...

多高 3 ポリ( 4ーアセトキシスチレン)の希薄溶液物性 糸者 本章は、 ポリ

by user

on
Category: Documents
85

views

Report

Comments

Transcript

多高 3 ポリ( 4ーアセトキシスチレン)の希薄溶液物性 糸者 本章は、 ポリ
、_.....
多高
ポリ( 4ーアセトキシスチレン)の希薄溶液物性
3
1
本章は、
糸者
ポリ(4ーアセトキシスチレン)(PAS)の希薄溶液物性
について明らかにするものである。
するポリスチレン(
P
PASは4位にアセトキシル基を有
S)の誘導体であるが、
分子物性に関する研究報告は少なく 、
溶解性と赤外スペクトルの報告、
このPASについての高
Danussoら1 )による数種の溶媒への
およびNakamuraら2 )によりPASを部
分的に加水分解した4ーヒドロキシスチレンとの共重合体のガラス転移
温度の 研究がなされて いるのみである。
第2章では、
PASとポリ(4ーヒドロキシスチレン)(PHS)の
溶媒への溶解性について検討し、
た。
本章では、
特に、
三次元溶解度パラメータの解析結果に基づいて、
良溶媒と貧溶媒をいくつか選ぴ、
度を決定し、
また、
それぞれの溶解度パラメータを決定し
貧溶媒については相分離実験より0温
光散乱法によりPASの分子量を求め、
良溶媒と貧
溶媒をいくつか用いて極限粘度数と分子量の関係式を明らかにするもの
である。
Kuwaharaら3・4 )は、
PSのベンゼン環の4位に置換基を有する誘導体
の高分子鎖のコンフォメーシ ヨンが、
その基の静電的な相互作用よりむ
しろその基のモル体積によって影響されると報告している。
A Sについて、
。溶媒を決定し、
本報ではP
その極限粘度数と分子量の関係から、
0溶媒中での高分子鎖の広がりを算出することで、
高分子鎖の溶液中で
の広がりに対するアセトキシル基の効果について、
p Sあるいはp Sの
62
、圃--
誘導体と比較検討する。
また、
高分子と溶媒の間の相互作用を表す自由エネルギー ・ パラメー
タ(χ1 )は、
その温度依存性からエントロビー ・ パラメータ(ψ1 )と
エンタルビー ・ パラメータ(κ 1 )に分離できる。
そこで、
P A S一各種
溶媒系について極限粘度数の温度依存性からψ1とκ 1を決定し、
溶媒の
分子情造がψ1とκ 1の値に与える影響について検討する。
�主
2
3. 2
.
1
試
馬食
料
4-アセトキシスチレンは、
し、
前章の2 . 2 .1で述べた方法により蒸留
重合に用いた。 溶媒は一般的精製法にしたがい蒸留し、
た。 1 . 1ージフェニルー2ーピクリルヒドラジル、
イソブチロニトリル( A
1
B N )、
測定に用い
2 . 2 · 一アゾビス
過酸化ベンゾイル(B P 0 )は2回
以上再結晶したものを用いた。
3. 2. 2
重合と分別
4ーアセトキシスチレンからのラジカル重合条件およびP A Sの収率、
極限粘度数、
分子量を表3.1に示す。
すべての重合にはA
1
B
P A S 5でB P 0を用いた以外、
Nを開始剤とした。
濁の安定剤としてゼラチンを使用し、
P A S1 0から1 9では懸
ガラス製アンプル中で撹梓下に重
Aを行った。
反応容器内は窒素で置換して重合を行った。
をさせた後、
非溶媒であるメタノールあるいは水の中へ反応物を投入し
て反応を停止させ、
沈澱した生成ポリマーを吸引減過し、
- 63 -
一定時間反応
非溶媒でよく
Table 3.1
Sample
code
(g)
PAS 1
l∞
PAS 4
i∞
PAS 6
l∞
PAS 8
!∞
PAS 3
PAS 5
PAS 7
cn
�
Monomer
PAS 10
PAS 11
1 (泊
80
!∞
131
i∞
PAS 12
l∞
PAS 14
l∞
PAS 17
l∞
PAS 13
PAS 16
PAS 18
PAS 19
i∞
l∞
l∞
l(泊
Polymerization of 4-acetoxystyrene under various condi七ions
Stabilizer
Solvent
(ml)
Benzene
4∞
Benzene
135
Benzene
Benzene
Benzene
Water
Water
Water
Water
Water
Water
Water
Water
Water
(g)
135
9∞
2∞
2∞
2∞
2∞
2∞
2∞
2∞
Gelatin
Gelatin
Gelatin
Gelatin
Gelatin
Gelatin
Gelatin
Gelatin
Gelatin
.. Measured in dioxane at 25.0oC by viscometry
�
Measured in dioxane at 25.0oC by light scattering
20
4
4
4
4
4
4
4
4
Temp.
Yield
(OC)
(g)
〔 F1l1・ (d g 1)
M!/I(t
12
95
40
0.780
65
40
0.190
6.3
BPO
0.250
65
60
0.470
23.7
0.4∞
117
65
20
0.2∞
6.3
AIBN
0.2∞
41
65
85
0.470
20.9
0.050
119
65
25
0.620
0.1∞
424
45
91
1.29
AIBN
l∞
Time
(h)
39
44
AIBN
350
2∞
(g)
AIBN
450
Benzene
Initiator
AIBN
0.498
49.1
30.4
105
AIBN
0.276
326
55
62
し37
AIBN
zα)()
325
45
84
3.20
1.5∞
326
45
72
AIBN
1.α刀
326
45
80
3.48
4.02
0.5∞
326
45
89
5.∞
1.5∞
72
65
62
1.92
164
z∞l
72
65
68
1.68
137
3.∞4
72
65
79
1.54
4.∞1
48
65
84
1.40
AIBN
AIBN
AIBN
AIBN
AIBN
AIBN
90.0
462
487
99.1
107
司・-
洗浄し、
約60"Cで減圧乾燥させた。
合して得られたそれぞれのP A Sについて、
た方法により1 Rスペクトルを測定した。
前章の2.2.2で述べ
得られた1 Rスペクトルは、
Danussoら1 )によって報告されているスペクトルと完全に一致した。
得られたP ASの中からP A S 1、
P AS3、
P A S 10について分
別沈澱法による分別操 作を行い、 分子量分布幅の 狭 い 試料を作製した。
方法は以下のとおりである。
A
30 OCに コントロールした恒温槽にて、
S試料を2ーブタノンに溶解して、
P
A
1 .5%溶液をっくり、
Sの非溶媒であるメタノールを滴下し、
30 OCに保ち2相に分離させた。
この溶液ヘ
溶液を白濁させた。
の温度を上げて白濁したポリマーを再溶解させ、
恒温槽
次いで徐々に冷却して
濃厚相を容器から取り出し、
少量の2
ーブタノンを加えてから大量のメタノール中に投入して沈澱させ、
し、
減過
減圧乾燥器にて乾燥させた。
3.2. 3
光散乱測定
測定は、
F i ca50自動光散乱光度計を用いて行った。
の4 3 6nmの光を用い、
まず、
入射光には水銀
入射光および散乱光ともに垂直偏光で測定した。
絶対散乱強度のよく知られているベンゼンとガラスブロックの各
散乱強度の関係を求めておき、
いて装置定数を決定した。
以後の実験では随時ガラスブロックを用
溶媒および溶液の光学的精製は、
の遠心分離機50B-CFS-3型を用い、
し、
P
Marusan社製
3350 0 Gで3時間遠心
その上澄みを島津(株)製読み取り顕微鏡A型を改造した微動可能
の装置に取り付けたピペットで直接光散乱測定セルに移した。
ットは、
くり、
Thumondの方法5 )にしたがい、
特別にピペット洗浄用カラムをつ
噴出するアセトン蒸気で洗浄したものを用いた。
-
65 -
そのピペ
散乱角は3 5度
、--
から145度の範囲で、
4点から5点の濃度での高分子溶液を測定した。
測定温度精度は:tO. lOCで、
-O. 02g/dl、
濃度範囲は高分子量のもので約0. 005
低分子量のもので約o . 2 -1 . 0g/ d1とし、
低濃度で測定を行った。
全ての光散乱のデータは、
できる限り
散乱角度。のs in 2
( e /2)と濃度の和に対しK c/ R 9 をプロットするいわいるZimmのプ
ロットを用いて解析し、
重量平均分子量Mw、
第2ピリアル係数A2、
z
w均の回転半径の二乗平均くS2>Zを決定した。
なお、
示差屈折率を、
島津(株)製示差屈折計DR-3型で測定した。
測定に使用した光は4 3 6 nm単色光で、
調節した。
セル内の 温度は25:tO. lOCに
装置定数は塩化カリウム標準水溶液で決定した。
ジオキサンを用い、
屈折率の濃度増分dn/dcを0.1 3 9
溶媒として
(ml/g)と決定
した。
3. 2. 4
粘度測定
粘度測定は、
ウッベローデ型の毛細管希釈型粘度計を用い、
それぞれ
の測定温度において:t0.01 oCに保たれた恒温水槽中で行った。 すべて
の溶液と溶媒は測定前にG 3タイプのガラスフィjレターで鴻過した。
濃度はP A Sの分子量に応じてo . 1 5から1 .Og/dlとし、
点の濃度に順次希釈しながら流下時間を測定した。
は、
初
4点から5
全ての粘度のデータ
HugginsおよびMead-Fuossの式を用いて解析することにより極限粘度
数[η]を決定した。
3.2.5
運動エネルギーの補正項は無視できた。
沈澱温度測定
沈澱温度の測定は、
ヨンをいくつか選び、
分別したP A Sの中から分子量の異なるフラクシ
Cowieらの方法れにしたがった。
66
高分子溶液濃度が
、_......-
0.5から7 . 0 wt%の範囲 となるように各分別試料を、
内径3mmの肉厚
のガラス管に注入し溶封した。 これを恒温槽中で振とう携梓しながら3
OC/ hの速度で温度を上昇および下降させて、
ガラス管のうしろに固定
した銅線が鮮明には見えなくなる点を沈澱温度 として測定した。
媒としては、
o
�
なお溶
100 oCの範囲に沈澱温度すなわち相分離が起こり始
める温度が存在するものを選んだ。
3. 2 .6
G P
ゲル浸透クロマトグラフィー( G P C )
Cの測定には、
Waters社製の1000/ S /401型を使用した。
マイクロスタイラゲルカラムの組み合わせは10 5nm、 104nm、 10 3
nm、 10 6nmとした。
溶離剤のテトラヒドロフラン( T H F )またはトル
エンの流速は1ml/minとした。
濃度o . 1からo . 2 g/dlの浴液 2 00
μlを注入した。
3. 2 . 7
部分比容測定
溶媒および溶液の密度測定は、
Anton Paar社製のDMA60-DMA
60 2 H T型の密度計を用いて行った。
溶媒または高分子溶液が満たさ
れたセルの固有振動の周期を測定することにより、
た。
二重恒温水槽を用いて、
その密度ρを決定し
測定温度精度を:t 0. 0 0 5 oCに調節した。
装置定数は蒸留水を再蒸留した直後の水 と空気を用いて決定した。
の密度の決定に際しては、
正した。
測定中の室温、
湿度、
溶液中のポリマーの部分比容υ2は、
たがって決定した。
- 67 -
空気
大気圧による変化を補
溶液密度から次式7・8 )にし
、--
112=1/ρ12 {1 一
ここで、
[(1 -
ρ1 2は溶液密度で、
(3
W2)/ρ12] (dρ12/dw2) }
W2は高分子の重量分率である。
-
なお、
1 )
本式
は溶媒および高分子比容の加成性を仮定して導かれる。
3
3 . 3
.
1
糸
とヨ考委契
光散乱とGPC
3 . 2に2
5
ocでのジオキサン溶液の光散乱測定より決定されたPA
Sの各フラクシ ョ ンについての重量平均分子量Mw,
乗平均< S2> z、 第2ビリアル係数A2を示した。
Z平均回転半径の二
光散乱から得られた
Mwを確かめるためと分子量分布幅を知るためにGPC測定を溶媒として
THFを用いて行った。
Pressure
Benoitらの方法9 )にしたがって、
Chemicals社製の単分散 PSのT HFおよ びトルエン溶液の溶離体積V e
に対する[η]Mwをプロ ットし、
検量曲線を求めた(図3
にPAS-THF系のMw[η]をVeに対しプロ ットし、
.
