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1 - 会議録(速報版)

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1 - 会議録(速報版)
平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
会議録(速報版)は、暫定的なものであるため、正式な会議録とは一部異なり、今後訂正される場合
があります。
正式な会議録は、調製後「会議録の検索と閲覧」に登載されます。
○溝口幸治君 皆さんこんにちは。一般質問最終日、トリを務めさせていただきます自由民主党の溝口
幸治です。
改選後初となる議会でありまして、ここに立つと、初心に返れていいなというふうに思っておりま
す。謙虚な姿勢で、初心を忘れずまた頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず、人吉・球磨地域の日本遺産認定について質問いたします。
この件につきましては、私が日ごろから尊敬をいたします松田議長と、それから球磨地域選出の緒方
議員と一緒に取り組んできた課題でありまして、今回は私から代表させていただいて質問をさせていた
だきます。
昨年12月定例県議会において、私は、人吉・球磨地域の文化財の保存と活用に向けて、文化庁の新規
事業である日本遺産の認定に向け、どう取り組むかについて質問いたしました。教育長からは、日本遺
産認定に向けた取り組みに対し、地元と一緒になって積極的に取り組んでいくとの答弁をいただきまし
た。
その言葉のとおり、県文化課が旗振り役となって、また、多くの方々が日本遺産認定に向けて御尽力
いただきました。
その結果、本年4月24日に、人吉、球磨10市町村が申請した「相良700年が生んだ保守と進取の文化
~日本でもっとも豊かな隠れ里―人吉球磨~」が、日本全国から83件もの多くの申請があった中、第1
回目の日本遺産認定18件のうちの一つに認定されました。
これは、人吉、球磨が世界に誇る歴史、文化の日本ブランドの一つとして認められたあかしであり、
認定に向けて御尽力いただいた文化課を初め、人吉市の担当の方々、全ての皆様方に心から敬意を表し
ますとともに、感謝を申し上げます。
今後は、この日本遺産認定をチャンスに、人吉、球磨の貴重な宝である文化財を国内外に発信してい
くことで、地域の活性化にもつながると、大いに期待をしています。
ここで、なぜ日本遺産に選ばれたのか、その内容を尐し紹介させていただきます。
人吉・球磨地域は、鎌倉時代から明治維新までの約700年にわたって、相良氏という一武士の家柄が
治めた、全国でも極めて珍しい地域です。
相良氏は、神社、お寺、仏像など、入国以前からあった伝統文化を尊重しながら、三十三観音めぐ
り、球磨焼酎など、民衆の文化を敬い、大切に受け継いできました。そして、国宝青井阿蘇神社やウン
スンカルタに見られるように、当時の最先端の技術や文化を取り入れて、さらに発展させてきました。
こうした700年にわたる保守と進取による文化の様相が、当時からほぼ変わらぬ姿で残されている地
域は、ほかに例を見ません。こういったことが、日本遺産にふさわしい、日本で唯一の価値として、相
良700年の文化が評価されたものだと思います。
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
今回の日本遺産認定により、国の補助事業を活用して、人吉、球磨の歴史的魅力あふれた文化財群の
国内外に向けた情報発信やシンポジウムなどによる普及啓発などに取り組むことができるようになりま
した。
もちろん、こうした国の新たな制度である日本遺産の認定は、人吉、球磨にとって大きなチャンスで
あります。しかし、それはゴールではなく、文化財を生かした地域活性化に向けたスタートではないか
と考えています。
一方、残念ながら、球磨工業高校のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール指定は実現しませ
んでしたが、日本遺産の認定により、人吉・球磨地域の文化財の修復はさらに重要になってきます。当
然、球磨工業高校の実習の機会もふえ、教育的な効果も期待できると思います。さらに、生徒にとって
学びを深める絶好の機会ともなります。
球磨工業高校のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール指定に向け、県教育委員会は、ことし
の反省をもとに、さらに力を入れるべきです。
そこで、教育長に2点質問します。
日本遺産認定を契機として、今後の県文化行政にどう位置づけ、人吉・球磨地域の文化財の保存と活
用に取り組んでいくのか。
次に、球磨工業高校のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール指定に向け、どのように取り組
んでいくのか、お尋ねをいたします。
次に、企画振興部長にお尋ねいたします。
国の日本遺産の取り組みは、地域に点在する有形、無形の文化財をパッケージ化し、我が国の文化、
伝統を語るストーリーを日本遺産に認定する制度です。その歴史的魅力にあふれた文化財群を、地域主
体で総合的に整備、活用を行い、世界に戦略的に発信することにより、地域の活性化を図るために創設
されたものです。
今後は、国は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催までに100件程度にふやす計画だと
言われています。つまり、2020年に向けて、国内外に向けて日本遺産をPRし、地域の活性化を図る取
り組みは、まさに地方創生の目玉として今後推進すべきテーマと考えます。
そこで、熊本県として、地方創生の観点から、今回の人吉、球磨の日本遺産認定をどのように活用し
て地域の活性化に生かしていこうと考えているのか、企画振興部長にお尋ねをいたします。
〔教育長田崎龍一君登壇〕
○教育長(田崎龍一君) まず、日本遺産認定を契機とした今後の県文化行政の位置づけと人吉・球磨地
域の文化財の保存と活用についてお答えします。
