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gifの空気

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gifの空気
化学工学II
講義時間:水曜6限 場所 :旧化3
担当 :山村
1
吸着(1) -細孔構造例備長炭の表面SEM写真
カーボンナノチューブ
大きな細孔
小さな細孔
ゼオライト
燃料電池電極
吸着には高表面積が望ましい
図出典http://www.chemsys.t.u-tokyo.ac.jp/chemsys/labs/okubo/index.html
http://www.photon.t.u-tokyo.ac.jp/~maruyama/nanotube/hydrogen.gif
http://www.technex.co.jp/tinycafe08.html
http://www.aki.che.tohoku.ac.jp/comb/comb.files/frame.htm
2
吸着(2) -吸着プロセス事例細孔を持つ
吸着剤を充填
ガス流れ
有機溶剤の吸着回収装置
吸着剤粒子
図出典http://www.daikin.co.jp/dry/dacs/dacs1.html
3
吸着(3) 濃度境界層
化学吸着
ケミカルボンド
脱着
物理吸着
ファンデル
ワールス引力
モル流束
モル分率yAp
細孔
(pore)
濃度境界層
4
吸着した成分Aの
重量(kg)
吸着した成分Aの
重量(kg)
吸着等温線(1) -QUIZ- 1. 25℃で吸着量測定を
行ったところ右図が得られた。
予想される吸着構造とは?
a.
gas中の成分Aのモル分率yAp
多層
b.
単層
a.
2. 10℃で吸着量測定を
25℃ 行うと、どちらの曲線に
なると期待されるか。
b.
5
吸着等温線(2) -理論式- Brunauer-Emmett-Teller(BET)式
BET式は多層吸着を表現
(吸着量が∞に発散)
ky A
q A = qs
(1 − y A )(1 − y A + ky A )
2
Henry
Langmuir
BET
q
1.5
(yA→0でLangmuir式)
経験式
1
Henry式
0.5
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
y
Langmuir式、BET式は
低吸着量域でHenry式に漸近
q A = ky A
Langmuir式
ky A
q A = qs
1 + ky A
Langmuir式は単層吸着を表現
(吸着量が一定値qsに漸近)
6
吸着(4) -よくある誤解特殊な場合
(a) 細孔壁での << 境界層内の拡散速度
細孔内 の拡散速度
吸着速度 吸着ガス分子
均一な
濃度分布(yA= yAp )
JA
流れ
モル流束JAは非常に小さい
現実的な場合
(b) 細孔壁での >> 境界層内の拡散速度
細孔内 の拡散速度
吸着速度 高いモル流束JAを(高速吸着操作)を
実現するにはどうすればよいか?
7
細孔内拡散係数の推算(1) 濃度境界層140µm 1)大きな細孔
分子-分子間衝突の
割合が多い
L
分子拡散
L
CA3
拡散係数D(細孔径によらない)
CA2
2)小さな細孔
CA1
壁-分子間衝突の
割合が多い
大きな細孔
小さな細孔
直径の異なる細孔が
直列に連なっている(モデル化)
クヌッセン拡散
Dk =
2 8 RT
r
3
πM
8
(拡散係数が細孔径に依存)
細孔内拡散係数の推算(2) L
L
CA3
CA2
JA*=D(CA1- CA2)/L
小さな細孔内でモル流束は
CA1
モル流束JA
大きな細孔
小さな細孔
大きな細孔内でモル流束は
JA**=Dk(CA2- CA3)/L
定常状態ならモル流束は等しい
JA* = JA** = JA
これを用いると濃度差は
CA1- CA2 = JAL/D
CA2- CA3 = JAL/Dk
9
細孔内拡散係数の推算(3) CA2を消去すると
CA1- CA3 = JAL(1/D+1/Dk)
従ってモル流束は次のように
書ける
J A = D0 (C A1 − C A3 ) / L
D0 =
1
1 / D + 1 / Dk
分子拡散が支配的な
大きな細孔の拡散抵抗
は細孔内みかけの拡散係数
クヌッセン拡散が支配的な
小さな細孔の拡散抵抗
全抵抗に対するクヌッセン拡散抵抗の割合は
1 / Dk
1 / D0
1 / Dk
~ 1ではクヌッセン拡散が支配的)
(
1 / D0
10
細孔内拡散係数の推算(4):QUIZ 直径10µmのカーボン細孔内をベンゼンが
拡散している。300Kにおいて全抵抗に対する
クヌッセン拡散抵抗の割合は
A. 90%
B. 10%
C. 1%
11
細孔内拡散係数の推算(5) 1
D0 =
1 / D + 1 / Dk
Dk =
2 8 RT
r
3
πM
ベンゼン-空気拡散係数 D=DAB=8.3×10-6m2/s、T=300K, 分子量M=78.11g/mol
1)細孔半径r=10µmのとき
Dk =
2 8 RT 2
(8)(8.314)(300)
2
−3
1
.
