Comments
Description
Transcript
IT産業と都市再生 - econ.keio.ac.jp
本日のポイント • 産業構造の変化が立地に与える影響 – 工業生産から知識・情報の生産へ I T産業と都市再生 • 都市ライフサイクルが立地に与える影響 – インナーシティ問題 – ジェントリフィケーション 経済と環境(武山) 第3回 • 新産業の振興とまちづくり M. Takeyama M. Takeyama 米国におけるネットビジネスの立地 • 経済活動の情報化・ソフト化、グローバル化 は、オフィスや生産施設の立地にいかなる影 響を及ぼすだろうか? ∼ Matthew Zook (1998-) のリビューに基づいて ∼ インターネットビジネス: グローバルマーケットに向けた情報的コンテンツの生産、 編成、流通に関わる企業で、その事業の大半がインター ネットを通じて遂行されているもの。 情報コンテンツとは、物理的な商品、デジタル 商品、サー ビス、データベース、検索エンジン、portalサイト、destinationサイトを含む M. Takeyama M. Takeyama (Matthew Z o o k 1999) M. Takeyama M. Takeyama 1 M. Takeyama M. Takeyama M. Takeyama M. Takeyama M. Takeyama M. Takeyama 企業数あたりの商業ドメイン数の地域特化係数 2 M. Takeyama M. Takeyama M. Takeyama M. Takeyama 国内のネット産業の集積動向 ソフトI T系産業の実態調査 2003年3月∼9月) 国土交通省( M. Takeyama M. Takeyama 3 ソフト系IT産業(3業種)の市区町村別事業所数 計 順位 都市名 1 東京23区 9,097 2,579 2 大阪市 3 名古屋市 1,202 1,109 4 横浜市 926 5 福岡市 割合 順位 都市名 34% 11 京都市 10% 12 岡山市 5% 13 金沢市 4% 14 浜松市 4% 15 新潟市 6 7 札幌市 仙台市 874 500 3% 2% 8 広島市 9 川崎市 10 神戸市 447 386 378 2% 1% 1% 計 344 272 割合 1% 1% 257 245 236 1% 1% 1% 16 北九州市 232 217 17 熊本市 208 18 静岡市 202 19 松山市 193 20 千葉市 1% 1% 1% 1% 1% ソフトI T系産業の実態調査 2003年3月∼9月) 国土交通省( 国土交通省国土計画局大都市圏計画課調査(H.12) M. Takeyama 地域別ネット企業数(湯川 2004) M. Takeyama ネットビジネス大都市集積の背景 1.情報経済の大都市的性質 – 先端的なサービス – 金融 – メディア – エンターテイメント – 教育 – 医療 – テクノロジー 湯川(2004)「インターネットバブル崩壊後のネット企業」 M. Takeyama ネットビジネス大都市集積の背景 M. Takeyama ネットビジネス大都市集積の背景 2.既存の技術革新が盛んな地域 3.ベンチャーキャピタル の集積 – 新たな技術に関するノウハウ – 投資 – 技術の供給者 – 起業を促進する条件 – 起業家への様々な支援や助言 – 人材のマッチング – 情報産業の中心的役割 M. Takeyama M. Takeyama 4 シリコン・ アレー Silicon Alley Multimedia Gulch マルチメディア ・ガルチ 小長谷・富沢(1999) 小長谷・富沢(1999) M. Takeyama M. Takeyama アメリカ都市の衰退と再生 なぜ都市の特定地区に集積したか? • 1970年代、80年代のインナーシティ問題 • 80年代以降の都心周辺部のジェントリフィ ケーション 都市(再生)の問題と関連 M. Takeyama M. Takeyama インナーシティ問題 インナーシティ問題 • インナーシティ:中心都市から都心を除いた周辺地域 M. Takeyama • • • • • • • 20世紀最終四半期に発生( 欧米で深刻) 人口(特に富裕層) の流出・ 老齢化 住宅の老朽化( 区画細分化・ 低質住宅の増加) イメージの悪化 産業の空洞化 地価下落と投資の減少 人種・ 貧困問題、犯罪など M. Takeyama 5 インナーシティ問題発生の要因 街区効果(問題の深刻化) 