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明日のアパレル生産を考える
JUKIマガジン
2006
226
2
6
特集:アパレル工場の技能伝承策
マザー工場としてワコールのノウハウを集大成
リーダーの育成に
技能伝承パッケージを独自開発
服を作る前に“人”を作る
社内の職業訓練校で494人の技能者を育成
12
本縫いミシンの基礎知識シリーズ 1
<JUKI PLAZA 岐阜特集>
高速電子単環根巻きボタン付けミシンAMB-289
国内工場は売り場のフォロー生産に特化する
短納期・クイック生産にあわせて設備を導入
クラスター 池田宜隆さん
ドライヘッド一本針自動糸切りミシンDDL−9000S。
13 特殊な工程は自社でも加工を引き受ける
最終工程だから油汚れのないドライヘッドが不可欠
安藤ミシン商会 安藤博之さん・安藤直樹さん
特集:アパレル工場の技能伝承策
“メードイン東京”は高付加価値商品の代名詞
頑固に品質を守る--それが生きる道<福新ドレス>
東京婦人子供服縫製工業組合 理事長
㈱福新ドレス
代表取締役
専務取締役
知って得する縫いのヒント ――押え、送り歯・針板の基礎知識――
特集:アパレル工場の技能伝承策
㈱イワサキ代表取締役社長 岩崎靖璋さん
8
10
中村 衛さん
吉田昌二さん
吉田 浩さん
14
<information/海外拠点便り>
・第189回アパレル生産工場のマネジメントセミナー
・大阪ミシンショー開催ご案内
スクエア
16 入力機能付き電子サイクルマシン
AMS-210E-2210
特 集
アパレル工場の技能伝承策
マザー工場として
ワコールの
ノウハウを集大成
リーダーの育成に
技能伝承
パッケージを
独自開発
10年のうちに生産技術者が半減
10年のうちに生産技術者が半減
技能資産を何とか残したい
技能資産を何とか残したい
「2007年問題は当社も他人事ではありません。今後の10
年間で生産技術者が大量に定年を迎え、会社から技術が
失われていく危険性があるのです」とおっしゃるのは㈱
ワコール執行役員技術・生産戦略本部長の福井勉さん。
一般の縫製工場では生産はオペレーターに依存しており、
技術者がそれほど大きな影響力を持っているわけではない。
しかし、ファジーな部分の多い縫製工程を工業化し、
アパレル生産を効率化してきた同社にとっては、モノづ
くりの基盤である生産技術者の退職は大きな問題である。
現場で行う生産活動は、その前の準備段階がどのよう
に行われるかでほぼ決まる。生産技術が失われることは、
つまりモノづくりの「核」の部分が失われることに等しい。
「我々の使命は、受け継いできたモノづくりの技術を次
の世代にバトンタッチして会社に残すことです。なんとか、
10年間にそれを形にしたい」と技術・生産戦略本部九州
技術グループ部長入山恒夫さん。
そんな技術者たちの思いがベースになって、同社では
生産現場のリーダーを育成するための技能伝承パッケー
㈱ワコール技術・生産戦略本部九州技術グループ部長
ジとツールを開発し、マザー工場とも言うべき九州ワコー
入山 恒夫さん
ル製造㈱で、本格的な導入が始まった。
ここ2、3年で急速に技術力を上げてきた中国の工場。
き
っかけは大連ワコールの立ち上げ
きっかけは大連ワコールの立ち上げ
広東ワコールのリーダーが指導
広東ワコールのリーダーが指導
日本のアパレル工場は、よりいっそう高付加価値商品
づくりの高い技術が求められているが、オペレーター
の高齢化で、現場では基本的な技能が失われつつある
パッケージの内容は、リーダーに必要な基本的な縫製
という。
に関する知識や技能、さらには管理業務、指導をするた
日本の産業界は技術と技能を一体化した高い生産技術
で世界のモノづくりをリードしてきたが、その生産技
術を構築してきた担い手である多くの団塊世代が
2007年に定年を迎え、企業から大量にいなくなる。
企業にとってはその対策が急がれるが、この問題が深
刻なのは、定年退職で技術がなくなるというだけでは
ない。バブル崩壊後の1990年代、いわゆる失われた
十年に企業が採用を控えたために、その技術・技能を
受け継ぐべき次の世代が工場にいない……という2重
の問題を含んでいるからである。
こうした中で、アパレル工場はどのような対策を採っ
ているのだろうか? 今回の特集では、各社の技能伝
承の対策を探ってみた。
リーダー育成用に技能伝承パッケージを開発し、リーダー
育成に活用しているワコールのケースをご紹介しよう。
2
2006 Vol.226
「今後10年間に多くの技術者が 「パッケージはバージョンアップし
いなくなることが予想されますので、 て改良する予定です」技術・生産
技術の伝承は急務です」と語る
戦略本部技術開発グループ長 技術・生産戦略本部長執行役員
中小路哲也さん
福井勉さん
めの具体的な方法まで。これまでおぼろげながら知識と
パッケージ」である。
してあったことを、系統立ててまとめてプログラム化し
このパッケージは、知識・実技編、管理基礎編、指導
ており、実技指導ではVTRをふんだんに取り込んだきわ
編の3つからなっており、12のプログラム、3つの支援ツー
めて実践的な育成プログラムになっている。
ルが用意されている。
このパッケージが開発されるきっかけになったのは大
●技術教育パッケージの構成
連ワコールの立ち上げである。同社では中国の工場とし
1.知識・実技編:
ては北京、広東、上海に次ぐ四ヶ所目の工場として2003
①集合基礎、②裁断、③縫製、④検査、⑤メカニック
