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第3章第3節

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第3章第3節
第3章 調査研究・報告
第3節 資 料
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
奈良県における大気中の二酸化窒素濃度の推移について
~トリエタノールアミン円筒濾紙法による~
浅野勝佳・大畑清嗣・小川里恵・陰地義樹・仲澤喜代重
奈良県における大気中の二酸化窒素濃度の推移について
~トリエタノールアミン円筒濾紙法による~
Measurements of Nitogen Dioxide by Using Triethanolamine Filter Paper in the Atmosphere of Nara
浅野勝佳・大畑清嗣・小川里恵・陰地義樹・仲澤喜代重
Katsuyoshi ASANO・Kiyotsugu OHATA・Rie OGAWA・Yosiki ONJI and Kiyoshige NAKAZAWA
Measurements of Nitogen Dioxide by Using Triethanolamine Filter Paper in the Atmosphere of Nara
を,道路周辺大気調査に田原本保健センター,広陵町
緒 言
Katsuyoshi
ASANO
・
Kiyotsugu
OHATA
・
Rie
OGAWA
・Yosiki ONJI and Kiyoshige NAKAZAWA
福祉センター,五條土木事務所,橿原市役所,横田交
奈良県では,大気汚染常時監視測定局10箇所(県管
理分)で大気中の窒素酸化物濃度を監視している.さ
緒
言
らに補完的な観測として,奈良県では1984年(昭和
奈良県では,大気汚染常時監視測定局 10 箇所(県
59年)からトリエタノールアミン円筒濾紙法(TEA
管理分)で大気中の窒素酸化物濃度を監視している
.
法)1)2)も採用して二酸化窒素濃度を測定してきた.
さらに補完的な観測として
,奈良県では 1984 年(昭
TEA法は,サンプリング及び測定等の面から簡易な
差点,斑鳩公民館,平群東小学校,西名阪法隆寺IC,
横田交差点,斑鳩公民館,平群東小学校,西名阪法
西名阪香芝IC,阿部交差点の10地点であった.ただし,
隆寺
IC,西名阪香芝 IC,阿部交差点の 10 地点で
保健環境研究センターはH18年,橿原市役所はH17年
あった
.ただし,保健環境研究センターは H18 年,
から調査を開始した.
橿原市役所は H17 年から調査を開始した.
和方法であり,
59 年)からトリエタノールアミン円筒濾紙法(
TE
H22年度は県内14箇所にて測定を行った.
1)2)
A今回,TEA法で得られた二酸化窒素濃度の結果につ
法) も採用して二酸化窒素濃度を測定してきた.
結果及び考察
結果及び考察
1.二酸化窒素濃度(TEA)5年平均値の推移
1 .二酸化窒素濃度(TEA)5年平均値の推移
行った.今回,TEA 法で得られた二酸化窒素濃度
ために
H8 年度から 5 年おきに区切り,その期間の
めにH8年度から5年おきに区切り,その期間の平均値
平均値と変動幅(相対標準偏差)を調べた.その結果
と変動幅(相対標準偏差)を調べた.その結果を表1
TEA
法は,サンプリング及び測定等の面から簡易
いて,H8年からH22年までの15年間の結果をまとめ
な方法であり,
H22 年度は県内 14 箇所にて測定を
たので報告する.
の結果について,H8 年から
H22 年までの 15 年間
方 法
の結果をまとめたので報告する.
1 .調査方法
方
法
H22年度に調査した14地点(環境大気調査4地点,
1.調査方法
道路周辺大気調査10地点)を基本に,過去15年にさ
H22 年度に調査した 14 地点(環境大気調査 4 地
かのぼり,すべての期間で同一の調査地点である12
点,道路周辺大気調査
10 地点)を基本に,過去 15
地点を対象に二酸化窒素濃度の推移等について調査を
年にさかのぼり,すべての期間で同一の調査地点で
行った.サンプリングには,窒素酸化物を捕集するた
ある
12 地点を対象に二酸化窒素濃度の推移等につ
めに,トリエタノールアミン(TEA)を含浸させた円
いて調査を行った.サンプリングには,窒素酸化物
筒濾紙を捕集材として使用し,1 ヶ月程度の長期暴露
を捕集するために,トリエタノールアミン(
TEA)
により,大気中の窒素酸化物を吸着させるTEA法を
を含浸させた円筒濾紙を捕集材として使用し,
1ヶ
用いた.前処理には,窒素酸化物を捕集後のトリエタ
月程度の長期暴露により,大気中の窒素酸化物を吸
ノールアミン円筒濾紙を200mLの超純水で40℃,30
着させる
分 間 超 音TEA
波 抽法を用いた.前処理には,窒素酸化
出 を 行 い,0.45µmのCellulose Acetate
物を捕集後のトリエタノールアミン円筒濾紙を
200
製フィルターにて濾過後,測定試料とした.測定に
は,電気的サプレッサーを備えたDIONEX社製Model
mL
の超純水で 40 ℃,30 分間超音波抽出を行い,
過去 15 年の二酸化窒素濃度(TEA)の推移を見る
過去15年の二酸化窒素濃度(TEA)の推移を見るた
を表1に示した.
に示した.
表1二酸化窒素濃度
二酸化窒素濃度
(TEA)
の推移
(5年平均と変動幅)
表1
(TEA)
の推移(
5 年平均と変動幅)
5年間ごとの平均値
2
(μgNO2/day/100cm )
H8-12 H13-17 H18-22
保健環境研究セ
保環研研究セ
内吉野保健所
宇陀土木事務所
山添村役場
田原本保健セ
広陵町福祉セ
五條土木事務所
橿原市役所
横田交差点
斑鳩町公民館
平群東小学校
西名阪法隆寺IC
西名阪香芝IC
阿部交差点
-
72
40
64
144
125
138
-
212
126
106
180
143
141
-
70
39
61
119
122
113
-
199
117
82
164
133
127
61
40
34
56
63
77
46
66
127
75
56
101
118
77
5年間ごとの変動幅
(CV%)
H8-12 H13-17 H18-22
-
11
9.4
15
14
8.2
8.1
-
5.4
6.3
10
5.5
5.6
5.6
-
13
16
29
12
14
17
-
11
14
14
12
14
15
13
29
26
19
32
12
45
26
25
30
16
25
27
32
DX320を用い亜硝酸イオン及び硝酸イオンを定量し
0.45μm
の Cellulose Acetate 製フィルターにて濾
た.定量には,TEA濾紙100㎤,暴露日数1日当たり
過後,測定試料とした.測定には,電気的サプレッ
環境大気調査4地点における 5 年平均値の最大
H8-12
環 境 大年度の内吉野保健所で
気 調 査 4 地 点 に お け る5年
平 均2/day/100c
値の最大
は
72μgNO
のNO2 質量に換算し,µgNO
サーを備えた
DIONEX 社製2/day/100㎠の単位で表し
Model DX320 を用い
二酸化窒素濃度(TEA)とした.
亜硝酸イオン及び硝酸イオンを定量した
.定量には,
2
はH8-12年
度H18-22
の 内 吉年度の宇陀土木事務所で
野 保 健 所 で72µgNO2/day/100
m
,最小は
34μg
2
㎠,最小はH18-22年度の宇陀土木事務所で34µgNO
NO
2/day/100cm であった.5 年間ごとの平均値を2/
2 .調査地点
TEA
濾紙 100cm3,暴露日数 1 日当たりの NO2 質
2
調査地点は,
環境大気調査に保健環境研究センター,
量に換算し,
μgNO
2/day/100cm の単位で表し二酸
内吉野保健所,宇陀土木事務所,山添村役場の4地点
化窒素濃度(
TEA)とした.
day/100c㎠であった.5年間ごとの平均値を各調査地
各調査地点毎に見ると
,いずれも減少傾向にあった.
点毎に見ると,いずれも減少傾向にあった.宇陀土木
宇陀土木事務所と山添村役場では,20 %弱の減少
(事務所と山添村役場では,20%弱の減少(H8-12/H18H8-12/H18-22)傾向であり,内吉野保健所は,44
%の減少(H8-12/H18-22)であった.年度ごとの変
−69−
動幅も,5 年平均値が低くなるにつれ大きくなる傾
調査地点は,環境大気調査に保健環境研究センタ
2.調査地点
ー,内吉野保健所,宇陀土木事務所,山添村役場の
向が見られた.最小は H8-12 年度の宇陀土木事務
22)傾向であり,内吉野保健所は,44%の減少(H8-12/
10 地点における 5 年平均値の最大は H8-12 年度の
H18-22)であった.年度ごとの変動幅も,5年平均値
10
地点における 5 年平均値の最大は H8-12 年度の
横田交差点で 212μgNO2/day/100cm22 ,最小は H18
が低くなるにつれ大きくなる傾向が見られた.最小
横田交差点で
212μgNO2/day/100cm ,最小は H182
-22はH8-12年度の宇陀土木事務所で9.4(CV%)
年度の五條土木事務所で 46μgNO2/day/100cm
2
,最大は
-22 年度の五條土木事務所で 46μgNO2/day/100cm
であった.道路周辺大気調査では,大規模交差点で
H8-12年度の内吉野保健所で29(CV%)であった.次
であった.道路周辺大気調査では,大規模交差点で
ある横田交差点,西名阪法隆寺
IC,西名阪香芝
,西名阪香芝IC
IC
に,道路周辺大気調査10地点における5年平均値の
ある横田交差点,西名阪法隆寺
IC
小さく,また,期間によってはプラスの傾きを示すこ
あまり明確ではなかった.道路周辺大気調査地点で
ともあり,相関係数検定もあまり明確ではなかった.
あまり明確ではなかった.道路周辺大気調査地点で
は,ほとんどの調査地点でマイナスの傾きも大きく,
道路周辺大気調査地点では,ほとんどの調査地点でマ
は,ほとんどの調査地点でマイナスの傾きも大きく,
また,全期間では,相関計数は統計上も有意(p<0.
イナスの傾きも大きく,また,全期間では,相関計数
また,全期間では,相関計数は統計上も有意(p<0.
001)であった.しかし,西名阪香芝 IC 地点では,
は統計上も有意(p<0.001)であった.しかし,西名
001)であった.しかし,西名阪香芝 IC 地点では,
H22年度の
年度の
月と
1 月に通常とは異なる高い値を
阪香芝IC地点では,H22年度の12月と1月に通常とは
H22
1212
月と
1 月に通常とは異なる高い値を
示したため,年度平均が押し上げられ,それが相関
が高い濃度で推移していることがわかった
.
しかし,, 異なる高い値を示したため,年度平均が押し上げら
/day/100
最大はH8-12年度の横田交差点で212µgNO2.
示したため,年度平均が押し上げられ,それが相関
が高い濃度で推移していることがわかった
しかし
係数検定の悪化要因となったと考えられた.以上の
道路周辺大気調査地点においても,減少傾向は見ら
れ,それが相関係数検定の悪化要因となったと考えら
㎠,最小はH18-22年度の五條土木事務所で46µgNO2/
係数検定の悪化要因となったと考えられた.以上の
道路周辺大気調査地点においても,減少傾向は見ら
day/100㎠であった.道路周辺大気調査では,大規
れた.特に
H18
IC
れた.特に
H18年から京奈和自動車道の郡山南
年から京奈和自動車道の郡山南 IC
れた.以上のことから,奈良県における大気中の二
ことから,奈良県における大気中の二酸化窒素濃度
ことから,奈良県における大気中の二酸化窒素濃度
阪香芝ICが高い濃度で推移していることがわかった.
保健センターでは,
56%の減少(
の減少(H8-12/H18-22)
,
保健センターでは,
56%
H8-12/H18-22)
,
考えられた.また,環境大気調査地点と道路周辺大
また,環境大気調査地点と道路周辺大気調査地点の
また,環境大気調査地点と道路周辺大気調査地点の
模交差点である横田交差点,西名阪法隆寺IC,西名
-橿原北
IC
号線沿いの田原本
-橿原北
ICの開通により,
の開通により,R24 号線沿いの田原本
酸化窒素濃度(TEA)は統計的にも減少傾向であると
(TEA)
は統計的にも減少傾向であると考えられた.
(TEA)
は統計的にも減少傾向であると考えられた.
しかし,道路周辺大気調査地点においても,減少傾向
H18年から京奈和自動車道の五條道路開通によ
年から京奈和自動車道の五條道路開通によ
同同
H18
気調査地点の濃度変化をみると環境大気調査地点は
濃度変化をみると環境大気調査地点は
50μgNO
2/da 2/da
濃度変化をみると環境大気調査地点は
50μgNO
は見られた.特にH18年から京奈和自動車道の郡山南
り,
R24 号線沿いの五條土木事務所では 66%の減
り,R24 号線沿いの五條土木事務所では 66%の減
IC−橿原北ICの開通により,R24号線沿いの田原本保
少(
H8-12/H18-22)
)
,さらに R168
R168 号線の上庄バイ
少(
H8-12/H18-22
,さらに
号線の上庄バイ
健センターでは,56%の減少(H8-12/H18-22)
,同H18
パスが H11 年度から部分開通し,H22 年には秋津
パスが H11 年度から部分開通し,H22 年には秋津
年から京奈和自動車道の五條道路開通により,R24号
橋まで開通したことにり,平群東小学校では
47%
橋まで開通したことにり,平群東小学校では
47%
線沿いの五條土木事務所では66%の減少(H8-12/H18の減少(H8-12/H18-22)となったと考えられた.さ
の減少(H8-12/H18-22)となったと考えられた.さ
22),さらにR168号線の上庄バイパスがH11年度から
らに,
H13 年に自動車 NOx・PM 法が成立し,年
らに,
H13 年に自動車 NOx・PM 法が成立し,年
部分開通し,H22年には秋津橋まで開通したことにり,
々自動車排ガスの規制が厳しくなったことも全体的
々自動車排ガスの規制が厳しくなったことも全体的
平群東小学校では47%の減少(H8-12/H18-22)となっ
な減少傾向に寄与していると考えられた.
な減少傾向に寄与していると考えられた.
たと考えられた.さらに,H13年に自動車NOx・PM
2.二酸化窒素濃度(TEA)の 15 年間の推移
2.二酸化窒素濃度
(TEA)の 15 年間の推移
法が成立し,年々自動車排ガスの規制が厳しくなった
過去 15 年間のそれぞれの調査地点における時間
過去
15 年間のそれぞれの調査地点における時間
ことも全体的な減少傾向に寄与していると考えられた.
軸と二酸化窒素濃度
(TEA)軸から,傾き・相関係数
2 .二酸化窒素濃度(TEA)の15年間の推移
軸と二酸化窒素濃度
(TEA)軸から,傾き・相関係数
・相関係数検定(*
:p<0.05
,**:p<0.01,***:
過去15年間のそれぞれの調査地点における時間軸
・相関係数検定(*
:p<0.05,**:p<0.01,***:
p<0.001)を求めた結果を表2に,年度平均値の推
と二酸化窒素濃度(TEA)軸から,傾き・相関係数・
p<0.001
)を求めた結果を表2に,年度平均値の推
移のグラフを図1に示した.年度平均値は,減少傾
相関係数検定(*:p<0.05,**:p<0.01,***:p<0.001)
移のグラフを図1に示した.年度平均値は,減少傾
向にあるが,近年においては変動も大きくなってい
を求めた結果を表2に,年度平均値の推移のグラフを
向にあるが,近年においては変動も大きくなってい
た.しかし,全期間を通した傾きは,いずれの調査
図1に示した.年度平均値は,減少傾向にあるが,近
地点でもマイナスであった.ただし,環境大気調査
た.しかし,全期間を通した傾きは,いずれの調査
年においては変動も大きくなっていた.しかし,全期
地点では,その傾きも小さく,また,期間によって
地点でもマイナスであった.ただし,環境大気調査
間を通した傾きは,いずれの調査地点でもマイナスで
はプラスの傾きを示すこともあり,相関係数検定も
地点では,その傾きも小さく,また,期間によって
あった.ただし,環境大気調査地点では,その傾きも
はプラスの傾きを示すこともあり,相関係数検定も
250
2 2
50µgNO
y/100cm2/day/100㎠程度の濃度で,道路周辺大気調査
程度の濃度で,道路周辺大気調査地点は,
y/100cm 程度の濃度で,道路周辺大気調査地点は,
地点は,大規模交差点を除き環境調査大気地点と同程
大規模交差点を除き環境調査大気地点と同程度の濃
大規模交差点を除き環境調査大気地点と同程度の濃
度の濃度に収れんして行くと推測された.
度に収れんして行くと推測された.
度に収れんして行くと推測された.
