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武尊山周辺 - 群馬県立自然史博物館

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武尊山周辺 - 群馬県立自然史博物館
武尊山周辺
(2年目)
武尊山周辺(2年目)
調査者 地形・地質 鷹野 智由、湯浅 成夫
植 物 安類 智仁、大平 満、大森 威宏、片野 光一、鈴木 伸一
蛭間 啓、増田 和明、吉井 広始
動 物 荒井 堅一、卯木 達朗、岡崎 太郎、片山 雅資、小林 栄一
斉藤 裕也、宍田 幸男、清水 良治、須田 亨、茶珍 護
夏目 道生、林 俊夫、松井 裕之
1 地域の概況
武尊山(海抜2158.0m)は、群馬県の北部の沼田市、利根郡みなかみ町、片品村、川場村にまた
がる第四紀前半に形成された複式成層火山で、上州武尊山とも呼ばれる。南面の川場谷が火口の崩
壊跡であり、それを囲むように前武尊(海抜2040m)、川場剣ヶ峰(海抜2090m)
、家ノ串山(海抜
2103m)、中ノ岳(海抜2144m)、主峰の沖武尊、剣ヶ峰山(海抜2020m)と海抜2000mを超える峰
が連なる。江戸時代後期から山岳信仰の山として知られ、日本百名山や新・花の百名山に選定され
ているが、国内の海抜2000m以上の山岳としては唯一、国立、国定、県立の自然公園のいずれにも
指定されていない。群馬県を代表する山地で絶滅危惧種や希少種が多く分布する地域であるが、動
植物に関する学術報告は断片的で少なく、本地域の自然が十分に把握されているとは言い難い。
武尊山は、かつてはアプローチが長いため登山者は多くなかったが、武尊牧場側から比較的容易
に入山できるようになったことに加え日本百名山ブームやトレイルランニングが盛んになったこと
で、夏季には家族連れを含めて多くの登山者が訪れるようになっている。また、日本海側気候の影
響を受ける地域で積雪が多いため、山腹には現在5つのスキー場があり、その一部は亜高山帯に達し
ている。さらに、ニホンジカによる植生被害が認められるようになってきている。
本調査は、これらの状況を踏まえ、武尊山周辺の自然の現状を総合的に把握することを目的とし
て行われるもので、調査対象地域を図1-1に示した。なお、調査対象地域のほとんどは利根沼田森林
図1-1 調査対象地域(国土地理院1/5万地形図「追貝」・「藤原」に加筆)
―113―
管理署が管理する国有林であり、一部が県有林及び民有林となっている。また、今年度は3年計画の
調査の2年目にあたり、武尊山の北面にあたる地域を調査対象としている。
調査結果の概要は以下の通りである。
〈地形・地質〉
今年度の調査は、木の根沢支流の大沢周辺を中心に行われた。大沢には、武尊火山噴出物の板状
節理の発達し安山岩溶岩と安山岩質の凝灰角礫岩が広く分布し、互層をなして緩い傾斜で堆積して
いる。木の根沢および大沢の下流域には、花崗岩が分布する。
大沢は、浸食が進みV字谷状を呈するが、河床の勾配は緩く、安山岩質溶岩や凝灰角礫岩が河床全
面に露出している。また、流域全体で表層の崩落が進み、多量の安山岩礫や崩落土、倒木などが流
れ込み、河床を埋積している場所が多い。安山岩溶岩や凝灰角礫岩が露出している場所では、小規
模な滝が数多く見られ、標高1280m付近から1400m付近では両岸に10mほどの急崖が形成されてい
る。
〈植物〉
今年度の調査は、奥利根水源の森キャンプ場周辺、武尊田代・花咲湿原周辺、木の根沢支流の大
沢周辺を中心に行われ、山地帯上部から亜高山帯下部にかけて、13群集13群落の合計26種類の植生
単位が区分された。特に、大沢右岸の急峻な尾根上に広く生育するアスナロ林は、群馬県内はもと
より全国的にも規模の大きなものと推定され、自然保全上きわめて重要な植生と考えられる。
また、2年間の調査で確認された維管束植物は87科266属468種10亜種18変種4雑種(678種内分類
群)で、既存の記録を加えると106科336属623種12亜種32変種6品種5雑種(678種内分類群)にな
る。
〈野生動物〉
今年度の調査によって、哺乳類18種、鳥類66種、魚類1種、昆虫類としてトンボ目15種、カメム
シ目(水生)4種、コウチュウ目142種(水生13種、属までの同定を含む)、チョウ目チョウ類28種、
チョウ目ガ類128種(属までの同定を含む)、クモ類12種、陸・淡水産貝類10種が確認された。
なお、本地域は調査対象となる場所へのアプローチが長く地形の急峻な場所があるため、地形・
地質、植物、魚類、昆虫類の合同調査において、松井田山岳会の佐藤悦良、由田幾夫、河野英一、
松本洋一の各氏に調査のサポートをしていただいた。また利根沼田森林管理署、利根漁業協同組合
には、調査にあたって多くの便宜を図っていただいた。ここに記し、心より感謝いたします。
(片野 光一)
―114―
2 地形・地質
(1)地形
踏査ルートは木の根沢の支流である大沢である。この地域は武尊山の北部域にあたり、木の根沢
がほぼ東西方向に流れ、奈良俣ダムの下流で洞元湖に合流する。大沢は沖武尊山(2158m)を源と
し、ほぼ南北方向に流れている。浸食が進みV字谷状を呈するが、河床の勾配は緩く、安山岩質溶岩
や凝灰角礫岩が河床全面に露出している。また流域全体で表層の崩落が進み、多量の安山岩礫や崩
落土、倒木などが流れ込み、河床を埋積している場所が多い(図2-1、図2-2)
。
安山岩溶岩や凝灰角礫岩が露出している場所では、数mから10m程度の小規模な滝が数多く観察
される(図2-3)。また標高1280m付近から1400m付近では、両岸に10mほどの急崖が形成されてい
る(図2-4)。
図2-1 崩落土や倒木で埋積された大沢
図2-3 大沢に見られる小滝
図2-2 大沢へ崩れている崩落土と
倒木
図2-4 大沢両岸に続く10mほどの高さの急崖
(2)地質
ア 調査地域の地質概略
武尊山は、沖武尊(2158m)を主峰とする第四紀の中頃に活動した複式成層火山である。武尊山
の溶岩流および火砕岩類、堆積物は、山口(1981)により次の5つのグループに分けられている。
―115―
前武尊グループ 武尊火山の溶岩、火砕岩類の中で最も下位の層準である。複輝石安山岩溶岩流
と凝灰角礫岩の互層を主体とし、泥流堆積物、湖沼性堆積物からなる。主に前武尊山、川場谷、西
俣沢などに分布する。
鹿俣沢グループ 前武尊グループの上位に重なる。複輝石安山岩溶岩流と少量の火砕岩からなる。
このグループは山体のほぼ全域に分布するが、山頂部や西域の鹿俣沢(かのまたざわ)、奈女沢(な
めざわ)周辺で特に厚い。
天神グループ 鹿俣沢グループの上位に重なる。天神溶岩流とその上位の溶岩流、および泥流堆
積物からなる。天神溶岩流は輝石斑晶に乏しい、かんらん石含有複輝石安山岩で、自形の斜長石斑
晶を容積比で20∼30%含む、均質な安山岩溶岩である。南方のすそ野に広く分布する。
無斑晶質安山岩グループ 天神グループの上位に重なる。無斑晶質安山岩溶岩流および同質の火
砕岩類からなる。山体全体をおおい、とくに尾根部、すそ野に広く分布している。
天狗岩グループ 無斑晶質安山岩溶岩流をおおう溶岩流および泥流堆積物からなる。最上位のグ
ループである。厚さ数m∼100mの8枚の溶岩流と、南西部に分布する上発知(かみほっち)泥流と
北部の上ノ原泥流からなる。
今回の調査地域では、前武尊グループと山頂付近の高標高部には鹿俣沢グループが分布するとさ
れる。一方、武尊山の基盤岩であるが、古期岩類としては岩室層(木村 1952)、片品花崗岩、赤倉
花崗岩(久保ほか 2002)
、蛇紋岩メランジなどである。これらの古期岩類は、ブロック化され複雑
に分布している。さらにこれらを基盤として、新第三系の追貝層(久保ほか 2013)が分布する。
追貝層は溶結凝灰岩を主体とする火砕流堆積物である。本調査地域の東にあたる西俣沢、荒砥沢、
塗川に小規模に分布している。
イ 調査結果
今回の露頭位置を図2-5、図2-6に示した。st番号は露頭位置を表し、本文に記載した露頭番号と同
じである。
st1
花崗岩。黄白色を呈し、深部まで風化が進んでいる(図2-7)。石英、長石は巨晶で、1㎜程度の黒
雲母結晶片を少量含む。ところどころ小規模なカルサイト脈が見られる。
st2
花崗岩。下位同様に黄白色を呈する。黒雲母結晶片の含有量が増える。
st3
安山岩質凝灰角礫岩。暗茶色を呈し、塊状である。河床一帯に露出する。礫は安山岩の亜角礫で平
均5∼20㎝の大きさである。最大は50㎝である。マトリックスは同質の安山岩質粗粒砂で、固結はよい。
st4
黒灰色安山岩溶岩。板状節理が発達する。1∼3㎜ほどの長石結晶片を含む。
st5
黒灰色安山岩溶岩。st4より節理は不明瞭であり、一部熱による赤色の変色が見られる。1∼3㎜ほ
どの長石結晶片を含む。
st6
安山岩質凝灰角礫岩。5mほどの落差の滝がかかる。20∼30㎝ほどの大きさの安山岩亜円礫を多く
含む、不淘汰で礫支持の凝灰角礫岩である。マトリックスは暗赤褐色の粗粒砂で固結が悪い。本岩
の上位には黒灰色の安山岩質溶岩が重なっている。
st7
安山岩質凝灰角礫岩と灰色安山岩溶岩(図2-8)。凝灰角礫岩は赤色を呈し、固結が悪い。礫は不淘
汰で含まれる量が変化している。この上位に灰色安山岩溶岩が重なる。溶岩は緩く西に傾斜して重
なる。溶岩にはところにより水平な板状節理が観察される。みかけの厚さは5m程度である。
st8
安山岩質凝灰角礫岩。全体に赤褐色を呈し塊状である。礫は灰色安山岩で5∼20㎝程度の大きさで
ある。
st9
灰色安山岩溶岩。灰色で少量の長石結晶片を含む。
―116―
図2-5 露頭位置図(st1∼st4)
図2-6 露頭位置図(st5∼st25)
図2-7 st2大沢の花崗岩の産状
―117―
図2-8 凝灰角礫岩とそれに重なる安山岩溶岩
st10
安山岩質凝灰角礫岩。
暗赤褐色を呈し河床に露出する。
st11、st12
灰色安山岩溶岩。灰色で少量の長石結晶片を含む。板
状節理が発達する(図2-9)
。
st13、st14、st15
安山岩質凝灰角礫岩。st13、st14での礫の大きさは5
∼30㎝で亜角礫である。st15では礫の含まれる量と大き
さが増し、礫支持の凝灰角礫岩となる。礫は暗褐色、暗
赤色、灰色、黒灰色と色調が激しく変化する。マトリッ
クスは暗茶∼暗赤色の凝灰質粗粒砂岩で、st13付近では
2∼3㎝の黄色軽石を少量含む。
st16
灰色安山岩質溶岩。白濁した1∼2㎜の長石結晶片を多
含する。2㎜ほどの有色鉱物結晶片を少量含む。板状節理
が発達している。
図2-9 st11の安山岩溶岩の産状
st17、st18
安山岩質凝灰角礫岩。礫は灰色安山岩を主体とし、大
きさは2∼30㎝、最大で70㎝である。礫は岩相からst16の
安山岩と同じである。
st19
灰色安山岩溶岩。
st20、st21、st22
赤色∼暗赤色の安山岩質凝灰角礫岩。塊状で河床全面に露出している(図2-10)。礫は5∼20㎝ほ
どの安山岩で、色調が黒、灰色、暗赤色と変化する。ところどころ白色にケイ化した礫を含む。上
位ほど不淘汰になる傾向が認められる。マトリックスは暗赤茶色の凝灰質砂岩である。
st23
灰色安山岩溶岩。板状節理が発達し、大沢河床全面に露出している(図2-11)。1㎜程度の白濁し
た長石結晶片を多含する。最大は3∼4㎜で半自形である。また黒雲母と思われる微小な有色鉱物片
が点在する。この地点から尾根部までこの溶岩が分布しているようである。
st24
灰色安山岩溶岩。岩相から下位のst23から連続している溶岩流であると判断される。
st25
灰色安山岩溶岩。下位のst24から連続している溶岩流である。この露頭が今回の調査では最も標高
が高い。
―118―
図2-10 河床に塊状に露出する凝
灰角礫岩
図2-11 安山岩溶岩の産状
ウ まとめ
(ア)木の根沢および大沢の下流域では、花崗岩が観察された。ここでは有色鉱物がとぼしい巨晶
質の花崗岩である。本調査地域の東域に基盤岩として片品花崗岩、赤倉花崗岩が分布するが、
岩相からはどちらにも対比できない。
(イ)大沢では、東域に分布する新第三系の追貝層の分布が確認できなかった。
(ウ)大沢では、武尊火山噴出物である黒灰∼灰色の安山岩溶岩と同質の凝灰角礫岩が広く分布す
ることが確認できた。分布から溶岩と凝灰角礫岩は互層をなし、緩い傾斜で堆積していると
判断できる。
(エ)大沢での安山岩溶岩は、黒灰色∼灰色を呈し板状節理が発達する。溶岩は微小な長石斑晶を
多く含み、針状ないし破片状の有色鉱物の結晶片を少量含む。分布域と岩相から山口(1981)
の前武尊グループの溶岩流と判断される。
(オ)大沢では安山岩質の凝灰角礫岩が厚く分布している。凝灰角礫岩は暗茶色∼暗赤色を呈し、
塊状である。安山岩亜角礫を主体とし、不淘汰である。また色調の変化が激しい。マトリッ
クスは凝灰質粗粒砂岩で固結は良くない。少量の黄色軽石を含むことがある。
(カ)山口(1981)では、大沢の中流、標高1450m付近で前武尊グループと上位の鹿俣沢グループ
の境界が示されている。しかし今回の調査では、山口(1981)の区分を支持する明瞭な違い
を明らかにすることはできなかった。
引用文献
木村達明(1952)岩室累層の地質学的研究(Ⅰ).地質学雑誌.58:457-468
久保誠二・鷹野智由・小池千秋(2013)群馬県北東部に分布する追貝層群の層序と地質構造につい
て.群馬県立自然史博物館研究報告.
(17):107-118.
山口尚志(1981)武尊火山の地質.地質学雑誌.87:823-832.
(湯浅 成夫・鷹野 智由)
―119―
3 植 物
(1)調査の概況
2015年度の調査対象地域は、武尊山の北面にあたり、利根川支流の木の根沢左岸源流部を中心と
する東西約9km南北約4kmの地域である。調査対象地域が広いため、植生・植物相の調査は、奥利
根水源の森・武尊田代(田代湿原)周辺と木の根沢支流の大沢流域について集中的に行った。
2015年度の植生・植物相の現地調査は、以下の日程と経路で行われた。
〈7月合同調査(奥利根水源の森・武尊田代周辺)〉
7月4日:田代保安林管理道路のマキバの沢付近(海抜1455m)から武尊田代(海抜1570m)を経
て花咲湿原(海抜1520m付近)までを往復する登山道沿いの経路。
7月5日:奥利根水源の森キャンプ場の遊歩道周辺(海抜1370mから海抜1455mにかけての地
域)
。
〈8月合同調査(大沢周辺)
〉
8月15日:県道63号線木の根沢大沢合流付近(海抜1090m)から大沢林道に入り、林道終点(海
抜1360m)から大沢左岸沿いの踏み跡を通って海抜1420m付近の幕営地に至る経路。及び、幕営地
付近の右岸沿いの地域。
8月16日:幕営地から大沢を遡行し、海抜1850m付近まで往復する経路。及び、幕営地から右岸尾
根を経て、セビオス岳下部の登山道(海抜1830m)まで往復する経路。
8月17日:幕営地から大沢合流付近に戻る経路。
植生調査は、Braun-Blanquet(1964)の植物社会学的方法を用い、植物相については目視を中心
に記録し、必要な場合には標本を採集した。
なお、大沢流域は、武尊山周辺のなかでも地形の急峻な地域として知られている。沢沿いには崩
れやすいゴルジュが長く続き、豪雨時の増水によって削られるため河床より上部の方が狭くなって
いる所が多く見られる。このため、沢に下れる場所は極めて限定される。また、河床や斜面が不安
図3-1 調査ルート及び植生調査地点(国土地理院数値地図25000(地図画像)「至仏山」・「鎌田」に加筆)
―120―
定で、前年度にサポート隊が下見をした時に比べて滝の状態などが一変しており、調査中において
も落石(長径1m以上)や崩壊による倒木(直径60㎝)が確認された。
(2)植生
ア 植生概要
群馬県の北部に位置する武尊山周辺は、日本海側気候の影響を受ける地域である。積雪量につい
ての詳しい資料は無いが、調査対象地域の最深積雪深を丸山(1987)をもとに推定すると、北面の
少ないところで150㎝以上、北に向かうにつれて増加し、200∼250㎝に達するところが多いと思わ
れる。
以下、2015年度に調査した地域の植生概要について述べる。
本地域の植生帯は、下部は山地帯夏緑広葉樹林域(ブナクラス域)に属し、海抜1600mから1700m
付近を境界として亜高山帯常緑針葉樹林域(コケモモ−トウヒクラス域)に移行する。
武尊山北面では、1960年代から1970年代にかけて山地帯夏緑広葉樹林域の伐採が進み、山腹斜面
を広く覆っていたブナ林の多くが失われ、自然植生は主に亜高山帯常緑針葉樹林域に見られる。
図3-2 武尊田代湿原断面図(測量・ボーリングは1975年10月、群馬大学教育学部堀研究室(未発表))
―121―
〈奥利根水源の森・武尊田代周辺〉
海抜1600m付近までの山腹斜面に広く分
布していたヒメアオキ−ブナ群集などのブナ
林は、多くが伐採されて育成天然林として管
理され、自然生の林分は武尊田代周辺や管理
道路沿いなどに残されている。木ノ根沢沿い
の崩積地には、ジュウモンジシダ−サワグル
ミ群集が見られるが、まとまった林分は少な
い。また、木ノ根沢沿いの岩角地の尾根には、
アカミノイヌツゲ−クロベ群集が生育する。
武 尊 田 代 は、流 入 河 川 の 無 い、長 径 約
250m、短径約150m、面積約3haの明瞭なドー
図3-3 武尊田代
ムを持つ高層湿原である。1975年に群馬大学
教育学部堀研究室が湿原の測量とボーリング
を行っており(未発表)
、その結果をもとにし
た湿原の断面図を図3-2に示した。湿原に堆積
する泥炭層の厚さは最大280㎝で、北端から
見ると中央部は180㎝ほど高まっており、塚
状の高まりのブルトや帯状の高まりのケル
ミ、それらの間の凹状地のシュレンケ、池塘
など高層湿原特有の微地形が発達している。
なお、断面図からは、この湿原がいくつかの
小さな凹地への滲み出し水を起源とする沼沢
地型のもので、泥炭層が堆積するにつれて全
体として複合し、ドーム型になったことがわ
図3-4 シカ道(武尊田代)
かる。ブルトやケルミには高層湿原植生のミ
ヤマミズゴケ群集やミヤマイヌノハナヒゲ−
キダチミズゴケ群集などが生育し、シュレン
ケにはヤチスゲ群落が見られる。また、中間
湿原植生のヌマガヤ群落が広く生育するほ
か、乾燥の進んだ部分にハイイヌツゲ群落、
東側部分などにレンゲツツジ−ズミ群集が分
布する。武尊田代の南東100mほどの所には
小さな沼がほとんど埋まった湿地があり、低
層湿原植生のヒメカイウ−ハクサンスゲ群落
が生育する。
花咲湿原は、沢の源頭部に形成された長径
約270m、短径約50m、面積約1.5haの中間湿
原ないし低層湿原で、北から南へ、及び東か
図3-5 ヌタ場(武尊田代)
ら西へ緩く傾斜している。湿原に堆積する泥
炭層の厚さは、最大174㎝で、Hr-FP:榛名
二ッ岳伊香保テフラの直上から泥炭の堆積を開始している(片野・吉井 1983)。中間湿原植生のミ
ズギク−コバイケイソウ群落が広く生育し、低層湿原植生のサドスゲ群落、ヤチスゲ群落、ミチノ
クホタルイ群落、カラフトドジョウツナギ群落、オオカサスゲ群集のほか、湿原下部にハイイヌツ
ゲ群落が見られる。
奥利根水源の森から武尊田代周辺にかけての地域には、ニホンジカの摂食などによる植生攪乱が
認められた。特に武尊田代や花咲湿原では顕著で、武尊田代ではヌタ場や裸地化した部分も見られる。
〈大沢周辺〉
大沢周辺は急峻な地域であるが、林道が造成され、山地帯夏緑広葉樹林域の多くが伐採されてい
―122―
る。しかし、林道終点上部の左岸域と幕営地上部の右岸域では山頂稜線部まで自然林が残されてい
る。右岸1430m付近の河床に近いテラスの崩積地には小規模なジュウモンジシダ−サワグルミ群集 が見られ、上部はマルバマンサク−ブナ群集やヒメアオキ−ブナ群集となるが、マルバマンサク−
ブナ群集では高木層にアスナロの卓越する林分が多い。アスナロは急峻で土壌の浅い所の多い本地
域を代表する樹木で、山地帯夏緑広葉樹林域上部の多くはアスナロ林となっている。また、岩角地
の尾根の一部にはアカミノイヌツゲ−クロベ群集が見られる。
海抜1700m付近から亜高山帯常緑針葉樹林域となり、オオシラビソ群集が山頂稜線付近までの山
腹斜面を広く覆い、岩角地の尾根にはマイヅルソウ−コメツガ群集が分布する。また、雪崩斜面上
部にはネコシデ−ダケカンバ群集が見られる。
大沢では、沢沿いの崩壊斜面にフキ群落やミヤマシシウド−オオイタドリ群集、湿性の岩壁にダ
イモンジソウ群落が生育するほか、海抜1800m付近にはミヤマハンノキ群落が見られる。
イ 植生調査
今年度の現地調査では、大沢とその周辺の尾根を中心に踏査を行い、合計46の植生調査資料が得
られた。これらは植物社会学的方法による植生の類型化により、15群集23群落の基本的植生単位が
区分され、以下に示す植生体系にまとめられた。本地域はこれまでにもほとんど植生調査が行われ
ていない地域であり、得られたデータはきわめて貴重なものである。特に大沢右岸の急峻な尾根上
に広く生育するアスナロ林は、群馬県内はもとより全国的にも大きなものと推定され、自然保全上
きわめて重要な植生と評価すべきと考えられる。
武尊山周辺の調査は3カ年計画で3地域に分けて行われる計画で、植生に関しては第1年次の今年
度調査資料に次年度以降の調査資料を順次加え、それらと比較をしながら群落を再区分し、まとめ
てゆく計画である。したがって、本稿では今回区分された植物群落についての植生体系的な位置づ
けにとどめ、最終年度に総合的なまとめを行いたい。
区分された植物群落とその体系
1. コケモモ−トウヒクラス:亜高山常緑針葉樹林
Vaccinio-Piceetea Br.-Bl. 1939
1-1. シラビソ−トウヒオーダー
Abieti-Piceetalia Miyawaki et al. 1968
1-1-1. オオシラビソ群団
Abietion mariesii Suz.-Tok. 1954
1-1-1-1. オオシラビソ群集(表3-1)
Abietetum mariesii Suz.-Tok. 1954
1-1-1-2. マイヅルソウ−コメツガ群集(表3-1)
Maiantho-Tsugetum diversifoliae Suz.-Tok. 1949 em. Nakamura 1986
2. ブナクラス:山地夏緑広葉樹林
Fagetea crenatae Miyawaki, Ohba et Murase 1964
2-1. ヒメコマツオーダー
Pinetalia pentaphyllae Suz.-Tok. 1966
2-1-1. ヒノキ群団
Chamaecyparidion obtusae Yamanaka 1962
2-1-1-1. アカミノイヌツゲ−クロベ群集(表3-1)
Ilici-Thujetum standishii Yamazaki et Nagai 1960
2-1. ササ−ブナオーダー
Saso-Fagetalia crenatae Suz.-Tok. 1966
2-1-1. チシマザサ−ブナ群団
Saso kurilensis-Fagion crenatae Miyawaki, Ohba et Murase 1964
2-1-1-1. マルバマンサク−ブナ群集(表3-1)
Hamamelido-Fagetum crenatae Miyawaki et al. 1968
―123―
2-1-1-2. ヒメアオキ−ブナ群集(表3-1)
Aucubo-Fagetum crenatae Miyawaki et al. 1968
2-1-1-3. アスナロ群落(表3-1)
Thujopsis dolabrata community
2-2. シオジ−ハルニレオーダー
Fraxino-Ulmetalia Suz.-Tok. 1967
2-2-1. サワグルミ群団
Pterocaryion rhoifoliae Miyawaki, Ohba et Murase 1964
2-2-1-1. ジュウモンジシダ−サワグルミ群集(表3-1)
Polysticho-Pterocaryetum Suz.-Tok. et al. 1956
3. ダケカンバ−ミヤマキンポウゲクラス:亜高山夏緑広葉樹林
Betulo ermanii-Ranunculetea acris japonica Ohba 1968
3-1. オオバタケシマラン−ミヤマハンノキオーダー
Streptopo-Alnetalia maximowiczii Ohba 1973
3-1-1. ミドリユキザサ−ダケカンバ群団
Smilacino yesoensis-Betulion ermanii Ohba 1973
3-1-1-1. ミヤマハンノキ群落(表3-2)
ssp. community
3-1-1-2. ネコシデ−ダケカンバ群集(表3-2)
Betuletum corylifolio-ermanii Nakamura in Miyawaki 1986
4. ノイバラクラス:つる−低木群落
Rosetea multiflorae Ohba, Miyawaki et Tx. 1973
4-1. トコロ−クズオーダー
Dioscoreo-Puerarietalia lobatae Ohba 1973
4-1-1. ミヤママタタビ−ヤマブドウ群団
Actinidio-Vition coignetiae Miyawaki et al. 1968
4-1-1-1. レンゲツツジ−ズミ群集(表3-2)
Rhododendro-Maletum Miyawaki, Okuda et K. Fujiwara 1971
5. オニシモツケ−オオヨモギクラス:山地広葉草原
Filipendulo-Artemisietea montanae Ohba 1973
5-1. オニシモツケ−オオヨモギオーダー
Filipendulo-Artemisietalia montanae Ohba 1973
5-1-1. オオヨモギ−オオイタドリ群団
Artemisio-Polygonion sachalinensis Miyawaki et al. 1968
5-1-1-1. フキ群落(表3-3)
$& community
5-1-1-2. ミヤマシシウド-オオイタドリ群集(表3-3)
Angelico-Polygonetum sachalinensis Suz.-Tok. et al. 1956
6. アオノツガザクラ−ジムカデクラス:雪田草原
Phyllodoco-Harrimanelletea Knapp 1954
6-1. チングルマオーダー
Geetalia pentapetali Miyawaki et al. 1968
6-1-1. イワイチョウ群団
Faurion crista-galli Suz.-Tok. 1964
6-1-1-1. ヌマガヤ群落(表3-4)
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$& community
―124―
6-1-1-2. ハイイツツゲ群落(表3-4)
var. community
A
6-1-1-3. ミズギク−コバイケイソウ群落(表3-4)
cd
community
A
7. ツルコケモモ−ミズゴケクラス:高層湿原(凸状地)
Oxycocco-Sphagnetea Br.-Bl. et Tx. 1943
7-1. キダチミズゴケオーダー
Sphagnetalia compacti Tx., Miyawaki et K. Fujiwara 1970
7-1-1. イワイチョウ−キダチミズゴケ群団
Faurio crista-galli-Sphagnion compacti Tx., Miyawaki et K. Fujiwara 1972
7-1-1-1. ミヤマイヌノハナヒゲ−キダチミズゴケ群集(表3-4)
Rhynchosporo -Sphagnetum compacti Suz.-Tok. 1954
7-1-1-2. ミヤマミズゴケ群集(表3-4)
Sphagnetum robusti Miyawaki, Ohba et Okuba 1968
8. ホロムイソウクラス高層湿原(凹状地)
Scheuchzerietea palustris Den Held, Barkman et Westhoff 1969. em. Tx., H. Suzuki et
Fujiwara 1970
8-1. ホロムイソウオーダー
Scheuchzerietalia palustris Nordhagen 1936
8-1-1. ヌマガヤ−ミカヅキグサ群団
Moliniopsio-Rhynchosporion albae Tx., H. Suzuki et Fujiwara 1970
8-1-1-1. ヤチスゲ群落(表3-5)
v
community
9. ヨシクラス:低層湿原
Phragmitetea Tx. et Prsg. 1942
9-1. 大型スゲオーダー
Magnocaricetalia Pign. 1953
9-1-1. ホソバノヨツバムグラ−大型スゲ群団
Galio brevipedunculati-Magnocaricion Miyawaki et Fujiwara 1970
9-1-1-1. オオカサスゲ群集(表3-5)
Caricetum rhynchophysae Miyawaki et Fujiwara 1970
10. ヌマハコベ−タネツケバナクラス:流水辺草本植物群落
Montio-Cardaminetea Br.-Bl. et Tx. 1943
10-1. オオバセンキュウ−タネツケバナオーダー
Angelico genuflexae-Cardaminetalia Ohba 1975
10-1-1. オオバセンキュウ−タネツケバナ群団
Angelico genuflexae-Cardaminion Ohba 1975
10-1-1-1. サドスゲ群落(表3-5)
community
v
10-1-1-2. カラフトドジョウツナギ群落(表3-5)
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10-1-1-2. ダイモンジソウ群落(表3-6)
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11. セイヨウオオバコクラス:路上、冠水地植物群落
Plantaginetea majoris Tx. et Prsg. 1950
―125―
11-1. オオバコオーダー
Plantaginetalia asiaticae Miyawaki 1964
11-1-1. チヤナギ群団
Polygonion avicularis japonicae Miyawaki 1964
