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タイトル 内務省による検閲体制と〈分割還付〉 本 : 渡辺順三 『史的唯物論

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タイトル 内務省による検閲体制と〈分割還付〉 本 : 渡辺順三 『史的唯物論
 タイトル
内務省による検閲体制と〈分割還付〉 本 : 渡辺順三
『史的唯物論より観たる近代短歌史』における切取り
削除を具体例 附・大塚金之助「無產者短歌」の異同
の検証
著者
田中, 綾; TANAKA, Aya
引用
北海学園大学人文論集(59): 178(一)-152(二七)
発行日
2015-08-31
★逆ノンブル★
︵
一
︶
者
の
一
人
で
あ
っ
た
大
塚
金
之
助
は
、
冒
頭
の
日
記
の
年
の
一
月
、
執
筆
最
中
に
身
柄
を
東
京
麹
町
署
に
留
置
さ
れ
、
二
月
に
治
安
維
持
法
経
済
学
者
で
あ
り
、
野
呂
栄
太
郎
が
企
画
し
た
日
本
資
本
主
義
発
達
講
座
全
七
巻
︵
岩
波
書
店
、
一
九
三
二
|
三
三
年
︶
の
執
筆
め て
る い
。 た
渡
辺
君 渡
に 辺
好 順
意 三
を 著
謝
し 近
て 代
お 短
い 歌
て
下
さ
不
い1
︶ 許
。 宅
下
げ
。
/
こ
れ
は
今
度
で
二
度
目
の
差
入
だ
の
に
や
は
り
不
許
だ
か
ら
、
も
う
あ
き
ら
一
九
三
三
︵
昭
和
八
︶
年
十
月
三
日
、
火
曜
日
。
大
塚
金
之
助
︵
一
八
九
二
|
一
九
七
七
年
︶
は
、
当
時
の
読
書
記
録
に
こ
う
書
き
つ
け
は
じ
め
に
刑
務
所
内
の
大
塚
金
之
助
へ
の
二
度
の
差
入
不
許
キ
ー
プ 内 ワ
ロ 務 ー
レ 省 ド
タ 警
リ 保
ア 局
短 、
歌 検
閲
、
内
閲
、
発
売
附
・
大
塚
金
之
助
布
禁
止
、
無
產
者
短
歌
割
還
付
、
切
取
り
削
除
、
割
還
付
本
の
異
本
、
大
塚
金
之
助
、
渡
辺
順
三
、
178
の
異
同
の
検
証
田
中
綾
渡
辺
順
三
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
に
お
け
る
切
取
り
削
除
を
具
体
例
に
内
務
省
に
よ
る
検
閲
体
制
と
割
還
付
本
北海学園大学人文論集
の
旨 大
を 塚
お 金
知 之
ら 助
せ へ
下 の
さ 一
い 度
。 目
せ の
つ 差
か 入
く は
送 、
つ 一
て 九
下 三
す 三
つ 年
た 六
の 月
で 十
す 二
か 日
ら4
、
︶
。 月
曜
日
。
渡
辺
近
代
短
歌
集
不
許
に
つ
き
宅
下
。
渡
辺
氏
に
そ
除 そ で
本 し あ
、 て っ
切 、 た
取 四 が
り 頁 、
内
削
除 ︵ 務
が 裏 省
行 面 警
わ も 保
れ 併 局
た せ 図
も て 書
の 全 課
を 八 検
頁 閲
係
に
︶
割
よ
の
還
る
付
本 切 検
取 閲
と り で
呼 削 、
称 除 翌
昭
す
る が 和
こ 命 八
と ぜ 年
と ら 一
す れ 月
る た に
。 の 安
だ 寧
っ 秩
た3
序
︶
。 妨
以 害
下 で
、 発
発 売
禁
処 布
禁
前 止
の 処
も
の と
を な
っ
無 た
削 。
価
は
一
円
八
十
銭
で
三
千
部
、
印
税
は
五
百
四
十
円
順
三
の
自
叙
伝
烈
風
の
中
を
︵
東
邦
出
版
社
、
一
九
七
で 三
あ 年
っ ︶
に
た よ
と
い る
と
う2
︶ 、
。
生 同
計 一
が 九
苦 三
し 二
か 年
っ の
た 十
渡 月
辺 末
家 に
に 改
と 造
っ 社
て に
、 入
こ 稿
の し
大 、
金 初
は 版
慈 は
雨 定
第 59号(2015年8月)
和
七 渡
︶ 辺
年 順
三
十 ︵
二 一
月 八
二 九
十 四
七 |
日 一
印 九
刷 七
二
十 年
二 ︶
の
月 書
三 名
十 は
一 、
日 正
発 確
行 に
は
四 、
六
判
上 的
製 唯
物
奥 論
付 よ
で り
は 観
た
見 る
た 近
る 代
短
の 歌
表
記 ︵
︶ 改
で 造
あ 社
る 、
。 一
の 九
ち 三
の 二
渡 ︵
辺 昭
177
差
入
が
不
許
可
で
あ
っ
た
こ
と
の
理
由
を
、
本
稿
で
、
詳
し
く
検
証
し
て
い
く
こ
と
と
す
る
。
同
一
九
三
三
年
、
十
一
月
二
日
に
よ
う
や
く
出
所
と
な
っ
た
が
、
プ
ロ
レ
タ
リ
ア
短
歌
運
動
を
牽
引
し
て
い
た
渡
辺
順
三
か
ら
の
二
度
の
た
。
そ
れ
を
機
に
、
の
ち
に
別
の
筆
名
で
口
語
短
歌
を
発
表
す
る
こ
と
に
も
な
っ
た
の
で
あ
る
。
確
か
に
、
刑
務
所
内
と
い
う
孤
絶
さ
れ
た
空
間
で
の
記
憶
を
と
ど
め
る
に
は
、
口
語
短
歌
は
備
忘
録
が
わ
り
に
な
る
有
用
な
詩
型
で
も
あ
っ
和
初
期
に
お
け
る
口
語
短
歌
変
革
期
を
見
守
る
一
人
と
な
っ
て
い
た
。
か
ら
は
遠
ざ
か
っ
て
い
っ
た
。
代
わ
り
に
、
プ
ロ
レ
タ
リ
ア
短
歌
運
動
の
画
期
と
な
っ
た
歌
論
無
産
者
短
歌
︵
後
述
︶
を
発
表
し
、
昭
大
正
末
期
、
ア
ラ
ラ
ギ
島
木
赤
彦
選
に
筆
名
で
短
歌
を
投
じ
て
い
た
大
塚
金
之
助
は
、
ド
イ
ツ
留
学
を
経
て
、
し
だ
い
に
ア
ラ
ラ
ギ
被
疑
者
と
し
て
起
訴
、
豊
多
摩
刑
務
所
に
収
容
さ
れ
て
い
た
。
︵
二
︶
内務省による検閲体制と
少
人
数
で
あ
り
、
実
際
、
一
九
二
七
年
当
時
の
図
書
課
人
員
は
︵
三
︶
的
大
正
末
期
ま
で
、
内
務
省
側
と
出
版
社
側
は
い
わ
ゆ
る
な
慣
例
に
よ
っ
て
、
互
い
に
検
閲
ル
ー
ル
を
保
っ
て
い
た8
内
︶
。 閲
二 日
四 々 と
名 刊 い
行 う
し を 、
か 重 内
い ね 々
な る に
か 膨 懇
っ 大 談
た な す
と 数 る
い の か
う9
出 た
︶
。 版 ち
出 物 で
版 に 発
社 対 禁
側 し 処
と 、
呼 検 を
吸 閲 遠
を 実 ざ
合 務 け
わ 担 る
せ 当
て 者 好
検 は 意
態
で
あ
っ
た
。
二
〇
〇
九
年
︶
で
強
調
さ
れ
た
、
一
九
二
七
︵
昭
和
二
︶
年
の
内
閲
制
度
の
廃
止
は
、
一
つ
の
大
き
な
流
れ
と
し
て
看
過
で
き
な
い
事
内
務
省
に
よ
る
発
売
布
禁
止
処
に
つ
い
て
は
す
で
に
多
く
の
研
究
が
あ
る
が
、
近
刊
の
紅
野
謙
介
検
閲
と
文
学
︵
河
出
書
房
新
社
、
一
切
取
り
削
除
さ
れ
た
八
頁
の
検
証
な
ら
ぬ
思
い
が
う
か
が
え
よ
う
。
176
割還付> 本 (田中)
過
酷
な
境
遇
に
あ
っ
て
も
、
寸
暇
を
惜
し
ん
で
新
知
識
と
語
学
習
得
に
熱
情
を
か
た
む
け
る
経
済
学
者
の
、
差
入
本
に
対
す
る
な
み
な
み
る
。 二
差
入 そ
願 れ
に が
不 所
許 内
と に
