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(イ)
バイオマスエタノールの製造等
a
バイオマス資源からのエタノール製造技術
(a)
でん粉質・糖質原料からのエタノール製造方法
エタノール製造技術の一般的な方法であり、とうもろこし、甘しょなどのでん
粉質や、さとうきび、糖蜜などの糖質を原料としてアルコール発酵させる方法で
ある。
糖質原料は酵母を加える事で発酵が可能であるが、でん粉質原料はそのままで
は発酵できないため、酵素により糖化しその後酵母を加えて発酵させ、この発酵
によって得られたものをもろみと呼んでいる。もろみのアルコール濃度は8%程
度であり、蒸留によってアルコール濃度を高め、95%濃度のアルコール(含水ア
ルコール)が製造される。さらに、含水アルコールを脱水剤とともに蒸留すると
アルコール濃度99%以上の無水アルコールを造ることができる。糖蜜を原料にし
た場合、糖蜜1t当たり約250L~280L(糖分の規程により差がある)のエタノー
ルが得られる。
図2-2
(b)
でん粉質・糖質原料からのエタノール製造プロセスフロー
木質系(セルロース系)バイオマスからのエタノール製造方法
木質系(セルロース系)バイオマスには、農産物系のバガス、稲わら・もみ殻
等、廃棄物系の廃木、建設廃材等がある。製造工程は、酸化加水分解、糖化、発
酵、蒸留・脱水からなる。エタノール製造量は、現状では例えば廃材1t当たり
約200Lとなっている。
図2-3
木質系(セルロース系)バイオマス資源からのエタノール製造プロセスフロー
- 12 -
(c)
各研究機関の技術開発動向
エタノール製造技術として一般的な技術は、でん粉質・糖質を原料とし発酵に
よってエタノールを製造するものであるが、原料が限られることから収率の向上
を目的に技術開発が行われている。開発技術の中心となっているのは、セルロー
ス系を原料とするエタノール製造技術である。
「バイオマスエネルギー高効率転換技術開発」(NEDO)において、平成13年
度(2001年度)より5カ年計画で、酸による加水分解と発酵によるエタノール製
造の 技術開発 (セルース 系バイオ マスを 原料とし、新規のエタノール発酵技術等
により、燃料用エタノールを製造する技術開発)が実施されている。
ま た、酸による加水分解、発酵によるエタノール製造は 、「産業技術実用化開
発費補助事業」(NEDO)を活用した技術開発(月島機械㈱、丸紅㈱)やメーカー
独自の技術開発が進められている。これらの開発技術を有する企業において、当
該技術を用いたエタノール製造事業の事業化が現在検討されている。
バ イオマス アルコ ールの技 術開発を実施している主な研究機関は、表2-5に示
すとおりとなっている。
参考)エタノール製造コスト
<木質系(セルロース系)原料>
・建設発生木材使用:100~130円/L(現状値)
※建設発生木材の中間処理収入(1万円/tとしてエタノール1Lに換算する
と50円 。)を得ること等により、エタノールを50円/L程度で販売できると
考えられている。さらに、技術改良によって、エタノール製造コストの相
当の低減が可能になると期待されている。
・月島機械㈱、丸紅㈱の開発技術事例:25~30円(計画値)
<でん粉質・糖質原料>
・輸入エタノール(ブラジル等 ):20~35円/L(関税含まない価格)
40~50円/L(関税含む価格)
※輸入エタノール価格は 、平成18年度( 2006年度 )の関税撤廃により40円/L 、
その後のコストダウンにより25~30円/Lになることが見込まれている。
- 13 -
- 14 出所)「エネルギー安定供給に係る調査研究報告書」
(財)南西地域産業活性化センター(平成15年3月)
表2-5 バイオマスアルコール技術開発動向
b
県内のエタノール製造施設の立地について
県内エタノール製造施設の設置にあたっては、バイオマスの生産、収集、変換、
利用の各段階における経済性や利便性、関連する既存施設の状況、土地利用状況等
を考慮して、本県地域特性の実情に応じた適地選定を行う必要があり、以下のよう
な条件が考えられる。
<エタノール製造施設の立地に係る検討事項>
(a)
バイオマス資源が集中する製糖工場内及び隣接地域への設置
(b)
ガソリン混合の際に合理的な石油関連施設(製油所、油槽所)への設置
(c)