17
10
/s
r
m
= (1× 10 −5 )
=
×
−3
3
πM 3
π (78 ×10 )
D0 =
1
1
2
−6
8
.
3
10
m
/s
=
=
×
−6
−2
1 / D + 1 / Dk 1 / 8.3 × 10 + 1 / 1.17 × 10
∴ (1 / Dk ) /(1 / D0 ) = 0.007
全体の拡散抵抗(1/D0)の0.7%をクヌッセン拡散が占めている
→分子拡散が支配的
細孔サイズを増加させても
吸着速度は変わらない
12
細孔内拡散係数の推算(6) 2)細孔半径r=0.5nmのとき
Dk =
2 8 RT 2
(8)(8.314)(300)
−8
2
r
5
.
85
10
m
/s
= (5 × 10 −10 )
=
×
−3
3
πM 3
π (78 × 10 )
D0 =
1
1
−8
2
5
.
8
10
m
/s
=
=
×
−6
−8
1 / D + 1 / Dk 1 / 8.3 × 10 + 1 / 5.85 × 10
∴ (1 / Dk ) /(1 / D0 ) = 0.99
全体の拡散抵抗(1/D0)の99%をクヌッセン拡散が占めている
→クヌッセン拡散が支配的
13
境界層内と細孔内の同時拡散(1) 吸着ガス分子
yAi
yA
2)細孔内の拡散
L
yAp
1)境界層内の拡散
BET吸着(多層)
濃度境界層内でモル流束は
JA1=ky(yA- yAi) ただしkyは物質移動係数
細孔内でモル流束は
JA2=D0Ct(yAi- yAp)/L
14
境界層内と細孔内の同時拡散(2) 定常状態ならモル流束は等しい
JA1 = JA2 = JA
これを用いると濃度差は
yA- yAi = JA/ky
yAi- yAp = JAL/(CtD0)
yAiを消去すると
yA- yAp = JA (1/ky+L/CtD0)
従ってモル流束は(吸着における)総括物質移動係数Kyを用いて
次のように書ける
J A = K y ( y A − y Ap )
ただし
Ky =
1
1
L
+
k y Ct D0
15
境界層内と細孔内の同時拡散(3) :計算例 ベンゼン+空気 Wakaoの推算式(化学工学便覧)
 ρ G ud 
kcG d

= 2.0 + 1.1
DAB
 µG 
0.6
1/ 3
 µG 


 ρ G DAB 
流れがないときの理論解
吸着剤粒子径d=2mm、ガス密度 ρG=1.2kg/m3
ベンゼン-空気拡散係数 DAB=8.3×10-6m2/s
ガス速度uG=0.3m/s、ガス粘度µG=20×10-6Pa•s
ベンゼン濃度分布
δ
曲がりくねった
ガス流路
吸着剤粒子
濃度境界層
16
境界層内と細孔内の同時拡散(4) 直径2mm
ρ G ud (1.2)(0.3)(2 ×10 −3 )
レイノルズ数
= 36
=
−6
µG
20 × 10
シュミット数
µG
ρ G DAB
20 × 10 −6
=
= 2 .0
−6
(1.2)(8.3 × 10 )
kcG d
0.6
1/ 3
= 2.0 + 1.1(36 ) (2.0 ) = 13.9
DAB
濃度境界層
0.3m/s
∴ kcG = (13.9)(8.3 ×10 −6 ) / 2 ×10 −3 = 5.8 ×10 − 2 m / s
境界層厚みは
δ
δ = DAB / kcG = 1.4 ×10 − 4 m = 140 µm
モル分率基準の物質移動係数になおすと
k cG Pt (5.8 × 10 −2 )(1.013 × 105 )
ky =
=
= 2.36mol /( m 2 s )
RT
(8.314)(300)
17
境界層内と細孔内の同時拡散(5) 1
総括物質移動係数 K y =
L RT
1
+
(
)
k y D0 Pt
細孔半径10µm、L=1mm、全圧1気圧、温度300Kのとき
ky=2.36mol/(m2s), D0=8.3×10-6m2/sなので
境界層内の抵抗
1
1
=
= 0.424 m 2 s / mol
k y 2.36
細孔内の抵抗
L RT
1×10 −3 (8.314)(300)
2
(
)=
=
2
.
