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Sustainability Report 2008

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Sustainability Report 2008
従業員とのかかわり
従業員とのかかわり
グローバルにトヨタウェイを
共有しながら、
多様性の尊重と人材育成実施
トヨタループス(株)
(2008年5月設立)完成予想図
信念や価値観を整理、
集約した
「トヨタウェイ2001」
。
これを
ため、
従業員として共有すべき価値観と行動指針としてグロー
尊重、安全・衛生など、従業員への諸施策の基本を「トヨタ
ウェイ2001」
に置き、
よりよい職場づくりを推進しています。
労使双方で
「21世紀に向けた
労使の決意」に調印。さらに
「相互責任」
を明記しました。
その後も幾多の話し合いを
Sustainability Report 2008
バルに展開。
同時にコミュニケーション、
人材育成、
多様性の
して掲げました。
1996年には
─
「トヨタのモノづくり」
と
「お客様満足」
を世界中で実現する
社会側面
創業以来、暗黙知として脈々と受け継がれてきた経営上の
通じ、
労使の相互理解と相互
信頼を積み上げています。
労使宣言調印式
「8万人職場コミュニケーション活動」
を浸透
トヨタでは、
これまでも
「何でも話し合える職場風土と良好な
トヨタウェイの共有
人間関係づくり」
を目指し、多様なコミュニケーション施策
従業員の生活安定、自己実現、成長と企業の発展は車の両輪で
を展開してきました。その一環として、現在、グローバルに
あり、労使相互信頼・長期安定、
コミュニケーションを精神的基
事業が拡大する中で円滑なコミュニケーションの再強化を
盤としています。
「トヨタウェイ2001」
はこの基盤のもと、
「知恵
図るため、2006年6月から
「8万人職場コミュニケーション
と改善」
「人間性尊重」を柱に、
「チャレンジ」
「改善」
「現地現物」
活動」を全社展開しています。2006年度は、全職場・全従
「リスペクト」
「チームワーク」
の5つのキーワードでまとめられて
業員で職場コミュニケーションの状況を点検し、
課題の抽出と
います。現状に満足せず、問題意識に基づいて知恵を絞りつづ
対策の立案・実行に取り組みました。また、2007年度は、
けること、
あらゆるステークホルダーを尊重し、従業員の成長と
「職場コミュニケーションの重要性」
の浸透・定着を目指し、
会社の成果を結び付けること、
この2つを念頭に行動すること
すべての部において
「職場コミュニケーションの充実・強化」
が謳われ、
グローバルトヨタで展開しています。
を方針に掲げ、
各部での取り組みを主体とした活動を推進し
てきました。
そして2008年度は、
「活動の総仕上げ」
として、
チ ャレ ン ジ
夢の実現に向けて、
ビジョンを掲げ、
勇気と想像力をもって挑戦する。
労使相互信頼・長期安定
改 善
常に進化、革新を追求し、絶え間無く
改善に取り組む。
Continuous
Improvement
現 地 現 物
ないように、
さらなる職場での定着活動を推進していきます。
職場力を向上させるコミュニケーション
仕事の成果
知恵と改善
現地現物で本質を見極め、素早く
合意、決断し、全力で実行する。
職場コミュニケーション向上の取り組みが一過性に終わら
Respect
for People
人間性尊重
会社としての成果・成長
リス ペ クト
他を尊重し、誠実に相互理解に努め、
お互いの責任を果たす。
コミュニケーション
職場力
チームワーク
相互信頼・相互責任に基づく労使関係
1947年の金融引き締め強行(ドッジライン)による自動車需要の
激変は、1950年に至って人員整理を巡る大規模な労働争議を引き
起こしました。創業者豊田喜一郎の社長辞任と引き換えに組合は