11-1-1-1. クサイ−ミノボロスゲ群集(表3-7)
Junco-Caricetum albatae Miyawaki et al. 1968
11-1-1-2. ヒメスゲ群落(表3-7)
“ community
v
12. 上級単位の所属は未決定
12-1-1-1. ヒメカイウ−ハクサンスゲ群落(表3-5)
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v
12-1-1-2. ミチノクホタルイ群落(表3-5)
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―126―
表3-1 針葉樹林およびブナ林の群落組成表
―127―
―128―
表3-2 ミヤマキンポウゲ−ダケカンバクラス他
―129―
表3-3 山地高茎広葉草原
―130―
表3-4 湿原植生
―131―
表3-5 低層湿原群落(ヨシクラス)
―132―
表3-6 Saxifraga fortunei var. alpina community ダイモンジソウ群落
表3-7 踏跡草本群落
―133―
図3-6 オオシラビソ群集(大沢右岸尾根)
図3-7 マイヅルソウ−コメツガ群集
(大沢左岸尾根)
図3-8 マルバマンサク−ブナ群集(大沢右岸)
図3-9 ヒメアオキ−ブナ群集
(マキバノ沢左岸)
図3-10 アスナロ群落(大沢左岸尾根)
図3-11 ジュウモンジシダ−サワ
グルミ群集(大沢)
図3-12 ネコシデ−ダケカンバ群集
(大沢右岸尾根)
―134―
図3-13 ヌマガヤ群落(武尊田代)
図3-14 ハイイヌツゲ群落(花咲湿原)
図3-15 ミズギク−コバイケイソウ群落
(花咲湿原)
図3-16 ミヤマイヌノハナヒゲ−キダチミズゴ
ケ群集(武尊田代)
図3-17 ミヤマミズゴケ群集(武尊田代)
図3-18 ヤチスゲ群落(武尊田代)
図3-19 オオカサスゲ群集(花咲湿原)
図3-20 ヒメカイウ−ハクサンスゲ群落
(武尊田代東)
―135―
(3)植物相
武尊山とその周辺地域の維管束植物目録
1
調査者:大森威宏 Ohmori, T.・片野光一 Katano, K.・鈴木伸一 Suzuki, S.・吉井広始 Yoshii, H.・蛭
間 啓 Hiruma, A.
2 調査日と踏査経路
○2014年6月28日:武尊牧場(海抜1495m付近)から高山平避難小屋(武尊避難小屋、海抜1758m)を
経てセビオス岳上部の海抜1880m付近までを往復する登山道沿いの経路
○2014年8月15日:武尊牧場のベースキャンプ(海抜1490m)から高山平避難小屋を経てセビオス岳上部
の調査キャンプ(海抜1880m)に至った後、中ノ岳(海抜2144m)の南を巻いて三
ツ池西の海抜2100m付近までを往復する登山道沿いの経路
8月16日:調査キャンプから高山平避難小屋を経てベースキャンプに至る登山道沿いの経路
8月17日:武尊牧場の海抜1450mから1495mにかけての地域
○2015年 7月 4日:武尊田代、花咲湿原
7月 5日:奥利根水源の森キャンプ場(BC)周辺
7月10日:奥利根水源の森キャンプ場(BC)周辺及び照葉峡もみじ園地の補足調査(大森による)
○2015年8月15日:大沢林道入口∼林道終点∼BC 海抜1430m(大沢左岸)
8月16日:BC∼大沢遡上 海抜1800m、BC∼セビオス沢右岸尾根∼セビオス岳 海抜1800m
8月17日:BC ∼ 林道入口
3 科の配列および学名は、日本維管束植物目録(米倉 2012)によった。
本目録の科の配列は、小葉類→大葉類の順に配列し、大葉類はシダ植物→裸子植物→被子植物の順に
なっている。
シダ植物は Smith et al.(2006)
、裸子植物は Stevens(2003-2011.12月現在)、被子植物は Haston et
al.(2009)によるAPGⅢ分類体系(Angiosperm Phylogeny Group 2009)に従っている。属、種はす
べてアルファベット順に配列した。
4 備考欄の数字は、大森採集または大森ほか採集の採集番号で、人名が記されているものは採集者名であ
る。これらの標本は、群馬県立自然史博物館のハーバリウム(GMNH)に収蔵されている。
5 本目録の①は上記調査によって記録された植物であり、②は下記の過去の記録から付加したものである。
106科336属623種12亜種32変種6品種5雑種(678種内分類群)が記録されたが、2014・2015 年度調
査で記録された4科8属9種については保護上、その他の理由で本目録には掲載していない。
・宮脇 昭・奥田重俊・原田 洋・鈴木邦雄(1974)武尊山周辺植生調査結果報告書.群馬県
・群馬県企画部環境保全課(1975)武尊山地域,良好な自然を有する地域学術調査報告書(Ⅰ)46-48.
・大日方徳三(1976)田代原湿原地域,良好な自然を有する地域学術調査報告書(Ⅱ)1-2. 群馬県
・片野光一・菊地慶四郎・須藤志成幸・松沢篤郎・吉井広始(1983)武尊田代の東の湿原,良好な自然を
有する地域学術調査報告書(Ⅸ)82-94. 群馬県
・片野光一・吉井広始・須永 智・堀江延治(1987)1. 植生,群馬県植物誌改訂版 91-128,157-388.
群馬県
6 備考欄の〔固〕:固有種、
(帰):国外外来種である。記録された623種における各々固有率:32.9%、
帰化(国外外来)率:3.4%である。
①
'15. 8 '15. 7 2014
②
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
LYCOPHYTA ヒカゲノカズラ類(小葉類)
Lycopodiaceae ヒカゲノカズラ科
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ホソバトウゲシバ(トウゲシバ)
ヤチスギラン
ヒカゲノカズラ
アスヒカズラ
マンネンスギ(ウチワ,タチ)
タカネヒカゲノカズラ
⃝
⃝
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
Yoshii 11271
10581
Yoshii 11131
10500
EUPHYLLOPHYTA 大葉類
MONILOPHYTA 大葉シダ植物
Ophioglossaceae ハナヤスリ科
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Equisetaceae トクサ科
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Equisetaceae ゼンマイ科
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Plagiogyriaceae キジノオシダ科
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Dennstaedtiaceae コバノイシカグマ科
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ヤマハナワラビ
エゾフユノハナワラビ
ナツノハナワラビ
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⃝
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⃝
スギナ
イヌスギナ
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⃝
⃝
⃝
ゼンマイ
ヤマドリゼンマイ
⃝
⃝
⃝
⃝
ヤマソテツ
⃝
⃝
⃝
ワラビ
⃝
⃝
⃝
―136―
⃝
10236
10588 11161
11193
10493
11137 11155
①
'15. 8 '15. 7 2014
Pteridaceae イノモトソウ科
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Aspleniaceae チャセンシダ科
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Thelypteridaceae ヒメシダ科
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Woodsiaceae イワデンダ科
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Blechnaceae シシガシラ科
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Onocleaceae コウヤワラビ科
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Dryopteridaceae オシダ科
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Polypodiaceae ウラボシ科
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クジャクシダ
イワガネゼンマイ
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トラノオシダ
コタニワタリ
アオチャセンシダ
ミゾシダ
ハリガネワラビ
ケヒメシダ
ニッコウシダ
ヒメシダ
ミヤマワラビ
オオバショリマ
カラクサイヌワラビ
サトメシダ
ミヤマメシダ
タカネサトメシダ
ミヤマヘビノネゴザ
ヤマイヌワラビ
ヘビノネゴザ
イッポンワラビ
ウスゲミヤマシケシダ
ハクモウイノデ
オオメシダ
ミヤマシケシダ
ミヤマシダ
キヨタキシダ
オサシダ
シシガシラ
クサソテツ
コウヤワラビ
イヌガンソク
②
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
Yoshii
11262
⃝
11225
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
11160
11168
10461 11167
11166
10465 11219 11324
〔固〕10262 11312
10455 10467
11206
Suzuki
〔固〕11263
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
Suzuki
⃝
⃝
⃝
⃝
シノブカグマ
リョウメンシダ
オクヤマシダ
オシダ
シラネワラビ
ナンタイシダ
ミヤマベニシダ
ミヤマクマワラビ
ミヤマイタチシダ
ホタカワラビ
ホソバナライシダ
ホソイノデ
カラクサイノデ
サカゲイノデ
ジュウモンジシダ
ホテイシダ
ノキシノブ
ミヤマノキシノブ
オシャグジデンダ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
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⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
11183 11184
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝ 〔固〕Yoshii
11185 オクヤマシダԈシラネワラビ
⃝
Hiruma
⃝
10468
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
11192 11323
GYMNOSPERMAE 裸子植物
Pinaceae マツ科
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Cupressaceae ヒノキ科
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Cephalotaxaceae イヌガヤ科
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オオシラビソ
カラマツ
トウヒ
ハッコウダゴヨウ
キタゴヨウ
コメツガ
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⃝
ネズコ
(クロベ)
アスナロ
ヒノキアスナロ
⃝
⃝
⃝
⃝
ハイイヌガヤ
⃝
ミクニサイシン
⃝
⃝
ホオノキ
タムシバ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕
〔固〕 植栽
〔固〕
キタゴヨウԈハイマツ
〔固〕
〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕11270
⃝ 〔固〕
⃝
〔固〕
ANGIOSPERMAE 被子植物
Aristolochiaceae ウマノスズクサ科
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Magnoliaceae モクレン科
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―137―
⃝
⃝
〔固〕10264 Yoshii
⃝
⃝
〔固〕
〔固〕
①
'15. 8 '15. 7 2014
Lauraceae クスノキ科
ĩ
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Ƶ
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Ƶ
ケアブラチャン
オオバクロモジ
②
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕10252
NT 10244 11142
⃝
⃝
〔固〕10503
〔MONOCOTYLEDONS 単子葉類〕
Araceae サトイモ科
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Tofieldiaceae チシマゼキショウ科
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Scheuchzeriaceae ホロムイソウ科
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Nartheciaceae キンコウカ科
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Melanthiaceae シュロソウ科
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Colchicaecae イヌサフラン科
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Smilacaceae サルトリイバラ科
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Liliaceae ユリ科
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Orchidaceae ラン科
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Iridaceae アヤメ科
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Asparagaceae キジカクシ科
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Juncaceae イグサ科
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ヒロハテンナンショウ
ヒメカイウ
ミズバショウ
ヒメザゼンソウ
ザゼンソウ
イワショウブ
ホロムイソウ
⃝
ネバリノギラン
ノギラン
キンコウカ
ショウジョウバカマ
ウラゲキヌガサソウ
ツクバネソウ
クルマバツクバネソウ
エンレイソウ
ミヤマエンレイソウ
ウラゲコバイケイ
コバイケイソウ
チゴユリ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝ 〔固〕10483
⃝ 〔固〕11207
⃝
11205
⃝
10251 10494
⃝
⃝ 〔固〕11125 11190 11308
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝
オオウバユリ
ツバメオモト
コオニユリ
クルマユリ
オオバタケシマラン
タケシマラン
ヒメタケシマラン
タマガワホトトギス
ハゴロモホトトギス
ササバギンラン
オノエラン
ハクサンチドリ
サワラン(アサヒラン)
コイチヨウラン
エゾスズラン
カキラン
オニノヤガラ
アケボノシュスラン
アリドオシラン
ノビネチドリ
ミヤマフタバラン
ミズチドリ
オオヤマサギソウ
マイサギソウ
キソチドリ
コバノトンボソウ
ホソバノキソチドリ
トキソウ
ネジバナ
ショウキラン
⃝
〔固〕10514
〔固〕
〔固〕10499 11164
10239
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
11134
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
タチシオデ
ヤマカシュウ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10531
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10487 11317
〔固〕10253 11311
10490
〔固〕
〔固〕11274
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕
11151
11277
⃝
⃝
⃝
⃝
11327
Yoshii
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
アヤメ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
11200
11152
〔固〕
10501 10518
NT
10585
⃝
トウギボウシ(オオバギボウシ)
コバギボウシ
マイヅルソウ
ユキザサ
ヤマトユキザサ(ミドリユキザサ)
ヒロハユキザサ
オオナルコユリ(ヤマナルコユリ)
イグサ
ヒメイ
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⃝ 〔固〕10534
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10278 10477 11169
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〔固〕10248 11310
⃝ 〔固〕10554
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エゾホソイ
イトイ
クサイ
ヤマスズメノヒエ
タカネスズメノヒエ
クロボシソウ
ヌカボシソウ
タテヤマスゲ
ヒラギシスゲ
ショウジョウスゲ
ヒメカワズスゲ
ハクサンスゲ
ナルコスゲ
ホスゲ
アゼナルコ
コタヌキラン
オクノカンスゲ
タニガワスゲ
ニッコウハリスゲ
コハリスゲ
アイヅスゲ
カワラスゲ
ハガクレスゲ
ヒゴクサ
テキリスゲ
メアオスゲ
イトアオスゲ
ヤチスゲ
ミタケスゲ
トマリスゲ(ホロムイスゲ)
ヒメシラスゲ
ミヤマカンスゲ
シバスゲ
ミノボロスゲ
ミヤマシラスゲ
カワズスゲ
ヤチカワズスゲ
ヒメスゲ
エゾツリスゲ
グレーンスゲ
タヌキラン
キンスゲ
オオカサスゲ
サドスゲ
アズマナルコ
タガネソウ
ミチノクホンモンジスゲ
ワタスゲ
ヤマイ
ミカヅキグサ
ミヤマイヌノハナヒゲ
ミヤマホタルイ
ミチノクホタルイ
クロアブラガヤ
アブラガヤ
アイバソウ
ヤマヌカボ
ヌカボ
コヌカグサ
コミヤマヌカボ
ハルガヤ
シロトダシバ
コメススキ
ヤマカモジグサ
ホガエリガヤ
ヒメノガリヤス
ヒゲノガリヤス
イワノガリヤス
タカネノガリヤス
フサガヤ
カモガヤ
トボシガラ
ミヤマドジョウツナギ
ヒロハドジョウツナギ
カラフトドジョウツナギ
―139―
'15. 8 '15. 7 2014
⃝
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⃝
②
⃝
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
10464
11283
(帰)
10235
10474
11222
10229
⃝ 〔固〕10256
⃝
11180 11198 11314
⃝
10260
⃝
10463
10488 11143
〔固〕11197
〔固〕11195 11299
⃝
〔固〕10454
⃝
〔固〕11146
11313
〔固〕10267 11187
〔固〕
10243 10249
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
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⃝
⃝
⃝
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10230
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
11132 11157
10231 11221
〔固〕10259 11226
10469 11220
11188
〔固〕10466
11127 11149
10232 10475
〔固〕
11145
〔固〕11163 11202
〔固〕10478 10496
11141 11170
10245 11156
11196
⃝ 〔固〕10289
⃝
11129 11153
⃝
⃝
⃝ 〔固〕10509
⃝ 〔固〕10517
〔固〕
⃝
11179
⃝
⃝
⃝
11296
10238 10579
(帰)
⃝
⃝
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⃝
⃝
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
(帰)10234
〔固〕10538
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10505
〔固〕10445 10471 10510
10470 10486
10446 11304
11282
(帰)10575
10227
10266 10460 11171 11217 11290
11144
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ネズミホソムギ
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コメガヤ
イブキヌカボ
ススキ
ヌマガヤ
コシノネズミガヤ
オオアワガエリ
ヨシ
ミゾイチゴツナギ
スズメノカタビラ
ミスジナガハグサ
ナガハグサ
オオスズメノカタビラ
チシマザサ
オオバザサ
チマキザサ
クマイザサ
オニウシノケグサ
キンエノコロ
シバ
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②
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⃝
⃝
⃝
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
ネズミムギԈホソムギ
(帰)
(帰)
11212
10516
〔固〕
(帰)
11208 11216
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
(帰)10580
(帰)
(帰)11215
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⃝
(帰)
10587
⃝
〔EUDICOTILEDONEA 真正双子葉類〕
Papaveraceae ケシ科
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Lardizabalaceae アケビ科
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Cercidiphyllaceae カツラ科
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Grossulariaceae スグリ科
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Saxifragaceae ユキノシタ科
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ヤマキケマン
タケニグサ
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10277
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ミツバアケビ
⃝
サンカヨウ
キバナイカリソウ
オオレイジンソウ
ヤマトリカブト
オクトリカブト
サンヨウブシ(ジョウシュウトリカブト)
ルイヨウショウマ
ニリンソウ
キクザキイチゲ
サンリンソウ
ヤマオダマキ
オオヤマオダマキ
リュウキンカ
サラシナショウマ
ボタンヅル
ハンショウヅル
トリガタハンショウヅル
キクバオウレン
ミツバオウレン
グンナイキンポウゲ
アカギキンポウゲ
ウマノアシガタ
キツネノボタン
ヤマキツネノボタン
カラマツソウ
ハルカラマツ
ミヤマカラマツ
モミジカラマツ
⃝
⃝
⃝
⃝
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⃝
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⃝
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⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10254 10480
⃝ 〔固〕11315
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〔固〕
⃝ 〔固〕11316
⃝
11203
⃝ 〔固〕
11162
⃝ 〔固〕10532
⃝ 〔固〕11177
⃝
⃝
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
〔固〕
⃝
10257 11129
⃝ 〔固〕11209
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10560
10479
VU
11295
〔固〕10482
アワブキ
ミヤマハハソ
⃝
⃝
ヤマシャクヤク
⃝
〔固〕NT
マルバマンサク
⃝
〔固〕
ヒロハカツラ
⃝
⃝
〔固〕11285 11321
エゾユズリハ
⃝
⃝
〔固〕
ヤシャビシャク
コマガタケスグリ
⃝
⃝
⃝
⃝
NT 11191 11276
〔固〕
ハナチダケサシ
チダケサシ
トリアシショウマ
ツルネコノメソウ
⃝
―140―
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕11279
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕11322
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11267
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Crassulaceae ベンケイソウ科
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Vitaceae ブドウ科
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Rhamnaceae クロウメモドキ科
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Cannabaceae アサ科
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Urticaceae イラクサ科
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Fagaceae ブナ科
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ネコノメソウ
チシマネコノメソウ
マルバネコノメソウ
コチャルメルソウ
ヤグルマソウ
ダイモンジソウ
ウチワダイモンジソウ
クロクモソウ
ズダヤクシュ
'15. 8 '15. 7 2014
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
②
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ホソバイワベンケイ
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
〔固〕11174
11175
11281
〔固〕
〔固〕
10250
⃝
アリノトウグサ
⃝
ヤマブドウ
⃝
ヤブマメ
モメンヅル
ヌスビトハギ
ヤマハギ
ネビキミヤコグサ
イヌエンジュ
クララ
ムラサキツメクサ(アカツメクサ)
シロツメクサ
フジ
⃝
10546
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10578
〔固〕
10544
(帰)10589
⃝
⃝
⃝
⃝
ヒメハギ
10576
⃝ (帰)
⃝ (帰)
