...

森の空気はヒンヤリ,おいしい!

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

森の空気はヒンヤリ,おいしい!
くらしを支えるエネルギー
森とくらし・森と大気
森の空気はヒンヤリ,おいしい!
基本的事項
私たちのまわりの空気は,普段意識されることはありませんが,その中には,水蒸気や酸素とい
森の季節が狂ってきた?
った生きていくために必要なものから,有害なものまで,様々なものが含まれています。組成がほ
んの少しバランスを変えただけで,くらしと生存に影響を与えます。まずは,この地球の大気(地
球を取り巻いている空気の総体)を意識してみましょう。
魚は水の中,ぼくたちは大気の中で生きている
空気は私たちの生存に欠かせないものです。その空気は,無限にあるように思えて,実は,地球
の表面にしかありません。それを大気層といいます。この薄い大気の層の中で,私たちは生きてい
るのです。
おいしい空気,おいしくない空気,いろいろある。森の空気は?
かんば
春から秋に森の中へ入り込むと,ヒンヤリと涼しく,すがすがしい気分になります。木の芳しい
香りや酸素いっぱいの清らかな空気のおかげです。ほかにも,新緑や濃い緑,木漏れ日は,私たち
の目に優しく,葉が風にそよぐ音や川のせせらぎの音,小鳥のさえずりは,耳に心地よく響きます。
ふかふかの土やおいしい食材を含め,森には人の五感を通じて快適に感じさせてくれる働きがあり
ます。
大気汚染を学ぶ前に,空気にはいろいろあることに気付き,「汚染されていない空気」を体験す
ることが重要です。
空気の中の水。水の蒸発と水の循環。
水は100℃で沸騰して水蒸気に
なります。しかし,自然の中では,
雲・水蒸気の凝縮
100℃にならなくても,水面や地
大気中に貯えられた水
面から蒸発して水蒸気に姿を変え,
大気の中に存在しています。その
降雪
降雨
水蒸気は,再び,雲や雨となって
雪溶け水
蒸気
「見える」形で姿を現し,川や海に
きり
なります。このように,水は絶え
ず場所を変え,姿を変えながら,
川
自然の中を循環しています。その
原動力は,太陽の力といえます。
地下浸透水
― 29 ―
海
学習プログラム
中学年は,ちょうど3年理科で,空気について学びます。まずは,空気の存在とその有限性に気づ
くこと,そして,空気も自然の豊かさの一つであることを感じとれるようになることが求められます。
また,3年理科の蒸発・水蒸気の学習を通し,海や川から,蒸発して大気に戻る水の循環に気付くこ
とも,環境を学ぶ上でとても重要なことです。
プログラム例1 地球を空から見てみよう
ねらい
地球の大きさに比べて,大気の厚さは薄いことをとらえる。
進め方
●準備するもの:写真やポスター,インターネット(資料編を参照)
① 宇宙から見た地球の写真で,縁を見る。地球は大気があるので縁がぼんやりしている。月の縁は
くっきりしている。
② 台風の写真を見る。台風の雲の上は対流圏に届いているが,宇宙から見ると台風は地球表面に貼
り付いているように見える。
プログラム例2 地球がリンゴなら,大気はリンゴの皮?
ねらい
地球の大きさをリンゴ,地球儀,身長といった身体感覚でとらえられる大きさに縮小してみて,大
気層がいかに薄いものか実感する(リンゴの皮ぐらいとイメージを促す)
。
進め方
●準備するもの:計算機
① 地球の大きさを,身近な大きさに置き換えてみる。
地球の直径:127,000km
大気(対流圏)の厚さ:10km
●自分の高さ(1.3m)を地球の直径に縮小したときの大気の厚さ?
●標準地球儀(直径26cm,1/5000万)に縮小したときの大気の厚さ?
●リンゴ(直径6cm)に縮小したときの大気の厚さ?