提案を了承、事態は収束しました。1962年には「労使宣言」を締結。
を労使関係の基盤と
過去の労働争議を教訓に、
「労使相互信頼」
成果を生み出すための基盤
人材を育成し、個の力を結集する。
仕事の基本プロセス +
チームワーク
+
人事育成
円滑なコミュニケーション
〈職場〉
仕事をきちんと
行うための
コミュニ
ケーション
仕組み・ツール
●上司との面談
●始業前ミーティング・昼礼
職場ミーティング、I・TIME
●OJT
など
人間関係を
よくするための
コミュニ
ケーション
仕組み・ツール
●日常のあいさつ
・上司の声かけ
●HUREAI行事
●各種懇談会
など
管理職の意識
●部下に関心を
持つ
●部下を大切に
する、尊重する
など
〈全社〉
仕組み・ツール
●経営トップの
メッセージ
●方針管理
●SAMIT など
仕組み・ツール
●インフォーマル活動
●HUREAI day、
駅伝大会
●相談窓口 など
61
多様性の尊重
「ダイバーシティ・プロジェクト」以降の取り組み
企業がグローバルに活動を行う場合、世界を視野に「多様
多彩な人材の活用」を行うと同時に、
「 人材育成」による
個々人の能力を高めることが何よりも重要です。
多様な人材を人材育成により、育て、戦略化することによ
り、活気ある企業風土が形成されます。
トヨタは多様な価値
観、発想を互いに尊重し合いながら、働く人々にとって魅力
的な自己実現の場となる職場や企業でありたいと願ってい
ます。多様性の尊重は国、地域により重視される点は異なり
ますが、日本の課題は女性、障がい者、高齢者、非正規社員
雇用のさらなる活用です。
多様な才能、
価値観を受け入れ、
活
用することは、
トヨタにとって極めて有効な刺激になり、
イノ
ベーションにつながると考えています。
年度
女性の視点からとらえた企業課題の解決を通して、より
多様性のある活力ある職場をつくり出すため、2002年に
「ダイバーシティ・プロジェクト2002」を発足。さまざまな
支援施策を導入して女性の活躍推進を図ってきました。
2007年1月に新設したBRキャリア・ライフデザイン室が
中心となって、
「仕事と育児の両立支援」
「キャリア形成支援」
「風土・意識改革」を軸に施策の推進に取り組んでいます。
2007年度は「キャリアサポートブック」を配布。また、キャ
リア形成支援として社内イントラネット
「そだててねっと」
にさまざまなフィールドで活躍している女性社員をロール
モデルとして掲載したり、新制度の詳しい情報を発信した
キャリア形式支援
●風土・意識改革キャンペーンの実施
●仕事と育児の両立支援制度の導入
●育児休暇期間の延長
●柔軟な勤務時間制度
2002 ・勤務時間の短縮措置
・フレックスタイム制のコアタイム廃止措置
・部分的在宅勤務
●子の看護休暇
●ウェルチョイスにおける育児サービスの充実
●キャリアデザインフォーラムの開催
●育児休暇復帰後の
キャリア相談シートの導入
2003 ●事業所内託児施設「ぶぅぶランド」
の開設
の開設
2004 ●事業所内託児施設「ぶぅぶタウン」
●再雇用制度(プロキャリア・カムバック)の導入
2005
●事業所内託児施設「ぶぅぶパーク」
の開設
2006 ●立ち仕事に従事する女性への妊娠期休暇制度の導入
●仕事と育児の両立ハンドブック配布
2007
「キャリア支援」
を推進
仕事と育児の両立支援
●BRキャリア・ライフデザイン発足
●T-Wave「そだててねっと」開設
●ポスト・フラット化の人事組織改革
●業務職新人事制度
●上司向け冊子「キャリアサポートブック」配布
●柔軟な勤務時間制度の一部改定
・勤務時間の短縮等の措置
2008
・部分的在宅勤務
・子の看護時間(子の看護休暇を変更)
●常1直勤務のトライ実施
トヨタの目指す、女性の活躍を支援する姿
事技系
●育児をしながら室長・グループ長を
担う女性が多数います
●海外事業体に指導的役割で
出向する主任クラスの女性が
各地域で多数活躍しています
技能系
●製造ラインで、女性が
