては,このような芸術教科としての特質を配慮することが
感し,喜びを得ることにある。このことから,表現の技能,知識・理解などの構造
大切である。音楽科の指導内容のうち,音楽の構造的な側面に関しては,客観的な
的な側面の評価と,感想文や批評,学習記録等で音楽の特質を捉えさせる指導方法
基準を設け,測定し,評価することが容易である。一方,表現や鑑賞の質的な側面
を工夫し,客観的評価をすることが難しい関心・意欲・態度などの情意的側面の評
すなわち,音楽美に関する感性的な側面については,客観的な基準が設定しにくく,
価方法をより一層重視していく必要がある。各観点については後で解説するが,特
評価が難しいと言われている。
に音楽科において留意すべきことは,本来,生徒が「音楽と楽しくかかわる」教科
また,情意的な側面である,関心・意欲・態度等についても,その評価の難しさ
であるということである。常に単なる知識・理解や技能習得の活動に終始していな
が指摘されている。このことは,他の2つの側面に伴うものであるという点,また
いか,また,指導者の好みによる教材で画一的・一方的に授業が展開されていない
学習内容によって大きく異なる点などからである。
かなどの改善の視点に立ち,生徒が主役となり,生徒の主体性を生かした指導をし
しかし,感性的な側面や情意的な側面は,芸術による感性や個性の育成といった
ていくことが大切である。
教科目標を達成していき,思考力,表現力,判断力の育成という見地からも,その
評価はきわめて重要なものであるといえる。感性的な側面については,その表現の
(2) 観点別学習状況の各観点の考え方
質を観察することによって評価することになる。そのためには,指導内容を明確に
学習指導は,学習指導要領に示された教科目標,学年目標内容などを指導目標と
して指導内容に限定して評価すること,評価者として適確な音楽的判断をくだせる
して具体化し.これらの達成を目指して行われるものである。したがって,評価は,
ように幅広い音楽性を身に付け,自らの音楽的感性を高め,さらに,生徒の表現し
指導目標の達成状況を把握することであり,評価の観点は,学力という視点から指
た質的内容を分析的にとらえる力を持つようにすることなど,常に努めなければな
導目標を具体化したものでなければならない。このような評価の観点については,
中学校生徒指導要録の音楽科の「観点別学習状況」の欄で,次表のように4項目の観
①
音楽によって生活を明るく豊かなものにし,生涯にわたって音楽に親しもうとす
点とその趣旨に整理されている。
全
体
第
1
学
年
第
2
・
第
3
学
年
音楽への関心・意
欲・態度
音楽に親しみ,音
楽を進んで表現
し,鑑賞しようと
する。
音楽的な感受や
表現の工夫
音楽のよさや美
しさを感じ取り,
それらを音楽活
動の中で創意工
夫し,生かしてい
る。
音色,リズム,旋
音や音楽への興
味・関心を養い, 律,和声を含む音
と音とのかかわ
音楽によって生
り合い,形式など
活を明るく豊か
や速度,強弱の働
なものにしよう
きを知覚し,音楽
とする。
のもつ曲想や美
しさを感じ取る
能力を身に付け,
それらを生かし
た表現や鑑賞の
工夫をしている。
音や音楽への興
味・関心を高め,
音楽によって生
活を明るく豊か
なものにし,生涯
にわたって音楽
に親しもうとす
る。
音色,リズム,旋
律,和声を含む音
と音とのかかわ
り合い,形式など
や速度,強弱の働
きを知覚し,音楽
のもつ曲想や美
しさを感じ取る
能力を高め,楽曲
への理解を深め
ながらそれらを
生かした表現や
鑑賞の工夫をし
ている。
音楽への関心・意欲・態度
表現の技能
鑑賞の能力
音楽を表現する
ための基礎的な
技能を身に付け
ている。
音楽を楽しく聴
取,鑑賞し,その
よさや美しさを
味わう。
音楽表現の豊か
さや美しさを感
じ取り,曲に対す
る自分の解釈や
イメージを音を
通して適切に表
現していくため,
発声や楽器の扱
い,読譜力などの
基本的な表現の
技能を身に付け,
創造的に表現す
る能力を育む。
楽曲構成の豊か
さや美しさを感
じ取り,曲に対す
る自分の解釈や
イメージを音を
通して適切に表
現していくため,
発声や楽器の扱
い,読譜力などの
表現の技能を伸
ばし,創造的に表
現する能力を高
める。
楽曲の雰囲気や
