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ビジネスグリッドコンピューティング プロジェクトの取組み

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ビジネスグリッドコンピューティング プロジェクトの取組み
ビジネスグリッドコンピューティング
プロジェクトの取組み
Business Grid Computing Project
FUJITSU.55, 2, (03,2004)
あらまし
e-ビジネスは近年,規模がますます拡大するとともに,企画から開発・実稼働までのサイ
クルが短期化する傾向にある。そのため,企業や公的機関は,信頼性のある業務システムを
柔軟に,かつ,低コストで構築・運用する必要に迫られている。本プロジェクトでは,こう
した要求に応えるため,ITリソースの仮想化・自律制御・統一的管理機構などを統合した,
ビジネス向けグリッド技術を開発することを目的としている。また,グリッドシステムの高
い相互運用性を実現するため,開発する技術の国際標準化を積極的に推進している。ビジネ
ス向けグリッド技術は,Webサービス技術と従来のグリッド技術とを融合する次世代グリッ
ドの標準アーキテクチャOpen Grid Services Architecture(OGSA)を軸としている。
本稿では,プロジェクトを取り巻く状況と,技術開発および標準化活動に関するプロ
ジェクトの取組みについて述べる。
Abstract
Recently, there has been a large increase in the amount of e-business being conducted
around the world. As a result, the business cycle from planning to development and
operation is becoming shorter. In line with this trend, private companies and public
institutions have found it necessary to construct and manage reliable and flexible
application systems at low cost. The Business Grid Computing Project (BizGrid project) is
striving to integrate the virtualization, autonomic control, and unified management of IT
(Information Technology) resources to develop Grid Computing technology to address these
business requirements. This project is also promoting international standardization of the
technology to improve interoperability of Grid systems. BizGrid is based on the Open Grid
Services Architecture (OGSA), which is a next-generation standard architecture based on
the concepts of conventional Grid technology and Web services. This paper describes the
technology development and standardization activities being implemented in the BizGrid
project.
大内拓実(おおうち たくみ)
ITコア研究所グリッド&バイオ研究
部 所属
(開発企画統括部第一計画部 兼務)
現在,グリッドコンピューティング
の研究に従事。
FUJITSU.55, 2, p.139-145 (03,2004)
P139-145:03-02青校.doc
139/1 最終印刷日時:04/03/16 21:37
岸本光弘(きしもと みつひろ)
ITコア研究所 所属
(開発企画統括部 兼務)
現在,グリッドコンピューティング
の研究に従事。
鈴木俊之(すずき としゆき)
運用管理ソフトウェア事業部第一開
発部 所属
現在,運用管理ソフトウェアの開発
に従事。
139
ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトの取組み
ま え が き
わたるリソース共用を図り,ITリソースの柔軟
な提供を実現する。
近年のネットワークインフラの普及・性能向上に
(2) 自律的な構成制御,統一的な管理によるTCO
伴い,e-ビジネスはますます大規模化,複雑化が進
(Total Cost of Ownership)削減,安定した業務
み,さらに企画から開発・実稼働までのサイクルが
運用基盤を提供する。
短くなってきている。さらに,実稼働してからも,
(3) 最適なリソース割当てや動的リソース割当て
頻繁に機能追加や仕様変更,処理性能の拡大が要求
によって,システム負荷の変動への対応や,IT
される。そのためe-ビジネス分野では,多様な情報
リソースの所在に依存しない利用を可能にして,
システムを,柔軟に,低コストで,信頼性を確保し
ITリソースの有効活用・利用拡大を図る。