97
m
s / mol
−6
5
D0 Pt
8.3 ×10 1.013 × 10
よって総括物質移動係数は
1
Ky =
= 0.295 mol /(m 2 s )
0.424 + 2.97
18
境界層内と細孔内の同時拡散(6) 全抵抗は
1
1
=
= 3.39m 2 s / mol
K y 0.295
全抵抗に対する境界層内の拡散抵抗の割合は 1/ k y
0.424
=
= 0.13
1/ K y
3.39
(細孔内抵抗に割合が8割以上を占める)
従って高速吸着には
ガス速度を上げるよりも
細孔内の拡散速度を増やすのが効果的
19
ミッション:
□ 質量平均速度とモル平均速度を質量分率とモル分率の関数として記述することができる
□ 質量流束とモル流束を固定座標系および質量(モル)平均速度基準で記述することができる
□ 濃度場のシェルバランスを取ることができる
□ フィルム中への等モル相互拡散の濃度分布を求めることができる
□ フィルム中への一方拡散の濃度分布を求めることができる
□ 均一反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる
□ 表面反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる
□ 円柱面上における拡散の濃度分布を求めることができる
□ 球面上における拡散の濃度分布を求めることができる
□ 物質移動係数の物理的意味を述べることができる
□ 等モル相互拡散および一方拡散の物質移動係数を記述することができる
□ 異相界面を横切る質量流束を記述することができる
□ 総括物質移動係数を用いて質量流束を記述することができる
□ ガス吸収装置内の物質収支を取ることができる
□ 設計条件を満たすガス吸収装置の高さを求めることができる
□ 吸着装置内の物質収支を取ることができる
□ 設計条件を満たす吸着装置の高さを求めることができる
□ 膜分離装置内の物質収支を取ることができる
□ 設計条件を満たす膜分離装置の長さを求めることができる
□ 乾燥装置内の物質収支を取ることができる
20
吸着時の総括物質移動係数 -REPORT11-
氏名: [問題] 右図のような細孔への吸着時のモル流束は総括物質移動係数Ky [mol/(m2s)]を用いて
J A = K y y A − y Ap
と表される。総括物質移動係数を求めたい。次の問いに答えよ。
1.細孔の長さをL、細孔表面での濃度をyAiとすると、濃度境界層内のモル流束、細孔内の
モル流束がそれぞれ
(
)
J A1 = k y ( y A − y Ai )
J A 2 = D0Ct ( y Ai − y Ap ) / L
と表せるとき、定常状態の総括物質移動係数は次式で表現できることを示せ。
K y = 1 /(
L
1
+
)
k y Ct D0
2.ガス相の物質移動係数kcG[m/s]はWakaoの式から推算できる。
 ρ ud 
kcG d
= 2.0 + 1.1 G 
DAB
 µG 
0.6
1/ 3
 µG 


 ρ G DAB 
吸着剤直径d=1mm、ガス2成分分子拡散係数DAB=1.00×10-5m2/s、ガス密度ρG=1.00kg/m3、ガス粘度µG=20.0×10-6Pa•s、ガス速度u=1.00m/sである。
物質移動係数kcG[m/s]を求めよ。更にky= kcGCtよりモル分率基準の物質移動係数ky [mol/(m2s)]を求めよ。ただし全モル濃度はCt=40.6 mol/m3とする。
3.細孔内の拡散係数D0[m2/s]は分子拡散係数DABおよびクヌッセン拡散係数Dkを用いて次のように書ける。
1
2 8 RT
D0 =
Dk = r
1 / DAB + 1 / Dk
πM
3
細孔半径r=1.00nm、分子量M=78.11g/mol、温度T=300K、気体定数R=8.314J/(molK)のとき、細孔内の拡散係数D0を求めよ。更に拡散係数の比
(1/Dk)/(1/ D0)を求め、クヌッセン拡散と分子拡散のどちらがより支配的かを判断せよ。
