...

卵巣癌の予後因子に関する研究 - 東京慈恵会医科大学 学術リポジトリ

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卵巣癌の予後因子に関する研究 - 東京慈恵会医科大学 学術リポジトリ
慈恵医大誌 200
5;12
0:143
-5
1.
【第 1
2
1回成医会
会宿題報告】
卵巣癌の予後因子に関する研究
落
合
和
徳
東京慈恵会医科大学産婦人科講座,臨床腫瘍部
PROGNOSTI
C FACTORSOF OVARI
AN CANCER
Kazunor
iOCHIAI
Depar
tment of Obstetr
ics and Gynecology and Depar
tment of Clinical Oncology ,
The Jikei Univer
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とができる(Fi
)
.本稿は Ochi
g.4
aiら の研究に
I
.は じ め に
最近の文献的検討を加えて概説したものである.
卵巣癌は予後不良の疾患として知られており,
I
I
. 研究対象と方法
世界的統計を見ても進行症例の 5年生存率はいま
だに 30
)
.本邦における
% を下回っている(Fi
g.
1
本邦の卵巣癌患者 1
,
1
85例を対象に過去の診療
年齢調整死亡率は 2
00
0年で婦人 10万対 4
.
5と報
告され
(Fi
)
,
死亡数も年間
人をこえてい
g.2
4
,
0
0
0
録からアンケート方式で患者背景,治療内容,予
る
(Fi
)
.今後も増加傾向にあると思われ,2
g.3
01
5
年の罹患数は約 12
人,
年齢訂正罹患率は
,
2
00
1
0.
2
るかを検討した.生存率の解析にはカプランマイ
に達すると推計されている .卵巣癌は化学療法
法,ならびに一般化ウィルコクソン法を用い,p <
に比較的感受性があるとされ,プラチナ製剤やタ
0
.
0
5を有意とした.1
,
1
85例の進行期別 類,組織
別 類を Tabl
e1に示した.進行期を見ると比較
キサン製剤の導入により,生存率の向上が認めら
れ卵巣癌撲滅の期待が一気に膨らんだが,いまだ
抗癌剤だけでの根治は望むべくもなく,適切な手
術との組み合わせではじめて
命効果が期待でき
る.卵巣癌の予後に関与する因子については多く
の報告がなされているが,大別して患者自身の因
後を調査しどのような因子が予後にかかわってい
ヤー法を用い,生存率の差の検定にはログランク
的 早 期 で 発 見 さ れ る の は 1,
185例 中 557例
(4
,進行例で発見されるのがこれに対して
7
%)
6
2
8例(53
%)と発見時半数以上が進行例であるこ
とがわかる.
組織型別には, 液性が 5
(4
75例
9%)
子(患者因子)
,腫瘍のもつ因子(腫瘍因子)
,治
と一番多く,これに粘液性 2
,明細胞
9
0例(2
4
%)
癌1
例(
)
,類内膜性
例(
43
1
3%
1
3
4
11
%)と続い
療にかかわる因子(治療因子)の 3つに
た.
けるこ
144
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Tabl
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果
1
. 患者因子
) 年齢
1
対象症例の年齢
Fi
g.
4. Pr
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sofovar
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anc
anc
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布をみると 5
-59歳をピーク
0
にした正規 布を示す(Fi
).しかしこの最多
g.
5
年齢帯周辺の患者数をみると 4
0歳代のほうが 6
0
歳代より多く,閉経前から閉経後にかけての時期
卵巣癌の予後因子に関する研究
145
Fi
g.10
. Sur
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g.7. Sur
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Fi
g.8. Sur
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Fi
g.1
1. Sur
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2
. 腫瘍因子
) 進行期
1
腫瘍の進展とともに予後が悪くなることは明ら
かであるが,
卵巣癌でもその傾向は著明である.
片
側の卵巣に限局した I
a期で発見された場合は 5
年生存率が 9
0
% にも達するのに I
V 期では 20
%
にも達しない(Fi
)
.したがって卵巣癌の予後
g.8
改善には早期発見が重要である.
Fi
g.9
. Sur
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が卵巣癌好発年齢であることが推測される.
年齢は若い方が予後が良好で,5
0歳以上の症例
に比べ,4
(Fi
)
9歳以下の予後は良好であった.
g.6
) 全身状態
2
Pe
r
f
or
manc
es
t
at
us(
PS)は全身状態を示す
よい指標であるが,疾患が日常生活にまったく影
響を与えない PS0の予後は良好であり,全身状
態が悪化するにつれて予後が不良となる.(Fi
g.