つつ構築・運用する技術が求められている。
このような課題を解決する技術として期待されて
(4) 負荷分散・フェイルオーバ(故障時切替え制
御)・ディザスタリカバリ(災害時復旧)などの
いるのが,「ビジネスグリッド」である。ビジネス
機能による,高信頼システムの構築を容易にし,
グリッドとは,科学技術計算分野において分散した
社会システムの高信頼性・安全性向上を図る。
スーパーコンピュータを有効利用するために用いら
ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト
れるグリッドコンピューティング技術を,アプリ
ケーション統合のためのWebサービス技術と融合さ
こうしたビジネスグリッド技術への社会的要望に
せたもので,グリッド技術をビジネス分野にも適用
応えるべく,経済産業省の「フォーカス21」の一
可能にするものである。ビジネスグリッドコン
環として,ビジネスグリッドコンピューティングプ
ピューティングプロジェクトは,ビジネスグリッド
ロジェクトが開始された。
技術を開発することを目的として発足した。本プロ
「フォーカス21」は,経済産業省が推進する経
ジェクトでは,ビジネスグリッドミドルウェアの設
済活性化のための研究開発プロジェクトで,研究開
計・開発を進めるとともに,開発する技術を
発の成果が迅速に事業化に結びつき,産業競争力強
Global Grid Forum(GGF)などの標準化団体に
化に直結するような経済活性化のための研究開発
提案することで積極的に標準化する活動に取り組ん
プロジェクトである。企業のコミットメント(資
でいる。
金・人材など)を前提として,短期間で実用化,
本稿では,本プロジェクトを取り巻く状況,開発
事業化に直結するプロジェクトを選定するもので,
する技術,および標準化活動への取組みについて述
(1)ライフサイエンス,(2)情報通信,(3)環境,
べる。
(4)ナノテクノロジ・材料の4分野が対象である。
ビジネスグリッドの目的
近年の高性能ネットワークインフラの普及と,企
業・社会活動のサイクル短期化に伴い,機能および
本プロジェクトは,2003年度から2005年度まで
の3箇年の活動を予定しており,富士通のほかに,
日立製作所,日本電気,産業技術総合研究所などが
参加している。
性能に関する変更が容易な情報システムを,簡単か
本プロジェクトでは,とくに重要と判断される以
つ確実に構築・運用するための技術が求められてい
下のようなユーザ要件を抽出し,技術開発を進めて
る。ビジネスのIT化には,ハードウェアとソフト
いる。
ウェアの購入・開発のための初期投資,そしてます
● 企業内情報システムの効率化
ます増大する運用コストが必要であり,これらが
現在の企業内情報システムは,各システム単位で
IT活用の障壁になっている。こういった問題を解
の固定的なITリソース割当てがされている。また,
決し,手軽にITを活用可能とするとともに,社会
各システム単位に最大負荷に合わせて個別にITリ
性を増していくシステム運用・情報保全を安全に実
ソースを用意しており,全体での最適化がされてい
現できるようなITインフラを確立することが,ビ
ない。さらに,高信頼化(システムの多重化など)
ジネスグリッド技術の目的である。すなわち,
を含め,複雑化する個別システムの構築・運用コス
(1) データセンタを統合したネットワーク全体に
140
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トは増大している。
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ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトの取組み
そこで,ビジネスグリッドミドルウェアを用いて,
しかし,現状は,業務アプリケーションに必要な
各企業内情報システムの負荷変動に合わせITリ
ITリソースを固定的に割り当てているため,期間
ソースを動的に共用し,ITリソース利用を最適化
が限定される販売促進キャンペーンなどを固定的な
するとともに,高信頼化を含めてIT基盤・運用管
センタ設備でまかなうには,初期導入・維持コスト
理を共通化することにより,企業内情報システムで
が課題になる。単一のセンタでまかなえない場合,
の最適なITリソース利用,構築・運用コストの削
ほかのセンタのITリソースを利用することになる
減を実現する(図-1)
。
が,それには業務システムの改造コストが課題と
● 計画的な負荷増大への対処
なる。
インターネットの普及によって,イベント・キャ
ビジネスグリッドミドルウェアにより業務アプリ
ンペーンなどの期間限定業務でのデータセンタ利用
ケーションにITリソースを動的に割り当てること
が増えてきている。コンサートや国際会議などの予
で,イベントなどの負荷予測に合わせたITリソー
約システム,ライブ中継,電子会議などのシステム
ス有効活用や,複数のデータセンタのITリソース
運営や,販売促進キャンペーンなどの一時的に負荷
を利用した負荷増大への対応が可能となり,安定し
増大が予測される場合のシステム拡張を柔軟かつ安
た業務システムを実現できる(図-2)
。
価に行いたいという要件がある。
ビジネスグリッドでの解決
現状の企業内システム
人事・総務
経理
人事・総務
経理
受注
生産管理
顧客管理
グリッドミドルウェア
受注
生産管理
顧客管理
運用管理者
運用管理者
運用管理者
・・
・
図-1 企業内ITシステムの効率化
Fig.1-Efficient usage of in-house IT systems.