1 )。
図中
黒丸で示す。
これらはPSによるユニバーサル検量曲線上によくのっている。
PAS
についてGPCから分子量分布が正しく得られることを示している。
P
G
Cより得られた分子量分布の指標であるMw/Mnも表2の第3列に示
した。 Mnは数平均分子量である。
-
68 -
司.,....-"
Table 3.2
Light-scattering data for
PAS in dioxane at 250C
Fraction
λ1wxl0-4
Mw/Mn*
(S2)zxl012
(cm2)
12.4
1-2
1-3
67.3
1.65
37.8
1-4
1 -5
1.39
15.0
1-6
3-2
3-4
3-6
3-7
3-8
3-9
3- 10
24.4
1.57
9.55
1.40
4.47
2.32
1.24
1.42
352
10-2
219
10-3
10-5 -1
10-5 -2
10-6
10-7 -2
10-8-1
10-8 -2
184
155
166
101
80.5
45.8
33.5
18.4
1.04
0.781
1.19
1.16
0.91
2.95
1.10
1.39
3.71
ICトi
10-4
1.14
1.46
3.80
5.98
6.21
1.13
3.65
3.29
0.291
6.94
4.69
6.85
78.2
2.23
59.4
1.55
33.6
1.72
21.4
1.48
3.12
3.43
4.48
1. 71
1.29
2.56
2.46
0.403
1.13
1.29
A X 104
2
(ml mol
g-2)
48.7
34.8
14.7
7.99
5.41
3.10
1.81
1.89
2,18
2.06
2.07
1.95
2.51
2.83
2.77
3.71
* Dete口Ilined
by gp.c.,using THF as the solv
ent and based on the
polystyrene standard
- 69 -
、・・--
7.0
ミ
主
5.0
r
ol
0
3.0
25
30
35
ve(ml)
Figure 3.1
Calibration curve of
[η] M
e1ution volume
Ve,
polystyrene of
Pressure Chemicals in THF
toluene
(口)
and
w
against
obtained from monodisperse
(0)
the plot observed for PAS
ー 70 -
and
in THF
(・)
•
司...--
PASのMwと< S 2> zおよびA2との関係
3. 3. 2
図3 . 2にMwと2
また、
トを示す。
5
oc、
ジオキサン中での<S2>Zl/2の両対数プロ ッ
図3 . 3にMwとA 2の両対数プロ ットを示す。
それぞれ
のプロ ットを最小自乗法により解析し次の関係式を得た。
1/2
< S2>
z
A2
5 .
=
=
6 6
1. 1 5x1 0 - 9 Mw O. 60
x1 0 - 3 Mw -0 . 23
」れらの結果から、
とがわかった。
また、
[ cm 2 ]
[ml' mol/g 2J
ジオキサンはP A Sに対して比較的良溶媒であるこ
両式中のMwの指数値の大きさは、
P Sやその誘導
体について報告されている大きさと同程度である。
PASの相分離
3. 3. 3
第2章のHansenによるP A Sの三次元溶解度パラメータの解析におい
て、
相溶領域と非相溶領域の境界線付近にある溶媒の中から予備の相分
離実験を行い、
酢酸イソプロピルと酢酸ブチルをP A Sの相分離実験の
溶媒として選んだ。
分子量範囲は1 .84xI05から 3.52xI06ま
での6つのP A Sのフラクシ ョ ンについて、
測定し た。
種々の濃度で沈澱温度Tpを
図3. 4にPAS-酢酸イソプロピル系の相図を示す。
-酢酸ブチル系についても同様な相図が得られた。
PAS
これらはともにP S
ーシクロヘキサン系などに見られる上限臨界共溶温度(UCST)を有
する相図である。 しかしながら 、
べると、
非極性ビニル系鎖状高分子の相図と比
曲線の頂点である臨界温度Tcがかなり低濃度側にずれている。
原因として高分子や溶媒が強い極性を有するための溶媒和の効果が考え
71
、,r
-5.0
刊\FN八 刊 句 V mo一
- 6.0
4.0
5.0
6.0
iogM
Figure 3.2
agaìnst
Double-logarithmic
W
plots of
くs 2> Z1/2
Mw for PAS fractions
ln dioxane at 25"C .
-3.0
N
q mo一
-4.0
4.0
5.0
6.0
l O g MW
Figure 3.3
Double-logarithmic
plots of
for PAS fractions
ln dioxane at 25"C
.
A2 agaínst
Mw
られるが、
詳 細は明かでない。 それぞれの相図から 各分別試料のTcを
図より読みとり、
次のSchu1tz-F1oryの式10)を用いて0温度を決定し
。
た
l / Tc =
(1 / 8)
(1+b / M1/2)
ここでbは定数である。
た。
( 3 -2)
MW 1/2に対して1 / Tcを図3.5にプロ ットし
これらの切片から酢酸イソプロピルと酢酸ブチルにおけるP H Sの
0温度を、
3. 3. 4
それぞれ19. 70C、
26 . 8 oCと決定した。
PASの[η]とM.との関係
。溶媒として酢酸イソプロピルと
良溶媒としてジオキサンとTHF、
酢酸ブチルの4つの溶媒を用いてP A Sの各画分について粘度測定を行
った。
ジオキサンとTHF溶液は25 oCで、
酢酸イソプロピルと酢酸ブ
チル溶液はそれぞれ0温度の19. 7および26.80Cで測定した。
れた極限粘度数[η]を分子量に対して両対数プロ ットし、
3.6に示した。 ここで、
Mar k-Houwink-Saku radaの式、
[η]
[η]
[η]
= KM a、
この図から
における定数Kと指数a
次 式を得た。
= 1.6 7
x
75
x
= 1
それらを図
酢酸イソプロピルと酢酸ブチル溶液での関係は、
験誤差内であるとみなした。 これら4つの溶媒に対して、
を決定し、
得ら
.
10
1
0
-4
M WO
-4
M WO・
・ 65
64
[d1/gJ
[dl/g]
- 73 -
(ジオキサン、
(THF、
25 oC)
2 5 oC )
-­
-・
.,
10
一--0-て>-】『
『九、G
352αχxコ
219αnコ
155αX氾
01α)()コ
。
υ
----
/
。
a.
45反xxコ
ト‘
-10
184α)()
。
2.0
4.0
c
Figure 3..4
6.0
10.0
(9 dl- 1)
Phase diagrams for several PAS
lsopropyl acetate.
8.0
fractions in
Numeral indicates molecular
weight.
- 74 -
.,...--
4.0
ah\
3.5
M
Cコ
3 .0
。
1.0
103
Figure
3.5
ル"
- 1/2
w
Plots of reciproca
ls of critical
precip itation temper
ature
for PAS
2.0
T c-1 against MW-1/2
fracti
UUS 1n
i
1sopropyl acetate
l. onヌ
butyl acetate
(・)
•
ー75 -
(0) and
0.0
Eご
Q')
0
- 1.0
4.0
lo gM
Figure 3.6
M
w
6.0
5.0
W
Double-logarithmic plots of
[η]
for PAS fractions in dioxane (0) at 250C,
at 25"C,
against
THF (・)
isopropyl acetate (口) at 19.70C and butyl
aceta te (・) at 26.8t, and for monodisperse polystyrene
of Pressure Chemicals in dioxane (ム) at 250C and THF (À)
at 25"C .
- 76 -
[η ]
=5.20
x
1 0-4Mwo.50
[dl/gJ
(酢酸イソプロピル、
1 9. 7 ocおよび酢酸ブチル、
26.80C)
記 粘度式の 指 数の値は典型的な鎖状高分子について知られている値
の範囲内にある。 このことから、
イルであるといえる。
本研究で使用したP A Sはランダムコ
これらP A Sの結果と比較するためにPressure
Chemicals社製の標準P Sの分子量の異なる8つの試料について粘度測定
をジオキサンとTHFを溶媒として25 ocで行った。
に示し、
結果を同じ図3. 7
次の極限粘度数と分子量の関係式を得た。
[η]
= 7 .5 9
x
10 -5M WO・15
[dl/gJ
(ジオキサン、
[η]
= 9. 7 7
x
10 -5Mwo・14
[dl/gJ
(THF、
Mwの指数値の大きさを比較すると、
ジオキサン、
その値がp Sのその値より小さいことから、
してP Sより貧ではあるが、
25 oc )
25 oc )
THFともにP A Sの
これらの溶媒がP A Sに対
その値の大きさから判断してP A Sに対し
てなお良溶媒であることがわかった。
また、
チルについてはMwの指数が0.5となり、
酢酸イソプロピルと酢酸ブ
それぞれの温度で0状態にな
っていて、
相分離温度調IJ定結果と一致した。
3. 3.5
PASの非摂動状態での広がり
4位のアセトキシル基の高分子鎖の広がりに対する影響を調べるには、
0溶媒の中での高分子鎖の広がりをP Sあるいはその誘導体と比較する
ことが適当である。
。状態でのMark-Houwink-Sakurada式は次のように表
- 77 -
、司�
F
される。
[η] 9
O.5
=K9 M
( 3 - 3)
ここでOは0状態、を表している。 このK9 は非摂動状態での鎖の末端問
距離< R 2> 0を用いて、
K9
次式のごとく表すことができる。
=φ0(< R2>O/M) 3/2
(3 - 4 )
ここでφoはFloryの0状態での普遍定数を表している。
値は、
酢酸イソプロピルの1 9 . 7 oc、
酢酸ブチルの2 6
粘度数と分子量の関係式より直接求まり、
一方、
P A SのK9 の
5 .2 0
x
.
8 ocでの極限
1 0 -4dl/gであった。
このK9 の値は非0溶媒の極限粘度数と分子量を用いた外挿法か
ら決定することが試みられてきた。
ここでは、
多くの高分子一溶媒系に
用いられている次のStockmayer-Fixman式1 1 )を用いた。
[η] /M 1/2 =K9
+
0
.
5 1φo B M 1/2
ここでBは遠距離相互作用のパラメータである。
( 3 - 5 )
この式にしたがい、
3 . 7にP A Sの[η] /M 1/2をM 1/2に対してプロ ットした。
プロピルと酢酸ブチルは、
ほぼ傾きOの直線が得られた。
サンとTHFは直線性を示さず上に凸の曲線が得られ、
成立しない。
しかしながら、
両線は、
共通切片K9
dl/gに外挿し得る。
- 78 -
図
酢酸イソ
一方、
ジオキ
( 3 - 5 )式は
= 5 . 2 0
x
1 0 -4
司『・・�
�
15
町、4
〉〉
P}マ O←
Fミ\ 一
、、、
10
5
。
5
10
2
10- M
Figure
3. 7
solvents.
those
Stockmayer-Fixman
15
1/2
W
plots for PAS 1n var10u
S
The symbols have the
same significance
1n Figure
3.6.
as
....­
可司圃....
f
高分子試料 の非摂動鎖の広がりは 、
に強く依存する。
える影響を、
そこで、
高分子試料に存在する分子量分布
PASの分子量分布が非摂動鎖の広がりに与
シュルツ分布関数を用いたKurata-Stockmayerの方法12 )に
したがって検討した。
(3 - 3 ) 式における比例定数K 9 の実測値を
K 9Wとすると次の関係式が成立する。
K
q
9
K 9W /
=
w =
h
=
r
(h
q
w
(3 - 6 )
1 . 5) / (h
+
1 ) 1/2 r
+
(h
+
1)
Mw/Mn- 1
(3 - 7 )
(3 - 8 )
ごこでFはガンマ関数である。 PAS画分のMw/Mnは表3.2ですでに
その平均値1 . 4 2を用いて、
示したが、
5
.
4
0
x
1 0 -4dl/gと決定した。
広がりを(3
-
4
このK 9 を用いてPASの非摂動鎖の
) 式を用いて次のように決定した。
(くR2>0/M ) 1/2 = 5 . 7 3
ここで、
実測値のK 9Wを補正してK 9 を
φoは2.8 7
x
x
1 0 -9
1021(C.g.S.単位 ) とした。
非摂動状態、における高分子鎖の広がりに対する置換基の立体障害の効
果は、
。
=
次式で表される立体因子oで表される。
(<R2>0/<R2>Of ) 1/2
- 80 -
(3
-
9 )
<R2>Ofは自由回転を仮定して得られる両端間距離の二乗平均
ここで、
で次式で表される。
くR2>Of= nQ2(1ーcosθ) / (1
+
cos e )
lは結合長 ( c - c結合に対してはo . 1 5 4 nm)、
(3-10)
nは骨格をなす 結合
。は結合角である。 これらの式とP A Sの非摂動鎖の広がりか
の総数、
らo値を2. 3 7と決定した。
各種ランダムコイル鎖の平均的広が
また、
りの比較の基準として用いられている特性比C nは次式で定義される。
C n= < R 2> 0/ nQ2
長い鎖の極限では、
C∞=
[
(K
a
(3 - 1 1 )
次式で表される。
/φ0)2/3(Mo/2Q2) ]
Moは高分子鎖の単位の分子量で、
定した。
n切
(3-12)
この式を用いてC∞値を11 . 2と決
溶液中のP A Sの分子形態におよぼす4位のアセトキシル基の
影響を調べるためo値とC∞値を 決定したが、
以下o値について考察す
る。
Izumiら1 3 )により、
P S 誘 導 体のo値と 主 鎖に結合 している置換基の
モル体積( V x)の聞には図3.8の白丸で示されるような相関があると
報告されている。
である。
これは置換基から生ずる立体障害の影響を表したもの
P A Sについて、
トすると(黒丸)、
Vx ( 12 7 cm3/mol)に対してo 値をプロ ッ
すでに報告されているP Sおよびその誘導体の間で
81
2.5
b
2.0
100
ヨコ
150
Vx{cm3mol-1)
Figure
molar
Plots of the steric factor
3.8
volume
V
X
a
against the
of each side grou p for para-
substituted polystyrenes an d their closely related
compounds:
(1)polystyrene14-17);
styrene)18);
(3)polY(4-fl uorostyrene)18);
chlorrostyrene)13);
(4)polY(4-
(5)PO lY(4-bromostyrene)19);
(6)poly(4-methylstyrene)3・20);
styrene)21);
(2)polY(3-fluoro-
(7)polY(4-methoxy-
(8)PAS; (9)POly(2-vinylnaphthalene)22);
(10)polY(4-cyclohexylstyrene)4) .