し 入
る つ
し て
が 領
つ 置
く ︵
。
︵ 倉
以 庫
下 に
入
略7
︶
︶ れ
。 る
こ
と
︶
さ
れ
る
。
こ
の
際
に
第
二
回
の
せ
い
り
が
行
は
れ
て
、
不
許
の
本
を
決
定
す
当
一 時
の
差 刑
入 務
本 所
は 内
差 へ
入 の
や
か 本
ら の
受 差
付 入
へ
来 に
る つ
、 い
こ て
ゝ 、
で 大
一 塚
応 自
本 身
を の
せ 記
い 述
り を
し 引
、 用
受 し
付 て
け お
な き
い た
も い
の 。
は
差
入
や
へ
す
ぐ
返
す
。
か が
っ 、
た 続
こ け
と て
を 、
留 冒
守 頭
宅 に
の 引
家 用
族 し
あ た
て
に 十
書 月
き 三
送 日
っ
て 付
い け
た6
で
︶
。 、
渡
辺
順
三
近
代
短
歌
不
許
で
宅
下
げ
と
、
結
局
は
受
け
取
れ
な
の
差 そ
入 し
あ て
り 、
。 二
差 度
入 目
が の
あ 差
つ 入
た は
と 、
い 同
ふ 年
こ 九
と 月
を 二
、 〇
同 日
君 、
へ 水
は 曜
が 日
き の
で 記
お 録
礼 と
を し
出 て
し 、
て 渡
下 辺
さ 順
い 三
。 氏
今 よ
手 り
紙 、
が
出 近
せ 代
ま 短
せ 歌
ん
か 、
ら5
︶ 平
と 賀
あ 元
る 義
。 歌
だ 集
北海学園大学人文論集
に
、
当
局
の
命
に
よ
り
左
の
頁
削
除
第 59号(2015年8月)
奥
付
さ
て
、
渡
辺
順
三
の
割
還
付
本
四 を
九 見
頁 る
と
一 、
四 表
一 紙
頁 裏
に
二 一
七 枚
五 の
頁 張
り
三 紙
〇 が
七 あ
頁 る
。 。
と 縦
は 七
い ・
え 七
、 セ
印 ン
刷 チ
面 ×
に 横
は 四
裏 ・
表 三
が セ
あ ン
る チ
の の
で 紙
、 片
年
末
の
刊
行
で
あ
り
、
そ
れ
が
適
用
さ
れ
た
こ
と
が
う
か
が
え
る
。
渡
辺
順
三
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
は
、
そ
の
割
還
付
ル
ー
ル
が
定
着
し
つ
つ
あ
っ
た
一
九
三
二
︵
昭
和
七
︶
175
う
も
の
で
あ
る
。
閲
割
還 と を
付 こ 進
ろ め
が が る
運 、 こ
用 そ と
さ の で
、
れ
る 内 業
こ 閲 務
を
と
と が 滞
な 一 ら
っ 九 せ
た 二 な
。 七 い
切 年 よ
取 に う
っ 廃 図
た 止 っ
著 と て
書 な い
等 り た
を 、 こ
出 同 と
版 年 は
社 秋 想
に か 像
返 ら さ
還 、 れ
し 禁 よ
、 止 う
切 処 。
取
り と
削 さ
除 れ
し た
た 当
も 該
の 頁
は の
販 み
売 を
し 切
て 取
も る
よ と
い い
、 う
と
い
︵
四
︶
内務省による検閲体制と
削
除
指
定
①
四
九
頁
割還付> 本 (田中)
と 実
と 際
な に
る1︶0 は
。
四
九
|
五
〇
頁
一
四
一
|
一
四
二
頁
二
七
五
|
二
七
六
頁
三
〇
七
|
三
〇
八
頁
の
八
頁
が
切
取
り
削
除
さ
れ
た
こ
︵
五
︶
174
北海学園大学人文論集
二
〇
一
四
年
︶
に
詳
し
く
、
こ
の
渡
辺
順
三
の
本
文
を
図
版
で
示
し
な
が
ら
次
の
よ
う
に
解
説
し
て
い
る
。
ち
な
み
に
、
大
正
期
以
降
の
与
謝
野
晶
子
の
死
ぬ
る
を
人
の
×
×
×
と
は
× か
×獣
の た
×道 み
×に
に
死
×ね 人
×︶ の
よ 血
と を
は 流
し
×
×
×
×
か
ら
は
出
で
ま
さ
ね
×
×
×
×
×
×
は
戦
ひ
に
第 59号(2015年8月)
君
死
に
た
ま
ふ
こ
と
な
か
れ
君
死
に
た
ま
ふ
こ
と
勿
れ
の
引
用
に
関
し
て
は
、
牧
義
之
伏
字
の
文
化
︵
森
話
社
、
の
よ
う
に
復
元
し
な
が
ら
解
説
し
て
い
る
。
前
出
の
渡
辺
順
三
烈
風
の
中
を
一
五
四
頁
で
は
、
与
謝
野
晶
子
の
詩
の
引
用
と
、
そ
の
伏
字
が
問
題
で
あ
っ
た
と
、
伏
字
部
を
次
173
渡
辺
順
三
は
、
個
人
主
義
の
萌
芽
に
む
し
ろ
着
目
し
た
と
述
べ
て
い
る
。
晶
子
の
詩
は
当
時
一
部
の
人
達
か
ら
非
難
さ
れ
た
が
、
個
人
的
な
立
場
か
ら
、
肉
親
的
情
愛
か
ら
戦
争
に
反
対
し
て
ゐ
る
詩
で
あ
り
、
当
該
頁
に
は
、
与
謝
野
晶
子
が
日
露
戦
争
に
出
征
す
る
弟
に
向
け
た
詩
君
死
に
た
ま
ふ
こ
と
な
か
れ1︶1
が
伏
字
で
引
用
さ
れ
て
い
る
。
戦
争
以
降
、
し
だ
い
に
変
化
が
起
こ
っ
て
き
た
こ
と
が
述
べ
ら
れ
て
い
る
。
主
義
的
傾
向
へ
の
移
行
ま
ず
、
削
除
指
定
一
件
に 目
あ の
た
る 四
内 九
容 頁
で 。
あ 第
り 一
、 篇
明
治 明
中 治
期 以
、 後
与 の
謝 短
野 歌
寛 の
・
晶 的
子 発
を 展
筆
頭 の
と 第
す 一
る 章
の
明
星 五
、
の
圧 明
倒 星
的
な 派
人 の
気 衰
が 微
、 と
日 自
露 然
︵
六
︶
内務省による検閲体制と
割還付> 本 (田中)
な
お
、
裏
頁
に
あ
た
る
五
〇
頁
も
、
参
ま
で
に
図
示
し
て
お
く
。
伏
字
の
有
無
に
関
わ
ら
ず
、
こ
の
詩
自
体
の
引
用
が
検
閲
担
当
者
の
目
に
と
ま
っ
た
の
だ
ろ
う
。
と
を
慮
っ
て
、
伏
字
に
し
た
と
え
ら
れ
る
。
や
大
み
こ
ゝ
ろ
牧
義
之
伏
字
の
文
化
五
三
|
五
四
頁
︵
七
︶
172
作
品
で
あ
る
が
、
引
用
に
際
し
て
は
、
す
め
ら
み
こ
と
な
ど
、
天
皇
を
指
し
示
す
語
句
が
不
敬
罪
に
あ
た
る
こ
死
に
た
ま
ふ
こ
と
勿
れ
が
あ
る
。
︵
略
︶
詩
君
死
に
た
ま
ふ
こ
と
勿
れ
は
、
そ
の
内
容
に
関
し
て
発
表
当
時
か
ら
論
議
を
呼
ん
だ
あ
る
出
版
物
が
発
行
さ
れ
た
当
時
は
本
文
に
伏
字
を
施
さ
ず
に
発
行
で
き
た
も
の
の
、
後
の
時
代
に
そ
の
文
章
を
引
用
す
る
場
合
に
君 、
手
を
加
え
な
け
れ
ば
刊
行
が
で
き
な
か
っ
た
、
と
い
う
事
例
を
示
し
て
い
る
。
典
型
的
な
事
例
の
一
つ
に
、
与
謝
野
晶
子
の
反
戦
詩
北海学園大学人文論集
び
前 、
出 弁
の 護
渡 士
辺 を
の 順 開
四 三 業
字
す
烈 る
を 風 の
、 の だ
改 中 が
造 を 、
社
渡
側 一 辺
が 五 順
四 三
× 頁 が
× で 引
× は 用
× 、 し
そ た
と の の
伏 引 は
字 用 小
に し 学
し た
た 中 訓
が の 導
、 一 時
そ 首 代
れ の の
で 伏 短
も 字 歌
い が で
け 問 あ
な 題 る
か だ 。
っ っ
た た
の と
で 解
あ 説
る し
て
。 い
る1︶3
。
三
首
目
の
天
皇
陛
下
第 59号(2015年8月)
削
除
指
定
②
西
日 心
歌 に 矢 村 二
壇 投 代 陽 件
稿 東 吉 目