曲想と諸要素の
働きによる効果,
我が国の音楽及
び世界の諸民族
の音楽の特徴な
どを背景となる
文化・歴史などと
かかわらせて感
じ取って聴く。
るためには,何よりも音や音楽に対して興味・関心をもった表現や鑑賞の活動が不
可欠である。
音楽科の教科目標では「幅広い活動」を示し,生徒が多様な音楽に触れ,積極的
にかかわりながら,自分の個性や興味・関心を生かすことのできる音楽活動につな
いでいくことを重視している。この「幅広い」とは,我が国や郷土の伝統音楽及び
世界の諸民族の音楽に幅広い理解を深めることであるが,さらには音楽の素材とな
る音や自然音,環境音などの様々な音への意識を高めることも音楽的な感覚を育て
る上で欠かせない活動と位置付けている。
また,生涯学習の中で音楽の在り方を考えた場合,そのよさや価値を理解した上
で成り立つ音楽の永続的な好奇心のことであり,音楽の持つ価値が背景にある文
化・歴史や気候・風土などと深くかかわっているという音楽的特質を理解していく
必要がある。そのため,
「音楽を愛好する心情」に直接的につながる「音楽への関心・
意欲・態度」を育てることを重視した評価を進める必要がある。
②
音楽的な感受や表現の工夫
幅広く豊かな音楽観をはぐくんでいくという視点から,多様な楽曲から音楽を形
作っている諸要素を感受する能力を育てていくことを重視している。「音楽的な感
楽曲全体の曲想
と諸要素の働き
による効果,我が
国の音楽及び世
界の諸民族の音
楽の特徴などを,
背景となる文
化・歴史や他の芸
術などとかかわ
らせて総合的に
理解して聴く。
受」とは音楽の構造的な側面を「知覚し感性的な側面を感じ取る」を総括した表現
である。
「音楽の構造的な側面」の「構成要素」である「音色,リズム,旋律,和声を含
む音と音とのかかわり合い,形式など」と,
「表現要素」の「速度や強弱の働き」に
分け,指導事項を具体的に示していることは,音楽の仕組みとなる構成要素と,個々
の表現の工夫に直接結び付く表現要素とを明確に認識し,さらにこの2つを表現と
鑑賞の指導事項として位置付け密接に関連させながら授業展開ができるように配慮
している。
「音楽的な感受」の過程の中には「知覚」の働きがある。そのためこの観点の評
価ではこのことを明確に認識した指導をする必要がある。
③
表現の技能
ある楽曲に対する解釈やイメージなど,自己の内的な世界を実際に適切に表現し
音楽には,それを生み出した様々な風土,文化・歴史,伝統などの背景があるこ
ていくためには,声や楽器を扱ったり読譜力を付けたりするなど,表現のための諸
とや,文学,演劇,舞踊,美術などとかかわって,総合的な芸術を構成する多様さ
技能を獲得する必要がある。つまり,表現の技能とは,神経と身体を適切にかかわ
が音楽の諸要素と仕組みの違いとなって表れている。
らせて道具を扱う能力である。扱うものとしては,すでに述べた声や楽器,楽譜な
評価に当たっては,これらの感じ取りがどこまで深まっているかを,観察やレポ
どがあるが,響きや音及び音色に気をつけて歌唱や演奏をしたり,各声部や全体の
ートなどにより工夫することで,個々の生徒のそれまでに気付かなかった新しい気
響きに気を付けた合唱や合奏をしたり,旋律相互及び和声とのかかわりを感じ取り
付きを発見することになることが期待できる。
表現をしたりするとともに,簡単な旋律を創作することなどが考えられる。
評価に当たっては,①自己の内的な世界を表現するために声や楽器の特徴を生か
④
(3) 評価の具体的な進め方(音楽科の評価方法の考え方)
して楽曲にふさわしい歌唱や器楽演奏をしているか。また,②声部や楽曲全体の響
音楽は,人間の感情経験を極めて抽象的な音という媒体を通じ,時間的流れの中
きに調和をさせて合唱や合奏を生かした表現をしたり,③歌詞や楽器にふさわしく
で表現したもので,それだけに人間のさまざまな感情の微妙な表現が可能となる。
旋律の創作をしたりしているかなどに留意する必要がある。
そして,人間の感情経験を音を通じ表現するためには,表現のための論理の習得が
鑑賞の能力
楽曲の鑑賞には,音楽の素材として使われている声や楽器の種類や特性及びそれ
らが楽曲にもたらす効果について理解する必要がある。
楽器は,材質や形状,発音原理の違いによって,それぞれに音質や音色の特徴を
必要となる。