表2 二酸化窒素濃度(TEA)の期間傾きと相関係数
表2 二酸化窒素濃度(TEA)の期間傾きと相関係数
表2環境大気調査地点
二酸化窒素濃度(TEA)
の期間傾きと相関係数
道路周辺大気調査地点
環境大気調査地点
道路周辺大気調査地点
内吉野
宇陀土 山添 田原本広陵町 五條土 横田
斑鳩 平群東 法隆寺 香芝
内吉野 宇陀土 山添 田原本広陵町 五條土 横田
傾き
傾き
(全期間)
-2.6 -0.4 -0.8 -8.1 -4.6 -8.9 -8.4 -5.0
(全期間)
(1996-2000)
4.0-2.61.0-0.4
-2.8 -0.8
-10.0 -8.1
1.0 -4.6
-4.2 -8.9
-1.8 -8.4
1.0
(1996-2000) -5.2 4.0
(2001-2005)
1.0 -4.2
-1.3 1.04.2 -2.8
-3.4-10.0
-4.5 -3.9
-3.8 -1.8
-2.6
(2006-2010)
-3.6 4.2
-8.8 -3.4
-4.7 -12.3
(2001-2005) 6.9-5.24.5-1.3
-4.5 -17.7
-3.9 -13.4
-3.8
相関係数
(2006-2010)
6.9 4.5 -3.6 -8.8 -4.7 -12.3 -17.7
(全期間)
相関係数 -0.67 -0.27 -0.27 -0.92 -0.81 -0.92 -0.85 -0.81
(1996-2000)
0.79
0.42
-0.45-0.27
-0.79-0.92
0.15-0.81
-0.59 -0.92
-0.25 -0.85
0.20
(全期間)
-0.67
-0.27
-4.9 -7.8
-5.0 -1.5
-4.9
-5.9
1.0 -4.0
-5.9
-2.9
-2.0
-2.6 -14.1
-2.9
-13.4 -2.0 -14.1 17.2 -14.0
文
献
文 献
献
1)植田直樹,松本光夫文
,西川喜孝:奈良県保健環境
1 )植田直樹,松本光夫,西川喜孝:奈良県保健環境
センター年報
,72-75(1984)
1)植田直樹,19
,松本光夫
,西川喜孝:奈良県保健環境
センター年報,19,72-75(1984)
2)松本光夫
,溝口次夫:大気汚染学会誌
,23,85-91(1
センター年報
,19,72-75(1984)
2 )松本光夫,溝口次夫:大気汚染学会誌,23,85-91
988)
2)松本光夫,溝口次夫:大気汚染学会誌,23,85-91(1
(1988)
988)
内吉野保健所
内吉野保健所
山添村役場
(μgNO2 /day/100cm2 )
(μgNO2 /day/100cm2 )
250
宇陀土木事務所
田原本保健セ
200
山添村役場
広陵町福祉セ
田原本保健セ
五條土木事務所
200
150
広陵町福祉セ
横田交差点
五條土木事務所
斑鳩町公民館
150
100
平群東小学校
横田交差点
西名阪法隆寺IC
斑鳩町公民館
10050
西名阪香芝IC
平群東小学校
阿部交差点
西名阪法隆寺IC
西名阪香芝IC
500
0
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
図1
二酸化窒素濃度( TEA)年度平均値の推移
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
図1 二酸化窒素濃度(TEA)年度平均値の推移
図1
阿部
-1.7 -6.4
-7.8 -0.3
-1.7 -6.4
-0.2
-1.5 -3.7
-0.2 -0.3
-2.7
17.2
-4.0-14.0
-2.7 -3.7
-0.93 -0.88 -0.33 -0.86
-0.85
-0.81 -0.24
-0.93 -0.04
-0.88-0.06
-0.33 -0.86
(2001-2005)
-0.330.42
0.37-0.45
-0.37-0.79
-0.42 -0.32
-0.28 -0.25
-0.24 -0.39
(1996-2000)-0.880.79
0.15 -0.59
0.20 -0.32
-0.85 -0.23
-0.24-0.31
-0.04 -0.06
相関係数検定
(2001-2005) -0.88 -0.33 0.37 -0.37 -0.42 -0.32 -0.28 -0.24 -0.39 -0.32 -0.23 -0.31
(全期間)
*
-
-
*** *** *** *** *** *** ***
-
***
相関係数検定
(1996-2000)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
(全期間)
*
-
-
*** *** *** *** *** *** ***
-
***
(2001-2005)
*
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
(1996-2000)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
(2001-2005)
*
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
宇陀土木事務所
H8
阿部
斑鳩 平群東 法隆寺 香芝
二酸化窒素濃度( TEA)年度平均値の推移
−70−
阿部交差点
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
塩化メチル及びトルエン(新規優先取組物質)の分析法検討と
塩 化 メ チ ル 及 び奈良県における大気中濃度について
トルエン(新規優先取組物質)の分析法検討と
奈良県における大気中濃度について
小川里恵・陰地義樹・浅野勝佳・仲澤喜代重
小川里恵・陰地義樹・浅野勝佳・仲澤喜代重
Measurements of Methyl Chloride and Toluene in the Atmosphere of Nara
Measurements of Methyl Chloride and Toluene in the Atmosphere of Nara
Rie OGAWA ・Yosiki ONJI・Katsuyoshi ASANO and Kiyoshige NAKAZAWA
Rie OGAWA ・Yosiki ONJI・Katsuyoshi ASANO and Kiyoshige NAKAZAWA
緒 言
緒
言
大気汚染防止法は平成8年に改正され,
「低濃度で
大気汚染防止法は平成 8 年に改正され,
「低濃度
はあるが長期暴露によって人の健康を損なう恐れのあ
ではあるが長期暴露によって人の健康を損なう恐れ
る有害大気汚染物質について,将来にわたって人の健
のある有害大気汚染物質について,将来にわたって
康に係る被害の未然防止を図る必要がある」ことを基
人の健康に係る被害の未然防止を図る必要がある」
本的な考え方とした.よって有害大気汚染物質は,今
ことを基本的な考え方とした.よって有害大気汚染
すぐに健康を脅かすものではないが,健康影響を未然
物質は,今すぐに健康を脅かすものではないが,健
に防止するための取り組みを事業者,国,地方公共団
康影響を未然に防止するための取り組みを事業者,
体,国民に求めている.平成22年10月に中央環境審
国,地方公共団体,国民に求めている.平成
22 年
議会において,有害大気汚染物質に該当する可能性の
10 月に中央環境審議会において,有害大気汚染物
ある物質(248物質)が見直され,その中から「優先
質に該当する可能性のある物質(
248 物質)が見直
取組物質」として23物質が挙げられた.今回,この23
され,その中から「優先取組物質」として 23 物質
物質の中で新規優先取組物質の対象となった塩化メチ
が挙げられた.今回,この
23 物質の中で新規優先
ルとトルエンの分析方法を検討するとともに,奈良県
取組物質の対象となった塩化メチルとトルエンの分
表1 試料濃縮及び装置条件
表1 試料濃縮及び装置条件
1) 試料濃縮条件
試料濃縮装置:Entech7100A
Trap1 :GlassBeads Trap -150℃,Desorb 10℃
Trap2 :Tenax Trap -30℃,Desorb 180℃
Focuser:Trap -160℃,Desorb 100℃
2) GC/MS条件
GC装置:Agilent社製7890A
カラム:DB-1(60m length,0.32mm i.d.,1.0μm thickness)
カラム温度:40℃(4min)→(5℃/min)→140℃→
(15℃/min)→220℃(2min)
注入口温度:230℃
出口温度 :230℃
キャリアガス:He 1mL/min(定流量)
MS装置:Agilent社製5975C
マス温度:150℃
GC/MS測定用質量数
塩化メチル:52m/z(定量)、50m/z(確認)
トルエン:91m/z(定量)、92m/z(確認)
結果及び考察
における大気中濃度についても調査したので報告する. 1.塩化メチルとトルエンの分析精度
析方法を検討するとともに,奈良県における大気中
結果及び考察
濃度についても調査したので報告する.
1)塩化メチルの分析精度
1 .塩化メチルとトルエンの分析精度
塩化メチルの分析精度を調べるために,塩化メチ
方 法
1 .調査方法
方
法
環境省有害大気汚染物質測定方法マニュアル 1)に
1.調査方法
1 )塩化メチルの分析精度
ル低濃度標準ガス
25ppt の繰り返し測定(n=5)を行
塩化メチルの分析精度を調べるために,塩化メチ
い装置定量下限値(IQL)を求めた.その結果,定
3
ル低濃度標準ガス25pptの繰り返し測定(n=5)を行い
量下限値は 0.011μg/m であった.次にキャニスタ
環境省有害大気汚染物質測定方法マニュアル に
tm
装置定量下限値(IQL)を求めた.その結果,定量下
行った.試料採取には,6LのSilcoCan キャニスター
準じ,容器採取-ガスクロマトグラフ質量分析法で
ーを用いた減圧採取法の場合,分析方法における定
限値は0.011µg/㎥であった.次にキャニスターを用い
(Entech社製)を用い減圧採取法により試料を採取し
tm
行った.試料採取には,6L の SilcoCan キャニス
量下限値(MQL)を算出することは非常に困難で
た減圧採取法の場合,分析方法における定量下限値
た.標準ガスは住友精化株式会社製100ppbを使用し
あるが,今回は,クリーンアップ済みキャニスター
ター(Entech 社製)を用い減圧採取法により試料
た.ゼロガスは,N2(99.9995%,G1クラス)で大陽日 (MQL)を算出することは非常に困難であるが,今回
(のべ 62 個)のブランクテスト時に検出された塩
を採取した.標準ガスは住友精化株式会社製 100pp
は,クリーンアップ済みキャニスター(のべ62個)の
酸株式会社製を使用した.内標準ガスはToluene-d8
化メチルの変動から定量下限値を求めた.その結果,
b を使用した.ゼロガスは,N2(99.9995%, G1 ク
(Camberide Isotope Laboratories社製)を気化さ
ブランクテスト時に検出された塩化メチルの変動から
定量下限値は 0.092μg/m3 であった.次に,各 25, 50,
ラス)で大陽日酸株式会社製を使用した.内標準ガ
定量下限値を求めた.その結果,定量下限値は0.092µg/
せて使用した.試料濃縮条件及び装置条件を表1に
スは Toluene-d8(Camberide Isotope Laboratories
100, 250, 500ppt の標準品を用い検量線を作成した
示した.
㎥であった.次に,各25,
50, 100, 250, 500pptの標準
社製)を気化させて使用した.試料濃縮条件及び装
結果,相関係数 r2=0.9986 と良好な直線性が得られ
2 .調査地点
品を用い検量線を作成した結果,相関係数r 2=0.9986
置条件を表1に示した.
た.
と良好な直線性が得られた.
大和平野3地点(天理・郡山・橿原)で,平成23年
2.調査地点
2)トルエンの分析精度
4月から平成24年3月まで,月に1回の測定を行った. 2 )トルエンの分析精度
トルエンの分析精度を調べるために,トルエン低
大和平野 3 地点(天理・郡山・橿原)で,平成 2
トルエンの分析精度を調べるために,トルエン低濃
ただし,天理は一般環境,郡山は発生源周辺,橿原は
濃度標準ガス 25ppt の繰り返し測定(n=5)を行い
3 年 4 月から平成 24 年 3 月まで,月に 1 回の測定
度標準ガス25pptの繰り返し測定(n=5)を行い装置定
沿道周辺にそれぞれ指定されている地点であった.
装置定量下限値(IQL)を求めた.その結果,定量
を行った.ただし,天理は一般環境,郡山は発生源
量下限値(IQL)を求めた.その結果,定量下限値は
3
下限値は 0.014μg/m であった.塩化メチルと同様
周辺,橿原は沿道周辺にそれぞれ指定されている地
1)
準じ,容器採取−ガスクロマトグラフ質量分析法で
点であった.
に,ブランクテスト時に検出されたトルエンの変動
−71−
から定量下限値を求めた.その結果,定量下限値は
0.31μg/m であった.これは,塩化メチルに比べブ
3
0.31μg/m
であった.これは,塩化メチルに比べブ
ランクキャニスターにおいてトルエンの残留が高
3
ランクキャニスターにおいてトルエンの残留が高
く,実験室由来の汚染がクリーンアップを行っても
く,実験室由来の汚染がクリーンアップを行っても
十分に洗浄がなされていないと考えられた.次に,
とした暴露評価で有意差が認められる濃度が数千 μ
3
2)
とした暴露評価で有意差が認められる濃度が数千
μ
g/m であるという報告 からも,直ちに対策を講じ
3
2)
g/m
であるという報告 からも,直ちに対策を講じ
なければならない状況ではないことがわかった.
なければならない状況ではないことがわかった.
μg / m
3
3
μg / m 3
μg / m
十分に洗浄がなされていないと考えられた.次に,
0.014µg/㎥であった.塩化メチルと同様に,ブランク
橿原
3
塩化メチルと同様に標準品を用い検量線を作成した
0.31μg/m
であった.これは,塩化メチルに比べブ
とした暴露評価で有意差が認められる濃度が数千
μ
郡山
橿原
テスト時に検出されたトルエンの変動から定量下限値
2
塩化メチルと同様に標準品を用い検量線を作成した
3 70
2)
結果,相関係数
r
=0.9987
と良好な直線性が得られ
天理
郡山
g/m70であるという報告 からも,直ちに対策を講じ
ランクキャニスターにおいてトルエンの残留が高
を求めた.その結果,定量下限値は0.31µg/㎥であっ
結果,相関係数
r2=0.9987 と良好な直線性が得られ
60
天理
た.
なければならない状況ではないことがわかった.
く,実験室由来の汚染がクリーンアップを行っても
60
た.これは,塩化メチルに比べブランクキャニスター
た.
50
2.塩化メチル及びトルエンの調査結果
十分に洗浄がなされていないと考えられた.次に,
50
においてトルエンの残留が高く,実験室由来の汚染が
2.塩化メチル及びトルエンの調査結果
40
奈良県における塩化メチルとトルエンの毎月の調
橿原
塩化メチルと同様に標準品を用い検量線を作成した
40
クリーンアップを行っても十分に洗浄がなされていな
奈良県における塩化メチルとトルエンの毎月の調
30
郡山
2
査結果を図1と図2に示した.塩化メチルに関して
70
結果,相関係数 r =0.9987 と良好な直線性が得られ
天理
30
いと考えられた.次に,塩化メチルと同様に標準品を
3
3
20
査結果を図1と図2に示した.塩化メチルに関して
は, 年間平均で橿原が 1.4μg/m ,郡山が2 1.3μg/m ,
60
た.
3
3
20
=0.9987と良
用い検量線を作成した結果,相関係数r
10
3
は
, 年間平均で橿原が
1.4μg/m ,郡山が 1.3μg/m
,
天理が
1.2μg/m であり指定場所別における差は見
50
2.塩化メチル及びトルエンの調査結果
10
3
好な直線性が得られた.
0
天理が
1.2μg/m であり指定場所別における差は見
40
られなかった.また,グラフからもわかるように季
4
5
6
7
8
9 10 11 12 1
2
3
奈良県における塩化メチルとトルエンの毎月の調
0
2 .塩化メチル及びトルエンの調査結果
られなかった.また,グラフからもわかるように季
5
6
7
8
9 月
10 11 12 1
2
3
30 4
節的変動も少なかった.一般環境の天理の月変動が
査結果を図1と図2に示した.塩化メチルに関して
月
奈良県における塩化メチルとトルエンの毎月の調査
図2 奈良県におけるトルエン濃度の推移
節的変動も少なかった.一般環境の天理の月変動が
3
3
20図2 奈良県におけるトルエン濃度の推移
一番大きく
2.6 倍(月最大
/月最小
)で,相対標準偏
は
,
年間平均で橿原が
1.4μg/m
,郡山が
1.3μg/m
,
図2 奈良県におけるトルエン濃度の推移
結果を図1と図2に示した.塩化メチルに関しては,
一番大きく
2.6 倍(月最大
/月最小)で,相対標準偏
10
3
差は 281.2μg/m
%であった.自然発生源由来の塩化メチル
天理が
であり指定場所別における差は見
表2 塩化メチル及びトルエンの調査結果
年間平均で橿原が1.4µg/㎥,郡山が1.3µg/㎥,天理が
3
2)
差は
28
%であった.自然発生源由来の塩化メチル
0
が 2μg/m 程度存在するという報告 もあること,ま 表2 塩化メチル及びトルエンの調査結果
相対標
定量
表2 塩化メチル及びトルエンの調査結果
られなかった.また,グラフからもわかるように季
3
2)
4 調査地点
5
6
7
8 大気中濃度 (μg/m
9 10 11 12 3) 1
2準偏差
3 下限値
1.2µg/㎥であり指定場所別における差は見られなかっ
項目
が
2μg/m
程度存在するという報告
もあること,ま
相対標
定量
3
た今回調査の年間平均値や季節的変動から,奈良県
月 最小値
大気中濃度 (μg/m
)最大値 準偏差
年平均値
(%) 下限値
(μg/m )
節的変動も少なかった.一般環境の天理の月変動が
項目
調査地点
た.また,グラフからもわかるように季節的変動も少
た今回調査の年間平均値や季節的変動から,奈良県
一般環境
(天理)
1.4 最小値
0.90 ~最大値2.3 (%)28(μg/m )
図2 奈良県におけるトルエン濃度の推移
年平均値
においては人為的発生源の影響は少ないと考えられ
一番大きく 2.6 倍(月最大/月最小)で,相対標準偏
発生源周辺(天理)
(郡山)
なかった.一般環境の天理の月変動が一番大きく2.6
塩化メチル一般環境
1.41.3 0.90
0.89~~ 2.31.7 2819 0.092
においては人為的発生源の影響は少ないと考えられ
た. 28 %であった.自然発生源由来の塩化メチル
塩化メチル 発生源周辺
道路周辺 (郡山)
(橿原)
1.31.2 0.89
0.68~~ 1.71.6 1920 0.092
差は
倍(月最大/月最小)で,相対標準偏差は28%であった. 表2 塩化メチル及びトルエンの調査結果
た.
道路周辺
一般環境 (橿原)
(天理)
3
2)
1.25.9 0.681.8~~ 1.611 2051
が 2μg/m 程度存在するという報告 もあること,ま
自然発生源由来の塩化メチルが2µg/㎥程度存在する
発生源周辺(天理)
(郡山)
トルエン 一般環境
5.9
5173 定量
26 1.85.5~~ 3)1165 相対標
0.31
大気中濃度 (μg/m
橿原
準偏差 下限値
項目
調査地点
3
2)
た今回調査の年間平均値や季節的変動から,奈良県
発生源周辺
トルエン
道路周辺 (郡山)
(橿原) 年平均値
266.7 最小値
5.53.6~~ 最大値
658.1 73
0.31 )
35 (μg/m
(%)
という報告 もあること,また今回調査の年間平均値
橿原
郡山
3
3
3
μg / m
3
3
μg / m 3
μg / m
3
天理
郡山
においては人為的発生源の影響は少ないと考えられ
2.5
や季節的変動から,奈良県においては人為的発生源の
天理
た.2.5
影響は少ないと考えられた.
2
2
1.5
橿原
3
1.5
郡山
1
天理
2.5
1
0.5
2
0.5
0
1.5
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
0
4 5 6 7 8 9 月
10 11 12 1 2 3
1
月
図1 奈良県における塩化メチル濃度の推移
0.5 図1 奈良県における塩化メチル濃度の推移
次にトルエンに関しては,年間平均で道路沿道の
0
次にトルエンに関しては,年間平均で道路沿道の
4 5 3,一般環境の天理が
6 7 8 9 10 11 126.7μg/m
1 2 3 と同程
3
橿原が 5.9μg/m
3
3
月
3 と同程
橿原が
5.9μg/m
,一般環境の天理が
6.7μg/m
度であったが,発生源周辺の郡山は 26μg/m となり,
図1 奈良県における塩化メチル濃度の推移
図1 奈良県における塩化メチル濃度の推移
度であったが
,発生源周辺の郡山は
26μg/m3 となり,
他の指定場所に比べ
4 倍程度高い値となった.郡山
他の指定場所に比べ
4 倍程度高い値となった.郡山
は発生源周辺として指定されている昭和工業団地で
次にトルエンに関しては,年間平均で道路沿道の
次にトルエンに関しては,年間平均で道路沿道の橿
は発生源周辺として指定されている昭和工業団地で
の調査であったため高濃度となったと考えられた.
橿原が
5.9μg/m3,一般環境の天理が 6.7μg/m3 と同程
原が5.9µg/㎥,一般環境の天理が6.7µg/㎥と同程度で
の調査であったため高濃度となったと考えられた.
また,グラフからもわかるように季節的変動も大き
度であったが
,発生源周辺の郡山は 26μg/m3 となり,
あったが,発生源周辺の郡山は26µg/㎥となり,他の
また,グラフからもわかるように季節的変動も大き
く,発生源周辺の郡山で月変動
12 倍(月最大/月最
指定場所に比べ4倍程度高い値となった.郡山は発生
他の指定場所に比べ
4 倍程度高い値となった.郡山
く,発生源周辺の郡山で月変動
12
倍(月最大/月最
小)であり,相対標準偏差は 73 %であった.以上の
源周辺として指定されている昭和工業団地での調査で
は発生源周辺として指定されている昭和工業団地で
小ことから,トルエンに関しては人為的発生源の影響
)であり,相対標準偏差は 73 %であった.以上の
あったため高濃度となったと考えられた.また,グラ
の調査であったため高濃度となったと考えられた.
ことから,トルエンに関しては人為的発生源の影響
を強く受ける物質であり,ある一定の監視は必要で
フからもわかるように季節的変動も大きく,発生源周
また,グラフからもわかるように季節的変動も大き
を強く受ける物質であり,ある一定の監視は必要で
あると考えられた.しかし,現時点でトルエンに関
辺の郡山で月変動12倍(月最大/月最小)であり,相
く,発生源周辺の郡山で月変動
12 倍(月最大/月最
あると考えられた.しかし,現時点でトルエンに関
して環境指針値等の設定はなく,工場労働者を対象
対標準偏差は73%であった.以上のことから,トルエ
小)であり,相対標準偏差は 73 %であった.以上の
して環境指針値等の設定はなく,工場労働者を対象
ンに関しては人為的発生源の影響を強く受ける物質で
ことから,トルエンに関しては人為的発生源の影響
あり,ある一定の監視は必要であると考えられた.し
を強く受ける物質であり,ある一定の監視は必要で
かし,現時点でトルエンに関して環境指針値等の設定
あると考えられた.しかし,現時点でトルエンに関
6.7
1.4 3.6
0.90 ~~ 8.1
2.3 3528
1.3 0.89 ~
1.7
19 0.092
道路周辺
(橿原)
1.2 0.68 ~
1.6
20
3.調査結果と分析精度
一般環境
(天理)
5.9
1.8 ~
11
51
はなく,工場労働者を対象とした暴露評価で有意差が
3.調査結果と分析精度
発生源周辺 (郡山)
トルエン
26
5.5 ~
65
73 3) 0.31
今回の調査結果を表2に示した.新規優先取組物
認められる濃度が数千µg/㎥であるという報告
道路周辺
(橿原)
6.7
3.6 ~
8.1
35 から
今回の調査結果を表2に示した.新規優先取組物
道路周辺
一般環境
塩化メチル
(橿原)
(天理)
発生源周辺 (郡山)
質に追加された塩化メチルの場合,今回の調査では,
も,直ちに対策を講じなければならない状況ではない
3
質に追加された塩化メチルの場合
,今回の調査では
,
最小値が道路沿道指定の橿原で 0.68μg/m
であり,
3
ことがわかった.