⃝ 〔固〕
⃝
ヒメキンミズヒキ
キンミズヒキ
ヤマブキショウマ
アズキナシ
タカネザクラ(ミネザクラ)
オオヤマザクラ
オニシモツケ
ミヤマダイコンソウ
ダイコンソウ
ズミ
ウワミズザクラ
シウリザクラ
イワキンバイ
ヒメヘビイチゴ
ミツモトソウ
キジムシロ
ミツバツチグリ
ノイバラ
クマイチゴ
ゴヨウイチゴ
クロイチゴ
モミジイチゴ
コガネイチゴ
エビガライチゴ
ヒメゴヨウイチゴ
ミヤマニガイチゴ
ベニバナイチゴ
チングルマ
ナナカマド
サビバナナカマド
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10563
10526
⃝
⃝
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
11275 11293
⃝
10452
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
11218
10572
10279
10255 10495 11307
10462
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ケンポナシ
〔固〕10497
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
11138
⃝ 〔固〕
⃝
ハルニレ
オヒョウ
ケヤキ
⃝
⃝
⃝
⃝
カラハナソウ
⃝
アカソ
ウワバミソウ
ヤマトキホコリ
ムカゴイラクサ
ミヤマイラクサ
エゾイラクサ
クリ
ブナ
⃝
⃝
⃝
⃝
―141―
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10564
11319
〔固〕11259
11201
〔固〕11182
①
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Juglandaceae クルミ科
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Betulaceae カバノキ科
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Cucurbitaceae ウリ科
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Oxalidaceae カタバミ科
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Salicaceae ヤナギ科
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Hypericaceae オトギリソウ科
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Geraniaceae フウロソウ科
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Lythraceae ミソハギ科
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Onagraceae アカバナ科
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⃝
ミズナラ
サワグルミ
⃝
ヤマハンノキ
ヤハズハンノキ
ヒメヤシャブシ
ミヤマハンノキ
ネコシデ
ダケカンバ
ウダイカンバ
シラカンバ
サワシバ
クマシデ
オオツノハシバミ
ツノハシバミ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
コミヤマカタバミ
ミヤマカタバミ
オトギリソウ
サワオトギリ
イワオトギリ
⃝
10591
⃝ 〔固〕10485
⃝ 〔固〕
⃝
10450 11326
〔固〕
⃝
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ヤマナラシ(ハコヤナギ)
バッコヤナギ
オオキツネヤナギ
ツガルヤナギ
イヌコリヤナギ
ミヤマヤナギ(ミネヤナギ)
オノエヤナギ
キツネヤナギ(ミヤマキツネヤナギ)
ケナシエゾノタチツボスミレ
オオバキスミレ
ヒゴスミレ
タチツボスミレ
シロバナタチツボスミレ
サクラスミレ
アオイスミレ
オオタチツボスミレ
スミレ
ミヤマスミレ
スミレサイシン
ツボスミレ
⃝
⃝
⃝
ミヤマニガウリ
ツルウメモドキ
オニツルウメモドキ
コマユミ
ツルマサキ
カントウマユミ
ヒロハノツリバナ(ヒロハツリバナ)
エゾツリバナ
ツリバナ
ニッコウマユミ
オオツリバナ
ウメバチソウ
クロヅル
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
⃝
⃝
⃝
②
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coll. Kawano
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⃝
⃝
⃝
⃝
10583
10542
〔固〕10539
10556 イヌコリヤナギԈキツネヤナギ
10561
〔固〕10263 10506
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
Yoshii 11287
⃝ 〔固〕
⃝
11147
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⃝
⃝
⃝
10577
⃝
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ゲンノショウコ
コフウロ
ハクサンフウロ
エゾミソハギ
10545
〔固〕10567
〔固〕10448 10498 11278
⃝
ウスゲヤナギラン
ミヤマタニタデ
タニタデ
ミズタマソウ
ケゴンアカバナ
イワアカバナ
ヒメアカバナ
ミヤマアカバナ
アカバナ
メマツヨイグサ
―142―
⃝
⃝
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⃝
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10527 10557
11258 11284
10582
11256
10571
11300 Yoshii
11302
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(帰)10570
①
'15. 8 '15. 7 2014
Staphyleaceae ミツバウツギ科
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Stachyuraceae キブシ科
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Cornaceae ミズキ科
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Balsaminaceae ツリフネソウ科
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ミツバウツギ
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キブシ
ケキブシ
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ヌルデ
ツタウルシ
ヤマウルシ
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⃝
オオモミジ
ヤマモミジ
アサノハカエデ
ヒトツバカエデ
ハウチワカエデ
コミネカエデ
キタノテツカエデ
イタヤカエデ
アカイタヤ
エゾイタヤ
ウリハダカエデ
コハウチワカエデ
ミネカエデ
オガラバナ
トチノキ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ヤマハタザオ
ヤマガラシ
ヒロハコンロンソウ
コンロンソウ
オオバタネツケバナ
ミズタネツケバナ
オクヤマガラシ
エゾハタザオ
スカシタゴボウ
キレハイヌガラシ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
キハダ
ツルシキミ
シナノキ
オオバボダイジュ
モイワボダイジュ
⃝
⃝
⃝
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
〔固〕
〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
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⃝
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⃝
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⃝
〔固〕
〔固〕
〔固〕11291
〔固〕Yoshii
〔固〕
〔固〕
〔固〕
〔固〕
〔固〕
〔固〕
〔固〕
10473
〔固〕11199
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
10521
⃝ 〔固〕
〔固〕10522
⃝
10520
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ツクバネ
ヤドリギ
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
Yoshii
10265
〔固〕
⃝
10562
(帰)11210
⃝
⃝
オンタデ
クリンユキフデ
アイイタドリ
イタドリ
ケイタドリ
オオイタドリ
イヌタデ
タニソバ
ヒメスイバ
エゾノギシギシ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
モウセンゴケ
オオヤマフスマ(ヒメタガソデソウ)
センジュガンピ
サワハコベ
ノミノフスマ
ウリノキ
ゴゼンタチバナ
ミズキ
(タカネミズキ)
⃝
⃝
⃝
10484 イタドリԈオオイタドリ
⃝
〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10566
⃝ (帰)10559
⃝ (帰)10569
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10237
⃝ 〔固〕11224
⃝
11173
11213
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ノリウツギ
ツルアジサイ
エゾアジサイ
ニッコウバイカウツギ
イワガラミ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
キツリフネ
⃝
―143―
Yoshii
⃝
⃝
⃝
10502 11135
10472
11227
⃝
⃝
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝
①
'15. 8 '15. 7 2014
Primulaceae サクラソウ科
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Garryaceae ガリア科(アオキ科)
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Boraginaceae ムラサキ科
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Oleaceae モクセイ科
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オカトラノオ
ツマトリソウ(コツマトリソウ)
コナスビ
ヤナギトラノオ
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サワフタギ
②
⃝
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⃝
⃝
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
10513 11126 11150
⃝
ヒメイワカガミ
オオイワカガミ
イワカガミ
コイワカガミ
⃝
⃝
⃝
オオバアサガラ
ハクウンボク
⃝
⃝
サルナシ
ミヤママタタビ
⃝
リョウブ
⃝
ミヤマホツツジ
ホツツジ
ガンコウラン
ベニサラサドウダン
イワナシ
ハナヒリノキ
ウラジロハナヒリノキ
アカモノ(イワハゼ)
ハリガネカズラ
ギンリョウソウ
ツガザクラ
ベニバナイチヤクソウ
ジンヨウイチヤクソウ
ムラサキヤシオツツジ
ハクサンシャクナゲ
アズマシャクナゲ
ヒカゲツツジ
レンゲツツジ
ウラジロヨウラク
オオバツツジ
コヨウラクツツジ
バイカツツジ
コメツツジ
ウスノキ
アクシバ
クロウスゴ
ツルコケモモ
オオバスノキ
クロマメノキ
コケモモ
ヒメウスノキ(アオジクスノキ)
〔固〕10457
⃝ 〔固〕10491
⃝ 〔固〕10261
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
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ヒメアオキ
⃝
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⃝
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
オオバノヨツバムグラ
エゾノヨツバムグラ
クルマバソウ
オオバノヤエムグラ
ヨツバムグラ
ホソバノヨツバムグラ
オククルマムグラ
ヤツガタケムグラ
ツルアリドオシ
オヤマリンドウ
タテヤマリンドウ
エゾリンドウ
フデリンドウ
ハナイカリ
テングノコヅチ
ツルリンドウ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
―144―
⃝
〔固〕10442
〔固〕
〔固〕
〔固〕
10478 10537
〔固〕11133
〔固〕10511
〔固〕
〔固〕
10233
〔固〕
〔固〕
〔固〕
〔固〕
〔固〕11136
〔固〕11139
〔固〕
〔固〕
10504
〔固〕Yoshii
10458
11130 11154
10258 10519 11140 11211
〔固〕
〔固〕Yoshii
〔固〕
10228 11223 11264
11260
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
10584
⃝
⃝
11280
CR 11257
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
タチカメバソウ
ミヤマアオダモ
トネリコ
10553
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝ 〔固〕10451
⃝
⃝
⃝
10541
〔固〕10492
⃝
10241 10536
⃝
〔固〕10523
⃝
⃝
〔固〕10523 11265
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Plantaginaceae オオバコ科
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Lamiaceae(Labiatae)
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ミヤマイボタ
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ヤマクワガタ
クガイソウ
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⃝
ジュウニヒトエ
ムラサキシキブ
ジャコウソウ
ヤマクルマバナ
クルマバナ
イヌトウバナ
ミヤマトウバナ
ヤマトウバナ
ヤマハッカ
カメバヒキオコシ
ヒメシロネ
エゾシロネ
ラショウモンカズラ
ミソガワソウ
ウツボグサ
ミヤマタムラソウ
ヒメナミキ
ニガクサ
ツルニガクサ
②
'15. 8 '15. 7 2014
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
〔固〕10246 11176 11289
〔固〕
〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕
10525
⃝
⃝ 〔固〕10565
⃝
11266
⃝
⃝
〔固〕11254
⃝
⃝
10524
⃝
11214
〔固〕11292
⃝
10540
⃝ 〔固〕11159 11288
⃝
⃝
10549
⃝
⃝
〔固〕11194 11325
エゾシオガマ
キヨスミウツボ
⃝
⃝
〔固〕
ムシトリスミレ
⃝
オオバミゾホオズキ
ハイイヌツゲ
ヒメモチ
アオハダ
ツルツゲ(マルバツルツゲ)
アカミノイヌツゲ
ヒメシャジン
ソバナ
ツリガネニンジン
ヤマホタルブクロ
ホタルブクロ
サワギキョウ
タニギキョウ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
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⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ミツガシワ
イワイチョウ
⃝
⃝ 〔固〕Yoshii
⃝
⃝
10456
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
ノコギリソウ(広義)
オクモミジハグマ
ブタクサ
ヤマハハコ
チョウジギク
ヨモギ
ヒトツバヨモギ
オオヨモギ(ヤマヨモギ)
ゴマナ
ユウガギク
ノコンギク
ノッポロガンクビソウ
トネアザミ(タイアザミ)
ナンブアザミ
ノアザミ
ノハラアザミ
サワアザミ
ヤクシソウ
ヒメジョオン
アズマギク
ヨツバヒヨドリ
サワヒヨドリ
ヤナギタンポポ
ミズギク
タカネニガナ
ニガナ
―145―
〔固〕
10552
〔固〕10530
10242
〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
(帰)10590
⃝
⃝ 〔固〕11148
⃝
⃝
⃝
〔固〕10443
11255
〔固〕10529
〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝
〔固〕10533
〔固〕
⃝
⃝ (帰)10568
⃝ 〔固〕絶滅?
⃝
10535
⃝
⃝
10550
⃝
⃝ 〔固〕
⃝
①
'15. 8 '15. 7 2014
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$
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&
˃
$&
クモマニガナ
ハナニガナ
ウスユキソウ
マルバダケブキ
オタカラコウ
メタカラコウ
カニコウモリ
ヨブスマソウ
オオバコウモリ
オオカニコウモリ
イヌドウナ
クルマバハグマ
フキ
コウゾリナ
ヤマニガナ
ハンゴンソウ
アキノキリンソウ
ミヤマアキノキリンソウ
オヤマボクチ
セイヨウタンポポ
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
エゾニワトコ
オオニワトコ
オオカメノキ(ムシカリ)
ケナシヤブデマリ
マルバゴマキ
ミヤマシグレ
オオミヤマガマズミ
ミヤマガマズミ
⃝
アラゲヒョウタンボク
ハクサンオミナエシ(コキンレイカ)
タニウツギ
⃝
ウド
タラノキ
ミヤマウド
コシアブラ
タカノツメ
ノチドメ
オオチドメ
ハリギリ
ハリブキ
トチバニンジン
⃝
エゾボウフウ
ノダケ
アマニュウ
オオバセンキュウ
シラネセンキュウ
ミヤマシシウド
シシウド
ミチノクヨロイグサ
エゾノヨロイグサ
シャク
ミヤマセンキュウ
ミヤマヤブニンジン
ヤマゼリ
ハクサンボウフウ
イワセントウソウ
ウマノミツバ
カノツメソウ
シラネニンジン
イブキゼリモドキ
ヤブジラミ
②
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕
10547
⃝
⃝
⃝
⃝
11273
⃝ 〔固〕
⃝
〔固〕11268
⃝ 〔固〕
〔固〕11269 11301
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕10240
⃝
⃝
⃝
⃝
10555
⃝
10453
⃝ 〔固〕10449
⃝ (帰)
11318
〔固〕
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕
〔固〕
10489
10247
〔固〕11320
⃝ 〔固〕10508
⃝ 〔固〕
⃝
⃝
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
⃝ 〔固〕
10558
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
備 考
RD,採集者・採集番号,固有・帰化 etc.
〔固〕
11186
11253
⃝ 〔固〕10440 10551
⃝ 〔固〕
〔固〕10528 10543 10548 10573
10574
⃝
10268 11204
⃝
10481 22303
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
⃝
〔固〕
11261
⃝
⃝ 〔固〕
⃝
10459 10507
⃝ 〔固〕10447 11305
⃝
引用文献
Braun-Blanquet, J. (1964) Pflanzensoziologie, Grundz㣚ge der Vegetationskunde. 3 ed. SpringerVerlag, 865pp. Wien and New York.
片野光一・吉井広始(1983)武尊田代の東の湿原(2)植生.良好な地域を有する学術調査報告書9,
82-94.群馬県林務部自然保護対策室.
丸山定利(1987)2.群馬県の気候.群馬県植物誌改訂版,17-32.群馬県.
(鈴木 伸一・片野 光一・吉井 広始・大森 威宏)
―146―
4 野生動物
(1)哺乳類
ア 調査時期及び調査範囲
調査時期と範囲は次のとおりである。5月と8月に裏見の滝から手小屋沢避難小屋(標高1100
∼1700m)、6月と10月に大沢と木の根沢(標高1100m付近)
、7月と9月に武尊田代下部(標高1450m
付近)
、6月と8月に武尊田代(標高1600∼1740m)
、8月と10月に武尊山山頂周辺(標高2158m付近)
、
7月と10月に武尊沢から剣ヶ峰(標高1400∼2000m)である。
イ 調査方法
(ア)目視・フィールドサイン法
主に哺乳動物の活動時間帯である夜間に調査地域内を踏査し、目視により確認をする。また、日
中は糞や爪痕等のフィールドサインを収集し、記録した。
(イ)トラップ法
ネズミ・モグラ類を対象として、55台のシャーマントラップを約10m間隔にラインセンサス式に
山中に設置した。
(ウ)超音波測定法
夕方から夜間に飛翔しているコウモリ類の発信する超音波をバットディテクタ−で測定し、周波
数帯からコウモリ類の種の判定を行った。なお、測定に使用したバットディテクタ−の機種はイギ
リス製BD(MINI-3)
、周波数はMINI-3のサンプル・データーを基準とした。
ウ 調査結果
動物の目視やフィールドサイン及び捕獲状況、また、バットディテクタ−で測定された超音波に
よるコウモリ類の確認地点を図4-1に示した。
本調査地域における既存資料として、11科15種の生息が確認されている(夏目 1973)
。また、
2014年の調査では、7目12科21種が記録されている(群馬県自然環境課 2015)。今回の調査にて
確認された種は7目10科18種であった。本州中部以北の山岳地に生息していたシントウトガリネズ
ミ(県準絶滅危惧種)
、氷河期の残存種であるヤチネズミ(環境省RDB希少種)やオコジョ(環境省
準絶滅危惧種)も継続して確認されていることから、小型哺乳類の生活圏は安定維持されていると
推測される。この3種を除く残りの15種は、亜高山帯から山地帯に生息する普通種である。
同定は、今泉(1960,1970)
、阿倍ほか(1994)を基準とした。
生息種確認状況は、以下の通りで(図4-1)、3次メッシュは№5539-10-[59.69.77.78.79.
87.88.89]
、5539-11-[50.51.60.61.72.73.82.83.91.93.94]
、5539-21-[00.01.
03.04.10.11.13.14]である。
シントウトガリネズミ
(捕獲)
[60]
ヒメヒミズ(捕獲)
[60]
ヒミズ(捕獲)
[01.14.69.79.83.94]
モモジロコウモリ
(超音波50kHz・捕獲)
[01.69.87]
ヤマコウモリ(超音波20kHz)
[04.10.69.78.82.89.94]
ヒナコウモリ(超音波25kHz・捕獲)
[04.10.61.69.78.82.89.94]
ウサギコウモリ
(超音波30kHz・捕獲)
[82.94]
テングコウモリ(捕獲)
[79]
ノウサギ(糞・目視)
[03.61.83.94]
ヤチネズミ(捕獲)
[60]
ヒメネズミ(捕獲)
[01.13.60.78.87.89.93.94]
アカネズミ(捕獲)
[01.13.60.78.87.89.93.94]
ツキノワグマ(目視)
[89]
タヌキ(目視)
[00.14.59.83.87.89.94]
イタチ(糞)
[14.59.61.79.84]
オコジョ(目視)
[89]
アナグマ(目視)
[00]
ニホンジカ(目視・足跡・糞)
[10.11.78.83.93.94]
―147―
図4-1 生息分布図
分類は環境庁
(1993)
に準拠した。
( )
は標高(m)
を示す。
エ 目録
Soricidae トガリネズミ科
シントウトガリネズミ
4-Ⅷ-2015 武尊山(2158)
Talpidae モグラ科
ヒメヒミズ
4-Ⅷ-2015 武尊山(2158)
&-
ヒミズ
19-Ⅴ-2015 裏見ノ滝(1000)
、2-Ⅷ-2015 手小屋沢避難小屋(1600)
、22-Ⅷ-2015 武尊山
(2100)、
23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
Vespertilionidae ヒナコウモリ科
:
モモジロコウモリ
19-Ⅴ-2015 武尊神社林道終点(1100)
、1-Ⅹ-2015 大沢(1200)
、2-Ⅷ-2015 手小屋沢避難小屋
(1600)
N
X ヤマコウモリ
23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
、1-Ⅹ-2015 大沢
(1150)
、13-Ⅶ-2015 武尊沢
(1400)
、19-Ⅴ-2015 武尊神社林道終点
(1100)
^
ヒナコウモリ
23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
、1-Ⅹ-2015 大沢
(1150)
、13-Ⅶ-2015 武尊沢
(1350)
、19-Ⅴ-2015 武尊神社林道終点
(1100)
r
ウサギコウモリ
23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
:
Ž テングコウモリ
2-Ⅷ-2015 手小屋沢避難小屋(1600)
Leporidae ウサギ科
”
š- ノウサギ
―148―
23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
、29-Ⅸ-2015 武尊田代北面林道(1520)
、26-Ⅹ-2015 武尊山
(2150)
Muridae ネズミ科
¤-
ヤチネズミ
22-Ⅷ-2015 武尊山(2150)
¸
Ž ヒメネズミ
22-Ⅷ-2015 武尊山(2150)
、29-Ⅸ-2015 武尊田代北面林道(1500)、1-Ⅹ-2015 大沢(1100)、2-Ⅷ2015 手小屋沢避難小屋
(1600)
、23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
¸Ë
アカネズミ
22-Ⅷ-2015 武尊山(2150)
、29-Ⅸ-2015 武尊田代北面林道(1500)
、1-Ⅹ-2015 大沢(1100)、2-Ⅷ2015 手小屋沢避難小屋
(1600)
、23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
Ursidae クマ科
&
-š ツキノワグマ
2-Ⅷ-2015 手小屋沢避難小屋(1600)
Canidae イヌ科
N
タヌキ
29-Ⅸ-2015 武尊田代北面林道(1500)、23-Ⅵ-2015 武尊田代(1600)、1-Ⅹ-2015 大沢(1150)、19Ⅴ-2015 武尊神社林道終点
(1200)
、13-Ⅶ-2015 武尊沢(1400)
Mustelidae イタチ科
:
イタチ
19-Ⅴ-2015 武尊神社林道終点(1200)、23-Ⅵ-2015 武尊田代(1600)、13-Ⅶ-2015 武尊沢
(1500)
:Ë
オコジョ
2-Ⅷ-2015 手小屋沢避難小屋(1600)
:
アナグマ
1-Ⅹ-2015 大沢
(1200)
、19-Ⅴ-2015 武尊神社林道終点(1150)
Cervidae シカ科
ġX
ニホンジカ
1-Ⅹ-2015 大沢
(1150)
、19-Ⅴ-2015 武尊神社林道終点
(1200)
、29-Ⅸ-2015 武尊田代北面林道
(1520)
、23-Ⅵ-2015 武尊田代(1650)
引用文献
阿倍 永・石井信夫・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明(1994)日本の哺乳類.195pp.東
海大学出版会.