つまり,単に羅列した音ではなく,それを意味のあるものとして表現するために
は,音楽についての知識や技能を習得しなければならない。これが音楽科の指導内
容となり,それを大別すると「感性的側面」と「構造的側面」となる。
「感性的側面」
もち,また,同じ発音原理でも,それを用いる民族によっても音色や奏法などに違
は,その音楽固有の感情・情緒・美しさである。「構造的側面」は音楽固有の感情・
いがみられる。鑑賞活動においては,鳴り響いている音がどのような音であるかと
情緒・美しさを形づくっている形態である。以上の音楽科の特性から,音楽科の指
いうことを,音源の種類に共通する性質と個々の音に特有の性質という両面からと
導内容と評価方法について整理すると次のようになる。
らえることが重要である。
音楽の諸要素の表れ方やその働きも,音楽の構造的な側面である骨格が同じであ
っても表現要素である速度や強弱の働きによって音楽の表情や雰囲気は大きく変化
することを感じ取ることは重要なことである。
「鑑賞の能力」とは②の「音楽的な感受」で育んだ知覚の働きを生かしながら,
音楽鑑賞の喜びの中で諸要素それぞれの原理的な働きからその音楽に固有の雰囲気,
気分や味わいを感じ取ることである。音楽鑑賞の喜びは最終的には個人個人が自己
のイメージや感情を伴って感じ取る能力ということであり,音楽と聴き手の相互作
①
音楽を形づくる構造的側面
・ 音楽の構成要素(リズム,旋律,和音を含む音と音とのかかわり合い,
形式など)と表現要素(速度,強弱,音色など)それらの組み合わせ
による構造
・ 技能的な要素,(歌唱力,楽器の演奏技能,即興表現の能力等)
・ 知識理解の要素(読譜力,演奏記号の理解,作曲家や作品の背景等)
② 感性的・情意的側面
・ (1)の構造的側面の相互作用によって生み出される,音楽固有の感情,
情緒,美しさなどの感性的側面
・ 教科としての音楽を学習として成立させるための,生徒の音楽への関
心・意欲・態度などの情意的側面
用の中にとらえられるものとも言える。音楽に浸って聴く楽しみとは,諸要素の働
きは無意識的,感覚的なものとなっていると同時に,もはやそのレベルを超えた自
分の内面に生まれる様々なイメージや感情を楽しみ味わっていることになる。
音楽科の指導内容のうち音楽の「構造的側面」については,客観的基準を設けて
測定し,評価することが可能で,その評価方法には,観察法・実音テスト・筆記テ
スト・演奏法等がある。これに対し音楽がもつ固有の情緒・感情・美しさ等の「感
価するのか」「どんな方法で評価するのか」ということをまとめている。
性的側面」については,客観的な基準を設けにくく,また,基準を設けたとしても,
「音楽への関心・意欲・態度」は,「音楽を愛好する心情」「進んで音楽活動し
評価者のそれぞれの主観が必ずしも一致しないため評価に困難な面がある。これら
ようとする意欲」「音楽によって生活を明るく豊かなものにする態度」などの情意
の理由から,音楽科では,
「美的・感性的な側面」については評価の対象外にし,測
的な側面の目標を受けたものである。情意的な側面の評価については難しいといわ
定が容易な表現の技能,知識・理解などの「構造的な側面」だけを評価の対象とす
れているが,興味・関心,愛好心,探求心,主体性などの各種の能力や資質が総合
る考え方もあった。しかし,学校における音楽科教育の目的の第一義は,その音楽
されたものであるから,これらの視点から分析的に学習状況を把握することによっ
に内在する固有の感情・情緒・美しさに生徒が共感し,喜びを得ることにあること
て,評価することができるはずである。例えば,音楽に興味や関心を示しているか,
から,感想文や批評,学習記録等により,音楽の特質を捉えさせるための指導方法
活動に積極的に取り組んでいるか,創意工夫がみられるかなどという点については,
の工夫や評価方法を研究開発していく必要がある。
観察法や学習カードの記述によって把握することができる。また,グループによる
また,関心・意欲・態度などの情意的側面についても客観的基準を設け,測定す
演奏及び研究の過程や,その発表の様子などからも評価することができる。
ることが難しい。それは,この情意面の指導内容が構造的側面と感性的側面と常に
「音楽的な感受や表現の工夫」は,音楽表現の美しさや音楽の仕組みなど音楽表