プログラム例3 森の中で,空気を感じてみよう
ねらい
遠足や校外学習で森の中を歩いたり,ゲームを行うときに,
「空気を感じる」視点を取り入れる。
進め方
●森の土が湿っていること,空気がヒンヤリしていることを感じる。
●木の香りを感じる。
●森の空気と街の空気との違いを考える。
― 30 ―
第
3
章
森
と
く
ら
し
/
森
と
大
気
注意事項
●森での活動プログラム例:資料編を参照 ●森の出す独特な芳香物質(フィトンチッド)
森の中で木が発散している物質。殺菌作用があるため,古くから針葉樹の葉に生鮮食品をのせて
運搬したり弁当箱として利用されてきた。
プログラム例4 自然界での水の蒸発・空気中の水蒸気
ねらい
自然界での水の蒸発に気付く
進め方
① 雨上がりの学校林・草地・運動場で,湿った土が乾くまでの時間の違いを見る。
② 森の中の土はどうだったか? 湿っていたことを思い出す。森では,土に太陽が当たりにくいの
で蒸発しにくい。
③ 水はどこに行ったのか? 空気中に水蒸気はあるのか?理科の単元で学んだことを思い出す。
プログラム例5 水蒸気の変身
ねらい
蒸発した水蒸気が上空で冷やされて,雲になることをとらえる。
進め方
① 空気中の水蒸気が雲になることを調べる。どんなときに雲になるかを考える。
② 雲が雨や雪になることを知る。どんなときに雨や雪になるかを考える。
③ 水蒸気の変化について話し合い,自然の中での水の循環について,図にまとめる。
注意事項
●水が凍ると霜になったり雪になったりすることを予想する。
●②はビデオや実験を見せることでもよい。
実験方法の例:雲・雪を作ろう(北海道立理科教育センター)
http://www.ricen.hokkaido-c.ed.jp/jyouhou/teikyou/tyoukenn/sankakutusin/tigaku1/kumo40.htm
発展へのヒント
●「宇宙から見る地球」では,地球には森林の多いところと少ないところがあること,あるいは,宮
城県でも緑の多いところと少ないところがあることに気付かせます。高学年の「地球温暖化」(森
の減少)の学習につながります。
●水の循環は,酸性雨の原因を追及する場合に,地上の窒素化合物や硫黄酸化物が空気中を漂い,水に
溶けて地上に降ってくるといった物質循環の素地となる見方や考え方を育てることにつながります。
●町の音とにおいの環境マップづくりをし,町と森と比較することで,森の良さの理解が深まります。
●「おいしくない空気」について「高学年のプログラム」で学習します。
― 31 ―
指導者へのアドバイス
日ごろは気に留めることがない「空気」の存在について,意識するプログラムです。理科の学習を
きっかけに,地球や環境への関心を促すものです。
人類は,人工衛星やスペースシャトルにより,宇宙から地球を見る,新しい目を手に入れました。
「地球」を感じたり,森を全体で大きくとらえたり,人のいる地域と人のいない地域の違い(土地利
用状態の違い)をとらえることができるようになりました。
気圧hPa
1
資料編
<データあれこれ>
成層圏
約10数∼50km
・大気の厚さ
10
実際の高さ
地球の直径
地球儀の高さ
約12,700km 26 cm
エベレスト山
約 9km
(呼吸が苦しい)
0.18mm
対流圏
約10km
0.18mm
成層圏
約50km
1 mm
100
圏界面
対流圏
地表∼約10数km
1000
200
240
280 温度(K)
(注)
K
(=ケルビン)
は熱力学温度の単位。ケルビンで表されるねつ
力学温度T
(K)
と日常使うセ氏温度 t(℃)
との間には,t=T−273.15
の関係式が成り立ちます。
図 地球大気の構造
[ホームページ(森林)]
・もりへ行こう(国土緑化推進機構)
http://wwww.green.or.jp/moriheikou/
森での活動プログラム例
・こども森林館(林野庁)
http://www.rinya.maff.go.jp/kouhousitu/
宮城では,自然休養林は2箇所(仙台自然休養林,金華山)
・森林浴の森100選(森林文化.com/森林文化協会)
http://www.shinrinbunka.com/datatable/1-1-03.html
1986年,林野庁と緑の文明学会が森林浴にふさわしい森100個所を選定した。 宮城で
は,仙台自然休養林(仙台市)と宮城県県民の森(仙台市,利府町)の2箇所。
[ホームページ(宇宙から見た地球)]
・キッズ地球探検隊(JAXA地球観測利用推進センター)
http://www.eorc.jaxa.jp/kids/
・JAXAキッズ(JAXA)
http://kids.jaxa.jp/
・Earth from Space(NASA:英語)
http://earth.jsc.nasa.gov/
・教育用画像素材集(情報処理振興事業協会)
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
宇宙から見た地球環境の写真(「理科 地球と宇宙」→「宇宙から見た地球環境」)
― 32 ―
第
3
章
森
と
く
ら
し
/
森
と
大
気
川と海がであう干潟のひみつ
森とくらし・森とエネルギー
くらしを支えるエネルギー
基本的事項
くらしの変化とエネルギー消費量
森の空気はヒンヤリ,おいしい!