人吉・球磨地域が、日本を代表する文化財の宝庫として日本遺産に認定されたことは、大変喜ばしい
ことであり、同時に、大変誇らしく思っております。
県教育委員会は、これまで、球磨地域文化財広域連携協議会と一体となって、人吉・球磨地域の文化
財の保存と活用に積極的に取り組んでまいりました。その結果、今回、世界に誇る文化財の日本ブラン
ドとして日本遺産に認められ、これをスタートに、日本遺産を今後の県文化行政の大きな柱の一つと位
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
置づけ、より一層の取り組みを進めてまいります。
具体的には、まず、文化財の保存についてですが、今年度から、未指定文化財の学術調査や市町村で
新たに指定された文化財の修理への補助などにより、人吉、球磨の日本遺産を構成する文化財の充実を
図り、さらなる人吉、球磨の魅力の向上につなげてまいりたいと考えております。
また、文化財の活用については、地元で実施予定の日本遺産認定の記念シンポジウムや、観光客の誘
致等に向けたパンフレット、ホームページの作成、モニターツアーなどの事業が、より効果的に進むよ
う、地元と連携して取り組んでまいります。
さらに、県立美術館において、日本遺産認定を記念した特別展、ほとけの里と相良の名宝展を本年10
月14日から11月29日までの予定で開催することとしております。また、これにあわせて、県文化財保護
協会と連携して、日本遺産の普及啓発のシンポジウムを開催する予定です。これらの取り組みを通し
て、県内外に向けて人吉、球磨の魅力を広くアピールしてまいります。
続いて、球磨工業高校のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール指定に向けた取り組みについ
てお答えします。
県教育委員会としては、地域を支える人材育成の視点から、人吉・球磨地域の日本遺産認定を、スー
パー・プロフェッショナル・ハイスクール指定に弾みをつける絶好の機会と捉えております。
今後は、球磨地域文化財広域連携協議会など地元との連携を一層深め、球磨工業高校が古社寺等の保
存修理などの実習を通して、専門性の一層の向上を図り、来年度のスーパー・プロフェッショナル・ハ
イスクールに指定されるよう取り組んでまいります。
〔企画振興部長島崎征夫君登壇〕
○企画振興部長(島崎征夫君) 地方創生の観点からの活用についてお答えいたします。
人吉・球磨地域には、国宝青井阿蘇神社を初め、国指定重要文化財である湯前町の城泉寺阿弥陀堂や
多良木町の太田家住宅など、中世や近世の歴史的建造物が数多く残っております。今回の日本遺産の認
定により、これら地域の宝が脚光を浴びることで、交流人口の増加等による地域活性化を通じ、地方創
生に大きく寄与し得るものと考えております。
県においても、これを絶好のチャンスと捉え、昨年度から、観光列車「田園シンフォニー」を活用し
て、人吉・球磨地域の数多くの歴史文化遺産等をめぐる観光ルートの開発や、地元観光団体による滞在
型観光商品開発の取り組み等について、地域づくりチャレンジ推進事業により支援しております。
今後、地域活性化、地方創生のためには、地域の原動力に加え、県みずから、こうした地域の宝と地
域内外、県内外、国内外のさまざまな人と知恵と市場をつなぐような地域活性化事業が必要と考えてお
りまして、地方創生交付金等を活用しながら取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、現在策定中の地方創生における県の総合戦略においても、日本遺産を活用した地域活性化に
取り組む市町村への支援について取り入れる方向で検討するなど、地方創生の観点から、市町村等の広
域的な取り組みについて、積極的に支援してまいります。
〔溝口幸治君登壇〕
○溝口幸治君 御答弁をいただきまして、県文化行政では、大きな柱として位置づけるという、ありが
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
たいお言葉をいただきました。
もともと青井阿蘇神社を国宝にしようというときに質問したときに、当時の教育長は、新たな価値づ
けと地元の盛り上がりが大切ですよと、この2点をクリアしなければ、国宝は難しいですよとおっしゃ
ったところからスタートをしてきたんだと思います。その後、球磨神楽が国指定の重要無形民俗文化財
になったりということで、まさに県教育委員会が、文化課が旗を振ってずっとリードしてきてくれた、
地元と一緒にやってきてくれて、今回この日本遺産認定というものに行き着いたんだというふうに思っ
ています。
ですから、文化課が地域と一緒になって育ててきたものが、今大きな柱になったということで、これ
はもう自信を持って県の大きな柱として捉えていただきたいと思いますし、どちらかというと教育委員
会は文化財を守っていくほう、大切にしていくほうですが、そうやって大切にしてきて、いわゆる観光
資源となる、地域の誇りとなる、そうなったものを――今企画振興部長から答弁をいただいて、非常に
ありがたかったんですが、みずから県としてもいろいろこれから計画の中に織り込んでいろんな知恵を
出していく、もちろん地元と一緒に知恵を出していくという答弁をいただきましたので、文化課が育て
てきたものを知事部局、県全体でこれから生かしていくということで、非常にありがたいなというふう
に思っています。
また、この文化財を守るとか生かすというときに、私が先ほど言った球磨工業高校、こういった人た
ちを、こういった子供たちをどう関連づけていくかというのは非常に大事だと思いますので、ことしは
――上には上がいたので行き着きませんでしたけれども、SPH、ぜひ指定に向けて御尽力をいただき
たいと思います。
また、球磨工業高校のことばっかり言っていますけれども、実は、この前、新聞に球磨商業高校のこ
とが載っていまして、日本遺産に認定された人吉・球磨地方の文化財などをめぐるバスツアーを企画し
たと、地元の高校が。女の子が非常に多い高校なんですけれども、こうやって人吉、球磨の文化財をみ
ずからがガイドとなってPRしていこうという、こういう積極的な動きというものは非常にありがたい