3
最小値が道路沿道指定の橿原で
0.68μg/m
であり,
今回検討の定量下限値 0.092μg/m
からも十分に定
3.調査結果と分析精度
3
3
.調査結果と分析精度
今回検討の定量下限値
0.092μg/m からも十分に定
量が可能であることがわかった.トルエンに関して
今回の調査結果を表2に示した.新規優先取組物
今回の調査結果を表2に示した.新規優先取組物質
3
量が可能であることがわかった.トルエンに関して
は,定量下限値が 0.31μg/m と若干高い値であった
質に追加された塩化メチルの場合
,今回の調査では,
に追加された塩化メチルの場合,今回の調査では,最
3
3
は,定量下限値が
0.31μg/m と若干高い値であった
3
が,今回調査の最小値が一般環境の天理で
1.8μg/m
最小値が道路沿道指定の橿原で 0.68μg/m であり,
小値が道路沿道指定の橿原で0.68µg/㎥であり,今回
3
が,今回調査の最小値が一般環境の天理で
1.8μg/m
3
であったために定量は可能であると考えられた.た
今回検討の定量下限値
0.092μg/m からも十分に定
検討の定量下限値0.092µg/㎥からも十分に定量が可能
であったために定量は可能であると考えられた.た
だし,トルエンを含むその他 VOCs の目標定量下限
量が可能であることがわかった.トルエンに関して
であることがわかった.トルエンに関しては,定量
だし,トルエンを含むその他
VOCs の目標定量下限
3
値が,近年の分析装置の進歩によりという理由で
「概
は,定量下限値が
0.31μg/m と若干高い値であった
下限値が0.31µg/㎥と若干高い値であったが,今回調
3
3
値が
,
近年の分析装置の進歩によりという理由で
「
概3
ね 1.0μg/m 」から「0.1μg/m が望ましい」に変更さ
が,今回調査の最小値が一般環境の天理で
1.8μg/m
査の最小値が一般環境の天理で1.8µg/㎥であったため
3
3
ねれたため,実験室由来の汚染対策等を講じることに
1.0μg/m 」から「0.1μg/m が望ましい」に変更さ
であったために定量は可能であると考えられた.た
に定量は可能であると考えられた.ただし,トルエン
れたため,実験室由来の汚染対策等を講じることに
より,目標定量下限値を満足するように努める必要
だし,トルエンを含むその他
VOCs の目標定量下限
を含むその他VOCsの目標定量下限値が,近年の分析
より,目標定量下限値を満足するように努める必要
があると考えられた.
値が,近年の分析装置の進歩によりという理由で「概
装置の進歩によりという理由で「概ね1.0µg/㎥」から
があると考えられた.
ね 1.0μg/m3」から「0.1μg/m3 が望ましい」に変更さ
「0.1µg/㎥が望ましい」に変更されたため,実験室由
文
献
来の汚染対策等を講じることにより,目標定量下限値
れたため,実験室由来の汚染対策等を講じることに
文
献
1)環境省水・大気環境局大気環境課:平成 23 年 3
を満足するように努める必要があると考えられた.
より,目標定量下限値を満足するように努める必要
1)環境省水・大気環境局大気環境課:平成
月有害大気汚染物質測定方法マニュアル 23 年 3
があると考えられた.
月有害大気汚染物質測定方法マニュアル
2) 横内陽子,相馬裕子,向井人史:地球環境研究
文 献
2)総合推進費平成
横内陽子,相馬裕子,向井人史:地球環境研究
10
年度研究成果報告集
,91-95(1999)
1 )環境省水・大気環境局大気環境課:平成23年3月
文
献
総合推進費平成
10
年度研究成果報告集
,91-95(1999
)
)Foo,S.C.et al.:Br. J. Ind. Med., 47, 480-484 23
(1990)
有害大気汚染物質測定方法マニュアル
13)環境省水・大気環境局大気環境課:平成
年3
3)Foo,S.C.et al.:Br. J. Ind. Med., 47, 480-484 (1990)
2月有害大気汚染物質測定方法マニュアル
)横内陽子,相馬裕子,向井人史:地球環境研究総
2)合推進費平成10年度研究成果報告集,91-95(1999)
横内陽子,相馬裕子,向井人史:地球環境研究
3総合推進費平成
)Foo,S.C.et al.:Br.
Ind. Med., 47, 480-484
(1990) )
10 J.年度研究成果報告集
,91-95(1999
して環境指針値等の設定はなく,工場労働者を対象
3)Foo,S.C.et al.:Br. J. Ind. Med., 47, 480-484 (1990)
−72−
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
奈良県における環境放射能調査(第19報)
(2011年4月~2012年3月)
大畑清嗣・浅野勝佳・仲澤喜代重
Environmental Radioactivity Survey Data in Nara Prefecture(19)
(Apr.2011-Mar.2012)
Kiyotsugu OHATA・Katsuyoshi ASANO and Kiyoshige NAKAZAWA
緒 言
行った.
平成元年度から科学技術庁(平成13年1月からは文
結果及び考察
部科学省)委託環境放射能水準調査事業に参加し,環
境放射能測定調査を継続実施している.平成23年度
1 .全β放射能調査(降雨ごと)
に実施した環境放射能水準調査測定結果について取り
定時降水中の全β放射能測定結果を表1に示した.
まとめたのでその概要を報告する.
88検体の測定を行い24検体で検出し,放射能濃度
なお,平成23年3月11日の東日本大震災による福島
はND~1.6Bq/L, 月 間 降 下 量 はND~12.2MBq/㎢ の
第一原発事故以降はモニタリング強化体制となり,こ
範囲にあった. れに対応した.
2 .γ線核種分析調査 表2にγ線核種分析測定結果を示した.
調査方法
4 ~6月の大気浮遊じんと4 ~7月の降下物及び茶葉
1 .調査対象
からCs-134とCs-137が検出された.また4月の降下物
定時降水中の全β放射能,大気浮遊じん・降下物・
からはI-131も検出された.これらは福島原発事故の影
土壌・陸水・牛乳・精米・野菜類・茶のγ線核種分析, 響であると推測される.また,土壌の表層~下層から
強化モニタリングの蛇口水・定時降下物のγ線核種分
それぞれ3.6 ~4.0Bq/kg乾土のCs-137が検出されたが,
析,ならびに環境中の空間放射線量率を調査対象とし
いずれも例年と大差のない数値であった.
た.なお,この調査の環境試料採取にあたり,農業総
3 .空間放射線量率調査(連続測定)
合センタ-,茶業振興センタ-,高原農業振興センタ
表3に各月におけるモニタリングポストによる空
-の協力を得た.
間放射線量率測定結果を示した.連続測定結果は,46
2 .測定方法
~71nGy/hの範囲にあり,平均値は 49.0nGy/hであっ
環境試料の採取法,前処理法及び全β放射能測定,
た.全体として例年と大差はなく,空間放射線量率か
γ線核種分析及び空間放射線量率測定は,文部科学省
らは福島原発事故の影響は特に認められなかった.
の「環境放射能測定調査委託実施計画書」(平成23年
4 .モニタリング強化
1)
度)「全β放射能測定法」,「Ge半導体検出器による
表4にモニタリング強化の測定結果を示した. 奈良
2)
ガンマ線スペクトロメトリ-」 等に準拠し実施した. 県では人工放射性核種は検出しなかった.
モニタリング強化の測定は文部科学省の指示に従っ
結 論
た.
3 .測定装置
平成23年度の調査結果において,福島原発事故直
全β放射能測定は全βGM自動測定装置(アロカ
後には一部の環境試料で影響が見られたが,8月以降
LBC-4202型),γ線核種分析はGe半導体核種分析装置
は落ち着いた.福島原発事故の詳細が解明されるにつ
(セイコーEG&G GEM15P4-70型),空間放射線量率測
れて事故のすさまじさが浮き彫りにされており,今後
定はモニタリングポスト(アロカ MAR-21型)とサー
封じ込め工程が完了するまで環境放射能の動態につい
ベイメータ(アロカTCS-171)によりそれぞれ測定を
て継続した調査が必要であると考える.
−73−
文 献
3 )文部科学省:第51回環境放射能調査研究成果論文
1 )文部科学省防災環境対策室:環境放射能測定調査
抄録集(平成20年度)
委託実施計画書(平成23年度)
2 )文部科学省編「放射能測定法シリ-ズ」昭和51年
~平成15年改訂版
表1 定時降水試料中の全β線放射能調査結果
表3 空間放射線量率調査結果
降水の定時採取
(定時降水)
(mm)
4月
104.0
7
最高値
最低値
測定数
ND
調査月
月 間
降下量
(MBq/ Km2)
H23年度
10.7
4月
46
61
48.2
1.0
平均値
H23年度
放射能濃度(Bq/L)
最高値
降水量
最低値
採取月
モニタリング
ポスト
(nGy/h)
5月
285.5
10
ND
0.2
1.9
5月
47
65
48.5
6月
232.5
9
ND
0.1
1.4
6月
47
61
49.2
7月
139.5
9
ND
0.3
12.2
7月
47
64
49.6
8月
56.5
8
ND
0.2
2.0
8月
48
66
49.7
9月
281.5
10
ND
0.1
1.0
9月
48
59
49.4
10 月
97.5
5
ND
ND
ND
10 月
47
55
49.1
11 月
72.0
4
ND
ND
ND
11 月
46
53
48.6
12 月
16.0
3
ND
0.3
0.7
12 月
46
54
47.7
1月
38.5
3
ND
1.0
11.2
1月
46
59
48.7
2月
109.0
10
ND
1.6
4.4
2月
47
68
49.5
3月
180.5
10
ND
0.9
4.1
3月
47
71
49.3
年間値
1613.0
88
ND
1.6
49.6
年間値
46
71
49.0
79 ~ 89
ND
2.1
51.4 ~ 88.5
80
49.1 〜 49.8
前年度までの
過去3年間の値
過去
3年間の値
45
ND:Not detected
表2 γ線核種分析調査結果(Cs-137最高値)
試料名
採取地
本年度
過去3年間
単 位
大気浮遊じん
奈良市
ND〜0.27
ND
mBq/㎥
降
奈良市
ND〜4.5
ND
MBq/㎢
下
物
ND
ND
mBq/L
表 層
橿原市
3.6(220)
4.2(410)
下 層
橿原市
4.0(780)
4.7(385)
Bq/㎏乾土
(MBq/㎢)
精
米
橿原市
ND
ND
Bq/㎏精米
野
菜
宇陀市
ND
ND
Bq/㎏生
奈良市
3.5 〜3.6
ND
Bq/㎏乾物
宇陀市
ND
ND
Bq/L
土壌
陸水(蛇口水) 奈良市
茶
牛
乳
ND:Not detected
表4 モニタリング強化
試 料
期 間
I-131
Cs-134
Cs-137
その他人工放射性核種
水
3月23日~12月28日
ND
ND
ND
ND
定時降下物
3月20日~12月27日
ND
ND
ND
ND
蛇
口
ND:Not detected.
注:Ge半導体検出器点検のため,測定開始が遅くなった
−74−
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
菩提川の水質特性について
高木康人・山中秀則・高橋のぶ子・兎本文昭
Characteristics of Water Quality of the Bodai River
Yasuhito TAKAGI・Hidenori YAMANAKA・Nobuko TAKAHASHI and Fumiaki UMOTO
緒 言
上流地点であり,水量が極端に少なく生活雑排水の影
奈良市内中心部を流れる一級河川菩提川は水源水量
響を直接受けやすい地点であるため,その影響が現れ
が乏しく,また,上流部が合流式下水道として整備さ
たものと考えられた.菩提川流末上流堰より下流では
れたことにより水質汚濁が著しく,環境省発表平成
BOD値は3 ~12mg/Lで安定していた.
20年度全国河川ワースト1となった(年間平均BOD値
菩提川における唯一の支川である浄言寺川は,そ
1)
12mg/L) .そのため,現在,県では水質改善に向け, の 水 質 がBOD4.0mg/L, と 合 流 前 の 菩 提 川 の 水 質
(BOD22mg/L)よりも良く,また,その水量は菩提
取組みを強化している.
今回,1年間にわたり,菩提川周辺における河川水
川とほぼ同量であることから,菩提川の水質濃度低下
水質調査を実施し,若干の知見が得られたので,その
に繋がっていた.
概要を報告する.なお,調査結果は随時,「大和川清
菩提川が合流先河川(佐保川)に与える影響は,菩
流復活ネットワーク」のホームページに掲載された.
提川の水量が佐保川水量の約1/15であるため,あま
り大きくは無いが,それでも佐保川(環境基準C類型)
方 法
のBODを1.5mg/Lか ら1.8mg/Lと 約2割 上 昇 さ せ て
図1に示した菩提川周辺河川10地点(菩提川7地点,
いた.
支川浄言寺川1地点,合流先河川佐保川2地点)におい
今回の調査における菩提川環境基準点(菩提川流末)
て,平成23年4月から平成24年3月の間,毎月1回,簡
でのBOD75%値は6.7mg/Lであり環境基準値(C類型,
易方法により河川水量を測定するとともに,河川水を
5mg/L以下)を満足することはできなかった.
採取.採取した河川水は直ちに当所に持ち帰り,水
菩提川上流域ではしばしばDOの低い状態が見られ,
質分析(臭気,色相,透視度,pH:水素イオン濃度,
現状では魚類の生息には適していなかった.
DO:溶存酸素量,COD:化学的酸素要求量,BOD:
その他,SS,T-N,T-Pでは特に,流域全体で大き
生物化学的酸素要求量,SS:浮遊物質量,T-N:全窒素, な変動は見られなかった.
T-P: 全 リ ン,NH4-N: ア ン モ ニ ア 性 窒 素,NO2-N:
まとめ
亜硝酸性窒素,NO3-N:硝酸性窒素)を行った.
今回の調査により,以下のような菩提川周辺河川に
結果及び考察
おける水質特性が明らかになった.
BOD測定結果を表1に,また,NH4-N地点別経月変
1 . 菩提川では上流域で水質が悪く,特に浄言寺川合
化を図2に示した.
流前においての水質悪化が著しかった.その一因は
菩提川のBODは年間を通して水量の少ない上流域
アンモニア性窒素の増加及び硝酸性窒素の減少で
で高く,特に冬期に高い傾向が見られた.この上流
あった.
域の中でも概ね浄言寺川合流前においてBODは高く,
2 . 浄言寺川の水質は概ね良好であり,その水量はほ
年間平均22mg/L,最大54mg/L(3月)となった.ま
ぼ菩提川の水量と同量であることから,浄言寺川は
た,この地点ではNH4-Nが高く,NO3-Nが低い傾向が
菩提川の水質改善に役立っていた.
見られ,このことがBOD上昇の一因であると考えら
3 . 菩提川が合流先河川(佐保川)に与える影響は,そ
れた.今回の調査でのBOD最高値は3月調査時の県道
の水量が約1/15であるにもかかわらず,合流先河川
交差地点で,120mg/Lであった.この地点は調査最
のBOD等を約2割上昇させていた.
−75−
文 献
1 )平成20年度公共用水域水質測定結果(2011),環境
省 水・大気環境局
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南 大安寺 ⑥
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②背無橋
合流前
合流後
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Ġ 1 æħñ©ĕß(BOD)
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奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
環境水中の日焼け止め成分分析の検討について
中山 義博・高木 康人・兎本 文昭
Analysis of Organic UV Filters in Environmental Water
Yoshihiro NAKAYAMA,Yasuhito TAKAGI and Fumiaki UMOTO
緒 言
ンで溶出した.その後,35℃で窒素パージして200μ
近年,化粧品に日焼け止めとして紫外線吸収剤が使
Lまで濃縮し,内標準溶液を添加し測定溶液とした.
用されることが多くなってきている.これらの物質は
添加回収のため5種類の対象成分を0.05mg/Lの最終
日用品等由来化学物質(PPCPs)にも分類され,その
濃度となるように同じ検体に添加して,上記の操作を
中にはエストロゲン作用を持つもの
1)
もある.使用後
し,同様に測定した.
の環境での挙動や水生生物への影響も懸念されている. 対象とした5成分について,それぞれ0.05mg/L~
そこで,これら成分の環境水中での濃度レベルの把握
0.50mg/Lの範囲で5点の濃度の標準液(サロゲート溶
が必要であると考えられ,固相カートリッジを用いた
液及び内標準溶液含む.)を測定し,検量線を作成した.
GC/MSによる数種類の成分の測定方法を検討したの
2 )内標準法
でその概要を報告する.
いずれの測定においても内標準としてフルオランタ
ン-d10の濃度が0.05mg/LとなるようにGC/MS測定直
方 法
前に加えた.
1 .試薬等
3 )GC/MSの測定条件
ジクロロメタン,メタノール及びアセトンは,和光
ガスクロマトグラフ
純薬(株)製残留農薬測定用を用いた.純水はミリポ
島津製作所製
QP2010 Ultra
ア製超純水製造装置で精製したものを用いた.その他, カラム
Rtx-5MS 30m×0.25mm×0.25μm
高純度窒素ガスを用いた.
キャリアガス
ヘリウム
2 .使用機器・器具
オーブン温度
35℃→5℃/分→200℃(10分)
ローラーポンプ
→20℃/分→220℃
GC/MS 島津製作所製 QP2010 Ultra
→2℃/分→280℃(2分)
3 .分析対象物質
インターフェース温度 280℃
紫外線吸収剤オクトクレリン(OC)、ホモサレー
質量分析計
ト(HMS), オ ク チ ル ジ メ チ ル-p-安 息 香 酸(OD-
島津製作所製
QP2010 Ultra
PABA),4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチルヘキシル
イオン化法
EI
イオン源温度
250℃
対象物質とした.内標準物質としてフルオランタン
測定モード
SIM
-d10を用いた.試料ろ過後に回収率の比較のためベン
4 )実試料の採水・測定
ジルシナメートを用いた.
県内における環境水中の紫外線吸収剤の濃度を把握
4 .分析方法
するため,代表的な河川を対象として測定した.具体
1 )水試料の前処理
的には,大和川の本川へ流入する支川流末及び大和川
水試料1Lを,ガラス繊維ろ紙を使ってろ過し,添加
本川とした.さらに,市街部の例として奈良市内の菩
回収用標準溶液等を添加した.ジクロロメタン,メタ
提川,佐保川についても測定した.個々の河川水につ
ノール,超純水の順に固相カートリッジに通してコン
いて測定する場合,採水容器は事前にメタノール洗浄
ディショニングした後,水試料を10ml/minの速さで
後乾燥した1L褐色ガラスビンを使用した.採取した
通水した.通水後,窒素により脱水し,ジクロロメタ
試料は前処理操作まで,冷蔵庫で保存した.
(EHMC),サリチル酸オクチル(OS)の5種類を分析
−77−
5 )固相カートリッジの比較
本法の定量下限値をそれぞれの成分とも濃縮率を考
6種類の固相カートリッジ(HLB,PS2,DSC18Lt,
慮した上で,測定値の標準偏差を10倍して算出した.
C18Seppac,tC18Seppac及 びDSCPh)で の 回 収 率 を
その結果を表2に示した.
比較するために,5種類の対象成分を0.05mg/Lの最終
表2に示すように5種類の化合物とも0.010μg/L 以
濃度となるように上記の操作をした.
下となった.
実際の下限値を0.010μg/Lとした.