チームリーダーとして
多数活躍しています
●製造ラインで、女性が育児期も
継続的に技能を磨いています
●多数の上級業務職が実務の
リーダーとして活躍しています
りしています。自発的な能力向上やキャリア形成、育成に関
する上司とのコミュニケーションの活性化に役立つように
しています。
トヨタの正社員数(単体)
女性の育成へ向けて「キャリアサポートブック」配布
男
女
合計
人数
62,524人
6,468人
68,992人
平均年齢
39.8歳
30.3歳
38.9歳
ともに、育成する側の上司の理解とサポートが必要です。そ
勤続年数
18.8年
10.3年
18.0年
のため、BRキャリア・ライフデザイン室では「育成」
と
「両立」
女性の活躍推進では女性従業員の自律的、自発的な姿勢と
2部構成の「キャリアサポートブック」を作成。2008年1月、
※2008年3月末
各職場のグループ長以上に配布しました。御領室長は「各種
育児休職制度と柔軟な*勤務時間制度の利用状況
女性支援制度の認知を高めること、育成のサポートを目的
(人)
350
317
300
250
200
150
100
50
0
に、
まず多くの女性従業員の声を聞き
2
248
4
214
4
198
176
3
2
73
ました。
育児との両立では懐妊から職
1
2
3
6
8
179
174
127
93
’
03
’
04
’
05
’
06
’
07 (年度)
育児休職者(男性)
柔軟な勤務時間制度利用者(男性)
育児休職者(女性)
柔軟な勤務時間制度利用者(女性)
*勤務時間の短縮措置、部分的在宅勤務など
62
場復帰までのバックアップ計画表
『キャリアプランシート』
を添付、現在
までに100人ほどが提出しています。
『この本を活用して独自の勉強会を開
催したい』
などの声が幾つかの部署か
らあります」
と反響を語ります。
キャリアサポートブック
ライフ
(株)」
による3年満了予定者のトヨタグループ会社へ
社内の障がい者雇用促進とともに、社会に障がい者の雇用
の正社員登用制度「*JOIN3」を開始。正社員を希望する方
機会を広げるために、
「トヨタループス
(株)
」
を設立。
2009年度
と、
よりよい人材確保を求めるグループを結ぶかけ橋となっ
の事業開始と同時に特例子会社の申請をおこなう予定です。
ています。
「JOIN3」
を通じてグループ会社の正社員になった
2007年度の社内への採用実績は、聾学校・一般高校から
方からは
「JOIN3の担当の方には親身になって相談にのって
18人を定期採用。不定期採用(通年)
では全国のハローワー
いただき、本当に感謝しています」
と喜びの声が寄せられて
ク、国立職業能力開発校から15人を1年間で採用しました。
います。
なお、
「JOIN3」
の2007年度の実績は154人です。
知的障がい者も12人在職、
生産ライン等で活躍しています。
2008年4月末における全雇用人員は955人、雇用率は
従業員とのかかわり
障がい者の雇用機会拡大
*JOIN3:Job
(仕事)
とIntroduce
(紹介)
と3年満了を合わせた造語。
期間従業員の方で3年間の
期間満了後に正社員での就職を希望する方を、
トヨタで3年間勤務し製造スキルを習得した
人材を求めるグループ会社に紹介する制度。
トヨタすまいるライフ
(株)
が仲介。
社会側面
1.86%です。
1,800人の定年退職者を再雇用
─
1991年の技能職定年退職者を対象とした社内再雇用制度
の導入に続き、2001年には社外就労希望者に関係会社の
就労と社外就労の両面から60歳以降の働き方を支援する
仕組みを作ってきました。
2006年度の改正高齢者雇用安定
法施行に合わせて、社内再雇用の対象を全従業員に拡大
障がい者雇用拡大へ
「トヨタループス
(株)」
を設立
障がいのある方の雇用充実に取り組む一方、社会
するとともに、選定基準の見直しを行い、
より多くの従業員
的な雇用機会の拡大に貢献していくため、
2008年