)
7
) 組織型
2
組織型別では有意差は認められなかった(Fi
g.
)
.しかし組織全体で予後を論じることはあまり
9
適当とはいえない.というのは Tabl
e1にも示し
たように 液性腺癌は進行例に多く,
粘液性腺癌,
明細胞癌は比較的早期症例に多いからである.
) 組織学的 化度
3
組織学的 化度は予後とよく相関した(Fi
g.
)
.組織学的によく 化した高 化癌の予後は低
10
化癌に比べて予後良好であった.
146
落
合
に譲ることにする.
3. 治療因子
) 手術
1
卵巣癌では初回手術時の残存腫瘍の大きさが,
I
V. 最近の卵巣癌診療の動向
直接予後に反映されることから,腫瘍組織の減量
考察にかえて
1
. 早期発見の工夫
卵巣癌患者の過半数が I
I
I期 I
V 期の進行癌で
(cyt
は極めて重要な意義をもつ.数あ
or
educ
t
i
on)
る予後因子の中でもわれわれが自らの手で直接関
あり,かつ進行期と予後が著しく相関することを
与しうる因子であり,本研究でも残存腫瘍の直径
考えると,早期発見は卵巣癌全体の予後改善には
が 2cm 以下に縮小された症例の予後は比較的良
必須と考えられる.子宮癌検診受診者に対し内診
好である
(Fi
)
.それゆえ腫瘍をいかに切除す
g.
11
と同時に経腟超音波を用い,卵巣の状態をチェッ
るかは大変重要な課題である.
クすることが行われている.
また CA1
25と経腟超
) 化学療法
2
卵巣癌の標準化学療法としてながらく CAP療
法 が 行 わ れ て き た.こ れ は cycl
ophos
phami
de
,
adr
i
amyci
n, c
i
s
pl
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i
nの併用療法で,これから
adr
i
amyci
nを除いたものが CP療法である.この
中でプラチナ投与量が最も重要な予後因子であ
り,1
7
.
5mg/
m/
we
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k以上の dos
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e
ns
i
t
yがあ
るか否かでとくに進行期症例の予後が異なること
を報告してきた .今回,後述するタキサン製剤が
卵巣癌化学療法のキードラッグとして導入されて
Fi
g.1
2. Hypot
het
i
c
almodelofcar
ci
noge
nes
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ovar
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ancance
r
きたので,化学療法剤と予後に関する検討は別稿
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Tabl
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36
(3
%) (3
%) (7
%) (8%) (0%)
卵巣癌の予後因子に関する研究
147
音波をスクリーニングに用いる試みもなされてい
卵巣癌発生にこれらの癌遺伝子,抑制遺伝子が相
るが
互に関与している可能性が示唆されている(Fi
g.
)
.教室で検討した癌関連遺伝子の卵巣癌での発
12
期での陽性率が低く,NCIの Cons
e
ns
us
Me
e
t
i
ngでもこの両者を用いたスクリーニング
の有用性は低く一般化することはできないと報告
現異常を Tabl
e2
,
3に示す.
している.しかし,卵巣癌発生にもとづいてハイ
2
. 進行期別治療戦略
リスク対象者を
) I期,I
1
I期
片側あるいは両側の卵巣に病巣が限局した I
a,
り込めばスクリーニングも意味
があるとされる.
表層上皮は多
化能を有するため,外方への腫
瘍性発育や,陥入して封入嚢腫
(i
)を
nc
l
us
i
onc
ys
t
)の場合
I
b期でかつ組織学的に高 化(Gr
ade1
,
2
は手術療法が主体であり,腹式子宮単純全摘術
化をおこすとされて
(TAH)
,両側付属器切除術(BSO)
,大網切除術
(OMTX)
が標準術式である.しかし妊娠すること
いる.そして卵巣表層上皮ないし卵管上皮に類似
のできる能力(妊孕性)の温存を希望する婦人に
した漿液性腫瘍,子宮内膜上皮に類似した類内膜
は,患側の付属器切除術を行うがこれだけでも良
腫瘍,子宮頚管腺上皮に類似した粘液性腫瘍など
好な予後が得られる .ただし明細胞癌は転移再
が形成される.
発の傾向が高く,保存手術の適応にはならないと
形成するなどの過程においていろいろなミュラー
管上皮ないし卵管上皮への
卵巣癌発生の危険因子として,未婚,未妊,不
妊症などが挙げられている.これらに加え卵巣腫
されている.