に し 村 、 の
投 、 は 矢 削
稿 卒 、 代 除
し 業 一 東 指
、 後 八 村1︶2 定
は 八
木 東 九 と 一
に 京 ︵ い 四
五 下 明 う 一
首 谷 治 小 頁
採 区 二 題
ら 練 二 の は
れ 塀 ︶ 部 、
第
て ︵ 年
か 現 、 で 一
ら 、 千 あ 篇
意 秋 葉 る 第
識 葉 県 。 一
章
的 原 生
の
に ︶ ま
れ
最
短 小
後
歌 学 。
東
に
を
あ
作 の 京
た
る 訓 の
り
よ 導 青
、
う と 山
に な 師
十
な っ 範
、
学
っ た
生
た 。
活
に
と そ
派
入
い の
の
う 後 学
運
。 、 後
動
、
の 東
と
ち 京 文
諸
に 朝 章
歌
大 日 世
人
学 新 界
の 聞
の
夜 の に
間 石 俳
3
部 川 句
、
や
で
安
法 木 和
成
学 選 歌
二
を
を
郎
学 朝 熱
、
一
四
一
頁
︵
八
︶
171
内務省による検閲体制と
な
お
、
裏
頁
に
あ
た
る
一
四
二
頁
も
、
参
ま
で
に
図
示
し
て
お
く
。
︵
九
︶
解
釈
が
揺
ら
ぐ
と
こ
ろ
で
も
あ
る
。
し
ろ
、
優
秀
な
が
ら
も
俸
給
十
円
程
度
の
代
用
教
員
の
胸
中
を
代
弁
し
て
い
た
の
で
は
な
い
だ
ろ
う
か
。
そ
う
な
る
と
、
渡
辺
順
三
の
司
額 で
よ あ
り る
も 管
高 理
く 職
、 で
し あ
か っ
も た
、 と
優 い
秀 う
な 。
代 ま
用 た
教 、
員 師
よ 範
り 学
も
か を
な 卒
り 業
高 し
額 た
だ 正
っ 教
た1︶5 員
。 で
矢 あ
代 っ
東 た
村 矢
は 代
こ 東
の 村
一 の
連 俸
で 給
、
自 二
身 十
の 四
生 円
活
で は
は 、
な 当
く 時
、 の
む 平
当
時
、
ま
だ
若
い
教
員
で
あ
っ
た
矢
代
東
村
の
俸
給
は
実
際
に
は
二
十
四
円
で
あ
り
、
三
十
円
の
俸
給
を
も
ら
っ
て
い
た
の
は
上
の
現
は
れ
は
じ
め
、
ニ
ヒ
リ
ズ
ム
短
歌
と
評
さ
れ
て
き
た
こ
と
へ
の
疑
義
を
呈
し
て
い
る
。
た
の
が
矢
代
東
村
自
身
で
あ
る
と
い
う
解
釈
や
、
渡
辺
順
三
の
無
削
除
本
で
の
記
述
小
市
民
的
な
生
活
か
ら
来
る
虚
無
的
な
世
界
観
170
割還付> 本 (田中)
が
多
い
が
、
娘
で
あ
る
小
野
弘
子
は
、
評
伝
矢
代
東
村
︵
短
歌
新
聞
社
、
二
〇
一
二
年
︶
で
、
三
十
円
の
俸
給
を
も
ら
っ
て
い
円
の
俸
給
を
も
ら
ひ
天
皇
陛
下
の
あ
り
が
た
き
こ
と
を
教
へ
居
る
か
も
は
、
現
在
で
も
矢
代
東
村
の
代
表
作
の
よ
う
に
引
用
さ
れ
る
こ
と
こ
れ
ら
は
矢
代
東
村
の
第
一
歌
集
一
隅
よ
り
︵
白
日
社
、
一
九
三
一
年
︶
所
収
の
、
一
九
一
四
︵
大
正
三
︶
年
作
品
で
あ
る
。
三
十
洋
服
は
す
れ
て
光
れ
り
そ
の
顔
は
つ
か
れ
て
青
し
教
員
あ
は
れ
苦
し
苦
し
は
や
く
教
員
や
め
て
し
ま
ひ
大
声
に
ひ
と
つ
怒
鳴
り
て
み
た
し
三
十
円
の
俸
給
を
も
ら
ひ
×
×
×
×
の
あ
り
が
た
き
こ
と
を
教
へ
居
る
か
も
見
よ
こ
の
机
に
ゐ
な
ら
ぶ
教
へ 員
ず の
生 顔
活 と
の い
こ ふ
と 顔
ば の
か 如
り 何
に
へ 疲
て れ
居 た
り1︶4 る
か
を
教
員
い
ま
教
育
の
こ
と
を
北海学園大学人文論集
第 59号(2015年8月)
削
除
指
定
③
二
七
五
頁
︵
一
〇
︶
169
内務省による検閲体制と
な
お
、
裏
頁
に
あ
た
る
二
七
六
頁
も
、
参
ま
で
に
図
示
し
て
お
く
。
︵
一
一
︶
書
き
方
で
あ
り
、
こ
の
部
も
そ
の
よ
う
な
頁
で
あ
っ
た
。
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
に
は
、
大
塚
金
之
助
に
つ
い
て
の
言
及
が
い
く
つ
か
見
ら
れ
る
が
、
い
ず
れ
も
敬
意
を
表
し
た
進
し
、
︻
燃
え
あ
が
り
充
ち
ひ
ろ
︼
が
る
で
あ
ら
う
で
あ
る
。
一
九
三
〇
年
メ
ー
デ
ー
の
、
ま
た
、
伏
字
こ
の
巻
末
記
の
引
用
は
、
戦
後
改
稿
版
の
× 近
× 代
短
を 歌
復
元 ︵
す 真
る 理
と 社
、 、
︻ 一
白 九
色 四
テ 九
ロ 年
ル ︶
︼ に
を は
の 引
り 用
こ さ
え れ
て て
わ い
れ な
ら い
の が
歌 、
は
め マ
ざ マ
ま
し 部
く
躍 は
一
九
二
九
年
五
月
一
日
躍
進
し
、
×
×
×
×
×
×
×
×
×
が
る
で
あ
ら
う
。
168
割還付> 本 (田中)
終
本
り
輯
に
は
種
年
々
刊
の ○ の
助
第
言
一
を
輯
惜
だ
し
。
ま
一
れ
九
な
三
か
〇
つ
年
た
の
大
メ
塚
ー
金
デ
之
ー
助
の
氏
第
及
二
び
輯
装
を
幀
待
の
て
労
。
を
×
と
×
ら
×
れ
×
た
×
永
を
田
の
一
り
修
こ
氏
え
に
わ
深
れ
く
ら
感
の
謝
歌
す
は
る
め
。
ざ
ま
し
く
で
あ
っ
た
。
そ
の
巻
末
記
に
、
大
塚
金
之
助
へ
の
謝
意
も
記
さ
れ
て
い
た
の
だ
っ
た
。
こ
の
年
の
プ
ロ
レ
タ
リ
ア
短
歌
集
は
発
行
と
同
時
に
発
売
布
禁
止
処
を
受
け
た
が
、
十
八
人
の
計
二
九
二
首
を
収
録
し
た
歌
集
堂
書
店
︶
が
刊
行
さ
れ
た
。
そ
の
歌
集
巻
末
記
を
全
文
引
用
し
、
さ
ら
に
八
人
の
収
録
作
品
を
引
用
し
た
部
で
あ
る
。
一 三
九 件
二 目
九 の
︵ 削
昭 除
和 指
四 定
︶
年 二
五 七
月 五
二 頁
〇
日1︶6 は
、 、
渡 第
辺 二
順 篇
三
編
で 新
、 興
一 短
九 歌
二 運
九 動
年
メ 発
ー 達
デ
ー
記 の
念 巻
の 末
合 十
同 章
歌
集 戦
線
プ 統
ロ 一
レ へ
タ
リ の
ア も
短 の
歌 で
集 あ
︵ る
紅 。
玉
北海学園大学人文論集
第 59号(2015年8月)
削
除
指
定
④
三
〇
七
頁
︵
一
二
︶
167
内務省による検閲体制と
象
と
し
て
特
に
周
匝
な
る
査
閲
を
必
要
と
し
な
け
れ
ば
な
ら
な
い
九
月
一
日
︵
一
三
︶
の
作
品
が
多
く
引
用
さ
れ
て
動
激
発
せ
し
む
る
の
危
険
を
包
含
す
る
所
の
も
の
で
あ
る
。
出
版
警
察
の
対
農
民
の
言
葉
を
以
て
歌
は
る
べ
き
こ
と
が
強
調
さ
れ
、
し
か
も
短
歌
形
式
は
理
論
を
超
越
し
て
直
接
に
感
情
に
愬
へ
る
も
の
出
版
警
察
報
の
そ
の
号
に
よ
る
と
、
渡
辺
順
三
や
坪
野
哲
久
ら
が
論
を
構
築
し
て
い
っ
た
プ
ロ
レ
タ
リ
ア
短
歌
運
動
で
は
、
で 労
あ 働
り 者
、
が
注
意
す
べ
き
対
象
と
し
て
引
用
さ
れ
て
い
た
の
で
あ
る
。
野
哲