が再雇用される制度へと見直しを行いました。
また、多様な
5月「トヨタループス(株)」を設立しました(トヨタ
就労希望に対応するため、
短時間勤務の拡充などの見直しも
100%出資)。
併せて実施しました。
その結果、
2006年以降、
新規再雇用者が
新会社では重度の身体障がい、知的障がいのある方
大幅に増加し、
社内においては、
2008年4月現在で約1,800人
を中心に採用を行い、2009年5月からトヨタ本社
の再雇用者が在籍し、長年の会社生活で培った技能や専門
(豊田市)
と名古屋オフィスにおいてトヨタの印刷業務
能力を活かし、
活躍しています。
や郵便物受発信業務の受託事業を開始。
特例子会社
の認定申請も行う予定です。初年度採用は約30名。
定年退職者数と再雇用者数推移
(人)
1,600
1,600
1,400
1,200
1,200
5年後に約70名規模とするとともに、グループ企業
1,600
へ障がい者雇用促進のために蓄積したノウハウ、
情報
の提供や支援を図っていく考えです。
また、働く障が
1,100
1,000
1,000
い者にとって施設面・制度面で「オール5」の労働環
900
境を整備し、障がい者と健常者がともに働けるユニ
900
800
バーサルな環境づくりも推進していきます。今後も
600
“トヨタとしてやるべきこと”を“トヨタらしく
(考え
400
200
0
100
’
03
Sustainability Report 2008
就労先を紹介する
「選択式再就労システム」
を導入し、社内
100
’
04
200
’
05
定年退職者
’
06
’
07(年度)
再雇用者
方や取り組み方など)”着実に進め、社会と調和する
職場づくりを目指したいと考えています。
非正規社員の正社員雇用制度拡大
正社員のほかに嘱託、受入出向者、派遣社員、期間従業員
など非正規社員が働くトヨタでは、特に期間従業員に対
する雇用制度の充実に努めています。
本人の希望を尊重しな
がら、
これまでに契約期間の延長(最長3年)、契約2年目の
期間従業員への優遇措置や能力向上機会を整備した
「シニア
期間従業員制度」、
「正社員登用制度」
を導入してきました。
2008年6月現在、
期間従業員の在籍者数は約8,500人、
うち
シニア期間従業員は約2,700人。2007年度の正社員への
トヨタループス
(株)
(2008年5月設立)完成予想図
登用者数は1,250人です。
また、
2007度から
「トヨタすまいる
63
人材育成
した。
さらに、
教育体系の構築を目指すグローバルトヨタへの
「トヨタウェイ」の実践を人材育成の根幹とし、その5つの
協力を開始。
その一環として、
TMAP-EM
(タイ)
にトヨタから
キーワードを基軸に教育プログラムの充実を図っています。
赴いた講師は「現地講師による、現地での自主開講が目標
優れたモノづくりの継承と発展に欠かせないのは、
各職場に
です。
今回は50名が対象、
みな優秀でした。
現地講師へのアド
おける日々の仕事を通じた人の育成です。OJT(職場での
バイスを行っています」
と取り組みを語っています。
教育・訓練)を基本に置き、
トヨタウェイによる「価値観の
*TTDC:トヨタテクニカルディベロップメント株式会社、
トヨタ開発・設計分野の開発パートナー会社。
共有と伝承」を最大のテーマに教育体系を整備、展開し
ながら、活力ある職場づくりに取り組んでいます。
グローバルトヨタの技術者育成協力の考え方
海外開発拠点
グローバルにコア教育を展開するトヨタインスティテュート
協力
トヨタインスティテュート
(TI)
は
「トヨタウェイを実践でき
R&Dラーニングセンター教育
(トヨタ、TTDC、ICT)
る人材の育成」
を使命として2002年に設立されました。
世界
中のトヨタの人材が共有すべきトヨタウェイやその実践のた
協力
めの仕事の手法
(問題解決、
部下指導などのノウハウ)
をトヨタ
TMC資格
トヨタ自動車
新入社員∼
若手・中堅
クラス
グローバルな事業展開の加速