- 82 -
引かれている図中の直線上にあることがわかる。
A
Sのo値は、
p
これらから判断してP
Sよりやや大きい程度であってポリ( 4 ーメトキシス
チレン)と同程度である。 P
A
Sのo値が相関直線上にあることは、
フ
エニル基についたアセトキシル基の高分子鎖形態におよぼす効果は4位
にあるアセトキシル基の体積だけに基づいて解釈でき、
視できることを示している。
極性の効果は無
分子形態の大筋はフェニル基によって決定
されていると結論するごとができる。
3. 3.6
P A
統計熱力学的考察
S一溶媒系の熱力学的相互作用のパラメータを極限粘度数の温度
依存性から求めた。
ジオキサン、
ンタノン、
分子量6 . 73x105の分別P
ジメチルフォルムアミド(
D M F )、
A
Sを、
溶媒として
4 ーメチルー2-ペ
ベンゼンに溶かして2 5から6 5 ocの温度範囲で極限粘度数
を測定した。 図3 . 9にその結果を示す。
測定に用いたすべての溶媒で極
限粘度数の温度係数は正の値を示した。
これら極限粘度数の温度依存性の結果を用い、
流体力学的相互作用に
ついて検討する。 高分子鎖の流体力学的な膨張係数αマ は次式で定義さ
れている。
αマ 3
=
(3-13)
[η] / [η]。
このα? はKurataら23)により排除体積のパラメータzと次のごとく関係
づけられている。
- 83
-
ワ-
1.0
♀
g
a
{J"I
てコ
ε0.5
20
Figure
3.9
in dioxane
and benzene
30
40
50
Temperature (OC)
Temperature dependence
of
(0)
(・)
DMF
.
(・)
•
[η]
60
for PASl-2
4-methyl-2-penta
none
•
- 84 -
(口)
α7 3=1 +C1 Z -C Z 2+C Z 3ー…+ (ー1) k+1 C k+ ・・
k
3
2
(3-14)
ここでzは次式で定義されているが、
には、
1つのセグメントが存在するため
いま1つのセグメントが入り込めない体積、
すなわちセグメント
に関する排除体積を与えるパラメータである。
Z = (2V 2/NAVt) (M/4π< S 2> 0) 3/2ψ1
2
x
入中の172は高分子の部分比容、
数、 <
(1- 8/T) Ml/2
Vtは溶媒のモル体積、
(3-15)
NAはアボガドロ
s 2> 0は屈曲性直鎖高分子の非摂動状態での回転半径の2乗平均、
ψ1はエントロビーの パラメータである。
値については、
ている。
(3-14)式におけるC1の
多くの研究者によりいろいろな関係式23 -28)が報告され
ここではTanaka24)により提唱されているより閉じた次式を用い
た。
αヮ 5=1 +1 . 9 0 Z
(3-16)
(3-15)式を(3-16)式に代入して次式を得ることができる。
(α7 5-1) /Ml/2=1. 90 (2V 2/NAV1)
2
X
したがって、
(M/4π< s 2> 0) 3/2ψ1 (1-8/ T)
(3-17)
(α7 5-1) /Ml/2を1/Tに対してプロ ットするとそ
85
の傾きと切片からψ1と0を算出することができる。
無視できるものとする。
は、
1
7
に示す。
さらに、
9 の温度変化
図3. 1 0に実験データから算出した(3-
)式の左辺をl/Tに対してプロ ットした。
溶媒系でよい直線性を示し、
[η]
測定に用いたすべての
その傾きと切片から算出したψ1を表3. 3
エンタルビー ・ パラメータκ 1と過剰の自由エネルギー
. パラメータχ1を次式から算出した。
κ 1=ψ1 e / T
(3-18)
χ1= 0.5 + κ 1一ψ1
(3-19)
κ 1およびψ1は、
ð s
次式のごとく過剰希釈熱6 H 1と過剰希釈エントロピ­
1に関係づけられたパラメータである。
6 H 1
=
R T κ 1υ22
6 S1
=
Rψ1
ここで、
V
(3-2 0 )
22
( 3 - 2 1)
ν2は高分子の体積分率である。
κ 1の値も表3.3に示した。
系であることがわかる。
それぞれの溶媒中でのχ1と
κ 1の値から、
用いた溶媒とP A Sとは吸熱、
4ーメチル-2一ぺンタノンがP A Sに対しエ
ンタルビー的には非常に溶媒性が悪いことを示している。
また、
エント
ロビー的にはDMFを除いて他の溶媒がすべて大きな値を示しているが、
これはこれら純溶媒の分子配向がP A Sとの接触によって乱され、
大きなエ.ントロビーの増加をもたらすためであると思われる。
86
より
4.0
れJ
、
\
←
ミ
"
のr::-
2 .0
。
r0
。
。
2.8
Figure 3.10
for
PASl-2
3.4
3.2
103 (1/ア)(K-1)
3.0
Plots of
(α't
5 -
in various solvents.
1 ) /
M 1/2
3.9.
Table 3.3
parameters
dilution of
interaction
for
PAS in various solvents
Solvent
Dioxane
DMF
4・Methyl-2-pentanone
Benzene
/
The sysmbols have the
same significance as those in Figure
Thermodynamic
1
against
102砂1
102K1
χ1
9.7
4.1
11
10
3.5
0.3
11
6.7
0.44
0.46
0.50
0.47
- 87 -
T
Hildebrandの正則溶液の考え方29)によると、
エンタルビー ・ パラメー
タκ 1は高分子と溶媒の溶解度パラメータである8 2とδ1の差に次式のご
とく関係づけられる。
κ1
V
=
ここで、
(3-22)
1(δ2-(1) 2/RT
V1は溶媒のモル体積である。
的にこの式が成立している。
通常の高分子と溶媒の間では定性
表3. 3に示したκ 1の値を用いて(3一
22)式よりP A Sの8 2値をそれぞれの溶媒に対し算出し、
10
.
4(cal/cm3) 1/2となった。
この値は、
平均すると
第2章で述べたHansenの方
法を用いて決定した1 0 . 6 (cal/cm3) 1 /2と比較的よい一致を示した。
3.
4-
糸念、
宇舌
Sの4位にアセトキシル基を有するP A Sを取扱い、
溶液における
高分子鎖の分子形態および熱力学的性質に対するアセトキシル基の影響
を調べた。
P A Sの0溶媒として酢酸イソプロピルと酢酸ブチルを見いだした。
これらの溶媒について、
相分離実験からShultz-Flory�去によりθ温度を
それぞれ19. 70Cおよび2 6 . 8 oCと決定した。
について光散乱測定を行い分子量を決定し、
酢酸イソプロピル、
P A Sの分別した試料
さらにジオキサン、
酢酸ブチルを用いて粘度測定を行い、
分子量の関係式を決定した。
THF、
極限粘度数と
ごの粘度式の指数aの値は典型的な鎖状高
分子について知られている値の範囲内( 0
88
.
5亘a <O.8)にあり、
こ
のことから、
といえる。
P A
Sはp S等と同じく、
典型的なランダムコイルである
。溶媒中ではともに指数の値が0.5となり、
相分離実験の結
果と一致した。
。温度における極限粘度数から、
主鎖の自由回転に 対する束縛の尺度
を表す o 値 を決定した。 この値から判断してP
A
Sでは主鎖の自由回転
P Sよりやや大きい程度であって、
に対する置換基効果は、
溶液物性に
対するフェニル基についたアセトキシル基の効果は置換基体積に基づい
て解 釈 さ れ 、
極性による効果は小さいと結 論した。
種々の無極性および極性の溶媒中で1 0 OCから55 ocにわたり、
粘度数の温度依存性を調べることにより、
相互作用を表すパラメータを求めた。
いてP
A
P
A
Sと溶媒の問の熱力学的
その結果、
用い た溶媒すべてにお
Sが吸熱的に溶解していることがわかった。
ラメータを用いて算出したP
A
極限
エンタルビー ・ パ
Sの溶解度パラメータの値は、
第2章で
示したHansenの方法で決定した溶解度パラメータとよい一致を示した。
季主主 ヨ号コミこ 南犬
1.
F.
Danusso.
(Milan).
2.
K.
P.
Ferruti and
A.
M.
Crespi.
Chim.
Ind.
ι55(1965).
Nakamura.
T.
Hatakeyama and H. Hatakeyama.
K.
Ogino.
Polymer.
24.
871(1983).
3.
4.
N.
Kuwahara.
J.
Polym.
N.
Kuwahara.
Sci.
K.
A.
�.
A.
Kasai.
S.
Ueno and M.
Kaneko・
985 (1965).
Ogino. M.
Komura.
- 89 -
N.
Iida and M.
Kaneko・
J.
Po1ym. Sci. A-2.
生.
173(1966).
5. C. D. Thurmond.
J.
6. J.
A. Maconnachie and R. J.
M. G. Cowie.
Macromo1ecu1es.
Po1ym. Sci. �,
生.
8. D. J.
Ranson.
57(1971).
7. T. Svedbrg and K. Pedersen.
University Press.
607(1952).
Oxford.
“The U1tracentrifuge"
.
Oxford
(1940).
Streeter and R. F. Boyer.
Ind. Eng. Chem..
43.
1790(1951).
9. H. Benoit.
Zilliox.
Z. Grubisic.
J.
Chim. Phys..
10. A. R. Shu1tz and P. J.
D. Decker and J.
P. Rempp.
21.
G.
1507(1966).
J.
F1ory.
Am. Chem. Soc..
74.
4760
(1952).
­
1i
Pし
,A
.
c
p、u
m
VJ
'EA
nu
pa
McCormick.
16. G. Z. Meyerhoff.
Oth and V.
Phys. Edn. U.
Noguchi.
日.
A.
J.
Flory,
J.
Po1ym. Sci.
Phys. Chem.
Desreux.
18. K. Matsu o and W.
Phys..
'iu
H. W.
nH
15.
Fortschr. Hochpo1ym. -Forsch. .
Polym. J. .
Miyake,
R. Krigbaum and P. J.
W.
19. Y.
H. Stockmayer.
196 (1963).
Izumi and Y.
14.
17. J.
a
m
x
13. Y.
3.
,A
.
FA
Bd.
um
Ju
n
只u
r
e
a
m
VM
u
-u
pu
nu 、tI
ふし qδ
nb nhu
n3
1i
1
nn t1
円,t
円《U
山w 'i
-s'A
E-E
12. M. Kurata and W.
4.
Po1ym. S ci. •
36.
23.
205(1973).
J.
37(1953).
341(1959).
100 (1960) .
Bu11. Soc. Be1g. 63,
H. Stockmayer.
11.
285(1954).
Polym. Sci..
Po1ym.
H.
J.
43(1973).
Aoki.
G.
Tanaka and
2651 (1970).
90
Yamakawa.
Chem.
nH
Au
rE
s
vu
'n
nF‘
11 m
マt vu
司,e 'Eム
nヨ O
'i pA
,,fE、
「町u '
「「u ­
nノ』・
'ム
ηノ臼 pu
Fみ
はμ
一 川
Vν
,,i
.
M. Kurata and
24.
G.
25.
M. Fixman.
26.
H.
Yamakawa and
27.
H.
Fujita.
i,J Id t
A.
Tanaka.
J.
nu
po
nhU
円、υ
εi nv
VU 11
4し 』9
F0
1
・
・EA n『u
・
旬i 'EA
LU ,I1
'K
u
22ム FL
nu nu
pb VI
e
w
LU ρM
TI M川
C
nu
・
4し n
P
n
ιし Ti
AU
nu
EL
C
--u
σ~u LU
s
Hu
・
ny‘
a
y
EL
an w
p
r
a
e
-bn
nn v
a
m
nu
m
a
Ju nu
y
n
'EA Hva
au nv
nva
-AU"
nn
S
n
.AU
1 月u ρ』
11
ιし
-A nH nδ r
ワt LU vd
e
a
n3 e
'i
p、u
'i Ju nu
a
23.
司/U
n『u
nノLH
-u M門
i- r
白G
勺t iA ふL
m
a
qノunnH pu
m
y
e
'EA
'A
・
n3
0
・n 'zi
. ,Ei
ny p、u
HH e
nH
・
nh
u- n
u
L.
nδ
22.
- 91 -
Sotobayashi.
H.
T. Norisuye and
N. Taki.
3188(1971).
55.
Chem. Phys..
J.
Tanaka.
今西幸男.
G.
793(1966).
45. 786.
Chem. Phys..
1028(1982).
15.
Macromo1ecu1es.
311(1958).
29.
Chem. Phys..
J.
Yamakawa.
H.
94(1968).
117.
Chem..
Makromo1.
Simha.
R.
Utracki and
li. 241(1965).
高分子化学·
岡村誠三.
東村敏延.
21.
52.
Phys..
Chem.
J.
Yamakawa.
H.
lmai and
S.
Tanaka.
G.
20.
2639(1970).
多高
ポリ(4 -ヒドロキシスチレン)の希薄溶液物性
4
4.
1
系者
ポリ (4ーヒドロキシスチレン)(P H S)は、
第1章でも述べたよ
うに分子内にフェノール性の水酸基を有するため、
機能性高分子材料と
して 最近注目を集め、
また、
その応用が展開されている。
性に つ いても最近 急速に報 告 が 増 えてきている。
その高分子物
Na k a muraら は、
水を 含
むP H S 1 )、 4ーヒドロキシスチレンと4ーア セトキシスチレンの共重
合体2)、 4ーヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体3)のTg挙動を示
差走査熱 量計から調べることにより、
力の検討を行っている。
P H Sの水酸基の水素結合 形成能
Colemanら4 )は、
性をフーリエ赤外分光j去を用いて検討し、
P H Sとポリ酢酸ビニルの相溶
ブレンド成分間の主な相互作
用が両者の聞の水素結合に基づくもので あるごと を確認している。
また、
第2章でのP H Sの溶解度パラメータ のHansenの方法5)による解析にお
いても、
水素結合力が他の高分子に比べて極めて大きい値を示した。 こ
れらのことからP H Sの性質に は、
寄与しているもの と考えられる。
分子内の水酸基の水素結合が大きく
本章では、
水素結合能 を有するP H S
が溶液中でどのような溶液物性論的な挙動を示す のか、
の分子形態および熱力学的性質に着目し、
まず、
とく に高分子鎖
検討するものである。
第2章で検討したP H Sと溶媒の相溶性のデータから、
P H S
に対する良溶媒と貧溶媒をいくつか選び、
光散乱法や粘度j去を用いて極
限粘度数と分子量の関係を導く。 さら に、
ポリスチレン(P S)の4位
に這入された水酸基が、
高分子鎖のコンフォメーシ ョ ンにどのよう に影
92
響するか、
P H Sの非摂動状態での高分子鎖の広がりを算出し、
第3章
で得られたPASやすでに報告されているPSおよびその誘導体のそれ
と 比 較検討する。
P H Sと溶媒との相互作用に関する知見を得るため、
くつかの溶媒を用いて、
P H Sの極限粘度数の温度依存性からP H Sと
溶 媒 の相 互作用を表す熱力学 的パ ラ メー タを決定し、
検討する。
また、
種類の異なるい
他の高分子と 比較
P H Sのように水素結合能を有する高分子と溶媒の聞
に形成される相図についても検討する。
4.