んだというふうに思います。
高校再編整備で、非常に球磨・人吉地域、揺れましたので、こうやって頑張っている高校生にも、こ
の地域資源を生かしていただきながら、県としてもしっかりとサポートをいただきたいというふうに思
います。
青井神社が国宝になって当たった光が、ようやく球磨全体を照らし始めて、先ほどお話があった湯前
の八勝寺阿弥陀堂のところの修復もできましたし、奥のほうに、奥のほうに、奥球磨のほうに人を送る
ことによって、熊本県全体にいろんな経済波及効果も出てくるんだというふうに思いますので、今後と
も引き続き球磨・人吉地域のこの文化財と文化財を保存して活用していく取り組みに力をいただきたい
というふうに思います。
次の質問に入ります。
国際スポーツ大会の推進及び競技力向上について質問をいたします。
午前中の質問で橋口議員が熱く述べられましたので、私は、重複するところは避けて質問させていた
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
だきます。
橋口先生のおっしゃったとおり、競技団体の熱意を持った誘致活動を初め、熊本県、熊本市の積極的
な取り組みの結果、2019年に女子ハンドボール世界選手権、そして、ラグビーワールドカップ2019とい
う、2つのワールドクラスの大会が熊本で開催されます。
9月から10月にかけて、ラグビーワールドカップ2019がうまかな・よかなスタジアムで、11月から12
月にかけて、女子ハンドボール世界選手権大会が熊本で開催されます。また、翌2020年、平成32年の東
京オリンピック・パラリンピック競技大会に関するキャンプ誘致等に成功するならば、本県にとっては
大きなチャンスとなります。
この両国際大会の開催やキャンプ誘致に向け、熊本県の窓口として、ことし4月、観光課内に国際ス
ポーツ大会推進班が設けられたところであります。また、県議会でも、特別委員会を設置して、今後、
議会と執行部と一体となって取り組んでいくところでもあります。
そこで、2点お尋ねをいたします。
第1点、競技力向上についてです。
2020年8月の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を、東京や他都市の一過性のイベントとし
て終わらせることなく、本県にとっても身近で有意義な大会にするためには、本県関係の選手の活躍が
不可欠であります。
ロンドンオリンピックにおけるバドミントン女子ダブルスの藤井、垣岩ペアの銀メダル獲得、パラリ
ンピックにおけるゴールボールでの浦田理恵選手の金メダル獲得による県民の興奮や喜びは、記憶に新
しいところです。
そこで、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた選手強化の取り組みについて、教育長に
お尋ねいたします。
第2点、今後の推進体制についてです。
先ほど橋口議員から、キャンプや事前大会を誘致すべきとの御提案もありました。今後、両大会の開
催やキャンプ誘致を通じて地域活性化を図り、本県にも最大限の経済波及効果が上がるような取り組み
を進める必要があります。そのためにも、推進体制は重要であります。
過去の運営体制を見ると、1997年男子世界ハンドボール選手権大会や1999年のくまもと未来国体の際
には、県庁内に局体制を整備して対応しています。
両大会を成功させることはもちろんのこと、やってよかったと思える、記憶に残る大会としていくた
めには、周到な準備や計画的な取り組みが必要と考えます。特に、県だけではなく、県内市町村との連
携協力体制をいかに構築するのかが、大会成功に向けての大きな課題だと考えます。
そこで、今後の推進体制についてどのように考えているのか、また、県内の市町村との連携協力につ
いてどのように考えているのか、知事にお尋ねいたします。
〔教育長田崎龍一君登壇〕
○教育長(田崎龍一君)
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けた選手強化について
は、両大会に出場する可能性のある有望選手を指定し、国内外への遠征費や栄養面、心理面をサポート
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
する効果的なトレーニングに要する経費を助成するなど、本県からより多くの選手が出場できるよう、
取り組みを進めております。
オリンピックについては、昨年度から事業を開始し、44人の中学生、高校生を育成強化選手に指定い
たしました。指定した選手の中から、来年のリオデジャネイロ大会に向けた女子バレーボールの日本代
表やレスリングの年代別日本代表に選ばれる選手が出るなどの成果が出ております。また、今年度も、
近く指定を行う予定としております。
パラリンピックについては、健康福祉部において今年度から事業に取り組んでおり、今後、16人程度
の選手を指定し、競技団体等と協力、連携し、選手の育成、強化を図ってまいります。
これらの事業により、本県スポーツにおける競技力の向上を図るとともに、東京オリンピック・パラ
リンピックで多くの県関係選手が活躍することにより、世界最大のスポーツの祭典が、県民にとって身
近で有意義な大会となり、元気と活力を与えるよう、しっかりと取り組んでまいります。
〔知事蒲島郁夫君登壇〕
○知事(蒲島郁夫君) 私は、本県における国際スポーツ大会の開催やキャンプ誘致を通じて、熊本の存
在感を世界中に発信していきたいと考えています。
そのためには、県民を初め、世界中から訪れる選手団、観戦者、マスコミ等の方が、夢や希望を感じ
られるような、記憶に残る大会にしていくことが重要と考えます。
具体的には、出場選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、最上のコンディションを整えた環
境を提供していきたいと考えています。また、熊本のファンとなっていただくために、ウエブサイト等
を活用した広報、県民挙げてのおもてなしなど、本県のイメージや認知度の向上に向けた取り組みを進
めます。
