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環境修復負債の評価方法に関する一試案

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環境修復負債の評価方法に関する一試案
環境修復負債の評価方法に関する一試案
7
1
環境修復負債の評価方法に関する一試案
赤
塚
尚
之
!.はじめに
いわゆる「スーパーファンド法」に基づき,米国の環境保護庁(EPA)によっ
て潜在的責任当事者に指名された経済主体は,長期間にわたる汚染サイト修復
プロセスへの参加を義務づけられる。そして,EPA から指名を受けた時点に
おいて,会計上,潜在的責任当事者には汚染サイト修復義務を表象する環境修
復負債とよばれる偶発負債が生じている。
米国において,偶発負債は,偶発損失に対応する貸方項目として,財務会計
基準審議会(FASB)が公表した基準書第5号「偶発事象の会計」と解釈指針
第1
4号「損失額の合理的な見積り」
に依拠して間接的に認識・測定される。もっ
とも,環境修復費用の見積りに際して不確実性が複雑に絡み合い,潜在的責任
当事者として経済主体が直面している実態が写像としての会計情報に必ずしも
十分に反映されているわけではなかった。かかる状況のもとで,1
9
9
6年には米
国公認会計士協会(AICPA)から SOP9
6―1「環境修復負債」が公表されてお
り,事態は収束したかのように思われた。
しかし,SOP9
6―1公表以降も,潜在的責任当事者たる経済主体が環境修復
負債を過少に見積もって計上する傾向がみうけられる。これは,汚染サイト修
復に係る不確実性に起因する仕方がない事態と割り切ってしまえばそれまでで
あるが,その一方で,合理的に算定された単一の見積額または幅のある見積額
から最善の額または最小額のいずれかを計上するという現行規定の枠組みに踏
みとどまることの限界も垣間みえる。会計情報が情報利用者の意思決定に少な
からず影響を与えることに鑑みれば,このような現状を看過するわけにはいか
ないであろう。
72
戸田俊彦教授退職記念論文集
(第3
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5号) 平成19
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そこで,新たな選択肢として脚光を浴びているのが,期待値により見積額を
算定するアプローチである。ここで注目したいのは,現行制度下においても,
実際に一部の偶発負債について公正価値による測定が行われ,期待現在価値法
という将来キャッシュフローの見積りに期待値を用いる公正価値の見積技法が
推奨されているという事実である。近年,偶発負債には,条件付債務に加えて
無条件債務が新たに捕捉されたうえで,認識要件として負債の「公正価値の測
定可能性」が設定される傾向にある。環境修復負債については,「EPA による
指名」という汚染サイトを修復する義務を確定的なものとする事象がすでに発
生しており,条件付債務と無条件債務とに分解したうえで既存の公正価値測定
の枠組みを当てはめること自体は,それほどハードルの高くない試みかもしれ
ない。
もっとも,かかる帰結はあくまでも部分的なものであり,視野を広げればよ
り広範な負債会計に関する課題の存在に気づかされ,公正価値測定へと即座に
移行していくことにためらいを感じる。本稿では,環境修復費用および環境修
復負債に関する現行の会計規定の確認を行いそこに潜む問題点を明らかにし,
環境修復負債について公正価値測定の枠組みへの当てはめを行うための試論を
展開する。そのうえで,新たに検討すべきことが明らかになった課題について
言及する。
!.汚染サイト修復義務の会計上の取扱いと SOP9
6―1公表以前の会計実務
1.汚染サイト修復義務の会計上の取扱い
環境修復法のうち,「包括的環境対処,補償,および責任法」
(CERCLA)と
その修正法である「スーパーファンド修正および再授権法」
(SARA)は,政
府が汚染サイトを浄化するための巨額のファンドを有することにちなんで
1)
「スーパーファンド法」という総称でよばれることが多い 。スーパーファン
ド法は,EPA が指名した潜在的責任当事者(PRP)に対して,すでに生じた汚
1)環境修復法を含む環境法の詳細については,AICPA[1
99
6]pars.1.
1―4.