今泉吉典(1960)原色日本哺乳類図鑑.196pp.保育社.
今泉吉典(1970)日本哺乳動物図説上巻.350pp.新思潮社.
環境庁編(1993)日本産野生生物目録 脊椎動物編.80pp.(財)自然環境研究センター.
夏目道生(1973)上州武尊山の小哺乳類相.淑徳中高等学校紀要.22-40.
夏目道生(2015)武尊山周辺 哺乳類.良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(第41号)
,
60-63.群馬県自然環境課.
群馬県(2012)群馬県レッドデータブック動物編改訂版 哺乳類.58-71.
環境省編(2012)環境省レッドリスト.
(夏目 道生)
(2)鳥類
調査地域は、標高1100m∼沖武尊2158mの北面一帯で、ブナ・ミズナラ・ダケカンバ等の広葉樹
が主となる林で、標高1700mから上部はオオシラビソ・トウヒ・コメツガなどの針葉樹も生育して
いる。本調査地域はクマタカ、ハヤブサの生息地としても貴重な地域である。
本調査地域の生息種、および稜線の岸壁に生息する絶滅危惧種のイヌワシ、クマタカ、ハヤブサ
などの猛禽類の現状把握のため調査を行った。
ア 調査方法、調査場所および調査日
調査方法は、設定したコースをゆっくり歩き、主に目視と鳴き声で確認し、種を記録したが、8∼12
倍の双眼鏡も用いた。個体確認のため、3∼5分静止することもあった。調査範囲はコース両側(片
側50m)とした。テリトリーを広く持つ種については、調査範囲外でも記録した。
調査場所は、以下の3コースとした。
―149―
Aコース:奥利根水源の森−田代湿
原−武尊避難小屋
Bコース:武尊山登山口(入会の森)
−手小屋沢避難小屋
Cコース:武尊神社−手小屋沢避難
小屋−沖武尊
調査日は、2015年6月6日、6月7日、6
月20日、6月21日、7月9日、7月10日、7
月20日、8月2日、8月8日、10月31日、11
月16日の11日間で、表4-1のようなコー
スおよび時間で行った。
表4-1 調査日と調査地
調査日
調査時間
天気
調査コース
2015年6月6日
2015年6月7日
2015年6月20日
2015年6月21日
2015年7月9日
2015年7月10日
2015年7月20日
2015年8月2日
2015年8月8日
2015年10月31日
2015年11月16日
18:00∼22:00
4:00∼10:30
18:00∼22:00
3:30∼11:00
18:00∼22:00
3:30∼15:00
4:00∼10:00
4:00∼10:00
4:00∼10:00
7:00∼14:00
7:00∼12:00
晴
晴
曇
曇
晴
晴
晴
晴
晴
晴
晴
B
B
A
A
C
C
B
A
B
A
B
イ 調査結果
確認された鳥は表4-2のとおりで、2015年6月6日から7日は31種、6月20日から7日は43種、7月9
日から10日は42種、7月20日は34種、8月2日は37種、8月8日は21種、10月31日は23種、11月16日
は10種で、全体では27科66種であった。クマタカはAおよびCコースで、ハヤブサはAおよびBコー
スで確認された。
ハヤブサは、過去にも記録されているが、イヌワシは確認できなかった。クマタカと稜線を境に
棲み分けているため確認できなかった可能性が考えられる。
表4-2 調査日と確認された種(2015年)
調査日
種名
Accipitridae タカ科
¸
ハイタカ
Ł
クマタカ
Falconidae ハヤブサ科
Œ
Ž ハヤブサ
Phasianidae キジ科
Ž ヤマドリ
Columbidae ハト科
キジバト
Cuculidae カッコウ科
ġ
ƚŽ ジュウイチ
ġË
カッコウ
ġË
ツツドリ
ġË
- ホトトギス
Strigidae フクロウ科
Dž
コノハズク
フクロウ
Caprimulgidae ヨタカ科
ġŽ
ヨタカ
Apodidae アマツバメ科
¸
ƚ アマツバメ
ǿ
ハリオアマツバメ
Picidae キツツキ科
r
țȝ アオゲラ
ȯ アカゲラ
Ë
オオアカゲラ
Ë
ȝŁȝ コゲラ
Hirudinidae ツバメ科
-
š イワツバメ
Motacillidae セキレイ科
:
キセキレイ
¸-
-Ž ビンズイ
Campephagidae サンショウクイ科
r
X サンショウクイ
Pycnonotidae ヒヨドリ科
ǿ
ヒヨドリ
Laniidae モズ科
”
š- モズ
Cinclidae カワガラス科
ġ
カワガラス
Troglodytidae ミソサザイ科
˂Ž
Ž ミソサザイ
Prunellidae イワヒバリ科
rË
š カヤクグリ
Turdidae ツグミ科
¤-
ȝ-Ž コマドリ
”
コルリ
調査地
天気
6月
6/7日
B
晴/晴
○
○
○
○
6月
20/21日
A
曇/曇
7月
9/10日
C
晴/晴
○
○
○
7月
20日
B
晴
8月
2日
A
晴
8月
8日
B
晴
11月
16日
B
晴
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
計
○
○
○
○
○
10月
31日
A
晴
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
―150―
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
調査日
種名
˂Ž
ルリビタキ
r-
ジョウビタキ
̹ ノビタキ
̾-
トラツグミ
͌
š マミジロ
͌Ë
クロツグミ
͌Ë
- アカハラ
͌Ë
ツグミ
Sylviidae ウグイス科
&-
̹ ヤブサメ
ġ
- ウグイス
r-
š メボソムシクイ
rË
š エゾムシクイ
rË
センダイムシクイ
ϏŽ
Ž キクイタダキ
Muscicapidae ヒタキ科
Œ
キビタキ
ġ
オオルリ
:
š サメビタキ
Aegithalidae エナガ科
¸Ž-
エナガ
Paridae シジュウカラ科
r
コガラ
rË
ヒガラ
rË
X ヤマガラ
rË
Žȯ シジュウカラ
Sittidae ゴジュウカラ科
ゴジュウカラ
Zosteropidae メジロ科
̾
ȯ メジロ
Emberizidae ホオジロ科
¤šŁ
ホオジロ
¤Ë
カシラダカ
¤Ë
- ノジコ
¤Ë
- アオジ
¤Ë
Xš クロジ
Fringillidae アトリ科
ŒŽ
ƚŽ アトリ
&Ž
š ベニマシコ
r-
- ウソ
¤-
イカル
Corvidae カラス科
ӿ
Ž カケス
NƚŽ
ホシガラス
ġX
ハシボソガラス
ġË
-- ハシブトガラス
科数計
種数計
調査地
天気
6月
6/7日
B
晴/晴
○
○
6月
20/21日
A
曇/曇
7月
9/10日
C
晴/晴
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
8月
8日
B
晴
10月
31日
A
晴
11月
16日
B
晴
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
24
43
○
○
○
21
42
○
○
○
○
○
○
18
34
○
○
20
37
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
13
21
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
計
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
16
31
8月
2日
A
晴
○
○
○
○
○
7月
20日
B
晴
○
○
13
23
○
○
8
10
○
○
○
○
○
○
○
○
27
66
(卯木 達朗)
(3)魚類
調査は湯ノ小屋沢の水源の森付近と湯ノ小屋沢支流の大沢で実施した。水源の森付近と大沢はい
ずれも合同調査での実施に1∼2回の調査を追加して実施した。7月の水源の森付近と8月の大沢の調
査では釣りで採取を行い、10月は禁漁期間中であるので特別採捕許可(利根第144-5号)を得て
ショッカ―を用いて行った。確認されたのはイワナ1種で、いずれも在来個体群とは判断できないも
のであった。
湯ノ小屋沢の水源の森付近では7月と10月に調査を行った。7月は合同調査の7月4、5日に加え19
日、24日に実施した。10月は12日に実施した。7月の調査では全長85∼262㎜までの42個体を(全
長200㎜以下は計測後放流)
、10月には全長104∼279㎜の38個体を得て、1年魚(0+)から5年魚(4
+)までの年齢構成で5年魚(4+)は7月と10月の調査で1個体ずつと少ないことが判明した(図4-2)
。
この水源の森付近では250㎜以上の個体は極めて少なく、高い釣獲圧があると推定された。抱卵数は
10月に採取した全長200㎜の個体で258粒であった(表4-3)
。
大沢では大滝までを7月13日に、大滝より上部は合同調査の8月15、16日に実施した。合同調査の
テント場直下で全長176∼252㎜の個体を6個体得た。図4-3の個体はこの時採取した243㎜と252㎜
の個体(いずれも♂)である。
最上流での確認は、湯ノ小屋沢の水源の森付近では右の俣沢の標高1455m付近、大沢では標高
1420m付近であった。
―151―
図4-2 水源の森付近のイワナのサイズ組成(7月と10月の比較)
表4-3 10月に採取した大型個体(3個体)の計測結果
№
1
2
3
全長
(㎜) 叉長(㎜) 体長(㎜) 体重(g)
200
204
279
193
193
270
171
175
240
102
103
220
性別
生殖腺重量(g)
抱卵数
推定年齢
♀
♂
♂
14.20
1.80
1.66
258粒
‐
‐
3年魚(2+)
3年魚
(2+)
5年魚
(4+)
図4-3 大沢での釣獲個体(上 243㎜ 下 252㎜)
(斉藤 裕也・松井 裕之)
―152―
(4)昆虫類
ア トンボ目
武尊田代湿原については、群馬県が良好な自然環境を有する地域学術調査として1975年(大日方
ほか 1976)及び1982年(久保ほか 1983)に実施している。しかし、トンボ目については科名の
みで種の生息記録はないため、武尊田代湿原及び花咲湿原を中心にトンボ目の調査を実施した。
(ア)調査範囲と調査日
武尊田代湿原(①)と花咲湿原(②)及び各湿原までの登山道(ヒメカイウ駐車場∼花咲湿原)、
右の俣沢(③)において調査を実施した。
調査は、表4-4のとおり6月10日から9月19日まで計9回実施した。
(イ)調査方法
調査地を踏査し、主に目視により種を確認した。目視では同定が困難な種については、捕虫網に
よる捕獲およびカメラの撮影画像により種を確認した。
図4-4 調査地
表4-4 調査日と天候、気温
月 日
天 候
6月10日
晴
7月11日
7月22日
7月27日
8月16日
8月19日
9月5日
9月12日
9月19日
気温
15.8
15.6
晴
17.8
19.6
晴
17.8
19.6
晴
26.2
27.1
曇
19.6
曇のち晴
17.5
21.2
曇
15.6
−
−
雲霧雨時々晴れ間 14.8
地 点
時刻
武尊田代湿原
花咲湿原
武尊田代湿原
花咲湿原
武尊田代湿原
花咲湿原
武尊田代湿原
花咲湿原
武尊田代湿原
武尊田代湿原
花咲湿原
武尊田代湿原
(右の俣沢)
武尊田代湿原
9:35
10:40
9:07
10:06
9:07
10:06
9:53
11:15
11:04
8:07
9:40
10:00
10:23
―153―
(ウ)調査結果
本調査で確認できた種は8科15種(流水性3種、止水性12種)で表4-5に示した。本県絶滅危惧種(群
馬県環境森林部自然環境課 2013)に評価された種ではムツアカネ(準絶滅危惧)を武尊田代湿原
で確認した。県内で本種が記録されているのは、日光白根山弥陀ヶ池(片品村)、尾瀬ヶ原(片品村)、
咲倉沢−笠ヶ岳地域(みなかみ町)
、榛名山(高崎市)、そして本調査地の5カ所である(大森 1985、
斎藤・四十万 2003、岡﨑 2010、荒井・岡﨑 2014)
。うち、咲倉沢-笠ヶ岳地域、榛名山につい
ては、1個体の記録のみで新たな記録がないことから、確実な生息地は、本調査地を含め日光白根山
弥陀ヶ池(片品村)
、尾瀬ヶ原(片品村)の3カ所である。
また今回、武尊田代湿原において県内で初めてスナアカネを確認した。スナアカネはインドから
ヨーロッパにかけて広く分布している種で、まれに国内で羽化が確認されているものの、大陸から
の飛来種と考えられている(杉村ほか 1999)。今回確認したスナアカネは、翅に汚れがないことか
ら比較的若い個体と思われる。
表4-5 各調査地で確認された種と個体数(8科15種)
a)武尊田代湿原(6科12種)
科 名
種 名
アオイトトンボ
アオイトトンボ
イトトンボ
キイトトンボ
エゾイトトンボ
ヤンマ
6月
10日
7月
11日
7月
22日
7月
27日
8月
16日
8月
19日
9月
5日
1
多数
16
多数
2
2
9月
12日
9月
19日
7
1
3
ルリボシヤンマ
1
オオルリボシヤンマ
2
1
《3》 《7》
《1》
オニヤンマ
オニヤンマ
1
エゾトンボ
タカネトンボ
2
トンボ
アキアカネ
スナアカネ
ムツアカネ
多数
リスアカネ
カオジロトンボ
多数
5
22
7月
11日
7月
22日
8
7
《1》
3
8
4
4
1
多数
多数
1
7
6
多数
《6》 《多数》
1
13
2
3
多数
5
2
b)花咲湿原(6科7種)
科 名
種 名
カワトンボ
カワトンボ
ヤンマ
ルリボシヤンマ
サナエトンボ
ヒメクロサナエ
オニヤンマ
オニヤンマ
エゾトンボ
タカネトンボ
トンボ
シオヤトンボ
アキアカネ
6月
10日
7月
27日
8月
16日
8月
19日
9月
5日
9月
12日
9月
19日
9月
5日
9月
12日
9月
19日
1
《3》
1
1
1
多数
多数
3
多数
7月
11日
7月
22日
7月
27日
多数
c)右の俣沢(1科1種)
科 名
種 名
サナエトンボ
ヒメクロサナエ
6月
10日
8月
16日
8月
19日
〈1〉
※《 》は羽化殻、〈 〉は幼虫の確認数、30個体以上確認できた場合を「多数」と表記
―154―
図4-5 武尊田代湿原
図4-6 花咲湿原
図4-7 ムツアカネ ♂♀(19-Ⅷ-2015 武尊田
代湿原)
図4-8 カオジロトンボ ♂(27-Ⅶ-2015 武尊
田代湿原)
図4-9 スナアカネ ♀(27-Ⅶ-2015 武尊田代
湿原)
図4-10 ルリボシヤンマ ♂(19-Ⅷ-2015 武
尊田代湿原)
トンボ目録(2015年)
ODONATA トンボ目 ※①は武尊田代湿原、②は花咲湿原、③は右の俣沢、Oは岡﨑太郎、Aは荒井堅一、
Cは茶珍護が確認
Calopterygidae カワトンボ科
: sp. カワトンボ 流水性 ※ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボの区別をせず2種をまとめて
記録した
10-Ⅵ-2015 1♀②(O)
Lestidae アオイトトンボ科
―155―
”
アオイトトンボ 止水性
27-Ⅶ-2015 1♀
(羽化1)①
(A)
,16-Ⅷ-2015 多数①
(O),19-Ⅷ-2015 12♂4♀
(連結3)①
(A),5-Ⅸ2015 多数①
(O)
,19-Ⅸ-2015 4♂3♀①
(O)
Coenagrionidae イトトンボ科
ġŽ
キイトトンボ 止水性
27-Ⅶ-2015 2♀①
(A)
,16-Ⅷ-2015 2♂①(O)
,5-Ⅸ-2015 1♂①(O)
ġŽ
エゾイトトンボ 止水性
22-Ⅶ-2015 1♂2♀(連結産卵1)①(O)
Aeshnidae ヤンマ科
¸-
ȯ ルリボシヤンマ 止水性
11-Ⅶ-2015 1♀
(羽化1)①
(O)
,22-Ⅶ-2015 2exs.(羽化2)
《3exs.》①
(O),27-Ⅶ-2015 1ex.(羽化1)
《3
♂4♀》
①
(A)
,27-Ⅶ-2015《3♀》②
(A),16-Ⅷ-2015 6♂2♀
(産卵1)①
(O)
,19-Ⅷ-2015 4♂3♀
(産
卵3)
《1♂》①
(A)
,5-Ⅸ-2015 4♂4♀(産卵3)①
(O)
,19-Ⅸ-2015 2♂2♀
(産卵2)①
(O)
¸Ë
ŽƚX オオルリボシヤンマ 止水性
27-Ⅶ-2015《1♀》①
(A)
,16-Ⅷ-2015 2♂1♀
(産卵1)①
(O)
,5-Ⅸ-2015 3♂1♀①
(O)
Gomphidae サナエトンボ科
”-
ƚȯ ヒメクロサナエ 流水性
22-Ⅶ-2015 1♂②(O)
,12-Ⅸ-2015,
〈1ex〉③
(C)
Cordulegastridae オニヤンマ科
¸Ž
š オニヤンマ 流水性
27-Ⅶ-2015 1♂①
(A)
,19-Ⅷ-2015 1♂②(A)
Corduliidae エゾトンボ科
-
- タカネトンボ 止水性
27-Ⅶ-2015 2♂①
(A)
,27-Ⅶ-2015 1♂②(A),16-Ⅷ-2015 1♂①(O)
Libellulidae トンボ科
Dž-
ȯ シオヤトンボ 止水性
27-Ⅶ-2015 3♂②
(A)
ƚ̹ アキアカネ 止水性
11-Ⅶ-2015 多数①
(O)
,11-Ⅶ-2015 多数①
(C),11-Ⅶ-2015 多数②
(O)
,22-Ⅶ-2015 多数①(O)
,
22-Ⅶ-2015 多数②
(O)
,27-Ⅶ-2015 多数①
(A),27-Ⅶ-2015 多数②
(A),19-Ⅷ-2015 多数①(A)
,
19-Ⅷ-2015 多数②
(A)
,5-Ⅸ-2015 1♂1♀
(連結1)①
(O)
,19-Ⅸ-2015 2♂1♀①
(O)
Ë
ƚš スナアカネ 止水性
27-Ⅶ-2015 1♀①
(A)
Ë
ムツアカネ 止水性
27-Ⅶ-2015 2♂5♀
(未熟2♂1♀羽化4♀)
《6exs.》
①
(A),16-Ⅷ-2015 4♂2♀
《多数》
①
(O),19-Ⅷ2015 多数
(交尾3産卵4)①
(A)
,5-Ⅸ-2015 多数①
(O),19-Ⅸ-2015 4♂1♀
(連結産卵1)①(O)
Ë
リスアカネ 止水性
19-Ⅷ-2015 1♂①
(A)
,5-Ⅸ-2015 2♂①(O)
”-
š カオジロトンボ 止水性
11-Ⅶ-2015 1♂4exs. ①
(C)
,22-Ⅶ-2015 15♂7♀
(交尾5)①(O)
,27-Ⅶ-2015 12♂1♀
(交尾1)①(A)
《 》は羽化殻、〈 〉
は幼虫の確認数、30個体以上確認できた場合を「多数」
と表記した。
引用文献
大日方徳三・久保誠二・小池渥・布施英明(1976)田代原湿原地域.良好な自然環境を有する地域
学術調査報告書(Ⅱ)
,1-7.群馬県.
久保誠二・片野光一・菊地慶四郎・須藤志成幸・松沢篤郎・吉井広始・井田宏一・片山満秋・夏目
道生(1983)武尊田代の東の湿原.良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(Ⅸ),81-108.
群馬県.
群馬県環境森林部自然環境課(2013)群馬県の絶滅のおそれのある野生生物 動物編 2012年改訂版.
301pp.群馬県.
大森武昭(1985)群馬県のトンボ類.群馬県動物誌.231-258.群馬県.
斎藤靖明・四十万智博(2003)良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(ⅩⅩⅨ),277-278,
299-300,302-304.群馬県.
岡﨑太郎(2010)群馬県におけるトンボの希少種や絶滅が心配される種の生息状況について.群馬
生物,59:3-7 群馬県高等学校教育研究会生物部会.
荒井堅一・岡﨑太郎(2014)日光白根山・錫ヶ岳周辺.良好な自然環境を有する地域学術調査報告
―156―
書(ⅩⅩⅩⅨ)
,41-45.群馬県.
杉村光俊・石田昇三・小島圭三・石田勝義・青木典司(1999)原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑.
917pp.北海道大学出版会.
