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RIDAI SCITEC NEWS vol.16

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RIDAI SCITEC NEWS vol.16
RIDAI SCITEC NEWS
東京理科大学 がもつ
最先端のテクノロジーとノウハウを
産業界につないでいます。
テーマ
見えないチカラが見えてくる。
s
Seed
̶
シミュレーション技術で、未来をつくる̶
特集 ─
待ち行列を
「見える化」
する。
産業界
経営学部 経営学科
教授 [工学博士] 能上 慎也
ヒトの歩行を
「見える化」
する。
東京
理科大学
理工学部 機械工学科
講師 [博士(工学)] 竹村 裕
ヒトの避難行動を
「見える化」
する。
東京理科大学
科学技術交流センター
(承認TLO)
火災科学研究センター
講師 [博士(工学)] 水野 雅之
見えないチカラが見えてくる。
専任のコーディネーターが
サポートいたします。
産学官連携をサポートするワンストップ窓口。
東京理科大学 科学技術交流センター
(承認TLO)
〒162-8601 東京都新宿区神楽坂1-3
TEL:03-5225-1089 E-mail:[email protected]
FAX:03-5225-1265
山口センター
諏訪センター
〒756-0884 山口県山陽小野田市大学通1-1-1
TEL:0836-88-3500
FAX:0836-88-3400
〒391-0292 長野県茅野市豊平5000-1
TEL:0266-73-1201
FAX:0266-73-1230
http://www.tus.ac.jp/tlo
東京理科大学TLO
検索
野田分室
■特許情報 ■研究情報ピックアップ ■セミナー・講演会の開催日程 〒278-8510 千葉県野田市山崎2641
TEL:04-7122-1724
FAX:04-7122-1139
■RIDAI SCITEC NEWSバックナンバー など
経営学部 経営学科 教授 能上 慎也
201207D3000
vol.16
2012.7
今号のテーマ
シミュレーション
見えないチカラが見えてくる。
̶
シミュレーション技術で、未 来を つくる̶
「モノづくり日本」
が、最近元気がありません。
かつては、技術立国・技術大国と世界中から評価され、
その優れたイノベーション創生力で
世界をリードしてきた日本ですが、最近では海外勢に押され気味の感が否めません。
しかし、
日本には底ヂカラがあります。
進化し続けるシミュレーション技術も、
日本を再び、世界に冠たる
「モノづくり大国」
に押し上げるための
底ヂカラのひとつであると東京理科大学は考えます。
複雑な事象・現象を、考え得る様々な条件等を考慮して解析し、見えなかったコトを
“見える化”することが
できるシミュレーション技術。
コンピュータの計算能力の驚異的な進歩やITの進展、
さらには画像処理技術の高度化によって、
シミュレーション技術も飛躍的に高度化し、
モノづくりの革新を
強力にバックアップすることが可能になっています。
東京理科大学では、様々な分野でシミュレーション技術を活用することにより、見えないチカラを
“見える化”
し、企業のイノベーション創生や課題解決に貢献します。
P3 - 4
特集
1
待ち行列を
「見える化」する。
経営学部 経営学科 教授[工学博士] 能上
P5 - 6
特集
2
慎也
ヒトの歩行を
「見える化」
する。
理工学部 機械工学科 講師[博士(工学)
] 竹村
P7- 8
特集
3
ヒトの避難行動を
「見える化」
する。
火災科学研究センター 講師[博士(工学)
] 水野
P9 -10
1
裕
雅之
東京理科大学「シミュレーション/計測」技術一覧
RIDAI SCITEC NEWS │ VOL.16 │東京理科大学 TLO
2
特 集 ① 見えないチカラが見えてくる。
待ち行列を
「見える化」
する。
伝統的待ち行列を拡張させた「VCHS型待ち行列」
制御対象外であった待ち行列を、
行列に並ばなければならないシーンは、
アクティブにコントロールする。