8. を参照された
い。
環境修復負債の評価方法に関する一試案
7
3
染サイトの修復を義務づける。潜在的責任当事者は,たとえば図表1に示すよ
うな汚染サイト修復プロセスへの参加をつうじて課された修復義務を履行して
いく。
ひとたび EPA から指名を受ければ,修復義務を免れることはほぼ不可能で
あり,かつ,潜在的責任当事者に課される責任は重い。汚染サイトの修復義務
は当然に法的債務としての性質を有し,潜在的責任当事者には,過失の有無を
問わない厳格責任(strict liability)
,法律の制定以前に遡って責任追及される遡
及責任(retroactive liability)
,および状況によっては単独でも全責任を負う連
帯責任(joint and several liability)が課されている。このことが,潜在的責任当
【図表1】スーパーファンド法にもとづく汚染サイト修復プロセス
全国優先順位表への掲載
!
修復措置の可能性
!
修 復 調 査
!
リスクアセスメント
!
政
実行可能性調査
府
!
の
修復可能プランの選択
監
!
視
パブリックコメントと決定記録
!
修復プランのデザイン
潜
在
的
責
任
当
事
者
の
識
別
と
負
担
割
合
の
決
定
!
修復プランの実行
!
修復後のモニタリングを含む運営および維持
(AICPA[1
9
9
6]Figure1. 各プロセスについては,AICPA[1
9
9
6]pars.2.
1
2―2.
2
8
を参照されたい。
)
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事者に課す責任を重くすることに加えて,環境修復費用ひいては環境修復負債
の見積りをより複雑なものとするのである。
2)
ひとつの汚染サイトに複数の潜在的責任当事者が存在する場合には ,当該
サイトの修復費用(以下,環境修復費用)について潜在的責任当事者間で負担
割合を決定しなければならない。もっとも,EPA をもってしても当初の段階
において必ずしもすべての潜在的責任当事者を把握しきれるわけではなく,潜
在的責任当事者の識別と各潜在的責任当事者に割り当てられる修復費用の負担
割合は,修復プロセスが進行するにつれてより明確になってくる。また,汚染
サイト修復に必要となる最終的な費用項目やその総額は実行可能性調査の完了
を待たねば判明せず,それまでに数年の歳月を要する。さらに,全体の修復プ
ロセスが完了するまでには数十年もの歳月を要し,その間にも修復費用総額が
変動するさまざまな要因が生じうる。
それゆえ,環境修復費用の見積りには,負担割合の決定に関する不確実性(allocation uncertainty)と見積額の算定に関する不確実性(site uncertainty)とい
う2つの不確実性が修復プロセスをつうじて介入することから(Barth et al.
[1
9
9
7]p.3
7.)
,潜在的責任当事者が負うべき汚染サイトの修復義務は,会計
上,偶発負債として取り扱われている。
2.SOP9
6―1公表以前の会計
偶発負債とは,偶発損失(loss contingency)の発生に伴い生じる負債のこと
3)
であり ,基準書第5号「偶発事象の会計」に従い偶発損失の認識・測定をつ
うじて間接的に認識・測定される。偶発損失の認識要件は,「財務諸表公表以
前の入手可能な情報により貸借対照表日において資産が滅失するか負債が発生
する可能性が高い(probable)こと」と,「損失額を合理的に見積もることがで
2)潜在的責任当事者には,有害物質が処分または廃棄されたサイトの現在の所有者または
管理者,有害物質処分当時の所有者または管理者,有害物質の処分を準備した者,および
有害物質の処分または廃棄のためにサイトを選択し有害物質を運搬した者が含まれる。
3)なお,基準書第5号にいう損失(loss)は,費用(expense)と損失(loss)の総称として
用いられていることに留意されたい(FASB[1
9
7
5]fn.3.)
。
環境修復負債の評価方法に関する一試案
7
5
きること」の2つである(FASB[1
9
7
5]par.8.)
。これら2つの認識要件を充
足すれば,環境修復費用の損益計算書への計上をつうじて,汚染サイト修復義
務を表象する環境修復負債(environmental remediation liability)が貸借対照表
に計上される。また,損失の見積額に幅が生じる場合には,解釈指針第1
4号「損
失額の合理的見積り」に基づき見積額を算定する。つまり,合理的な見積額と
解される範囲内に最善の見積額が存在する場合にはその最善の見積額を計上
し,最善の見積額が存在しない場合には最小額を計上すればよい(FASB
[1
9
7
6]
par.3.)