年に大連ワコールがスタートした。広東ワコールが立ち
2.管理基礎編:
上げをサポートすることになり、技術開発グループがリー
⑥工数要尺、⑦5S、⑧QC、⑨現場のIE、⑩事前検討
ダー育成用にそれまでワコール社内で使用していた技術
3.指導編:
教育を集大成し、パッケージ化したものだ。
⑪1枚縫い、⑫標準作業
「広東ワコールは創業して10年、技術力は十分に持って
●IT支援ツール
います。そこで、広東ワコールで培った技術教育のプロ
①作業標準ビデオ・DVD、
グラムを集約し、リーダー育成用の技能伝承プログラム
②稼動計測システム、
を作りました。縫う方法だけでなく、いいリーダーにな
③工程編成システム
るために必要な、図面や規格書、指図書の読み方、工程
編成の技術や管理技術・改善技術、さらには、指導の仕
このプログラムの対象は、主として副班長クラス。当
方まですべてを入れました」と技術開発グループ生産技
初の研修期間は、1クール65日間という長いものであった
術担当責任者で専任課長の尾賀宏さん。
が、何回かコースを重ねるうちに期間短縮が図られ、現
中国では社員の退職が多い。ワコールブランドの品質
在は約35日間で行われている。
を保つためには、どうしても技術教育は不可欠になる。
広東ワコールでは社内に独立した研修部門を作り、そこ
技能
・管理・指導の標準を確立
技能・管理・指導の標準を確立
に社員を入れて育成してきたが、このパッケージはそれ
らを集大成したものである。
一般に現場での教育は、先輩から後輩へと業務を通じ
たOJTで行われるとされているが、近年このOJTが現場
技術教育パッケージ
技術教育パッケージ
教育用に12のプログラムを用意
教育用に12のプログラムを用意
で成り立たなくなっている。技能者たちは、自分自身は
豊富な経験を積んで高い技能を身につけても、どのよう
に教えたらよいのかを研修で教えられることはほとんど
5頁の左が「ワコール技術・技能伝承ツール 技術教育
ないために、それを次の世代に受け渡す方法を知らない。
「図 面や規 格
書、指図書の読
み方、工程編成
の技 術や管 理
技術・改善技術、
さらには、指 導
の仕方まですべ
てを入れました」
技術・生産戦略
本部技術開発
グループ 専任
課長尾賀 宏
さん
「九州工場は熊本工場と統合し
ましたが、当社としてはここに縫製
加工の技術を集めてインナーの
長 崎 県 雲 仙 市に マザー工場に育てる予定です」。
あるワコールのブ 九州ワコール製造㈱代表取締役
ラジャー生産のマ 社長清水精一さん(九州0003)
ザー工場である九
州ワコール製造㈱。
「私たちが退職するまでにいかに 「4∼5名を1回として、年に4回技
受けた技術を次に残すか……そ 術教育を行う予定です」技術・生
れが使命です」と語る技術・生産 産戦略本部九州技術グループ 戦略本部九州技術グループ部長 専 任 課 長 西 正 剛さん( 九 州
の入山恒夫さん。
0020)
2006 Vol.226
3
伝承する仕組みが用意されていないのである。
B:実技
そんな中で、OJTこそ基本であるとして、仕組みづく
1.針の取り付け方
りを行っているのがワコールである。その集大成がこのパッ
2.糸の通し方
ケージである。
3.運針用紙による練習
この技術教育パッケージの根幹は、
・リーダーとして習得するべき技能・知識・管理・指導
こうした詳しい内容が、この集合基礎の他に、裁断、
の要素がわかりやすく系統だって盛り込まれ、教えら
縫製、検査、メカニック、工数要尺、5S、QC、現場のIE、
れる
事前検討、1枚縫い、標準作業……と続き、理解を助ける
・リーダーとして期待される技能・知識・管理・指導レ
ベルが明確に示されている
・VTRを活用し標準作業を具体的に示す
貴重なツールが用意されているのである。
ブラジャー生産のみならず、縫製全体にとって貴重な
ノウハウである。
・OJTでの指導法がVTR等を使用して明確に示されてい
る
……であり、リーダーとして出来なければならない技能・
九州ワコール製造㈱をマザー工場に
九州ワコール製造㈱をマザー工場に
全社的なリーダー育成の定番コース
全社的なリーダー育成の定番コースに
知識だけでなく、教え方までも標準化し、訓練している
同社はもともとモノづくり技術の向上を重要なテーマ
のである。
「技能はそれぞれ身体で覚えていますから、それを言葉
として取り組んでおり、量産技術だけでなく設計技術も
で伝えようとすると、それぞれが自分のやり方で教える
含めた伝承が全社的に進められている。量産技術の技術
ことになります。それでは伝わる内容が、教える人によ
伝承について企画やツール開発は本社の技術・生産戦略
りばらばらになってしまい、必ずしも必要なことが必要
本部の主導で進められており、九州ワコール製造㈱が実
なようにキチンと伝わるとは限りません。ワコールブラ
践する部門と位置づけられている。
ンドの商品を作るためには、同じように伝えることが重
現在、アメリカ、フランス、タイ、中国、ベトナム……
要です」と入山さん。
と多くの国でワコール製品を生産していて、世界的な生
この精神こそ、ワコールブランドの真骨頂と言ってい
産戦略の中で、国内の工場再編が進められ、商品群別に
いだろう。
それぞれマザー工場として技術の集約を進めている。ブ
ラジャーのマザー工場となるのが九州ワコール製造である。
[1.集合基礎]
[1.集合基礎]
基本知識
・技能を網羅した決定版
基本知識・技能を網羅した決定版
ここで技術教育パッケージを使った研修が年間4回ほど
実施されている。そのために、熊本工場との合併などい
