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突然の解散からわずか約 1 か月で、 選挙開票速報番組に

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突然の解散からわずか約 1 か月で、 選挙開票速報番組に
株式会社 TBS テレビ
突然の解散からわずか約 1 か月で、
選挙開票速報番組に必要不可欠な選挙システムを Azure へ移行、
運用工数も約 3 分の 1 に
2015 年にテレビ放送開始 60 周年を迎える株式会社 TBS テレビ。報道局では、国政選挙の開
票速報番組で使われている携帯集票システムやバックアップ系システムの基盤として Microsoft
ソリューション概要
○プロファイル
2015 年に放送開始から 60 周年を迎える株式会
社 TBS テレビ。戦後 70 年を迎える 2015 年は、
Azure を採用しました。Azure 採用のきっかけは、2014 年末の突然の衆議院解散でした。Azure
採用により遅延なくシステム構築を完了し、さらには運用工数も大幅に削減、選挙当日の安定稼
働を実現しています。
毎日新聞社との共同プロジェクト『千の証言』に
よるさまざまな特別番組を編成しています。
「未
来へつなぐ。From TBS 」をキャッチフレーズに、
放送を取り巻く環境の変化に対応し、放送と通
信の融合・連携を進めながら事業を展開してい
ます。
○導入製品とサービス
・Microsoft Azure
○パートナー企業
株式会社タイプ・アール
○導入メリット
・約 1 か月の短期間で移行からテスト、安定的な
本番稼働を実現
・オンプレミスからクラウドに移行し、システム
準備と撤収にかかる運用工数を約 3 分の 1 に
軽減
・サーバーの設定、スケールアウトなどをリアル
タイムに操作でき、柔軟なシステム運用が可能
に
○ユーザー コメント
「選挙までの準備期間が短く、テスト回数も 1 回
少ない中で大きなトラブルもなく本番を終えるこ
とができたのは、クラウド基盤としての Azure
の柔軟性や可用性の高さ、そしてマイクロソフト
の手厚いサポート体制のおかげです」
株式会社 TBS テレビ
情報システム局
システム開発部 兼 報道局
デジタル編集部 担当部長
浅田 明徳 氏
株式会社 TBS テレビ
導入背景とねらい
携帯電話を使った集票システムと、
本番システムのバックアップ基盤移行を検討
株式会社 TBS テレビ ( 以下、TBS テレビ ) は、1955 年にテレビ放送を開始した放送事業者です。
2015 年、テレビ放送を開始してから 60 周年を迎えた同局は「未来へつなぐ。From TBS 」をキャッ
チフレーズにさまざまな番組を制作、放送しています。
同局において、長きにわたり高い人気を誇っているのが報道番組です。TBS テレビを中心に 28 の
テレビ局が加盟する
「Japan News Network ( 以下、JNN) 」は、日本で最も歴史が古いニュース ネッ
トワークであり、各局がニュース取材および情報の相互流通を行うことで、強固な報道体制を構
築しています。
その JNN が総力を挙げて番組を制作しているのが、国政選挙の開票速報番組、いわゆる選挙特
番です。株式会社 TBS テレビ 情報システム局 システム開発部 兼 報道局 デジタル編集部 担当部
長 浅田 明徳 氏は「この選挙特番を制作するために、さまざまな情報システムが稼働している」と
語ります。
「その 1 つが携帯集票システムです。投票日当日は、まず開票前の出口調査があります。投票所に
派遣された担当者が投票を終えた人を調査し、集計して大まかな得票率を予想していきます。開
票が始まると、全国の開票所で発表された得票数を、開票所に派遣された担当者が逐次、入力し
ていきます」( 浅田氏 )
選挙当日は、担当者が全国ほぼすべての開票所に待機し、携帯電話 ( フィーチャーフォン ) の専用
アプリを使用して約 30 分おきに公表される得票数の経過を入力します。
株式会社 TBS テレビ
株式会社 TBS テレビ
情報システム局
システム開発部 兼 報道局
デジタル編集部 担当部長