Aデータセンタ
ITリソース
YYストア ∼ 期間限定セール
XXチケット販売会社 ∼ コンサート予約
時間
ビジネスグリッド
ビジネスグリッド
Bデータセンタ
ITリソース
他センタ設備
負
荷
(予約・利用状況)
自センタ
設備
(予約・利用状況)
時間
イベント/キャンペーン期間 時間
・・・
図-2 計画的な負荷増大への対処
Fig.2-Managing increases in expected load.
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141
ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトの取組み
● e-Japan(1)システムにおける高可用性の実現
ドミドルウェアは,複数のスーパーコンピュータセ
e-Japanでは,住民票発行や各種申請手続きなど
ンタ間を接続し,認証や認可といった実用的なセ
の行政サービス,投票など電子政府の実現のために
キュリティ基盤を提供し,分散リソースの検索と監
データセンタの活用が検討されている。しかし,大
視を実現している。さらに,遠隔サイトでのアプリ
規模な地域災害などでデータセンタが致命的な障害
ケーション実行や,広域分散したデータへの高速ア
に陥った場合,運用が継続できなくなるばかりか,
クセス手段を提供している。
住民情報など重要な情報が失われてしまう危険性が
しかし,従来のグリッド技術をビジネス分野のシ
ある。従来,この種の災害対策はシステムごとに個
ステム構築に適用するとなると,解決すべき課題が
別に対応したため,多大なシステム開発コストが掛
いくつも残されている。まず,ビジネスグリッドの
かり,重要業務のIT化の障害となっていた。
相互運用性を実現するために,グリッドミドルウェ
ビジネスグリッドでは標準的な障害復旧メカニズ
アが使用するプロトコルを統一する必要がある。ま
ムを提供し,比較的低コストで,ほかの地域のデー
た,多数の異種のハードウェアやソフトウェアから
タセンタにデータと処理を退避し運用を継続するシ
構成される複雑な業務アプリケーションを運用する
ステムを構築できるようになる。これにより,e-
ために,それらの構成要素を統一的に管理する仕組
。
Japanシステムの高可用性が実現できる(図-3①∼④)
みが必要となる。さらに,これらの基盤の上にIT
ビジネスグリッドミドルウェア
ここでは,本プロジェクトで開発しているビジネ
スグリッドミドルウェアについて紹介する。
● Open Grid Services Architecture(OGSA)
リソースの仮想化機能やグリッドシステムの自律化
機能を構築することによって,業務ア プ リ ケー
ション運用の高信頼化・効率化を実現しなければ
ならない。
OGSAは,Webサービスを機能拡張したグリッド
現在,本プロジェクトでは,Open Grid Services
サービスを機能要素とすることで,グリッドシステ
Architecture(OGSA)(2)に基づいて,ビジネスグ
ムのプロトコル統一を実現している{Open Grid
リッドミドルウェアの開発を進めている。OGSAと
(5) Web Services
Services Infrastructure(OGSI),
は,様々な業務アプリケーションを結合するWeb
Resource Framework(WSRF) (6) }。また,業務
サービス技術と,分散したコンピューティングリ
アプリケーションの管理・制御に関しても,Web
ソースを仮想化して共有するグリッドコンピュー
サービス技術の開発成果を生かすことができる。さ
ティング技術とを融合させた,次世代グリッドシス
らに,OGSAは,ITリソースの仮想化やグリッドシ
テムの標準アーキテクチャである。OGSAは,グ
ステムの自律化に必要な機能要素について規定して
リッドコンピューティング技術をビジネス分野にも
いる。
適用・拡張することを可能にする。
● ビジネスグリッドミドルウェアの特徴
グリッドコンピューティングは,科学技術分野に
前述のOGSAに基づいて,ビジネスグリッドミド
お い て , 目 覚 し い 成 功 を 収 め て き た 。 Globus
ルウェアは,複雑な構成を持つ業務アプリケーショ
Toolkit(3)やUNICORE(4)に代表される多くのグリッ
ンを簡便・柔軟に運用するため,また,多種多様の
ITリソースを利用しやすくするために,以下の特
徴を備えている。
都道府県ネット
(1) 業務アプリケーションに関する情報を,一定
②データセンタ間のバックアップ
の形式で記述・保持することができる。また,
③災害発生!