さらに、世界的に注目を浴びる国際スポーツ大会を、地域活性化に生かしていきたいと考えておりま
す。
このため、経済界を初め、市町村や関係団体、学校、県民等が一丸となって準備を進め、大会を形づ
くってまいります。また、この取り組みを推進するため、県庁内の体制整備とともに、市町村や競技団
体等に協力をいただきながら、これらの大会の運営体制を整えていきます。
今年度は、国際スポーツ大会推進のための専任の班を設け、今月8日には、私を本部長とするくまも
と国際スポーツ大会推進本部を設置しました。市町村には、今月15日、現状や今後の取り組みについて
の説明会を開催したところです。また、今後は、パブリックビューイング等、大会の認知度向上に向け
た活動や各種大会の視察調査等に取り組みます。
来年度以降の体制については、個々の分野における具体的な実施内容を検討し、県議会を初め、市町
村や関係団体とともに、着実に実行できる体制を構築してまいります。
〔溝口幸治君登壇〕
○溝口幸治君 選手強化について、競技力向上について教育長から答弁をいただきまして、来年のリオ
デジャネイロオリンピックの候補選手が出るという成果が出ているという答弁をいただきました。
大変楽しみですね。オリンピックがあるときにあるいは熊本で大会があるときに、そういう選手が―
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
―バレーですから、熊本はないかもしれませんが、オリンピックのときに、熊本出身の方がいるという
のは非常に楽しみだと思いますので、ぜひそういう選手がたくさん出るように強化を図っていただきた
いと思いますが、昨年、ナショナルトレーニングセンターへ行きましたよね、委員会で。そのときに感
じましたけれども、競技力向上、選手強化というのは、やっぱりお金がかかるんですよね。いい施設
で、いいトレーニングをするためにはやっぱりお金が要ると。メンタル面だとか、あとけがしたときの
ケアだとか、そういうのも含めると、やっぱり相当お金が要るし、設備も要るんだなというふうに感じ
ましたので、なかなか、予算がある中での強化ですから、非常に厳しいんだというふうに思いますが、
できるだけ効果的に予算をつけて、選手の育成強化を図っていただきたいというふうに思っておりま
す。
また、推進体制等について知事から御答弁いただきましたけれども、とにかく県民が一丸となって、
市町村や競技団体の協力をいただいて推進体制というものはいろいろ考えていかなければならないとい
う御答弁をいただきました。
2019は、9月からワールドカップ、ハンドボールと続いていくわけですね。9月から12月まで、9、
10、11、12と4カ月間イベントが続くわけなんですね。恐らく県庁のスタッフだけでは無理でしょう
し、県内の市町村の協力あるいはさまざまなボランティアの協力がないと、この4カ月間は乗り切れな
いというふうに思います。
加えて、キャンプ誘致等々になってくると、今度はやっぱり市町村との連携、市町村がどういう形で
環境を整えたらキャンプが誘致できるのかあるいはほかの機能が果たせるのかということを、綿密に今
のうちから準備をしておかないと、なかなか思ったような成果が上がらないんじゃないかというふうに
思います。
特に、ハンドボール、ラグビー大会については、熊本県が誘致した以上は失敗は許されないというふ
うに思います。県議会も特別委員会をつくりましたので、ここはやっぱり一蓮託生ですから、県議会と
執行部と一緒になって成功に向けて頑張らなければならないと思いますし、同時に、国内外から多くの
方々に熊本に来ていただいて、県内各地に経済波及効果が上がるように、一緒になって頑張っていきた
いというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。
それでは、3番目の質問に入ります。
地域医療の充実について、まず、地域における産科医の確保についてお尋ねをいたします。
今、それぞれの自治体が取り組んでいる地方創生では、大きな柱として、若い世代の結婚、出産、子
育ての希望をかなえることも含まれています。大都市からの移住やあるいは既に地域に住んでいる若い
世代が、住みなれた地域にそのまま生活していけるようにするためには、その地域で安心して出産や子
育てができる環境整備が必要であり、特に産科医の確保は重要だと考えています。
医師確保の取り組みについては、県も地域と一緒になって努力をされていることは認識しております
が、持続可能な地方創生という観点から考えれば、産科医の確保、処遇改善は今後の大きな課題である
と考えています。
厚生労働省の調査では、平成24年末現在で県内の産科医は、産婦人科医も含めて132人。10年前より2
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
3人の減、約15%も減尐しています。また、人口10万人当たりの医師数も7.3人と、全国平均の8.5人を
下回っています。
公益社団法人日本産科婦人科学会等が、平成26年12月13日に行ったわが国の産婦人科医療再建のため
の緊急提言の中で、過去6年間の人口当たりの新規専攻医数が特に尐ない、つまり産婦人科医になろう
と思っている若手が尐なくて、緊急かつ抜本的な対応が必要な県が12ありますが、その中に熊本県も入
っていると指摘をされています。
また、熊本市以外の地域では、産科医療機関の閉鎖や産科医の高齢化が進んでおり、産科医療を維持
できるか、大きな不安があります。
さらに、本県には、分娩費用等について特殊な事情もあり、新規開業して病院を経営していくこと
は、非常に困難な環境にもあります。
そこで、地域の産科医の確保の現状と今後の県の取り組みについてどのように考えておられるのか、
健康福祉部長にお尋ねいたします。
次に、熊本型ヘリ救急運搬体制の運用について質問します。
本県では、防災消防ヘリとドクターヘリの2機体制による熊本型ヘリ緊急運搬体制を構築し、全国初
の取り組みに挑戦してきました。
熊本型は、防災消防ヘリは病院間搬送、ドクターヘリは現場救急を担い、役割分担を明確にし、それ
ぞれが対応できない場合は相互に補完することで、傷病者の救命及び後遺症の軽減等を図るために、2