海外赴任前教育・
キャリア採用者導入教育
各階層別教育
方針管理
問題解決
トヨタウェイ
部下指導 等
新任管理者教育
主任職(※2)
海外事業体
グローバル
コンテンツ
プロによるスパイラルアップサイクル
にともない、生産準備、生産
技術の革新
管理物流、工場運営、TPS等、
TPSの進化
さまざまな分野でのプロ人
標準化
材が求められています。この
プロ人材を育成するため育成
プログラム「Pro-WIN」を展
革新ライン
(GBL・GEL・
・
・)
開しています。
「Pro-WIN」
は
ショップ別
ベストライン
「一人ひとりが目標とする人
※1 基幹職:マネージャークラス ※2 主任職:係長クラス
小集団化活動を事技系職場に拡大
フィードバック
グローバル
展開・運営
号口化
材になるまでの育成を計画的・継続的に実行できる仕組み」
です。
①若手は3年で一人前を目指す
②目指すプロ像を明確にした育成
2006年から
「組織・集団として力を高める大切さ」
をテーマ
③計画的な育成異動
に、
職場力の向上をねらった組織の小集団化を進めています。
等を3本柱としています。
これは、グローバルな事業の急拡大など経営環境が大きく
さらなるレベルアップ目指して教育体制の整備等を行っています。
変化する中、
トヨタの強みの源泉である「チームワーク」を
再認識し、
トヨタの
「教え/教えられる企業風土」
の再構築を
目指す取り組みです。
コミュニケーションや人材育成を基盤
とする
「チームワーク」
「職場力」
の強化として、
2007年1月に
育成ビジョン
全員から
「やってよかった。続けるべき」
と感想が寄せられま
・設備技術 レベル4
・工程技術 レベル3
・要素技術 レベル3
・設備技術 レベル2
プロジェクトリーダー
開発リーダー
PJTを一人で遂行
開発を一人で遂行
深堀・担当拡大
要素技術深堀
(20%)
Will
一人ひとりが
目指す
プロ人材像
個人別の長期
・
短期育成計画
Interact
相方向で合致
育成
移動
情報システム
での
継続管理
3年で一人前(部品生準を一人で実施)
・生準知識取得(教育・実習)
・業務ステップ習得/実施(リピート)
(に)一人ひとり
が到達する
Needs
組織にとっての
プロ人材
教育
風土」
の醸成へ向け、
若手主任職を実践研修として講師に登用。
要素技術プロ
業務
す。
2007年度の受講者は約730名。
また、
「教え/教えられる
1∼3年
開発設計技術者を対象に、
約2ヵ月間40講座を展開していま
育成スキーム
ラーニングセンター」
を開設。
トヨタ、TTDC、海外事業体の
*
4年目以降
R&Dラーニングセンターの教育の継続と海外展開
工程・設備プロ
(80%)
(で)グローバル
競争に勝つ
プロ人材
(例)生産技術部の育成ビジョン
人事制度」
を柱とした人事・組織改革を実施しました。
技術部門新人教育体系を見直し、2006年4月に「R&D
Pro-WINとは
プロ人材『目標』
と
『スキーム』
目標
事技系職場に
「組織の小集団化」
と
「人材育成をより重視した
Pro-WIN(Professional-Will Interact Needs)
のしくみ
基幹職
「チームリーダー制」
を技能系職場に導入。
2007年7月には、
64
協力:教育の仕組み・教材提供
生産・生技分野のプロを育てるPro-WIN継続
経営幹部
育成教育
基幹職(※1)
車両開発委託先
主要仕入先
のコア教育として世界各国の事業体に展開しています。
トヨタインスティテュートの教育体系
協力
安全・健康
*
GPCは、海外の現地採用従業員の技能習得をより効率的に、より
従業員の安全・健康の確保は、企業活動で最も大切なものの
スピードアップを図ることを目的の一つとする人材育成機関です。
一つです。2008年年頭のあいさつで渡辺捷昭社長は
「安全は
国内工場より高技能の技能員を集め、技能訓練のための訓練機器、
作業の入り口であり、安全と健康は何ものにもまさる」との