久
の
第
一
歌
集
九
月
一
日
︵
紅
玉
堂
書
店
、
一
九
三
〇
年
一
月
一
日
発
行
=
と
し
て
、
例
と
し
て
歌
集
直
接
に
大
衆
の
中
に
投
じ
て
、
無
批
判
的
に
大
衆
の
感
情
を
一
月
二
七
日
付
で
安
寧
秩
序
妨
害
で
発
売
布
禁
止
︶
動
と
の ち い
勃 ょ う マ
興 う 人 マ
ど 物 を
と こ の つ
い の 作 け
う 時 品 た
報 期 で 部
告 、 あ
が 内 っ は
あ 務 た 実
っ 省 こ 際
た 警 と に
。 保 だ は
そ 局 ろ
の
う
中 出 。 輝
し
の 版
い
警
五 察
、 報
お
出
れ
版 第
た
十
警
ち
察 七
の
の 号
︵
で
対
あ
象 一
り
と 九
、
し 三
引
て 〇
用
見 年
二
誤
た 月
り
る ︶
で
プ に18
は
ロ 、︶
あ
レ
っ
タ 最
た
リ 近
が
ア に
、
短 於
問
歌 け
題
運 る
は
動 プ
や
ロ
は
の レ
り
章 タ
で リ
坪
、 ア
野
特 短
哲
に 歌
久
坪 運
166
割還付> 本 (田中)
伝
単
、
ビ
ラ
撒
き
、
連
絡
と
り
に
ヅ
太
い
仕
事
を
や
つ
て
の
け
た
渡
場
、
こ
の
渡
場
は
お
い
ら
の
命
だ
︵
坪
野
哲
久
︶
月
島
の
渡
場
越
え
て
夜
の
闇
を
連
絡
と
り
に
ビ
ラ
撒
き
に
君
の
輝
か
し
い
仕
事
に
眼
を
み
は
る
短
歌
の
う
ち
、
検
閲
担
当
者
が
注
目
し
た
の
は
、
引
用
さ
れ
た
坪
野
哲
久
の
次
の
二
首
と
思
わ
れ
る
。
巻
一 末
九 記
三 を
〇 全
年 文
版 引
は 用
、 し
一 、
六 ま
〇 た
人1︶7 収
の 録
計 の
五 十
九 六
三 人
首 の
の 短
収 歌
録 を
で 引
、 用
一 し
〇 た
〇 部
頁
近 で
い あ
歌 る
集 。
で
あ
る
。
削
除
指
定
の
三
〇
七
頁
に
引
用
さ
れ
た
で
あ
り
、
渡
辺
順
三
編
の
合
同
歌
集
最
後
の
四
件
目
の
削
除
指
定
三
〇
プ 七
ロ 頁
レ
タ は
リ 、
ア 第
短 三
歌 篇
集
プ
一 ロ
九 レ
三 タ
〇 リ
年 ア
版 短
が 歌
、 運
同 動
年 発
九 達
月
に
マ の
ル
ク 四
ス 、
書 第
房 二
か 回
ら 年
刊 刊
行 歌
さ 集
れ の
、 刊
そ 行
の
北海学園大学人文論集
な
お
、
裏
頁
に
あ
た
る
三
〇
八
頁
も
、
参
ま
で
に
図
示
し
て
お
く
。
と
が
想
像
さ
れ
る
。
こ
れ
ら
を
勘
案
す
る
と
、
坪
野
哲
久
の
短
歌
の
内
容
が
と
く
に
厳
し
く
チ
ェ
ッ
ク
さ
れ
て
お
り
、
そ
れ
が
削
除
処
5
︶
前
帯
に
深
く
か
く
し
た
赤
ビ
ラ
を
手
渡
す
ま
で
は
娘
ぢ
や
な
い
お
前
第 59号(2015年8月)
4 2 1
︶ ︶ ︶
警× お お
官 い れ
も ら ら
止 の か
め 党× ら
き 、 搾
れ お つ
ぬ い た
革× ら 金
命× の が
歌 協 御×
、 議 下×
自 会 賜×
由 、 金
×
歌 お
か い 民×
か ら た
げ の ち
て 組 を
わ み 救
れ 合 ふ
ら し と
は た 云
踊 土 ふ
る 台 お
骨 情
だ よ
び
く
と
も
す
る
か
よ
へ
と
つ
な
が
っ
た
こ
165
い
る 制
て
は 順 。 度 注 た
否 意 の
に
認 の だ
九 、
を 理 っ
月 坪
宣 由 た
一 野
伝 と 。
日 哲
す し
久
る て
か
も は
ら 九
の 、
の 月
︵
引 一
、 1
用 日
︵ ︶
は
4 皇
な か
︶ 室
い ら
官 の
。 の
憲 尊
引
の 厳
用
取 を
歌
締 冒
を
を
書
呪 す
き
詛 る
写
す も
し
る の
て
も
み
の 、
よ
︵
、 2
う
︵ ︶
︵
5 革
ル
︶ 命
ビ
其 意
の
他 識
階 を
×
級
×
意 動
識 す
は
を る
伏
宣 も
字
伝 の
の
意
動 、
味
す ︵
︶
。
る 3
な
も ︶
お
の 戦
、
争
︵
の 反
3
五 対
︶
点 、
に
で 徴
関
あ 兵
し
︵
一
四
︶
内務省による検閲体制と
部
数
で
あ
っ
た
こ
と
は
確
か
だ
ろ
う
。
と
記
さ
れ
て
い
る
。
そ
の
よ
う
な
中
、
初
版
三
千
部
︵
一
五
︶
と
い
う
数
字
は
、
当
時
勢
い
の
あ
っ
た
改
造
社
が
版
元
と
は
い
え
、
少
な
か
ら
ぬ
版
一
〇
〇
〇
部
か
ら
一
二
〇
〇
部
、
人
気
作
家
の
文
学
書
で
も
せ
い
ぜ
い
一
八
〇
〇
部
か
ら
二
〇
〇
〇
部
ど
ま
り
で
あ
っ
た
︵
二
九
四
頁
︶
原
稿
料
︵
八
木
書
店
、
二
〇
一
五
年
︶
に
よ
る
と
、
一
九
三
二
︵
昭
和
七
︶
年
当
時
の
出
版
界
は
不
況
で
あ
り
、
一
流
学
術
書
が
初
れ
た さ
は
て
じ
、
め 割 本
に 還 稿
付 を
で 本 記
示
す
し に に
た
あ
よ 異 た
う 本 り
に
、
、 が 古
こ 存 書
の 在 店
著 す で
書 る 改
の
め
初
て
版 つ
は ま
り 的
三 、 唯
千
物
部
論
割 よ
と 還 り
い 付 観
う 本 た
発
る
行 が 近
部 一 代
数 種 短
で 類 歌
あ で
っ は
た な を
。 い 入
浅 こ 手
井 と し
清 が た
・ 判
市 明 と
古 し こ
夏 た ろ
生 。 、
切
監
取
修
り
削
作
除
家
さ
の
二
も
う
一
種
類
の
割
還
付
本
164
割還付> 本 (田中)
★
改
頁
あ
り
★
北海学園大学人文論集
だ
が
、
縦
は
七
・
三
セ
ン
チ
で
あ
り
、
七
・
七
セ
ン
チ
よ
り
若
干
小
さ
め
で
あ
る
。
左
の
張
り
紙
は
、
一
章
に
挙
げ
た
割
還
付
本
の
表
紙
裏
の
張
り
紙
と
は
異
な
る
文
例
で
あ
り
、
横
幅
は
同
じ
四
・
三
セ
ン
チ
取
り
削
除
が
徹
底
さ
れ
て
い
な
か
っ
た
実
例
が
あ
っ
た
の
だ
。
た
、
と
い
う
記
述
は
着
目
す
べ
き
で
あ
ろ
う
。
そ
の
た
め
か
、
奥
付
も
ま
っ
た
く
同
じ
割
還
付
本
で
あ
り
な
が
ら
、
実
際
に
は
切
を
要
す
る
。
し
か
し
な
が
ら
、
事
情
に
通
じ
た
第 59号(2015年8月)
上
林
自
身
は
雑
誌
と
い
ふ
ゴ
ム
判
を
表
紙
に
捺
し
た
。
切
取
つ
た
部
改
造
の
切
取
り
作
業
に
全 動
社 員
員
さ
ば れ
か た
り た
で め
な 、
く 単
、 行
雇 本
わ も
れ ま
て っ
日 た
の く
浅 同
い 様
な
給 作
仕 業
が
ら な
も さ
作 れ
業 た
に か
あ ど
た う
っ か
て は
い 一
︵
引
用
は
上 上 は
林 林 、
曉
係
全 曉 の
集
伏 警
官
第 字 に
十
渡
巻
初 し
た
筑 出 。
摩 は
書
房 文
、 藝
一
九 一
六 九
六 五
年 四
よ 年
り 四
。 月
三 号
二
二
|
三
三
六
頁
︶
163
引
き
裂
く
と
、
面
白
い
ほ
ど
造
作
な
く
、
ベ
リ
ベ
リ
と
引
き
裂
け
た
も
の
で
あ
る
。
︵
略
︶
切
取
り
の
終
つ
た
雑
誌
に
は
、
削
除
済
た
発
禁
の
部
を
、
破
り
取
る
の
だ
つ