機を効率的に運用しています。
2機の出動件数は、平成24年度が832件、平成25年度が948件、平成26年度が1,014件となり、運航開
始以降増加しています。
ドクターヘリについては、導入から3年半が経過し、県民への周知は進み、県民の安心の実現に大き
く貢献していると感じていますが、一方で、運用を図る中で幾つかの課題も明らかになってきておりま
す。
まず1点目としては、ドクターヘリの運航範囲についてです。
現在、ドクターヘリの運航範囲は熊本県内が原則となっておりますが、県境地域では、他県の患者の
方が本県の医療機関を利用されている現状があり、病状が悪化し、高次医療機関に搬送しなければなら
ない場合に、他県の方でも本県の高次医療機関に搬送されると聞いています。
他県では、隣県同士のドクターヘリが連携し、共同運用を行う等、柔軟に対応していると聞いており
ます。
次に、2点目ですが、病院間搬送の場合、搬送先の医師と搬送元の医師が、話し合いの上ヘリに搭乗
する医師を調整していますが、地域の医師がヘリに搭乗する場合、数時間は病院をあけることとなりま
す。医師が不足している地域では、診療体制に不安が残る状況にあります。
運航開始から3年半が経過したドクターヘリについて、今後、広域的な運用という、他県との連携や
さらなる地域の医療を守るという視点からも、運用面で検討する時期ではないかと感じています。
そこで、熊本型ヘリ救急運搬体制における他県との連携等について、今度どう取り組もうと考えてお
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
られるのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。
〔健康福祉部長豊田祐一君登壇〕
○健康福祉部長(豊田祐一君) 1点目の地域における産科医の確保についてお答えします。
新規の産科専攻医の減尐に伴い、本県においても、全国同様、産科医の数が減尐しております。
平成24年の厚生労働省の調査では、本県の産科医の数は、人口10万人当たり7.3人となっており、全
国平均の8.5人を下回っています。さらに、医療圏ごとで見ますと、熊本医療圏は11人と、全国平均よ
り多い反面、阿蘇や上益城の医療圏では3人以下となっています。
このように、産科の置かれた環境は、地域において特に厳しい状況にあり、産科医の確保は、議員御
指摘のとおり、地方創生の観点からも重要な課題と考えています。
このため、県では、産科医の確保対策として、地域医療介護総合確保基金を活用し、産科医の処遇改
善や研修指導に取り組んでいる医療機関に対し、助成を行っています。また、地域の専門医療を推進す
るために、熊本大学医学部に設けた寄附講座で研究する産科医を、地域の病院へ派遣しております。
また、日本産科婦人科学会等からは、産科医を専攻する医師が減尐している大きな要因の一つとし
て、医師臨床研修制度の見直しにより、平成22年度から産科が必修科から外れ、専門分野を決める前の
研修医の多くが、産科の現場に触れることがなくなったことを指摘されています。
このため、県では、初期臨床研修医を受け入れる病院の研修プログラムにおいて、産科を必修とする
よう働きかけを行っていきます。
このようにさまざまな対策を講じながら、地域における産科医確保の取り組みを進め、安心して出産
できる環境づくりに努めてまいります。
次に、2点目の熊本型ヘリ救急搬送体制の運用についてお答えします。
本県では、県内の救急医療体制の充実強化のため、全国で初めてドクターヘリと防災消防ヘリで現場
救急と病院間搬送を分担して対応するという、熊本型の運用を行っております。
お尋ねの他県との連携につきましては、通常は病院間搬送を担っている防災消防ヘリが対応してお
り、昨年度、他県への搬送を18件行っております。しかし、毎年2カ月程度は、防災消防ヘリの点検の
ため、ドクターヘリがかわりに病院間搬送も行っています。その間、ドクターヘリは、県内で発生する
おそれがある現場救急に待機しておく必要があるため、県外への病院間搬送は今のところ行っておりま
せん。
しかし、今後、県境の地域におけるニーズにドクターヘリも柔軟に対応できるよう、隣県と連携して
運用方法を検討してまいりたいと考えています。
次に、病院間搬送時に防災消防ヘリに搭乗する医師についてお答えします。
防災消防ヘリには、多くの場合、搬送先の医療機関の医師が搭乗しておりますが、搬送元の医師が搭
乗する場合もあります。搬送元の地域の医療機関には専門医が尐ないため、その専門医がヘリに搭乗す
れば、その間、地域の専門医が不足することになるおそれが強く、このため、できるだけ運送先の医療
機関の医師が防災消防ヘリに搭乗するよう、医療関係者に改めて要請してまいります。
県としましては、これらの取り組みを通じ、地域における救急医療体制のさらなる充実強化を図って
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
まいります。
〔溝口幸治君登壇〕
○溝口幸治君 産科医の確保について、今答弁があっておわかりのとおり、医師の臨床研修制度の見直
しがあって、研修医の多くが産科の現場に触れることがなくなったという現状があります。これが大き
な問題の一つだというふうに思います。それから、特殊な事情によって、分娩費用が安い病院にやっぱ
り患者さんが集中すると。すると、田舎の病院は、非常に経営が苦しくなるという現状もあります。
まあ、いろいろなものが重なって産科医が今尐なくなっているというのが現状ですが、県では、初期
臨床研修医を受け入れる病院の研修プログラムにおいて、産科を必修とするように働きかけていくとい
うことですから、ことしはもう無理でしょうから、来年度以降ということになるかと思いますが、ぜひ
とも病院に理解を得られるように働きかけをお願いしたいというふうに思っております。
それから、熊本型ヘリ救急運搬体制における他県との連携についても、今後、県境地域におけるニー
ズにドクターヘリも柔軟に対応できるよう、隣県と連携して運用していく方法を検討していくという答
弁がございました。
