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中央制御室換気空調系ダクトの腐食

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中央制御室換気空調系ダクトの腐食
事対2147・009
日本原子力発電㈱敦賀発電所1号機
中央制御室換気空調系ダクトの腐食
平成21年7月7日
経済産業省 原子力安全・保安院
1.事象の概要
凡 例
中央制御室
:通常時の空気の流れ
一部排気
:事故時の空気の流れ
:空気作動ダンパ
粗フィルタ
冷却コイル
加熱コイル
(閉)→(開)
(開)→(閉)
中央制御室換気系室
:ダクト
○中央制御室換気空調系
中央制御室の室内温度を一
定に保つために設置されてい
る空調機。空気を中央制御室
に送り込むための、送風機と
フィルター、冷却、加熱コイル
等で構成されている。
送風機-1A
高性能フィルタ
送風機-1B
(1台運転)
送風機-2
(待機)→(運転)
転
○フィルター
外気から空気を取り込むため、
空気中のゴミ (荒いゴミ)を取り
去る役割。
(開)→(閉)
外気取り入れ口
事故時に外気が吸い込まれる
可能性がある。
中央制御室空調機
HVA−1B
過去の気象条件による評価の結果、
夏期(6月∼9月)は結露する環境にある。
長さ約10cm,
幅約20cm
長さ約10cm,
幅約10cm
○冷却(加熱)コイル
冷却コイルは冷水、加熱コイ
ルは蒸気を使用して、中央制
御室の温度コントロールする。
2箇所の腐食孔
・定期検査中、平成20年12月11日、中央制御室換気空調系の点検後の試運転に伴い換気系室内の点検
を行ったところ、外気取り入れダクトに腐食孔2箇所を確認し、安全上重要な機器が必要な機能を満足してい
ないと判断した。
1
2.調査結果
・詳細点検を行ったところ、新たに腐食孔5箇所(計7箇所)を確認した。
上
③
左
短管ダクト
右
下
撮影方向①
②
エルボダクト
①
上
ホッパー
ダクト
④
左
右
撮影方向②
下
上
外面側
内面側
右
左
下
・水分によりダクト内部から鋼板が酸化されて錆が発生し、腐
食が進展。
撮影方向③
撮影方向④
2
3.推定原因
当該ダクトは中央制御室空調ユニットで約15℃に制御された換気系室に設置されてい
る。ダクトには外気が直接流入するため、外気温が高い時期( 6月から9月)にダクト内
部で結露が発生する環境にあったため、水分によりダクト内部から鋼板が酸化され錆が
発生、腐食が進展して貫通に至った。
保守点検については、点検計画表及び点検周期表で送風機の点検計画及び周期が定
められていたが、ダクトについては記載されていなかった。また、標準要領書では、送風
機の分解点検時にダクトの点検も付随して行うこととしていたが、点検すべき範囲が明確
でなく、点検項目として内部からの腐食に対する視点が無かった。
検
部
腐食
視 が無
当該ダクトは昭和63年と平成14年にも著しい腐食により交換されているが、これらの
経験が適切に保守点検計画に反映されず、内面腐食の観点から適切に保守点検が行
われなかった。
当該系統の日々の巡視点検においては、動的機器の点検に重点がおかれ、静的機器
であるダクトの錆、腐食への意識が低かったため不十分な確認となった。
3
4.対策
腐食孔の確認されたダクトについては結露水が溜まらない構造とするとともに、ダクト内
部点検用の点検口を新たに設置したものに取り替える。また、結露の発生を防止するた
めに断熱材を施工する。さらに、点検頻度を3定検毎又は3年を超えない時期毎に実施
するとともに、点検計画表、点検周期表に記載する。
新たにダクトに係る保守点検のための標準仕様書を制定し、内面からの腐食も考慮し
適切に腐食に対応できるよう点検内容を明確化する。
安全上重要度の高いダクト等に対する巡視点検については、手順書において対象範囲
安全上重要度の高いダクト等に対する巡視点検については
手順書において対象範囲
を明確化するとともに、動的機器に付随して点検していたダクトについては、手順書及
び点検記録様式においてダクトも対象であることを明確にする。
今後新たに、ダクトに対する錆、腐食等
に特化した点検を巡視点検を行う運転員
とは異なる社員が3ヶ月に一回の頻度で
実施する。
[水分の滞留防止]
繋ぎ目にシール材を塗布
天井
[結露発生防止]
外表面に断熱材を施工
外気取り入れ口
壁
点検口を設置
[水分の滞留防止]
平坦にし勾配を持たせた構造に
変更
壁
4
外気
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