。
環境修復負債も他の偶発負債と同様に,基準書第5号および解釈指針第1
4号
の規定を手がかりにして会計処理が行われる。しかし,「EPA による指名」と
いう汚染サイトを修復する確定的な債務の存在を決定づける事象がすでに発生
しているにもかかわらず,環境修復費用の見積りが困難であることを理由とし
て多くの環境修復負債が会計情報として反映されていないという事実が,複数
4)
の調査結果により明らかにされた 。また,環境修復負債を戦略的に過少に見
積もって計上するという会計実務の横行もみられた(Barth and Mcnichols[1
9
9
4]
p.1
7
8.)
。このような状況を改善すべく1
9
9
6年に AICPA,より厳密にいえば会
計基準執行委員会(AcSEC)から公表されたのが,SOP9
6―1「環境修復負債」
5)
である 。
!.SOP9
6―1の特徴と問題点
1.ベンチマークの設定と「段階的認識」
環境修復費用の見積りには2つの異なる次元において不確実性が介入してそ
の見積りを困難にしており,SOP9
6―1はかかる状況を改善することに主眼を
6)
置いているといってよい 。
4)たとえば,プライスウォーターハウス(Price Waterhouse)が1
99
2年に公表した調査結果
がある。この点については,阪[2
0
0
1]15
9頁を参照されたい。また,その他の調査結果
については,Goodman and Little[2
0
0
3]pp.6―7. を参照されたい。
5)当時の状況については,Lorensen[1
9
9
3]を参照されたい。
6)EPA から潜在的責任当事者に指名された時点において,修復義務を履行しなければなら!
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まず,負担割合の決定に関する不確実性について,環境修復費用の潜在的責
任当事者間での負担割合の決定に際して,自己負担に加えて義務を履行しない
他の潜在的責任当事者または政府が負担すべき追加負担についても加味してお
かなければならない(AICPA[1
9
9
6]par.6.
2.)
。なぜなら,潜在的責任当事者
には連帯責任が課されており,他の潜在的責任当事者の動向によっては自己の
負担割合を超えて義務を履行しなければならず,費用回収の訴訟が提起された
としても最終的に負担しなければならない費用額が増加することもありうるか
らである(加藤[2
0
0
6]2
1
5頁)
。
次に,見積額の算定に関する不確実性について,最終的な費用項目やその総
額の確定には数年の歳月を要する。具体的には,環境修復費用は,修復事業に
伴う追加的直接費用(incremental direct cost)と修復事業に大半の直接作業時
間を費やすと想定される被雇用者に対する給与および給付に伴う費用から構成
され(AICPA[1
9
9
6]pars.6.
5―6.
6.)
,その項目は多岐にわたる。また,全体
の修復プロセスが完了するまでには数十年の歳月を要し,修復プロセスの進行
に応じて費用総額が変動する要因が生じる可能性は十分にあり,早期の段階に
おいてすべての項目について相当程度の信頼性をもって見積もることは不可能
に近い。
これらの要因から,早期の段階において環境修復費用の見積りに際して幅の
ある見積額を算定しておくことが事実上の限界であり,環境修復負債の見積額
は環境修復費用の諸項目についてそれぞれ幅のある見積額を合算したものとな
らざるをえない(AICPA[1
9
9
6]par.5.
1
0.)
。2つの不確実性を加味して最終
的に貸借対照表に計上される環境修復負債の金額は,ある意味偶然の所産とで
もいうべきであろう。そこで,スーパーファンド法に基づく修復プロセスの進
行に応じて,見積額を適宜修正していく必要が生じる(AICPA
[1
9
9
6]
par.5.
9.)
。
この点について,SOP9
6―1は,環境修復費用および環境修復負債の定期的な
見積修正を促すべく,スーパーファンド法に基づく修復プロセスと連動して見
! ない可能性は高く,高度の蓋然性に関する認識要件については問題として取り上げられな
いようである(AICPA[1
9
9
6]pars.5.
5―5.
6.)