(荒井 堅一・岡﨑 太郎・茶珍 護)
イ カメムシ目(水生)
・コウチュウ目(水生)
(ア)調査目的
これまで武尊山周辺における水生昆虫の調査はほとんど行われておらず、特に水生カメムシ類お
よび水生コウチュウ類の記録はとりわけ少ない(茶珍 2013)。これらの分類群は、近年、改訂され
た環境省のレッドデータブックでも大幅に掲載種が追加され(環境省 2015)、群馬県内でもそれら
の生息状況を把握しておく必要があるが、記録はあまり多くない(茶珍 2015)。そこで、武尊山周
辺における水生カメムシ類および水生コウチュウ類について調査を行った。
(イ)調査日と調査地
2015年7月11日、8月29日、9月12日、9月19日の4日間(調査時間:10:00∼16:00)に調査区
域内である田代湿原、花咲湿原、木の根沢本流および奥利根水源の森内の各支流での調査を行った。
調査地点のメッシュコードは、以下のとおりである。
片品村花咲:5539-11-94,5539-21-01,12,14
(ウ)調査方法
調査は各地点の河川や沼、水たまりで、メッシュ1㎜のDフレームネットを使ったすくい採りによ
り採集した。採集した水生昆虫は75%アルコール水溶液で固定し、一部は乾燥標本とし形態観察に
供した。得られた標本はすべて群馬県立ぐんま昆虫の森に保管されている。
(エ)調査結果
カメムシ目では、アメンボ科3種、ミズギワカメムシ科1種が確認された。
アメンボ科のエゾコセアカアメンボӿ
Łは、奥利根水源の森の林道脇にできた水たま
りで確認された(図4‐11)
。本種は、寒冷地の止水域で見られ、群馬県ではこれまで記録がない種で
ある。奥利根水源の森では、近縁のコセアカアメンボӿ
Žも確認されている。
ミズギワカメムシ科のオゼミズギワカメムシ
が田代湿原にて確認された(図4-12)
。
本種は、高層湿地などの湿地に生息し、田代湿原内の水たまり周辺で採集した(図4-13)。
コウチュウ目では、ゲンゴロウ科6種、ガムシ科4種、ナガハナノミ科1種、ヒメドロムシ科1種、
ハムシ科1種が確認された。
ゲンゴロウ科では、止水性種5種、流水性種1種を確認した。奥利根水源の森内では小規模の沼や
水たまりがいくつか見られ(図4-14)
、そこではマメゲンゴロウ¸Žš
ȯが多数確認でき
た。特に水たまりではクロマメゲンゴロウrš
、ホソクロマメゲンゴロウrš
ȝも見つかった(図4-15、16)
。両種の形態は非常に似ており、正確な同定には♂交尾器を検
討する必要がある。クロマメゲンゴロウの♂交尾器中央片の先端は尖り、ホソクロマメゲンゴロウ
の中央片の先端は丸くなることで区別できる(図4-17、18)。また田代湿原において、クロゲンゴロ
ウġš
šXのものと思われる上翅が見つかった(図4-19)。流水域では、河川上流域に生息す
るサワダマメゲンゴロウrš
țが確認された。
ガムシ科では、止水性種3種と流水性種1種が確認できた。奥利根水源の森内の沼や水たまり、田
代湿原、花咲湿原のすべての場所で、シジミガムシ属の一種”š sp.、キベリヒラタガムシ
¤-
ȯが多数生息していた。また田代湿原でのみフタホシヒラタガムシ¤-
šが確認できた。また流水域では、マルガムシǿ
が確認できた。
ナガハナノミ科では、クロツヤヒゲナガハナノミ属の一種¸- sp.の幼虫が奥利根水源の
森内の右の俣沢より得られた。この幼虫には、本属幼虫の特徴である第9節背板先端の一対の尾突起
が認められた(Hayashi and Nakamura 2008)。
ヒメドロムシ科では、ムナミゾマルヒメドロムシDžX
が採集された。本種は、
奥利根水源の森内の右の俣沢および木の根沢つづみの滝付近(図4-20)で確認された。本種は群馬
県内ではみなかみ町、片品村などの山地渓流でよく見られる種である。本種の和名は、最近改称さ
れたものであり、本種の前胸背板の中央溝が深いことに因んでいる(上手 2015)。
―157―
カメムシ目(水生)
・コウチュウ目(水生)目録
Lは幼虫の個体数を示す。
HEMIPTERA カメムシ目
Gerridae アメンボ科
ӿ
š ヒメアメンボ
11-Ⅶ-2015 1ex.(田代湿原)
,29-Ⅷ-2015 1ex.(木の根沢 水たまり)
ӿ
Ž コセアカアメンボ
12-Ⅸ-2015 1♂1♀
(水源の森 沼)
ӿ
Ł エゾコセアカアメンボ
11-Ⅶ-2015 1♂1♀
(水源の森 水たまり)
Saldidae ミズギワカメムシ科
オゼミズギワカメムシ
11-Ⅶ-2015 1ex.(田代湿原)
COLEOPTERA コウチュウ目
Dytiscidae ゲンゴロウ科
ǿŽ-
ȯ チビゲンゴロウ
29-Ⅷ-2015 6exs.(田代湿原)
¸Žš
ȯ マメゲンゴロウ
11-Ⅶ-2015 1ex.
(水源の森 水たまり)
,11-Ⅶ-2015 1L
(田代湿原)
,29-Ⅷ-2015 10exs.+2L
(木の根沢 つづみの滝 水たまり)
,12-Ⅸ-2015 8exs.(水源の森 沼)
,12-Ⅸ-2015 1ex.(水源の
森 右の俣沢)
,19-Ⅸ-2015 1ex. (水源の森 水たまり)
rš
ț サワダマメゲンゴロウ
19-Ⅸ-2015 2exs.(木の根沢)
,19-Ⅸ-2015 2♂♂5♀♀(水源の森 右の俣沢)
rš
クロマメゲンゴロウ
19-Ⅸ-2015 2♂♂ (水源の森 水たまり)
rš
ȝ ホソクロマメゲンゴロウ
19-Ⅸ-2015 3♂♂6♀♀
(水源の森 水たまり)
ġš
šX クロゲンゴロウ
11-Ⅶ-2015 1ex.(上翅のみ)
(田代湿原)
Hydorophilidae ガムシ科
”š sp. シジミガムシ属の一種
11-Ⅶ-2015 24exs.
(田代湿原)
,11-Ⅶ-2015 14exs.
(水源の森 水たまり)
,29-Ⅷ-2015 9exs.
(田代湿原),29-Ⅷ-2015 25exs.(花咲湿原),12-Ⅸ-2015 1ex.(水源の森 沼),19-Ⅸ-2015 20exs.
(水源の森 水たまり)
ǿ
マルガムシ
12-Ⅸ-2015 1L.(水源の森 右の俣沢)
,19-Ⅸ-2015 1ex.(水源の森 水たまり)
¤-
ȯ キベリヒラタガムシ
11-Ⅶ-2015 7exs.
(田代湿原)
,29-Ⅷ-2015 14exs.
(花咲湿原)
,12-Ⅸ-2015 2exs.
(水源の森 沼),19-Ⅸ-2015 5♂♂1♀
(水源の森 水たまり)
,19-Ⅸ-2015 10exs.(水源の森 水たまり)
¤-
š フタホシヒラタガムシ
11-Ⅶ-2015 11exs.+1L
(田代湿原)
,29-Ⅷ-2015 15exs.(田代湿原)
Ptilodactylidae ナガハナノミ科
¸- sp. クロツヤヒゲナガハナノミ属の一種
12-Ⅸ-2015 3L(水源の森 右の俣沢)
Elmidae ヒメドロムシ科
DžX
ムナミゾマルヒメドロムシ
29-Ⅷ-2015 1ex.
(木の根沢 つづみの滝)
,12-Ⅸ-2015 24exs.
(水源の森 右の俣沢)
,19-Ⅸ2015 2exs.
(木の根沢)
,19-Ⅸ-2015 7exs.(水源の森 右の俣沢)
Chrysomelidae ハムシ科
r
スゲハムシ
(キヌツヤミズクサハムシ)
11-Ⅶ-2015 2exs.(田代湿原)
―158―
図4-11 エゾコセアカアメンボが確認された水
たまり
図4-13 田代湿原内の水たまり
図4-12 オゼミズギワカメムシ Salda morio
図4-14 奥利根水源の森内の水たまり
図4-17 ク ロ マ メ
ゲンゴロウの♂交
尾器中央片
図4-18 ホ ソ ク ロ
マメゲンゴロウの
♂交尾器中央片
図4-15 クロマメゲンゴロウ Platambus optatus
図4-16 ホソクロマメゲンゴロウ Platambus nakanei
図4-19 クロゲンゴロウの上翅
図4-20 木の根沢 つづみの滝
―159―
引用文献
茶珍 護(2013)藤原地域武尊山麓のカメムシ目(水生)
・コウチュウ目(水生).良好な自然環境
を有する地域学術調査報告書ⅩⅩⅩⅨ,177-178.群馬県.
茶珍 護(2015)群馬県産流水性甲虫類の分布記録.ホシザキグリーン財団研究報告,
(18):231249.
Hayashi, M. and S. Nakamura (2008) Description of larva of ¸-
š (Lewis)
(Coleoptera : Ptilodactylidae : Anchytarsinae) with key to genera of aquatic larva of Japanese Ptilodactylidae. ¤ࡊ
˂ȝ, 36 (2) : 279-285.
上手雄貴(2015)日本産DžX
種群の和名について.さやばねニューシリーズ,
(20)
:49.
環境省(2015)レッドデータブック2014(5)昆虫類.509pp.環境省自然環境局野生生物課希少種
保全推進室.
(茶珍 護)
ウ コウチュウ目
(ア)目視等による調査(主として昼間活動性種の確認)
6月25日、29日、7月4日、26∼27日、8月15∼17日に田代林道のブナ林を中心に目視等による調
査を実施し、68種のコウチュウが確認された。このうち次の14種はいずれもブナの立枯れで確認さ
れた。
ヒメオオクワガタ(群馬県準絶滅危惧)
(図4-21)は4個体確認された。いずれも雌でうち2個体は
立枯れの腐朽部にいたので産卵のため訪れていたものと思われる。オオチャイロハナムグリ(群馬
県準絶滅危惧、環境省準絶滅危惧)
(図4-22)は幼虫が広葉樹の洞、腐朽部などで生育し成虫も同様
の環境に見られる。今回発生源と思われる立枯れ2本から各1個体確認された。このうち1本は倒壊が
懸念される(図4-23)。オオツヤバネベニボタル(図4-24)は北方系の比較的少ない種でこれまで県
内での記録はなかった。今回交尾している個体を含め3個体が確認された。オオキノコムシ(図4-25)
はサルノコシカケ類に集まる種で武尊山では個体数が多く、主に夜間繁殖行動や徘徊しているもの
が14個体確認された。オオナガクチキ(図4-26)はブナの立枯れで6月下旬頃に日中活動する。武尊
山では比較的多いが一般には少ない種である。オオクロホソナガクチキ(図4-27)は前種同様ナガ
クチキムシ科の大形種でブナの古木、立枯れ、倒木などで発見されるがこちらは主に盛夏の夜間に
活動する。今回は日の当たらない根元付近で昼間に確認された。トゲムネツツナガクチキ(図4-28)
はみどり市、上野村、片品村から記録がある(堀口・須田 2011)が少ない種で生息場所は良くわ
かっていない。
カミキリムシ科は交尾・産卵のために立枯れを利用することの多いグループである。オオホソコ
バネカミキリ(群馬県準絶滅危惧)
、オオクロハナカミキリはその代表的なコウチュウで武尊山では
特に個体数が多い。マダラゴマフカミキリ(群馬県準絶滅危惧)も同様の目的で立枯れに飛来する
種であるがこちらは直径約30㎝の比較的細い木を好む。このような立枯れは数が少なく撤去される
と個体数の減少につながるおそれがある。その他ブナ林を特徴付ける種としてオオマダラコクヌス
ト、クロルリゴミムシダマシ、キオビホソナガクチキ、ネジロモンハナノミなどが確認された。
ブナ林以外の環境ではヤナギ類の樹液で5種のコウチュウが確認された。これらのうちエンマム
シモドキ(図4-29)、ミヤマオオハナムグリ、ムナビロオオキスイは樹液を本来の食物とする種であ
るがビロウドヒラタシデムシ(図4-30)は腐敗動物質に集まる種である。今回7個体がまとまって来
集していた。本属の種は県内から3種が知られるが本種はもっとも高標高地に生息し(須田・堀口
2014)
、他の2種と比べ出会う機会が少ない種である。シリグロオオケシキスイはスッポンタケ類で
発見される(林 1974)種であるが発酵したバナナを使用したトラップで採集されることもあり、
今回は発酵した樹液に誘引されたものと思われる。ブナ林周辺で多くの樹液が出た樹木に出会う機
会は少なく、上記の観察例は貴重なものである。
その他特筆される種として武尊田代へ通じる登山道でマガタマハンミョウ(群馬県準絶滅危惧)
が1個体確認された。本種は日本海側に多く県内では北部の沼田市、中之条町、みなかみ町で記録が
ある(須田 1999)が少ない。コブヤハズカミキリ(図4-31)は5個体確認された。本種は片品村、
みなかみ町等北部の山地を中心に分布し、武尊山には個体数が多く(村田 2003)、樹上に見られる
―160―
が地表を歩行していることも多い。コブヤハズカミキリ類は後翅がなく地域ごとに異なった種が分
布し、同一種でも形態に変異が見られるグループとして知られる。イガブチヒゲハナカミキリはみ
なかみ町、上野村から記録がある(須田 2014a,2014c)が県内では少ない種で、今回照葉峡の国
道沿いにあるノリウツギの花で1個体が確認された。
(イ)ベイトトラップによる調査
酢酸を使用したベイトトラップ調査は主として地表性のオサムシ科の採集を目的とするもので、
6月29日∼7月4日にかけて武尊田代(図4-32)とその周囲、8月15∼16日にかけて大沢で実施した。
武尊田代のオサムシ科は4種と少なかったがヒメホソナガゴミムシ(図4-33)は個体数がきわめて
多く、湿原中央部では68個体が確認された。しかし南西側の主として周辺部では5個体と極端に少な
かった。一方近縁種クロホソナガゴミムシ(図4-34)は中央部では2個体であったが周辺部では10個
体と逆転していた。中央部は主にヌマガヤ群落、周辺部は地面がむき出しになり落ち葉が堆積した
環境が多かったことがその理由ではないかと思われる。前者は主に平地の湿地、河川敷に生息する
種で(須田 2000)
、このような高原に多数生息している例は珍しい。後者は山地性で湿原に限らず
石下などでも発見されることがあるが、県内では比較的少ない種である(須田 同)。またハラアカ
モリヒラタゴミムシは目視や田代林道のライトトラップでも確認された。本種は平地に多いが今回
確認された14個体はすべてhighland form(Habu 1978)とされる暗色の個体であった。
大沢ではホソヒメクロオサムシをはじめとして8種が確認された。
(ウ)ライトトラップ、ライト付FITによる調査
田代林道において7月26日の夜間、400W水銀灯と20Wブラックライト蛍光灯及び青色蛍光灯を
使用したライトトラップ調査を実施した(図4-35)。飛来したコウチュウは22種であった。このうち
オナガミズスマシ(図4-36)は夜行性種として知られるが山間部の渓流から飛翔してきたものと思
われる。紫外線LEDライトを付けた衝突板トラップ(ライト付FIT)を使用した調査を田代林道と大
沢とで実施した。田代林道では7月26∼27日にかけてブナ林内7カ所に設置し、集まったコウチュウ
類18種が確認された。これらのうちコブナシコブスジコガネ(図4-37)は個体数の少ない種である
が、食糞性コガネの中でもライトでの採集例が多い種類である(堀口 2007)。また、オオキノコム
シ、トゲムネツツナガクチキなどブナ立枯れに見られた種も確認された。
大沢では8月15∼16日にかけて標高1450m前後のブナ林内に7カ所、8月16∼17日にかけて標高
1100m前後の林道沿いに7カ所設置し、35種が確認された。1450m地点では県内での記録が少ない
(須田 2013,2014b)キスジチビオオキノコが確認され、1100m地点ではホウノキトゲバカミキ
リが確認された。またオオキノコムシは6個体確認された。灯火による調査では全般的にヒゲナガビ
ロウドコガネ属が多く、4種が確認された。
コウチュウ目録
学 名
和 名
採集年月日
数
標高(m)
3次メッシュ
コード
調査法
備 考
Cicindelidae
ġ
X
ġ
ȯ
Carabidae
ġš
ࢗršࢤ
-
-
Nš
¤š
-ȝ
ࣗš
Ž
˂ŽŽ-
r-
r-
šŽ
ハンミョウ科
マガタマハンミョウ
ニワハンミョウ
オサムシ科
ホソヒメクロオサムシ
サドマルクビゴミムシ
ムラサキスジアシゴミムシ
ガロアミズギワゴミムシ
キンイロオオゴミムシ
ニッコウクロナガゴミムシ
クロホソナガゴミムシ
29-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
1
1
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
LO
LO
♂ 地表(登山道)
♂ 地表(林道)
15∼16-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
26-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
29-Ⅵ∼4-Ⅶ-2015
29-Ⅵ∼4-Ⅶ-2015
29-Ⅵ∼4-Ⅶ-2015
1
1
1
1
1
4
12
1450
1450
1450∼1500
1450
1570
1570
1570
5539-11-81
5539-11-81
5539-21-03
5539-11-81
5539-11-94
5539-11-94
5539-11-94
BT
BT
LT
LF
BT
BT
BT
♀
♀
r-
Ž
ヒメホソナガゴミムシ
29-Ⅵ∼4-Ⅶ-2015
73
1570
5539-11-94
BT
r-
ƚ
ƚ
r-
r
šX
ġ
ȯ
ハラトゲナガゴミムシ
ベーツナガゴミムシ
ヤマトクロヒラタゴミムシ
ハラアカモリヒラタゴミムシ
ġ
ホソモリヒラタゴミムシ
r
rš
-
ホソヒラタゴミムシ
フトクチヒゲヒラタゴミムシ
クロツヤヒラタゴミムシ
15∼16-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
29-Ⅵ-2015
29-Ⅵ∼4-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
26-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
7
2
1
3
10
1
2
1
1
5
1
2
1450
1450
1450
1570
1570
1450∼1500
1450∼1500
1450
1450
1450∼1500
1450∼1500
1450
5539-11-81
5539-11-81
5539-11-81
5539-11-94
5539-11-94
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-81
5539-11-81
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-81
BT
BT
BT
LO
BT
LT
LT
LF
BT
LT
LT
BT
-Ë
-
ホソツヤヒラタゴミムシ
15∼16-Ⅷ-2015
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
5
1
1
1450
1450∼1500
1450∼1500
5539-11-81
5539-21-03
5539-21-03
BT
LO
LT
―161―
武尊田代
図4-34
武尊田代
図4-33
武尊田代
7♀
2♀
武尊田代
武尊田代
テネラル個体 ブナ立枯れ
和 名
採集年月日
数
標高(m)
3次メッシュ
コード
調査法
˂--
ț
r
r
ƚ
オオクロツヤゴモクムシ
ミツアナアトキリゴミムシ
オオヨツアナアトキリゴミムシ
ホソアトキリゴミムシ
26-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
4-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
1
1
1
1
2
1
1
5
4
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450
1100
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1100
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-81
5539-21-00
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-00
LT
LF
LF
LF
LF
LO
LO
LF
LF
Gyrinidae
Dž-
Žš
Žš
Synteliidae
-
ミズスマシ科
オナガミズスマシ
エンマムシモドキ科
エンマムシモドキ
26-Ⅶ-2015
1
1450∼1500
5539-21-03
LT
図4-36
25-Ⅵ-2015
1
1440
5539-21-14
LO
図4-29
ヤナギ樹液
Silphidae
N-
ƚ
N-
̹
Dž
-
シデムシ科
マエモンシデムシ
ヨツボシモンシデムシ
ビロウドヒラタシデムシ
16∼17-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
25-Ⅵ-2015
1
1
7
1100
1450
1440
5539-21-00
5539-11-81
5539-21-14
LF
LF
LO
Lucanidae
”
ƚ
rŽ-
Ž
Ž
クワガタムシ科
ミヤマクワガタ
オニクワガタ
r
N
XŽ
XŽ
コルリクワガタ
ヒメオオクワガタ
26-Ⅶ-2015
15-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
29-Ⅵ∼4-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
1
1
1
1
1
1
1
1450∼1500
1450
1100
1570
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-11-81
5539-21-00
5539-11-94
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
LT
LO
LF
BT
LO
LO
LO
N
šƚ
アカアシクワガタ
26-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
1
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-65
LT
LT
LT
♀
♂
♂
♀ 武尊田代
♀ ブナ立枯れ
♀ ブナ立枯れ
図4-21
♀ 地表(登山道)
♀
♀
♂ ブナ立枯れ
Trogidae
˂
ࢗ˂ࢤ
-
Scarabaeidae
ȝŽ
X
コブスジコガネ科
コブナシコブスジコガネ
コガネムシ科
ハラグロビロウドコガネ
アシマガリビロウドコガネ
26∼27-Ⅶ-2015
1
1450∼1500
5539-21-03
LF
図4-37
ȝƚ
--
エゾビロウドコガネ(本州亜種)
ヤマトビロウドコガネ
ࢗƚࢤ
ț
:
ƚXš
Dž
ルイスチャイロコガネ
ヒメスジコガネ
オオチャイロハナムグリ
15∼16-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
26-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
4-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
1
1
2
4
2
2
1
7
1
1
2
1450
1450
1100
1450∼1500
1450∼1500
1450
1450∼1500
1450
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
5539-11-81
5539-11-81
5539-21-00
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-81
5539-21-03
5539-11-81
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
LF
LF
LF
LT
LF
LF
LF
LF
LO
LT
LO
¸
š
ġ
ࢗ¤ࢤ
ƚ
ƚ
r
ࢗ”ࢤ
Žš
アオアシナガハナムグリ
アオハナムグリ
ミヤマオオハナムグリ
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
1
1
4
2
1450∼1500
1450∼1500
1440
1440
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-14
5539-21-14
LO
LO
LO
LO
Eucnemidae
-Žƚ
ț
Elateridae
ǿ
Ž
コメツキダマシ科
ナガミゾコメツキダマシ
コメツキムシ科
ガロアムネスジダンダラコメツキ
15∼16-Ⅷ-2015
1
1450
5539-11-81
LF
15∼16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
25-Ⅵ-2015
4-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
4
2
8
1
1
1
1
1
1
1450
1100
1450∼1500
1450
1100
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450
5539-11-81
5539-21-00
5539-21-03
5539-11-81
5539-21-00
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-81
LF
LF
LF
LF
LF
LO
LO
LO
LF
LF
26-Ⅶ-2015
3
1450∼1500
5539-21-03
LO
25-Ⅵ-2015
1
1450∼1500
5539-21-03
LO
25-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
2
1
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
LO
LO
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
29-Ⅵ-2015
1
1440
5539-21-14
LO
ヤナギ樹液
29-Ⅵ-2015
16-Ⅷ-2015
1
1
1450∼1500
1450
5539-21-03
5539-11-81
LO
LO
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
29-Ⅵ-2015
2
1440
5539-21-14
LO
ヤナギ樹液
25-Ⅵ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
25-Ⅵ-2015
16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
26-Ⅶ-2015
2
1
1
4
1
1
9
1450∼1500
1450
1450
1450∼1500
1450∼1500
1100
1450∼1500
5539-21-03
5539-11-81
5539-11-81
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-00
5539-21-03
LO
LF
LF
LO
LO
LF
LO
ブナ立枯れ
26∼27-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
2
3
5
3
1450∼1500
1450
1450∼1500
1100
5539-21-03
5539-11-81
5539-21-03
5539-21-00
LF
LF
LO
LF
29-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
1
1
1570
1450∼1500
5539-11-94
5539-21-03
LO
LT
学 名
Ž
š
オオツヤハダコメツキ
X
ġš
Ž
:
ニホンベニコメツキ
メスグロベニコメツキ
ドウガネヒラタコメツキ
ハネナガクシコメツキ
Lycidae
ġ-
Ž
ベニボタル科
オオツヤバネベニボタル
Cantharidae
˂-
Trogossitidae
”
š
ジョウカイボン科
アオジョウカイ
コクヌスト科
オオマダラコクヌスト
Nitidulidae
Dž
ț
Cucujidae
ġȯ
Ł-
ケシキスイ科
シリグロオオケシキスイ
ヒラタムシ科
ルリヒラタムシ
Helotidae
ǿ
ƚXX
Erotylidae
¤
šƚ
オオキスイムシ科
ムナビロオオキスイ
オオキノコムシ科
ヨツボシオオキノコ
˂
ȝ
ȝ
:Ž
š
キスジチビオオキノコ
カタボシエグリオオキノコ
¤
š
オオキノコムシ
Coccinellidae
ġ
ġX
ࢗġXࢤ
Ž
テントウムシ科
ナナホシテントウ
シロトホシテントウ
―162―
備 考
図4-30
ヤナギ樹液
葉上
図4-22
2♂ ブナ立枯れ
♂ 花上
♂ 花上(ノリウツギ)
4♀ ヤナギ樹液
2♀ ヤナギ樹液
葉上
図4-24
2♂1♀ ブナ立枯れ
サルノコシカケ
ブナ立枯れ
図4-25