アクティブで適応的な待ち行列システムを対象にコンピュータシミュレーションを行い、
適用性や効率性の観点からパフォーマンス向上の可能性を探る。
しています」。
日常生活のいたる所に存在する。週末の
従来の待ち行列ではすべての利用者
スーパーのレジ、
月末の銀行のATMコー
が同質のジョブをもっていること、窓口(サ
ナー、
テーマパークの人気アトラクション、
な
ーバー)はすべて同一の処理能力をもっ
どなど。
こうした行列について数理モデル
ていることを前提としており、
もち込むジョ
等を用いて解析するというのが、
いわゆる
ブも、窓口
(サーバー)
の処理能力も異なる
「待ち行列」システムである。一般にこの
という前提で待ち行列をシミュレーションす
「待ち行列」システムは、応用数学のオペ
るのは、
これまで行われていなかった。
レーションズ・リサーチの一分野として研究
「拡張型の待ち行列についての特性を
されてきたが、能上氏はそうした待ち行列
明らかにしていくことで、将来的には経営
の基礎理論をベースとして、工学的視点
の意思決定プロセスを効率化するための
で待ち行列を研究している。
アルゴリズム開発などにも応用できるので
基 本 的な待ち行 列を拡 張させたもの
はないか、
と考えています。
また、私たちの
のひとつに能 上 氏 の 命 名した「 V C H S
研究を一般企業などの方々に興味をもっ
(=Various Customers, Heterogeneous
ていただいて、
“パラメータをこういうふうに
Servers)型 待ち行 列モデル」がある。
変えれば、
こうしたシーンで実務的な応用
ができるのではないか”
といったご意見を
をもって到着する時に、能力の異なるどの
いただけると、飛躍的に研究が進むので
窓口(サーバー)
を割り当てて処理させる
はないかと思っています。」
と、能上氏は実
のが最も効率がよいか、
ということを研究
務への応用に意欲を見せる。
prof ile
「利用者が、それぞれに質の異なるジョブ
経営学部 経営学科 教授[工学博士]
能上 慎也( のがみ しんや )
専門分野は、情報通信ネットワーク、
トラフィックといっ
た通信・ネットワーク工学分野であるが、大学院時代
「受動型待ち行列」から
「能動型待ち行列」への転換
従来からある待ち行列モデル(並列窓口待ち行列)
待ち行列
能上氏の研究する
「VCHS型待ち行列」
間を変えたり、適応的に列の数を増減する
のが、
「AACQ(=Actively, Adaptively
など、サービスシステムを自ら制御する能
ーマをさらに深く掘り下げた研究を行う。2006 年より
Controlled Queuing:アクティブ適応型待
動型のものです。
これにより待ち行列の全
東京理科大学経営学部にて研究に取り組み、現在
ち行列)
」である。
「待ち行列の基本的な研
体的なパフォーマンスを効率化できるので
に至る。
究はほぼし尽くされた感があります。適切
はないか、
またそれがどれほどの意味をも
なモデル化と、
コンピュータパワーにより、
い
つのかということを研究しています」。
退出
退出
待ち行列
退出
退出
到着
●
3
スーパーのレジ ● みどりの窓口 など
退出
です。
しかし、従来の待ち行列の特性は、
ムなどを制御することで、待ち行列自体の
利用者の到着数によって変化するという
パフォーマンスへ積極的に関与するこの
受動型のものに限られていました。
これに
「AACQシステム」
もまた能上氏が名付け
対し、今取り組んでいるのは、
むしろサービ
た研究室独自のものであり、今後の可能
スの提供側がアクティブにサービス提供時
性が期待される研究である。
coordinator
担当コーディネーター の"サンギョウ"メッセージ
ひらの
様々なジョブ
客
サービスの提供側がアクティブにシステ
— 産業界へ向けて、本シーズの魅力を三行に凝 縮してお伝え致します—
窓口 : 様々な処理能力のサーバー
窓口
TLOコーディネーター 科学技術交流センター
さとる
平野 智(弁理士)
相互に影響し合うヒト、モノ、カネの動きを「見える化」する。
待ち行列は、例えばコンビニのカウンターに顧客が列をなす挙動を解析する理論です。
こ
ランダムに到着
戦略に従って
割り当て