アニメーションや動画などを駆使したマニュアルによる訓練方法を
考えを示し、
トヨタの安全衛生基本理念のもと、
「職場の一人
開発・展開、技能習得期間を短縮してきました。また、GPC方式の研
ひとりが安全と健康を自ら考え実践する風土・文化づくり」
を
修を海外事業体へ展開し、米国・英国・タイの3ヵ国/地域に「地域
今年度会社方針の重点実施事項の第一番目として掲げました。
GPC」
を発足。日本での研修で認定取得した地域GPCのトレーナーズ
この重点実施事項に基づき、安全についてはすべての職場を
トレーナーが、各地域でGPC方式の研修を実施しています。
対象に全員参加での
「相互啓発型安全文化づくり」
を展開し、
ついては生 活
欧州GPC
習慣改善活動、
メンタルヘルス
GPC
(2005年設立)
トレーナー : 8人
研修者 : 2007年度より
地域GPCとして本格研修開始
活動を推進し、
北米GPC
(2006年設立)
トレーナー : 14人
研修者 : 300人/年
従業員の健康
Sustainability Report 2008
(2003年設立)
トレーナー : 150人
研修者 : 2,500人/年
─
豪亜GPC
社会側面
結果としての災害ゼロを目指しています。また健康づくりに
GPCの海外展開
(2006年設立)
トレーナー : 19人
研修者 : 800人/年
従業員とのかかわり
GPC(グローバル生産推進センター)
の取り組み継続
づくりを支援し
ています。
「安全衛生基本理念」
(豊田英二最高顧問の直筆)
労働安全衛生マネジメントシステムの浸透
*GPC:Global Production Center
ICT(海外事業体からの社員の受け入れ)の取り組み継続
2007年度は、
2005年に策定した第5次
「安全・健康5ヵ年方針」
の
3年目にあたります。安全・健康推進活動では、
トヨタの労働安全
*
衛生マネジメントシステム(OSHMS)を推進してきました。
海外事業体従業員を対象に展開するプログラムです。1年半∼
2008年度は、
安全文化づくりのため職場主体で安全と健康を実践
2年の期間、日本でOJTを柱に、仕事を通してトヨタウェイの習得
する自立型・相互啓発型の仕組み整備と活動推進、労働安全衛生
を図り、帰国後は各事業体や地域に貢献できる人材育成に取り
マネジメントシステムの継続と徹底、
グローバルに推進する仕組み
組んでいます。2000年以降、
グローバル化の進展により受け入れ
づくりの3つを柱に従業員の安全と健康づくりを推進していきます。
ICTはトヨタウェイのグローバル展開と人材交流・育成を目的に、
人数も急増、現在518名(2008年4月時点)
が在籍しています。
*ICT:Intra Company Transferee
労働安全衛生マネジメントシステムの枠組み
▼安全衛生方針の表明
C ol u m n
P:計画
▼活動計画の立案
D:実施
▼活動の展開・推進
問題解決トレーナー養成研修の展開
リスクアセスメント
リスク低減活動
〈維持活動〉 〈レベルアップ活動〉
人
・作業改善
/教えられる風土」のグローバル展開の一環として、問題
物 ・安全基準制定
・設備改善
C:チェック
A:改善
問題解決を実践できる人材育成をねらいに、海外事業体
・点検・維持
人材・
予算の
確保
記録
各層の
役割
明確化
教育の
実施
▼自己監査
▼社内監査
に合格した修了者は、現地トレーナーとして社内の仲間へ
労働災害発生頻度
(休業度数率)
現在までに75事業体、350名を
2
認定。自立化を進める海外事業
全産業
1.5
体では、従業員の自信や達成感
製造業
自動車製造業
1
の醸成にも役立っています。
*TBP:Toyota Business Practices
時間の
確保
文書
整理
手順の
設定
関係事項
の周知
▼点検・職場観察、評価
のトレーナー候補者に対し、1週間の教育訓練を実施。検定
学んだことを教えていきます。
法順守
トヨタインスティテュートでは「トヨタウェイ」