くつかの組織変更を行っている。パッケージはブラジャー
いったいどのような内容が含まれているのか、<知識・
生産に関するものだが、内容は汎用的に他の商品にも活
実技編>の「集合基礎」の内容を具体的に見てみよう。
用できるため、同工場を研修会場として、先ずは国内工
場のリーダーを、さらには世界の工場のリーダーを育成
A:知識
していく予定だ。
1.ワコールの紹介(VTR)
また、“縫製について学ぶいいコース”であるという
ブラジャーができるまで
ことから熊本工場のメカニック担当者も参加しており、
2.インナーウェアの種類
このパッケージを使ったリーダー育成コースがワコール
3.縫製規格
における技能者研修の基本的な研修となりつつある。
ブラジャーの部分名称と工程名、製品仕様書、ミシン
の種類と針目の数え方、縫製要領、ラミネート規格、
生産技術者のノウハウを伝承
生産技術者のノウハウを伝承
パターン表示規格
4.ミシン
この「技術教育パッケージ」は、リーダーを育成する
ミシンの種類、縫いの種類、縫い目的、ミシンの部分
ものだが、それ以上にこのパッケージの持つ意味は大きい。
名称とその働き、縫糸、ミシン針
これまでワコールが培ってきた生産技術のノウハウが、
5.練習問題
4
すべて集大成されており、このパッケージ自身が、生産
2006 Vol.226
技術のノウハウを社内に残し次世代に伝承するツールになっ
ているのである。
内容は、縫製の技能と知識、管理技術の基礎、指導法
に加えて、ITによる支援ツールとして、作業標準ビデオ・
DVD、稼動計測システム、工程編成システム……などか
ら構成されており、これまで同社が長い年月をかけて培っ
てきた貴重なノウハウの集積なのである。
一例が、縫製作業をVTRで分析する作業標準ビデオ・
DVD、と稼動計測システムである。手作業がベースの縫
製工程のミシン作業を、IT機器を活用して分析し、標準
作業との違いを把握する……作業改善の決定版とも言う
べきもので、こうしたノウハウが伝承できるのは大きい。
今後、このパッケージはさまざまな改善が加えられ、
さらにブラッシュアップされていくことになろう。日本
の縫製工場のためにも貴重な財産と言える。
さまざまな研修ツールが用意された研修スペース。ミシンには無線LANが設置
されていて、
ミシンの稼動データはすべてサーバーに保存されるようになっている。
研修コーナーでは、
ミ
シンを使って縫い練
習を行い、4方向から
VTRで撮影して、自
分の縫いをチェックす
ることができる。0073
右のPCに映されている自分の作業 両方のPCには、自分の作業と標準
とミシンの稼動状態が、左のPCに映 作業(上)
とミシンの稼動状態(下)
されている標準作業と比較できるよう の両方が表示されている。
になっている。
1クールの研修は35日間。研
修の日程と項目が明確にされ
ている。参加者は現場を完全
に離れるため、副班長を35日
間送り出すラインは、
やりくりが
大変である。
技術教育パッケージ。
パッケージのなかの、
「集合基礎」
プログラムの例。縫製に必要な
基本的知識が網羅されている。
製品仕様書の説明では、不確か
に覚えている内容が明確に確認
できる。
研修を終えたリーダー
の顔写真と紙で縫製し
た作品が掲示されてい
る。紙はごまかしが効か
ないから、練習としては
高い技術とシビアな作
業が要求される。
2006 Vol.226
5
特集:アパレル工場の技能伝承策
服を作る前に“人”を作る
社内の職業訓練校で
494人の技能者を育成
昭和45年に大阪で初めて単独事業内で職業訓練校を始めたイワサキさんは、バブル崩壊後も
その姿勢を守り、いまでも全国から洋裁をやりたいという新卒を集める。高い技能に支えられ
た同社の考え方を伺った。
㈱イワサキ代表取締役社長
岩崎靖璋さん
120名の社員……
中途採用ゼロ、全員自社で育てる
もしっかり出来る。これをやるために、パーツ作りの理論
と実技をキチンと教えよう……という気になってきて、や
っと服作りに身が入るようになった」(岩崎さん)。
「今の状況を見ていると、日本では縫製技能者は育ちませ
こうして始めた職業訓練校だが、以来36年。高度成長か
ん。だって、高い技能に見合った給料が払われていないの
らバブルの時代へ、そしてバブルが崩壊して、低成長の時
ですから……」とアパレル工場の置かれた現状に苦言を呈
代へと環境はめまぐるしく変化した。その間、中国の工場
するのは東大阪でアパレル工場を運営する㈱イワサキの岩
が台頭し、ほとんどの仕事が中国へ行くようになった。そ
崎靖璋さん。そういいながら、ご自身は、昭和45年以来36
して、多くの職業訓練校が、新卒が集まらず運営する人数
年間にわたって縫製技能者を育ててきた。卒業生の数494名。
に達しないと閉鎖されてしまった。そんな変化にもかかわ
輝かしい数字である。もちろん現在の社員も中途採用はゼ
らず、岩崎さんは職業訓練校での技能者育成を続けてきた。
ロ、全員が新卒で入社し、社内で育成した。
「社内に職業訓練学校を作ろうと思ったのは昭和44年でし
た。当時は、オペレータは全員中学卒業生で、高度成長期
時代は変わっても技能の重要性は不変、
高技能でしかできない仕事だけをする
は金の卵でしたからなかなか新卒が集まらない。四国から
九州の学校を回ってもなかなか集まらない。四国のある職
“どうぞ時間と金をかけて技能者を育成してください。育
安に募集に行ったときに、職業訓練をやれば集まると言わ
ったら私のところでもらいます” ……遠くでそんな声が
れた。そのときはよくわからなかったのですが、これは!