れまでは顧客だけに注目していましたが、
カウンターにいる店員の能力や性質およびコスト
退出
理論というテーマとも関連性が深く、博士課程修了後
能上氏の研究の中で、
さらに興味深い
くらでも厳密解に近い値を計算できるから
■ 基本の待ち行列モデルとVCHS型待ち行列モデル
の恩師の勧めで、
「待ち行列」
の研究に取り組むよう
になる。待ち行列システムは、情報通信のトラフィック
の概念までも含めたシミュレーションを進め、最適な解を提案します。
は、
民間の通信会社の研究機関で応用も含めて同テ
研究テーマ
●
P2Pにおけるネットワーク制御
●
ネットワークのトラフィック設計/制御/評価
●
情報通信システムのシミュレーション評価
●
経営事業開拓戦略に関する情報ネットワーク工学
からのアプローチ
●
マッチング問題 など。
関連特許
特開2009-193411
「サーバ割り当て方法及びサーバ割り当て装置」
発明者/能上 慎也
出願人/学校法人 東京理科大学
能上研究 室
専門
情報システム&ネットワーク
(トラフィック制御と待ち行列理論)
日常や社会の様々な場面で遭遇する
「混雑現象」
「確
率的に状態が変動する現象」
を対象に、
より便利で快
適に、
そして効率良く対処するための方法を研究。
モ
デルを作成した上で、様々な理論やシミュレーション技
術を駆使して物事の本質を探り、
その仕組みを明らか
にして解決法を提案していく
「実践的な研究」
に取り
組んでいる。
RIDAI SCITEC NEWS │ VOL.16 │東京理科大学 TLO
4
特 集 ② 見えないチカラが見えてくる。
ヒトの歩行を
「見える化」
する。
歩行メカニズムを解明。
高齢者の転倒を防止するデバイスの開発へ向けて。
ヒトの歩行メカニズムを解明し、
病理診断システムやデバイス開発に生かす。
東京消防庁がまとめた報告書「救急搬
「ヒトの触覚に振動を与えると感度がよ
送データからみる日常生活事故」
(2011
くなる、
ということはすでにわかっていま
年発表)によると、2006∼2010年に東京
す。そして、触覚の感度を上げるとバラン
歩行時の転倒を防ぐデバイスや、
消防庁管内での搬送人数のうち44%が
スがよくなり、歩行も安定します。それによ
がんの早期発見につながるシステムを。
65歳以上の高齢者で、
このうち7割超が
って、転 倒を防ぐことも可 能になるので
転倒であったという。高齢社会が進展す
す。
ロボティクスを研究していますので、サ
る日本において、高齢者の転倒事故は大
イバーダイン社 が 開 発しているH A L R
きな問題となっている。
しかし、何故転ん
(Hybrid Assistive Limb:装着すること
だのか、
というメカニズムについては、意
でヒトの動きを補助するパワード・スーツ)
外にわかっていない。
のようなデバイスの開発を考えたこともあ
りますが、それよりもヒトの触覚に直接一
などの計測装置を駆使してヒトの歩行を
定 の 刺 激を与えることで、
ヒトが 本 来も
解析・シミュレーションし、転倒の真因究明
っている感 度を上 げ 、結 果 的に転 倒な
に取り組んでいる。すでにこの研究では
どを防 止 するデバイスの 開 発を目指し
竹 村 裕( たけむら ひろし )
一定の成果をあげており、その成果をもと
たのです 」。このデバイスについては、特
子供の頃から機械いじりが好きで、長じてロボットに興
に転倒防止につながるデバイスの開発に
許の取得に向けた準備も進めている。
味をもち、大学では情報工学とロボットの研究に没頭
着手している。
広げているが、
それぞれの分野に、明確な目標をもって
いる。
ロボティクスについては、一家に一台のサービス
ロボットがあるという社会の実現。
バイオメカニクスで
は、人間の動きを解明すること。
そしてバイオイメージン
グにおいては、研究成果を製品化できるフェーズに来
竹村研究室の研究対象は幅広い。
もと
が、私たちが目指しているのは、内壁を透
もとロボティクスを専門としていた竹村氏
過して、
さらにその奥を見えるようにする
だが、
ロボットの移動に応用する目的で、
技術です。」
と竹村氏はいう。
ヒトの歩行を研究するバイオメカニクス分
すでに要素技術については実用化が
野に手を広げた。