2
4 . 2
.
1試
P H Sは、
竺妻至
,号食
料
分別したポリ( 4ーアセトキシスチレン)(PAS)を、
完全に加水分解することにより合成した。
およびその加水分解については、
た。
PASの重合と分別について、
すでに第1、
2章で述べた方法で行っ
溶媒は一般的精製法にしたがって蒸留したものを測定に用いた。
得
られたP H Sについて目立(株)製赤外分光光度計EDI-2型を用い
て1 Rスペクトルを測定した。 測定は、
H Sのメタノール溶液を滴下し、
油い試料 膜 について行った。
塩化ナトリウムプレート上にP
少し加熱して溶媒を除去して作製した
得られた1 Rスペクトルは、
第1章で述べ
たSovishれにより報告されているスペクトルと完全に一致した。
- 93 -
4. 2. 2
光散乱測定
測定は、
ジオキサン溶液について温度を25:!: 0 . 1 oCに コントロール
したれca 5 0自動光散乱光度計を用いて行った。
4 3 6 nmの光を用い、
入射光には水銀の
入射光および散乱光ともに垂直偏光で測定した。
験の詳細については第3章で述べたとおりである。
光学的精製には、
溶媒および溶液の
Marusan社製の遠心分離機5 0B-CFS-3型を用い、
溶液および溶媒を33 5 0 0 Gで3時間遠心し、
乱測定セルに移し測定した。
3 5度から14 5度の散乱角範囲で、
る4点から5点の濃度の高分子溶液を測定した。
に応じてo . 0 2から0 . 8 7 g/dlとし、
すべての光散乱データは、
その上澄みを直接光散
異な
溶液濃度範囲は分子量
できる限り低濃度で測定した。
散乱角度。のs i n2 (8/2)と濃度の和に
対しK c/ R をプロ ットするいわゆるZimmのプロ ットを用いて解析し、
平均分子量Mw、 第2ビリアル係数A 2、
<
回転半径の二乗のZ平均
S2> zを決定した。
なお、
示差屈折率を島津(株)製示差屈折計DR-3型で測定した。
測定に使用した光は43 6 nm単色光で、
調節した。
セル内の温度は25:!:O . lOCに
装置定数は塩化カリウム標準水溶液で決定した。
ジオキサンを用い、
溶媒として
P H Sの屈折率の濃度増分dn/dcをo . 1 9 7 ml/gと
決定した。
4. 2. 3
粘度測定
粘度調IJ定は、
ウツベローデ型の毛細管希釈型粘度計を用い、
において:!:O.O lOCに保たれた恒温水槽中で行った。
前にG 3タイプのガラスフィjレターで鴻過した。
に応じてo . 1 5から 1 . 0g/dlとし、
94
測定温度
溶液と溶媒は測定
初濃度はP H Sの分子
濃度の異なる4点から5点の高
分子溶液の粘度を測定した。
粘度データは
HugginsおよびMead-Fuoss の
式を用いて解析することにより極限粘度数[η]を決定した。
運動エネ
ルギーの補正項は無視できた。
4. 2. 4
沈澱温度決定
沈澱温度の決定は、
分子量の異なるP
Cowieらわの方法にしたがった。
囲の試 料を、
H
S試料の中からいくつか選ぴ、
高分子溶液濃度0.5から7 .0wt %の範
内径3mmの肉厚のガラス管に 注 入 し 封管した。 これを恒温
槽中で仮とう撹梓しながら3 oC / hの速度で温度を上昇および下降させ
て、
ガラス管のうしろに固定した銅線が鮮明に見えなくなる温度を沈澱
温度として測定した。
なお溶媒としては、
第2章においてP H Sの溶解
度パラメータの三次元図の非相溶領域の境界線付近に存在する溶媒をい
くつか選んだ。
4. 2.5
部分比容測定
密度測定は、
Anton Paar社製のDMA60-DMA602HT型の密
度計を用いて行った。
溶媒または高分子溶液が満たされたセルの固有振
動の周期を測定することにより、
を用いて、
その密度ρを決定した。
測定温度精度を::t 0.005 oCに調節し、
温度範囲で測定した。
二重恒温水槽
6. 4から60 oCの
詳細については第3章で述べたとおりである。
- 95 -
4.
:3
4 . 3. 1
とヨ考努空E
糸吉
光散乱測定結果
、(j 4. 1にPHS16-1'
ージオキサン系について25 ocでの光散乱
測定で得られたZimmのプロ ットを、
るにもかかわらず、
一例として示す。
良好なプロ ットが得られた。
P H Sの各画分につい
てZimmのプロ ットから決定した重量平均分子量Mw 、
乗平均< s 2> z、
Z平均回転半径の二
第2ビリアル係数A2を表4.1示す。
ジオキサン中での<S2>Zl/2 とMwの両対数プロ ッ
叶4 .2に25 oc、
トを、
会合性高分子であ
また図4. 3にA2 とMwの両対数プロ ットを示した。
3童で得られたP A Sの結果もそれぞれプロ ットした。
比較のため第
P H Sに対する
これらのプロ ットを愚小自乗法により解析し次の関係式を得た。
<S2> Z 1/2
A2
=
3. 2 6
=
9 . 7
4
これらの図から、
x
x
10
-
1 0 -2Mw -0
Mw 0
9
.
55
. 38
[ cm ]
[ml. mol/g2J
ジオキサンはP H Sに対する方がP A Sに対してより
も良溶媒であることがわかる。
P H Sの第2ビリアル係数はP A Sのそ
れに比べて全分子量範囲でかなり大きい。
γの絶対値について、
P
A2∞Mーア式におけるMの指数
A Sージオキサン系のo .2 3は、
そのほかの直
鎖状の高分子についての報告値o . 15からo .2に比してもかなり大き
い。
さらに、
2つの高分子が互いに貫入し合う程度を表す侵入関数Vに
関係づけられる値 A 2 Mw/ [η]を P H Sの各画分について算出すると、
> 2 0 0であり、
従来報告されている値が100から150に比して非
- 96 -
o
c:
・4
2.0
ω
(
o
ト4
ト4
\ 門 。 」[
1.0
。
0.0
1.0
0.5
sin
Figure 4.1
Table 4.1
Fraction
Zimm
10-4)\イw
4-4
3.81
9.74
16-1 '
13-2
2
(8/2)
+
PHS16-1'
2 C
in dioxane at 25'C.
Light-scattering data for PHS in dioxane at 25'C
19-5
4-2
19-4
19-3
16-2
19-2
16・2'
13-3
plots of
2.5
2.0
1.5
15.3
24.2
57.1
97.1
106くS2>�12
(cm)
1.37
2 . 04
2.34
2.85
4.44
6.59
7.36
104 A2
(ml mol g-2)
35.6
30.9
10 . 3
7.16
6.94
4.93
4.47
133
216
266
340
9.71
10.1
12.3
3.50
3.01
583
15.6
2.66
- 97 -
2.75
、\
ω勺 V O O一
/
ω\一
-5.0
-6.0
5.0
6.0
7.0
log Mw
Figure 4.2
Double logarithmic plots of <S2>Zl/2
aga1nst Mw for PHS fractions (0 ) and PAS fractions
(・) 1n dioxane at 250C .
-
2.0
。
れJ
�
。
-3.0
口、
。
-4.0
6.0
5.0
7.0
log Mw
Figure 4.3
Double logarithmic plots of A2 against
Mw for PHS fractions (0 ) and PAS fractions (・)
dioxane at 25't
•
- 98 -
1n
常に大きい。
4. 3. 2
PHSの[η]とMwとの関係
ジオキサン、
テトラヒドロフラン( T H F )、
酢酸イソプチル、
ピオン酸エチルの4つの溶媒を用いてP H Sの各画分について、
で粘度測定を行った。
す。
プロ
2 5 oc
それぞれ得られた極限粘度数[η]を表4. 2に示
それらを分子量に対して両対数プロ ッ卜したのが図4. 4であり、
次
の極限粘度数と分子量の関係式を最小自乗法により決定した。
[η]
= 2. 0 3 x 1 0 -4M W 0・66
[dl/gJ
(ジオキサン)
[η]
-4
= 3 . 7 2x 1 0 M W 0・60
[dl/gJ
(THF)
[η]
4
=5. 94x 1 0- Mwo.53
[dl/gJ (酢酸イソブチル)
[η] = 6
.
3 7
x 1 0 -4Mw 0・52
[dl/gJ (プロピオン酸エチル)
これらの式のMwの指数から判断して、
エチルは0溶媒に近いことがわかる。
酢酸イソブチルとプロピオン酸
しかしながら、
これらの溶媒を用
いて実験的に0温度を決定することはできなかった。
25 oc、
ンを用いた結果を前章のP A SおよびP Sと比較すると、
P A Sに対するよりP H Sに対する方が良溶媒であり、
さらに良溶媒である。
ジオキサ
ジオキサンは、
P Sに対しては
このP HSの [η] -Mwの関係において、
P HS
の水酸基による特異性はみられなかった。
溶液物性の分子量依存性は、
フェニル基の4位についた水酸基の効果、
すなわちエネルギー的な効果
99
Table 4.2
Limiting viscosity numbers
[η]
for
PHS
ln various solvents at 250C
['1] (dl g-l)
Fraction
4- 4
Dioxane
THF
Isobutyl
acetate
Ethyl
proplonate
0.221
0.209
0.166
0.165
0.249
0.245
0.344
0.385
19-5
4 -2
0.548
0.478
0.335
19-4
0.708
0.588
0.415
0.408
19-3
1.32
1.09
0.667
0.685
16-2
1.78
1.44
0.860
0.862
1.07
19-2
2.19
1.76
1.07
16-2'
2.92
2.32
1.35
1.31
13-3
3.51
2.78
1.45
1.37
16-1 '
4.04
3.28
1.76
1.75
13-2
6.30
5.38
2.60
2.92
- 100 -
1.0
{
C]∞0.[
。
-1.0
5.0
6.0
7.0
logMw
Doub1e-1ogarithmic p10ts of
Mw for PHS fractions at 250
C
(・)
isobutyl
acetate
(口)
(・)
101
1n dioxane
可E.,d
n­
rzaL
Figure 4.4
(0 )
agaínst
THF
and ethyl propìonate
はほとんどない。
4. 3. 3
PHSの非摂動状態、での広がり
分子鎖の広がりにおよぼすP H Sの4位の水酸基による影響をみる
しかしな
ためには、
。状態での高分子鎖の広がりを調べる必要がある。
がら、
Sに対する0温度を室温付近に見いだすことができなかった。
P H
このような場合、
良溶媒中で得られた[η]とMwから非摂動鎖のコンフ
ォメ-シ ョ ンを推定する方法が数多く提出されている。
このうち広く用
いられているStockmayer-Fixmanれによって提唱されてた次式により解析
した。
[η] /Ml/ 2=Ka
ここで、
Mは分子量、
1 0 2 1、
( 4- 1 )
0.51やo BM 1/2
+
φ。は、
Floryの0状態での普遍定数で2
Bは遠距離相互作用のパラメータである。
.
8 7 x
Ka は次式で表され
る0状態での高分子鎖の広がりに関した定数である。
Ka = φ。( < R2>0/M) 3/2
( 4 -2 )
ここでくR2>0は非摂動状態、での高分子鎖の両端間距離の二乗平均であ
る。 ( 4
-
1 )式に従い、
ロ ットを図4.5に示す。
チルについては( 4
かしながら、
P A
-
1
P H
Sの[η] /MW1/2のMW 1/2に対するプ
貧溶媒であるプロピオン酸エチルと酢酸イソブ
)式にしたがい、
よい直線性を示している。
良溶媒のジオキサンとT H Fについては、
Sの結果と同様、
第3章で述べた
直線性を示さず上に凸の曲線が得られた。
-
102
し
さらに、
Tanaka9)により提唱されている次式
( [η] /Ml/2) 5/3=Ka 5/3+0.627φoKa 2/3B M 1/2
( 4- 3 )
を用いてKa の値を決定を試みた。
P
H
S系の( [η] /MW1/2)
Mw 1/2に対するプロ ットを図4.6に示す。
Tanakaは、
多くの高分子系に
おいて[η] / M 1/2より( [η] /Ml/2) 5/3の方が、
より良い直線性を示すと報告している。
にみられるように、
5/3 の
しかしながら、
M 1/2に対して
図4.5と4.6
直線性からのずれに大きな相違はない。
ただ、
Mを
に外挿した場合のKa の値がTanakaの式を用いた方がバラツキが小さ
い。
Mark-Houwink-Sakuradaの式、
[η]= K M a、 における指数aの値
が0.6以上の良溶媒中での[η]を用いて、
両式からKa を推測するに
は無理があるように思える。
両式ともに貧溶媒ではよい直線性を示し、
相互作用のパラメータBを決定した。
期勾配よりBを決定し、
また、
それぞれの傾きから遠距離
良溶媒については、
表4. 3 および4. 4に示した。
また、
その初
それぞれ
の切片から求めたKa の値をKawとしてそれぞれの表に示した。
」のようにして得られたKaw値は前章でも述べたごとく、
の補正をする必要がある。
りである。
た。
その方法の詳細については前章で述べたとお
補正したKa は( 8 . 8 3 :!: 0 . 3 0)
このKa を用いてP
分子量分布
H
x
1
0 -4dl/gと決定し
Sの非摂動鎖の広がりを( 4 -
て次のように決定した。
-
103
-
2
)式を用い
2.0
C\J
ご�
\
ミ\ミ
p
〆3
1.0
。
。
0.5
1.0
1.5
lo-3Mr
Figure
dioxane
4.5
(0)
Stockmayer-F ixm an plots
for PHS at 25"C
.