と思った。そこで、すぐに大阪に戻ってきて大阪府に相談
に行き、職業訓練校の設置を決めた」と岩崎さん。
訓練校で心に火がともる
いいパーツから、いい服が生まれる
東大阪の本社。近
くに検品工場、寮な
ど5棟が建っている。
すべて自家 所 有 。
堅実な経営が行わ
れている証拠でもあ
る。
もともと工業学校の機械科を出てモノづくりに関心があ
った岩崎さんにとって、親が始めた縫製工場をただ受け継
いで経営するということでは満足できなかった岩崎さんの
心に熱く火をつける何かが職業訓練校の中にあったに違い
ない。
「仕事を始めてしばらくは身が入らず、プラモデルを作っ
ていました。そのうちに、服作りもプラモデルも同じだと
気がついた。パーツがしっかり作られていれば、組み立て
6
2006 Vol.226
現場は4-5人の少人数編成で、
グル
「やり方は昔とまったく変わりません。 ープごとの丸縫いが行われている。
技能重視で、
技能士を養成しています」
と代表取締役の岩崎靖璋さん。
聞こえることもあった。講師謝礼などを含めると訓練校の
人によってできるものは変わる、だからこそ、いい商品を
維持費に、年間数百万円がかかる。育った社員に辞められ
作るためには道具をうまく使える人を育てなければならな
るのはつらいが、採用した社員を信じて続けた……と岩崎
いんです」と岩崎さんはいう。機械と道具……機械が好き
さん。岩崎さんは毎年7月∼9月は全国の学校を回る。採用
で勉強した人だからこそいえる言葉かもしれない。
に当たっては、2泊3日で現場や寮を見てもらい、体験して
「商品を作る前に、人を作る」と岩崎さんはおっしゃるが、
もらうことにしているという。時間と金をかけるのなら、
図面どおりに商品を作ればいいというわけでなく、それを
長続きする社員を採用したいからだ。第1号の卒業生から、
デザインした人の心もわかって欲しいから、職業訓練校が
全員の卒業証書のコピーをすべて保管している。
必要だというのである。
訓練校の卒業制作は、毎年11月に行われる「おおさか技
岩崎さんの工場で作る商品は、ジャケットを中心にロッ
能フェア」のファッションショーで展示される。一人一人
トは約60∼70着、月産6,000着。4∼5人の班編成で、常にい
の社員とていねいに付き合う岩崎さんの熱意が社員に通じ
くつかの商品が流れている状態だから、しっかりした縫製
るのだろう、同社では退職者はきわめて少ない。
技術と同時に生産管理・工程管理に対する知識も必要だ。
こうした努力で、今では高い技能が社内に残り、そのお
しかも難易度の高い仕事が多い。
かげで他社では出来ない難しい仕事が同社に来る。工賃も
週に3日間就業後に開校される訓練校を卒業した494名は、
それなりにいただける。技能者育成の成果である。
362名が2級技能士に、61名が1級技能士に、そして、36名
が指導員になった。そのうちの多くがいまも工場にいる。
ミシンは道具、使う人により変わる
「商品を作る前に、人を作る」
人材育成しかない……と覚悟を決めて職業訓練校を続けて
きた岩崎さんの期待に応えるように、工場では難易度の高
い商品が作られている。
「中国でも出来るものを作るなら、日本でやっている意味
はありません。中国に行くべきです。その方がコストはず
っと安いですから。日本には日本でしか作れないものがあ
るはずですから、そういうモノづくりをしなければ、生き
残っていけないのではないか」と岩崎さん。
「洋服は作る人によって変わります。機械で作れば同じも
㈱イワサキ
創業:昭和22年
所在地:東大阪市菱屋西
社長:岩崎靖璋
商品:婦人服プレタ
社員:120名
工場:東大阪(職業訓練校併設)、鹿児島、長崎
のが出来ますが、ミシンは機械ではなく、道具です。使う
手がけるのはジバ
ンシー、
ニナリッチ、
ピエール・カルダン、
ラピーヌ・ブランシュ、
ウンガロなどの高
級プレタ。
こうした加工ができると
いうことが、縫製技術の
高さを物語っている。
技能士の資格所
有者の証書が掲
げられている。
マチ針も頭に鈴がついている
ものを使用。混入すればすぐに
見つかる。
こうした運針用紙でミシンの練習をするが、
難しい加工が求められる場合、
うまく工夫し
て活用することもある。どれも高度な技能が
求められる仕事である。
エル・大阪で開かれる「おおさか技
能フェア」での卒業作品発表のフ
ァッションショー。
職業訓練校での授業風景。社長自ら
担当する講義もある。
2006 Vol.226
7
特集:アパレル工場の技能伝承策
“メードイン東京”は高付加価値商品の代名詞
頑固に品質を守る―それが生きる道
<福新ドレス>
中国アパレル製品の品質向上でより強く求められる日本の技術力。高付加価値製品作りでこれ
まで生き残ってきた東京のアパレル工場が注目されるが、果たして産地“東京”に成算はある
のか? アパレル工場の現状をうかがった。
東京婦人子供服縫製工業組合 理事長
㈱福新ドレス 代表取締役
専務取締役
中村 衛さん
吉田昌二さん
吉田 浩さん
高い技術力の都内アパレル工場
若い2代目経営者へ代替わり進む
個々の企業では自社の実情に合わせてそれぞれ学校への派
遣や通信教育などを取り入れている。
「また、若手のオペレーターを補完するものとして中国
東京婦人子供服縫製工業組合の前身である東京洋装工業
からの研修生導入も同工業組合で独自に始めており、各工
会が誕生したのが昭和24年、以来歴史は45年を数える。そ
場への配属前に約1ヶ月の集合研修を実施するなど、産地
の間に縫製業界は大きく変化した。
東京の品質向上を目指して取り組んでいる」と中村理事長。
アパレル産業が最盛期だった昭和43、4年頃には同組合
「組合では毎年、展示会も続けてきましたし、組合員の
の加入会員数は約800社を数えたが、いまやその数149社と
高い技術はいまでも変わっていません。東京は、アパレル
20%以下に減った。バブル崩壊後の低成長で多くの会社が
に近いという立地のメリットがあります。これを生かして