関わり合っているものであり,さらには,学習内容によって,学習者の関心・意欲・
現の特質を直感的に感じ取ること,それによる表現の工夫を指しており,その他の
態度の表われ方が異ってくる場合もあるからである。そこで,関心・意欲・態度の
観点とかかわりの深いものである。この観点は音楽についての基層的な学力を示す
評価において留意すべきことは,関心・意欲・態度の具体的な対象を明確にするこ
ものであり,教科目標における「音楽に対する感性」と深いかかわりをもっている。
とである。例えば,器楽学習の中のリコーダーの表現への関心・意欲・態度という
感受にかかわる評価については,情意的なものに増して難しいといわれている。し
ように,どういう分野の何に対しての関心・意欲なのかを明確にすることである。
かし,表現活動や鑑賞活動の質的な向上の背景となるものであり,表現に転化し生
この情意的側面には,例えば,
かされているかどうかという点については,表現活動における創意工夫の状況を把
①
受け入れ(意識化)
握することができる。また,楽器の演奏における,音色の工夫を観察することによ
②
反応(興味・関心)
って,楽器の音色に対する感受の状況を把握することができる。さらに,音楽作品
③
価値付け(対象への受け入れと内面化)
を部分的に鑑賞させその聴取の状況を記述させたり,個人やグループあるいは学級
というような深化への階層性が備わることから,その階層の水準を設定し,評価
の規準を設けることである。そして,このような水準に即して,評価規準を設け,
観察法,学習カード,感想文などによって生徒の学習記録をとり,その一定期間の
データを蓄積して個々の生徒の情意面について評価していくようにする。
の演奏発表の工夫を聴取させその感想を述べさせたりすることによっても評価が可
能となる。
「表現の技能」は,歌唱や器楽創作など音楽表現における全般的な技能を指し,
発音,発声,楽器の奏法をはじめとして,創作に必要な技能,合唱や合奏の技能な
それとともに,情意面は方向目標であることから,短期と長期の複眼的視点をも
どが含まれる。表現の技能は表現の内容を観察することによって評価することがで
ち,個々の生徒の音楽への関心・意欲・態度がよりよい方向に変わっていくように
きる。この中には,技術面が主となる歌唱や器楽の能力,読譜力ばかりでなく,創
評価活動を生かしていく必要がある。
作の技能のように,創造力,構成力などが重要な働きを担っているものもあり,そ
以下には,4つの評価の観点の具体的な内容及び,観点(基準)にふさわしい評価の
方法について述べていく。平易に述べるならば,音楽科の評価において,「何を評
の内容は多様であるから,事前に観点を明らかにしておくことが一層重要である。
「鑑賞の能力」は,音楽のよさや美しさを感じ取ったり,それぞれの音楽の特質
を聴き分けたり,理解することのできる能力のことである。具体的には,音楽を聴
決定した上で,その他の観点との調和や均衡を図りながら評価規準を明確にする必
き取ったり,聴き分けたりする能力,すなわち,具体的な次元の聴取力や識別力と,
要がある。
音楽のよさや美しさを感じる能力,すなわち,高い次元の鑑賞の能力を含む幅広い
以上の4つの観点のうち,「音楽的な感受と表現の工夫」は,音楽の本質であり,
観点である。これらは,聴取の活動を行いその状況を観察することや,実音テスト
特性でもある感性という面からその他の観点と重層的な構造をもつので,評価計画
などによって評価することができる。なお,音楽の美しさを感じ取ることは,音楽
の作成に当たっては,個々の活動に対する評価の観点の設定に際し,指導の重点を
に対する個々の生徒の個人的・主観的・内面的な心の行為であることから,その評
決定した上で,その他の観点との調和や均衡を図りながら評価規準を明確にする必
価には留意する必要がある。
要がある。
したがって,単一の観点での評価の他に,観点同士のかかわりが密接であること
学力の視点
評価の方法
観
察
音
楽
へ
の
関
心
・
意
欲
・
態
度
表
から,指導の重点化を明確にして単一の観点での規準設定のみならず,2つ以上の観
現
点を含んだ「評価の規準」を設定することも現実には大いにありえることである。
歌
器
唱
楽
の
の
技
技
能
能
力
○
法
◎
○
○
学習カード
◎
△
△