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
武尊田代
学 名
和 名
¸
-
ウンモンテントウ
ǿŁ
Ž
Tenebrionidae
¸--
ƚ
シロジュウロクホシテントウ
ゴミムシダマシ科
クワガタゴミムシダマシ
ࣗ
š
r
Ž
&
ǿ-
N
コブスジツノゴミムシダマシ
クロツヤキノコゴミムシダマシ
ヨツコブゴミムシダマシ
クロホソゴミムシダマシ
ゴミムシダマシ
:
クロルリゴミムシダマシ
¸
Lagriidae
¸-
X
¸-
:Ž
š
Tetratomidae
r-
ȯ
Alleculidae
¸
ǿ
ホソヒゲナガキマワリ
ハムシダマシ科
アオハムシダマシ
アカハムシダマシ
クロケブカハムシダマシ
キノコムシダマシ科
モンキナガクチキムシ
クチキムシ科
クチキムシ
クロツヤバネクチキムシ
Cephaloidae
ġ-
Pyrochroidae
r-
クビナガムシ科
クビナガムシ
アカハネムシ科
ツチイロビロウドムシ
ウスイロアカハネムシ
r-
Xƚ
Melandryidae
r-
ƚX
r-
š
アカハネムシ
ナガクチキムシ科
キオビホソナガクチキ
オオクロホソナガクチキ
ǿ
Ž
トゲムネツツナガクチキ
:
オオナガクチキ
Mordellidae
˂
ハナノミ科
ネジロモンハナノミ
Oedemeridae
࿢--
࿢--
-
࿢--
Cerambycidae
Ž
r-
Ž
Ž
¤
X
カミキリモドキ科
キクビカミキリモドキ
キイロカミキリモドキ
キバネカミキリモドキ
カミキリムシ科
ホソカミキリ
コバネカミキリ
テツイロハナカミキリ
フタコブルリハナカミキリ
Ž-
ġš
Ž
Ⴃ
Ž
”
-
アオバホソハナカミキリ
イガブチヒゲハナカミキリ
オオハナカミキリ
オオクロハナカミキリ
”
ࢗNȝࢤ
X
ġ
N
フタスジハナカミキリ
キヌツヤハナカミキリ
ヒナルリハナカミキリ
オオホソコバネカミキリ
ġ--
ȯ
r
エグリトラカミキリ
シロトラカミキリ
:
ࢗrࢤ
:--
š
š
マダラゴマフカミキリ
コブヤハズカミキリ
:
š
イタヤカミキリ
¸
¸
ƚ
ƚ
r
š
ࢗššࢤ
šƚ
šƚ
Ϗš
ࢗϏšࢤ
”
ġŽ
Ž
¤-
--
--
センノキカミキリ
ビロウドカミキリ
ヒゲナガゴマフカミキリ
シロオビチビカミキリ
ホウノキトゲバカミキリ
ゴマダラモモブトカミキリ
ハンノキカミキリ
ハンノアオカミキリ
Chrysomelidae
Dž
ȝ
ハムシ科
クロナガハムシ
r
Dž-
スゲハムシ
ドウガネツヤハムシ
採集年月日
数
標高(m)
3次メッシュ
コード
調査法
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
1
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1100
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-00
LT
LO
LF
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
1
1
1
2
5
1
1
1
2
1
1
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1100
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-00
LO
LT
LF
LO、LT
LF
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LF
25-Ⅵ-2015
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
4
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
LO
LO
LT
26-Ⅶ-2015
1
1450∼1500
5539-21-03
LO
26∼27-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
1
1
2
1450∼1500
1450∼1500
1100
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-00
LF
LF
LF
備 考
葉上
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
花上
花上
25-Ⅵ-2015
1
1450∼1500
5539-21-03
LO
花上
26∼27-Ⅶ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
2
2
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
LF
LF
LO
LO
2♂
29-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
2
1
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
LO
LO
25-Ⅵ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
1
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
LO
LF
LO
ブナ立枯れ
図4-27
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
図4-28
図4-26
♂ ブナ立枯れ
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
1
1
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
LO
LO
16∼17-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
1
2
1
1100
1450
1450
5539-21-00
5539-11-81
5539-11-81
LF
LF
LF
15∼16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
25-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
26-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
4-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
4-Ⅶ-2015
4-Ⅶ-2015
27-Ⅶ-2015
1
1
2
1
1
1
1
1
9
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1450
1100
1450∼1500
1000
1000
1450∼1500
1000
1570
1450∼1500
1450∼1500
1570
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1570
1450∼1500
1450∼1500
1440
1440
1450∼1500
1450∼1500
5539-11-81
5539-21-00
5539-21-03
5539-21-00
5539-21-00
5539-21-03
5539-21-00
5539-11-94
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-94
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-00
5539-21-03
5539-11-94
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-14
5539-21-14
5539-21-03
5539-21-03
LF
LF
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
LO
26∼27-Ⅶ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
26-Ⅶ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
16∼17-Ⅷ-2015
26-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
26-Ⅶ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
1
1
1
1
1
1
3
1
1
1
1
1450∼1500
1100
1450
1100
1450∼1500
1100
1100
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
1450
5539-21-03
5539-21-00
5539-11-81
5539-21-00
5539-21-03
5539-21-00
5539-21-00
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-81
LF
LF
LF
LF
LO
LF
LF
LT
LT
LT
LF
25-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
26∼27-Ⅶ-2015
1
1
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1570
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
5539-11-94
5539-21-03
LO
LO
LO
LF
―163―
ブナ立枯れ
ブナ立枯れ
花上
♂ 花上(ノリウツギ)
♂ 花上(ノリウツギ)
花上
♀ 花上(ノリウツギ)
♂ 花上(ノリウツギ)
3♂6♀ ブナ立枯れ
♀ ブナ立枯れ
♀ ブナ立枯れ
花上(ノリウツギ)
ブナ立枯れ
花上
♂ ブナ立枯れ
♂ ブナ立枯れ
♂ ブナ立枯れ
♂ 花上(ノリウツギ)
花上
路上(遊歩道)
♂ ブナ立枯れ
♀ 地表(林道)
♀ 地表(林道)
♀ 葉上
♀ 葉上
図4-31
♂ 地表(登山道)
♂
♀
ブナ立枯れ
3♂
花上
葉上
武尊田代
学 名
和 名
ӿ
ȯ
ӿ
ȝ--
Anthribidae
ࣗ
¸
Attelabidae
¸-
ࢗ¸-ࢤ
ȯȝ
Brentidae
r-
Ž
Curculionidae
ġ
Ž
カバノキハムシ
トホシハムシ
ヒメトホシハムシ
ヒゲナガゾウムシ科
マダラフトヒゲナガゾウムシ
チャマダラヒゲナガゾウムシ
オトシブミ科
オトシブミ
ミツギリゾウムシ科
ムツモンミツギリゾウムシ
ゾウムシ科
ツツゾウムシ
オオクチカクシゾウムシ
採集年月日
数
標高(m)
3次メッシュ
コード
調査法
25-Ⅵ-2015
25-Ⅵ-2015
29-Ⅵ-2015
2
1
1
1450∼1500
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
5539-21-03
LO
LO
LO
葉上
26-Ⅶ-2015
25-Ⅵ-2015
1
1
1450∼1500
1450∼1500
5539-21-03
5539-21-03
LT
LO
ブナ立枯れ
♂ 飛翔中
16-Ⅷ-2015
1
1100
5539-21-00
LO
16∼17-Ⅷ-2015
3
1100
5539-21-00
LF
25-Ⅵ-2015
15∼16-Ⅷ-2015
25-Ⅵ-2015
1
1
1
1450∼1500
1450
1450∼1500
5539-21-03
5539-11-81
5539-21-03
LO
LF
LO
備 考
ブナ立枯れ
LO=ルッキング
BT=ベイトトラップ
LF=ライト(UVLED)付FIT
LT=ライトトラップ
採集・同定者:須田 亨
図4-21 ヒメオオクワガタ(雌)
図4-22 オオチャイロハナムグリ(雄)
図4-23 倒壊が懸念される立枯れ
図4-24 オオツヤバネベニボタル
(雄)
―164―
図4-25 オオキノコムシ(雄)
図4-28 トゲムネツツ
ナガクチキ
図4-26 オオナガクチキ
図4-29 エンマムシモドキ
図4-31 コブヤハズカミキリ(雄)
図4-27 オオクロホソ
ナガクチキ
図4-30 ビロウドヒラタシデムシ
図4-32 ベイトトラップを設置した環境(武尊
田代)
―165―
図4-33 ヒメホソナガ
ゴミムシ(雄)
図4-34 クロホソナガ
ゴミムシ(雄)
図4-35 ライトトラップ(田代林道)
図4-36 オナガミズスマシ(雌) 図4-37 コブナシコブスジコガネ
引用文献
Habu A. (1978) Fauna Japonica Carabidae : Platynini (Insecta:Coleoptera) 447pp. Keigaku Publishing Co. Tokyo, Japan
林 長閑(1974)甲虫の観察と飼育.71pp.ニュー・サイエンス社.
堀口 徹(2007)ライトトラップに飛来した食糞性コガネ 2005∼2006.乱舞,16:136-137.群
馬昆虫学会.
堀口 徹・須田 亨(2011)群馬県のカッコウムシとナガクチキムシ.乱舞,20:105-118.群馬
昆虫学会.
村田元彦(2003)群馬県のカミキリムシ.乱舞,12:177-263.群馬昆虫学会.
須田 亨(1999)群馬県の歩行虫.乱舞,9:77-100.群馬昆虫学会.
須田 亨(2000)群馬県の歩行虫 Ⅱ.乱舞,10:72-119.群馬昆虫学会.
須田 亨(2013)日光白根山・錫ヶ岳周辺(第1年) コウチュウ目 良好な自然環境を有する地域
学術調査報告書(ⅩⅩⅩⅧ)
,39-44.群馬県自然環境課.
須田 亨(2014a)北沢周辺 コウチュウ目 良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(ⅩⅩⅩ
Ⅹ)
,162-168.群馬県自然環境課.
―166―
須田 亨(2014b)オオキノコムシほかの追加記録.乱舞,22:55-56.群馬昆虫学会.
須田 亨(2014c)2013年に採集されたカミキリムシ.乱舞,23:11.群馬昆虫学会.
須田 亨・堀口 徹(2014)群馬県のシデムシ.乱舞,22:7-18.群馬昆虫学会.
(須田 亨)
エ チョウ目
武尊山北部となる2015年度調査地域の植生は、環境庁(1981a,1981b)によると、武尊山山頂
付近は高山低木群落、その下位はササ−ダケカンバ群落およびオオシラビソ群集、それらの下位は
チシマザサ−ブナ群団となっているが、主にチシマザサ−ブナ群団となる植生環境である。また、
大沢の木の根沢出合付近から標高1400m付近まではヒノキアスナロ群落となっている(2015年度
の現地調査において、大沢周辺にはヒノキアスナロ群落は見られず、アスナロ群落であることが確
認された)
。
2015年度調査地域についてのこれまでのチョウ目に関する報告は田代湿原(布施 1976)、武尊
山山頂および稜線(岡田 1966、柳田 1966)のほか、坤六峠でベニヒカゲの採集記録(池沢 2001)
がある。
田代湿原一帯の調査では、チョウ類41種、ガ類約1300種(種名の記述は14種のみで詳細不明)を
確認され、この地域は「豊かな植生に恵まれているため種類数、個体数共に非常に多く生息してい
る」と述べるとともに、植生環境の代表種であるブナに依存する種として、チョウ類は、フジミド
リシジミが7月中旬から8月上旬にかけて多産し、ガ類については、ブナのみを食餌する8種とブナも
食餌する5種を、採集期日および個体数の記述はないが挙げている。また、田代湿原がベニヒカゲの
新産地として記録している(布施 1976)
。
(ア)調査地、調査方法および調査日
アスナロ群落の大沢(Rt.1)
、チシマザサ−ブナ群団の奥利根水源の森入口である木の根沢からタ
キガ沢を巻く田代湿原管理道沿いルート(Rt.2)の2カ所については、調査ルートを設定し、ルート
センサスによる定量調査を6月から10月まで、おおよそ月1回チョウ類と昼行性ガ類の調査を実施し
た(図4-38、表4-6)
。また、7月および8月の合同調査においては、Rt.1、Rt.2のほか、田代湿原入
図4-38 調査地
―167―
表4-6 調査地植生環境
標高など
環境庁(1981a,1981b)
Rt.1
大沢
(大沢橋上部∼デブリ上部ベース
キャンプ)
Rt.9, 1225m-1439m
Rt.10 ab.1㎞
チシマザサ−ブナ群団
田代保安林管理車道(奥利根水源の森
入口∼)
Rt.2
チシマザサ−ブナ群団
奥利根水源の森キャンプ場
Rt.3, 1388m
St.1
St.2
1530m
チシマザサ−ブナ群団
田代湿原入口∼田代湿原
Rt.4, 1462m-1568m
Rt.5
チシマザサ−ブナ群団
田代湿原
Rt.6
1568m-1569m
ツルコケモモ−ミズゴ
ケクラス(高層湿原)
田代湿原入口∼坤六峠道路
Rt.7
1462m-1625m
チシマザサ−ブナ群団
奥利根水源の森キャンプ場∼木の根沢 Rt.8
橋
(大沢入口)
1094m-1388m
アスナロ群落*,クリ−
ミズナラ群落,カラマ
ツ植林,チシマザサ−
ブナ群団,伐採群落
奥利根水源の森タキガ沢左岸台地
1094m-1225m
ab.1㎞
アスナロ群落*
大沢
(入口∼大沢橋上部)
1383m-1470m
ab.1.5㎞
チシマザサ−ブナ群団
植生環境および確認できた主な開花植物
高木層:ヤマハンノキ,トチノキ,ブナ,ア
スナロ,低木層:オオカメノキ、リョウブ,
ノリウツギ,タラノキ,ウワミズザクラ,林
床:チシマザサ,路傍など開放地:タニウツ
ギ,ハナヒリノキ,エゾアジサイ,ナンブア
ザミ,サワアザミ,カメバヒキオコシ,ヨツ
バヒヨドリ,オオイタドリ,ホツツジ,ミズ
タマソウ,ヤグルマソウなどのほか,シロツ
メクサ,ムラサキツメクサ,ヒメジョオンな
ど外来植物
高木層:ブナ,トチノキ,アスナロ,カラマ
ツ混生,林床:チシマザサ、開花植物アキノ
キリンソウ程度で少ない
高木層:ブナ,ダケカンバ,トチノキ,ミズ
ナラ,キハダ,林床:チシマザサ,路傍:ア
カショウマ,ナンブアザミ,ヨツバヒヨドリ,
ニガナ,ノリウツギ,エゾアジサイ,ソバナ,
ゴマナ,ヤマハハコ,ウド,クロヅル,ハン
ゴンソウ,コミヤマカタバミ,タチツボスミ
レ,サルナシ,ノビネチドリなどのほか,シ
ロツメクサ,セイヨウノコギリソウ,ヒメジョ
オン,セイヨウタンポポなどの外来植物生育
高木層:ブナ,林床:チシマザサ,路傍:サ
ワフタギ,タニウツギ生育
高木層:ブナ,ダケカンバ,林床:チシマザ
サ
高木層:ブナ,林床:チシマザサ,一部湿地
(入口付近):コバイケイソウ,オオバミゾホ
ウズキ,ヤグルマソウ,ナナカマド,タニウ
ツギ,ツマトリソウ,ニリンソウ,ツルリン
ドウ,セイヨウタンポポ生育
湿原:エゾシロネ,ミヤマアキノキリンソウ,
レンゲツツジ,ツルコケモモ,ツマトリソウ,
マイヅルソウ,コバイケイソウ,湿原周囲:
高木層:ブナ,林床:チシマザサでオオカメ
ノキ,タニウツギ,ウワミズザクラなど生育
高木層:ブナ,林床:チシマザサ,路傍:ナ
ナカマド,オオカメノキ,サワフタギ,タニ
ウツギ生育
木の根沢沿い道路沿い:沢周囲:高木層:ブ
ナ,林床:チシマザサ
*:環境庁(1981a,1981b)ではヒノキアスナロ群落になっているが、現地調査によりアスナロ群落であることを確認。
口から田代湿原までと田代湿原一周ルートをルートセンサスによる定量調査を実施した。チシマザ
サ−ブナ群団である大沢(Rt.1)の上部の地点からベースキャンプ地までは、8月の合同調査の時の
みルートセンサスによる定量調査を行った。大沢入口から奥利根水源の森キャンプ場、田代湿原入
口から坤六峠のルートについては、車で移動時に確認できた種についてのみ記録した。
夜間調査は、6wブラックライト付の乾式吸収式ライトトラップを用い、ガ類の採集を2回行った。
7月の合同調査時には、7月5日に奥利根水源の森キャンプ場で、8月の合同調査時は8月15日にタキ
ガ沢左岸中部の台地にライトトラップを地上高約1.5mの高さに設置し、日没から翌朝日の出まで作
動させた。これら2カ所共に植生環境はチシマザサ−ブナ群団内である。
(イ)調査結果
a チョウ類
本調査全体で5科3亜科28種291個体確認した。月次調査および合同調査での調査地、調査時間と
その時点での気象、個体数は表4-7のようである。
ルートセンサスは一定速度で実施することが基本であるが、出現種数や個体数が増加すると記述
や確認に時間がとられ、一定とはならなかった。
月例調査を行ったRt.1は5科3亜科17種54個体、Rt.2は5科3亜科21種196個体で、全体では5科3亜
科29種、250個体であった。
Rt.1およびRt.2の調査地域でもっとも多くみられた種は、セセリチョウ科イチモンジセセリ103
個体、アサギマダラ24個体、ヒメキマダラヒカゲ20個体、ミヤマカラスアゲハ13個体であった。
本調査で、
絶滅危惧該当種など希少種は群馬県評価である準絶滅危惧のヒメシジミのみであった。
―168―
表4-7 月次調査日、調査時間とその時点での気象、出現した種数および個体数
調査日
調査地
2-Ⅵ-2015
Rt.1
4-Ⅶ-2015
Rt.2
Rt.1
Rt.2
5-Ⅶ-2015
Rt.4
Rt.8
Rt.1
Rt.2
Rt.4
Rt.5
15-Ⅷ-2015
Rt.6
Rt.7
Rt.8
Rt.1
Rt.2
Rt.9
Rt.10
16-Ⅷ-2015
Rt.1
Rt.2
Rt.5
15-Ⅸ-2015
Rt.6
Rt.7
Rt.11
Rt.1
Rt.2
9-Ⅹ-2015
Rt.12
Rt.1
Rt.2
Rt.8
開始
時刻
9:48
10:53
12:52
8:59
9:25
10:15
11:00
11:48
14:53
8:49
7:27
8:02
9:09
9:52
10:39
10:58
11:47
11:27
12:11
6:50
8:33
14:10
15:09
15:58
9:26
13:15
10:24
12:32
10:15
10:55
11:41
12:24
8:20
9:28
8:55
9:56
7:47
9:34
10:29
11:26
12:22
13:32
11:24
12:03
12:54
13:33
12:35
調査時間
気象
観察
観察
終了
時間
天気
個体数
種数
時刻 (min.) 開始時 終了時 (pcs.) (pcs.)
10:53
65
晴
晴
6
4
11:27
34
晴
晴
3
2
13:47
55
晴
晴
5
1
9:25
26
曇
曇
0
0
10:04
39
曇
曇
0
0
11:00
45
曇
霧
0
0
11:48
48
霧
雨
0
0
13:00
72
雨
曇
2
1
15:22
29
曇
曇
1
1
8:59
10
雨
曇
0
0
8:02
35
曇
曇
0
0
9:01
59
曇
曇
3
2
9:52
43
曇
曇
4
2
10:39
47
曇
曇
1
1
10:58
19
曇
曇
1
1
11:27
19
曇
曇
0
0
12:11
24
曇
曇
1
1
11:47
20
曇
曇
0
0
12:24
13
曇
曇
3
3
7:00
10
曇
曇
0
0
9:26
53
晴
晴
4
3
15:00
50
晴
晴
6
3
15:58
49
晴
晴
10
7
16:55
57
晴
晴
10
4
10:24
58
晴
晴
4
2
14:10
55
晴
晴
11
4
11:52
88
晴
晴
4
2
13:15
43
晴
晴
0
0
10:55
40
晴
晴
2
2
11:33
38
晴
晴
4
1
12:24
38
晴
晴
11
4
13:26
62
晴
晴
32
9
8:55
35
晴
晴
2
2
9:56
28
曇
晴
2
2
9:28
33
晴
曇
4
2
10:06
10
晴
晴
1
1
8:13
26
曇
曇
3
1
10:29
55
晴
晴
13
4
11:17
48
晴
晴
10
6
12:22
56
晴
晴
55
6
13:32
51
晴
晴
65
8
13:59
27
晴
晴
3
3
12:03
39
晴
晴
3
2
12:35
32
晴
晴
1
1
13:33
39
晴
晴
1
1
14:24
51
晴
晴
0
0
12:54
19
晴
晴
1
1
Rt.1;大沢(入口∼大沢橋上部)
Rt.2;田代保安林管理車道(入口∼)
Rt.3;奥利根水源の森キャンプ場
Rt.4;田代湿原入口
Rt.5;田代湿原入口∼田代湿原
Rt.6;田代湿原
Rt.7;田代湿原入口∼坤六峠道路
Rt.8;奥利根水源の森キャンプ場∼木の根沢橋(大沢入口)
Rt.9;大沢(大沢橋上部∼林道終点)
Rt.10;大沢(林道終点∼デブリ上部ベースキャンプ)
Rt.11;奥利根水源の森キャンプ場上部ライトトラップ設置場所
Rt.12:奥利根水源の森入口∼坤六峠
出現種の構成は山地性のエゾスジグロシロチョウ、サカハチチョウ、エルタテハ、キベリタテハ、
シータテハ、クジャクチョウ、ヒメキマダラヒカゲなどのほか、広域に生息できるモンキチョウ、
コミスジ、ルリタテハ、ミドリヒョウモン、ヒオドシチョウ、森林環境では少ないモンシロチョウ
もRt.1で確認された。Rt.2は、未舗装であるが車の通行ができるルートで、路傍に草地が、ほとんど
森林におおわれたRt.1と比較すると広い。このためか、出現した種数および個体数共にRt.1よりRt.2
が大きい値となった。この結果を2014年度に調査した武尊山南東部の草原の結果と比較すると、種
数・個体数共に少ない。武尊山南東部の2014年度調査で、ブナ林あるいはオオシラビソ林内の種数
および個体数は、牧場、スキー場あるいはキャンプ場により形成される草原と比較すると少なくな
る(小林 2015a)結果が得られており、本調査地の植生環境が主に森林であるためと思われる。
―169―
調査日と時間当たり出現種数および時間当たり出現個体数は図4-39および図4-40のようになっ
た。時間当たり出現個体数は、9月がもっとも高い値となったが、セセリチョウ科のイチモンジセセ
リがサワアザミやナンブアザミを吸蜜のため多数飛来していたためである。時間当たり種数も8月
および9月が他の月より高くなったが、8月から9月の開花時期に合わせ、吸蜜のために出現している
ためと思われる。確認された種は、キベリタテハを除き訪花性の種であり、吸蜜植物はナンブアザ
ミ(7種)、ヨツバヒヨドリ(6種)が主であった(表4-8)。また、吸蜜植物の多くは、沢沿いの森林
のRt.1では、ところどころに生じた伐採地や沢の合流点、Rt.2は車の通行が可能で幅が広いため、森
林との境界の路傍に主に生育していた。
大沢上部の月例調査最終地点から8月の合同調査で、ベースキャンプとした地点までの間(Rt.9、
Rt.10)は、林床はチシマザサにおおわれたブナ林でほとんど吸蜜植物はなく、時折ミドリヒョウモ
ンなどの大型ヒョウモン類、アサギマダラおよびヒメキマダラヒカゲの飛翔がみられたのみであっ
た。
田代湿原管理道の田代湿原入口から田代湿原間(Rt.4、Rt.5)は、ブナ林で、その林床はチシマザ
サにおおわれており、葉が伸びた季節にはほとんど林床に陽が届かず、チョウ類の飛翔はまったく
みられず、ササ類依存の種であるクロヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲが田代湿原管理道の田代湿原入
口と、田代湿原近くで少数みられたのみであった。田代湿原(Rt.6)では、湿地固有の種や、林縁で
開花植物は見られたが、クロヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲが少数みられた。
本調査地の植物との関連では、ミヤマカラスアゲハの産卵が木の根沢河畔のキハダで行われ、ア
サギマダラの卵および幼虫がRt.1に生育するイケマから確認され、また、ミドリシジミがヤマハンノ
キで産卵を観察された(表4-8)
。
図4-39 時間当たり出現種数
図4-40 時間当たり出現個体数
―170―
表4-8 成虫の行動
項 目
吸蜜植物
キク科
ヨツバヒヨドリ
ナンブアザミ
サワアザミ
ゴマナ
コウゾリナ
ヤマハハコ
ハンゴンソウ
セイヨウタンポポ
タデ科
オオイタドリ
記 録
スジグロシロチョウ:16-Ⅷ-2015 1♂
(Rt.2)
アサギマダラ:15-Ⅷ-2015 5♂
(Rt.2), 1♂
(Rt.9), 16-Ⅷ-2015 16♂
(Rt.2)
ミドリヒョウモン:15-Ⅸ-2015 1♀
(Rt.2)
ヒメキマダラヒカゲ:15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.2)
オオチャバネセセリ:15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.2)
オオウラギンスジヒョウモン:15-Ⅸ-2015 1♂
(Rt.2)
ミドリヒョウモン:15-Ⅸ-2015 3♀
(Rt.2)
ヒメキマダラヒカゲ:15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.2)
オオチャバネセセリ:15-Ⅸ-2015 2exs.