さらに画像認識や物体
可能なレベルに到達している。
「あとは、
認識などロボットビジョンの研究を生かし
小型化と画像の鮮明化が課題として残っ
て、バイオイメージング分野へとつなげて
ています。小型化自体はそれほど難しい
いった。現 在バイオイメージング分 野で
問題ではなく、
むしろ画像の鮮明化がクリ
は、近赤外光を利用した内視鏡や、画像
アすべき課題です。
この技術を製品化で
処理技術を応用した病理診断支援シス
きれば、がんの早期発見を可能にする診
テムの研究開発が進められている。
断システムを構築できます。」
と竹村氏は
「今の内視鏡の仕組みは、デバイスを
実用化に自信を見せる。
体の中に入れて内壁を観察するものです
coordinator
担当コーディネーター の"サンギョウ"メッセージ
— 産業界へ向けて、本シーズの魅力を三行に凝 縮してお伝え致します—
COP trajectory
Feature point
ひらの
TLOコーディネーター 科学技術交流センター
さとる
平野 智(弁理士)
ヒトはどのように歩いているのかを「見える化」する。
ヒトは二本足で歩きます。
しかし、歩き方は人によって、年齢によって、道によって、大きく違
います。最近では、
「寝たきり」
の原因となる高齢者の転倒は社会的な問題となっていま
す。歩き方が
「見え」
れば、
QOL
(Quality Of Life)向上の一助となります。
5
した。
ロボティクスを出発点として、現在ではバイオメカ
ており、早期の製品化が目標となっている。
研究テーマ
●
足底皮膚変形に着目した歩行運動の解析
●
医療画像処理に関する研究
●
足底触覚刺激が歩行安定に与える影響に関する
研究
●
転倒や転倒による怪我の予防に関する研究
●
6自由度足首関節計測・アシスト装置に関する研究
など。
関連特許
特願2012-110839 ※未公開特許
「癌細胞領域抽出装置、方法、及びプログラム」
発明者/竹村 裕 他
出願人/学校法人 東京理科大学
竹 村研究 室
■ 独自に開発した計測装置による歩行実験
短下肢アシスト
デバイスによる
連動計測
理工学部 機械工学科 講師[博士(工学)]
ニクスやバイオイメージングの分野にまで研究テーマを
ロボティクスから、バイオメカニクス、
そしてバイオイメージングへ。
足底変形及び床反力同時計測
prof ile
竹村研究室では、モーションキャプチャ
専門
バイオメカニクス/
バイオメカトロニクス
ヒトは無意識に非常に複雑な運動である歩行を実現
しているが、
そのメカニズムは未解明な点が多くありま
す。
ロボットをより上手に歩かせるためには、
また、高齢
者の転倒による怪我を防ぐためには、
ヒトのメカニズム
をより深く知る必要があります。本研究室は生体機械
工学を軸としたヒトの動作の計測・モデリング・コント
ロールを展開しています。足裏の触覚や神経伝達に
着目した歩行動作メカニズムの解明や高齢者の転倒
や転倒による怪我の予防に関する研究、
リハビリ支
援用局所筋力制御に関する研究などを行っています。
RIDAI SCITEC NEWS │ VOL.16 │東京理科大学 TLO
6
特 集 ③ 見えないチカラが見えてくる。
ヒトの避難行動を
「見える化」
する。
人はいつ逃げ始めるのか。
火災シミュレーションが教えてくれたこと。
見えない不安を解消。
平成23年度版消防白書(総務省消防
的に、火災報知機が鳴り出したとしても、
避難行動シミュレーションで身を守る。
庁)によると、火災による平成22年中の年
人はそれだけで、火事が発生したとは考
間死者数は1,280人(放火自殺者等除く)
えないものです」。
まずは異変に気づく、次
火災発生時の避難行動をシミュレートし、
で、死 亡に至った経 過をみると「 逃げ 遅
の段階で火事を認知し、その上で避難と
社会に火災安全の啓蒙と普及を。
れ」が709人で55.4%を占めている。
また死
いう行動に移るというのだ。
因についていえば、一酸化炭素中毒・窒息
「あるホテル火災を調査した時に、
ホテ
によるものが559人で一番多く、次いで火
ルの従業員が火災に気付いて、
まずは火
傷531人となっている。
元を探索し消火活動にあたったそうです。
30
105
sec.