このほかの I期症例は再発の危険性が 2
0
%位
瘍が思春期前後には少なく, 年期周辺で多く,
ま
ある
た年齢が増すにつれて少なくなるなどという事実
が必須となる.さらに骨盤内他臓器転移の認めら
から,腫瘍発生には内
れる I
I期では TAH,
BSO,OMTX に加え,傍大
泌的な因子の関与が考え
られている.また,反復する排卵による卵巣上皮
の外傷が卵巣腫瘍発生の一因であるとする説もあ
ことから上記手術に加えリンパ節の検索
動脈(PA)および骨盤内(Pe
l
v)リンパ節郭清
(LNX)
,積極的な腫瘍減量手術(c
yt
or
e
duc
t
i
on
生が多く,一方経口避妊薬を服用した婦人や多産
s
ur
ge
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y,de
bul
ki
ngs
ur
ger
y)が行われる.術後の
化学療法は必須であり 6コース行う.
の婦人,すなわち人工的または自然に排卵が抑制
これらの高危険群早期卵巣癌の化学療法の必要
された婦人には卵巣癌発生が少ないという疫学的
性に関し,最近興味ある報告が発表された.Eur
-
調査の結果と符合する.すなわち排卵に伴う表層
上皮の障害と修復の過程で上皮細胞に永続的な
ope
an Or
gani
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ch and Tr
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mentofCance
r(
EORTC)と I
nt
er
nat
i
onalCol
-
DNA の損傷を引き起こし腫瘍化への道を るこ
とも推測できる.さらにまた,タルク,マグネシ
l
abor
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(I
CON)は 19
9
0年から開始した Adj
uvantCl
i
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-
ウム,シリコンなどの外的因子,あるいは喫煙も
calTr
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(対象 :s
)
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3
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I
a(
al
l
り,これは排卵誘発剤を
用した婦人に卵巣癌発
発癌に関与しているとされている.食習慣,とく
化が,昨今の卵巣癌発生の増加傾向と関連してい
)
gr
ade
,c
l
e
arc
e
l
lc
ar
c
i
noma)と,1
9
91年から開
始した I
(対象 :補助化学療法を行う
CON1s
t
udy
るといわれている.
かどうか迷う早期卵巣癌)をあわせて解析した.
にコレステロール摂取量の増加などの食生活の変
告もあり,第一親等の親族に卵巣癌をもつものの
それによるとove
r
al
ls
ur
vi
val(OS)
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c
ur
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nce
f
r
ees
ur
vi
val(RFS)ともに補助化学療法を行う
相対危険率は 1
卵巣癌発生
7倍以上とされている.
ほうが予後良好であった .しかしこの効果は正
増殖に関与するといわれている癌遺伝子としては
確なステージングが行われていなかったサブグ
Kr
as, c -er
bB 2, myc などが,また家族性卵巣
癌家系には BRCA1癌遺伝子が挙げられている.
ループのみで認められている可能性があり,正確
さらに p5
,RB,DCCなどの癌抑制遺伝子が卵巣
3
対する補助化学療法の有用性については不明であ
癌において高率に欠失しているとの報告もあり,
る .
また以前より,卵巣癌の家族発生についての報
にステージングされて早期癌と診断されたものに
148
落
合
Gyne
c
ol
ogi
c Oncol
ogy Gr
oup (GOG)の
GOG15
7でも同様の検討がなされており,高危険
したレジメン(DJ療法)を TJ療法と比較してい
る.これによると両群の OS,DFS(
di
s
eas
ef
r
e
e
群早期卵巣癌(s
)
t
ageI
a,I
b(
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ade2,
3)
,I
c
,I
I
に 対 し car
bopl
at
i
n (CBDCA) AUC7
.
5+pa-
)に差はないものの,末梢神経毒性,筋肉
s
ur
vi
val
痛,骨痛,四肢脱力感などは DJのほうが有意に良
)を 3コース投
c
l
i
t
axe
l(PTX)1
75mg/
m (
3hr
与する群と 6コース投与 す る 群 を 比 較 し た.6
好であることが示され ,これにより標準療法の
コース投与群の相対危険度は HR=0
.
67
2(
9
5%
CI:0.
41
6
1.
0
8)で,再発頻度も 3コース群 2
7
%,
コース群
と
コース群が良好で
あった
.