実際、福岡、佐賀、長崎あたりは連携ができています。それから、大分と福岡もできています。沖縄
と鹿児島もできています。実は、できていないのが、熊本を中心とする大分、宮崎、鹿児島、この辺な
んですね。これは、先ほど言ったように、ドクターヘリは熊本型というのを導入して、3年間一生懸命
やってきましたと。非常に高い評価を得ていると思います。3年たったので、やはりここでもう一回運
用を見直して、さらに熊本型が発展するような、そういう見直しになればというふうに思っていますの
で、ぜひ隣県との協議を早速始めていただいて、一日も早くその協議が調うようにお願いをしていきた
いというふうに思っています。
地方創生、地方創生と言いつつも、女性の人が安心して出産ができないということでは、本末転倒で
ありますので、ぜひともこの産科医の問題は、すぐに何か処方箋がばちっとあるわけじゃないんです
が、粘り強くこつこつと働きかけていく必要があるというふうに思いますので、今後とも私も注目して
いきますので、しっかりと執行部のほうでも取り組んでいただきますようにお願いをしておきます。
4番目の質問に入ります。
国営川辺川利水事業についてです。
国営川辺川利水事業については、球磨北部地域の農業振興に不可欠な水を確保するため、昭和58年に
事業着手したもので、既に32年が経過しています。
私の地元人吉市の上原田台地においては、水が来ることを前提に、県営事業により昭和61年までに面
整備が行われました。しかし、国営事業が進捗せず、必要な水がいつまでも来ない中、農家の方々は、
暫定水源として掘削された井戸の限られた水を利用して、機械化一貫体系によるニンジン栽培等に取り
組まれていますが、井戸の水では限られた範囲しか賄うことができず、国営事業による早期給水を長年
待ち望んでおられました。
本事業については、平成15年5月、利水訴訟において国が敗訴したことを受け、同年6月に、県が総
合調整役となり、事前協議を開始いたしました。
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
事前協議は3年にも及び、ダムを水源とするか否かをめぐって、関係者間の合意の見込みもつかず、
県が総合調整役としての役割も果たせずに、平成18年3月に、県や県議会、関係6市町村が組織する川
辺川総合土地改良事業組合の3者共同で、農林水産省に対し、安くて安定した水を一日も早く農家へ届
けられる新たな利水案の提示要望を行いました。
その要望の趣旨を踏まえ、農林水産省から示された案が、チッソの発電施設を活用し、ダムに水源を
依存しない既設導水路活用案であり、総合調整役である県も、平成18年7月の事前協議において、長年
水を待ち望む農家のために、既設導水路活用案に絞り込むとの整理を行いましたが、関係者間の合意ま
でに至らず、国は、平成20年から事業を休止したままです。
その後、利水事業関係6市町村長は、平成24年1月に既設導水路活用案による事業実施は不可能と判
断し、平成25年8月にかん排事業を廃止、農地造成及び区画整理事業は計画変更を行う方針で合意し、
国に再開を要望してきました。
市町村の要望を受け、国は、平成26年度に7年ぶりに事業を再開し、平成27年度、今年度からは、人
吉市に川辺川農業水利事業所を開設し、5億円の予算を計上し、事業計画の変更に向けてようやく動き
出したところです。
先日6月2日には、国、県、市町村長が出席のもと、国営川辺川総合土地改良事業地区行政連絡会議
が開催されたと聞いています。
この事業については、計画変更や事業廃止に向けて、受益農家の3分の2以上の同意が必要であり、
関係者の合意形成をいかに図るのかが重要となります。
このような状況の中、県としては、事業収束に向けどのように対応されるのか、農林水産部長にお尋
ねをいたします。
また、人吉市上原田地区の一部では、現在、暫定水源を利用し営農が行われていますが、地元からは
追加の水の手当ての要望が強い地域です。かんがい排水事業廃止後の新たな水の手当てについて、どの
ような対策があるのか、お尋ねをいたします。
〔農林水産部長濱田義之君登壇〕
○農林水産部長(濱田義之君) まず、第1点目の事業収束に向けた対応についてお答えします。
本事業は、事業主体である国の責任において完了させることが基本でございまして、現在、国では、
かんがい排水事業の廃止及び農地造成と区画整理事業の計画変更を行うため、土地改良法に基づく手続
の準備を進めております。準備が整い次第、法手続を開始する予定でございます。
このためには、関係農家の合意が重要でありまして、関係6市町村においては、地元の合意形成を図
っていただきたいと考えております。県としても、事業完了に向けて必要な法手続が円滑に進められる
よう、国や6市町村と協力してまいります。
また、国に対しては、農地造成団地における農地の手直しなどの工事を着実に進めるとともに、法手
続が終わり次第、農地造成団地への井戸などによる新たな水源確保が速やかに進められるよう、働きか
けてまいります。
第2点目の人吉市の上原田地区における新たな水手当ての対策についてお答えをいたします。
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
この地区は、優良な畑地帯でございまして、現在約20ヘクタールの作付を行う農事組合法人大地上原
田を中心に、活気のある営農が行われている地域だと認識をいたしております。
地元農家から、新たな水を手当てしてほしいとの要望があることも承知しておりまして、まずは国営
事業の法手続を完了させることが前提とはなりますが、完了の後、できるだけ早く事業に着手できるよ
う、今年度から基礎的な調査に取りかかることといたしております。
また、この大地上原田では、規模拡大の機運もあると伺っております。事業化が図られる際には、農
地中間管理事業等を活用して、さらなる農地集積を進め、効率的な土地利用が図られるよう、人吉市及
び関係農家と一体となって取り組んでまいります。
〔溝口幸治君登壇〕
○溝口幸治君 私の地元で言うと上原田地区ですが、長年待ち望んでいる水がなかなか届かないと。こ
の前は、調査の一環で井戸を掘ったら水が出てきたと大喜びされておりまして、もう水が目の前に見え