筆記テスト
論文体テスト
音楽的な感受や表現の工夫
読
譜
の
技
記
譜
力
能
鑑賞の能力
創
即
作
興
の
能
能
力
力
○
識
別
聴
取
○
研 究 発 表
○
創 作 作 品
力
力
△
△
△
○
感想文・作文
◎
の
かかわっていることに留意することが大切である。
以上に述べてきた観点と評価の方法をマトリックスで示すと,左の資料のように
識
まとめることができる。
◎
◎
◎
◎
◎
△
◎
◎
○
△
ここでは,評価の方法について具体的事例を述べる。
◎
○
○
①
観察法
△
観察法は,教師が生徒の活動を観察し,その状況を把握するものである。これ
△
は,指導の流れを中断することなく行おうとするところにその特徴があるため,
生徒個々の細部にわたっての記録を残すことには適さず,その目的は主として指
△
△
△
研究レポート
表現力,聴取力などのほか,創造力,構成力,持続力,思考力などの種々の能力が
◎
実音テスト
○
楽
知
△
演 奏 発 表
また,表現や鑑賞の評価に当たっては,これらの技能や能力と直接かかわっている
(4) 具体的評価の方法
△
実技テスト
音
導効果を高めるところにある。しかし,その授業で特に目立った生徒や事柄を簡
単なメモに残すことは可能である。特に,座席表を活用してその中にメモを記し
◎
△
△
△
○
ていく方法は優れたものである。観察法の実施に当たっては,観察の対象となる
表現,反応,態度,演奏,記述など,評価する場面を事前に明確にするとともに,
評価の観点と基準を明確にもつ必要がある。また,特に検証等が必要な場合にお
◎○
△
空欄
評価が可能なもの,◎がより妥当である。
評価が可能であるが一部に問題がある。
評価が難しい
いては,VTRに録画したものを再生して,生徒の活動様相を評価することも可
能である。
②
学習カード
学習カードは,学習の過程や終了時に,目標の達成状況や活動状況,感想など
るものである。単に再生できる知識でよいのか,自分自身の中で「変換」がなさ
を生徒が記入するものであり,生徒の自己評価であるとともに,この活動自体が
れる理解まで求めるのかなど,出題には熟慮が必要である。知識・理解を含めて
学習の一環である。
「自己評価表」などといわれているカードを指すものである。
表現力,聴取力などを総合的に判断することが大切である。
教師は,学習カードの記述をチェックし個々の生徒の活動状況を把握し問題点や
⑥
創作された作品の演奏や録音,楽譜などを評価する方法である。作品の芸術的
援助が可能である。また,グループ活動等においては,自己評価だけでなく,相
価値ばかりでなく,目標とした点をどれだけ達成したか,創意工夫はどうであっ
互評価を加えて,評価の質的な向上を目指している例も多い。さらに,合唱やア
たかなど多面的に評価していくことが大切である。特に「自由な発想による創作」
ンサンブルなどの数時間に及ぶ活動においては,毎時間記入できるカードを工夫
による作品については,作品の芸術的な価値の判断が難しい場合が多く,作成過
することで,生徒の課題意識を明確にもたせ,生徒主体の学習を促進することも
程の取組状況はどうだったか,相手に表現意図が伝わるか,などの観点から評価
できる。以上のような評価表に類する指導は,継続していくことにより,自己評
することが肝要である。
⑦
実技テスト
課題学習などの成果をまとめたレポートを評価する方法である。研究レポート
は評価の素材としてでなく,生徒に学習の足跡を残させるという意味からも価値
価に当たっては,技能のみでなく,態度や表現上の工夫点などにもその対象とす
がある。評価に際しては,研究過程における思考や活動の過程や研究方法の工夫
るのが現実的である。実技テストは主観的になりやすいので,評価基準,評定尺
などについてもレポートの内容に含めるように指示し,その点から評価する必要
度を明確にすることが大切である。また,学習カードと同様に相互評価を取り入
がある。
⑧
配慮が必要である。
演奏発表や研究発表
課題学習,アンサンブル,グループによる表現や創作などの活動の成果を発表
実音テスト
させ,それを評価する方法である。演奏会や研究発表的な性格であることから,
実音テストは,音楽を聴かせ評価するもので,主として聴取力を評価するもの
実技テストとは区別して考えたい。グループの発表が多いことが予想されるので,
