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生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案

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生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
目次
① ―――はじめに
② ―――序論
1. 研究テーマ
2. 現状分析
3. 問題意識と問題設定
③ ―――本論
1. 既存研究レビュー
(1)価格競争
(2)経験価値マーケティング
(3)パレートの法則
(4)各媒体の生活者の態度について
2. 仮説探索
(1)価格訴求型プロモーションの弊害
(2)情報提供型プロモーションの有効性
3. 仮説の提唱
4. 理論の枠組み
5. 仮説の検証
(1)
調査方法と調査内容
(2)
検証方法と手段
(3)
分析結果
④ ―――結論
⑤ ―――今後の展望
⑥ ―――終わりに
⑦ ―――脚注、参考文献
補録―――アンケート調査票
和泉班
和泉 紘子
大竹 智之
谷川 由希子
中林 千鶴
根本 宗一郎
橋本 早紀
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
聴者が減少しており、総じて視聴時間の低下がみられ
る。
①――はじめに
加えて雑誌の売り上げ低下、新聞購読者の減少、ラ
ジオの利用者の減少など、マスコミ 4 大媒体の効果が
本年度、関東学生マーケティング大会のテーマであ
る「学生視点のマーケティング」について考えた時、
私たちは「学生視点」という言葉に着目した。学生、
疑問視される中、新たなメディア利用で注目されてい
るのが「O2O」である。
「O2O」は「Online to Offline」のことであり、ネ
つまり若者にとって最も身近な視点で考えられるも
ット上(オンライン)から、ネット外の実地(オフライ
のは何だろうか、今日の私たちを取り巻く社会環境は
ン)での行動へと促す施策のことや、オンラインでの
どう変化しただろうか、そこで頭に浮かんだのがネッ
情報接触行動をもってオフラインでの購買行動に影
ト社会の台頭である。
響を与えるような施策のことを指す。
スマートフォンの普及により、インターネットの利
スマートフォンの普及が著しい現代において有効
用者は年々増加、私たちの生活にオンライン(インタ
な広告方法として注目されている「O2O」であるが、
ーネット)はなくてはならないものになっている。企
行われている内容としてはオンラインクーポンの配
業もオンライン上での発展が必要不可欠となり、多く
布が多い。実際に企業が行っているクーポンの配布は
の企業がオンラインも利用したプロモーションを行
一過性のものにすぎない。私たちはこの現状を前に、
っている。
価格訴求ではなく価値に訴求した O2O を実施するこ
その中でも現在注目を浴びているのが、オンライン
でのアプローチからオフライン購買の誘発をするO2O
とでより効果的に生活者に公告として訴求できるの
ではないかと考えた。
である。現在の O2O の多くが価格訴求型(クーポンな
そこで私たちは今回の研究目的を、企業が行うべき
ど)であるが、果たして真に生活者の求める O2O であ
O2O プロモーションとして、生活者が求める O2O が適
り有用性に満ちているだろうか。学生の私たちだから
していることを解明し、実証する事とした。
こそ考えられる価値訴求型が存在し得るのではない
か、新たな O2O の可能性を見出していきたい。
2. 現状分析
(1)ネット社会の確立
②―――序論
インターネットの出現によって、世界中のありとあ
らゆる時間や物質を越える事が可能となり、
「アラブ
1. 研究テーマ
の春」ではデモや蜂起の呼びかけをインターネット上
で行ったことで急速に拡散し参加者が膨れ上がった。
近年、テレビのながら見や、若者のテレビ離れが進
んでいる。博報堂の調査によると、スマートフォンの
今や、インターネットは今日のグローバル社会を牽引
する社会の大きな潮流となっている。
普及が進む現代において、スマートフォンユーザーの
このインターネットの発達は私たちの生活にも多
うち、テレビを見ながらスマートフォンを触る人は全
大な恩恵を与え、生活のなくてはならない一部として
体の 7 割にのぼる。また、16~29 歳の 1 日当たりの
完全に浸透した。総務省平成 24 年度版情報白書によ
テレビ視聴時間は、ここ 5 年間で「1 時間」以下の短
ると、平成 23 年末のインターネット利用者数は平成
時間視聴者が増加し、
「2 時間」
「3 時間」の中時間視
22 年末より 148 万人増加して 9,610 万人
(前年比 1.6%
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
増)
、人口普及率は 79.1%(前年差 0.9 ポイント増)と
にあり、平成 21 年の 87.2%から平成 23 年の 77.4%
なった(図 1)
。インターネットが普及したことによっ
と、10%近く減少している(図 2)
。フューチャーフォ
てありとあらゆる情報が
ン、タブレット、パソコンなど情報通信機器が全体的
に飽和状態にあるなかで、スマートフォンの急速な普
■表―――1
及が突出し、新規需要を開拓している状況であること
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
が判断できる。
インターネットの利用者数及び人口普及率の推移
スマートフォンの定義と特性については、総務省に
よると「統一した定義はないが、スマートフォンは、
インターネットの利用を前提とした高機能携帯電話。
アプリケーションを自由にダウンロードして利用す
る場面が多く、様々な側面において従来の携帯電話と
異なる特性を有する」とある。端末の特性としては「従
来の携帯電話端末の有する通信機能等に加え、PC レ
ベルの高度な情報処理機能を有する。
」とあり、ネッ
トワークの特性については「従来の携帯電話の無線ネ
ットワーク(いわゆる3G 回線)の他、
(公衆)無線 LAN
を通じてインターネットアクセスを行う」とされてい
(出典:総務省「平成 22 年通信利用動向調査」)
る。また、利用形態については「通信目的の利用(電
話・電子メール)に加え、アプリケーションをダウンロ
手に入り、またそれまで時間や場所の制約上不可能だ
った情報収集が実現可能になった。今日において、最
早インターネット環境は社会インフラの一部として
日本のあらゆる側面で利用されており、誰もが利便性
を享受しながら生活しているのである。同時に近年で
はスマートフォンの普及も進行している。元々日本で
は先進的な技術のある電子企業が数多く存在し、フュ
ーチャーフォン自体の性能も極めて高く、インターネ
ット社会を謳歌していた。同じく総務省平成 24 年度
版情報白書によると、スマートフォンを含む携帯電
話・PHS の保有率はほかの情報収集機器を差し置いて
最も高く、ほぼ横ばいで推移しており、基本的な情報
通信手段としての位置付けを維持している。スマート
フォンやタブレット端末については、平成 22 年から
調査を行っていて、平成 23 年にはスマートフォンの
保有率が 9.7%から 29.3%と 3 倍増となる一方で、タ
ブレット端末は 7.2%から 8.5%と、微増にとどまっ
ている。パソコン保有率は、平成 21 年から減少傾向
ードして多目的に利用される。PC と比較して利用者
との接触時間も長いことから、利用者の位置情報やア
プリの利用履歴等、利用者に関する広範・詳細な情報
が蓄積・活用される」とされている。加えてサービス
提供面では「携帯キャリア、プラットフォーム事業者、
アプリケーション開発者、情報収集事業者、収集した
情報の二次利用者等が相互に連携して、多様なサービ
スを提供している。
」としている。
以上から見ても、スマートフォンの利点としては、
それまでパソコンの機能に比べ大きく見劣りがあっ
たフューチャーフォンに比べ、パソコン並みの高機能
を有している点があげられる(小型高性能カメラ、加速
度センサー、GPS、近距離無線通信規格 NFC、拡張現実 AR な
ど)だろう。
このようなスペックの高い情報機器を常備するよ
うになったため、同時に無線 LAN である Wi-Fi の都市
部における整備も進みよりインターネットが常に手
元にある環境が日常化した。
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
■表―――2
主な情報通信機器の世帯保有状況
(出典:総務省「平成 23 年通信利用動向調査」)
また同時に、常に高性能の情報通信機器を有してい
できるオープン系 SNS、その他、近年ではゲームやア
た日本でも SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
バターを提供しながらユーザー間の交流を深めるSNS
盛んになり、普及した。SNS とは、定義としては総務
も普及している。この SNS の特徴としてはより深い人
省によると、SNS(Social Networking Site)とは、最も
間関係の構築を促進できることである。親しい間柄や
広義には、
「社会的ネットワークをネット上で構築す
疎遠になった友人関係でも SNS を通じてつながりを
るサービス全般」と位置付けている。さらに狭義する
持つことができ、また趣味やその他の特性に応じて集
と「人と人とのつながりを促進・サポートをする機能
団が形成されており、そこで新たな出会いを匿名性の
をもち、ユーザー間のコミュニケーションがサービス
あるインターネットで行うことができる。2005 年頃
の価値の源泉となっている会員専用のウェブサービ
からブログや掲示板と言ったインターネット上での
ス」と定義される。現代において様々なインターネッ
コミュニケーションが盛んになったが、SNS やミニブ
ト上のサービスが SNS 的な機能を要素として取り入
ログは、これらのコミュニケーションツールとは大き
れるようになっているため、SNS とその他のサービス
な違いがある。それはユーザー同士のソーシャルグラ
の境界は曖昧である。現在の SNS の種類としては、会
フを通じて情報が発達すること、個人が特定できる状
員だけがサイト内のコンテンツを閲覧・利用できるク
態なのでアイデンティティを保持したまま情報の受
ローズ系 SNS、非会員でも一部コンテンツにアクセス
発信が行われることであるが、代表的な SNS サイトと
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
しては LINE、Twitter、Facebook が上げられる。LINE
伝えることもできる。
とは NHN Japan が提供する無料通話とチャットができ
るスマートフォンのアプリであり、2011 年頃から爆
■表―――3
発的に普及した SNS である。携帯の通信機能が無料で