75
sec.
sec.
120
sec.
結局は火を消し止めることができずに、
あ
による死亡事故を防ぐためには、何をどう
る段階で避難指示を出したそうです。本
対策すればいいのか」
という研究に取り組
来、火災に気付いたら消火できるか的確
んでいる。
「現在は住宅の火災安全という
に判断し、他の人に知らせたり避難するこ
テーマで研究をしていますが、最初に取り
とが大切なんです。過去の火災事例を見
組んだのは建物からの避難時間を計算
ても、火元の探索や消火活動に執着しす
式で表すというものです」。
この避難時間
ぎた事例ほど、死亡事故につながりやす
に関する研究を進める中で、水野氏は「人
かったのです。」
と、水野氏は万が一の場
はいつ逃げ始めるのか」が重要なポイント
合の適切な行動の重要性に言及した。
なのではないかと考えるにいたる。
「一般
sec.
150
sec.
180
sec.
※緑の範囲が火災の成長に伴う影響範囲の大きさを表す。※解析条件として、列車到着を想定せず、
ホーム上の人のみでモデル化。
■ 地下鉄駅ホームでの実態調査における避難シミュレーションの例
[上は3D、下は2D]
真俯瞰のシミュレーション
日本ではこの分野の研究に取り組む大学は少なく、東
京理科大学はとりわけこの分野では優れた業績をあ
げていることも、当該分野を選んだ背景であるという。
水野氏は、火災による煙流動と避難行
くか、それに伴って人々の避難行動はどう
動を統合したシミュレーションの開発という
なるのか、
ということをシミュレーションで
「見える化」
しているのである。
「シミュレーションは、見てわかる、
という
住宅火災の死者発生過程の分析
●
火災時の危険回避行動に関する研究
●
避難シミュレーションの開発
●
二重鋼管柱の構造耐火に関する研究
●
地下鉄駅舎の避難安全評価
●
建築防災設計における工学的評価手法の開発
を一緒にやってしまうというのは、
これまで
どれぐらい滞留してしまうかは計算するこ
になかったことです。」
と水野氏はいう。
こう
ともできますが、
シミュレーションを使うと、
ビ
など。
した研究は内外から高く評価を受け、東京
ジュアルで見えるので、
とてもわかりやすい
消防庁からの委託で、避難シミュレーショ
のです」。
こうしたわかりやすさによって、
関連特許
ンソフトを納入した実績もある。
防災の知識や防災意識がない人にとって
また、水野氏は、地下鉄ホームでの避難
も、火災安全の重要性を理解してもらうこ
安全評価シミュレーションの研究にも意欲
とができ、
ひいては水野氏が目指す「社会
的だ。
ホーム内の任意の場所で火災が発
に火災安全を普及させる」ことにつながる
生した場合に、煙がどのように広がってい
だろう。
coordinator
担当コーディネーター の"サンギョウ"メッセージ
かつのり
角田 勝則
火災を「見える化」すれば、不安が軽減する。
7
●
ことが利点です。火災の際に、人がどこに
TLOコーディネーター 科学技術交流センター
※解析条件として、列車到着を想定し、
出火元より左側6両分のみをホームへの人の供給部分としてモデル化
(車内には煙が溜まらない)
。
※空間の色によって煙層の高さを表現しており、煙層の下端高さが設定された高さ以下に降下するに従って色が変化する。
また、断面表示によって煙層の厚さも表示できる。
研究テーマ
ションは別々に扱われていました。
この2つ
つのだ
2Dシミュレーション
(火災発生後の途中経過)
大学時代は建築を専攻していたが、卒業研究として
材料のすべてに関連をもつ建築防災に興味をもつ。
— 産業界へ向けて、本シーズの魅力を三行に凝 縮してお伝え致します—
2Dシミュレーション
(火災発生前)