るものですから、あしたからでも引いてもらえるんだろうという機運にやっぱりなるんですね。しか
し、ここは3分の2の廃止の同意が必要ということで、そう簡単にはいきませんが、それをしっかりこ
なしながら次の事業に移っていかなければなりませんが、そもそもこの3分の2の同意というのは、非
常にやっぱりハードルが高くて、事業を進めるにも3分の2の同意が必要だった、今度、事業を終わら
せて次の事業に移るためにも、収束するためにも3分の2の同意が必要ということで、これはとてもや
っぱりハードルが高いと思います。もちろん、国の責任で終わらせるということが前提かもしれません
が、やっぱり国と県と市が、関係農家がしっかり連携をしてやっていかないと、なかなかこの3分の2
の同意というのはハードルが高いと思いますので、ぜひともしっかり取り組んでいただきたいと思いま
す。
ちょっと気になるのは、昭和58年なんですね、この国営の事業がスタートしたのは。そのときにかか
わった農水省のある職員の方から聞くと、当時、我々みたいなバッジ組がいろいろ要望してやった事業
じゃなくて、当時、この球磨の北部台地の農家が、本当に農林水産省やいろいろなところに働きかけ
て、自分たちで、本当農家みずからが要望してできた事業で、当時、霞が関としても非常に注目を浴び
ていた事業だったというお話を聞きました。
それぐらい気持ちが入っていた事業なのに、何でこうなっているのかなというのは、非常に私も反省
をするところですが、そうは言いながら、とにかくこの事業の収束、そして、新たな水の手当てのため
に力を尽くしていかなければなりませんが、今の球磨地域振興局だけ見ると、昭和58年のときの農業に
かかわっていた職員数と今の数とでは、相当な開きがあります。減尐があります。
一方で、球磨地域の農業を発展させていかなければならないという話をしながら、だんだんとその農
業普及をする人たちが減ってきているという現状がありますので、ここは、一気にふやせとは言いませ
んが、そのことも念頭に置きつつ、ぜひ対応をお願いしたいというふうに思っております。
次の質問に入ります。
教科書採択について質問いたします。
本年度は、平成28年度から中学校で使用される教科書採択の年です。
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
12月の質問でも、教科書採択に関して教育長に質問しました。1点目は、教科用図書選定審議会の委
員及び教科書専門調査員の人選について、2点目は、県教育委員会で作成される教科書の採択基準及び
選定資料について、3点目は、県立中学校における教科書採択についてです。
質問に対して、教育長は、委員等について、教育に対する関心や理解が高く、厳正、公正の立場を堅
持できる者を選任し、研修を行うこと、また、選定資料については、採択権者にとってより有効で活用
しやすいものとなるものを作成する、さらに、県立中学校の教科書については、採択権者としての権限
と責任において、主体的に採択を行うとの答弁をいただきました。
その後、本年度になり、これまで県教育委員会では、市町村教育委員会等が行う教科書採択への指
導、助言、援助の一環として、教科書の採択基準を策定されるとともに、それをもとに選定資料を作成
され、6月8日に市町村教育委員会に送付されたと聞いています。今後、市町村教育委員会が採択に向
けて参考にするのが、この採択基準と選定資料です。
この選定資料に関しては、熊本県議会では、平成17年3月に、学習指導要領の教科の目標を最も踏ま
えた中学校用歴史・公民教科書の採択を求める請願を採択しました。また、平成22年12月議会では、市
町村教育委員会等の主体的な採択に資するよう、どこの都道府県にも負けないような採択基準や選定資
料をつくってほしいとの質問も行いました。
その結果、現在教育委員会で作成されている採択基準は、調査の観点が10観点と増加し、また、選定
資料においても、文章による調査結果だけでなく、客観的な数値等も盛り込まれており、全国でもトッ
プレベルの選定資料だと思っております。
そこで、質問の1点目ですが、今回、選定資料を策定されるに当たり、そのもととなる採択基準につ
いて、さらにどのような改善を図られたのか、お尋ねをいたします。
次に、私は、教科書採択に関する近年の国の動向に大きく注目しています。
昨年の12月議会では、私は、教科書改革実行プランや教科書検定基準の一部改正に触れましたが、そ
の結果、今回の採択対象となる教科書については、常識的な範囲でよりよい教科書へと改善が図られて
いると聞いています。つまり、これまで広かったストライクゾーンがコンパクトになった印象を持って
います。
また、ことしの4月7日には、文部科学省初等中等教育局長から、平成28年度使用教科書の採択につ
いての通知文が出されました。この通知では、教育委員会の採択権者としての責任が不明確にならない
よう、教育委員会で十分な審議や調査研究を行うなどして、採択手続の適正化に努めることなどが強調
されています。
この通知文の中身は、県議会でこれまで採択してきた請願の内容と合致する動きであり、長年教科書
採択問題に取り組んできた者として、感慨深いものがあります。
今後、教科書採択を行われる市町村教育委員会等では、採択権者としての責任と権限を堅持され、教
育基本法、そして学習指導要領の趣旨や目標を踏まえ、また、県が策定した採択基準及び選定資料を参
考にして採択が行われてまいります。
そこで、2点目の質問ですが、本年度の採択基準と選定資料は、既に市町村教育委員会に送付をされ
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
ていますが、その後、市町村教育委員会において、適切かつ主体的な採択が図られるよう、県教育委員
会としてどのような指導、助言を行っていくのか。
以上2点について、教育長にお尋ねをいたします。
〔教育長田崎龍一君登壇〕
○教育長(田崎龍一君) まず、採択基準の改善点についてお答えします。
県教育委員会では、教科書を採択する際の基本的な方針等を記した採択基準を、教育基本法や学校教