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手軽に使え、小規模なチャットが楽しめ、大手企業や
現在利用しているソーシャルメディアの種類
アニメーションキャラクターが起用された「スタンプ」
と呼ばれる機能が若者に人気を博した。LINE 株式会
社資料によると、
「2013 年 1 月 18 日時点で世界 1 億
人・国内 4,100 万人を突破」しているとある。資料か
らもユーザー層は 10 代から 50 代まで幅広く、特に若
者層である 10 代、20 代は男女ともに毎日見ている比
(出典:総務省「次世代 ICT 社会の実現がもたらす可能性に
率が圧倒的でありシンプル故に汎用性が高いアプリ
関する調査」
(平成 23 年)
)
ケーションと位置付けられているのが分かる。
Twitter とはツイッター社が提供しているブログや
以上の他にもモバゲータウンや mixi など多岐に渡
電子メールの中間に位置するコミュニケーションツ
り SNS は利用されており、現代社会のインターネット
ールであり、
「いまどうしている?」という問いに 140
におけるコミュニケーションツールとして確立され
字以内で答え、それにまた他のユーザーがコメントを
ている。しかし、常にインターネットを常備すること
することでコミュニケーションをとっていく SNS で
に可能にしたスマートフォンやタブレットの普及、そ
ある。2008 年から日本語版が提供され、総務省の平
れに準じたコミュニケーションツールとして SNS の
成 23 年度情報白書によると、ソーシャルメディアの
人気は、インターネットが発達した情報社会において
利用者に対して、利用しているソーシャルメディアの
様々な問題も孕んでいる。例えば「情報過多」の問題
種類について複数回答の結果、SNS は利用者の 75.2%
がある。天文学的な情報量によって形成されたインタ
が利用しており、以下、ブログ(54.8%)
、Twitter(50.0%)
、
ーネットでは何が重要で正確な情報なのか、誰が発信
ネット上の掲示板(33.1%)
、地域 SNS(17.6%)
、ミニブ
しているのか、主観的に判断していく必要がある。
ログ 8(16.1%)という結果だった(表 3)
。実に 2 人に
日々情報にさらされ続けることは脳へのストレスも
1人は Twitter を利用しており、日常を綴った日記と
蓄積される。その1つとして、
「ソーシャル疲れ」が
いう単純な形式は一般人だけではなく芸能人やキャ
あげられる。SNS をする理由として、周囲から認めら
ラクター、企業までもが参加する巨大な SNS として発
れたという「認知欲求」と自分を受け入れてほしい「親
達した。
和欲求」が要因としてあるのだが、これが容易に大量
また、Facebook は 2004 年で学生向けにスタートし
に情報を発信しまた情報を受け取れるので過度な人
た SNS であり、2006 年以降は一般に開放された。特
間関係を受容しなければならなくなる。さらにいつで
徴としては実生活で連絡を取り合ったり交流したり
もどこでも情報が入って来る環境によって、常に職場
している人間関係のインターネット上でのコミュニ
や学校での人間関係にさらされ、結果として精神的苦
ケーションツールであり、実社会のコミュニティと連
痛を感じてしまう現象である。SNS には現実世界と同
携しているという点で他 SNS と明確な差別化が行わ
質の人間関係があること、つまりインターネット上に
れている。また、
「いいね」ボタンをクリックするこ
おいて情報の受け手、送り手が明確であることも原因
とで他者の提供した情報に共感したことを簡易的に
であろう。
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
また、スマートフォンの普及についても、歩きなが
■図―――4
らスマートフォンを見る行為が一般化し、人身事故や
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予期せぬトラブルに発展する事も多い。さらに、SNS
AIDMA の法則
などで評価を行う「口コミ」が消費者の購買意欲に強
く作用する事が分かっており、企業が業者を雇って都
合の良い情報を流したり、有名人に紹介してもらった
りする「ステルス・マーケティング」もまた問題視さ
れている。そうしたあらゆる弊害が起きている現代社
会において、近年では情報リテラシーが注目されてい
る。インターネット社会において、私たちはどう向き
合い、折り合いをつけていくかが重要なのである。
このように私たちを取り巻くインターネット社会
の確立によって生活習慣や様式は大きく変化した。普
(出典:Advertising)
段の何気ない買い物においても、消費者の購買活動は
インターネットの普及により変わり始めている。つま
■図―――5
りは、インターネットを利用した購買行動が出現した
AIDMA の法則
のである。これに対し企業もまた大きな社会の潮流に
対応や適応を求められている。企業が一般に消費者の
行動を分析するとき、マーケティング分野における購
買行動プロセスを利用して行う。購買プロセスとして
は、古くはセント・エルモ・ルイス(1898)が提唱し
(出典:アンヴィコミュニケーションズ)
た AIDA(アイーダ)モデル(注目(Attention)し、興味
(Interest)
を持ち、
欲しい
(Desire)
と思い、
購買行動
(Action)
することで関心の度合いを高め、他製品との比較
を起こすというプロセス)
がその始まりとされている(図
(Comparison)や評判を含めて検討(Examination)した
4)
。
上で意思決定を行い、行動(Action)する。さらに購
その後マーケティングの分野において最も有名な
買後評価を共有(Share)するのだが、この購買行動モ
購買プロセスであるローランド・ホールの AIDMA(ア
デルでは随所にインターネットが登場するという変
イドマ)モデル(その製品の存在を知り( Attention)、
化が見受けられる。
興味をもち
( Interest )
、
欲しいと思うようになり
(Desire)
、
動機を求め(Motive)
、最終的に購買行動に至る( Action)
という購買決定プロセス)が提唱され(図 5)
、長らく企
業の施策にも取り入れられてきた。
■図―――6
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
AISCEAS の法則
しかし高度に情報社会が発達した現代においては、
望野和美(2005)の AISCEAS(アイセアス)モデルが注
目されている(図 6)
。このモデルでは注目(Attention)
し、興味(Interest)を持ち、情報収集(Search)を
(出典:アンヴィコミュニケーションズ)
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
このように、消費者が購買を決定するまでにより複
雑に過程が構築されているが、企業にとって売り上げ
能に関する情報収集と選択、購買を同時に行うことが
できることである。
の多くは実店舗による収益である。野村総研のインタ
このような E コマースを実践している代表的な企
ーネット経済調査報告書(2011)によると、実店舗で
業としては Amazon.com があげられる。アメリカ、シ
の購買市場は約 110 兆円の規模があるが、購買行動プ
アトルに拠点を置くインターネット小売り業者で
ロセスが AISCEAS モデルに変化したように、この市場
1995 年創業。オンライン書店やインターネット小売
のうち「インターネットからの情報収集に基づく消費」
り業者の象徴的な存在として、書誌情報、在庫情報デ
による消費規模は約 22 兆円と全体の 2 割を占めてい
ータベースの整備、顧客対応・管理の徹底、大幅なデ
る。しかし、インターネットにおいて、購買行動の帰
ィスカウント販売によって急成長した。徹底した顧客
結が必ずしも実店舗であるとは限らない。インターネ
志向は長らく経常利益が生み出せずにいたが、
ットにおける購買、E コマース(電子商取引)と呼ばれ
Amazon.com が企業と消費者の売買仲介、レビューや
るオンラインショッピングの市場規模は約 7 兆円規
評価による消費者と消費者の情報の受送信などイン
模で市場として 2 ケタ成長を続けている。
ターネットにおける大きなプラットフォームとして
E コマース(電子商取引)の定義については、経済産
売り上げを伸ばし、現在に至っている。
業省の消費者向け電子商取引実態調査(平成 21 年)に
しかし、このような E コマースの登場は必然的に実
よれば、
「商取引(=企業(個人事業者も含む)の収益と
店舗に影響を与える。これは低価格商品が溢れるネッ
して計上された金銭的対価を伴う商品としてモノ、サ
ト上と実店舗の間で価格競争が生じるためである。特
ービス、情報の交換に関わる一連の業務・行為)のう
に、店頭で商品を吟味し、安いオンラインで買う「シ
ち、一部でもコンピュータを介したネットワーク上で
ョールーミング」という購買スタイルが出現すると最
行われ、かつ、成約(=確定受発注)されたもの。ま
早何のためにコストを払って実店舗を経営している
た、
「一部でもコンピュータを介したネットワーク上
のか企業にとって分からなくなってしまう。実店舗に
で行われる」取引形態とは、パソコン等の画面を通じ
おける販売プロモーションにおいて、インターネット
て注文及び承諾が行われた場合をいう。ただし、受発
を利用して実際に商品を買いに実店舗に来てもらう
注がコンピュータネットワークシステムを介して行
ことが重要になってくる。つまり、オンラインの状態
われることが条件となり、電子メールによる受発注の
からオフラインの実店舗へ行動を移させるプロモー
うち定型フォーマットによらないものは含まない。な
ションとして、今注目されているキーワードこそ「O2O」
お、支払いについては、必ずしもコンピュータネット
である(図 7)
。
ワークシステムを介する必要はないものとする。
」と
「O2O」が注目されている一つの証明として、Google
されている。古くは通信販売と呼ばれた市場であるが、
検索数の推移が急激に上昇していることがあげられ
現在は情報社会の確率で急速に浸透している。インタ
る。NTT コミュニケーションズの調べによると、2011
ーネットで帰結する購買の利点としては、売り手は実
年上半期と下半期で明らかに検索されるようになっ
店舗のコストを投資せずに売買ができること、資金が
ており、その勢いは現在もなお続いている。O2O の定
ない状態でも開業が容易であること、また世界中どこ
義としては、その形態の多様さや近年注目され始めた
でも、どこからでも注文を受け付けることができるこ
プロモーション活動なので諸説あり確立されていな
とである。買い手にとっても、実店舗のコストがかか
いが、総務省の情報通信国際戦略局情報通信経済室が
らないので比較的安く商品を購買できること、いつで
まとめた定義によると、O2O とは「インターネットの
もどこでも瞬時に注文ができること、価格や品質や性