①東京のデータセ
ンタを利用
業務アプリケーションを任意のITリソース上に
展開するための手順(ジョブ制御フロー)を容
易に指示できる。
④大阪のデータセ
ンタに誘導
図-3 e-Japanにおける高可用性の実現
Fig.3-Providing highly available operation for e-Japan.
142
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(2) 業務アプリケーションが利用するITリソース
を,ホスティング環境として仮想化する。ホス
ティング環境とは,サーバ・ストレージ・ネッ
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ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトの取組み
トワークといったハードウェアとOS・アプリ
ケーションサーバ・DBMSなどの基盤ソフト
ITリソース上への展開を行う。
(3) システム構成管理機能
ウェアを組み合わせて,それらの提供する機能
システムの多種多様な構成要素を統一されたモデ
を共通インタフェースを介して利用できるよう
ルとインタフェースで把握・操作できるようにして,
にする仕組みである。
それら構成要素を一元的に管理する。
(3) さらに,これらの特徴に基づき,業務アプリ
(4) 自律制御機能
ケーションを分散配置されたITリソース上に自
システム構成要素の故障に対応し,自動的にIT
動展開することや,動作中の業務アプリケー
リソースの切替えを行ったり,処理負荷の増大に対
ションを別のITリソース上に移動・拡大するこ
応してITリソースを追加割付したりする。
(5) そのほかの基本機能
とができる。
また,ビジネスグリッドミドルウェアは,業務ア
上述の機能群の基礎となる,セキュリティ機能や
プリケーションを月または年というタイムスケール
ユーザ管理の機能,イベント通知機能などを提供
で運用するために,以下の特徴を備えている。
する。
(1) ITリソースの事前予約機能により,指定され
標準化への貢献
た期間の業務アプリケーション実行を保証する。
(2) 適切な予約設定により,長期的に見たITリ
for the Advancement of Structured Information
ソースの利用効率を最適化する。
●
本プロジェクトは,GGF(7)やOASIS(Organization
ビジネスグリッドミドルウェアのアーキテク
Standards)(8)などの標準化団体に対して,開発し
チャ
た技術の標準化を積極的に提案している。
ビジネスグリッドミドルウェアのアーキテクチャ
を図-4に示す。ビジネスグリッドミドルウェアは,
以下に挙げる機能要素の集合体として実装される。
(1) ジョブ実行管理機能
2003年12月現時点では,以下の標準化グループ
の活動に積極的に貢献している。
(1) OGSA-WG(GGF)
グリッドシステム全体のアーキテクチャを規定す
業務アプリケーションをジョブという単位で管理
るOGSAを策定している。グリッドシステムに必要
する。ジョブ実行要求に応じて,ユーザ認証,ジョ
な機能要素のセットと,それら機能要素間の相互関
ブに適したITリソースの検索,ITリソースの事前
係について規定する。
予約を行い,ジョブの実行状態を管理・制御する。
(2) リソース管理機能
(2) OGSI-WG(GGF)
グリッドシステムの機能要素となるグリッドサー
システムが持つすべてのリソースを管理する。さ
ビスの仕様OGSIを策定し,現在はOGSIに改善を
らに,ジョブの実行に必要なプログラムやデータの
加えた仕様であるWSRFの検討を進めている。
個々のグリッドサービスの基本的な機能と,グリッ
ドサービス間連携のための統一されたインタフェー
自律制御
システム
構成情報
負荷分散
故障切替制御
スを規定する。
ジョブ実行管理
リソース管理
ブローカ
(3) JSDL-WG(GGF)
ジョブ制御
ワークフロー
配付管理
ジョブ再開機能
ポリシー管理
ビジネスグリッド
ミドルウェア
高信頼メッセージング
セキュリティ
災害時復旧
システム
構成管理
OGSI/WSRF
ホスティング環境
OS
図-4 ビジネスグリッドミドルウェアのアーキテクチャ
Fig.4-Architecture of Business Grid Middleware.