工場をたたんだが、改めて都内のアパレル工場の将来を考
サンプル作りから密度の濃いコミュニケーションをするこ
えたときに、むしろ明るい光明が見える……と同工業組合
とで、より付加価値の高い製品をクイックに作ることが可
理事長の中村ドレス社長中村衛さんは言う。
能です。日本製のアパレルは品質が認められていて海外で
「組合員の149社のうち、若い2代目社長に代替わりした
のが85社あり、その若手の社長たちがお互いに刺激しあっ
も人気が高い。産地東京はこれから期待が大きいのです」
(同)。
て勉強をしているんです。もともと東京は高い技術力で付
加価値の高い仕事をしていましたから、やっとそれが発揮
される時代が来たのではないか。2代目の新しい感覚でア
パレルに取り組めば、今後は大いに期待できると思ってい
ます」と中村理事長。
「東京はもともと高い技術力を持った
工場が多いところ。この技術力に若
手の経営者の新しい感覚が生かされ
れば、今後は楽しみだ」東京婦人子
供服縫製工業組合理事長の中村ド
レス社長中村衛さん。
アパレルに近い立地を
活かす
かつては、傘下に2つの訓練校を持ち、1000人近い生徒
を育成していたが、いまはそれもなくなった。維持するだ
けの新卒を採用しなくなったからだが、といって人材育成
は不可欠。そこで、組合の人材育成部で始めたのが、飯田
橋にある職業訓練校を利用した研修であり、年に3回程度の、
パターン、接着技術などの勉強会。そうしたものに加えて、
8
2006 Vol.226
今年度の中国人研修生。工場へ
の配属の前に、約1ヶ月の集合研修
が行われる。
<福新ドレスの人材育成戦略>
通信教育を活用し技術力を高める
東京の立地を生かした生産体制
情報公開で自立する班長
そんな東京で、技術力の高さでつとに知られる福新ドレ
同社の仕事は、まさにアパレルと隣接しているという東
スさんを訪ねて、どのように技能者育成が行われているか
京の立地を生かしたものだ。
伺ってみた。
サンプルが出来ると、その足で1着をアパレルに持参し
同社の創立は昭和40年、現在、社員は38名。最近、近く
確認を取る、OKになれば戻ってすぐに生産に移るし、修
で仕上げ・プレスも独自に始めた。縫製工程は、4−5名の
正があればすぐに修正して再度確認を取る。サンプルづく
編成で5人の班長を中心に丸縫いを行う。高い技術力が求
りから、時間をおかずに生産できるから、100∼200着のロ
められるが、同社の基盤は社員の育成である。創立以来、
ットを週に2点は仕上げられる。この速さが同社の高い技
毎年のように新卒を採用してきた。多いときで9名、その
術力を物語っている。
ために技能教育は不可欠の要素だったのである。
こうしたことを可能にしているのが、リーダーの存在で
「特に、手がけている商品の70%が国内の百貨店で販売
ある。同社の班運営も非常に面白い。加工賃などの情報を
されているもので、他に台湾やアジアの百貨店など、いず
公開しており、各班の仕事の負荷を見ながら、吉田専務が
れも日本の緻密なモノづくりと品質が求められる商品ばか
受注した仕事を、納期順に割り振る。こうしておくと各班
りです。新卒を採用しますから、どうしてもキチンと技能
ごとにどのくらいの売上があるかが加工台帳で分かる。
者を育成しなければならなのですが、ウチは昔とまるで変
こうすることで、月の仕事量の目標が決まっているから、
わっていません。技能は会社で製図などは学校に通わせて
各班のリーダーは、納期と加工賃を見て、自分たちの班の
育成するだけです」と代表取締役社長の吉田昌二さん。
仕事の量を管理することになり、各班は自主的な意識が育
入社する新卒は、高校や専門学校卒業生。かつては東京
つ。売り上げが少なければもっと仕事をくださいといって
山手訓練学校を工業組合でやっていたので、そこに通わせ
くるし、早く終わればその日は早く仕舞うなどの処理も自
たが、それがなくなってしまったので、実技は会社で教え
主的な判断で行う。
ながら、製図などを文化服装学院の通信教育で学ばせてい
技術力だけでなく、経営意識も持った社員を育てる……
こうと考えている。5年で2級技能士を取得し、1級を目指
東京の立地を生かした新しいアパレル工場の人材育成の一
す社員も多い。社員の技能士免許は事務所の壁に掲げられ
つの方向といえるかもしれない。
ている。
株式会社福新ドレス
創業:昭和40年
所在地:東京都板橋区大谷口上町
社長:代表取締役社長 吉田昌二
社員:38名
生産アイテム:婦人服
住宅街にある福新ドレス。
「人を育てる……というやり方は昔と
変わりません。やはり技術力、いい商
品を作ることが大事です」と福新ドレス
代 表 取 締 役 社 長 吉 田 昌 二さん 。
事務所に掲げられている技能士の一覧。
工場は中間プレスを多用し
た1班4−5人による丸縫い
の生産体制。
難しい素材……それをこなすの
が同社の特徴。技術力を頼りに
仕事がくる。
近くに仕上げのプレス工場を作っ
た。最終的に製品に責任が持て
る…とここから得意先の支店宛に
配送できるようになった。
2006 Vol.226
9
知って
得する
縫いのヒント
54
本縫いミシンの
基礎知識シリーズ
2.
押え
(1)押えの働き
今回から本縫いミシンの主な機構や構造について生地素
縫製の際に押えは以下のような働きを持っています。
材や縫製工程との関連をシリーズとして取り上げて説明します。
①縫い合わせする布地を針板上面に安定させ、縫い位置を
定めます。
押え・送り歯・針板の基礎知識
②針が布から抜ける時、針と一緒に布地が持ち上がらないよ
ミシンに使用しているゲージ(押え・送り歯・針板)には多く
の種類があります。
うに押えます。
③送りが布を前方または後方に送る場合に方向性が乱れな
使用目的に合ったゲージを使用することにより、今までより
いように、適当な圧力で布地を送り歯の歯形に密着させます。
生産性・縫い品質の向上が図られます。
(2)押えの種類
1.