た
。
私
達
は
一
尺
尺
大
の
板
切
を
め
い
め
い
用
意
し
て
ゐ
た
。
そ
れ
を
ペ
ー
ジ
に
当
て
が
つ
て
乗
し
て
各
警
察
署
へ
出
動
し
て
行
つ
た
。
︵
略
︶
私
達
は
そ
れ
を
一
冊
一
冊
め
く
つ
て
、
何
ペ
ー
ジ
か
ら
何
ペ
ー
ジ
ま
で
と
指
定
さ
れ
切
取
布
の
許
可
が
降
り
る
と
、
全
社
員
が
、
給
仕
に
至
る
ま
で
動
員
し
て
、
時
に
は
人
夫
ま
で
引
連
れ
て
、
数
台
の
ト
ラ
ッ
ク
に
お
き
た
い
。
に
あ
た
っ
た
。
一
九
二
七
年
か
ら
三
四
年
ま
で
改
造
社
に
勤
め
て
い
た
上
林
曉
が
、
当
時
の
削
除
作
業
を
活
写
し
て
い
る
の
で
、
引
用
し
て
検
閲
を
受
け
、
発
売
布
禁
止
と
し
て
四
頁
︵
計
八
頁
︶
が
切
取
り
削
除
指
定
さ
れ
た
後
、
改
造
社
の
社
員
が
当
該
頁
の
切
取
り
作
業
︵
一
六
︶
内務省による検閲体制と
割還付> 本 (田中)
一
頁
と
一
四
二
頁
は
切
取
ら
れ
て
い
な
か
っ
た
︵
下
の
写
真
参
照
︶
。
︵
一
七
︶
162
筋
の
命
に
依
り
削
除
さ
れ
た
は
ず
だ
っ
た
が
、
実
際
に
は
一
四
そ
し
て
、
張
り
紙
の
通
り
、
一
四
一
頁
一
四
二
頁
は
其
の
★
楕
円
の
せ
て
ま
す
北海学園大学人文論集
さ
て
、
渡
辺
順
三
が
、
豊
多
摩
刑
務
所
内
の
大
塚
金
之
助
に
二
度
差
入
を
試
み
た
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
三
無
削
除
本
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
の
存
在
第 59号(2015年8月)
れ
て
い
た
こ
と
で
あ
る
。
こ
の
異
本
の
存
在
に
関
し
て
は
、
今
後
の
内
務
省
検
閲
研
究
の
一
つ
の
興
味
深
い
課
題
と
い
え
る
だ
ろ
う
。
い
が
、
一
章
で
挙
げ
た
割
還
付
本
と
一
カ
所
だ
け
異
な
る
の
は
、
書
籍
の
地
︵
下
部
︶
に
、
青
い
イ
ン
ク
で
改
⃝
の
印
が
捺
さ
は
、
切
取
161
切
取
っ
た
頁
は
、
警
視
庁
の
係
員
に
手
渡
し
、
枚
数
チ
ェ
ッ
ク
も
な
さ
れ
て
い
た
は
ず
な
の
で
、
こ
れ
は
偶
然
で
あ
っ
た
の
か
も
し
れ
な
︵
一
八
︶
内務省による検閲体制と
差
入
本
に
つ
い
て
、
一
︵
一
九
︶
本
は
一
頁
一
頁
げ
ん
み
つ
な
検
閲
を
経
る
の
で
、
一
本
の
赤
線
、
一
字
の
書
き
入
れ
が
あ
つ
て
も
不
都
合
で
あ
さ
ら
に
論
拠
の
二
つ
目
と
し
て
、
再
び
、
大
塚
金
之
助
が
刑
務
所
内
か
ら
留
守
宅
の
家
族
あ
て
に
送
っ
た
書
簡
を
探
し
て
み
た
い
。
の
で
は
な
い
だ
ろ
う
か
。
及
び
装
幀
の
労
を
と
ら
れ
た
永
田
一
修
氏
に
深
く
感
謝
す
る
の
一
文
が
切
取
ら
れ
る
以
前
の
、
手
持
ち
の
無
削
除
本
を
、
差
入
し
た
に
留
置
さ
れ
て
い
た
。
そ
の
獄
中
の
友
を
励
ま
す
べ
く
、
ま
た
、
二
七
五
頁
の
種
々
の
助
言
を
惜
し
ま
れ
な
か
つ
た
大
塚
金
之
助
氏
た ら
そ の 三
の は 五
獄 残 人
中 念 が
の だ 出
席
友
と し
と 挨 て
は 拶 労
誰 し を
で た ね
あ と ぎ
ろ い ら
う う2︶0 い
か ︵ 、
傍 最
点 後
大 は に
塚 引 渡
金 用 辺
之 者 順
助 に 三
は よ が
、 る
ま ︶
。 こ
さ
の
に
著
そ
を
の
し
年
て
の
今
一
日
月
あ
十
ら
日
し
に
め
連
た
行
獄
さ
中
れ
の
、
友
二
を
月
こ
四
の
日
会
当
に
時
招
、
き
得
麹
な
町
か
署
っ
の
出
版
記
念
会
は
、
一
九
三
三
年
二
月
四
日
に
麹
町
内
幸
町
の
レ
ス
ト
ラ
ン
・
ツ
ク
バ
で
開
催
さ
れ
、
土
岐
善
麿
、
山
田
清
三
郎
碓
田
の
ぼ
る
手
錠
あ
り
評
伝
・
渡
辺
順
三
︵
青
磁
社
、
一
九
八
五
年
︶
に
よ
る
と
、
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
160
割還付> 本 (田中)
間
に
、
渡
辺
順
三
手
ず
か
ら
無
削
除
本
を
渡
し
た
人
々
も
少
な
く
な
か
っ
た
の
で
は
な
い
だ
ろ
う
か
。
て
の
日
付
設
定
で
あ
り
、
改
造
社
ら
し
い
戦
略
の
一
つ
と
思
わ
れ
る
。
実
際
、
検
閲
処
を
言
い
渡
さ
れ
た
の
は
翌
年
一
月
で
あ
り
、
そ
の
年
末
年
始
に
は
内
務
省
警
保
局
図
書
課
の
検
閲
担
当
者
も
休
む
た
め
、
検
閲
は
日
を
お
い
て
年
明
け
に
行
わ
れ
る
だ
ろ
う
こ
と
を
予
想
し
七
閲
日 ま ま そ
印 た で の
刷 、 に 論
は は 拠
十 じ
の
二 め 時 一
月 に 差 つ
三
と
十 で が し
一 も あ て
日 述 り 、
発 べ 、 す
行 た そ で
が の に
で 、 間 こ
あ
に れ
り
は
、 的 無 多
歳 唯 削 く
末 物 除 の
多 論 本 研
端 よ
究
の り が で
折 観 市 言
、 た 場 及
か る に さ
つ 近 流 れ
官 代 通 て
短 し い
歌 て る
の
い が
休
た 、
日 の と
を 奥 い 発
見 付 う 売
越 は 例
布
し
は
た 一 い 禁
日 九 く 止
付 三 つ と
に 二 も 言
あ ︵ 確 っ
え 昭 認 て
て 和 さ も
設 七 れ 実
定 ︶ て 際
さ 年 い の
れ 十 る1︶9 納
て 二 。 本
い 月
か
る 二
ら
。 十
検
お
そ
ら
く
、
り
削
除
指
定
前
の
無
削 無
除 削
本 除
本
で
あ で
っ あ
た っ
と た
本 の
稿 か
で 、
は そ
仮 れ
説 と
を も
立 、
て 削
て 除
お し
き た
た 後
い の
。
割
還
付
本
で
あ
っ
た
の
だ
ろ
う
か
。
北海学園大学人文論集
★
こ
こ
の
無
産
は
こ
れ
で
O
K
➡
巻
第
五
号
、
一
九
二
七
年
五
月
︶
と
渡
辺
順
三
の
引
用
の
異
同
を
明
ら
か
に
し
て
お
き
た
い
。
以
下
、
今
後
の
プ
ロ
レ
タ
リ
ア
短
歌
研
究
の
た
め
に
も
、
画
期
と
な
っ
た
大
塚
金
之
助
の
歌
論
無
産
者
短
歌
︵
初
出
香
圓
第
一
記
述
を
う
の
み
に
し
、
そ
の
検
証
を
怠
っ
て
き
た
後
代
の
わ
れ
わ
れ
の
責
を
こ
そ
問
う
べ
き
で
あ
ろ
う
。
と
は
い
え
、
そ
れ
だ
か
ら
こ
そ
渡
辺
順
三
の
旧
著
を
過
小
評
価
す
る
こ
と
は
避
け
な
く
て
は
な
る
ま
い
。
む
し
ろ
、
渡
辺
順
三
の
著
書
の
わ く
ゆ 、
る 切
孫 取
引 り
き 削
︶ 除
か さ
ら れ
も た
検