様々な機能を活用して、実店舗に誘客し物販すること」
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
となっている。O2O は「オー・ツゥー・オー」と呼ば
扱われる財またはサービスの販売または購入である。
れており、その意味も「オンライン・ツゥー・オフラ
財・サービスは、ネットワーク経由で注文が行われる
イン」だけでなく
「オフライン・ツゥー・オンライン」
、
が、財・サービスの決済や最終的な配送については、
さらには「オンライン・ツゥー・オンライン」と様々
オンライン、オフラインのいずれでも構わない。具体
である。
「オフライン・ツゥー・オフライン」も言葉
的には、インターネット・アプリケーション、EDI、
の表現上可能であるが、実店舗から実店舗への送客を
Minitel(フランス国内で提供されているビデオテックスサ
意味するので、本研究において重要視するネットワー
ービス端末)
、インタラクティブ電話システムなど、自
クを介在しないため、今回は加味しない。オンライン
動化された取引に利用される、あらゆるオンライン・
である状態とは、携帯やスマートフォン、タブレット、
アプリケーション上での受発注が、これに該当する。
」
パソコンを使用している状態であるが、能動的に各情
とある。また、狭義では「企業、家計、個人、政府、
報機器を使用していなくても、スマートフォンの項目
その他の公的・私的組織間を問わず、インターネット
であげたような位置情報(GPS)を常時スマートフォ
上で行われる財またはサービスの販売または購入で
ンやタブレットから送信している状態においてもオ
ある。財・サービスは、インターネット経由で注文が
ンライン状態であると言える。
行われるが、財・サービスの決済や最終的な配送につ
このような概念が登場した背景には何があるのだ
いては、オンライン、オフラインのいずれでも構わな
ろうか。元々はオンライン上での購買喚起について、
い。具体的には、ウェブページ、エクストラネットの
E コマース、
電子商取引の概念が最初と言われている。
ほか、インターネット経由 EDI、インターネット経由
E コマースとは経済産業省によると OECD の定義に準
Minitel またはその他のウェブ対応アプリケーション
拠しており、広義では「企業、家計、個人、政府、そ
など、ウェブのアクセス形態(例.モバイル、TV セット
の他の公的・私的組織間を問わず、インターネットで
経由など)に関わらず自動化された取引に利用される、
■図―――7
O2O の構造
(出典:NEC)
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
インターネットを介して稼働するアプリケーション
を開始した。同時にインターネットの利点を利用した
上での受発注が該当する。他方、電話、FAX、従来型
クリック&モルタルも誕生した。
2010 年代に入ると、
の E メールによる受発注は該当しない。
」現在も野村
楽天市場の流通額が 1 兆円に到達するなどネットワ
総研によると 2012 年度では 10 兆円規模になり、年平
ーク社会への移行が進行し、スマートフォンの普及も
均成長率も10%と今後も拡大すると予想されている。
相まってこうしたクリック&モルタルの遺伝子を受
もちろんこの市場の中にも O2O は該当する部分が
け継いだもの、それこそが「O2O」なのである。現在
あるのだが、この E コマースには企業にも消費者にも
ではインバウンドマーケティングの観点から O2O を
多くの恩恵をもたらしている。企業や売り手は実店舗
実行した消費者が満足し、さらにネットワーク上で口
を運用する費用がかからないので、資金の少ない事業
コミや評価をする事までデザインしようとする
者でも開業が容易であること、実店舗の地理的要素、
「O2O2O」も考えられており、オンラインからオフラ
時間的弊害関係なく、世界中どこでも、いつ何時でも
イン、オフラインからオンライン、そして共有と伝播
取引が可能であることは、売り手に新たなターゲット
による永続的な「O2O」のスパイラルこそ目指される
や市場の創出を促すことができる。買い手にとっても、
べき方向として議論されている。本研究では、現在の
価格や品質・機能や性能といった情報探索と購買意思
ネットワーク環境の整備やスマートフォンの普及、つ
決定が一度に同一の空間的で行うことができるので、
まりネットワークが消費者の生活のインフラ的に作
商品を入手する流通的段階を省略することができる。
用していることを加味し、オンラインからオフライン、
オンラインショッピングの市場が拡大する中、ネッ
つまりネットワークから実店舗へ購買を働きかける
トワークの持つ優れた情報量と検索性、伝播性を加味
プロモーションを O2O の定義とする。
し、ネットワーク社会と実店舗が連携することにより
では、現在どのような O2O が実践されているのか、事
シナジー効果を発揮する「クリック&モルタル」とい
例を取り上げたい。日本において最初の O2O ビジネス
う概念が誕生した。定義としては大辞泉によると「イ
を始めたのは 2003 年に登場した日本マクドナルドの
ンターネットを利用した電子商取引と実店舗を組み
会員限定の割引クーポンなどを提供する「トクするケ
合わせる経営手法、またはそれを行っている企業のこ
ータイ」である。現在その会員数は約 2100 万人であ
と。米国では、歴史と実績をもつ大企業をブリックア
り、この O2O の特性はクーポンである。マクドナルド
ンドモルタル(煉瓦(れんが)と漆喰(しっくい))とよ
の店舗においてレジ横に設置された読み取り機、アプ
び、それに掛けた呼称とされる。
」としている。つま
リをダウンロードした携帯電話やスマートフォンを
りは実店舗と電子商取引を行うネットワーク上の店
かざすことで、クーポンを使用することができる。値
舗(Web サイト)の双方を運営することで相乗効果を狙
引きを行うクーポンの配布は紙で行っていたが、アプ
うビジネス手法である。インターネットビジネスが開
リケーションに切り替えたことで印刷するコストを
始され始めた黎明期の 2000 年頃から用いられており、
削減。この変更によってマクドナルドはキャンペーン
この概念が現在の O2O に繋がる原点である。90 年代
内容を1か月前には決めなければならなかったが、3
から E コマースビジネスがアメリカで開始され始め、
日前でも間に合うようになった。同時に携帯やスマー
1994 年は Amazon.com がサービスを開始した。日本で
トフォンをかざす行為は「おサイフケータイ」による
はネットワーク環境の整備が遅れたこともあり、電子
電子マネー決済の機会も増え、会計時のオペレーショ
商取引を行う主な企業として楽天市場が 1997 年に登
ン時間の削減にもつながった。更にリピート客の創出
場した。21 世紀に入ると E コマースビジネスは徐々
を目指し、アプリ内の会員証の機能を設けスタンプを
に普及し、Amazon.co.jp が日本においてもサービス
貯めることができるようにした。例えば、期間中に指
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
定した商品を購入することによりスタンプが貯まり、
きる。近い将来には、eBay がネットオークションサ
一定数貯まることによって特別なクーポンをプレゼ
イトとしてだけでなく先進的な O2O を実践する企業
ントするといった内容である。
として認知される可能性は充分にある。
また 2100 万人に一斉に情報を発信できるのはマス
O2O はしばしば消費者を驚かせる施策として登場す
メディアにも劣らないすぐれたメディアと言える。会
ることもある。イギリスの小売大手 Tesco は韓国にお
員にダイレクトに新商品やキャンペーンを伝えるこ
いて「Homeplus」というブランド名でスーパーマーケ
とは訴求力も高く、オンラインであるアプリが、クー
ットをチェーン展開しているが、その O2O 施策は同ス
ポンなどの情報を発信することで、オフラインである
ーパーで販売している商品の写真を駅のホーム一面
実店舗での購買を促す O2O の代表的な施策と言える。
に掲載。その写真にはバーコードがついており、読み
またオンライン上でのクーポン配布型 O2O として
取ると EC サイトでその商品がショッピングカートに
はアパレル業界の大手「ユニクロ」の取り組みも挙げ
入り、そのままその場で注文することができる。購入
られる。日本マクドナルドと同様にアプリを開発し、
後、商品は自宅まで運送されるので、買い物する時間
割引クーポンやチラシを発信するほか、指定日時に使
を省略することができるようになった。このような
える割引クーポンがランダムに受信される「LOCKY
「話題性」を主軸としたプロモーションが、海外にお
HOUR」といった新たな機能も搭載した。しかしユニク
ける O2O の主流となっている。例えば SNS のようなソ
ロはこの他にも代表的な SNS である Facebook を活用
ーシャルメディアとリアルイベントを双方向に連動
した「UNIQLO CHECK-IN CHANCE」というキャンペーン
させたキャンペーンを行っている。ファッションブラ
も実施していた。ユニクロの核店舗でチェックインし
ンドの Designqual は毎年海外で奇抜なキャンペーン
たユーザーに向けて値引きクーポンを提供し、確率に
を展開。下着姿で店舗の店頭に並ぶと商品をプレゼン
よっては更なる値引きクーポンも提供した。しかしこ
トするキャンペーンはマスコミにも大々的に取り上
のクーポンを利用できるのはユニクロ銀座店のみで
げられ、SNS を通じて情報が拡散。Designqual の意味
あり、注力している店舗への来客数を伸ばす施策も
は「同じではない」である。文字通り型破りな O2O プ
O2O を利用している。
ロモーションによって企業イメージに沿ったブラン
このようにクーポンを使ったサービスはオンライ
ドコミュニケーションが達成されている。
ンから実店舗にユーザーを移動させることを主軸と
海外では一般に、オンラインからオフライン、また
している。しかし海外では単純な集客プロモーション
オフラインからオンラインへと O2O スパイラルを成
ではなく、消費者のニーズに合わせた取り組みが実践
功させるための企業のコミュニケーション戦略とし
されている。海外においてネットオークション最大手
て O2O が積極的に活用されている。日本においても、
の eBay は、O2O 関連の技術を持った会社を次々と買
単純なセールスプロモーションに陥らない O2O プロ
収し自社のサービスの幅を広げている。バーコード認
モーションが実践されている。
「スマポ」は、スマー
識の技術を利用し、実店舗に陳列された商品のバーコ
トフォンのジオフェンシング技術を利用した来店検
ードを読み取らせることで、EC サイトで売られてい
知技術によって加盟店来店時に様々なサービスを行
る同一商品の最安値を、簡単な手順で検索できるよう
っている。アプリをダウンロードした消費者が自動的