人々は昔から,食べものや生活に必要なものを手に入れるために,自然をうまく利用してきまし
た。なかでも森は,燃料になる薪や落ち葉をはじめ,食料となる山菜やキノコ,木の実,家具や道
具をつくるための木材など,くらしを豊かにするための多くのものを与えてくれました。そんな森
に覆われた人里近くの山を人々は里山と呼び,森を大切に育ててきたのです。
ところが日本が高度経済成長期を迎えた40年ほど前から,里山から人々の姿が消えはじめ,今で
はやぶのようになり,ゴミ捨て場になってしまう里山さえ見られるようになりました。その一方で,
森の季節が狂ってきた?
私たちの生活は便利で快適になったといわれます。身の回りには家電製品があふれ,自動車も1世帯
に1台の割合で普及しています。しかしこうした現代のくらしは,エネルギーを大量に消費すること
で成り立っています。宮城県内の電灯電力使用量はこの40年間で10倍以上に増え,ガソリンの販売
量は15倍にもなっています。このままエネルギー消費量が増え続けても大丈夫なのでしょうか。
電気エネルギーはどうやってつくられているの?
電気エネルギーは,光や熱や運動,音など,様々な形のエネルギーに変えることのできるとても
便利なエネルギーです。家庭はもちろん工場などでも電気エネルギーは広く使われ,2002年度の
宮城県内での販売電力量は140億kWhにもなります。
この電気エネルギーは発電所でつくられます。現在宮城県内には,東北電力の火力発電所が2ヵ
所,水力発電所が21ヵ所,原子力発電所が1ヵ所あります。2002年にはこれらの発電所で212億
kWhの電気がつくられました。このうち,155億kWhは原子力発電所で,52億kWhは火力発電所
でつくられたものです。このようにウランや石炭,石油を燃やした熱エネルギーからつくられた電
気エネルギーを,再び熱エネルギーに変換して使うのは,エネルギー効率や資源の有効利用を考え
るとちょっともったいない話ですね。
地球にはどんなエネルギーがあるの?
地球上のすべてのエネルギーの源は太陽にあります。太陽のエネルギーは大気をあたため,大気を
対流させて風をおこします。また水を蒸発させて雨をふらせます。こうした風や水は,ときとして大
きな災害を引き起こすほどのエネルギーをもっています。また太陽から地上に放射されるエネルギー
の大きさは,わずか1時間で世界の人々が1年間に使う全エネルギーに匹敵するほど膨大です。植物
は光合成を行い,生物のエネルギー源である有機物をつくりだします。石炭や石油も,太古の生物が
起源だと考えられ,数億年前の太陽エネルギーが蓄えられたものだということができます。
人類は,水車や風車,温室など,地球のエネルギーをうまく利用する方法を開発してきました。
最近では,太陽の熱を蓄えて水をあたためる太陽熱温水器,太陽光を電気に変換する太陽光発電,
地中に蓄えられた太陽熱を利用するヒートポンプなどが開発されています。使ったらなくなってし
まう石炭や石油のかわりに,こうした地球のエネルギーを上手に使っていきたいものです。
― 33 ―
学習プログラム
プログラム例1 くらしのなかのエネルギーを見つけよう
ねらい
身の回りにある装置や道具のリストをつくり,身近なエネルギーの利用に関心をもつ。エネルギー
には様々な形態があることや,くらしの中でたくさんのエネルギーを使っていることに気付く。
進め方
① 身の回りにある装置や道具をできるだけたくさんリストアップする。
② リストアップした道具や装置がどんな仕事をするのかその特徴を話し合い,同じ仲間の道具や装
置を分類整理する。
③ それぞれの家電製品がいつごろ登場したのかを調べる,また祖父母が子どものころから家にあっ
た道具やくらし方,両親が子どものころから家にあった道具やくらし方について話を聞く。
④ くらしの変化とエネルギーの利用について話し合う。
リストの例
見つけた道具・装置
その役割
装置が使うエネルギー
いつごろからあるの
蛍光灯
照明用の光
電気
おばあさんが子どものころ
洗濯機
洗濯用の動力
電気
お母さんが生まれる前
石油ファンヒーター
暖房用の熱
石油と電気
私が生まれたころ
ガスコンロ
調理用の熱
ガス
おばあさんが生まれたころ
注意事項
道具や装置のリストをつくるときには,ほうきやちりとり,自転車など,人力を使うものも含ませ
ておきましょう。これによって,エネルギーが「仕事をする力」であること,道具の登場が人々の生
活を変えてきたことを理解しやすくなります。また分類をはじめる前に,それぞれの道具を絵に描い
たカードやおもちゃの車などを用意して,子どもたちが自由に分類できるように工夫します。
プログラム例2 火をつくってみよう
ねらい
火は人類が手にした最初のエネルギーです。火をつくる技術を手にした私たちの祖先は,火を使う
ことで,それまでは食べることのできなかった肉や植物が食べられるようになり,外敵から身を守る