THF (・)
ethy1 propionale
(・)
•
isobutyl acetate
•
- 104
-
(口)
and
in
〆3
4.0
\、
、
ぜ
-
ごれ
三』 1E
ごさ
"
下ご
、-J
2.0
ぱ3
。
0.5
。
1.0
1.5
10-3MP
Figure
4.6
at 250C .
those in
Tanaka plots for PHS in various solvents
The symbols have the same significance as
Figure 4.5.
-
105 -
『司圃.-
Table 4.3
Molecular parameters of
PHS obtained
by
the Stockmayer-fixman equation
Solvent
104K0 w
104Ke
σ
C∞
1 029 B
Ethyl propionate
8.27
8.58
2.38
11.3
3.3
Isobu tyl acetate
8.37
8.69
2.39
4.3
THF
9.()()
9.34
2.45
11.4
12. 0
Dioxane
9.()()
9.34
2.45
12.0
Table 4.4
Molecular
parameters of
PHS obtained
90.0
129
by the Tanaka
equatìon
Solvent
104K0w
104K0
σ
C∞
1029 B
Ethyl propionate
8.27
8.58
2.38
11.3
4.7
Isobutyl acetate
8.35
8.67
2.39
11.4
6.2
THF
8.41
8.73
2.39
11.4
Dioxane
8.41
8.73
2.39
11.4
- 106 -
94.8
145
『司..-
(くR2>0/M) 1/2= (6. 75:t0. 07)
x
1 0-9
この値を用いて高分子鎖の末端間距離に対する置換基の効果について
考察する。
置換基の立体障害から生じる分子内回転に対する束縛を表す
.lL体因子。と特性比 C聞は次式で表される。
1/
。= (<R2>0/<R2>Of) 2
C回 =
」こで、
ては
[
(K
a
(4 - 4 )
/φ0)2/3 (Mo/2 Q 2) ]
Moは高分子鎖の単位の分子量、
o . 1 54 nm)、
(4 -5)
n切
lは結合長(c - c結合に対し
nは骨格をなす結合の総数、
<R2>Ofは自由回転
を仮定して得られる両末端間距離の二乗平均である。
それぞれ2 . 4 0、
1
1
.
。とC∞の値を、
5と決定した。
Izumiら10)によると各種p s置換体についてo値と置換基のモル体積
(Vx)の聞には図4. 7の白丸に示されるような関係があると報告され
ている。
これは置換基から生ずる立体障害の影響を表したものである。
この図の実線は、
いろいろな高分子に対してIwamaら11)によって引かれ
たものである。
P H SのVxは前章で述べたP A SのVxより小さいにも
関わらず、
Sのo値はP A Sの2 . 3 7に比してわずかに大きい。
P H
の値をプロットすると(黒丸2 )、
に、
ご
実線よりもかなり上にずれた。 さら
他のフッ素や臭素の極性基を有するP S誘導体も同程度の上方への
ずれを示す 。
側鎖の静電的効果に関しての 報告がある。
(4 -クロロスチレン)およびポリ( 3
107
-
,
Kuwaharaら22・23)は、
ポリ
4ージクロロスチレン)につい
可�
2.5
3
0
2 ・ 0"
4
06
-...... 8
5 0
b
2.0
ぬ
100
150
Vx (cm3 mol-1)
Figure
4.7
vo1ume
Vx of each side group
for para-substituted pol
ystyrenes
P10ts
of the ster ic factor
and their close1y rel
ated com pounds:
PHS;
(5)
(3)
po1y (3-f1uorostyrene) 16)
;
poly (4-ch1orostyrene) 10)
;
po1y (4-methy lstyrene)
18・ 19);
PAS;
(10)
(6)
(8)
(4)
0
(1)
against the mo1ar
polystyrene12-15):
po1y (4-f luorostyrene)
po1y (4-bromostyrene) 17)
:
po1y (4-methoxystyrene) 2
0):
po1y (2-vinylnaphtha1ene 21);
)
styrene) 22).
- 108 -
(2)
(11)
16)・
(7)
(9)
poly (4-cyc1ohexyl-
�
て 検 討 し、
p
sの4 位置換 の誘導体の鎖のコン フ ォメーシ ョ ンは側鎖の
静電的相互作用によって影響されないと報告している。
用に関してFortら24)は、
静電的な相互作
ポリ( 2ーヒドロキシエチルメタクリレート)
の側鎖の水酸基の影響を研究し、
。値が他の側鎖に極性のないメタクリ
ル酸誘導体とほとんどかわらないと結論している。
一方、
。値は側鎖聞
の双極子一双極子相互作用により影響されるという報告もある25)。
Stejiskalら26)はFortらと同じ問題について研究し、
ポリ( 2ーヒドロ
シエチルメタクリレート)のo値がポリ( 2ーメトキシエチルメタク
リレート)のその値より大きな値を得ている。
それは水酸基とメトキシ
ル基の極性の相違によるものであると結論している。
そこで、
図4. 7におけるそれぞれのo値を側鎖の双極子モーメントμ
に対してプロ ットし、
図4. 8に示した。
メチルスチレン)ではo値は小さい。
μがOに近いP Sやポリ(αー
しかし、
μ値の上昇とともにo値も上昇している。
極性の高分子に対しては
図中の黒丸はP H Sを示し、
極性をもったP S誘導体のグループに属しているといえる。
いて、
P H
図4. 7にお
Sの水酸基をメトキシル基に換えたポリ(4ーメトキシスチ
レン)の方が、
。がより実線に近い。
以上のことからo値は、
側鎖の体
積からくる相互作用のほかに側鎖の静電的相互作用によっても影響され
ていると結論できる。
-
109
-
『・・...--
1V
1""\
QI
戸
7
O
F
d
o
b
/
ω
6
-oγ
5
0
スd
f‘、
4・
2
d
0
8
d
2. 5 卜
- -
2.0←
i
i
O
i
1.0
2.0
μ(0)
Figure
4.8
Plo t s of the
the d ipole mome nt
μ
ster ic fac tor
of each
side
The sig nificance of the
arabic
in Figure
4.7.
- 110 -
a
against
gr oup27)・28)
number s is fou nd
『司�
統計熱力学的考察
4. 3. 4
熱力学的パラメータを極限粘度数の温度依存性から算出した。
3. 4x 106の分別P H Sを試料として、
メチルフォルムアミド( D M F )、
プロパノール、
度数は、
す。
酢酸イソブチル、
分子量
溶媒としてはジオキサン、
4-メチル-2一ぺンタノン、
プロピオン酸エチルを用いた。
2-
極限粘
2 5から6 5 ocの温度範囲で決定した。 図4. 9にその結果を示
用いたすべての溶媒で極限粘度数の温度係数は負の値を示した。
れは、
ジ
こ
一般に見られる高分子-貧溶媒系の[η]の温度挙動と逆の現象
を示している。 すなわち、
なっていく。
温度上昇とともに溶媒がP H Sに対して貧に
このことからP H Sとこれら溶媒系については、
下限臨界
共溶温度(LCST)を有する相図が存在すると推測される。
これら極限粘度数の結果を用いて流体力学的な相互作用について検討
する。 流体力学的な膨張係数αマ と絶対温度Tとの間には、
次の(4-
6 )式が成立することを第3章[(3 - 7 )式]で示した。
(α? 5-1) /Ml/2=1. 90(2V 22/NAV1)
x (M /4π< S2> 0) 3/2ψ1 (1-8/T)
孔叩のMは分子量、
ボガド口数、
二乗平均、
:72は高分子の比容、
(4-6 )
V1は溶媒のモル体積、
NAはア
くS2> 0 は屈曲性直鎖高分子の非摂動状態での回転半径の
ψ1はエントロビー ・ パラメータ である。
したがって、
(α? 5-1) /Ml/2 を1/Tに対してプロ ットするとその傾きと切片
からψ1と0を算出することができる。 図4
.
1
0にそれぞれの溶媒での
P H Sの[η]の温度依存性のデータから(4-6 )式の左辺を算出し、
l/Tに対してプロ ットした。 (4 - 7 )式と(4
111
-
8
)式については
�
5.0
了 。 刀)〔hh
〕
(
3.0
1.0
0
20
40
60
Temperature (OC)
4.9
ln dioxane
Temperature dependence of
(0 )
2 -propanol
(・)
proplonate
( Â )
DMF
(・)
for PHS16-1'
4-methyl-2 -pentanone
isobutyl acetate
112
、,
,J
nリ
rEZ』
Figure
(ム)
and ethyl
(口)
『司....-
4.0
3.0
←
l氏。)
向。
、〈\(
F
N\
2.0
1.0
。
-1.0
3.0
3.2
3 .4
103{1/ア)
Figure
l
/T
4.10
for
Plots of
PHS16-1'
(αマ
5ー
(K-1)
1)
/MW1/2
1n var10Us solvents.
have the same significance
as those
113
3.6
against
The symbols
1n Figure
4.9.
『司園..--
すでに第3章で説明したが、
αマ はこれらの式から導いた(4- 9 )式
を用いて算出した。
[η]
e
= K
e
M 0.5
(4- 7 )
α? 3 =[η] /[η]
αマ
3 =[η] /Ke
(4 - 8 )
MO.5
(4 - 9 )
測定に用いたすべての溶媒系についてよい直線性
(4 - 6 )式に関し、
が成立し、
e
その傾きと切片から算出したψ1を表4.5に示す。
さらに、
各種溶媒に対するエンタルビー ・ パラメータκ 1と過剰の自由エネルギー
・ パラメータχ1を次の(4-10)式と(4 - 1 1)式から算出した。
κ 1=ψ1 e / T
(4-10)
χ1 = 0.5 + κ 1一ψ1
(4-1 1)
κ 1およびψ1は、
次式のごとく過剰希釈熱6 H 1と過剰希釈エントロビ-
6 S 1に関係づけられるパラメータである。
6H1 =
RTκ 1
11
6S1 =
Rψ1 11
2
2
2
(4-12)
2
(4-13)
- 114
-
『司.",..-
ここで、
υ2は高分子の体積分率である。 各種溶媒でのχ1とκ 1の値も表
4 . 5に示す。
得られたκ 1の値から、
であることがわかる。
と対照的である。
これは、
すべてのPHS-溶媒系は発熱系
前章で得られたP A S溶液における挙動
ψ1の値は負であり、
観測されたP H S一溶媒系におい
て高分子コイルに溶媒分子が強く束縛されていることを示すものである。
とくに4-メチルー2ーペンタノンが負の大きな値を示し、
カルボニル
基の酸素とP H Sの水酸基の水素とは強い水素結合を形成していると推
測される。
Hildebrandの正則溶液の考え方29)によると、
エンタルビー ・ パラメー
タκ 1は高分子と溶媒の溶解度パラメータであるδ2とo 1の差と関係づけ
られる。
κ 1
=
V 1 (δ 2-(1) 2/RT
ここで、
V1は溶媒のモル体積である。
にこの式が成立しているが、
て負で、
ら31)は、
(4-14)
通常の高分子一溶媒間では定性的
P H Sと各種溶媒で得られたκ 1の値はすべ
(4-14)式を用い得ない。
しかし、
Cowieら30)とGuthrie
(4- 14)式におけるκ 1の値の絶対値について、
成立すると仮定して、
この式が
発熱系に応用し検討している。 κ 1の絶対値を用い、
(4-14)式からo 2の値を算出したところ10. 0 (ca1/cm3) 1/2と
なった。
この値は、
第2章で述べた Hanse nの方法を用いて決定した
12. 0 (ca1/cm3) 1/ 2とは一致しなかった。
適用するには無理があるものと考えられる。
一
115 -
(4-14)式を発熱、系に
『司.",,-
Table
4.5
Thermodynamic interaction
parameters for
dilution of PHS in various solvents
Solvent
Dioxane
DMF
4-ルlet hyI-2-pentanone
102ljJl
-1.5
-7.9
102K1
-5.3
-14
-18
-14
Xl
0.46
0.44
0.46
2-Propanol
-4.8
-9.6
0.45
Isobutyl acetate
-8.8
-8.9
0.50
EthyJ propionate
-5.8
-5.9
0.50
- 116
-
『司...--
PHSの相図
4. 3.5
第2章のHansenによるP H Sの三次元 溶 解度パラメータの解析におい
て、
相溶領域と非相溶領域の境界線付近にある溶媒の中から予備の相分
離実験を行い、
酸エチル、
いた。
Mwが5 .
プロピオン
P H Sの相分離実験の溶媒として用
3-ヘプタノンを選び、
分について、
4 .