にした。また、ネットワークから実店舗の価格や在庫
にポイントやクーポン、その他の情報を得ることがで
情報を確認できるサービスによって、バーコードを読
きる。その消費者の来店回数によって無駄のないプロ
み取った商品について、近くにより安く販売している
モーションが実践でき、既にビックカメラやユナイテ
店舗がないかどうか、その場で簡単に調べることもで
ッドアローズなどが利用を始めている。大企業だけで
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
なく、中小企業向けのネットワーク、スマートフォン
行動モデルが生まれつつある。野村総合研究所と
を活用したO2Oサービス提供するNTTコミュニケーシ
Google は新たな購買モデルとして
「ARASL」
を提唱し、
ョンズの「スマホ集客ソリューション」などもサービ
モデル化した(図 8)
。従来の代表的な消費者行動モデ
スを展開しており、90 年代からのオンラインショッ
ル「AIDMA」が変化し、O2O によってオンライン上の
ピングの歴史は E コマース、クリック&モルタルを経
消費者が情報を認知(Attention)し、実際に興味を持
て、O2O の普及が進む段階へ移行したのである。
って消費者が実店舗やリアルな場に送客
(Reach)
され、
以上から O2O には企業が利用、活用するだけの利点
実際に購買と利用(Action)を行い、ネットワークを
があると考えられる。松浦由美子著「ネットで客を店
通じて店舗情報や商品の利用情報を共有(Share)し、
舗へひきつける」によると、O2O プロモーションを行
再利用、再訪問(Loyal)することでリピーターへの更
う価値として、
「クーポン・ポイントなどのお得情報」
なる恩恵を発生させる購買プロセスが出現したので
「ソーシャルメディア上で伝えたい話題や感想」
「特
ある。この消費者行動プロセスにおいて今回注目した
定の分野での商品・サービスの口コミ」
「店頭での商
いのは「送客」
、そして「再利用」の部分である。
「送
品価格・在庫情報の事前確認」
「ゲームの仕掛けを利
客」とは、オンライン上で得た情報や経験を元に、実
用した楽しみ」
「出会いや交流」
「ギフト」をあげてい
際にオフラインへと行動に移す、その誘導過程であり、
る。このような O2O の特徴はクーポンなどの「価格訴
O2O のまさしく 2 に該当する。また、この点で「送客」
求型」
、消費者を巻き込んだキャンペーンやコミュニ
と「集客」の相違点がよく挙げられるのだが、送客と
ケーションを行う「価値訴求型」
、メールマガジンや
は、顧客化されていない消費者を他メディアなどから
オンラインチラシ等が該当する「情報提供型」分ける
誘引することであり、集客とは既に自社のモノ・サー
ことができる。
ビスを利用したことのある消費者を自社が展開する
では、企業の O2O プロモーションを受けて、消費者
店舗などに誘導することである。つまり送客とは消費
はどのような購買プロセスを辿るのか、新たな消費者
者のあらゆる生活の場面において自社のモノ・サービ
■図―――8
AIDMA から ARASL へ
(出典:中野 IT 活用診断士事務所)
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
スを登場させることで行動に移すことである。では
特に最近はメディアミックス、さらにクロスメディ
O2O における「送客」を考えるときに、重要なことは
アプロモーションといった施策が企業にとって一般
何なのだろうか。それは、オンラインとオフラインと
的になっている。メディアミックスの定義はブリタニ
いった、2点の切り離された空間をいかにして結合さ
カ国際大百科事典によると、
「広告キャンペーン媒体
せ、シナジー効果を生み出すか、こうした認知から購
の組み合わせ。広告メッセージをいかに効率良く対象
買・利用に至るまでの過程にて、オンラインとオフラ
に到達させるかを考えること」とされている。一般に
インの特性を生かしたモデル案を構築する必要があ
は話題性を求めインパクトの強い情報発信にはテレ
る。
ビ、商品名の浸透には新聞とラジオ、好意的心理変容
そして、
「再利用」とは、消費者(特にリピーター)
には新聞と雑誌が効果的とされている。このように各
へのインセンティブを与えるなどの付加価値によっ
媒体の特性を利用し、どう広告目的にあったプロモー
て、一度顧客となった人々に継続的購買・利用を促進
ションを行うべきか企業は検討する。しかしこのまま
することである。再利用の領域は O2O の効果的な手法
では、単にプロモーションの効果を高めるために様々
を展開する上で、非常に重要となる部分ではあるもの
な媒体で広告を行い、情報の到達度を高め広く認知さ
の、企業は認知から購買に至るまでの過程を重要視し、
せることに重きを置いたままである。さらにメディア
特化するあまり、機能整備は不十分であり、ソリュー
の特性を利用したメディアミックス戦略が、クロスメ
ション市場として確立されるまでに至っていないと
ディア戦略である。前波(2011)によれば、メディア
いうのが現状である。今後、より効果的な O2O を展開
ミックスは「一定の予算の中で異なるメディアを組み
していくためには、ソーシャルサービスを通じて消費
合わせ、消費者への到達効率を最大化させる一方通行
者との絆を深めるなどといった、自社顧客との関係強
のコミュニケーションである」としており、クロスメ
化が重要となり、ARASL モデルを円滑に推進していけ
ディアについては、
「異なったメディア間を消費者が
るような「トータルな O2O」を促進していく必要があ
能動的に移動するように、メディアの特性を踏まえな
る。
がらメディアを複層的に配置し、その移動の過程でシ
ARASL の理論を採用していく上で欠かすことのでき
ないオンライン状態とは、スマートフォンやタブレッ
ナジー効果を期待する、双方向性のコミュニケーショ
ンである」と定義している。
ト、パソコンが稼働している状態の事である。私たち
つまりクロスメディア戦略では、媒体で情報を伝達
は普段これらのディスプレイ画面を通して情報を受
することは効果が高いので、さらに各特性を考慮、活
信、送信しているのだが、企業のプロモーションとし
かすことでより消費者を購買へと導くことを目的と
て、ネットワークだけでなく従来のマスメディアや街
している。その戦略においてインターネットは重要な
中の看板のような広告媒体も依然として機能してい
プロモーション要素として企業が注力している。知っ
る。私たちは膨大な情報の中で様々な媒体を通じて情
てもらうためのマス広告、買ってもらうための SP 広
報を取捨選択しているのである。企業の広告費として
告の両方を実行ができる利点はテレビに並ぶ重要な
は、インターネットにおける広告費が伸びているが依
広告媒体であるといえる。このように企業からの「情
然としてマス 4 媒体、ラジオ、新聞、雑誌、特にテレ
報」として O2O を捉えたとき、各媒体への情報の感じ
ビにおける広告費が高い。ネットワーク社会の到来以
方、態度がその施策を左右するのではないだろうか。
前から、このようなマス媒体は優れた情報源、情報伝
つまり、消費者が感じる媒体への態度が O2O の施策に
達手段として企業のプロモーションに利用されてき
対する態度に強く作用する可能性がある、ということ
た。
である。では、消費者の今はどうなっているのだろう
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
か。
生活者が求める O2O の在り方を提示することで、企業
アメリカの経済学者で日本のマーケティングに常
の O2O プロモーションを活発にし、実店舗での売上増
に影響を与える存在であるフィリップ・コトラーは著
加を目指したい。実店舗に生活者が訪れることによっ
書「マーケティング 3.0」において、これからの将来
てその過程において交通費や交際費など他の企業へ
へ向けて利益ではなく消費者における価値、その社会
の波及効果もあり、地域全体、ひいては日本経済のさ
での価値が主導する社会の到来を予期している。世界
らなる活性化に繋がると考える。
をより良い場所にするために、消費者、企業、行政と
いった経済主体が共に社会に対して貢献していく必
3. 問題意識と問題設定
要がある。現在多くの大企業が社会への責任を負う
「CSR」活動を行っているが、その活動が直接企業の
現状分析を踏まえてマーケティングの理論を展開
イメージや売り上げを高めるか、利益について不透明
する前に、現段階の課題を整理すると、
な部分も多く決して企業は積極的ではない。あわせて
1.企業戦略について、どの訴求型プロモーションが良
価値主導の世界へ向けて、企業は社会への責任ではな
いと評価されるのか
く価値を提供するべきであるという、
「CSV」の概念も
2.各媒体によって情報に対する受容態度は変わるの
生まれ、企業も重視しつつある。2011 年の震災を機
か
に社会への貢献や人とのつながりへの意識が高まり
3.ネット社会において生活者が重きを置く要素とは
つつあるなか、このような企業の動きを「共創」マー
何か
ケティングと位置付けられるだろう。共に企業と消費
について既存研究から理論を展開し、本研究の仮説を
者が社会に価値を生み出し、また企業が持続的利益を
導き出したい。
上げるために、SNS といったソーシャルサービスの普
及、IT 技術の革新、震災以後の消費者の態度変容は
欠かせない判断材料となるのである。現状分析を行っ
②―――本論
た結果として得たインサイトは、より消費者の生活に
迫ってニーズを発掘できる環境が誕生した中、企業は
1. 既存研究レビュー
もはや消費者、ではなく「生活者」として行動を捉え、
分析していくべきであるということである。この時代
企業の戦略として、価格に訴える価格訴求型と、使
の流れは O2O プロモーションにとっても重要な要素
ったことで生まれる価値を訴える価値訴求型に大き
である。これからは、より生活者が求める O2O プロモ
く分類される。これから O2O のような価値を生み出し
ーションを企業が実践すべきなのではないだろうか。
ていくプロモーションを考えるとき、価格訴求型戦略
本来、O2O の考え方はオンラインからオフラインの実
の限界について、上田隆穂著の『日本一わかりやすい
店舗へと企業がコミュニケーションによって生活者
価格決定戦略』を研究材料として理論を展開したい。
に購買を促す戦略である。しかし国内企業において、
(1)価格競争
O2O は新たな試みとして始まったが依然としてクーポ
企業の戦略として、値引きといった価格を訴求する
ンのような従来のプロモーションの延長線上に留ま
プロモーションを重視する日本では各企業の利益圧
っている現状がある。O2O は無限の可能性を秘めてい
迫が指摘されている。日用消費財メーカー33 社にお
るが故に企業もプロモーション方法やその施策につ
いて、値引き原資となる販促費比率の上昇は広告費の
いて経験も浅くあぐねている。本研究の方針として、
3 倍にも達している。しかし実店舗において全日のう