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ジ ョ ブ の 実 行 要 求 を 記 述 す る 標 準 言 語 , Job
Submission Description Language(JSDL)を策
定する。
(4) GRAAP-WG(GGF)
グリッドシステムが,コンピューティングリソー
スを確保・スケジューリングする際に用いる,スケ
ジ ュ ー ラ と リ ソ ー ス の 間 の プ ロ ト コ ル Grid
Resource Allocation Agreement Protocol(GRAAP)
を策定している。
143
ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトの取組み
JSDL-WG
GRAAP-WG
自律制御
故障切替制御
システム
構成情報
ブローカ
ジョブ制御
配付管理
ワークフロー
ジョブ再開機能
ポリシー管理
WSDM TC
ビジネスグリッド
ミドルウェア
OGSI-WG
WSBPEL TC
ジョブ実行管理
リソース管理
システム
構成管理
CMM-WG
負荷分散
セキュリティ
災害時復旧
WSReliability
高信頼メッセージング
CDDLM-WG
OGSI/WSRF
ホスティング環境
• OGSA-SEC-WG
• OGSA-AuthZ
OS
:GGF
WG:working group
:OASIS
TC:technical committee
★:全体アーキテクチャはOGSA-WGで,
個別の具体仕様は各WG/TCでそれぞれ
策定される。
図-5 ビジネスグリッドと関連する標準化グループ
Fig.5-Business Grid standardization activities.
現在は,確保するリソースの条件を指示・決定す
いる。
(9) OGSA-AuthZ(GGF)
るためのWS-Agreement仕様を策定している。
OGSAにおけるセキュリティ技術のうち,ユーザ
(5) WSBPEL TC(OASIS)
複数のWebサービスやグリッドサービスを組み合
わせてひとまとまりの処理とするワークフローに関
し て , そ の 記 述 言 語 で あ る Business Process
Execution Language(BPEL)の仕様を策定し
に与える権限を制御する認可機構について標準仕様
を策定している。
ビジネスグリッドの機能要素と各々の標準化グ
ループとの関係を示したのが,図-5である。
ている。
む
(6) CDDLM-WG(GGF)
す
び
複雑なアプリケーションを自律的に展開・制御す
本稿では,ビジネス分野の情報システムを,柔軟
るのに必要な,コンピューティングリソースの組織
に,低コストで,かつ信頼性を確保しつつ構築・運
的 な 設 定 ・ 管 理 ・ 制 御 の 枠 組 ( CDDLM :
用するための技術としてビジネスグリッド技術を確
Configuration
and
立することを目指す,ビジネスグリッドコンピュー
Lifecycle Management)について,標準化を進め
ティングプロジェクトの取組みについて紹介した。
Description
Deployment
本プロジェクトは,経済産業省の重点分野研究開
ている。
(7) CMM-WG(GGF)/WSDM TC(OASIS)
グリッドシステムが管理する,多種多様な分散し
たコンピューティングリソースを管理・制御するた
めの,統一された技術について検討している。
発事業(ビジネスグリッドコンピューティング)の
一部と位置付けられている。
本プロジェクトでは今後,開発作業と併せて,開
発したビジネスグリッドミドルウェアの有効性を実
CMM-WG は グ リ ッ ド 固 有 の 問 題 分 析 を ,
証する(実際のお客様の協力を得て実証実験を行
WSDM TCは基盤となるWebサービス管理技術に
う),開発成果をオープンソースとして公開する,
ついての検討を進めている。
といった活動も行う。また,プロジェクトに参加す
(8) WS-Reliability(OASIS)
グリッドサービス間通信に利用するWebサービス
間の高信頼メッセージング技術の標準化を進めて
144
P139-145:03-02青校.doc
る各社は,自社製品にプロジェクトでの開発成果を
フィードバックして,製品の競争力強化を図ること
となる。
FUJITSU.55, 2, (03,2004)
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ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトの取組み
参 考 文 献
(1) 「e-Japan重点計画-2003」.高度情報通信ネット
ワーク社会推進戦略本部.
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/030808honbun.pdf
(2) I. Foster et al .: The Open Grid Services
Architecture.OGSA Working Group,Global Grid
Forum,November 3,2003.
(3) Globus Toolkit.The Globus Alliance.
http://www.globus.org/
(4) UNICORE.Unicore Forum.
(5) S. Tuecke et al.
:Open Grid Services Infrastructure
(OGSI) version 1.0.OGSI Working Group,Global
Grid Forum,June 27,2003.
(6) Web Services Resource Framework (WSRF).The
Globus Alliance.
http://www-fp.globus.org/wsrf/default.asp
(7) GridForge.Global Grid Forum.
http://forge.gridforum.org/
(8) OASIS.
http://www.oasis-open.org/
http://www.unicore.org/
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