ことができるようになりました。さらに土器を焼いたり,金属を溶かして加工したりしてくらしに必
要な道具を作ることができるようになったのです。今ではマッチやライターなどで簡単につけること
のできる火も,そうした道具がなければつけるだけで大変な労力が必要なことを実際に体験すること
で,エネルギーを利用するためには様々な工夫や特別な道具が必要なことに気付かせます。
進め方
① 火おこしの方法や道具を考えて用意する。
② 実際に火おこしに挑戦する。
③ 火おこしの体験を通して感じたことをまとめて発表する。
④ 火を使えるようになったことで,人々の生活がどのように変わったのかを話し合う。
― 34 ―
第
3
章
森
と
く
ら
し
/
森
と
エ
ネ
ル
ギ
ー
注意事項
火おこしは,ちょっとしたこつさえつかめばだれにでも簡単にできるようになりますが,専門的な
知識も必要になるので,東北歴史博物館(巻末資料参照)などで調べるとよいでしょう。火おこし道
具はキット販売されていますが,身近にある木の板(火きり板)と棒(火きり棒)を使って「きりも
み式」に挑戦させて大変さを実感させるのも良いでしょう。
プログラム例3 ペットボトルで太陽熱温水器をつくろう
ねらい
ちょっとした工夫で太陽の熱をそのまま有効に使えることを実感し,石油やガスのように有限なエ
ネルギー資源を使わない自然エネルギーの利用に関心をもつ。
進め方
① グループを作り,太陽光を使ってペットボトルの水をあたためるためには,どのような工夫が必
要なのかを話し合う。
② ペットボトル,温度計のほか,必要と思われるものを用意する。
③ 実際につくり,時間の経過と水温を記録する。
④ グループごとに,自分たちが工夫した点と実験の結果を発表し,最もいい方法について話し合う。
⑤ 太陽のエネルギー利用について,ほかにどのような方法があるのか調べる。
注意事項
太陽熱を利用するには,集熱と保温断熱をうまく行う必要があります。太陽熱の当たる角度が直角
になるように調節し,ペットボトルを黒いビニールで覆うなどの工夫が必要ですが,真夏なら60度以
上にあたためることができます。このほか市販の太陽熱温水器の見学や使っている人の話を聞くなど
するのもよいでしょう。またレンズを使って集光し,紙を燃やすなどの簡単な実験もあります。太陽
エネルギーの大きさを子どもたちが実感できるように工夫してください。
発展へのヒント
ここでは,子どもたちが活動を通してエネルギーを使う方法とつくる方法を学ぶことに重点を置い
たプログラムを紹介しました。活動の中で子どもたちの疑問を引き出し,さらなる学習へと結びつけ
るようなプログラムを組んでいくことも必要です。エネルギーの利用では,「もし電気やガスが使え
なくなったらどうするの?」「自動車や電車がなかった時代はどのくらい時間がかかったの?」など
の問いを出して話し合うのもおもしろいでしょう。電気やガス,車や電車が使えない状況を想像する
ことで,現代のくらしの便利さやムダを考えるきっかけになるはずです。エネルギーをつくる方法で
は,「君ならどうやって電気をつくる?」「エネルギーの作り方によってどんな違いがあるの?」など
の問いを出して調べるのも良いでしょう。
指導者へのアドバイス
環境問題を意識するとどうしても資源の枯渇や省エネルギー,地球温暖化などの問題に目が向きや
すくなりますが,たとえば資源埋蔵量や採掘可能年数といわれる数値は現在の技術で経済的に見合う
形で採掘可能な量や年数で,実際の量や使える年数を表すものではありません。資源の枯渇問題や省
― 35 ―
エネの必要性を考えてもらうことも大切ですが,その前に,食事をはじめとして,私たちが生きてい
くには必ず何らかのエネルギーを消費していることを,子どもたちにしっかりと理解させることが重
要です。そしてそのエネルギーの使い方や作り方には,時代によって,国によって様々な方法がある
ことを知らせましょう。
エネルギー量の計算やエネルギー統計を処理することは中学年には難しい課題です。博物館や資料
館など見学施設の活用のほか,工場や発電所の見学,都市部や農村部の小学校との交流など,地域の
特徴を活かし,体験を通して学ぶ工夫をしましょう。
資料編
■宮城県の電力使用量の推移
(単位:100万kWh)
右の使用電力量の推移は,東北電力の宮
年 度
昭和30年(1955)
昭和40年(1965)
昭和45年(1970)
昭和50年(1975)
昭和55年(1980)
昭和60年(1985)
平成 2年(1990)
平成 7年(1995)
平成12年(2000)
平成13年(2001)
平成14年(2002)
城支店管内での販売電力量を示したもので
す。2002年の宮城県内の発電実績は
21,274百万kWhで,県内での販売電力量
を50%近くも上回っています。1年を通
してみると,宮城県は電気の輸出県になっ
ていることが分かります。営業用では東北