。
環境修復負債の評価方法に関する一試案
7
7
積額を修正しなければならないベンチマークを設定している。潜在的責任当事
者は,図表2に挙げる各ベンチマークの時点において,環境修復負債の見積額
【図表2】SOP9
6―1により設定されているベンチマーク
ベンチマーク
潜在的責任当事者とし
ての確認および認証
修復措置に関する「一
方的管理命令」の受領
環境修復負債の認識
サイトの汚染状況がよく起こりうるものであるか,または経済主
体が当該サイトと類似する汚染サイトと何らかの関係を有してい
れば,環境修復負債を早期に見積もることが可能である。しかし,
幅のある見積額のうちの最小額を算定するために十分な情報を入
手できない場合には,認識要件を充足しない。
サイトの複雑性や行われる修復活動により,費用の見積可能性が
変動する。一方的管理命令に基づき修復活動を行うための費用は
幅のある見積額として算定可能であり,修復費用部分の環境修復
負債が計上される。
修復活動に必要な費用部分の負債については,
この時点において計上すべきである。
修復調査および実行可能性調査に必要な費用総額について幅のあ
潜在的責任当事者とし
ての修復調査および実
行可能性調査への参加
る見積額が判明し,自己負担部分についても算定できる。また,
環境修復負債総額を算定する根拠となる環境への影響や修復方法
の代替案に関する追加的情報を入手できる。少なくともこの段階
において,修復調査および実行可能性調査に必要な費用総額のう
ち,自己負担部分については環境修復負債として計上すべきであ
る。
この段階において,環境修復負債総額の最小額および自己負担部
分が判明する。実行可能性調査完了以前に見積額をゼロとしてい
実行可能性調査の完了
決定記録の発行
修復プランの実行およ
び維持をつうじて修復
プランのデザイン修正
(修復後のモニタリン
グを含む)
ても,また,自己負担部分等に関する不確実性が介入しようとも,
このベンチマーク以降は必ず環境修復負債を計上しなければなら
ない。
当該経済主体と他の潜在的責任当事者との負担割合に関する交渉
や訴訟が開始されているか完了しており,見積額をより精緻にす
ることができる。
修復デザインの段階において,環境修復費用をより正確に見積も
ることができる。また,修復後のモニタリングの段階に至るまで
にもより多くの情報が入手可能となることから,最終的な自己負
担額を継続的に見直していかなければならない。
(AICPA[1
9
9
6]par.5.
1
6. をもとに作成。また,各ベンチマークの内容については,加藤[2
0
0
6]2
1
2―
2
1
5頁を参照。
)
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を修正していかなければならない(AICPA[1
9
9
6]par.5.
1
5.)
。
各ベンチマークにおける記述をみれば,潜在的責任当事者は,少なくとも「潜
在的責任当事者としての修復調査および実行可能性調査への参加」の時点にお
いて修復調査・実行可能性調査に必要な費用総額のうち自己負担部分を,また,
「実行可能性調査の完了」の段階において環境修復負債総額の最小額のうち自
己負担部分を環境修復負債として認識しなければならないことが明示されてい
る。このような SOP9
6―1による環境修復負債の認識に対する考え方は,「段階
的認識」
(加藤[2
0
0
3]1
3頁)ともよばれ,「ベンチマークは潜在的責任当事者
による主観的な判断に対して一定の根拠と信頼性を付与する機能を有し,ベン
チマークを環境修復法に基づく修復プロセスに結び付けることにより,見積額
の信頼性を付与する機能を補完する」
(加藤[2
0
0
3]1
4頁)ことが指摘されて
いる。
2.依然として解消されない過少報告
SOP9
6―1は,ベンチマークを設けることによって環境修復費用の見積額を
7)
定期的に修正することとした点が最大の特徴といえる 。そして,あらかじめ
設定されたベンチマークにおける修正をつうじて,貸借対照表に計上される環
境修復負債の見積額も時の経過とともに当然に修正されていき,見積額の信頼
性もより向上していくものと想定されていた。しかし,SOP9
6―1公表後も,
潜在的責任当事者たる経済主体によって環境修復負債が過少に見積もられて計
8)
上されていることが繰り返し指摘されている 。
現行の枠組みにおいてなお,このような環境修復負債の過少報告(underreporting)の問題が解消されないでいるのは,修復調査および実行可能性調査が実
質的に完了するまでの数年のあいだ,修復プロセスの早期の段階において環境
修復費用総額の見積りを強制する規定が存在しないことが原因のひとつとされ
7)また,基準書第5号において想定されてはいなかった割引計算についても,一定の条件
の下で容認していること(AICPA[1
9
9
6]par.6.