本法の定量下限値をそれぞれの成分とも濃縮率を考
結果及び考察
結果及び考察
1.検量線
1 .検量線
いずれの成分についても 0.05mg/L ~ 0.50mg/L の範
いずれの成分についても0.05mg/L~0.50mg/Lの範
囲で検量線は良好な直線性を示した.
囲で検量線は良好な直線性を示した.
2 .固相カートリッジの検討
2.固相カートリッジの検討
数種類の固相カートリッジについて,純水に最終濃
数種類の固相カートリッジについて,純水に最終濃
度が0.05mg/Lとなるように標準液を添加し,その回
度が 0.05mg/L となるように標準液を添加し,その回
収濃度を調べた.結果を図1に示した.
収濃度を調べた.結果を図 1 に示した.
慮した上で,測定値の標準偏差を 10 倍して算出した.
表2 測定対象とした成分の本法の標準偏差10倍の値
その結果を表
2 に示した.
表2に示すように 5 種類の化合物とも 単位:μg/L
0.010 μ g/L
化合物名
10σ
以下となった.
オクトクレリン
0.0100
実際の下限値を 0.010 μ g/L とした.
ホモサレート
0.0056
オクチルジメチル-p-安息香酸
0.0036
4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチルヘ
表2 測定対象とした成分の本法の標準偏差
10 倍の
0.0078
キシル 値
単位:μ g/L
サリチル酸オクチル
0.0061
化合物名
10 σ
0.0100
オクトクレリン
4 .保存方法及び経時変化
ホモサレート
0.0056
対象成分を含む試料の異なる保存方法及び経時変化
オクチルジメチル-p-安息香酸
0.0036
をみるため,室内で透明ガラス容器に保存したものと,
4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチルヘキシル
0.0078
褐色ガラスビンで遮光・冷蔵保存したものを比較した.
サリチル酸オクチル
0.0061
混合河川水に最終0.040μg/Lとなるように添加したも
のを0時間経過,24時間経過,48時間経過後に測定し
4.保存方法及び経時変化
たが,双方とも特に大きな減少は見られなかった.
対象成分を含む試料の異なる保存方法及び経時変化
図1 固相抽出カートリッジの回収比較
その結果,ウォーターズ社のSeppack Plus C18 カー
その結果,ウォーターズ社の Seppack Plus C18 カー
トリッジが適していた.他のカートリッジは,標準成
トリッジが適していた.他のカートリッジは,標準成
分等にカートリッジ由来成分の重複したピークが過大
分等にカートリッジ由来成分の重複したピークが過大
に出現したり,回収率の思わしくないもの,通水に問
に出現したり,回収率の思わしくないもの,通水に問
題のあるものがあった.
題のあるものがあった.
3 .添加回収試験及び定量下限値
GC/MSに よ る 測 定 で は, 精 製 水 に 最 終 濃 度 が
3.添加回収試験及び定量下限値
0.05mg/Lとなるように標準液を添加し,n=8でその
GC/MS に よ る 測 定 で は , 精 製 水 に 最 終 濃 度 が
回収率と変動係数をみた.回収率は90%~110%,変
0.05mg/L
のとなるように標準液を添加し,n=8 でその
動係数は10%以下と良好であった.さらに,混合した
回収率とばらつきをみた.回収率は
90 %~ 110%,
河川水に最終0.05mg//Lとなるように標準液を添加し,
ばらつきは
10%以下と良好であった.さらに、混合
n=8でその回収率と変動係数をみた.その結果を表1
した河川水に最終
0.05mg//L となるように標準液を添
に示した.回収率もほぼ90%~110%,変動係数もほ
加し,
n=8 でその回収率とばらつきをみた.その結果
ぼ10%以下となり比較的良好であった.
を表 1 に示した.回収率もほぼ 90 %~ 110%,ばら
つきもほぼ
10%以下となり比較的良好であった.
表1 混合河川水試料の繰り返しによる固相抽出法の評価
(n=8)
化合物名
回収率
(%) CV(%)
混合河川水試料の繰り返しによる固相抽出法の
オクトクレリン
95.7
10.4
評価(n=8)
ホモサレート
97.8
5.8
オクチルジメチル-p-安息香酸
107.7
3.3
化合物名
回収率( %) CV( %)
4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチ
90.7
8.6
ルヘキシル
オクトクレリン
95.7
10.4
サリチル酸オクチル
112.1
5.4
表 1
ホモサレート
オクチルジメチル-p-安息香酸
4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチルヘキシル
サリチル酸オクチル
97.8
107.7
5.8
5 .河川水調査結果
をみるため,室内で透明ガラス容器に保存したものと,
河川水中の濃度を調べるために,主要河川である大
褐色ガラスビンで遮光・冷蔵保存したものを比較した.
和川本川3 ヶ所と支川7 ヶ所(佐保川を含む)の一部
混合河川水に最終 0.040 μ g/L となるように添加した
を対象に調査を行った.
ものを 0 時間経過,24 時間経過,48 時間経過後に測
藤井,太子橋,額田部高橋など,本川及びそれに近
定したが,双方とも特に大きな減少は見られなかった.
い比較的水量の多い地点では,5成分とも検出されな
かったが,竜田川流末(竜田大橋)と菩提川流末の支
5.河川水調査結果
川で,4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチルヘキシルが
河川水中の濃度を調べるために,主要河川である大
検出された.それぞれ、0.018μg/L,0.031μg/Lであっ
和川本川 3 ヶ所と支川 7 ヶ所の一部を対象に調査を行
た.他の成分は検出されなかった.検出された成分は
った.
化粧品にはよく使われている.
藤井,太子橋,額田部高橋など,本川及びそれに近
い比較的水量の多い地点では,5 成分とも検出されな
まとめ
かったが,竜田川流末(竜田大橋)と菩提川流末の支川
化粧品に含まれる紫外線吸収剤成分5種類の環境水
で, 4-メトキシ -trans-けい皮酸 -2-エチルヘキシルが検
中での分析法を検討し,実際の河川水の測定を行った
出された.それぞれ、0.018 μ g/L,0.031 μ g/L であ
ところ,大和川本川で検出されなかったが,一部の支
った.他の成分は検出されなかった.検出された成分
川で4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチルヘキシルが検
は化粧品にはよく使われている.
出された.
まとめ
文 献
化粧品に含まれる紫外線吸収剤成分 5 種類の環境水
1 )松本比佐志,他:薬学雑誌,125,643-652(2005)
中での分析法を検討し,実際の河川水の測定を行った
ところ,大和川本川で検出されなかったが,一部の支
川で 4-メトキシ-trans-けい皮酸-2-エチルヘキシルが検
出された.
3.3 −78−
90.7
8.6
112.1
5.4
文
献
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
ICP/MS による河川水、地下水のヒ素、セレン、アンチモンの分析について
平井佐紀子
Analysis of As, Se, Sb in River Water and Underground Water by ICP/MS
Sakiko HIRAI
緒 言
(株)製水素化物発生装置HYD-10,水素化物原子化装
平成20年3月20日改正されたJIS K0102:2008ではヒ
置 HYD-20
素(As), セ レ ン(Se), ア ン チ モ ン(Sb)の 分 析 法
4 .標準溶液の調製
にICP/MS法
1)
が加えられたが,当所では河川水,地
下水ともに水素化物発生原子吸光法
2)
により測定し
ICP/MS用混合標準溶液に超純水で適宜希釈し,硝
酸を1%となるように加え0~0.1mg/Lの範囲で7点の
ている.水素化物発生原子吸光法では,前処理や測
標準溶液を調製した.
定に長時間を要しているので,省力化を図るために,
原子吸光法ではAs, Se, Sbの混合標準液を蒸留水で
ICP/MS法を用いた方法について検討を行ったので報
希釈し2%硫酸を加え0 ~ 0.02mg/Lの範囲で5点の標
告する.
準溶液を調製した.
5 .試験溶液の調製
方 法
ICP/MS法 で は50mLDigitubeに 試 料50mL, 硝 酸
1.試料
500μlを加え,100℃沸騰水浴中で10分間酸分解し,
平成23年度に水素化物発生原子吸光法でAs,Se,
放冷後0.20μmのフィルターで濾過して用いた.
Sbを測定した河川水64件,地下水59件と同一の検体
水 素 化 物 発 生 原 子 吸 光 法 2)で はJIS K0102:2008に
を用いた.
従って調製した.
2 .試薬
6 .測定
1 )標準溶液:標準溶液はAccuStandard社製多元素混
1 )ICP-MSの測定条件
合標準液ICP-MS-QC2-1(10μg/mL)を用いた.内部
プラズマ高周波出力:1500W
標準溶液は和光純薬工業(株)製イットリウム標準液
プラズマガス流量:15.0L/min
原子吸光分析用1000mg/Lを用いた.
補助ガス流量:0.90L/min, S/N温度:2℃
原子吸光法では和光純薬工業(株)製As,Se,Sb
キャリアガス流量:0.78L/min
標準液原子吸光分析用1000mg/Lを用いた.
メイクアップガス流量:0.25L/min
2 )硝酸:ICP/MS法では関東化学(株)微量分析用硝
ヘリウムコリジョンモード
シールドトーチシステム
酸を用いた.原子吸光法では和光純薬工業(株)製有
2 )水素化物発生原子吸光法の条件
害金属測定用硝酸を用いた.
水素化物原子化装置:1000℃
3 )硫酸及び塩酸:原子吸光法では和光純薬工業(株)
アルゴンガス流量:0.2L/min
製有害金属測定用硫酸及び塩酸を用いた.
冷却水温度:15℃
4 )水素化物ホウ素Na, NaOH, KI:原子吸光法では和
光純薬工業(株)製の試薬特級を用いた.
結果及び考察
5 )水:ICP/MS法ではMillipore製 Milli-Q SP で製造
1 .添加回収試験結果
した超純水を用い原子吸光法では蒸留水を用いた.
3 .装置
As,Se, Sbを河川水に標準として添加し,ICP/MS
ICP/MS法:Agilent社製ICP-MS Agilent 7500ce
で測定したときの回収率を表1に示す.
水素化物発生原子吸光法:Thermo Elemental社製原子
表1のとおりAs,Se,Sbいずれの元素も定量下限
吸光分析装置Sollar M6,日本ジャーレルアッシュ
値の0.001mg/L,環境基準の0.01mg/L(Sbについては
−79−
表1 河川水に標準を添加したときの回収率
As回収率(%) n=5 0.001mg/L添加
0.01mg/L添加
平均
RSD
平均
RSD
96.8
2.00
99.0
0.70
Se回収率(%) n=5
0.001mg/L添加
0.01mg/L添加
平均
RSD
平均
RSD
100.2
4.99
97.2
1.76
図1 原子吸光法(y)とICP/MS法(x)によるAsの散
布図
Sb回収率(%) n=5
0.001mg/L添加
0.01mg/L添加
件,地下水6件を比較したところほぼ一致し,一致し
平均
RSD
平均
RSD
ないものでもその差は0.002mg/L以内であった.また,
79.8
3.82
80.4
1.16
両法を比較した図1の散布図からの相関係数は0.985
と良好であった.
指針値0.02mg/LだがAs,Seと同一基準を用いた.)に
まとめ
おいても回収率79 ~100%の良好な結果が得られた.
2 .水素化物発生原子吸光法とICP/MS法の比較 ICP/MS法による河川水の添加回収試験結果及び,
原子吸光法で測定した河川水64件,地下水59件と
水素化物発生原子吸光法とICP/MS法による測定結果
同じ検体をICP/MS法でも測定したところ,いずれか
の比較により,河川水,地下水のAs,Se,Sbの測定
の測定法で定量下限値0.001mg/L以上を検出した元素
にICP/MS法が適用できることを確認した.これによ
はAsのみであった.Asについて両法による測定結果
り,試薬の使用も少量で済み,また測定時間の大幅な
を比較したものを表2,3及び図1に示した.
短縮に繋がることがわかった.
表2,表3から定量限界値以上を検出した河川水11
表2 分析法による河川水のAs測定結果の比較(mg/L)
河川水
原子吸光法
ICP/MS法
1
0.001
0.001
2
<0.001
0.001
3
0.001
0.001
4
0.001
0.002
5
<0.001
0.001
6
0.001
0.002
7
0.001
0.003
8
0.002
0.004
9
0.004
0.003
10
0.007
0.006
11
0.018
0.017
文 献
1 )工 場 排 水 試 験 方 法JIS K0102,246-247,253-
254,283(2008),日本規格協会
2 )工 場 排 水 試 験 方 法 JIS K0102, 241-245,249-
250,280-282(2008),日本規格協会
表3 分析法による地下水のAs測定結果の比較(mg/L)
地下水
原子吸光法
ICP/MS法
1
0.003
0.002
2
0.001
0.001
3
0.001
0.001
4
0.001
0.001
5
0.016
0.016
6
0.001
0.001
−80−
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
最終処分場浸透水に対する水処理の検討について
高木康人・山中秀則・高橋のぶ子・兎本文昭
Treatment of Seepage Water in Industrial Waste Landfill Sites
Yasuhito TAKAGI・Hidenori YAMANAKA・Nobuko TAKAHASHI and Fumiaki UMOTO
2.実験方法
緒 言
これまでに最終処分場からの浸透水に含まれる高濃
1 )pHに対する化学薬品の効果実験
度有機物の処理方法については,多くの報告がなされ
浸透水に塩酸又は水酸化ナトリウムを加えpHを調
1)2)
.奈良県内においても,一部最終処分場か
整.その後,各薬品を0.5%添加,10分間攪拌,24時
ら高濃度のCODが検出されており,現在,水処理が
間静置後,pH,上澄水の色相,及びフロック形成状
行われている.
態等を調べCODを測定した.
今回,化学薬品等を用い,その吸着作用及び凝集作
2 )pH5での化学薬品の効果実験
用等により,高濃度CODを含む最終処分場浸透水の
1 )の結果を踏まえ,浸透水に各薬品を0.01 〜5%
効果的な処理対策について検討したので,その結果に
添加,10分間攪拌.その後,塩酸によりpH5に調整,
ついて報告する.
24時間静置後,上澄水の色相,及びフロック形成状態
ている
等を調べCODを測定した.
材料及び方法
3 )活性汚泥による除去実験
1 .浸透水水質及び化学薬品の品質等
浸 透 水 に 活 性 汚 泥( 下 水 処 理 場 返 送 汚 泥MLSS
最終処分場浸透水の水質結果を表1に,化学薬品の
7,000mg/L)を 一 定 量 加 え,24時 間 曝 気 後, ろ 過 し
名称,品質,及びpH実測値を表2に示した.
CODを測定した.
4 )化学薬品及び生物処理による除去実験
表1 浸透水水質
pH
色相
臭気
COD(mg/L)
SS(mg/L)
1 )〜 3 )の結果を踏まえ,(1)pHを3 〜4に調整し,
7.7
茶褐色
微金気臭
580
39
活性炭0.5%添加後,攪拌ろ過し,pHを7に調整.(2)
さらに,硫酸アルミニウム,又はポリ塩化第二鉄を0.5%
添加し,pHを3 〜4に調整後,攪拌ろ過し,pHを7に
調整.
(3)最後に,浸透水:活性汚泥=1:9で18時間(20℃)
曝気し,1時間静置した.以上(1)〜(3)の結果につ
いてCODを測定した.
表2 化学薬品等
名 称
① 粉末活性炭
② ポリ塩化アルミニウム
③ 硫酸アルミニウム
品 質
pH
粘度 200mesh 以下,表面
積 1, 100㎡ /g 以上
−
pH3.6 〜 4.6, 比 重 1.2 以
2.8
上,Al2O310%
pH3 以 上, 比 重 1.3,
2.2
Al2O3 8%
結果及び考察
1 )pHに対する化学薬品の効果実験
COD除去率を図1に,化学薬品添加後のpHを表3に
示した.
最も除去率が高かったのは活性炭であり,その効果
④ ポリ塩化第二鉄
pH1 以下,比重 1.3 以上
0.5
はpHが低い程良く(pH1で除去率66%),全てのpH値
⑤ 塩化アルミニウム
pH2 〜 4,比重 1.2 以上,
0.1
Al2O3 9%
は,添加後のpH値が重要であり,添加後pH4 〜6で除
⑥ 有機高分子凝集剤
弱 ア ニ オ ン, 分 子 量 1,
700 万,pH6 〜 7,0.1% 6.6
水溶液
で上澄水の色相は無色透明となった.無機凝集剤で
去率が高くなる傾向が見られた.その効果は,④ポリ
塩化第二鉄>③硫酸アルミニウム>②ポリ塩化アルミ
ニウム>⑤塩化アルミニウムの順となり,最も除去率
−81−
結果及び考察
1)pHに対する化学薬品の効果実験
COD除去率を図1に,化学薬品添加後のpHを表3に示
した.
pH
70
-
60
2.8
50
2.2
0.5
0.1
6.6
表5 活性汚泥によるCOD除去率(%)
①活性炭
除 40
去
率 30
%
20
②ポリAL
③硫酸AL
④ポリ鉄
⑤塩化AL
10
Hを調
浸透水(%)
1
5
10
20
30
40
50
活性汚泥(%)
99
95
90
80
70
60
50
COD除去率(%)
0
20
30
27
23
19
16
⑥高分子
0
率は向上した.
⑦無し
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
24時間
3 )活性汚泥による除去実験
下水処理施設活性汚泥によるCOD除去率を表5に示
添加前pH
等を調
した.
図1 化学薬品のCOD除去率(pH変動)
図
1 化学薬品の COD 除去率(pH 変動)
COD除去率が最も高かったのは浸透水量:返送汚
表3 化学薬品添加後のpH
pH
(添加前)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
①
活性炭
1.1
2.1
3.4
5.1
6.0
6.8
7.7
8.0
8.3
9.1
10.4
10.9
12.1
14.0
②
③
④
⑤
⑥
PAC 硫酸Al ポリFe 塩化Al 高分子
1.2
1.1
1.1
1.1
1.1
3.7
2.1
2.0
2.0
2.1
3.9
3.2
2.5
2.7
3.2
3.9
3.8
2.5
3.2
4.7
4.0
4.0
2.7
3.8
6.0
4.1
4.2
2.9
4.2
6.8
4.2
4.4
4.7
4.3
7.8
4.3
4.5
5.0
4.4
8.1
4.4
5.0
6.0
4.8
8.4
4.5
5.7
6.5
4.7
9.2
6.0
8.6
8.9
6.5
10.5
6.8
9.3
9.6
7.4
10.9
8.6
9.9
10.1
9.7
12.2
13.9
14.1
14.2
14.0
14.1
※太字はCOD除去率20%以上の際の値
③硫酸Al
15
21
25
26
34
36
④ポリFe
17
32
36
42
49
53
4 )化学薬品及び生物処理による除去実験
(1)〜(3)の条件下でのCOD除去率を表6に示した.
表6 各条件下でのCOD除去率(%)
条件
⑴
⑵
⑶
③硫酸Al
74
75
87
④ポリFe
74
79
89
薬品処理でCODは75 〜80%除去された.さらに生
物処理により最終的に約90%除去され,CODは60mg/
L前後となった.
まとめ
・高濃度CODを検出している最終処分場浸透水に対
する化学薬品等の効果実験を実施した.
表4 化学薬品のCOD除去率(添加率変動)
添加率(%) ②PAC
0.01
17
0.05
26
0.1
28
0.5
38
1
42
5
47
泥量=1:9の比率であった(除去率30%).
⑤塩化Al
15
23
25
28
32
42
・粉末活性炭が最も除去効果が高く,活性炭がもつ吸
着作用がCOD除去に有効であった.
・無機凝集剤による凝集作用では,化学薬品添加後の
pHが重要であり,4 〜6で除去率が高かった.
・無機凝集剤ではポリ塩化第二鉄,硫酸アルミニウム
が優位であった.