証
す 割
る 還
こ 付
と 本
が
で で
き あ
る2︶2 っ
。 て
も
、
そ
の
影
響
が
少
な
く
な
か
っ
た
こ
と
は
、
そ
の
後
の
短
歌
の
踏
襲
ぶ
り
︵
い
い
ろ
い
ろ
不
備
も
あ
り
、
欠
点
も
あ
つ
た
と
自
省
し
て
い
る
が
、
昭
和
初
期
に
お
け
る
体
系
的
な
近
代
短
歌
と
し
て
は
類
書
が
少
な
第 59号(2015年8月)
り
し
て
、
甚
だ
遺
憾
な
も
の
で
あ
つ
た
の
で
、
今
度
は
全
面
的
に
書
き
改
め
た
︵
三
九
二
頁
︶
と
解
説
し
て
い
る
。
159
か
ら
、
い
ろ
い
ろ
不
備
も
あ
り
、
欠
点
も
あ
つ
た
。
殊
に
あ
の
時
代
と
し
て
、
伏
字
が
多
く
、
さ
ら
に
四
頁
の
わ
た
つ
て
の
制
除
が
あ
つ
た
し
て
上
梓
し
て
い
る
。
そ
の
あ
と
が
き
で
、
一
九
三
二
年
刊
の
前
の
近
代
短
歌
は
、
資
料
の
不
足
や
、
ま
た
私
自
身
の
力
の
不
足
先
に
も
少
し
触
れ
た
が
、
戦
後
の
一
九
四
九
年
に
な
っ
て
、
渡
辺
順
三
は
本
書
を
大
幅
に
書
き
改
め
、
真
理
社
か
ら
近
代
短
歌
と
お
わ
り
に
戦
後
版
近
代
短
歌
と
、
以
降
の
短
歌
の
記
述
へ
の
影
響
た
が
っ
て
、
二
度
に
渡
っ
て
差
入
れ
ら
れ
た
本
が
割
還
付
本
で
あ
っ
た
可
能
性
は
低
い
も
の
と
思
わ
れ
る
。
れ
て
い
た
な
ら
ば
、
切
取
り
削
除
の
跡
が
な
ま
な
ま
し
く
残
っ
て
い
る
る
。
全
部
消
す
。
︵
中
略
︶
ロ
シ
ア
語
講
座
4
号
は
書
き
入
れ
あ
り
不
許
割
還 で
付 あ
本 つ21
た︶
も 。
、 傍
不 線
都 や
合 字
の
に 書
見 き
ら 入
れ れ
た が
こ あ
と っ
で て
あ も
ろ 問
う 題
。 視
し さ
︵
二
〇
︶
内務省による検閲体制と
割還付> 本 (田中)
無
產
者
短
歌
初
出
︵
二
一
︶
158
こ
こ
に
、
そ
の
異
同
を
示
し
て
お
き
た
い
。
な
か
っ
た
と
い
う
事
実
も
あ
る
。
作 三
集 の 大
著 塚
第 書 金
九 の 之
巻 中 助
所 で の
収 引 名
の 用 を
の プ
無 誤 ロ
產 り レ
者 が タ
短 あ リ
歌 っ ア
︵ た 短
三 。 歌
九 そ 運
一 の 動
| 引
三 用 に
九 は 確
四 そ と
頁 の し
︶ ま て
と ま 位
突 他 置
き の づ
合 昭 け
わ 和 た
せ 短 歌
る 歌 論
ま
で で 無
、 も 產
渡 孫 者
辺 引 短
に き 歌
よ さ
る れ は
引 た 、
用 ま 数
文 ま カ
自 で 所
体 あ で
が り は
疑 、 あ
わ 大 る
れ 塚 が
る 金 、
こ 之 渡
と 助 辺
が 著 順
附
・
大
塚
金
之
助
無
產
者
短
歌
本
文
と
、
渡
辺
順
三
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
で
の
引
用
の
異
同
北海学園大学人文論集
★
画
像
作
字
あ
り
︵
左
か
ら
9
行
目
︶
★
て
ゐ
る
。
[
は 之
私 は 私
自
は
か
編 ら の 頃
好 興
注
2 發 意 味
] 見 に あ
よ る
し つ 二
た た つ
。 、 の
一 無
つ 產
は は
文 淺 歌
語 野 集
歌 純 を
、 一 手
後 氏 に
の し
は
た
口
。
語 の 一
歌
歌
つ
。
は
今
田
は こ 邊
こ の 駿
の 表 一
後 題 氏
を の
を 見
問 よ 靑
題
木
と
集
し 之 、
傍
線
部
が
そ
れ
ぞ
れ
の
異
同
箇
所
で
あ
る
。
一
〇
五
|
一
〇
六
頁
に
、
②
③
と
同
文
の
引
用
あ
り
。
九
六
三
|
六
四
年
、
以
下
④
渡
辺
順
三
定
本
近
代
短
歌
定
本
版 上
下
と 巻
す ︵
る 春
︶ 秋
下 社
巻 、
の 一
二
第 59号(2015年8月)
し
來 が う
て に ︶ 示 と
そ 至 、 す し
の つ
た
た に り ︵
︵
出
無 、
日
の 本 產
誌
光
方
て
向 四
口
︶
月
を 號 語 働 。
そ
見 ︶ 歌
守 。 に 解 れ
つ 私 他 放 は
て は の
ゐ 氏 如 動 代
る が 何 に
義
こ な
で こ る 意 の
あ に 短 を 立
る
歌 向 場
。
進
に け で
[
出
期 つ あ
編
る
注 を 待 つ
1 企 す あ 。
] て る つ 他
た よ た 面
こ り が に
と も ︵ 氏
を 大 日 は
喜 な 光 、
ぶ る
作
期
で 待 び
五
あ を
る か 經 月
。 け 濟 一
日
そ る
③
下
同 下 渡
傍
辺 引 點
文
の 戦 順 用 全
部 後 三 あ 部 的
唯
版
引
近 り
。 用 物
引
代
論
と
用
短
版
あ す 歌
り る
の と
。 ︶
注 す
二 ︵
入 る
六 真
り ︶
〇 理
で 二
| 社
、 二
二 、
三 四
六 一
|
一 九
二
頁 四
四 二
に 九
五
か 頁
、 年
ら に
② 、
部 、
と 以
②
渡
辺
順
三
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
︵
以
五
月
一
日
発
行
︵
以
下
、
初
出
と
す
る
︶
。
︻
比
較
テ
香 ク
圓 ス
ト
第 ︼
一
巻
第
五
号
、
香
圓
社
、
一
九
二
七
年
て
の 大
熊
論 信
を 行
發 氏
表 は
一
し
、 時
古
典 し
い
義 發
に 展
對 を
立
す げ
る つ
も つ2︶3
の あ
と る
し 。
て 氏
の は
代 代
文
義 學
の と
理 し
論 て
を の
基 短
礎 歌
づ に
け つ
よ い
無
產
短
歌
★
引
用
文
は
12
級
に
し
て
ま
す
★
送
り
も
変
大
塚
金
之
助
著
作
集
第
九
巻
岩
波
書
店
、
一
九
八
一
年
よ
り
︵
[
編
注
]
の
内
容
は
割
愛
︶
①
初
出
157
★
︵
二
二
︶
内務省による検閲体制と
何
物 傳
で 統
も 短
な 歌
い の
。 大
そf 部
の︶
短 は
歌
は
古
典
口
語 義
歌 な
な る
る と
と
文 代
語
歌 義
な な
る る
と と
有 有
產 產
階 階
藝
神
の 以
發 外
現 の
傳 す の
統 る 立 短
有 こ 場 歌
產e と は に
短︶ の
於
歌 み 會 け
に が
る
對 、 義 根
短
す
的 本
る 歌 藝 的
根 の
本 表
極
的 現 の 的
批 形 立 對
式 場 立
を 、 で は
與 用 あc 、
へ 語 り︶
マ有
し 、 、マ 產
格
無
め
產 短
る
、 階 歌
の 氣
で 魄d
と
︶
あ 、マ
マの 無
立 產
る
。 神 場
で
を あ 短
根 る 歌
本 。 と
的 こ の
に の 對
理 立 立
解 場 で
せ を あ
し 一 る
め 貫 。
こ
、
從
つ
て
短
歌
の
階
私
は
問
題
を
無
性 產
に
立 口
脚 語
し 歌
て
こ
の 無
歌 產
集
を に
取 力
入 點
れ が
る あ
の
で る
あ
る に
。 お
き
、
藝
三
割還付> 本 (田中)
と
を
知
つ
て
ゐ
る
筈
だ
か
ら
だ
。
の
階
性
、
に
あ
る
の
だ
か
ら
だ
。
氏
は
、
右
の
如
き
態
度
が
正
し
く
な
い
こ
と
、
否