布地の分類 ①自由押え
布地の分類には、
はっきりとした定義もなく、縫製品質に関
最も標準的な押えで舟
連する要素も多いため、明確に分類するのは大変難しい問題
の部分が前上がりの状態
です。目安として布地の重さを基に下記のようにまとめて見ま
になるように後方にバネが
したのでゲージ選定の際に参照ください。ミシンには中厚物用・
付いています。布地との
薄物用・厚物用の3タイプがあり、
これらの素材に対応した設
対応性が良く、段部の送
定となっています。
り込みがスムーズです。
布地の分類
項目
薄物素材
中厚物素材
重さ g/㎡
50∼150
150∼320
320∼500
使用針
#8∼#10
#10∼#14
#16∼#23
使用糸(綿糸)
#100∼#60
#60∼#40
#50∼#30
代表的な生地
ブロード
ギャバジン
デニム(12オンス以上)
ジョーゼット
ダブルジャージ
モッサ
デシン
サージ
代表的な用途
シングルジャージ
デニム(12オンス以下)
シャツ
スーツ
ジーンズ
ブラウス
コート
防寒コート
ワンピース
学生服
ドレス
ジャケット
ジャンパー
10
厚物素材
2006 Vol.226
(3)押え裏溝(糸道逃げ溝)……下図参照
②固定押え
二ツ巻き・三ツ巻パイ
押えには裏の溝が大きく入った物と、小さい物があります。
ピング等の専用押えに多
中厚物用・厚物用ミシンの押え金の押え裏溝は大きく、薄
く使用されています。巻き
物用ミシンの押え金の押え裏溝は小さくなっています。
込み等の安定性は良い
のですが、段部の送り込
①逃げ溝の大きい押え(厚物用・中厚物用)
みは悪くなります。
縫い目(上下糸の結節点)
を押える事がないので糸締まり
が良くなります。但し、縫い目ピッチが小さい場合や薄物縫製
にこの押えを使用すると、パッカリングが発生しやすくなります。
③段付き押え
ステッチ縫い専用のガ
イド押えで左段部用・右
②逃げ溝の小さい押え(薄物用)
段部用・左右兼用の3形
裏溝の小さい物は、生地のペコつきを防止します。送りピッ
状があり、数々のステッチ
チが大きくなると糸締り不良が起こりやすくなります。
幅に対応するため、多く
③逃げ溝のない押え(極薄物用)
の種類があります。
極薄物縫製の場合に糸締り過ぎによるパッカリングを防止
する効果があります。
④スライディング押え
送り歯の上下にそって
押えが前後に動くため、
* パッカリングの原因
縫いズレ防止に効果が
パッカリングは針貫通による布地の変形・糸締まりによる縫
あります。
い縮み・送りによる縫いズレ、布地の変形とさまざまな要因が
絡み合う事により発生します。
(縫製研究所 木村雅彦)
①逃げ溝の大きい押え
溝が大きい
②逃げ溝の小さい押え
③逃げ溝のない押え
溝が小さい
溝がない
2006 Vol.226
11
JUKI PLAZA
高速電子単環根巻きボタン付けミシン
岐阜特集
AMB-289
国内工場は売り場のフォロー生産に特化する
短納期・クイック生産にあわせて設備を導入
クラスター
池田宜隆さん
しないという。国内で大きくして体制を維持するのは難しい……
ということのようだ。
今後の期待は中国。中国でうまく生産するコツは3つの工場
月曜日に受注して、金曜日に出荷
を競争させること。無条件で発注はしない。その危機感で工場
が努力するようになるとのこと。今後は、
杭州のラビットの皮革を
創業は1990年とアパレル工場としては比較的新しい。当初は
企画が主だったが、
“アパレルは製造が基本、
自社で作らないと
状況が分からない”
と製造を始めた。後発だけに先人の知恵を
十分に吸収して、
新しい発想でアパレルのモノづくりに取り組む。
元気な新しいタイプのアパレル工場である。
アイテムはジャケットが中心だが、
難しいものを手がけることが
多い。そのために工夫が必要だが、
そこは企画を手がけていた
強み。
「段取りや加工法を工夫して、
採算に合わない仕事を見
使った商品を作る予定」
とか。期待したい。
クラスター
本社:岐阜県大垣市熊野町
創業:1990年
社長:代表 池田宜隆
従業員数:13名
生産品:ジャケット、コートを中心に婦人服全般
「店舗から直接受注することで、
国内市場のフォローが可能にな
る」とおっしゃる池田宜隆さん。
事に採算に載せる」
(小寺ミシン商会小寺功一さん)。強さの秘
訣は柔軟な発想と設備を活用したものづくりにある。
ブランドは、
CECIL McBEE、
スマート・ピンク、
Boysなどだが、
「国内は、
売り場のフォロー生産です。月曜日に受注して週末に
納品しますので、
そのために何でもできるように必要な設備は導
入しています。それも難しい仕事をやさしくこなす重要な強みの
一つになる」
と池田宜隆さん。
「上手にミシンを使われます」
と工夫に感心する小寺ミシ
ン商会の小寺功一さん。
中国工場を活用する“コツ”……は、
競争させることで努力を促す
中国人研修生が主だが、難しい加
工もこなす技術の高さが売り。教
えるのは日本の考え方だ。0058
同社は中国でも生産を行い、
3つの工場で約1,000人のライン
を借りている。
「中国工場の設備は部分的に日本工場よりもいいものが入って
いますし、
品質も良くなってきています。
しかし、
生産性は日本の
工場のほうがいい。中国で作るとジャケットは1人一日4枚くらい
しか出来ませんが、
日本で作ると7枚はできる。それだけ技術が
違うということですね」
(池田さん)。
ご自身ユニフォームの企画もやっていて、
いわばアパレルだが、
在庫はゼロ。国内工場も仕事は増えそうだが、
これ以上は大きく
12
2006 Vol.226
高速電子単環根巻き