が高かったのはポリ塩化第二鉄の33%(添加後pH4.7)
・下水処理場活性汚泥を用いた実験では浸透水割合
であった.無機凝集剤では上澄水の色相が薄くなると
10%で最も高いCOD除去率30%が得られた.
COD値は低くなる傾向があり,その色相によりCOD
・吸着作用,凝集作用及び生物を併用することにより
除去効果が判断できた.また,全ての化学薬品でpH
CODは約90%除去することができた.
が高い程,フロックの形成は多いが,必ずしもCOD
文 献
の除去には繋がっていなかった.一方,高分子凝集剤
での除去率は低く,条件等を改める必要があった.
1 )坂本陵冶ら:最終処分場の黒色浸透水対策,長崎
2 )pH5での化学薬品の効果実験
県環境保健研究センター所報,55,95-99(2009)
添加後pH5での化学薬品添加率に対するCOD除去
2 )渡辺洋一ら:黒い水の生成過程と処理,埼玉県公
率を表4に示した.
害センター研究報告,16,121-129(1989)
COD除去効果が高い化学薬品は1)とほぼ同様であ
り,全ての無機凝集剤で添加率が多い程,COD除去
−82−
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
油脂の変敗試験に用いる抽出溶媒の比較
木本聖子・森居京美・城山二郎・山本圭吾
Comparison of Extraction Solvent used for testing deterioration of Oils and Fats
Seiko KIMOTO・Kyomi MORII・Jirou SHIROYAMA and Keigo YAMAMOTO
緒 言
クロマトグラフ用:関東化学製),飽和食塩水
油揚げに含まれる油脂の酸価の基準は,奈良県にお
3 .操作
いて指導要領に定められ,測定法は,即席めん類の酸
1 )油脂の抽出
価の測定を準用していた.平成23年3月28日付けで,
2種類の溶媒(ジエチルエーテルと石油エーテル)
1)
され,即席
を用いて油揚げの油脂を抽出した.500 mLトールビー
めん類の酸価・過酸化物価の試験法が告示から削除
カーを2本用意し,油揚げを2枚ずつ入れ,それぞれ
食品,添加物等の規格基準の一部が改正
されるとともに,改良試験法が通知
2)
により示された. にジエチルエーテル,石油エーテルを試料が浸る程度
改正前の試験法(告示法)では,クロロホルムやジエ
に加えてガラス棒で十分に押し沈め,約30分ごとに
チルエーテル等有機溶媒を多量に使用し,環境への悪
10回程度,ガラス棒で押し沈めながら,2時間放置した.
影響や,分析者の健康被害の懸念もあった.そのため, この後の操作は告示法及び通知法に従った.
ジエチルエーテルを石油エーテルに変更した試験法が
2 )酸価
示された(通知法).今回,通知法に従い,油揚げの
抽出油脂約3 gを100 mLビーカーに正確に秤取し,
酸価を測定したところ,告示法(準用)よりもすべて
エタノール・エーテル混液(1:2)35 mLを加えて溶解
低い値を示した.そこで,両法の相関と抽出溶媒の違
した.フェノールフタレイン試薬2 ~3滴を指示薬と
いによる油揚げの抽出油脂の組成・性状について検討
して,30秒間淡紅色を持続するまで0.1 mol/L エタノー
したので,その結果を報告する.
ル性水酸化カリウム溶液で滴定した.酸価は,滴定に
要した0.1 mol/L エタノール性水酸化カリウム溶液の
方 法
液量と力価から算出した 3).
1 .試料
酸価=a×f×5.611/油脂採取量(g)
スーパーで購入した油揚げ(約9×16 cm 消費期限
a:0.1 mol/L エタノール性水酸化カリウム溶液
の液量(mL)
表示有),製造販売油揚げ(約10×15 cm),油菓子(フ
f:0.1 mol/L エタノール性水酸化カリウム溶液の
ライビーンズ)
2 .試薬
力価(=1.0)
1 )油脂の抽出
3 )脂肪酸組成
ジエチルエーテル(酸価・過酸化物価用:同仁化学
抽出油脂に0 . 5mol/L 水酸化ナトリウム-メタノー
研究所製),石油エーテル(特級:和光純薬工業製),
ル溶液を加えてけん化し,次いで三フッ化ホウ素-メ
無水硫酸ナトリウム(特級:和光純薬工業製)
タノール試薬で脂肪酸をメチルエステル化 4)し,GC
2 )酸価
分析を行った.
エタノール・エーテル混液(1:2),フェノールフタ
4 )装置及び分析条件
レイン試薬,エタノール性水酸化カリウム溶液(容量
⑴水 素炎イオン化検出器(FID)付きガスクロマト
分析用・0.1 mol/L)
グ ラ フ(GC):GC2010(SHIMADZU製 ), カ ラ
3 )脂肪酸組成
ム:DB-WAX(30 m × 0.25 mm内径,0.25 µm),
水酸化ナトリウム-メタノール溶液(0.5 mol/L),
オーブン温度:150℃(1 min)- 10℃/min - 200℃
三フッ化ホウ素-メタノール試薬(ガスクロマトグ
(15min)- 5℃/min - 220℃(4 min),気化室温度:
ラフ用:和光純薬工業製),n-ヘキサン(高速液体
220℃,検出器温度:240℃,注入量:1µL,キャ
−83−
リアガス:ヘリウム,線速度一定 30 cm/min,
FT-IRにより測定した2種の抽出油脂の赤外吸収ス
スプリット比 1:50
ペクトルを図2に示した.両者のスペクトル波形に差
⑵フ ー リ エ 変 換
赤
外
分
光
光
度 計(FT-IR):FT-IR
4200(日本分光製),透過法
Ś{.ū*-ʼnÞ(4ūĘûBiPd<zĒ
9œ
ėüJBNdBiPd<zĒ
9›Ĝü-684
Ś{.ū*-ʼnÞ(4ūĘûBiPd<zĒ
9œ
結果及び考察
wũľ1Ūū"-÷.ū1.1Ŵ1.8~(%$ŭ2$ū
ėüJBNdBiPd<zĒ 9›Ĝü-684
酸価は,どの試料でも,石油エーテルを使用する通
wũľ1Ūū"-÷.ū1.1Ŵ1.8~(%$ŭ2$ū
œėü)›Ĝü-Ĕŝ|Ý.0.99)ĸ¯(%$ũ 知法がジエチルエーテルを使用する告示法の値より
œėü)›Ĝü-Ĕŝ|Ý.0.99)ĸ¯(%$ũ 1ŪŭԆûķ-Ìď,&'.ūĘûBiPd,6
も低く(表1)
,その比は,1.1 ~1.8倍であった.また,
1ŪŭԆûķ-Ìď,&'.ūĘûBiPd,6
8Ԇ$¥–ūĹ.ūĂŧĹ(ūĥŌÌÄ7
通知法と告示法の相関係数は0.99と良好であった(図
8Ԇ$¥–ūĹ.ūĂŧĹ(ūĥŌÌÄ7
7$Ï(%$ŭûķ-Ԇś.ūĦ8Ŵ10
g
1).抽出油脂の性状については,石油エーテルにより
7$Ï(%$ŭûķ-Ԇś.ūĦ8Ŵ10 g
(¾.+ū„,ñíÊłś.ד($ũľŮŪŭ (¾.+ū„,ñíÊłś.ד($ũľŮŪŭ 抽出した場合,色は,淡黄色で,粘調性が弱くさらさ
GC,68ć´$2Ġ-Ԇûķ,9ķĵŚī
GC,68ć´$2Ġ-Ԇûķ,9ķĵŚī
らした感じであった.油脂の抽出量は,約8
~10 gで
Ñ<ľ3,Ĝ$ŭJBNdBiPdü,¸'ūĘ
Ñ<ľ3,Ĝ$ŭJBNdBiPdü,¸'ūĘ
差はなく,共に検査必要量は採取できた(表2)
.
ûBiPdü(.ūCe?gŚº¨‹ūcTi
ûBiPdü(.ūCe?gŚº¨‹ūcTi
GCにより測定した2種の抽出油脂における脂肪酸組
dŚąº$ūīÑ÷,ūà7+ŗ.Ń7:
dŚąº$ūīÑ÷,ūà7+ŗ.Ń7:
成を表3に示した.ジエチルエーテル法に対して,石
+%$ŭ +%$ŭ 油エーテル法では,オレイン酸が少し増加し,リノー
FT-IR,68ć´$2Ġ-Ԇûķ-Ő«™’K
FT-IR,68ć´$2Ġ-Ԇûķ-Ő«™’K
ル酸が減少したが,組成比に,明らかな違いは見られ
[GQd< 2,Ĝ$ŭnij-K[GQdýÅ,¾
[GQd< 2,Ĝ$ŭnij-K[GQdýÅ,¾
なかった.
.Ŋ37:+%$ŭ .Ŋ37:+%$ŭ 抽出溶媒
表1 酸価の比較
ľ1 Ś{-÷ő ľ1 Ś{-÷ő ジエチルエーテル 石油エーテル
Ԇĉ° 試料
Ԇĉ° ŻƆŹŽƃŹŶžƃ ĘûŹŶžƃ ĘûŹŶžƃ ŻƆŹŽƃŹŶžƃ ʼnÞ ʼnÞ 1(油揚げ)
3.0
2.7
1ũûØŪ
3.0
2.7
1ũûØŪ
3.0
2.7
2(油揚げ)
4.3
3.6
2ũûØŪ
4.3
3.6
2ũûØŪ
3.6
3(油揚げ)
2.04.3
1.6
3ũûØŪ
2.0
0.92.0
1.6
0.8
5(油菓子)
4ũûĺ±Ū
1.20.9
1.2
0.81.2
0.9
0.8
0.9
5ũûĺ±Ū
6(油菓子)
5ũûĺ±Ū
6ũûĺ±Ū
7(油揚げ)
6ũûĺ±Ū
0.8
0.90.8
ŰũûØŪ ŰũûØŪ たが,両法の相関は良好(相関係数:0.99)であった.
œėü)›Ĝü-Ԇûķ-Ìď,.¾Ń7:$
ķĵŚīё/Ő«™’K[GQd,­+ŗ.+
通知法と告示法の抽出油脂の性状には差が見られた
ķĵŚīё/Ő«™’K[GQd,­+ŗ.+
%$ŭ2$ūœėü(4ūĊ´,Êł+Ԇûķś
が,脂肪酸組成及び赤外吸収スペクトルに大きな違い
%$ŭ2$ūœėü(4ūĊ´,Êł+Ԇûķś
.ě}($ŭtm-Ĭì7ūœėüūûØ,
はなかった.また,通知法でも,滴定に必要な抽出油
.ě}($ŭtm-Ĭì7ūœėüūûØ,
˜2:9ûķ-Ś{ʼnť,&'4ĈĒ”Ķ(9)
˜2:9ûķ-Ś{ʼnť,&'4ĈĒ”Ķ(9)
脂量は確保できた.以上の結果から,通知法が,油揚
IJ7:9ŭ IJ7:9ŭ げに含まれる油脂の酸価試験についても準用可能であ
ると考えられる.
0.8
0.9
0.6
0.9
0.6
0.5
0.6
) (
)
ľ3 ķĵŚīÑũŨŪ-÷ő 表3 脂肪酸組成(%)の比較
抽出溶媒
ľ3 Ԇĉ° ķĵŚīÑũŨŪ-÷ő ŻƆŹŽƃŹŶžƃ 石油エーテル
ĘûŹŶžƃ ジエチルエーテル
脂肪酸
ķĵŚ 1 Ԇĉ°,69Ś{-÷ő 1 Ԇĉ°,69Ś{-÷ő 図1 抽出溶媒による酸価の比較
ŻƆŹŽƃŹŶžƃü
ŻƆŹŽƃŹŶžƃü
ýÝ(jŬ1)
ĘûŹŶžƃü
ĘûŹŶžƃü
)
ýÝ(jŬ1)
図2 赤外吸収スペクトルの比較
2 Ő«™’K[GQd-÷ő −84−
JBNdBiPd(Ԇ$ûķ-Ś{
ýÝ(jŬ1)
(
7.8
)
7.0
(
ƂſƄƅŚ 2.5
2.5
6.0
51.6
51.6
2.5
32.1
32.1
51.6
7.8
7.8
32.1
JBNdBiPd(Ԇ$ûķ-Ś{
(
Ħ 8Ŵ10g/600 j 2 Ħ 8Ŵ10g/600 j 2 3.03.0
7.1
45.245.2
3.0
37.737.7
45.2
7.07.0
37.7
Ԇś ĘûŹŶžƃ 6.0
6.0
粘性弱
ĂŧĹ ĥÌÄ 約8Ħ
~10g/600㎠
ĥÌä j 2 約8
ĥÌÄ j 2 8Ŵ10g/600
Ħ ~10g/600㎠
8Ŵ10g/600
ŻƆŹŽƃŹŶžƃ 7.17.1
ų=7ūR=0.99
ų=7ūR=0.99
抽出量
ĥŌÌ Ô†ś Ԇĉ° パルミチン酸
ƀƇƃƁŽƅŚ ķĵŚ ステアリン酸
żžŷƂƅŚ ƀƇƃƁŽƅŚ オレイン酸
źƄŸƅŚ żžŷƂƅŚ リノール酸
ƂſŶƃŚ źƄŸƅŚ リノレン酸
ƂſƄƅŚ ƂſŶƃŚ 1ŪđŒĕ›ĜĢ 80 •űÀÑ 23 Á 3 ã 28 ß 1ŪđŒĕ›ĜĢ 80文 献
•űÀÑ 23 Á 3 ã 28 ß 2ŪđŒĕœėţ³ē 0328 Ģ 1 •űÀÑ 23 Á 3
2ŪđŒĕœėţ³ē 0328 Ģ 1 •űÀÑ 23 Á 3
1 )厚生労働省告示第80号:平成23年3月28日
ã 28
28 ß
ß
ã
2 )厚生労働省通知食安発0328第1号:平成23年3月28日
3ŪĽđʼnťühþŅ 2010ūßçĻ²vį 3ŪĽđʼnťühþŅ 2010ūßçĻ²vį 3 )衛生試験法・注解 2010,日本薬学会編
4Ū5
ņ ßçţóĈчľ ‡ê]Sa>d-Ņŋū
4Ū5 ņ ßçţóĈчľ ‡ê]Sa>d-Ņŋū
4 )5訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説,
212-218ũ2001Ū 212-218ũ2001Ū 212-218(2001)
ûØ7Ԇ$ûķ-Ìď ľ2 Ԇĉ° 抽出溶媒
ŻƆŹŽƃŹŶžƃ ĘûŹŶžƃ 石油エーテル
性状
Ìď Ԇĉ° ジエチルエーテル
ŻƆŹŽƃŹŶžƃ ĘûŹŶžƃ Ìď 色調ĹŌ 黄色
淡黄色
ĂŧĹ ŧĹ 粘性有
ŧĹ ĥÌä Ś{.ūœėüũĘûBiPdĉ°zĒŪ68ū›
酸価は,通知法(石油エーテル溶媒使用)より,告
ūnü-Ĕŝ.ĸ¯ũĔŝ|Ýű0.99Ū(%$ŭ
ĜüũJBNdBiPdĉ°zĒŪŦ<Ĝ$
示法(ジエチルエーテル溶媒使用)が高い値を示し
ūnü-Ĕŝ.ĸ¯ũĔŝ|Ýű0.99Ū(%$ŭ
œėü)›Ĝü-Ԇûķ-Ìď,.¾Ń7:$
ľ2 ûØ7Ԇ$ûķ-Ìď 表2 油揚げから抽出した油脂の性状
粘調性
ĹŌ ĥŌÌ Ś{.ūœėüũĘûBiPdĉ°zĒŪ68ū›
まとめ
ĜüũJBNdBiPdĉ°zĒŪŦ<Ĝ$
1.6
3ũûØŪ
4(油菓子)
4ũûĺ±Ū
は認められなかった.
ýÝ(jŬ1)
2 Ő«™’K[GQd-÷ő 奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
HPLC から UPLC へのメソッドの移管
森居京美・木本聖子・城山二郎
Transfer of the Method for HPLC to UPLC
Kyomi MORII・Seiko KIMOTO and Jirou SHIROYAMA
3 .装置
緒 言
平成23年3月,
当センターに超高速液体クロマトグラフィー
(Ultra High Performance Liquid Chromatograph,
UPLC:ACQUITY H-Class(WATERS 社製)
ポンプ:Quaternary Solvent Manager
UPLC)が導入された.UPLCは高耐圧で高性能なカ
オートサンプラー:Sample Manager FTN
ラムを使用することで,測定対象物質の分離が良くな
PDA検出器:PDA eλDetector
り,分析時間を短縮することが可能である.そこで当
4 .試験溶液の調製
センターにおいて,検査頻度の高い保存料3種(安息
試料は細切し,その10g(mL)を正確に量り取り40
香酸(BA),ソルビン酸(SoA),デヒドロ酢酸(DHA)), gの水で透析膜に流し入れ,時々攪拌しながら200 mL
パラオキシ安息香酸エステル類(PHBA-Es類)5種
の水の中で一昼夜透析した.透析液はメンブレンフィ
(パラオキシ安息香酸エチル(Et-PHBA),パラオキシ
ルター(ADVANTEC製PTFE 0.20µm)で濾過して,
安息香酸プロピル(Pr-PHBA),パラオキシ安息香酸
試験溶液とした.
イソプロピル(iP-PHBA),パラオキシ安息香酸ブチ
5 .測定
ル(Bu-PHBA),パラオキシ安息香酸イソブチル(iB-
1 )BA,SoA,DHA
PHBA)),甘味料2種(アセスルファムカリウム(AK), カラム:Acquity C-18(1.7µm,2.1mm id×50 mm)
サッカリンナトリウム(SaCNa))についてUPLCでの
移動相:メタノール,アセトニトリル及び0.05mol/L
条件を検討した.そして,従来のHPLC条件をUPLC
クエン酸溶液を10:20:70 の比率で混合した.
に適用した場合の問題点等を示し,今後の改良課題を
カラム温度:40 ℃,流速:0.6 mL/min
まとめた.
検出波長:紫外部吸収(230nm),注入量:5 µL
2 )PHBA-Es類
方 法
カラム:Acquity C-18(1.7µm,2.1mm id×100 mm)
1 .試料
移動相:メタノール及び0.05 mol/Lクエン酸溶液を
1 )BA,SoA,DHA:菓子類,調味料等24件
50:50の比率で混合した.
2 )PHBA-Es 類:清涼飲料水,調味料等10件
カラム温度:40 ℃,流速:0.6 mL/min
3 )AK ,SaCNa:菓子類、調味料等12件
検出波長:紫外部吸収(270nm),注入量:5 µL
何れも奈良県内で市販されていた食品を用いた.
3 )AK,SaCNa
2 .試薬
カラム:Acquity NH2(1.7µm,2.1mm id×100 mm)
1 )標 準 品:BA,SoA,DHA,Et-PHBA,Pr-PHBA, 移動相:アセトニトリルと0.5%リン酸溶液の比率を5:
iP-PHBA,Bu-PHBA,iB-PHBA,AK,SaCNaは 和
95 から50:50 まで直線的に変化させた.
光純薬工業㈱製の試薬特級を用いた.
カラム温度:40 ℃,流速:0.6 mL/min
2 )アセトニトリル及びメタノール:和光純薬工業㈱
検出波長:紫外部吸収(230 nm),注入量:3 µL
製の高速液体クロマトグラフ用を用いた.
結果及び考察
3 )クエン酸一水和物,クエン酸三ナトリウム二水和
物,リン酸,その他の試薬:和光純薬工業㈱製の試
1 .検量線
薬特級を用いた.