水 野 雅之(みずの まさゆき)
取り組むテーマと所属研究室を決めるにあたって、建
火、煙、そして人の動き。
統合シミュレーションで火災安全普及を。
では、火災シミュレーションと避難シミュレー
sec.
火災科学研究センター 講師[博士(工学)]
築の主たる要素である意匠や建築計画・構造・設備・
テーマにも取り組んできた。
「従来の研究
135
prof ile
90
60
sec.
こうした背景を受けて、水野氏は「火災
火災に遭遇すると、大抵のヒトはパニックになります。
パニックにならないためには
「敵(火
災)」
を知ること
(シミュレーション、
「見える化」)
が必要です。火災科学研究センターでの
実験も併せて、様々な災害対策を提案します。
特開2006-309456
「安全性評価装置及び安全性評価方法」
発明者/若松 孝旺 水野 雅之 他
出願人/学校法人 東京理科大学 他
火災科学研究センター
http://gcoe.moritalab.com/
21世紀COEプログラムの活動等で得られた先導的
研究成果を活用し、
グローバルCOEプログラムにおい
て、以下の4テーマを掲げ、特に東アジア地域におけ
る火災安全に貢献している。
1 火災リスク低減のための実効性のある教育研究
を発展・普及させる
2 火災科学の理論と大型実験施設を使用した実践
を両輪とした人材育成を図る
3 火災科学研究科の創設を目指す
(平成22年度に
国際火災科学研究科設立を実現)
4 日本の大学で唯一の大型火災実験施設の活用
をさらに推進する
RIDAI SCITEC NEWS │ VOL.16 │東京理科大学 TLO
8
東京理科大学「シミュレーション/計 測」技 術一 覧
近赤外バイオイメージングシステムの開発
タンパク質立体構造・機能予測法や
システムシミュレータの開発
ヒトの動作や知覚の特性を計測する技術の開発
理工学部 情報科学科
基礎工学部 材料工学科
基礎工学部 生物工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科
教授 大矢 雅則
教授 曽我 公平
教授 山登 一郎
准教授 清水 俊治
空間の環境評価や換気量測定、
数値シミュレーション
樹木・防風林まわりの流れの離散渦法による
渦運動の数値シミュレーション
工学部第一部 建築学科
工学部第一部 機械工学科
教授 倉渕 隆
准教授 石川 仁
非線形光学効果や偏光変調技術を用いた、
高時空間分解計測
大規模な連立一次方程式に対する反復解法
システム性能評価のためのシミュレーションの最適化
理学部第一部 化学科
理学部第一部 数理情報科学科
理工学部 情報科学科
准教授 由井 宏治
教授 石渡 恵美子
教授 宮沢 政清
コンピュータシミュレーションを活用した政策の
影響効果を数量的に解析するソフトウェアの開発
直交配列表を用いた実験計画の新しい解析法
強化学習エージェントによる電力取引市場の
シミュレーション解析
ホログラムメモリにおけるビタビ復号法
マイクロ熱流体挙動の計測と制御
界面活性剤添加による乱流摩擦抵抗低減、
レーザ利用計測とDNAシミュレーション
移レイノルズ数域における乱流の実験および
大規模数値シミュレーション
日本列島周辺海洋乱流場の組織的
渦構造の解明
理工学部 経営工学科
理工学部 経営工学科
理工学部 経営工学科
基礎工学部 電子応用工学科
工学部第一部 機械工学科
理工学部 機械工学科
理工学部 機械工学科
理工学部 土木工学科
教授 新井 健
教授 尾島 善一
講師 原田 拓
教授 山本 学
講師 元祐 昌廣
教授 川口 靖夫
助教 塚原 隆裕
教授 西村 司
株価予測・自動売買システムの構築
宇宙大型構造物制御シミュレーション