電力の発電所のほかに,電源開発の地熱発
電 灯 ※1
112
371
727
1,231
1,624
2,062
2,730
3,650
4,277
4,231
4,385
電 力 ※2
320
907
1,821
3,226
4,651
5,929
7,127
8,192
9,836
9,560
9,681
合 計
432
1,278
2,548
4,457
6,275
7,991
9,857
11,841
14,112
13,791
14,066
資料:電気事業連合会統計委員会編,『電気事業便覧』,各年度版
※1 電灯は事業所や家庭用の一般電力をいう。
※2 電力は工場や大口電力などの産業用電力をいう。
※3 記載の数値は,四捨五入した値である。
電所が1ヵ所あります。
■宮城県内の自動車保有台数の推移
年 度
昭和25年(1955)
昭和30年(1960)
昭和35年(1965)
昭和40年(1965)
昭和45年(1970)
昭和50年(1975)
昭和55年(1980)
昭和60年(1985)
平成 2年(1990)
平成 7年(1995)
平成12年(2000)
平成13年(2001)
平成14年(2002)
貨物車
3,816
8,873
16,824
36,075
85,940
127,369
164,597
160,837
165,691
175,671
169,375
165,800
161,288
バス
213
636
975
1,856
3,632
5,229
5,506
5,322
5,497
5,399
5,317
5,307
5,272
乗用車
545
2,147
3,001
16,236
78,041
216,394
385,474
473,289
574,970
729,941
849,181
858,816
864,112
特殊車両
134
446
943
1,922
4,056
8,341
13,019
15,256
20,277
27,358
33,982
35,381
34,691
軽自動車
298
3,809
10,904
21,579
67,553
99,975
106,456
182,643
274,656
321,575
366,336
381,047
396,966
合計
5,006
15,911
32,647
77,668
239,222
457,308
675,052
837,347
1,041,091
1,259,944
1,424,191
1,446,351
1,462,329
資料:東北運輸局宮城陸運支局資料
■宮城県有施設における太陽光発電と太陽熱利用システムの導入状況
太陽熱利用システムを導入している県の施設
施設名
導入年
導入設備
仙台土木事務所
昭和52年 太陽熱温水器
心身障害者福祉センター 昭和58年 太陽熱温水器
県庁行政庁舎
平 成 元 年 太陽熱利用給湯設備
警察庁舎
平成 3年 太陽熱利用給湯設備
宮城大学
平成 9年 太陽熱温水器
迫桜高校
平成13年 空気式太陽熱床暖房
白石高等技術専門校
平成13年 空気式太陽熱空調システム
― 36 ―
太陽光発電を導入している県の施設
施設名
導入年
古川合同庁舎
平成10年
産業技術総合センター
平成11年
クレー射撃場
平成11年
出力(kW)
80
30
5
資料:『宮城県環境白書』(平成14年版)
第
3
章
森
と
く
ら
し
/
森
と
エ
ネ
ル
ギ
ー
■エネルギー環境教育支援事業・各種イベントへの参加
文部科学省や経済産業省の関連機関において,エネルギーや環境教育を支援する事業が実施され,モデル校の募集やイベン
トなどが開催されています。またエネルギー教育のための教材支援や教師の情報ネットワークがつくられてもいます。主な
ものを以下で紹介しますので活用してください。
●エネルギー環境教育情報センター http://www.icee.gr.jp/
1984年に,政府・教育関係機関・エネルギー関係機関等の支援により設立された機関。エネルギー環境教育の推進を図る
ことを目的に,次世代層や教育関係者を対象に,総合的な観点からエネルギー環境教育を実践する上で役に立つ各種教材・
資料や様々な学習機会の提供を行っている。
「エネルギー教育実践校事業」や「私たちのくらしとエネルギー」をテーマにし
た作文コンクールなどがある。
●省エネルギーセンター 「スマートライフねっと」
http://www.eccj.or.jp/sub_04.html
将来を担う若い世代が省エネルギーを学び,実践する能力を養うため,多くの支援活動を行っている。省エネルギー教育
を実践する小中学校を対象に「省エネルギー教育推進モデル校」として,省エネルギー学習の実施に必要な教材,「省エネナ
ビ」の機器などの支援を行っている。また,省エネ教育を実践している教育関係者などを対象に省エネ授業実践講習会,ポ