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
ち特売を行っている 6~7%の日数で販売数量の半数
(3)パレートの法則
近くを稼いでいるのが現状で、企業は「値引きをしな
パレートの法則とは、イタリアの経済学者・社会学
ければ利益を出せない」果てしない価格競争のスパイ
者であるヴィルフレド・パレートが 1986 年に提唱し
ラルに陥っている。
た言葉で、
「社会全体の所得の多くは一部の高額所得
(2)経験価値マーケティング
者が占めているが、それは国や時代の制度の問題では
経験価値マーケティングについて記述する前に、価
格訴求と価値訴求について記述する。
価格訴求とは値下げや、クーポンのように価格を下
なく、一種の社会的自然現象」であるということであ
る。パレートの法則をマーケティングに当てはめると、
2:8 の法則と同義となり、
げることで消費者に訴求することである。しかし価格
・全商品の上位 20%の商品が売上げの 80%を占める
訴求は、商品のブランド価値を損なう、消費者の内的
・全顧客の上位 20%の顧客が売上げの 80%を占めると
参照価格を引き下げ、安くないと売れないという状態
いうことになる。このことは優良顧客の重要性を立証
に陥り、消費者が値引きを待ってしまうことなどの弊
している。上田隆穂(2005)によると、消費者は価格
害が指摘される
(DelVecchio Krishnan and Smith 2007)
。
における購買方法によって、チェリーピッカー、値引
そしてこのことにより、企業は価格競争を行わざるを
き愛好家、ライトユーザー、優良顧客の 4 つに分類さ
得なくなる。
れる(図 9)
。それぞれの構成比や売り上げ構成比など
この価格訴求とは別の側面からの訴求方法が価値
は 表 10 の通りである。
訴求である。ブランドと消費者の関係性、さらに小売
店舗と消費者の関係性をより良好にしていく(太宰潮
■図―――9
2008)ことで訴求していく訴求方法である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このような 2 つの訴求方法を加味し、価値訴求を重
視したマーケティング方法が経験価値マーケティン
グである。経験価値とは、商品やサービスそのものの
価値ではなく、実際に顧客がそれらを利用した経験に
よって得られる価値、すなわち満足や効用といったも
ののこと(exBuzzwords より)である。また、経験価値
マーケティングとは、バーンド・H・シュミットによ
って提示されたマーケティングで、ユーザーの経験価
値に着目したマーケティング及び、経験価値を重視し
たマーケティングを行うべき、という考え方である。
従来のマーケティングの基本的な考え方である 4P
(Product、Price、Place、Promotion)といった考え方と
異なり、SENSE(感覚)
、FEEL(喜怒哀楽)
、THINK(考え
る)
、ACT(行動する)
、RELATE(他社との交流)という 5
つの経験領域から、マーケティングを考えようという
マーケティングの考え方である。価格や性能、そのア
ピール方法といった合理的な視点ではなく、消費者の
感情に焦点を置いた考え方と言える
(exBuzzwordsより)
。
(出典:筆者作)
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
■表―――10
経験、知識、ロイヤルティ、リレーションシップを有
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
しているほど広告効果が高まることも多くの研究に
よって示されている。(石崎,2003,2005;木戸,2004;
構成比
チェリー
28.5%
売り上げ
粗利益
粗利益
構成比
構成比
率
15.7%
-1.5%
-0.6%
21.5%
28.8%
6.4%
1.2%
21.5%
12.9%
19.7%
9.4%
者の心理的要因によっても、その広告効果は大きく変
ロスメディアの効果を一様に発揮させることは難し
いのである。実際に、前波(2010)はクロスメディア
ーザー
優良顧客
ついて考察するとき、各メディアの特性は大きく異な
化をすることを考慮しなければならない。つまり、ク
好家
ライトユ
では実際に企業が実践しているクロスメディアに
り、またメディアでの広告表現や質と量、さらに生活
ピッカー
値引き愛
Raj,1982;Preston,1982)
28.5%
42.7%
75.4%
10.0%
(出典:筆者作)
効果が WEB サイト誘導後の消費者行動へ与える影響
について、
「3 種類以上のメディアへの接触によるシ
ナジー効果の存在と、クロスメディア効果が WEB サイ
(4)各媒体の生活者の態度について
ト誘導後の閲覧ページ数とサイト滞在時間には影響
生活者と媒体の関係を理解するために、日経広告研究
を及ぼさない」という、WEB サイト誘導後の消費者行
所報(226 号)で広瀬・朴は次のように各媒体が広告
動について明らかにしている。
(情報)の態度に及ぼす影響について研究している。
またブランドについては、
「WEB サイト内容の記憶
Keller(1993)が主張する、顧客ベースのブランドエ
を高めることが出来れば、製品特徴の記憶を高めるこ
クイティ(資産価値)の中核的な概念である認知や連
とができ、その結果、検索意向も高めることが出来る
想は、顧客の状況によって変化する。つまり、生活者
のではないか」と推測している。このことは、山本
に関連した媒体で生活者がメッセージを受け取りや
(2003)の「企業ウェブサイトが消費者の抱く企業イメ
すい状況をつくるべきなのである。生活者の態度はメ
ージや購買意図に影響を及ぼす」という研究結果と一
ディアの態度から広告全般への態度、そして企業広告
致しており、より楽しめるオンライン状態を提供する
への態度、ブランドに対する態度へと至るが、広告態
ことも重要である。
度が高まるとブランド態度が高まるという関係が指
示されている。これらは包括的にそれぞれ快楽、功利
2. 仮説探索
の二つに態度として分けられる。また、
Chandon,Wansink,andLaurent(1999,2000)は、セー
以上の先行研究より、現在各企業が展開している
ルスプロモーションへの態度の測定に応用しており、
O2O 施策には以下のような問題点が潜在していること
功利に関する項目は節約(金銭的節約)
、品質(製品購
が判明した。
買の質の向上)
、利便性(探索と意思決定コストの削減)と
(1)価格訴求型プロモーションの弊害
している。また快楽に関する項目としては、価値表現
まず、価格訴求に特化した O2O 施策による特売競争
(自己概念と個人価値の表現と向上)
、発見(刺激と多様性)
、
激化、また、それに伴うブランド価値の損失が挙げら
エンターテイメント(楽しみと美的価値)がある。(Batra
れる。価格訴求型プロモーションの効果として、消費
and Ray,1986;MacKenzie and Lutz,1989) 広告接触時点
者の消費意欲を刺激することで需要が増加し、短期的
で、消費者が広告対象ブランドに対してポジティブな
に売上を伸ばすことが期待される。しかし、価格訴求
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
に特化したプロモーションは、競合他社を刺激し、市
場全体として価格競争に陥ってしまうケースが少な
3.仮説提唱
くない、というのが現状である。また、一度価格を下
げてしまうと、消費者の値ごろ感や内的参照価格をも
(1)価値訴求型プロモーションの可能性
押し下げてしまうことに繋がり、結果として企業が本
現状分析において分類された O2O プロモーション
来望む価格へ是正することが困難になってしまうの
のタイプを参考に、生活者に適した O2O 施策を展開す
である。さらに、こうした弊害は、売上だけでなく、
る際には、価値訴求に特化したプロモーション方法が
ブランド価値そのものにも影響を与え、本来その商品
最も効果的なのではと推測した。価値訴求型プロモー
のもつブランド価値を低下させてしまう恐れがある。
ションの概念として、生活者(=消費者)の潜在ニー
このように価格訴求型プロモーションは、あらゆる弊
ズと商品固有の本質的価値の一致が必須条件となる。
害がもたらされる危険性が潜在している。しかし、現
そしてその一致した価値をいかにして生活者に伝え、
代におけるスマートフォンや SNS の普及により、企業
ニーズに訴えかけることができるか、という点が価値
側がリアルタイムに情報を発信することが可能であ
訴求型プロモーションとして最も重要となるのであ
り、さらにコストの負担が少ないという利点から、オ
る。
ンライン上でクーポンを配布することで、来客動機を
(2)共創マーケティングによる生活者参加型の価値
創出し、購買行動につなげる等のような、O2O におけ
創造
る価格訴求型プロモーションを採用している企業が
また、現状分析にて列挙された「共創マーケティン
多いのが現状である。
グ」の出現。ソーシャルテクノロジーの浸透とともに、
(2)情報提供型プロモーションの有効性
人々の「社会志向」
、
「つながり志向」が急速に進行。
つぎに、情報提供型プロモーションの有効性が問題
生活者の「ソーシャルパワー」というものは、社会ま
視される。本論文での情報提供型プロモーションの定
でもを動かす大きな力を持つようになった。こうした
義は、
「メールマガジンや Web サイトから発信される
時代において、やはりソーシャルメディアの活用こそ
企業からの情報」としている。先行研究において、ク
が、生活者の購買行動に影響を与えるのではないだろ
ロスメディアにおけるシナジー効果が立証されてお
うか。ソーシャルメディアの特性として、①商品・ブ
り、テレビ CM や新聞広告、そして Web サイトの複数
ランドユーザーが集まるプラットフォームとして、ユ
メディアに接触することで相互作用に有意な結果が
ーザー同士が直接コミュニケーションを図ることが
得られるとしている。しかし、Web サイトのようなオ
できる、
②顧客を囲い込む
「CRM(Costomer Relationship
ンライン上マスメディアにおける情報発信そのもの
Management)ツール」として有効、③顧客(特にヘビー
が O2O においてのオフライン行動に直接的影響を与
ユーザー)のインサイトを得る場として有効といった
えるかという点に関しては先行研究では明確化され
ところが挙げられる。このような特性を活かして、生
ていない。現時点において、情報提供型プロモーショ
活者を巻き込み、一体となって価値の「共創」を実現
ンがオンライン上で有効性のある施策だとは断定し
していく、共創マーケティングこそが、新たなる効果
得ず、その効果も測定困難なものである、ということ
的な O2O の要素として有効なのではないか、とさらに
から効果的なプロモーションとは言い難い。
推測した。
以上のように O2O 上のプロモーション方法におけ
この 2 つの推測をもとに私たちは「企業が行う O2O
