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(PA)の手法による体験型研修

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(PA)の手法による体験型研修
- プロジェクトアドベンチャー(PA)の手法による体験型研修 -
セミナーハウスの挑戦
第二次大戦後の混乱が落ち着いた1960年代、わが国の高等教育への進学率は増加し、それまで
のエリート養成教育の段階からマスを対象とする段階へと移行しました。そのことに伴い、大学ではさ
まざまな問題が噴出し、大きな社会問題となりました。とりわけ教員と学生との関係の構築はマス化
した大学における大きな課題となったのです。大学は狭い領域の専門知識を教授するだけでなく、
教員と学生、学生同士の交流をとおして成長する場となることへの挑戦が始まったのです。
くさび型の本館が象徴するもの
大学教育がエリート段階からマス段階に移行していることを、多くの人々に意識させるには強いイン
パクトが必要です。また、そのインパクトは何かを強く結びつけるものを象徴するものとしたい。そのよ
うな願いの表れがくさび型の本館ではないでしょうか。
国立、公立、私立という大学の区別を越えて、学生、教員、職員
の信頼関係を強くするものが必要でした。セミナーハウスは、
マス化した大学教育に「ゼミ」をとりいれることを提案し、
各大学のエクステンション・キャンパスとして利用でき
る施設を整えました。
当時はススキの生い茂る丘陵地で、贅沢な環境
ではありませんでしたが、大学の郊外キャンパスと
して、日常の生活から離れ「生活は質素に、思想
は高潔に(Wordsworth)」をモットーにして多くの
学生たちを育んできました。
また、大学が抱える課題をセミナーという形で取
り上げ、大学のあり方、学問のあり方等にインパクト
を与え、大学間の壁を越えた教員、学生、職員の
連携をつくり大学教育の充実に貢献してきました。
大学セミナーハウスは2015年に開館50周年を迎えます
今日、大学教育はユニバーサル段階に移行し、社会から期待される内容も変化してきました。専
門分野の教育は各大学のカリキュラムに依りますが、学生を育てる大学教育の内容として共通する
ものを一言で表すならば、「教養」ということではないでしょうか。
現代はITの普及で知識・情報の収集は容易となりました。情報を得るだけならば、大学に行く必
要はないかも知れません。また、溢れる情報の中で、多様化した価値観に振り回されて自分自身を
失うかも知れません。このような時代には、外側の動きに翻弄されることなく自己を確立し、自分と他
者との関係や自己のあり方を冷静に分析することが重要です。
広い視野から新たな目標を設定し、その目標を達成するための方策をくみ上げ、必要な時に適
切な決断力を発揮することが求められるのです。このような力はインターネットから情報を収集する
だけでは育てることはできません。大学のように人と人とが交流する場を経験することで育てられる
のです。
他者との関係の中で考える力、さまざまな出来事を他人事で片付けることなく当事者意識をもっ
て取り組む姿勢、自分で考え、新しいものを作り出す力、他者への思いやり。文科省の提唱する
「学士力・汎用的技能、態度・志向性」、経産省の掲げる「社会人基礎力」にも通底するこれらの力
は、知識を活用できる能力であり、これを「教養」と表現することができるでしょう。
大学セミナーハウスは1960年代のように、大学教育の課題に挑戦します。コミュニケーション、リー
ダーシップ、チームワーク、…そのどれもが必要なことを言葉で伝えることは可能です。しかし、個
人の持つ能力として獲得するには仕掛けも必要です。このような人と関わる経験をとおして成長す
る仕掛けを作るプログラムとして、大学セミナーハウスはPAプログラムを提案します。
PAで言うアドベンチャー・プログラムとは、野外での冒険体験だけではありません。初対面の人と
話をするなど、少しドキドキしたり、ハラハラするような日常的な体験をプログラム化することで、自分
の殻を破るようなことを経験しそれをきっかけに、自己発見、他者理解、協力などにつなげるプログ
ラムです。
セミナーハウスでは、このようなプログラムを展開するためにインパクトのある設備を用意しました。
是非、各大学のエクステンション施設としてご活用ください。
(SPA運営委員会委員長/国際基督教大学元教授 松岡信之)
クモの巣くぐり
ジャイアントシーソー
PAの背景と歴史
1970年頃ボストン郊外の公立の高等学校の教師が中心になって、「Bring the
Adventure Home.」(アドベンチャーをもっと身近に)というスローガンを掲げてスタートした
プログラムです。アドベンチャーには人がお互いに協力し合うという不思議な働きがあります。
その性質を利用し相互に信頼関係を構築しながらPA独自の手法とグループワークや体験
学習の考え方も取り入れ「気づいて学ぶ」環境を作り出します。