浅田 明徳 氏
株式会社 TBS テレビ
報道局 選挙本部
林 武宏 氏
株式会社タイプ・アール
取締役副社長
高瀬 秀樹 氏
携帯集票システム 概念図
JNN 全局では、このデータが 3 秒以内にオンエアに反映されるしくみ
となっています。
また、当確判定にもより速い開票情報が不可欠なので、このデータを元
に判定をして、当確の情報を出します。
JNN の選挙特番制作において必要不可欠な選挙システムですが、運用
にあたっていくつかの課題がありました。
「選挙システムは国政選挙のタイミングでのみ稼働します。つまり繁忙
期はごく短い期間ですので、残りの閑散期に無駄にサーバー費用が発生
バックアップ系 概念図
することが課題でした。以前から保守費をはじめとする固定費を何とか
導入の経緯
圧縮できないか、と考えていたわけです」( 浅田氏 )
レスポンス高速化やデータ保護の安心感、
マイクロソフトの手厚いサポートが導入の決め手に
また、このシステムが絶対に停止してはいけないのが、開票速報の番組
が始まる 21 時から夜中の 3 時ごろまでの約 6 時間です。仮に 1 分でも
システム選定にあたり、同局では複数のクラウド サービスを検討。ミッ
システムが止まると番組が成立しません。番組の品質を担保するために
ション クリティカルなシステムを安定 稼 働できる信 頼 性と、パート
は、安定して稼働する信頼性の高いクラウド サービスが求められたの
ナーであるタイプ・アールが機能や特性を熟知している点を考慮して
です。
Azure 導入を決めました。
今回 Microsoft Azure が採用されたのは、前述の携帯集票システムと、
「提案をいただいたときは不安もありましたが、マイクロソフトとパー
本番システムが止まっても滞りなく番組を進行するためのバックアップ
トナーであるタイプ・アールの手厚いサポートが決め手でした。また、
系システムです。選挙システムの概要について、システム構築を担当した
東日本リージョンのデータセンターがオープンしたことも導入の後押し
株式会社タイプ・アール ( 以下、タイプ・アール ) 取締役副社長 高瀬 秀
となりました。レスポンスの高速化や、データが国内にあるという安
樹 氏は次のように語ります。
心感がなければ、選挙システムのクラウド移行はなかったかもしれま
せん」( 浅田氏 )
「携帯集 票システムをはじめとした弊社で開発を担当したシステムは
Azure 上の 各種サービスで稼働しています。たとえば、公示日当日に
クラウド サービス導入にあたり、まず番組制作に直結している携帯
各選挙区に立候補した候補者の情報を各局が登録するための政治家 DB
集票システムと、基幹システムのバックアップ系 システムから始めた
や、番組制作用の情報共有システムなどです。一方基幹系や各局のサー
同社。その理由について、株式会社 TBS テレビ 報道局 選挙本部 林
バーは、オンプレミスで稼働し、クローズドのデータセンターにホスティ
武宏 氏は次のように語ります。
ングされたサーバー上に JNN 28 局を結んで稼働しています。この基幹
系システムに障害が発生した時のバックアップ系のシステムも Azure 上
で稼働しています」( 高瀬氏 )
「報道は人命 や財産にかかわる情報を扱います。そのためクラウドへ
の移行は、情報の性質に応じて、段階的かつ慎重に行う必要があるの
です。一方で、東日本大震災以降はディザスター リカバリの観点を重
株式会社 TBS テレビ
視するようになり、局内でもクラウドを導入しようという機運が高まっ
けサーバーをスケールアウトして、終わったらまた戻す」という柔軟な操
ていました 」( 林氏 )
作がリアルタイムで行えるようになったといいます。
Azure の導入時期は、当初 2015 年 2 月ごろのテストで確認してから
今後の展開
を予定していました。しかし、2014 年 12 月、突然衆議院解散された
携帯集票システムのスマホ対応や、
過去に蓄積された " 選挙ビッグ データ " 活用に期待
ことで事態は一変。同局ではこの選挙に向けて、約 1 か月の短期間で
Azure に移行し、ほぼ「ぶっつけ本番」の状態で選挙当日を迎えること
になりました。