る問題点が挙げられた。そこで、私たちはこれらの問
は、生活者が参加したくなる O2O であるべきではない
題点を加味した上で、本論文の仮説を設定する。
か」と仮説を設定した。
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
のためには、まず企業側がどのような意味や価値を伴
4理論の枠組み
い、そしてどのような価値を求め、ビジネス展開して
いるのかを明確に提示しなければならない。そしてそ
以上で、本論文の仮説を設定した上で、今後仮説を
れらが消費者に訴求し、共感されるためには、やはり
実証するにあたって、参考にする枠組みとなる理論が、
ソーシャルメディアの存在が必要不可欠となる。ソー
アメリカのマーケティング学者、フィリップ・コトラ
シャルメディア上で消費者に共感を与え、さらに消費
ーが提唱した「マーケティング 3.0(以下参照)
」
。時
者側からも情報発信していく、そうした相互作用によ
代と共に変化する市場ニーズに沿った、より高次的な
って価値の最大化を図り、価値主導のマーケティング
レベルへ進化したマーケティングをモデル化したも
が成立するのである。このような仕組みづくりは未だ
のである。マーケティング 1.0 では製品中心に展開し、
不十分であり、マーケティング学者の間でも理想論に
ここではマーケティング・ミックスや 4P に象徴され
過ぎないともいわれている。しかし、今後の消費者行
るようなマーケティングを行った。製造業を主とした
動に影響を与えるということは明確であり、これらの
産業革命時代に誕生したマーケティングモデルであ
ビジネスモデル化を図ることで更なる質の高いマー
る。マーケティング 2.0 では競合が登場。いかにして
ケティングを展開することができるのである。
自社顧客を繋ぎ止め、継続購入へ促進していくのか、
これらの理論をもとに、私たちが独自に設定した仮
消費者志向のマーケティングというのがマーケティ
説を検証する。マーケティング 3.0 にも挙げられたよ
ング 2.0 の特徴である。競合が登場したことで、他社
うな価値主導、価値訴求のマーケティングを推奨し、
企業・製品との差別化を図る必要性が生じ、ここでは
そして生活者と一体となり、価値そのものを創造して
STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニン
いく。また、O2O の ARASL モデルの一貫した「トータ
グ)を中心に考えられるようになる。このようにして
ル的な O2O」のモデル化を図りたい。先ほども論じた
市場の流れと共にマーケティング理論も変化を遂げ
ように、現在世の中に普及している O2O の大半は認知
ている。そして、これらを踏まえた上で、提唱された
から購買・利用に至るまでの過程に特化し、生活者が
新たなマーケティングモデルがマーケティング 3.0
購買し、売上に貢献したその瞬間に、企業と消費者と
である。マーケティングコンセプトとして「価値」を
の関係が途切れ、その後の関係性は希薄になってしま
訴求し、価値主導のマーケティングを行うことで、顧
っている。つまり、共有、そして再利用といった購買
客の感情だけでなく、精神レベルで働きかけを行い、
後のオフラインからさらにオンラインにつながるシ
顧客を満足、感動へと導くのである。かつては企業と
ステム構築が不十分であり、この領域に特化した施策
顧客の関係は「B to C」が主流であったが、顧客と共
というのも事例として大きく取り上げられるものは
にブランドを評価したり、製品開発から考えていくと
少ない。モバイル端末向けの会員サービス提供を行う
いう「B with C」といった関係、さらには顧客同士
などの取り組みを導入し、再利用へ誘導しているケー
がコミュニケーションを行うことで価値を最大化さ
スが一般的であるが、そのシステムそのものや、対効
せる「C to C」などのように、消費者と企業の関係
果としては未だ不十分であると考えられる。私たちは、
性は時代と共にあらゆる形態をもつようになった。今
そうした更なるオンライン上へ誘導し、共有、再利用
や企業は、消費者を受動的な存在としてではなく、参
する段階においても生活者と企業が共に価値創造を
加、そして協働のパートナーとして捉える必要があり、
行い、相互作用によってモチベーションを高められる
消費者と一体となって価値を創造していくことこそ
ようなシステム構築を図るとする。
がマーケティング 3.0 で求められているのである。そ
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
5.仮説の検証
ライン利用時間が最も高いのは 20 代であるといえる。
また表 12 ではスマートフォンでほぼ毎日利用する
(1)検証対象者
サービス・アプリとして全体では「ソーシャルメディ
検証対象者を選定するにあたり、私たちは仮説から
アを見る」が 50.4%と半数を占め、トップとなって
いくつかの要素を抽出した。O2O において重要な①オ
いる。次いで「友だちとメールする」が 38.3%、
「ソ
ンライン利用率、そして ARASL の(認知)
、共有、再
ーシャルメディアに書き込む」が 32.3%となってい
利用にて活用することで効果が期待される②ソーシ
る。年代別に見ると、ソーシャルメディアの閲覧、書
ャルメディアの利用である。表 11 は①を表すデータ
き込みともに最も割合が高いのは大学生であるとわ
である。オンライン利用手段を PC、携帯電話(スマー
かる。ここから大学生は日常的にソーシャルメディア
トフォン含む)
、タブレット、テレビの4つに分類した
に接触している時間が多いということが判明した。以
ものである。どの世代においてもテレビの割合が非常
上より、①オンライン利用率、②ソーシャルメディア
に高いことがわかる。しかし、これはテレビそのもの
利用率双方が高い世代は 20 代、もしくは大学生であ
の利用時間であり、テレビの連動データなどのオンラ
ることが判明した。これより、私たちの検証対象者と
イン機能の利用時間ではない為、オンライン利用率の
して「大学生」を選定する。
トップとは断定しがたい。PC については、利用時間
が最も高いのは 40 代、次いで 50 代、20 代である。
また、携帯電話利用時間が最も高いのは 20 代、次い
で 10 代であり、PC、携帯電話を合わせた利用時間で
は 20 代が 151.7 分でトップである。ここから、オン
■表―――11
主なメディアの平均利用時間(全体・年代別)
(出典:総務省「平成 24 年情報通信メディアの利用時間と
情報行動に関する調査報告書」
)
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
■表―――12
た
スマートフォンでほぼ毎日利用するサービス・アプリ
(学業・仕事除く)
(出典:総務省「青少年のインターネット利用と依存傾向に
関する調査」
)
4.仮説の検証
り、起こさなかったりするのは、消費者がほとんど気
づかぬ潜在意識および全く気づいていない無意識へ
(1)調査方法と調査内容
以上より、大学生を検証対象者として、前章にて論
の依存が大きい。よって生活者の価値の潜在化部分を
顕在化させることで、生活者の深層心理に潜む本質的
じた仮説に対する検証を行う。
なニーズを抽出する。デプスインタビューの流れとし
・検索的定性調査:インタビュー、デプスインタビュ
ては、初期段階に O2O のイメージを対象者に自由に連
ー
想させ、漠然としたイメージから質問し、徐々に潜在
私たちは定性調査としてインタビュー、そしてデブス
意識・無意識を抽出していく。その後、基本情報や対
インタビューを採用する。まず、デプスインタビュー
象者の O2O との関わりについて聞きだし、最後にモチ
を行うにあたり、プレインタビューを実施する必要が
ベーションリサーチとして、擬人法や投影法(例:各
ある。プレインタビューにて、対象者(=生活者)の
製品と人に例えるとした場合、どのような人になるか)を利
O2O に対する捉え方やネット利用について情報収集の
用した質問を行う。日常的に考えることのないような
ために行う。次に、デプスインタビューにて、プレイ
質問で、消費者に軽い驚きを与えることにより、顕在
ンタビューで得られたポイントを中心に、より深層部
意識の殻を破りやすくして潜在意識・無意識部分を引
分を抽出する。人々の行動の 95%は潜在意識・無意
き出すことに試みる。
識的な行動で構成されており、消費者が行動を起こし
・実証的定量調査:アンケート、因子分析
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
定量調査としては、アンケート調査、因子分析を行う。
「あきこちゃん」が 1 回つぶやくごとにクリック数
アンケート調査では対象者に質問用紙を配布し、複数
は平均 5000 回となっている。メルマガに比べても反
人に対して統一した質問をすることによって、比較で
応は良く、現在1クリック 100 円程度で売っている広
きる意見を収集し、意見を明確化する。また、因子分
告が多いことから1 回のクリックを100 円で換算する
析では多変量解析の手法の1つであり、多変量データ
と 1 回のつぶやきで 50 万円の広告効果がある。この
に潜む共通因子を探り出すための手法である。因子分
ことから、ローソンの O2O は成功しているといえる。
析によって、あらゆる要素を成す事柄を少数の説明要
(ⅱ)大学・大学生研究所によると週に 2 回以上コン
因に分類し、調査対象者の心理に潜む要因をまとめる。
ビニに行く大学生は 8 割を超えており、大学生の利用
(2)アンケートで例に挙げる O2O の選定
率は高いといえる。
本調査を行うにあたり、例に挙げる O2O を選定した。
コロプラ
今回の本調査で上げる例の条件として、次の条件を考
(ⅰ)コロプラによると、コロプラが運営する「コロ
慮する。
(ⅰ)一般的に成功したと言われている O2O
ニーな生活」は、全都道府県にある提携店との事業で
であること(ⅱ)大学生の特徴に当てはまること。 以
月間 2 万人を超えるユーザーを全国の店に送客し、月
上の条件を満たす O2O として、コカコーラ、良品計画、
間 1 億 3 千万円以上の1次需要を生み出している。こ
ローソン、
コロプラの4社のO2O を例として選定した。
のことから O2O は成功しているといえる。
コカコーラ
(ⅱ)インターネットコムの調査によるとコロプラの
(ⅰ)東洋経済によると、コカコーラの O2O は 2013
利用者は 20 代が 42.8%をしめており、このことから
年 3 月に開始し、約 2 カ月間で参加者は 80 万人を超
利用率が高いといえる。
えており、この参加率から O2O は成功しているといえ
(2)検証方法と手段
る。
私たちは因子分析を用いて消費者により効果的に
(ⅱ)日本コカコーラ社広報の佐藤克哉氏によるとコ
訴求できる O2O の因子を抽出した。因子分析とは相関
カコーラの認知率は 98~99%である。また、コカコ
関係の強い変数の集合を作り、それぞれに共通する特
ーラはターゲットを若者に絞り込んでおり、大学生の