(Rt.1)
イチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 6exs.
(Rt.1)
, 66exs.
(Rt.2)
オオチャバネセセリorイチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 4exs.
(Rt.1), 1ex.
(Rt.2)
オオチャバネセセリ:15-Ⅸ-2015 2exs.
(Rt.1)
イチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 4exs.
(Rt.1)
ミドリヒョウモン:15-Ⅸ-2015 1♀(Rt.2)
ツバメシジミ:15-Ⅸ-2015 1♂
(Rt.2)
イチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 3exs.
(Rt.1), 6exs.
(Rt.2)
スジグロシロチョウ:16-Ⅷ-2015 1♂(Rt.2)
イチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.2)
イチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 6exs.
(Rt.2)
オオチャバネセセリorイチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 3exs.
(Rt.2)
アサギマダラ:15-Ⅸ-2015 1ex.(Rt.2)
スジグロシロチョウ:2-Ⅵ-2015 1♂(Rt.1)
イチモンジセセリ:15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.2)
ミヤマカラスアゲハ:15-Ⅷ-2015 1♂
(Rt.1)
吸水
地表
ミヤマカラスアゲハ:16-Ⅷ-2015 4♂
(Rt.1)
ヒメキマダラヒカゲ:15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.2)
クロヒカゲ:15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.1)
コンクリート吹付壁 エルタテハ:15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.2)
獣糞
オオチャバネセセリ:16-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.2)
占有行動
地表
産卵および幼虫
キハダ
イケマ
ヤマハンノキ
エルタテハ:9-Ⅹ-2015 2exs.
(Rt.1), 1ex.
(Rt.2)
ルリタテハ:5-Ⅶ-2015 1ex.
(Rt.2), 1ex.
(Rt.7)
, 15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.2)
ミヤマカラスアゲハ:16-Ⅷ-2015 1♀
(Rt.2)
アサギマダラ:4-Ⅶ-2015 2eggs, 1larva
(Rt.1)
ミドリシジミ:15-Ⅷ-2015 1♀
(Rt.1)2eggs確認
1975年の5月から10月までの調査で確認された41種(布施 1976)に対し本調査で確認されな
かった種は、アゲハチョウ科のカラスアゲハ、キアゲハ、シロチョウ科のヤマキチョウ、スジボソ
ヤマキチョウ、タテハチョウ亜科のミスジチョウ、ウラギンスジヒョウモン、ウラギンヒョウモン、
ジャノメチョウ亜科のヒメウラナミジャノメ、ベニヒカゲ、ジャノメチョウ、コジャノメ、シジミ
チョウ科のウラキンシジミ、フジミドリシジミ、エゾミドリシジミ、ジョウザンミドリシジミ、ト
ラフシジミ、コツバメ、オオゴマシジミ、セセリチョウ科のダイミョウセセリ、キバネセセリ、コ
チャバネセセリの20種であった。また、今回確認された種は、アゲハチョウ科のウスバシロチョウ、
シロチョウ科のモンシロチョウ、エゾスジグロシロチョウ、タテハチョウ亜科のルリタテハ、マダ
ラチョウ亜科のアサギマダラ、シジミチョウ科のミドリシジミ、ヒメシジミ、ツバメシジミの8種で
あった。
確認されなかった種のうち、ミスジチョウ、フジミドリシジミ、キバネセセリ、コチャバネセセ
リは森林性で、7月中旬から8月上旬に調査できなかったことが原因の一つと考えられる。ヤマキ
チョウ、スジボソヤマキチョウ、ヒメウラナミジャノメ、ジャノメチョウは草原性で、チシマザサ
―171―
−ブナ群団の本調査地で生息していたとしても、もともと個体数の少ない種である。また、ベニヒ
カゲについては、2015年8月16日に田代湿原の調査では、確認できなかった。最初の田代湿原の1975
年8月23日(個体数性別記述無)
(布施 1976)のほかには、2001年8月24日1雄の報告(池沢 2001)
がある。布施(1976)は、
“武尊山一帯にも分布の可能性が考えられるので、発生最盛期に武尊山一
帯の調査の必要性がある”と述べているが、池沢(2001)は“坤六峠のササ類の繁茂する平坦地で、
生息環境としては異例”としており、本調査域での生息の可能性についての考え方は異なっている。
チョウ目チョウ類目録
種 名
Papilionidae アゲハチョウ科
ウスバシロチョウ
"$ オナガアゲハ
. ミヤマカラスアゲハ
Pieridae シロチョウ科
1
"$" モンキチョウ
="
D"H" キチョウ
"
" モンシロチョウ
エゾスジグロシロチョウ
""$" スジグロシロチョウ
spp.(エゾスジグロシロチョウスジグロシロチョウ)
Lycaenidae シジミチョウ科
k"n"Dr
w ミドリシジミ
1"$
ルリシジミ
=”""
Ÿ" ツバメシジミ
"H"w
ヒメシジミ
Nymphalidae タテハチョウ科
Danainae マダラチョウ亜科
$
$ アサギマダラ
Nymphalinae タテハチョウ亜科
¾r"
オオウラギンスジヒョウモン
¾r
D ミドリヒョウモン
¾r
spp. 大型ヒョウモンチョウ類
k"$
D コミスジ
¾D
H"w サカハチチョウ
ćD
クジャクチョウ
đ"
Ÿ アカタテハ
r
ĪH シータテハ
krD
$ キベリタテハ
k
ń$D" ヒオドシチョウ
k
”H エルタテハ
Ś.
" ルリタテハ
Satyrinae ジャノメチョウ亜科
k""
D ヤマキマダラヒカゲ
ŷD"
$" ヒメキマダラヒカゲ
ƌ"$D"
Ÿ クロヒカゲ
Hesperiidae セセリチョウ科
r$"
"Ÿ オオチャバネセセリ
$$$ イチモンジセセリ
r$"
"Ÿ
or
$$$
(オオチャバネセセリorイチモンジセセリ)
記 録
02-Ⅵ-2015 1ex.
(Rt.1)
16-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.1)
15-Ⅷ-2015 1♂, 1ex.
(Rt.1)
, 3♂1♀(Rt.2)
, 16-Ⅷ-2015 5♂(Rt.1)
, 1♀(Rt.
2), 15-Ⅸ-2015 1ex.(Rt.1)
02-Ⅵ-2015 1♂(Rt.2), 15-Ⅷ-2015 1♂(Rt.2)
15-Ⅸ-2015 1♂1♀(Rt.1)
, 1ex.
(Rt.13)
02-Ⅵ-2015 1ex.
(Rt.1)
05-Ⅶ-2015 1♂(Rt.1)
, 3♂(Rt.2)
, 15-Ⅷ-2015 1♂(Rt.1)
02-Ⅵ-2015 1♂(Rt.1)
, 04-Ⅶ-2015 2exs.
(Rt.2)
, 05-Ⅶ-2015 1♀(Rt.1)
,
16-Ⅷ-2015 2♂(Rt.2)
02-Ⅵ-2015 2exs.
(Rt.1), 16-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.2)
15-Ⅷ-2015
16-Ⅷ-2015
15-Ⅸ-2015
05-Ⅶ-2015
3♀{Rt.9}, 3♀(Rt.1)
, 15-Ⅸ-2015 1♀(Rt.1)
1♀(Rt.2)
1♂(Rt.2)
2♂(Rt.1)
02-Ⅵ-2015 1ex.
(Rt.1)
, 04-Ⅶ-2015 2eggs.1larva
(Rt.1)
, 15-Ⅷ-2015 1♂
(Rt.9)
, 5♂(Rt.2)
, 16-Ⅷ-2015 16♂(Rt.2)
, 15-Ⅸ-2015 2exs.
(Rt.2)
, 1ex.
(Rt.12)
15-Ⅸ-2015 1♂(Rt.2)
15-Ⅷ-2015 2♂(Rt.9)
, 15-Ⅸ-2015 3♀(Rt.2)
, 1♀(Rt.12)
, 09-Ⅹ-2015 1♀
(Rt.1)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.1)
, 3exs.
(Rt.10)
, 1ex.(Rt.2)
, 1♂1ex.(Rt.2), 15-Ⅸ2015 4♂(Rt.2)
, 1♂(Rt.12)
02-Ⅵ-2015 1ex.
(Rt.2)
02-Ⅵ-2015 2exs.
(Rt.1)
09-Ⅹ-2015 1ex.
(Rt.1)
15-Ⅸ-2015 3exs.
(Rt.2)
15-Ⅸ-2015 3exs.
(Rt.2)
16-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.2)
02-Ⅵ-2015 1ex.
(Rt.2)
, 1ex.(Rt.3)
, 05-Ⅶ-2015 1ex.
(Rt.5)
, 1ex.(Rt.7)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.10)
, 1ex.
(Rt.2), 09-Ⅹ-2015 2exs.(Rt.1)
, 1ex.
(Rt.2)
05-Ⅶ-2015 1ex.
(Rt.2)
, 1ex.
(Rt.7), 15-Ⅷ-2015 1ex.(Rt.2)
02-Ⅵ-2015 2exs.
(Rt.2)
, 04-Ⅶ-2015 1ex.(Rt.4)
, 05-Ⅶ-2015 1ex.(Rt.4)
,
1ex.
(Rt.7)
15-Ⅷ-2015 8exs.
(Rt.9)
, 6exs.
(Rt.2), 16-Ⅷ-2015 3exs.
(Rt.11), 2exs.
(Rt.
5), 2exs.(Rt.6)
, 1ex.(Rt.7)
, 10exs.(Rt.2)
, 15-Ⅸ-2015 4exs.
(Rt.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.(Rt.9)
, 1ex.
(Rt.1)
, 16-Ⅷ-2015 2exs.
(Rt.5)
, 2exs.
(Rt.6)
,
6exs.
(Rt.2)
, 15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.1)
15-Ⅷ-2015 1ex.(Rt.1), 1ex.
(Rt.2), 16-Ⅷ-2015 1ex.(Rt.2), 15-Ⅸ-2015
2exs.
(Rt.1)
16-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.2)
, 15-Ⅸ-2015 12exs.
(Rt.1)
, 90exs.
(Rt.2)
16-Ⅷ-2015 1ex.(Rt.2)
, 15-Ⅸ-2015 4exs.
(Rt.1), 9exs.
(Rt.2)
Rt.1;大沢(入口∼大沢橋上部)
Rt.2;田代保安林管理車道(入口∼)
Rt.3;奥利根水源の森キャンプ場
Rt.4;田代湿原入口
Rt.5;田代湿原入口∼田代湿原
Rt.6;田代湿原
Rt.7;田代湿原入口∼坤六峠道路
Rt.8;奥利根水源の森キャンプ場∼木の根沢橋(大沢入口)
Rt.9;大沢(大沢橋上部∼林道終点)
Rt.10;大沢(林道終点∼デブリ上部ベースキャンプ)
Rt.11;奥利根水源の森キャンプ場上部ライトトラップ設置場所
Rt.12;奥利根水源の森入口∼坤六峠
―172―
b ガ類
(a)調査日の気象と確認種および個体数
夜間調査では、表4-9の条件で、St.1とSt.2を合わせて20科120種627個体、また、月次調査の日中
調査で7科10種30個体確認した。昼行性ガは、ツマモンヒゲナガ、サカハチクロナミシャク、シロオ
ビクロナミシャク、イカリモンガおよびキンモンガの4科5種23個体であった。総合計では、23科128
種(特定できたのは114種)657個体となった。
St.1およびSt.2は、標高と調査日が異なるが、同じ植生環境でチシマザサ−ブナ群団であることか
ら、出現種をあわせ本調査地のガ類相を検討した。科別出現種数は、シャクガ科45種(35.2%)、ヤ
ガ科30種(20.2%)
、ハマキガ科9種(7.0%)
、ツトガ科9種(7.0%)が主となった。これまで、ツ
トガ科は、メイガ科の亜科としていたが、日本産ガ類は、駒井ほか(2011)により、Kristensen "$
(2007)による体系に基づき、メイガ上科のツトガ科となり、メイガ科から分離したため、本調
査地のメイガ科の種数は上位にならなかった(図4-41)。科別出現個体数も同様で、シャクガ科262
個体(39.9%)、ヤガ科133個体(20.2%)、ハマキガ科83個体(12.6%)、ツトガ科55個体(8.4%)
となり、それらの合計は533個体(72.7%)となった(図4-41)。新たな体系での上科別出現科数、
種数および個体数は、図4-42のようであるが、本調査に用いたライトトラップで採集されるガ類は、
シャクガ上科、ヤガ上科に属する種数および個体数が多い結果となった。
本調査で希少種はみられなかった。優占種はエグリノメイガ(ツトガ科)、トビスジマダラメイガ
(メイガ科)
、ヒメウスカバスジナミシャク(シャクガ科)、マルバトビスジエダシャク(シャクガ
科)
、ハスオビヒメアツバ(ヤガ科)の5種であり、採集個体数の28.0%であった。このうちマルバ
トビスジエダシャクは、東北以南に分布するが、他の3種は北海道から九州まで広域に分布する。
2014年の武尊山調査地域でも、エグリノメイガ、ヒメカバスジナミシャクおよびマルバトビスジエ
ダシャクは多くの個体が採集された(小林 2015b)が、これらも含めた5種の食餌植物は知られて
いない。
出現種 の 国内分布型 は、種数 で み る と 種 ま で 同定 で き た114種 の う ち、広域分布型 が98種
(86.0%)、中部地方以北分布型は9種(7.9%)
、東北地方以南分布型は7種(6.1%)で関東地方以
南以西型はみられなかった。個体数別では、503個体のうち、広域分布型は427個体(84.9%)
、東
表4-9 夜間調査結果と気象
調査日
4-Ⅶ-2015
5-Ⅶ-2015
15-Ⅷ-2015
16-Ⅷ-2015
開始
時刻
18:42
22:24
0:00
18:38
0:00
調査時間
終了
時間 総作動時間
時刻
(hrs.) (hrs.)
22:24
0:00
4:45
0:00
4:45
3.15
3.32
3.35
5.37
4.75
10.05
10.12
気温(℃)
開始時 終了時
15.5
−
−
16.4
16.1
図4-41 出現23科における種数と個体数
―173―
13.6
−
11.5
16.1
15.0
気象
天気
開始時 終了時
曇
雨
雨
晴
曇
雨
雨
雨
曇
雨
採集
風力
個体数
開始時 終了時 (pcs.)
無
無
無
無
無
無
無
無
無
無
58
571
図4-42 出現11上科における科数・種数・個体数
北地方以南分布型は61個体(12.1%)、中部地方以北分布型は15個体(3.0%)となり、種数では中
部地方以北分布型が多く、個体数別は逆の結果になった(図4-43)。
出現種の食餌植物については、同定できた114種のうち、いまだに不明の種が23種で、91種
(79.8%)について知られている。91種中で広葉樹依存種は56種(61.5%)で最も多く、次にイネ
科・カヤツリグサ科依存種8種(8.8%)
、針葉樹、広葉樹や草本も食餌する多食性種8種(8.8%)
、
蘚苔類・地衣類依存種14個体(5.2%)、枯葉や腐朽木依存種13個体(4.8%)、イネ科・カヤツリグ
サ科を除く草本依存種12個体(4.4%)となった(図4-44)。広葉樹依存種が主の結果となったが、
ブナあるいはブナ科依存種については、ブナあるいはイヌブナのみを食餌する種は4種(4.4%)
、ブ
ナ、イヌブナ固有でないが他のブナ科あるいはブナ科以外まで広範囲となる種4種(4.4%)
、ブナ、
イヌブナの記録はないがブナ科固有あるいはブナ科を含む種は10種(11.0%)で、合計でも19.8%
図4-43 出現種の国内分布
図4-44 出現種の幼生時の食餌
―174―
図4-45 幼生時広葉樹依存種のブナ科依存率
であった。チシマザサ−ブナ群団の植生環境でブナの生育が目立つ森林であったが、その比率は低
い結果が得られた(図4-45)
。
個体数別にみると、ブナあるいはイヌブナのみを食餌する種は16個体(5.9%)
、ブナ、イヌブナ
固有でないが他のブナ科あるいはブナ科以外まで広範囲となる種10個体(3.7%)
、ブナ、イヌブナ
の記録はないがブナ科固有あるいはブナ科を含む種は51個体(18.8%)で、合計で28.4%であった。
1975年に行われた田代湿原の調査で、ブナ依存種としては、シャチホコガ科のブナアオシャチホコ、
マルモンシャチホコ、ウグイスシャチホコ、エゾギンスジシャチホコ、カギバガ科のエゾカギバ、
ヤガ科のゴマシオキシタバ、ヨシノキシタバ、ソトキイロアツバの8種が、ブナも食餌する種として、
シャクガ科のオオトビスジエダシャク、チャバネフユエダシャク、ヒゲマダラエダシャク、カバエ
ダシャク、シャチホコガ科のナカエグリシャチホコの5種が記録されている(布施 1976)。本調査
で、ブナアオシャチホコ、ゴマシオキシタバ、エゾカギバ、オオトビスジエダシャクの4種は確認さ
れた。
チョウ目ガ類目録
種 名
INCURVARIOIDEA マガリガ上科
ADELIDAE ヒゲナガガ科
k"D
D"D""" ツマモンヒゲナガ
YPONOMEUTOIDEA スガ上科
YPONOMEUTIDAE スガ科
Argyresthiinae メムシガ亜科
¾r"$D
sp.1
¾
sp.2
Argyresthiinae spp.
YPSOLOPHIDAE クチブサガ科
ȍD
H$$ ギンスジクチブサガ
LYONETIIDAE ハモグリガ科
ƌ"$"
sp.
GELECHIOIDEA キバガ上科
DEPRESSARIIDAE ヒラタマルハキバガ科
¾$"ń
sp.
COSMOPTERIGIDAE カザリバガ科
Cosmopterigidae spp.
1$"ń
sp.
PELEOPODIDAE エグリキバガ科
¾
"" オオエグリキバガ
GELECHIIDAE キバガ科
Gelechiidae spp.
TORTRICOIDEA ハマキガ上科
TORTRICIDAE ハマキガ科
Tortricinae ハマキガ亜科
D$D"DŸ"
Ÿ"$ ヨモギオオホソハマキ
1D$"
" アトボシハマキ
Tortricinae sp.
k"r$
$ フタモンコハマキ
k
sp.
記 録
05-Ⅶ-2015 1ex.
(Rt.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 24exs.(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 2exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 9exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
―175―
4exs.
(St.2)
1ex.
(St.2)
1ex.
(St.2)
6exs.
(St.2)
12exs.
(St.2)
種 名
Olethreutinae ヒメハマキガ亜科
ʡ$
D$ フタモントガリバヒメハマキ
ʰ"Ÿr
” シラフオオヒメハマキ
ʾ"$D"$"
sp.
Olethreutinae spp.
1rŸ
エンドウシンクイ
PTEROPHOROIDEA トリバガ上科
PTEROPHORIDAE トリバガ科
Pterophoridae spp.
¾Hr$
sp.
PYRALOIDEA メイガ上科
PYRALIDAE メイガ科
Phycitinae マダラメイガ亜科
$Ÿ"
" トビスジマダラメイガ
¾H
"$" ウスアカマダラメイガ
CRAMBIDAE ツトガ科
Crambinae ツトガ亜科
̒D
sp.
1H
DD$" ミヤマウスギンツトガ
k""Ÿ
ń$ クロフタオビツトガ
Scopariinae ヤマメイガ亜科
͋"
sp.
Scoparia spp.
Pyraustinae ノメイガ亜科
͗͞
"”" セスジノメイガ
$$
$ͽ" キイロフチグロノメイガ
΅"$
""" エグリノメイガ
΅
sp.
ʾŸ"
$$ シロアシクロノメイガ
εŸ"
"ń ウスグロマルモンノメイガ
ε
sp.