1)都市ライフサイクル – 先進国インナーシティは20世紀前半に構築 2)郊外化 – 中心都市の人口や経済活動の流出 3)産業構造の変化 – ソフト化・サービス化の影響 M. Takeyama インナーシティ問題のメカニズム M. Takeyama ジェントリフィケーション • Gentrification • 新しい産業部門に従事するなど、新しいワー クスタイル・ ライフスタイルを持つ年齢的に若 い人たちが都市中心部などにある老朽化した 街区に魅力を感じて居住・ 就業を始めること によって、地域が活性化すること M. Takeyama M. Takeyama ジェントリファイヤーの特性 • クリエイター、芸術家、ミュージシャン、メディ ア関係者、ソフト技術者が中心 • 都市周辺部を活性化 • IT産業を牽引 • 職住近接のロフト型SOHOで24時間の生活 M. Takeyama M. Takeyama 6 シリコン・ アレー Silicon Alley Silicon Alley (NYC) • ソーホーとグリニッジビレッジ地区を中心とするIT産業 の集積 • 19c-20c:都市型小工業の舞台 – ガーメントディストリクト(衣服縫製工場地区) – 移民労働者が働く倉庫と工場 • 20c後半:産業構造転換とアーティストの流入 – 移民労働者⇒アーティスト – ジュリアーニ政権による支援策(アトリエ・住宅) – カストアイアン建築・ロフト空間のストック • 90年代: – ソフト系技術者とアーティストの連携( Webデザイン等) – ブラックマンデー後で損失した雇用も吸収 小長谷・富沢(1999) M. Takeyama M. Takeyama Multimedia Gulch (San Francisco) • SOMA: マーケットストリートの南側地域 • 工業化の時代は大区画の工場・ 倉庫地帯 • 70s,80sの構造転換後、芸術家やクリエイ ターがたむろする • 印刷、グラフィック( 紙) 、写真、ビデオ、CD制 作の企業等のルーツ産業の集積 • 90sからIT系企業が立地はじめる M. Takeyama ITジェントリフィケーションのポイント M. Takeyama 新産業振興の政策 • 芸術文化とデジタルの連携 • ルーツ産業の存在(広告・デザイン・出版など) • 安い物件の提供・広めのロフト空間 • 職住近接のDINKS的ライフスタイル M. Takeyama M. Takeyama 7 M. Takeyama M. Takeyama 新産業振興には街づくりが必要な理由 • • • • • 企業の定着(空間的振興策) 固定費用の削減 集積の経済効果(企業間ネットワーキング) 古い建築物のリニューアル 統一した機関による推進(街づくりと産業振興) M. Takeyama M. Takeyama コンバージョンによる拠点づくり: 代表例 • 町屋のリニューアル⇒カフェ・ ギャラリー店舗 • 町屋のリニューアル⇒クリエイター工房 • 歴史的ビルのリニューアル⇒ソフト系IT企業や デザイン事務所 • 湾岸部等の倉庫のリニューアル⇒アート系活動 ( 劇団など) やソフト系IT企業 M. Takeyama M. Takeyama 8 「 コンバージョン」 による新産業拠点 づくり • 新産業拠点としての効果 – 新築に比べてコスト低い(低賃料) – コンテンツ産業の担い手には、人間性や真正性 (authenticity)のある環境が好まれる • 建築物や町並み保存への効果 – 古きよき環境資産を活かす – オーナーや住民による資産価値過小評価 – 古い建物を維持する持続的な経済活動の導入 M. Takeyama M. Takeyama 21世紀都市の基盤産業 • • • • 今後注目される都市型新産業 • • • • • • • • • • 高付加価値な製造業(バイオ/ナノなど) 広域の集客文化産業 ソフトウェア・コンテンツ産業 広域の対事業所サービス – 金融・保険・不動産、 – 広告・宣伝・企画・立案・調査・研究など • 企業の中枢管理・研究開発部門 アート パフォーミング・アーツ 音楽 映画・映像 文芸 写真 ゲーム 漫画・アニメ ソフトウェア その他 文化産業 コンテンツ産業 創造産業 (基盤産業:域外からも所得をとる程度の高い産業) M. Takeyama M. Takeyama わが国の都市再生問題 • グローバル経済下の都市経済の活性化 • 急速な都市化に伴う弊害 • 産業構造の変化 • 価値意識の変化 M. Takeyama 9