1)BA,SoA,DHA
混合標準溶液0.4 ~50 µg/mLの間で直線性があるこ
−85−
ĥ­Ğ[©õĖèJê=óŘ[¤XFR٧›¥HĞÝ
Ċ´ÿďĐĈ µg/mLű µg/mLKŘGĝĮå4/
ĥ­Ğ[©õĖèJê=óŘ[¤XFR٧›¥HĞÝ
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Ġį:XŨŋØýûJŸĚ=W9H4õà:XW4Ũ™
W9H[ġŁ;BũI2Ũ µg/mLLÝlnKý
Ġį:XŨŋØýûJŸĚ=W9H4õà:XW4Ũ™
W9H[ġŁ;BũI2Ũ µg/mLLÝlnKý
Ġį:XŨŋØýûJŸĚ=W9H4õà:XW4Ũ™
W9H[ġŁ;BũI2Ũ µg/mLLÝlnKý
áÏŀðJŏĚ=WBQJLŨŀðĐĈ–K]lsvs
¦”ř¡GŨŀðH;F mg/kgG/Wũ áÏŀðJŏĚ=WBQJLŨŀðĐĈ–K]lsvs
¦”ř¡GŨŀðH;F mg/kgG/Wũ áÏŀðJŏĚ=WBQJLŨŀðĐĈ–K]lsvs
¦”ř¡GŨŀðH;F mg/kgG/Wũ ‰ŠKđÛSdˆ„KĦŠŨŗ:ĨÄ6KýĽ4äĺG
97"&'$
3% ‰ŠKđÛSdˆ„KĦŠŨŗ:ĨÄ6KýĽ4äĺG
97"&'$
3% ‰ŠKđÛSdˆ„KĦŠŨŗ:ĨÄ6KýĽ4äĺG
97"&'$
3% /Wũ ŪŧBAŨSoAŨDHA /Wũ ŪŧBAŨSoAŨDHA /Wũ ŪŧBAŨSoAŨDHA とを確認した.なお,0.4
µg/mLは当センターの検出
ÝlnľňKøœ[@KOOŏĚ;
ÝlnľňKøœ[@KOOŏĚ;
ÝlnľňKøœ[@KOOŏĚ;
BH9YŨŬĦŠHRŪ§›¥JЦ;ŨãŒ:X
下限値で,試料として0.1
mg/kgである.
BH9YŨŬĦŠHRŪ§›¥JЦ;ŨãŒ:X
BH9YŨŬĦŠHRŪ§›¥JЦ;ŨãŒ:X
B}fKŕIVRI65X0J§ś;Bũ9KH
B}fKŕIVRI65X0J§ś;Bũ9KH
2 )PHBA-Es
類
B}fKŕIVRI65X0J§ś;Bũ9KH
5KÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ŪJĢ;Bũ 5KÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ŪJĢ;Bũ 5種のエステル類について混合標準溶液1.0
~20 µg/
5KÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ŪJĢ;Bũ 9KøœGÏŀð[ĎÎ;B4ŨÆŚĔJTWß
9KøœGÏŀð[ĎÎ;B4ŨÆŚĔJTWß
9KøœGÏŀð[ĎÎ;B4ŨÆŚĔJTWß
mLの間で直線性があることを確認した.
ŝLI6ŨŋØKŀŤJŸĚ;FR»şLI0Hı
¾Ū BA,SoA,DHA
BA,SoA,DHAÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
ÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
³ 各5µg/mL
5µg/mL
µg/mL
ŝLI6ŨŋØKŀŤJŸĚ;FR»şLI0Hı
図1 BA,SoA,DHA標準溶液のクロマトグラム
¾Ū ŝLI6ŨŋØKŀŤJŸĚ;FR»şLI0Hı
¾Ū BA,SoA,DHA ÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
³³55µg/mL
3 )AK ,SaCNa
1UXWũ
1UXWũ
1UXWũ
混合標準溶液0.4
~20
Š µg/mLの間で直線性があるこ
ūŧPHBA-Es
Š ūŧPHBA-Es
ūŧPHBA-Es Š Ūŧ
Ūŧ
ÝlnSOPJľňKHPLCøœ
GĎÎ;BH9YŨ
とを確認した.なお,0.4
µg/mLは当センターの検出
Ūŧ GĎÎ;BH9YŨ
ÝlnSOPJľňKHPLCøœ
ÝlnSOPJľňKHPLCøœ
GĎÎ;BH9YŨ
ŮĦŠLū§›¥JЦ;B4ŨPr-PHBAHiP-PHBAŨ
ŮĦŠLū§›¥JЦ;B4ŨPr-PHBAHiP-PHBAŨ
下限値で,試料として0.1
mg/kgである.
ŮĦŠLū§›¥JЦ;B4ŨPr-PHBAHiP-PHBAŨ
Bu-PHBAHiB-PHBA4§ś?>§ªÎŖG5I3DBũ
Bu-PHBAHiB-PHBA4§ś?>§ªÎŖG5I3DBũ
2 .標準溶液のクロマトグラム及び実試料の測定
Bu-PHBAHiB-PHBA4§ś?>§ªÎŖG5I3DBũ
ìóŘ[ŗ6=WBQdˆ„cKčÛ[”8B
¾ū PHBA-Es
PHBA-EsŠÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
ŠÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
³2.5
2.5µg/mL
µg/mL
ìóŘ[ŗ6=WBQdˆ„cKčÛ[”8B
¾ū 図2 PHBA-Es類標準溶液のクロマトグラム
各2.5
µg/mL
ìóŘ[ŗ6=WBQdˆ„cKčÛ[”8B
1 )BA,SoA,DHA
¾ū PHBA-Es ŠÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
³³2.5
µg/mL
VŨĥ­ĞKĐÉāĘ[Â1FRĖăLÂZUI3DBũ
VŨĥ­ĞKĐÉāĘ[Â1FRĖăLÂZUI3DBũ
VŨĥ­ĞKĐÉāĘ[Â1FRĖăLÂZUI3DBũ
当センターSOP記載のHPLC条件をそのまま適用し
@9Gdˆ„Kŗ:[ cmJ;BH9YŨ}fJq
@9Gdˆ„Kŗ:[ cmJ;BH9YŨ}fJq
@9Gdˆ„Kŗ:[ cmJ;BH9YŨ}fJq
たところ,3種類とも1分以内に溶出し,
心配されたピー
‰g4PUXÒ;KŕIVL/WRKKÎŖG5W
‰g4PUXÒ;KŕIVL/WRKKÎŖG5W
‰g4PUXÒ;KŕIVL/WRKKÎŖG5W
OG§ś;ŨŬ§›¥J=NFЦ;Bũ9KH5Kÿ
クの重なりもなくきれいに分離した.このときの標準
OG§ś;ŨŬ§›¥J=NFЦ;Bũ9KH5Kÿ
OG§ś;ŨŬ§›¥J=NFЦ;Bũ9KH5Kÿ
ďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ūJĢ;Bũ 溶液のクロマトグラムを図1に示した.この条件で実
ďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ūJĢ;Bũ ďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ūJĢ;Bũ ¾Ŭ AK,SaCNa
ÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
³ 5µg/mL
µg/mL
9KøœGÏŀð[ĎÎ;BH9YŨÆŚĔņJTW
¾Ŭ AK,SaCNa
AK,SaCNaÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
ÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„
9KøœGÏŀð[ĎÎ;BH9YŨÆŚĔņJTW
試料を測定したが,夾雑物による影響はなく,通常の
¾Ŭ ³³55µg/mL
9KøœGÏŀð[ĎÎ;BH9YŨÆŚĔņJTW
図3 AK,SaCNa標準溶液のクロマトグラム
各5 µg/mL
ßŝLĻUX>ŋØKŀŤJĚ0W9H4²ĴHı1U
ßŝLĻUX>ŋØKŀŤJĚ0W9H4²ĴHı1U
ßŝLĻUX>ŋØKŀŤJĚ0W9H4²ĴHı1U
試験に使用しても問題はないと考えられる.
XWũ;3;Ũq‰gKļćĨ™áRøœKý
HPLCGĎÎ;F0B Ëð8ĦHę¸ð2Ħ[UPLCG
XWũ;3;Ũq‰gKļćĨ™áRøœKý
HPLCGĎÎ;F0B Ëð8ĦHę¸ð2Ħ[UPLCG
XWũ;3;Ũq‰gKļćĨ™áRøœKý
HPLCGĎÎ;F0B Ëð8ĦHę¸ð2Ħ[UPLCG
3に示した.アミドカラムはその性質上,水系溶媒の
2 )PHBA-Es
類
Ľ4äĺG/Wũ ĎβĴ3ýĽ;Bũ
Ľ4äĺG/Wũ ĎβĴ3ýĽ;Bũ
Ľ4äĺG/Wũ ĎβĴ3ýĽ;Bũ
比率が高いとカラムの劣化を早めることになるが,2
当センターSOPに記載のHPLC条件で測定したと
ŬŧAK ŨSaCNa
ŨSaCNa
Ūũ ËðŬĦ(BAŨSoAŨDHA)LHPLC…mptKøœ
ŬŧAK
Ūũ ËðŬĦ(BAŨSoAŨDHA)LHPLC…mptKøœ
ŬŧAK ŨSaCNa
Ūũ ËðŬĦ(BAŨSoAŨDHA)LHPLC…mptKøœ
つの物質を分離するため水系溶媒の比率が95%とハー
ころ,5種類は2分以内に溶出したが,Pr-PHBAとiP ÝlnSOPJľňKHPLCøœ(]lsvs‰ŠŰ
KOOÎŖ4²ĴG/DBũ
ÝlnSOPJľňKHPLCøœ(]lsvs‰ŠŰ
KOOÎŖ4²ĴG/DBũ
ÝlnSOPJľňKHPLCøœ(]lsvs‰ŠŰ
KOOÎŖ4²ĴG/DBũ
0.5 %‰ŔĐĈ(40Ű60))GLŨSaCNa4Ц;BáŬ§
%‰ŔĐĈ(40Ű60))GLŨSaCNa4Ц;BáŬ§ ドな条件となった.しかし,実試料では夾雑物が多く,
ūũPHBA-EsŠ5ĦJE0FLdˆ„Kŗ:[ŗ6=W9
PHBA,Bu-PHBAとiB-PHBAが分離せず分別定量でき
0.5
ūũPHBA-EsŠ5ĦJE0FLdˆ„Kŗ:[ŗ6=W9
0.5
%‰ŔĐĈ(40Ű60))GLŨSaCNa4Ц;BáŬ§
ūũPHBA-EsŠ5ĦJE0FLdˆ„Kŗ:[ŗ6=W9
›“ōXFAK4Ц;Ũ@XAX4ėħ;B}fGĎ
HGÎŖ4²ĴHIDBũ
›“ōXFAK4Ц;Ũ@XAX4ėħ;B}fGĎ アセトニトリルの比率が上がるにつれてAK,SaCNa
HGÎŖ4²ĴHIDBũ
なかった.保持時間を長くするためカラムオーブンの
›“ōXFAK4Ц;Ũ@XAX4ėħ;B}fGĎ
HGÎŖ4²ĴHIDBũ
ÎG5F0Bũ;3;µ<øœ[UPLCJŏĚ;BH9YŨ Ŭũę¸ðūĦJE0FLHPLCKĥ­ĞøœGL§śG
Ŭũę¸ðūĦJE0FLHPLCKĥ­ĞøœGL§śG
ÎG5F0Bũ;3;µ<øœ[UPLCJŏĚ;BH9YŨ
の周辺で一斉に溶出するため目的物質の定量は難しい.
温度を下げたり,移動相の溶媒比率を変えても状況は
ÎG5F0Bũ;3;µ<øœ[UPLCJŏĚ;BH9YŨ
Ŭũę¸ðūĦJE0FLHPLCKĥ­ĞøœGL§śG
§ś•ĴHIVÎŖL•²ĴG/DBũHPLCKdˆ„
5I3DB4Ũgˆjas§úJ=W9HG§śG5
§ś•ĴHIVÎŖL•²ĴG/DBũHPLCKdˆ„
5I3DB4Ũgˆjas§úJ=W9HG§śG5
§ś•ĴHIVÎŖL•²ĴG/DBũHPLCKdˆ„
5I3DB4Ũgˆjas§úJ=W9HG§śG5
1検体にかかる時間は,移動相を初期状態に戻す時間
変わらなかった.そこで,カラムの長さを10
cmにし
(LichrosorbNH
NH224.6
Bũ
4.6 *
* 250
250mmŨŮ
mmŨŮ µm)GL ì:XF0
µm)GL ì:XF0
(Lichrosorb
Bũ
(Lichrosorb NH2 4.6 * 250 mmŨŮ µm)GL ì:XF0 を入れても5分以内と相当短縮され,通常検査に使用
Bũ
たところ,ピークにテーリングがみられ少しの重なり
ŭũÏŀð[ĎÎ;BH9YŨ ËðůĦJE0FLÆ
BAK4UPLCĚKdˆ„GL ì4Ü6SaCNaTV¢J
ŭũÏŀð[ĎÎ;BH9YŨ ËðůĦJE0FLÆ
BAK4UPLCĚKdˆ„GL ì4Ü6SaCNaTV¢J
ŭũÏŀð[ĎÎ;BH9YŨ ËðůĦJE0FLÆ
BAK4UPLCĚKdˆ„GL ì4Ü6SaCNaTV¢J
することが期待されるが,今後実試料に適用するため
はあるものの定量できるまで分離し,3分以内にすべ
ŚĔJTWßŝLĻUX>ÎŖL²ĴG/DBũ™áċ
Ц:XF0WHı1UXBũ
ŚĔJTWßŝLĻUX>ÎŖL²ĴG/DBũ™áċ
Ц:XF0WHı1UXBũ
ŚĔJTWßŝLĻUX>ÎŖL²ĴG/DBũ™áċ
Ц:XF0WHı1UXBũ
«½°Ĩy‰ri‡JTVÈÝå[ĤÌěJħĿ=
@9GŨĥ­ĞK]lsvs‰ŠH0.5%‰ŔĐĈK には,試料溶液中のアセトニトリルの濃度やカラムの
て溶出した.このときの標準溶液のクロマトグラム
«½°Ĩy‰ri‡JTVÈÝå[ĤÌěJħĿ=
@9GŨĥ­ĞK]lsvs‰ŠH0.5%‰ŔĐĈK
«½°Ĩy‰ri‡JTVÈÝå[ĤÌěJħĿ=
@9GŨĥ­ĞK]lsvs‰ŠH0.5%‰ŔĐĈK
WBQŨ:UJýĽ4äĺG/Wũ
āĘ[5Ű95
3U50Ű50
OGĝĮěJgˆjas[3
を図2に示した.この条件で実試料を測定したところ,
WBQŨ:UJýĽ4äĺG/Wũ
āĘ[5Ű95 3U50Ű50
3U50Ű50 OGĝĮěJgˆjas[3
OGĝĮěJgˆjas[3 種類,長さ等多くの検討が必要である.
WBQŨ:UJýĽ4äĺG/Wũ
āĘ[5Ű95
Ůũę¸ðūĦJE0FL}fÞĖLç6ŨÏŀðG
7BH9YAKHSaCNaL§ś;B4Ũ}fKħC“4
Ůũę¸ðūĦJE0FL}fÞĖLç6ŨÏŀðG
7BH9YAKHSaCNaL§ś;B4Ũ}fKħC“4
夾雑物質による影響は見られず通常の試験に用いるこ
Ůũę¸ðūĦJE0FL}fÞĖLç6ŨÏŀðG
7BH9YAKHSaCNaL§ś;B4Ũ}fKħC“4
LÆŚĔ4ÿďHµ<óŘ×J‘ïJЦ:XWBQŨ
VJóŘ[ĺ;Ũi†€I}fHLIUI3DBũ
LÆŚĔ4ÿďHµ<óŘ×J‘ïJЦ:XWBQŨ
VJóŘ[ĺ;Ũi†€I}fHLIUI3DBũ
LÆŚĔ4ÿďHµ<óŘ×J‘ïJЦ:XWBQŨ
VJóŘ[ĺ;Ũi†€I}fHLIUI3DBũ
まとめ
とが可能と考えられる.しかし,テーリングの解消等
ŋØýûJŸĚ=WJL:UJýĽ4äĺG/Wũ
9KH5KÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ŬJĢ;Bũ
ŋØýûJŸĚ=WJL:UJýĽ4äĺG/Wũ
9KH5KÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ŬJĢ;Bũ
ŋØýûJŸĚ=WJL:UJýĽ4äĺG/Wũ
9KH5KÿďĐĈKfŒ‚sgˆ„[¾ŬJĢ;Bũ
HPLCで 測 定 し て い た 保 存 料8種 と 甘 味 料2種 を
今後もUPLC条件の検討が必要である.
3 )AK ,SaCNa
UPLCで測定可能か検討した.
当センターSOPに記載のHPLC条件(アセトニトリ
1 . 保存料3種(BA,SoA,DHA)はHPLCメソッド
ル:0.5 %リン酸溶液(40:60))では,SaCNaが溶出
した後3分以上遅れてAKが溶出し,それぞれが独
立したピークで測定できていた.しかし同じ条件を
の条件のまま定量が可能であった.
2 .PHBA-Es類5種についてはカラムの長さを長くす
ることで定量が可能となった.
UPLCに適用したところ,分離不能となり定量は不可
3 . 甘味料2種についてはHPLCの移動相条件では分
能であった.HPLCのカラム(Lichrosorb NH2 4.6 ×
離できなかったが,グラジェント分析にすることで
250 mm,5µm)では保持されていたAKがUPLC用の
分離できた.
カラムでは保持が弱くSaCNaより先に溶出されてい
4 . 実試料を測定したところ,保存料8種については
ると考えられた.
夾雑物による影響は見られず定量は可能であった.
そこで,移動相のアセトニトリルと0.5%リン酸溶液
今後添加回収等バリデーションにより妥当性を科学
の比率を5:95から50:50まで直線的にグラジェント
的に立証するため,さらに検討が必要である.
をかけたところAKとSaCNaは分離したが,ピークの
5 .甘味料2種についてはピーク形状は悪く,実試料で
立ち上がりに時間を要し,シャープなピークとはなら
は夾雑物が標準と同じ時間帯に一斉に溶出されるた
なかった.このときの標準溶液のクロマトグラムを図
め,通常検査に使用するにはさらに検討が必要である.
−86−
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
%+ 1 夏季に流行した RS ウイルス:2011 年
ĀıýĽ‹„ea¿ĠĊöóÆÅä¿ 浦西洋輔・井上ゆみ子・米田正樹・岡山明子
2&6#-&/$& 0' &31*2#4028 8/$84*#- *253 */ 4)& 5..&2 Prevalence of Respiratory Syncytial
Virus in the Summer, 2011
"0535,& "5.*,0 œ #3#,* " #/% ,*,0 " Yousuke URANISHI, Yumiko INOUE,Masaki YONEDA and Akiko OKAYAMA
) * , nm}ső2&31*2#4028 38/$84*#- 6*253ş…
緒 言
VĶLŒ\œś€çèĂYBHiˆ›[…ùŃÓí
0 .%+&# 3)
検査方法は,病原体検出マニュアル
に従いRT-PCR
Ĕ[ÑħÂĄ¤ďôňCg¹°[>RPÂĄË
RSウイルス(respiratory
syncytial virus;以下RSV
ĎYB?TœæcōÊDŏ?åŁđXč¥nm}sV
法により解析を行った.