CALLIDULOIDEA イカリモンガ上科
CALLIDULIDAE イカリモンガ科
$"Ÿ"$
ϑ"Ÿ" イカリモンガ
DREPANOIDEA カギバガ上科
DREPANIDAE カギバガ科
Drepaninae カギバガ亜科
ϘH"
$ オガサワラカギバ
kŸ$
" エゾカギバ
͋H
D ウスオビカギバ
¾n$
"H ヒトツメカギバ
Thyatirinae トガリバガ亜科
Ϙ$Dr$
ϑ”Ÿ キマダラトガリバ
͗"$D""
ϑ$ ヒトテントガリバ
EPICOPEIIDAE アゲハモドキガ科
rD$D
" キンモンガ
GEOMETROIDEA シャクガ上科
URANIIDAE ツバメガ科
Epipleminae フタオガ亜科
΅r"$D
$$ ヒメクロホシフタオ
GEOMETRIDAE シャクガ科
Ennominae エダシャク亜科
ƌŸ
w シロスジヒメエダシャク
ƌD
クロズウスキエダシャク
͗"D
ミスジシロエダシャク
1H"
D"ϑϑ" ヒラヤマシロエダシャク
1
コスジシロエダシャク
=D$D
$ ウスオビヒメエダシャク
͋r"
DŸ ハグルマエダシャク
$r"$
"$ ツマキエダシャク
1r$Ÿ
$$" トンボエダシャク
Ϙ"$Hń
" オオシロエダシャク
¾D
" キシタエダシャク
¾
D."”$D ヒョウモンエダシャク
¾H
"D"" マルバトビスジエダシャク
¾
$ シロシタオビエダシャク
΅""$"
H"$ マツオオエダシャク
ʰr"
ϑ" オオバナミガタエダシャク
ϘD
ϑ クロオオモンエダシャク
ʰr"
$ ウスバミスジエダシャク
=$
" フトフタオビエダシャク
=
"ń"" オオトビスジエダシャク
‫י‬$
"$ ナミスジエダシャク
¾HrD
"$ チャマダラエダシャク
$"$"
"Ÿ シロモンクロエダシャク
͋""
Ÿ$ ウスムラサキエダシャク
͋
$"$ ムラサキエダシャク
̒"
" キバラエダシャク
=ŸŸ"
Ÿ$ モミジツマキリエダシャク
1"D
Ÿ”" アトボシエダシャク
͋"
Ÿ"H ツマトビシロエダシャク
記 録
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
2exs.
(Rt.6)
2exs.
(St.2)
21exs.
(St.2)
33exs.
(St.2)
1ex.(St.2)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.(St.1)
15-Ⅷ-2015 20exs.(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 4exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
2exs.
(St.2)
1ex.
(St.2)
34exs.
(St.2)
5exs.
(St.2)
2exs.
(St.2)
1ex.(St.2)
2exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.1)
, 16-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.1), 15-Ⅸ-2015 1ex.(Rt.1)
04/05-Ⅶ-2015 1♀(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 1♀(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 1♂(St.1)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.1)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 3exs.
(St.1), 15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅸ-2015 1ex.
(Rt.1)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 3exs.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 16exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♂1♀(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1♂1♀(St.1)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 4♂3♀(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♀(St.2)
16-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.1)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♀(St.2)
15-Ⅷ-2015 48♂3♀
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♀(St.2)
15-Ⅷ-2015 8♂1♀(St.2)
15-Ⅷ-2015 3♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 12♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 1♀(St.1)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 4♂(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.(St.1)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 4♂(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1♀(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 2♂(St.1)
15-Ⅷ-2015 2exs.
(St.2)
―176―
種 名
Geometrinae アオシャク亜科
̒""$
オオシロオビアオシャク
‫Ÿڌ‬
$" ナミガタウスキアオシャク
‫ڌ‬
$$ ヒメウスアオシャク
Sterrhinae ヒメシャク亜科
ćŸ"
H"$ ウスキヒメシャク
ć
sp.
Larentiinae ナミシャク亜科
͗DH$
"ń"$ シロオビクロナミシャク
ʡH
$"Ÿ キリバネホソナミシャク
ʰrŸ"
ϑ$ ヤナギナミシャク
‫י‬D"$"
D"$" サカハチクロナミシャク
̒Ÿ$
Ÿ キベリシロナミシャク
=$D
"Ÿ"" ウストビモンナミシャク
=$
" ミヤマアミメナミシャク
ƌHŸ"
""$ キホソスジナミシャク
͋$"
Ÿ"ϑ$ シロオビマルバナミシャク
ƌŸ"
Ÿ"$ セジロナミシャク
Ϙ$
ń" ヒメカバスジナミシャク
ƌ"$"
spp.
=$D"
Hϑ$ キナミウスグロナミシャク
LASIOCAMPOIDEA カレハガ上科
LASIOCAMPIDAE カレハガ科
=$Dń
$$ ヨシカレハ
NOCTUOIDEA ヤガ上科
NOTODONTIDAE シャチホコガ科
͋r$r$
$$" ブナアオシャチホコ
1"$DŸ$
w シロシャチホコ
΅r
ŸŸŸ" トビモンシャチホコ
ʰ"ńϑ"
"Ÿ" ツマジロシャチホコ
LYMANTRIIDAE ドクガ科
ƌr$
D ノンネマイマイ
ARCTIIDAE ヒトリガ科
Lithosiinae コケガ亜科
="
”"$$ キシタホソバ
=
Ÿ"" ムジホソバ
=
w キマエホソバ
ƌ$D
͞Ÿ ヨツボシホソバ
¾"""
$ ホシオビコケガ
Ϙ$D$
ベニヘリコケガ
Arctinae ヒトリガ亜科
¾$
w ヒトリガ
NOLIDAE コブガ科
Nolinae コブガ亜科
k
ナミコブガ
NOCTUIDAE ヤガ科
Hypenodinae ミジンアツバ亜科
͋D.
"$ ハスオビヒメアツバ
Hypeninae アツバ亜科
ʰr"
$$ ミツボシアツバ
Herminiinae クルマアツバ亜科
ń
H$$ シロモンアツバ
ϑ オビアツバ
ćŸ
͞Ÿ キモンクロアツバ
ʰrŸŸ"
ヒロオビウスグロアツバ
Calpinae エグリバ亜科
̒$
" アカキリバ
Catocalinae シタバガ亜科
1$
H ゴマシオキシタバ
͋rŸ"
D"" アヤシラフクチバ
Plusiinae キンウワバ亜科
¾$"
" ギンボシキンウワバ
͗Dr
$"ń$ キクキンウワバ
Eustrotiinae スジコヤガ亜科
$Ÿ"$$"
r シロフコヤガ
Śr
ϑ スジシロコヤガ
Ś
sp.
Amphipyrinae カラスヨトウ亜科
¾Dr
D". ツマジロカラスヨトウ
Xyleninae キリガ亜科
͋Ÿ$"
Ÿ"”$ スジキリヨトウ
͗D"
""" ウスキシタヨトウ
͋
""$$ サッポロチャイロヨトウ
¾D"
" ショウブヨトウ
͋"
$ テンオビヨトウ
1
$"n イタヤキリガ
1DŸ"
sp.1
1
sp.2
1
$ ヒメギンガ
1
"” ウラギンガ
記 録
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 3♂(St.1), 15-Ⅷ-2015 2exs.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 2♂(St.1)
15-Ⅷ-2015 6exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 6exs.
(St.2)
05-Ⅶ-2015 2exs.
(Rt.1)
, 2exs.
(Rt.2)
04/05-Ⅶ-2015 1♂1♀(St.1)
, 15-Ⅷ-2015 10♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 4exs.
(St.2)
02-Ⅵ-2015 2exs.
(Rt.1)
, 15-Ⅷ-2015 5exs.(Rt.2)
, 4exs.
(Rt.9)
, 16-Ⅷ-2015
2exs.
(Rt.1), 1ex.(Rt.6)
15-Ⅷ-2015 1ex.(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 3♂1♀(St.1), 15-Ⅷ-2015 2♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 54exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 4exs.(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 2exs.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 4♂(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 2♂(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 11exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♂(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 3exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 2♂(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.
(Rt.1)
04/05-Ⅶ-2015 3exs.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 20exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 1♂1♀(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 2exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 2exs.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 2exs.
(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 1♂(St.1)
15-Ⅷ-2015 5exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 2exs.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.(St.1)
04-Ⅶ-2015 1ex.
(Rt.2)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.(St.1)
04/05-Ⅶ-2015 1ex.
(St.1)
15-Ⅷ-2015 2exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 4exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 6exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
15-Ⅷ-2015
―177―
1♀(St.2)
1ex.
(St.2)
11exs.
(St.2)
2exs.(St.2)
17exs.
(St.2)
4exs.
(St.2)
4exs.
(St.2)
3exs.
(St.2)
3exs.(St.2)
4exs.(St.2)
種 名
Hadeninae ヨトウガ亜科
Ϙr$D
" シロテンキヨトウ
Noctuinae モンヤガ亜科
͋"D"
"ń$ カバスジヤガ
͋
H$$ ウスイロカバスジヤガ
΅
Ÿ" コウスチャヤガ
੅"$
"ϑϑ"" キシタミドリヤガ
¾"$Ÿ"
”" オオアオバヤガ
記 録
15-Ⅷ-2015 1ex.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 9exs.
(St.2)
15-Ⅷ-2015 15exs.
(St.2)
04/05-Ⅶ-2015 1♂2♀(St.1)
15-Ⅷ-2015 1ex.(St.2)
15-Ⅷ-2015 1ex.(St.2)
St.1:木の根沢奥利根水源の森キャンプ場,標高1399m 北緯36°50′42″,東経139°10′36″
St.2:木の根沢奥利根水源の森キャンプ場上,標高1532m 北緯36°50′20″,東経139°10′02″
引用文献
環境庁(1981a)第2回自然環境保全基礎調査(植生調査)現存植生図 藤原.
環境庁(1981b)第2回自然環境保全基礎調査(植生調査)現存植生図 追貝.
布施英明(1976)田代湿原 鱗翅目.良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(Ⅱ)
,3-4.群
馬県林務部自然保護対策室.
池沢隆一(2001)ベニヒカゲの坤六峠での記録.乱舞,11:81.群馬昆虫学会.
小林栄一(2015a)武尊山周辺 チョウ類(チョウ目).良好な自然環境を有する地域学術調査報告
書,41:74-84.群馬県環境森林部自然環境課.
小林栄一(2015b)武尊山周辺 ガ類(チョウ目).良好な自然環境を有する地域学術調査報告書,
41:84-90.群馬県環境森林部自然環境課.
駒井古実・吉安 裕・那須義次・斉藤寿久編著(2011)日本の鱗翅類−系統と多様性−.1305pp.
東海大学出版会.
Kristensen, N.P,. Scoble, M. J. and Karsholt, O. (2007) Lepidoptera Phylogeny and Systematics :
the state of inventorying moth butterfly diversity.in Zhang, Z. Q. & Shear, W. A. (eds), Linnaeus tercentenary : progress in invertebrate taxonomy. Zootaxa 1668 : 699-747.
岡田利博(1966)上州武尊山の動植物調査報告 蝶類,早稲田生物,15:29-35.早稲田大学生物
同好会.
柳田慶浩(1966)上州武尊山の動植物調査報告 蛾類,早稲田生物,15:35-43.早稲田大学生物
同好会.
(小林 栄一)
(5)クモ類
武尊山周辺のクモ類は、宝台樹スキー場1000m付近(林 2013b)と武尊牧場スキー場における
1400m付近(林 2015)の調査結果がある。調査地は武尊山の北東方向に位置し、空白地である。
田代保安林管理道路周辺に生息するクモの調査を行い、7科12種を得たので報告する。
ア 調査方法
ビーティング:小型種や葉に生息するクモ
類を採取する方法であり、植物の葉の下に白
い布を広げ、植物の葉を棒でたたいて落ちて
くるクモ類を採取する。
主に道路周辺のササ・
草本類に生息するクモ類にこの方法を用い
た。
イ 調査日及び調査地
6月4日
みなかみ町藤原(照葉橋1353m)
7月29日 みなかみ町藤原(ブナの森駐車場
1502m,ヒ メ カ イ ウ 園 駐 車 場
1456m,田代湿原1568m)
図4-46 調査場所
A 照葉橋,B ブナの森駐車場,
C ヒメカイウ園駐車場,D 田代湿原
―178―
ウ 調査結果
2回の調査で得られたクモ類は少なかったが、山地性のクモ類が確認できた。シモフリヒメグモ・
テジロハリゲコモリは、新海ほか(2014)による最新の群馬県クモ類リストに未記録の種である。
目録
目録の科の配列や種名は新海ほか
(2014)
によった。
Yは幼体を示す。
A=照葉橋1353m,B=ブナの森駐車場1502m,C=ヒメカイウ園駐車場1456m,D=田代湿原1568m
Theridiidae ヒメグモ科
ȍD"
r
(WALCKENAER 1842)
シモフリヒメグモ
1♂ 7月29日 B
Linyphiidae サラグモ科
ʰ"HD$"
""(S. SAITO 1934)
キヌキリグモ
2♀ 7月29日 D
k"""
ϑ
(OI 1960)
クスミサラグモ
1♂ 6月4日 A
Tetragnathidae アシナガグモ科
͗"$$D
L. KOCH 1870 ミドリアシナガグモ
1♂ 7月29日 D
Lycosidae コモリグモ科
Ÿ
H"””” TANAKA 1975 ヤマハリゲコモリグモ
1♀ 7月29日 B
Ÿ
r TANAKA & SUWA 1986
テジロハリゲコモリグモ
3♂4♀ 6月4日 A,3♀ 7月29日 D
Agelenidae タナグモ科
͗"""$" sp. ヤマヤチグモの一種
♀(Y) 7月29日 C
近くの丸沼、菅沼でシナノヤマチグモ͗
D.
(林 2013a)
を得ていることから、シナノヤマチグ
モの可能性がある。
Gnaphosidae ワシグモ科
ŚDŸ
H$
(S.SAITO 1934)
ヨツボシワシグモ
1♂ 6月4日 A
本州以北からの記録が多い。特徴のあるクモで識別
しやすいが、幼体の個体数は多く、特に♂の成体が
得にくい種である。1500∼1700m付近のササの葉
から採集されることが多い。
Salticidae ハエトリグモ科
ȍ"
$$"
(GRUBE 1861)
ウススジハエトリ
図4-47 テジロハリゲコモリグモ
1♂ 7月29日 C
1 雌,2 雄
D$"
H
(BଫSENBERG & STRAND 1906)
チャイロアサヒハエトリ
1♂ 7月29日 B
D$"
"
(GRUBE 1861)
マガネアサヒハエトリ
2♀ 6月4日 A
D$"
$"
(GRUBE 1861)
ワカバネコハエトリ
1♂ 7月29日 B
エ 謝辞
田中穂積博士にヤマハリゲコモリグモ・テジロハリゲコモリグモを同定していただきました。こ
こに記して感謝申し上げます。
―179―
引用文献
林 俊夫(2013a)クモ類(日光白根山・錫ケ岳周辺(1年目)).良好な自然環境を有する地域学術
調査報告書,38:67-71.群馬県環境森林部自然環境課.
林 俊夫(2013b)クモ類とザトウムシ類(藤原地域武尊山麓).良好な自然環境を有する地域学術
調査報告書,39:178-181.群馬県環境森林部自然環境課.
林 俊夫(2015)クモ類(武尊山周辺(1年目)).良好な自然環境を有する地域学術調査報告書,41:
90-91.群馬県環境森林部自然環境課.
新海 明・安藤昭久・谷川明男・池田博明・桑田隆生(2014)CD日本のクモ Ver.2014.著者自刊.
(林 俊夫)
(6)陸・淡水産貝類
ア 調査方法及び調査日、調査場所
調査方法はルート沿いを徒歩で目視観察し、また採集して同定を行った。
ルートは図4-48に示した沢沿い林道、登山道、一般道路である。
調査日、調査ルートと生息確認地点
15-Ⅵ-2015(3次メッシュコード5439-2100、-2101、-2113、-2114)標高1080∼1400m、奥利
根水源の森キャンプ場付近と水上片品線と木の根沢に沿った地帯。大沢沿い林道。キャンプ場付近
は残雪に覆われて調査困難だった。大沢沿い林道はほとんど残雪はなかったが陸産貝類の生息確認
はできなかった。
27-Ⅶ-2015(5439-2100、-2101、-1191)標高1080∼1290m、st.1 st.2 st.3 大沢沿い林道。
7-Ⅷ-2015(5439-2103、-2104、-2113、-2114)標高1350∼1490m、st.4 奥利根水源の森管理
車道の約6.9kmの間。
31-Ⅷ-2015(5439-1194、-2103、-2104、-2113、-2114)標高1380∼1580m、st.5 奥利根水源
の森キャンプ場から田代湿原までの区間。
図4-48 調査地
―180―
5-Ⅸ-2015(5439-1099、-2009)標高1080∼1250m、st.6 st.7 st.8 手小屋沢沿いの林道。
14-Ⅸ-2015(5439-1068、-1069、-1077、-1078)標高1130∼1400m、st.9 st.10 st.11 st.12 st.13 武尊川沿いの林道。
イ 調査結果
陸産貝類1綱2目4科10種を確認した。同定および種名については高橋(1984)に従った。
確認された種は表4-10に、地点は図4-48に示した。
st.1∼st.3
林道が大沢の西側にある中流の区間で、林道沿いに混交林、下層にササ類が繁茂
して木漏れ日の当たる環境である(図4-49)。st.1でヒダリマキマイマイの幼貝5個
体、殻径5∼7㎜を確認した。st.2でハコネヒメベッコウ4個体を確認。st.3でツノ
イロヒメベッコウ1個体を確認した。全て小形の陸産貝類でササの葉上にいた。植
生により小型の陸産貝類にとって適切な空中湿度、気温、日照など良好な気候条
件が保たれた環境である。
st.4
普通車や二輪車が通過する未舗装道路、道路両側はブナなどの広葉樹林とササ類
が繁茂し木漏れ日の当たる環境(図4-50)。ササの葉裏にヒダリマキマイマイの幼
貝4個体、殻径約7㎜を確認した(図4-54)
。
st.5
水源の森キャンプ場より田代湿原まで遊歩道、途中で管理車道路を横切る地点で
付近の駐車場脇のササの葉裏にヒダリマキマキマイマイの幼貝6個体、殻径約5㎜
を確認した。
st.6∼st.8
手小屋沢沿いの林道で下流域に沿った地域は調査対象外である。林道は沢を渡り
西側から東側にかわり、ブナなどの広葉樹と下層にササ類、さらにシダ類が繁茂
している環境(図4-51)。st.6のササの葉裏にヒダリマキマイマイの幼貝5個体、殻
径5∼7㎜、ハコネヒメベッコウ2個体を、根元の朽木でフトキセルガイモドキの大
きさ殻高27㎜殻径10㎜と微小貝類のヒダリマキゴマガイ、ウゼンゴマガイを確認
した。st.7でエンスイマイマイ1個体、ナミヒメベッコウ1個を確認した(図4-53)。
st.8でヒダリマキマイマイの幼貝1個体、殻径7㎜を確認した。
st.9∼st.13
武尊川に沿って北側にある林道、自動車で上流沿いまで通行できるが武尊神社か
ら林道終点まで徒歩で調査を行った。st.9でヒダリマキマイマイの幼貝3個体、殻
径7∼10㎜、エンスイマイマイ2個体を確認。st.10、st.11とst.13(図4-52)でサ
サ類の葉上に散在するナミヒメベッコウを確認した。またst.12のササの根元の朽
木にゴマガイ、ウゼンゴマガイ、ヒメベッコウガイの生息を確認した。
調査域の中で沢沿いの林道はどこもスギ、ブナの混じる林で下層にササ類が繁茂している環境。
適度な下草刈りや樹木の枝の伐採がされているが地面には朽木や腐葉土があり、木漏れ日が当たる
表4-10 調査結果
調査日
種名
Mesogastropoda ニナ目(中腹足目)
Diplommatinidae ゴマガイ科
΅$
ゴマガイ
΅
n"" ウゼンゴマガイ
ヒダリマキゴマガイ
Stylommatophora マイマイ目(柄眼目)
Enidae キセルガイモドキ科
Ϙ
w フトキセルガイモドキ
Helicarionidae ベッコウマイマイ科
1"$Dr
"$Ÿ" ツノイロヒメベッコウ
΅
Ÿ ヒメベッコウガイ
‫ڌ‬Dr
D." ハコネヒメベッコウ
ȍ$Dr
” ナミヒメベッコウ
Bradybaenidae オナジマイマイ科
=DŸ
͞"$ ヒダリマキマイマイ
͗D$
エンスイマイマイ
6月15日 7月27日
8月7日
8月31日
9月5日
st.6
9月14日
st.12
st.12
st.6
st.6
st.3
st.12
st.2
st.1
―181―
st.6
st.7
st.4
st.5
st.10 st.11 st.13
st.6 st.8 st.9 st.10
st.7
st.9
環境で小形の貝類の生息に良好な環境といえる。しかし水源の森キャンプ場より田代湿原までの遊
歩道沿いには陸産貝類は確認できなかった。調査域全体として概して良好な環境が保たれていると
思える。
特筆すべき種は次の1種である。
ナミヒメベッコウ……絶滅危惧Ⅰ類(清水 2012年)
図4-49 大沢沿い林道の自然環境
(27-Ⅶ-2015 st.2)
図4-50 奥利根水源の森 管理車道の自然環境
(7-Ⅷ-2015 st.4)
図4-51 手小屋沢中流付近林道の自然環境
(5-Ⅸ-2015 st.8)
図4-52 武尊川上流付近の自然環境
(14-Ⅸ-2015 st.13)
図4-53 ナミヒメベッコウ
(5-Ⅸ-2015 st.7)
図4-54 ヒダリマキマイマイの幼貝
(7-Ⅷ-2015 st.4)
―182―
引用文献
高橋 茂(1984)群馬県陸産および淡水産貝類目録.249pp.自刊.
清水良治(2012)陸・淡水産貝類.群馬県の絶滅のおそれのある野生生物(群馬県レッドデータブッ
ク)動物編2012年改訂版,251-273.群馬県.
(清水 良治)
―183―
5 保全(保護)の現状
調査対象とした武尊山周辺は、ほとんどが国有林となっており、山地帯上部から亜高山帯にかけ
て自然植生が比較的広く残されている地域である。2015年度に調査された武尊山北面は、1960年代
から1970年代にかけて山地帯夏緑広葉樹林域の伐採が進んだが、県内他地域に比べ自然性のブナ林
が多く残されている。また、亜高山帯常緑針葉樹林域には手つかずの自然が残されている。
武尊山北面では遊歩道等が整備されている奥利根水源の森キャンプ場周辺が最も入山者の多い地
域であるが、木の根沢沿いの県道63号線が積雪期の約半年間通行止めとなるため、利用は夏から秋
に限定される。花咲湿原や武尊田代には、武尊牧場キャンプ場からも登山道が拓かれているため、
武尊牧場側からの登山者も多い。なお、花咲湿原に設置されている木道は腐朽等による傷みが激し
く、通行に危険な箇所が多く認められた。
2014年度調査地域の東面ではニホンジカ(以下、シカ)による顕著な植生被害は確認されなかっ
たが、2015年度の調査地域では奥利根水源の森から武尊田代周辺にかけての地域においてシカの摂
食などによる植生攪乱が認められた。特に武尊田代や花咲湿原では顕著で、武尊田代ではヌタ場や
裸地化した部分も見られた。南面の利根郡川場村においても、シカによる植生被害が顕著になって
きており、今後、調査対象地域においても影響が拡大することが懸念される。
本地域は、現在においても植生や植物相・動物相が豊かで、国または県指定の絶滅危惧種、希少
種が多く生育・生息する地域である。このため、シカによる植生被害が広がる前に、隣接地域を含
めたシカの個体数管理、絶滅危惧種や希少種の生育地に対する保護柵の設置など食害等への防止対
策が急務である。また、武尊山はもともと崩壊しやすいため稜線部の登山道などで荒廃が進んでい
る箇所があるほか、木道の傷みの激しい部分がある。登山者が多く、幼児も訪れるようになってい
るため、登山道整備を含めた安全対策の必要性も高い。
本地域の保全にあたっては、自然環境の保全と観光活動との両立に配慮することが求められる。
そのため、行政間の連携を図るとともに、継続的な調査研究を行い、それらをもとにした実効的な
方策を検討し実施する必要があると考える。
(片野 光一)
―184―
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