スター・小論文コンクールを実施している。東北支部が仙台にあり各種の問い合わせや教材配布に応じている。
●エネルギー教育全国協議会 http://www.eneducation.jp/
1997年4月に発足した,小中学校の現場教師による任意団体。
「環境」や「エネルギー」について,子どもたちに自ら考
え行動できる正しい知識をもってもらうため,授業を通してエネルギー問題の大切さを教えていくことを目的としている。
実戦例の報告やセミナーの開催,情報交換の場となっている。
●経済産業省 東北経済産業局 http://www.tohoku.meti.go.jp/
「エネルギーの部屋」として情報を提供している。またエネルギーセミナーの実施,
「火山の国の地熱エネルギー」「エネ
ルギー教室」
「みんなで学ぼう!What's新エネ?」など冊子の配布を行っている。
●エコロジー&エネルギー教育仙台版 http://www.ed-eyes.com/ee-sendai/
Office ED-eyesの制作責任で,東北電力仙台営業所の協力を得て子ども達の学習資料やエネルギー・環境情報を提供す
る。このほか東北電力では,「出前エネルギー教室」の開催やビデオの貸し出しを行っている。仙台以外の地域については東
北電力宮城支店が問い合わせの窓口になっている。
■その他の資料(学習の参考として http://www.melon.or.jp/mkgp/ も参照のこと)
[関連する施設]※見学可能
・宮城県原子力センター
〒986-2261 牡鹿郡女川町女川浜字伊勢12-7 TEL 0225-54-3322
http://www.miyagi-gc.gr.jp/html/
・電源開発鬼首地熱発電所PR館
〒989-6802 玉造郡鳴子町字末沢西16-10 TEL 0229-82-2141
http://www.naruko.gr.jp/file-power/01-gaiyou.htm
・東北電力PR館 http://www.tohoku-epco.co.jp/fureai/pr/pr_guide.html
グリーンプラザ 〒980-0811 仙台市青葉区一番町3-7-1 TEL 022-225-2969
三居沢電気百年館 〒980-0845 仙台市青葉区荒巻字三居沢16 TEL 022-261-5935
新仙台火力発電所ふれあい館 〒985-0901 仙台市宮城野区港5-2-1 TEL 022-366-1331
女川原子力PRセンター 〒986-2221 牡鹿郡女川町塚浜字前田123 TEL 0225-53-3410
・新日本石油精製株式会社仙台製油所
〒985-0901 仙台市宮城野区港5-1-1 TEL 022-363-1122(総務課)
[参考文献]
『イラスト百科 サイエンス・ワールド 自然のおくりもの エネルギーと資源』 デイビッド・
ジョランズ監修 伊原聰監訳 リブリオ出版 1985年
『新エネルギーセミナー実施報告 環境教育と新エネルギー∼身近な題材を活かそう∼』 東北経済産業局,新エネルギー・産業技術総合開発機構 2002年
― 37 ―
森の空気はヒンヤリ,おいしい!
森とくらし・地球温暖化
森の季節が狂ってきた?
基本的事項
地球温暖化など環境問題を取り上げる前に,まず身の回りの自然や社会の事象について目を向け,
自分と自然,自分と社会とのつながりに気付いていくことが大切です。地球は太陽熱を受け,その
恩恵で生き物は生存しています。地球温暖化問題は,その地球(大気)があたたかさを受け止める
バランスが変化することで,いろいろなところに影響が出てくる問題です。中学年の理科や社会で
学ぶことを少し広げるだけで,太陽の恵み(太陽のあたたかさ)について,体感し,考えることが
できます。また,自然を観察する目を持つことで,今,少しずつ始まっているかもしれない,地球
温暖化の影響について気付くことができるかもしれません。
あたたかさの体験,太陽があたためてくれることを感じる
二酸化炭素は「温室効果ガス」と呼ばれています。地球は,温室効果ガスがなければ,平均気
温-18℃の氷の世界ですが,温室効果のおかげで,平均気温15℃と,生き物が暮らしやすい環境と
なっています。そして,太陽の温め方の違いが,季節や気候をつくっています。
さて,この「温室」ですが,実際に温室であたたかさを経験したことはあるでしょうか? 言葉
で理解するのでなく,太陽が温めてくれることを意識的に感じさせてください。
生き物で季節を感じてみよう
開花や紅葉で季節の訪れを感じることができます。農事暦,歳時記,ことわざにも生物の記述が
見られます。同じものを毎年継続して観察すると,年によって変化があることが分かります。森で
動物や植物を観察している人からは,最近,何か変だな,という声が上がっています。
宮城の冬に飛来するマガンに注目することで,地球温暖化を身近に考えてみよう
●宮城に飛来するマガンの数が増えている
のは,地球温暖化と関係あるかも?