である。具体的には,演奏している楽器や表現している情景を考えさせるもので
学習過程を前述の「学習カード」等で評価したものなどと総合して,一人一人の
ある。鑑賞領域における学習場面だけでなく,合唱や器楽などの表現の工夫の内
活動を評価することが大切である。ここでは,特に相互評価や中間発表を取り入
容について聴き取らせたり創作の作品をどのようにとらえるかなどをみたりする
れることによって,発表や演奏・研究内容をより豊かなものにすることができる。
こともできる。したがって,「感受」にかかわる評価についても活用できる幅が
また,録音したり,VTRに録画したものを活用したりすることも有効な手段である。
広い。学習後のテスト形式のものだけでなく,通常の授業における鑑賞活動での
生徒の発言から評価することもできる。
⑤
研究レポート
実技テストは歌唱や器楽の演奏をさせ,その表現力を評価するものである。評
れると効果的である。なお,生徒の心理面を配慮して,人数や場所などに対する
④
作品法
課題を把握するとともに,カードにアドバイス等を与えることによって,個への
価により客観性をもたせることができるといわれている。
③
ることに適した評価方法で,従来から学期末などの定期試験において行われてい
筆記テスト
筆記テストは,楽譜や記号の意味など,音楽に関する知識の定着の度合いを知
⑨
感想文や作文
音楽活動や音楽鑑賞に対する感想文や作文を書かせ,評価するものである。記
述内容を分析することによって,音楽的嗜好,興味・関心,意欲や態度さらには,
音楽に対する見方・考え方(音楽観)などについても読み取ることができる。しか
し,文章表現力によって評価が左右されないように配慮することが大切である。
その際,日頃の生徒個々の傾向性や特性を十分に把握し,それを踏まえて評価できる
また,感想を書かせる際には,評価したい内容について生徒が記述しやすくなる
ようにしておくことが必要となる。
ような問題提示や発問が必要である。例えば,音楽観について評価したい場合に
は「鑑賞したような音楽についてどのように感じましたか」とか,取組の状況を
評価したい場合には「アンサンブル活動での協力や取組はどうでしたか」などと
いった補助発問が効果的である。
(5) 評価の基準
評価の3点目の重要な要素は「評価の基準」である。平易に表現するならば「ど
の程度できることを期待するか」ということである。生徒指導要録の観点別評価の
実施に当たっては,この基準による評価の累積によって評価していくことになる。
指導計画の段階において,A(十分満足できると判断できるもの),B(おおむね満足
できると判断できるもの),C(努力を要すると判断できるもの)の生徒の姿をイメー
ジしておくことがきわめて大切である。(2)で述べた「評価の観点(規準)」ごとにA
BCの生徒の状況を明確にすることによって,はじめて「評価計画ができた」とい
うことができるのである。技能や能力にかかわる観点については,比較的設定しや
すいものであるが,情意的な観点や感性にかかわる観点については,設定しにくい
部分もある。そこで,生徒の姿がみえやすいような,代表できるような徴候(シンプ
トム)によって示すとわかりやすく客観性のある「評価基準」が設定できる。評価基
準の具体的な考え方については,各題材の「評価基準例」を参照されたい。
「評価事例集」にも詳述しているところであるが,特に,音楽科においては,関心・
意欲・態度等の情意面にかかわる基準設定の難しさの他に,感受などの感性とかかわ
る評価観点をもつことが特性であることをすでに述べたところである。このような観
点については,感受だけで評価するのではなく,感受と鑑賞の能力を合わせた規準を
設定して評価したり,
表現の工夫と表現の技能を合わせて評価したりすることが現実
的である。また,ABCの状況の事前の設定にあたっては,到達度的に評価が可能な
ものについては,極力ABCの違いを評価計画に含めていくことが重要である。しか
し,感性的な側面については,無理にABCの状況について明示する必要はなく,そ
の程度について,教師が適切にとらえ,
評価できる眼を身に付けることが重要である。
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