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米国環境情報

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米国環境情報
●米国環境情報
○ カリフォルニア公益事業委員会、固定価格買取制度を承認
カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)は1月31日、州内の送電事業者に対して、再生可
能エネルギー資源から生産された電力を発電手段別に固定価格で買い取る「固定価格買取
(Feed-In Tariff)制度」を承認した。パシフィック電気&ガス社(PG&E)、南カリフォルニ
アエジソン社(SCE)に対しては、1.5MW以下の全ての再生可能エネルギーシステムからの電力
を買取対象とし、買取上限をそれぞれ104.6MW、123.8MWと定めた。また、公益上下水施設内に設
置された再生可能エネルギーシステムについては、7社による合計買取上限を250MWと定めた。固
定価格買取(Feed-In Tariff)制度は、ドイツ等で既に採用されており、再生可能エネルギーシ
ステムの顧客への導入が効果的に推進されたが、カリフォルニアは買取電力量を制限している。
○ エネルギー省、フューチャージェン・プロジェクトを再構築
エネルギー省のサミュエル・ボッドマン長官は1月30日、フューチャージェン・プロジェクト
の方針を変更し、石炭ガス化複合発電(IGCC)と炭素回収貯留技術の開発には新たなアプロ
ーチで支援していくと発表した。IGCCプロジェクトは、開発費用の高騰などから世界中で開
発が減退しており、イリノイ州マトゥーンに予定されていたゼロエミッション石炭発電所建設の
費用も当初予定の10億ドルから18億ドルへ大幅に増大することが推定されていた。
○ 上院財務委員会、再生可能エネルギー生産税額控除の延長を経済刺激策案に加える
上院財務委員会は1月30日、再生可能エネルギーに対する生産税額控除を2009年末まで延長す
る案を、先からブッシュ大統領が提出していた経済刺激策案に加えた。この財務委員会案による
と、風力発電事業者は、現在受けている2セント/kWhの税額控除を、2009年中に新しく操業され
る風力タービンに対して受け取れることになる。また、この税額控除は、太陽や地熱エネルギー
から作られる電力にもエネルギー効率リベートと同様に適用される。上院での審議開始は早くと
も2月中旬以降になるが、上院内部でもブッシュ政権からも反対が予想される。
○ エネルギー省、小規模セルロースエタノール精製所プロジェクトに1億1400万ドル投資
エネルギー省(DOE)は1月29日、小規模セルロースエタノール精製所プロジェクト4件に
今後4年間で1億1400万ドルを投資することを発表した。これらのバイオ・リファイナリーは、
幅広い原料を利用してセルロースエタノールを生産するための転換技術を試験することになって
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おり、商業規模バイオ・リファイナリーが年間2,000~3,000万ガロンのエタノールを生産するの
に対し、年間生産量は約1/10の250万ガロン程度の予定である。各プロジェクトの助成先、プラ
ント建設予定地及びDOEの投資上限額は、ICM社(ミズーリ州セント・ジョセフ)3,000万ド
ル、リグノール・イノベーション社(コロラド州コマース・シティ)3,000万ドル、パシフィック・
エタノール社(オレゴン州ボードマン)2,430万ドル、ストラ・エンソ・ノースアメリカ社(ウィ
スコンシン州ウィスコンシン・ラピッズ)3,000万ドルである。
○ ハワイ・クリーンエネルギー・イニシアティブ(HCEI)
ハワイ州とエネルギー省は1月28日、同州のエネルギーシステムを石油主体から再生可能エネ
ルギー主体へ変革していくための協力体制をつくる覚書に署名し、「ハワイ・クリーンエネルギ
ー・イニシアティブ(HCEI)