および「教え
・ルール設定
標準作業設定
・教育訓練
トレーナー養成に取り組んでいます。
トヨタの
解決(*TBP)
▼体制の整備
労働者の
意見の
反映
問題解決トレーナー養成研修風景
トヨタ
0.5
0
’
04
’
05
’
06
’
07 (年)
65
健康づくり
生活習慣病未然防止の徹底
2007年度は生活習慣改善活動を重点項目とし、 BIP2活動を
生活習慣病予防の観点から、メタボリックシンドロームが
展開しました。内容としては、
「健康づくりもPDCA」
を活用
注目されています。これは腹囲が基準オーバーで、血糖、
・禁煙
した職場単位の健康づくり活動、 BMI(肥満指数)
血圧、脂質のうち、2つ以上の項目がデータ異常に該当した
教室を実施しました。
こうした活動と環境整備によりBMI、
状態です。2008年4月からは40歳以上の保険加入者を
*1
*2
喫煙率はいずれも減少しましたが、目標の数値には達しま
対象に特定健診の実施と、予備軍と診断された者に対する
せんでした。2008年度は全従業員を対象としたメタボ
特定保健指導が義務づけられました。
リックシンドロームに対する健康支援、
職場主体の禁煙活動
こうした動きに対応するため、
トヨタ
の強化に取り組みます。
では健診対象年齢を36歳に拡大し、
特
*1
*2
BIP2活動:Behavior Change Innovation Program(行動変容プログラム)
により、
BMIと喫煙率の2項目を指標にした生活習慣改善運動
2
BMI:体重(㎏)/身長(m) で求められる肥満度指数。標準値は
22.0で、24.2以上の割合を目標値に設定
BMI
70
60
50
40
55.0
47.0
32.3
30
55.4
45.0
や各工場・事業所で開始しました。
また、生活習慣病未然防止のため、
『トヨタ健康ハンドブック』を作成し
BMI・喫煙率・*3健常者率
(%)
80
定健診をウェルポ(下記コラム参照)
喫煙率
健常者率
56.4
56.9
41.6
39.2
29.1
28.5
27.7
’
05
’
06
’
07
て全従業員に健康に関する情報提供
を行いました。
トヨタ健康ハンドブック
20
10
0
’
04
(年度)
*3 健常者率:定期健康診断の結果、
疾病の所見が無い受診者の割合
メンタルヘルスケアの充実
職場のケアとして、管理監督者にメンタルケアの重要性・
ノウハウについてのリスナー研修を実施。JMI(Japan
Mental Health Inventory)調査データと健康相談状況に
基づいた再発防止活動の展開、
異動・昇格者健康フォロー等の
変化点管理など、
メンタルヘルスに関する早期発見・対応を
実施しました。
また、
新任主任・中堅技能職に関してはストレ
ス解消法を理解してもらうセルフケア研修を実施。
2007年度
からはメンタルヘルスによる休職者の復職支援として臨床
心理士によるカウンセリングの試行を始めました。
全体的な
メンタルヘルスについてはイントラネットで情報を提供し
フォローしています。
2008年度は、セルフケア研修の拡大、復職支援カウンセ
健康支援センター
「ウェルポ」
で節目健診開始
2008年3月、豊田市岩倉町に完成した健康支援セン
ター「ウェルポ」で、
4月よりトヨタ健保加入従業員と
その家族を対象に36歳以上4年に1度の節目健診を
始めました。
健診の内容はメタボリックシンドロームの評価を含む健
康診断と健診結果に基づいた学習会で、
1日あたり90
名の受け入れが可能になっています。
この節目健診は、
グローバル企業にふさわしい健康づくり体制の確立、
自
立的な健康づくり活動につなげていくことが目的です。
節目健診の受診者からは、
「当日の健診結果説明があり、
健康の振り返りとして参考になった」
「夫婦で健康目標
を設定・確認し合うことができてよかった」
などの感想
が聞かれました。
リングの展開、未然防止のための職場支援活動を推進して
いきます。