1
3.)を,SOP9
6―1の特徴として挙げるこ
とができよう。
8)この点については,Goodman and Little[2
0
0
3]pp.7―9.を参照されたい。
環境修復負債の評価方法に関する一試案
7
9
る(Goodman and Little[2
0
0
3]pp.1
2―1
3.)
。たしかに,SOP9
6―1は,実行可能
性調査が完了するまでは環境修復負債を認識しないことを事実上容認している
が(AICPA[1
9
9
6]par. 5.
1
6.)
,かかる規定に一定の合理性を認めてもよいで
あろう。
しかし,現行規定の枠組みには,潜在的責任当事者となった経済主体が各ベ
ンチマークの時点において環境修復費用の見積額として意図的に最小額を計上
しうる(Goodman and Little[2
0
0
3]pp.3―4.)という致命的な欠陥が潜んでい
る。つまり,環境修復費用について,たとえ幅のある見積額のうち最小額より
も大きい最善の見積額が存在しようとも,その存在を明らかにせずに最小額を
計上することもできる。極端なことをいえば,各費用項目の見積額の最小値を
ゼロ付近に設定してしまえば,環境修復負債の計上額を限りなくゼロに近づけ
ることもできる。基準書第5号による損失額の見積りに関する要件を緩和する
作用をもたらすと思われていた解釈指針第1
4号による規定が,思わぬかたちで
過少報告の温床となっているのである。このような過少報告の温床が存在する
のは,むしろ環境修復費用のように不確実性が介入する複数の項目から構成さ
れる費用について,現行規定の枠組みにより対処しようとすることの限界とし
て受け止めるべきであろう。
このように,現行の枠組みでは,依然として過少報告の問題を解決へと導い
9)
ていないといわざるをえないのが現状である 。会計情報は情報利用者の意思
決定に少なからず影響を与えることから,現状を割り切って看過するわけには
1
0)
いかないであろう
。そこで,過少報告の問題を根本的に解決すべく新たな
9)このような過少報告を改善すべく,FASB に対して具体的なアクションを起こしたのが,
環境保護財団のローズ財団(Rose Foundation)である。ローズ財団は,具体的には世界最
大の自主規格の作成団体である ASTM インターナショナルの前進である米国材料試験協会
(ASTM)が200
1年に公表した E2
1
3
7―0
1「環境関連事象に係る費用および負債の見積りに
関する基準ガイド」において提示されている期待値評価の導入を FASB に提案しているが,
FASB は,今後検討すべき議題として取り上げることを見送っている。この点については,
FASB[2005a]を参照されたい。
10)米国における環境修復負債に関する実証研究の動向については,須田[1
9
9
8]
,
[2
002]
および阪[20
06a]を参照されたい。
80
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0
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選択肢として脚光を浴びているのが,期待値を用いた環境修復負債の見積りで
ある。
!.偶発負債をめぐる会計の動向と環境修復負債への当てはめ
1.無条件債務の捕捉
現行制度下において,費用額または損失額の見積りをつうじて負債額を間接
的に算定するのではなく,公正価値(fair value)を見積もることによりダイレ
クトに負債額を算定する偶発負債が存在する。また,FASB は,2
0
0
6年9月に
基準書1
5
7号「公正価値測定」を公表して公正価値測定に関する基準書レベル
の指針を整備し終えたところであり,公正価値の見積技法として期待キャッ
1
1)
シュフローアプローチ
の計算構造を継承した期待現在価値法(expected pre-
sent value technique)を用意している(FASB[2
0
0
6]pars. B1
2―B1
9.)