」を設立した。これは、2030年までにハワイのエネルギー需要量
の70%を再生可能エネルギーから生産し、州内の原油消費量を72%削減することを目指している。
7つの共同研究グループが輸送、エネルギー効率性、発電、送電等について目標達成に必要なメ
カニズムを特定し、風力、バイオマス、ソーラー、海洋、地熱エネルギー等の開発を進めていく
予定である。
○ 米国の風力発電供給能力、2007年に45%増加
米国では2007年中に5,244MWの風力発電所が新増設され、全風力発電供給能力は前年比45%増の
記録的成長を果たしたことが、1月17日に米国風力エネルギー協会(AWEA)から発表された。
昨年建設された風力プロジェクトによる電力供給能力は、昨年建設の全発電供給能力の30%を占
め、150万世帯の必要電気量に相当するという。州による再生可能エネルギー基準と経済奨励策で
ある連邦生産税額控除(1.5セント/kWh)によって、米国の風力産業は3年連続で成長を続けてい
る。しかし、2008年末に期限が切れる生産税額控除(PTC)が12月の新エネルギー法で延長さ
れなかったことにAWEAでは強い危機感を示し、議会にPTCの迅速な延長を求めている。
○ アイダホ州初の商業用地熱発電所、運転開始
USジオサーマル社は1月3日、アイダホ州のラフトリバー地熱発電所において、同州初の商
業的運転を開始した。オーマットネバダ社が建設したこの地熱発電所は、1980年にDOEが同地
にて実証試験を行った“バイナリーサイクル(二流体サイクル)技術”を採用している。地熱流
動体が熱交換器を通して汲み上げられ、水よりも低い沸点を持つ有機混合物イソペンタンを気化
させる。このイソペンタン蒸気がタービンを動かすことで電気を起こし、凝固した後に再び地熱
交換機に戻ることを繰り返す。同地熱発電所の年間平均純発電量は13MWと期待されており、運転
が安定したことからアイダホ公共事業委員会は1月16日、ユニット1に対する全発電量契約を承
認した。
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○ 2007年のコンパクト蛍光灯の販売数、米国照明市場の20%に成長
2007年のコンパクト蛍光灯(CFL)の販売数が前年比倍増の2億9千万ユニットとなり米国
照明市場の20%に至ったことが、EPAから最近発表されたデータで明らかになった。CFLの
販売数は2006年に照明市場のシェア5%から11%へ大幅に伸びて以来増加を続けており、これは
ウォルマート、ホームデポ、コストコといった小売業者による消費者啓蒙が大きく貢献している
という。EPAのエネルギースタープログラムで認定されたCFLは、従来の白熱灯よりも使用
エネルギーが75%少なく10倍近く長持ちするというエネルギー効率性において非常に優れている
一方、少量の水銀を含んでいるため地方自治体による適切な回収が今後の課題となる。
○ GMとフィスカー、プラグインハイブリッド車の本格生産を発表
デトロイトで1月13日から開催された北米国際自動車ショーにて、GM社はプラグインハイブ
リッド車の「サターン・ヴュー・グリーンラインSUV」を紹介し、2010年に販売開始する予定
であることを発表した。同車の搭載リチウムイオン電池パックは標準型110ボルト電気コンセント
に接続して4~5時間で充電でき、電気駆動だけでも低速で10マイル以上走行できるという。一
方、フィスカー社では、クアンタム・テクノロジー社が開発したリチウムイオン電池パックとプ
ラグインハイブリッドシステムを搭載し、電気駆動だけで50マイル走行できるように設計された
「カルマ」を発表した。フィスカーでは「カルマ」の納入開始を2009年後半に予定しており、年
間生産台数は僅か1万5千台であるため抽選が予想され、価格は8万ドルからと設定されている。
○ 鉱業管理局、ケープ風力プロジェクトに対する環境影響調査報告書案(DEIS)を発行
内務省鉱業管理局(MMS)と環境保護庁は1月11日、ケープ風力プロジェクトに対する環境