室温付近で相分離を示した酢酸イソブチル、
16xI04から2.
16xI06までの5つのP H Sの画
濃度を変化させて沈澱温度Tpを測定した。
図4 .
1 1から
13にそれぞれの相図を示す。
各曲線の下側は均一相であり、
れらは、
上側は相分離を起こす領域である。
こ
P Sーシクロヘキサン系や第3章で得られたP A Sと各種溶媒
系に見られる上限臨界共溶温度(UCST)型の相図と対照的である。
極限粘度数の温度依存性からの下限臨界共溶温度(L CST)の存在の
予想に一致して、
実証された。
これら3種の溶媒についてLCST型の相分離曲線が
しかも、
それぞれの溶媒の沸点よりも低いところにLCS
Tが出現している。
高分子のL CST型の相分離現象の理論的取扱いは非極性高分子と非
極性溶媒の系で行われ、
溶媒と高分子の自由体積の相違によって引き起
こされるという点で高分子溶液に特徴的な現象である。
媒の臨界温度付近でL CSTが生じるごとが、
によって示されている。 しかしながら、
得られたL C S Tは、
熱力学的には溶
F1ory32)やPatterson33)
P H Sと三種 の溶媒系について
溶媒の沸点よりかなり低いところに存在し、
この
系では理論を単純に適用することはできない。
室温付近にL CS Tを有する相図として報告されたのは、
の低分子溶液ニコチンー水系34)であり、
サイドー水系35)などがある。
一般に、
117
代表的な例
高分子溶液ではポリエチレンオ
混合の自由エネルギーの変化
『司.,,-
140
(0 0 )
100
ω L コ パ戸O L ω Q E ω ←
60
。
Figure
4. 11
0.05
0.10
Weight fraction
Phase diagram for PHS
Numeral indicates molecu
lar
weight.
118
O. 15
1n isobutyl acetate.
『司.,,--
140
51600
(0 0 )
100
ω L コ パvm L ω Q E ω ト
885000
60
。
0.05
0.10
O. 15
Weight fraction
Figure 4.12
Phase diagram
for PHS
Numeral indicates molecu
lar
weight.
119
1n ethyl proplonate.
�
140
51600
(O 。 )
100
ω Lコ μ O Lω 巳 E ω←
190000
60
2610000
。
0.05
0.10
O. 15
Weight fraction
Figure
Numeral
4.13
Phase diagram
indicates molecular
for PHS
weight.
120 -
1n 3-heptanone.
『司・".--
6 G mは次式で表せる。
(4-15)
6Gm=6Hm-T6Sm
\.._
\.._で、
Tは絶対温度、
6
H
mと6Smはそれぞれ混合によるエンタルピ
一変化およびエントロビー変化である。
もし、
6 H mが正であれば、
6Hm<T6Smの場合に相浴する。 したがって6Smは正でしかも温度が
闘いとき相浴しやすい傾向をもっ。
これは低温で相分離し、
するUCST型の相図を有する系の熱力学的条件である。
分離し、
高温で相浴
逆に高温で相
低温で相浴するようなL C ST型の相図を与える熱力学的条件
は6 H mが負で、
6Smもまた負となることである。
ごの場合6 H m<
T6Smであれば相溶する。 6H mも6Smもともに負であるので、
低いほどよく相浴することになる。
生じるのは、
ば、
混合により負のエントロビー変化が
高分子鎖上の官能基に溶媒分子が凝縮して、
っていると考えられる。
温度が
秩序構造をと
高分子と溶媒分子聞に水素結合が起こっていれ
この条件は満たされるはずである。
したがって、
とは、
P
ここで報告したP
H
S一溶媒系でL CS Tが出現したこ
HSと溶媒分子の水素結合の温度上昇にともなう崩壊によって
理解することができる。
低温側ではP
配的であるので溶液は相浴している。
結合が切れていき、
H
Sと溶媒分子聞の水素結合が支
温度を上げるにつれて徐々に水素
高温側では巨視的な相分離が起こるものと思われる。
それぞれの相図から臨界温度Tcを読みとり、
孔36)に基づいて検討した。
- 121 -
次のSchultz-F1 oryの
『司..,.-
l/Tc= (1/8) [1+ (1/ψ1) (r -0.5+ (2 r) -1)
]
(4-16)
ここでrは高分子と溶媒のモル体積の比である。
-1に対する1/ T cのプロ ットを、
-0・5+ (2 r)
r
(4-16)式は、
が、
小自乗法により、
無極性高分子一溶媒系についての理論的関係である
さらに、
これらの切片から0温度を決定し、
得られた0温度を確認するため、
酸イソブチル溶液について、
を行った。
傾きからψ1を決
これらの値を用いて2 5 ocにおけるエンタルビー ・ パ
ラメータと自由エネルギー ・ パラメータを算出し、
示す。
図4. 1 4に示す。
Sとこれら 3 種の溶媒についても非常によい直線性を示した。
P H
定した。
この式にしたがって
表 4.6に示した。
分子量9. 71x 105のP H Sの酢
3 5。 から6 5 ocの温度範囲で光散乱測定
第2ビリアル係数A2の温度に対するプロ ットを図4.1 5に
A2がOになる温度すなわち0温度は、
61.00Cとなった。
この
0温度は、
Schu1tz-F1oryの(4-16)式に基づいて決定した値とよく
一致した。
また、
Floryら37)はA2と絶対温度Tの関係を次式で表してい
る。
A2 = (V22/V1)ψ1 (1-8/T) h (X)
ここで、
h (X)は高分子鎖の膨張に関係する関数である。
はh (X) = 1とみなし、
。点近傍で
A2をTの逆数に対してプロ ットした。
傾きからエントロビー ・ パラメータ ψ1を求めたとごろ、
なり、
(4-1 7 )
-0
相図から得られた結果と比べると1/ 3 程度である。
- 122
-
.
1
切片と
53と
『司_,_.
3.5
←
(T X)(Uト\←)向()
3.0
2.5
aE・
・
、‘,
,,
vt
勺/ム
λμ寸
I・・1
ハU
・ 4・
nu
-z
r'
。
Figure
4.14
precipitation
( 2 r
)
- 1
for
0.06
Plots of reciprocals of critical
temperature agaìnst
PHS
ethyl prop1onate
r
-0 .
5
+
1n isobutyl acetate
(0 )
(・)
(⑩)
and
3-heptanone
123
『司圃".-
Table
4.6
Theta temperature and thermodynamic i nteraction
parameters of theta solvents for PHS
Solvent
θ(OC)
「十1
κI
;(,
Isobutyl acetate
61 .8
-0.534
-0.600
0.434
Ethyl propionate
74.5
-0.576
-0.672
0.404
3-Heptanone
43.1
ー0.342
ー0.362
0.480
124
-
『司---
(N 1 0
6
{O E
E
,、4
〈玄
lI)
o
。
守・・・
。
50
100
Temperature ( 0 C )
Figure 4.15
PHS16-2
Temperature dependence of
1n isobutyl acetate.
125 -
A2 for
『司.",..-
分子量が大きいP
プロピオン酸プロピルは、
ないが、
分子量が低いと溶かすことができ、
H
Sを溶かすことができ
しかも室温付近でこの系は、
相分離することを見いだした。 この系について相分離曲線を求めたとご
図4
ろ、
1
.
極めて特異的な相図が得られた。
6に示すように、
1.60XI05については、
P
H
Sの重量分率がo . 0 1の濃度より大き
もはや溶解する領域は見いだせなかった。
くなると、
分子量
ニコチンー水系や
ポリエチレングリコールー水系では閉じた型のL CS TとUCSTが出
現するのに対して、
この系については開いた型、
すなわち、
上側にL CS Tが出現する砂時計型の相図を示した。
中央部が均一相であり、
で、
P
H
していると推測した。
溶解もP
P
H
H
H
P
H
低温側は不均一相
高温側がまた相分離を起こす領域となる。
Sと各種溶媒の[η]の温度依存性から、
でψ1は負の値を示し、
UCSTの
測定したすべての溶媒
Sは 各種溶媒へ水素結合による溶媒和で溶解
したがって、
P
H
Sのプロピオン酸プロピル への
Sの水酸基と溶媒のカルボニル基との水素結合が考えられる。
Sのプロピオン酸プロピル溶液を低温側から昇温すると、
Sの分子内および分子間の水素結合が切断され、
まず、
p
溶媒との水素結合を
形成すること で溶解性が向上するが、
さらに高温になると高分子聞のみ
ならず溶媒聞の水素結合が切断され、
溶解性が悪くなり、
沈澱を起ごす
ものと考えられる。
プロピオン酸エチル、
3ーヘプタノンの3
種の溶媒系に見られるL CS Tの現象についても、
おそらくフェノール
H
Sと酢酸イソブチル、
↑生水酸基と溶媒のカルボニル基との閣の水素結合が、
弱くなり、
溶解性が悪くなり、
温度上昇とともに
相分離を引き起こすものと解釈される。
-
126
『司副,,-
90
60
125000
160000
(0 ・ ) ω
Lコ μ 伺 Lω Q E ω ト
87000
。
-3 0
。
0.02
0.01
0.03
Welght fract10n
Figure
4. 16
Phase diagra m
for
Numeral indicates molecular
PIIS
weight.
127
ln propyl propionate.
唱司圃�
P H
亨舌
糸念、
4
4.
Sの分別試料について光散乱測定から分子量を決定し、
てジオキサン、
T H
粘 度調Ij定を行い、
F、
P
P H
Sはランダムコイルであるといえる。
高分子の理想、配位に及ぼす影響を調
主鎖の回転束縛の尺度であるo値をTanakaやStockmayerの方
法を用いて決定した。
この値の大きさから、
主鎖におけるc-c結合ま
その影響の大き
わりの内部回転に水酸基が及ぼす障害は認められるが、
さは、
P
この粘度式
典型的な鎖状高分子について知られている値の
Sの4位に導入した水酸基が、
べるため、
プロピオン酸エチルを用いて
極限粘度数と分子量の関係式を決定した。
の分子量の指数の値は、
範囲にあるので、
酢酸イソブチル、
溶媒とし
Sの4位に極性基を置換した誘導体にみられるその影響とあま
りかわらなかった。 ただ、
無極性のp S 誘導体に比して極性を有する高
分子のo値がいくぶん大きいことがわかった。
相互作用の影響について検討したところ、
置換基の双極子一双極子
置換基の体積効果の他に置換
の双極子能率もいくらかの影響をもつことが判明した。
一方、
を調べ、
いくつかの貧溶媒と良溶媒を用いて、
P H
極限粘度数の温度依存性
Sと浴媒の相互作用について検討した。
ビー ・ パラメータの値から、
作用することがわかった。
用いた各種溶媒はP
これは、
H
得られたエンタル
Sに対して発熱的に
前章で得られたP
A
Sの溶液におけ
る挙動と対照的である。 またエントロビー ・ パラメータの値も無熱系に
対する理論値0.5に対し負の値を示した。
ごれは高分子コイルに溶媒分
が強く束縛されていることを示すものである。
コイルの全体としての平均形態については、
したがって、
高分子の
極性基の効果は現れないが、
局所的に極性基一溶媒作用が顕著に現れる高分子と結論できる。
一
128
-
『司..--
酢酸イソブチル、
プロピオン酸エチル、
の相分離実験を行ったところ、
しかも、
P H
いずれもL CST型の相図を示した。
それぞれの溶媒の沸点よりも低いところにL CS Tが出現する
という特異な系であった。
た0温度は、
またL C STより、
また、
パラメータを決定した。
θ温度とエントロビー ・
光散乱法によるA2の温度依存性から求め
相図から得られた値とよく一致した。 さらに、
ピオン酸プロピル系は、
刑の相図を示した。
は、
3ーへプタノンを選び、
P H Sープ
UCSTの上側にL CSTが出現する砂時計
これらのP H S一溶媒系に見られるL CS Tの現象
フェノール性水酸基と溶媒のカルボニル基との間の水素結合が温度
上昇とともに弱くなったために、
したものと解釈される。
溶解性が悪くなり、
以上の諸結果は、
相分離を引き起こ
P H S溶液には高分子と溶媒
分子との聞に形成される水素結合から生じる強い熱力学的相互作用の効
果であると結論できる。
考委ヨヨ子三之南犬
1.
K.
Nakamura.
T.
Hatakeyama and
H.
Hatakeyama.
Po1ymer.
24.
T.
Hatakeyama and
H.
Hatakeyama.
Po1ymer.
22.
871 (1983).
2.
K.
Nakamura.
473 (1981).
3.
中村邦雄,
4.
E.
J.
畠山立子,
Moska1a.
S.
Macromo1ecu1es.
5.
C.
M.
Hansen.
畠山兵衛. 高分子論文集.
E.
Howe.
P.
C.
Painter and
担. 763 (1981).
M.
M.
Co1eman
11. 1671 (1984).
Ind.
Eng.
Chem..
- 129 -
Prod.
Res.
Develop..
8.
『司,.r-
2(1969).
6. R. C. Sovish.
7. J.
J.
M. G. Cowie.
Macromolecules.
8. W.
H.
f_1. 1354(1959) .
Org. Chem..
A. Maconnachie and R. J.
Ranson
生. 57(1971).
Stockmayer and M. Fixman.
J.
Po1ym. Sci. C. 1.
137(1963).
9. G.
10. Y.
Tanaka.
Macromo1ecu1es. 15. 1028 (1982).
Po1ym. J. .
lzumi and Y. Miyake.
11. M. lwama.
H.
4.
Utiyama and M. Kurata.
J.
205(1973).
Macromol. Chem..
701(1966).