伊豆沼・蕪栗沼で越冬するマガン月別個体数変化
日本に飛来するマガンのほとんどが宮城
70000
にやってきます。近年,その数が急激に増
60000
えています。これが,地球温暖化と関係し
50000
40000
ているのではないか,と考えられています。
30000
地球温暖化では高緯度ほど温度が上がるこ
20000
10000
とが予想されています。マガンが繁殖する
北極圏での温暖化によって,繁殖地の雪解
けが早くなり,営巣が容易になるとともに,
食べ物(植物)が増えて,マガンの繁殖成
功率が増すことによって飛来する数が増加
9 0
95 7∼9
∼
8
∼9 96
4
∼
8
87 9∼90 92
∼
8
83 5∼8 88
6
∼8
81
4
∼8
79
2
∼8
77
0
∼7
75
8
∼7
73
6
∼
71
74
∼7
2
91
P
SE
月
年度
V
NO
N
JA
したのではと考えられています。
― 38 ―
AR
M
93
個
体
数
第
3
章
森
と
く
ら
し
/
地
球
温
暖
化
しかし,このまま温暖化が進めば,ツンドラが森林に遷移することも考えられ,そうなれば営巣
場所が無くなり,マガンが生息できなくなることも危惧されます。
●越冬地の北上
渡り鳥が冬を越すためには,真冬の平均気温が0℃以上,つまり,湖沼が氷結しつづけないこと
が必要です。宮城は,そんな気候条件になっています。もし,地球温暖化で暖かくなったら,宮城
まで南下することはなくなるかもしれません。渡り鳥はいつまで宮城にやってくるのでしょうか?
(日本雁を保護する会の呉地正行さんからのお話)
学習プログラム
中学年では,気候について,「温かさを実感し,太陽の恵みであること」,「生き物も太陽の恵みを
受けていること,気候と関係していること」を,体験を通して気付くことを目指しています。3年理
科の「日なた・日かげと光の働き」の学習で太陽には温める力があることや,4年社会で昔の暖房・
冷房の道具と暮らし,3年理科の「季節と生き物」などからの発展も可能です。
プログラム例1 過去の気温の変化を調べてみよう
ねらい
季節で気温が変わること,ある程度の変動があることを知る。
進め方
手法:a)仙台管区気象台でデータを見せてもらったり,ホームページで気温のデータを調べ,月平
均気温の経年変化をグラフにする。気象台で話をきく。
b)おじいちゃん,おばあちゃんに,昔の夏や冬の様子をきく。どんな冷房・暖房の器具を使
っていたかを聞く。
注意事項
●「気象」と「気候」の違いに注意すること。
ある場所での長年月の気象を平均的にまとめ,他と区別できる地域的な特徴としたものが気候。
●ホームページからのデータ抽出は教師側で行った方がよい。
●夏休みの課題でもよい
(その場合,どの場所についての話であるか,場所を記述するように指導すること)。
●a)に関連して
都市部の冬の平均気温は上昇傾向にある。地球温暖化というよりは,ヒートアイランドが原因。
ヒートアイランドは,「熱汚染」と呼ばれることもある。
プログラム例2 太陽はいろんなものを温めているね
ねらい
太陽が空気を温めていること,また,気体の種類によって温まり方が違うことを知る。
― 39 ―
進め方
●準備するもの:黒いゴミ袋4枚
① ドライアイスからの気体を入れた袋を二つ,空気を入れた袋を二つつくる。
② 日なたと日かげに各1袋ずつ置いて,30分後にそれぞれの袋の中の温度を測る。
③ それぞれの違いを調べる。
注意事項
●ドライアイスを素手でさわらないように注意する。
●置いておく時間は,夏は短くてもよい。
●日光に当てない袋をつくって,比較してもよい。
●「二酸化炭素」については,「ドライアイスからでる気体」で「空気とは違うらしい」という認識
でよい。
「6年生で習う」と説明は先のばしでよい。
プログラム例3 自分たちの町の「生物季節」カレンダーをつくってみよう
ねらい
① 生物と気象を関連づけて観察することで自然に対する観察力を身につける。
② 生物の分布や活動が気象・気候と関係していることに気付く。
進め方
●準備するもの:ワークシート ・温度計
生物季節調べ・ワークシート(1)(調査: 年) 名前
▼生物の季節を調べてみましょう。
種目
現象
月日
例)ウグイス
初鳴日
月 日
天気
気温(℃)
メモ(場所など)
月 日
月 日
生物季節調べ・ワークシート(2)(調査: 年) クラス