ボタン付けミシンAMB289。このほかにも、ポ
ケットセッター、鳩目穴
かがり、眠り穴かがりミ
シンなどもある。13名と
いう規模にしてはミシン
は豊富だ。0056
ボタンホックの止め布は剣先
型をしている。この加工も工
夫の見せどころである。0055
ドライヘッド一本針自動糸切りミシン
DDL-9000S
特殊な工程は自社でも加工を引き受ける
最終工程だから油汚れのないドライヘッドが不可欠
安藤ミシン商会
安藤博之さん、安藤直樹さん
の75歳の方が、
50年間使用した愛用のミシンのベルトが切れて
困っていた所、
安藤ミシン商会さんのホームページを知ってミシ
ンがよみがえった。不思議なことに自分も元気になった……とい
仕事は若い2代目同士で広がる
「先代が創業したのは昭和48年、
ちょうどオイルショックの年で、
う記事も新聞で紹介された。
特殊なミシンが必要な工程を引き受ける
特殊な
ミシンが必要な
それまで景気の良かったアパレル工場はとたんに景気が悪くな
難しい工程の加工を引き受ける
った。仕事はそれ以来ですから、
いい思いをしたことがありません」
「景気に左右されるミシン販売だけでなく、
もう一つ事業を、
と始
と笑うのは安藤ミシン商会の2人の経営者、
安藤博之さんと直樹
めたのが縫製です。ただ、
工場さんが困っている工程を引き受
さん。31歳と29歳のご兄弟で、
平成9年からの息の合ったコンビ
けるということで始めましたので、
穴かがり、
ボタン付け、
大きなサ
ぶりは、
御付き合いの縫製工場の社長さんからの評価も高い。
イズの閂止め……などの工程を引き受けています」
と博之さん。
「仕事は忙しいです」
とおっしゃるが、
縫製工場の2代目の若い
最近、
受けた仕事で、
白い難素材があり、
油汚れが厳禁……
経営者の方々も、
同じように若い感覚を持ったミシン屋さんを好
ということで、
ドライヘッドの本縫いを導入した。縫製作業は、
お
むことから、
自然と元気な工場とのお付き合いが増えるため。上
母さんや奥さん方の担当。工場はそのままお客さんに見てもらう
り坂だから、
仕事が忙しいというわけである。
展示室に活用できるところがメリットでもある。
カタログ、
ホームページとしっかり営業アイテムをそろえた同社
ホームページが大活躍
忙しい理由はもう一つ。
3年前から始めたホームページ。縫製
の豆知識もあってなかなか便利と評判だ。博之さんの担当だが、
ミシンの価格を明記し、
また小物やパーツも掲載していることから、
全国から注文が来る。家庭用の古い足踏みミシンのベルトの注
が忙しいというのもうなづける。
安藤ミシン商会
本社:岐阜県羽島郡笠松町西金池町
創業:昭和48年
社長:安藤 博之
従業員数:4名
生産品:ミシン販売店として、特殊工程のみ加工
文も多く、
これまでに少なくとも100本は売っているという。埼玉県
独自のカタログを印刷して
配布する。ここ数年忙し
いですとおっしゃる秘訣は
こういうきめの細かいサー
ビスにある。0007
「縫製工場の2代目の若い社長さんたちは、若いミシン屋の方が話が
合っていいようです」とおっしゃる安藤ミシン商会の安藤博之さん(左)
と安藤直樹さん
(右)。それぞれ独自にお客さんも持って、
忙しい。0014、
0013 ドライヘッド一本針自動糸
切りミシンDDL−9000S。
ほかに、鳩目穴かがり、眠
り穴かがりミシン、電子サ
イクルマシンなどもある。
自社の工場で使うミシンは、
博之さんが担当するホームページ。アクセス頻
そのままお客様に使用事
度も高く、全国から注文が寄せられる。
例として展示できるという
http://www.andomishin.com/
メリットもある。0023
2006 Vol.226
13
Information
第189回アパレル生産工場のマネジメントセミナー
アパレル生産工場のマネジメントを学ぶ
せていただきます)
〒182-8655 東京都調布市国領町8-2-1
コースとして定評のあるJUKI縫製研究所
参加費 1名73,500円(税込み)
電話:03-3480-8500
のセミナーです。アパレル生産工場の生
宿泊費、食事代、
テキスト、教材
FAX:03-3480-7650
産管理を中心として、
モノ作りの現場のあ
費を含みます。
担 当 JUKI株式会社縫製研究所
り方から管理者の役割まで国内外のアパ
申込先 [email protected]
レル産業の最新の情報を交えてわかりや
すく学んでいただきます。
期 日 平成18年7月25日
(火)
∼7月28日
(金)
(3泊4日)
集 合 平成18年7月25日
(火)13:00
終 了 平成18年7月28日
(金)13:00
会 場 JUKI大田原株式会社
那須研修センター
栃木県大田原市北金丸1863
講 師 JUKI株式会社 縫製研究所所員
定 員 30名(定員になり次第、締め切ら
大阪ミシンショー開催ご案内
2月24日から第40回大阪ミシンショーが
主 催 大阪府ミシン商業協同組合
開催されます。
後 援 近畿経済産業局、大阪府、大
今回は第3回ハンズフェスティバルを併
阪商工会議所、大阪府中小
催し小物作り、
キルト、
クラフトの講習会や
企業団体中央会、
(社)日本
作品の展示即売会も企画されています。
縫製機械工業会、全国ミシン
J U K Iは電 子サイクルマシンA M S -
商工業協同組合連合会、全
210E1306/IP400(入力機能付き)
など最
日本特殊ミシン工業会、大阪
新の機種を最大のブースにて展示します。
釦服飾手芸卸協同組合、大
概要は以下のとおりです。
阪ミシン機友会共同組合 名 称 第40回 '06大阪ミシンショー