性を探る手法である。
消費量も高いといえる。
因子抽出においては、主因子法、回転はバリマックス
良品計画
回転を用いた。
(ⅰ)良品計画の O2O は世界三大広告賞の一つとされ
調査期間は 10 月 25 日から 28 日の 4 日間で、対象
る「One Show」のインタラクティブ部門「One Show
は大学 1~4 年生、サンプル数は 72 名である。アンケ
Interactive」でメリット賞を受賞したことから、成
ート概要は表 13 の通りであり、詳細は巻末に補録と
功した事例と言える。
してアンケート用紙を添付した。
(ⅱ)良品計画が全国に展開する無印良品には 10 代
から 60 代まで幅広い年齢層に“ムジラー”という無
印製品愛好家がいることから、利用率が高いといえる。
ローソン
(ⅰ)ローソンが行った O2O で作り上げられたイメー
ジキャラクターの「あきこちゃん」の Twitter フォロ
ワー数は約 17 万 3 千人にのぼりる。ツイートには必
ずローソンの公式 HP へのリンクが張り付けてあり、
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
■表―――13
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アンケート概要
調査日
2013 年 10 月 25~ 28 日
調査対象
10~20 代大学生
サンプル数
72
調査方法
紙媒体
質問内容
1.O2O 認知について
2.各企業の O2O への態度について
3.クーポンの利用状況について
(3)分析結果
本調査で質問した 23 項目を因子分析にかけ、O2O
に対する態度についての因子分析にかけた結果、共通
性は表 14 の通りとなった。なお、表記されている質
問項目は便宜上端的に表記している。正式なものは巻
末の補録のアンケート用紙を参照していただきたい。
この結果により、共通性が 0.4 より低い「押しつけ
がましい」
「時代に合っている」
「社会貢献」の 3 項目
■表―――14
を除外して再度因子分析にかけた。
(表 15)
共通性
■表―――15
共通性
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
私たちはこの 4 つの因子に名前を付けた。
・参加因子…「参加したい」
「もっと詳しく知りた
い」
「わくわくする」
「商品を買いたくなる」
「調べて
みたい」
「興味を持てる」
「共感できる」
「自分に合っ
ている」
「好意を持つ」
「生き生きしている」
「驚きを
その結果、すべての項目の共通性が 0.4 以上となり、
4 つの因子が抽出されたため、因子ごとに因子負荷量
が大きい順に並び替えた。
(表 16)
。
感じる」
「親しみを持てる」
「意外性がある」
・革新性因子…「目新しい」
「ユーモア」
「躍動感が
ある」
・些末因子…「ありきたり」
「つまらない」
・企業因子…「企業イメージ」
「企業らしい」
また、この結果の内的整合性を検証するために「参
加因子」
「革新性因子」
「些末因子」
「企業因子」のそ
れぞれについて信頼性分析を行った。
標準化された項目に基づいた Cronbach のアルファ
を見ると、
「参加因子」は 0.939(表 17)
、
「革新性因
子」は 0.865(表 18)
、
「些末因子」は 0.903(表 19)
、
「企業因子」は 0.852(表 20)となり、どの因子にお
■表―――16
いても内的整合性が検証された。
回転後の因子行列
■表―――17
参加因子の信頼性統計量
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
■表―――18
革新性因子の信頼性統計量
■表―――19
些末因子の信頼性統計量
その結果、共通性はすべてが 0.4 以上となり、4 つ
の因子が抽出されたため、因子ごとに因子負荷量が大
きい順に並び替えた。
(表 22)
。
■表―――22
回転後の因子行列
■表―――20
企業因子の信頼性統計量
参加因子に項目が固まりすぎているため、参加因子
内の項目のみで因子分析にかけ、より詳しい因子を抽
出した。
私たちはこの 4 つの因子に名前を付けた。
・関心因子…「参加したい」
「わくわくする」
「商品を
買いたくなる」
「自分に合っている」
「興味を持てる」
・親近感性因子…「好意を持つ」
「共感できる」
「生き
生きしている」
「親しみを持てる」
■表―――21
共通性
・情報欲求因子…「もっと詳しく知りたい」
「調べて
みたい」
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
・意外性因子…「驚きを感じる」
「意外性がある」
また、この結果の内的整合性を検証するために「関
心因子」
「親近感因子」
「情報欲求因子」
「意外性因子」
のそれぞれについて信頼性分析を行った。
標準化された項目に基づいた Cronbach のアルファ
を見ると、
「関心因子」は 0.918(表 23)
、
「親近感因
次に、大学生がつけた各企業の O2O への点数を従
子」は 0.888(表 24)
、
「情報欲求因子」は 0.909(表
属変数とし、抽出した因子を独立変数として重回帰分
25)
、
「意外性因子」は 0.882(表 26)となり、どの因
析にかけた(表 27)
。この時、
「参加因子」は「関心因
子においても内的整合性が検証された。
子」
「親近感因子」
「情報欲求因子」
「意外性因子」か
ら成り立つため、独立変数には加えなかった。
■表―――23
関心因子の信頼性統計量
■表―――27
回帰統計
■表―――24
親近感因子の信頼性統計量
その結果、補正済み R2 が 0.612 となり、精度が
良いと言える。この時、
「些末因子」の p-値が 0.5 を
超えているため、
「些末因子」を除外して再度因子分
析にかけた(表 28)
。
■表―――25
情報欲求因子の信頼性統計量
■表―――28
回帰統計
■表―――26
意外性因子の信頼性統計量
その結果、補正済み R2 が 0.613 となり、精度が
高まった。t-値を見ると、最も高いのは 8.61 の「親
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
近感因子」であり、その次に高いのは「関心因子」の
7.74 となった。このことが正しいということは、因
子得点を企業別に集計して書いた散布図と、大学生が
企業につけた点数の企業別平均を比べることで立証
することができる。y 軸を「関心因子」
、x 軸を「親近
感因子」として散布図を書くと「親近感因子」と「関
心因子」が高いのはコカコーラとコロプラだというこ
とがわかる(表 29)
。同時に大学生が各企業につけた
平均点
コカコーラ
良品計画
ローソン
コロプラ
70.875
58.91667
60.98611
67.52778
■表―――31
散布図
点数の企業別平均点を見ると、コカコーラは 70.9 点、
良品計画は 58.9 点、ローソンは 61.0 点、コロプラは
67.5 点となっており、
「親近感因子」と「関心因子」
の高いコカコーラとコロプラが点数が高いことがわ
かる(表 30)
。この時、
「親近感因子」と「関心因子」
が良品計画より低いローソンの点数が良品計画より
高くなっているが、これは t-値が「関心因子」につ
いで高い「情報欲求因子」がローソンは高いからであ
る(表 31)
。
よって、
「企業が行う O2O は、生活者が参加したく
なる O2O であるべきではないか」という仮説は、
「生
活者が参加したいと思う」という「参加因子」内の「関
④―――結論
心因子」
「親近感因子」が O2O に強く関与していると
いう結果が出たため、立証された。
現状分析を踏まえたデプスインタビュー、因子分析の
■表―――29
結果から、生活者の求める O2O プロモーションが「参
散布図
加したくなる」
、参加因子(親近感・関心)を持つプロ
モーションであることが判明した。また、クーポンに
代表される価格訴求型は O2O プロモーションにおい
ても棄却された。つまり、
「参加したくなる」という
ニーズを汲み取った価値訴求型の O2O プロモーショ
ンを企業は行うべきである。
⑤―――今後の展望
企業が行うべき O2O は、今日まで有用として考えられ
ていた価格訴求型プロモーションではなく、価値主導
■表―――30
平均点
の社会に根差した、生活者が親近感や関心を持ち参加
したくなるような価値訴求型プロモーションである
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
と分かった。このことは ARASL の購買行動モデルの送
「消費者・小売・メーカーの価格を巡る変遷と価値創
客段階だけではなく、その後の共有段階においても
造型 販売戦略」
O2O プロモーションを行うことが重要視されることを
http://www.dairy.co.jp/news/kulbvq0000009jk2-im
示唆している。なぜなら、共有段階こそが他の生活者
g/kulbvq0000009jmv.pdf
への認知、誘発の場に成り得るからである。
・太宰 潮
そこで、共創マーケティングも踏まえた上での私たち
「価値訴求型プロモーションに関する考察―店頭プ
の展望としては、汎用可能な提案をアプローチするべ
ロモーションにおける経験価値アプローチ」
く、生活者の行動パターンをオンラインで活用しオフ
http://www.adm.fukuoka-u.ac.jp/fu844/home2/Rons
ライン消費への誘発を行うための研究を進めていき
o/Shogaku/C53-3/C5303_0347.pdf
たい。
・上田隆穂
「非価格プロモーションの効果とその重要性」
http://www.kanko-sp.co.jp/sp/talkbacknumber/num
02.html
・中野 IT 活用診断士事務所
「ネットと実店舗を繋げる新しいマーケティングO2O」
http://nakano-gh.com/consulting/%e3%83%8d%e3%83
%83%e3%83%88%e3%81%a8%e5%ae%9f%e5%ba%97%e8%88%9
7%e3%82%92%e7%b9%8b%e3%81%92%e3%82%8b%e6%96%b0%
e3%81%97%e3%81%84%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%b1%e3
%83%86%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%82%b0O2O
・総務省 情報通信政策研究所
「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する
調査」
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/r
esearch/survey/telecom/2013/internet-addiction.