広域・高解像度三次元河川流
シミュレーション技術の開発と応用
音響・超音波計測
流体計測
(流れの可視化・圧力計測・速度計測)
コンピュータを用いた流れの数値シミュレーション
経営学部 経営学科
経営学部 経営学科
山口東京理科大学 工学部 機械工学科
理工学部 土木工学科
基礎工学部 電子応用工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科
教授 能上 慎也
准教授 下川 哲矢
教授 内海 隆行
准教授 二瓶 泰雄
教授 羽田野 甫
教授 志澤 高朗
准教授 雷 忠
確率システムの金融工学への応用
計算力学
雑音抑圧技術および画像復元技術
都市、海洋および山岳大気エアロゾルの発生、
輸送、変質、除去、環境影響に関する研究
地震動を受ける飽和砂および不飽和砂の挙動と
液状化・流動現象の解明
GPS無線センサネットワークの開発と変位計測
諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科
理学部第一部 物理学科
理工学部 土木工学科
理工学部 土木工学科
教授 相原 伸一
准教授 河合 浩志
准教授 田邉 造
准教授 三浦 和彦
教授 塚本 良道
准教授 佐伯 昌之
電気化学加工の数値シミュレーション
鉄道車両の分岐通過シミュレーションと
安全性評価に関する研究
市街地延焼拡大予測モデル
火災時の煙流動・避難行動に関する
統合シミュレーション
工学部第一部 機械工学科
工学部第一部 機械工学科
理工学部 建築学科
総合研究機構 研究センター部 火災科学研究センター
教授 山本 誠
准教授 杉山 博之
教授 大宮 喜文
講師 水野 雅之
システム/SYSTEM
AACQ
(アクティブ適応型待ち行列システム)
を
対象にしたコンピュータシミュレーション
機械/MACHINE
流体/FLUID
地球/EARTH
火災/FIRE
玉軸受の回転非同期振れに及ぼす潤滑の影響
マニュピュレータ等の多リンク機械システムの
同定と制御
大規模震災時の同時多発火災対策に関する
延焼シミュレーション及び消防力運用シミュレーション
火災周辺安全シミュレーション
理工学部 機械工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科
総合研究機構 研究センター部 火災科学研究センター
諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科
教授 野口 昭治
准教授 星野 祐
教授 関沢 愛
教授 須川 修身
高分子の局所物性計測
電気/ELECTRICITY
ソフトウェア無線に向けた
RFダイレクトサンプリング技術
光/LIGHT
理学部第一部 化学科
工学部第一部 電気工学科
助教 高橋 芳行
教授 村口 正弘
太陽光発電システム用電力変換装置の
最大電力点追従方式
帯電した人体・金属・絶縁体からの
静電気放電現象の特性解明に向けた研究
超高速・高周波回路の解析・設計
アナログ・ディジタルフィルタの設計
工学部第一部 電気工学科
工学部第二部 電気工学科
理工学部 電気電子情報工学科
基礎工学部 電子応用工学科
准教授 小泉 裕孝
講師 吉田 孝博
教授 越地 耕二
教授 相川 直幸
無線通信・ネットワーク高速変復調技術
暗状態における太陽電池モジュールストリングの
故障診断
諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科
教授 松江 英明
准教授 平田 陽一
時間依存密度汎関数法による
表面光化学反応のシミュレーション
赤外自由電子レーザーによる生体関連分子の
構造・機能解析
窒化物半導体のMOVPE成長過程