。かかる
事実は,環境修復負債と公正価値測定が行われている偶発負債との間に何らか
の共通項を見出すことができれば,環境修復負債について公正価値測定を行い,
そのプロセスのなかで期待値による見積りを行うことが現実味を帯びてくるこ
とを意味する。そこで,公正価値測定が行われている偶発負債項目のなかに,
環境修復負債と類似する性質を有したものがあるか思い浮かべてみればよい。
そして,その候補として浮かび上がってくるのが,条件付資産撤去債務(conditional asset retirement obligation)である。
条件付資産撤去債務とは,「長期性有形資産の取得,建設,開発,および(ま
たは)通常の稼動の結果生じる長期性有形資産の撤去に関する法的債務」
(FASB
1
2)
[2
0
0
1]pars.2and fn.1.)である資産撤去債務のうち
,とくに「経済主体に
とって管理可能であるかを問わず撤去活動を行う時期および(または)方法が
将来事象により決定されるもの」
(FASB[2
0
0
5b]pars. 3 and B6.)をいう。こ
11)期待キャッシュフローアプローチとは,20
0
0年に公表された概念書第7号「会計測定に
おけるキャッシュフロー情報および現在価値の使用」において提唱された概念書レベルの
公正価値の見積技法である。
12)法的債務には,約束的禁反言の原則(promissory estoppel)によるみなし債務(constructive
obligation)も含まれうる(FASB[2
0
0
1]par.2.)
。
環境修復負債の評価方法に関する一試案
8
1
こで,条件付資産撤去債務が基準書第1
4
3号「資産撤去債務の会計」の適用範
囲にあることを明確にした解釈指針第4
7号「条件付資産撤去債務の会計」にお
いて,たとえ撤去活動の時期や方法に不確実性が介入しようとも,法的債務が
存在していることに変わりないことが強調されている点が注目される(FASB
[2
0
0
5b]par.3.)
。つまり,経済主体が長期性有形資産を保有するに至った限
りにおいて,土地を除く長期性資産は法律を根拠としていつか必ず撤去しなけ
ればならず(FASB[2
0
0
5b]par. B1
1.)
,条件付資産撤去債務は,時期や方法
の判明を待たずして確定的な債務となるのである。
そこで,経済主体は,不確実性が解消するまでの期間にわたり撤去活動の着
手を「待機(stand ready)している状態」にあると解され,条件付資産撤去債
1
3)
務には無条件債務(unconditional obligation)が見出される
。また,いつ,い
かなる方法によって撤去活動が開始されるかという点については将来事象に左
右されることから,条件付資産撤去債務は条件付債務(conditional obligation)
としての側面も併せて有している(FASB[2
0
0
5b]par.3.)
。つまり,解釈指針
第4
7号の枠組みにおいて,条件付資産撤去債務は条件付債務と無条件債務とに
1
4)
分解して捕捉される
。
偶発負債を条件付債務と無条件債務とに分解して無条件債務の側面に着目す
れば,条件付資産撤去債務に介入する不確実性は,認識の段階ではなくて測定
の段階において考慮することもできる。つまり,基準書第1
4
3号において,条
件付資産撤去債務を含む資産撤去債務について,負債の定義を充足することを
前提として「公正価値の測定可能性」という認識要件が設定され(FASB[2
0
0
1]
par. 3.)
,公正価値そのものを入手することは困難である場合が多いことから,
公正価値の見積技法として期待現在価値法の使用が推奨されるのである(FASB
[2
0
0
6]par. E2
3b.)
。期待現在価値法は,期待値により割引前将来キャッシュ
フローを見積もったうえで割引計算を施す技法であり,必然的に条件付資産撤
13)本稿においては,“obligation”を一律に「債務」と訳出している。
14)条件付資産撤去債務が無条件債務と条件付債務とに分解されることは,FASB[2
00
5c]
par.21. においてより明確にされている。
82
戸田俊彦教授退職記念論文集
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5号) 平成19
(2
0
07)
年3月
1
5)
去債務の見積額も期待値に基づき算定されることとなる
。
2.環境修復負債の分解
環境修復負債は,環境修復費用の自己負担割合や諸費用項目の見積りに関す
る不確実性が介入することから,当然に条件付債務としての側面を有している。
また, 経済主体が潜在的責任当事者として EPA から指名された時点において,
汚染サイト修復義務はいずれの不確実性にも左右されない確定的な債務とな
る。つまり,環境修復負債と条件付資産撤去債務は,現行制度下において「通
常の稼動の結果生じるか」という点において明確に区別されてはいるものの
(FASB[2
0
0
1]pars.2and B2
0.)