12. W.
R. Kr igbaum and P. J.
13. H.
W.
McCormick.
J.
14. G.
Z.
Meyerhoff.
Phys. Chem. 23,
15. J.
Oth and V.
16.
Edn.,
17. Y.
•
11.
37(1953).
100(1960).
Bull. Soc. Chim. Belg., 63.
Stockmayer.
G.
A. Aoki,
Noguchi,
J.
Polym. Sci..
285 (1954) .
Polym. Phys.
Tanaka and H.
Yamakawa.
J.
Chem.
2651 (1970).
18. N. Kuwahara,
19. G.
Po1ym. Sci.
U. 43(1973).
Phys. 区.
J.
H.
J.
Polym. Sci.. 36. 341(1959).
Desreux,
K. Matsuo and W.
Flory.
K. Ogino.
Po1ym. Sci. A.
A. Kasai.
;i. 985(1965).
S. lmai and H.
Tanaka.
S. Ueno and M. Kaneko
Yamakawa.
J.
Chem. Phys.. 52.
2639(1970).
20. 今 西幸男,
21.
L.
A.
東 村敏延 .
Utracki and R.
22. N. Kuwahara,
岡村誠 三 .
Simha,
K. Ogino.
高 分子化 学 .
Makromol.
M. Komura.
- 130 -
包 , 241(1965).
Chem., 117,
94 (1968).
N. lida and M. Kaneko・
『司園".-
,,
、‘,
nu
LMU
e
nu
a
vn
M則
Ju
n
a
o
n
e
nU
円、u
.
phu ・
'A
po a
nud qu
'SA nu
--、
un
qo
司t
唱i AA
4一
o
n
'A
qfu nb
nU
AA
WMH
,A
.
c
'
F、u a
r
a
h
a
w
u
un
m
vd
'i
o
nr
-u N
q-v
qノH
』せ-
Ju
n
a
-hu
a
LU
F、U
nv
山w
VEi
phu
RU IU
円、υ
ti nY
m
o
vd
vd 、l' ・14
+し 49 nu
iA po ny
'EA n『υ
,i 'BA ­
.
-hu r- FA
s
Ju
r
a
LU
PU
'A
nH
H
u
nD
nn
Ju
n
a
n
nu
s
n
a
nn
'iu
nD
M問
1i
q屯υ
J
e
,A
, .
、E,
n『u ra
phu 'n
n可U &し
'i Hu
-G
勺t
no
IA T-
-一
nu
丹屯U
Id
nu
唱A
.
'aA
nb
ob
u
Hn
山w
F&
Hu 'k np
zi r
nu
nu ・
s
y
d
r‘
a
-b
C
-
e
w
・hu e
TI N
“
C
・
4し n
4し Ti
nu
pu ・
p、u ED
u
ny
-L
rA
e
v
nH
H
o
Ju nu
nu
ヨu ・
Ju "
nu q凶
O
Id n
・
nHU
a
e
t
--' r
っL hu vu ・
-- e
司l e
Qu ,o o
w
r
1
1
'A ふし nu
,11 ・
PU
Fb Hn C
e
9
-A
8HI
nn e
HM
n
・
一
nヨ
Qu
nノ臼
、・1'
「ひ一
qd
一
・
日一
pu
nu
po
m
e
-hu
pu
m
AA
IJ
vu
r
o
''A
Fr
I・υ
n
免U
nr
Ju
po
qtu
7'
AA aq
・
勺I Z
Fhd ふし
n可υ 'EA 、1
1
'EA Hu nJb
rit -nu phu
1A F、U Qu
qJU ''A
,11
・
n3
nn nu
pb
- 131 -
Trans. Faraday Soc..
Row1inson.
Ma1co1m and J. S.
35. G. N.
113(1904).
47.
Phys. Chem.
Z.
34. C. S. Hudson.
690 (1978).
11 .
Macromo1ecules.
Patterson and A. Robard.
33. D.
1833 (1965).
87.
J. Am. Chem. Soc..
32. P. J. F1ory.
527 (1975).
11.
Po1ym. J..
Eur.
H. Simpson.
A.
Indian. Chem. Soc..
J.
M. Meyyappan.
Shanmugasundaram and
28. V.
1970.
York.
New
Wiley-Interscience.
Edn..
3rd
.
‘Organic So1vents'
W. B. Bunger.
Riddick and
27. J. A.
8,
J..
Po1ym.
J. Janca and P. Kratochvi1.
26. J. Stejiskal.
254 (1984).
li.
178.
Makromol. Chem..
24. R. Fort and T. M. Po1yzoidis.
Po1ymer.
Monroy and J. C. Ga1in.
M.
25. S. V.
985 (1965).
�.
A.
J. Po1ym. Sci..
3229 (1977).
549 (1976).
『司...-
37.
P.
J.
Flory and
W.
R.
Krigbaum.
1086 (1950).
- 132 -
J.
Chem.
Phys..
18.
『司.,,-
多高
ポリ( 4ーヒドロキシスチレン)の蛍光スペクトルと
5
極限粘度数
1
来者
第4章では、
ポリ(4 -ヒドロキシスチレン)(P
H
S )の溶液中で
向分子鎖の分子形態および溶液の熱力学的性質について明らかにした。
本章では、
さらにP
H
S分子鎖の広がりを蛍光法と粘度法を用いて検討
を加えた。
ポリスチレン(
ている。
p
S )の蛍光については、
P Sの蛍光スペクトルは、
すでに多くの研究がなされ
吸収スペクトルと鏡像関係をなすモ
ノマ一発光帯とその波数より長波長側に大きいブロードなエキサイマ一
発光帯の2つの蛍光帯からなる1
一発光帯のピークの強度比が、
-
8
)。 このエキサイマ一発光帯とモノマ
高分子鎖の分子形態、および屈曲性の変化
を示すパラメータとして用いられている9 )。
エキサイマーの形成は、
励起クロモファーの相互作用による二量体の
形成によるものである。 エキサイマー形成の条件はπ電子雲の重なりと
関係して、
クロモファ一間の対称性や分子間距離などが重要な因子であ
ることが知られている。
ており、
高分子ではクロモファーが高分子鎖に束縛され
クロモファーが配向するには高分子鎖のコンフィギュレーシ ョ
ンやコンフォメーシ ョ ンなどの構造上の制約があり、
高分子エキサイマ
ー形成は低分子におけるのとは必ずしも同 じ 条件ではない。
A、
高分子の場
励起されたクロモファーが他のクロモファーと相互作用しエキサイ
マーを形成するには、
高分子の構造のほかに主鎖ないし側鎖の回転や分
-
133 -
『司圃�
子運動などが重要であると考えられている4) 。
芳香環を有するいくつかのビニルポリマーが浴液において分子内エキ
サイマーを形成することが報告されている。 高分子の分子内エキサイマ
ー形成については、
p
sの他にその誘導体であるポリ(αーメチルスチ
レン) 10-12)、 ポリ(4ーメチルスチレン) 1 3 )で観測されているが、
し
かしポリ(4ークロロスチレン)やポリ(4ーブロモスチレン)では観
SについてもJiangら14)によって蛍光スペクトル
測されていない。 P
H
の研究がなされた。
体積比9対1のジクロロエタン/メタノール混合溶
媒を用いているが、
P
であり、
は、
P H
H
Sの蛍光スペクトルは振動構造に起因するもの
エキサイマーの形成は行われていないと報告された。
S分子における水酸基の存在が、
その理由
エキサイマーを形成するのに
必要な条件である高分子鎖にそった芳香族基の平行な配列を妨げること
によるとされた。
トルは、
しかしながら、
彼らの論文14)の中の図3の蛍光スペク
そごに報告されている吸収スペクトルと鏡像関係にあるように
は思えない。
その蛍光スペクトルは吸収スペクトルの鏡像に相当する蛍
光の発光バンドより長波長で異常な蛍光の発光を示している。
それはお
そらく振動構造に起因する蛍光スペクトルと分子内エキサイマー形成に
起因する蛍光スペクトルが重なりあったものであると思われる。
本章ではP
H
Sの蛍光スペクトルを再検討し、
れることを明らかにする。
さらに、
P
H
Sの蛍光スペクトルと極限粘度
数の温度依存性に相関があることを見いだし、
変化について検 討する。
なお、
エキサイマーが形成さ
高分子鎖の広がりの温度
ポリ(4ーアセトキシスチレン)ージオ
キサン溶液の蛍光スペクトルには、
モノマーの発光帯は認められたが、
エキサイマーの発光帯のピークは認められなかった。
-
134
-
『司圃�
5.
2
5. 2. 1
竺寒
試
馬食
料
4.80XI04、 5.51XI05のP H Sを測定に使用した。
の重合と分別は、
すでに第2章で述べた方法によった。
P H S
分子量は、
25
いでのジオキサン溶液の極限粘度数から 第4章で報告した極限粘度数と
分子量の関係式を用いて決定した。
エチルフェノールは、
構造単位のモデルとして用いた4ー
常法にて再結晶したものを使用した。
吸収および
蛍光スペクトル測定用に用いたメタノールはナカライテスク社製の蛍光
スペクトル用を使用した。
5. 2. 2
蛍光測定
吸収スペクトルは日本分光(株)社製のU V 1 D E C 6 70型分光光
度計を用いて25 ocで測定した。
分子量4.80x 104のP H Sを用い、
濃度は 4. 2 6 x 1 0 -4mo1/1 (セグメント単位)、
ルの濃度は、 3. 9 6 x 1 0 -4mol/lとし、
4ーエチルフェノー
ともにメタノールを溶媒とし
て用いた。 蛍光スペクトルおよび励起スペク卜ルの測定には、 日本分光
(株)社製のFP-770型蛍光分光光度計を使用した。
蛍光スペクト
ル測定における発光のスリット幅は10 nm、 励起のスリット幅は 2 0 nm
で2 7 9 nmで励起した。
測定は、
4.80XI04のP H Sを用い、
すべてこの条件下で行った。
濃度は3 . 80x 10 -5mol/lとし、
ーエチルフェノールは1. 23 x 1 0 -4mol/lとし、
ールを用いた。
分子量
ともに溶媒は メタノ
測定温度範囲は5 0 から55 ocとし、
℃に調節した。
- 135 -
4
温度制度は:t 0. 1
『司圃�
粘度測定
5 . 2. 3
粘度測定は、
ウッベローデ型の毛細管希釈型粘度計を用い、
測定温度
において:tO. OlOCに保たれた恒温水槽中で行った。 分子量5 . 5 1 x
1 0 5のP H S溶液と溶媒のメタノールは測定前にG 3タイプのガラスフ
ィルターで鴻過した。
初濃度はo . 5g/dlとし、
濃度の異なる5点の高分
溶液の粘度を測定した。 粘度データはHugginsおよびMead-Fuossの式を
用いて解析することにより極限粘度数[η]を決定した。
運動エネルギ
ーの補正項は無視できた。
3
5 . 3. 1
糸
とヨヨ子努空E
PHSの蛍光スペクトル
図5. 1は、
25 oC、
メタノール中で測定したP H Sの吸収スペクトル
と蛍光スペクトルを示したものである。
比較のためP H Sの単位クロモ
ファーとみなしうる4-エチルフェノールのメタノール溶液の吸収スペ
クトルと蛍光スペクトルを図5. 2に示した。
P H Sと4ーエチルフェノ
ールの吸収スペクトルはよい一致を示した。 一方、
トルは、
P H Sの蛍光スペク
4ーエチルフェノールと同ーの3 0 8 nmをピークとする蛍光帯
のほかに長波長側に35 6 nmをピークとする、
4ーエチルフェノールに
は見られない大きくブロードな蛍光帯が認められた。
ークとする蛍光スペクトルは、
波長3 0 8 nmをピ
吸収スペクトルと鏡像関係にあることが
わかる。
P H
Sと4ーエチルフェノールの吸収スペクトルがよく一致している
ということから、
P H Sの基底状態におけるクロモファ一間の相互作用
-
136 -
『司圃r-
1.0
Absorption
Fluorescence
←ω c ω μ c
〉、
みJ
0.5
←u mv一 ω 巴
ClJ
〉
。
250
300
350
400
Wavelength (nm)
Figure
5.1
Absorption and fluorescence
spectra of
in methanol at
25"C.
The fluorescence spectrum
of
contains two main bands:
PHS
PHS
a simple mirror image of
the
absorption band appeari
ng at about 308nm and a
broad.
slructureless one at abou
t 356nm shifted toward
longer
wavelengths.
-
137
-
『司園.--.
�
1.0
Absorpt1on
← ω cω ω C F
〉、
+J
Fluorescence
ω 〉 ← μ 目UFω 区
0.5
。
200
300
400
Wavelength (nm)
Figure
5. 2
Absorption and fluorescence
spectra of
4-ethylphenol 1n methanol
at 250C.
spectrum of 4-ethylpheno
l 1S
of PHS.
The absorption
very similar to that
and the fluorescence em1s
s1on band
corresponds to the m1rror
1mage of the absorption
band.