、
不
可
能
で
あ
る
こ
は
氏
の
態
度
を
か
く
固
定
的
決
定
的
の
も
の
と
は
へ
ぬ
。
な
ぜ
な
ら
ば
、
氏
は
今
發
展
の
上
り
あ
げ
る
作
品
の
長
所
を
攝
取
し
て
自
己
の
營
養
と
す
る
と
の
態
度
で
之
は
あ
る
の
か
。
否
、
私
︵
e あ
有 ︶ り
產
。
的
短 唯
歌 物
論
定 。 版
本
版
戦
後
で
版
は
、
定
こ
本
の
版
。
と
も
に
、
︵
f
︶
戦
後
版
︵
二
三
︶
156
的
唯
物
論
版
戦
後
版
定
本
版
と
も
に
読
点
い
か
と
し
て
ゐ
る
。
す
る
と
、
無
產
が
と
と
疾
病
と
の
中
に
血
と
と
を
も
つ
て
作
の 至 の 入
中 つ み れ 大
に て 、 るa 熊
︶
氏 プ
マ氏
突 は ロ にマ の
發 、 レ あ 立
す
タ る 場
る 舊 リ 。 は
來 ア そ 之
く の
の し を
新 短
も て
歌
無
ら
の
し
⋮ 傳 產
い に
⋮ 統
格 現
的 口
れ だ
と
短 語
を つ
い
歌 歌
看 つ
ふ
あ 聲 は
ブ
せ る
が ル 口
口
ぬ
ジ 語
こb 語
ョ 歌
す
と︶
ア に
マ
、マ を で の 力
看
に
こ
も 點
の
の が
す
い
二
だ あ
る
て
つ
。 る
こ
ゐ
を
口
と
る
緊
語
、 と 歌 と
事 現 す こ し
で 在 る そ て
は の 。 、 問
あ 口 結 口 題
る 語 論 語 に
ま 歌 に 歌 取
︵ ︵ ︵
︵
c b a
d り
︶ ︶ ︶
︶ 、
原 原 原
原 。
的 文 文 文
文
唯 の の の
の
物 マ マ マ
マ
論 マ マ マ
マ
版 。 。 。
。
初 初 初
初
出 出 出
出
戦 で で で
で
後 は は は
は
版 、 、 、
、
読
あ こ 所
定 り と で
点
本 。 。 あ
な
版 。 。 る
し
。
と
。
も
に
あ
★
画
像
作
字
あ
り
︵
6
行
目
︶
★
北海学園大学人文論集
★
画
像
作
字
あ
り
︵
3
行
目
︶
★
覺
醒
を
、
從
つ
て
吾
々
の
解
放
を
、
命 衞 よ な
階
り が 階 無
で あ ら
產
あ き 傳p
意 靑
︶
柔 る ら 統 識 年
策 。 め 歌 だ 男
が 科 に
女
こ 學 行t
に
︶
も を く か 先 氏
つ も
ら づ
て 藝 を み 何
いy
引 取 よ
︶
る を 止 ら り
。 も め れ 自
こ 革 よ て ら
無 の 命 。 いr
無q
︶
產 歌 す 無 る 產︶
階
べ 產
に き 階 を 意
の 囚z
奪 識
︶
自 は
は ひ を
持
由 れ 員
を︶β る で 極 せs つ
、 こ あ に 。︶ の
お と る 於 工 だ
く は 。 て 場
ら 、 傳 有u
︶
せ そ 統 產 働 そ
し
る れ 短 階
こ だ 歌w
で て
と け 歌︶ をv あ
α
×︶ り に
だ 吾︶
。 々 の × な 農
の 中 す が 民
意 に べ ら で
識 は き 抗 あ
の 革x
り
︶
︵ ︵
︵ ︵
r q
t s
ゆ ︶ ︶ ゐ ︶ ︶ 傳
る
く
定 統
短
的 的 。 的 本 歌
唯 版
。 唯 唯
。
物
物 物
論 で
論 論
版 は
版 版
、
で
戦 階
戦 は
後 級
後 、
版 意
版
識
返
せ
定 。
定 、
本
本 。
版
版
と
も
に
、
と
も
に
、
︵
p 氏 こ
︶
の
段
的 ま 落
唯 で か
物 を ら
論
、
版 ⋮
⋮ 四
第 59号(2015年8月)
は
何
故
に
彼
の
性 作
だ る
。 も
の
を
作
る
か
と
。
短
歌
の
階
四
︵
o
︶
的
唯
物
論
版
戦 と の 戦
後 し 一 後
版 て 行 版
中 目
定
定 略
本 。 無 本
產 版
版
青
年 と
と
男 も
も
女 に
に
諸 、
、
を
解 階
現n
o
之 愼
有︶ ︶ 有 放
產 革 產m の 的 に ま
階 命 階︶ 熱 に 對 し
見 し く
で
短 あ 短 に る て 屈
歌 る 歌 基 。 無 從
理
の い 短 產 的
論
秘 て 歌 階 な
は
む 、 の
問
る そ 如 は に
ふ
理 の 何j 唯 敎
想 短 に︶ 物
は 歌 と 論 す
人
現 は 何 の る
革 故 立
は
何
維 命 に 場
を
持 的 と に
作
で 、 を 立
る
あ 集 物 ち
か
る 團 質 、
的 的
と
、 基
。
礎 を
無
無
產
產 出 か も
階
階 的 ら
會
で
短
短 あ き を
歌
歌 りk 、 も
藝
理
の 底︶
力 被
論
は
開 を 壓 を
も
問
す 持l
マ無 唯
ふ
る つ︶
マ
信 。 產 物
階 論i
條
︶
的
人
は
︵
︵ ︵
l
n m
植 ︶
あ ︶ ︶ つ
と 原
る
戦
定 。 的 思 文
後
的 本
の
唯 わ
版 。 唯 版
マ
物 れ
る
物
で
論 。 マ
論 で
は
。
版
版 は
、
初
、
出
現
戦
で
定 有
後
は
產
本
×
版
版
×
待
︵
短
定
つ
破
で 歌
本
壊
は
で
。
版
?
、
あ
︶
と
っ
現
で
も
た
あ
に
が
×
る
、
、
×
誤
持
で
。
155
︵ ︵
k j
あ ︶ ︶ 唯
り
戦 物
、 的 後 的
。 唯 版 。
物
論 定
版 本
版
戦
後 で
版 は
、
定 如
本 何
版 と
と 。
も
に
、
有 で
產 あ
階 る
。
の 世
利 界
に
於
て
唯
心
論
の
立
場
ひ を
、 と
個 りg
︶
人
そ
義 の
的
侶
走
的 義
で を
あ 見
つ よ
て
、 ︶
、
そ 無
の 意
歌 識
のh
は 中︶
人 に
を
擁
護
し
、
革
新
を
︵ ︵ ︵
i h g
︶ ︶ ︶
定 戦
的 本 後
唯 版 版
物
論 で 定
版 は 本
、 版
戦 う
後 ち で
版 に は
、
。
と
定
り
本
、
版
。
と
も
に
、
︵
二
四
︶
内務省による検閲体制と
7
︶
同
前
、
一
四
七
頁
。
一
九
三
三
年
五
月
五
日
付
留
守
宅
あ
て
書
簡
よ
り
。
6
︶
同
前
、
三
九
二
頁
。
5
︶
同
前
、
三
七
八
頁
。
4
︶
前
出
3
︶
別
冊
太
大 陽
塚
金 発
之 禁
助 本
著
作
集 明
治
第 ・
十 大
巻 正
、 ・
二 昭
〇 和
六 ・
頁 平
。 成
城
市
郎
コ
レ
ク
シ
ョ
ン
平
凡
社
、
一
九
九
九
年
、
一
六
二
頁
。
︵
二
五
︶
2
︶
渡
辺
順
三
割還付> 本 (田中)
題
1
︶
大
塚
金
之
助
著
作
集
烈
風
の
中
を 第
一 五
五 巻
三 、
頁 岩
。 波
書
店
、
一
九
八
一
年
、
七
五
頁
。
︻
俺
︼
獨
靑
年
働
︵
一
九
二
七
・
四
・
一
二
︶
[
詩
人
ハ
ン
ス
・
ヴ
ァ
ル
ニ
ン
グ
ホ
フ
︶
に
は
輝
い
て
く
れ
ぬ
の
だ
。
な
く
し
て
は
こ
の
太
陽
は
そ
れ
が
義
務
だ
。
俺 俺
の
太
陽
を
ひ
取
る
、
て
は
若
い 吾
。 等
に
の
權
利
あ
り
。
は
こ
こ
か
ら
出
立
す
る
。
否
て
の
短
歌
問
編
注
3
]
︵ ︵
β α
全 ︶ ︶ 囚
無
戦 は
產 的 後 れ
階 唯 版 て
ゐ
級 物
を 論 で る
、 版 は 。
。
、
︵
z
︶ ゐ
る
的 。
唯
物
論
版
戦 吾
後 吾
版 。
戦
後
版
定
本
版
定
本
版
と
も
に
、
と
も
に
、
154
問
題
は
こ
こ
に
來
る
。
問
題
は
こ
こ
か
ら
出
立
す
る
。
口
語
歌
の
問
題
︵
y
︶ 戦
後
版
的
類 で
物 は
論 、
版
×
×
戦 ︵
後 革
版 命
?