現在、フィーチャーフォン向けの携帯集票システムを運用している同局。
今後は、スマートフォンに対応したモバイル集票システム開発をしていき
国政選挙が行われるときは、通常 90 日前から運用テストを行ってい
たいといいます。
る同局。しかし、昨年 12 月の総選挙は解散から投票日までの準備期
間が短く、運用テストと Azure 移行を同時並行で進める必要があった
と高瀬氏は語ります。
「選挙のたびに 1,000 台近くのフィーチャーフォンを確保するのは今後難
しく、これからはスマホ活用が必須です。今回 Azure 導入が成功したこ
とは、その他のシステムでクラウドを活用するために、非常に大きな意味
「ほぼ 2 ~ 3 週間で Azure に移行し、テストで問題なく稼働したらそ
を持っていると言えます」( 浅田氏 )
のまま選挙当日を迎えるという状態でした。選挙システムは、開票日
の 1 日それもコア 6 時間、問題なく稼働することが求められます。そ
また、さらなる可能性としてビッグ データ活用も検討しています。同局が
の間に何か障害が発生したら、それまでのお金や労力が無駄になるば
蓄積してきた過去 10 数年分の開票データを解析し、開票状況から精度
かりか多くの関係者に多大な迷惑をかけてしまいます。そこで、バッ
の高い当確情報を得られれば、より低コストで、高効率な集票作業が可
クアップ体制を含めて何重にも準備し、可用性を高めました 」( 高瀬氏 )
能になると林氏は語ります。
テストの際には、携帯集 票のシステムに全国からデータを入力して、
「ビッグ データが、経験と知識を有する記者の "ノウハウ " や " 判断基準 "
パフォーマンスを検証しました。パフォーマンスが出ないときはデータ
を補完してくれることを期待しています。昔のように専門家を簡単に育て
センターを東日本リージョンに移したり、サーバーをスケールアウトし
られない時代だからこそ、バイアスのかからないデータ解析を可能にす
たりと、ここでも Azure の柔軟性が活かされていました。
るコンピューターの長所を、上手に活用できたらと考えています」( 林氏 )
導入の成果
最後に浅田氏は「今後もマイクロソフトと連携を取りながら、さらなるク
オンプレミスと比較して、
システムの準備と撤収にかかる運用工数を
約 3 分の 1 程度に軽減
ラウド活用によるコスト削減と利便性提供を進めていきたい」と抱負を
総選挙当日、本番で稼動した Azure 上のシステムは、短い準備期間だっ
たにもかかわらず、大きな問題もなく稼働しました。
「準備期間が短く、テスト回数も少なかったので心配でしたが、マイクロ
ソフトのサポート体制も万全だったため心強かったです。各局のオペレー
ターが緊張感を持って取り組んでくれ、結果的に大きなトラブルはあり
ませんでした 」( 浅田氏 )
Azure を導入したことで、準備と撤収にかかる運用工数がこれまでの約
3 分の 1 程度にまで削減されました。
「Azure 導入前は、選挙当日にデータセンターに保守担当員を 2、3 名
常駐させていました。撤収時にサーバーのディスクを抜きバックアップ
を取ったり、緊急時に対応したりと、物理的な作業が必要だったのです。
導入後はリモートで監視でき、撤収はマシンを落とすだけなので、運用
は圧倒的に楽になりました 」( 高瀬氏 )
また、地方選挙で、系列局がシステムを利用するときには「使うときだ
語ってくれました。放送業界でクラウド サービス活用を推進し、IT を活
用したより良い放送を目指す TBS テレビ。今後の IT 戦略に注目していき
たいです。
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本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/
本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2015 年 7 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
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