Ph[
Ñħ¹°ÝVł¦ŚÉŇő ÉŠ
と記す)は,6ヶ月未満における乳児の下気道感染症
KTĕgjT?iŕĿɞÀYÿĮKœĻ?CNòĎ
ÉŒ[È·kµŗYĘKPĝ ŀőŜç„âŒCg
まとめ
Í;Y [¹°ÝD„ãK¾bĝ
ŀőÂĄËP
において,最も頻度が高い普遍的な病原ウイルスとし
ćCgĤùğÛădĩăYĪi`Uò;XĎćk¯L
て知られている.通年冬季に流行し,軽いかぜ様症状
iŕŽ[±®´nm}sÓíĎUc«ò[Ďćk¯L
から細気管支炎や肺炎に至るまで様々な症状を呈す
iPbœéĎ[ņ¡ķßY\nm}sÁđðîD†©
1 .RSVの週別流行状況
h
ŒŒVĝ ŀőÂĄËPh ŒŒYx‚q
県内の患者定点医療機関から報告のあった定点当た
DIJgjPŕO[Ìőĝ ŀŠĝ ŀŒc ¹°
るため,本症の鑑別診断にはウイルス学的検査が不可
É\œœ¶đY»ÀY [ÿĮD¹°JjP
りのRSV患者報告数と過去5年間(2006年~2010年)
Ý\•Éfh¼?y‚sUØęK:žÀc•ÉĿh[
の平均を図1に示した.第32週(8月上旬)から徐々
ÿĮkĘKPŕ 1)
Ř
.
欠とされている
ŕI[•ÉV\ċXiòēkĘKP
[ÿĮćú
にRSVの報告数が上昇し始め,
第38週(定点当たり0.77
2011年は,全国的に夏季にRSVの流行が報告され
kĸĤYÖÚLiIVkĒđVKTœéĔYBHi
人)
と第41週
(定点当たり0.89人)にピークが見られた.
0
(-%+&# る.他の呼吸器ウイルス感染症でも同様の症状を呈す
õVJjT?iŗŕ 2)
.この例年とは異なる様相を示したRSVの流行状
た
É[ ÑħĐĈćúBf]ðŸćú[Vh`V
その後(第42週~第50週)もRSV報告数は例年より多
ğľ—šÔ¡[ÂĄËPh ÑħģĚ¹°ÝVł
況を詳細に把握することを目的として,本県における
bkĮRP[U¹°Liŕ 2011年のRSV患者発生状況および検出状況のとりま
いペースで推移し、冬季も例年通りの流行を示した.
¦ŚÉŇő
ÉŠ ÉŒ[È·kµŘYĘKPŕ
2 .RSVの管轄保健所別流行状況
½īǗšÔ[ÂĄËPhģĚ¹°Ý\œ«ğľ[
とめを行ったので報告する.
$ 管轄保健所別の定点当たりRSV患者累積報告数と
È·ģĚ¹°Ý[Ģ
˜U>i VŎĬYº¢
ÉYĔ[ÑħÂĄ¤ďôňCg¹°[>R
過去5年間(2006年~2010年)の平均を図2に示した.
KTBhœ½īĔU\½īǝU
DæcÿĮK
材料と方法
P ÑħÝÒ¹YS?T\œÓíĎĐĈ£¬ĺîr
奈良市保健所の定点当たり累積報告数は,同管轄内の
PIVkėĹKPŕƒàœ•Éŏ?¹°ÝkĘLĭ¸
st{őŒCg§ŊKPŕ 2011年に県内の患者定点医療機関から報告のあった
平均累積報告数の約2.5倍である30.71と顕著に増加し
—šÔğ\œ
É\È·fh“?ģĚ¹°ÝU>
ń‘¿ðî[êÞ\œ½īĔÓíĎĐĈ£¬ĺîŠ
RSV患者数情報については,感染症発生動向調査シス
RPŕ ており,奈良県内では奈良市内でRSVが最も流行し
ñ[č¥”ÂĄ¤ďôňCgœ ÉŜçœŝçYÙ
テム(NESID)から収集した.
たことを確認した.一方,例年高い報告数を示す葛城
–JjP±®´ġČÑÑħ[²ŌZG?ākĉ?Pŕ 遺伝子検査の材料は,奈良県感染症発生動向調査事
0 /"!) 保健所管内は,2011年は平均より低い累積報告数で
ðîàû\œč¥”ðŸzv|l} YÎ? 業の病原体定点医療機関から,2011年8月,9月に提
»ÀYרKP±®´ġČÑÑħ[²ŌZG?ā
あった.
ûYfhĵëkĮRPŕ 供された呼吸器系疾患患者の咽頭ぬぐい液を用いた.
[@Qœot~nm}sdluwnm}sXWD ř
定点当たり報告数
図1 2011年のRSV患者報告数(定点当たり)-過去5年間(2006年~2010年)の平均との比較
µŗ É[ Ñħ¹°ÝőÂĄËPhŒŔł¦ŚÉŇő ÉŠ ÉŒ[È·V[øļ −87−
µŘğľ—šÔ¡ ÑħģĚ¹°ÝőÂĄËPhŒŔł¦ŚÉŇő ÉŠ ÉŒ[È·V[øļ 図2 管轄保健所別RSV患者累積報告数(定点当たり)-過去5年間(2006年~2011年)の平均との比較
µŘğľ—šÔ¡ ÑħģĚ¹°ÝőÂĄËPhŒŔł¦ŚÉŇő
ÉŠ ÉŒ[È·V[øļ 3
.RSVの遺伝子検査結果
ŋJjXCRPð”YS?Tœ ûkĉ?T 夏季に採取した呼吸器系疾患患者の咽頭ぬぐい液の
[ń‘¿ðîkĮRPŕO[ĥì
𔇠•Cg
ŋJjXCRPð”YS?Tœ ûkĉ?T うち,エンテロウイルスやアデノウイルスなどが分離
kðŸKœ»ÀYBHi½īĔU[ÿĮkݏH
[ń‘¿ðîkĮRPŕO[ĥì 𔇠•Cg
されなかった検体について,RT-PCR法を用いてRSV
iIVDUEP
őµřŒ
ŕÑħÒ¹CgÉŐ\œŗ÷Ŗ
kðŸKœ»ÀYBHi½īĔU[ÿĮkݏH
の遺伝子検査を行った.その結果31検体中12例から
pçCgř÷ŚpçUœÐ¡Y™h\IJgjMœĐą
iIVDUEPőµřŒ
ŕÑħÒ¹CgÉŐ\œŗ÷Ŗ
\RSVを検出し,夏季における奈良県での流行を裏付け
9Cg 9U>hœÕïăùğÛăk’@
pçCgř÷ŚpçUœÐ¡Y™h\IJgjMœĐą
ることができた(図3).患者情報から年齢は,1歳
ĎćD¼FIJgjPőįŗŒ \ 9Cg 9U>hœÕïăùğÛăk’@
0カ月から3歳5カ月で,性別に偏りは見られず,発
é¹°U\œ
É[ ĐĈćúkĵëKPĥìœ
ĎćD¼FIJgjPőįŗŒ 熱は38.0℃から40.0℃であり,扁桃炎・気管支炎を伴
ł¦ŚÉŇ[ÿĮćúV\ċXiĆÏđX»À[ÿĮ
é¹°U\œ
É[ ĐĈćúkĵëKPĥìœ
図3 採取週別RSV検出状況
う症状が多く見られた(表1).
kĴÄUEPŕÌ\»À[ÿĮcijŅY­bPÑħ
ł¦ŚÉŇ[ÿĮćúV\ċXiĆÏđX»À[ÿĮ
本報告では,2011年のRSV発生状況を解析した結
Ò¹[ĵëkÃáKœ
¤ďôňœÜĨôňĞ^[‰ʼn
µřŕרŀ¡ ðŸćú kĴÄUEPŕÌ\»À[ÿĮcijŅY­bPÑħ
果,過去5年間の流行状況とは異なる特徴的な夏季の
³Đ[êÞVKTþĉLiIVkĦAT?iŕ 表1 RSV検出患者情報
Ò¹[ĵëkÃáKœ¤ďôňœÜĨôňĞ^[‰ʼn
µřŕרŀ¡ ðŸćú 流行を観察できた.今後は夏季の流行も視野に含めた
採取日
年齢 ðŸÑħÒ¹ 流行状況
įŗŕ
発熱(℃)
³Đ[êÞVKTþĉLiIVkĦAT?iŕ 患者情報の解析を実施し,医療機関,教育機関等への
' 8 月 17 日
2歳3 ヶ月
保育所
38.7
įŗŕ
ðŸÑħÒ¹ 予防・啓発の材料として活用することを考えている.
8 月 25 日
1歳0 ヶ月
38.9
保育所
' 8 月 26 日
1歳8 ヶ月
39.7
保育所
¶ĜÓíĎĖěÔœ!œ Éĝ ªœüĒ
8 月 29 日
2歳0 ヶ月
40.0
保育所
文 献
L_EÓíĎŞ
< nm}sÓíĎ= ¶ĜÓíĎĖěÔœ!œ Éĝ ªœüĒ
8 月 31 日
3歳0 ヶ月
39.6
保育所
29 : 271-273,2008
1 )IASR
)441777/*)(0+1/**%2&'&2&/$&.#/5
L_EÓíĎŞ
< nm}sÓíĎ= 9月1日
2歳4 ヶ月
39.6
保育所
2 )国立感染症研究所,IDWR,2011年第39号,注目
#-1%' )441777/*)(0+1/**%2&'&2&/$&.#/5
9月7日
1歳0 ヶ月
39.3
保育所
すべき感染症:「RSウイルス感染症」
9月7日
2歳9 ヶ月
38.3
保育所
#-1%' 3 )http://www0.nih.go.jp/niid/reference/RS-manual.
9 月 15 日
3歳4 ヶ月
38.6
保育所
pdf
9 月 15 日
3歳5 ヶ月
38.9
幼稚園
9 月 16 日
1歳5 ヶ月
38.0
家族内
9 月 22 日
1歳2 ヶ月
39.0
散発
−88−
79@ õĹď¤RðƒqijRÑ^ºÖ¤RÚõ&1
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
Classification of Extended-Spectrum -Lactamase Genes Identified in Clinically Isolated
奈良県内でヒトから分離された基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌の遺伝子型別
Escherichia coli in Nara Prefecture
田邉純子・琴原優輝・松井恵梨子・橋田みさを
Sumiko TANABERYuki KOTOHARAREriko MATSUI and Misao HASHIDA
Classification of Extended-Spectrum β-Lactamase Genes Identified in Clinically Isolated
Escherichia coli in Nara Prefecture
—!ŠKO4LSŏŋŐŊ1ô PCR â +-§É
5 ; ğ}Ė¹Ğ!T.˜İìù¹Â±—-O
Ō
Sumiko TANABE・Yuki KOTOHARA・Eriko
MATSUI and Misao HASHIDA
:BLSAʼnExtended-Spectrum β -LactamaseŘ
ESBLŊóòĞ"ŋ€þiô/.
4 ( 緒 言
ČUYb@I5MĎ¿Ğ}1xĪ.Ę~1Ãŋ
DC9*1'+ 結 果
1 .菌株由来検体
薬剤耐性菌の一つである基質特異性拡張型β-ラク
Ŀu¼Óƒ“Ğ‘ŃĨ/.ŌESBL
īŅ k ESBL óò¡ęĞ 95 Õ"ŋ¹{
試験に供したESBL産生大腸菌95株は,性別で見る
タマーゼ(Extended-Spectrum
β-Lactamase;ESBL)
" !ĸd¤—¥–.ŋCTX-M-— ESBL
ħ.÷¹ 42 Õŋ£¹ 52 ÕŋXËʼn»™ŊŎ
と男性42株,
女性52株,不明(情報なし)1株であった.
産生菌は,医療現場で広く使用されている第三世代セ
1óò.¡ęĞ!×w-åĢ½¸
ÕŌ
年齢別では71歳から80歳が30株と最も多く,61歳
フェム系抗菌剤を分解する能力を持ち,院内感染原因
ŎŊ
/.
®Ň{" 71 Þ, 80 Þ 30 ÕÌ) ŋ
Ō
以上で65%を占めるなど高齢者から検出した菌株が
菌として問題視されている.ESBLには多くの遺伝子
61 ÞcV 65ň1‚(.ņŇĕ,×w
_’ŋESBL óò¡ęĞ ¢ĝă .
多かった(図1).低年齢層では10歳以下で6株あり,
型が存在するが,CTX-M-型ESBLを産生する大腸菌
ĞÕ ʼn”ŎŊ
Ōf®Ň­" 10 ÞcW
\ ESBL ĸd¤—!×wíá1ĮÔ.(
ŋ
0歳児からも2株検出していた.
の検出が増加しており流行が懸念されている 1).
œÕ-ŋōÞr,)ŏÕ×wŌ
ău€þÛĽ,ĞÕ1†ŀŋCTX-M-—1[¶
検体採取部位別に見ると,尿(カテーテル尿を含む)
今回,ESBL産生大腸菌について奈良県における主
×gŇĺe{ ħ.ŋ¬ʼn8CSCP¬1Ž
PCRâ
+.ESBLĸd¤—{1§É!ŋ
が55株と最も多く,次いで血液8株,痰7株,便6
なESBL遺伝子型の検出状況を調査するために,県内
'Ŋ 55 ÕÌ) ŋÜĠæŕÕŋýŔÕŋ
!đÒ1™.Ō
株及びその他(腹水,膿など)19株であった.
医療機関から菌株を収集し,CTX-M-型を中心にPCR
lœÕ…#!aʼnĚàŋěŊ19 ÕŌ
法によるESBL遺伝子型別を実施したので,その結果
% , を報告する.
DC&$ 方 法
2011 ®ŏÍ, 2012 ®ŏÍ%
ŋău!Հ
1 .材料
þÛĽ
ESBL óò¡ęĞz¦/ 95
2011年2月から2012年2月までに,県内の3医療
Õ ŋÆk1ˆīŅ
kŌ
機関においてESBL産生大腸菌と判定された95株につ
いて,提供を受け試験に供した.
EC+)%, 2 .検査方法
ŎŊğ}¼ˆ¹īŅ
1 )薬剤感受性試験
@I7B9=MʼnCTXŊ@IB>>MʼnCAZŊ
セフォタキシム(CTX)とセフタジジム(CAZ)に
ŋ@Q=RD3?:ʼnÊÏ BDŊ1ô
ついて,センシ・ディスク(日本BD)を用いた薬剤
ğ}¼ˆ¹īŅ1 CLSI éÁ§ÉŌ
感受性試験をCLSIに準拠して実施した.
CTX
„" CAZ Ė¹.1Ćĭ³ŋ
CTX又はCAZに耐性であることを確認した後,ク
:OJOQļʼnCVAŊĻ‹D3?:1ô-O
ラブラン酸(CVA)配合ディスクを用いてβ-ラクタ
:BLSAľ¨}
+.ä¹ľ¨hôʼnľÝv!Â
マーゼ阻害剤による活性阻害作用(阻止円の拡張)の
±Ŋ!Îê1ĩªŌ
有無を観察した.
ŏŊPCR
â +. ESBL ĸd¤!×w
2 )PCR法によるESBL遺伝子の検出
ESBL遺
子!
の検
group(CTX-MESBL
ĸ d伝¤
×出wは,CTX-M-1
" ŋ CTX-M-1
group
1G),CTX-M-2
group(CTX-M-2G)
,CTX-M-9 ŋ
group
ʼnCTX-M-1GŊ
ŋCTX-M-2
groupʼnCTX-M-2GŊ
2,3)
(CTX-M-9G)
,TEM-型及びSHV-型の各プライマー
CTX-M-9
groupʼnCTX-M-9GŊ
ŋTEM-—…# SHVを用いてPCR法により実施した.
図1 年齢別菌株数
”Ŏ ®Ň{ĞÕÈ
2 .薬剤感受性試験
EC:! 対<B CTXとCAZに
す る 感 受 性 を 確 認 し た と こ ろ,
CTX
CAZ
«.¼ˆ¹1Ćĭ0ŋ
CTXには95株全てが耐性を示したのに対し,CAZに
CTX " 95 ÕsĖ¹1ć! «ŋCAZ
は21株が感受性であった.
" 21 Õ¼ˆ¹Ō
CVAによる活性阻害作用の観察では,92株におい
てESBL産生菌の特徴である阻止円の拡張を確認した
CVA +.ä¹ľ¨hô!ĩª"ŋ92 Õ が,3株では阻止円の拡張を認めなかった.
ESBL óòĞ!ìµ.ľÝv!±1Ć
3 .ESBL遺伝子型別
ĭŋŐÕ"ľÝv!±1ĭ(Ō
PCR法の結果,95株全てにおいていずれかのESBL
遺 伝 子 を 検 出 し( 表 1),45株 は 複 数 保 持 し て い た
−89−
ĝă)•u!×w™j
PCR â!đÒŋ95 Õs /!
ŒÙ!p
CTX-M-9G -ŋ¢
FCESBL
@ ESBL
ĸd¤1×wʼnĤŎŊ
ŋ45 Õ"ĥÈmÃ!Ì) !"
Ĵ®ŋCTX-M-1G!T.CTX-M-1
ŏŋőŊ
PCR
â!đÒŋ95
Õs /!
ŒÙ!pŌ
ʼnĤŏŊ
ŌÌ) ×w—,
CTX-M-9Gĝă)•u!×w™j
.¡ęĞO25:H4!×wÈ!ãĂ
ESBL ĸd¤1×wʼnĤŎŊ
ŋ45 Õ"ĥÈmÃ
Ĵ®ŋCTX-M-1G!T.CTX-M-15—1óò
59Õŋ
TEM-—
47Õŋ
CTX-M-1G 25Õŋ
CTX-M-2G
_’!ĮÔCTX-M-1G1×wĞÕ
生する大腸菌O25:H4の検出数の増加が注目されてい
(表2)
.
最も多く検出した型からCTX-M-9G
59株,
ʼnĤŏŊ
ŌÌ) ×w—, CTX-M-9G
.¡ęĞO25:H4!×wÈ!ãĂ/.Ō
ŖÕŋSHV-Õ
ŏÕŌ
Ćĭ.!ŋ_³ŋHĠè—!
TEM-型
47株,CTX-M-1G
25株,CTX-M-2G
9株, る.今回の調査でCTX-M-1Gを検出した菌株にO25を
59Õŋ
TEM-—
47Õŋ
CTX-M-1G
25Õŋ
CTX-M-2G
_’!ĮÔCTX-M-1G1×wĞÕ
O251
いくつか確認しているので,今後,H血清型の確認と
SHV-株
2株であった.
ŖÕŋSHV-Õ ŏÕŌ
Đĸd¤—{1§É.]¦.Ō
Ćĭ.!ŋ_³ŋHĠè—!ĆĭĬ
詳細な遺伝子型別を実施する予定である.その他の
Đĸd¤—{1§É.]¦.Ō!a!
ĤŎ ĸd¤!×wÈ
CTX-M-—!Š;PSKŋTEM-—…#SH
表1 ESBL遺伝子の検出数
CTX-M-型の各グループ,TEM-型及びSHV-型につい
ĤŎ ĸd¤!×wÈ
CTX-M-—!Š;PSKŋTEM-—…#SHV-— )ŋ+-ĬЗ1Ë, .(
ても,より詳細な型を明らかにするためにシークエン
)ŋ+-ĬЗ1Ë, .( =S:6Q
? +.›˜Ļy!Ćĭ1Ģ·Ħ
スによる塩基配列の確認などを行う必要があると考え
? +.›˜Ļy!Ćĭ1Ģ·Ħ.Ĕ
ている. .Ō
.Ō
ESBL遺伝子は菌種を越えて伝達されることが知ら
ESBLĸd¤"Ğĉ1IJ
dĶ/.Ą,
ESBLĸd¤"Ğĉ1IJ
dĶ/.