日本では1995年にプロジェクト アドベンチャー ジャパンが設立され、学校を中心に、教育委員会
や各地の野外教育施設、また企業やスポーツチームなど幅広い分野で活用されています。
PAプログラムとは
PAプログラムではグループでアドベンチャーに挑戦し、仲間と一緒に課題を解決していきます。その
プロセスの中で一人ひとりが自分の意思で成長していくことを狙いとしています。
アドベンチャーを成長に活かす
アドベンチャーとは自分が安心していられる場所から一歩踏み出してみるということです。そこには今
まで知らなかった新しい世界が広がっています。今まで見えなかったものが見えてきます。たくさんの
気づきも得られます。もちろんリスクもあります。でもそこから成長が始まります。人に助けを求めたり、
助けたりする関係の中では人の純粋な部分が自然に現れます。人が成長する上で最も大切な信頼関
係をつくりだすにはアドベンチャーが最適です。
「人の器」を育てるには仲間の助けが不可欠
些細なことで切れたりしない、相手のことを広く受けとめるための「人の器」というものはアドベン
チャーを重ねることで少しずつ大きくしていくことができます。自分の殻の中に閉じこもっているのでは
なく外に出てみると新しい発見があります。そこに仲間のサポートがあると思い切って飛び出してみるこ
とができる。場合によっては自分を変えるという大アドベンチャーに挑戦してみようと思うこともあります。
こんな時にはこれまで以上にサポートしてくれる仲間が必要です。PAプログラムではそんな環境を同
時に作っていきます。
短時間で効率よく
更にPAプログラムでは、もっと短時間で効率よく、このプロセスが進んでいくような工夫を加えていま
す。そのなかで最も大切だと考えているのが、信頼関係づくりの基本となるフルバリューコントラクト
という手法です。お互いを最大限に評価しましょうという約束を最初に交わしてしまいます。
そして振り返りを通してこれを定着させていきます。
簡単な約束のようですが、実は重く効いてきます。
振りかえりの重要性
「振りかえり」は体験学習サイクルとして知られる考え方の中でも
最も重要なものとして位置づけられています。体験をそのままにする
のではなく、そのプロセスの中で何が起きたのか、自分が何を感じた
か、また次に生かせる気づきなどについて感じたことをみんなで話し合
います。このプロセスが効果的に回っていくために、体験学習サイクル
の中心に信頼関係を据えるというのがPAプログラムの考え方です。
SPA(セミナーハウス・プロジェクトアドベンチャー)は、今の社会には
「つながる力」「かかわる力」「創る力」が必要だと考えます。「つながる
力」は語学力だけのコミュニケーションスキルだけでなく、相互がより深く
理解する力です。「かかわる力」は当事者意識をもって取り組む力です。
多様な価値観と情報に翻弄されることなく、自らで新しい何かを「創る
力」が必要です。これらの力を向上するため、SAPのプログラムは5つの
「C」を核として構成されます。
Challenge
( 挑 戦 )
Considerate
( 思 い や り )
Commitment
(当事者 意識)
C r e a t e
(課題解決能力)
Communicate
(他者との連携)
挑戦することの楽しさ、新たなことを実践することの楽しさを知る。将来への展望を
持ち、個の成長を目的として、新たなことや新たな自分へ挑戦する。
他者との違いを知る、受け入れることで多様性について考える。グループのメンバー
への思いやることをとおして、大学や社会において生かすことができることを知る。
所属感や当事者意識を高め、主体的に関わることの重要性や意味を考える。
今できることを認識し、取り組むことが、グループや他者に影響を与える。
現状を分析し、課題を明らかにするだけではなく、創造力を働かせることで、
課題を解決していく。
自分の意見を 伝え る、他者の意見を 聞くことに加え、それを 生かし て他者と
連携していく。
桜美林大学
順天堂大学
千葉大学
中央大学
東京工業大学
東京都市大学
一橋大学大学院
玉川大学
千葉工業大学
山梨大学大学院
関西大学
聖徳大学
帝塚山大学
北海道教育大学岩見沢校
電柱でござる
埼玉県教育委員会
船橋市教育委員会
宮城県教育委員会
秋田県教育委員会
滋賀県教育委員会
高知県教育委員会
山口県教育委員会
大分県教育委員会
むかでウォーク
松岡 信之 【委員長】国際基督教大学元教授
公益財団法人 大学セミナーハウス SPA担当
田中 義郎 桜美林大学大学院教授
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
舛本 直文 首都大学東京大学教育センター教授
TEL:042-676-8532 FAX:042-676-1220
林
壽夫 プロジェクトアドベンチャージャパン代表
[email protected]
http://www.seminarhouse.or.jp
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