138
『司圃�
は弱く、
それぞれのクロモファーが独立に入射光を吸収していることが
わかる。
もしクロモファーが、
まわりのコンフォメーシ ョ ンと関係なく
光の吸収により励起後基底状態へ発光しでもどり、
H
Sの蛍光に相当するなら、
しかもこの発光がP
P H Sの蛍光スペクトルは、
4ーエチルフ
ェノールの蛍光スペクトルと同じものになると思われる。 しかしながら、
得られたP H Sと4ーエチルフェノールの蛍光スペクトルはかなり異な
っている。
それゆえに高分子鎖における特有な変化が、
光を吸収して発
光する前に起きていると考えるのが妥当である。
もし、
れば、
P H Sの35 6 nmで観測された発光帯が不純物によるものであ
これらの不純物は、
蛍光発光の現れる波長と鏡像関係に位置する
330から4 0 0 nmの波長のところで光を吸収してもよいはずである。
しかしながら、
この波長領域にはP H Sの濃度を高めても吸収スペクト
ルはみられなかった。
紫外線照射によるP H Sの分解生成物によって
3 5 6 nmの発光が生じるという可能性についても調べてみた。
励起光を
P H Sに連続して照射してもP H Sの蛍光発光に変化はみられなかった
のでその可能性も否定された。
また、
この発光帯がP H Sの構造と関係
なく現れる異常な発光帯であるとすると、
濃度の増加とともに3 0 8 nm
と35 6 nmの発光強度比が変化するはずであるが、
この変化もみられな
カ〉 った。
さらに、
この35 6 nmの蛍光帯が不純物による異常蛍光でないことを
確かめるため、
蛍光波長を30 8 nmと35 6 nmに設定して励起スペクト
ルを測定した結果、
図5 . 3に示されるように両励起スペクトルとも同一
パターンを与えた。
したがって、
るものではなく、
この35 6 nmの蛍光帯は、
不純物によ
高分子 鎖内の 相 互 作用に起因するものであると判断 し
。
た
-
139 -
3・ーー
『司圃�
1.0
h μ ← ω cω μ C F
ω 〉 ← μ MV{ω 区
0.5
。
350
300
250
Wavelength (nm)
Excitation spectra of PHS
Figure 5.3
fluorescence
wavelength of
308nm and
obtained at the
356nm.
The
excitation spectra of PHS at the fluoerscence wave
-length 308nm and 356nm exhibit the identical spectral
patterns.
lS
1 t means that the fluorescence at about 356nm
not caused by any
lmpuríty.
140
『司圃r
ごれらの結果から、
3 0 8 nmをピ
P H Sの蛍光スペクトルにおいて、
ークとする発光帯は吸収スペクトルと鏡像関係をなすフェニル基による
モノマ一発光であり、
さらにエネルギ一的に約44 0 0 cm-1長波長側に
シフトした3 5 6 nmをピークとする発光帯は、
のない蛍光スペクトルで、
吸収スペクトルとは関係
励起分子の相互作用に基づく2量体のエキサ
イマ一発光であると同定できる。
Jiangら14)は、
P H Sの蛍光スペクトルは振動構造に起因するもので
あり、
エキサイマーの形成は行われていないと結論している。
ると、
P H S分子における水酸基の存在が、
彼らによ
エキサイマーを形成するの
に必要条件である高分子鎖にそった芳香族基の平行な配列を許さないと
いうことである。
トルでは、
しかしながら、
本実験で得られたP H Sの蛍光スペク
モノマーからの発光帯とエキサイマーからの発光帯を確認で
Jiangらにより報告されているP H Sの蛍光スペクト
きた。
したがって、
ルは、
モノマーによる発光帯とエキサイマーによる発光帯が重なり合っ
たものと考えられる。
5. 3.2
PHSの蛍光スペクトルの温度依存性
Sivadasanらg)は、
エキサイマーとモノマーの蛍光強度比1 d/ 1 m値が
高分子鎖の分子形態や屈曲性の変化を示すパラメータであり、
は高分子鎖の収縮を示し、
比した。
したがって、
大きい値
小さい値は高分子鎖の広がりを示すことを報
蛍光強度の温度依存性から、
高分子鎖の分子形態
や屈曲性の温度変化に関する情報を得ることができる。
図5. 4にメタノ
ール中のP H Sの蛍光スペクトルと温度との関係を示す。
温度上昇に伴
ってモノマーバンドの強度もエキサイマーバンドの強度も低下している
が、
エキサイマーバンドの強度の低下に比べ、
141
モノマーバンドの低下が
『司・v
0.8
h μ ← ω cω μ C F
ω 〉 F μ 目VFω 区
0.4
。
300
400
500
Wavelength (nm)
Figure
5.4
Fluorescence spectra of
at several temperatures.
1ncreased.
the
PHS
1n methano1
As the temperature 1S
íntensities of the monomer and exc1mer
bands are obserbed to decrease.
However.
of the monomer band decreases more great1y
the intensity
with
lncreaslng temperature than that of the exclmer band.
142
『司圃r
著しいようである。
しかもエキサイマーバンドは、
温度上界とともにし
だいに長波長へシフトしている。 これらを明確にするためモノマーバン
ドのピークの蛍光強度( 1 m)とエキサイマーバンドの蛍光強度( 1 d)
を温度に対してプロ ットしたのが図5.5である。
の値は、
温度上昇とともに直線的に減少するが、
低下は小さいが、
3
1 dでは温度上昇による
5 oc以上になると減少の仕方が大きくなっている。
このことからクロモファーの振動や回転などが、
されているのではないかと思われる。
いうことは、
測定温度範囲内で1 m
また、
この温度以下では抑制
1 mが単調に減少していると
エキサイマーの解離により励起モノマーが生じていないと
いうことを示す。
Sivadasanらg)にしたがって、
存性を 図5.6に示した。
5
P H Sの蛍光強度比1 d/ 1 m値の温度依
1 d/ 1 m値は、
oc付近でその傾きが小さくなった。
温度上界とともに増加するが、
これは、
温度上昇とともに P H
Sの高分子鎖が収縮していることを示すものである。 しかも、
近を境とする傾きの変化は、
3
5 oc付
高分子鎖の収縮の仕方に何らかのクロスオ
ーバーが存在することを示唆する。
PHSの極限粘度数の温度依存性
5 . 3. 3
P H
Sの高分子鎖の広がりをさらに極限粘度数[η]の温度依存性 か
ら検討した。
図5.7にP H Sのメタノールにおける[η]値の温度依存
性を示すが、
温度上昇とともに[η]値は減少した。 しかも、
近で傾きが小さくなった。
と一致し、
この結果は、
1 d/ 1 m値の温度依存性の結果
温度上昇による高分子鎖の収縮の仕方には、
があるといえる。
また、
二つの温度領域
[η]の温度係数が負を示すことは、
メタノールヘ発熱的に溶解しているごとを示すもので、
143
4 0 OC付
P H Sが
第4章でのP H
『司圃r
a・』
1.0
ひ\
〉、
�
Monomer( 1m)
・
ー
..
ν、
J
C
.G
�
c:
句F・・
<1.1
〉
�
tO
守ー・
J
=
q
G
ー
0.5
10
30
50
Temperature (OC)
Figure 5.5
intensity
for
PHS
Temperature dependence of fluorescence
of excimer
(ld)
in methanol.
band decrease linearly
and monomer
(1m)
bands
The intensities of monomer
in the range of 5 to 550C,
while the plot of those of excimer
band show two
different linear lines crossing at ca.35t.
-
144 -
1.0
E 一\ 匂 一
0.5
10
30
50
Temperature (OC)
Figure 5.6
Temperature dependence of the ratio of
exclmer to monomer fluorescence intensities of
1n methanol.
145 -
PHS
.....",.-
1.0
m\-U)
(
0.9
,......,
亡'
、ー」
0.8
20
40
60
Temperature (OC)
5.7
Temperature dependence of
ln methanol.
146
可a'ad
η
FEas』
Figure
for PHS
『・F
Sの各種溶媒での[η]の温度依存性と同じ結果が得られた。 この傾き
希釈エントロビーのパラメータψ1を算出できるが、
から、
るので負のψ1 値 を与える。
したがって、
P H
傾きが負であ
Sにメタノールが強く束縛
されていることを示す。
このP H Sとメタノール問の束縛が水素結合によるものであろう。 P
H
は、
Sの水素結合能については、
第1章でも述べたように
Nakamuraら1
5 )
ポリ( 4ーヒドロキシル-co-4ーアセトキシスチレン)のガラス
転 移 温度Tgがその成分である4-ヒドロキシスチレンの組成が 増 加する
にともない大きな値を示し、
なることを報告した。
また少量の水を加えるとかなりTgが小さく
彼らはこれを共重合体における水素結合能によっ
第2章でも述べたように、
て説明している。
また、
メータを分散力、
極性力、
P H Sの溶解度パラ
水素結合力に分けて検討してみると、
A力の寄与がほかのビニルポリマーに比べてかなり大きい。
H
これは、
p
Sにおける水酸基の存在から生じ る分子内水素結合能を表している。
測定したすべての溶媒についてP H Sのエントロビー ・ パラメー
また、
タψ1もエンタルビー ・ パラメータκ 1もすべて負の値であり、
の 絶対値はかなり大きいことを 第4章で論じた。
H
水素結
しかもそ
ごれらの結果から、
Sの固体状態、においても液体状態においても水素結合の形成は、
p
極め
て重要な役割を果たしていることがわかる。
H
性は、
Sのメタノールにおける蛍光スペクトルと極限粘度数の温度依存
水素結合によるP H Sとメタノールの間の相互作用が温度上昇と
ともに弱くなることを示し、
傾きのクロスオーバーが起こる3 5 0 から
4 0 OC付近で水素結合が切断され始めるためではないかと推測される。
図4.9に示したように、
に低下する。
ごれに対し、
他の極性溶媒系の[η]は温度とともに直線的
メタノール中でのクロスオーバーは、
4 - 17
水素結
『司".,-
合がとの系でより強い役割を果たしていたためと考えられる。
4-
5.
P H
来念、
:t舌
Sとその単位クロモファーとみなしうる4-エチルフェノ-ルの
メタノール希薄溶液の吸収スペクトルはよい一致を示した。 一方、
Sの蛍光スペクトルでは、
PH
4-エチルフェノールと同一ピーク波長をも
っ3 0 8 nmの発光帯のほかに3 5 6 nmに4-エチルフェノールには見ら
れない大きいブロードな発光バンドが認められた。 この3 5 6 nmの蛍光
帯が不純物による異常蛍光でないことを確かめた。 3 0 8 nmをピークの
中心とする発光帯は、
に相当し、
吸収スペクトルと鏡像関係をなすモノマーバンド
3 5 6 nmをピークの中心とする発光帯は、
は関係ない蛍光帯で、
吸収スペクトルと
励起分子の相互作用に基づく二量体のエキサイマ
一発光であると同定した。
また、
この系での蛍光スペクトルの温度依存性について検討した。
エ
キサイマーとモノマーの蛍光強度比1 d/ 1 mの値は温度上昇とともに増
加するが、
約3 5 oc以上で増加の程度は低下した。
液での極限粘度数[η]値は、
また、
温度上昇とともに減少し、
これらの結果は、
℃付近で減少の程度が低下した。
メタノール溶
しかも、
4 0
蛍光強度比は高分子
Sとメタ
鎖のひろがりと相関関係をもつことを確かめるとともに、
PH
ノールの聞の相互作用が温度上昇とともに弱くなること、
および3 5 。
から4 0 OC付近でのクロスオーバーは、
P H
Sの分子形態変化に対して
温度による効果と強い相互作用による効果とが共存していることを示唆
し、
この温度以上では後者の寄与が少なくなるためであろう。
-
148
『司.r
考きさヨi
雪 =>ζ商犬
1. L.
J.
Basi1e.
2. J.
W.
Longworth.
Biopo1ymers,
3.
S.
Yanari.
A.
S.
Trans.
F.
1702(1964).
Lumry.
日一
s
vd
Lu
nr
Matsunaga.
Nature(London).
m
e
an
pし
Id
e
c
'A
.
nn
Handa and S.
AHU
nb
Au
nH
a
T.
pb
'A
.
LU
e
a
Ishii.
日.
1131(1966).
生.
Bovey and R.
nn
qd EJ
FO
内可パv
・
1
a
,s
s、 ,,ょ 、,
,,
ワ'u a
pb
suzwv pb
q/M nwd
-EA
・ Ti t­
nU
一
po
n
U一 ・ n
o
勺
L一 M附 00
an-‘
5. T.
Faraday Soc..
Macromo1ecu1es.
11.
40 (1978) .
6.
T.
Nishihara and M.
7.
F.
Heise1 and G.
Laustriat.
8.
R.
B.
Price.
J.
Chem.
K.
Sivadasan.
9.
Po1ym.
10.
T.
Fox.
R.
Phys. .
Sci..
Ishii.
Po1ym.
T.
T.
Phys.
57.
P.
Makromo1.
J.
R.
Chim.
E.
三立i!.
12.
L.
Bokobza and L.
13.
T.
Ishii.
Phys..
66.
R.
84(1969).
1881(1969).
McDona1d,
J.
Turro.
J.
Po1ym. Sci..
Co11oid
131(1991).
Ed.
Itagaki.
124.
534(1972).
Handa and S.
H.
Chem.
Cozzens and J.
Somasundaran and N.
11.
M.
Kaneko.
Matsunaga.
ι822(1979).
Po1ym.
Bu11..
包.
Monnerie.
429(1989).
Po1ymer.
Matsunaga and T.
Handa.
包.
235(1981).
Makromo1.
Chem. 177.
283(1976).
vd
tD
n
a
nn
、lJ
7一
-
m
m
nu
HU
a
nn
po
no
nD nび
'aA
Ju rqδ
po
F町υ
n
a
LMU
e
LU
a
nn
F
c
u
nu
FJ Pし
' AU
.
,ム ・
'A
LMHnν
IEU
IU m
ρu
Lu
pb pし
nH
角M
.
,ょ
''A
yd o
m
o
pし r
Ln
a
v・‘um
au-E
EA
- 149 -
『司.,-
15.
K.
包.
Nakamura.
473
T.
Hatakeyama and
(1981).
- 150 -
H.
Hatakeyama.
Polymer.
Fly UP