6
1
9
% 6
残念ながら統計学的有意差は認められなかったが
これはサンプルサイズが小さかったためだともい
われており,これらの結果をもって高危険群早期
選択 肢 が ひ ろ がった.以 前,CP療 法 と こ れ に
(A)を加えた CAP療法の有用性の検
adr
i
amyc
i
n
討が行われ,
met
aanal
ys
i
sで CAP群が勝ってい
たが,同様の検討が TJ療法においても行われて
いる.TJに e
を加え,その有用性を
pi
r
ubi
c
i
n(E)
検討したが,OS,PFSに有意差はみられず,むし
卵巣癌の補助化学療法を省略する根拠とはなりえ
ろ毒性が高まり,TEJ療法の意義は乏しいものと
思われる .
ず,現時点では I
a期,Gr
adeIの場合のみ化学療
肝臓実質内転移や遠隔転移の認められる I
V期
法を省略しそれ以上に進展したものについては化
は全身状態が良好であれば,腫瘍減量手術を行い
学療法を実施すべきであろう
.現在進行中の
ついで化学療法を施行する.しかし腫瘍減量手術
プロトコールに GOG17
5があるが,これでは高危
険群早期卵巣癌の術後に CBDCA AUC6+PTX
1
75mg/m を 3コース投与し,その後経過観察群
の遂行が困難な場合には,組織採取,進行期決定
と PTX 4
0mg/
m 毎週 2
4週投与するものであ
る.
chemot
her
apy,NAC)その後反応を見てから主た
る病変の切除を行うこともある.
) 進行癌(I
2
I
I期,I
V 期)
骨盤腔をこえ腹腔内に転移浸潤したり,後腹膜
のためのステージング手術(試験開腹術)のみを
行い,化学療法を数コース行って(Neo-adj
uvant
3
. 最近の治療的研究
リンパ節への転移の見られる I
I
I期では腫瘍減量
) I
1
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I
DS)
EORTCにおいて van de
rBuur
gら は残存
手術と化学療法の併用が標準である.残存腫瘍径
腫瘍径が 1c
m 以下となった卵巣癌患者 2
78例に
が 2cm 以内に減量できるいわゆる opt
i
mal s
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3コース の CP療 法(cycl
ophos
phami
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ge
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yが期待される場合には TAH,BSO,OMTX
に加え,傍大動脈および骨盤内リンパ節郭清が行
pl
at
i
n)を行った後,I
DSを行った群と行わなかっ
た群の予後を比較した.これによれば I
DSを行っ
われ予後の改善が期待される.しかし残存腫瘍が
た群は行わなかった群に比べ,中央値で 6カ月の
.術
2cm を超える場合は予後が不良である
後の化学療法は必須であり 6コース行う.
生存 長を認め
(p <0
)
,この手術は有意義であ
.
01
ると結論している.一方 Ros
eらは GOG15
8にお
いて同様の検討を行い,I
DSにより予後の差はみ
が開発され,I
Pacl
i
t
axel(
TXL)
I
I期,I
V 期の
進行卵巣癌を対象に TP療法対 CP療法の大規模
られなかったと報告した .これらの結果を詳細
比較試験(GOG1
)
が行われた.これにより TP
11
療法の有用性が示され ,さらに TP療法と TJ
に検討すると,初回手術時における婦人科腫瘍専
療法の比較試験で,奏功率,生存期間の同等性が,
毒性のプロフィールの相違が示され,TJ療法の
EORTCの研究ではわずか 7
% であったことか
ら,初回に婦人科腫瘍専門医による腫瘍縮小手術
ほうが管理しやすいという結論に至った .した
が 達 成 で き な け れ ば 3コース の 化 学 療 法 後 に
がって現在,TJ療法が標準的化学療法レジメン
I
DSを行うべきであるとよみかえることができ
よう.
として,さらに多くの比較試験の対照群として取
り上げられている.
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SCOTROC)では TXLを doc
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門医の関与が GOGの研究では 95
% に達し,一方
) 腹腔内化学療法
2
初回手術時の残存腫瘍径が 2c
m 以下になった
症例に対して,経静脈的な c
yc
l
ophos
phami
deの
卵巣癌の予後因子に関する研究
149
投与に加え,c
i
s
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i
nの腹腔内もしくは経静脈的
投与が比較された.報告によれば,c
i
s
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i
nの腹
療法の治療的意義についてはいまだ一定の見解は
腔内投与を行った群はメジアンで 8カ月の生存の
得られておらず,今後も臨床研究として症例が蓄
長を認め ,CP療法における c
i
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i
nの腹腔
内投与は経静脈的全身投与より患者の生存率を
積されていくと思われる.