海外勤務者の健康管理強化
海外勤務者は勤務地によって医療機関の差があるため、
国内
の勤務者に比べて健康支援状況が異なります。
2007年度は
健診受診計画表を作成し、未受診者のフォローを行い、受診
率が向上しました。
また、定期的に現地医療状況を把握する
ため、中国、中近東、中南米の状況把握と現地勤務者への
フォローを実施しました。今後は、受診率のさらなる向上
と、地域ごとの医療体制把握に努めていきます。
66
健康支援センター
「ウェルポ」
従業員とのかかわり
海外事業体の取り組み事例
「トヨタ工業技術学校」
が開校から一年経過
インド・TKM(Toyota Kirloskar Motor)
は、
「僕のように貧しい生徒にこんな機会が訪れるとは夢に
しました。
今後のインド市場の成長を念頭に置き、
生産の
も思いませんでした」
と言い、
バサバラジ君は
「村の友人
拡大および、
さらなる品質向上を視野に将来計画を策定
の多くが、
僕が入学できたことを羨ましがっています」
と
するなかで、
TTTIは優秀な人材の育成に貢献します。
話します。
教師たちは、
生徒が独自のカリキュラムを楽し
TKMは、生徒の募集に当たり、地方の中学校卒業生に
く、熱意を持って学んでいると見ています。教師の一人、
門戸を開放。
授業料や生活費はすべて、
同校の経営幹部が
サジャン氏は「生徒たちはとても吸収が早い。自律心と
負担。全寮制で3年間の専門技術教育を行っています。
学びへの意欲がそうさせるのだと思います」
と話します。
社会側面
TKMは2007年に
「トヨタ工業技術学校(TTTI)」
を設立
カリキュラムは工業科目に加え、塗装、溶接、自動車
─
(組立/整備)、
メカトロニクスの4つの専門コースを設
Sustainability Report 2008
置。
トヨタウェイをはじめトヨタの仕事の進め方などを
講義に組み込み、現地現物を重視してTKMでの技能実
習も実施しています。
2007年8月には開校式が行われ、
榎泰邦在インド日本大使(当時)やTMCの木下副社長
などが出席しました。
現在、
同校では64人の青年が学んでいます。
入学試験の
ほか筆記テスト、
技能テスト、
身体測定、
面接、
健康診断に
より選ばれた生徒たちです。
生徒の一人、
ハリシュ=ビー君
インド工業技術学校で熱心に学ぶ生徒達
従業員満足度は65%から70%に向上
タイ・TMT(Toyota Motor Thailand)
TMTは、従業員が仕事の際に幸せであることが結果と
度の基本であるコミュニケーションの向上の一環として、
して仕事の効率、
質の向上にもつながるとの信念のもと、
また、
マネジメントレベルが従業員満足度に最も影響を
従業員に対する諸施策を立案、実行しています。その
与えることから、
マネジメント層が役割や責任を理解で
一環として、上司、同僚、職場環境、仕事の内容、成長の
きるように、人事部門がマネジメント層とのコミュニ
機会などに関し従業員満足度を調査しました。調査結
ケーションの時間を設け、
マネジメント層の役割の重要性
果の従業員満足度に最も影響を与えるのは、マネジメ
について話し合っています。
ントのレベルであることがわかりました。調査結果によ
れば、従業員満足度全体としては、会社、職場に満足し
ているという比率が2006年の65%から2007年には
70%へと改善し、向上する傾向にあります。これはグ
ローバル企業の平均より高く、人事専門の国際的コンサ
ルティング会社、
ヒューイット・アソシエーツの従業員
満足度の分類では最も高いゾーンに位置しています。調
査結果は、従業員満足度の向上に活用。TMTは結果に
基づき、
満足度に重要な影響を与える分野でさらに改善
を図るための方針管理を実施。
方針に基づき、
部署ごとに
対策を実施し、
解決策を策定しました。
また、
従業員満足
TMTは従業員満足度の向上に取り組む
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