,債務自体は確定して決済時期および(または)
金額に不確実性を有する偶発負債である点において相違はないと思われる。そ
こで,EPA による指名以降,経済主体が潜在的責任当事者として汚染サイト
修復の各プロセスにおいて要求される種々の活動に参加することを待機してい
る状態にあると擬制すれば,環境修復負債にも無条件債務の存在を見出しうる。
それゆえ,環境修復負債を条件付債務と無条件債務とに分解しうると解して
も差し支えないように思われる。環境修復負債を条件付債務と無条件債務とに
分解すれば,負債の定義の充足を前提として「公正価値の測定可能性」を認識
要件として設定し,公正価値を見積もるために期待現在価値法を用いることも
1
6)
できなくはない
。環境修復負債についても,現行の枠組みを飛び越えて公
正価値測定を導入する余地は十分にある。確定的な債務の存在を決定づける事
象がすでに発生しており,発生可能性について特段の考慮を要しない偶発負債
については,測定技法の向上に応じて早期により多くの会計情報を提供しうる
会計の体系を整備していってもよいであろう。
15)期待現在価値法は,キャッシュフローにリスク調整を行う第1法と,利子率にリスク調
整を行う第2法の2つがある(FASB[2
0
0
6]pars. B1
2―B1
9.)
。なお,基準書第1
5
7号は2
0
0
7
年1
1月15日以降開始される事業年度の財務諸表から発効する(FASB[2
0
0
6]par.3
6.)
。
16)もっとも,基準書第1
4
3号は,撤去費用を長期性有形資産の帳簿価額に加算するととも
にその同額を負債として計上し,簿価に含まれる撤去費用を減価償却費として当該資産の
耐用年数にしたがって規則的または合理的な方法によって配分する(FASB[2
0
0
1]par.1
1)
としているが,環境修復費用について,同様の会計処理を行うことはできないと思われる。
なぜなら,土地は償却性資産ではないからである。
環境修復負債の評価方法に関する一試案
8
3
将来キャッシュフローの見積りに期待値を用いれば,実行可能性調査完了以
前における総額の見積りの困難性を解消し,また,現行の枠組みを逆手に取っ
て最小額をゼロと設定することによる意図的な過少報告の回避に資すると思わ
れる。さらに,見積額の算定プロセスを何らかのかたちで公表すれば,潜在的
責任当事者として経済主体が採りうる選択肢とそれぞれの選択肢に基づく見積
額に関する副次的な定量的・定性的な情報も提供しうることであろう。期待値
は,会計情報を飛躍的に拡充する可能性を秘めている。
!.おわりに
現行規定の確認作業をつうじて,環境修復費用および環境修復負債に関する
会計処理の枠組みについて,その限界を指摘せざるをえないことが明らかと
なった。過少報告の問題への有力な改善策として,将来キャッシュフローの見
積りに期待値を用いるアプローチを挙げることができる。FASB が有する既存
の枠組みを用いるのであれば,環境修復負債を条件付債務と無条件債務とに分
解して捕捉したうえで公正価値測定を導入することが最も手っ取り早い。
「EPA
による指名」
という確定的な債務の存在を決定づける事象が発生している限り,
そのような会計の体系を構築する余地は十分にあると思われる。しかし,その
一方で,かかる帰結は環境修復負債という数多くある偶発負債のうちの一項目
に限定した議論に過ぎず,視野を広げれば新たな検討課題の出発点ともなる。
とくに取り上げておきたいのは,適用対象が拡大されつつある無条件債務の捕
捉についてである。
米国の現行制度下において,条件付債務と無条件債務とに分解して捕捉され
1
7)
ている偶発負債としては,条件付資産撤去債務のほかに保証債務がある
。
保証債務についても,債務者(主たる債務者)が債務不履行に陥った場合に実
際に代位弁済を行うことを保証人に義務づける条件付債務と,債務者が債務不
17)FASB は,2002年1
1月に公表した解釈指針第4
5号「間接保証を含む保証人の保証に関す
る会計および開示」において,条件付資産除却債務に先駆けて保証債務についてまずこの
考え方を当てはめている。
84
戸田俊彦教授退職記念論文集
(第3
6
5号) 平成19
(2
0
07)
年3月
履行に陥った場合に代位弁済を行うよう契約期間にわたり待機することを保証
人に義務づける無条件債務とに分解して捕捉される(FASB[2
0
0
2]pars. 8 and
A3
0.)