定 ︶
本 階
版 級
と 。
も
に
、
︵
x
︶ 傳
統
的 短
唯 歌
物
論 。
版
定
本
版
で
は
、
×
×
階
級
。
︵ ︵
w v
︶ ︶ 有
戦 產
的 後 を
唯 版
。
物
論 で
版 は
、
戦 ×
後 ×
版 ︵
轉
覆
定 ?
本 ︶
版 。
と
も
に
、
︵
u
︶
的
唯
物
論
版
戦
後
版
定
本
版
と
も
に
、
★
画
像
作
字
あ
り
︵
1
行
目
︶
★
北海学園大学人文論集
七
年
九
月
号
が
、
日
本
近
代
文
学
館
や
早
稲
田
大
学
中
央
図
書
館
な
ど
の
蔵
書
で
は
切
取
ら
れ
て
い
な
い
こ
と
が
述
べ
ら
れ
て
い
る
︵
一
九
二
頁
︶
。
19 18 書
︶ ︶
き
た 内 で
と 務 修
え 省 正
ば 警 さ
、 保 れ
前 局 て
出 編 お
︵
り
8 出 、
︶ 版 も
の 警 と
紅 察 は
野 報
謙
十
介 5 五
[ 日
検 復
閲 刻 だ
と 版 っ
文 ] た
学 、 可
龍 能
で 渓 性
も 書 も
、 舎 高
中 、 い
里 一 。
介 九
山 八
の 一
小 年
説 所
収
夢 。
殿
が
切
取
り
削
除
処
を
受
け
た
改
造
一
九
二
頁
︶
と
述
べ
ら
れ
て
い
る
。
な
お
、
︵
16
︶
と
同
じ
く
国
会
図
書
館
の
デ
ジ
タ
ル
デ
ー
タ
で
は
、
奥
付
の
発
行
日
が
九
月
廿
五
日
と
明
ら
か
に
手
さ
れ
続
け
て
き
た
が
、
山
本
司
が
調
査
し
た
と
こ
ろ
、
実
際
に
は
一
六
〇
人
で
あ
っ
た
こ
と
が
明
か
さ
れ
、
今
後
訂
正
が
必
要
で
あ
ろ
う
︵
一
五
八
九
三
〇
年
版
17
︶
山
本
司
の 初
評
巻 伝
末 ・
記 坪
野
で 哲
久
作
者
百 人
九 間
十 性
人 と
で 美
あ の
る 探
究
と 者
誤
記 ︵
し 角
た 川
た 書
め 店
、 、
そ 二
の 〇
後 〇
の 七
ほ 年
と ︶
ん で
ど 、
の 渡
書 辺
籍 順
で 三
が
百
九 プ
十 ロ
人 レ
タ
と リ
そ ア
の 短
ま 歌
ま 集
誤
記 一
い
る
。
そ
の
経
緯
は
不
明
。
16
︶
国
立
国
会
図
書
館
で
第 59号(2015年8月)
15
︶
小
野
弘
子
14
︶
東
村
の
歌
集
13
︶
た
だ
し
、
烈
風
の
中
を
一
矢 隅
代 よ
開 東 り
さ 村
れ
で で
て 九 は は
い 四 、 俸
る |
デ 九 へ 給
ジ 五 て を
タ 頁 を
ル 。 り 月
デ
給
ー
で
タ
あ と
で
る し
は
。 て
、
お
奥
り
付
、
の
引
発
用
行
間
日
違
が
い
と
五
思
月
わ
三
れ
十
る
一
。
日
と
、
明
ら
か
に
手
書
き
で
修
正
さ
れ
て
153
12
︶
巻
頭
の
目
次
で
は
こ
の
小
題
だ
が
、
本
文
一
一
七
頁
で
は
、
3
、
安
成
二
郎
、
西
村
陽
吉
、
矢
代
東
村
等
一
五
四
頁
で
は
、
引
用
の
後
ろ
か
ら
二
行
目
が
ふ
こ
と
勿
れ
︵
勿
れ
が
漢
字
︶
で
あ
る
。
だ
× が
×人 、
×を
殺本
文
×し
て
×死 は
ね
×︶ ひ
× ら
よ が
と な
は の
と
誤
記
さ
れ
て
お
り
、
注
意
が
必
と 要
、 で
あ
等 る
。
も
書
か
れ
て
い
る
。
な
か
れ
表
記
で
あ
り
、
晶
子
原
文
の
マ
マ
。
渡
辺
烈
風
の
中
を
11
︶
渡
辺
の
引
用
の
マ
マ
。
与
謝
野
晶
子
の
詩
の
初
出
明
星
一
九
〇
四
︵
明
治
三
七
︶
年
九
月
一
日
発
行
号
で
は
、
タ
イ
ト
ル
は
君
死
に
た
ま
と
記
さ
れ
て
い
る
が
、
記
憶
違
い
か
と
思
わ
れ
る
。
10
︶
前
出
の
渡
辺
順
三
烈
風
の
中
を
一
五
四
頁
で
は
、
四
九
頁
と
一
四
一
頁
の
二
頁
︵
裏
面
も
併
せ
て
四
頁
︶
が
削
除
処
を
受
け
た
9 8
︶ ︶
紅
千 野
代 謙
田 介
図
書 検
館 閲
蔵 と
内 文
務 学
省 一
委 八
託 三
本 頁
関 。
係
資
料
集
千
代
田
区
立
千
代
田
図
書
館
、
二
〇
一
一
年
、
三
頁
。
︵
二
六
︶
内務省による検閲体制と
に
つ
い
て
は
、
原
典
の
貴
重
さ
を
尊
重
し
、
旧
字
表
記
で
統
一
し
た
。
︵
二
七
︶
な
お
、
本
稿
で
の
活
字
表
記
は
、
同
会
報
で
の
表
記
に
倣
い
旧
字
は
新
字
に
改
め
た
が
、
巻
末
の
大
塚
金
之
助
無
產
者
短
歌
の
異
同
教
示
と
ご
高
配
を
た
ま
わ
っ
た
。
こ
こ
に
改
め
て
謝
意
を
記
し
て
お
き
た
い
。
割還付> 本 (田中)
筆
し
た
も
の
で
あ
る
。
大
塚
会
会
報
収
載
に
あ
た
っ
て
は
、
磯
﨑
道
雄
さ
ま
、
そ
し
て
、
大
塚
会
事
務
局
の
方
々
に
ひ
と
か
た
な
ら
ぬ
ご
152
八
月
刊
行
︶
に
、
大
塚
金
之
助
と
、
渡
辺
順
三
的
唯
物
論
よ
り
観
た
る
近
代
短
歌
本
稿
は
、
経
済
学
者
︵
一
橋
大
学
名
誉
教
授
︶
大
塚
金
之
助
ゆ
か
り
の
方
々
に
よ
る
大
を 塚
め 会
ぐ
る の
小
会
報
の
題 第
で 四
執 三
筆 号
し ︵
た 二
拙 〇
稿 一
に 五
補 年
指
摘
し
な
か
っ
た
。
23
22
︶ 五 ︶
八
年 た
つ 所 と
つ 収 え
︶ ば
こ な 、
こ ど 一
。 條
な
徹
ど
は
第
、
二
初
章
出
で
プ
は
ロ
レ
つ
タ
ゝ
リ
ア
短
こ
歌
ゝ
運
動
の
表
︵
記
土
で
屋
あ
文
る
明
が
代
、
表
本
稿
昭
で
和
は
短
主
歌
に
引
用
の
近
異
代
同
短
に
歌
っ
た
た
め
、
繰
返
し
記
号
は
・
第
三
巻
春
秋
社
、
一
九
21 20
︶ ︶
二
7 四
︶
と 二
同 |
じ 二
く 四
五 三
月 頁
五 。
日 典
付 拠
留 は
守
宅 短
あ 歌
て 研
書 究
簡
よ 一
り 九
。 三
大 三
塚 年
金 三
月
之 号
助 と
著 あ
作 る
集 。
第
十
巻
、
一
四
五
頁
。
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