長させることが示された.しかしながら現在主流
となっている TP療法ないし TJ療法での詳細な
検討はなく,t
axan製剤との併用化学療法におけ
る腹腔内化学療法の意義については今後の検討課
題である.
も有意差は見られなかった .以上より,維持化学
) 再発症例
5
再発卵巣癌症例に対しては,s
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onにより腫瘍摘出が可能であれば,これを
行い,その後,化学療法を行う.Sec
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onは完遂できれば予後改善に寄与するこ
とが知られている .前回化学療法最終投与から
) Neo-adj
3
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NAC)
EORTCで は I
I
I
c,I
V期 を 対 象 に I
DS群 と
6カ月以内の再発・再燃には標準的治療はないが
6カ月以上の再発には初回と同様の白金製剤を含
NAC群の同等性比較検討を行っている.I
DS群
では,初回手術時にできる限り腫瘍組織を切除す
むレジメンを投与する.
その際の奏功率は 4
3
%と
報告されている .また I
CON4研究でもプラチ
るも s
ubopt
i
malに終わった症例を対象に,3コー
ナ感受性の再発癌に対しては PTX+白金製剤が
スの化学療法後に I
DSを行い,さらに 3コースの
PTX を含まないプラチナベース化学療法より有
効であることが示された .
化学療法を追加するものである.一方 NAC群は
術前化学療法(NAC)を 3コース行った後,奏効
例と不変例に de
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r
yを行い,さらに
白金製剤が耐性になった症例の対応は困難な場
術 後 3コース の 化 学 療 法 を 追 加 す る も の で あ
合が多いが,初回治療後 6カ月未満で再発した場
合でも白金製剤の有用性があるとする報告もあ
る .
り ,白金製剤の
4
) 維持化学療法
一定の化学療法のコースが終了し,臨床的寛解
(
CR)の得られた症例に対し,維持化学療法が必
要かどうか迷うところである.GOG17
8 では TJ
療法後の CR例で,TXL17
)2
5mg/
m (
3hr
8日
ご と に 3コース 投 与 群 (
1
2
8例)と 1
2コース 投
与群 (1
3
4例)を比較した.TXLの投与量は神経
毒性のため 1
3例 が エ ン ト リーし た 時 点 で 13
5
用も検討に値する.Taxolは
単剤で 48
% 程度の奏功率を示す .しかし初回治
療に Taxolが われた 場 合 は 救 済 療 法 と し て
Taxolの有用性は低くむしろ Taxot
er
eの方が有
効とさ れ て い る
.そ の 他 の 薬 剤 と し て は,
Doxi
l
,I
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os
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,VP1
6
,CPT11
,Topot
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などが有効と報告されている.
本宿題報告の機会を与えていただいた成医会会長
)に減量され,試験が継続された.中
mg/m (
3hr
間解析で 1
コース投与群の
2
PFSが有意に優れ
栗原敏学長,ならびに座長の労をおとりいただいた産
て い た た め (p =0
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)効果安全性委員会
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臨床研究に直接御指導いただいた恩師,寺島芳輝先生
により試験継続中止が勧告され,以後のエント
リーが中止されたため,本試験での OSは求める
婦人科学講座の田中忠夫教授,そして卵巣癌の基礎,
に深謝いたします.
文
献
ことができなくなった.したがってこの結果から
予後一 19
1) 癌統計白書一罹患/死亡/
93. 富永祐
民 ほか編.東京 :篠原出版 ;1
993
.
維持化学療法の長期予後に対する効果を知ること
2) Ochi
aiK,Sas
akiH,Ter
as
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はできないが,再発時期を遅
させることは事実
であり,この点は評価に値する.一方 TJ療法 6
コースで寛解の 得 ら れ た I
cI
V 期 症 例 に 対 し,
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m ,day1
,3週ごと,4コー
ス投与する)
による維持化学療法群(1
3
7例)と無
1
994;10:40
6-2
5.
3) 寺島芳輝,佐々木寛,横山志郎,落合和徳,植
田国昭,吉川裕之ほか.21施設による進行卵巣
治療経過観察群(1
36例)の比較では PFS,OSと
癌の治療成績 :とくに治療法の相違による生
150
落
存率の差異を中心に.日産婦会誌 1
993;45:
-70
363
.
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