シミュレーション技術
理学部第一部 物理学科
理学部第一部 化学科
理学部第一部 応用物理学科
教授 渡辺 一之
教授 築山 光一
教授 大川 和宏
強誘電性ポリマーの相転移挙動と
その分光特性に対する計算化学シミュレーション
ナノ物質の非平衡電子・フォノン物性の理論研究
窒化物半導体の結晶成長と発光デバイスへの応用
計算機シミュレーションによるナノデバイスの
構造設計・特性解析
理学部第一部 応用化学科
工学部第一部 教養
工学部第一部 電気工学科
基礎工学部 電子応用工学科 教授 矢島 博文
講師 山本 貴博
教授 佐野 雅敏
教授 藤代 博記
分子磁性体の開発と磁性解析
原子干渉計による量子位相測定
重合メッシュ法を用いた3次元複雑き裂
進展問題の計算機シミュレーション
種々の三次元破壊力学解析に関する研究
理工学部 物理学科
理工学部 物理学科
理工学部 機械工学科
理工学部 機械工学科
教授 田村 雅史
教授 盛永 篤郎
副学長 菊池 正紀
教授 岡田 裕
多結晶中における転位挙動の計算機
シミュレーションに関する研究
新規両親媒性物質の合成およびその機能性評価
酸化インジウム薄膜の伝導機構
ベアリングレスモータとその制御
諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科 教授 大島 政英
材料/MATERIAL
FDTD法を用いたフォトニッククリスタルの
光導波路のシミュレーション
基礎工学部 電子応用工学科
教授 佐竹 信一
理工学部 機械工学科
総合研究機構
山口東京理科大学 工学部 教養
准教授 高橋 昭如
講師 酒井 健一
教授 酒井 吉雄
小型マイクロプロセッサを用いた光応用計測、制御
液晶素子用光学部材の開発
有限要素法による各種複雑金属成形プロセスの
数値シュミレーションおよび工程最適化
山口東京理科大学 工学部 教養
山口東京理科大学 工学部 電気工学科
諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科
教授 見山 友裕
教授 高頭 孝毅
教授 竹増 光家
脳の神経回路網モデルに関する研究
DNA等生体分子の可視化技術
生体計測に関する研究
理学部第一部 応用物理学科
理学部第二部 物理学科
理工学部 機械工学科
准教授 荒木 修
准教授 梅村 和夫
講師 竹村 裕
医薬/MEDICINE
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量子アルゴリズムのDDSにおける薬剤の
形状決定のシミュレーション
さらに詳しい研究者情報は、ホームページで検索できます。
超新星ニュートリノの数値シミュレーション
宇宙/SPACE
理工学部 物理学科
教授 鈴木 英之
RIDAI 東京理科大学 研究者情報データベース
http://www.tus.ac.jp/ridai/doc/ji/RIJIA01.php
「シミュレーション編」
高世 えり子
(たかせ えりこ)
c 理系クン/Eriko Takase/Bungeishunju
漫画家。大学卒業後、不動
産会社OLを経て、2007年
第31回プチコミックまんが
大賞準入選。
「 人のヨメ見
て 我 がフリ直 す ! ? 」でデ
ビュー。コミックエッセイ、四
コマ、挿絵などを手がける。
2009年「理系クン 結婚で
きるかな?」出版。
(文藝春秋
より発売中)他に「理系なお
姉さんは苦手ですか?」
(共
著・挿絵。技術評論社)
など
がある。
RIDAI SCITEC NEWS │ VOL.16 │東京理科大学 TLO
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