▼生物の季節を各自が調べた結果を持ちよって,下の表にまとめましょう。
種目
現象
最も早かった日
最も遅かった日
最も多かった日
例)ウグイス
初鳴日
月 日
月 日
月 日
※最も多かった日が二つ以上ある場合は,早いほうの日を記入します。
① 気象台で観測している生物季節の種目などを参考に観測する生物を決める。
② 時期が近づいたら,生物の現象についての注意を促す。
③ 気象台の生物季節観測結果と比較してみる。
― 40 ―
第
3
章
森
と
く
ら
し
/
地
球
温
暖
化
注意事項
●種目は,仙台管区気象台で観測している中から地域の状況に合わせて選択するとよい。時期につい
ても大まかに把握できるので,年間の活動計画を考える。
●次の学年に引き継ぐなど,長期的にデータを集める際には標準木(調査する木)を決め,同じ樹木
を観察する。学校独自の種目でもよい。
発展へのヒント
●人だけが,文明の中で火を制御する技術を得て温める力を持ち,近年は化石燃料を大量に使って
「暖」をとってきました。今,その大量消費への反省から,太陽の恵みを活かす技術(太陽熱利用)
や,自然にある温める力(温泉や地熱など)を利用して「暖」を取ることがすすめられています。
●全国的な調査への参加や,他校との交流が考えられます。
1)四季のいきもの前線調査(インターネット)に,参加する。
2)他の学校などと,気温の観測で交流する。
●生物が気温に影響を受けることは,高学年の社会(農業)につながります。農業や漁業は天気に左
右され,天気で影響を受けた事例を調べることにつながります。
●「国際理解」学習に取り組んでいる場合には,「グラフづくり」で世界の気候(気温の季節変化な
ど)を取り上げてみましょう。外国の方に話を聞く機会があれば,気候,暮らしの違いについて話
を聞くと,視野が広がります。高学年の社会科で世界について学習するときでもよいでしょう。
指導者へのアドバイス
自然を感じるとともに,自然を見る目を増やしていきます。観察する目を養ったり,数値(量)で
把握したり,つながりに気付いていきます。これは,環境や環境問題の理解に必要な目を養う,基礎
づくりとなります。中学年でつながりに気付いておくことは,「地球温暖化」が様々なところにつな
がる視点を学ぶ基礎となります。
資料編
<生物季節について>
植物の開花や紅葉,動物の初見,初鳴きなど,生物の状態が季節によって変化する現象を生物季節
現象と呼び,気象状況の推移を知るために観測されています。
気象庁では,1953年から植物12種,動物11種を観察しています。仙台管区気象台は,それに加え
て独自に調査している種目があり,平年値と前年度のデータをホームページで公開しています。(仙
台管区気象台 http://www.sendai-jma.go.jp/)
[現象について]
開花日:花が数輪以上咲いた最初の日
満開日:花が80%以上咲いた最初の日
黄葉日:葉の大部分が黄色に変わり,緑色がほとんど見られなくなった最初の日
落葉日:葉っぱの約80%が落葉した最初の日 初鳴日:鳴き声を初めて聞いた日
初見日:姿を初めて見た日
― 41 ―
[関連機関]
・仙台管区気象台:出前講座・施設見学を行っている。事前問合せ要。
問合先:仙台管区気象台 総務部業務課 広報係
仙台市宮城野区五輪1丁目3-15
TEL 022-297-8102 FAX 022-291-7589
http://www.sendai-jma.go.jp/
[ホームページ]
・電子閲覧室(気象庁)
http://www.data.kishou.go.jp/
過去の気象データがある
・国立科学博物館附属自然教育園
http://www.ins.kahaku.go.jp/
各地で観測された生物季節の情報をデータベースで公開
・四季のいきもの前線調査(インターネット自然研究所/環境省)
http://www.sizenken.biodic.go.jp/pc/ikimono/html/
テーマごとに全国の四季の変化を調査しているもので,参加が可能
・日本気象協会
http://www.jwa.or.jp/
「季節のたより」など
・渡り鳥,地球温暖化の危機告げる(最北のマガン越冬地‐静内)
http://tanioka.info/ondan-4.htm
― 42 ―
第
3
章
森
と
く
ら
し
/
地
球
温
暖
化
Fly UP