4.これらの値を用いて総括物質移動係数Ky [mol/(m2s)]を算出せよ。ただしL=10µmとする。更に物質移動抵抗の比(1/ky)/ (1/Ky)を求め、境界層内の拡散と
細孔内拡散のどちらがより支配的かを判断せよ。
21
吸着時の総括物質移動係数 -REPORT11-
氏名: [問題] 右図のような細孔への吸着時のモル流束は総括物質移動係数Ky [mol/(m2s)]を用いて
J A = K y y A − y Ap
と表される。総括物質移動係数を求めたい。次の問いに答えよ。
1.細孔の長さをL、細孔表面での濃度をyAiとすると、濃度境界層内のモル流束、細孔内の
モル流束がそれぞれ
(
)
J A1 = k y ( y A − y Ai )
J A 2 = D0Ct ( y Ai − y Ap ) / L
と表せるとき、定常状態の総括物質移動係数は次式で表現できることを示せ。
K y = 1 /(
L
1
+
)
k y Ct D0
2.ガス相の物質移動係数kcG[m/s]はWakaoの式から推算できる。
 ρ ud 
kcG d
= 2.0 + 1.1 G 
DAB
 µG 
0.6
1/ 3
 µG 


 ρ G DAB 
吸着剤直径d=1mm、ガス2成分分子拡散係数DAB=1.00×10-5m2/s、ガス密度ρG=1.00kg/m3、ガス粘度µG=20.0×10-6Pa•s、ガス速度u=1.00m/sである。
物質移動係数kcG[m/s]を求めよ。更にky= kcGCtよりモル分率基準の物質移動係数ky [mol/(m2s)]を求めよ。ただし全モル濃度はCt=40.6 mol/m3とする。
3.細孔内の拡散係数D0[m2/s]は分子拡散係数DABおよびクヌッセン拡散係数Dkを用いて次のように書ける。
1
2 8 RT
D0 =
Dk = r
1 / DAB + 1 / Dk
πM
3
細孔半径r=1.00nm、分子量M=78.11g/mol、温度T=300K、気体定数R=8.314J/(molK)のとき、細孔内の拡散係数D0を求めよ。更に拡散係数の比
(1/Dk)/(1/ D0)を求め、クヌッセン拡散と分子拡散のどちらがより支配的かを判断せよ。
4.これらの値を用いて総括物質移動係数Ky [mol/(m2s)]を算出せよ。ただしL=10µmとする。更に物質移動抵抗の比(1/ky)/ (1/Ky)を求め、境界層内の拡散と
細孔内拡散のどちらがより支配的かを判断せよ。
レイノルズ数
シュミット数
ρG ud (1)(1)(1×10 −3 )
=
= 50
µG
20 × 10 −6
µG
ρ G DAB
=
20 × 10 −6
=2
(1)(1×10 −5 )
kcG d
0.6
= 2.0 + (1.1)(50) (2)1/ 3 = 2.0 + 14.5 = 16.5
DAB
kcG = (16.5)(1×10 −5 ) / 1×10 −3 = 0.165m / s
k y = (0.165)(40.6) = 6.70mol /(m 2 s)
2 8 RT 2
(8)(8.314)(300)
Dk = r
= (1× 10 −9 )
= 1.90 × 10 −7 m 2 / s
3
πM 3
π (78.11×10 −3 )
1
= 1.87 × 10 −7 m 2 / s
1
1
+
1× 10 −5 1.90 × 10 −7
(1 / Dk ) /(1 / D0 ) = (1 / 1.90 × 10 −7 ) /(1 / 1.87 × 10 −7 ) = 0.984
D0 =
1
=
1 / DAB + 1 / Dk
クヌッセン拡散が支配的
K y = 1 /(
1
1
10 × 10 −6
L
) = 1 /{
} = 0.682mol /(m 2 s )
+
+
−7
6.70 (40.6)(1.87 × 10 )
k y Ct D0
(1 / k y ) /(1 / K y ) = (1 / 6.70) /(1 / 0.682) = 0.102
細孔内拡散がより支配的
22
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