。このことは,契約締結時点において,保証人に対して保証契約期間に
わたり待機することを無条件に義務づけることを意味する。そこで,保証債務
は,債務者の債務不履行の発生または不発生を待たずして確定的な債務となる。
いわゆる「停止条件付債務」
としての性格を与えられてきた保証債務が,無条件
債務を捕捉することにより契約締結時点において確定的な債務となるのである。
このように,契約締結時点において債務を確定する事象(ここでは,債務者
の債務不履行)が発生していない保証債務にまでも無条件債務を捕捉すること
は,むしろ保証債務の態様を歪曲しているのではなかろうかと疑念を抱かざる
をえない。なぜなら,不確実性を有する負債項目には,すでに過去の事象の結
果として債務が確定しているものと,過去の事象と関連する将来事象の発生ま
たは不発生を待たなければ債務が確定しないものの2種類があると考えられ
(徳賀[1
9
9
9]1
6
0―1
6
2頁)
,そうであるならば両者は峻別されるべきであるか
らである。そこで,無条件債務を捕捉することが,経済主体が負うあらゆる負
債の実態をよりよく反映する万能なものなのか,または公正価値測定を一律に
適用するためのフィクションとしての一面も有しているのか慎重に見極めてい
く必要があり,当面は無条件債務を捕捉する項目を増やすことは差し控えるべ
1
8)
きかもしれない
。
このほかにも,公正価値測定の枠組みは,さまざまな局面で現行規定の枠組
みとの対立の構図を生み出している。現行の枠組みにおいては,偶発負債の測
定属性として「経済主体が予測期間において資産の取得または負債の決済のた
めに生じると予想する費用(通常は追加的費用)を把握する」原価累積額(costaccumulation measurements)が想定されている(FASB[2
0
0
0]par.2
4d.)
。これ
が,「測定日において市場の参加者が秩序ある取引に基づき資産を売却する際
に受け取るか負債を移転する際に支払う価格」
(FASB[2
0
0
6]par.5.)たる公正
18)この点については,IASB による IAS 第3
7号の改訂プロジェクトにおける議論が手がか
りとなるであろう。
環境修復負債の評価方法に関する一試案
8
5
価値へと劇的に変更されることについて慎重論を唱える論者も少なくない
(FASB[2
0
0
1]par. B3
9.)
。また,負債の公正価値をダイレクトに見積もろう
とすることにより,今度は借方側において「費用と損失の区別」(徳賀[2
0
0
3]
2
9―3
0頁)という問題が生じる。現行制度下において無条件債務が捕捉されて
いない項目のうち,とくに将来事象の発生または不発生を待たなければ債務が
確定しないものについては,蓋然性に関する認識要件の要否も重要な検討課題
となる。
また,概念書第6号「財務諸表の構成要素」において,負債は「過去の取引
または事象の結果として,特定の経済主体が他の経済主体に対して,将来,資
産を譲渡するかまたは用役を提供しなければならない現在の債務から生ずる蓋
然性の高い経済的便益の犠牲」
(FASB[1
9
8
5]par.3
5.)と定義されている。一
部の偶発負債が解釈指針レベルにおいて条件付債務と無条件債務とに分解しう
ると解されようとも,概念書においてそのような議論が明示的に展開されてい
1
9)
るわけではない
。この点について,概念フレームワークプロジェクトにお
いて負債の定義の見直しが現在検討されているところである。
以上のことから,公正価値測定の枠組みは検討すべき課題を多く孕んでおり,
環境修復負債についても,安易に傾倒することなく慎重に議論を進めていくべ
きであると考える。
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(FASB[1
9
8
5]par.
36.
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