土地利用面から適した地域(工業地域、工業専用地域等)への設置
(d)
島嶼県であることから、原料・製品の県内外への入出荷に有利な沿岸域への設置
(e)
施設整備が可能な規模の遊休地、遊休関連施設等の活用
製油所及び油槽所施設の諸元
ガソリンタンク
施設名称
備 考
の総容量
南西石油㈱
15,000 kL
製油所
沖縄石油精製㈱
47,800 kL
油槽所
那覇
9 kL
〃
名護
805 kL
〃
りゅうせき㈱ 宮古
1,100 kL
〃
石垣
870 kL
〃
久米島
200 kL
〃
図2-4
エタノール製造施設の立地選定に係る関連施設及び土地利用等の状況
- 15 -
c
バイオマスエタノールの海外状況等について
(a)
世界全体
・燃料以外の用途も含むエタノールの生産量が最も多いのがブラジルであり、全
体の約4割を占めている 。次いで米国 、中国 、インドの順となっている( 図2-5 )。
なお、エタノールの9割以上は砂糖作物や穀物を原料としており、残りはエチ
レンから合成されている。
・エタノールの利用用途については、燃料用が最も多く約61%を占めており、次
いで工業用が約24%、飲料用が約15%となっている(図2-6 )。
35,000
30,000
7,369
7,165
7,249
6,975
25,000
生産量[千KL/年]
7,220
1,688
1,690
2,800
2,860
20,000
1,800
1,780
1,720
3,150
3,050
2,970
5,914
8,240
6,234
15,000
6,833
7,347
10,000
14,122
12,982
5,000
10,657
11,434
12,218
1999年
2000年
2001年
0
1997年
1998年
出所)資源エネルギー調査会第8回燃料政策小委員会
図2-5
図2-6
資料5
主要国のエタノール生産量の推移
世界全体のエタノールの利用用途(平成10年(1998年 ))
- 16 -
その他
インド
中国
米国
ブラジル
・平成8年( 1996年 )におけるエタノールの輸出量は約400万kLとみられており 、
大陸別の輸出量では南北アメリカ大陸の比率が最も大きく 、このうち米国が168
万kLを輸出している 。
( 図2-7 )。平成12年( 2000年 )では 、アメリカは10万kL 、
ブラジルは110万kLの輸入超過となっている。
・主な輸入国としては、オランダ、グルジア、ブラジル、アルゼンチン、日本等
が挙げられ、平成9年(1997年)にはオランダは米国から18万kL、グルジアは
米国から17万kL、ブラジルは米国から9万kL、アルゼンチンはブラジルから3
万L輸入 している 。日本 の主な輸 入先は 米国およ びブラ ジルであり、平成9年
(1997年)には米国から6万kL、ブラジルから7万kL輸入している。
・日本の工業用エタノールの販売量は平成12年(2000年)で約31万kLであり、う
ち20万kLが輸入エタノールである。
・エタノールの主原料であるサトウキビの生産量をみると、ブラジルが最も多く
全体の3割以上を占めており 、次いでインド 、中国の順となっている( 図2-8 )。
図2-7
大陸別のエタノールの輸出比(平成8年(1996年 ))
90,000
80,000
19,765
13,996
16,734
21,713
70,000
生産量[万t/年]
4,026
60,000
50,000
40,000
4,108
4,735
4,218
6,428
12,919
4,359
5,006
4,006
4,210
5,305
6,844
5,932
15,756
12,874
3,223
3,123
4,290
4,448
6,027
4,865
6,506
4,888
18,032
17,665
17,852
30,000
その他
オーストラリア
メキシコ
タイ
中国
インド
ブラジル
20,000
31,564
31,012
25,492
10,000
29,234
31,598
2000-01
2001-02
0
1998-99
1998-99
1999-00
出所)ブラジルについてはブラジル農務省資料、他の国は農畜産業振興事業団資料
図2-8
主要国のサトウキビ生産量の推移
- 17 -
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