他
会 期 平成18年2月24日
(金)
・25日
(土)
・26日
(日)
午前10時∼午後5時 26日は午後4時30分終了
会 場 インテックス大阪
14
お問い合わせは大阪府ミシン商業協同組
合事務局へ TEL:06-6768-3470 E-メール:[email protected]
〒559-0034 大阪市住之江
大阪ミシンショーのURLは下記
区南港北1丁目5番102号
http://www.omsk.gr.jp/
2006 Vol.226
藤田、土屋、西宮
海
外
拠
点
便
り
編集後記
タイ
求められるIE技術者の育成
タイの正式国名は「タイ王国」。日本
麺に振り掛けるといった習慣のない日本
の約1.4倍の国土に約6,500万人が暮
人には最初抵抗があるだろうが(かく言
らしている。日本との時差はマイナス2時
う私も最近になってやっと試みた)是非
間。熱帯に位置しており、南部のマレー
試してもらいたい。
半島と北部山岳地帯を除く国土の大部
現在タイの縫製工場のオペレーター
分は、熱帯モンスーン気候地域である。
の給料は工場にもよるが月額US$110
年間を通じて1日の最高気温30∼35℃、
程度。生産方式はハンガーライン、特に
最低気温はバンコクで24∼27℃、
チェン
大手はイートンハンガーシステムを利用し、
マイで14∼24℃といったところだ。湿度
大量生産型の生産を行っている。
しかし
は平均70∼80%。そしてタイの季節は
ながら今後はオーダーの多品種少量化
大きく雨期、乾期、暑期の3つに分けら
が予想されており、
フレキシブルな生産
れる。
への対応が求められる。
またタイといえば「トム・ヤム・クン(エビ
タイでは生産管理に関する情報が少
入りの酸味辛味スープ)」等に代表され
なく、専門家であるI
E技術者を育成する
る「甘くて、辛くて、酸っぱい」タイ料理
機関もない。こういった状況の中、
JUK
I
が有名。屋台に行くと必ず備え付けられ
縫製研究所は生産管理セミナーを実施
ている調味料に砂糖、
ナンプラー
(魚醤)
、
しているが、有料のセミナーにも関わら
酢の唐辛子漬け等があり、
これらをスプ
ず多くの受講者が集まり、熱気に満ちた
ーンで麺に振りかければ、複雑な味が絡
中での講義が行われている。
み合った奥深い味が楽しめる。砂糖を
(岩郷太郎)
家業的な縫製企業では経営者が高
齢化して継続が困難となれば廃業して
しまうのが現実であり「2007年問題」は
アパレル製造業界にあるのだろうかとい
った意見も企画の段階でありました。逆
に10年後に日本の縫製技術・技能は伝
承されているのか非常に危惧されるとこ
ろです。
こういった中で今回登場いただいた
ワコールさんなどはこの問題に長期的
視野で組織的に取
り組んでおられ、感
心しました。是非参
考にしていただきた
いと思います。
(知)
JUKIマガジン 2006年 VOL226
http://www.juki.co.jp/jm/
<通算226号>2006年1月31日発行
発 行:JUKI株式会社
http://www.juki.co.jp
企 画:JUKIマガジン編集室
〒182-8655
東京都調布市国領町8-2-1
TEL.(03)3480−8500
FAX.(03)3480−7650
編 集:生産技術情報センター
デ ザ イ ン :志岐デザイン事務所
JUKI販売株式会社
各拠点/カスタマーズセンター
生産管理セミナー参加者
タイ縫製工場
■本社〒182-0016 東京都調布市佐須町1-6-4
Tel(0424)99-3180
Fax(0424)99-33191
■東北CC〒023-0023 岩手県水沢市八反町 81-1
Tel(0197)25-2725
Fax(0197)25-2790
■関東CC〒182-0016 東京都調布市佐須町1-6-4 2F
Tel(0424)80-4641
Fax(0424)80-4656
■中部CC〒452-0961 愛知県西春日井郡春日町
大字落合字宮重町521
Tel(052)400-1234
Fax(052)400-9216
■北陸CC〒920-0027 石川県金沢市駅西新町3-4-25
BM-111
Tel(076)224-8805
Fax(076)224-8806
■近畿CC〒564-0062 大阪府吹田市垂水町3-17-18
Tel(06)6339-7124
Fax(06)6339-7136
■中四国CC〒720-2419 広島県福山市加茂町上加茂290-1
Tel(084)972-3880
Fax(084)972-2380
■四国CC〒794-0804 愛媛県今治市祇園町2-3-52
Tel(084)972-3880
Fax(0898)25-0334
■九州CC〒839-0811 福岡県久留米市山川神代1-8-22
Tel(0942)44-1835
Fax(0942)44-9729
2006 Vol.226
15
縫製エリアを拡張し、一段とパワーアップ
基本的な機能・性能は、
AMS-210E-1306と同様に
高い生産性・縫い品質・操作性・
作業性・拡張性・メンテナンス性を実現
●縫製エリア横220×縦100mm
●電子サイクルマシンで最高の縫い速度2700rpmを実現
●X-Y送りは最小分解能0.05mmです。精度の高い形状入力/パタ
ーン修正
●入力機能・エラーメッセージは三ヶ国語(日・中・英)が標準装備
●本体に最大200パターン(MAX20,000針)記憶をできます。
●IP-400を使用する事でパソコンとの接続、データの交換・共有が
可能です。
AMS-210E-2210
入力機能付き電子サイクルマシン
Fly UP