影響調査報告書案(DEIS)を発行し、同プロジェクトによる環境への影響は殆ど“無視でき
る”もしくは“ごく僅か”と結論付けた。ケープ風力プロジェクトは、マサチューセッツ州沖合
5マイルのナンタケット海峡のホースシュー・ショールと呼ばれる浅い海域に468MWの風力発電所
を建設するもので、2001年11月に陸軍工兵隊に許可申請が提出されていたが、2005年エネルギー
政策法によって所轄が変わっていた。同プロジェクトは、2009年に建設が始まり2010年から運転
開始する予定。
○ エネルギー技術開発へのベンチャーキャピタル投資、2007年に34億ドル
ベンチャーキャピタルによるエネルギー技術開発への2007年投資額が過去最高の34億ドルとな
ったことが、グリーンテク・メディア社(マサチューセッツ州ケンブリッジ)から1月9日に発
表されたデータで明らかになった。同データは北米、欧州、イスラエル、豪州等を対象としてお
り、2005年投資額は8億ドル、2006年投資額は23億ドルであった。2007年投資額の内訳は、太陽
エネルギーが71件で11億ドル、バイオ燃料が44件で8億ドルと、両者が全体の半分以上を占める。
このほか、エネルギー貯蔵・電池が15件で2億ドル、需要応答・エネルギー効率が34件で4.2億ド
ルである。注目すべき大型投資は、ヘリオ・ボルト社の薄膜太陽電池への1.01億ドル、グレート
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ポイント社の石炭ガス化技術への1億ドルなどである。
○ GEエネルギー・フィナンシャルサービス、カリフォルニア州のソーラープロジェクトに資金
供給
GEエネルギー・フィナンシャルサービス(コネチカット州スタンフォード)は、太陽電池・
パネル・システム製造メーカーであるサンパワー社(カリフォルニア州サンホセ)と提携して、
カリフォルニア州内の太陽エネルギープロジェクト5件に資金とシステムを提供する計画を発表
した。5件のプロジェクトの総発電量は8MWとなり、中でも最大のものは同州オンタリオにある
トヨタ自動車販売のパーツセンターにおける2.3MWのルーフトップシステムの設置であり、単一屋
根式ソーラーシステムとしては米国最大になる予定である。
○ スイッチグラス原料のエタノールは投与エネルギーの5倍のエネルギー効率
スイッチグラスを原料とするエタノールは、スイッチグラスを栽培する際に投与するエネルギ
ーの5倍以上のエネルギーを生み出すことが研究により明らかになった。この研究は、最近発刊
された米国科学アカデミー紀要(PNAS)に農務省、ネブラスカ大学、スタンフォード大学等
の共同研究チームが発表したもので、5年間に亘り10件の農場でスイッチグラスの栽培に投入さ
れるエネルギー量を計測した結果である。研究チームは、スイッチグラスを原料とするエタノー
ルは、現在米国でエタノール原料として主に利用されているトウモロコシよりも遥かにエネルギ
ー効率が良いと結論付けた。
○ ファイナベラ・リニューアブル社、波力発電の商業化へ大きな一歩
ファイナベラ・リニューアブル社は12月20日、ワシントン州マカ湾沖合の波力発電パイロット
プロジェクトに対して連邦エネルギー規制委員会
(FERC)
から条件付5年間認可を取得した。
このプロジェクトは、4つの250kW浮遊ブイを3.7マイルの海中送電ケーブルで岸に接続し発電量
1MWを目指すものであり、必要な関連連邦許可を全て取得することが認可の条件となっている。
また同月18日に同社は、カリフォルニアのパシフィックガス&電気社(PG&E)と、カリフォ
ルニア州北岸沖合の2MW波力発電所の電力売買契約を結んでいる。この2つによって、ファイナ
ベラ・リニューアブル社は全国で初めて海洋エネルギー企業としてFERC認可を受けるととも
に、波力発電による電力売買契約を全国で初めて結ぶことに成功し、波力発電の商業化に向けて
大きく前進した。
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