れており,サルモネラや赤痢菌などの病原性を持つ腸
/-ŋ<PNFO*ıüĞ!úƒ¹1Ãę
/-ŋ<PNFO*ıüĞ!úƒ
内細菌科の菌種で確認され問題となっている.当セン
uĐĞĈ!ĞĉĆĭ/‘Ń.Ō²@Q
uĐĞĈ!ĞĉĆĭ/‘Ń
ターでも以前に,CTX耐性の腸管出血性大腸菌O157
BS)c| ŋCTXĖ¹!ęčwĠ¹¡ęĞO157
ʼnĥÈ×w-Ŋ (※複数検出あり)
5)
についてCTX-M-型であると確認し
,PCR法の結果
ŒŊ
BS)c| ŋCTXĖ¹!ęčwĠ¹¡
ʼnĥÈ×w-Ŋ CTX-M-—.Ćĭ
ŋPCRâ!đÒ
CTX-M-1Gの遺伝子を検出した.今後も薬剤感受性試 ŒŊ
Ĥŏ ĸd¤—GBSQ CTX-M-1G!ĸd¤1×wŌ
_³)ğ}¼ˆ¹ī ŋPC
CTX-M-—.Ćĭ
表2 ESBL遺伝子型パターン
験を継続実施し監視していく必要がある.
Ņ1Ēē§ÉāĨ·Ħ.Ō
CTX-M-1G!ĸd¤1×wŌ_³)ğ
Ĥŏ ĸd¤—GBSQ ヒト以外にも,家畜や食肉からESBL産生菌の分離
HEcŸ )ŋ©ø*ńė,ESBLóòĞ!xŁ
は報告されており,食肉を介して感染が広がっている
Ņ1Ēē§ÉāĨ·Ħ.Ō
"™/-ŋńė1`¼Ó¯.
可能性が指摘されている.当センターでも,薬剤感受
HEcŸ )ŋ©ø*ńė,ESBLóò
‰Ę¹ÄÇ/.Ō²@QBS)ŋğ}¼ˆ
性試験を実施した食品由来大腸菌などの腸内細菌にお
"™/-ŋńė1`¼Ó¯
¹īŅ1§ÉńöСęĞ!ęuĐĞ
いて,CTX耐性株を複数確認しており,これらにつ
ŋCTXĖ¹Õ1ĥÈĆĭ-ŋ/,
‰Ę¹ÄÇ/.Ō²@QBS)
いてもESBLの検査を進めている.
)ESBL!×Ô1ĵ(.Ō
今後も公衆衛生上,ESBL産生菌についての調査を
¹īŅ1§ÉńöСęĞ!ę
_³)tġģòVŋESBLóòĞ
!ĮÔ1
継続して実施する必要があると考えている.
ŋCTXĖ¹Õ1ĥÈĆĭ-ŋ
Ēē§É.·Ħ.Ĕ
.Ō
)ESBL!×Ô1ĵ(.Ō
謝 辞
= ? SHV-—1î×wÕ"ŋ
TEM_³)tġģòVŋESBLóòĞ
今回の調査を実施するにあたり,菌株と情報を提供
SHV-型を単独で検出した株はなかったが,TEM-型
_’!ĮÔ1§É. -ŋĞÕ»™1Æ
—"ŏՁî×wʼnĤŏŊ
して頂きました県内各医療機関の検査担当者の皆様に
は2株で単独検出した(表2). Ō
Ēē§É.·Ħ.Ĕ
.
×wĸd¤— ®Ň{!p1ħŋ
検出した遺伝子型について年齢別の傾向を見たが,
®Ň
+.ķ*n-"ħˆ,/Ō
年齢による違いや偏りは見受けられなかった.
kł%ăuŠ€þÛĽ!×ÔÀ²ĕ!Ā
深謝いたします.
Ù çį%Ō
= ? SHV-—1î×wÕ"ŋ
%ŋğ}¼ˆ¹īŅ CVA +.ľ¨TEM文 献
また,薬剤感受性試験においてCVAによる阻害作
_’!ĮÔ1§É.
-ŋĞÕ
—"ŏՁî×wʼnĤŏŊ
Ō CTX-M-2G
# . hôħ,/ŐÕ"ŋ
/)
1 )国立感染症研究所,
病原微生物検出情報(IASR),
用が見られなかった3株は,いずれもCTX-M-2Gと
ŎŊ
•ċ¼ÓûąĊ¾,
úƒ´òë×w»™ʼnIASRŊ,
TEM-—!Zĸd¤1×wŌ
32(1),
3-4
(2011)
TEM-型の両遺伝子を検出した.
kł%ăuŠ€þÛĽ!×ÔÀ
×wĸd¤—
®Ň{!p1ħŋ
(1),3-4N.,
(2011)
Kurokawa, H., Doi, Y., et al. :
Ù çį%Ō
®Ň +.ķ*n-"ħˆ,/Ō 2 )Shibata,
ŏŊShibata,
N., Kurokawa,
H., Doi,
Y., et791-795
6 al. :
Antimicrob. Agents
Chemother.,
50(2),
考 察
%ŋğ}¼ˆ¹īŅ
CVA
+.ľ¨
ğ}Ė¹Ğ!T. ESBL óò¡ęĞ Antimicrob. Agents Chemother., (2), 791-795
(2006)
薬剤耐性菌の一つであるESBL産生大腸菌につい
hôħ,/ŐÕ"ŋ
/)
CTX-M-2G
ŋ
¢ĝă . ESBL ĸd¤—!×wíá1
(2006)T., Kurokawa, H., Shibata, N.,# 3 )Yagi,
et al.. : FEMS
て,奈良県におけるESBL遺伝子型の検出状況を調査
ĮÔ.(ău€þÛĽ,
95 Õ1†ŀŋ
ŐŊYagi,
T., Kurokawa,
H., Shibata,úƒ´òë×w»™
N., et al. :
Microb. Lett.,
184,
53-56(2000)
するため県内医療機関から95株を収集し,PCR法に
ŎŊ
•ċ¼ÓûąĊ¾,
TEM-—!Zĸd¤1×wŌ
4 )Suzuki,
S., Shibata,
Yamane,
K., et al. : J
よる検査を実施した.その結果,日本で主に臨床的に
PCR
â +.×Ô1§ÉŌ!đÒŋÊÏ\
FEMS Microb.
Lett.,N.,
,
53-56 (2000)
(2011)
(1),3-4
Antimicrob Chemother,
(2009)
多く見られるCTX-M-型,TEM-型及びSHV-型の遺伝
Ĝ°ÿ ħ,/. CTX-M-—ŋTEM-—…#
őŊSuzuki,
S., Shibata,63,
N.,72-79
Yamane,
K., et al. : J
ŏŊShibata,
N.,
Kurokawa,
H., Doi, Y., e
6 5 )大前壽子,
橋田みさを,
榮井毅,
他:奈良県保健環
子について検出を確認した.
SHV-—!ĸd¤
×w1ĆĭŌ
Antimicrob
Chemother
, , 72-79
(2009)
ğ}Ė¹Ğ!T.
ESBL óò¡ęĞ ŒŊ¡|ž¤,
Antimicrob.
Agents
Chemother., (2)
境研究センター年報,
44, 84-85
(2009)
日本で検出されるESBL型はCTX-M-型がほとんど
ÊÏ×w/.ESBL—"CTX-M-—$2
Úõ&1,
Ø^ß,
aŗ¢ĝămo
とされているが,今回3医療機関から収集した95株
/.ŋ
_’Ő€þÛĽ,†ŀ
95
ñœąĊ@QBS®™,
, 84-85 (2009)
ŋ
¢ĝă .
ESBL ĸd¤—!×wíá1
(2006)
のうち93株からCTX-M-型遺伝子を検出した.そのう
Õ!
93 Õ, CTX-M-—ĸd¤1×wŌ
ĮÔ.(ău€þÛĽ,
95 Õ1†ŀŋ
ŐŊYagi, T., Kurokawa, H., Shibata, N., e
ち最も多かったのはCTX-M-9Gであり,奈良県も国内
PCRの検出報告例
â +.×Ô1§ÉŌ
!đÒŋÊÏ\
FEMS Microb. Lett., , 53-56 (2000)
2,4)
と同様の傾向であった.
Ĝ°ÿ
ħ,/.
őŊSuzuki, S., Shibata, N., Yamane, K.,
近 年,CTX-M-1Gの
一 つCTX-M-—ŋTEM-—…#
で あ るCTX-M-15型 を 産
SHV-—!ĸd¤ ×w1ĆĭŌ
Antimicrob Chemother, , 72-79 (2009
−90−
ÊÏ×w/.ESBL—"CTX-M-—$2
ŒŊ¡|ž¤, Úõ&1, Ø^ß, aŗ¢
/.ŋ_’Ő€þÛĽ,†ŀ 95
ñœąĊ@QBS®™, , 84-85 (2009)
Prevalence of Enterohemorrhagic Escherichia coli in Nara PrefectureŰ 2011
Yuki KOTOHARA`Sumiko TANABE`Eriko MATUSI and Misao HASHIDA
奈良県保健環境研究センター年報・第46号・平成23年度
奈良県における腸管出血性大腸菌検出状況:2011年度
<E_ŮGMů
Ű?OW<E_ŮKMů
ŰGM]TMW<E
5= _ŮSMů
ŰKMZD<A[_ŮTCů
ŰET^S^@DE
ķī…ŀÌ­ķĽŮenterohemorrhagic Escherichia
琴原優輝・田邉純子・松井恵梨子・橋田みさを
_ŮCPFXů
ŰO[FAGşŮNAů
ŰG\S9YM@DI
coli : EHECůÐîĘ'ŰÐîĘā!cŪÐîĘ%Ö²
a\`M[YMT[X›‰ŮSTů
ŰA^ZXS=PCa
5 3ŰŌގ½&ƒÛ¹…IJn25 Prevalence of Enterohemorrhagic Escherichia coli in Nara Prefecture,2011
\ŮCPů•(UGUW<E_ŮFOMů& 12 ĦŪ"ű
4űÎĴ2ô…5Ľð'Űz{ѐŠ&/"¥ß
łĎġĨÑ%ڂ5ŰÌĊŰŀą¦•(üĭ¦Ī7Ģ
Yuki KOTOHARA・Sumiko TANABE・Eriko MATSUI and Misao HASHIDA
GC ŎÅےϋ}ĞŗĠ%¨¤ĩÐîĘġĨÑŮp
/<' eŰÐîġů)Ŗn54űÐîġ!'ƒ¤2ť.2
5Ľð%
Q\GS;a\N`B\ŧÿÌ
緒 言
ŮPFGEů%14Ŝs°ňì7³àۃ¤ě$ĊĀ7
腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia
ÓÙ4""/%&İí7ŝ 4ű
coli : EHEC)感染症は,感染症法で三類感染症に指
2011 ¿ 4 å2 2012 ¿ 3 å&Š%ÄH_Ja)ڂ
定されており,診断した医師の全数届出が義務付けら
5 EHEC ĽðÛ' 19 ð!űè©!'Ű5
れている.患者から検出された菌株は,保健所協力の
2Ľð&õŅ•(įĽ±ěôï&İí% +".
もと地方衛生研究所に搬入され,性状,血清型及び毒
&!©Ÿ4ű
素型等を確認した後,厚生労働省通知に基づき国立感
染症研究所(以下,感染研)へ送付される.感染研で
&$
%, は全国から集められた菌株についてパルスフィール
DC ド・ゲル電気泳動(PFGE)による遺伝子解析を実施し,
$ 全国的な状況を把握するとともにその結果を還元して
ėţ0þŠôïÑ!ô…`†Ŧ5ÅŰÄH_Ja
いる.
%ڂ5Ľð 19 ð7ōŬ%wűĖ±Ï©'Űz
2011年4月から2012年3月の間に当センターへ搬入
{Ñ&Őïİí%¨ 4ű
されたEHEC菌株数は19株であった.本報では,これ
ら菌株の概要及び細菌学的検査の結果についてまとめ
EC たので報告する.
-*3@A O157 Ľð% 'ŰIS-printing systemŮêăĮıů
プトマイシン(SM),テトラサイクリン(TC),シプ
7ď IS-printingŮISůā%14ňì7³àűÆ
ロフロキサシン(CPFX),ナリジクス酸(NA),スル
25LaJ'Śā%13 IS CaN%ªØű
ファメトキサゾール・トリメトプリム合剤(ST),ク
PFGE 'ŰÐîġ!³à5QJa_"%n25
ロラムフェニコール(CP)及びホスホマイシン(FOM)
Ĕ™Ï©×w5ű
の12種類とした.
4( 4 .分子疫学解析
DC O157菌株については,IS-printing system(東洋紡
2;"69).+ 績)を用いたIS-printing(IS)法による解析を実施した.
ÄH_Ja%ڂ5EHEC &Ė±Ï©7£1 %ģ
得られたデータは十進法によりISコードに変換した.
&űÎĴ¿ŭ' 0 û2 84 û+!¾Àņ25űē¯
PFGEは,感染研で実施されパターンごとに付けられ
‡!ņ4"ŰēÌ 11 kŰ¯Ì 8 k!3̇%14¼'
た番号が情報提供された.
ņ25$ű¿o‡!'Ű10 ûpe" 21 ûpd 30
1)
#">? のプラ
カ生研)を使用した.VT型別は,Cebulaら
Ŀ‰Ð˜ÌōŬ'
CLSI
&ÔĽĿL;GAИÌōŬ
イマーを用いたPCRにより実施した.また,合わせ
³à¨Ć%¨ŰH_E`L;GAŮáè
BDů7ď
のプライマーを用いたPCRにより変異型
てWangら
³àűwōĿ‰':_RE[_ŮABPCů
ŰHS>
VT2遺伝子stx2c,stx2d,stx2e及びstx2fの保有状況も
2)
6
ûpe!55 6 k"¬Űļ¿º2&ô…¬
結 果
|ņ25ű
1 .腸管出血性大腸菌の検出状況
ÄH_Ja%ڂ5 EHEC &å‡ô…ĊĀ7£ 2
当センターに搬入されたEHECの疫学情報を図1に
;%ģű5 å2 10 å% ô…3Ű8 å%RaA
示す.患者年齢は0歳から84歳まで幅広く見られた.
ņ25ű
ŀą¦‡%'Űė“­ķĽĖŀąĎġ
ŮL_?Ď
材料と方法
Ųů
ġů7uďűVT ¦‡'ŰCebula 2 &TZ<Wa
1 .材料
7ď PCR %13³àű+ۛ6 Wang
病院や民間検査所で検出・分離された後,当センター
2ųů&TZ<Wa7ď PCR %13ªĕ¦ VT2 Ŝs
に搬入された菌株19株を試験に供した.疫学情報は,
° stx2cŰ
stx2dŰ
stx2e •( stx2f &zæĊĀ/Őïű
保健所の調査結果に基づいている.
2 .血清型別及びベロ毒素(VT)型別
FC 血清型別には,病原大腸菌免疫血清「生研」
(デン
:
図1.疫学情報:年齢,性別
J@EXŮCTXů
ŰHSVN@EXŮCPDXů
ŰB_JW
調査した.
3 .薬剤感受性試験
薬剤感受性試験はCLSIの抗菌薬ディスク感受性試
験実施基準に基づき,センシ・ディスク(日本BD)
を用いて実施した.供試薬剤はアンピシリン(ABPC),
セフォタキシム(CTX),セフポドキシム(CPDX),
ゲンタマイシン(GM),カナマイシン(KM),ストレ
IS ā
N%¦
_Ůʼn
1 QJ
ð'Ð
a_!
šřÌ
図2.月別検出状況
−91−
EC;-*3
7
0. Ľð 19 ð&ŀą¦"üĭ¦7Ń 1 %ģűڂ5
2011
EHEC
2†Ŧ
¦&„
男女別で見ると,男性11人,女性8人であり性別によ
比較を行った.
る差は見られなかった.年代別では,10歳以下と21
IS法の結果,18株のO157は13パターンのISコード
歳以上30歳以下でそれぞれ6人と多く,若年層からの
に型別された.2株以上を含むISコード型は3パター
検出が多い傾向が見られた.
ン(計8株)あったが,疫学的関連性を確認できたの
当センターに搬入されたEHECの月別検出状況を図
は1パターンの2株(兄弟由来株)のみであった.この
2に示す.5月から10月にかけて検出あり,8月にピー
2株は感染研によるPFGE型も同じであったが,他の
クが見られた.
パターンではPFGE型が一致した株はなく,疫学情報
2 .血清型・毒素型と臨床症状
からも関連性は見られなかった.
菌株19株の血清型と毒素型を表1に示す.搬入され
た株の血清型はO157:H7が18株とほとんどであり,他
まとめ
に はO111:H-が1株 あ っ た. 毒 素 型 は,O157:H7で は
2011年4月 か ら2012年3月 ま で の 奈 良 県 に お け る
VT1&VT2保有株が最も多く,O111:H-はVT1単独保
EHEC感染症の届出数は21件であり,その内の19件
有株であった.
から分離された菌株19株が当センターに搬入された.
変異型VT2遺伝子の調査では,O157:H7:VT1&VT2
血 清 型 の 内 訳 は,O157:H7が18株,O111:H-が1株 で
の菌株1株でstx2c遺伝子の保有が認められた.
あった.
臨床症状では,無症状病原体保有者3件を除く全て
18株のO157についてIS法による分子疫学解析を実
の患者で腹痛と血便が見られ,HUSを発症した例も1
施した結果,3パターンのISコード型に菌株が複数含
件あった.しかしながら,症状と血清型や毒素型との
まれていた.その内の1パターン2株は同一事例(兄弟
関連性は見られなかった.
由来株)であり,感染研によるPFGE型も一致し,ま
た薬剤感受性試験の結果も同じ(ABPC,SM,TCの
表1.菌株の血清型と毒素型
VT1
VT2
VT1&VT2
(stx2c) (stx2c)
3薬剤に耐性)であった.しかし,他のパターンでは
PFGE型と薬剤感受性試験において一致する結果はな
計
0157 : H7
1
2(0)
15(1)
18
0111 : H−
1
0(0)
0(0)
1
計
2
2
15(1)
19
く,保健所からの疫学情報からも関連性はなかった.
今回の結果からは,ISコード型が一致した同一事例の
2株以外に関連性のあるものは確認できなかったが,
IS法は迅速に実施できる有益な分子疫学解析の手法
であり,広域的事例に速やかに対応できるよう今後
3.薬剤感受性試験
もこの手法によるデータ蓄積を行っていきたいと考
薬剤感受性試験の結果を表2に示す.菌株19株のう
えている.
ち7株が1剤以上の薬剤に耐性を示した.耐性薬剤数
EHEC感染症の届出数は全国で例年4,000件ほどあ
は最大で4剤耐性のものが見られ,O157及びO111で
り,2011年は3,938件のEHEC感染症が報告された 3 ).
それぞれ1株認められた.
奈良県では,同期間において24件の報告があり,過
去5年間の中で最も少ない件数であった.2011年は,
表2.薬剤感受性試験
血清群
耐性
耐性薬剤名
0157
4剤
ABPC, SM, TC, ST
1
3剤
ABPC, SM, TC
3
3剤
SM, TC, CP
1
1剤
TC
1
なし
−
12
4剤
ABPC, KM, SM, TC
0111
合計
菌株数
4月下旬より富山県を中心にしてEHEC感染症が広域
に発生しており,牛肉の生食が原因であったことから
生食用食肉の規格基準が設定されるなど,社会問題と
しても大きく取り上げられた 3 ).こういった大規模な
EHEC感染症はいつ発生するか予期できないが,発生
時には迅速に対応できるよう検査体制を整えておく必
要がある.今後も,EHEC菌株について各種試験を行
1
い,収集・蓄積したデータの解析結果を還元すること
19
で,感染症の予防と拡大防止に寄与していきたい.
謝 辞
4 .分子疫学解析
O157菌株18株について当センターで実施したIS法
菌株の収集にご協力いただいている関係機関の方々
の結果と,感染研から還元されたPFGE型別結果との
及びPFGE解析結果を還元して頂いている国立感染症
−92−
研究所の皆様に深く御礼申し上げます.
文 献
1 )Cebula T,et al.:J. Clin. Microbiol.,33,248250(1995)
2 )Wang G,et al.:J. Clin. Microbiol.,40,36133619(2002)
3 )国立感染症研究所 厚生労働省健康局結核感染症
課:病原微生物検出情報,33(5),115-120(2012)
−93−
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