pdf
・総務省 情報通信政策研究所
「平成 24 年 情報通信メディアの利用時間と情報行
動に関する調査 報告書」
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/r
esearch/survey/telecom/2013/01_h24mediariyou_ho
ukokusho.pdf
・広瀬 盛一 朴 亨烈(2006)
「媒体態度が広告への態度におよぼす影響」
http://www.spi-consultants.com/ja/report/genera
参考文献
・上田隆穂
l/archives/2006/06/226.php
・日経 Biz アカデミー(2011)
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
「
「共創マーケティング」の時代へ~「ソーシャル」
で激変する市場戦略~」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/201109
01/282513/
・コトバンク
http://kotobank.jp/
・澤地正人
「価格訴求と価値訴求」
http://www.advertimes.com/20130208/article99603
/
・前波 翔 専門職学位論文(早稲田大学大学院商学研究
科)より
・小田健太郎(2012)
「効果を視える化する O2O ソリューション」
・MarkeZine 編集部(2012)
「スマホ普及とともに注目度が増す注目ワード「O2O」
海外・国内の実践事例集」
・上田隆穂(2005)
「日本で一番わかりやすい価格戦略」
・松浦由美子(2012)
「O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつけ
る」
・総務省 情報通信国際戦略局 情報通信経済室(2012)
「O2O に係る利活用の先進事例に関する 調査研究の
請負」
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
O2Oについてのアンケート
回答日:2013年 月 日
質問者:上田ゼミC班
今回私達は就職したい企業についてアンケートを行っております。このアンケートは
授業内で使用するものとし、他には一切使用しません。また、個人情報につきましても統計
的に処理いたしますので、皆様にご迷惑になるようなことは一切ございません。以上のこと
を踏まえまして率直なご意見をお聞かせ願いますようお願いいたします。
問1
あなたの性別をお答えください
1.男性
2.女性
問2
あなたの学年をお答えください
( )年生
問3
O2O(online to offline)を知っていますか?(内容まで正確に)
1.はい
2.いいえ
問4
問3で「はい」と答えた方は、具体的にどのような企業の活動を知っていますか?
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
※O2Oとは「『Online to Offline』の略で、ネット上(オンライン)から、ネット外の実地(オフ
ライン)での行動へと促す施策のことや、オンラインでの情報接触行動をもってオフライン
での購買行動に影響を与えるような施策のことを指す。
以上の説明を読んだうえで、以下に記述してあるO2Oの具体例を読んで、あげてある感
問5
コカコーラがソニーと提携して行ったO2O。自分の好きな“年”が記載されたコカ・
コーラを買って、スマートフォンで専用サイトにアクセスする。すると、その年にヒッ
トした10曲の音楽を聴くことができる。ソーシャルメディアで共有することもできる。
コンセプトは「思い出のそばには、コカ・コーラと歌がある」。
興味を持った
参加したい
ワクワクする
この企業らしい取り組みである
商品を買いたくなる
つまらない
ありきたり
自分に合っている
ユーモアがある
目新しい
親しみを持てる
押し付けがましい
躍動感がある
共感できる
生き生きしている
好感を持てる
企業のイメージと結びつかない
調べてみたくなる
時代にあっている
驚きを感じる
もっと詳しく知りたい
意外性がある
社会貢献性がある
問6
1.当て
はまら
ない
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1.当て
はまら
ない
2.やや
あては
まらない
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2.やや
あては
まらない
3.どちら
でもな
い
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3.どちら
でもな
い
コカコーラのO2Oに100点満点で点数をつけてください。
( )点
4.やや
あては
まる
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4.やや
あては
まる
5.あて
はまる
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5.あて
はまる
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
問7
無印良品を全国に展開する良品計画が行ったO2O。Facebook上で推奨する
衣料品のコーディネイトに対する「いいね!」を店舗で可視化・体感させ、ネット
上の商品への評価を実際の店頭プロモーションに連動。店頭では「いいね!」
がカウントされる度に木琴がクリスマスソングを奏でる仕組みを採用し、音でも
感じられるようにした。
興味を持った
参加したい
ワクワクする
この企業らしい取り組みである
商品を買いたくなる
つまらない
ありきたり
自分に合っている
ユーモアがある
目新しい
親しみを持てる
押し付けがましい
躍動感がある
共感できる
生き生きしている
好感を持てる
企業のイメージと結びつかない
調べてみたくなる
時代にあっている
驚きを感じる
もっと詳しく知りたい
意外性がある
社会貢献性がある
問8
1.当て
はまら
ない
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1.当て
はまら
ない
2.やや
あては
まらない
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2.やや
あては
まらない
良品計画のO2Oに100点満点で点数をつけてください。
( )点
3.どちら
でもな
い
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3.どちら
でもな
い
4.やや
あては
まる
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4.やや
あては
まる
5.あて
はまる
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5.あて
はまる
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
問11
ゲーム、「コロニーな生活」を運営するコロプラが行ったO2O。「コロニーな生活」
では、携帯電話の位置情報機能を利用して、実際に1キロメートル移動することで
ゲーム内仮想通貨1プラを獲得できる。仮想通貨を使って、自分だけの街(コロ
ニー)を育てる。実際に移動すればするほどゲームを有利に進めることができる仕
組み。
コロプラは、深刻な過疎化が進む地方の村や離島の商店と提携し、そこへユー
ザーが足を運び、特産品を購入すると「コロカ」と呼ばれるカードを入手できる。コ
ロカに記載されているシリアル番号を入力すると、ゲームの限定アイテムを獲得で
きる。
会社として「ゲームを、おでかけのきっかけにして地域を活性化させ、日本を元
気にしたい」という使命を掲げている。
興味を持った
参加したい
ワクワクする
この企業らしい取り組みである
商品を買いたくなる
つまらない
ありきたり
自分に合っている
ユーモアがある
目新しい
親しみを持てる
押し付けがましい
躍動感がある
共感できる
生き生きしている
好感を持てる
企業のイメージと結びつかない
調べてみたくなる
時代にあっている
驚きを感じる
もっと詳しく知りたい
意外性がある
問12
1.当て
はまら
ない
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2.やや 3.どちら 4.やや
あては でもな あては
まらない い
まる
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
コロプラのO2Oに100点満点で点数をつけてください。
( )点
5.あて
はまる
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
問13
あなたが最も気に入ったO2Oはどれですか?
1.コカコーラ
2.良品計画
3.ローソン
4.コロプラ
問14
その理由をお答えください
問15
あなたが最も関心を持てなかったO2Oはどれですか?
1.コカコーラ
2.良品計画
3.ローソン
4.コロプラ
問16
その理由をお答えください
問17
オンラインクーポン(例:スマホのクーポン画面を見せて使うクーポン)を日常的に
使いますか?
1.はい
2.いいえ
問18
問17で「はい」と答えた方は、具体的にどのお店のクーポンを使っていますか?
問19
問17で「はい」と答えた方で、もしそのお店がクーポンの配布をやめた場合、
その後もその店を使いますか?
1.使わなくなる
2.使用頻度は減るだろうが使う
3.変わらず使う
以上でアンケートは終わりとなります。ご協力ありがとうございました
ソーシャルメディア活用企業トップ 10 はアジャイル
メディア・ネットワーク株式会社が調査し、公表した
生活者参加型 O2O プロモーションの有効性と提案
ものを InternetWatch が引用したものである。
InternetWatch によると「調査は大企業約 300 社を対
象に、Twitter や Facebook、mixi、ブログ、YouTube、
ニコニコ動画/生放送、Ustream、LINE など 12 メデ
ィアの活用度を算出したもの。調査方法としては、各
サービスの企業アカウントやチャンネルのフォロワ
ー数、登録数、動画再生数などを合算して指数化した。
毎年実施している調査で、今回で 5 回目となる。
」
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