育法、また学習指導要領の趣旨を踏まえて策定しています。
昨年1月、文部科学省は、我が国の領土に関する教育や、自然災害における関係機関の役割等に関す
る教育の一層の充実を図るため、中学校社会科の学習指導要領解説の一部改訂を行いました。
この改訂の趣旨を明確化するため、今年度の採択基準にその内容を新たに加えることとしたほか、選
定資料においても、全ての教科において各教科書の特徴や工夫点をわかりやすくまとめることとするな
ど、一層の充実に努めたところです。
次に、市町村教育委員会への指導、助言についてお答えします。
県教育委員会としては、これまで、選定資料の積極的な活用や採択に当たっての教科書見本の十分な
閲覧、さらには、情報公開の一層の推進等について、市町村教育長会議を初め、あらゆる機会を通して
指導、助言を行ってきたところです。
また、本年度新たに、採択基準等の送付後、各管内で説明会を開催し、市町村教育長を初め教育委員
等の採択関係者に対して、選定資料の内容やその十分な活用について直接説明することにより、採択基
準や選定資料が一層有効に活用されるよう取り組んでいるところです。
今後も引き続き、市町村教育委員会が教科書を採択するに当たり、採択権者としての権限と責任のも
と、十分な審議を重ね、適切かつ主体的な採択を行うよう、指導、助言を行ってまいります。
〔溝口幸治君登壇〕
○溝口幸治君 教育長から御答弁をいただきました。
管内ごとに説明会を開催したり、直接採択関係者に対して説明をしているということで、非常に県と
してやれることをしっかり果たしていただいていると思っております。
また、採択基準、選定資料についても、前回もそうでしたけれども、熊本県のものって、本当に非常
に客観的にそれぞれの教科書が判断できる材料になっていましたので、今回も――選定資料はまだ見て
いませんが、恐らく全国でもトップレベルの資料になっているんだと思います。後は、それぞれの市町
村が、しっかりそれを見て、子供たちにとって、日本を本当に好きになるような、そういう教科書をぜ
ひ採択してほしいというふうに思いますけれども、領土に関することとか、自然災害における関係機関
の役割等の教育の充実を図るため、学習指導要領の一部改正が行われたのを受け、採択基準に新たにそ
の内容も加えたというような御説明もありました。
1点御報告をさせていただきますけれども、実は、県教育委員会で取り組んでいただいた、正しい日
本地図というのがありましたよね。きちっと尖閣も竹島も入った、そして東アジアとの関係がわかるよ
うな地図。今、これが、県立高校はもちろんのこと、県内の小中学校の教室、全ての教室に張ってあ
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
る。幼稚園については、幼稚園も張ってある。保育園も張ってあるところもあるというぐらいで、熊本
県から始まったこの地図の運動なんですけれども、全国各地の自治体でも同じような動きが出ていま
す。
そういう中に、内閣官房のほうで今度つくられるそうです。内閣官房が、我々がやっていたやつをさ
らにバージョンアップして、一番北はどこですよ、東はどこですよというのを明記した地図をつくっ
て、都道府県の教育委員会を通して全国の小中学校に各1枚ずつ配付をするということで、いよいよ国
を挙げて取り組んでいただく。まさに、熊本県の教育委員会発の取り組みが、国もそれを採用するとい
うような形になっていますので、この教科書採択についても、ぜひそういうふうな流れになるようにお
願いをしておきたいというふうに思います。
○議長(松田三郎君) 残り時間が尐なくなりましたので、質問を簡潔に願います。
○溝口幸治君(続) それでは、最後の質問に入ります。
サイバー犯罪対策について質問をいたします。
今回、サイバー犯罪について質問の準備を進めていたやさきに、日本年金機構や東京商工会議所等の
事件が発生をいたしまして、非常にびっくりしました。
年金機構の対応がずさんだったとの指摘もありますが、それ以上に犯人が批判されなければなりませ
ん。憎むべきはサイバー攻撃をした犯人です。
いろいろ取り組みが進められているようでありますが、県下の状況を見ると、平成26年度中のサイバ
ー犯罪の検挙件数は、前年より35件多い135件と増加傾向にあり、インターネットバンキングの不正送
金事犯や、スマートフォンの普及に伴い、SNSや無料通話アプリなどを介して、わいせつな行為を目
的とした青尐年保護育成条例違反などの事件もあります。
今後もますます増加していくことが予想されると思いますが、今後は、専門知識を有した民間事業者
との連携や、また犯罪被害者の未然防止の観点からも、警察、行政のみならず、民間事業者との協力が
県警でも大切になってくると思います。
これらの点を含めて、県警本部長に、悪質、巧妙化するサイバー犯罪の対策についてお尋ねをいたし
ます。
〔警察本部長田中勝也君登壇〕
○警察本部長(田中勝也君)
県警察におきましては、昨年4月、警察本部にサイバー犯罪対策課を新設
し、委託研修の実施でありますとか、スマートフォンに記録されたデータの抽出、解析のための資機材
の整備等により、県警察自体の対処能力の強化を図ってまいりました。
さらに、本年4月から、熊本高専の教授をサイバー犯罪テクニカルアドバイザーとして委嘱し、技術
的な助言をいただいたり、いわゆるホワイトハッカーとの情報交換を実施したりするなどしまして、民
間事業者等の専門的な知見を捜査に活用しているところであります。
その他、金融機関とのサイバー犯罪への共同対処協定の実施、あるいはサイバー防犯ボランティアグ
ループと共同いたしました広報啓発活動などによりまして、今後とも、犯罪捜査と被害防止の両面か
ら、サイバー犯罪対策を総合的に推進してまいります。
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平成27年6月25日
一般質問
溝口幸治議員(速報版)
〔溝口幸治君登壇〕
○溝口幸治君 本部長、ありがとうございました。
これで質問を終わります。(拍手)
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